(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態における計画立案システム100の構成例を示す図である。ここではまず、計画立案システム100の構成について説明することとする。
【0014】
図1にて例示するように、本実施形態の計画立案システム100は、注文情報DB101(データベース。以下同様)、制約条件DB102、自動立案システム103、パラメータDB104、計画作成装置105、自動計画DB106、立案者用端末107、実行計画DB108、修正理由記録装置109、操業者用端末110、センサーデータDB111、計画単位表112、復元装置113、復元結果DB114、修正理由DB115、および、パラメータ調整装置116を含んで構成されている。ただし、このうちの自動立案システム103が計画立案システム100を構成するとしてもよい。
【0015】
こうした計画立案システム100は、一例として、工業製品を製造するプラント施設で使用する生産計画の立案等を行うコンピュータシステムを想定する。また、このプラント施設は、当該工業製品を購入する顧客からの注文に応じて稼働し、必要な数量の工業製品を生産する。
【0016】
上述の計画立案システム100の構成のうち注文情報DB101は、顧客から受注した注文の情報を格納したデータベースである。この注文情報DB101にて格納する注文情報は、生産対象となる(或いは生産対象であった)注文の情報であり、例えば、顧客から受注した対象製品の種類、数量、納期などの情報が含まれている。
【0017】
なお、上述のデータベースは、一般的なPC(Personal Computer)と一般的なDBソフトによって構成されている。また、このDBソフトは、データベースにおける検索や更新機能等を提供するソフトウェアである(以下同様)。
また、制約条件DB102は、上述のプラント施設における各工程の生産能力、生産する製品の仕様、などの情報を格納しているデータベースである。
【0018】
また、自動立案システム103は、プラント施設に適用する生産計画を立案するシステムであり、計画作成装置105、自動計画DB106、実行計画DB108、修正理由記録装置109、復元装置113、復元結果DB114、修正理由DB115、および、パラメータ調整装置116、を含んで構成されている。
【0019】
このうち計画作成装置105は、上述の注文情報DB101から計画対象となる注文情報を、また、制約条件DB102から制約条件の情報を、それぞれ読み込み、プラント施設における操業者のパラメータリクエストを読み込み、プラント施設における生産計画を作成する装置である。
また、自動計画DB106は、上述の計画作成装置105によって作成した計画結果を格納するデータベースである。
また、立案者用端末107は、自動立案システム103を用いて業務を行う立案者が操作する端末である。
【0020】
また、実行計画DB108は、自動立案システム103が生成した生産計画に対し、上述の立案者用端末107を介して立案者に確認・修正させた計画結果、すなわち実行計画を格納するデータベースである。
【0021】
また、修正理由記録装置109は、プラント施設における操業者が上述の実行計画を修正した際の理由を、当該操業者から受け付けて修正理由DB115に格納する装置である。この修正理由記録装置109の詳細は後述する。
また、操業者用端末110は、プラント施設を操業する操業者に、上述の実行計画を確認させるための端末である。
【0022】
また、センサーDB111は、プラント施設における生産設備の生産状況及び設備の稼
働状況に関するデータ(当該生産設備に設置されたセンサーが観測したもの)を格納するデータベースである。
また、復元装置113は、センサーDB111および計画単位表112の格納情報に基づいて、上述の操業者による実行計画の修正内容を復元する装置である。
また、修正理由DB115は、操業者の修正理由を格納する装置である。
また、パラメータ調整装置116は、自動立案システム103において生産計画の立案に用いるパラメータの調整を行う装置である。
ここで、上述の修正理由記録装置109の詳細について説明する。
図2は、本実施形態における修正理由記録装置109の構成を示した図である。
【0023】
