(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
面ファスナーのループ面を有する織物で織成され、着用者の手首に巻回される巻回部及び前記着用者の手の甲又は手の平から手首まで配置される支持部からなる帯状の本体部と、
当該本体部とは別部材の織物とされ、本体部の一端に両端を接合されて環状に形成され、前記着用者の手の指が挿通されるアンカー部と、
前記本体部の他端に接合され、前記本体部のループ面に脱着する面ファスナーのフック面を有する係着部と、
を備え、
前記本体部は、長手方向に伸縮性を有し、前記支持部が本体部の一端側に配設され、前記巻回部が本体部の他端側に配設され、かつ、支持部と巻回部が同幅の直線状であり、
前記アンカー部は、周方向に伸縮性を有し、
アンカー部の周方向の最大伸度が、本体部の長手方向の最大伸度より大きいことを
特徴とする手関節用バンデージ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明の第1の実施形態)
本発明において、バンデージとは「経糸方向に伸縮性を有する帯状織物を主材とし、当該帯状織物が身体の一部に巻回されることで、当該身体の機能を補助することができるもの」を意味し、このような効力を有するものであれば、バンデージと表現されていなくても(例えば、テーピングサポーター、サポーターバンドなど)本発明のバンデージの範囲内である。
本発明の手関節用バンデージ100は、
図1〜
図4に示すように、面ファスナーのループ面13を有する織物で織成され、着用者の手首に巻回される巻回部11及び着用者の手の甲又は手の平から手首まで張った状態で配置される支持部12からなる帯状の本体部10と、本体部10の一端10aに接合され、着用者の手の指が挿通されるアンカー部20と、本体部10の他端10bに接合され、本体部10のループ面13に脱着する面ファスナーのフック面33を有する係着部30と、を備える。なお、手関節用バンデージ100は、着用者の左手又は右手の手首に着用可能な左右兼用である。
【0012】
本体部10は、ニードル織機やジャカードニードル織機などの力織機により、経糸1及び緯糸2を組み合わせて織成され、経糸方向(長手方向L)に伸縮性を有し、緯糸方向(幅方向W)の伸縮性を抑制した細幅の伸縮織物からなる。
更に本体部10は、着用者の手首に巻回される巻回部11と着用者の手の甲又は手の平から手首まで張った状態で配置される支持部12から構成され、支持部12が本体部10の一端10a側に配設され、巻回部11が本体部10の他端10b側に配設され、かつ、支持部12と巻回部11が同幅の直線状である。
【0013】
また、本体部10の経糸1は、
図5に示すように、緯糸2と共に織物の一の面(例えば、裏地面)を構成する経地糸1aと、経糸方向で隣り合う複数の緯糸2上に浮いて織物の他の面(例えば、表地面)にループを形成するパイル糸1bと、経糸方向に伸縮性を与える弾性糸1cと、を備える。以後、本明細書においてループ面13を有する面を「表地面」と称し、その背面を「裏地面」と称する。
緯糸2は、経地糸1aと共に織物の裏地面を構成する緯地糸2aと、緯地糸2aに並設される熱融着性を有する融着糸2bと、を備え、1本の緯地糸2a及び1本の融着糸2bを並設して1本の緯糸2として構成される。なお、
図5及び
図6においては、1本の緯地糸2a及び1本の融着糸2bを1本の緯糸2として図示している。また、
図5(b)及び
図5(b)においては、並設される緯糸2を基準にして、上側が表地面となり、下側が裏地面となる。
【0014】
また、本体部10は、ジャカードニードル織機を用いることにより、経糸方向(長手方向L)で隣り合う複数の緯糸2に対して、経糸1の経地糸1aを表地面側に浮かせ、経糸1のパイル糸1bを裏地面側に沈ませて、
図2に示すように、自由に開口するジャガード組織にて、文字、図形若しくは記号又はこれらの結合からなる紋様14を表地面に部分的に形成することができ、紋様14の領域を除き、表地面の略全面にループ(ループ面13)を有することになる。
【0015】
次に、
図5を用いて本実施形態に係る本体部10の織物組織の一例を説明する。すなわち、ループ面13をなす経地糸1aは、
図5(b)に示すように、1本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して上側と通って浮き、隣り合う3本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)との1−3の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
また、ループ面13をなすパイル糸1bは、
図5(b)に示すように、隣り合う6本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して上側を通って浮き、隣り合う2本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して下側を通って沈み、隣り合う2本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して上側を通って浮き、隣り合う2本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)との6−2−2−2の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
