(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
担体が、補助剤、抗酸化剤、粘度モジュレーター、保存剤、懸濁化剤、乾燥剤、透過性を促進する薬剤、および任意のこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の成分をさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0027】
用語の定義
下記の用語は、これらの一般に認められている意味に相当してもよく、相当しなくてもよい下記で記載した意味を有する。
【0028】
一般用語
「混合物」という用語は、成分が分子レベルで相互作用してもよい、1種以上の成分のブレンドを意味し、例えば、均質な混合物は、成分が均一および均質に分布している混合物であり、一方、不均質な混合物は、成分が均一および均質に分布していない混合物である。
【0029】
「組合せ」という用語は、合わせられているが、混合されていない1種以上の成分を意味する。
【0030】
「実質的に」という用語は、性状、条件または値が、示した値の約10%以内であることを意味する。他の実施形態において、この用語は、示した値の約5%以内である。他の実施形態において、この用語は、示した値の約2%以内である。他の実施形態において、この用語は、示した値の約1%以内である。
【0031】
「本質的に非含有」または「実質的に非含有」という用語は、約5重量%以下の所与の成分を含む組成物を意味する。特定の実施形態において、この用語は、約2重量%以下を意味する。他の実施形態において、この用語は、約1重量%以下を意味する。他の実施形態において、この用語は、約0.5重量%以下を意味する。他の実施形態において、この用語は、約0.1重量%以下を意味する。他の実施形態において、この用語は、約0.05重量%以下を意味する。他の実施形態において、この用語は、約0.01重量%以下を意味する。他の実施形態において、この用語は、約0.005重量%以下を意味する。他の実施形態において、この用語は、約0.001重量%以下を意味する。他の実施形態において、この用語は、約0.0005重量%以下を意味する。他の実施形態において、この用語は、約0.0001重量%以下を意味する。このような成分は、これらに限定されないが、所望の組成物から実質的に除外されている水、溶媒、または任意の他の成分を含んでもよい。
【0032】
「相対的に高濃度」という用語は、医薬品または栄養補助剤が最終組成物の約50重量%以上を構成することを意味する。特定の実施形態において、この用語は、医薬品または栄養補助剤が最終組成物の約55重量%以上を構成することを意味する。特定の実施形態において、この用語は、医薬品または栄養補助剤が最終組成物の約60重量%以上を構成することを意味する。特定の実施形態において、この用語は、医薬品または栄養補助剤が最終組成物の約65重量%以上を構成することを意味する。特定の実施形態において、この用語は、医薬品または栄養補助剤が最終組成物の約70重量%以上を構成することを意味する。特定の実施形態において、この用語は、医薬品または栄養補助剤が最終組成物の約75重量%以上を構成することを意味する。特定の実施形態において、この用語は、医薬品または栄養補助剤が最終組成物の約80重量%以上を構成することを意味する。特定の実施形態において、この用語は、医薬品または栄養補助剤が最終組成物の約85重量%以上を構成することを意味する。
【0033】
「主要な成分」という用語は、100重量%の配合物に基づいて少なくとも33重量%の量で組成物中に存在する成分を意味する。
【0034】
「会合複合体」または「会合した複合体」という用語は、2種以上の化合物の間の非共有結合性会合を意味し、化合物は、水素結合、イオン結合、双極性相互作用、過分極性相互作用、ファンデルワールス相互作用、静電相互作用、無極性結合もしくは相互作用、または任意の他の化学的および/もしくは物理的引力相互作用を含めた非共有結合の化学的および/または物理的相互作用によって一緒にまとまっている。例えば、NSAIDおよび双性イオン性リン脂質は、会合した複合体を形成する。
【0035】
「非共有結合性相互作用」という用語は、水素結合、イオン結合、双極性相互作用、過分極性相互作用、ファンデルワールス相互作用、静電相互作用、無極性結合もしくは相互作用、または任意の他の化学的および/もしくは物理的引力相互作用を含めた化学的および/または物理的相互作用を意味する。
【0036】
「親水性」という用語は、水に対して強力な親和性を有し、水に溶解し、水と混合し、または水によって濡れる傾向がある化合物を意味する。
【0037】
「疎水性」という用語は、水に対する親和性を欠いており、水をはじき、水を吸収しない傾向があり、水に溶解せず、または水と混合せず、または水によって濡れない傾向がある化合物を意味する。
【0038】
「双生イオン」という用語は、生物学的pHで正および負に帯電している官能基を有する分子を意味する。
【0039】
「アニオン」という用語は、生物学的pHで全体的に負の電荷を有する分子を意味する。
【0040】
「カチオン」という用語は、生物学的pHで全体的に正の電荷を有する分子を意味する。
【0041】
「相対的に疎水性のバリア」という用語は、疎水特性を有し、一般に親水性試薬のバリアを横切る輸送および/もしくは分配に対して抵抗し、またはこれらを低減させる、任意の外部、内部、細胞または細胞内バリアを意味する。これらのバリアには、これらに限定されないが、ヒト、哺乳動物または動物の、粘膜ゲル層(例えば、胃、十二指腸、または結腸の粘膜ゲル層、膣粘膜ゲル層、食道粘膜ゲル層、鼻粘膜ゲル層、肺粘膜ゲル層など)、原形質膜(細胞膜)、血液脳関門、胎盤関門、睾丸関門、または任意の他のバリアが含まれ、これらを通して疎水性材料の分配および/または輸送が、親水性材料より容易に起こる。
【0042】
「残留水」という用語は、本発明の組成物を製造するために使用される成分中に残っている水を意味する。一般に、残留水は、本発明の組成物の成分において少量の不純物を構成する。
【0043】
「最少の残留水」という用語は、本発明の組成物が約5重量%未満の残留水を含むことを意味する。特定の実施形態において、本発明の組成物は、約4重量%未満の残留水を含む。特定の実施形態において、本発明の組成物は、約3重量%未満の残留水を含む。特定の実施形態において、本発明の組成物は、約2重量%未満の残留水を含む。特定の実施形態において、本発明の組成物は、約1重量%未満の残留水を含む。
【0044】
「低水分」という用語は、組成物が本発明の組成物を製造するのに使用される成分において見出される残留水のみを含むことを意味する。
【0045】
「化学的特性および/または物理的特性および/または挙動を改変、変更、および/または増大させる」という用語は、本発明の担体が疎水性マトリックスを形成するように設計され、その中で活性剤は固体または液体として混合される(活性剤の性質によって決まる)ことを意味する。水性生体液、例えば、血液、胃液、十二指腸液、小腸液、大腸液、膣液、直腸の固体/液、または任意の他の生体液と比較して不混和性/異なる環境を提供して、活性剤が2つの不混和性環境の間で自由に分配される状況を設定することによって、これらの疎水性マトリックスは、活性剤の化学的および/または物理的特徴を改変、変更または増大させるように作動する。さらに、本発明の担体の特性、例えば、粘性、親油性、疎水性、分散性、非必須性、軟化温度、融解温度などはまた、担体マトリックスが不混和性担体から生体液への物質輸送を促進するのに十分に小さな粒子に分散されるまで、不混和性担体中に活性剤を捕捉することによって、活性剤の分配速度を改変、変更または増大させるように作用する。本発明の担体マトリックス中に捕捉された固体活性剤について、組織および/もしくは器官の機械的作用によって、ならびに/または組織および/もしくは器官において起こる生化学的プロセスによってマトリックスの粒径が生体液中で低減するにつれて、活性剤はマトリックスから溶出しなくてはならないため、分配速度における更なる低減が結果として起こる。
【0046】
「標的化された様式」という用語は、活性剤が所望の生物環境中への放出のために標的化されることを意味する。
【0047】
「pH依存性の様式」という用語は、水性生体液、例えば、血液、胃液、十二指腸液、小腸液、大腸液、膣液、直腸の固体/液、または任意の他の生体液と比較して不混和性/異なる環境を提供して、活性剤が2つの不混和性環境の間で自由に分配される状況を設定することによって、本発明の担体が作動して、活性剤の化学的および/または物理的特徴を改変、変更または増大させることにおいて、pHがどのように影響を与えるかを意味する。さらに、本発明の担体の特性、例えば、粘性、親油性、疎水性、分散性、非必須性、軟化温度、融解温度などはまた、担体マトリックスが不混和性担体から生体液への物質輸送を促進するのに十分に小さな粒子に分散されるまで、不混和性担体中に活性剤を捕捉することによって、活性剤の分配速度を改変、変更または増大させるように作用する。本発明の担体マトリックス中に捕捉された固体活性剤について、組織および/もしくは器官の機械的作用によって、ならびに/または組織および/もしくは器官において起こる生化学的プロセスによってマトリックスの粒径が生体液中で低減するにつれて、固体はマトリックスから溶出しなくてはならないため、分配速度における更なる低減が結果として起こる。このように、生体液のpHは、不混和性の担体マトリックスが生体液に分散する速度、および担体マトリックスからの活性剤の物質輸送速度を変化させる。弱酸の活性剤および弱塩基の活性剤について、生体液のpHが活性剤のpK
aもしくはpK
bまたはpK
aもしくはpK
b付近(約1pH単位以下以内)となるまで、担体は活性剤の放出を低減するように設計し得る。弱酸の活性剤について、担体は、低pH環境中、例えば、胃液中で活性剤の放出を低減させ、これは弱酸の活性剤のpK
aまたはpK
a付近(約1pH単位以下以内)のpH環境における放出の増加を示す。
【0048】
「1つ以上の」、「少なくとも1つ」、「1つ...または複数の...」という用語は全て、単数の物品または複数の物品を意味する。
【0049】
薬剤および化合物
「活性剤」または「生物活性剤」または「活性成分」または「生物活性のある成分」という用語は、米食品医薬品局(FDA)が定義するような任意の医薬品または任意の栄養補助剤を意味する。
【0050】
「医薬品」という用語は、いくつかの疾病、疾患、症候群、機能障害などを治療するために、ヒト、哺乳動物、および/または動物への投与について承認されてきた、またはこれから承認される任意の化合物または組成物を意味する(一般に、例えば、FDAによって承認される薬物)。
【0051】
「栄養補助剤」という用語は、栄養補充または他の使用のための、ヒト、哺乳動物、および/または動物への投与のための任意の化合物または組成物を意味する。
【0052】
「弱酸の活性剤」および「弱塩基の活性剤」という用語は、水溶液中で部分的にのみイオン化されており、イオン化の程度は水溶液のpHによって決まる活性剤である。
【0053】
「抗炎症薬」という用語は、組織、器官などにおける炎症を低減または阻害する種々の薬物のいずれかを意味する。非ステロイド性抗炎症薬(COX1および/またはCOX2阻害剤)、過敏性腸障害または疾患(IBD)を治療するための薬物を含む抗炎症薬は、結腸および遠位小腸に影響を与える潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む潰瘍性疾患のファミリー、ならびにヒト、哺乳動物および/または動物において抗炎症活性を有する他の薬物を表す。本標的化送達系はまた、動物、哺乳動物、およびヒトのGI管、尿路、および生殖管におけるpHの不均衡を証明する状態を治療することにおいて有用性を見出し得る。
【0054】
「NSAID」という用語は、これらに限定されないが、イブプロフェン、ピロキシカム、サリチレート、アスピリン、ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナク、COX2阻害剤または任意のこれらの混合物を含めた、非ステロイド性抗炎症薬として一般に分類される種々の薬物のいずれかを意味する。
【0055】
「油」という用語は、一般に滑りやすく、可燃性であり、粘性の液体、または室温で液化可能であり、様々な有機溶媒、例えば、エーテル中で可溶性であるが、水中で可溶性でない、多数の鉱物、植物性、および合成物質、ならびに動物および植物性脂肪のいずれかを意味する。
【0056】
「脂質」という用語は、水中で不溶性であるが、非極性有機溶媒中で可溶性であり、触ってみると油性である、脂肪、油、ワックス、ステロール、モノ-グリセリド、ジ-グリセリド、およびトリグリセリドを含めた有機化合物の群のいずれかを意味する。
【0057】
「中性脂質」(NL)という用語は、モノ-グリセリド、ジ-グリセリド、トリグリセリドまたはこれらの混合物を含めた、無荷電の非ホスホグリセリド脂質を意味する。いくつかの実施形態において、中性脂質という用語は、もっぱらトリ-グリセリド(TG)を指す。
【0058】
「リン脂質」(PL)という用語は、任意の生体適合性リン脂質を意味する。
【0059】
「双性イオン性リン脂質」という用語は、これらに限定されないが、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリンおよび他のセラミド、ならびに様々な他の双性イオン性リン脂質を含めた、生物学的pHで正および負の電荷を担持する任意のリン脂質を意味する。
【0060】
「生体適合性」という用語は、生細胞、組織、器官、または系と適合性であり、ヒト、哺乳動物、または動物の免疫系による傷害、毒性、または拒絶の危険性がない、危険性が最小、または危険性が許容されることを意味する。
【0061】
「生体適合性薬剤」という用語は、生細胞、組織、器官、または系と適合性であり、ヒト、哺乳動物、または動物の免疫系による傷害、毒性、または拒絶の危険性をもたらさない、任意の化合物を意味する。疎水性生体適合性薬剤、生体適合性油、pH依存性生体適合性放出剤、例えば、生体適合性脂肪酸または生体適合性脂肪ポリ酸、およびレシチン油を含めた、本発明における使用に適したいくつかのクラスの生体適合性薬剤が存在する。
【0062】
「生体適合性油」という用語は、生細胞、組織、器官、または系と適合性であり、ヒト、哺乳動物、または動物の免疫系による傷害、毒性、または拒絶の危険性をもたらさない、任意の油を意味する。特定の実施形態において、生体適合性油は、ヒトの消費についてFDAもしくは他の政府機関によって承認されてきた、またはヒト、哺乳動物、もしくは動物の消費について承認されてきた任意の油であり、化合物は、室温または生物学的温度で固体または液体でよい。特定の実施形態において、この用語は、生物学的温度で液である任意の油を意味する。他の実施形態において、この用語は、室温で液である任意の油を意味する。
【0063】
「生体適合性脂肪酸または生体適合性遊離脂肪酸」という用語は、生細胞、組織、器官、または系と適合性であり、ヒト、哺乳動物、または動物の免疫系による傷害、毒性、または拒絶の危険性をもたらさない、任意の脂肪酸または遊離脂肪酸(FFA)を意味する。特定の実施形態において、生体適合性脂肪酸は、モノ-カルボン酸である。特定の実施形態において、生体適合性脂肪酸は、少なくとも8個の炭素原子を有する。他の実施形態において、生体適合性脂肪酸は、少なくとも10個の炭素原子を有する。他の実施形態において、生体適合性脂肪酸は、少なくとも12個の炭素原子を有する。他の実施形態において、生体適合性脂肪酸は、少なくとも14個の炭素原子を有する。他の実施形態において、生体適合性脂肪酸は、少なくとも16個の炭素原子を有する。他の実施形態において、生体適合性脂肪酸は、少なくとも18個の炭素原子を有する。特定の実施形態において、生体適合性脂肪酸は、不飽和脂肪酸でよい。特定の実施形態において、生体適合性脂肪酸は、飽和脂肪酸でよい。特定の実施形態において、生体適合性脂肪酸は、飽和および不飽和脂肪酸の混合物でよい。「遊離脂肪酸」という用語は、モノ-、ジ-、およびトリ-グリセリド脂肪酸および脂肪酸エステルの間を完全に区別する用語として使用される場合がある。
【0064】
「生体適合性脂肪酸エステル」という用語は、生細胞、組織、器官、または系と適合性であり、ヒト、哺乳動物、または動物の免疫系による傷害、毒性、または拒絶の危険性をもたらさない、任意の脂肪酸エステルを意味する。特定の実施形態において、生体適合性カルボン酸エステルは、モノ-アルコールまたはポリオールのエステルである。
【0065】
「生体適合性脂肪酸塩」という用語は、生体適合性カルボン酸の任意の塩を意味する。特定の実施形態において、塩は、モノ-カルボン酸の塩である。
【0066】
「生体適合性脂肪ポリ酸」という用語は、生細胞、組織、器官、または系と適合性であり、ヒト、哺乳動物、または動物の免疫系による傷害、毒性、または拒絶の危険性をもたらさない、化合物毎に複数のカルボン酸部分を有する任意の生体適合性化合物を意味する。特定の実施形態において、生体適合性ポリ酸は、少なくとも8個の炭素原子を有する。他の実施形態において、生体適合性ポリ酸は、少なくとも10個の炭素原子を有する。他の実施形態において、生体適合性ポリ酸は、少なくとも12個の炭素原子を有する。他の実施形態において、生体適合性ポリ酸は、少なくとも14個の炭素原子を有する。他の実施形態において、生体適合性ポリ酸は、少なくとも16個の炭素原子を有する。他の実施形態において、生体適合性脂肪酸は、少なくとも18個の炭素原子を有する。特定の実施形態において、生体適合性脂肪酸は、不飽和脂肪酸でよい。特定の実施形態において、生体適合性脂肪酸は、不飽和脂肪酸でよい。特定の実施形態において、生体適合性脂肪酸は、飽和脂肪酸でよい。特定の実施形態において、生体適合性脂肪酸は、飽和および不飽和脂肪酸の混合物でよい。
【0067】
「レシチン」という用語は、粗植物性油源から分離したような、様々な量の他の物質、例えば、トリグリセリド、脂肪酸、および炭水化物と合わさった、主にホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、およびホスファチジルイノシトールからなる、植物または動物に由来し、アセトン-不溶性ホスファチドの複合混合物として定義される黄褐色がかった脂肪物質を意味する。これは、50.0%以上のアセトン不溶性物体を含有する。特定の実施形態において、レシチンは、不飽和脂肪酸側鎖でエステル化されている脂質からなってもよい。他の実施形態において、レシチンは、飽和脂質を有する脂質からなってもよい。他の実施形態において、レシチンは、これらの混合物を有する脂質からなってもよい。
【0068】
「粗レシチン」という用語は、約10〜15重量%のホスファチジルコリンを含有するレシチンを意味する。
【0069】
「半粗製または3倍濃度レシチン」という用語は、ホスファチジルコリン含量が35重量%〜約50重量%に増加したレシチンを意味する。
【0070】
「レシチン油」という用語は、レシチンが油および/または遊離脂肪酸に可溶化した液体レシチンを意味する。特定の実施形態において、このレシチン油は、トリグリセリドおよび/または遊離脂肪酸に可溶化した半粗製または3倍濃度レシチンである。
【0071】
「精製したリン脂質」という用語は、少なくとも90重量%超の純度のリン脂質を有する天然に抽出したまたは合成のリン脂質、単一の化合物、または密接な関係があるリン脂質のクラス、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、または他の同様のリン脂質を意味する。精製したリン脂質はレシチンではないが、抽出および精製によってレシチンに由来し得る。
【0072】
「標的化生体適合性放出剤」または「標的化放出剤」という用語は、1種以上の活性剤の放出を標的化された様式で制御する、すなわち、組織または器官の生理的環境によって特定の組織または器官中へ活性剤を放出する薬剤を意味する。
【0073】
「pH依存性生体適合性放出剤」または「pH依存性放出剤」という用語は、1種以上の活性剤の放出をpH依存性の様式で制御する標的化放出剤を意味する。例えば、脂肪酸または脂肪ポリ酸を含む組成物が経口的に投与されたときに、約8個〜約50個の炭素原子を有する脂肪酸、または約12個〜約50個の炭素原子を有する脂肪ポリ酸は、低pHにおいて活性剤を脂肪酸または脂肪ポリ酸によって担体中に保持するが、組成物が胃を出てpHが上部腸において約pH7に上がると放出するように、1種以上の活性剤をpH依存性の様式で放出する。pH依存性生体適合性放出剤は、生体適合性薬剤の一般クラスのサブクラス、特に、疎水性生体適合性薬剤である。
【0074】
「担体」という用語は、活性剤、例えば、医薬品および/または栄養補助剤のためのベースである組成物を意味する。
【0075】
「疎水性担体」という用語は、活性剤、例えば、医薬品および/または栄養補助剤のためのベースである組成物を意味し、担体は1種以上または少なくとも1種の疎水性生体適合性薬剤を含み、担体は、水中で不混和性である。
【0076】
「油をベースとする担体」という用語は、活性剤、例えば、医薬品および/または栄養補助剤のためのベースである油をベースとする組成物を意味する。油をベースとする担体は、1種以上の生体適合性油および/または生体適合性疎水性薬剤を含み、水不混和性である。
【0077】
投与の方法
「内部投与」、「内部的に投与される」または「非経口投与」という用語は、消化管を通る初回通過を伴わずに、血流、組織部位、器官など中に直接組成物を投与する任意の技術による投与を意味する。
【0078】
「経口投与」または「経口投与される」という用語は、口を介した投与を意味する。
【0079】
「局所投与」または「局所的に投与される」という用語は、表面、例えば、皮膚、粘膜ゲル層(例えば、膣、直腸、眼などの)、外科手技の間に曝露される組織および/もしくは器官、または任意の他の曝露された体の組織上への投与を意味する。
【0080】