修正理由記録装置109は、修正理由選択部201、修正理由記録部202、および、修正理由出力部203、を含んで構成されている。なお、これら処理部は、修正理由記録装置109のプログラムを実行することで実装される機能となる。
【0024】
このうち修正理由選択部201は、修正理由DB115にて既に登録済みの修正理由を操業者用端末110にて選択可能に表示(例:プルダウンメニューやチェックボックスなどの適宜な選択用のインターフェイス)させ、操業者から今次の実行計画に対する修正理由の選択を受け付ける処理部である。
【0025】
また、修正理由記録部202は、上述の修正理由選択部201とは異なり、修正理由DB115に未登録の新規な修正理由に関して、記入欄などのインターフェイスを操業者用端末110に表示させ、操業者から今次の実行計画に対する修正理由の登録を受け付ける処理部である。
また、修正理由出力部203は、上述の操業者が選択した、または登録した修正理由を修正理由DB115に出力する処理部である。
続いて、本実施形態における復元装置113の詳細について説明する。
図3は、本実施形態における復元装置113の構成を示した図である。
【0026】
本実施形態の復元装置113は、センサーDB111で格納するセンサーデータの記録単位を、自動立案システム103にて計画立案に際し用いる計画単位に変換する単位変換処理部301、プラント施設で処理されるロットの各設備での開始・終了時刻を算出する設備開始終了時刻決定部302、および、復元した操業者の修正履歴を復元結果DB113に出力する復元結果出力部304、を含んで構成されている。
【0027】
続いて、本実施形態におけるパラメータ調整装置116の詳細について説明する。
図4は、本実施形態におけるパラメータ調整装置116の構成を示した図である。
【0028】
本実施形態のパラメータ調整装置116は、自動立案システム103が作成した生産計画、立案者により修正がなされた実行計画、および、操業者による前記実行計画に対する修正内容に関して復元した修正結果、のそれぞれに対し、計画評価用の項目、すなわち計画評価項目の値を算出する評価項目算出部401、ニューラルネットワークなどの機械学習技術を用いて上述の計画評価項目の値に基づきパラメータ(上述のプラント施設に適用するもので、その生産計画の良否に因果関係がある事象の値)を学習するパラメータ学習部402、および、学習したパラメータをパラメータDB104に出力する学習結果出力部404、を含んで構成されている。
−−−ハードウェア構成−−−
【0029】
また、本実施形態の計画立案システム100を構成する各装置(例:計画作成装置105、修正理由記録装置109、復元装置113、および、パラメータ調整装置116)のハードウェア構成は以下の如くとなる。なお、こうした各装置は、一般のPCを用いて構
成されていると仮定する(以下同様)。
【0030】
本実施形態の計画立案システム100を構成するPCは、CPU501、メモリ502、インターフェイス503、ネットワークインタフェース504、キーボード505、ディスプレイ506、マウス507、および、ハードディスク508から構成されている。
【0031】
このうちCPU501は、中央処理装置(Central Processing Unit)であり、メモリ502に記録されている、またはあらかじめハードディスク508からメモリ502に転送されたプログラム5011を実行し、必要な機能を実装する装置である。
【0032】
なお、上述のプログラム5011は、必要に応じてPCが利用可能であり、着脱可能な記憶媒体によって導入されてもよい。この場合、その記憶媒体を読み取るための装置がインターフェイス503に接続されているものとする。また、このような記憶媒体及びそれを読み取るための装置としては、光ディスク(CD、DVD、ブルーレイディスク等)を用いるものや、フラッシュメモリを用いるものが一般に知られており、これを用いることができる。また、プログラム5011は、必要に応じて、ネットワークインタフェース504によって、通信媒体(通信回線又は通信回線上の搬送波)を介して、PCに導入されてもよい。
また、メモリ502は、RAMなど揮発性記憶素子で構成される記憶装置であり、上述のプログラム5011やデータを一時的に記録しておくものである。
また、インターフェイス503は、上述のCPU501などのPC内の各装置を接続するための内部バス等であり、PC内の各装置が接続されている。
【0033】
