(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
<装置構成>
【0013】
図1は本発明の一実施形態である電子機器の一例としての画像読取装置の概略図である。
【0014】
図1に示す画像読取装置は、載置台1に積載された一又は複数の搬送媒体Sを1つずつ装置内に経路RTにて搬送してその画像を読取り、排出トレイ2に排出する装置である。読取る搬送媒体Sは、例えば、OA紙、チェック、小切手、名刺、カード類等のシートであり、厚手のシートであっても、薄手のシートであってもよい。カード類は、例えば、保険証、免許証、クレジットカード等を挙げることができる。搬送媒体Sには、また、パスポートなどの冊子も含まれる。冊子を対象とする場合、不図示のホルダを用いることができる。前記のホルダに見開き状態の冊子を収容して載置台1に載置することで、冊子が前記ホルダと共に搬送され、その画像を読取ることができる。
【0015】
<給紙>
経路RTに沿って搬送媒体Sを給送する給送機構としての第1搬送部10が設けられている。第1搬送部10は本実施形態の場合、送りローラ11と、送りローラ11に対向配置される分離ローラ12と、を備え、載置台1上の搬送媒体Sを搬送方向D1に一つずつ順次搬送する。
【0016】
<駆動部>
送りローラ11には、モータ等の駆動部3から伝達部5を介して駆動力が伝達され、図中矢印方向(経路RTに沿って搬送媒体Sを搬送させる正方向)に回転駆動される。伝達部5は例えば電磁クラッチであり、駆動部3からの送りローラ11への駆動力を断続する。
【0017】
<分離構造>
送りローラ11に対向配置される分離ローラ12は、搬送媒体Sを1枚ずつ分離するためのローラであり、送りローラ11に対して一定圧で圧接している。この圧接状態を確保するため、分離ローラ12は揺動可能に設けると共に送りローラ11へ付勢されるように構成される。分離ローラ12は、トルクリミッタ12aを介して駆動部3から駆動力が伝達され、実線矢印方向(送りローラ11の正方向とは逆方向)に回転駆動される。
【0018】
分離ローラ12はトルクリミッタ12aにより駆動力伝達が規制されるため、送りローラ11と当接している際は送りローラ11に連れ回りする方向(破線矢印方向)に回転する。これにより、複数の搬送媒体Sが送りローラ11と分離ローラ12との圧接部に搬送されてきた際には、一つを残して2つ以上の搬送媒体Sが下流に搬送されないようにせき止められる。
【0019】
なお、本実施形態では分離ローラ12と送りローラ11とで分離機構を構成したが、このような分離機構は必ずしも設けなくてもよく、経路RTに搬送媒体Sを1つずつ順次給送する給送機構であればよい。また、分離機構を設ける場合においては、分離ローラ12のような構成の代わりに、搬送媒体Sに摩擦力を付与する分離パッドを送りローラ11に圧接させて、同様の分離作業を持たせるようにしてもよい。
【0020】
<搬送構造>
第1搬送部10の搬送方向下流側にある搬送機構としての第2搬送部20は、駆動ローラ21と、駆動ローラ21に従動する従動ローラ22とを備え、第1搬送部10から搬送されてきた搬送媒体Sをその下流側へ搬送する。駆動ローラ21にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ22は駆動ローラ21に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ21に連れ回る。この従動ローラ22は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ21に対して付勢された構成としてもよい。
【0021】
このような第2搬送部20よりも搬送方向下流側にある第3搬送部30は、駆動ローラ31と、駆動ローラ31に従動する従動ローラ32とを備え、第2搬送部20から搬送されてきた搬送媒体Sを排出トレイ2へ搬送する。つまり、この第3搬送部30は排出機構として機能する。駆動ローラ31にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ32は駆動ローラ31に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ31に連れまわる。この従動ローラ32は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ31に対して付勢された構成としてもよい。
