特許第6799457号(P6799457)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6799457ペット用トイレシート及びそれを備えたペット用トイレ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799457
(24)【登録日】2020年11月25日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】ペット用トイレシート及びそれを備えたペット用トイレ
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20201207BHJP
   A01K 1/01 20060101ALI20201207BHJP
   A01K 23/00 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   A01K1/015 A
   A01K1/01 Z
   A01K23/00 C
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-245942(P2016-245942)
(22)【出願日】2016年12月19日
(65)【公開番号】特開2018-99046(P2018-99046A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2019年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅田 智重
【審査官】 田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−142014(JP,A)
【文献】 特開2015−150056(JP,A)
【文献】 特開2015−008654(JP,A)
【文献】 特開2005−110691(JP,A)
【文献】 特開2008−043243(JP,A)
【文献】 特開2001−061886(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0109284(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/01−1/015
A01K 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート、及び両シート間に配された吸収性コアを具備するペット用トイレシートであって、
前記吸収性コアと前記表面シートとの間に消臭成分を含有する液透過性シートが配されており、
前記トイレシートを平面視したとき、該トイレシートの中央域よりも外周域の方が前記消臭成分の坪量が高くなっている、ペット用トイレシート。
【請求項2】
前記消臭成分が、殺菌剤、吸着剤及び中和剤のうちの少なくとも1種からなる請求項1に記載のペット用トイレシート。
【請求項3】
前記吸収性コアが吸水性樹脂を含有し、
前記吸水性樹脂はJIS K7224に規定されるボルテックス法に従い測定された吸収速度が40秒以上である請求項1又は2に記載のペット用トイレシート。
【請求項4】
前記吸収性コアは、前記裏面シートとの対向面側にパルプのみからなる層を備えるとともに、前記表面シートとの対向面側に吸水性樹脂を含む層を備える請求項1ないし3のいずれか一項に記載のペット用トイレシート。
【請求項5】
前記吸収性コアは、前記裏面シートとの対向面側にパルプのみからなる層を備えるとともに、前記表面シートとの対向面側にもパルプのみからなる層を備え、更にこれら2つのパルプのみからなる層の間に吸水性樹脂を含む層を備える請求項1ないし3のいずれか一項に記載のペット用トイレシート。
【請求項6】
前記吸収性コアと前記裏面シートとの間にも消臭成分を含有する液透過性シートが更に配されている請求項1ないし5のいずれか一項に記載のペット用トイレシート。
【請求項7】
トイレ本体、及び該トイレ本体内を上層部分と下層部分とに区画する仕切部材を備え、該下層部分に請求項1ないし6のいずれか一項に記載のペット用トイレシートを配置してなるペット用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用トイレシート及びそれを備えたペット用トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