生物活性剤、例えば、医薬品および/または栄養補助剤のために独特な担体を調製してもよく、担体が、特定のポーション、または動物、哺乳動物、もしくはヒトにおける管の特定のポーション、例えば、胃腸(GI)管、尿路、生殖管、または組織、例えば、眼の組織への活性剤の放出を標的とするように、担体は1種または複数の生体適合性標的化放出剤を含むことを本発明者らは見出した。担体が、活性剤、例えば、医薬品および/または栄養補助剤をpH依存性の様式で放出するように、担体を、十分な量の少なくとも1種の生体適合性pH感受性または依存性放出剤を含むように設計し得ることを本発明者らはまた見出した。本発明の担体と、有効量の少なくとも1種の医薬品および/または少なくとも1種の栄養補助剤とを含む、医薬および/または栄養補助食品組成物を配合してもよく、薬剤は、体の管、例えば、GI管内で標的化または特別調整された様式で放出し得ることを本発明者らはまた見出した。本発明の担体は、医薬品および/または栄養補助剤をpH依存性の様式で放出し、体の管、例えば、GI管の異なるポーションを標的とするpH依存性放出系を含んでもよく、担体および/または担体成分の疎水性性質によって、pH依存性の様式で疎水性粘膜バリアまたは膜を横切って分配する薬剤の性能を改善させることを本発明者らは見出した。本発明の組成物はまた、特定の前疾患または病態に反応して組織、器官、または管において起こるpHの変化によって、pH依存性の様式での生物活性のある成分の送達に良好に適している。
【0081】
世界、特に、米国の人口は益々増加する高齢の人々および前の世代より身体的により重い人々を有するため、特定の有害な効果、例えば、GIへの悪影響を有することが公知である生物活性剤のための新規な送達系への必要性が、特に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)について増加している。NSAIDは、疼痛を管理し、心血管疾患を低減または管理し、血小板凝集を低減させ、発熱を低減させ、がんを低減または予防するため、およびいくつかの他の使用のために広範に使用されている薬物である。しかし、NSAIDは、主要な欠点を有し、これら全てはある程度、胃および上部GI管の刺激作用、びらん、および/または潰瘍形成をもたらす性能を有する。近年に至って、Lichtenbergerおよび共同研究者は、NSAIDとリン脂質とを会合させることによって、特定のNSAID、例えば、アスピリンおよびイブプロフェンのGI毒性を大幅に低減させることができることを示した。しかし、多量のNSAIDおよび多量のリン脂質を含む組成物は、アスピリンについてはアセチル側鎖の、およびリン脂質については脂肪酸側鎖の、長期に亘る加水分解による崩壊に供される。GI管の所望のポーション中へのNSAIDまたは薬剤の標的化放出または送達を必要とする、NSAIDおよび任意の他の医薬品および/または栄養補助剤のための改善された送達系を構築する継続的な努力において、本発明者らは、水と不混和性であり、少なくとも1種の標的化放出剤を含む担体系を開発した。少なくとも1種の標的化放出剤を含む担体を使用して、GI管の異なるポーション中へ1種以上の活性剤を送達し得ることを本明細書において本発明者らは示す。例えば、所与の活性剤が、胃または他の低pHの生物環境と公知の負の相互作用を有する場合、pHが約pH3超のpHに上がるまで活性剤が効果的に放出されないように担体を設計し得る。これらの担体において、活性剤は、pH2未満のpH値にて30分で約20%未満の速度で放出され、一方、活性剤は、約pH3超のpH値にて30分で80%超の速度で放出される。これらの同じ標的化放出担体はまた、酸感受性活性剤に良好に適しており、放出はpH5超のpH値向きに設計されている。水中で不混和性の担体を、より高いpH環境中への放出の代わりに低pH環境中への急速な放出のために配合し得ることを本明細書において本発明者らはまた示す。このように、本発明の担体は、任意のpH環境に、および潜在的に任意の所与の生物環境に活性剤を放出するように設計し得る。
【0082】
標的化放出剤は、少なくとも1つのイオン性基、例えば、カルボン酸基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、または他の同様にイオン性の基を含み、水中で不混和性または油中で可溶性であり、弱酸について、約pH3.5以上のpKa値を有する任意の化合物であることを本発明者らは見出した。これらの標的化放出剤は、これらのpKa値未満のpH値、特に、pH2未満のpH値で中性であり、これらのpKa値超のpH値でイオン化される。このように、低pH(<pH2)で、標的化放出剤は、水性液中で不混和性のままである油として単純に振るい、低pHの液環境において活性剤の最少の放出を証明する。しかし、pHが上昇するにつれ、放出剤はイオン化され、今や活性界面活性剤として作用して、より高いpH環境において活性剤を含む担体の急速な溶解をもたらす。GI管は、胃における約pH1および約pH3のpH値から、十二指腸における約pH3〜pH5のpH、大腸におけるpH8ほども高いpH値まで、胃から出発して大腸に進むについてpHが増加するpHプロファイルを有するため、異なるpKa値を有する放出剤を使用して、本発明者らは、環境のpHが放出剤のpKa値以上であるときのみ活性剤を効率的および急速に放出する担体を設計することができる。本発明の担体は、ちょうど十分な量の放出剤から100%の放出剤までを含み得ることを本発明者らはまた見出した。担体の放出特性を有意にまたは悪影響を与えることなく、他の成分、例えば、中性脂質、双性イオン性界面活性剤、賦形剤、および/または補助剤を担体に加えてもよいことを本発明者らはまた見出した。このように、100%の放出剤を含む担体は、中性脂質およびリン脂質を含む少量または多量の他の成分を有する担体と比較して、同様の分配プロファイル、溶解プロファイル、およびインビボの有効性を証明する。
【0083】
脂肪酸は、水中で不混和性であり、一般に約pH3超のpKa値を有し、これらのpKa値以上のpH値で、イオン化によって界面活性剤に変換される標的化放出剤の1つのクラスを表すことを本発明者らは見出した。二相系(相の1つは低pHまたは水性環境を表し、他の相は疎水性環境を表す)における担体/活性剤組成物の分配研究を使用して、担体を試験して、標的化放出担体としてのこれらの潜在的な使用を決定し得ることを本発明者らはまた発見した。分配データは、所与の担体について所与のpHで所与の活性剤を放出する性能についての予測的情報を提供する。本発明の標的化放出担体および所与の活性剤を含む組成物は、様々な溶解媒体、特に、異なるpH値を有する溶解媒体中の組成物の放出特性を研究することによってpH依存性放出特徴について試験してもよく、その結果、活性剤の溶解は、pH1からpH7以上で決定し得ることを本発明者らはまた発見した。溶解プロファイルは、所与の系の放出特徴を予想するインビトロのデータを提供する。
【0084】
本発明の実施形態は、(1)十分な量のpH依存性放出系を含む担体、および(2)少なくとも1種の生物活性剤を含む組成物に関し、担体は、生物活性剤の20%未満を胃液中に放出し、生物活性剤の50%超をpH3超のpH値を有する腸液中で放出することを特徴とする、pH感受性の様式で生物活性剤を放出する。
【0085】
本発明の実施形態は、(1)十分な量のpH依存性放出系を含む担体、および(2)少なくとも1種の生物活性剤を含む組成物に関し、担体は、生物活性剤が胃中に最低限に放出され、腸の領域中に効率的に放出されることを特徴とするpH感受性の様式で、生物活性剤を放出する。
【0086】
本発明の実施形態は、(1)十分な量のpH依存性放出系を含む担体、および(2)少なくとも1種の生物活性剤を含む組成物に関し、担体は、生物活性剤が第1のpHで最低限に放出され、第2のpHで効率的に放出されることを特徴とするpH感受性の様式で、生物活性剤を放出する。
【0087】
本発明の実施形態は、(1)十分な量のpH依存性放出系を含む担体、および(2)少なくとも1種の生物活性剤を含む組成物に関し、担体は、生物活性剤が胃中に最低限に放出され、異なる濃度および/もしくはタイプの胆汁酸ならびに/または消化酵素を有する腸の領域中に効率的に放出されることを特徴とするpH感受性の様式で、生物活性剤を放出する。
【0088】
特定の実施形態において、pH感受性の様式は、胃液および腸液中への活性剤の異なる放出を特徴とする。他の実施形態において、生物活性剤は、胃液のpHで実質的にイオン化されておらず、pHが上昇するにつれイオン化される。他の実施形態において、pH依存性放出系は、少なくとも8個の炭素原子を有する1種の脂肪酸または複数の脂肪酸を含む。他の実施形態において、生物活性剤は、弱酸の生物活性剤、弱塩基の生物活性剤、およびこれらの混合物または組合せからなる群から選択される。他の実施形態において、弱酸の生物活性剤は、弱酸の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)およびNSAIDの混合物からなる群から選択される。
【0089】
本発明の実施形態は、十分な量のpH依存性放出系を含む担体と、少なくとも1種の弱酸の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)とを含む医薬組成物に関し、担体は、生物活性剤の20%未満を胃液中に放出し、生物活性剤の50%超をpH3超のpH値を有する腸液中で放出することを特徴とする、pH感受性の様式でNSAIDを放出し、生物活性剤は、胃液のpHで実質的にイオン化されておらず、pHが上昇するにつれイオン化される。他の実施形態において、pH依存性放出系は、少なくとも8個の炭素原子を有する1種の脂肪酸または複数の脂肪酸を含む。
【0090】
本発明の実施形態は、十分な量のpH依存性放出系を含む担体中に弱酸の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)剤またはNSAIDの混合物の懸濁液を含む医薬組成物に関する。
【0091】
本発明の実施形態は、十分な量の少なくとも1種の少なくとも8個の炭素原子を有する脂肪酸を含む担体中に弱酸の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)剤またはNSAIDの混合物の懸濁液を含む医薬組成物に関する。
【0092】
本発明の実施形態は、十分な量のpH依存性放出系を含む担体と、少なくとも1種の生物活性剤とを含む組成物を経口的に投与するステップを含む、胃腸(GI)管に沿って生物活性剤を標的化する方法に関し、担体は、生物活性剤の20%未満を胃液中に放出し、生物活性剤の50%超をpH3超のpH値を有する腸液中で放出することを特徴とする、pH感受性の様式で生物活性剤を放出し、生物活性剤は、胃液のpHで非荷電であり、pH3超のpH値で荷電しており、またはpH3未満のpHを有する液中で不安定である。
【0093】
本発明の実施形態は、少なくとも1種の生体適合性標的化放出剤を含む担体組成物に関し、担体組成物および/またはその成分は、胃腸(GI)管の特定のポーション中に少なくとも1種の活性剤を制御可能に放出することが可能である。他の実施形態において、生体適合性標的化放出剤は、pH依存性の様式で活性剤を制御可能に放出することができるpH依存性放出剤を含む。他の実施形態において、生体適合性標的化放出剤は、GI管の特定のポーション中にポーションのpHに基づいて活性剤を制御可能に放出することができるpH依存性放出剤を含む。他の実施形態において、pH依存性放出剤は、少なくとも8個の炭素原子を有する生体適合性脂肪酸を含む。他の実施形態において、担体は、少なくとも1種の中性脂質をさらに含み、中性脂質は、水不混和性である。他の実施形態において、中性脂質は、モノ-グリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、またはこれらの混合物および組合せを含み、エステル側鎖は、少なくとも6個の炭素原子を有する。他の実施形態において、担体は、10重量%未満の1種のリン脂質または複数のリン脂質をさらに含む。
【0094】
本発明の実施形態は、100重量%の少なくとも8個の炭素原子を有する少なくとも1種の生体適合性脂肪酸、および0重量%〜100重量%の少なくとも1種の中性脂質を含む担体組成物に関し、担体組成物および/またはその成分は、胃腸(GI)管の特定のポーション中に少なくとも1種の活性剤を制御可能に放出することが可能であり、重量%は、加えて100超の値となり得る。他の実施形態において、担体組成物は、10重量%未満のリン脂質をさらに含む。他の実施形態において、担体組成物は、5重量%未満のリン脂質をさらに含む。他の実施形態において、担体組成物は、2.5重量%未満のリン脂質をさらに含む。
【0095】
本発明の実施形態は、少なくとも1種の生体適合性標的化放出剤を含む担体と、有効量の少なくとも1種の生物活性剤とを含む組成物に関し、担体組成物および/またはその成分は、胃腸(GI)管の特定のポーション中に少なくとも1種の活性剤を制御可能に放出することが可能である。他の実施形態において、担体および/またはその成分は、組織および/または器官において少なくとも1種の活性剤の化学的特性および/または物理的特性および/または挙動を改変および/または変更し、それによって組織および/または器官毒性を低減および/または変更し、バイオアベイラビリティーを改善および/または変更し、ならびに/あるいは有効性を改善および/または変更する。他の実施形態において、担体は、少なくとも1種の活性剤をpH依存性の様式で放出することができる。他の実施形態において、生体適合性標的化放出剤は、少なくとも8個の炭素原子を有する少なくとも1種の生体適合性脂肪酸を含む。
【0096】
本発明の実施形態は、100重量%の少なくとも8個の炭素原子を有する少なくとも1種の生体適合性脂肪酸、および0重量%〜100重量%の少なくとも1種の中性脂質、ここで中性脂質は、水中で不混和性であり、重量%は、加えて100超の値となり得る、を含む担体と、有効量の少なくとも1種の生物活性剤とを含む組成物に関し、担体組成物および/またはその成分は、胃腸(GI)管の特定のポーション中に少なくとも1種の活性剤を制御可能に放出することが可能である。他の実施形態において、担体および/またはその成分は、組織および/または器官において少なくとも1種の活性剤の化学的特性および/または物理的特性および/または挙動を改変および/または変更し、それによって組織および/または器官毒性を低減および/または変更し、バイオアベイラビリティーを改善および/または変更し、ならびに/あるいは有効性を改善および/または変更する。他の実施形態において、担体は、10重量%未満のリン脂質をさらに含む。他の実施形態において、担体は、5重量%未満のリン脂質をさらに含む。他の実施形態において、担体は、2.5重量%未満のリン脂質をさらに含む。
【0097】
本発明の実施形態は、100重量%の少なくとも8個の炭素原子を有する少なくとも1種の生体適合性脂肪酸、および0重量%〜100重量%の少なくとも1種の中性脂質、ここで中性脂質は、水中で不混和性であり、重量%は、加えて100超の値となり得る、を含む担体と、有効量の少なくとも1種の生物活性剤とを含む組成物に関し、担体組成物および/またはその成分は、胃腸(GI)管の特定のポーション中に少なくとも1種の活性剤を制御可能に放出することが可能である。他の実施形態において、担体および/またはその成分は、組織および/または器官において少なくとも1種の活性剤の化学的特性および/または物理的特性および/または挙動を改変および/または変更し、それによって組織および/または器官毒性を低減および/または変更し、バイオアベイラビリティーを改善および/または変更し、ならびに/あるいは有効性を改善および/または変更する。他の実施形態において、担体は、10重量%未満のリン脂質をさらに含む。他の実施形態において、担体は、5重量%未満のリン脂質をさらに含む。他の実施形態において、担体は、2.5重量%未満のリン脂質をさらに含む。
【0098】
本発明の実施形態は、8重量%未満の少なくとも8個の炭素原子を有する少なくとも1種の生体適合性脂肪酸または14重量%超の少なくとも8個の炭素原子を有する少なくとも1種の生体適合性脂肪酸、および0重量%〜100重量%の少なくとも1種の中性脂質、ここで中性脂質は、水中で不混和性である、および0重量%〜100重量%の少なくとも1種のリン脂質、ここで重量%は、加えて100超の値となり得る、を含む担体と、有効量の少なくとも1種の生物活性剤とを含む組成物に関し、担体組成物および/またはその成分は、胃腸(GI)管の特定のポーション中に少なくとも1種の活性剤を制御可能に放出することが可能である。他の実施形態において、担体および/またはその成分は、組織および/または器官において少なくとも1種の活性剤の化学的特性および/または物理的特性および/または挙動を改変および/または変更し、それによって組織および/または器官毒性を低減および/または変更し、バイオアベイラビリティーを改善および/または変更し、ならびに/あるいは有効性を改善および/または変更する。
【0099】
担体
本発明の実施形態は広範に、少なくとも1種の生体適合性標的化放出剤を含む担体組成物に関する。担体および/またはこれらの成分は、組織および/または器官において少なくとも1種の活性剤の化学的特性および/または物理的特性および/または挙動を改変および/または変更し、それによって組織および/または器官毒性を低減および/または変更し、バイオアベイラビリティーを改善および/または変更し、ならびに/あるいは有効性を改善および/または変更する。特定の実施形態において、担体および/またはこれらの成分は、pH依存性の様式で、組織および/または器官において少なくとも1種の活性剤の化学的特性および/または物理的特性および/または挙動を改変および/または変更して、組織および/または器官毒性を低減および/または変更し、バイオアベイラビリティーを改善および/または変更し、ならびに/あるいは有効性を改善および/または変更する。特定の実施形態において、生体適合性薬剤は、疎水性である。
【0100】
本発明は広範に、(1)1種の生体適合性脂肪酸または複数の生体適合性脂肪酸、(2)任意選択で1種の生体適合性脂肪酸エステルまたは複数の生体適合性脂肪酸エステル、(3)任意選択で1種の生体適合性油または複数の生体適合性油、(4)任意選択で1種の生体適合性脂肪酸塩または複数の生体適合性脂肪酸塩、(5)任意選択で二次的錯化剤、および(6)任意選択で毒性、刺激作用または副作用を低減および/または除去する薬剤を含めた保護系を含む、活性剤のための担体に関する。担体は一般に、経口的に投与し、直接投与し、内部的に投与および/または局所的に投与することができる粘性の液である。
【0101】
特定の実施形態において、本発明の担体はまた、他の成分、例えば、(1)賦形剤、(2)補助剤、(3)乾燥剤、(4)抗酸化剤、(5)保存剤、(6)キレート剤、(7)粘度モジュレーター、(8)等張化剤、(9)香味剤および矯味剤、(10)着色剤、(11)着臭剤、(12)乳白剤、(13)懸濁化剤、(14)結合剤、ならびに(15)これらの混合物を含み得る。
【0102】
担体は一般に粘性の液であり、これから製造した組成物は一般に溶液、ペースト、半固体、分散液、懸濁液、コロイド懸濁液またはこれらの混合物であり、経口的に投与し、非経口的に投与しまたは局所的に投与することができる。
【0103】
脂肪酸標的化放出剤
担体および/またはこれらの成分は、特定のタイプの活性剤と相互作用して、担体中の活性剤の結晶の粒径、形態学、他の物理的特徴、物理的/化学的特性および/または挙動、ならびに物理的/化学的特性に影響を与えることを本発明者らはまた考える。特定の実施形態において、活性剤を温度を上げた状態で担体に加え、温度は、活性成分の融解温度までであるが、担体成分または活性成分のいずれかの分解温度未満でよい。環境のpHがひとたびpH依存性放出剤および/もしくは活性剤のpK
aもしくはpK
bとなると、またはそれに近くなると、増大した特性は活性剤のバイオアベイラビリティーの増加をもたらすと本発明者らは考える。
【0104】
二次的錯化剤
担体組成物の実施形態はまた、担体に加えた活性剤と相互作用することができる少なくとも1種の二次的薬剤を含み得る。担体組成物の実施形態はまた、活性剤の毒性の副作用を低減するように設計された二次的抗毒性系を含み得る。これらの担体組成物の実施形態は一般に、水非含有または本質的もしくは実質的に水非含有、および/あるいは溶媒非含有または本質的もしくは実質的に溶媒非含有である。油として、担体は、水不混和性である。調整された特性を有する本発明の担体に少なくとも1種の治療活性剤を加えることによって治療組成物を調製してもよく、治療活性剤は、医薬品および/または栄養補助剤を含むことを本発明者らは見出した。調整された特性を有する医薬組成物を形成する条件下で、本発明の担体に少なくとも1種の医薬品を加えることによって、医薬組成物を調製し得ることを本発明者らはまた見出した。本発明の担体に少なくとも1種の栄養補助剤を加えることによって栄養補助食品組成物を調製し、調整された特性を有する栄養補助食品組成物を形成し得ることを本発明者らはまた見出した。これらの組成物の実施形態は、水非含有もしくは本質的に水非含有、および/または溶媒非含有もしくは本質的に溶媒非含有であり、すなわち、組成物は、pH依存性の様式で生体液中にて不混和性である。
【0105】
GI毒性を有する医薬品のために、本発明の担体はまた、中性脂質および/またはリン脂質を含んでもよく(例えば、医薬品として非ステロイド性抗炎症薬(NSAID))、中性脂質および/またはリン脂質は、NSAIDの発症作用、例えば、GIの潰瘍形成、出血、肝損傷、腎臓損傷、および/または心血管疾患および/または副作用、例えば、高血圧、アテローム性動脈硬化症、血栓症、狭心症、脳卒中および心筋梗塞を低減させることが公知である。特定の実施形態において、本発明の担体は、リン脂質の存在下または非存在下での遊離脂肪酸(FFA)担体を含み、リン脂質は、特定の医薬品および/または栄養補助剤、例えば、NSAIDの医薬および/または栄養補助食品の毒性、刺激作用または副作用を低減および/または除去し、一方、リン脂質非含有担体は、NSAIDの直接の標的化放出を可能とし、放出されたGI毒性の副作用をもたらす。
【0106】
組成物