【0022】
排出トレイ2は、画像読取装置Aに対して回動可能なように、画像読取装置Aの下方に設けられた第1ヒンジ101を介して軸支されている。また、第1ヒンジ101側の第1排出トレイ2aとその先端側に接続された第2排出トレイ2bとから構成されており、第2排出トレイ2bは第1排出トレイ2aに対して回動可能に軸支されている。
【0023】
<画像読取構造、制御>
ここで、本実施形態の画像読取装置Aでは、第2搬送部20と第3搬送部30との間に配置される画像読取ユニット70によって画像の読取りを行うため、第2搬送部20及び第3搬送部30は搬送媒体Sを定速搬送する。搬送速度は常に第1搬送部10の搬送速度以上とすることで、先行搬送媒体Sに後続搬送媒体Sが追いついてしまう事態を確実に回避できる。例えば、本実施形態では、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度を、第1搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度よりも速くなるように速度制御するようにした。
【0024】
なお、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度と、第1搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度とを同一条件とした場合でも、駆動部3を制御して後続搬送媒体Sの給送開始タイミングを間欠的にずらすことにより先行搬送媒体Sと後続搬送媒体Sとの間に最低限の間隔を形成することも可能である。
【0025】
<重送検出>
第1搬送部10と第2搬送部20との間に配置される重送検出センサ40は、静電気等で紙などの搬送媒体S同士が密着し、第1搬送部10を通過してきた場合(つまり重なって搬送される重送状態の場合)に、これを検出するための検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)の一例である。重送検出センサ40としては、種々のものが利用可能であるが本実施形態の場合には超音波センサであり、超音波の発信部41とその受信部42とを備え、紙等の搬送媒体Sが重送されている場合と1つずつ搬送されている場合とで、搬送媒体Sを通過する超音波の減衰量が異なることを原理として重送を検出する。
【0026】
<レジストセンサ>
このような重送検出センサ40よりも搬送方向下流側に配置される媒体検出センサ50は第2搬送部20よりも上流側で、第1搬送部10よりも下流側に配置された上流側の検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)としての一例であり、第1搬送部10により搬送される搬送媒体Sの位置、詳細には、媒体検出センサ50の検出位置に搬送媒体Sの端部が到達又は通過したか否かを検出する。媒体検出センサ50としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合には光学センサであり、発光部51とその受光部52とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。
【0027】
本実施形態の場合、搬送媒体Sの先端が媒体検出センサ50で検出されると、搬送媒体Sが重送検出センサ40により重送を検出可能な位置に到達しているように、上記の媒体検出センサ50は重送検出センサ40の近傍においてその下流側に設けられている。なお、この媒体検出センサ50は、上記の光学センサに限定されず、例えば、搬送媒体Sの端部が検知できるセンサ(イメージセンサ等)を用いてもよいし、経路RTに突出したレバー型のセンサでもよい。
【0028】
媒体検出センサ50とは別の媒体検出センサ60が画像読取ユニット70よりも上流側に配置されている。第2搬送部20よりも下流側に配置された下流側の検出センサとしての一例であり、第2搬送部20により搬送される搬送媒体Sの位置を検出する。媒体検出センサ60としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合、媒体検出センサ50と同様に光センサであり、発光部61と受光部62とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。なお、本実施形態では、第2搬送部20の搬送方向上流側と下流側のそれぞれに媒体検出センサ50、60を配置したが、何れか一方だけでもよい。