また、ネットワークインタフェース504は、LANやインターネットなどの適宜なネットワークを介して、立案者用端末107、操業者用端末110などの外部装置と通信を行う装置である。
また、キーボード505は、操作者による指令やデータ入力を受け付ける入力装置である。
また、ディスプレイ506は、処理結果等を表示する出力装置である。
【0034】
また、マウス507は、ディスプレイ506の画面上に表示されるポインタを操作者の操作に応じて動かし、また任意の場所での操作者によるボタン押下に応じ、ディスプレイ506の画面上での該当位置を指定し、何らかのアクションをCPU501に伝える装置である。なお、このマウス507は、タッチパネルによって代替することもでき、その場合、通常ポインタは不要となる。
【0035】
また、ハードディスク508は、プログラム及びデータを格納する装置であり、例えば、磁気ディスクや不揮発性メモリ等によって構成することができる。この場合、ハードディスク508に格納されたプログラム及びデータは、ハードディスク508の電源がOFFとなった後にONになった場合でも、通常保持される。
【0036】
なお、ハードディスク508には、予めオペレーティングシステム(OS)が導入されていても良い。このようにすることで、ファイル名を用いてプログラムを指定することなどができるようになる。ここで、OSとは、計算機の基本ソフトウェアのことであり、一般に広く知られたOSを用いることができる。勿論、本実施形態のハードディスク508にはOSが導入されているものとする。
−−−データ構造−−−
次に、本実施形態の計画立案システム100が利用するデータベース類のデータ構造につき説明する。
【0037】
図6は、本実施形態における注文情報DB101のデータ構造例を示す図である。この注文情報DB101は、注文番号601、納期602、数量603、および、品種604の各値を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0038】
このうち注文番号601の値は、顧客からの注文を一意に特定する識別番号である。また、納期602の値は、該当注文に対して製品を納品する期限を表す。例えば、納期602の値は出荷までの日数などを表す。また、数量603は製品の数を表す値である。品種604は、該当注文で指定された製品の種類を一意に特定する識別情報である。
なお、上述の項目は、計画作成に必要なデータとして、注文に関する他のデータを含むとしても良い。
【0039】
図7は、本実施形態における制約条件DB102のデータ構造例を示す図である。本実施形態の制約条件DB102は、設備番号701、決定変数702、および、制約条件703の各値を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0040】
このうち工程番号701の値は、プラント施設における工程を一意に特定する識別番号である。また、決定変数702は、該当工程の制約条件に関わる属性であり、例えば、上述の納期602、数量603、品種604などの属性である。また、制約条件703は、該当工程の納期遵守や数量、設備制約などの条件である。
なお、上述の決定変数602や制約条件603は、計画作成に考慮すべき条件として、計画に影響する天気などの変数や条件を含むとしても良い。
【0041】
図8は、本実施形態におけるパラメータDB102のデータ構造例を示す図である。本実施形態のパラメータDB104は、パラメータ種類801、設備起動回数W1802、および、仕掛在庫数W2803、の各値を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0042】
このうちパラメータ種類801は、該当プラント施設の生産計画の立案に利用するパラメータを特定する識別情報である。例えば、通常生産時はパラメータ種類「デフォルト」のパラメータを利用する。「納期短縮」、「設備異常時」は、それぞれに対応するパラメータを利用する。また、設備起動回数W1802と仕掛在庫数W2803は、生産計画の良否を評価する計画評価項目の重みであり、該当プラント施設のパラメータである。なお、上記の例以外に、パラメータの種類や評価項目の数を増やしてもよい。
【0043】