ペット用トイレシートとして、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に配された吸収体を具備するものが知られている。また、ペットの排泄物から生じる悪臭に対し、消臭、芳香、殺菌等の対策を施したペット用トイレシートも知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、前記ペット用トイレシートと同様の構成のペット用排泄物吸収シートにおいて、その表面シートに、香料成分(例えばゲラニオール等のアルコール類)、消臭成分(例えばカテキン)、殺菌成分(例えばベンザルコニウム塩)の少なくとも1つの成分を含む薬液を付着させたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−238745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のペット用排泄物吸収シートの如き、香料成分を含有する従来のペット用排泄物吸収シートは、排泄物に起因する悪臭を、該香料成分に由来する香気によってマスキングすることを目的とするものであり、通常、ペットの排泄行為の有無にかかわらず、常時香気を放っている。そのため、広い室内空間を香気によってマスキングするためにはペット用トイレシートに強い臭い付けをしなくてはならない。その場合には、香気が室内に充満し過ぎるなど、生活環境に影響を及ぼすことがある。また、ペット用トイレシートから放出される香気と、ペットの飼い主の好みとの相性は個人差が大きく、万人に受け入れられるためには種々の香気を放つペット用トイレシートを数多く品揃えしなければならない。また、特許文献1に記載のペット用排泄物吸収シートの上に直接ペットが乗って排泄動作をすると、消臭成分がペットへと移行してしまい、消臭性能が発揮されなくなることもある。更に消臭成分、殺菌成分、香料など複数の成分をトイレシートに均一に配合した場合、その成分ごとの吸収体への移行量が異なる可能性が高く、シート全体における消臭効果が発揮されにくい。
【0006】
したがって本発明の課題は、消臭性能に優れたペット用トイレシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート、及び両シート間に配された吸収性コアを具備するペット用トイレシートであって、前記吸収性コアと前記表面シートとの間に消臭成分を含有する液透過性シートが配されており、前記トイレシートを平面視したとき、該トイレシートの中央域よりも外周域の方が前記消臭成分の坪量が高くなっている、ペット用トイレシートを提供することによって前記の課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のペット用トイレシートは、室内というオープンな空間で使用しても、良好な消臭性能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明のペット用トイレシートの一実施形態を表す平面図である。
図2図2は、図1におけるII−II線断面図である。
図3図3は、本発明のペット用トイレシートの別の実施形態を表す厚み方向断面図(図2相当図)である。
図4図4は、本発明のペット用トイレシートを備えたペット用トイレの一実施形態を表す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する本実施形態のペット用トイレシート1は、図1及び図2に示すとおり、液透過性の表面シート2、液不透過性の裏面シート3及び両シート2,3間に配された吸収体4を具備している。
【0011】
ペット用トイレシート1の形状及び寸法は特に制限されるものではないが、本実施形態のペット用トイレシート1は、図1に示すとおり長方形形状を有しており、その長手方向X(図1の上下方向)の長さは例えば30cm以上96cm以下とすることができ、幅方向Y(図1の左右方向)の長さは例えば20cm以上66cm以下とすることができる。また、本実施形態のペット用トイレシート1は、厚みの薄いシート状をなしており、その厚みは、例えば2mm以上12mm以下である。
【0012】
図1及び図2に示すとおり、表面シート2及び裏面シート3は、それぞれ、吸収体4の周縁から外方に延出し、それらの延出部において接着剤、熱融着等の公知の接合手段により接合されている。それによって、ペット用トイレシート1においては、吸収体4を包囲する周縁接合部5が形成されている。
【0013】
吸収体4は、図1に示す如き平面視において長方形形状を有しており、その長手方向をペット用トイレシート1の長手方向Xに一致させて、表面シート2と裏面シート3との間に介在配置されている。吸収体4の長手方向(図1の上下方向)の長さは例えば28cm以上90cm以下とすることができ、幅方向(図1の左右方向)の長さは例えば18cm以上66cm以下とすることができる。
【0014】
