(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内周面に平坦な側面を形成してなるターミナル座を有する有底筒状のエンドケースの内側から前記ターミナル座を貫通して外部に突出するように設けられ、前記エンドケースの内側に四角形状の頭部を有するターミナルボルトと、
前記ターミナル座に設けられ、前記頭部の外周部を取り囲むように四角形状に形成された額縁部を有すると共に、前記額縁部の両端の開口のうち、一方の開口を閉塞して前記ターミナル座に当接する底壁を有し、前記頭部の回転を阻止して保持する絶縁性の端子インシュレータと、
前記エンドケースの底面であり、前記額縁部の外周面の一辺に当接する受板と、
少なくとも前記額縁部の前記受板と当接する前記一辺と前記ターミナルボルトの前記頭部との間に設けられ、前記頭部よりも軟らかい板状で導電性を有する金属からなる中間部材と、
前記エンドケースが取付けられるモータケースと、
前記エンドケース及び前記モータケースに回転自在に支持され、コンミテータを有するアーマチュアと、
前記コンミテータに摺接される複数のブラシと、
を備え、
前記額縁部の前記受板と当接する一辺を除いた他の辺と、前記頭部及び前記中間部材と、の間に、クリアランスが設定されており、
前記中間部材は、
前記底壁に当接するように配置される裏壁部と、
該裏壁部における前記アーマチュアの回転軸方向両端から前記額縁部の内側面に沿って延出する2つの舌片部と、
からなり、
前記舌片部の前記コンミテータ側の一辺からピグテールを接続可能な前記ピグテール接続部が延出されていることを特徴とする回転電機。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
(スタータモータ)
図1は、スタータモータ1の斜視図、
図2は、スタータモータ1の断面図である。
図1、
図2に示すように、スタータモータ1は、例えば、二輪用のスタータモータとして用いられるものである。スタータモータ1は、略有底円筒状のモータケース2と、モータケース2の開口部2aを閉塞する略有底円筒状のフロントケース3と、モータケース2及びフロントケース3により閉塞された空間内に回転自在に収納されているアーマチュア4と、フロントケース3に設けられアーマチュア4に給電を行うためのターミナル64及びブラシホルダユニット70と、モータケース2に取付けられるブラケット5と、を主構成としている。なお、以下の説明では、アーマチュア4の回転軸線L1方向を単に軸方向、アーマチュア4の回転方向を周方向、軸方向及び周方向に直交するアーマチュア4の径方向を単に径方向と称して説明する。
【0025】
(モータケース)
モータケース2は、例えば鉄板に深絞り加工を施して形成されたものである。つまり、モータケース2は、略円筒状のヨーク部6と、ヨーク部6のフロントケース3とは反対側端に一体成形された底部7と、により構成されている。モータケース2の開口部2aの周縁には、外径が段差により縮径形成されたインロー部2cが形成されている。このインロー部2cに、フロントケース3がインロー嵌合される。また、インロー部2cには、モータケース2とブラシホルダユニット70との相対位置を決定するための切欠き部2b(
図9参照)が形成されている。この切欠き部2bの詳細については後述する。
【0026】
ヨーク部6の内周面には、複数のマグネット8が周方向に等間隔で、且つ磁極が周方向に順番となるように設けられている。ここで、本実施形態では、マグネット8の個数は4つに設定されている(
図12参照)。すなわち、スタータモータ1は4極モータである。
また、底部7には、径方向中央にアーマチュア4の回転軸14を回転自在に支持するための軸受部9がフロントケース3とは反対側に向かって突出形成されている。軸受部9は、深絞り加工を施すことにより、底部10が軸方向外側を向くように略有底円筒状に形成されたものである。軸受部9の周壁11には、内周面に滑り軸受12が圧入されている。この滑り軸受12に、回転軸14の一端が回転自在に支持されている。
【0027】
軸受部9の底部10には、径方向中央に、つまり、回転軸線L1と同一直線上に、軸受側ボス13が軸方向内側(フロントケース3側)に向かって突出形成されている。軸受側ボス13は、モータケース2(軸受部9)にプレス加工を施すことにより形成されている。すなわち、軸受側ボス13は、底部10の外面側(軸方向外側)が凹んでいる。
【0028】
(ブラケット)
ブラケット5は、モータケース2の底部7に取付けられている。ブラケット5は、鉄等の金属板にプレス加工等を施し、断面略L字状に形成したものである。より具体的には、ブラケット5は、モータケース2の底部7に当接するモータ側ブラケット部34を有している。
モータ側ブラケット部34は、回転軸線L1上を通り、且つ径方向に沿って長くなるように形成されている。なお、以下の説明では、モータ側ブラケット部34の延在方向をモータ側ブラケット部34の長手方向と称する。
【0029】
また、モータ側ブラケット部34は、径方向に沿って長い略ハット状に形成されている。つまり、モータ側ブラケット部34は、長手方向略中央に配置されモータケース2の軸受部9を回避するように曲折された膨出部36と、膨出部36の長手方向両端から屈曲延出されモータケース2の底部7に当接する2つのフランジ部37と、により構成されている。フランジ部37及びモータケース2の底部7におけるフランジ部37が当接する箇所には、それぞれボルト100が挿通される。このボルト100は、フロントケース3に螺合される。これにより、モータケース2及びブラケット5がフロントケース3に共締めされる。
【0030】
モータ側ブラケット部34の膨出部36は、フランジ部37から立ち上がる一対の立上り部41と、立上り部41の先端同士に跨るように延びる平坦な上壁部42と、により構成されている。そして、上壁部42が、モータケース2に形成された軸受部9の底部10に当接されている。
上壁部42には、軸受部9に形成されている軸受側ボス13に対応する位置に、ブラケット側ボス43が軸受部9側に向かって突出形成されている。ブラケット側ボス43は、ブラケット5(モータ側ブラケット部34)にプレス加工を施すことにより形成されている。
【0031】
ここで、ブラケット側ボス43の形状は、軸受部9に形成されている軸受側ボス13と同一形状になっている。このため、軸受部9にモータ側ブラケット部34の上壁部42が当接された状態では、軸受側ボス13の凹みにブラケット側ボス43が嵌合される。これにより、モータケース2に対するブラケット5の位置決めが行われる。
【0032】
このように形成されたモータ側ブラケット部34の短手方向一側には、被ブラケット部35が、モータ側ブラケット部34の面方向(フランジ部37の面方向及び上壁部42の面方向)と直交する方向に沿って屈曲延出されている。また、被ブラケット部35は、モータ側ブラケット部34からモータケース2とは反対側に向かって延出している。
被ブラケット部35は、例えば、不図示のエンジンケースや車体に取付けられ、これらエンジンケースや車体にスタータモータ1を固定するためのものである。被ブラケット部35は、平坦で平面視略四角形状に延出されている。被ブラケット部35のモータ側ブラケット部34とは反対側の角部には、それぞれ被ブラケット部35をエンジンケースや車体に締結固定するための不図示のボルト挿通孔が形成されている。
【0033】
(アーマチュア)
アーマチュア4は、一端が滑り軸受12に回転自在に支持されている回転軸14と、回転軸14に外嵌固定されているアーマチュアコア15及びコンミテータ16と、を主構成としている。回転軸14は、他端がフロントケース3の後述の連結部24を介してフロントケース3から突出している。この突出した回転軸14の他端に、不図示のエンジンのリングギヤにワンウェイクラッチ等を介して連結されるピニオンギヤ17(
