(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
無機繊維を含む繊維シートに、カルボン酸基を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとヒドロキシル基を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを含む水溶液を付与した後、加熱処理を施すことを特徴とする繊維シートの製造方法。
無機繊維を含み波状の形状を有する繊維シートと無機繊維を含み平らな繊維シートとを接合してなる繊維シートの複合体を巻回または積層してなるものに、カルボン酸基を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとヒドロキシル基を含有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを含む水溶液を付与した後、加熱処理を施すことを特徴とする湿度交換用吸着体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。まず、本発明の繊維シートは無機繊維を含む。無機繊維は、吸放湿や加熱などによる寸法変化を小さく、寸法安定性を向上させるうえで極めて有効である。かかる無機繊維の種類は特に限定されず、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、金属繊維などが例示される。なかでもガラス繊維が好ましい。
かかる無機繊維において、表面積を大きくして優れた吸放湿性を得る上で単繊維径が30μm以下(好ましくは1〜15μm)であることが好ましい。
本発明の繊維シートにおいて、無機繊維が繊維シート重量対比50重量%以上含まれることが好ましい。
【0012】
また、繊維シートには有機繊維が含まれていてもよい。かかる有機繊維としては特に限定はなく、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維などの合成繊維などを採用することもできる。該有機繊維は骨格繊維としてだけでなく、より高い寸法安定性が望まれる場合には、同繊維の軟化温度以上に熱処理することでバインダー繊維として使用することも可能である。
【0013】
繊維シートにバインダー繊維が含まれていることが特に好ましい。かかるバインダー繊維としては、単一成分からなる繊維でもよいが、低融点の熱融着成分が少なくとも繊維表面の一部に配された短繊維であり、加熱により少なくともその表面の一部が溶融しうる熱接着性複合短繊維であることが好ましい。
ここで、熱融着成分として配されるポリマーとしては、ポリウレタン系エラストマー(1)、ポリエステル系エラストマー(2)、共重合ポリエステル系ポリマー(3)、ポリオレフィン系ポリマー(4)、ポリオレフィン系ポリマーの共重合物、ポリビニルアルコ−ル系ポリマー等を挙げることができる。
【0014】
ポリウレタン系エラストマー(1)として、分子量が500〜6000程度の低融点ポリオールと、分子量500以下の有機ジイソシアネートと、分子量500以下の鎖伸長剤との反応により得られるポリマーが挙げられる。分子量が500〜6000程度の低融点ポリオールとして、ジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロキシポリエステルアミド等が挙げられる。分子量500以下の有機ジイソシアネートとして、p,p’−ジフェニールメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート水素化ジフェニールメタンイソシアネート、キシリレンイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。分子量500以下の鎖伸長剤として、グリコールアミノアルコールあるいはトリオールが挙げられる。
【0015】
またポリエステル系エラストマー(2)としては、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステル共重合体が挙げられる。より具体的にはジカルボン酸の少なくとも一種と、ジオール成分の少なくとも一種と、ポリ(アルキレンオキサイド)グリコールのうち少なくとも一種から構成される三元共重合体を挙げることができる。
【0016】
ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0017】
ジオール成分として、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオールあるいは1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンメタノール等の脂環式ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0018】