図9は、本実施形態における自動計画DB106のデータ構造例を示す図である。本実施形態の自動計画DB106は、ロット番号901、設備番号902、品種903、開始時刻904、および、終了時刻905、の各値を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0044】
このうちロット番号901は、例えばある品種の製品を一定の数量で一緒に生産する場合の、当該製品群の識別番号を示す値である。なお、設備番号902は、当該ロットの生産を行う設備の識別情報であり、また、品種903は、当該ロットで生産される品種の識別情報である。
また、開始時刻904および終了時刻905は、製造するロットに関して各設備での製造開始の時刻および製造終了の時刻をそれぞれ示すものである。
【0045】
なお、上述の自動計画DB106のデータ構造は、これを立案者が修正したものとなる実行計画DB108(
図10)に関しても同様である。そのためデータ項目に関する説明は省略する。
【0046】
同様に、センサーDB111(
図11)におけるデータ構造も自動計画DB106のものと同様であるが、センサーDB111の開始時刻/終了時刻の各値は、実際にプラント施設の生産設備のログデータ等から取得したものとなる。なお、生産シミュレータで生産設備の稼働状況をシミュレーションしたデータをセンサーDB111の各項目の値に利用しても良い。
【0047】
図12は、本実施形態における計画単位表112のデータ構造例を示す図である。本実施形態における計画単位表112は、自動立案システム103により生産計画を生成する際に、該当プラント施設の各生産設備での製品生産に関して計画単位とする時間を規定したテーブルである。
【0048】
こうした計画単位表112は、設備番号をキーに、当該生産設備で生産する品種、および、その際の計画に適用する標準処理時間1201、の各値を対応付けたレコードの集合体となっている。このうち標準処理時間1201の値は、生産計画の作成時の標準処理時間を示している。
図12の例では、「設備1」で品種「A」を生産する場合、その生産計画における生産時間の標準値は「2」時間と規定されている。
【0049】
また
図13は、本実施形態における修正理由DB115のデータ構造例を示す図である。本実施形態の修正理由DB115は、修正理由1301をキーに、実行計画にて修正対象となったロット番号、設備番号、品種、開始時刻、および、終了時刻、の各値を対応付けたレコードの集合体となっている。
なお、本実施形態の修正理由DB115において、修正理由1301は、プラント施設の操業者による修正理由を記録するカラムである。
【0050】
また
図14は、本実施形態における復元結果DB114のデータ構造例を示す図である。本実施形態における復元結果DB114は、操業者による修正内容を復元した実行計画における、ロット番号をキーに、設備番号、品種、開始時刻、および、終了時刻、の各値を対応付けたレコードの集合体となっている。
−−−処理フロー例1−−−
【0051】
以下、本実施形態における計画立案方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明する計画立案方法に対応する各種動作は、計画立案システム100に含まれる各装置らがメモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0052】
図15は、本実施形態における計画立案方法のフロー例1を示す図である。この場合、立案者用端末107が、例えば立案者の指示を入力装置で受けて、注文情報DB101から所定の注文情報を取得し、また、(操業者用端末110から)当該注文情報に応じた実行計画に対する現場修正リクエストを取得し、これらをディスプレイ等の表示装置で表示させる(ステップ1601)。
【0053】
上述の現場修正リクエストは、計画作成装置105が自動立案した生産計画に対して立案者が修正を加えた実行計画に関して、プラント施設の操業者が現場の状況等に応じて修正を行うべく要求してきた内容である。
立案者用端末107は、上述の表示に伴い、操作者たる立案者に注文情報および現場修正リクエストの内容を確認させることとなる。
【0054】
ここで、DBと端末との間の通信は、一般的な通信やRPC(Remote Procedure Call)等によって実行可能であり、以下、このような方法によって装置間通信が行われているとする。
【0055】