本発明の実施形態は広範に、活性剤のための少なくとも1種の二次的薬剤または活性剤のための保護剤の存在下または非存在下での、本発明の担体と、有効量の少なくとも1種の活性剤とを含む組成物に関する。特定の実施形態において、本発明の担体は、残留水のみを含む非水性であり、水または水溶液中で不混和性であるが、水溶液に分散することができ、活性剤をpH依存性の様式で放出させる。他の実施形態において、本発明の担体は、残留水のみを含む油をベースとしており、水または水溶液中で不混和性であるが、水溶液に分散することができ、活性剤を放出させる。
【0107】
特定の実施形態において、本発明の担体は、ヒト、哺乳動物または動物において、良好な標的化活性剤の放出特徴を有し、活性剤の毒性または刺激作用が低減し、活性剤のバイオアベイラビリティーが増加し、相対的に疎水性のバリアを横切る活性剤の移動が増加するように調製し得る。
【0108】
他の実施形態において、本発明の担体は、ヒト、哺乳動物または動物において、良好な標的化活性剤の放出特徴を有し、活性剤のGI毒性または刺激作用が低減し、活性剤のバイオアベイラビリティーが増加し、相対的に疎水性のバリアを横切る活性剤の移動が増加するように調製し得る。
【0109】
医薬および栄養補助食品組成物
本発明の実施形態は広範に、担体中の医薬品または医薬品の混合物の溶液および/または懸濁液を形成する、本発明の担体および有効量の医薬品または医薬品の混合物を含む医薬組成物に関する。特定の実施形態において、医薬組成物は、ヒト、哺乳動物または動物において、良好な標的化医薬の放出特徴を有し、医薬毒性または刺激作用が低減し、医薬のバイオアベイラビリティーが増加し、相対的に疎水性のバリアを横切る医薬の移動が増加するように調製し得る。他の実施形態において、医薬組成物は、ヒト、哺乳動物または動物において、良好な標的化医薬の放出特徴を有し、医薬のGI毒性または刺激作用が低減し、医薬のバイオアベイラビリティーが増加し、相対的に疎水性のバリアを横切る医薬の移動が増加するように調製し得る。
【0110】
本発明の実施形態は広範に、担体中の栄養補助剤または栄養補助剤の混合物の溶液および/または懸濁液を形成する、本発明の担体および有効量の栄養補助剤または栄養補助剤の混合物を含む栄養補助食品組成物に関する。特定の実施形態において、栄養補助食品組成物は、ヒト、哺乳動物または動物において、良好な標的化栄養補助食品の放出特徴を有し、栄養補助食品の毒性または刺激作用が低減し、栄養補助食品のバイオアベイラビリティーが増加し、相対的に疎水性のバリアを横切る栄養補助食品の移動が増加するように調製し得る。他の実施形態において、栄養補助食品組成物は、ヒト、哺乳動物または動物において、良好な標的化栄養補助食品の放出特徴を有し、栄養補助食品のGI毒性または刺激作用が低減し、栄養補助食品のバイオアベイラビリティーが増加し、相対的に疎水性のバリアを横切る栄養補助食品の移動が増加するように調製し得る。
【0111】
他の実施形態において、医薬品は、NSAIDである。他の実施形態において、本発明のNSAID組成物はまた、(1)薬学的に許容される量の、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、またはFDAによってヒト、哺乳動物もしくは動物の消費について承認された他の抗酸化剤、およびこれらの混合物または組合せからなる群から選択される抗酸化剤;(2)薬学的に許容される量の、銅、亜鉛、金、アルミニウムおよびカルシウム、ならびにこれらの混合物または組合せからなる群から選択される多価カチオン;(3)薬学的に許容される量の、ジメチルスルホキシド(DMSO)、プロピレングリコール(PPG)、および中鎖トリグリセリド/MCT、およびこれらの混合物または組合せからなる群から選択される、流動性を促進し、粘度を増強し、展延性を促進し、分散性を促進し、および/または透過性を促進する薬剤;(4)薬学的に許容される量の食品着色剤または無毒性染料;(5)薬学的に許容される量の香味増強剤;(6)賦形剤;ならびに/あるいは(7)補助剤を含み得る。
【0112】
他の実施形態において、医薬品および/または栄養補助剤は、酸に不安定である。担体を調製して、胃における酸に不安定な活性剤の放出を選択的に最小化し、小腸または大腸への酸に不安定な活性剤の放出を選択的に標的化し得る。この実施形態は、心血管(CV)疾患および酸逆流疾患の危険性がある患者、またはこれらに限定されないが、オメプラゾールまたはランソプラゾールを含めたプロトンポンプ阻害剤の使用を必要とする胃腸出血の上昇した危険性がある患者のために特に有用であることができる。
【0113】
治療のための組成物
本発明の実施形態は広範に、ヒト、哺乳動物または動物に本発明の組成物を投与することを含む方法に関する。組成物が、ヒト、哺乳動物または動物において、良好な医薬および/または栄養補助食品の放出特徴を有し、医薬および/または栄養補助食品の毒性または刺激作用が低減し、医薬および/または栄養補助食品のバイオアベイラビリティーが増加し、相対的に疎水性のバリアを横切る医薬または栄養補助食品の利用可能性が増加するように、担体を調製し得る。例えば、医薬および/または栄養補助食品は、GI毒性および/またはGI刺激作用を有し、本発明の担体は、医薬および/または栄養補助食品のGI毒性および/またはGI刺激作用を寛解、低減または除去するように調製し得る。特定の実施形態において、医薬品および/または栄養補助剤は、炎症を低減、寛解または治療する。他の実施形態において、医薬品および/または栄養補助剤は、血小板凝集を低減、寛解または治療する。他の実施形態において、医薬品および/または栄養補助剤は、発熱活性を低減、寛解または治療する。他の実施形態において、医薬品および/または栄養補助剤は、組織の潰瘍のある領域を低減、寛解または治療する。当然ながら、医薬品および/または栄養補助剤は、これらの症状の組合せを同様に低減、寛解または治療する。
【0114】
担体および組成物を製造する方法
本発明の実施形態は広範に、調製された特性を有する担体を形成するのに十分な温度、圧力および時間の条件下で、(1)1種の生体適合性脂肪酸または複数の生体適合性脂肪酸、(2)任意選択で1種の生体適合性脂肪酸エステルまたは複数の生体適合性脂肪酸エステル、(3)任意選択で1種の生体適合性油または複数の生体適合性油、(4)任意選択で1種の生体適合性脂肪酸塩または複数の生体適合性脂肪酸塩、(5)任意選択で二次的錯化剤、および(6)任意選択で毒性、刺激作用または副作用を低減および/または除去する薬剤を含めた保護系を混合することによる、本発明の担体を製造するための方法に関する。混和方法の利点は、調製において必要とされる溶媒、したがって溶媒の除去が存在しないことである。
【0115】
本発明の実施形態はまた広範に、調整された特性を有する担体を形成するのに十分な温度、圧力および時間の条件下で、溶媒系の存在下で、(1)1種の生体適合性脂肪酸または複数の生体適合性脂肪酸、(2)任意選択で1種の生体適合性脂肪酸エステルまたは複数の生体適合性脂肪酸エステル、(3)任意選択で1種の生体適合性油または複数の生体適合性油、(4)任意選択で1種の生体適合性脂肪酸塩または複数の生体適合性脂肪酸塩、(5)任意選択で二次的錯化剤、および(6)任意選択で毒性、刺激作用または副作用を低減および/または除去する薬剤を含めた保護系を混合し、それに続いて溶媒系を除去することによる、本発明の担体を製造するための方法に関する。組成物の挙動は、溶媒を伴う調製、または溶媒内の調製によって影響を受けないことを本発明者らは示した。
【0116】
特定の実施形態において、担体は、担体を均一および/もしくは均質に、または実質的に均一および/もしくは実質的に均質にするのに十分な時間混合しながら一般に室温にて大気圧で調製する。しかし、担体は、より高いまたはより低い圧力で調製し得る。他の実施形態において、混合は、温度を上げた状態で(最も高い融解する成分の融点まで)ではあるが、担体成分のいずれかの分解温度未満で行い得る。他の実施形態において、温度は、約130℃までの温度に上昇する。他の実施形態において、温度は、約80℃までの温度に上昇する。他の実施形態において、温度は、約60℃までの温度に上昇する。他の実施形態において、温度は、約40℃までの温度に上昇する。
【0117】
特定の実施形態において、圧力は、大気圧であり、または大気圧に近い。他の実施形態において、圧力は、大気圧超である。他の実施形態において、圧力は、大気圧未満である。
【0118】
特定の実施形態において、時間は、約5分〜約12時間の期間である。他の実施形態において、時間は、約10分〜約8時間の期間である。他の実施形態において、時間は、約20分〜約4時間の期間である。他の実施形態において、時間は、約30分〜約2時間の期間である。他の実施形態において、時間は、約30分〜約1時間の期間である。
【0119】
特定の実施形態において、混合は、低剪断混合、例えば、パドルミキサーによって行う。他の実施形態において、混合は、高剪断混合、例えば、押出し機、密閉式ミキサーなどによって行う。特定の実施形態において、混合は、低剪断混合および高剪断混合の組合せによって行う。特定の実施形態において、混合は、低剪断および/または高剪断混合を伴う、または伴わない超音波処理によって行う。特定の実施形態において、混合は、超音波処理の存在下または非存在下でボルテックス混合によって行う。
【0120】
本発明の実施形態は広範に、調整された特性を有する組成物を形成するのに十分な温度、圧力および時間の条件下で、本発明の担体と、有効量の少なくとも1種の活性剤とを混合することによる、本発明の組成物を製造する方法に関する。特定の実施形態において、組成物はまた、調整された特性を有する組成物を形成するのに十分な温度、圧力および時間の条件下で、溶媒系の存在下または非存在下で、活性剤のための二次的錯化剤を含み得る。溶媒系が使用される場合、使用前に系は一般に除去される。特定の実施形態において、組成物はまた、活性剤のための保護剤を含み得る。特定の実施形態において、活性剤は、医薬品、栄養補助剤またはこれらの混合物および組合せを含む。特定の実施形態において、担体が均一および/または均質となるまで、組成物を室温にて大気圧で混合しながら製造する。他の実施形態において、混合は、温度を上げた状態で(最も高い融解する成分の融点まで)ではあるが、担体成分のいずれかの分解温度未満で行い得る。他の実施形態において、温度は、約130℃までの温度に上昇する。他の実施形態において、温度は、約80℃までの温度に上昇する。他の実施形態において、温度は、約60℃までの温度に上昇する。他の実施形態において、温度は、約40℃までの温度に上昇する。特定の実施形態において、圧力は、大気圧であり、または大気圧に近い。他の実施形態において、圧力は、大気圧超である。他の実施形態において、圧力は、大気圧未満である。特定の実施形態において、時間は、約5分〜約12時間の期間である。他の実施形態において、時間は、約10分〜約8時間の期間である。他の実施形態において、時間は、約20分〜約4時間の期間である。他の実施形態において、時間は、約30分〜約2時間の期間である。他の実施形態において、時間は、約30分〜約1時間の期間である。特定の実施形態において、混合は、低剪断混合、例えば、パドルミキサーによって行う。他の実施形態において、混合は、高剪断混合、例えば、押出し機、密閉式ミキサーなどによって行う。特定の実施形態において、混合は、低剪断混合および高剪断混合の組合せによって行う。特定の実施形態において、混合は、低剪断および/または高剪断混合を伴う、または伴わない超音波処理によって行う。特定の実施形態において、混合は、超音波処理の存在下または非存在下でボルテックス混合によって行う。当然ながら、組成物は、活性剤および担体成分を任意の順序で混合することによって調製してもよく、したがって、担体は、活性剤を加える前に、事前製造する必要がない。さらに、添加の順序は決定的でなく、成分、ミキサー、所望の最終特性、または操作者の選択によって変化し得る。
【0121】
担体および組成物を使用するための方法
本発明の実施形態は広範に、ヒト、哺乳動物または動物に、本発明の組成物を投与することによる、少なくとも1つの治療効果、例えば、疼痛、発熱、炎症、がん、炎症性腸症候群、クローン病、心血管疾患、感染症、脳および脊髄傷害、アルツハイマー病、他の神経系疾患 糖尿病、ならびに/あるいは活性剤、例えば、医薬品および/または栄養補助剤の投与によって治療可能な任意の他の疾患または疾病の治療および/または予防を引き出すのに十分な用量で、本発明の組成物を使用するための方法に関する。他の実施形態において、組成物は、疾患および/または疾病の症状を治療、予防および/または寛解する。
【0122】
本発明の実施形態は広範に、本発明の担体および治療有効量の本発明の組成物を含む組成物を経口的または内部的に投与し、血液脳関門を横切る、または中枢神経系(CNS)もしくは末梢神経系(PNS)中への医薬品または栄養補助剤の輸送を増加させ、より多くの医薬品または栄養補助剤を外傷部位に到達させ、炎症、血小板凝集、疼痛(侵害受容性)感覚、炎症による細胞死および/もしくはアポトーシスを低減させることを可能にし、ならびに/あるいはがんの予防または治療においてがん細胞の競合的細胞死を誘発することを含む方法に関する。
【0123】
本発明の実施形態は広範に、アルツハイマー病と関連する症状を予防、治療および/または寛解するために、本発明の担体および治療有効量の本発明の組成物を含む組成物を経口的または内部的に投与することを含む方法に関する。
【0124】
本発明において使用される組成物の範囲
担体
一般担体
本発明の担体は、
(1)100重量%の少なくとも1種の生体適合性薬剤、
(2)約0重量%〜100重量%の二次的錯化剤または二次的錯化剤の混合物(二次的錯化剤は、担体によって担持される活性剤の性質によって決まる)、
(3)約0重量%〜約50重量%の二次的抗毒性剤または二次的抗毒性剤の混合物(二次的抗毒性剤は、担体によって担持される活性剤の性質によって決まる)、ならびに
(4)約0重量%〜約50重量%の(a)賦形剤または賦形剤の混合物、(b)補助剤または補助剤の混合物、(c)乾燥剤または乾燥剤の混合物、(d)抗酸化剤または抗酸化剤の混合物、(e)保存剤または保存剤の混合物、(f)またはキレート剤の混合物、(g)粘度モジュレーターまたは粘度モジュレーターの混合物、(h)等張化剤または等張化剤の混合物、(I)香味剤または香味剤の混合物、(j)着色剤または着色剤の混合物、(k)着臭剤または着臭剤の混合物、(l)乳白剤または乳白剤の混合物、(m)懸濁化剤または懸濁化剤の混合物、および(n)これらの混合物
を含み得る。
【0125】
本発明の担体は、
(1)100重量%の少なくとも2種の生体適合性薬剤、
(2)約0重量%〜100重量%の二次的錯化剤または二次的錯化剤の混合物(二次的錯化剤は、担体によって担持される活性剤の性質によって決まる)、
(3)約0重量%〜約50重量%の二次的抗毒性剤または二次的抗毒性剤の混合物(二次的抗毒性剤は、担体によって担持される活性剤の性質によって決まる)、ならびに
(4)約0重量%〜約50重量%の(a)賦形剤または賦形剤の混合物、(b)補助剤または補助剤の混合物、(c)乾燥剤または乾燥剤の混合物、(d)抗酸化剤または抗酸化剤の混合物、(e)保存剤または保存剤の混合物、(f)またはキレート剤の混合物、(g)粘度モジュレーターまたは粘度モジュレーターの混合物、(h)等張化剤または等張化剤の混合物、(I)香味剤または香味剤の混合物、(j)着色剤または着色剤の混合物、(k)着臭剤または着臭剤の混合物、(l)乳白剤または乳白剤の混合物、(m)懸濁化剤または懸濁化剤の混合物、および(n)これらの混合物
を含み得る。
【0126】
上記の組成物は、合計で100重量%の示した成分の混合物を有するように製剤されない。
【0127】
pH依存性担体
本発明の担体は、
(1)100重量%の少なくとも1種のpH依存性生体適合性放出剤、
(2)約0重量%〜100重量%の二次的錯化剤または二次的錯化剤の混合物(二次的錯化剤は、担体によって担持される活性剤の性質によって決まる)、
(3)約0重量%〜約50重量%の二次的抗毒性剤または二次的抗毒性剤の混合物(二次的抗毒性剤は、担体によって担持される活性剤の性質によって決まる)、ならびに
(4)約0重量%〜約50重量%の(a)賦形剤または賦形剤の混合物、(b)補助剤または補助剤の混合物、(c)乾燥剤または乾燥剤の混合物、(d)抗酸化剤または抗酸化剤の混合物、(e)保存剤または保存剤の混合物、(f)またはキレート剤の混合物、(g)粘度モジュレーターまたは粘度モジュレーターの混合物、(h)等張化剤または等張化剤の混合物、(I)香味剤または香味剤の混合物、(j)着色剤または着色剤の混合物、(k)着臭剤または着臭剤の混合物、(l)乳白剤または乳白剤の混合物、(m)懸濁化剤または懸濁化剤の混合物、および(n)これらの混合物
を含み得る。
【0128】
本発明の担体は、
(1)100重量%の少なくとも1種のpH依存性生体適合性放出剤、
(2)約0重量%〜100重量%の少なくとも1種の他の生体適合性薬剤、
(3)約0重量%〜100重量%の二次的錯化剤または二次的錯化剤の混合物(二次的錯化剤は、担体によって担持される活性剤の性質によって決まる)、
(4)約0重量%〜約50重量%の二次的抗毒性剤または二次的抗毒性剤の混合物(二次的抗毒性剤は、担体によって担持される活性剤の性質によって決まる)、ならびに
(5)約0重量%〜約50重量%の(a)賦形剤または賦形剤の混合物、(b)補助剤または補助剤の混合物、(c)乾燥剤または乾燥剤の混合物、(d)抗酸化剤または抗酸化剤の混合物、(e)保存剤または保存剤の混合物、(f)またはキレート剤の混合物、(g)粘度モジュレーターまたは粘度モジュレーターの混合物、(h)等張化剤または等張化剤の混合物、(I)香味剤または香味剤の混合物、(j)着色剤または着色剤の混合物、(k)着臭剤または着臭剤の混合物、(l)乳白剤または乳白剤の混合物、(m)懸濁化剤または懸濁化剤の混合物、および(n)これらの混合物
を含み得る。
【0129】
上記の組成物は、合計で100重量%の示した成分の混合物を有するように製剤される。
【0130】
脂肪酸pH依存性担体
本発明の担体は、
(1)約0重量%〜100重量%の生体適合性脂肪酸または生体適合性脂肪酸の混合物(本明細書において遊離脂肪酸と称される場合がある)、
(2)約0重量%〜100重量%の生体適合性脂肪酸エステルまたは生体適合性脂肪酸エステルの混合物、
(3)約0重量%〜100重量%の生体適合性脂肪酸塩または生体適合性脂肪酸塩の混合物、
(4)約0重量%〜100重量%の生体適合性油または生体適合性油の混合物、
(5)約0重量%〜100重量%の二次的錯化剤または二次的錯化剤の混合物(二次的錯化剤は、担体によって担持される活性剤の性質によって決まる)、
(6)約0重量%〜約50重量%の二次的抗毒性剤または二次的抗毒性剤の混合物(二次的抗毒性剤は、担体によって担持される活性剤の性質によって決まる)、ならびに
(7)約0重量%〜約50重量%の(a)賦形剤または賦形剤の混合物、(b)補助剤または補助剤の混合物、(c)乾燥剤または乾燥剤の混合物、(d)抗酸化剤または抗酸化剤の混合物、(e)保存剤または保存剤の混合物、(f)またはキレート剤の混合物、(g)粘度モジュレーターまたは粘度モジュレーターの混合物、(h)等張化剤または等張化剤の混合物、(I)香味剤または香味剤の混合物、(j)着色剤または着色剤の混合物、(k)着臭剤または着臭剤の混合物、(l)乳白剤または乳白剤の混合物、(m)懸濁化剤または懸濁化剤の混合物、および(n)これらの混合物
を含み得る。
【0131】
他の実施形態において、担体は、
(1)約5重量%〜100重量%の生体適合性脂肪酸または生体適合性脂肪酸の混合物(本明細書において遊離脂肪酸と称される場合がある)、
(2)約5重量%〜100重量%の生体適合性脂肪酸エステルまたは生体適合性脂肪酸エステルの混合物、
(3)約5重量%〜100重量%の生体適合性脂肪酸塩または生体適合性脂肪酸塩の混合物、
(4)約0重量%〜100重量%の生体適合性油または生体適合性油の混合物、
(5)約0重量%〜100重量%の二次的錯化剤または二次的錯化剤の混合物(二次的錯化剤は、担体によって担持される活性剤の性質によって決まる)、
(6)約0重量%〜約25重量%の二次的抗毒性剤または二次的抗毒性剤の混合物(二次的抗毒性剤は、担体によって担持される活性剤の性質によって決まる)、ならびに
(7)約0重量%〜約25重量%の(a)賦形剤または賦形剤の混合物、(b)補助剤または補助剤の混合物、(c)乾燥剤または乾燥剤の混合物、(d)抗酸化剤または抗酸化剤の混合物、(e)保存剤または保存剤の混合物、(f)またはキレート剤の混合物、(g)粘度モジュレーターまたは粘度モジュレーターの混合物、(h)等張化剤または等張化剤の混合物、(I)香味剤または香味剤の混合物、(j)着色剤または着色剤の混合物、(k)着臭剤または着臭剤の混合物、(l)乳白剤または乳白剤の混合物、(m)懸濁化剤または懸濁化剤の混合物、および(n)これらの混合物
を含む。
【0132】
他の実施形態において、担体は、
(1)約10重量%〜100重量%の生体適合性脂肪酸または生体適合性脂肪酸の混合物(本明細書において遊離脂肪酸と称される場合がある)、
(2)約10重量%〜100重量%の生体適合性脂肪酸エステルまたは生体適合性脂肪酸エステルの混合物、
(3)約10重量%〜100重量%の生体適合性脂肪酸塩または生体適合性脂肪酸塩の混合物、
(4)約0重量%〜100重量%の生体適合性油または生体適合性油の混合物、
(5)約0重量%〜100重量%の二次的錯化剤または二次的錯化剤の混合物(二次的錯化剤は、担体によって担持される活性剤の性質によって決まる)、
(6)約0重量%〜約25重量%の二次的抗毒性剤または二次的抗毒性剤の混合物(二次的抗毒性剤は、担体によって担持される活性剤の性質によって決まる)、ならびに
(7)約0重量%〜約25重量%の(a)賦形剤または賦形剤の混合物、(b)補助剤または補助剤の混合物、(c)乾燥剤または乾燥剤の混合物、(d)抗酸化剤または抗酸化剤の混合物、(e)保存剤または保存剤の混合物、(f)またはキレート剤の混合物、(g)粘度モジュレーターまたは粘度モジュレーターの混合物、(h)等張化剤または等張化剤の混合物、(I)香味剤または香味剤の混合物、(j)着色剤または着色剤の混合物、(k)着臭剤または着臭剤の混合物、(l)乳白剤または乳白剤の混合物、(m)懸濁化剤または懸濁化剤の混合物、および(n)これらの混合物
を含む。
【0133】
上記の組成物は、合計で100重量%の示した成分の混合物を有するように製剤される。