【0029】
<画像読取部配置>
媒体検出センサ50、60よりも下流側にある画像読取ユニット70は、例えば、光学的に走査し、電気信号に変換して画像データとして読取るものであり、内部にLED等の光源、イメージセンサ、レンズアレー等を備えている。本実施形態の場合、画像読取ユニット70は経路RTの両側に一つずつ配置されており、搬送媒体Sの表裏面を読取る。しかし、経路RTの片側にのみ一つ配置して、搬送媒体Sの片面のみを読取る構成としてもよい。また、本実施形態では、画像読取ユニット70を経路RTの両側に対向配置した構造としているが、例えば、経路RTの方向に間隔をあけて配置してもよい。
【0030】
<ブロック図の説明>
図2を参照して制御部80について説明する。
図2は画像読取装置Aの制御部80のブロック図である。
【0031】
制御部80はメイン基板57、操作部83、画像読取制御基板53、モータ等のアクチュエータ部85、重送検出センサ40等のセンサ部87、画像読取センサ等の画像読取部89、操作部83で構成される。なお、制御部の基板構成と制御機能の分割は本例のような分け方に制限される物ではない。
【0032】
メイン基板57にはCPU81、RAM82、ROM88、通信部84が含まれる。CPU81はROM88に記憶された制御プログラムをRAM82に展開して実行することにより画像読取装置A全体の制御を行う。CPU81は画像読取装置Aの制御を実施するためにRAM82の領域の一部を使用する。
【0033】
メイン基板57のCPU81に接続された操作部83は、例えば、スイッチやタッチパネル等の入力装置とLCD等の表示装置で構成され、CPU81はユーザへのインターフェイスとして設定メニューや装置の状態表示を行うように表示装置などを制御する。また、操作部83でユーザからの操作を受け付け、CPU81にユーザからの操作を通知し、CPU81は通知された操作に応じた動作を制御プログラムに基づいて実施する。また、操作部83はスイッチとLED等を用いた簡単なインジゲータを組み合わせたものであっても良い。
【0034】
通信部84は、外部装置との情報通信を行うインターフェイスである。外部装置として外付けメモリ等を想定した場合、通信部84としては、例えば、USBインターフェイスやSCSIを挙げることができる。また、通信部に接続する外部装置としてマウスやキーボード等の入力装置の接続を想定した場合、通信部84としては、例えばUSBインターフェイスやキーボード専用インターフェイスやマウス専用インターフェイスを上げることが出来る。また、通信部84はイーサネットに代表されるコンピュータネットワークに接続できるインターフェイスであっても良い。また、ここでのインターフェイスは有線通信のインターフェイスの他、通信部84は無線通信のインターフェイスとしてもよく、有線通信、無線通信の双方のインターフェイスを備えていてもよい。また、複数のインターフェイスを備えてもよい。
【0035】
画像読取制御基板53には画像読取制御用CPU86、RAM100、ROM101、アクチュエータ制御部102、センサ制御部103が含まれる。画像読取制御用CPU86はROM101に記憶された制御プログラムをRAM100に展開して実行することにより、画像の読取制御を実施する。なお、画像読取制御用CPU86の制御プログラムの一部はメイン基板57のROM88に保存され、起動時にCPU81から画像読取制御用CPU86に対して送信され、それをRAM100に展開して実行しても良い。
【0036】
画像読取制御用CPU86にはアクチュエータ制御部102が接続され、画像読取制御用CPU86の制御プログラムに従ってアクチュエータ制御部102がアクチュエータ85を制御する。アクチュエータ85には駆動部3、駆動部4、伝達部5等が含まれる。また、画像読取制御用CPU86にはセンサ制御部103が接続され、画像読取制御用CPU86の制御プログラムに従ってセンサ制御部103がセンサ87を制御する。センサ87には重送検知センサ40、媒体検出センサ50および60が含まれる。画像読取制御用CPU86には画像読取部89が接続され、画像読取部89から読取られた画像データを処理して、画像データをCPU81に送信する機能を有する。