続いて、計画作成装置105が、例えば上述のステップ1601をトリガーにして、当該ステップ1601での立案者用端末107が表示させた注文情報および現場修正リクエストと制約条件とに基づいてパラメータ採用し、生産計画を立案する(ステップ1602)。 上述の制約条件は、計画作成装置105が、当該注文情報の示す品種や数量、生産計画を適用するプラント施設の設備に関して、制約条件DB102から抽出したものとする。
【0056】
以下、上述のステップ1602における生産計画の立案方法について、具体例を挙げて説明する。ここでは、一例として制約プログラミングを用いた立案方法を想定する。勿論、計画立案の計算に関して既存の数理計画ソフトを採用してもよい。
【0057】
この場合の制約プログラミングにおける入力は、当該注文情報が示す注文の納期、数量、品種、対象設備の制約条件となる。一方、制約プログラミングの出力は、生産対象の品種を該当数量生産する場合の対象設備での開始/終了の各時刻である。開始/終了の各時刻の決定方法については、例えば、バックトラッキング(Backtracking)という探索手法を用いることとする。
【0058】
バックトラッキング探索法は、一般的な解(計画候補)探索アルゴリズムの1つであり、或る解を求めるときに、可能性のある手順を順次に試行していく手法である。この試行で解が求められた場合、その解を保存し、解が求められないと判明した時点で1つ前の状態に戻って別の手順を試す。
【0059】
なお、上述のバックトラッキング探索法では、複数の解(計画候補)を探索することができる。複数の計画候補に対し、評価指標(計画評価項目の値)で評価し、ポイントの高い計画候補を採用して計画結果とする。
【0060】
上述の評価指標は、例えば、計画の総評価=W1×機械起動回数+W2×仕掛在庫量とする。このW1、W2は、生産計画を適用するプラント施設のパラメータである。計画作成装置105は、上述のステップ1602において、このW1、W2を採用することとなる。
【0061】
続いて、立案者用端末107は、上述の計画作成装置105が作成した生産計画を取得してディスプレイ等に表示させ、立案者による確認と修正指示を受け付ける(ステップ1603)。また、このステップ1603において、立案者による確認や修正を経た生産計画は、自動立案システム103が立案者用端末107から実行計画として取得し、実行計画DB108に格納する。
【0062】
また、操業者用端末110は、例えば、実行計画が実行計画DB108に格納されたことをトリガーに、実行計画DB108から上述の実行計画を読み出して、これをディスプレイ等に表示させ、プラント施設の操業者による確認、および、修正理由の登録を適宜な入力画面(自動立案システム103から配信された画面。
図16の画面1600)にて受け付ける(ステップ1604)。この修正理由は、ステップ101での現場修正リクエストに対応したものとなる。
【0063】
図16にて、上述の操業者用端末110での修正理由の登録を受け付ける画面1600の具体例を示す。この画面1600は、実行計画の表示ボックス1401、修正理由選択ボタン1402、修正理由入力ボックス1403、修正理由の表示ボックス1404、修正リクエストボタン1405、および、保存ボタン1401、を含んでいる。
このうち実行計画の表示ボックス1401は、実行計画DB108から読み出した実行
計画を表示するインターフェイスである。
【0064】
また、修正理由選択ボタン1402は、登録済みの既存の修正理由を選択可能とするボタンである。この修正理由選択ボタン1402が押下されると、自動立案システム103は、修正理由DB115の登録レコードそれぞれから修正理由1301の値を読み出して、これを選択可能に表示したプルダウンメニューを、操業者用端末110に返して表示させる。操業者は、操業者用端末110を操作して、そのプルダウンメニューから適宜な修正理由を選択することとなる。
【0065】
また、修正理由入力ボックス1403は、既存の修正理由(上述の修正理由選択ボタン1402の押下に伴って表示される既存の修正理由)には操業者にとって適宜な修正理由が見当たらない場合に、新たな修正理由の入力を受け付けるインターフェイスである。この修正理由入力ボックス1403では、主にテキストベースでの入力を受け付けることとなる。
【0066】
また、修正理由の表示ボックス1404は、修正理由選択ボタン1402ないし修正理由入力ボックス1403を介して受け付けた修正理由と、当該修正理由と紐づける実行計画(すなわち修正対象の実行計画)とを対応付けて表示するインターフェイスである。