ポリ(アルキレンオキサイド)グリコールとして、平均分子量が約400〜5000程度のポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−ポリプロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ(アルキレンオキサイド)グリコールが挙げられる。
【0019】
特に、接着性や温度特性、強度の面からすればポリブチレン系テレフタレートをハード成分とし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルエステルが好ましい。この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル部分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフタレートである。むろん、この酸成分の一部(通常30モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置換されていてもよく、同様にグリコール成分の一部(通常30モル%以下)はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置換されていても良い。また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分はブチレングリコール以外のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってよい。
【0020】
共重合ポリエステル系ポリマー(3)としては、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類および/またはヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸類と、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、パラキシレングリコールなどの脂肪族や脂環式ジオール類とを所定数含有し、所望に応じてパラヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類を添加した共重合エステル等を挙げることができ、例えばテレフタル酸とエチレングリコールとにおいてイソフタル酸および1,6−ヘキサンジオールを添加共重合させたポリエステル等が使用できる。
【0021】
また、ポリオレフィンポリマー(4)としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等をあげることができる。
なお、上述のポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消し剤、着色剤、その他各種の改良剤等も必要に応じて配合されていてもよい。
【0022】
バインダー繊維は、熱融着成分とポリエステル(非低融点成分)とが、サイドバイサイド型、芯鞘型であるのが好ましく、より好ましくは芯鞘型である。この芯鞘型の熱接着性複合短繊維では、ポリエステルが芯部となり、熱融着成分が鞘部となるが、この芯部は同心円状または偏心状にあってもよい。重量割合は、熱融着成分とポリエステル(非低融点成分)が、複合比率で30/70〜70/30の範囲にあるのが好ましい。
かかるバインダー繊維において、その単繊維繊度は0.5〜10dtex(より好ましくは1〜3dtex)であることが好ましい。また、バインダー繊維において、繊維長は5mm以上が好ましく、より好ましくは30〜100mmである。繊維長が5mmよりも小さいと十分な剛性が得られないおそれがある。逆に繊維長が100mmよりも大きいと、工程安定性が損なわれるおそれがある。
【0023】
本発明の繊維シートにはパルプ繊維が含まれていてもよい。かかるパルプ繊維としては、特に限定はなく、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなどの木材パルプ、麻パルプ、コットンパルプ、ケナフパルプなどの非木材パルプ、レーヨン、ビニロン、アクリルなどの合成繊維をフィブリル化したものなどを採用することができる。なかでも、アクリルパルプを採用した場合には、セルロース系のパルプに比べて耐水性が増し、含水時の強度が高い紙を得ることができるため、吸湿放湿を繰り返すような耐久性を求められる用途に好適である。
本発明の繊維シートにおいて、シートの布帛組織は特に限定されず、織物、編物、不織布いずれでもよいが、繊維表面積を大きくして優れた吸放湿性を得る上で不織布が好ましい。特に湿式不織布が好ましい。
【0024】
次に、吸湿性ポリマーとしては特に限定されないが、エチレン系不飽和カルボキシルモノマーとエチレン系不飽和モノマーとのコポリマーことが好ましい。かかる吸湿性ポリマーは、例えば、特許第261304号公報や特許第4281060号公報に記載されているものが好ましい。すなわち、カルボン酸モノマー基を与えるモノマーと、カルボン酸基と反応して炭素原子と酸素原子とだけを含むようなエステル結合を形成し得るエチレン性不飽和モノマーとの重合によって形成されたものが好ましい。
【0025】