表面シート2及び裏面シート3としては、それぞれ、この種のトイレシートあるいは使い捨ておむつ等の吸収性物品において、液透過性の表面シート及び液不透過性の裏面シートとして用いられているものを特に制限なく用いることができる。表面シート2としては、例えば、親水化処理が施された各種不織布や開孔フィルム等を用いることができる。裏面シート3としては、例えば、樹脂製フィルム、撥水不織布等の不織布、これらと他のシートとのラミネート体等を用いることができる。
【0015】
吸収体4は吸収性コア6を備えている。吸収性コア6は、その上面の全域が第1被覆シート7によって被覆されている。また、吸収性コア6は、その下面の全域が第2被覆シート8によって被覆されている。第2被覆シート8は、吸収性コア6の側縁を超えて側方に延出している。その延出した部位は、吸収性コア6の上面側に折り返されており、吸収性コア6の上面における両側部域を被覆している。以下の説明においては、第2被覆シート8のうち、吸収性コア6の上面における両側部域を被覆している部位を、折り返し被覆部8aと呼ぶ。このように、吸収性コア6は、その上面の全域、下面の全域及び側面の全域が、2枚の被覆シート7,8によって被覆されている。これによって吸収体4が形成されている。
【0016】
吸収性コア6は、吸収体4における主たる吸液部位であり、尿等の液体を吸収して保持する機能を有する。吸収性コア6は、尿等の排泄物を吸収保持し得る材料を含んで構成されている。そのような材料としては、例えば、木材パルプや親水化処理された合成繊維等の親水性繊維を用いることができる。これに代えて、又はこれに加えて、吸水性樹脂等を用いることもできる。
【0017】
吸水性樹脂は、水との接触によって膨潤して水を吸収保持し得る材料からなる。吸水性樹脂は、自重の20質量倍以上の水、特に尿を吸収して保持できるものであることが好ましい。吸水性樹脂としては、各種のヒドロゲル材料、例えばアクリル酸若しくはアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体の架橋物、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体の架橋物、デンプン又はカルボキシメチル化セルロースの架橋物、デンプン-アクリル酸塩グラフト共重合体の加水分解生成物の架橋物、ビニルアルコール-アクリル酸塩共重合体の架橋物、無水マレイン酸グラフトポリビニルアルコールの架橋物、架橋イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物等を用いることができる。これらの吸水性樹脂は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。吸水性樹脂は、一般に粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでもよい。粒子状の吸水性樹脂を用いる場合、その形状は球状、塊状、俵状又は不定形のいずれでもよい。
【0018】
吸収性コア6を被覆する第1及び第2被覆シート7,8はいずれも液透過性シートからなる。液透過性シートとしては、例えばティッシュペーパー等の紙や各種不織布、開孔フィルム等を用いることができる。第1及び第2被覆シート7,8は同種の液透過性シートから構成されていてもよく、あるいは異種の液透過性シートから構成されていてもよい。
【0019】
第1及び第2被覆シート7,8がどのような液透過性シートから構成されている場合であっても、第1及び第2被覆シート7,8は消臭成分を含有している。したがってペット用トイレシート1は、吸収性コア6と表面シート2との間に消臭成分を含有する液透過性シート(第1被覆シート7)が配されており、且つ吸収性コア6と裏面シート3との間にも消臭成分を含有する液透過性シート(第2被覆シート8)が更に配されている構造になっている。消臭成分は、これを第1及び第2被覆シート7,8の平面方向の全域に満遍なく含有させることができる。あるいは消臭成分は、これを第1及び第2被覆シート7,8の平面方向の全域に間欠的に含有させることもできる。平面方向における消臭成分の分布がいかなる状態であっても、巨視的には、消臭成分は、第1及び第2被覆シート7,8の平面方向において均一に分布していることが好ましい。
【0020】
第1被覆シート7に含有されている消臭成分と、第2被覆シート8に含有されている消臭成分とは同種のものであってもよく、あるいは異種のものであってもよい。第1及び第2被覆シート7,8に含有されている消臭成分の種類によらず、第1及び第2被覆シート7,8に含有されている消臭成分の坪量は、同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。
【0021】