また、ループ面13をなす弾性糸1cは、
図5(b)に示すように、1本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して浮き、1本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して沈む、緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)との1−1の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
なお、
図5に示す経地糸1a、パイル糸1b及び弾性糸1cによる織物組織は、一例であり、表地面にループ(ループ面13)を有することができるのであれば、この織物組織に限られるものではない。
【0016】
続いて、
図6を用いて本実施形態に係る本体部10に形成する紋様14の織物組織の一例を説明する。すなわち、紋様14をなす経地糸1aは、
図6(b)に示すように、隣り合う3本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して上側を通って浮き、1本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)との3−1の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
また、紋様14をなすパイル糸1bは、
図6(b)に示すように、隣り合う2本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して下側を通って沈み、隣り合う2本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して上側を通って浮く、緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)との2−2の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
また、紋様14をなす弾性糸1cは、
図6(b)に示すように、1本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して上側を通って浮き、1本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)との1−1の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
なお、
図6に示す経地糸1a、パイル糸1b及び弾性糸1cによる織物組織は、一例であり、表地面のループ面13の間に紋様14を形成することができるのであれば、この織物組織に限られるものではない。
【0017】
また、本体部10は、経糸1及び緯糸2の材質(特に、弾性糸1c及び緯地糸2aの太さ)並びに緯糸2の打込み回数(本数)により、経糸方向(長手方向L)の最大伸度を自在に調整することが可能である。本発明において最大伸度とは、「最高荷重で引き伸ばしたときの最長の長さ(伸び寸法)と元の長さ(置き寸法)との差の、元の長さに対する百分率」を示す。
【0018】
特に、本実施形態に係る本体部10の経糸方向(長手方向L)の最大伸度は、後述の官能評価の総合的判断の結果から、40%〜80%に設定することが好ましく、45%〜75%がより好ましく、60%が最も好ましい。
【0019】
ここで、最大伸度を60%に設定した本体部10の実施形態について説明する。本実施形態に係る本体部10の経地糸1aは、太さ100番手のウーリーナイロン双糸が好ましく、本実施形態に係る本体部10には、132本のウーリーナイロン双糸を用いるのが好ましい。
また、本実施形態に係る本体部10のパイル糸1bは、10本のナイロンフィラメントを撚り合わせて熱を加えて、さらに10本のナイロンフィラメントの撚り方向と反対方向に撚り加工した太さ210デニールの特殊加工糸(210D−10F)であり、本実施形態に係る本体部10には、132本の特殊加工糸(210D−10F)を用いるのが好ましい。
また、本実施形態に係る本体部10の弾性糸1cは、太さ560デニールのポリウレタン糸が好ましく、本実施形態に係る本体部10には、36本のポリウレタン糸を用いるのが好ましい。
【0020】
すなわち、前述の経糸1の材質における本体部10は、例えば、幅が5cmであれば、経糸1(経地糸1a、パイル糸1b、弾性糸1c)による経密度が、1485.6D/mm(=((210D×132本)+(100D×2本×132本)+(560D×36本))/50mm)である。
【0021】
なお、本実施形態に係る本体部10のパイル糸1bは、フィラメントカウントが10本であることにより、フィラメントカウントがローカウント(例えば、7本)の場合と比較して、密集するフィラメントの接着力が高く、織物(本体部10)の風合いが柔らかいという利点がある。
