(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1のキャンバスボードAの構成を説明する。
この実施の形態1のキャンバスボードAは、シート材10(
図6A参照)と、外枠部材20(
図1A、
図1B参照)と、嵌合枠部材30(
図2A、
図2B参照)と、脚部材40(
図3A〜
図3C参照)と、を備える。すなわち、このキャンバスボードAは、絵などの画像がプリントされたシート材10の描画面11(
図4B参照)を、室内などに飾ることを可能とするものである。
【0011】
(シート材)
まず、シート材10について説明する。
シート材10は、一般に「キャンバス」と称される綿や麻などを素材とする厚手の生地により形成され、
図6Aに示すように、本体部12、外周折返し片13a,13b,13c,13d、隙間折返し片14a,14bを備える。なお、
図6Aは、シート材10の裏面側を示している。また、シート材10の表面側は、本体部12の表側の描画面11のみならず各外周折返し片13a〜13d、各隙間折返し片14a,14bの表面側にも、描画面11から連続する画像がプリントされている。なお、以下、外周折返し片13a〜13dの説明にあたり、4枚の各折返し片13a〜13dの特定のものを指さずに総称する場合は、その符号として単に13と表記する。また、隙間折返し片14a,14bについても同様に、特定のものを指さずに総称する場合は、その符号として14と表記する。
【0012】
本体部12は、略正方形の矩形状に形成されている。
外周折返し片13a〜13dは、本体部12の四辺に連続して本体部12の外側に設けられており、その長手方向の寸法L1は、本体部12の各辺と同寸法に形成されている。また、各折返し片13には、複数の係合穴15が円形に開口されている。この係合穴15は、本実施の形態1では、1枚の外周折返し片13に、3個形成されているが、その数は、これに限定されるものではない。
【0013】
隙間折返し片14a,14bは、本体部12を挟んで対称に位置する一対の外周折返し片13b,13dの長手方向の両端に連続して形成されており、その幅寸法L2は、後述する外枠部材20の外壁23の高さ寸法L3(
図1A参照)と略同寸法に形成されている。
【0014】
図5は、シート材10の原材料となる原材料布Bの概略を示す平面図であり、この原材料布Bは、その縦横の寸法が、シート材10の縦横の寸法の整数倍に形成されている。そして、この原材料布Bの表面側に、図において点線で区切った領域毎に、所望の画像をプリントし、これを、図示を省略した裁断装置により裁断し、
図6Aに示す形状のシート材10を形成する。なお、
図5において点線により区画した略正方形の領域10aの部分で、1枚のシート材10が形成される。
【0015】
(ホルダ装置)
ホルダ装置C(
図4A参照)は、描画面11に引張力を与えた状態でシート材10の外周を固定し支持するものであり、樹脂製の外枠部材20と嵌合枠部材30とを備える。
【0016】
外枠部材20は、
図1A、
図1Bに示すように、左右の縦枠21a,21cと、上下の横枠21b,21dとにより、略正方形の矩形枠状に形成されている。すなわち、この外枠部材20の外周縁部と、シート材10の本体部12(描画面11)の外周縁部とが一致する形状に形成されている。
縦枠21a,21cおよび横枠21b,21dは、それぞれ、
図4Aに示すように、前面板22、外壁23、内壁24により、略U字断面形状に形成されている。よって、外枠部材20は、組立時に描画面11とは反対側となる裏面に、描画面11側に凹んだ形状の嵌合溝25が、全周に亘って形成されている。
【0017】
また、内壁24は、外壁23よりも高さが低く形成されており、これにより、前面板22は、外壁23に近付くほど高くなるテーパ状に形成されている。
なお、前面板22の表面側(
図4Aにおいて矢印F方向)は、外枠部材20によりシート材10を支持した際に、シート材10の裏面側に対向して配置される。
【0018】
また、嵌合溝25の底部であって、前面板22の裏面には、
図1Bに示すように、複数の補強用のリブ26が、各枠21の幅方向に立設されているとともに、周方向に所定の間隔で、係合部材27が突出されている(