第1及び第2被覆シート7,8に含有されている消臭成分は、ペット用トイレシート1の主たる吸収・保持対象である尿から生じる臭いを知覚させづらくする物質を広く包含する。例えば、ペット用トイレシート1に吸収・保持された尿が細菌によって分解されて臭いが生じる場合があるところ、そのような分解を抑制する目的で、殺菌剤を消臭成分として用いることができる。また、尿に起因して生じる臭いを吸着して除去する目的で、吸着剤を消臭成分として用いることができる。更に、尿臭の原因物質のpHが酸性であることを利用して、該原因物質の中和によって尿臭を除去する中和剤を消臭成分として用いることができる。
【0022】
殺菌剤としては水溶性のものが好ましい。殺菌剤の例としては、例えば3,4,4−トリクロロカルバニリド、レゾルシン、フェノール、ヘキサクロロフェン、トリクロサン及びイソプロピルメチルフェノール等のノニオン系殺菌剤;ソルビン酸及びサリチル酸等のアニオン系殺菌剤;並びにセチルリン酸化ベンザルコニウム(商品名サニゾールP)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム及びジンクピリチオン等のカチオン系殺菌剤が挙げられる。これらの殺菌剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの殺菌剤は、排尿時に尿と一緒に被覆シートから流れ出し、吸収体へ移行するように被覆シートに配されることが好ましい。
【0023】
吸着剤としては、例えば酸化亜鉛などが挙げられる。また、ミズカナイト(水澤化学工業株式会社製)やゼオミックス(株式会社シナネンゼオミックス)などの市販品を用いることもできる。これらの吸着剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。吸着剤は被覆シートに対して固定されており、排尿後にも被覆シートに残るように配されていることが好ましい。
【0024】
中和剤としては、例えばトリスヒドロキシメチルアミノメタン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンなどのアミン類、リン酸水素二ナトリウム等のリン酸塩などを用いることができる。これらの塩基成分はそれぞれ単独で用いることもでき、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの塩基成分のうち、特にトリスヒドロキシメチルアミノメタンを用いることが、緩衝能の有効範囲や使用する動物への安全性が比較的高く無臭である点から好ましい。中和剤は水溶性であって、排尿によって被覆シートから流れ出し、吸収体へ移行するように配されていることが好ましい。
【0025】
中和剤を用いる場合には、該中和剤に加えて酸を併用することが、該中和剤と該酸との緩衝系によるpHの調整及びその安定化が図れる点から好ましい。緩衝系を構成する酸としては、例えば塩酸やクエン酸などを用いることができる。特に、塩基成分として上述したトリスヒドロキシメチルアミノメタンを用いる場合には、酸としてクエン酸を用いることが、緩衝能の発現やpH調整能の点から好ましい。
【0026】
第1及び第2被覆シート7,8に含有される消臭成分としては、上述した殺菌剤、吸着剤及び中和剤のうちの少なくとも1種を用いる。長期間にわたる消臭作用が効果的に持続する観点から、これら3種類のうちの少なくとも2種の組み合わせを用いることが更に好ましく、これら3種類をすべて組み合わせて用いることが一層好ましい。これら3種類すべてを被覆シートに含む場合には、排尿後には被覆シートに少なくとも一部の吸着剤が残存し、殺菌剤と中和剤それぞれの一部が吸収体へと移行するようにしておけば、吸収体内において尿自体の臭いを抑制するとともに、尿中の臭い原因物質を吸収体より上部にある被覆シートで捕捉することができるので、高い消臭性能を長期にわたって発揮することができる。具体的には、水溶性の殺菌剤と中和剤及び固定された吸着剤を含むシートを被覆シートとして用いることが好ましい。
【0027】
上述した消臭成分のうちのいずれを用いるかにかかわらず、第1及び第2被覆シート7,8に含有される消臭成分の坪量はそれぞれ、消臭成分の総量で表して、0.1g/m以上であることが好ましく、0.2g/m以上であることが更に好ましく、0.4g/m以上であることが一層好ましい。また、10.0g/m以下であることが好ましく、5.0g/m以下であることが更に好ましく、3.0g/m以下であることが一層好ましい。具体的には、第1及び第2被覆シート7,8に含有される消臭成分の量はそれぞれ、消臭成分の総量で表して、0.1g/m以上10.0g/m以下であることが好ましく、0.2g/m以上5.0g/m以下であることが更に好ましく、0.4g/m以上5.0g/m以下であることが一層好ましい。
