特許第6799495号(P6799495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6799495-計測装置のシール構成およびシール方法 図000002
  • 特許6799495-計測装置のシール構成およびシール方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799495
(24)【登録日】2020年11月25日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】計測装置のシール構成およびシール方法
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/06 20060101AFI20201207BHJP
【FI】
   F16J15/06 H
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-95659(P2017-95659)
(22)【出願日】2017年5月12日
(65)【公開番号】特開2017-219197(P2017-219197A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年11月19日
(31)【優先権主張番号】20165476
(32)【優先日】2016年6月9日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】593016558
【氏名又は名称】ヴァイサラ オーワイジェー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ハルリ・サロ
【審査官】 羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−536095(JP,A)
【文献】 特開2002−202248(JP,A)
【文献】 実開平07−045094(JP,U)
【文献】 国際公開第2015/003037(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/060756(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0018200(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34−53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
F16J 15/00−15/32
F16J 15/324−15/3296
F16J 15/40−15/56
G01M 3/00−3/40
G01M 13/00−13/04
G01M 99/00
G01N 21/00−21/01
G01N 21/17−21/61
G01N 21/84−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測装置のシール構成であって、前記計測装置(1)が、
計測される流体(6)と接触する表面(7)を有した1つまたは複数の計測要素(2)と、
計測される前記流体(6)のための流体チャンバ(3)と、
前記流体チャンバ(3)と前記計測要素(2)との間の連結部(5)をシールするためのシール(4a、4b)と、を備える、シール構成において、
洗浄流体を前記シール(4a、4b)と接触させるために、流路(10a〜10d)が前記計測装置(1)において形成されたことを特徴とする、シール構成。
【請求項2】
前記流路(10a〜10d)が、1つまたは複数の流入管路(10a)および流出管路(10d)を備え、前記流入管路(10a)および前記流出管路(10d)が、前記計測装置(1)の前記計測要素(2)の側部における前記シール(4a、4b)の部分に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のシール構成。
【請求項3】
前記構成が、第1のシール(4a)から距離sだけ隔てた第2のシール(4b)を備え、前記洗浄流体(11)が、前記第2のシール(4b)とも接触させられることを特徴とする、請求項1または2に記載のシール構成。
【請求項4】
前記シールへの前記流路(10b)と、前記シールからの前記流路(10c)とが、前記シール(4a)と前記第2のシール(4b)との間に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載のシール構成。
【請求項5】
前記洗浄流体(11)が、重力により、または加圧式で前記流路(10a〜10d)内を移動することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のシール構成。
【請求項6】
