特許第6799385号(P6799385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799385
(24)【登録日】2020年11月25日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】撮像装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/378 20110101AFI20201207BHJP
   H04N 5/374 20110101ALI20201207BHJP
   H04N 5/355 20110101ALI20201207BHJP
   H03M 1/56 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   H04N5/378
   H04N5/374
   H04N5/355 810
   H03M1/56
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-91651(P2016-91651)
(22)【出願日】2016年4月28日
(65)【公開番号】特開2017-200140(P2017-200140A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】伊勢 誠
【審査官】 鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−119385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30−5/378
H03M 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換素子を有する画素から読み出された画素信号を時間と共に電圧が変化する参照信号と比較し、前記画素信号と前記参照信号の大小関係が変化するのに要する時間に対応するデジタル値を前記画素信号のAD変換結果として取得するAD変換器を有し、
前記AD変換器は前記画素信号のレベルを閾値を用いて判定し、判定結果に応じて前記参照信号の電圧の変化率を異ならせるとともに、所定の撮影感度よりも高感度または低感度で撮影する場合に、前記閾値を変更することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
光電変換素子を有する画素から読み出された画素信号を時間と共に電圧が変化する参照信号と比較し、前記画素信号と前記参照信号の大小関係が変化するのに要する時間に対応するデジタル値を前記画素信号のAD変換結果として取得するAD変換器を有し、
前記AD変換器は前記画素信号のレベルを閾値を用いて判定し、判定結果に応じて前記参照信号の電圧の変化率を異ならせるとともに、同じ被写体を複数の異なる露出で順次撮影する場合に、露出に応じて前記閾値を変更することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記AD変換器によりAD変換された前記画素信号に適用されるデジタルゲインの大きさが前記参照信号の電圧の変化率に応じて異なることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
さらに、AD変換された前記画素信号に画像処理を適用する画像処理部を有し、前記デジタルゲインが前記画像処理部で適用されることを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記画像処理がガンマ補正処理を含み、前記デジタルゲインが前記ガンマ補正処理の前に適用されることを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記同じ被写体を基準露出と、前記基準露出よりも低い露出と、前記基準露出よりも高い露出とで順次撮影することを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項7】
光電変換素子を有する画素から読み出された画素信号を時間と共に電圧が変化する参照信号と比較し、前記画素信号と前記参照信号の大小関係が変化するのに要する時間に対応するデジタル値を前記画素信号のAD変換結果として取得するAD変換器とを有する撮像装置の制御方法であって、
前記AD変換器は前記画素信号のレベルを閾値を用いて判定し、判定結果に応じて前記参照信号の電圧の変化率を異ならせるとともに、所定の撮影感度よりも高感度または低感度で撮影する場合に、前記閾値を変更することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項8】
光電変換素子を有する画素から読み出された画素信号を時間と共に電圧が変化する参照信号と比較し、前記画素信号と前記参照信号の大小関係が変化するのに要する時間に対応するデジタル値を前記画素信号のAD変換結果として取得するAD変換器とを有する撮像装置の制御方法であって、
前記AD変換器は前記画素信号のレベルを閾値を用いて判定し、判定結果に応じて前記参照信号の電圧の変化率を異ならせるとともに、同じ被写体を複数の異なる露出で順次撮影する場合に、露出に応じて前記閾値を変更することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子(以下単に撮像素子と呼ぶ)には、例えば、アナログ・デジタル変換器(AD変換器)を搭載したものがある。
【0003】
複数の画素が行および列方向に2次元配列された撮像素子にAD変換器を搭載する場合、画素列ごとにAD変換器を設ける構成(列並列型またはカラム型AD変換アーキテクチャ)が知られている。列並列型のAD変換アーキテクチャでは、AD変換器ごとの変換レートを一行あたりの読み出しレートに低下できるため、撮像素子の消費電力低下に寄与するほか、撮像素子の読み出しレートの高速化にも寄与する。
【0004】
列並列型のAD変換アーキテクチャにおいて、ランプ型のAD変換器を用いる構成が知られている(特許文献1参照)。ランプ型のAD変換器は、電圧値が時間と共に一定割合で増加するランプ信号の電圧が、初期値からAD変換対象のアナログ電圧より大きくなるまでに要する時間に相当するデジタル値を、AD変換結果として取得する。デジタル値は例えば、一定周波数のパルス信号をカウンタで計数することで得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−9087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ランプ型のAD変換器は、原理上、変換対象の値が大きいほど、またAD変換の分解能が高いほど、AD変換に時間を要する。そのため、特許文献1では、画素信号のレベルが閾値より大きい場合は小さい場合よりもランプ信号の増加割合を大きくすることで、大きな値に対するAD変換時間を短縮する構成を開示している。
【0007】
しかしながら、ランプ信号の増加割合を大きくすることは、AD変換の分解能を下げることと同義である。そのため、特許文献1記載の構成では、特に、AD変換後にデジタルゲインが適用される場合において、レベルの大きな画素信号に関して視認できる画質低下を生じることがあった。
【0008】