【0028】
本実施形態のペット用トイレシート1は、これを平面視したとき、該トイレシート1の中央域と、該中央域よりも外側に位置する外周域とで消臭成分の坪量を比較した場合、両領域で消臭成分の坪量が相違している。具体的には、ペット用トイレシート1の中央域よりも外周域の方が消臭成分の坪量が高くなっている。消臭成分の坪量を、中央域よりも外周域を高くすることには以下に述べる利点がある。すなわち、ペットとして飼育する動物、例えば犬や猫、特に猫は、頭をトイレシート1の中央に向け、トイレシート1の端の位置に排尿する習性がある。したがって、トイレシート1の中央域よりも外周域に相対的に多量の消臭成分を存在させることで、尿臭を効率的に消臭することができる。また、本実施形態のペット用トイレシート1では、消臭成分を表面シート2と吸収性コア6との間に配置しているため、ペットがシートの上に載って排泄する場合、その排泄動作によっても消臭成分がペットへと移行しにくいことから、消臭性能が維持されるとともに、ペットにとっても安全である。
【0029】
以上のとおり、本実施形態のペット用トイレシート1によれば、消臭成分の使用によって十分な消臭効果が発揮されるので、香料による尿臭のマスキングは必須のものではない。したがって本実施形態のペット用トイレシート1には、香料の嗜好性を考慮する必要がないという利点がある。また、トイレシート1に強い臭い付けをする必要もないという利点がある。したがって本実施形態のペット用トイレシート1は、室内等のオープンな空間で使用しても、生活環境への匂いによる影響を極力排除できる。なお、本実施形態のペット用トイレシート1は、香料を用いなくても十分な消臭効果が発揮されるが、もちろん香料を併用することは妨げられない。
【0030】
本実施形態のペット用トイレシート1においては、前記の中央域と外周域との間に明確な境界が存在することは要しない。例えば中央域から外周域に向けて消臭剤の坪量が漸増していてもよい。この場合、中央域における消臭剤の坪量の最も低い位置における当該坪量B1と、外周域における消臭剤の坪量の最も高い位置における当該坪量B2との比率であるB2/B1の値は、1.1以上であることが好ましく、1.2以上であることが更に好ましく、1.5以上であることが一層好ましい。また、B2/B1の値は、4以下であることが好ましく、3以下であることが更に好ましく、2以下であることが一層好ましい。具体的には、B2/B1の値は、1.1以上4以下であることが好ましく、1.2以上3以下であることが更に好ましく、1.5以上2以下であることが一層好ましい。
【0031】
本実施形態のペット用トイレシート1においては、中央域と外周域との間に消臭剤の坪量がステップ状に変化する位置が存在してもよい。その場合には、その位置が中央域と外周域との境界となる。この場合、中央域における消臭剤の坪量B1と、外周域における消臭剤の坪量B2との比率であるB2/B1の値は、上述の範囲に設定することが好ましい。
【0032】
上述したとおり、本実施形態のペット用トイレシート1は、その中央域よりも外周域の方が消臭成分の坪量が高くなっているところ、外周域は、トイレシート1の周縁を含むことは要しない。例えば、ペット用トイレシート1における吸収体4の中央域よりも、該吸収体4の外周域における消臭成分の坪量が高く、且つ該外周域よりも周縁接合部5の方が消臭剤の坪量が低くなっている形態は、本発明に包含される。
【0033】
また、消臭成分の坪量が相対的に高い外周域は、消臭成分の坪量が相対的に低い中央域を囲んでいることは要しない。例えば、ペット用トイレシート1を平面視したときに、幅方向Yの中央域を挟むように、長手方向Xに延びる両側部域を考えた場合、該両側部域における消臭成分の坪量を、中央域における消臭成分の坪量よりも相対的に高くした形態は、本発明に包含される。
【0034】
本実施形態のペット用トイレシート1においては、上述のとおり、吸収性コア6を被覆する第1及び第2被覆シート7,8に消臭成分が含有されているので、これら第1及び第2被覆シート7,8を利用して、トイレシート1の中央域よりも外周域における消臭成分の坪量を高くすることが有利である。例えば図2に示すとおり、トイレシート1における表面シート2と吸収性コア6との間には、第1被覆シート7が位置しているとともに、第2被覆シート8の折り返し被覆部8aが位置している。したがって、図1及び図2に示すとおり、幅方向Yの中央域Cには第1被覆シート7の1枚の被覆シートのみが位置しており、中央域Cの幅方向外方に位置する側部域S,Sには第1被覆シート7及び第2被覆シート8の折り返し被覆部8aの2枚の被覆シートが位置している。一方、トイレシート1における裏面シート3と吸収性コア6との間には、第2被覆シート8のみが位置している。したがって、第1及び第2被覆シート7,8に含有されている消臭剤の坪量の高低にかかわらず、表面シート2と吸収性コア6との間において、中央域Cにおける消臭剤の坪量よりも、側部域Sにおける消臭剤の坪量の方が高くなっている。同様に、ペット用トイレシート1の厚み方向全域に着目して消臭成分の坪量を考えた場合にも、中央域Cにおける消臭剤の坪量よりも、側部域Sにおける消臭剤の坪量の方が高くなっている。