図1参照)が外嵌固定されている。また、回転軸14の両端面には、それぞれ回転軸線L1と同軸上にセンター凹部98が形成されている。センター凹部98は、軸方向からみて略円形状に形成されている。
【0034】
ここで、センター凹部98は、2つの機能を有している。1つ目の役割として、センター凹部98は、回転軸14に切削加工を施す際、不図示の工具のチャック爪を嵌め込み、工具に回転軸14を保持させる役割を有している。また、2つ目の役割として、モータケース2の軸受部9に形成されている軸受側ボス13との干渉を回避する役割を有している。
【0035】
アーマチュアコア15は、回転軸14のマグネット8に対応する位置に配置されている。アーマチュアコア15は電磁鋼板を積層してなり、回転軸14を中心にして放射状に延びる複数のティース18を有する。各ティース18間には、軸方向に長い蟻溝状のスロット(不図示)が形成されており、このスロットを介してティース18にコイル19が巻回されている。
【0036】
コンミテータ16は、回転軸14のフロントケース3に対応する位置に配置されている。コンミテータ16は、コイル19に電流を供給するためのものである。コンミテータ16は、回転軸14に外嵌固定された絶縁性を有する略円筒状のコンミテータ本体20と、コンミテータ本体20の外周面に設けられた複数の導電性のセグメント21と、により構成されている。セグメント21は、周方向に所定間隔をあけて並んで配置されている。このようなセグメント21にコイル19の端末部が接続されている。
【0037】
(フロントケース)
図3は、フロントケース3をモータケース2側からみた斜視図である。
図4は、
図3の分解斜視図、つまり、フロントケース3内に設けられた部品の分解斜視図である。
図2〜
図4に示すように、フロントケース3は、例えばアルミダイキャストにより形成されている。フロントケース3の開口部3cの周縁には、内径が段差により拡径形成されたインロー部3dが形成されている。このインロー部3dが、モータケース2の開口部2aにインロー嵌合されることにより、モータケース2にフロントケース3が取付けられる。
【0038】
フロントケース3の底部3aには、径方向中央の大部分に略有底円筒状の軸受部22がモータケース2とは反対側に向かって突出形成されている。軸受部22の底部22aは、軸方向外側を向いている。軸受部22の内周面22bには、転がり軸受23が内嵌固定されている。この転がり軸受23に、回転軸14の他端側が回転自在に支持されている。
【0039】
また、軸受部22の底部22aには、径方向中央に、略円筒状の連結部24がモータケース2とは反対側に向かって突出形成されている。連結部24は、スタータモータ1(フロントケース3)を不図示のエンジンケースに連結される箇所である。この連結部24の内面側は軸受部22と連通されている。これにより、連結部24を介して回転軸14の他端が軸方向外側に突出する。
【0040】
連結部24と軸受部22の接続部には、内周面側に、シールリング25が設けられている。シールリング25は、フロントケース3と回転軸14との間のシール性を確保するためのものである。
また、連結部24の外周面には、軸方向略中央にOリング溝26が形成されている。このOリング溝26に、Oリング27が装着されている。このOリング27は、不図示のエンジンケースとフロントケース3との間のシール性を確保するためのものである。
【0041】
図5は、フロントケース3をモータケース2側からみた平面図であって、ブラシホルダユニット70を取り外した状態を示す。
図4、
図5に示すように、フロントケース3の底部3aには、内面側の外周部全体に、凹部28が形成されている。また、凹部28は、軸受部22の内周面22bとの間の肉厚t1が一定となるように形成されている。このように形成された凹部28に、ターミナル64やブラシホルダユニット70が配置される。
【0042】
また、フロントケース3の周壁3bには、内周面側で且つ凹部28上に、2つのボルト座29が一体成形されている。2つのボルト座29は、回転軸線L1を中心に対向配置されている。各ボルト座29には、それぞれボルト100が螺合される雌ネジ部29aが刻設されている。
【0043】
さらに、フロントケース3の凹部28には、このフロントケース3の強度を向上させるための複数のリブ30が、軸受部22と周壁3bとの間に跨るように形成されている。具体的には、複数のリブ30は、1つのボルト座29に対し、このボルト座29を挟んで両側に配置され、互いに平行に配置された合計4つのサイドリブ30aを有している。また、2つの雌ネジ部29aの中心及び回転軸線L1を通る直線L2と直交し、回転軸線L1を通る直線L3上に配置された1つのセンターリブ30bを有している。さらに、センターリブ30bとサイドリブ30aとの間に配置された第1当接凸部30c1及び第2当接凸部30c2と、第1当接凸部30c1及び第2当接凸部30c2に対して回転軸線L1を中心に点対称に配置された中間リブ30dと、を有している。
【0044】
また、第1当接凸部30c1、第2当接凸部30c2及び中間リブ30dは、それぞれ径方向に沿って配置されている。さらに、第1当接凸部30c1及び第2当接凸部30c2のサイドリブ30a側の第1当接側面30eは、回転軸線L1を通る径方向の直線L4及び軸方向に面している。
【0045】
また、4つのサイドリブ30aのうちの1つには、軸受部22との接続部に、軸方向からみて略円形状のボルト座31が形成されている。このボルト座31は、ブラシホルダユニット70を構成する2つのブラシ72のうち、1つのブラシ72を接地させるためのものである。ボルト座31の径方向中央の大部分には、インロー凸部32が突出形成されている。このインロー凸部32は、フロントケース3とブラシホルダユニット70との仮位置決めを行うものである。そして、インロー凸部32の径方向中央に、雌ネジ部33が刻設されている。なお、ブラシ72の接地方法、フロントケース3に対するブラシホルダユニット70の仮位置決め方法の詳細は、後述する。
【0046】
さらに、フロントケース3の周壁3bには、内周面に、平坦な側面50aを形成してなるターミナル座50が一体成形されている。ターミナル座50は、回転軸線L1を中心にセンターリブ30bと対向するように配置され、フロントケース3の周壁3bに一体成形されている。ターミナル座50は、フロントケース3にターミナル64を取り付けるためのものである。
【0047】
ターミナル座50は、フロントケース3の周壁3bの軸方向全体に渡って形成され、且つ軸方向の長さよりも周方向の長さが若干長くなるように径方向内側からみて略長方形状に形成されている。ターミナル座50の軸方向及び周方向の中央の大部分には、端子挿通孔51が周壁3bを貫通するように形成されている。この端子挿通孔51には、ターミナル64を構成するターミナルボルト52が、ターミナル座50の側面50a側から挿入されている。
【0048】
ターミナルボルト52は、導電性を有する金属部材により形成されている。例えば、ターミナルボルト52は、SCM45等により形成されている。ターミナルボルト52は、端子挿通孔51に挿通されてフロントケース3の周壁3bから径方向外側に突出する軸部53と、軸部53のターミナル座50側の端部に一体成形されている頭部54と、により構成されている。フロントケース3の周壁3bには、端子挿通孔51にOリング47が装着されており、端子挿通孔51とターミナルボルト52の軸部53との間の絶縁性が確保されている。