【0134】
担体を提示する別の方法は、成分の重量比によってである。特定の実施形態において、1〜3:4:5:6:7の成分クラスの比は、1:0:0:0:0から0:1:0:0:0から1:0:1:1:1から0:1:1:1:1である。他の実施形態において、1〜3:4:5:6:7の成分クラスの比は、10:1:0:0:0から1:10:0:0:0から10:1:1:1:1:1から1:10:1:1:1である。他の実施形態において、1〜3:4:5:6:7の成分クラスの比は、5:1:0:0:0から1:5:0:0:0から5:1:1:1:1:1から1:5:1:1:1である。他の実施形態において、1〜3:4:5:6:7の成分クラスの比は、4:1:0:0:0から1:4:0:0:0から4:1:1:1:1:1から1:4:1:1:1である。他の実施形態において、1〜3:4:5:6:7の成分クラスの比は、3:1:0:0:0から1:3:0:0:0から3:1:1:1:1:1から1:3:1:1:1である。他の実施形態において、1〜3:4:5:6:7の成分クラスの比は、2:1:0:0:0から1:2:0:0:0から2:1:1:1:1:1から1:2:1:1:1である。他の実施形態において、1〜3:4:5:6:7の成分クラスの比は、1:1:0:0:0から1:1:1:1:1:1である。当然ながら、各レベルの実際の値は、個々の範囲内の全範囲の範囲であり得る。
【0135】
担体および/または担体成分は、組織および/または器官において少なくとも1種の活性剤の化学的特性および/または物理的特性および/または挙動を改変および/または変更し、それによって組織および/または器官毒性を低減および/または変更し、バイオアベイラビリティーを改善および/または変更し、ならびに/あるいは有効性を改善および/または変更するように設計される。特定の実施形態において、担体および/または生体適合性疎水性薬剤は、pH依存性の様式で、組織および/または器官において少なくとも1種の活性剤の化学的特性および/または物理的特性および/または挙動を改変および/または変更して、組織および/または器官毒性を低減および/または変更し、バイオアベイラビリティーを改善および/または変更し、ならびに/あるいは有効性を改善および/または変更する。
【0136】
特定の実施形態において、担体は、約100重量%〜50重量%の生体適合性油および約0重量%〜50重量%の生体適合性脂肪酸を含む。他の実施形態において、約0重量%〜50重量%の生体適合性油および約100重量%〜50重量%の生体適合性脂肪酸。
【0137】
低リン脂質担体
特定の実施形態において、担体は、約100重量%〜99重量%の生体適合性油および約0重量%〜1重量%のリン脂質を含む。他の実施形態において、約100重量%〜98重量%の生体適合性油および約0重量%〜2重量%のリン脂質を含む。他の実施形態において、約100重量%〜95重量%の生体適合性油および約0重量%〜5重量%のリン脂質を含む。他の実施形態において、約100重量%〜90重量%の生体適合性油および約0重量%〜10重量%のリン脂質を含む。
【0138】
他の実施形態において、担体は、約100重量%〜80重量%の生体適合性油、約0重量%〜約10重量%の生体適合性脂肪酸、および約0重量%〜10重量%のリン脂質を含む。他の実施形態において、担体は、約100重量%〜40重量%の生体適合性油、約0重量%〜約40重量%の生体適合性脂肪酸、および約0重量%〜10重量%のリン脂質を含む。
【0139】
特定の実施形態において、担体は、約100重量%〜80重量%の生体適合性脂肪酸、約0重量%〜約10重量%の生体適合性油、および約0重量%〜10重量%のリン脂質を含む。他の実施形態において、約100重量%〜40重量%の生体適合性脂肪酸、約0重量%〜約40重量%の生体適合性油、および約0重量%〜10重量%のリン脂質を含む。
【0140】
特定の実施形態において、担体はまた、約0.5重量%〜約2重量%のステロール、約5重量%〜約10重量%の糖脂質、および約0.5重量%〜2重量%、2重量%未満の水を含み得る。リン脂質は、約75重量%〜約100重量%のホスファチジルコリン、約0重量%〜約10重量%のホスファチジルエタノールアミン、0重量%〜約10重量%のリゾ-ホスファチジルコリン、および約0重量%〜約2重量%のモノホスファチジルイノシトールを含む。生体適合性油は、約50重量%〜80重量%のトリグリセリド、約0重量%〜5重量%のモノおよびジグリセリド、約5重量%〜約20重量%の遊離脂肪酸を含む。
【0141】
高リン脂質担体
特定の実施形態において、担体は、約30重量%〜50重量%のリン脂質、約30重量%〜50重量%の生体適合性油、約0.5重量%〜約2重量%のステロール、約5重量%〜約10重量%の糖脂質、および約0.5重量%〜2重量%、2重量%未満の水を含む。リン脂質は、約75重量%〜約100重量%のホスファチジルコリン、約0重量%〜約10重量%のホスファチジルエタノールアミン、0重量%〜約10重量%のリゾ-ホスファチジルコリン、および約0重量%〜約2重量%のモノホスファチジルイノシトールを含む。生体適合性油は、約50重量%〜80重量%のトリグリセリド、約0重量%〜5重量%のモノおよびジグリセリド、約5重量%〜約20重量%の遊離脂肪酸を含む。
【0142】
特定の実施形態において、担体は、約30重量%〜50重量%のリン脂質、約30重量%〜50重量%の生体適合性油、約0.5重量%〜約2重量%のステロール、約5重量%〜約10重量%の糖脂質、および約0.5重量%〜2重量%、2重量%未満の水を含む。リン脂質は、約75重量%〜約100重量%のホスファチジルコリン、約0.1重量%〜約10重量%のホスファチジルエタノールアミン、0.1重量%〜約10重量%のリゾ-ホスファチジルコリン、および約0.5重量%〜約2重量%のモノホスファチジルイノシトールを含む。生体適合性油は、約50重量%〜80重量%のトリグリセリド、約0.5重量%〜5重量%のモノおよびジグリセリド、約5重量%〜約20重量%の遊離脂肪酸を含む。
【0143】
遊離脂肪酸、生体適合性油、およびリン脂質組成物
特定の実施形態において、担体は、a:b:c(FFA:BCO:PL)の重量比で遊離脂肪酸(FFA)、生体適合性油(BCO)、およびリン脂質(PL)を含み、aは、1〜10の範囲であり、bは、0〜10の範囲であり、cは、0〜10の範囲である。特定の実施形態において、aは、0〜10の範囲であり、bは、1〜10の範囲であり、cは、0〜10の範囲である。特定の実施形態において、aは、1〜10の範囲であり、bは、1〜10の範囲であり、cは、0〜10の範囲である。担体中のFFAは、本明細書に定義されているような単一の遊離脂肪酸または遊離脂肪酸の混合物でよい。担体中のBCOは、単一の生体適合性油または生体適合性油の混合物でよい。担体中のPLは、単一のリン脂質またはリン脂質の混合物でよい。
【0144】
特定の実施形態において、担体は、重量比a:b:c(FFA:NL:PL)で遊離脂肪酸(FFA)、中性脂質(NL)、およびリン脂質(PL)を含み、aは、1〜10の範囲であり、bは、0〜10の範囲であり、cは、0〜10の範囲である。特定の実施形態において、aは、0〜10の範囲であり、bは、1〜10の範囲であり、cは、0〜10の範囲である。特定の実施形態において、aは、1〜10の範囲であり、bは、1〜10の範囲であり、cは、0〜10の範囲である。担体中のFFAは、本明細書に定義されているような単一の遊離脂肪酸または遊離脂肪酸の混合物でよい。担体中のNLは、単一の中性脂質または中性脂質の混合物でよく、中性脂質は、モノ-、ジ-および/またはトリ-グリセリドを含む。担体中のPlは、単一のリン脂質またはリン脂質の混合物でよい。
【0145】
二次的錯化剤および/または抗毒性剤
NSAID
特定のNSAID組成物において、二次的抗毒性剤は、約10重量%以下の少なくとも1種の双性イオン性薬剤、例えば、双性イオン性界面活性剤を含む。他のNSAID組成物において、二次的抗毒性剤は、約7.5重量%以下の少なくとも1種の双性イオン性薬剤、例えば、双性イオン性界面活性剤を含む。他のNSAID組成物において、二次的抗毒性剤は、約5重量%以下の少なくとも1種の双性イオン性薬剤、例えば、双性イオン性界面活性剤を含む。他のNSAID組成物において、二次的抗毒性剤は、約2.5重量%以下の少なくとも1種の双性イオン性薬剤、例えば、双性イオン性界面活性剤を含む。他のNSAID組成物において、二次的抗毒性剤は、約0.1重量%〜約10重量%の少なくとも1種の双性イオン性薬剤、例えば、双性イオン性界面活性剤を含む。他のNSAID組成物において、二次的抗毒性剤は、約0.5重量%〜約10重量%の少なくとも1種の双性イオン性薬剤、例えば、双性イオン性界面活性剤を含む。他のNSAID組成物において、二次的抗毒性剤は、約1重量%〜約10重量%の少なくとも1種の双性イオン性薬剤、例えば、双性イオン性界面活性剤を含む。他のNSAID組成物において、二次的抗毒性剤は、約2重量%〜約10重量%の少なくとも1種の双性イオン性薬剤、例えば、双性イオン性界面活性剤を含む。
【0146】
特定のNSAID組成物において、二次的抗毒性剤は、約0重量%〜約50重量%の少なくとも1種のトリグリセリド中性脂質を含む。他のNSAID組成物において、二次的抗毒性剤は、約0.1重量%〜約10重量%の少なくとも1種のプロトンポンプ阻害剤(PPI)を含む。
【0147】
特定のNSAID組成物において、二次的抗毒性剤は、約10重量%以下の少なくとも1種の双性イオン性薬剤および約0重量%〜約50重量%の少なくとも1種の中性脂質を含む。他のNSAID組成物において、二次的抗毒性剤は、約10重量%以下の少なくとも1種の双性イオン性薬剤および約1重量%〜約50重量%の少なくとも1種の中性脂質を含む。
【0148】
特定のNSAID組成物において、二次的抗毒性剤は、約10重量%以下の少なくとも1種の双性イオン性薬剤および約0重量%〜約10重量%の少なくとも1種のPPIを含む。他のNSAID組成物において、二次的抗毒性剤は、約10重量%以下の少なくとも1種の双性イオン性薬剤および約0.5重量%〜約10重量%の少なくとも1種のPPIを含む。他のNSAID組成物において、二次的抗毒性剤は、約10重量%以下の少なくとも1種の双性イオン性薬剤、約0.5重量%〜約50重量%の少なくとも1種の中性脂質、および約0.5重量%〜約10重量%の少なくとも1種のPPIを含む。
【0149】
組成物
本発明の組成物は、主要な成分として少なくとも1種の生物活性剤と共に一般に配合し得る。
【0150】
本発明の組成物は、活性剤と担体の重量比を有してもよく、担体は、活性剤上の少なくとも単層コーティングを形成させる量で存在する。特定の実施形態において、活性剤と担体の重量比は、約100:1〜約1:100である。他の実施形態において、比は、約100:1〜約1:10である。他の実施形態において、比は、約50:1〜約1:5である。他の実施形態において、比は、約25:1〜約1:5である。他の実施形態において、比は、約10:1〜約1:1である。他の実施形態において、比は、約5:1〜約1:1である。他の実施形態において、比は、約5:1〜約1:1である。約という用語は、±5%を意味する。
【0151】
医薬または栄養補助食品の投与量
医薬組成物において、組成物は一般に、医薬品(複数可)によって用量毎に約1mg〜約5000mgを含有する。他の医薬組成物において、組成物は、医薬品(複数可)によって用量毎に約10mg〜約2500mgを含有する。他の医薬組成物において、組成物は、医薬品(複数可)によって用量毎に約250mg〜約2500mgを含有する。他の医薬組成物において、組成物は、医薬品(複数可)によって用量毎に約500mg〜約2500mgを含有する。他の医薬組成物において、組成物は、医薬品(複数可)によって用量毎に約500mg〜約2000mgを含有する。他の医薬組成物において、組成物は、医薬品(複数可)によって用量毎に約1mg〜約2000mgを含有する。他の医薬組成物において、組成物は、医薬品(複数可)によって用量毎に約1mg〜約1000mgを含有する。当然ながら、各組成物についての正確な投与量は、使用される医薬品(複数可)、および医薬品(複数可)の効力によって決まる。
【0152】
栄養補助食品組成物において、組成物は一般に、栄養補助剤(複数可)によって用量毎に約1mg〜約5000mgを含有する。他の栄養補助食品組成物において、組成物は、栄養補助剤(複数可)によって用量毎に約10mg〜約2500mgを含有する。他の栄養補助食品組成物において、組成物は、栄養補助剤(複数可)によって用量毎に約250mg〜約2500mgを含有する。他の栄養補助食品組成物において、組成物は、栄養補助剤(複数可)によって用量毎に約500mg〜約2500mgを含有する。他の栄養補助食品組成物において、組成物は、栄養補助剤(複数可)によって用量毎に約500mg〜約2000mgを含有する。他の栄養補助食品組成物において、組成物は、栄養補助剤(複数可)によって用量毎に約1mg〜約2000mgを含有する。他の栄養補助食品組成物において、組成物は、栄養補助剤(複数可)によって用量毎に約1mg〜約1000mgを含有する。当然ながら、各組成物についての正確な投与量は、使用する医薬品(複数可)および医薬品(複数可)の効力によって決まる。
【0153】
本発明において使用するのに適した試薬
pH依存性放出剤
脂肪酸
本発明において使用するための適切な生体適合性脂肪酸には、これらに限定されないが、ヒト、哺乳動物または動物の消費に適した任意の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸、またはこれらの混合物もしくは組合せが含まれる。例示的な脂肪酸には、短鎖遊離脂肪酸(SCFFA)、中鎖遊離脂肪酸(MCFFA)、長鎖遊離脂肪酸(LCFFA)、超長鎖遊離脂肪酸(VLCFFA)およびこれらの混合物または組合せが含まれる。SCFFAは、4個未満〜8個未満の炭素原子(C
4〜C
8)を有するカルビルテール基(carbyl tail group)を有する遊離脂肪酸を含む。MCFFAは、8個から14個未満の炭素原子(C
8〜C
14)を有するカルビル基を有する遊離脂肪酸を含む。LCFFAは、14〜24個の炭素原子(C
14〜C
24)を有するカルビル基を有する遊離脂肪酸を含む。VLCFFAは、24個超の炭素原子(>C
24)を有するカルビル基を有する遊離脂肪酸を含む。例示的な不飽和脂肪酸には、これらに限定されないが、ミリストレイン酸[CH
3(CH
2)
3CH=CH(CH
2)
7COOH、cis-△
9、C:D14:1、n-5]、パルミトレイン酸[CH
3(CH
2)
5CH=CH(CH
2)
7COOH、cis-△
9、C:D16:1、n-7]、サピエン酸[CH
3(CH
2)
8CH=CH(CH
2)
4COOH、cis-△
6、C:D16:1、n-10]、オレイン酸[CH
3(CH
2)
7CH=CH(CH
2)
7COOH、cis-△
9、C:D18:1、n-9]、リノール酸[CH
3(CH
2)
4CH=CHCH
2CH=CH(CH
2)
7COOH、cis,cis-△
9,△
12、C:D18:2、n-6]、α-リノレン酸[CH
3CH
2CH=CHCH
2CH=CHCH
2CH=CH(CH
2)
7COOH、cis,cis,cis-△
9,△
12,△
15、C:D18:3、n-3]、アラキドン酸[CH
3(CH
2)
4CH=CHCH
2CH=CHCH
2CH=CHCH
2CH=CH(CH
2)
3COOH、cis,cis,cis,cis-△
5△
8,△
11,△
14、C:D20:4、n-6]、エイコサペンタエン酸[CH
3CH
2CH=CHCH
2CH=CHCH
2CH=CHCH
2CH=CHCH
2CH=CH(CH
2)
3COOH]、cis,cis,cis,cis,cis-△
5,△
8,△
11,△
14,△
17、20:5、n-3]、エルカ酸[CH
3(CH
2)
7CH=CH(CH
2)
11COOH、cis-△
13、C:D22:1、n-9]、ドコサヘキサエン酸[CH
3CH
2CH=CHCH
2CH=CHCH
2CH=CHCH
2CH=CHCH
2CH=CHCH
2CH=CH(CH
2)
2COOH、cis,cis,cis,cis,cis,cis-△
4,△
7,△
10,△
13,△
16,△
19、C:D22:6、n-3]、またはこれらの混合物および組合せが含まれる。
【0154】
例示的な飽和脂肪酸には、これらに限定されないが、ラウリン酸[CH
3(CH
2)
10COOH、C:D12:0]、ミリスチン酸[CH
3(CH
2)
12COOH、C:D14:0]、パルミチン酸[CH
3(CH
2)
14COOH、C:D16:0]、ステアリン酸[CH
3(CH
2)
16COOH、C:D18:0]、アラキジン酸[CH
3(CH
2)
18COOH、C:D20:0]、ベヘン酸[CH
3(CH
2)
20COOH、C:D22:0]、リグノセリン酸[H
3(CH
2)
22COOH、C:D24:0]、セロチン酸[CH
3(CH
2)
24COOH、C:D26:0]、またはこれらの混合物もしくは組合せが含まれる。
【0155】
例示的な飽和脂肪酸には、これらに限定されないが、酪酸(C
4)、吉草酸(C
5)、カプロン酸(C
6)、エナント酸(C
7)、カプリル酸(C
8)、ペラルゴン酸(C
9)、カプリン酸(C
10)、ウンデシル酸(C
11)、ラウリン酸(C
12)、トリデシル酸(C
13)、ミリスチン酸(C
14)、ペンタデシル酸(C
15)、パルミチン酸(C
16)、マルガリン酸(C
17)、ステアリン酸(C
18)、ノナデシル酸(C
19)、アラキジン酸(C
20)、ヘンエイコサン酸(C
21)、ベヘン酸(C
22)、トリコサン酸(C
23)、リグノセリン酸(C
24)、ペンタコサン酸(C
25)、セロチン酸(C
26)、ヘプタコサン酸(C
27)、モンタン酸(C
28)、ノナコサン酸(C
29)、メリシン酸(C
30)、ヘントリアコンタン酸(C
31)、ラッセル酸(C
32)、プシリン酸(psyllic)(C
33)、ゲダ酸(C
34)、セロプラスチン酸(C
35)、ヘキサトリアコンチル酸(hexatriacontylic)(C
36)およびこれらの混合物または組合せが含まれる。不飽和脂肪酸には、これらに限定されないが、n-3不飽和脂肪酸、例えば、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、およびドコサヘキサエン酸、n-6不飽和脂肪酸、例えば、リノール酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、およびアラキドン酸、n-9不飽和脂肪酸であるオレイン酸、エライジン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、ミード酸およびこれらの混合物または組合せが含まれる。
【0156】
ポリ酸
pH依存性放出剤において使用するための適切なポリカルボン酸化合物には、これらに限定されないが、任意のポリカルボン酸化合物が含まれる。水不混和性ポリ酸の例示的な例には、これらに限定されないが、8〜50個の炭素原子を有するカルビルまたはカルベニル(carbenyl)基を有するジカルボン酸、およびこれらの混合物または組合せが含まれる。ポリマーカルボン酸またはカルボン酸基を含むポリマー(ポリマーは油溶性であり、または水と混和性でない油である)。親水性ポリ酸の例示的な例には、これらに限定されないが、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、これらの混合物および組合せ、そのコポリマー、Lubrizol Corporationから入手可能なCARBOPOL(登録商標)試薬(Lubrizol Corporationの登録商標)、他のカルボン酸含有ポリマー、またはこれらの混合物もしくは組合せが含まれる。
【0157】
脂肪酸エステル
脂肪酸エステルは、これらに限定されないが、モノ-アルコールエステルを含む上記で一覧表示した脂肪酸のいずれかのエステルを含み、モノ-アルコールまたはポリオールは、1個の炭素原子から20個の炭素原子を含み、炭素原子の1つ以上は、O、NR(Rは、1〜5個の炭素原子を有するカルビル基である)、またはSで置き換えられてもよい。遊離脂肪酸エステルを形成するために使用される例示的なモノ-アルコールには、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールまたはこれらの混合物が含まれる。
【0158】
脂肪酸塩
本発明において使用するための適切な生体適合性脂肪酸塩には、これらに限定されないが、上記で一覧表示した脂肪酸のいずれかのアルカリ金属塩、上記で一覧表示した脂肪酸のいずれかのアルカリ土類金属塩、上記で一覧表示した脂肪酸のいずれかの遷移金属塩、またはこれらの混合物もしくは組合せが含まれる。特定の実施形態において、金属塩には、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、銅、亜鉛、コバルト、鉄、またはこれらの混合物もしくは組合せが含まれる。
【0159】
二次的錯化剤および/または抗毒性剤
本発明の組成物において使用するための適切な二次的錯化剤および/または二次的抗毒性剤には、これらに限定されないが、リン脂質、両性薬剤および/または双性イオン性薬剤、またはこれらの混合物もしくは組合せが含まれる。リン脂質は、任意のリン脂質またはこれらの混合物および組合せ、例えば、(1)ジアシルグリセリドリン脂質またはグリセロリン脂質(これらに限定されないが、ホスファチジン酸(ホスファチデート)(PA)、ホスファチジルエタノールアミン(セファリン)(PE)、ホスファチジルコリン(レシチン)(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスホイノシチド、例えば、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルイノシトールリン酸(PIP)、ホスファチジルイノシトール二リン酸(PIP2)およびホスファチジルイノシトール三リン酸(PIP3)が含まれる)、ならびに(2)ホスフィンゴリン脂質、例えば、セラミドホスホリルコリン(スフィンゴミエリン)(SPH)、セラミドホスホリルエタノールアミン(スフィンゴミエリン)(Cer-PE)、およびセラミドホスホリルグリセロールを含む。両性薬剤は、アセテート、ベタイン、グリシネート、イミダゾリン、プロピオネート、他の両性薬剤またはこれらの混合物を含む。双性イオン性薬剤には、これらに限定されないが、生体適合性双性イオン性リン脂質、生体適合性双性イオン性ベタイン、生体適合性両性/双性イオン性界面活性剤、生体適合性第四級塩、生体適合性アミノ酸、双生イオンを形成することができる、もしくは双生イオンの形態の他の生体適合性化合物、またはこれらの混合物もしくは組合せが含まれる。