【0035】
ペット用トイレシート1の消臭効果を一層顕著なものとする観点から、吸収性コアは、裏面シート3との対向面側にパルプのみからなる下層を備えるとともに、表面シート2との対向面側に吸水性樹脂を含む上層を備える、少なくとも2層構造のものであることが好ましい。この場合、表面シート2との対向面側に位置する上層は、吸水性樹脂のみを含んでいてもよく、あるいは吸水性樹脂に加えて他の吸水性材料、例えばパルプを含んでいてもよい。このような層構造の吸収性コア6を用いることで、ペット用トイレシート1の端部にペットが尿等を排泄した場合、これを吸収性コア6の平面方向の全域に行き渡るように拡散させることが容易となる。その結果、ペット用トイレシート1が長期間にわたり消臭効果を発現しやすくなる。
【0036】
前記と同様の観点から、吸収性コアは、裏面シート3との対向面側にパルプのみからなる下層を備えるとともに、前記表面シートとの対向面側にもパルプのみからなる上層を備え、更にこれら2つのパルプのみからなる上下層の間に吸水性樹脂を含む中間層を備える、少なくとも3層構造のものであることも好ましい。この場合、上下層間に位置する中間層は、吸水性樹脂のみを含んでいてもよく、あるいは吸水性樹脂に加えて他の吸水性材料、例えばパルプを含んでいてもよい。このような層構造の吸収性コア6を用いることでも、ペット用トイレシート1の端部にペットが尿等を排泄した場合、これを吸収性コア6の平面方向の全域に行き渡るように拡散させることが容易となる。その結果、ペット用トイレシート1が長期間にわたり消臭効果を発現しやすくなる。
【0037】
吸収性コアが上述した種々の形態のうちのいずれの形態であっても、該吸収性コアが吸水性樹脂を含む場合には、該吸水性樹脂としてJIS K7224に規定されるボルテックス法に従い測定された吸収速度(以下「ボルテックス吸収速度」とも言う。)が40秒以上であるものを用いることが好ましい。ボルテックス吸収速度は、吸水性樹脂の吸液速度の尺度となるものであり、この値が大きいほど吸液速度が遅いことを意味する。ボルテックス吸収速度が40秒以上である吸水性樹脂は、一般に、吸液速度が遅いクラスに分類されるものであるところ、そのような吸液速度を有する吸水性樹脂を用いることで、ペット用トイレシート1の端部にペットが尿等を排泄した場合、これが吸水性樹脂に吸収される前に吸収性コア6の平面方向の全域に行き渡るように拡散させることが容易となる。その結果、吸収性コア6の中央域においても吸液が生じるとともに、消臭効果が発現する。それによって、ペット用トイレシート1が長期間にわたり消臭効果を発現しやすくなる。この有利な効果を一層顕著なものとする観点から、吸水性樹脂のボルテックス吸収速度は、42秒以上であることが更に好ましく、45秒以上であることが一層好ましい。また、ボルテックス吸収速度値は90秒以下であることが好ましく、70秒以下であることが更に好ましく、60秒以下であることが一層好ましい。
【0038】
図3には本発明のペット用トイレシートの別の実施形態が示されている。同図に示す実施形態のペット用トイレシート1は、吸収体4の構造が図2に示す実施形態と相違している。詳細には、図3に示すペット用トイレシート1の吸収体4は、吸収性コア6と、これを被覆する3種類の被覆シート7,8,9とから構成されている。吸収性コア6は、その上下面及び側面の全域が第3被覆シート9によって被覆されている。また、吸収性コア6は、その上面の全域が第1被覆シート7によって被覆されている。更に吸収性コア6は、その下面の全域が第2被覆シート8によって被覆されている。第2被覆シート8は、吸収性コア6の側縁を超えて側方に延出している。その延出した部位は、吸収性コア6の上面側に折り返されて折り返し被覆部8aを形成している。折り返し被覆部8aは、第1被覆シート7と第3被覆シート9との間に位置して、吸収性コア6の上面における両側部域を被覆している。
【0039】
3種類の被覆シート7,8,9は、互いに同種のものであってもよく、あるいは異種のものであってもよい。また、3種類の被覆シート7,8,9に含有される消臭成分は、互いに同種のものであってもよく、あるいは異種のものであってもよい。更に、3種類の被覆シート7,8,9に含有される消臭成分の坪量は、互いに同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。