【0049】
また、軸部53の頭部54とは反対側の先端側には、ナット59が螺合されている。このナット59は、ターミナルボルト52に外部電源から延びる不図示の端子を締結固定するために用いられる。また、ターミナルボルト52には、リングインシュレータ49及びワッシャ48が装着されている。
これらリングインシュレータ49及びワッシャ48は、ナット59とフロントケース3の周壁3bとの間に配置されている。ワッシャ48は、ナット59と協働して外部電源から延びる不図示の端子をターミナルボルト52に締結固定する。リングインシュレータ49は、樹脂により形成されており、ナット59とフロントケース3との間の絶縁を確保する。
【0050】
一方、ターミナルボルト52の頭部54は、板状の金属部材により、ターミナル座50の側面50aよりも一回り程度小さくなる程度に、且つ一辺が軸方向に沿うように略正方形状に形成されている。このように形成されたターミナルボルト52の頭部54は、ターミナル座50の側面50aに設けられた端子インシュレータ55に、中間部材60を介して保持されている。
【0051】
図6は、
図3のA−A線に沿う断面図、
図7は、
図3のB−B線に沿う断面図である。
図4、
図6、
図7に示すように、端子インシュレータ55は、例えばフェノール樹脂等の樹脂により、一面に開口部55aを有する箱状に形成されている。すなわち、端子インシュレータ55は、ターミナル座50の側面50aに対応するように一辺が軸方向に沿う略正方形状に形成されたものである。そして、端子インシュレータ55は、側面50aに当接する平坦な底壁56と、底壁56の外周縁に沿って立設された額縁部57と、が一体成形されてなる。端子インシュレータ55は、フロントケース3の凹部28に配置されており、この凹部28に額縁部57が当接している。
【0052】
この額縁部57の内側にターミナルボルト52の頭部54が収納される。つまり、額縁部57は、ターミナルボルト52の頭部54の外周部を取り囲むように一辺が軸方向に沿う略正方形状に形成されている。額縁部57におけるフロントケース3の凹部28(底部3a)に当接している一辺57aは、フロントケース3の底部3aに当接している。底壁56の軸方向及び周方向の中央には、ターミナルボルト52の軸部53を挿通可能な挿通孔58が形成されている。挿通孔58の孔径は、軸部53よりも若干大きい程度に設定されている。
なお、以下の説明では、額縁部57におけるフロントケース3の底部3a側の一辺57aを底辺57a、この底辺57aと軸方向で対向する辺を上辺57b、底辺57aと上辺57bとを連結する周方向両側の辺を側辺57cと称する。
【0053】
中間部材60は、端子インシュレータ55よりも硬く、且つターミナルボルト52よりも軟らかい導電性を有する板材に、プレス加工を施して形成されたものである。例えば、中間部材60は、真鍮の板材にプレス加工を施して形成される。中間部材60は、端子インシュレータ55内に収納可能なように断面略コの字状に形成されている。すなわち、中間部材60は、端子インシュレータ55の底壁56に当接するように配置され、この底壁56の形状に対応するように一辺が軸方向に沿う略正方形状に形成されたベース部61と、ベース部61の短手方向両端(軸方向両端)から額縁部57の内側面に沿って屈曲延出する2つの側壁部62a,62b(上側壁部62a、下側壁部62b)と、により構成されている。
【0054】
ベース部61には、端子インシュレータ55の挿通孔58に対応する位置に、この挿通孔58に連通されターミナルボルト52の軸部53を挿通可能な挿通孔61aが形成されている。これにより、中間部材60のベース部61の上からターミナルボルト52を挿入し、このターミナルボルト52の軸部53を、端子インシュレータ55を介してフロントケース3の周壁3bの径方向外側から突出させることができる。
【0055】
また、2つの側壁部62a,62b間の距離は、ターミナルボルト52の頭部54の一辺の長さと、ほぼ同等か若干長い程度に設定されている。このため、端子インシュレータ55にターミナルボルト52の頭部54及び中間部材60を収納した状態では、頭部54と中間部材60のベース部61が当接され、さらに、頭部54の二辺と中間部材60の2つの側壁部62a,62bが当接される。
さらに、2つの側壁部62a,62bのうち、ベース部61を挟んでフロントケース3の底部3aとは反対側(フロントケース3の開口部3c側)に位置する上側壁部62aには、ピグテール接続部63が軸方向に沿って屈曲延出されている。このピグテール接続部63には、後述のブラシ72のピグテール77が接続される。
【0056】
ここで、ターミナルボルト52の頭部54の大きさ、及び中間部材60のベース部61、各側壁部62a,62bの大きさは、以下のような条件を満たすように形成されている。すなわち、
(A)2つの側壁部62a,62bのうち、額縁部57の底辺57a側の下側壁部62bは、額縁部57の底辺57aに当接している。
(B)上側壁部62aと額縁部57の上辺57bとの間に、微小クリアランスC1が形成されている。
(C)ターミナルボルト52の頭部54の周方向両端と、それぞれ対応する額縁部57の側辺57cとの間に、微小クリアランスC2が形成されていると共に、中間部材60のベース部61の周方向両端と、それぞれ対応する額縁部57の側辺57cとの間に、微小クリアランスC3が形成されている。
なお、以下の説明では、上記の(A)の条件を条件(A)と称し、上記の(B)の条件を条件(B)と称し、上記の(C)の条件を条件(C)と称する。
【0057】
また、フロントケース3には、ボルト座31が形成されている側の2つのサイドリブ30aと、これらサイドリブ30aと周方向で隣り合う第1当接凸部30c1及び中間リブ30d上とに跨るように、ブラシホルダユニット70が配置されている。
【0058】
図8は、ブラシホルダユニット70をフロントケース3の底部3a側からみた斜視図である。
図3、
図4、
図8に示すように、ブラシホルダユニット70は、スタータモータ1を組み立てた状態でアーマチュア4のコンミテータ16と径方向で対向する位置に配置される。ブラシホルダユニット70は、樹脂製のブラシホルダ71と、ブラシホルダ71に収納される2つのブラシ72と、を主構成としている。ブラシホルダ71は、2つのホルダ本体81,82(第1ホルダ本体81、第2ホルダ本体82)と、これら2つのホルダ本体81,82に跨り2つのホルダ本体81,82を連結する連結部74と、が一体成形されたものである。
【0059】
2つのホルダ本体81,82は、周方向に90°間隔をあけて配置されている。より擬態的には、2つのホルダ本体81,82のうち、第1ホルダ本体81は、第1当接凸部30c1上に配置されている。また、2つのホルダ本体81,82のうち、第2ホルダ本体82は、中間リブ30d上に配置されている。
各ホルダ本体81,82は、軸方向からみて径方向に沿って若干長くなるように直方体状に形成されている。また、各ホルダ本体81,82は、それぞれフロントケース3の底部3a側に第1開口部81a,82aを有すると共に、径方向内側に第2開口部81b,82bを有する箱状に形成されている。
【0060】
このようなホルダ本体81,82内に、それぞれブラシ72が収納されている。また、ブラシ72は、先端が各ホルダ本体81,82の第2開口部81b,82bを介し、径方向内側に向かって(コンミテータ16に向かって)出没自在になっている。さらに、各ホルダ本体81,82内には、それぞれブラシ72の基端側にスプリング78が圧縮された状態で収納されている。これにより、ブラシ72は、径方向内側に向かって(コンミテータ16に向かって)常時付勢され、コンミテータ16のセグメント21にブラシ72の先端が摺接される。