【0037】
<開始指示受信による駆動>
画像読取装置Aの基本的な動作について説明する。例えばユーザによって操作部に対して行われた開始指示を受信すると、CPU81は画像読取制御基板53上の画像読取制御用CPU86に対して画像読み込み開始指示を送信する。画像読み込み開始指示を受信した画像読取制御用CPU86は制御プログラムに従ってアクチュエータ85、センサ87、画像制御部89を制御し、載置台1に積載された搬送媒体Sのその最も下に位置する搬送媒体Sから1つずつ順次搬送し、画像読み込みを実施する。なお、開始指示としては、画像読取装置Aに接続された外部装置から出力したものを後述の通信部84で受信したものであってもよい。
【0038】
<重送時の制御>
搬送の途中で搬送媒体Sは重送検出センサ40により重送の有無が判定され、重送が無いと判定されると搬送が継続される。なお、重送があると判定された場合には、搬送を停止するか、第1搬送部10による後続搬送媒体Sの取り込みを停止して、重送状態にある搬送媒体Sをそのまま排出するようにしてもよい。
【0039】
<レジストセンサの出力に応じた読取開始等>
センサ制御部103は、媒体検出センサ60の検出結果に基づくタイミングで、第2搬送部20により搬送されてきた搬送媒体Sの、画像読取ユニット70による画像の読取りを開始し、読取った画像を画像読取制御用CPU86で受け取り、画像読取制御用CPU86に接続されたRAM100に一時記憶し、順次メイン基板57のCPU81に送信する。画像が読取られた搬送媒体Sは第3搬送部30により排出トレイ2に排出されてその搬送媒体Sの画像読取り処理が終了する。ここで、原稿に対する画像読取り開始のタイミングは、画像読取ユニット70の画像読取位置に原稿の先端が到達する前とする。
【0040】
また、1枚の原稿の画像読取り終了のタイミングは、画像読取ユニット70の画像読取位置を原稿の後端が通過してから所定時間経過後とする。これにより、仮に原稿が搬送路中に斜行したとしても、原稿領域が欠けることを防止できる。すなわち、この原稿の先端部分及び後端部分を、背景を含めて原稿領域の周辺画像として余分に読み、原稿の先端側又は後端側にマージン(原稿の背景部分)を付与する。なお、このマージンは、例えば、予め画像読取装置側で自動的に付与するようにしてもよいし、操作部83で実現されるユーザインターフェイスである設定画面によりユーザが任意に設定できるようにしてもよい。画像読取装置はマージン設定情報に基づいて画像の読取り開始のタイミングを制御する。
【0041】
<電子画像データの作成と送信>
画像読取部89で読取られた画像データは画像読取制御用CPU86で受け取られ画像としてRAM100内で再構成され、再構成された画像データは順次CPU81に送信され、CPU81はユーザによって指示された電子画像データの形式となるように画像変換処理を実施し電子画像データを作成する。画像読取作業中、画像変換処理が完了した電子画像データはRAM82に順次保存される。ユーザによって読取作業が完了したことを操作部83を介して指示されると、CPU81は画像読取装置の制御アプリケーションを通じて操作部83に、読み取られた電子画像データの送信先および送信のためのプロトコル(規約)を選択するための画面を表示し、CPU81はユーザによって選択された送信先に対して選択されたプロトコル(規約)で作成された電子画像データを送信する。
【0042】
ここでCPU81は画像読取制御部86から送信された画像データを、ユーザによって指示された電子画像データの形式となるように処理を実施するが、この作業がCPU81にとって処理負担の重い作業となりCPU81の消費電力が増大し、発熱も増大することとなる。従ってCPU81の冷却が必要となる。
【0043】
<電子基板の配置と放熱>
図3を参照して電子基板の配置を説明する。
CPU81と通信部84を主とする第一の電子基板であるメイン基板56、画像読取制御部86を主とする第二の電子基板である画像読取制御基板53、不図示の操作部83を主とする操作部基板、不図示のその他の周辺基板等に分けられる。
【0044】
ここでメイン基板56と画像読取制御基板53は、画像読取装置内の他の電子基板と比べて実装される機能が多いため基板の外形サイズが大きくなり、装置内で占有する領域が大きくなる。