また、本実施形態に係る本体部10の弾性糸1cは、太さを560デニールにすることにより、太い弾性糸(例えば、1120デニール)の場合と比較して、織物(本体部10)の厚みを薄くして織物自体を柔らかくすることができる。
【0022】
さらに、本実施形態に係る本体部10の緯地糸2aは、太さ150デニールのポリエステルウーリー糸(EW:polyester woolly)1本を用いるのが好ましい。
また、本実施形態に係る本体部10の融着糸2bには、太さ100デニールのナイロン熱融着糸(例えば、東レ株式会社製「エルダー(登録商標)」)1本を用いることが好ましい。
また、本実施形態に係る本体部10には、力織機により1本の緯地糸2a及び1本の融着糸2bが緯糸2として同時に打込まれ、緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)の打込み回数(本数)が2.54cm(1インチ)当り36.9回(各36.9本)である。
【0023】
すなわち、前述の緯糸2の材質及び打込み回数(本数)における本体部10は、緯糸2(ポリエステルウーリー糸、ナイロン熱融着糸)による緯密度が、9225D/インチ(=(150D+100D)×36.9回/インチ)である。
なお、本実施形態に係る本体部10の緯糸2の緯地糸2aは、太さを150デニールにすることにより、太い緯糸の緯地糸(例えば、300デニール)の場合と比較して、織物(本体部10)の厚みを薄くすることができる。
【0024】
このように、本実施形態に係る本体部10は、前述の経糸1及び緯糸2の材質(特に、弾性糸1c及び緯地糸2aの太さ)並びに緯糸2の打込み回数(本数)により、経糸方向(長手方向L)の最大伸度を60%に設定することができる。
【0025】
なお、本実施形態に係る弾性糸1cの太さについては、560デニールを一例として挙げてきたが、本発明において、入手(量産)可能な1ランク下の太さの420デニールや1ランク上の太さの1120デニールを選択し、前述の緯糸2の太さ及び打込み回数(本数)を変更してもよい。すなわち、本実施形態に係る弾性糸1cの太さは、420デニール〜1120デニールであれば、本体部10の経糸方向の最大伸度を前記範囲内の最大伸度に設定することが可能である。
【0026】
また、本実施形態に係る緯糸2の緯地糸2aの太さについては、150デニールを一例として挙げてきたが、本発明において、入手(量産)可能な1ランク下の太さの100デニールや1ランク上の太さの300デニールを選択し、前述の弾性糸1cの太さ及び緯糸2の打込み回数(本数)を変更してもよい。すなわち、本実施形態に係る緯糸2の緯地糸2aの太さは、100デニール〜300デニールであれば、本体部10の経糸方向の最大伸度を前記範囲内の最大伸度に設定することが可能である。
【0027】
また、本実施形態に係る緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)の打込み回数(本数)については、2.54cm(1インチ)当り36.9回(各36.9本)を一例として挙げてきたが、本発明において、2.54cm当り32.8回(各32.8本)〜41.0回(各41.0本)を選択し、前述の弾性糸1c及び緯糸2の太さを変更してもよい。すなわち、本実施形態に係る緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)の打込み回数(本数)は、2.54cm当り32.8回(各32.8本)〜41.0回(各41.0本)であれば、本体部10の経糸方向の最大伸度を前記範囲内の最大伸度に設定することが可能である。
【0028】
なお、本体部10の厚みは、厚すぎる場合に、着用者の身体の一部にバンデージを巻回する際に嵩張り巻き難くなり、薄すぎる場合に、バンデージの織物自体が折れ易く所望の固定力が得られない。このために、本体部10の厚みは、バンデージを巻回し易く、所望の固定力が得られる厚みに設定することが好ましく、例えば、本体部10の経糸方向(長手方向L)の最大伸度が60%であれば、3mm以下に設定することが好ましい。
【0029】
また、本実施形態に係る本体部10には、着用者の手首に本体部10を巻回した場合に外側となる面(表地面)にループ面13を配設しているので、本体部10に配設した係着部30(フック面33)は、脱着の容易性及び係着位置の自由度から、本体部10の他端10bの裏地面側に配設する。
【0030】
また、本体部10は、着用者の手の甲又は手の平を支持する部分(支持部12)の長さと、着用者の手首を保護するために、着用者の手首を少なくとも一周する部分(巻回部11)の長さが必要であり、性別や年齢等により手の大きさに個人差はあるが、例えば、28cm〜33cmの長さに設定することが好ましい。また、本体部10は、着用者の腱鞘炎の治療(手関節の固定)を効果的に行なうために、ある程度の幅を要し、例えば、3cm〜7cmに設定することが好ましい。
【0031】
アンカー部20は、着用者の手の指を挿通させることにより、着用者の手関節に対して手関節用バンデージ100を位置決めすると共に、着用者の手首に対する本体部10の巻回方向の回転移動を抑制して位置ずれを防止するものである。
【0032】