本発明はこのような従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、ランプ型のAD変換器を有する撮像装置において、視認できる画質低下を抑制しながら、処理速度の向上を実現することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的は、光電変換素子を有する画素から読み出された画素信号を時間と共に電圧が変化する参照信号と比較し、画素信号と参照信号の大小関係が変化するのに要する時間に対応するデジタル値を画素信号のAD変換結果として取得するAD変換器を有し、AD変換器は画素信号のレベルを閾値を用いて判定し、判定結果に応じて参照信号の電圧の変化率を異ならせるとともに、所定の撮影感度よりも高感度または低感度で撮影する場合に、閾値を変更することを特徴とする撮像装置によって達成される。
【発明の効果】
【0010】
このような構成により、本発明によれば、ランプ型のAD変換器を有する撮像装置において、視認できる画質低下を抑制しながら、処理速度の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るデジタルカメラの機能構成例を示すブロック図
図2】実施形態に係る撮像素子の構成例を示す図
図3図2の撮像素子に係るタイミング図
図4図2の撮像素子が有するAD変換器の動作例を示す図
図5図2の撮像素子が有するAD変換器の動作を機能的に示す図
図6図2の撮像素子が有するAD変換器の動作に関する図
図7図2の撮像素子が有するAD変換器の入出力特性に関する図
図8】第1実施形態に係る撮像装置の動作に関するフローチャート
図9】第1実施形態の動作と効果を説明するための図
図10】第2実施形態に係るタイミング図
図11】第2実施形態におけるHDR合成の入出力特性に関する図
図12】第2実施形態に係る撮像装置の動作に関するフローチャート
図13】第3実施形態に係る撮像装置の動作に関するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
●(第1実施形態)
以下、本発明をその例示的な実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係るAD変換機能を備える固体撮像素子を適用可能な電子機器の一例としてのデジタルカメラの機能構成例を示すブロック図である。なお、本発明は、撮像装置のみならず、携帯電話機(スマートフォンを含む)、メディアプレーヤ、ゲーム機、パーソナルコンピュータ、ドライブレコーダなどを含む、固体撮像素子を適用可能な任意の電子機器に適用可能である。
【0013】
撮影レンズ110は、フォーカスレンズや変倍レンズを含むレンズ群や、絞り機構などを有する撮影光学系であり、撮像素子120の撮像面に被写体光学像を形成する。撮影レンズ110は着脱可能であってもよい。レンズ制御部111は、システム制御部180の制御に基づいて、撮影レンズ110のフォーカスレンズ、変倍レンズ、絞りを駆動する。撮影レンズ110が着脱可能な場合、レンズ制御部111は撮影レンズ110に設けられる。
【0014】
撮像素子120は例えばCMOSイメージセンサなどの固体撮像素子であり、2次元配列された数十万から数千万個の画素を有する。各画素は光電変換領域を備え、入射光量に応じた電荷を発生する。本実施形態の撮像素子120はAD変換部1201を備えており、デジタル出力が可能である。
【0015】
駆動部121は、システム制御部180の制御に基づいて撮像素子120の露光時間やゲインを調整したり、画像データの読み出しなどを行う。
【0016】
駆動部121によって撮像素子120から読み出されたデジタル画像データは、画像処理部130に供給される。画像処理部130はデジタル画像データに対し、拡大/縮小処理、ガンマ処理、ホワイトバランス調整処理、色補間処理、露出補正処理、被写体検出/追尾処理、焦点検出や露出制御に用いる評価値の生成処理など、様々な画像処理を実行することができる。画像処理部130は画像処理の実行時に、必要に応じてメモリ部140を用いることができる。
【0017】
また、本実施形態の画像処理部130はダイナミックレンジ(Dレンジ)拡大部1301を備える。Dレンジ拡大部1301は、例えばメモリ部140に保存されている、露出量の異なる複数の画像を合成することにより、ダイナミックレンジを拡大した画像(ハイダイナミックレンジ画像またはHDR画像とも呼ばれる)を生成することができる。
【0018】
画像処理部130はさらに、表示部150に表示するための画像信号を生成することができる。表示部150は液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどであり、タッチパネル機能を有するタッチディスプレイであってもよい。
【0019】
画像処理部130が出力する画像データはコーデック部160に供給される。コーデック部160は画像データを記録形式に応じて符号化し、ヘッダ情報などを付加して画像ファイルとしてメモリカード170に記録する。また、コーデック部160は、メモリカード170から読み出された画像データを必要に応じて復号し、画像処理部130に供給する。
【0020】
システム制御部180はCPU、MPUなどのプログラマブルプロセッサであり、ROM181に記憶されたプログラムを、RAM182に読み込んで実行することにより、撮影レンズ110を含むデジタルカメラ100の動作を制御する。例えばシステム制御部180は、画像処理部130が生成する評価値や、被写体検出結果を用いて、自動焦点検出(AF)処理、自動露出制御(AE)処理、フラッシュ発光制御処理などを行う。また、以下に説明する撮像素子120の制御動作も、システム制御部180の制御によって実現される。
【0021】
操作部190は、ユーザがデジタルカメラ100に指示や設定を入力するための入力デバイス群である。例えばレリーズボタン、電源スイッチ、方向キー、決定キー、メニューキーなどが操作部190に含まれるが、これらに限定されない。なお、操作部190に含まれる入力デバイスは、物理的なスイッチやボタンに限らず、表示部150におけるGUI表示と表示部150に設けられたタッチパネルとの組み合わせによって実現されてもよい。また、音声入力、視線入力などの非接触入力方式に基づく入力デバイスを用いてもよい。
【0022】
図2は、撮像素子120の構成例を、AD変換部1201と画素の一部の回路構成例を含めて示した図である。
図2では、多数の画素のうち、画素209a〜209fのみを示している。画素209a〜209fは、行方向に配列された複数の画素を単位として垂直走査回路200に接続される。垂直走査回路200は、同じ信号線に接続された画素群を単位として、読み出し対象の画素を選択する。以下の説明において、添字a,b,c,…を有する参照番号(例えば209a〜209f)を付された構成要素のそれぞれに該当する説明については、添字を有さない参照番号(例えば209)を用いる。
【0023】
画素209a〜209fは同じ回路構成を有するため、代表として画素209aの回路構成について説明する。光電変換素子の一例としてのフォトダイオード(以下PDと呼ぶ)203aは、入射光量に応じた電荷(信号電荷)を発生する。リセットトランジスタ(以下リセットTrと呼ぶ)201aは垂直走査回路200によってオンオフ制御され、PD203aおよびフローティングディフフュージョン(以下FDと呼ぶ)204aに蓄積された信号電荷をリセットする。転送トランジスタ(以下転送Trと呼ぶ)202aは垂直走査回路200によってオンオフ制御され、PD203aに蓄積された信号電荷をFD204aに転送する。
【0024】