【0061】
また、各ホルダ本体81,82の第1開口部81a,82aとは反対側の上壁75には、周方向中央にスリット76が形成されている。スリット76は、それぞれ第2開口部81b,82bに連通するように形成されている。このスリット76は、ブラシ72に接続されている銅線からなるピグテール77を、ホルダ本体73の外側に引き出すために利用される。
【0062】
第1ホルダ本体81から引き出されたピグテール77の端末部は、接地されている(詳細は後述する)。一方、第2ホルダ本体82から引き出されたピグテール77の端末部は、ターミナル64の中間部材60に設けられたピグテール接続部63に、例えばロウ付け溶接により接続されている。ピグテール接続部63は真鍮に形成されているので、ピグテール77の比熱とほぼ同等であり、ピグテール接続部63にピグテール77をロウ付け溶接し易い。
【0063】
ここで、第1ホルダ本体81には、上壁75の径方向外側端に位置決め突起83が突出形成されている。また、第1ホルダ本体81には、第1開口部81aの径方向外側端の縁部に、二又状に突出された位置決め凸部84及び位置規制凸部85が形成されている。
位置決め突起83は、ブラシホルダ71とモータケース2との相対位置を決めるためのものである。位置決め突起83は、板状に形成されたものである。位置決め突起83は、上壁75から軸方向に沿って立ち上がる立上り部83aと、立上り部83aの先端から径方向外側に向かって屈曲延出する舌片部83bと、により構成されている。立上り部83aは、第1ホルダ本体81の径方向外側の径方向端壁81cと面一に配置されている。また、位置決め突起83、つまり、立上り部83aと舌片部83bのそれぞれ周方向中央L6は、軸方向に沿い、且つ第1ホルダ本体81(第2開口部81b)の周方向中央を通る直線L5(
図10参照)上に位置している。
【0064】
図9は、モータケース2とブラシホルダユニット70との位置関係を示す斜視図である。
同図に示すように、スタータモータ1を組み立てた状態では、ブラシホルダ71の位置決め突起83の舌片部83bは、モータケース2の開口部2aの周縁に位置している。モータケース2の開口部2aの周縁に形成された切欠き部2bは、ブラシホルダ71の舌片部83bに対応する位置に配置されている。
【0065】
切欠き部2bは、舌片部83bの形状に対応するように略矩形状に形成されている。切欠き部2bの周方向の幅は、位置決め突起83の舌片部83bの周方向の幅とほぼ同一か、若干大きい程度に設定されている。これにより、切欠き部2bに、舌片部83bが嵌り込み、モータケース2とブラシホルダ71(ブラシホルダユニット70)の相対位置が精度よく決定される。
【0066】
図10は、ブラシホルダ71の第1ホルダ本体81を径方向内側(コンミテータ16)側からみた側面図である。
図8、
図10に示すように、ブラシホルダ71に突出形成されている位置決め凸部84及び位置規制凸部85は、それぞれ第1ホルダ本体81の径方向端壁81cと面一になるように延出されている。また、位置決め凸部84は、先端に向かうに従って先細りとなるように、径方向平面視で略三角形状となるように形成されている。さらに、位置決め凸部84は、一辺84aが、軸方向に沿い、且つブラシ72(第1ホルダ本体81、第2開口部81b)の周方向中央を通る直線L5に面するように形成されている。
【0067】
一方、位置規制凸部85は、径方向平面視で略矩形状に形成されている。そして、位置規制凸部85は、一辺85aが第1ホルダ本体81の第2ホルダ本体82とは反対側の側壁81dと面一になるように延出されている。
ここで、位置決め凸部84と位置規制凸部85との間の間隔K1は、第1当接凸部30c1の肉厚t2(
図5も併せて参照)よりも若干大きくなるように設定されている。そして、位置決め凸部84と位置規制凸部85との間に、第1当接凸部30c1が介在される。つまり、位置規制凸部85は、第1当接凸部30c1を挟んで位置決め凸部84とは反対側に位置している。
【0068】
図3、
図4、
図8に示すように、2つのホルダ本体81,82を連結する連結部74は、軸受部22(コンミテータ16)の外周面に沿って円弧状に延在されている。換言すれば、連結部74は、フロントケース3の周壁3bの形状に対応するように略円弧状に延在されている。
また、連結部74は、軸方向に沿う断面形状がL字状となるように形成されている。すなわち、連結部74は、2つのホルダ本体81,82におけるフロントケース3側の端部間に跨るベース部86と、2つのホルダ本体81,82の径方向内側端の間に跨る内周壁部87と、により構成されている。
【0069】
ベース部86には、第2ホルダ本体82寄りに、台座88が形成されている。換言すれば、台座88は、ベース部86におけるフロントケース3のインロー凸部32に対応する位置に形成されている。台座88には、インロー凸部32に外嵌可能な貫通孔88aが形成されている。これらインロー凸部32に台座88が外嵌された上からインロー凸部32の雌ネジ部33にボルト101が螺合される。これにより、フロントケース3にブラシホルダ71が締結固定される。なお、フロントケース3へのブラシホルダ71の締結固定方法についての詳細は、後述する。
【0070】
ここで、第1ホルダ本体81から引き出されたピグテール77の端末部には、端子89が取り付けられている。そして、ボルト101によって、フロントケース3にブラシホルダ71を締結固定する際には、ブラシホルダ71と端子89とが共締めされる。
また、インロー凸部32に台座88を外嵌させた状態では、台座88の先端面とベース部86の一面とがほぼ面一になる。このため、フロントケース3にブラシホルダ71を締結固定すると、フロントケース3のインロー凸部32に端子89が接触する。これにより、第1ホルダ本体81から引き出されたピグテール77の端末部が接地(ボディーアース)される。
【0071】
また、ブラシホルダユニット70は、ブラシホルダ71におけるフロントケース3の底部3a側に配置されたベース部90を有している。
ベース部90は、第1ホルダ本体81の第1開口部81aと、第2ホルダ本体82の第1開口部82aと、を閉塞するものである。すなわち、ベース部90は、各開口部81a,82aを閉塞する2つのベース部本体91と、2つのベース部本体91に跨り、これら2つのベース部本体91を連結する連結部92と、により構成されている。
【0072】
ベース部本体91は、各ホルダ本体81,82の開口部81a,82aに対応するように、軸方向からみて略矩形状に形成されている。各ベース部本体91には、各ホルダ本体81,82の側壁81d,82d側に、爪部91aが突出形成されている。この爪部91aによって、ブラシホルダ71にベース部90がスナップフィット固定される。
連結部92には、ブラシホルダ71に形成されている台座88の貫通孔88aに対応する位置に、この貫通孔88aを露出させる開口部92aが形成されている。これにより、ブラシホルダ71にベース部90を取り付けた状態であっても、台座88にフロントケース3のインロー凸部32を嵌合させることができる。
【0073】
(フロントケースへのターミナル及びブラシホルダユニットの組付け)
次に、フロントケース3へのターミナル64及びブラシホルダユニット70の組付けについて説明する。
まず、フロントケース3へのターミナル64の組付けについて説明する。
フロントケース3にターミナル64を組付けるにあたって、予めターミナルボルト52に軸部53に中間部材60、端子インシュレータ55の順で挿通する。この際、端子インシュレータ55の額縁部57内に、中間部材60及びターミナル64の頭部54を収納する。