アンカー部20は、ニードル織機やジャカードニードル織機などの力織機により、経糸1及び緯糸2を組み合わせて織成され、経糸方向(周方向、長手方向)に伸縮性を有し、緯糸方向(幅方向)の伸縮性を抑制した細幅の伸縮織物からなる。なお、本実施形態に係るアンカー部20は、紋様14を形成しないため、ニードル織機により織成される。
【0033】
また、アンカー部20の経糸1は、緯糸2と共に織物の一の面(例えば、裏地面)を構成する経地糸1aと、経糸方向に伸縮性を与える弾性糸1cと、を備える。
【0034】
なお、本実施形態に係るアンカー部20の経地糸1aは、太さ70番手のウーリーナイロン双糸が好ましく、本実施形態に係るアンカー部20には、184本のウーリーナイロン双糸を用いるのが好ましい。
また、本実施形態に係るアンカー部20の弾性糸1cは、太さ840デニールのポリウレタン糸が好ましく、本実施形態に係るアンカー部20には、27本のポリウレタン糸を用いるのが好ましい。
【0035】
すなわち、前述の経糸1の材質におけるアンカー部20は、例えば、幅が3cmであれば、経糸1(経地糸1a、弾性糸1c)による経密度が、1614.66D/mm(=((70D×2本×184本)+(840D×27本))/30mm)である。
【0036】
さらに、本実施形態に係るアンカー部20の緯地糸2aには、太さ150デニールのポリエステルウーリー糸1本を用いることが好ましく、本実施形態に係るアンカー部20には、緯糸2(緯地糸2a)の打込み回数(本数)が2.54cm(1インチ)当り33.9回(33.9本)である。
【0037】
すなわち、前述の緯糸2の材質及び打込み回数(本数)におけるアンカー部20は、緯糸2(ポリエステルウーリー糸)による緯密度が、5085D/インチ(=150D×33.9回/インチ)である。
【0038】
このように、本実施形態に係るアンカー部20は、前述の経糸1及び緯糸2の材質(特に、弾性糸1c及び緯地糸2aの太さ)並びに緯糸2の打込み回数(本数)により、周方向(長手方向、経糸方向)の最大伸度を240%としているが、一般的にアンカー部20の最大伸度は、200%〜280%に設定することが好ましい。
【0039】
また、手関節用バンデージ100は、アンカー部20の周方向(長手方向、経糸方向)の最大伸度が本体部10の長手方向L(経糸方向)の最大伸度よりも大きいことにより、アンカー部20の柔軟性を持たせつつ、本体部10の緊締力により手関節を固定して手関節の安定性を向上し、手関節への負担を軽減することができる。
【0040】
また、本実施形態に係るアンカー部20は、伸縮織物である帯状体の両端を本体部10の一端10aに接合(例えば、縫合)して環状に形成されることにより、本体部10と別部材として、周方向(長手方向、経糸方向)の最大伸度を本体部10の長手方向L(経糸方向)の最大伸度と異ならせたうえで、手関節用バンデージ100を簡易に製造することができる。
特に、本実施形態に係るアンカー部20は、本体部10との接合により、
図3(e)に示すように、本体部10の表地面側が小径部とし、本体部10の裏地面側が大径部とする先細状の略円錐筒となる。これにより、手関節用バンデージ100は、着用者の手の指がアンカー部20に挿入された場合に、アンカー部20の内側面が手の指の付け根の形状にフィットして、アンカー部20における浮きや皺の発生を抑制することができる。
【0041】
また、アンカー部20と本体部10の一端10aとの接合部40は、本体部10の幅方向Wの長さよりも長くアンカー部20側を凸にして縫製される。特に、本実施形態に係る本体部10の一端10aは、
図1に示すように、例えば、頂角を約135度とする2つの斜辺の長さが等しい山型(略くの字状)に突出しており、一の斜辺にアンカー部20の一端21が縫製され、他の斜辺にアンカー部20の他端22が縫製されているが、前記頂角は、120度〜150度の範囲に設定することが好ましい。
【0042】
このように、手関節用バンデージ100は、接合部40がアンカー部20に向けて凸状に縫製されることにより、手関節用バンデージ100を着用者の手首に巻回する場合に、本体部10の巻回(牽引)方向に対応して、接合部40での捩れを吸収し、接合部40近傍の浮きや皺の発生を抑制することができる。
【0043】
なお、縫製の種類には、フラットシーマ(四本針縫製)、オーバーロック、三点千鳥などがあるが、本実施形形態に係る接合部40は、合わせ部分が薄くなり、縫い目を抑え込む力で縫い目が平らで丈夫に仕上がり、山型裁断により立体に沿い易く、生地裏面に縫い代がないために肌に縫製箇所が当たらず着用感が良好であるというメリットを有するフラットシーマで縫製される。
【0044】
また、アンカー部20は、着用者の1本又は複数本の手の指を挿入するために、ある程度の長さが必要であり、例えば、7cm〜11cmの長さに設定することが好ましい。また、アンカー部20の幅が狭い場合には、着用者が手関節用バンデージ100を着用する際に、本体部10からの引張り応力により、アンカー部20から手の指の係止部分に掛かる圧力が高くなり、手の指に痛みを生じさせる場合がある。このため、アンカー部20の幅は、ある程度の幅が必要であり、例えば、2cm〜4cmに設定することが好ましい。
【0045】
本実施形態に係る係着部30は、例えば、