FD204aは蓄積された電荷を電位(FD電位)に変換する。選択トランジスタ(以下選択Trと呼ぶ)205aは、垂直走査回路200によってオンオフ制御されて、画素ソースフォロア(以下画素SFと呼ぶ)206aを介してFD電位を垂直出力線208aに出力する。なお、画素SF206aはバッファアンプである。
【0025】
判定回路213a〜213cは、列ごとに設けられ、読み出されたFD電位を、撮像素子120の外部(駆動部121)から設定された閾値と比較し、比較結果を示す信号を出力する。判定回路213は各画素から読み出された信号(FD電位)の明暗判定もしくはレベル判定の機能を実現する。また、判定回路213の出力は、ランプ信号(後述)の選択信号として用いられる。
【0026】
撮像素子120はまた、それぞれ垂直出力線208a〜208cに接続された列読み出し回路215a〜215cを有している。列読み出し回路215a〜215cは同じ回路構成を有するため、代表として列読み出し回路215aの回路構成について説明する。
列読み出し回路215aは、PD203から転送された電荷に基づくFD電位を記憶するためのサンプルホールド回路(以下、S/H(S))を構成するスイッチトランジスタ216aおよびコンデンサ218aを有する。以下、S/H(S)に記憶されるFD電位をS信号と呼ぶ。選択Tr220aはS信号を選択する。
【0027】
列読み出し回路215aはさらに、ノイズ電荷に基づくFD電位を記憶するためのサンプルホールド回路(以下、S/H(N))を構成するスイッチトランジスタ217aおよびコンデンサ219aを有する。以下、S/H(N)に記憶されるFD電位をN信号と呼ぶ。選択Tr221aはN信号を選択する。
【0028】
列読み出し回路215aはさらに、コンデンサ222a、224a、および225aの容量比に応じてゲインが決定される列アンプ223aを有する。また、列アンプ223aのゲインは、スイッチトランジスタ226aのオン・オフによって切り換えることができる。列アンプ223aには、S信号またはN信号の他に、信号線238から信号増幅用の基準電圧VREFが供給されている。
【0029】
列読み出し回路215aはさらに、列アンプ223aの出力と、セレクタ243aを通じて供給されるランプ信号とを比較するコンパレータ227aと、メモリ228aとを有する。コンパレータ227aの出力信号レベルの切り換わりタイミングにおいて、カウンタ230のカウント値がメモリ228aにラッチされる。ここで、コンパレータの出力は例えば、ロウ(L)レベルとハイ(H)レベルとを有するものとする。このように、列アンプ223aの出力とランプ信号との大小関係が変化するのに要する時間に対応するデジタル値が、AD変換結果としてメモリ228aにラッチされる。
【0030】
本実施形態においてランプ信号発生器229は、電圧が時間と共に線形変化する参照信号であるランプ信号を複数種出力する。個々のランプ信号は時間あたりの電圧の変化率(時間−電圧関数の傾き)が互いに異なる。セレクタ243aは判定回路213aによる判定結果(出力信号)に応じて、複数のランプ信号のうち1つを選択してコンパレータ227aに供給する。本実施形態ではランプ信号発生器229は2種類のランプ信号を生成する。
【0031】
また、乗算回路244は、用いられたランプ信号の種類に応じた係数をメモリ228から読み出された値に乗算する。なお、図2では説明及び理解を容易にするため、メモリ228から読み出された値を乗算するように記載しているが、例えばメモリ228からビットシフトして読み出すことによっても同様の効果が得られる。
【0032】
このように、コンパレータ227、メモリ228、ランプ信号発生器229、セレクタ243、乗算回路244、およびカウンタ230によってランプ型のAD変換部1201が構成される。本実施形態においてAD変換部1201は、列アンプ223の出力側に配置されている。
【0033】
図2において、m(mは2以上の整数)行目の画素209a〜209cは、m行目の行選択線(PSEL_m)210、m行目のリセット信号線(PRES_m)211、およびm行目の信号転送線(PTX_m)212で垂直走査回路200と接続されている。
【0034】
同様に、m−1行目の画素209d〜209fは、m−1行目の行選択線(PSEL_m−1)、m−1行目のリセット信号線(PRES_m−1)、およびm−1行目の信号転送線(PTX_m−1)で垂直走査回路200と接続されている。
【0035】
なお、画素209からFD電位をS信号とN信号として読み出す期間はそれぞれ、信号PTS232とPTN234によって制御される。また、S信号とN信号をコンパレータ227に読み出す期間はそれぞれ、信号ADS235とADN236によって制御される。これら、読み出し期間を制御する信号PTS232,PTN234,ADS235,ADN236は、システム制御部180の制御に基づいて駆動部121が撮像素子120に供給する。
【0036】
水平走査回路231はメモリ228a〜228cのうち、カウント値を読み出すメモリ(列)を選択する。また、メモリ228a〜228cにラッチされた、AD変換結果を表すカウント値は、水平走査回路231により順次選択されて水平出力線241に読み出される。本実施形態においては、判定回路213による判定結果が水平走査回路231にも供給されており、水平走査回路231は個々のメモリ228に格納されているカウント値が、どのランプ信号に対応する値なのかを知ることができる。
【0037】
そして、乗算回路244は、AD変換時に用いられたランプ信号の種類に応じて定まる係数を、メモリ228から読み出されたカウント値に適用してレベル変換を行い、出力する。例えば、第2のランプ信号の時間−電圧関数の傾き(もしくは電圧の変化率)が第1のランプ信号の時間−電圧関数の傾き(もしくは電圧の変化率)のn倍とする。この場合、乗算回路244は第2のランプ信号を用いてAD変換した結果についてはn倍し、第1のランプ信号を用いてAD変換した結果については1倍して(もしくはそのまま)デジタル画像データ(VOUT)として撮像素子120から出力する。水平走査回路231は、メモリ228から読み出すカウント値が対応する(AD変換に用いられた)ランプ信号の種類に応じた適切な係数が適用されるように、乗算回路244を制御する。
【0038】
図2および、図3のタイミングチャートを参照して、図2に示した撮像素子120の動作について説明する。ここでは代表的に画素209aに関する動作について説明するが、他の画素についても同様の動作が実行される。なお、図3においては行番号を示す添字は省略している。また、図3ではランプ信号の選択やAD変換時に用いたランプ信号の種類に応じた制御に係る信号は記載していない。
【0039】
PD203aに光が入射すると信号電荷が発生し、FD204aに信号電荷の蓄積が開始される。そして、垂直走査回路200による行単位の走査がm行目に対して行われると、PSEL_m21をまずHレベルとし、続いてPRES_m21およびPTX_m212をHレベルとすることによりPD203aおよびFD204aをリセットする。これによって、リセットノイズを含むリセットレベル(ノイズ電荷に基づくFD電位)Vnが画素SF206を介して垂直出力線208に出力される。そして、PTN234を所定期間(以下N読み期間と呼ぶ)Hレベルとし、N読み期間にリセットレベルVnをS/H(N)に読み出す。
【0040】
S/H(N)に読み出されたN信号は、S/H(S)に信号レベルVsを読み出す前の所定期間(以下N−AD期間と呼ぶ)ADN236をHレベルとして、列アンプ223aに読み出す。