図4A参照)。この係合部材27は、円筒状に形成され、その内周に嵌合用孔27aが形成されている。なお、係合部材27は、その軸心方向が、シート材10を張ったときの描画面11とは反対方向であって、両壁23,24と略平行となるように形成されている。
【0019】
また、係合部材27は、左右の縦枠21a,21cと、下側の横枠21dには、それぞれ、3箇所に形成されており、上側の横枠21bでは、長手方向の中央位置の係合部材27は、後述する係止用穴231に差し込んだピンなどとの干渉を避けるために、突出高さを低く形成している。
【0020】
嵌合枠部材30は、外枠部材20と同様に、
図2A、
図2Bに示すように、左右の縦枠31a,31cと、上下の横枠31b,31dとにより、略正方形の矩形枠状に形成されている。また、
図4Aに示すように、嵌合枠部材30は、背面板32、外壁33、内壁34により、略U字断面形状に形成され、かつ、外枠部材20の嵌合溝25の内側に嵌り合う外形寸法に形成されている。なお、後述するように、嵌合枠部材30の外壁33と外枠部材20の外壁23との間で、シート材10の外周折返し片13を挟んで支持する。ここで、図ではこの外周折返し片13を挟み込む分の寸法を表示していないが、この寸法を確保しなくても、両外壁23,33が弾性変形することにより挟持可能である。また、シート部材10の厚さによっては、両外壁23,33の間に、ある程度の寸法を確保するようにしてもよい。
【0021】
そして、
図2Bに示すように、嵌合枠部材30の各枠31の背面板32の裏側には、前述した外枠部材20の嵌合溝25の底部に形成された係合部材27の嵌合用孔27aに嵌合する嵌合ピン(結合部材)37が立設されている。したがって、
図4Aに示すように、外枠部材20の嵌合溝25に、嵌合枠部材30を嵌め合わせた際に、両外壁23,33どうし両内壁24,34どうしを平行移動させるのに伴って嵌合ピン37が、係合部材27の嵌合用孔27aに嵌り合って、両枠部材20,30が強固に結合して固定される。なお、嵌合ピン37は、各係合部材27に対応して設けられているが、上側の横枠31bの長手方向中央には、低い高さに形成した係合部材27に対向する位置に、後述する係止用穴231を設けるため、嵌合ピン37は設けていない。
【0022】
また、
図2Bに示すように、嵌合枠部材30の上下の横枠31b,31dの背面板32の裏面側には、複数の補強用のリブ36が立設されている。
【0023】
さらに、左右の縦枠31a,31cには、背面板32の一部を裏面側に凹状に形成して脚部材40の保持用の保持溝38が形成されている。この保持溝38は、保持用凹部38aと操作用凹部38bとを備える(
図2A参照)。
保持用凹部38aは、後述する脚部材40の本体41と嵌合して保持するリブ構造を備える。
操作用凹部38bは、脚部材40を取り外す操作を行うためのもので、保持用凹部38aよりも横方向および深さ方向に大きく形成されている。したがって、脚部材40を操作用凹部38bに押込むことで、脚部材40を保持用凹部38aから取り外すことができる。
【0024】
また、嵌合枠部材30の各コーナ部には、脚部材40を差し込んで固定するための、脚挿入用穴39が開口されている。この脚挿入用穴39は、
図2Aに示すように、中央の円形の本体穴39aと、この本体穴39aから十字状に延びる係合穴39bと、を備える。
【0025】
加えて、嵌合枠部材30の左右の縦枠31a,31cには、吊り下げ用の紐50を挿通可能な、係合ブラケット35が一体に形成されている。この係合ブラケット35は、略半円状に形成され、中央に紐挿通用の穴35aが開口されている。また、この係合ブラケット35は、嵌合枠部材30を外枠部材20に嵌め合わせた際に、外枠部材20の内壁24との間に隙間を形成可能に、嵌合枠部材30の内壁34および背面板32を切欠いて、嵌合枠部材30の内周から外側の位置に配置されている。
【0026】
さらに、嵌合枠部材30には、
図2A、
図2Bに示すように、上側の横枠31bの長手方向の中央位置に、釘、ピンなどに引っ掛けるための係止用穴231が開口されている。この係止用穴231は、上側の小径の穴と下側の大径の穴とが連続した形状に形成されている。また、横枠21bの裏面側には、係止用穴231の周囲に補強用のリブ231aが立設されている。