【0160】
本発明において使用するための適切な生体適合性双性イオン性リン脂質には、これらに限定されないが、一般式のリン脂質が含まれ、
【化1】
【0161】
式中、R
1およびR
2は、8〜32個の炭素原子の範囲の飽和または不飽和の置換基であり、R
3は、HまたはCH
3であり、Xは、HまたはCOOHであり、R
4は、=OまたはH
2である。一般式の双性イオン性リン脂質の混合物および組合せ、ならびにNSAIDの混合物および組合せを同様に使用することができる。
【0162】
上記の配合の双性イオン性リン脂質の例示的な例には、これらに限定されないが、ホスファチジルコリン、例えば、ホスファチジルコリン(PC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、他の不飽和ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン スフィンゴミエリンまたは他のセラミド、または様々な他の双性イオン性リン脂質、リン脂質含有油、例えば、ダイズに由来するレシチン油、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリン(DLL-PC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ダイズホスファチジルコリン(ダイズ-PCまたはPC
S)および卵ホスファチジルコリン(卵-PCまたはPC
E)が含まれる。DPPCにおいて、飽和リン脂質、飽和脂肪族置換基R
1およびR
2は、CH
3-(CH
2)
14であり、R
3は、CH
3であり、Xは、Hである。DLL-PCにおいて、不飽和リン脂質、R
1およびR
2は、CH
3-(CH
2)
4--CH==CH--CH
2--CH==CH-(CH
2)
7であり、R
3は、CH
3であり、Xは、Hである。不飽和リン脂質の混合物である卵PCにおいて、R
1は主に、飽和脂肪族置換基(例えば、パルミチン酸またはステアリン酸)を含有し、R
2は主に、不飽和脂肪族置換基(例えば、オレイン酸またはアラキドン酸)である。ダイズ-PCにおいて、(飽和リン脂質(パルミチン酸およびステアリン酸)に加えて)不飽和リン脂質の混合物である(オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸)。特定の実施形態において、リン脂質は、これらに限定されないが、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ホスファチジルコリン、またはこれらの混合物を含む双性イオン性リン脂質である。
【0163】
例示的なアセテートには、これらに限定されないが、ラウロアンホアセテート、アルキルアンホアセテート、ココアンホ(ジ)アセテート、ココアンホアセテート、ココアンホジアセテート、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホ酢酸二ナトリウム、コムギ胚芽アンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホアセテート、ココアンホアセテート、ココアンホアセテート、ココアンホアセテートおよびココアンホジアセテート、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、およびこれらの混合物または組合せが含まれる。
【0164】
例示的なベタインには、これらに限定されないが、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアミドプロピルヒドロキシスルホベタイン(CHSB)、ドデシルジメチルベタイン、セチルベタイン、ラウロアンホアセテート、アルキルアンホアセテート、ココアンホ(ジ)アセテート、ココアンホアセテート、ココアンホジアセテート、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホ酢酸二ナトリウム、コムギ胚芽アンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホアセテート、アルキルアミドベタイン;アルキルジメチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、獣脂ビス(ヒドロキシエチル)ベタイン、ヘキサデシルジメチルベタイン、アルキルアミドプロピルスルホベタイン、アルキルジメチルアミンベタイン、ココアミドプロピルジメチルベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルアミンベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ラウリルアミドプロピルベタイン、ココアミドベタイン、ラウリルアミドベタイン、ジメチコンプロピルPG-ベタイン、N-アルキルジメチルベタイン、ココビグアニド誘導体、セチルベタイン、オレアミドプロピルベタイン、イソステアルアミドプロピルベタイン、オレイルベタイン、コムギ胚芽アミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン;コカミドプロピルベタイン、イソステアルアミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、アンモニウムクロリドコカミドプロピルヒドロキシスルタインおよび塩化カリウム、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ウンデシレナミドプロピルベタイン、コムギ胚芽アミドプロピルベタイン、またはこれらの混合物および組合せが含まれる。
【0165】
例示的なグリシネートには、これらに限定されないが、Ampholak7CX、Ampholak X07、ココアンホカルボキシグリシネート、獣脂アンホカルボキシグリシネート、オレオアンホカルボキシグリシネート、ココイミノジグリシネート、カプリロアンホカルボキシグリシネート、ビス-2-ヒドロキシエチル獣脂グリシネート、ラウリルアンホグリシネート、オレイン酸ポリアンホグリシネート(oleic polyamphoglycinate)、-C
10/12-脂肪酸アミドエチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-グリシネート、-C
12/18-脂肪酸アミドエチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-グリシネート、ジヒドロキシエチル獣脂グリシネート、およびこれらの混合物または組合せが含まれる。
【0166】
例示的なイミダゾリンには、これらに限定されないが、カプリル酸をベースとする2-アルキル-1-(エチル-β-オキシプロパノイック(oxipropanoianoic))イミダゾリンナトリウム塩、1-ヒドロキシエチル-2-アルキルイミダゾリン、ココイミダゾリン、トール油イミダゾリン、ラウリルイミダゾリン、ジカルボキシメチル化ココイミダゾリン(coco imidazoline dicarboxymethylated)、コプラジカルボン酸イミダゾリンナトリウム(sodium copra dicarboxylic imidazoline)、オレイルイミダゾリンおよびこれらの混合物または組合せが含まれる。
【0167】
例示的なプロピオネートには、これらに限定されないが、ココイミノジプロピオネート、オクチルイミノジプロピオネート、ココアルキルアミノプロピオン酸、ココアンホジプロピオネート、ラウラミノプロピオン酸、獣脂-P-イミノジプロピオン酸二ナトリウム、N-ラウリルP-イミノジプロピオン酸一ナトリウム、ラウリミノジプロピオン酸二ナトリウム、ラウリミノプロピオン酸ナトリウム(sodium lauriminopropionic acid)、2-エチルヘキシルアミノジプロピオネート、ココアミノイミダゾリン、コカミノプロピオン酸、ラウラミノプロピオン酸、ラウリミノジプロピオン酸ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、カプリロアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ココアンホプロピオン酸ナトリウム、ラウリミノジプロピオン酸ナトリウム、アルキルイミノプロピオン酸ナトリウムおよびこれらの混合物または組合せが含まれる。
【0168】
例示的な他の両性薬剤には、これらに限定されないが、N-ココ-3-アミノ酪酸、ナトリウム塩、N-ココ-3-アミノ酪酸、エトキシ化脂肪アルコールカルボキシム(carboxym)、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、カプリロアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウムおよびこれらの混合物または組合せが含まれる。
【0169】
医薬品
本発明の組成物において使用するための適切な医薬品には、これらに限定されないが、本発明の担体に分散することができる任意の医薬品が含まれる。特定の実施形態において、医薬品は、固体である。他の実施形態において、医薬品は、液体である。他の実施形態において、医薬品は、弱酸の医薬品である。他の実施形態において、医薬品は、弱塩基の医薬品である。
【0170】
疎水性医薬品および/または栄養補助剤
担体は多種多様の疎水性治療剤を驚くほど可溶化および送達することができるため、本発明の医薬組成物において使用するために適した疎水性治療剤は特に限定されない。疎水性治療剤は、僅かな水溶解度を有し、または水溶解度を有さない化合物である。本発明において使用可能な疎水性治療剤のための本来の水溶解度(すなわち、イオン化されていない形態の水溶解度)は、約1重量%未満、および典型的には約0.1重量%未満または0.01重量%未満である。このような治療剤は、動物、特に、哺乳動物に投与したときに、薬物、栄養素、および化粧品(薬用化粧品)などの、治癒的または他の値を有する任意の薬剤でよい。本発明について水性分散液の形態のその値に特に関して記載する一方で、本発明はこのように限定されないことを理解すべきである。したがって、例えば、局所または経皮的投与からそれらの治癒的または他の値を引き出す疎水性薬物、栄養素または化粧品は、本発明における使用に適しているとまだ考えられる。
【0171】
本発明の医薬組成物において使用することができる疎水性治療剤の特定の非限定的例には、下記の代表的な化合物、ならびに薬学的に許容されるその塩、異性体、エステル、エーテルおよび他の誘導体が含まれる。鎮痛剤および抗炎症剤、例えば、アロキシプリン、オーラノフィン、アザプロパゾン、ベノリレート、カプサイシン、セレコキシブ、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェンカルシウム、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、レフルノミド、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、ロフェコキシブ、スリンダク、テトラヒドロカナビノール、トラマドールおよびトロメタミン;駆虫剤、例えば、アルベンダゾール、ヒドロキシナフトエ酸ベフェニウム、カンベンダゾール、ジクロロフェン、イベルメクチン、メベンダゾール、オキサムニキン、オクスフェンダゾール、エンボン酸オキサンテル、プラジカンテル、エンボン酸ピランテルおよびチアベンダゾール;抗不整脈剤、例えば、アミオダロンHCl、ジソピラミド、フレカイニド酢酸塩および硫酸キニジン;抗喘息剤、例えば、ジロイトン、ザフィルルカスト、テルブタリン硫酸塩、モンテルカスト、およびアルブテロール;抗菌剤、例えば、アラトロフロキサシン、アジスロマイシン、バクロフェン、ベンザチンペニシリン、シノキサシン、シプロフロキサシンHCl、クラリスロマイシン、クロファジミン、クロキサシリン、デメクロサイクリン、ジリスロマイシン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、エチオナミド、フラゾリドン、グレパフロキサシン、イミペネム、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシンHCl、ナリジクス酸、ニトロフラントイン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、スパルフロキサシン、スピラマイシン、スルファベンズアミド、スルファドキシン、スルファメラジン、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファフラゾール、スルファメトキサゾール、スルファピリジン、テトラサイクリン、トリメトプリム、トロバフロキサシン、およびバンコマイシン;抗ウイルス剤、例えば、アバカビル、アンプレナビル、デラビルジン、エファビレンツ、インジナビル、ラミブジン、ネルフィナビル、ネビラピン、リトナビル、サキナビル、およびスタブジン;抗凝血剤、例えば、シロスタゾール、クロピドグレル、ジクマロール、ジピリダモール、ニクマロン、オプレルベキン、フェニンジオン、チクロピジン、およびチロフィバン;抗うつ剤、例えば、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、フルオキセチンHCl、マプロチリンHCl、ミアンセリンHCl、ノルトリプチリンHCl、パロキセチンHCl、セルトラリンHCl、トラゾドンHCl、トリミプラミンマレイン酸塩、およびベンラファクシンHCl;抗糖尿病薬、例えば、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリピジド、グリメピリド、ミグリトール、ピオグリタゾン、レパグリニド、ロシグリタゾン、トラザミド、トルブタミドおよびトログリタゾン;抗てんかん剤、例えば、ベクラミド、カルバマゼピン、クロナゼパム、エトトイン、フェルバマート、フォスフェニトインナトリウム、ラモトリギン、メトイン、メトスクシミド、メチルフェノバルビトン、オクスカルバゼピン、パラメタジオン、フェナセミド、フェノバルビトン、フェニトイン、フェンスキシミド、プリミドン、スルチアム、チアガビンHCl、トピラメート、バルプロ酸、およびビガバトリン;抗真菌剤、例えば、アンホテリシン、ブテナフィンHCl、硝酸ブトコナゾール、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナタマイシン、ナイスタチン、硝酸スルコナゾール、オキシコナゾール、テルビナフィンHCl、テルコナゾール、チオコナゾールおよびウンデセン酸;抗痛風剤、例えば、アロプリノール、プロベネシドおよびスルフィンピラゾン;抗アテローム硬化剤、例えば、アムロジピン、ベニジピン、ベナゼプリル、カンデサルタン、カプトプリル、ダロジピン、ジルチアゼムHCl、ジアゾキシド、ドキサゾシンHCl、エナラプリル、エプロサルタン、ロサルタンメシル酸塩、フェロジピン、フェノールドパム、ホシノプリル、酢酸グアナベンズ、イルベサルタン、イスラジピン、リシノプリル、ミノキシジル、ニカルジピンHCl、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、フェノキシベンズアミンHCl、プラゾシンHCl、キナプリル、レセルピン、テラゾシンHCl、テルミサルタン、およびバルサルタン;抗マラリア剤、例えば、アモジアキン、クロロキン、クロルプログアニルHCl、ハロファントリンHCl、メフロキンHCl、プログアニルHCl、ピリメタミンおよび硫酸キニーネ;抗片頭痛剤、例えば、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン酒石酸塩、フロバトリプタン、マレイン酸メチセルジド、ナラトリプタンHCl、ピゾチフェンリンゴ酸塩、リザトリプタン安息香酸塩、コハク酸スマトリプタン、およびゾルミトリプタン;抗ムスカリン作用剤、例えば、アトロピン、ベンズヘキソールHCl、ビペリデン、エトプロパジンHCl、ヒヨスチアミン、臭化メペンゾラート、オキシフェンサイクリミンHClおよびトロピカミド;抗新生物剤および免疫抑制剤、例えば、アミノグルテチミド、アムサクリン、アザチオプリン、ビカルタミド、ビサントレン、ブスルファン、カンプトテシン、シタラビン、クロランブシル、シクロスポリン、ダカルバジン、エリプチシン、エストラムスチン、エトポシド、イリノテカン、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メソトレキセート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ミコフェノール酸モフェチル、ニルタミド、パクリタキセル、プロカルバジンHCl、シロリムス、タクロリムス、クエン酸タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、トポテカンHCl、およびクエン酸トレミフェン;抗原虫剤、例えば、アトバコン、ベンズニダゾール、クリオキノール、デコキナート、ジヨードヒドロキシキノリン、ジロキサニドフロエート、ジニトルミド、フラゾリドン、メトロニダゾール、ニモラゾール、ニトロフラゾン、オルニダゾールおよびチニダゾール;抗甲状腺剤、例えば、カルビマゾール、パリカルシトール、およびプロピルチオウラシル;鎮咳剤、例えば、ベンゾナタート;抗不安剤、鎮静剤、催眠剤および神経弛緩剤、例えば、アルプラゾラム、アミロバルビトン、バルビトン、ベンタゼパム、ブロマゼパム、ブロムペリドール、ブロチゾラム、ブトバルビトン、カルブロマール、クロルジアゼポキシド、クロルメチアゾール、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロナゼパム、クロバザム、クロチアゼパム、クロザピン、ジアゼパム、ドロペリドール、エチナメート、フルアニソン、フルニトラゼパム、トリフルプロマジン、デカン酸フルペンチキソール、デカン酸フルフェナジン、フルラゼパム、ガバペンチン、ハロペリドール、ロラゼパム、ロルメタゼパム、メダゼパム、メプロバメート、メソリダジン、メタカロン、メチルフェニデート、ミダゾラム、モリンドン、ニトラゼパム、オランザピン、オキサゼパム、ペントバルビトン、ペルフェナジンピモジド、プロクロルペラジン、プソイドエフェドリン、クエチアピン、リスペリドン、セルチンドール、スルピリド、テマゼパム、チオリダジン、トリアゾラム、ゾルピデム、およびゾピクロン;β-遮断薬、例えば、アセブトロール、アルプレノロール、アテノロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、オクスプレノロール、ピンドロールおよびプロプラノロール;強心剤、例えば、アムリノン、ジギトキシン、ジゴキシン、エノキシモン、ラナトシドCおよびメジゴキシン;コルチコステロイド、例えば、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、酢酸コルチゾン、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、フルニソリド、フルオコルトロン、プロピオン酸フルチカゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンおよびトリアムシノロン;利尿剤、例えば、アセタゾラミド、アミロライド、ベンドロフルメチアジド、ブメタニド、クロロチアジド、クロルタリドン、エタクリン酸、フルセミド、メトラゾン、スピロノラクトンおよびトリアムテレン。抗パーキンソン病剤、例えば、メシル酸ブロモクリプチン、マレイン酸リスリド、プラミペキソール、ロピニロールHCl、およびトルカポン;胃腸剤、例えば、ビサコジル、シメチジン、シサプリド、ジフェノキシレートHCl、ドンペリドン、ファモチジン、ランソプラゾール、ロペラミド、メサラジン、ニザチジン、オメプラゾール、オンダンセトロンHCl、ラベプラゾールナトリウム、ラニチジンHClおよびスルファサラジン;ヒスタミンH、およびH-受容体アンタゴニスト、例えば、アクリバスチン、アステミゾール、クロルフェニラミン、シンナリジン、セチリジン、クレマスチンフマル酸塩、シクリジン、シプロヘプタジンHCl、デキスクロルフェニラミン、ジメンヒドリナート、フェキソフェナジン、フルナリジンHCl、ロラタジン、メクリジンHCl、オキサトミド、およびテルフェナジン;角質溶解薬、例えば、アシトレチン、カルシポトリエン、カルシフェジオール、カルシトリオール、コレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール、エトレチナート、レチノイド、ターグレチン、およびタザロテン;脂質調整剤、例えば、アトルバスタチン、ベザフィブラート、セリバスタチン、シプロフィブラート、クロフィブラート、フェノフィブラート、フルバスタチン、ゲムフィブロジル、プラバスタチン、プロブコール、およびシンバスタチン;筋弛緩剤、例えば、ダントロレンナトリウムおよびチザニジンHCl;ニトレートおよび他の抗狭心症剤、例えば、硝酸アミル、三硝酸グリセリン、硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビドおよび四硝酸ペンタエリスリトール;栄養剤、例えば、カルシトリオール、カロテン、ジヒドロタキステロール、必須脂肪酸、非必須脂肪酸、フィトナジオン、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンD、ビタミンEおよびビタミンK、オピオイド鎮痛剤、例えば、コデイン、コデイン、デキストロプロポキシフェン、ジアモルヒネ、ジヒドロコデイン、フェンタニル、メプタジノール、メタドン、モルヒネ、ナルブフィンおよびペンタゾシン;性ホルモン、例えば、クエン酸クロミフェン、酢酸コルチゾン、ダナゾール、デヒドロエピアンドロステロン、エチニルエストラジオール、フィナステリド、フルドロコルチゾン、フルオキシメステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メストラノール、メチルテストステロン、ノルエチステロン、ノルゲストレル、エストラジオール、抱合エストロゲン、プロゲステロン、リメキソロン、スタノゾロール、スチルベストロール、テストステロンおよびチボロン;刺激剤、例えば、アンフェタミン、デキサンフェタミン、デキスフェンフルラミン、フェンフルラミンおよびマジンドール;ならびにその他、例えば、ベカプレルミン、ドネペジルHCl、L-チロキシン、メトキサレン、ベルテポルフィン、フィゾスチグミン、ピリドスチグミン、ラロキシフェンHCl、シブトラミンHCl、シルデナフィルクエン酸塩、タクリン、タムスロシンHCl、およびトルテロジン。