【0041】
その後、PTX212を所定期間Hレベルとし、PD203aに発生した信号電荷をFD204に転送する。信号電荷に基づくFD電位(信号レベル)Vsは、リセットレベルVnと同様にして、画素SF206から垂直出力線208へ出力される。そして、PTS232を所定期間(以下S読み期間と呼ぶ)Hレベルとし、S読み期間に信号レベルVsをS/H(S)に読み出す。
その後、所定期間(以下S−AD期間と呼ぶ)ADS235をHレベルとして、S信号を列アンプ223aに読み出す。
【0042】
列アンプ223aはN信号と基準電圧VREF238との差分(以下、単にN信号と呼ぶ)、またはS信号と基準電圧VREF238との差分(以下、単にS信号と呼ぶ)を設定されたゲインで増幅して出力する。列アンプ223aのゲインは、ゲイン選択信号GNSEL237に応じてオンオフするスイッチトランジスタ226aと、コンデンサ224aおよび225aの負荷容量値によって決定される。図2の例ではゲイン選択信号GNSEL237のオンオフによって、列アンプ223aに2段階のゲインの一方を設定できる。なお、列アンプ223aに並列接続されるコンデンサと、対応するスイッチトランジスタとを追加することにより、列アンプ223aに3段階以上のゲインを設定できるように構成してもよい。列アンプ223aによる増幅はアナログ領域での増幅のため、AD変換後の増幅とは異なり、階調性を低下させない。
【0043】
列アンプ223aで増幅されたN信号は、N−AD期間において、コンパレータ227aによって、ランプ信号発生器229から供給されるランプ信号と比較される。
ランプ信号は電圧が時間と共に線形に変化する信号であり、カウンタ230が初期値(ゼロとする)のときに初期電圧値を有するように同期が取られる。コンパレータ227aの出力は、ランプ信号がN信号と同じ電圧になるとLレベルからHレベルに変化する。コンパレータ227aの出力がLレベルからHレベルに変化したタイミングにおけるカウンタ230の出力値を、N信号に対応するカウント値としてメモリ228aに記憶する。
【0044】
列アンプ223aで増幅されたS信号についても、S−AD期間において、ランプ信号発生器229から与えられるランプ信号と比較され、S信号に対応するカウント値がメモリ228aに記憶される。
【0045】
メモリ228aでは、記憶された、S信号に対応するカウント値から、N信号に対応するカウント値を減じる演算を行う。演算によって得られる差分をS−N信号と呼ぶ。メモリ228a,228b,228c,...で得られるm行目のS−N信号は、水平走査回路231によって水平出力線241に列ごとに順次読み出される。水平出力線241に読み出されたS−N信号は、乗算回路244を通じて撮像素子120のデジタルセンサ出力VOUTとして出力される。
【0046】
S/H(S)に読み出されるS信号は、S/H(N)に読み出されるN信号と、PD203aで発生した信号電荷に基づく信号の加算信号である。従って、メモリ228aにおける減算処理は、相関2重サンプリング(CDS)に相当する。従って、撮像素子120からは、FD204aのリセットノイズおよび画素SF206aの1/fノイズが除去されたデジタル出力VOUTが得られる。
【0047】
次に、セレクタ243、コンパレータ227、メモリ228、ランプ信号発生器229、乗算回路244、およびカウンタ230によって構成されるAD変換部1201の、フルスケールレンジのビット数と変換時間との関係について説明する。
【0048】
図4図2に示した構成を有するAD変換部1201を、一般的な制御方法で動作させる場合の、コンパレータ227aに入力される信号(ランプ信号および列アンプ223aの出力信号)の電圧値とカウンタ230の出力値との関係を示している。
【0049】
ここでは、フルスケールレンジの階調ビット数を3通り設定できるものとする。具体的には、動作モード1の場合には10ビット(2^10=1024階調)、動作モード2の場合には11ビット(2^11=2048階調)、動作モード3の場合には12ビット(2^12=4096階調)である。
【0050】
ランプ信号のフルレベルVFが動作モードに依存しない一定値とするため、ランプ信号の傾き(ランプ信号の時間−電圧変化を表す一次関数の傾き)を、動作モードに応じて変更する。そのため、列アンプ223aの出力信号レベルVSについて、ランプ信号と画素信号との大小関係が変化し、コンパレータ227aの出力がLレベルからHレベルに転ずるのに要する時間は動作モードごとに異なる。具体的には、AD変換の分解能が高い(フルスケールの階調ビット数が大きい)ほど長くなる。
【0051】
ある信号レベルのAD変換に要する時間は、ランプ信号と画素信号との大小関係が変化し、コンパレータ227aの出力レベルが変化するまでのカウント数によって決定される。従って、1カウント期間が10[ns]の場合、動作モード1でカウント数Mに対応する信号レベルのAD変換に要する時間は10M[ns]である。しかし、同じ信号レベルのAD変換について、動作モード2では20M[ns]、動作モード3では40M[ns]の時間を要する。
【0052】
そして、信号レベルが高いほどAD変換に要する時間は増加するため、信号レベルがフルレベルVFのときに要する時間が最大となる。図4の例では、フルレベルVFの信号のADに要する時間は、1カウント期間が10[ns]の場合、動作モード1では1024*10nsで約10[μs]、同様に動作モード2では約20[μs]、動作モード3では約40[μs]となる。
【0053】
このように、図4の動作方法では、ランプ型のAD変換部1201がAD変換に要する時間は、変換する信号レベルに比例して長くなり、さらに、フルスケールレンジの階調ビット数が1ビット増すごとに2倍になる。
【0054】
上述したように、変換する信号レベルに応じてランプ信号の傾きを異ならせることでランプ型AD変換器のAD変換時間を高速化することができる。このようなランプ型AD変換器をデュアルスロープAD変換器(以後、デュアルスロープADC)と呼ぶ。
【0055】
図5は、図2に示した撮像素子120のAD変換部1201をデュアルスロープADCとして機能的に記載したブロック図である。図6及び図7は、図5に示すデュアルスロープADCの動作の具体例を示す図である。
【0056】
画素信号501は、図2における画素209の出力信号であり、所定の閾値と大小の判定を行う判定回路213に入力される。
画素信号501はまた、暗部処理回路502、明部処理回路503にそれぞれに入力されてAD変換処理される。
暗部処理回路502、明部処理回路503それぞれの処理出力は、データセレクタ510に入力されて、判定回路213の判定出力に基づいて画素信号ごとに振り分けられる。
暗部処理回路502は、アナログゲイン504(1倍)、ADC505、デジタルゲイン506(1倍)とから成り、明部処理回路503は、アナログゲイン507(1/4倍)、ADC508、デジタルゲイン509(4倍)とからなる。
【0057】
図5の構成は、暗部(低レベルの画素信号)と明部(高レベルの画素信号)とに対するAD変換部1201の処理の差異を分かりやすくするために模式的に示したものである。判定回路213により、画素信号レベルが閾値以上と判定された場合のAD変換部1201の動作が明部処理回路503に、画素信号レベルが閾値未満と判定された場合のAD変換部1201の動作が暗部処理回路502に相当する。