【0027】
(脚部材)
次に、脚部材40について説明する。
脚部材40は、外枠部材20および嵌合枠部材30と同様に、樹脂製のもので、
図3A、
図3B、
図3Cに示すように、本体41と係合片42とストッパ部43とを備える。
本体41は、円柱棒状に形成されている。
係合片42は、本体41の基端部において周方向の4箇所から外径方向に突出した板状に形成されている。
ストッパ部43は、係合片42の長手方向の中間位置において、本体41の外径方向に環状に形成されている。
【0028】
したがって、脚部材40を使用する場合、その基端部を嵌合枠部材30の脚挿入用穴39に差し込んで使用する。その際、本体41を本体穴39aに差し込むとともに、係合片42を十字の係合穴39bに差し込む。そして、この脚部材40の差し込みは、ストッパ部43が本体穴39aに当接し、両者がきつく嵌合することで規制され、その差し込み状態が高強度で維持される。これにより、脚部材40は、嵌合枠部材30に対して、長手方向の相対移動がストッパ部43と本体穴39aとの嵌り合いにより規制されるとともに、円周方向相対移動が、係合片42と係合穴39bとの係合により規制される。
【0029】
(実施の形態1の作用)
次に、実施の形態1の作用としてキャンバスボードの組み立て手順を、順を追って説明する。
(シート材切断工程)
まず、
図5に示すシート材10の原材料布Bの表面に、予め所定の画像をプリントする。この画像の大きさは、
図5において点線により区画された領域10a毎に行う。なお、この領域10aの布材を使用して、1枚のシート材10を形成する。そして、本実施の形態1では、この画像は、シート材10の本体部12の描画面11となる領域のみならず、各外周折返し片13および隙間折返し片14a,14bとなる領域にも連続的にプリントする。
【0030】
次に、原材料布Bを切断し、
図6Aに示すシート材10を形成する。この切断は、裁断機を使用して複数同時に行うことが可能であるとともに、この切断時に、同時にシート材10の各外周折返し片13に、係合穴15を開口することができる。
また、この切断時に、本体部12の外周と各外周折返し片13との境界の位置および左右の外周折返し片13a,13cと隙間折返し片14aとの境界部分に、折り返しを容易とするために折り目を付ける加工を行うとより好ましい。
【0031】
(外枠部材位置決め工程)
次に、
図6Bに示すように、シート材10の裏面側に、外枠部材20を配置する。この際、外枠部材20の外周縁の位置を、シート材10の本体部12の外周縁の位置に一致するよう位置決めを行う。
【0032】
次に、各外周折返し片13を外枠部材20の各枠21a〜21dに重なるように折り返す。この時、まず、
図6Cに示すように、隙間折返し片14a,14bを有した上下の外周折返し片13b,13dを、横枠21b,21dに重ねるとともに、各係合部材27を係合穴15に挿通させる。さらに、図示のように、隙間折返し片14a,14bを、外枠部材20の縦枠21a、21cの外壁23に沿わせるよう折り曲げる。
【0033】
その後、
図6Dに示すように、左右の外周折返し片13a,13cを、外枠部材20の縦枠21a,21cに重ね、かつ、係合穴15に係合部材27を挿通する。
【0034】
(嵌合枠部材設置工程)
次に、
図6Eに示すように、嵌合枠部材30を、シート材10の各外周折返し片13の上から外枠部材20の嵌合溝25に嵌め合わせる。この時、嵌合枠部材30に立設された各嵌合ピン37(
図2B参照)を、外枠部材20の係合部材27の嵌合用孔27aに嵌合させ、外枠部材20と嵌合枠部材30とを一体的に結合し固定する。
【0035】
この外枠部材20と嵌合枠部材30との嵌合時に、シート材10の各外周折返し片13は、嵌合枠部材30の外壁33により外枠部材20の前面板22に向けて押さえ付けられることにより、シート材10の本体部12が全周に亘って所定の引張力で外周方向に引っ張られる。これにより、シート材10の本体部12は、ピンと張って皺の無い平面状態となるとともに、両外壁23,33どうしの弾性変形による復元力でシート材10を挟持し、この引張状態が維持され、キャンバスボードAとして完成する。なお、外周折返し片13の寸法および係合穴15の位置は、予め外枠部材20と嵌合枠部材30との嵌合時に、適切な引張力が作用するように設定しておく。