【0040】
3種類の被覆シート7,8,9が上述の態様で吸収性コアを被覆していることによって、図3に示すとおり、表面シート2と吸収性コア6との間には、幅方向Yの中央域Cには第1被覆シート7及び第3被覆シート9の2枚の被覆シートが位置しており、中央域Cの幅方向外方に位置する側部域S,Sには第1被覆シート7、第2被覆シート8の折り返し被覆部8a及び第3被覆シート9の3枚の被覆シートが位置している。一方、トイレシート1における裏面シート3と吸収性コア6との間には、第2被覆シート8及び第3被覆シート9の2枚の被覆シートが位置している。したがって、第1及び第2被覆シート7,8に含有されている消臭剤の坪量の高低にかかわらず、表面シート2と吸収性コア6との間において、中央域Cにおける消臭剤の坪量よりも、側部域Sにおける消臭剤の坪量の方が高くなっている。同様に、ペット用トイレシート1の厚み方向全域に着目して消臭成分の坪量を考えた場合にも、中央域Cにおける消臭剤の坪量よりも、側部域Sにおける消臭剤の坪量の方が高くなっている。本実施形態によれば、図2に示す実施形態と同様の効果が奏される。また、吸収性コア6部を完全に覆う被覆シート9に吸着剤成分を他の被覆シートよりも多く存在させれば、吸収した尿から発生するにおい成分の揮散を効率よくトイレシート内に閉じ込めることができるため、より長期間に亘り消臭効果を発現しやすくなる。
【0041】
以上の各実施形態のペット用トイレシート1は、例えばこれを浅底のトレー内に配置して用いることができる。あるいは、図4に示すようなペット用トイレ100に収容されて使用される。このペット用トイレ100は、トイレ本体102、及びトイレ本体102内を上層部分と下層部分とに区画する仕切部材103を備える。
【0042】
ペット用トイレ100は、上部開口を有する外容器104と、外容器104内に着脱自在に装着される内容器105とを備えている。内容器105の底部151cは、液通過構造を有する仕切部材103を含んで構成されている。すなわち、仕切部材103は内容器105の一部である。仕切部材103は、平面視してX方向に長い略矩形形状の板状部材からなり、該仕切部材103を厚み方向に貫通する、平面視して略矩形形状の貫通孔131を多数有している。多数の貫通孔131は、仕切部材103のX方向及びY方向それぞれに所定間隔を置いて配置されている。貫通孔131は、上層部分の液を下層部分に通過させるための通液孔として機能する。
【0043】
ペット用トイレ100は、外容器104の上方から内容器105をはめ込んだ状態において、内容器105の底部151cを構成する仕切部材103と外容器104の底部141cとの間の下層部分に、ペット用トイレシート1の収容空間が形成されるよう構成されている。収容空間には、ペット用トイレシート1が配置される。
【0044】
ペット用トイレ100は収容部106も備えている。収容部106はトレー状のものである。収容部106の側壁部161a,161b及び底部161cによって囲まれた内側が、ペット用トイレシート1の収容部となる。収容部106の側壁部161a,161bは、その高さが収容部106に収容されるペット用トイレシート1の厚みを超え且つその上端が仕切部材103に接触しないように形成されている。
【0045】
収容部106は、外容器104の底部141cの上面に載置される。収容部106は、トイレ本体102から引き出し可能に形成されている。外容器104のY方向に沿って延びる、相対向する一対の側壁部141b,141bのうちの一方には、下層部分に相当する部分に、収容部106を出し入れする際に利用する開口部142が形成されている。開口部142の形状及び大きさは、収容部106の引き出し方向Xと直交する方向の断面形状及び大きさと略同じになされており、開口部142から収容部106を引き出し及び挿入することができるように形成されている。
【0046】
上層部分である内容器105には例えば粒状物(図示せず)が収容される。粒状物としては、当該技術分野において猫砂やトイレ砂等として用いられている粒状物を特に制限なく用いることができる。粒状物としては、好ましくは、植物由来の素材の粉砕物、合成樹脂及び粘土鉱物等の成分の1種以上を含んで構成された成形物が挙げられる。粒状物として、本出願人の先の出願に係る特開2006−204249号公報に記載の排泄物処理剤を用いることもできる。
【0047】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態のペット用トイレシート1では、吸収性コア6の上下面それぞれに液透過性の被覆シート7,8が配置されて吸収体4が形成されていたが、これに代えて、被覆シートを吸収性コア6と表面シート2との間のみに配置してもよい。