【0045】
また、画像読取装置Aは搬送路部62が斜めに傾いた状態で配置されており、メイン基板56と画像読取制御基板53は搬送路部62より下側の空間に配置しなくてはならない。またメイン基板56には発熱を伴う部材であるCPU81を含んでいる。
【0046】
CPU81は発熱を伴うため放熱の機構が必要となる。
図4に示した様に、第一の取り付け板金であるメイン基板用取付板金57に対して、メイン基板56のCPU81が実装されている面が、対向するように配置されている。CPU81とメイン基板用取付板金57の間に熱伝導部材である熱伝導シート59を、CPU81とメイン基板56の両方に当接するように挿入する。CPU81から発生した熱は熱伝導シート59を介してメイン基板用取付板金57に移動する。
【0047】
なお、CPU81を含む放熱を必要とする発熱を伴う部材はメイン基板56上に複数個存在しても良く、発熱を伴う部材の個数に関して制限を設けるものではない。また、発熱を伴う部材が複数個存在する場合に、発熱を伴う部材とメイン基板用取付板金57の間に挿入する熱伝導シート59は1枚であっても良く、複数の発熱を伴う部材と第一の取り付け板金59の間に1枚の熱伝導シート59を入れても良い。つまり、熱伝導シート59の形状、個数に関して制限を設けるものではない。なお、熱伝導シート59の材質の一例としては、シリコーンゴムやアクリル系樹脂、炭素繊維シートなどである。
【0048】
画像読取制御基板53は第二の取り付け板金である画像読取制御基板用取付板金54に固定される。画像読取制御基板用板金54は第一の取り付け板金であるメイン基板用取付板金57に対して略垂直方向になるように配置される。このときメイン基板用取付板金57と画像読取制御基板用板金54は当接され、メイン基板用取付板金57の熱が画像読取制御基板用板金54に伝導するようになっている。なお、第一の取り付け板金であるメイン基板用取付板金57と第二の取り付け板金である画像読取制御基板用取付板金54との当接部に第一の電子基板であるメイン基板56を間に挟み込んで当接させても良い。この場合、比較的高温となる電子基板の熱が、CPU81を介さずに直接メイン基板用取付板金57もしくは画像読取制御基板用板金54へ伝わるため、より放熱性能を向上することができる。つまり第一の取り付け板金と第二の取り付け板金の間に熱を伝導できるいずれかの媒体を挟み込んで当接させても良く、当接の方法は制限されるものではない。
【0049】
この構成によって、画像読取装置Aの底部に設けられた第一の取り付け板金であるメイン基板用取付板金57に搭載された発熱を伴う部品であるCPU81からの熱は、第一の取り付け板金に対して立設するように直接的または間接的に当接された第二の取り付け板金である画像読取制御基板用板金54へと伝達する。第一の取り付け板金の温度が上昇した場合、底部に配置された第一の取り付け板金の放熱によって加熱された周囲の空気は、板金の下部に留まりやすく、空気の温度が上昇すると第一の取り付け板金からの放熱が鈍ってしまい、CPU81の放熱性が低下する。それに対し、第一の取り付け板金に第二の取り付け板金を当接させることにより、第二の取り付け板金は画像読取装置Aの底部に対して立設しているため、第二の取り付け板金の温度が上昇し放熱が起こると、自然対流によって上昇し、第二の取り付け板金周囲から上方に流れやすくなるため、第一の取り付け板金の熱を効果的に放熱することができる。
【0050】
メイン基板56の端部には外部へのインターフェイス55が実装されている。なおインターフェイス55は高さのあるコネクタで構成されている。
図3に示すように画像読取制御基板用取付板金54に固定された画像読取制御基板53はインターフェイス55を避け、インターフェイス55よりも筐体内側に位置するように配置される。これにより画像読取制御基板53の画像読取制御基板用板金54への取り付け位置をインターフェイス55の頂部より低くすることが出来るため、これらを取り囲むように配置される筐体の一部である外装部材61を小さくすることが可能となり、装置の小型化に有利となる。また、画像読取制御基板用板金54と外装部材61との間に空間を設けることが可能となり、放熱の効果が上がる。
【0051】