ここで、カルボン酸モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、ソルビン酸、ケイ皮酸、クロトン酸、ベータアクリルオキシプロピオン酸等の 公知のエチレン性不飽和カルボン酸およびこれらのアルカリ金属塩を用いることができる。また、部分的にはスルホン酸として例えば2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸、スルホン酸エチル(メタ)アクリレート、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸およびこれらのアルカリ金属塩を用いることができる。
【0026】
ポリマー中(線状ポリマーの形成に使用されるモノマー中)の遊離カルボン酸基/アルカリ金属およびその他の塩のカルボン酸基の比率は1:1〜1:10が好ましい。また、アルカリ金属塩は特に限定はなく、例えばLi、Na、K、Rb、Cs等のアルカリ金属、Be、Mg、Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類金属、Cu、Zn、Al、Mn、Ag、Fe、Co、Ni等のその他の金属が例示される。
【0027】
一方、エチレン性不飽和モノマーとしては、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アルキレン基がエチレンまたはプロピレンであるジ−またはトリ−またはヘキサ−アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートおよびグリセリルモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
なおポリマー中に可塑化モノマーを含有させるのが好ましく、特に好ましい可塑化モノマーは、メチルまたはエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。これらは2%以上が好ましい。
【0028】
本発明において吸湿性ポリマーは、モノマーブレンドから従来の適当な方法によって製造される。例えば、ポリマー溶液は水または有機溶媒(例えばメタノール)あるいはその混合溶液を用いてもよく、ポリマー濃度は5〜50%が好ましい。
得られたポリマー溶液は、所定の基材に含浸させ、その後加熱することで、エステル結合を伴う架橋反応を行う。この架橋反応は熱処理条件の選択により適度に進行させることによって、基材との固着性を保ち、且つ吸湿率を保持することができる。
【0029】
この熱処理は乾燥と架橋を分けて多段に温度域を分割して行っても良いが、過度に熱処理すると架橋が進行するが、部分的に架橋が破壊され、固着性が悪くなるおそれがある。また、逆に低度な熱処理の場合乾燥により一次固着はするが架橋が生じず、水に濡れた場合に基材から流出するなど耐水性が悪くなるおそれがある。従って本発明の架橋反応時に用いる熱処理条件は200℃以上で、温度X℃、処理時間Y分とすると以下の範囲で行うことが好ましい。
200≦X<259−(80/110)Y
5≦Y≦40
【0030】
熱処理温度と熱処理時間がこの範囲より小さいと吸湿時にポリマーの流出が生じ易く、また耐水性が十分ではなくなるおそれがある。また熱処理温度と熱処理時間がこの範囲より大きいと固着性と吸湿率に悪影響を与えるおそれがある。
【0031】
本発明において、エチレン系不飽和カルボキシルモノマーと共重合性エチレン系不飽和モノマーのコポリマーを含む水溶液を作製し繊維を混入させて抄紙工程で繊維シートを得てもよいし、前記水溶液を繊維シートに含浸させた後、乾燥・架橋反応を行ってもよい。
かくして得られた繊維シートは、吸放湿性はもちろんのこと、加熱時や湿潤時に変形しにくく、耐熱性および吸放湿性および湿潤時の剛性に優れる。
【0032】
ここで、飽和吸湿量が30g/m
2以上(より好ましくは30〜80g/m
2)であることが好ましい。ただし、飽和吸湿量は以下の方法で測定する。
熱風乾燥機により120℃で2時間乾燥させ重量を測定する(W1)。次に温度30℃、相対湿度90%RHに調整した恒温恒湿槽に6時間静置して重量を測定する(W2)。
飽和吸湿量(g/m
2)=(W2−W1)/評価基材の面積(m
2)
【0033】
また、初期吸湿量が13g/m
2以上(より好ましくは13〜30g/m
2)であることが好ましい。ただし、初期吸湿量は以下の方法で測定する。
熱風乾燥機により70℃で1時間乾燥させた後、重量を測定する(W4)温度30℃、相対湿度90%RHに調整した恒温恒湿槽に3分間静置して吸湿重量を測定する(W3)。
初期吸湿量(g/m
2)=W3−W4/評価基材の面積(m
2)
【0034】
また、飽和吸湿後の剛性が150mgf(1.47mN)以上(より好ましくは500〜1000mgf(4.9〜9.8mN))であることが好ましい。ただし、飽和吸湿後の剛性は、30℃90%RH下で12時間吸湿評価後の各基材の剛性をJISL1913ガーレ法にて剛軟度(mgf)で求める。
【0035】