図1(b)に示すように、長方形と等脚台形とを組み合わせた平面形状であり、長方形部分31が本体部10の裏地面に縫製され、等脚台形部分32が本体部10の他端10bから突出している。このように、係着部30は、等脚台形部分32が本体部10の他端10bから突出していることにより、本体部10と重畳しない分だけ薄くなり、等脚台形部分32を着用者の手の指で把持させ易くし、本体部10のループ面13に対してフック面33を容易に脱着することができる。
【0046】
つぎに、
図1及び
図3に示す手関節用バンデージ100の着用方法について、
図4を用いて説明する。
なお、以下の説明においては、着用者の左手に手関節用バンデージ100を着用する場合について説明するが、着用者の右手に手関節用バンデージ100を着用する場合は、本体部10の手首への巻回方向が逆方向になる以外は、左手の着用方法と同様である。
【0047】
着用者は、
図4(a)に示すように、左手の手の平が見える状態で、手関節用バンデージ100のアンカー部20を手の第1指(母指、親指)に掛ける(アンカー部20に手の第1指を挿通する)。
そして、着用者は、右手で本体部10の他端10bを把持しながら本体部10を牽引し、左手の第1指の付け根から尺骨頭に対応する部分にかけて手の甲側で伸長状態の本体部10(支持部12)を配置させる。なお、伸長状態とは、着用者が手関節用バンデージ100を着用後に巻回位置を微調整可能にする伸び代を有する状態を示す。
そして、着用者は、
図4(b)及び
図4(c)に示すように、伸長状態の本体部10(巻回部11)を左手の尺骨頭に対応する部分から手首を周回させた後、
図4(d)及び
図4(e)に示すように、本体部10の他端10bにある係着部30のフック面33を本体部10(巻回部11)のループ面13に係着させて、完了する。
【0048】
なお、前述の手関節用バンデージ100の着用方法においては、アンカー部20に挿通させる着用者の手の指を第1指として説明したが、他の手の指(第2指(示指、ひとさし指)、第3指(中指)、第4指(薬指)、第5指(小指))を1本又は複数本をアンカー部20に挿通させて着用することも可能である。
また、前述の手関節用バンデージ100の着用方法においては、手の甲側から本体部10を巻回する場合について説明したが、第1指を手の甲側に反らすことが出来ない場合は、手の平側から本体部10を逆方向に巻回して着用することも可能である。
【0049】
つぎに、本実施形態に係る手関節用バンデージ100の本体部10における経糸方向の最大伸度の最適な範囲について、試用試験の試験結果に基づいて説明する。
なお、試用試験には、
図1に示すように、下記の表1に示す経糸1及び緯糸2の材質並びに緯糸2の打込み回数(本数)により織成された最大伸度が45%、60%又は75%である本体部10(長さ:33cm、幅:5cm)と、アンカー部20と、係着部30と、を備えた手関節用バンデージ100(以下、実施例1、実施例2及び実施例3とそれぞれ称す)を作製して使用した。
また、最大伸度が35%又は90%である本体部10(長さ:33cm、幅:5cm)を用いて、上記実施例と同様に手関節用バンデージ(以下、比較例1及び比較例2とそれぞれ称す)を作製して、試用試験に使用した。
さらに、下記の表1に示す経糸1及び緯糸2の材質並びに緯糸2の打込み回数(本数)からなる市販の手関節用バンデージ(以下、比較例3と称す)を用いて、試用試験に使用した。
なお、比較例3は、面ファスナーとしてのループ面を有していないため、経糸におけるパイル糸及び緯糸における融着糸を備えていない。
【0051】
試用試験は、
図4に示すように、着用者の左手に手関節用バンデージを着用し、
図7の評価項目における着用者の効果感の官能評価(計5人)を実施した。評価方法は、先ずは各着用者にて各評価項目に対する官能評価を3段階(3:とても良い、2:良い、1:悪い)で点数化して、各評価項目における着用者全員(5人)の平均点を算出した。その後、実施例1〜3及び比較例1〜3について、各評価項目の合計点及び平均点を算出して、総合的に平均点が2点以上を及第点と判断した。
【0052】
なお、
図7の評価項目「固定力」は、手関節の掌屈又は背屈の可動域抑制力であれば、荷物の持ち運び、電車若しくはバスの吊り革を使用する場合、スポーツ時、布団干し、又は、自動二輪車のクラッチなどの動作における必要以上に力を使う掌屈又は背屈の可動域の抑制を想定している。
また、橈屈又は尺屈の可動域抑制力であれば、フライパンを左右に振る、コップを持つ、釣竿を振る、スポーツ時などの動作における必要以上に力を使う橈屈又は尺屈の可動域の抑制を想定している。
【0053】
さらに、
図7の評価項目「痛み」について、織物の圧迫力による痛みであれば、織物の最大伸度が小さい場合は、筋肉又は関節の動きや皮膚の伸び縮みに織物が追従できず、圧迫力をより強く感じて痛みを覚え易いと考えられ、織物の最大伸度が大きい場合は、可動域を抑制する固定力が弱くなると考えられる。
また、織物の硬さによる擦れの痛みであれば、織物の最大伸度が小さい場合は、筋肉や皮膚の動きに追従できないため、織物と皮膚が擦れて痛みを感じ易いと考えられ、織物の最大伸度が大きい場合は、筋肉や肌に対して添うように織物が伸びるため、肌へのトラブルが少ないと考えられる。
【0054】
また、