【0172】
好ましい疎水性治療剤には、シルデナフィルクエン酸塩、アムロジピン、トラマドール、セレコキシブ、ロフェコキシブ、オキサプロジン、ナブメトン、イブプロフェン、テルビナフィン、イトラコナゾール、ジロイトン、ザフィルルカスト、シサプリド、フェノフィブラート、チザニジン、ニザチジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、ファモチジン、パリカルシトール、アトバコン、ナブメトン、テトラヒドロカナビノール、酢酸メゲストロール、レパグリニド、プロゲステロン、リメキソロン、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、テニポシド、パクリタキセル、プソイドエフェドリン、トログリタゾン、ロシグリタゾン、フィナステリド、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ならびにその薬学的に許容される塩、異性体および誘導体が含まれる。特に好ましい疎水性治療剤は、プロゲステロンおよびシクロスポリンである。
【0173】
本発明において使用するための適切なプロトンポンプ阻害剤には、これらに限定されないが、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール、エソメプラゾール、およびこれらの混合物が含まれる。
【0174】
疎水性治療剤のこの一覧およびこれらの治療上のクラスは単に例示的であることを認識されたい。実際、本発明の組成物の特定の特徴、および驚くべき利点は、機能的クラスに関わらず、広範囲の疎水性治療剤を可溶化および送達する本組成物の性能である。当然ながら、所望である場合、疎水性治療剤の混合物をまた使用し得る。これらの担体性状はまた、これから開発される疎水性治療剤のための送達ビヒクルとして同等に有効である。
【0175】
特定の実施形態において、本発明の組成物において使用するための適切な医薬品には、これらに限定されないが、弱酸の医薬、弱酸の医薬またはこれらの混合物および組合せが含まれる。例示的な弱酸の医薬には、これらに限定されないが、抗炎症性医薬、ステロイド、ステロール、NSAID、COX-2阻害剤、またはこれらの混合物が含まれる。例示的な弱塩基の医薬には、これらに限定されないが、弱塩基の抗生物質、カフェイン、コデイン、エフェドリン、クロルジアゼポキシド、モルヒネ、ピロカルピン、キニーネ、トルブタミン(tolbutamine)、他の弱塩基の医薬品およびこれらの混合物または組合せが含まれる。例示的な抗炎症性医薬には、ステロイド性抗炎症薬、非ステロイド性抗炎症薬、アセトアミノフェンおよびCOX-2阻害剤またはこれらの混合物および組合せが含まれる。
【0176】
適切なNSAIDには、これらに限定されないが、(a)プロピオン酸薬物(フェノプロフェンカルシウム、フルルビプロフェン、スプロフェン、ベノキサプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、および/またはオキサプロジンを含めた);(b)酢酸薬物(ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、アセクロフェナク、エトドラク、インドメタシン、ケトロラクトロメタミン、および/またはケトロラクを含めた);(c)ケトン薬物(ナブメトン、スリンダク、および/またはトルメチンナトリウムを含めた);(d)フェナム酸薬物(メクロフェナム酸ナトリウム、および/またはメフェナム酸を含めた);(e)オキシカム薬物、ピロキシカム、ロルノキシカムおよびメロキシカム;(f)サリチル酸薬物(ジフルニサル、アスピリン、サリチル酸マグネシウム、次サリチル酸ビスマス、および/または他のサリチレート医薬品を含めた);(g)ピラゾリン酸薬物(オキシフェンブタゾン、および/またはフェニルブタゾンを含めた);ならびに(h)これらの混合物または組合せが含まれる。
【0177】
適切なCOX-2阻害剤には、これらに限定されないが、セレコキシブ、ロフェコキシブ、またはこれらの混合物および組合せが含まれる。
【0178】
酸に不安定な医薬
適切な酸に不安定な医薬活性剤には、これらに限定されないが、ペプチド、タンパク質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、DNA、RNA、グリコサミノグリカン、任意の他の酸に不安定な医薬、またはこれらの混合物もしくは組合せが含まれる。本明細書において開示されている担体系において使用し得る酸に不安定な薬物の例は、例えば、(+)-N{3-[3-(4-フルオロフェノキシ)フェニル]-2-シクロペンテン-1-イル}-Nヒドロキシ尿素、アミラーゼ、オーレオマイシン(aureomycin)、バシトラシン、βカロテン、セファロスポリン、クロロマイセチン(chloromycetin)、シメチジン、シサプリド、クラドリビン、クロラゼプ酸、デラムシクラン、ジダノシン、ジギタリスグリコシド、ジヒドロストレプトマイシン、エリスロマイシン、エトポシド、ファモチジン、ホルモン(特に、エストロゲン、インスリン、アドレナリンおよびヘパリン)、リパーゼ、ミラメリン、ノボビオシン、パンクレアチン、ペニシリン塩、ポリミキシン、プラバスタチン、プロガビド、プロテアーゼ、キナプリル、キノキサリン-2-カルボン酸、[4-(R)カルバモイル-1-(S-3-フルオロベンジル-2-(S),7-ジヒドロキシ-7-メチルオクチル]アミド、キノキサリン-2-カルボン酸[1-ベンジル-4-(4,4-ジフルオロ-1-ヒドロキシ-シクロヘキシル)-2-ヒドロキシ-4-ヒドロキシカルバモイル-ブチル]-アミド、ラニチジン、ストレプトマイシン、スブチリン、スルファニラミドおよび酸に不安定なプロトンポンプ阻害剤、例えば、エソメプラゾール、ランソプラゾール、ミノプラゾール(minoprazole)、オメプラゾール、パントプラゾールまたはラベプラゾールである。消化性タンパク質、例えば、アミラーゼ、リパーゼおよびプロテアーゼは、開示されている担体系に含まれてもよい。哺乳動物、特に、ヒトにおいて消化酵素補充物または消化酵素代替物として適したアミラーゼ、リパーゼおよびプロテアーゼが好ましい。アミラーゼ、リパーゼおよび/またはプロテアーゼは、微生物または動物、特に、哺乳動物の源に由来し得る。パンクレアチンは、酸に不安定な薬物である。他の治療用タンパク質またはペプチドを開示されている担体と共に使用して、バイオアベイラビリティーを増加し得る。他の治療用タンパク質には、これらに限定されないが、インスリン、エリスロポエチン、またはそのフラグメントもしくは誘導体が含まれてもよい。グリコサミノグリカンの例には、これらに限定されないが、ヘパリン、またはそのフラグメントが含まれる。多くの他の酸に不安定な薬物または酸に不安定な薬物の組合せをまた使用することができると当業者が理解するように、酸に不安定な薬物の上記の一覧は網羅的であることを意味せず、単に例示的なものである。
【0179】
栄養補助剤
本発明の組成物において使用するための適切な栄養補助食品には、これらに限定されないが、本発明の担体と共に対応できる任意の栄養補助剤が含まれる。特定の実施形態において、栄養補助剤は、固体である。他の実施形態において、栄養補助剤は、油溶性の液体または油混和性の液体である。
【0180】
生体適合性油
適切な生体適合性油には、これらに限定されないが、ヒト、哺乳動物または動物の消費のためにFDAまたは他の政府機関によって承認された任意の油が含まれる。例示的な生体適合性油には、これらに限定されないが、植物に由来する油または動物に由来する油またはこれらの誘導体もしくは合成油が含まれる。特定の実施形態において、天然油は、リン脂質に富んだ油、例えば、ダイズからのレシチン油である。植物に由来する油または動物に由来する油またはこれらの誘導体または合成油の例示的な例には、これらに限定されないが、精油、植物性油、硬化植物性油、例えば、落花生油、キャノーラ油、アボガド油、サフラワー油、オリーブ油、トウモロコシ油、ダイズ油、ゴマ油、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEなど、動物油、魚油、オキアミ油などまたはこれらの混合物が含まれる。
【0181】
特定の実施形態において、生体適合性油は、中性脂質である。適切な中性脂質には、これらに限定されないが、任意の中性脂質、例えば、トリグリセリドが含まれる。代表的な中性脂質、例えば、トリグリセリドの部分的一覧について、米国特許第4,950,656号および同第5,043,329号を特に参照されたい。飽和および不飽和トリグリセリドの両方を、本組成物において用いてもよく、トリパルミチン(飽和)、トリオレインおよびトリリノレイン(不飽和)などのトリグリセリドを含む。しかし、これらの特定のトリグリセリドは、便宜のためのみにここで一覧表示し、種々の有用なトリグリセリドの単に代表的なものであり、包括的であることをさらに意図しない。
【0182】
動物性脂肪には、これらに限定されないが、ラード、アヒル脂肪、バター、またはこれらの混合物もしくは組合せが含まれる。
【0183】
植物性脂肪には、これらに限定されないが、ヤシ油、パーム油、綿実油、コムギ胚芽油、大豆油、オリーブ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、サフラワー油、大麻油、キャノーラ/ナタネ油、またはこれらの混合物および組合せが含まれる。
【0184】
他の添加物、賦形剤または補助剤
本発明の配合物または組成物はまた、他の化学物質、例えば、抗酸化剤(例えば、ビタミンA、C、D、Eなど)、微量金属および/または多価カチオン(アルミニウム、金、銅、亜鉛、カルシウムなど)、表面活性剤および/または溶媒(例えば、プロピレングリコール/PPG、ジメチルスルホキシド/DMSO、中鎖トリグリセリド/MCTなど)、無毒性染料および香味増強剤を含み得る。これらは、配合物が調製されているときに、安定性、流動性/展延性、透過性、有効度および消費者の許容度を改善させるために配合物に加えてもよい。これらの添加物、賦形剤、および/または補助剤はまた、活性剤として機能し得る。
【0185】
本発明の実験
本発明の担体、および本発明の担体を含む組成物は、胃腸(GI)管の選択した領域中への活性剤の標的化放出の能力を有する。担体が媒介する標的化放出は、(a)上部GI管(食道、胃、および十二指腸)に対して傷害性であり、(b)酸に不安定であり、(c)GI液中で不透過性/不溶性の化合物であり、(d)初回通過代謝の影響を受けやすく、および(e)胃の刺激作用、不調、または消化不良をもたらす、活性成分のために特に有用である。特定の実施形態において、標的化放出は、pH依存性放出であり、その結果、活性剤(複数可)は、胃の低pH(例えば、約3未満のpH、<pH3)で最低限に放出され、上部十二指腸のより高いpH(例えば、4〜5以上のpH)で効率的に放出される。特定の実施形態において、標的化放出は、pH依存性放出であり、その結果、活性剤(複数可)は、胃(例えば、約3未満のpH、<pH3)および上部十二指腸(例えば、4〜5以上のpH)の低pHで最低限に放出され、小腸のより高いpHで高濃度の胆汁の存在下で効率的に放出される。特定の実施形態において、活性剤(複数可)のpH依存性放出は、pH依存性放出剤、例えば、少なくとも1つのカルボン酸基を含む油、または少なくとも1つのカルボン酸基を含む少なくとも1種の油溶性もしくは混和性化合物を担体中に含むことによる。他の実施形態において、少なくとも1つのカルボン酸基を含む油、または少なくとも1つのカルボン酸基を含む少なくとも1種の油溶性もしくは混和性化合物は、遊離脂肪酸である。大部分の脂肪酸は胃のpHでイオン化されておらず、または中性形態であるが、腸のpHでイオン化され、これによって脂肪酸は活性成分ペイロードを選択的に放出することが可能となるため、脂肪酸はGI管に沿った特別調製された放出のために特に有用である。このセクションにおいて要約した研究は、1)pH依存性放出、2)GI管に沿った標的化溶解、3)活性剤のGI毒性の低減を可能とする標的化放出、4)種々の活性剤の標的化放出、ならびに5)活性剤(例えば、酸に不安定な活性薬、GI液中で不溶性の化合物、および初回通過代謝の影響を受けやすい)のバイオアベイラビリティーを改善させるためのpH依存性放出担体の使用のための、担体の使用に関する証拠を提供する。
【0186】
活性薬のpH依存性放出
本発明者らの従前の研究は、精製したホスファチジルコリン(PC)(例えば、Phospholipon90G)およびレシチン油(例えば、Phosal35SB(PS35SB))が、アスピリンの分配(Log P
シクロヘキサン/0.1NのHCl))をpH依存性の様式で増加させることを示唆している。分配(Log P)値は、0.1NのHClで最大であり、中性pHでの分配において改変は殆どなく、または改変はなかった。これらのデータは、ASAがレシチン油担体に分散している(すなわち、レシチンNFの性状を有する)ときのアスピリン(ASA)のpH依存性分配を示唆する。pH依存性分配は、担体および/またはその成分と医薬品(例えば、NSAID)との間の相互作用による、担体または特定の担体成分によるものであると考えられた。レシチンは、主にリン脂質、トリグリセリド、および遊離脂肪酸の複合混合物であるため、固有にレシチンまたはレシチン担体中にある遊離脂肪酸がアスピリンの分配のpH感受性を与えたかについては不明であった。したがって、遊離脂肪酸によってもたらされた疎水性のpH依存性変化を、2つの方法(分配(Log P)およびインビトロの溶解)によって試験した。
【0187】
ASA-FFAおよびFFA/PC担体組成物の調製
この研究において、異なる重量比のアスピリンおよびFFAを有するASA-FFAおよびFFA/PC担体組成物を調製した。組成物は、各担体中に粉末状ASAを混和し、混合物を35℃の温度まで約30分間加熱することによって調製した。組成物配合を、表Iに示す。
【表1】
【0188】
遊離脂肪酸は、アスピリン(ASA)の分配をpH依存性の様式で増加させる
表Iの組成物を、二相分配系において試験した。この系において、アスピリン(ASA)のLog P値を、2種の不混和性溶媒(シクロヘキサンおよび0.1NのHCl)中で測定した。シクロヘキサンを使用して、純粋に疎水性表面、例えば、細胞外胃粘膜を模倣した。HCl(0.1N)を使用して、胃液を模擬した。米国特許第4,950,656号、同第5,043,329号、同第5,763,422号、および同第5,955,451号において、双性イオン性リン脂質と組み合わせたトリグリセリドを使用して、毒性を低減させ、これらのpKaを超えたpHでのNSAIDのシクロヘキサン溶解度を増加させ、NSAIDの有効性を改善した。米国特許第5,763,422号、および同第5,955,451号は、DPPCが、これらのpKaを超えたpHでのシクロヘキサン中のASAの溶解度を増加させ、トリグリセリド、例えば、トリオレエートおよびトリパルミチンの添加が、この増加した溶解度を増強したことを特に示した。リン脂質およびリン脂質の混合物およびトリグリセリドは、相間移動剤の働きと同様に、シクロヘキサン中のASAのpKaに近いpHでASA溶解度を増加させることをこれらの従来技術の教示は示した。しかし、これらの特許は、遊離脂肪酸が医薬品、例えば、ASAのための許容される担体として機能する、またはこれらがASAのpH依存性放出を可能とする担体であるという教示を含まなかった。
【0189】
ASA-SFFA配合物のLog P値を調整して、ASAおよびPhosal35SB(PS35SB)(加工レシチン油)の1:1重量比の配合物と比較可能なLog P値を有し得ることを本発明者らはここで示す。(1)FFA単独からなるASA担体は、ASA-PS35SB配合物と比較可能なLog P値を有し、(2)低レベルのリン脂質(例えば、≦10重量%)を有するASA担体は、ASA-PS35SB配合物と比較可能なLog P値を有し、(3)FFAを有さないASA担体は、即時放出アスピリンと同様の放出特徴を有したことを本発明者らはまた示した。このように、担体を調整して、異なるpH環境中に活性剤を放出してもよく、および/または放出のレベルは、(1)FFAおよび二次的錯化剤もしくは他の担体成分の比(例えば、
図3および
図14)、ならびに/または(2)担体と活性剤の比(例えば、
図1)に基づいて、GI管の所与の領域内でモジュレートし得る。本明細書に記載されている動物試験において示されるように、Log P値は、NSAIDのGI安全性の改善またはNSAIDのGI毒性の低減を予測すると本発明者らは考える(例えば、
図12および13)。
【0190】
ここで
図1を参照すると、純粋なダイズFFA(SFFA)単独は、水不混和性相中への濃度依存性の様式でのアスピリンの分配を増加させる。このように、活性剤と担体の比は、組成物の分配特徴をモジュレートする。1:1重量比のアスピリンおよび100%FFA担体を含む組成物は、1:1重量比のアスピリンおよび高リン脂質レシチン油担体、PS35SB(例えば、約45%リン脂質)と同様のLog P値を有したが、100%FFA担体は、高リン脂質レシチン担体と同様の、アスピリンの脂質溶解度の増加を促進し得ることをこれは示唆する。担体中のFFAは、本明細書においてFTIRデータによって示されるように、分子レベルでアスピリンと相互作用することを本発明者らはまた示す。このような相互作用は、アスピリンとFFAとの間の非共有結合性会合複合体の形態であると考えられる。100%FFAまたは十分な量のFFAを含む油をベースとする担体は、医薬品、例えば、NSAIDのpH依存性放出を可能とすることを本発明者らはまた下記で示す。十分なpH依存性放出剤、例えば、FFAを有する担体が、pH特異的様式でNSAIDを放出することができる(すなわち、組成物は、低pHで最少の放出、より高いpHで効率的な放出を伴う)ことを示すこのデータおよび本明細書において記載する他のデータは、それらの固体形態で中性であり、弱酸であり、潜在的に弱塩基である医薬品および/または栄養補助剤に一般化できるはずである。
【0191】
ここで
図2を参照すると、水不混和性溶媒、例えば、シクロヘキサン中へのアスピリンのFFAが誘発する分配の増加はpH依存性である。FFAによるアスピリンが疑似疎水性膜を横切る分配の増加は、FFA単独が、アスピリンの物理化学的および/または放出挙動を改変し得ることを示唆する。アスピリンおよびFFAの二成分比は、高リン脂質レシチン油担体、例えば、PS35SBにおいて見出されるのと同様の様式で、アスピリンの胃腸の安全性を改善し得ることをこの観察はさらに示唆する。任意の特定な理論に縛られることを意味しないが、FFAおよびASAの相互作用は、アスピリンのカルボン酸基とFAAのカルボン酸基との間の相互作用を含み得る。高濃度のFFAおよび低濃度のリン脂質(または非含有)を有する担体は、高リン脂質レシチン油担体と同様の特徴を有するようである。これらの担体は概ね46重量%のリン脂質を含有し、粗ダイズレシチンに由来する。これらは、本来のトリグリセリドが除去され、ヒマワリ油ならびに概ね11重量%のオレイン酸およびリノール酸の混合物で置き換えられている加工レシチン油である。2種のこのようなレシチン油生成物は、Phosal35SB(PS35SB)およびEpikuron(135F)である。このFFA-アスピリン挙動は、異常に低レベル(または非含有)のリン脂質(0から10重量%未満のリン脂質のレベル)、および異常に低レベル(または非含有)のトリグリセリド(0から10重量%未満の中性脂質のレベル)を含む組成物を支持する。代わりに、FFAは、主にFFAの性質によってpH依存性放出剤として作用し得ると本発明者らは考える。低pHで、FFAは非荷電となり、本質的に生体適合性油として作用する。しかし、pHが上昇すると、FFAはイオン化して、公知の界面活性剤であるFFA塩を形成する。界面活性剤は、油をベースとする担体からの医薬品、例えば、NSAIDの放出を増加させることが公知であり、そのため本発明者らは、NSAID溶解を行うために界面活性剤に富んだ緩衝系(市販前のNSAID-PS35SB配合物など)を使用する。
【0192】
米国特許出願公開第12/883873号において、改善されたNSAIDのGI安全性は、10重量%超のリン脂質を含む油をベースとする担体によって媒介された。実際は、実施例において使用された組成物は、約46重量%のリン脂質を含んだ(高リン脂質レシチン油担体であるPS35SBの概ねのリン脂質含量であるため)。さらに、NSAIDのバイオアベイラビリティーおよび毒性を特別調製された物質で増大させる任意の量のリン脂質を含有する担体の使用は意図されなかった。FFA-ASA組成物は、PS35SB-ASA組成物と比較して同様のLog P値を有するため、活性剤のpH制御放出のための重要な構成物としてFFAを使用して、医薬品および/または栄養補助剤、例えば、NSAIDのための新規なクラスの担体を開発し得ることを本発明者らは決定した。下記のデータにおいて、FFAを含む担体は、約pH3超のpHで医薬品および/または栄養補助剤を効率的に放出し、一方、FFA非含有油をベースとする担体は、約3未満のpHで活性剤を効率的に放出することを本発明者らは示す。
【0193】