なお、吸放湿性に優れる理由は次の様に推定している。すなわち、シリカゲルやゼオライトのような多孔質体における水の吸着速度は細孔内拡散速度や比表面積に支配されているのに対し、吸湿性ポリマーの水の吸着速度は分子内拡散に支配されていると推定している。すなわち多孔質体は水分を表面に存在する細孔に貯めていくのに対し、吸湿性ポリマーは保有する親水基が水分子を捉え、その親水基は高分子表面と内部にあり、内部への水分子の移動速度が比較的遅いためではないかと推定している。本発明は、繊維シート中に含まれる骨格となる繊維の表面に薄く担持されており、そのため水分吸着による体積膨潤が小さく水分子の拡散を阻害しないためと推定している。
【0036】
なお、このエチレン系不飽和カルボキシルモノマーと共重合性エチレン系不飽和モノマーのコポリマーを含む吸湿性を有する水溶液は未架橋のため比較的低粘性であり、担持させたい対象物や担持量によって濃度を任意に変えて固着させることができる。例えば、対象物が繊維シートの場合その厚みや密度、担持させたい量によって10〜60%のスラリーを作製し、ハニカム状の複雑な形状物の場合には目詰まり等を防ぐため10〜40%のスラリーを用いて作製することができる。その際、前記水溶液は低粘性であるため吸湿性ポリマーの固着を、1回の加工で比較的容易に固着量を大きくできる。
【0037】
本発明の繊維シートは、耐熱性および吸放湿性および湿潤時の剛性に優れるため、除加湿器、エアコン、熱交換機等のフィルタ素子、クローゼット等の家庭用除湿材、冷凍車架台、冷蔵庫などの結露防止材など、吸放湿性が求められる様々な工業製品に適用可能である。繊維シートは多数の小透孔を有するプラスチックフォームや、不織布、フィルム、樹脂などと組み合わせてもよい。本発明の繊維シートは、湿度交換用吸着体として特に好ましく使用される。
【0038】
例えば、無機繊維を含むシートを2枚用意し、
図1のようにコルゲート加工(波状加工)し当該コルゲート加工されたシートと平らなシートとを互いに接着させた後(
図2)、巻回し成形して得たハニカムローターを、エチレン系不飽和カルボキシルモノマーと共重合性エチレン系不飽和モノマーのコポリマーを含む吸湿性を有する水溶液に浸漬した後、予備乾燥しその後架橋促進反応をして作製してもよい。
また、波状の形状を有する繊維シートと平らな繊維シートが接合してなる繊維シートの複合体を積層してもよい。
【0039】
なお、繊維シートに吸湿性ポリマーを付与するのは、繊維シートの複合体を巻回または積層する前の工程で行ってもよいし後の工程で行ってもよい。
かかる湿度交換用吸着体は、吸湿性を有する水溶液の粘性が低く、乾燥後もハニカム構造体の目を詰まらせることがなく、かつ高い担持量で3次元構造体に均一に被膜させることができること、予め作製した無機繊維を含む構造体を、吸湿性を有する水溶液に浸漬し加熱処理して得るため、工程が単純で非常に合理的であるというメリットがある。
【実施例】
【0040】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
【0041】
(1)飽和吸湿量の評価
熱風乾燥機により120℃で2時間乾燥させ重量を測定する(W1)。次に温度30℃、相対湿度90%RHに調整した恒温恒湿槽に6時間静置して重量を測定する(W2)。飽和吸湿量は以下の式で求める。
飽和吸湿量(g/m
2)=(W2−W1)/評価基材の面積(m
2)
飽和吸湿量が30g/m
2以上であると、良好な吸湿特性であると判断する。
【0042】
(2)初期吸湿量の評価
熱風乾燥機により70℃で1時間乾燥させた後、重量を測定する(W4)温度30℃、相対湿度90%RHに調整した恒温恒湿槽に3分間静置して吸湿重量を測定する(W3)。初期吸湿量は以下の式で求める。
初期脱湿量(g/m
2)=W3−W4/評価基材の面積(m
2)
初期短時間吸脱湿量が13g/m
2・3min以上であると良好な吸湿特性であると判断する。
【0043】
(3)飽和吸湿時の蒸れ感
30℃90%RH下で12時間吸湿評価後の各基材の蒸れ感(べたつき、吸脱湿剤の潮解など)を目視、触手で確認した。吸湿処理後もべたつきや吸脱湿剤の潮解が観察されない場合繰返耐久性の観点で安定な成形物であると判断して○、べたつきや吸脱湿剤の潮解が観察された場合耐久性に問題がると判断して×と表中に示した。
【0044】
(4)飽和吸湿後の剛性
30℃90%RH下で12時間吸湿評価後の各基材の剛性をJIS L1913−2010ガーレ法にて剛軟度(mgf)で求めた。湿潤時剛軟度が150mgf(1.47mN)以上であると、成形物の湿潤による変形が起こり難いと判断する。
【0045】
[実施例1]
繊維径10μm、繊維長10mmのガラス繊維60重量%、単繊維繊度2dtex、繊維長5mmの芯鞘PET繊維(芯成分:ポリエチレンテレフタレート、鞘成分:共重合ポリエステル)40重量%をあらかじめ溶解した分散剤(花王製、商品名「エマノーン3199」)を原料に対し0.5%となるよう添加し水中に分散させ、混合撹拌した後、湿式抄紙法でウエブを作製し、加熱加圧した後、アクリル樹脂エマルジョン(昭和高分子製、「AG−100」)を含浸法で添加し、加熱乾燥して0.15mm厚のガラス繊維シートを得た。