図7の評価項目「面ファスナーの剥がし易さ」について、面ファスナーが剥がし易いということは、非力な着用者にも面ファスナーの着脱使用に支障が無いと共に、面ファスナーのループ面を有する織物自体が硬くて型崩れし難いことになる。
また、面ファスナーが剥がし難いということは、着用者の運動時に、バンデージの着用部位における関節の可動や筋肉の膨張により、面ファスナーのフック面がループ面から外れることが無い反面、面ファスナーのフック面及びループ面間の強い係着力により、面ファスナーのループ面を有する織物からパイル糸を引っ張り出し、面ファスナーを剥がした場合に、パイル糸が織物から突出して織物の毛羽立ちを生じさせることになる。
【0055】
さらに、
図7の評価項目「織物の密着性」について、織物の最大伸度が小さい場合は、筋肉や皮膚の動きに追従できないため、生地が密着せずに肌抵抗が減少し、バンデージの効果を弱めると考えられ、織物の最大伸度が大きい場合は、生地と肌が密着して固定され易く、肌や筋肉の動きにフィットし、バンデージの効果を得易いと考えられる。
【0056】
また、
図7の評価項目「巻き易さ」について、織物の最大伸度が小さい場合は、肌の曲面に沿い難く、本体部10の巻回が困難である。また、織物の最大伸度が大きい場合は、織物と肌が密着して固定され易く、肌や筋肉の動きにフィットし易いが、本体部10の伸びの限界点が感じ難いため、本体部10の巻回数が多くなり、本体部10の巻回が困難となる。
【0057】
また、
図7の評価項目「固定力の調整のし易さ」について、織物の最大伸度が小さい場合は、強固な固定に適しているが、固定力の調整可能な範囲が狭いため、非力な着用者にとって固定力の調整が難しくなる。
【0058】
さらに、
図7の評価項目「織物の折れ難さ」について、織物の最大伸度が小さい場合は、織目が詰まっているため、織物の腰も有り、織物が折れ難い。また、織物の最大伸度が大きい場合は、織目が空いているため、織物が折れ易い織組織であり、織物が折れることで本体部10の構造が弱くなると考えられる。
【0059】
以上のような評価項目において、実施例2は、
図7に示すように、ほぼ全ての評価項目において良好な評価結果を得ている。
また、実施例3は、固定力が弱いものの、他の評価項目において良好な評価結果を得ている。
また、実施例1は、痛みが有り、織物の密着性が悪いものの、他の評価項目において良好な評価結果を得ている。これに対し、比較例1、比較例2及び比較例3は、ほとんどの評価項目において悪い評価結果を得ている。
以上より、総合的な評価結果としては、平均点が2点以上である実施例1(最大伸度45%)、実施例2(最大伸度60%)及び実施例3(最大伸度75%)が、本体部10として、最適であることがわかる。
すなわち、本実施形態に係る手関節用バンデージ100の本体部10における経糸方向の最大伸度は、40%〜80%が好ましく、45%〜75%がより好ましく、60%が最も好ましい。
【0060】
つぎに、本実施形態に係る手関節用バンデージ100の本体部10について、面ファスナーの耐久性試験(はく離強さ)の試験結果に基づいて説明する。
なお、面ファスナーの耐久性試験(はく離強さ)では、前述の官能評価の評価結果により、最も好ましい結果であった実施例2(経糸方向の最大伸度が60%の本体部10)を基準にして、他の伸縮織物と比較した。また、比較例としては、前述の官能評価に使用した比較例3に加えて、下記の表2に示す経糸1及び緯糸2の材質並びに緯糸2の打込み回数(本数)からなる市販の伸縮織物(以下、比較例4及び比較例5とそれぞれ称す)を用いた。
【0062】
なお、実施例2と比較例3〜5との大きな相違点は、パイル糸のフィラメントカウントの相違であり、実施例2の10本に対し、比較例4が7本であり、比較例5が15本であり、比較例3がパイル糸を使用していない(面ファスナーのループ面を有していない)。
【0063】
面ファスナーの耐久性試験(はく離強さ)は、日本工業規格のJIS L3416「面ファスナ」の7.4.2「はく離強さ」に準拠し、1000回の接着・はく離の繰り返しを行なった実験結果を下記の表3に示す。
【0065】
実施例2は、表3に示すように、保持率(初期のはく離強さに対する耐久試験後のはく離強さの百分率)が比較例3〜5と比較して最も高く、手首に巻回して面ファスナーのフックで係着させる手関節用バンデージ100に使用する本体部10として最適であることがわかる。
特に、実施例2は、耐久試験後のはく離強さが初期のはく離強さに対して大きくなっている(保持率が100%を超える)ため、手関節用バンデージ100として長期間継続的に使用するうえで有利である。
なお、パイル糸のフィラメントカウントが多いことは、面ファスナーのフックがループに係着し易くなり、保持率が高くなる一方、最大伸度が低くなる。
比較例5は、パイル糸のフィラメントカウントが実施例2のパイル糸のフィラメントカウントよりも多いのであるが、外観の毛羽立ちを防ぐために樹脂加工が施されているため、面ファスナーのフックがループに係着し難くなり、初期のはく離強さ及び保持率が、実施例2の初期のはく離強さ及び保持率よりも低くなっている。
【0066】
以上のように、手関節用バンデージ100は、本体部10で着用者の手関節を固定し、手の甲側から巻回する場合には、着用者の手関節の掌屈を制限し、手の平側から巻回する場合には、着用者の手関節の背屈を制限して、手関節の安定性を確保することができると共に、手関節に位置する腱に掛かる負荷を軽減することができる。