【0058】
実際には、アナログゲイン504と507はランプ信号発生器229とセレクタ243との組み合わせによってコンパレータ227に供給されるランプ信号に相当する。また、ADC505および508は、コンパレータ227、カウンタ230およびメモリ228に相当する。さらに、デジタルゲイン506および509は、乗算回路244に相当する。データセレクタ510は判定回路213による判定結果によってセレクタ243aや乗算回路244の動作が切り替わることを模式的に表している。
【0059】
次に、図6を用いて、ランプ信号の傾きを変更することがAD変換動作に与える影響に関して説明する。図6において、横軸はカウンタ230の出力値を、縦軸はコンパレータ227aに入力されるランプ信号および画素信号(列アンプ223の出力)の電圧レベルを示している。
【0060】
所定の閾値Gは、通常時には、画素信号のフルスケールレンジの4分の1の値に設定されている。従って、判定回路213は、0からフルスケールレンジの4分の1までのレベルを有する画素信号を暗部領域の信号、フルスケールレンジの4分の1を超えるレベルの画素信号を明部領域の信号と判定する。
【0061】
図6の例では、傾きの異なる2種類のランプ信号を用いることで、フルスケールレンジを1024階調に変換する10ビットモードと、4096階調に変換する12ビットモードとが実現できるデュアルスロープADCの動作を示している。10ビットモードで用いるランプ信号601の傾きは、12ビットモードで用いるランプ信号602の傾きの4倍である。これは、同一画素信号のレベルを表すカウント値が、10ビットモードでは12ビットモードの1/4になることを意味する。このことを図5では、画素信号に適用されるアナログ信号ゲイン507がアナログゲイン504の1/4であることによって示している。
【0062】
ここで、暗部領域の信号は12ビットモード、明部領域の信号では10ビットモードで変換するように、画素信号のレベルに応じてランプ信号の傾きを切り替える構成を考える。この場合、フルスケールレベルの画素信号も、閾値Gのレベルの画素信号も、カウント数1024に相当する時間でAD変換が完了する。つまり、画素信号のレベルによらず、最長でもカウント数1024に相当する時間内にAD変換処理を収めることが可能になる。この場合、AD変換に要する最大時間は、12ビットモード固定とした場合に要する最大時間(カウント数4096に相当する時間)の4分の1になる。
【0063】
図7に、図6で説明したようなランプ信号の動的な切り替えを行うデュアルスロープADCの入出力特性およびガンマ変換特性(ガンマ曲線)の例を示している。横軸は画素信号レベルであり、左の縦軸はADC出力値、右縦軸はガンマ変換出力値を示している。
【0064】
デュアルスロープADCにおいて、暗部領域の信号は12ビットモードで0〜1023の値(区間701)に変換される。一方、明部領域の信号はまず10ビットモードで256〜1024の値(区間702)にAD変換され、その後、12ビットモードにおける1024〜4096の値(区間702’)に変換するために、乗算回路244で4倍される。これにより、画素信号レベルの全区間について12ビットモードでAD変換したような線形なADC入出力特性が実現される。しかしながら、ランプ信号の傾きの違いを補償するための、区間702の値を区間702’の値に変換する演算(図5のデジタルゲイン509に相当)はAD変換後に行われる。そのため、明部領域の信号は暗部領域の信号に対して階調精度が1/4に低下し、デジタルノイズは4倍に増加する。なお、上述したように、図5のデジタルゲイン509は、乗算回路244で実現してもよいし、メモリ228aからの読み出し時に2ビット左シフトすることで実現してもよい。
【0065】
ADC出力は画像処理部130におけるガンマ補正処理により8ビットの範囲(0−255)に変換される。このとき用いられる変換特性(ガンマ曲線)は高レベルの階調を低レベルの階調より大きく圧縮する非線形な特性を有する。そのため、ランプ信号の傾きの違いを補償するためのデジタルゲインの適用によって増加した明部領域のデジタルノイズのレベルは、実質的に問題にならないレベル(DA変換部のILSB(最小有効ビット)以下)に圧縮される。
【0066】
しかしながら、ガンマ補正処理で階調圧縮されても、デジタルノイズがAD変換部の1LSBを超えてしまう場合がある。例えば、ランプ信号の傾きの違いを補償するためのデジタルゲイン(便宜上、ADゲインと呼ぶ)とは別に、撮影感度を高めるためのデジタルゲイン(便宜上、増感ゲインと呼ぶ)が適用される場合である。この場合、ADゲインに加えて増感ゲインが適用されることでデジタルノイズがさらに増加するため、デジタルノイズがガンマ補正処理後もDA変換部の1LSBを超えることがある。このように1LSBを超えるデジタルノイズは、視認可能な擬似輪郭や固定パターンノイズの形で明部領域の画質を劣化させる。
【0067】
本願発明者が検討した結果、この問題は、明暗判定に用いる閾値Gの値が固定値であることによるものであり、閾値Gを可変とすることにより、この問題を軽減することが可能であることが判明した。例えば、第1の値より大きな第2の値の増感ゲインが適用される場合は、第1の値(0を含む)増感ゲインが適用される場合よりも閾値Gの値を高くし、明部領域と判定される領域を狭くすることで問題を軽減できることを見出した。以下、具体的に説明する。
【0068】
図8は、本実施形態に係るデジタルカメラ100の撮影動作の概要を示すフローチャートである。図8に示す動作は、例えば操作部190に含まれるシャッターボタンが全押しされたり、動画記録ボタンが押下されるなど、本撮影(記録用の撮影)の開始指示が入力された際に実行される。
【0069】
撮影開始指示が検出されると、システム制御部180は、絞り、シャッタースピード、撮影感度など、各種の撮影条件を例えば公知の自動露出制御動作に基づいて設定する(S801)。
システム制御部180は次に、撮影感度に関する設定を確認する(S802)。そして、システム制御部180は、増感ゲインが適用される領域(増感領域)の感度が設定されている場合にはS804へ、増感ゲインが適用されない領域(通常領域)の感度が設定されている場合にはS803へ、処理を進める。
【0070】
S803でシステム制御部180は、AD変換部1201の判定回路213で用いる閾値Gとして、予め定められた通常値を設定し、処理をS805に進める。
また、S804でシステム制御部180は、AD変換部1201の判定回路213で用いる閾値Gとして、補正値を設定し、処理をS805に進める。補正値は、通常値より大きい、予め定められた値である。閾値Gは、システム制御部180から、駆動部121を通じて撮像素子120内の判定回路213のそれぞれに、あるいは、判定回路213が参照する共通のメモリに設定する。
【0071】
ここで、通常時の値は、図6図7で説明したような、画素信号のフルスケールの1/4の値に対応する値であってよい。また、補正値を通常値よりどの程度大きな値にするかは、増感ゲインの大きさ、画像処理部130で用いるガンマ補正の特性(ガンマ曲線)、AD変換部1201で適用されるADゲインなど、複数のパラメータに応じて変化する。そのため、これらのパラメータに影響する設定値(例えば撮影モードなど)と、撮影感度との組み合わせに応じた適切な補正値を、例えば予め実験的に定め、例えばROM181に記憶しておくことができる。AD変換に要する時間を短縮しつつ画質劣化を抑制するという観点からは、ガンマ補正後にトーンジャンプや1LSBを超えるノイズが発生しない範囲で、通常値に近い値を補正値として決定することができる。システム制御部180は、S804において、撮影に用いる設定値の組み合わせに対応した補正値をROM181から取得し、閾値Gとして設定することができる。