【0046】
一方、アクリル酸(75%がナトリウム塩として中和されている)78モル%、メチルアクリレート20モル%、およびヘキサプロピレングリコールモノメタクリレート2モル%のコポリマーの20%水溶液を作製し、スラリーとした。
次に、前記ガラス繊維シートに、ヒラノテクシード(株)製マルチコーターを用いて吸湿性ポリマーの担持量が35g/m
2になる様に前記スラリーを塗布し100℃で乾燥基準10%の湿分含有率になる様に予備乾燥させた後、200℃、15分間架橋促進反応を行い、湿度交換用吸着体(繊維シート)を得た。評価結果を表1に示す。また、かかる繊維シートの写真を
図3に示す。
【0047】
[実施例2]
繊維径10μm、繊維長10mmのガラス繊維60重量%、単繊維繊度2dtex、繊維長5mmの芯鞘PET繊維(芯成分:ポリエチレンテレフタレート、鞘成分:共重合ポリエステル)40重量%をあらかじめ溶解した分散剤(花王製、商品名「エマノーン3199」)を原料に対し0.5%となるよう添加し水中に分散させ、混合撹拌した後、湿式抄紙法でウエブを作製し、加熱加圧した後、アクリル樹脂エマルジョン(昭和高分子製、「AG−100」)を含浸法で添加し、加熱乾燥して0.15mm厚のガラス繊維シートを得た。
次いで、
図1に示すように、波状の形状を有する繊維シートと平らな繊維シートとを互いに接着しながら巻回しハニカムローターを得た。
【0048】
一方、アクリル酸(75%がナトリウム塩として中和されている)78モル%、メチルアクリレート20モル%、およびヘキサプロピレングリコールモノメタクリレート2モル%のコポリマーの20%水溶液を作製し、スラリーとした。
次いで、前記ハニカムローターを、前記スラリー中に浸漬し、浸漬によってローター内のシートにスラリーが十分に入ってからハニカムローターをスラリーから引き上げた。
次に、ハニカムローターを70℃の通風乾燥機に入れ、乾燥ローター基準10%の湿分含有率になる様に予備乾燥させた後、200℃で15分間架橋促進反応を行い、湿度交換用ハニカムローターを得た。得られたハニカムローターは、スラリー投入前後の重量変化から、収着材が初期乾燥重量対比約40%担持しており、十分に吸湿性ポリマーが固着していることが判った。
【0049】
[実施例3]
繊維径10μm、繊維長10mmのガラス繊維60重量%、単繊維繊度2dtex、繊維長5mmの芯鞘PET繊維(芯成分:ポリエチレンテレフタレート、鞘成分:共重合ポリエステル)40重量%をあらかじめ溶解した分散剤(花王製、商品名「エマノーン3199」)を原料に対し0.5%となるよう添加し水中に分散させ、混合撹拌した後、湿式抄紙法でウエブを作製し、加熱加圧した後、アクリル樹脂エマルジョン(昭和高分子製、「AG−100」)を含浸法で添加し、加熱乾燥して0.15mm厚のガラス繊維シートを得た。
【0050】
一方、アクリル酸(75%がナトリウム塩として中和されている)78モル%、メチルアクリレート20モル%、およびヘキサプロピレングリコールモノメタクリレート2モル%のコポリマーの38%水溶液を100℃の紡糸口金を通して150℃のセル中へ向かって繊維に紡糸し、その後、繊維から水を除去した。なお、繊維はでトウとして回収し、ステープルカッターでカット後、乾燥繊維基準で7%の湿分含有率になるように通風炉中で70℃にて乾燥させた後、200℃で15分間架橋させて、単繊維繊度10dtex、5mmカットの吸湿繊維を得た後、乾燥繊維基準で3%を水中に分散させ、スラリーを得た。
次いで、実施例1と同様に、吸湿性ポリマーの担持量が35g/m
2になる様に塗布後、100℃で十分に乾燥させて湿度交換用吸着体(繊維シート)を得た。
【0051】
[実施例4]
実施例3で用いた高分子収着材の担持量を70g/m
2になる様にした以外は全て実施例3と同条件で湿度交換用吸着体(繊維シート)を得た。
【0052】
[実施例5]
実施例3と同様の方法で吸湿繊維を得た後、ジェットミル粉砕装置を用いて同繊維を微粉砕化し、平均粒径8μmの微粉体を得た。得られた吸湿微粉体は乾燥重量基準で6%になる様に水中に分散させ、実施例1と同様の方法で、吸湿性ポリマーの担持量が35g/m
2になる様に塗布後、100℃で十分に乾燥させて湿度交換用吸着体(繊維シート)を得た。
【0053】
[実施例6]
実施例1同様の方法で実施し、200℃の架橋促進反応を施さず150℃、5分の加熱処理した以外は、実施例1と同様にして湿度交換用吸着体(繊維シート)を作製した。
【0054】
[実施例7]
実施例5で得られた平均粒径8μmの微粉体を、乾燥重量基準6%になる様に水を加え、粘度15Pa・sのスラリーを得た。
次いで、該スラリーに、実施例2と同様に、ガラス繊維およびバインダー繊維を含むハニカムローターを浸漬させた後引き上げ、100℃で15分間乾燥させ湿度交換用ハニカムローターを得た。
得られたハニカムローターは、スラリー投入前後の重量変化から、収着材が初期乾燥重量対比約10%程度しか担持しておらず、またハニカム構造体において目詰りが多く見られた。
【0055】
【表1】