【0067】
特に、手関節用バンデージ100を着用していない場合には、手関節に疼痛があると、手関節への過負荷を代償する肘関節などにも負担が掛かり、二次的な疼痛を誘発する恐れがある。このため、手指や手関節を使用する頻度が高く、肘や肩関節前面に疼痛がある人は、手関節用バンデージ100の着用により、手関節の疼痛から連鎖的に生じる肘及び肩関節の疼痛を軽減することができる。
【0068】
なお、手関節の運動には、掌屈及び背屈の他に、橈屈及び尺屈があり、この橈屈及び尺屈は、日常生活で頻回に使用する動作であり、この動作に伴い、手から親指に向かって伸びている腱の炎症であるド・ケルヴァン症候群の発生頻度は高い。これに対し、手関節用バンデージ100は、着用者の手関節の橈屈及び尺屈を制限することにより、ド・ケルヴァン症候群の予防や改善が期待できる。
【0069】
また、
図2に示す手関節用バンデージ100は、例えば、本体部10及びアンカー部20の経糸1の経地糸1aに緑色の糸を使用し、本体部10の経糸1のパイル糸1bに黒色の糸を使用し、本体部10及びアンカー部20の経糸1の弾性糸1cに黒色の糸を使用し、本体部10及びアンカー部20の緯糸2に黒色の糸を使用すると共に、
図6に示すように、共通の緯糸2に対して経地糸1aを浮かせパイル糸1bを沈ませることにより、黒色の表地面に緑色の紋様14が形成され、本体部10の表地面の紋様14に対応する本体部10の裏地面の部分が黒色として本体部10の緑色の裏地面に表れる。
なお、手関節用バンデージ100は、これらの色彩に限られるものではなく、例えば、本体部10の経糸1のパイル糸1bに虹色の七色(赤、橙、黄、緑、青、藍、紫)のいずれか一色の糸を使用し、本体部10の紋様14を除く表地面を虹色のいずれか一色にすることが考えられる。これにより、手関節用バンデージ100は、七色のカラーバリエーションの商品群により、需要者の購買意欲を発揮させることができる。
また、手関節用バンデージ100は、例えば、本体部10の経糸1のパイル糸1bに蛍光色の糸を使用して本体部10の紋様14を除く表地面を蛍光色にすることにより、需要者の購買意欲を発揮させると共に、夜間の外出時に着用することで、自動車等のヘッドライトに照らされて目立ち、安全防災面にも寄与することが期待できる。
【0070】
なお、本実施形態に係る本体部10は、面ファスナーのループ面13を有する場合について説明したが、面ファスナーのループ面13を有しない伸縮織物であってもよい。
この場合に、本体部10は、ループ面13をなすパイル糸1bを必要とせず、パイル糸1bによるループを保持する融着糸2bを必要としない。
特に、本実施形態に係る本体部10は、経糸1を構成するパイル糸1bの替わりに、前述の経地糸1a(以下、第1の経地糸1aと称す)に対して緯糸2との交差浮沈を逆に対応させた経地糸1a(以下、第2の経地糸1dと称す)を用いている。
【0071】
すなわち、経糸1は、
図8に示すように、緯糸2と共に織物の一の面(例えば、裏地面)を構成する第1の経地糸1aと、経糸方向に伸縮性を与える弾性糸1cと、緯糸2と共に織物の他の面(例えば、表地面)を構成する第2の経地糸1dと、を備える。
また、緯糸2は、第1の経地糸1aと共に織物の裏地面を構成する緯地糸2aを備える。
なお、
図8(b)及び
図9(b)においては、並設される緯糸2を基準にして、上側が表地面となり、下側が裏地面となる。
【0072】
また、本体部10は、ジャカードニードル織機を用いることにより、経糸方向(長手方向L)で隣り合う複数の緯糸2に対して、経糸1の第1の経地糸1a(例えば、緑色の糸)を表地面側に浮かせて(第2の経地糸1d(例えば、黒色の糸)を裏地面側に沈ませて)、自由に開口するジャガード組織にて、文字、図形若しくは記号又はこれらの結合からなる紋様14を表地面に部分的に形成することができる。
【0073】
次に、
図8を用いて本実施形態に係る織物組織の一例を説明する。すなわち、第1の経地糸1aは、
図8(b)に示すように、1本の緯糸2(緯地糸2a)に対して上側を通って浮き、隣り合う3本の緯糸2(緯地糸2a)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a)との1−3の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
また、弾性糸1cは、
図8(b)に示すように、1本の緯糸2(緯地糸2a)に対して上側を通って浮き、1本の緯糸2(緯地糸2a)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a)との1−1の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
また、第2の経地糸1dは、
図8(b)に示すように、隣り合う3本の緯糸2(緯地糸2a)に対して上側を通って浮き、1本の緯糸2(緯地糸2a)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a)との3−1の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