【0072】
S805でシステム制御部180は、1フレームの撮影動作を実行する。ここでは動画1フレーム分の撮影とするが、静止画撮影であってもよい。ここでシステム制御部180は、撮影レンズ110を制御して撮像素子120を露光し、撮像素子120からデジタル画素信号(画像データ)を読み出して画像処理部130に供給する。画像処理部130では画像データに対してガンマ補正処理やホワイトバランス調整処理、色補間処理などの画像処理を実行する。
【0073】
S806でシステム制御部180は、画像データを必要に応じてコーデック部160で符号化した後、所定の画像データファイルの形式でメモリカード170に記録する。また、画像処理部130では表示用の画像データを生成し、表示部150に出力する。表示部150では画像データを表示デバイスに適した信号に変換し、表示する。
【0074】
S807でシステム制御部180は、撮影終了の指示が入力されたか確認し、撮影終了の指示が入力された場合には処理を終了し、撮影終了の指示が入力されていなければ処理をS801に戻し、次のフレームに対する処理を継続する。なお、静止画撮影の場合、S807でシステム制御部180は連写撮影かどうか判定し、連写撮影と判定されれば処理をS801に戻し、判定されなければ処理を終了させればよい。
【0075】
次に、本実施形態で行う、明暗判定用の閾値設定とその効果について、図9を用いて説明する。
図9図7と同様に、画素信号レベル、AD変換部出力、およびガンマ変換出力の関係を示した図である。図9(a)は通常感度領域での撮影時、図9(b)は増感領域での撮影時(閾値に通常値を設定)、図9(c)は増感領域での撮影時(閾値に補正値を設定)をそれぞれ示している。
【0076】
図9(a)に示す通常感度領域での撮影時には、画素信号のフルスケールの1/4に対応する値が明暗判定の閾値として用いられ、明部領域の画素信号については傾きを4倍としたランプ信号を用いてAD変換する。この結果、明部領域に対応する区間902については10ビット、暗部領域に対応する区間901については12ビットの分解能でAD変換される。増感ゲインは適用されないため、ガンマ補正処理前の分解能はAD変換時と変化がない。
【0077】
一方、図9(a)の状態で2倍の増感ゲインが適用された場合を図9(b)に示す。増感ゲインは明部領域および暗部領域のいずれにも適用されるため、AD変換の分解能は暗部領域に対応する区間901’で11ビットに、明部領域に対応する区間902’で9ビットに低下し、かつ全領域においてデジタルノイズのレベルが2倍になる。増感ゲインの適用により、区間902’はガンマ変換特性(ガンマ曲線)における階調の圧縮率が高い(ガンマ曲線の傾斜の小さい)領域を外れてくる。その結果、デジタルノイズの大きさがAD変換部1201の1LSBを超える場合が発生し、画質劣化として視認されるようになる。
【0078】
本実施形態では、明暗判定に用いる閾値を、通常値より大きな補正値に変更する。そのため、図9(c)に示すように、ADゲインと増感ゲインの両方が適用される区間912’を図9(b)の区間902’よりもADC出力値の高い範囲に狭めることができる。これにより、ADゲインと増感ゲインの両方が適用される区間912’を、ガンマ変換特性における階調圧縮率の高い領域に収める(狭める)ことが可能になる。そのため、増感ゲインが適用される場合であっても、明暗判定において明部領域と判定される画素レベルを有する画像領域における画質劣化を抑制することができる。
【0079】
以上説明したように本実施形態によれば、閾値に対する画素信号レベルの大きさに応じて、時間あたりの電圧の変化率(傾き)の異なるランプ信号を切り替えてAD変換する機能を有する撮像素子において、閾値を可変とした。特に、予め定められた感度以上の撮影感度が設定されている場合には、予め定められた感度以上の撮影感度が設定されていない場合よりも、閾値を大きくするようにした。これにより、AD変換結果にデジタルゲインを適用(例えば乗算)することによって生じうる、階調の欠落(トーンジャンプ)や擬似輪郭の発生などの画質劣化を抑制することができる。
【0080】
●(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。デュアルスロープADCにおける明暗判定の閾値を動的に変更し、AD変換後の画像に生じうる画質劣化を抑制するという基本構成は第1実施形態と共通であるが、閾値を変更する条件が異なる。
【0081】
第1実施形態では、AD変換結果をデジタル的に大きくするデジタルゲインが、撮影感度を増加させるために適用される例を説明した。しかし、デジタルゲインは、他の原因によっても生じうる。例えばダイナミックレンジ(Dレンジ)を拡大した画像(HDR(High Dynamic Range)画像)を得る場合である。HDR画像は、例えば、同一シーンを異なる露出条件で撮影して得られた複数の画像を合成するHDR合成処理によって得ることができる。
【0082】
図10は、HDR合成に用いる、露出の異なる3枚の画像を順次撮影する場合の撮像素子120の読み出しタイミングを模式的に示すタイミングチャートである。なお、図10では、HDR合成用の読み出しタイミングについて説明するため、図3に示したタイミングチャートより簡略化している。
【0083】
ここでは、適正露出未満の撮影条件(露出アンダー)で撮影した画像(低露出画像)、適正露出の撮影条件で撮影した画像(適正露出画像)、適正露出を超える撮影条件(露出オーバー)で撮影した画像(高露出画像)を順次撮影するものとする。なお、ここでいう「適正露出」とは、HDR画像の生成に用いる複数の画像の撮影条件のうちの基準露出であり、例えばデジタルカメラ100の自動露出制御が「適正」と判断する露出と同じであっても、異なっていてもよい。また、説明及び理解を容易にするため、それぞれの撮影条件は露出時間のみが異なるものとする。従って、以下の説明において短露光期間TSは露出アンダー、中露光期間TMは適正露出、長露光期間TLは露出オーバーの撮影条件にそれぞれ対応する。
【0084】
フレーム期間は垂直同期信号によって区分される。垂直同期信号は駆動部121もしくはシステム制御部180によって生成される。最初のフレーム期間に、短露光期間TSで露光された低露出画像の読出しが行われる。
【0085】
PTX信号およびPRES信号がHレベルとなる区間にPD203およびFD204がリセットされ、Lレベルに戻ると露光期間(電荷蓄積)が開始する。PTX信号が次にHレベルになると、露光期間が終了し、PD203からFD204への電荷転送やFD204の電位読み出しが行われる。最終行まで順次リセット、電荷蓄積、転送、読み出しが行われると、1フレーム分の画像が得られる。図10では短露光間TS、中露光期間TM、長露光間TLの順で露光期間を制御し、低露出画像、適正露出画像、高露出画像を取得することを模式的に示している。
【0086】
このように、HDR画像を生成するための撮影を行う場合、低露出画像を得るためのフレーム期間、適正露出画像を得るためのフレーム期間、高露出画像を得るためのフレーム期間が1セットとしてタイミング制御が行われる。
【0087】