前記流路(10a〜10d)が、前記洗浄流体(11)を前記計測装置(1)の内側空間(12)へと導くために、前記内側空間(12)と流体連通することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のシール構成。
【請求項7】
前記計測要素(2)が、計測窓および/または温度センサであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のシール構成。
【請求項8】
前記計測装置(1)が、プロセス流体の特性を計測および/または制御するためのプロセス監視装置であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のシール構成。
【請求項9】
前記計測装置(1)が、屈折計であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のシール構成。
【請求項10】
計測装置のシール方法であって、前記計測装置(1)が、
計測される流体(6)と接触する表面(7)を有した1つまたは複数の計測要素(2)と、
計測される前記流体(6)のための流体チャンバ(3)と、
前記流体チャンバ(3)と前記計測要素(2)との間の連結部(5)をシールするためのシール(4a、4b)と、を備える、シール方法において、
洗浄流体(11)を前記シール(4a、4b)と接触させるために、流路(10a〜10d)が前記計測装置(1)において形成されたことを特徴とする、計測装置のシール方法。
【請求項11】
前記洗浄流体(11)が洗浄液であり、前記洗浄液の温度および流量が、前記計測装置(1)のための冷却力を生成するように適合されたことを特徴とする、請求項10に記載の計測装置のシール方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、計測装置のシール構成およびシール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]自動インライン計測装置およびアクチュエータによる腐食性化学物質の計測および制御は、化学物質の危険な特性および高いコストが理由で、十分に調整される。腐食性化学物質の計測装置における課題は、計測される液体または気体が計測管またはビュレット内に留まり、計測装置の内部に入ることができないように、光学要素または他の計測要素と他の機構およびプロセスとを漏れない方法で接続することにある。フッ化水素酸および硫酸のような腐食性化学物質をシールすることは、化学物質が気化するときにそれらの小分子がシール材に浸透しようとするため、困難であり、不可能でさえある。
【0003】
[0003]腐食性化学物質に関連して、フッ素エラストマおよびパーフルオロエラストマが概して使用され、これらは、腐食性化学物質に損傷されることなく、よく耐える。
[0004]上述の構成の問題は、シール材が、気体の通過を許容することであり、このことが、計測装置内部の繊細な光学部品、機械部品、または電子部品の損傷を生じさせることにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0005]したがって、本発明に係る一目的は、前述の問題が解決されるのを可能とするための構成および方法を提供することにある。本発明のこの目的は、独立請求項において開示されたものを特徴とする構成および方法によって実現される。本発明の好適な実施形態は、従属請求項において開示される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0006]本発明は、計測装置のシール構成に基づく。計測装置は、計測される流体と接触する表面を有した1つまたは複数の計測要素と、計測される流体のための流体チャンバと、流体チャンバと計測要素との間の連結部をシールするためのシールと、を備える。洗浄流体をシールと接触させるために、流路が計測装置において形成される。
【0006】
[0007]本発明に係るシール方法において、計測装置は、計測される流体と接触する表面を有した1つまたは複数の計測要素と、計測される流体のための流体チャンバと、流体チャンバと計測要素との間の連結部をシールするためのシールと、を備える。洗浄流体がシールと接触させられる流路が、計測装置において形成される。
【0007】
[0008]本発明に係る構成および方法の利点は、計測装置内の繊細な光学部品、機械部品、または電子部品を危険にさらすことなく、よく知られており、良いものと認識されてきたシール材を使用する機会にある。
【0008】
[0009]本発明は、ここで、添付の図面を参照しつつ、好適な実施形態に関連して、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】計測装置のシール構成を示す図である。