【0036】
また、外枠部材20の前面板22には、テーパが与えられ、その外周の角部がシート材10の本体部12の外周に接触するため、本体部12は、外周部に線接触状態となり、画像がプリントされた描画面11に凹凸が生じることなく、平らな面とすることができる。
【0037】
すなわち、前面板22にテーパが与えられていない場合、前面板22に微小な凹凸が生じていたり、微小に傾斜が生じていたりした場合、前面板22と本体部12との接触位置が不安定となり、その接触部分が、前方(
図4Aの矢印F方向)に突出することとなり、本体部12の描画面11に皺や凹凸が生じるおそれがある。それに対し、本実施の形態1では、前面板22の外周縁部が確実にシート材10に接触するため、上記のように皺や凹凸の無い均一平面とすることができる。
【0038】
以上のように、外枠部材20に対して嵌合枠部材30嵌め合わせる一回の作業で、全ての嵌合ピン37と係合部材27とを嵌合させ、かつ、シート材10の描画面11(本体部12)に所定の引張力を与えて平面化した状態とすることができる。
【0039】
したがって、従来のように、シート材10を1箇所ずつ引っ張って釘を打ち付けてシート材10を引張状態として固定する作業や、特許文献1のように、1箇所ずつ、止め具をシート材10に隠れた止め具用溝に突き刺す作業を行うものと比較して、短時間に行うことができる。よって、手作業で合っても、キャンバスボードAの大量生産が可能となる。
【0040】
さらに、シート材10は、隙間折返し片14a,14bを有することにより、仮に、左右の外周折返し片13a,13cと上下の外周折返し片13b,13dとの間で周方向に隙間が生じたとしても、この隙間に、隙間折返し片14a,14bが配置され、外枠部材20の外壁23が、露出することが無く、ディスプレイ品質に優れる。
また、シート材10にプリントされた画像は、本体部12から各外周折返し片13に連続して設けられ、かつ、各外周折返し片13の外周端縁が嵌合枠部材30により覆い隠されるため、キャンバスボードAの端縁部の外観品質に優れる。したがって、キャンバスボードAの側面を額縁などにより覆う必要はない。
【0041】
(ディスプレイ時)
以上のようにして作成されたキャンバスボードAは、シート材10の描画面11にプリントされた画像を、インテリアなどとして飾ることができる。
このディスプレイの仕方としては、キャンバスボードAを、起立状態でディスプレイすることができるとともに、壁などにかけてディスプレイすることができる。
【0042】
まず、脚部材40を用いたディスプレイを説明する。
この場合、
図3B、
図3Cに示す脚部材40の基端部(図において上端部)を、嵌合枠部材30に形成された脚挿入用穴39に挿入し、
図4Aに示すように、嵌合枠部材30に対して起立した状態で固定する。すなわち、前述したように、脚部材40の本体41を、ストッパ部43が嵌合状態となるまで本体穴39aに差し込むとともに、十字状の4箇所の係合片42を、それぞれ係合穴39bに差し込む。
【0043】
この状態で、
図4Bに示すように、キャンバスボードAを、机、棚などの支持面Eに起立させるとともに、脚部材40の先端部を支持面Eに当接させることで、描画面11を斜め上向きとした起立状態を維持して、ディスプレイすることができる。
【0044】
次に、キャンバスボードAを、壁などに掛けてディスプレイする場合について説明する。
この場合、2通りの方法がある。
第1のディスプレイ方法は、係合ブラケット35を用いる方法である。
すなわち、
図6Eに二点鎖線により示すように、紐50を、係合ブラケット35の穴35aに挿通し、結びつけたり抜け止めを設けたりする。そして、この紐50を、図示を省略した壁などに設けたピンなどに引っ掛けて、このキャンバスボードAを、壁にディスプレイすることができる。
【0045】
第2のディスプレイ方法は、係止用穴231を用いる方法である。
すなわち、壁などに打ちつけた釘、ピンなどに係止用穴231を引っ掛けることで、キャンバスボードを、壁などに掛けて飾ることができる。
【0046】
(並べて飾る場合)
次に、キャンバスボードAを並べて飾る場合を説明する。