【0067】
また、修正リクエストボタン1405は、上述の修正理由選択ボタン1402ないし修正理由入力ボックス1403を介して指定を受けた修正理由を、自動立案システム103に通知する場合、操業者が押下するボタンである。
【0068】
また、保存ボタン1406は、修正理由入力ボックス1403にて操業者から入力を受け付けた修正理由の値を修正理由DB115に保存する場合、操業者が押下するボタンである。
【0069】
操業者用端末110は、上述の画面1600において、実行計画を表示させ(実行計画の表示ボックス1401)、プラント施設の操業者による確認を経て、修正理由の登録を受け付ける(修正理由選択ボタン1402ないし修正理由入力ボックス1403)こととなる。
【0070】
ここで、
図15のフロー例1の説明に戻る。続いて復元装置113は、上述のプラント施設における生産設備に備わるセンサーにて観測されたセンサーデータを、センサーDB111から抽出し、このセンサーデータに基づいて、上述の実行計画に対する操業者による修正履歴を復元する(ステップ1605)。この復元の手法については、
図16を用いて後述するものとする。なお、上述のセンサーデータは、実行計画(操業者が修正を加えたもの)に基づき生産が行われたプラント施設の生産設備にて観測されたものとなる。
【0071】
続いて、パラメータ調整装置116は、上述の生産計画と、ステップ1605で復元した操業者の修正履歴との差分に基づいて、プラント施設に関する上述のパラメータの調整を行う(ステップ1606)。本処理は、
図17を用いて後述する。
【0072】
また、パラメータ調整装置116は、上述のステップ1606で調整したパラメータを、パラメータDB104に登録し(ステップ1607)、処理を終了する。
−−−処理フロー例2−−−
【0073】
次に、
図17を用いて、ステップ1605について詳述する。
図16は、本実施形態の計画立案方法のフロー例2を示す図であり、具体的には、実行計画に対する操業者による修正履歴を復元する処理フローを示す図である。
【0074】
この場合、復元装置113は、該当計画(生産計画またはこれを立案者が修正した実行計画)に基づき生産を行ったプラント施設から得ているセンサーデータを、センサーDB111から読み込む(ステップ1701)。なお、センサーDB111におけるセンサーデータは、例えば、上述のプラント施設に関して得ているセンサーデータのみを格納しているデータベースである。また、生産計画ないし実行計画には、設備番号やロット番号といった生産設備や生産対象の識別情報が規定されており、それらに基づいて、センサーDB111から所定の生産計画ないし実行計画に対応するセンサーデータを抽出可能である。
【0075】
続いて、復元装置113は、ステップ1701で得たセンサーデータの単位を、計画の単位に変換、すなわち単位換算処理を行う(ステップ1701)。ここで、単位換算処理は、既に述べた計画単位表113(
図12)を用いてセンサーデータの単位を計画立案にあたっての標準単位に変換する処理となる。
【0076】
例えば、復元装置113は、或るセンサーデータにおける「設備1」における品種「A」の処理時間「45分」を、計画立案にあたっての単位「2時間」(標準処理時間1201の値)に変更する。
【0077】
なお、計画単位表112が存在しない場合、復元装置113は、該当ロットの処理時間と実行計画の計画時間とをインプットとした機械学習を実行し、センサーデータの単位を計画立案時の標準単位に変換するとしても良い。この場合、復元装置113は機械学習のアルゴリズムを予め保持するものとする。
【0078】
次に、復元装置113は、上述のステップ1701で単位換算を行ったセンサーデータに関し、各設備での開始/終了の各時刻を決定する(ステップ1703)。
【0079】
こうした時刻の決定方法は、例えば、設備“1”において処理するロット“1”〜“3”の各ロットの間で処理時間の隙間が生じないよう、前ロット(例:“ロット1”)の終了時刻を後ロット(例:“ロット2”)の開始時刻とする(
図18参照)。
【0080】