【0074】
この後、フロントケース3のターミナル座50側からターミナルボルト52の軸部53を挿通する。この際、中間部材60のピグテール接続部63をフロントケース3の開口部3c側に向ける。そして、ターミナル座50の側面50aに、端子インシュレータ55の底壁56を当接させる。
なお、予めターミナルボルト52の軸部53に中間部材60及び端子インシュレータ55を挿通せずに、フロントケース3のターミナル座50の側面50aに端子インシュレータ55及び中間部材60を配置してもよい。この場合、その後に端子インシュレータ55、中間部材60及びフロントケース3に、ターミナルボルト52の軸部53を挿通する。
【0075】
続いて、フロントケース3の周壁3bから径方向外側に突出したターミナルボルト52の軸部53に、Oリング47、リングインシュレータ49、ワッシャ48、及びナット59をこの順で挿入し、ナット59によって締め付けていく。
【0076】
図11は、ナット59を締め付ける際のターミナルボルト52の頭部54の挙動を示す説明図であって、
図6のC矢視図に相当している。
同図に示すように、ナット59を締め付けると、ターミナルボルト52がナット59と共回りしようとする(
図11における矢印Y1参照)。
【0077】
ここで、端子インシュレータ55にターミナルボルト52の頭部54及び中間部材60を収納した状態では、頭部54と中間部材60のベース部61とが当接される。さらに、頭部54の回転軸線L1方向で対向する二辺と中間部材60の2つの側壁部62a,62bとが当接される。また、端子インシュレータ55に収納されているターミナルボルト52の頭部54は、上記条件(A)、条件(B)、条件(C)を満たしている。つまり、額縁部57には、底辺57aのみに頭部54の一辺に当接している下側壁部62bが当接されている。
【0078】
このため、頭部54が回転しようとすると、この頭部54によって、中間部材60の下側壁部62bを介して額縁部57の底辺57aが押圧され(
図11における矢印Y2参照)、底辺57aが変形しようとする。この際、額縁部57の底辺57aには積極的に押圧力がかかるのに対し、額縁部57の他の辺(上辺57b及び側辺57c)には、頭部54の押圧力が殆どかからない。
また、額縁部57の底辺57aは、フロントケース3の凹部28(底部3a)に当接している。このため、フロントケース3が頭部54の押圧力を受け、底辺57aの変形がフロントケース3によって抑えられる。この結果、頭部54の回転が防止され、ターミナルボルト52の軸部53に対してナット59を強固に締め付けることができる。
【0079】
また、中間部材60は、端子インシュレータ55よりも硬く、且つターミナルボルト52よりも軟らかい、例えば、真鍮の板材により形成されている。このため、頭部54が回転することによる押圧力によって中間部材60の下側壁部62bが圧縮変形される。この結果、この下側壁部62bが頭部54の押圧力を吸収し、額縁部57の底辺57aにかかる荷重が緩和される。
【0080】
続いて、フロントケース3へのブラシホルダユニット70の組付けについて説明する。
フロントケース3にブラシホルダユニット70を組付ける前に、予めブラシホルダ71の第1ホルダ本体81及び第2ホルダ本体82に、それぞれブラシ72及びスプリング78を収納する。この際、ブラシ72に、ピグテール77の一端を、例えばロウ付け溶接により接続しておく。また、第1ホルダ本体81に収納するブラシ72のピグテール77には、他端に端子89を取付けておく。なお、第2ホルダ本体82に収納するブラシ72のピグテール77の他端は、予め中間部材60のピグテール接続部63に接続しておいてもよいし、フロントケース3にブラシホルダユニット70を組付けた後に、ピグテール接続部63に接続してもよい。
【0081】
そして、第1ホルダ本体81及び第2ホルダ本体82に、それぞれブラシ72及びスプリング78を収納した後、ブラシホルダ71にベース部90を組付けてブラシホルダユニット70の組立てが完了する。
この後、ベース部90をフロントケース3の底部3aに向けた状態でフロントケース3の凹部28上、つまり、ボルト座31が形成されている側のサイドリブ30a、第1当接凸部30c1、及び中間リブ30d上にブラシホルダユニット70を載置する。
【0082】
この際、ブラシホルダ71の台座88の貫通孔88aに、フロントケース3のボルト座31に形成されているインロー凸部32が嵌合されるように、ブラシホルダユニット70を載置する。また、ブラシホルダ71の位置決め凸部84と位置規制凸部85との間に第1当接凸部30c1が挿入されるように、ブラシホルダユニット70を載置する。これにより、フロントケース3に対するブラシホルダユニット70の位置の仮決めが行われる。
ここで、フロントケース3の底部3aにブラシホルダユニット70を載置する際、ベース部90をフロントケース3の底部3aに向けるので、フロントケース3の開口部3c側からみるとブラシホルダ71の第1位置決め凸部84や第3凸部85が作業者の死角に入る。
【0083】
ところで、第1ホルダ本体81の上壁75に形成されている位置決め突起83の周方向中央L6は、軸方向に沿い、且つ第1ホルダ本体81(第2開口部81b)の周方向中央を通る直線L5(
図10参照)上に位置している。また、第1ホルダ本体81の第1開口部81aの縁部に形成されている位置決め凸部84は、一辺84aが、直線L5に面するように形成されている。このため、位置決め突起83の位置を作業者が視認することにより、死角となる位置決め凸部84や第3凸部85のおおよその位置を認識することができる。よって、作業者は、ブラシホルダ71の位置決め凸部84と位置規制凸部85との間に第1当接凸部30c1が挿入されるように、ブラシホルダユニット70を載置することを、容易に行うことができる。
【0084】
フロントケース3に対するブラシホルダユニット70の位置の仮決めが行われた後、ブラシホルダ71の台座88の上から、フロントケース3のインロー凸部32の雌ネジ部33にボルト101を螺合させる。この際、第1ホルダ本体81に収納されているブラシ72のピグテール77に取付けられている端子89も共締めする。
【0085】
図12は、フロントケース3へのブラシホルダユニット70の取付状態を、モータケース2側からみた平面図である。
同図に示すように、ボルト101を締め付けていくと(
図12における矢印Y3参照)、ブラシホルダユニット70がボルト101と共回りしようとする。すなわち、ボルト101を中心にして、このボルト101の締め付け方向に向かってブラシホルダユニット70が回動しようとする(
図12における矢印Y4参照)。
【0086】
すると、フロントケース3における第1当接凸部30c1のサイドリブ30a側の第1当接側面30eに、ブラシホルダ71の位置決め凸部84の一辺84aが当接する。そして、さらにボルト101を締め付けていくと、第1当接凸部30c1の第1当接側面30eに位置決め凸部84の一辺84aが当接したままの状態で、フロントケース3にブラシホルダユニット70が締結固定される。これにより、フロントケース3に対するブラシホルダユニット70の位置決めが行われる。つまり、フロントケース3の凹部28に形成されている複数のリブ30のうち、第1当接凸部30c1は、フロントケース3の強度を向上させる役割を有していると共に、フロントケース3に対するブラシホルダユニット70の位置決めを行う役割を有している。
【0087】