前述のように、シート材10の描画面11には、画像がプリントされている。この描画面11の画像は、複数のキャンバスボードAのそれぞれで共通の画像としてもよいが、複数のキャンバスボードAを並列に並べたときに繋がるように、それぞれ異なる画像とすることもできる。
【0047】
すなわち、本実施の形態1では、キャンバスボードAは、描画面11(本体部12)の周囲に、額縁のように画像と外部とを遮断する部分を有していない。そのため、キャンバスボードAを横方向、縦方向あるいは両方向に並べて、複数の描画面11を連続させて配置することができる。したがって、複数並べた描画面11の画像に連続性を持たせ、複数の描画面11により一体となる画像をディスプレイすることも可能である。
【0048】
この場合、キャンバスボードAを、
図4Bに示すように、起立させた状態で横に並べてもよいが、図示は、省略するが、ホルダ装置Cどうしを連結する連結部材を用い、縦横の両方あるいはいずれか一方に、連結して複数のキャンバスボードAを一体的に結合可能としてもよい。
【0049】
(実施の形態1の効果)
以下に、実施の形態1のキャンバスボードAの効果を列挙する。
1)実施の形態1のキャンバスボードAは、
表面側を描画面11とするシート材10と、
描画面11の外周の裏面外周に沿う枠状に形成された外枠部材20と、
を備え、シート材10の外周縁部を外枠部材20に固定して描画面11を飾るようにしたキャンバスボードであって、
外枠部材20の描画面11とは反対方向に突出された複数の係合部材27と、
シート材10の描画面11の外周に連続して設けられ、外枠部材20の裏側に沿って折り返され、係合部材27が挿通された複数の係合穴15を備えた外周折返し片13と、
外周折返し片13を押圧して描画面11に張力を付与した状態で係合部材27に結合可能な固定部材としての嵌合枠部材30および嵌合ピン37と、
を備えることを特徴とする。
したがって、外枠部材20の係合部材27をシート材10の係合穴15に挿通することでシート材10の外枠部材20に対する位置決めを行うことができ位置決め作業が容易である。また、係合穴15から露出した係合部材27に嵌合枠部材30を固定するため、シート材10に隠れた係合部材27に対して固定するのと比較して、作業が容易である。
よって、従来よりも大量生産が可能となる。
【0050】
2)実施の形態1のキャンバスボードAは、
外枠部材20の表面側である前面板22は、外周縁部が内周縁部よりも描画面11側に配置されたテーパ状に形成されていることを特徴とする。
したがって、固定部材としての嵌合枠部材30によりシート材10に引張力を与えた際に、シート材10の端縁部が、外枠部材20の前面板22の外周縁部に線接触し、凹凸や皺が生じることなく、描画面11を保持することができ、高い外観品質を得ることができる。
【0051】
3)実施の形態1のキャンバスボードAは、
外枠部材20は、描画面11とは反対側に描画面11側に凹状の嵌合溝25を全周に亘って備えるとともに、嵌合溝25の底部に係合部材27が立設され、
固定部材として、嵌合溝25との間に外周折返し片13を挟んで嵌合可能であるとともに、嵌合溝25に嵌合した状態で外周折返し片13を押圧して引張力を与える嵌合枠部材30と、この嵌合枠部材30に一体に設けられ、嵌合枠部材30を嵌合溝25に嵌合したときに係合部材27に嵌合する嵌合ピン37と、を備えることを特徴とする。
したがって、シート材10の外周折返し片13を外枠部材20の嵌合溝25側に折り返した状態で、嵌合溝25に嵌合枠部材30を嵌め合わせるだけの一回の作業で、シート材10に引張力を与えるとともに、係合部材27と嵌合ピン37とを結合し、シート材10と外枠部材20と嵌合枠部材30とを固定できる。
よって、さらに作業性が高くなり、より大量生産が可能となる。
加えて、シート材10と係合する係合部材27などの突起部分が、嵌合枠部材30により覆い隠されるため、作業中ならびに作業後の運搬時や展示時に、これらの突起部分に人が触れる不具合が生じにくいとともに、外観品質にも優れる。
【0052】
4)実施の形態1のキャンバスボードAは、
係合部材27は、軸心部に嵌合用孔27aを備えるとともに、シート材10の係合穴15に挿通可能な筒状に形成され、