また、設備“1”(前設備とする)で上述のロット“1”〜“3”のそれぞれについて或る工程を実行した後、引き続いて、設備“2”(後設備とする)で上述のロット“1”〜“3”のそれぞれについて或る工程を実行する必要があるとする。この場合、復元装置113は、後設備たる設備“2”での各ロットの開始/終了の各時刻について、対象ロットの前設備たる設備“1”での終了時刻と重ならないように、開始時刻をずらす(
図19参照)。
【0081】
また、復元装置113は、計画立案の最小単位(予め規定。例えば1時間)より細かい隙間が、各ロットの間で生じないよう、対象ロットの開始時刻を前ロットの終了時刻に詰める。また復元装置113は、センサーデータ上の隙間が計画立案の最小単位のN倍より大きい場合、対象ロットの開始時刻を計画立案の最小単位のN倍になるように前ロットの終了時刻に詰める。なお、各設備での開始終了時刻を決定する方法については、上記の例と異なる方法を採用しても良い。
【0082】
また、復元装置112は、上述のステップ1703までで処理したセンサーデータを、復元結果DB113に格納し(ステップ1704)、このフローを終了する。
−−−処理フロー例3−−−
【0083】
次に、フロー例1におけるステップ1606について詳述する。
図20は、本実施形態
における計画立案方法のフロー例3を示す図であり、具体的には、パラメータを調整する処理フローを示す図である。
【0084】
この場合、パラメータ調整装置116は、自動立案DB106から処理対象となる該当生産計画を、また、該当生産計画(に関する実行計画)に対応する操業者による修正結果を復元結果DB113から読み込む(ステップ1801)。
【0085】
また、パラメータ調整装置116は、ステップ1801で得た、生産画と操業者の修正結果とに関して、評価指標の値(計画評価項目の値)を算出する(ステップ1802)。
【0086】
例えば、評価指標のうち「機械起動回数」を算出する場合、パラメータ調整装置116は、対象設備で処理するロットの開始と終了の間の隙間数をカウントする。ロットの開始と終了の間の隙間カウント数は機械起動回数に該当する(
図21の“起動”アイコン)。また、仕掛在庫量を算出する場合、パラメータ調整装置116は、対象ロットに関し、前設備での終了時刻と対象設備での開始時刻との隙間をカウントする。設備の開始と終了の時刻の隙間カウント数はロットの仕掛在庫量に該当する(
図21の設備間におけるロットの工程終了と工程開始の時刻ずれを示す太破線)。
なお、上述の機械起動回数と仕掛在庫量をセンサーデータから直接測れる場合は、その測定値を使っても良い。
【0087】
次に、パラメータ調整装置116は、生産計画と操業者の修正結果との間について、上述の各評価指標の差分をそれぞれ算出し、この差分に基づいてパラメータを修正する(ステップ1803)。
【0088】
ここで、生産計画における機械起動回数と仕掛在庫量は「3回」と「4ロット」とし、操業者の修正結果における機械起動回数と仕掛在庫量は「5回」と「2ロット」であったとする。この場合、パラメータ調整装置116は、以下の式を用いてパラメータW1、W2を調整する。なお、W1、W2は「数1」と「数2」とで異なる方法で調整しても良い。
【数1】
【数2】
【0089】
こうした場合、パラメータ調整装置116は、新たなパラメータW1の値を、元のパラメータW1に「1.5」を乗じた値とすることとなる。また、パラメータ調整装置116は、新たなパラメータW2の値を、元のパラメータW2に「0.5」を乗じた値とすることとなる。
【0090】
次に、パラメータ調整装置116は、上述のステップ1803で修正したパラメータを、パラメータDB104に格納し(ステップ1804)、本フローを終了する。この時、パラメータ調整装置116は、操業者から得ている修正理由の値をパラメータ種類801に設定し、このレコードの機械起動回数W1および仕掛在庫数W2の各欄の値に、調整後の新たなパラメータの値を設定することとなる。
【0091】
こうした格納形態を採用することで、計画立案システム100の自動立案システム103は、以後の計画立案に際し、当該計画に関して想定するイベント(例:顧客から短納期を求められている)に応じて、上述のパラメータの値をパラメータDB104から読み出
し、当該値を用いて各計画案の評価処理を実行することが可能となる。
【0092】
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0093】