図2】計測装置の第2のシール構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0010]図1は、計測装置のシール構成のための本発明の第1の実施形態を示す。計測装置1は、計測要素2と、流体チャンバ3と、流体チャンバ3と計測要素2との間の連結部5をシールするためのシール4aと、を備える。
【0011】
[0011]図1および図2の計測要素2は、計測される流体6と接触する表面7を有した光学的、電気的、または別の計測要素2である。計測要素2は、たとえば温度計測要素であってよい。さらに、計測装置1が複数の計測要素2を備えることも可能である。
【0012】
[0012]計測される流体6は、流体チャンバ3内に配置される。図面において、流体チャンバ3は、計測されるプロセス液体または気体のような流体6が圧力で流れる流路管である。流体チャンバ3は、たとえば、計測される流体6を含む容器であってもよい。図面において、計測要素2における流体6と接触する表面7は、流体チャンバ3の壁の一部を形成する。
【0013】
[0013]計測される流体6は、たとえば、フッ化水素、水酸化アンモニウム、リン酸、または硫酸のような腐食性化学物質である。流体6が気化するとき、化学物質の小分子は、シール材に浸透する。
【0014】
[0014]流体チャンバ3と計測要素2との間の連結部5は、シール4aでシールされる。シール4aは、流れの層流を妨げると共に、計測をより困難とし得る流れ空間においていかなる突出部も形成されないように、流体チャンバ3の流れ空間から離れて配置される。シール4aは、流体チャンバ3と計測要素2との間の連結部表面7のすぐ近くに配置される。図面において、シール4aは、計測要素2を囲むフレーム部分9において形成される溝8a内に配置される。シール4aは、流体チャンバ3の外壁において形成された溝内に配置されてもよい。
【0015】
[0015]流路10a〜10dは、洗浄流体11をシール4aと接触させるために、計測装置1内に形成される。洗浄流体11の流れは、図中の矢印によって示される。洗浄流体11は、流入管路10aを通して計測装置内を流れる。第1の実施形態において、洗浄流体11の1つまたは複数の流路10a〜10dは、洗浄流体11を内側空間12にも導くように、計測装置1の内側空間12と流体連通する。洗浄流体11は、計測装置の内側空間12内とシール4a周りとの両方を流れる。第1の実施形態において、洗浄流体11は、有利には洗浄気体である。
【0016】
[0016]シール4aへの洗浄流体11の流路10bと、シール4aからの流路10cとは、計測要素2と計測要素2を囲むフレーム部分9との間に形成される。流入管路10aおよび流出管路10dは、計測装置1の計測要素2の側部におけるシール4aの部分に配置される。シール4aを通して流体チャンバ3から浸透した漏洩ガス13は、洗浄流体11と混合され、シール4aの周りから洗浄流体11により取り除かれる。
【0017】
[0017]洗浄流体11は、流出管路10dを通って計測装置1から流れ出る。計測装置1の内側空間12内へ導かれた洗浄流体11は、内側空間へと漏れたかもしれない気体と混合されて、内側空間12内の光学的構成要素、機械的構成要素、または電子的構成要素を常に保護する。図面においては、計測装置内に計測構成要素14と計測電子機器15とが存在する。
【0018】
[0018]図面において、洗浄流体11は、重力により、または、たとえばブロワもしくはコンプレッサによって加圧されて、流路10a〜10d内を移動する。洗浄流体11の小さな加圧は有利となる。なぜなら、洗浄流体11の小さな加圧は、シール4aの異なる側部における圧力差がより小さいことから、シール4aを通るガス漏れも低減するためである。洗浄流体11の循環は、計測装置1を囲む空間に応じて、開かれても、または閉じられてもよい。計測装置1が、たとえば、周囲がよく換気されて空気が乾燥したクリーンルーム内に配置される場合、開放循環が用いられてもよく、ここにおいて、洗浄流体11は、計測装置から周囲の空気へと自由に漏れ出る。洗浄流体11としては、不活性ガス、空気、または、その流体が気体である場合、流体を吸収する気体もしくは液体が使用されてもよい。洗浄流体11の目的は、流体チャンバ3から漏れた漏洩ガス13のシールの周囲を浄化することにある。
【0019】
[0019]図2は、本発明の第2の実施形態を示す。
[0020]図2においては、図1と同じ参照符号が、対応する部分に使用される。計測装置1は、計測要素2と、流体チャンバ3と、流体チャンバ3と計測要素2との間の連結部5をシールするためのシール4aとを備える。
【0020】
[0021]第2の実施形態は、2つの別個のシール4a、4bを使用し、これらの間の空間へ洗浄気体11が導かれて、漏洩ガス13が取り除かれる。図1に示されたシール4aに加え、シール構成は、第1のシール4aから距離sだけ隔てて配置された第2のシール4bを使用する。シール4a、4bは、第2のシール4bが第1のシール4aより流体チャンバ3からさらに離れるように順に配置される。洗浄流体11は、漏洩ガス13のシール4a、4bの両方の周囲を浄化するために、シール4a、4bの両方と接触させられる。