メイン基板56、メイン基板取付用板金57、画像読取制御基板53、画像読取制御基板用板金54は画像読取装置Aの搬送路部62と外装部材61によって囲まれた領域に配置される。なお、外装部材61にはメイン基板56上のインターフェイス55にアクセスするための開口部が用意されている。
【0052】
以上の構成により、CPU81(発熱を伴う部材)をメイン基板56の取り付け板金57(第一の取り付け板金)に対向する位置に配置し、CPU81とメイン基板取付用板金57)間に熱伝導部材である熱伝導シート59を挿入・当接させることで、ヒートシンクを追加することなくメイン基板取付用板金57によりCPU81が発する熱の放熱面積を増やすことが可能となり、効率的な放熱が可能となる。更に画像読取制御基板53の取り付け板金54(第二の取り付け板金)とメイン基板取付用板金57を直接または間接的に当接させることで放熱面積を増やすことが可能になり、より効率的な放熱が可能となる。
【0053】
また、画像読取制御基板53の取り付け板金54とメイン基板56の取り付け板金57の当接部をメイン基板56のインターフェイス55を避ける位置にすることにより画像読取制御基板53の取り付け板金54の高さを低くすることが出来るため装置の小型化が図れる。また、インターフェイス55を避けて、メイン基板56の取り付け板金57の端部よりも内側に画像読取制御基板53の取り付け板金54を立設させ、その上でメイン基板56の取り付け板金57および画像読取制御基板53の取り付け板金54の端部によって外装部材61の一部を傾斜させて設けることによる小型化も図ることが出来る。
【0054】
以上、本発明を一実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は上述した一実施形態に限定されるものではない。
本実施形態では、第二の電子基板である画像読取制御基板53と第二の取り付け板金である画像読取制御基板用板金54は、第一の電子基板であるメイン基板56と第一の取り付け板金であるメイン基板取付用板金57に対して垂直となるように取り付けられているが、取り付けの角度は必ずしも垂直(90度)でなくても良く、取り付けの角度を限定するものではない。
【0055】
<第二実施形態>
上述した第一実施形態では、第一の取り付け板金であるメイン基板取付用板金57に対して、メイン基板56上の発熱を伴う部材であるCPU81が実装されている面が対向するように配置され、CPU81とメイン基板取付用板金57の間に熱伝導シート59を挿入・当接させ、CPU81から発生した熱を熱伝導シート59を介してメイン基板取付用板金57に熱移動させる例を説明したが、本発明はこれに限定されず、メイン基板取付用板金57とメイン基板56との間を、CPU81付近で狭くなるようにしても良い。以下に、メイン基板取付用板金57とメイン基板56との間をCPU81付近で狭くする例について説明する。なお、以下では上述の第一実施形態と異なる部分について説明する。
【0056】
具体的には
図5(a)を用いて説明する。第一の取り付け板金であるメイン基板取付用板金157を、第一の電子基板であるメイン基板156上の発熱を伴う部材であるCPU181が実装されている位置に対向する場所付近においてメイン基板取付用板金157の形状を変更し、該板金の他の場所に対して凸形状となるようにし、メイン基板取付用板金157からメイン基板156までの空間を狭くする。この空間にCPU181とメイン基板取付用板金157のそれぞれに当接するように熱伝導部材である熱伝導シート159を挿入する。
【0057】
板金を凸形状とすることで、挿入した熱伝導シート159の厚さを薄くすることが可能となる。さらに具体的に
図6を用いて説明する。
図6(a)はCPU181付近で板金の形状を変えない状態、
図6(b)はCPU181付近で板金の形状を凸形状とした本実施例の状態である。
図6(a)の例においてCPU181の厚さをL1、メイン基板156からメイン基板取付用板金157までの距離をLとすると、熱伝導シート159の厚さL2はL−L1となる。一方
図6(b)の例では、メイン基板156からメイン基板取付用板金157までの距離は変わらないが、CPU181付近で、メイン基板156からメイン基板取付用板金157までの距離が狭くなるようにメイン基板取付用板金157を凸形状としている。
【0058】