嵌合ピン37は、嵌合用孔27aに嵌合可能なピン状に形成されていることを特徴とする。
したがって、外枠部材20の嵌合溝25に嵌合枠部材30を嵌め合わせるだけで、嵌合ピン37を嵌合用孔27aに嵌合させて両部材20,30の結合が可能であり、いっそう作業性に優れる。
【0053】
5)実施の形態1のキャンバスボードAは、
嵌合枠部材30の少なくとも2箇所に、棒状の脚部材40を挿入可能であるとともに、この脚部材40の挿入状態で前記嵌合枠部材30を起立状態に維持可能な脚挿入用穴39が形成されていることを特徴とする。
したがって、脚部材40を脚挿入用穴39に挿入させて、嵌合枠部材30と共にキャンバスボードAを起立状態としてディスプレイすることが可能であり、使い勝手に優れる。
【0054】
6)実施の形態1のキャンバスボードは、
嵌合枠部材30は、脚部材40を保持可能な保持溝38を備えることを特徴とする。
したがって、脚部材40の不使用時には、脚部材40を保持溝38に保持させて嵌合枠部材30と一体的に取り扱うことができる。
よって、脚部材40の不使用時に脚部材40を嵌合枠部材30から離して保管するものと比較して、脚部材40を紛失しにくく、使い勝手に優れる。
【0055】
7)実施の形態1のキャンバスボードAは、
シート材10の描画面11に連続して側面部分を形成する外周折返し片13まで画像をプリントしたことを特徴とする。
したがって、外周折返し片13の部分に画像をプリントしないものと比較して、キャンバスボードAの側面が露出していても見る人に違和感を与えにくく、額縁など側面を覆う構成が不要である。
しかも、このように額縁を不要とすることにより、複数のキャンバスボードAの画像を相互に連続させることも可能となり、新規なディスプレイ方法を提供することが可能となる。
【0056】
8)実施の形態1のキャンバスボードAは、
複数のキャンバスボードAを連続して並設したことを特徴とする。
したがって、複数の描画面11を用いて、連続的な画像をディスプレイすることができる。
加えて、キャンバスボードAどうしを連結する連結部材を備えることもできる。
これにより、上記のように複数の描画面11を用いて、連続的な画像をディスプレイすることを容易とする。なお、連結部材としては、例えば、脚挿入用穴39を利用するなど、嵌合枠部材30に連結用穴を設け、隣り合うキャンバスボードの連結用穴どうしに、U字状の連結部材を差し込んで連結することができる。あるいは、隣り合うキャンバスボードの外枠部材20,20どうしを挟み込んで両外枠部材20,20を一体的に結合可能なバインダを用いて連結することができる。
【0057】
9)実施の形態1のホルダ装置Cは、
シート材10の外周を保持するホルダ装置であって、
枠状に形成され、裏面側の全周に亘って嵌合溝25が形成された外枠部材20と、
この外枠部材20の嵌合溝25内に立設されて、シート材10の外周に係合する係合部材27と、
嵌合溝25との間にシート材10を挟んで嵌合可能な枠状に形成された嵌合枠部材30と、
この嵌合枠部材30に設けられ、嵌合枠部材30を嵌合溝25に嵌合させたときに、係合部材27と嵌合し、外枠部材20と嵌合枠部材30とを結合する嵌合ピン37と、
を備えることを特徴とする。
したがって、上記3)で述べたように一回の作業で、シート材10に引張力を与えることができるとともに、係合部材27と嵌合ピン37とを結合し、シート材10と外枠部材20と嵌合枠部材30とを固定できる。
よって、ホルダ装置Cによりシート材10を展示可能に保持する作業性に優れ、大量生産が可能となる。
さらに、外枠部材20および嵌合枠部材30を樹脂製としているため、ホルダ装置Cも大量生産が可能である。
【0058】
(他の実施の形態)
次に、他の実施の形態について説明する。
なお、他の実施の形態の説明において、実施の形態1と共通する構成には実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点のみ説明する。
【0059】
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2のキャンバスボードにおいてホルダ装置を構成する外枠部材220の背面図であり、
図8は、実施の形態2のキャンバスボードにおいてホルダ装置を構成する嵌合枠部材230の背面図である。