【0048】
また前記実施形態のペット用トイレシート1では、消臭成分を被覆シート7,8にのみ含有させたが、これに加えて被覆シート7,8以外の部材に含有させてもよい。例えば表面シート2に消臭成分を含有させてもよい。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
【0050】
〔実施例1〕
消臭成分として以下の表1に示す殺菌剤、吸着剤及び中和剤の混合物を用いた。この混合物を、液透過性の被覆シートとしての台紙(坪量16g/m)に塗布して含浸させた。被覆シートにおける各消臭成分の坪量は表1に示すとおりであった。この被覆シートを用いて図1及び図2に示す構造のペット用トイレシートを製造した。表面シートとしては、親水化処理を施したスパンボンド不織布(坪量20g/m)を用いた。裏面シートとしては、ポリエチレンシート(坪量20g/m)を用いた。吸収体としては、パルプからなる上層と、ポリアクリル酸ナトリウムの架橋体の吸水性樹脂(ボルテックス吸収速度=49秒)からなる中間層と、パルプからなる上層との3層構造体を用いた。上層の坪量は坪量25g/mであり、中間層の坪量は坪量117g/mであり、下層の坪量は坪量200g/mであった。吸収体の寸法は縦400mmであり、横350mmであった。第2被覆シート8の折り返し被覆部8aの幅は30mmであった。このペット用トイレシートにおいては、表面シートと吸収性コアとの間における、幅方向中央域の被覆シートの枚数は1枚であり、側部域の被覆シートの枚数は1枚である。
【0051】
〔実施例2〕
吸収体として図3に示す構造のものを製造した。それ以外は実施例1と同様にしてペット用トイレシートを製造した。このペット用トイレシートにおいては、表面シートと吸収性コアとの間における、幅方向中央域の被覆シートの枚数は2枚であり、側部域の被覆シートの枚数は3枚である。
【0052】
〔実施例3〕
実施例1において、被覆シートの配置の仕方を変えて、表面シートと吸収性コアとの間における、幅方向中央域の被覆シートの枚数は2枚とし、外周域の被覆シートの枚数を4枚とした。それ以外は実施例1と同様にしてペット用トイレシートを製造した。
【0053】
〔実施例4ないし6〕
消臭剤として以下の表1に示す剤の混合物を用いた。それ以外は実施例1と同様にしてペット用トイレシートを製造した。
【0054】
〔比較例1〕
実施例1において、第2被覆シートを配置せず、第1被覆シートのみ用いた。それ以外は実施例1と同様にしてペット用トイレシートを製造した。
【0055】
〔比較例2〕
実施例1において、第1及び第2被覆シートのいずれも配置しなかった。それ以外は実施例1と同様にしてペット用トイレシートを製造した。
【0056】
【表1】
【0057】
〔評価〕
実施例及び比較例で得られたペット用トイレシートについて、初期の消臭効果及び1週間後の消臭効果を以下の方法で評価した。その結果を以下の表2に示す。
【0058】
〔消臭効果の評価〕
評価に用いた尿は、健常未去勢オスネコ(4歳〜15歳)10頭分を混合した新鮮凍結尿を用いた。ペット用トイレシートを縦横それぞれ半分に分割した4つの区域のうち、1つの区域について以下のようにして評価を行った。このペット用トイレシートに尿80ml(1日の尿相当量)を毎日、辺縁部に尿が触れるようにして、1週間続けて添加した。尿臭評価は初期尿臭においては1回目の尿添加から30分後に行い、1週間後評価は、6日目の尿添加24時間後に尿臭の評価を行った。評価は25℃の環境下の広さ160mの室内においてトイレシートを開放した状態で行い、パネラー5人によって以下の判断基準で行った。
◎:5人中5人が、尿臭は気にならないと評価
○:5人中3〜4人が、尿臭は気にならないと評価
△:5人中2〜3人が、尿臭が気になると評価
×:5人中4人以上が、尿臭が気になると評価
【0059】
【表2】
【0060】
表2に示す結果から明らかなとおり、各実施例で得られたペット用トイレシートは、比較例で得られたペット用トイレシートに比べて、初期の消臭効果に優れていることが判る。特に、実施例1ないし3と実施例4ないし6との対比から明らかなとおり、消臭成分として殺菌剤、吸着剤及び中和剤の3種の組み合わせを用いた実施例1ないし3は、その組み合わせを用いていない実施例4ないし6に比較して1週間後の消臭効果にも優れていることが判る。
【符号の説明】
【0061】
1 ペット用トイレシート
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 周縁接合部
6 吸収性コア
7 第1被覆シート
8 第2被覆シート
図1
図2
図3
図4