従ってCPU181付近ではメイン基板156からメイン基板取付用板金157までの空間距離L’とすると、L’<Lの関係となる。CPU181の厚さL1は不変のため、CPU181とメイン基板取付用板金157との間に挿入する熱伝導シート159の厚さL2’(=L’−L1)も(a)の例に比べて薄くすることが可能となる。熱伝導シート159の厚さがL2からL2’に薄くなることで、熱伝導シート159よりも熱伝導率の高い板金における熱伝導の割合を増やすことができ、全体としての熱伝導性を向上できる。
【0059】
以上の構成とすることで、熱伝導シート159を薄くでき、熱伝導シート159の熱伝導性が改善され、より効率よくCPU181からメイン基板取付用板金157に熱を効率的に伝えることが可能となる。
【0060】
熱伝導シート159としては、メイン基板取付用板金157とCPU181との平面同士による接触性を向上できればよく、弾性を有し、ある程度の厚みがあることが好ましい。
【0061】
また、熱伝導シート159を用いる代わりに、メイン基板取付用板金157の一部をできるだけCPU181側へ突出させ、略接触するようにしつつ、例えばグリスなどでCPU181との隙間を埋めるように構成してもよい。
(第三実施形態)
【0062】
上述の第一実施形態及び第二実施形態では、搬送部62と外装部材61で囲まれた画像読取装置において、放熱のために、第一の電子基板であるメイン基板56と第一の取り付け板金であるメイン基板取付用板金57、及び第二の電子基板である画像読取制御基板53を固定する第二の取り付け板金である画像読取制御基板用取付板金54との配置によって放熱効果を改善する構成について説明した。本発明は以上の構成に限定されず、画像読取制御基板53と画像読取制御基板用板金54の上方部分に排気用の穴を設けても良い。以下に、画像読取制御基板53と画像読取制御基板用板金54との上方部分に排気用の穴を設ける例について説明する。なお、上述の一実施形態と異なる部分について説明する。
【0063】
具体的には
図5(b)を用いて説明する。画像読取制御基板253を取り付けた画像読取制御基板用板金254を、メイン基板取付用板金259に当接させるように略垂直方向に取り付ける。このときメイン基板256、メイン基板取付用板金257、画像読取制御基板253、画像読取制御基板用板金254は搬送部262と外装部材261で囲まれた中に配置される。外装部材261は排気用穴263を有している。排気用穴263は、画像読取制御基板253と画像読取制御基板用板金254のいずれか最も上方に位置する上端部より高い位置に設けられる。
【0064】
以上の構成とすることで、装置内で発生しメイン基板用取付板金257及画像読取制御基板用取付板金254によって放熱され、自然対流によって上方に移動した熱が、外装部材261に設けた排気用穴263によって装置内部(特に板金周囲)にこもらずに装置外部に放出され、放熱効果がより高まる。
【0065】
なお、外装部材261に設ける排気用穴263は、穴の個数、穴の形状、穴の配列等を特に限定するものではなく、搬送路262と外装部材261で囲まれる空間において、より高い位置に設けることで効果を発する。
【0066】
より好ましくは、載置台1の下方に排気用穴を設けることによって、埃や水滴などが上方から降下した際に、排気穴261から画像読取装置A内に侵入することを防ぐことができる。
(第四実施形態)
【0067】
また
図5(c)に示すように、排気用穴363を使用し強制的に排気を促すために、排気用穴363を介して装置内部から装置外部に空気の流れを作る排気用ファン364を装置内部に設けても良い。また、排気用ファン364は装置内部から装置外部へ排気用穴363を介して空気の流れを作れる場所であれば、外装部材361の外側に取り付けても良い。なお、排気用ファン364は画像読取装置Aが動作している間、常に回転し続けても良く、また装置内の温度に応じて回転、停止のタイミング、回転数等を制御されても良い。つまり排気用ファンの制御方法に関して限定するものではない。
【0068】
以上の構成とすることにより、装置内の空気が強制的に排気されるため、メイン基板取付用板金357と画像読取制御基板用取付板金354を伝導してきた熱が装置外に強制的に排出され、放熱効果が高まる。また、画像読取制御基板用取付板金354がメイン基板356上のインターフェイス355のコネクタを避けるように筐体内側に配置されていることにより、画像読取制御基板用取付板金354と外装部材361との間に空間が形成される。この空間に排気による空気の流れが生まれ、この空気の流れにより放熱効果を高めることが可能となる。