実施の形態2におけるホルダ装置は、実施の形態1と比較して、より広い面積のシート材(図示省略)を保持できるよう大型化したものである。
【0060】
したがって、外枠部材220は、その矩形枠形状が変形することなく維持できるように、縦枠21a,21c、横枠21b,21dの長手方向中央位置に、十字の補強枠221が結合されている。そして、補強枠221の裏面側には、縁部に沿って補強リブ221aが、内壁24に連続して立設されている。
【0061】
また、各枠21a,21b,21c,21dは、実施の形態1と比較して、長手方向の寸法が大きくなったことで、補強用のリブ26、係合部材27の数が、実施の形態1よりも増加して設けられている。
このような構成の、実施の形態2にあっても、上述の1)〜9)の効果を奏する。
さらに、補強枠221を設けたことにより、ホルダ装置の変形を防止し、安定して継続的なディスプレイを行うことができる。
【0062】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態又は実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0063】
例えば、実施の形態では、シート材として、描画面に予め画像がプリントされたキャンバスを例として示したが、これに限定されるものではなく、描画面は後から絵を描画するように無地のものを用いてもよい。また、シート材として、キャンバス地に限らず、他の布地やビニール、紙などの他の素材のものを用いることができる。
【0064】
また、実施の形態では、ホルダ装置を構成する外周枠材および嵌合枠部材として、樹脂製のものを示したが、その素材としては樹脂製のものに限らず、木、金属、弾性材など他の素材のものを用いることができる。さらに、ホルダ装置を構成する外周枠材および嵌合枠部材として、実施の形態では、その枠形状として矩形のものを示したが、その枠形状は、矩形に限定されるものではなく、三角形、五角形、六角形などの多角形や、円形の枠形状としてもよい。
【0065】
また、実施の形態では、係合部材に係合して、シート材を固定する固定部材として、外枠部材の嵌合溝に嵌合する嵌合枠部材を備えたものを示したが、これに限定されない。例えば、各係合部材にそれぞれ独立した固定部材を取り付けるようにしてもよい。この場合、固定部材は、それぞれ、係合部材と相互に結合するための、ピンや穴などを備えるとともに、この結合時にシート材を押圧して引張力を与える部分を備える構成とすることができる。具体的には、
図9に示すように、固定部材330は、外枠部材320のピン状の係合部材327に結合可能な穴337を備え、かつ、シート材10を押圧して引張力を与える部分331を備える。この場合、1つ1つの固定部材330を係合部材327に係合させる作業が必要になるが、従来技術よりも作業性に優れる。なお、係合部材327と穴337とのピンと穴との係合関係は、実施の形態1と同様にしてもよい。
【0066】
さらに、実施の形態では、嵌合枠部材に設けた保持溝により脚部材を保持できるようにした例を示したが、これに限定されず、脚部材を保持する構成としては、溝に限らず、脚部材を収容するケース状のものを設けてもよいし、その場合、嵌合枠部材と一体に形成せずに別体としてもよい。あるいは、嵌合枠部材に保持部を設けなくてもよい。
【0067】
また、脚部材を設ける場合、本実施の形態で示したものに限定されるものではなく、実施の形態で示したものとは異なる形状としてもよい。あるいは、脚部材を、格納状態と使用状態とで回動するように、ホルダ装置に連結した構造としてもよい。
【0068】
また、実施の形態では、脚部材を挿入する挿入穴を、嵌合用枠部材の4箇所に設けた例を示したが、その位置は、実施の形態で示した数、位置に限定されるものではなく、例えば、キャンバスボードの下となる2箇所のみとしてもよいし、その場合も、実施の形態で示したコーナ部に限定されるものではない。また、挿入穴を設ける対象も、例えば、固定部材を上記のように、嵌合用枠部材に設けることなく独立した構造とした場合には、挿入穴を外枠部材に設けてもよいし、あるいは、外枠部材とは別体の部材を、外枠部材に取り付けるようにしてもよい。