また、上述の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0094】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
こうした本実施形態によれば、生産等の現場状況を踏まえた精度良好な計画を効率良く立案可能となる。
【0095】
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態の計画立案システムにおいて、前記演算装置は、前記修正の情報を取得するに際し、前記業務に関して前記修正がなされた計画に基づき稼働する設備の監視データを、前記所定装置より取得し、前記監視データを所定ルールで処理することで前記計画に対する修正の情報を特定するものである、としてもよい。
【0096】
これによれば、いわゆるIoT技術に基づくセンサデータを生産現場から取得した状況に対応し、これを適宜に処理することで、生産現場の操業者等が行った当初計画への修正内容を特定することが可能となる。ひいては、生産等の現場状況を踏まえた、より精度良好な計画を効率良く立案可能となる。
【0097】
また、本実施形態の計画立案システムにおいて、前記演算装置は、前記修正の情報を特定するに際し、前記監視データの単位を前記計画にて用いる単位に換算すべく前記監視データに対して所定の単位換算の処理を実行し、当該単位換算を経た監視データを、前記修正がなされた計画の構成データとする処理と、前記設備における稼働上の制約条件を満たすべく所定ルールで前記構成データを調整する処理と、を実行するものである、としてもよい。
【0098】
これによれば、上述のセンサデータが秒単位で取得された値であり、一方、その生産現場に関して立案された計画が30分単位で工程等を定めたものであるといった場合に、センサデータを計画中の構成データとして変換し、これを上述の操業者等による修正内容として適宜に活用することが可能となる。また、或る工程での処理完了を条件に次工程での処理が開始されるといった生産現場において、そうした工程間での処理順序が前後することは許容できないが、こうした制約条件に違反しない形で、上述の構成データを時系列に配置して修正がなされた計画を再現することが可能となる。ひいては、生産等の現場状況を踏まえた、より精度良好な計画をさらに効率良く立案可能となる。
【0099】
また、本実施形態の計画立案システムにおいて、前記演算装置は、前記所定事象に関する値を、前記実行者により前記修正がなされた原因となるイベントごとに記憶装置に格納し、以後の計画立案に際し、当該計画に関して想定するイベントに応じて前記所定事象に関する値を記憶装置から読み出し、当該値を用いて各計画案の評価処理を実行するもので
ある、としてもよい。
【0100】
これによれば、計画立案を行う際に最適な計画、すなわち、所定の事象(例:設備の起動回数や仕掛在庫数)に関して評価結果が最も高い計画を選定するに際して、該当計画の実行時に予定しているイベント(例:短納期での生産、設備メンテナンス発生)に対応した条件で好適な計画を特定することにつながる。ひいては、生産等の現場状況を踏まえた、より精度良好な計画をさらに効率良く立案可能となる。
【0101】
また、本実施形態における計画立案方法において、前記情報処理システムが、前記修正の情報を取得するに際し、前記業務に関して前記修正がなされた計画に基づき稼働する設備の監視データを、前記所定装置より取得し、前記監視データを所定ルールで処理することで前記計画に対する修正の情報を特定する、としてもよい。
【0102】
また、本実施形態における計画立案方法において、前記情報処理システムが、前記修正の情報を特定するに際し、前記監視データの単位を前記計画にて用いる単位に換算すべく前記監視データに対して所定の単位換算の処理を実行し、当該単位換算を経た監視データを、前記修正がなされた計画の構成データとする処理と、前記設備における稼働上の制約条件を満たすべく所定ルールで前記構成データを調整する処理と、を実行するとしてもよい。
【0103】
また、本実施形態における計画立案方法において、前記情報処理システムが、前記所定事象に関する値を、前記実行者により前記修正がなされた原因となるイベントごとに記憶装置に格納し、以後の計画立案に際し、当該計画に関して想定するイベントに応じて前記所定事象に関する値を記憶装置から読み出し、当該値を用いて各計画案の評価処理を実行する、としてもよい。