【0021】
[0022]第2の実施形態において、洗浄流体11は、有利には、洗浄気体、または水のような洗浄液である。洗浄液は、漏洩ガス13の輸送体として機能し、計測装置1を冷却する冷却液として付加的に機能してもよい。このような場合において、温度および流量は、計測装置1のための冷却力を生成するように適合される。計測装置1を、この計測装置1を流れる洗浄液より高い温度にした状態で、洗浄液が計測装置1内を流れるとき、流れる洗浄液に熱が伝達される。洗浄液が冷却液としても機能するとき、洗浄液は、圧力により有利に流れ、洗浄液の流量は、圧力を生成する装置により調整されてもよい。計測装置1の冷却は、たとえば高温のプロセスにおいて必要である。
【0022】
[0023]図2において、シール4bは、計測要素2を囲むフレーム部分9において形成された溝8b内に配置される。第2のシール4bは、流れ空間の外部の、流体チャンバ3の外壁に形成された溝内に配置されてもよい。
【0023】
[0024]シール4a、4bへの洗浄流体11の1つまたは複数の流路10bと、シール4a、4bからの1つまたは複数の流路10cとは、第1のシール4aと第2のシール4bとの間に構成される。シールへの流路10bおよびシールからの流路10cは、第2のシール4bの側部から順に構成されてもよく、これは、たとえば第1のシール4aに対向しない。
【0024】
[0025]図面に示された流路10a〜10dは、計測装置1のフレーム部分9に形成された開口部であってもよく、これにより、洗浄流体11は重力により流れる。このような場合において、計測装置1は、周囲がよく換気され、洗浄流体11として機能する空気の湿度が管理され得る空間内に配置される。
【0025】
[0026]流路10a〜10dは、流体チャンバ3の漏洩検出器としても機能する。流体チャンバ3と計測要素2との間のシール4a、4bが損傷され、流体6がシール4a、4bを通過して染み出た場合、染み出た流体6は、流路10a〜10d内に蓄積し、ここから洗浄流体11により少なくとも部分的に洗浄される。
【0026】
[0027]説明した計測装置のシール構成は、プロセス流体の特性を計測および/または制御するためにプロセスラインと接続される、プロセス監視装置として用いられる計測装置1によく適合する。
【0027】
[0028]図面に示された計測装置1は、たとえば屈折計であってよい。本発明が適用され得る先行技術の計測装置1の一例は、半導体プロセスの屈折計PR−33−Sである。屈折計は、屈折率または流体を計測するために用いられる光学的計測装置である。プロセス監視装置として、屈折計は、計測構成要素、すなわち、プリズムと接触する流体の屈折率を決定することによって、プロセス液内に溶解した物質の内容物を計測する。屈折計の計測要素は、たとえば、計測窓および/または温度センサである。屈折計は、計測構成要素とその内部の計測電子機器とを付加的に含む。計測構成要素は、たとえば光源である。光源は、たとえばレーザーダイオードといった、適切な単色光源であってよい。計測電子機器は、たとえば、CCD素子またはカメラ、イメージアナライザ、および計測装置の較正用電子機器であってよい。
【0028】
[0029]計測装置のシール方法において、計測装置1は、1つまたは複数の計測要素2と、シール4a、4bと、流体チャンバ3と、を備える。本方法において、計測される流体6は、流体チャンバ3内に配置され、計測装置1の1つまたは複数の計測要素2は、計測要素2の表面7を通して、計測される流体6と接触させられる。流体チャンバ3と計測要素2との間の連結部5は、流体6が流体チャンバ3から漏れ得ないように、少なくとも1つのシール4a、4bでシールされる。流路10a〜10dは、計測装置1内に形成され、これによって、洗浄流体11は、シール4a、4bと接触させられる。本方法において、流体チャンバ3からシール4a、4bを通して浸透した漏洩ガス13は、洗浄流体11と混合され、洗浄流体11により、シール4a、4bの周囲および計測装置1から取り除かれる。
【0029】
[0030]当業者は、技術が向上するにつれ、本発明の基本的な思想が多くの異なる方法で実装され得ることは明らかだとわかるであろう。したがって、本発明およびその実施形態は、上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で変化し得る。
【符号の説明】
【0030】
[0031]
1 計測装置
2 計測要素
3 流体チャンバ
4a シール
4b シール
5 連結部
6 流体
7 表面
8a 溝
8b 溝
9 フレーム部分
10a 流路
10b 流路
10c 流路
10d 流路
11 洗浄流体
12 内側空間
13 漏洩ガス
14 計測構成要素
15 計測電子機器
S 距離
図1
図2