図11は、低露出画像、適正露出画像、高露出画像それぞれの露出条件と画素信号の入出力レンジの関係についての一例を示している。
図11(a)は低露出画像、(b)は適正露出画像、(c)は高露出画像、(d)はHDR画像における入出力特性を示している。
【0088】
低露出画像は、適正露出より2段アンダー(光量1/4)の露出条件で撮影され、AD変換されたのち、画像処理部130における2段分のゲインアップ処理(デジタルゲインの適用)により、適正露出相当のレベルに補正される。つまり、光量−AD変換出力の特性が、ゲインアップ処理により点線から実線に変換される。低露出画像のうち網掛け部分の範囲(L)に該当する入力光量に対応する画素信号がHDR画像の合成に用いられるとすると、この範囲のうち光量の低い部分について、ゲインアップ処理による画質劣化が生じやすい。この部分が、ガンマ曲線による階調圧縮率が低くなる部分になりやすいからである。
【0089】
一方、適正露出画像は、画像処理部130によるデジタルゲインの適用を受けない。適正露出画像からは、網掛け部分(M)の範囲に該当する入力光量に対応する画素信号がHDR画像の合成に用いられる。
【0090】
高露出画像は、適正より2段オーバー(光量4倍)の露出条件で撮影され、AD変換されたのち、画像処理部130における2段分のゲインダウン処理(デジタルゲインの適用)により、適正露出相当のレベルに補正される。つまり、光量−AD変換出力の特性が、ゲインダウン処理により点線から実線に変換される。高露出画像からは、撮影時に飽和していない範囲(H)に該当する入力光量に対応する画素信号がHDR画像の合成に用いられる。
【0091】
画像処理部130は、図11(d)に示すように、低露出画像、適正露出画像、高露出画像から、特定の入力光量レンジに対応する画素信号部分(L,M,H)を抽出して合成することにより、HDR画像を生成する。また、画像処理部130は、生成したHDR画像に対してガンマ補正処理を実行する。
【0092】
図11(e)〜(h)は、図11(a)〜(c)に示した各画像のAD変換に用いる明暗判定閾値の例と、AD変換の分解能とを示している。ここでも、明部領域の画素信号については10ビットモード、暗部領域の画素信号については12ビットモードでAD変換するものとする。
【0093】
低露出画像は画像処理部130でのゲインアップ処理により、AD変換の分解能が1/4となり、デジタルノイズレベルが4倍となる。本実施形態では、低露出画像のAD変換に用いる明暗判定用の閾値を、通常値より大きく、かつHDR画像の合成に用いる画素信号レベルの範囲内に設定する。図11の例では画素信号レベルの範囲の3/4のレベルに設定している。ただし、画像処理部130で露出補償のために適用するデジタルゲインの大きさや、ガンマ特性などに応じて適切な閾値は変化するため、予め例えば実験を通じて適切な閾値を撮影条件に関連づけて決定しておく。例えば、HDRモードにおける適正露出と低露出(高露出)との差を含む、いくつかのパラメータ値の組み合わせごとに閾値を決定しくことができる。ここでも、ガンマ補正後にトーンジャンプや1LSBを超えるノイズが発生しない範囲で、通常値に近い値を補正値として決定することができる。
【0094】
適正露出画像については、画像処理部130でデジタルゲインが適用されないため、閾値を通常値としてもよい。しかし、適正露出画像では通常値以下の画素信号領域を用いないため、本実施形態では閾値を通常値より低くして、通常値以下の画素信号領域のAD変換に要する時間を短縮している。図11(f)では一例として、閾値を0として全範囲を10ビットモードでAD変換するようにしている。
【0095】
また、高露出画像については、飽和画素が多いこと、HDR画像に用いる画素信号レベルが低輝度領域であることから、通常値を用いる。飽和画素については10ビットモードで高速に処理され、HDR画像に用いる低輝度領域の画素についてはもともとAD変換に要する時間が短いので、分解能を重視して12ビットモードでAD変換されるようにしている。
【0096】
図12は、本実施形態に係るデジタルカメラ100の撮影動作の概要を示すフローチャートである。図12に示す動作は、例えばHDRモードで操作部190に含まれるシャッターボタンが全押しされるなど、本撮影(記録用の撮影)の開始指示が入力された際に実行される。HDRモードでは、低露出画像と高露出画像の撮影を、適正露出とどの程度異なる露出で行うかが設定されている。
【0097】
S1201でシステム制御部180は、既定の露出条件で1フレームの撮影を行い、撮影画像をメモリ部140に保存する。なお、撮影開始指示が入力される直前に撮影したライブビュー表示用の画像が利用できる場合、ここでの撮影は行わなくてもよい。
【0098】
S1202でシステム制御部180は、メモリ部140に保存された撮影画像を用いて例えば公知の自動露出処理を実行し、適正露出条件を決定する。
【0099】
S1203でシステム制御部180は、低露出画像の露出条件を設定するとともに、AD変換部1201の明暗判定で用いる閾値Gを、低露出画像用の値に設定する。上述したように、低露出画像用の閾値は通常値よりも大きく、HDR画像に用いる画素信号範囲内の値であり、システム制御部180は予め決定かつ記憶された閾値の中から、現在の設定値の組み合わせに対応する閾値を取得することができる。
【0100】
S1204でシステム制御部180は、図10を用いて説明したように、低露出画像を取得する撮影動作を実行し、取得した低露出画像をAD変換して画像処理部130に供給する。また、システム制御部180は画像処理部130に撮影時の露出低減量に相当するゲインアップ処理を行うように設定する。画像処理部130は低露出画像データにゲインアップ処理を適用した後、ガンマ補正処理やホワイトバランス調整処理、色補間処理などの画像処理を実行し、メモリ部140に保存する。
【0101】
S1205でシステム制御部180は、適正露出画像の露出条件を設定するとともに、AD変換部1201の明暗判定で用いる閾値Gを、適正露出画像用の値に設定する。上述したように、適正露出画像用の閾値は通常値よりも小さい値であり、システム制御部180は予め決定かつ記憶された閾値の中から、現在の設定値の組み合わせに対応する閾値を取得することができる。なお、S1203で低露出画像用、適正露出画像用、高露出画像用の3つの閾値を取得しておいてもよい。
【0102】
S1206でシステム制御部180は、適正露出画像を取得する撮影動作を実行し、取得した適正露出画像をAD変換して画像処理部130に供給する。画像処理部130は適正露出画像データにデジタルゲインを適用せずに、ガンマ補正処理やホワイトバランス調整処理、色補間処理などの画像処理を実行し、メモリ部140に保存する。
【0103】
S1207でシステム制御部180は、高露出画像の露出条件を設定するとともに、AD変換部1201の明暗判定で用いる閾値Gを、高露出画像用の値に設定する。上述したように、高露出画像用の閾値は例えば通常値である。
【0104】
S1208でシステム制御部180は、高露出画像を取得する撮影動作を実行し、取得した高露出画像をAD変換して画像処理部130に供給する。画像処理部130は高露出画像データにゲインダウン処理を適用した後、ガンマ補正処理やホワイトバランス調整処理、色補間処理などの画像処理を実行し、メモリ部140に保存する。
【0105】