ここで、フロントケース3の第1当接凸部30c1の第1当接側面30eは、回転軸線L1を通る径方向の直線L4及び軸方向に面している。さらに、ブラシホルダ71の位置決め凸部84は、一辺84aが、軸方向に沿い、且つブラシ72(第2開口部81b)の周方向中央を通る直線L5に面するように形成されている。このため、第1当接凸部30c1の第1当接側面30eに位置決め凸部84の一辺84aが当接したままの状態で、フロントケース3にブラシホルダユニット70が締結固定されると、第1ホルダ本体81に収納されているブラシ72の周方向中央と回転軸線L1を通る径方向の直線L4とが一致する。つまり、ブラシ72の向きが径方向に沿い、このブラシ72が高精度に位置決めされる。
【0088】
また、第1当接凸部30c1のサイドリブ30a側の第1当接側面30eに、ブラシホルダ71の位置決め凸部84の一辺84aを当接させたままの状態でボルト101を締め付けていくと、第1当接凸部30c1に対して位置決め凸部84の押圧力が作用する。そして、この押圧力が反力となって、ブラシホルダ71に力が作用する。
【0089】
ここで、ブラシホルダ71において、2つのホルダ本体81,82を連結する連結部74の内周壁部87は、2つのホルダ本体81,82の径方向内側端の間を跨るように形成されている。このため、内周壁部87の周長をできる限り短く設定できるので、内周壁部87の強度が確保されてブラシホルダ71に作用する力によって、内周壁部87が変形してしまうことが防止される。
【0090】
すなわち、例えば、2つのホルダ本体81,82の径方向外側端の間を跨るように内周壁部87を形成した場合、この内周壁部87が2つのホルダ本体81,82の径方向内側端の間を跨る場合と比較して周長が長くなる。内周壁部87が長くなると、この分、強度が弱まり、ブラシホルダ71に作用する力の影響を受け易くなる。このため、内周壁部87の周長をできる限り短く設定することにより、内周壁部87の強度を高めることができる。
【0091】
一方、フロントケース3からブラシホルダユニット70を取り外すためにボルト101を緩めると、ブラシホルダユニット70が共回りしようとする。すなわち、ボルト101を中心にして、このボルト101の緩め方向にブラシホルダユニット70が回動しようとする(
図12における矢印Y5参照)。
すると、フロントケース3における第1当接凸部30c1のサイドリブ30aとは反対側の第2当接側面30f(
図5参照)に、ブラシホルダ71の位置規制凸部85が当接する。このため、フロントケース3からブラシホルダユニット70を取り外すためにボルト101を緩める際、ブラシホルダユニット70が振れ回ってしまうことが防止される。
【0092】
(モータケースとフロントケースとの組付け)
次に、モータケース2とフロントケース3との組付けについて説明する。
ここで、上述したようにモータケース2には、予めターミナル64及びブラシホルダユニット70が組付けられる。一方、モータケース2には、予め軸受部9に滑り軸受12を取付け、さらに、アーマチュア4を取付ける。
この状態で、モータケース2のインロー部2cとフロントケース3のインロー部3dとを対向させる。さらに、モータケース2のインロー部2cに形成されている切欠き部2bとフロントケース3に取付けられているブラシホルダユニット70の位置決め突起83との位置を合わせる。
【0093】
そして、モータケース2とフロントケース3とを重ね合わせると、モータケース2のインロー部2cに、フロントケース3のインロー部3dがインロー嵌合される。これと同時に、モータケース2のインロー部2cに形成されている切欠き部2bに、フロントケース3に取付けられているブラシホルダユニット70の位置決め突起83が嵌め込まれる。これにより、モータケース2に対するフロントケース3の周方向の位置決めが行われる。つまり、ブラシホルダユニット70(ブラシホルダ71)は、モータケース2を基準に位置決めが行われている。
【0094】
ここで、モータケース2には、複数(例えば、本実施形態では4つ)のマグネット8が設けられており、これらマグネット8も、モータケース2を基準に位置決めが行われている。このため、マグネット8に対するブラシホルダユニット70(ブラシホルダ71)の位置決めが高精度に行われる。この結果、マグネット8に対するブラシ72の位置決めが高精度に行われる(
図12参照)。
【0095】
(スタータモータの動作)
次に、スタータモータ1の動作について説明する。
ターミナルボルト52は、中間部材60を介してピグテール77と電気的に接続されている。このため、ターミナルボルト52に電圧を印加すると、ブラシ72が摺接されているコンミテータ16のセグメント21に電流が供給される。ここで、ブラシ72の位置は、径方向に沿って高精度に位置決めされているので、セグメント21に対して良好に摺接される。
【0096】
セグメント21に供給された電流は、さらに、コイル19に供給される。すると、アーマチュアコア15のティース18に所定の磁界が形成され、この磁界とモータケース2に設けられたマグネット8との間で磁気的な吸引力や反発力が生じる。これにより、アーマチュア4が回転する。
ここで、ブラシ72の位置は、マグネット8に対して高精度に位置決めされているので、アーマチュアコア15に形成される磁界の位置とマグネット8の位置との関係が良好になる。このため、アーマチュア4が効率よく回転される。
アーマチュア4の回転は、ピニオンギヤ17や不図示のワンウェイクラッチ等を介してエンジンのリングギヤに伝達される。これにより、エンジンが始動する。
【0097】
このように、上述の実施形態では、ターミナル64は、ターミナルボルト52の略正方形状の頭部54を、フロントケース3の周壁3bに形成されたターミナル座50に対応する位置で保持するための端子インシュレータ55と、端子インシュレータ55と頭部54との間に介装された中間部材60と、を備えている。また、フロントケース3の凹部28に、略正方形状の額縁部57の底辺57aを当接させた上で、この底辺57aと頭部54との間に、中間部材60の下側壁部62bを介装させている。
【0098】
このため、ターミナルボルト52の軸部53にナット59を締め付ける際、ターミナルボルト52(頭部54)が共回りしようとする荷重を、額縁部57の底辺57aを介してフロントケース3が受け、ターミナルボルト52のナット59との共回りを防止できる。この際、額縁部57の底辺57aにターミナルボルト52の頭部54による荷重が積極的にかかる。しかしながら、この荷重を、端子インシュレータ55よりも硬く、且つターミナルボルト52よりも軟らかい中間部材60によって吸収することができる。よって、端子インシュレータ55が変形したり損傷したりしてしまうことを防止でき、フロントケース3とターミナルボルト52(頭部54)との絶縁性を確実に確保できる。
【0099】
また、端子インシュレータ55に収納されているターミナルボルト52の頭部54は、上記条件(A)、条件(B)、条件(C)を満たしている。つまり、額縁部57には、底辺57aのみに頭部54が当接されている。このため、頭部54が回転しようとする際、額縁部57の底辺57aに、積極的に頭部54の押圧力をかけることができる。一方、額縁部57の他の辺(上辺57b及び側辺57c)に頭部54の押圧力が殆どかからないようにすることができる。
【0100】
つまり、フロントケース3の凹部28に当接している額縁部57の底辺57aに、確実に頭部54による荷重をかけることができ、この荷重を確実にフロントケース3によって受けさせることができる。この結果、フロントケース3によって、額縁部57の底辺57aの変形を確実に抑えることができ、端子インシュレータ55の損傷を防止できる。また、頭部54が回転してしまうことを確実に防止でき、ターミナルボルト52の軸部53に対してナット59を強固に締め付けることができる。