(第五実施形態)
【0069】
また
図4(d)に示すように、メイン基板取付用板金457より低い位置に吸気用穴465を設けても良い。吸気用穴465を設けることで、装置内に空気の流れを作ることが容易となる。
【0070】
以上の構成により、装置内に吸気用穴465からメイン基板取付用板金457の表面、画像読取制御基板用取付用板金454の表面を伝わり、排気用穴463に至る空気の流れを生み出し、より効果的に放熱が可能となる。なお、この吸気用の穴は、穴の個数、穴の形状、穴の配列等を特に限定するものではなく、搬送部462と外装部材461で囲まれた空間において、メイン基板取付用板金457よりも低い位置に設けることで効果を発する。さらに装置外部から装置内部に向けて強制的に空気を取り込むように不図示の吸気用のファンを設けても良い。板金を用いた放熱構造と併せて配置する吸気用のファンとしては、ある程度の風量を有していれば十分であり、比較的小サイズのものを採用できるため、装置内の空いたスペースに配置できる。その際に、画像読取制御基板用取付板金454の一部を延長するなどして設けた熱交換部に外部から取り込んだ空気を吹き付け、画像読取制御基板用取付板金454と熱交換した空気を排気用孔463から排出するように構成してもよい。この構成により、熱交換部をヒートシンクのように利用した効率的な放熱を行うことができる。
(第六実施形態)
【0071】
上述した第二実施形態では、CPU81から発生した熱の移動経路として熱伝導シート159を介してメイン基板取付用板金157、画像読取制御基板用取付板金154に移動させる例を説明したが、本発明はこれだけに限定されず、熱の移動経路としてCPU181が実装されているメイン基板156上にある配線パターンを追加で使用しても良く、また該パターンをメイン基板用取付板金57との当接部付近において、該パターンに接続された層間接続のための穴を集中して多く設け、当接する部分を介してメイン基板用取付板金57に熱を移動させても良い。
【0072】
具体的には、
図7を用いて説明する。メイン基板556の配線パターンは熱伝導性の良い導体、例えば銅箔で形成されている。メイン基板556の配線パターンは複数あり、例えばグランドパターン590などの電源系のパターンは一般的に面積が広くなるように配線され、多層基板の場合、内層に配線される。CPU581から発生した熱の一部は、CPU581とメイン基板556との接続箇所、例えば半田ボールなど、を介してメイン基板556にも伝わる。メイン基板556に伝わった熱は、熱伝導性の良いメイン基板内のグランドパターン590を介して基板内に伝導される。ここで、メイン基板556はメイン基板用取付板金557に当接部592で当接される。この当接部592の周囲に前記のグランドパターン590を配置する。内層で配線されたグランドパターン590と、当接部592の周囲に配置したグランドパターン590を接続する穴、例えばバイアホール591、を集中して複数設ける。これにより内層のグランドパターン590を伝導してきた熱は、バイアホール591を介して当接部592に伝導され、メイン基板用取付板金557に伝導される。
【0073】
以上の構成とすることにより、CPU581から発生した熱をCPU581の表面から熱伝導シート559を介してメイン基板用取付板金557に伝導させる経路と、上記のメイン基板556のパターンとメイン基板556とメイン基板用取付板金557の当接部592に集中して設けたバイアホール591を介してメイン基板用取付板金557に伝導させる経路の二つを設けることで、より効果的にCPU581で発生した熱をメイン基板用取付板金に伝えることが可能となり、放熱効果を高めることが可能となる。
【0074】
なお、熱伝導させるための配線パターンはグランドパターンに限定される物ではなく、いずれの配線パターンであっても構わないが、熱伝導性の良い金属製であることが望ましく、例えば銅箔により構成される。また、当接部592ではメイン基板556とメイン基板取付用板金557を直接当接させることに限定されず、例えば熱伝導性の物質を挿入してメイン基板556とメイン基板取付用板金557を当接させてもよい。