S1209で画像処理部130は、メモリ部140に保存した低露出画像データ、適正露出画像データ、高露出画像データからHDR画像データを生成する。画像処理部130は例えば、各画像を構成する画素データから、低露出画像、適正露出画像、高露出画像のそれぞれに予め定められた画素レベル範囲(L,M,H)に該当する画素データを抽出して合成することにより、HDR画像データを生成する。画像処理部130は生成したHDR画像をメモリ部140に保存する。この際、画像処理部130は合成に用いた画像のデータをメモリ部140から削除してもよい。
【0106】
S1210でシステム制御部180は、HDR画像データを必要に応じてコーデック部160で符号化した後、所定の画像データファイルの形式でメモリカード170に記録する。また、画像処理部130では表示用の画像データを生成し、表示部150に出力する。表示部150では画像データを表示デバイスに適した信号に変換し、表示する。
【0107】
なお、上述のHDR画像の生成を動画フレームに対して実行する場合には、第1実施形態と同様に撮影終了指示の入力有無に応じて次フレーム以降に処理を継続してもよい。処理を継続する場合、S1202における露出条件の決定は、例えばS1206で撮影した適正露出画像に基づいて実行することができる。
【0108】
以上説明したように、HDR画像を生成する際に撮影する低露出画像や高露出画像のAD変換時において、ランプ信号を切り替えるための閾値(明暗判定の閾値)を通常値から変更するようにしても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0109】
●(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。デュアルスロープADCにおける明暗判定の閾値を動的に変更し、AD変換後の画像に生じうる画質劣化を抑制するという基本構成は第1および第2実施形態と共通であるが、閾値を変更する条件が異なる。
【0110】
高輝度領域の白とびを抑制するDレンジ拡大(高輝度Dレンジ拡大)機能を有する撮像装置が知られている。この機能は、適正露出より低い露出で撮影して高輝度領域における白とびが抑制された画像を取得したのち、デジタルゲインを適用して適正露出相当の画像に補正することで実現される。基本的には、HDR画像の合成に用いる低露出画像に対する処理と同様である。
【0111】
図13は、本実施形態に係るデジタルカメラ100の撮影動作の概要を示すフローチャートである。図13に示す動作は、例えば操作部190に含まれるシャッターボタンが全押しされるなど、本撮影(記録用の撮影)の開始指示が入力された際に実行される。
【0112】
まずS1501でシステム制御部180は、絞り、シャッタースピード、感度などの撮影条件を設定する。ここで、高輝度Dレンジ拡大モードが設定されている場合、システム制御部180は適正露出より(例えば−1段)低い露出となる撮影条件を決定するとともに、+1段分のデジタルゲインを撮影画像に適用するように画像処理部130に設定する。
S1502でシステム制御部180は、撮影モードとして、高輝度Dレンジ拡大モードが設定されていればS1504に、設定されていなければS1503に、処理を進める。
【0113】
S1503でシステム制御部180は、AD変換部1201の判定回路213で用いる閾値Gとして、予め定められた通常値を設定し、処理をS1505に進める。
また、S1504でシステム制御部180は、AD変換部1201の判定回路213で用いる閾値Gとして、補正値を設定し、処理をS1505に進める。補正値は、通常値より大きい、予め定められた値である。閾値Gは、システム制御部180から、駆動部121を通じて撮像素子120内の判定回路213のそれぞれに、あるいは、判定回路213が参照する共通のメモリに設定する。
【0114】
ここで、通常時の値は、画素信号のフルスケールの1/4の値に対応する値であってよい。また、補正値を通常値よりどの程度大きな値にするかは、画像処理部130で適用するデジタルゲインの大きさ(または撮影時の露出低減量)、ガンマ補正の特性(ガンマ曲線)、AD変換部1201で適用されるADゲインなど、複数のパラメータに依存する。そのため、例えば高輝度Dレンジ拡大モードにおいて変化しうるパラメータについて、値の組み合わせに応じた適切な補正値を、例えば予め実験的に定め、例えばROM181に記憶しておくことができる。高輝度Dレンジ拡大モードにおいて用いられるパラメータ値が固定であれば、高輝度Dレンジ拡大モードに対応した1つの補正値を用意すればよい。AD変換に要する時間を短縮しつつ画質劣化を抑制するという観点からは、ガンマ補正後にトーンジャンプや1LSBを超えるノイズが発生しない範囲で、通常値に近い値を補正値として決定することができる。システム制御部180は、S1504において、現在のパラメータ値の組み合わせなどに基づいてROM181から補正値を取得し、閾値Gとして設定することができる。
【0115】
S1505でシステム制御部180は、1フレームの撮影動作を実行する。ここでは静止画1フレーム分の撮影とするが、動画撮影であってもよい。ここでシステム制御部180は、撮影レンズ110を制御して撮像素子120を露光し、撮像素子120からデジタル画素信号(画像データ)を読み出して画像処理部130に供給する。画像処理部130では画像データに対して必要に応じてデジタルゲインを適用した後、ガンマ補正処理やホワイトバランス調整処理、色補間処理などの画像処理を実行する。
【0116】
S1506でシステム制御部180は、画像データを必要に応じてコーデック部160で符号化した後、所定の画像データファイルの形式でメモリカード170に記録する。また、画像処理部130では表示用の画像データを生成し、表示部150に出力する。表示部150では画像データを表示デバイスに適した信号に変換し、表示する。
【0117】
S1507でシステム制御部180は、撮影を終了するかどうか確認し、例えばシャッターボタンが押下され続けている場合など、次のフレームの撮影の指示が入力されている場合には処理をS1501に戻し、次のフレームに対する処理を継続する。また、次のフレームの撮影の指示が入力されていない場合には撮影処理を終了する。なお、動画撮影の場合には、S1507でシステム制御部180は撮影終了の指示が入力されているかどうか判定し、入力されていると判定されれば処理をS1501に戻し、判定されなければ処理を終了させればよい。
【0118】
本実施形態のように、高輝度Dレンジ拡大モードが設定されている場合にも、ランプ信号を切り替えるための閾値(明暗判断の閾値)を通常値より大きな値に変更することで、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0119】
(その他の実施形態)
上述の実施形態ではランプ信号の電圧が線形増加する場合について説明したが、線形減少するランプ信号とダウンカウンタとの組み合わせを用いる構成であっても同様にして閾値を設定することができる。この場合、コンパレータ227はランプ信号の電圧が画素信号の電圧値を下回った場合に出力をLレベルからHレベルとする。
【0120】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0121】
120…撮像素子、121…駆動部、130…画像処理部、180…システム制御部、213…判定回路、227…コンパレータ、229…ランプ信号発生器、230…カウンタ、243…セレクタ、244…乗算回路
図1
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図13