【0101】
なお、端子インシュレータ55にかかる荷重をフロントケース3の凹部28で受けるのではなく、フロントケース3に別途受板を設け、この受板で端子インシュレータ55にかかる荷重を受けることも可能である。この場合、この受板と端子インシュレータ55の額縁部57を積極的に当接させる。
しかしながら、上述の実施形態のように、フロントケース3の凹部28に端子インシュレータ55の底辺57aを当接させることにより、フロントケース3に別途受板を設ける必要がなくなる。このため、スタータモータ1の部品点数を低減、又はフロントケース3の材料コストの低減を図ることができる。また、受板を別途設ける必要がないので、フロントケース3を小型化できる。
【0102】
さらに、中間部材60の2つの側壁部62a,62bのうちの上側壁部62aには、ピグテール77を接続するためのピグテール接続部63が、軸方向に沿って屈曲延出されている。このため、ターミナルボルト52の頭部54に、直接ピグテール77を接続する必要がなくなる。つまり、ピグテール接続部63及び中間部材60を介し、ピグテール77とターミナルボルト52の頭部54とを電気的に接続することができる。この結果、ピグテール77の配線レイアウトの自由度を高めることができる。例えば、ブラシ72とピグテール接続部63との間の距離を極力短く設定し、ピグテール77の長さも短く設定することが可能になる。このような場合、ピグテール77の線材コストを低減できる。
【0103】
また、ピグテール接続部63(中間部材60)は、真鍮の板材によって構成されている。さらに、ピグテール77も銅線により構成されている。つまり、ピグテール接続部63の比熱とピグテール77の比熱をほぼ同等に設定することができる。このため、ピグテール接続部63に、例えばロウ付け溶接によりピグテール77を接続する場合、溶接作業を容易に行うことが可能になる。
【0104】
さらに、ブラシホルダ71に、位置決め突起83が突出形成されている一方、モータケース2のインロー部2cに、切欠き部2bが形成されている。そして、モータケース2とフロントケース3とを組付ける際、モータケース2の切欠き部2bに位置決め突起83の舌片部83bを嵌め込むことにより、モータケース2とフロントケース3との周方向の位置決めを行っているのみならず、モータケース2とブラシホルダ71(ブラシホルダユニット70)との周方向の位置決めも行っている。
【0105】
このため、モータケース2に対するブラシホルダ71の位置を高精度に決めることができる。すなわち、モータケース2を基準に、ブラシホルダ71の位置決め及びマグネット8の位置決めを行うことができる。よって、ブラシホルダ71に保持されているブラシ72とマグネット8との相対位置を高精度に決めやすくなり、スタータモータ1の性能を向上させることができる。
また、ブラシホルダ71とモータケース2とを凹凸嵌合させるにあたり、ブラシホルダ71を凸(位置決め突起83)としている。このため、モータケース2側に凸形状を形成する場合と比較して凸形状を容易に形成できる。この分、スタータモータ1の製造コストを低減できる。
【0106】
さらに、ブラシホルダ71は、ブラシ72を保持する2つのホルダ本体81,82(第1ホルダ本体81、第2ホルダ本体82)と、これら2つのホルダ本体81,82に跨り2つのホルダ本体81,82を連結する連結部74と、を一体成形したものとされている。連結部74は、軸受部22(コンミテータ16)の外周面に沿って円弧状に延在されている。換言すれば、連結部74は、フロントケース3の周壁3bの内周面に沿って円弧状に延在されている。このように、連結部74は、デッドスペースを作ることなく最小限のスペースに配置可能になっている。このため、ブラシホルダ71によって2つのブラシ72を一体化しつつ、ブラシホルダ71の占有スペースを極力小さくして各部品のレイアウト性を高めることができる。この結果、スタータモータ1も小型化できる。
【0107】
また、ブラシホルダ71において、2つのホルダ本体81,82を連結する連結部74の内周壁部87は、2つのホルダ本体81,82の径方向内側端の間を跨るように形成されている。このため、内周壁部87の周長をできる限り短く設定できる。このため、ブラシホルダ71の材料コストを低減できる。
さらに、内周壁部87の強度が確保されてブラシホルダ71に作用する力によって、内周壁部87が変形してしまうことを防止できる。すなわち、例えば、2つのホルダ本体81,82の径方向外側端の間を跨るように内周壁部87を形成した場合、この内周壁部87が2つのホルダ本体81,82の径方向内側端の間を跨る場合と比較して周長が長くなる。内周壁部87が長くなると、この分、強度が弱まり、ブラシホルダ71に作用する力の影響を受け易くなる。このため、内周壁部87の周長をできる限り短く設定することにより、内周壁部87の強度を高めることができる。
【0108】
また、モータケース2とブラシホルダ71(ブラシホルダユニット70)との周方向の位置決めも行うにあたって、モータケース2の切欠き部2bに嵌め込まれる第1位置決め突起83を、第1ホルダ本体81の上壁75の径方向外側端に形成している。
ここで、連結部74とフロントケース3の周壁3bとの間の距離と比較して、第1ホルダ本体81の径方向外側端とフロントケース3の周壁3bとの間の距離が短い。このため、第1ホルダ本体81の径方向外側端に位置決め突起83を設けることにより、連結部74に第1位置決め突起83を設ける場合と比較して位置決め突起83の径方向の延在長さ(舌片部83bの延在長さ)を短く設定できる。よって、ブラシホルダ71の材料コストを低減できる。
【0109】
さらに、第1ホルダ本体81の上壁75に形成されている位置決め突起83の周方向中央L6は、軸方向に沿い、且つ第1ホルダ本体81(第2開口部81b)の周方向中央を通る直線L5(
図10参照)上に位置している。また、第1ホルダ本体81の第1開口部81aの縁部に形成されている位置決め凸部84は、一辺84aが、直線L5に面するように形成されている。このため、位置決め突起83の位置を作業者が視認することにより、死角となる位置決め凸部84や位置規制凸部85のおおよその位置を認識することができる。よって、作業者は、ブラシホルダ71の位置決め凸部84と位置規制凸部85との間に第1当接凸部30c1が挿入されるように、ブラシホルダユニット70を載置することを、容易に行うことができる。
【0110】
また、ブラシホルダ71は、連結部74に形成された台座88を利用し、ボルト101によってフロントケース3に締結固定されている。また、ブラシホルダ71には、位置決め凸部84が突出形成されており、ボルト101を締め付けると、フロントケース3の第1当接凸部30c1の第1当接側面30eに、位置決め凸部84の一辺84aが当接するようになる。つまり、フロントケース3にブラシホルダ71を締結固定する際、常に第1当接凸部30c1にブラシホルダ71の位置決め凸部84が当接した形になる。このため、フロントケース3に対するブラシホルダ71の位置を安定して高精度に決定することができ、スタータモータ1の性能を安定的に向上できる。
【0111】
また、ブラシホルダ71には、第1当接凸部30c1を挟んで位置決め凸部84とは反対側に、位置規制凸部85が突出形成されている。このため、フロントケース3からブラシホルダユニット70を取り外すためにボルト101を緩める際、第1当接凸部30c1に位置規制凸部85が当接し、ブラシホルダユニット70の振れ回りを防止できる。よって、ブラシホルダユニット70(ブラシホルダ71)の組付け時、取り外し時のガタツキを極力抑えることができる。
【0112】