アスピリンがNSAIDであるとき、低レベルのリン脂質を加えることによってFFA担体を改変し、同様のLog P値を生じさせ得ることを本発明者らはまた決定した。これらのFFA担体がASAについて同様のLog P値を有するという事実は従来技術における教示を考慮に入れると予想外であり、リン脂質含量はNSAIDのGI毒性を低下させることにおいて影響を及ぼす構成物であると想定された。
図3に示すように、高FFA担体は、PCの有効な担体であり、約45重量%のPCを含有するPS35SB担体と比較して、5重量%〜10重量%のリン脂質(ここではPC)含量を伴って、アスピリンについて同様の分配値を実現した。このように、担体は、担体中のFFAと二次的錯化剤の比によって調整可能である。GI安全性を媒介するのに必要とされるリン脂質レベルは、概ね45重量%のリン脂質から≦10重量%に著しく低減させることができたことをこれらのデータは示唆する。FFA担体は、任意のリン脂質の非存在下での有効なNSAID担体でよいことをデータはまた示唆する。低リン脂質量を有するFFA担体はまた、かなりのリン脂質分解(エステル側鎖の損失)を起こしたことが示されてきた既存のリン脂質担体を超える更なる安定性およびコストの便益を有する。
【0194】
低レベルのリン脂質を含むまたは含まない担体が、Phosal35SB(PS35SB)、概ね45重量%のリン脂質を含む担体と同様の様式で振る舞うという事実は全く予想外である。さらにより予想外であるのは、純粋なFFA担体中のASA分配は、PS35SBと同様の明確なpH依存性を示すことである。本発明者らは今や相対的に高価で加水分解的および熱的に不安定なリン脂質の複雑な状態を回避する、医薬品および/または栄養補助剤と共に使用するための代わりの担体を有すると本発明者らは考える。
【0195】
本発明者らは、アスピリン(ASA)担体組成物を参照することにより、本発明の担体の特性のいくつかを例示し、担体は、中性脂質、遊離脂肪酸、およびリン脂質を含む。1つのタイプの高リン脂質担体は、Phosal35SBとして販売されている3倍濃度レシチン生成物である。現在まで、リン脂質を含有する担体中のNSAID錯化剤はリン脂質であったと仮定されてきたが、リン脂質の内、ホスファチジルコリンは、最も高い濃度で存在する。しかし、遊離脂肪酸は、ASAと可逆的複合体を形成し得る成分の第2の群を含み得ると本発明者らは考える。中性脂質はまた、ASAと可逆的複合体を形成し得る成分の第3の群を形成し得ると本発明者らはまた考える。他の担体成分は、ASAの非共有結合複合体形成のための成分を提供することに加えて、ASA-PC複合体を含めたASA複合体の活性、および水への組成物の分散において役割を果たし得る。本研究は、GI管を横切るAPIの放出を模擬するpH依存性放出をアセスメントする3倍濃度レシチン-ASA組成物に関する溶解手順を対象とする。
【0196】
pH依存性の疎水性の増加は、pH依存性溶解をもたらす
この分析において、3倍濃度レシチン油PS35SB担体-ASA組成物(PS35SB-ASA)からのASAの放出を、即時放出アスピリンの放出と比較した。PS35SB-ASAをハードシェルカプセル中に充填し、即時放出アスピリン錠剤を試験した。溶解速度を、様々な媒体調製物を使用して米国薬局方(USP)タイプII装置で測定した。
【0197】
この分析において、PS35SB-ASAからのASAの放出を、単純なアスピリン錠剤の放出と比較した。ハードシェルカプセル中に充填したPS35SB-ASA組成物、および単純なアスピリン錠剤を試験した。USP<711>によって37℃でタイプII溶解装置を使用して、2つの用量形態からのアスピリンの放出を、900mLの様々なクエン酸リン酸緩衝液を3.5、4.5、5.5、6.9、7.4で含有する容器において150rpmのパドルスピードで評価した。
【0198】
放出速度を、5分、10分、15分、30分、45分、60分、75分、および90分での溶解容器からの試料採取、ならびに無限時間の試料によってモニターした。2つの用量形態から放出および溶解したアスピリンの画分を、HPLCによってモニターした。
【0199】
アセチルサリチル酸およびサリチル酸の放出を測定するために使用したHPLC法は、60/40/0.2の水/アセトニトリル/リン酸の移動相を伴う、毎分1.2mLでの定組成溶離である。使用したカラムは、ES SciencesによるODS3「Inertsil」(5μm、250×4.6mm)であった。標準物質は、Rhodiaによって製造されたアスピリンを移動相に溶解および希釈することによって調製した。
【0200】
図4を参照すると、異なるpH値での即時放出ASA錠剤の溶解プロファイルを示し、一方、
図5は、異なるpH値でのPS35SB-ASA組成物の溶解プロファイルを示す。
【0201】
即時放出アスピリン錠剤は、溶解に導入されたとき直ちに崩壊し始め、全てのpHレベルで最初の5分で完全に溶解した。
【0202】
対照的に、PS35SB-ASAの充填されたカプセルは、概ね10分後に開始するシェルの崩壊を示した。カプセルの破裂によって、充填材料は、
図5において示すようにpH依存性の様式で放出、分散および溶解した。
【0203】
PS35SB-ASA組成物から放出されたアスピリン(
図5を参照されたい)は、pHの増加と共に明らかに増加を示したが、これはレシチン油マトリックスからのアスピリンの放出がpH依存性であることを示唆する。任意の理論に束縛されることを意図するのではないが、より高いpHでの放出速度の上昇は、アスピリンのカルボン酸基のイオン化によるものであると考えられる。このように、PS35SB担体またはマトリックスからのアスピリン放出は、上記で
図5において示すようにpHと共に増加する。しかし、
図6において例示するように、トリグリセリドおよびリン脂質のみを含む担体は、ASAについて低減したpH依存性特徴を示し、または示さなかったため、PS35SBのpH依存性特性は、もっぱらPS35SB担体中の十分な量の脂肪酸の存在によるものであり得ることが明らかとなった。
【0204】
レシチン油PS35SB中の遊離脂肪酸がpH依存性放出を媒介したかを決定するために、表IIにおいて要約するような錠剤またはカプセル剤形態における325mgのアスピリンを含有する4種の調製物からのアスピリンの放出を、USP<711>によって模擬胃液(0.1HCl)中で測定した。
【表2】
【0205】
配合A〜Cは、本明細書に記載のように混合しながら40℃で担体中にASAを混和することによって調製した。レシチン油は、概ね40重量%のホスファチジルコリン、40重量%のトリグリセリド、13重量%の遊離脂肪酸を含有する。
図6に示すように、レシチン油からのアスピリンの放出は最小であった。TG/PCのみの担体からの放出は急速であり、FFAの添加によって高度に弱まるため、このような、
図5において記載するようなレシチン油によってもたらされるpH感受性の放出は、主にFFAの存在によるものである。
【0206】
GI管に沿ったアスピリンの標的化放出
上記で示したように、pH感受性の疎水性は、pH感受性の放出および溶解をもたらす。胃、上部十二指腸および腸の間で生理的環境は劇的に異なるため、表IIIに記載した3種の担体のインビトロの溶解によってアセスメントされる標的化放出を、オレイン酸担体、オレイン酸/2.5重量%のPC担体、およびPS35SB担体を含む配合物の、模擬胃液、十二指腸液および腸液溶解特徴において評価した。配合物は、表IIIにおいて一覧表示する成分を加え、混合物を35℃で30分間撹拌することによって調製した。錠剤であるASA配合物を除いて、他の配合物は、ハイパーメロース(hypermellose)カプセル中に充填する。
【表3】
【0207】
ここで
図7を参照すると、ASA、P1、P2およびAC2の溶解プロファイルを、USPタイプII装置において37℃にて150rpmのパドルスピードでpH1を有する0.1NのHClからなる模擬胃液中で試験した。
【0208】
ここで
図8を参照すると、150rpmでの「模擬上部十二指腸液」(pH4.5)中の溶解プロファイル。
【0209】
ここで
図9を参照すると、150rpmでの「模擬腸液」(pH7)溶解緩衝液(20mMのコール酸および1%パンクレアチンを有する重炭酸イオン緩衝液)中の溶解プロファイル。この媒体は、USP腸液のfedバリアント(fed variant)である(pH7.2のリン酸緩衝液、1%パンクレアチン)。
【0210】
ここで
図10AおよびBを参照すると、異なる媒体:0.1NのHCl、溶解緩衝液(胆汁酸および酵素を有する重炭酸イオン緩衝液)、酢酸緩衝液、ならびにリン酸緩衝液中の、0重量%のPCおよび2.5重量%のPC配合物の平均溶解プロファイルの並列比較。
【0211】
上記の溶解データは、GI毒性を有することが公知である活性剤(NSAIDなど)、低pH環境中、例えば、胃液中で分解する活性剤、小腸の上部パートにおいてより良好に吸収される活性剤、および/または胃を通過した後の放出を標的とするが、下部GI管において見出される高pHでの放出を必要としない活性剤のための担体として、脂肪酸をベースとする担体(すなわち、担体がpH依存性放出を行うことができるようになるのに十分な量の脂肪酸を含む担体)を使用するための説得力のある支持を提供する。
【0212】
ここで
図11を参照すると、上部消化管(胃から小腸(十二指腸、空腸および回腸))の描写を提供し、GI管の様々なセクションの物理化学的特性の著しい差異を示す。pHおよび胆汁酸濃度および組成、消化酵素の差異を活用して、様々な脂質担体を使用した活性薬の標的化放出を可能にすることができる。FFAを含む本ASA配合は、胃から小腸の様々なパートへのpH変化によるpH依存性のASA放出を明らかに示す。このように、担体は、小腸において小腸の遠位パートに沿ってpHが増加するつれASAの放出を増加または最大化する一方で、胃におけるまたは低pHでのASAの放出を低減または最小化するのに十分な量のFFAを含む。したがって、ある量のFFAを含む本発明の担体は、胃における活性剤の低減したまたは最小化した放出を伴う、十二指腸における活性剤、例えば、医薬品および/または栄養補助剤の調整された放出のために良好に適している。本明細書において示すように、この十分な量のFFAを含む本発明の担体のpH特徴はNSAIDに一般化でき、固体材料は担体に分散しているという事実に基づいて、担体のpH特徴は、これらの担体に分散している全ての固体活性剤に一般化できるはずである。
【0213】
GI管に沿ったアスピリンの標的化放出は、胃の損傷を減少し得る
FFA単独、低PCと組み合わせたFFAとして、レシチンは、模擬腸液中のアスピリンの選択的放出および溶解を実現し、胃において放出されたアスピリンはびらん性損傷を誘発することが公知であり、胃および腸の損傷に対する選択的担体が媒介する放出の性能を、ラットにおいて評価した。経口胃管栄養法によって表VIIIにおける担体配合物中のアスピリン(40mg/kg)を含有するミニカプセルを、メチルセルロース陰性対照、および微粉砕した即時放出アスピリンと共にラットに投与した。
【0214】
この研究において使用した実験対照は、(1)制御された周囲温度で保存したSigma Chemical Companyからのメチルセルロース、製品番号M-0512、ロット番号74F-0466を含む対照組成物(NAC);(2)Walgreen Coからの325mgのOTCアスピリン(AC1)、製品番号P53405、および(3)Phosal35SB担体中の325mgのアスピリン(AC2)を含む。
【0215】
本発明の2種の組成物P1およびP2を、AC2と共に調製した。AC2、P1およびP2は、表IVに示す成分配合を有し、制御された周囲温度下で光から保護して研究の間保存した。
【表4】
【0216】
配合物P1、P2、およびAC2は、下記によって調製した。1)脂質成分を、混合し、時々混合しながら40℃で1時間インキュベートし、脂質担体の均質性を確実にし、2)アスピリンを、脂質担体中に混合し、3)粘度改変剤を、脂質担体/アスピリン混合物に加え、4)配合物を均質となるまで混合し、40℃で60分間インキュベートし、5)配合物を、周囲条件で保存し、使用前によく混合した。
【0217】
40匹の雄性Sprague-Dawleyラット(概ね10週間の週齢)を、この研究において使用した。動物を、5つの処理群(群毎に8匹のラット)に無作為に分配した。
【表5】
【0218】
1つのミニカプセルが、動物毎に40mg/kg/日のアスピリンの胃内の用量を実現するように、試験物品をミニカプセル中にパックした。OTCアスピリンの調製のために、乳鉢および乳棒を使用して錠剤を微粉砕し、ミニカプセル中にパックした。P1、P2、およびAC2について、適当な量の充填材料(充填物のアスピリン含量に基づく)を、ミニカプセルに加えた。各動物は3日の実験期間の間に平均で3.0gの体重が増加するという仮定に基づいて、投与配合物を3日の処理のために調製した。例えば、アスピリンの最初の用量を含有するミニカプセルを、1日目の平均体重+3.0gのラットのために作製した。
【0219】
投与の前に、午前8時から午後3時まで動物を絶食させた(水は自由に摂取させた)。動物が敷わらまたは糞石を食べることを防止するためにワイヤー底のケージが必要であった。アスピリンおよびP1、P2、およびAC2の用量を、経口胃管栄養法によって午後2時から午後3時まで連続3日間投与し(研究の1日目、2日目、および3日目)、1日当たり体重1kg当たり40mgのNSAIDでの胃に対する研究薬物の潜在的作用を最大化した。
【0220】
動物は投与後に1時間絶食状態にした。次いで、翌朝まで食物を自由に利用可能とした。
【0221】
3日の処理の後、ラットを屠殺し、胃、小腸(空腸および回腸)を分析するために下記の組織を集めた。胃におけるびらん性損傷の程度を顕微鏡によって評価し、管腔液のヘモグロビンを測定することによって胃または腸の出血のレベルを評価した。
【0222】
びらんおよび潰瘍および投与に関連する傷害の証拠について、胃の検査を解剖顕微鏡下で行った。具体的には、Hbアッセイのための蒸留水による洗浄に続いて、胃を小弯に沿った切開によって切開し、生理食塩水ですすぎ、2番濾紙でブロットドライした。解剖顕微鏡下で観察可能な、解剖した胃の管腔側を食塩水によってすすぐことによって除去できなかった胃病変を計数し、測定した。動物による胃病変スコアリングを記録した。
【0223】
2タイプの胃病変(線状および小さなドット(ピンポイント))を観察した。(1)ピンポイント病変(最も長い寸法が0.1〜1.0mm)にそれぞれ1mm
2のスコアを割り当て、(2)線状病変(長さが1mm超)を長さおよび幅で測定した。病変に、病変のエリア(mm
2)[長さ(mm)×幅(mm)]と等しいスコアを割り当てた。
【0224】
動物の胃病変スコアは、胃病変の総エリアの推定値であるピンポイントおよび線状病変のスコアの合計であると決定した。処理群の胃病変スコアは、その群における動物の胃病変スコアの平均であると決定した。
【0225】
胃および小腸の洗浄液ならびに糞石の超音波処理した溶液中のヘモグロビン(Hb)濃度を、ベンジジン法および515nmでの光学密度(OD)の測定によって決定した。
【0226】
アスピリンの標的化放出は、胃の損傷を低減させる
解剖顕微鏡下で観察可能な胃粘膜上のピンポイントまたはより大きな(線状)病変として定義する胃病変を測定し、下記のようにスコア化した。各処理群についての胃病変スコアを、
図12において提示する。胃病変スコア(
図12)は、AC1で処理した群よりP1、P2、およびAC2で処理した全ての群においてより低かった。
【0227】
群間で胃病変スコアの間の有意差が留意された[F(4、35)=10.42、p<0.0001、チューキーのHSD]。AC1で処理した動物における胃病変スコア(15.5±3.7)は、P1(3.6±1.2;p<0.01)、P2(5.3±1.5;p<0.01)、AC2(1.8±0.7;p<0.01)で処理した群、または対照群(0;p<0.01)におけるより有意により高かった。対照NACにおける胃病変スコアは、P1、P2、およびAC2で処理された群と異ならなかった。P1、P2、およびAC2で処理された群における胃病変スコアにおいて有意差は留意されなかった。P1、P2、およびAC2による胃のびらん性損傷におけるこの低減は、
図13において示すように、P1処理ラットが、AC1よりも有意により低いHb濃度を有したことを除いて、管腔のヘモグロビンレベルとして出血における明らかに有意な変化を伴わなかった。レシチン油、遊離脂肪酸単独、または低量のリン脂質を有する遊離脂肪酸による腸へのアスピリンの標的化放出が胃の損傷の低減をもたらすことを、これらのデータは示唆する。
【0228】
P1、P2、およびAC2は、胃液中のアスピリンの最少の放出と共に、小腸液中のpH依存性放出およびそれ自体として選択的放出を実現することを示した(
図7〜9)。3種の配合物全ては胃へのびらん性損傷において同様の改善を実現し、これらのデータは、FFAを含む担体がGI管に沿った標的化放出を実現し、このような標的化放出はGI損傷を最小化することができることを示す。FFA単独は上部GI傷害を誘発する性向を有するため、この観察は特に予想外である。
【0229】
透過性が乏しい生物活性剤のバイオアベイラビリティーを増加させるためおよび他の用途のための担体の使用
アスピリンは胃のpHで難溶性であるが、高度に透過性の医薬活性剤である。対照的に、アスピリンは腸において高度に可溶性であるが、上皮細胞を横切る透過性が乏しい。モデル化合物であるアスピリンを使用した透過性が乏しい化合物について、オクタノール/0.1NのHCl系を使用して、アスピリンの相対的溶解度、および腸上皮細胞を横切る分配をアセスメントした。
【0230】
この研究において、オクタノール/0.1NのHCl分配系中の異なる比の遊離脂肪酸(FFA)であるオレイン酸と、精製したトリグリセリド(TG)とを有する担体組成物の分配挙動を調査した。担体をアスピリン(ASA)と混和し、1:1重量比のASAおよび担体組成物を形成させた。混和調製手順は、上記の混和方法と実質的に同様であった。担体は、(1)100重量%のFFA(ASA FFAと称する)、(2)80重量%のFFAおよび20重量%のTG(ASA80FAA:20TGと称する)、(3)60重量%のFFAおよび40重量%のTG(ASA60FAA:40TGと称する)、(4)40重量%のFFAおよび60重量%のTG(ASA40FAA:60TGと称する)、(5)20重量%のFFAおよび80重量%のTG(ASA20FAA:80TGと称する)、および(6)100重量%のTG(ASA TGと称する)を含んだ。配合物は、2つの異なるトリグリセリドのタイプ(C
16〜C
20側鎖を有するダイズ油に由来する長鎖トリグリセリド(LCT)、およびC
6〜C
12側鎖を有する中鎖トリグリセリド(MCT)、例えば、MIGLYOL(登録商標)812(Sasol North Americaの登録商標))を使用して調製した。
【0231】
ここで
図14を参照すると、FFAと担体の成分(例えば、TG)の比を改変することは、模擬胃腸膜を横切る分配をモジュレートすることを分配データは明らかに示す。さらに、分配は、担体の他の成分の化学的特徴または選択によってさらに制御される。例えば、グリセリド(例えば、TG)の鎖長はまた、分配をモジュレートすることにおいて重要な要因である。これらの知見は、FFA含有担体の2つの重要な潜在的な用途を示す。1)胃腸膜を横切る透過性が乏しい化合物のバイオアベイラビリティーを増加させ、2)リンパ循環を介した活性薬の標的化吸収を可能とし、初回通過損失を回避する。Log P
オクタノールはFFAの存在下で増加し、より高いLog P
オクタノールは透過性が乏しい活性薬のバイオアベイラビリティーの改善と関連することが公知であるため、遊離脂肪酸を含む担体を使用して、透過性が乏しい化合物のバイオアベイラビリティーを改善し得る。
【0232】
TGの鎖長は活性剤のリンパ分配についての公知の要因であるため、長鎖(C
16以上)FFAおよび長鎖(C
16以上)TGの合わせた使用は、改善されたリンパ分配と相まって、GI管に沿った標的化放出を可能とすることができる。活性薬のリンパ吸収の増加と共に、経口的に投与した生物活性剤の画分が腸間膜循環中に吸収され、その結果として肝臓における初回通過代謝を減少させることによって、初回通過損失の程度を減少させることができる。
【0233】
様々なASA配合物のFTIR研究
ここで
図15を参照すると、純粋なアスピリン(ASA)、ASAおよびPS35SBの1:1重量比の配合物、ASAおよびリノール酸の1:1重量比の配合物、ならびにASAおよびトリオレエートの1:1重量比のFTIRスペクトルを、ASAと異なる担体との間の相互作用挙動を比較し得るように集合的プロットにおいて示す。最初に、ASAは3種の担体全てと相互作用することは明らかである。別の方法で言うと、3種の担体は、ASAエステルおよびカルボン酸のピークのシフトおよびスペクトル特徴の変化をもたらし、最も大きなシフトは酸のピークについて見られ、全ての担体は、酸の吸収ピークをより高いセンチメートルの逆数値にシフトさせる。ASAと担体成分との間のこれらの相互作用は、担体特性、例えば、分配特性、溶解特性、pH依存性放出特性、および/または他の特性に対するいくらかの影響を有し得ると本発明者らは考える。担体特性はイオン化遊離カルボン酸基アスピリンの改変によって媒介されるため、担体が媒介する標的化放出を全ての弱酸に対して一般化することが可能であり得る。したがって、いくつかの構造的に多様な弱酸のNSAIDについてのpH依存性の疎水性変化を評価した。
【0234】
全ての弱酸の生物活性剤への、担体-標的化放出の一般化可能性
サリチル酸
溶媒和/蒸発法対混和法の研究
この一連の実験において、組成物を調製する方法は、このように得られた組成物の挙動にとって決定的ではないことを本発明者らは見出した。従来技術は、調製の方法は担体の挙動において有意な変化をもたらすと示唆した。これらの例は、担体をpH依存性にするのに十分な量のFFAを含む担体について、組成物を、溶媒もしくは溶媒系の非存在下で成分を一緒に単純に混和することによって調製してもよく、または成分を溶媒もしくは溶媒系に溶解し、それに続いて溶媒の除去によって調製してもよいことを示す。当然ながら、これらの方法は全て加えた水の非存在下で行い、すなわち、成分および溶媒は一般に水非含有であり、または最小量もしくは残留量の水のみを含む。別の方法で言うと、溶媒のいくつかは水混和性、例えば、エタノールであり得るにしても、本発明の組成物を調製するために使用する方法は非水性である。このように、混和または溶媒の溶解、それに続く溶媒の除去によって形成される組成物は、最少の水または残留水の濃度のみを含む油をベースとする組成物であり、一般に油をベースとする担体中の活性剤の油分散物である。