なお、
図8に示す第1の経地糸1a、弾性糸1c及び第2の経地糸1dによる織物組織は、一例であり、この織物組織に限られるものではない。
【0074】
続いて、
図9を用いて本実施形態に係る紋様部分の織物組織の一例を説明する。すなわち、紋様14をなす第1の経地糸1aは、
図9(b)に示すように、隣り合う3本の緯糸2(緯地糸2a)に対して上側を通って浮き、1本の緯糸2(緯地糸2a)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a)との3−1の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
また、紋様14をなす弾性糸1cは、
図9(b)に示すように、1本の緯糸2(緯地糸2a)に対して上側を通って浮き、1本の緯糸2(緯地糸2a)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a)との1−1の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
また、紋様14をなす第2の経地糸1dは、
図9(b)に示すように、1本の緯糸2(緯地糸2a)に対して上側を通って浮き、隣り合う3本の緯糸2(緯地糸2a)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a)との1−3の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
なお、
図9に示す第1の経地糸1a、弾性糸1c及び第2の経地糸1dによる織物組織は、一例であり、表地面に紋様14を形成することができるのであれば、この織物組織に限られるものではない。
【0075】
ここで、本体部10が面ファスナーのループ面13を有しない伸縮織物であり、最大伸度を60%(1.60倍±0.1)に設定した実施形態について説明する。
【0076】
本実施形態に係る本体部10の第1の経地糸1a及び第2の経地糸1dは、太さ100デニールのウーリーナイロン双糸が好ましく、本実施形態に係る本体部10には、152本のウーリーナイロン双糸を第1の経地糸1a及び第2の経地糸1dにそれぞれ用いるのが好ましい。
【0077】
また、本実施形態に係る本体部10の弾性糸1cは、太さ560デニールのポリウレタン糸(例えば、東レ・オペロンテックス株式会社のポリウレタン弾性繊維「ライクラ(登録商標)ファイバー」)に2本の太さ150デニールのポリエステルウーリー(EW:polyester woolly)単糸をカバーリングしたカバーリング糸が好ましく、本実施形態に係る本体部10には、41本のカバーリング糸を用いるのが好ましい。
【0078】
また、本実施形態に係る本体部10の緯地糸2aは、太さ150デニールのポリエステルウーリー糸(EW)1本を用いるのが好ましい。
さらに、本実施形態に係る本体部10には、力織機により1本の緯地糸2aが緯糸2として打込まれ、緯糸2(緯地糸2a)の打込み回数(本数)が2.54cm(1インチ)当り33.6回(33.6本)である。
【0079】
このように、本実施形態に係る本体部10は、前述の経糸1及び緯糸2の材質(特に、弾性糸1c及び緯地糸2aの太さ)並びに緯糸2の打込み回数(本数)により、経糸方向(長手方向L)の最大伸度を60%に設定することができる。
なお、本実施形態に係る本体部10は、ナイロン47%、ポリエステル44%、ポリウレタン9%の混率であるが、この混率に限られるものではない。
【0080】
ここで、本実施形態に係る手関節用バンデージ100は、着用者の手首に本体部10を巻回させた後に、本体部10の他端10bにある係着部30(面ファスナーのフック面33)を本体部10に係着させる必要がある。
このため、面ファスナーのループ面13を有しない本体部10を手関節用バンデージ100に使用する場合には、係着部30が係着する本体部10(巻回部11)の表地面の対応範囲に、面ファスナーのループ面を有する別部材を配設することになる。
特に、本体部10に別部材を配設する場合には、別部材により本体部10の伸縮が阻害されることになるが、着用者の手首で親指を基準に一周した後の巻回部11の一部の領域では、巻回部11の伸縮をあまり必要としないため、この巻回部11の領域に別部材を配設させることが好ましい。
【0081】
また、本実施形態に係る手関節用バンデージ100は、素肌に直接巻回する場合について説明したが、例えば、国際公開第2011/090192号パンフレットに開示される手関節サポーターや手袋を着用した手関節に対して、手関節サポーター上や手袋上に巻回することにより、素肌に対する手関節用バンデージ100の滑りを無くし、手関節用バンデージ100の作用効果を向上することができる。
なお、手関節用バンデージ100を手袋上に巻回する場合には、手関節用バンデージ100と手袋とをセットにすることもできる。
また、手関節用バンデージ100を手袋(最大伸度が低い手袋が好ましい)上に巻回する場合には、手関節用バンデージ100の一態様として、手関節用バンデージ100のアンカー部20を本体部10から取り除き、本体部10の一端10aを手袋の親指の付け根近傍に縫製することにより、手袋の親指をアンカー部20として機能させることができる。