さらに、第1当接凸部30c1の一つで、フロントケース3の補強、ブラシホルダユニット70の位置決め、及びブラシホルダユニット70の取り外し時の振れ回りの防止、という複数の機能を持たせている。このため、フロントケース3に配置する部位を減少させることができる。よって、フロントケース3の材料コストを低減できると共に、フロントケース3やブラシホルダユニット70(ブラシホルダ71)を小型化できる。
【0113】
また、フロントケース3の第1当接凸部30c1の第1当接側面30eは、回転軸線L1を通る径方向の直線L4及び軸方向に面している。さらに、ブラシホルダ71の位置決め凸部84は、一辺84aが、軸方向に沿い、且つブラシ72(第2開口部81b)の周方向中央を通る直線L5に面するように形成されている。このため、第1当接凸部30c1の第1当接側面30eに位置決め凸部84の一辺84aが当接したままの状態で、フロントケース3にブラシホルダユニット70が締結固定されると、第1ホルダ本体81に収納されているブラシ72の周方向中央と回転軸線L1を通る径方向の直線L4とが一致する。つまり、ブラシ72の向きが径方向に沿い、このブラシ72の位置決めを高精度に行うことができる。この結果、コンミテータ16のセグメント21に対するブラシ72の接触状態が良好になり、ブラシ72の延命化を図ることもできる。
【0114】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、二輪用のスタータモータ1に上述の実施形態のような構造を採用した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、さまざまな仕様のモータや発電機に、上述の実施形態のような構成を採用することができる。
【0115】
また、モータケース2は、例えば鉄板に深絞り加工を施して形成されたものである場合について説明した。また、フロントケース3は、例えばアルミダイキャストにより形成されている場合について説明した。さらに、ブラケット5は、鉄等の金属板により形成されている場合について説明した。しかしながら、これらに限られるものではなく、モータケース2、フロントケース3、及びブラケット5の材料は、種々選択可能である。
【0116】
さらに、上述の実施形態では、ブラシホルダ71に位置決め突起83を突出形成する一方、モータケース2に切欠き部2bを形成し、切欠き部2bに位置決め突起83を嵌め込む場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、モータケース2に突起を設ける一方、ブラシホルダ71に凹部を形成し、この凹部にモータケース2の突起を嵌め込むように構成してもよい。
【0117】
また、上述の実施形態では、ブラシホルダ71は、2つのホルダ本体81,82(第1ホルダ本体81、第2ホルダ本体82)と、これら2つのホルダ本体81,82に跨り2つのホルダ本体81,82を連結する連結部74と、が一体成形されたものである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、モータ仕様に応じてブラシ72を保持するホルダ本体81,82を2つ以上設けてもよい。
さらに、上述の実施形態では、ブラシホルダ71の連結部74は、フロントケース3の周壁3bの内周面に沿って円弧状に延在されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ブラシホルダ71のレイアウトや他の部品の配置等に応じてさまざまな形状を採用可能である。
【0118】
また、上述の実施形態では、フロントケース3の第1当接凸部30c1の一つで、フロントケース3の補強、ブラシホルダユニット70の位置決め、及びブラシホルダユニット70の取り外し時の振れ回りの防止、という複数の機能を持たせている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、フロントケース3に、ボルト101を締め付ける際に位置決め凸部84の一辺84aと当接する凸部と、ボルト101を緩める際に位置規制凸部85と当接する凸部と、をそれぞれ別々に設けてもよい。又、これら凸部の何れか一方の機能のみ、第1当接凸部30c1に持たせてもよい。
なお、フロントケース3に、ボルト101を締め付ける際に位置決め凸部84の一辺84aと当接する凸部を、第1当接凸部30c1とは別に設ける場合、以下のように構成することが望ましい。すなわち、その凸部における位置決め凸部84の一辺84aとの当接面は、回転軸線L1を通る径方向の直線L4及び軸方向に面していることが望ましい。
【0119】
また、上述の実施形態では、ターミナル64の中間部材60は、真鍮の板材にプレス加工を施して形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、中間部材60は、導電性を有する材料により形成されていればよい。これにより、ターミナルボルト52の頭部54の荷重を受けて中間部材60が変形するので、この中間部材60によって頭部54の荷重を吸収することが可能になる。
【0120】
さらに、上述の実施形態では、中間部材60は、ベース部61と、ベース部61の短手方向両端(軸方向両端)から額縁部57の内側面に沿って屈曲延出する2つの側壁部62a,62b(上側壁部62a、下側壁部62b)と、により、断面略コの字状に形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものでなく、少なくとも額縁部57の底辺57a、つまり、フロントケース3の凹部28に当接している底辺57aとターミナルボルト52の頭部54との間に、中間部材60が介装されていればよい。また、中間部材60は、ベース部61の外周縁の全周に、側壁部62a,62bが形成されていてもよい。
【0121】
また、上述の実施形態では、フロントケース3の凹部28に端子インシュレータ55の額縁部57を当接させている場合について説明した。そして、端子インシュレータ55にかかる荷重をフロントケース3の凹部28で受ける場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、フロントケース3に、端子インシュレータ55にかかる荷重を受ける受板を、別途設けてもよい。この場合、この受板と端子インシュレータ55の額縁部57を積極的に当接させる。
【0122】
さらに、上述の実施形態では、ターミナルボルト52の頭部54、及びこの頭部54を保持する端子インシュレータ55の額縁部57を、それぞれ略正方形状に形成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、頭部54及び額縁部57は、多角形状に形成されていればよい。例えば、周方向に長い長方形状に形成してもよい。
また、上述の実施形態では、中間部材60の2つの側壁部62a,62bのうち、上側壁部62aに、ピグテール接続部63が軸方向に沿って屈曲延出されている場合について説明した。しかしながら、中間部材60にピグテール接続部63が形成されていれば、その形状や形成箇所は、特に限定されるものではない。
【0123】
さらに、上述の実施形態では、ブラシホルダ71を構成する連結部74は、2つのホルダ本体81,82におけるフロントケース3側の端部間に跨るベース部86と、2つのホルダ本体81,82の径方向内側端の間に跨る内周壁部87と、により構成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、連結部74は、少なくとも内周壁部87を有していればよい。この場合、連結部74に台座88が突出形成されていればよい。