【0235】
SA配合A
この実施例は、1:1重量比のサリチル酸(SA)と、約40重量%の精製したホスファチジルコリン(PC)および純粋なトリグリセリド(TG)を含む担体とを含む組成物を混和することによる調製を例示する(SA配合Aと称する)。
【0236】
SA配合Aは、30重量%のダイズ油に由来するトリグリセリドおよび20重量%の精製したホスファチジルコリンを含む担体中に50重量%のSAを上記のように約40℃の温度で約30分間混和することによって調製した。
【0237】
SA配合B
この実施例は、1:1重量比のサリチル酸(SA)と、レシチン油Phosal35SB(PS35SB)を含む担体とを含む組成物を混和することによる調製を例示する(SA配合Bと称する)。
【0238】
SA配合Bは、PS35SBを含む担体中に50重量%のSAを上記のように約40℃の温度で約30分間混和することによって調製した。
【0239】
SA配合C
この実施例は、1:1重量比のサリチル酸(SA)と、42重量%の精製したリン脂質LIPOID(登録商標)S100(Lipoid LLCの登録商標)、28重量%の精製したトリグリセリド(TG)(Spectrum Chemical Manufacturing Corporation)、および30重量%のオレイン酸(Spectrum Chemical Manufacturing Corporation)を含む担体とを含む組成物を混和することによる調製を例示する(SA配合Cと称する)。
【0240】
SA配合Cは、14重量%のダイズ油に由来するトリグリセリド、15重量%のオレイン酸および21重量%の精製したホスファチジルコリンを含む担体中に50重量%のSAを上記のように約40℃の温度で約30分間混和することによって調製した。
【0241】
SA配合D
この実施例は、1:1重量比のサリチル酸(SA)と、5重量%の精製したリン脂質、46.5重量%の精製したトリグリセリド(TG)および48.5重量%のオレイン酸を含む担体とを含む組成物を混和することによる調製を例示する(SA配合Dと称する)。
【0242】
SA配合Dは、23.25重量%のダイズ油に由来するトリグリセリド、24.25重量%のオレイン酸および2.5重量%の精製したホスファチジルコリンを含む担体中に50重量%のSAを上記のように約40℃の温度で約30分間混和することによって調製した。
【0243】
表VIは、SA配合組成物を重量パーセントで表にする。
【表6】
【0244】
SA対SA配合A〜Dの分配研究
この研究において、SA配合A〜D中のサリチル酸のシクロヘキサンと水との間の分配に対する純粋なサリチル酸(SA)のシクロヘキサンと水との間の分配を、胃液および十二指腸液を模擬するpH1およびpH7で調査した。SA、SA配合A〜Dのいずれかをシクロヘキサン/水の分配系中に加え、値Log Pとして二相の間のSAの異なった分配を測定することによって研究を行った。
【0245】
ここで
図16を参照すると、SAは、pH7に対してpH1で異なって分配することは明らかである。SAは、pH1で-1.11のLog P、およびpH7で0.00のLog Pを有する。pH1でのシクロヘキサンと水との間のSA配合A〜D中のSAの分配は、pH1でのSAについてのLog P値よりマイナスでないLog P値を生じさせる。pH7でのシクロヘキサンと水との間のSA配合A〜D中のSAの分配は、pH7でのSAについてのLog P値よりも非常によりマイナスであるLog P値を生じさせる。
【0246】
2段階溶解系におけるSA対SA配合A〜Cの溶解研究
この研究において、SA配合A〜C中のサリチル酸の溶解に対する純粋なサリチル酸(SA)の溶解を、2段階溶解手順を使用して調査した。手順は、75rpmの撹拌スピードで機械的撹拌をしながら、胃液を模擬する0.1NのHClを含むpH1の溶解媒体中のSA溶解を測定することに関した。60分後、媒体のpHを、同じ撹拌速度を維持しながら0.05Mの最終濃度までリン酸緩衝液を添加することによってpH1からpH7.2に調節した。溶解は、媒体に溶解したSAのパーセンテージである%LCとして表した。測定は、10分、20分、30分、50分、60分、70分、90分、110分、120分、150分、および180分に行った。
【0247】
ナプロキセン
NAP配合A〜Dの調製
NAP配合A
この実施例は、1:1重量比のナプロキセン(NAP)、ならびに約40重量%の精製したホスファチジルコリン(PC)および純粋なトリグリセリド(TG)を含む担体を含む組成物を混和することによる調製を例示する(NAP配合Aと称する)。
【0248】
NAP配合Aは、30重量%のダイズ油に由来するトリグリセリド(Spectrum Chemical Manufacturing Corporation)および20重量%のLIPOID(登録商標)S100からの精製したホスファチジルコリン(Lipoid LLCの登録商標)を含む担体中に50重量%のNAPを上記のように約40℃の温度で約30分間混和することによって調製した。
【0249】
NAP配合B
この実施例は、1:1重量比のナプロキセン(NAP)、およびレシチン油PHOSAL(登録商標)35SB(PS35SB)(Lipoid LLCの登録商標)を含む担体を含む組成物を混和することによる調製を例示する(NAP配合Bと称する)。
【0250】
NAP配合Bは、50重量%のPS35SBを含む担体中に50重量%のNAPを上記のように約40℃の温度で約30分間混和することによって調製した。
【0251】
NAP配合C
この実施例は、1:1重量比のナプロキセン(NAP)、ならびに42重量%の精製したリン脂質(Lipoid LLC)、28重量%の精製したトリグリセリド(TG)(Spectrum Chemical Manufacturing Corporation)および30重量%のオレイン酸(Spectrum Chemical Manufacturing Corporation)を含む担体を含む組成物を混和することによる調製を例示する(NAP配合Cと称する)。
【0252】
NAP配合Cは、14重量%のダイズ油に由来するトリグリセリド(Spectrum Chemical Manufacturing Corporation)、15重量%のオレイン酸(Spectrum Chemical Manufacturing Corporation)および21重量%の精製したホスファチジルコリン(Lipoid LLC)を含む担体中に50重量%のNAPを上記のように約40℃の温度で約30分間混和することによって調製した。
【0253】
NAP配合D
この実施例は、1:1重量比のナプロキセン(NAP)、ならびに5重量%の精製したリン脂質(Lipoid LLC)、46.5重量%の精製したトリグリセリド(TG)(Spectrum Chemical Manufacturing Corporation)および48.5重量%のオレイン酸(Spectrum Chemical Manufacturing Corporation)を含む担体を含む組成物を混和することによる調製を例示する(NAP配合Dと称する)。
【0254】
NAP配合Dは、23.25重量%のダイズ油に由来するトリグリセリド、24.25重量%のオレイン酸および2.5重量%の精製したホスファチジルコリンを含む担体中に50重量%のナプロキセン(NAP)を上記のように約40℃の温度で約30分間混和することによって調製した。
【0255】
NAP対NAP配合A〜Dの分配研究
この研究において、NAP配合A〜D中のNAPのシクロヘキサンと水との間の分配に対する純粋なナプロキセン(NAP)のシクロヘキサンと水との間の分配を、胃液および十二指腸液を模擬するpH1およびpH7で調査した。NAP、NAP配合A〜Dのいずれかをシクロヘキサン/水の分配系中に加え、値Log Pとして二相の間のNAPの異なった分配を測定することによって研究を行った。
【0256】
ここで
図17を参照すると、NAPは、pH7に対してpH1で異なって分配することは明らかである。NAPは、pH1で0.65のLog P、およびpH7で-2.06のLog Pを有する。Log Pによって測定したpH1でのシクロヘキサンと水との間のNAP配合A〜D中のNAPの分配は、pH1でのNAPのLog P値より高い。Log Pによって測定したpH7でのシクロヘキサンと水との間のNAP配合A〜D中のNAPの分配はまた、pH7でのNAPについてのLog P値より高い。このように、NAPは実質的なpH依存性放出を示す一方、NAP配合A〜DはまたpH依存性放出挙動を示した。
【0257】
インドメタシン
INDO配合A〜Dの調製
INDO配合A
この実施例は、1:1重量比のインドメタシン(INDO)と、約40重量%の精製したホスファチジルコリン(PC)および純粋なトリグリセリド(TG)を含む担体とを含む組成物を混和することによる調製を例示する(INDO配合Aと称する)。
【0258】
INDO配合Aは、30重量%のダイズ油に由来するトリグリセリド(Spectrum OL103、ロット1AI0411から)および20重量%の精製したホスファチジルコリン(Lipoid S100、チャージ790569-10/0から)を含む担体中に50重量%のINDOを上記のように約40℃の温度で約30分間混和することによって調製した。
【0259】
INDO配合B
この実施例は、1:1重量比のインドメタシン(INDO)と、レシチン油Phosal35SB(PS35SB)を含む担体とを含む組成物を混和することによる調製を例示する(INDO配合Bと称する)。
【0260】
INDO配合Bは、50重量%のPS35SBを含む担体中に50重量%のINDOを上記のように約40℃の温度で約30分間混和することによって調製した。
【0261】
INDO配合C
この実施例は、1:1重量比のインドメタシン(INDO)と、42重量%の精製したリン脂質、28重量%の精製したトリグリセリド(TG)(Spectrum OL103、ロット1AI0411から)および30重量%のオレイン酸を含む担体とを含む組成物を混和することによる調製を例示する(INDO配合Cと称する)。
【0262】
INDO配合Cは、14重量%のダイズ油に由来するトリグリセリド、15重量%のオレイン酸および21重量%の精製したホスファチジルコリンを含む担体中に50重量%のINDOを上記のように約40℃の温度で約30分間混和することによって調製した。
【0263】
INDO配合D
この実施例は、1:1重量比のインドメタシン(INDO)と、5重量%の精製したリン脂質、46.5重量%の精製したトリグリセリド(TG)および48.5重量%のオレイン酸を含む担体とを含む組成物を混和することによる調製を例示する(INDO配合Dと称する)。
【0264】
INDO配合Dは、23.25重量%のダイズ油に由来するトリグリセリド、24.25重量%のオレイン酸および2.5重量%の精製したホスファチジルコリンを含む担体中に50重量%のINDOを上記のように約40℃の温度で約30分間混和することによって調製した。
【0265】
INDO対INDO配合A〜Dの分配研究
この研究において、INDO配合A〜D中のINDOのシクロヘキサンと水との間の分配に対する純粋なインドメタシン(INDO)のシクロヘキサンと水との間の分配を、胃液および十二指腸液を模擬するpH1およびpH7で調査した。INDO、INDO配合A〜Dのいずれかをシクロヘキサン/水の分配系中に加え、値Log Pとして二相の間のINDOの異なった分配を測定することによって研究を行った。
【0266】
ここで
図18を参照すると、INDOは、pH7に対してpH1で異なって分配することは明らかである。INDOは、pH1で1.05のLog P、およびpH7で-1.81のLog Pを有する。Log Pによって測定したpH1でのシクロヘキサンと水との間のINDO配合A〜D中のINDOの分配は、pH1でのNAPのLog P値より高い。Log Pによって測定したpH7でのシクロヘキサンと水との間のINDO配合A〜D中のINDOの分配はまた、pH7でのINDOについてのLog P値より高い。このように、INDOは実質的なpH依存性放出を示す一方、INDO配合A〜DはまたpH依存性放出挙動を示した。
【0267】
メフェナム酸
MFA配合A〜Dの調製
MFA配合A
この実施例は、1:1重量比のメフェナム酸(MFA)と、約40重量%の精製したホスファチジルコリン(PC)および純粋なトリグリセリド(TG)を含む担体とを含む組成物を混和することによる調製を例示する(MFA配合Aと称する)。
【0268】
MFA配合Aは、30重量%のダイズ油に由来するトリグリセリド(Spectrum OL103、ロット1AI0411から)および20重量%の精製したホスファチジルコリン(Lipoid S100、チャージ790569-10/019から)を含む担体中に50重量%のMFAを上記のように約40℃の温度で約30分間混和することによって調製した。
【0269】
MFA配合B
この実施例は、1:1重量比のメフェナム酸(MFA)と、レシチン油Phosal35SB(PS35SB)を含む担体とを含む組成物を混和することによる調製を例示する(MFA配合Bと称する)。
【0270】
MFA配合Bは、50重量%のPS35SBを含む担体中に50重量%のMFAを上記のように約40℃の温度で約30分間混和することによって調製した。
【0271】
MFA配合C
この実施例は、1:1重量比のメフェナム酸(MFA)と、42重量%の精製したリン脂質、28重量%の精製したトリグリセリド(TG)および30重量%のオレイン酸を含む担体とを含む組成物を混和することによる調製を例示する(MFA配合Cと称する)。
【0272】
MFA配合Cは、14重量%のダイズ油に由来するトリグリセリド(Spectrum OL103、ロット1AI0411から)、15重量%のオレイン酸および21重量%の精製したホスファチジルコリンを含む担体中に50重量%のMFAを上記のように約40℃の温度で約30分間混和することによって調製した。
【0273】
MFA配合D
この実施例は、1:1重量比のメフェナム酸(MFA)と、5重量%の精製したリン脂質、46.5重量%の精製したトリグリセリド(TG)および48.5重量%のオレイン酸を含む担体とを含む組成物を混和することによる調製を例示する(MFA配合Dと称する)。
【0274】
MFA配合Dは、23.25重量%のダイズ油に由来するトリグリセリド、24.25重量%のオレイン酸および5重量%の精製したホスファチジルコリンを含む担体中に50重量%のMFAを上記のように約40℃の温度で約30分間混和することによって調製した。
【0275】
MFA対MFA配合A〜Dの分配研究
この研究において、MFA配合A〜D中のMFAのシクロヘキサンと水との間の分配に対する純粋なメフェナム酸(MFA)のシクロヘキサンと水との間の分配を、胃液および十二指腸液を模擬するpH1およびpH7で調査した。MFA、MFA配合A〜Dのいずれかをシクロヘキサン/水の分配系中に加え、値Log Pとして二相の間のMFAの異なった分配を測定することによって研究を行った。
【0276】
ここで
図19を参照すると、MFAは、pH7に対してpH1で異なって分配することは明らかである。MFAは、pH1で0.00のLog P、およびpH7で0.47のLog Pを有する。Log Pによって測定したpH1でのシクロヘキサンと水との間のMFA配合A〜D中のMFAの分配は、pH1でのMFAのLog P値より有意によりプラスであり、これは油をベースとする担体の間の少しの差異を示す。Log Pによって測定したpH7でのシクロヘキサンと水との間のMFA配合A〜D中のMFAの分配は、MFA配合Aを除いて、pH7でのMFAのLog P値より僅かに高い値を示したのみであったが、これはpH7でのMFAのLog P値より僅かに低い値を示す。このように、MFAは実質的なpH依存性放出を示す一方で、MFA配合A〜Dはまた、pH依存性放出挙動を示した。
【0277】
弱酸分配データの要約
アスピリン、サリチル酸、ナプロキセン、インドメタシン、およびメフェナム酸について上記で提示したデータから、十分な量の遊離脂肪酸を含む担体が、これらの弱酸をpH依存性の様式で放出し、その結果、弱酸の生物活性剤は、薬剤が胃の低pH環境を離れるにつれ、より高いpH値に標的化し得ることは明らかである。脂質マトリックスからの活性剤のこの標的化放出は、GI管の選択した領域のpHおよび他の生理的環境に対する担体中の遊離脂肪酸のイオン化状態によるものであるように思われる。このように、任意の生物活性剤の標的化放出は可能であるはずであり、a)上部GI管(胃および十二指腸)に対して傷害性であり、b)酸に不安定な活性薬であり、c)GI液中で不溶性/不透過性の化合物であり、およびd)初回通過代謝の影響を受けやすい活性成分のために特に有用である。
【0278】
結び
本明細書において引用した全ての参照文献は参照により組み込まれている。本発明をその好ましい実施形態に関して開示してきたが、この記載を読んで、当業者は、上記に記載し、下記で特許請求するような本発明の範囲および精神から逸脱しない、行ってもよい変更および改変を認識し得る。
本発明の実施形態として、例えば以下を挙げることができる。
(1)十分な量の少なくとも1種のpH依存性放出剤を含む担体と、
少なくとも1種の生物活性剤と
を含む組成物であって、
担体が、生物活性剤をpH感受性の様式で放出する、上記組成物。
(2)pH感受性の様式が、胃液および腸液中への活性剤の異なった放出を特徴とする、(1)に記載の組成物。
(3)生物活性剤が、胃液のpHで実質的にイオン化されておらず、pHが増加するにつれイオン化される、(1)に記載の組成物。
(4)pH依存性放出剤が、少なくとも8個の炭素原子を有する1種の脂肪酸または複数の脂肪酸を含む、(1)に記載の組成物。
(5)生物活性剤が、弱酸の生物活性剤、弱塩基の生物活性剤、およびこれらの混合物または組合せからなる群から選択される、(1)に記載の組成物。
(6)弱酸の生物活性剤が、弱酸の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)およびNSAIDの混合物からなる群から選択される、(5)に記載の組成物。
(7)十分な量のpH依存性放出系を含む担体と、
少なくとも1種の弱酸の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と
を含む医薬組成物であって、
担体が、生物活性剤の20%未満を胃液中に放出し、生物活性剤の50%超をpH3超のpH値を有する腸液中で放出することを特徴とする、pH感受性の様式でNSAIDを放出し、
生物活性剤が、胃液のpHで実質的にイオン化されておらず、pHが増加するにつれイオン化される、上記医薬組成物。
(8)pH依存性放出系が、少なくとも8個の炭素原子を有する1種の脂肪酸または複数の脂肪酸を含む、(7)に記載の組成物。
(9)十分な量のpH依存性放出系を含む担体中に弱酸の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)剤またはNSAIDの混合物の懸濁液を含む、医薬組成物。
(10)十分な量の少なくとも8個の炭素原子を有する少なくとも1種の脂肪酸を含む担体中に弱酸の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)剤またはNSAIDの混合物の懸濁液を含む、医薬組成物。
(11)少なくとも1種の生体適合性標的化放出剤を含む担体組成物であって、
担体組成物および/またはその成分が、胃腸(GI)管の特定のポーション中に少なくとも1種の活性剤を制御可能に放出することが可能である、上記担体組成物。
(12)生体適合性標的化放出剤が、pH依存性の様式で活性剤を制御可能に放出することができるpH依存性放出剤を含む、(11)に記載の担体組成物。
(13)生体適合性標的化放出剤が、GI管の特定のポーション中にポーションのpHに基づいて活性剤を制御可能に放出することができるpH依存性放出剤を含む、(11)に記載の担体組成物。
(14)pH依存性放出剤が、少なくとも8個の炭素原子を有する生体適合性脂肪酸を含む、(13)に記載の担体組成物。
(15)少なくとも1種の中性脂質をさらに含み、中性脂質が水不混和性である、(11)に記載の担体組成物。
(16)中性脂質が、モノ-グリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、またはこれらの混合物および組合せを含み、エステル側鎖が、少なくとも6個の炭素原子を有する、(15)に記載の担体組成物。
(17)10重量%未満の1種のリン脂質または複数のリン脂質をさらに含む、(11)に記載の担体組成物。
(18)100重量%の少なくとも8個の炭素原子を有する少なくとも1種の生体適合性脂肪酸、および
0重量%〜100重量%の少なくとも1種の中性脂質を含む担体組成物であって、
担体組成物および/またはその成分が、胃腸(GI)管の特定のポーション中に少なくとも1種の活性剤を制御可能に放出することが可能であり、
重量%が、加えて100超の値となり得る、上記担体組成物。
(19)10重量%未満のリン脂質をさらに含む、(18)に記載の担体組成物。
(20)5重量%未満のリン脂質をさらに含む、(18)に記載の担体組成物。
(21)2.5重量%未満のリン脂質をさらに含む、(18)に記載の担体組成物。
(22) 8重量%未満の少なくとも8個の炭素原子を有する少なくとも1種の生体適合性脂肪酸または14重量%超の少なくとも8個の炭素原子を有する少なくとも1種の生体適合性脂肪酸、
0重量%〜100重量%の少なくとも1種の中性脂質、ここで中性脂質は、水中で不混和性である、および
0重量%〜100重量%の少なくとも1種のリン脂質、
ここで重量%は、加えて100超の値となり得る、
を含む担体と、
有効量の少なくとも1種の生物活性剤と
を含む組成物であって、
担体組成物および/またはその成分が、胃腸(GI)管の特定のポーション中に少なくとも1種の活性剤を制御可能に放出することが可能である、上記組成物。