特許第6799558号(P6799558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6799558車輌用案内装置、案内方法及びそのコンピュータプログラム。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799558
(24)【登録日】2020年11月25日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】車輌用案内装置、案内方法及びそのコンピュータプログラム。
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20201207BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   G01C21/34
   G08G1/09 F
【請求項の数】17
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-65407(P2018-65407)
(22)【出願日】2018年3月29日
(65)【公開番号】特開2019-174391(P2019-174391A)
(43)【公開日】2019年10月10日
【審査請求日】2019年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(72)【発明者】
【氏名】太田 洋介
【審査官】 増子 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−145130(JP,A)
【文献】 特開2006−170814(JP,A)
【文献】 特開2012−150568(JP,A)
【文献】 特開2014−098624(JP,A)
【文献】 特開2006−184092(JP,A)
【文献】 特開2017−111715(JP,A)
【文献】 特開2000−321380(JP,A)
【文献】 実開平02−119794(JP,U)
【文献】 特開2012−048559(JP,A)
【文献】 特開2011−118110(JP,A)
【文献】 特開2010−169441(JP,A)
【文献】 特開2009−075652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 − 21/36
G01C 23/00 − 25/00
G06F 19/00
G06Q 10/00 − 10/10
G06Q 30/00 − 30/08
G06Q 50/00 − 50/20
G06Q 50/26 − 99/00
G08G 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の情報を保存する施設保存部と、
該保存された施設の魅力度を特定する魅力度設定部と、
所定の位置から前記施設へ到達するのに要するアクセス実時間を道路の混雑情報を参照して演算し、該所定の位置から該施設に到達するのに要するアクセス標準時間を道路の混雑情報を参照せずに演算し、前者と後者の時間差である渋滞時間を演算する渋滞時間演算部と、
前記特定された魅力度と前記演算された渋滞時間とに基づき、ユーザへ前記アクセス実時間を含むレコメンドを作成するレコメンド作成部と、
とを備える案内装置において、
前記渋滞時間演算部は、前記施設の魅力度が第1の閾値以下のときにのみ前記渋滞時間を演算し、
前記レコメンド作成部は、前記渋滞時間が第1の閾値時間以上のときにのみ前記アクセス実時間を含むレコメンドを作成する、案内装置。
【請求項2】
前記レコメンド作成部は、前記魅力度が第2の閾値以下のときにのみ前記レコメンドを作成し、ここに、該第2の閾値は前記第1の閾値より小さい、請求項1に記載の案内装置。
【請求項3】
前記施設の魅力度は該施設の混雑度に基づき特定される、請求項1又は2に記載の案内装置。
【請求項4】
前記施設の魅力度が該施設のイベント情報により修正される、請求項に記載の案内装置。
【請求項5】
前記イベント情報により前記魅力度が修正されたとき、前記イベント情報が前記レコメンドの内容に反映される、請求項に記載の案内装置。
【請求項6】
前記施設の魅力度に関する第1の閾値及び前記渋滞時間に関する第1の閾値をユーザが任意に設定できる閾値設定部を備える請求項1〜5の何れかに記載の案内装置。
【請求項7】
前記レコメンド作成部がレコメンドを作成する毎に、該レコメンドの内容及び該レコメンドを作成したときの環境を保存する履歴保存部と、
前記レコメンド作成部が新たにレコメンドを作成する際、該新たなレコメンドと同一若しくは同種のレコメンドを前記履歴保存部から抽出して、その作成時の環境を特定するレコメンド抽出部と、
前記特定された環境と該新たなレコメンド作成時の環境とを比較する比較部と、を備え、
前記レコメンド作成部は前記比較の結果をレコメンドの作成に反映させる、請求項1〜の何れかに記載の案内装置。
【請求項8】
施設の情報を保存する施設保存部、魅力度設定部、渋滞時間演算部及びレコメンド作成部を備える案内装置を用いる案内方法であって、
前記施設保存部に保存された施設の魅力度を前記魅力度設定部が特定し、
前記渋滞時間演算部は所定の位置から前記施設へ到達するのに要するアクセス実時間を道路の混雑情報を参照して演算し、該所定の位置から該施設に到達するのに要するアクセス標準時間を道路の混雑情報を参照せずに演算し、前者と後者の時間差を演算してこれを渋滞時間とし、ここに、前記施設の魅力度が第1の閾値以下のときにのみ前記渋滞時間を演算し、
前記レコメンド作成部は、前記渋滞時間が第1の閾値時間以上のときにのみ前記特定された魅力度と前記演算された渋滞時間とに基づき、ユーザへ前記アクセス実時間を含むレコメンドを作成する、案内方法。
【請求項9】
前記レコメンド作成部は、前記魅力度が第2の閾値以下のときにのみ前記レコメンドを作成し、ここに、該第2の閾値は前記第1の閾値より小さい、請求項8に記載の案内方法。
【請求項10】
前記施設の魅力度は該施設の混雑度に基づき特定される、請求項8又は9に記載の案内方法。
【請求項11】
前記施設の魅力度が該施設のイベント情報により修正される、請求項10に記載の案内方法。
【請求項12】
前記イベント情報により前記魅力度が修正されたとき、前記イベント情報が前記レコメンドの内容に反映される請求項11に記載の案内方法。
【請求項13】
施設の情報を保存する施設保存部、魅力度設定部、渋滞時間演算部及びレコメンド作成部を備える案内装置を制御するコンピュータに、
前記施設保存部に保存された施設の魅力度を前記魅力度設定部に特定させ、
前記渋滞時間演算部に所定の位置から前記施設へ到達するのに要するアクセス実時間を道路の混雑情報を参照して演算させ、該所定の位置から該施設に到達するのに要するアクセス標準時間を道路の混雑情報を参照せずに演算させ、前者と後者の時間差を演算させてこれを渋滞時間とし、ここに、前記施設の魅力度が第1の閾値以下のときにのみ前記渋滞時間を演算させ、
前記レコメンド作成部に前記渋滞時間が第1の閾値時間以上のときにのみ前記特定された魅力度と前記演算された渋滞時間とに基づき、ユーザへ前記アクセス実時間を含むレコメンドを作成させる、
案内装置用のコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記レコメンド作成部に、前記魅力度が第2の閾値以下のときにのみ前記レコメンドを作成させ、ここに、該第2の閾値は前記第1の閾値より小さい、請求項13に記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記魅力度設定部に、前記施設の混雑度に基づき前記施設の魅力度を特定させる請求項13又は14に記載のコンピュータプログラム。
【請求項16】
前記魅力度設定部に、該施設のイベント情報に基づき前記施設の魅力度が修正させる、請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項17】
前記イベント情報により前記魅力度が修正されたとき、前記レコメンド作成部に、前記イベント情報が反映されるようにレコメンドを作成させる請求項16に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車輌用ナビゲーション装置などの案内装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
案内装置を用いて、新規の大型商業施設や人気の娯楽施設を目的地に設定し、そこに向かって出発すると、そこに行きつくまでにも周辺道路の渋滞に巻き込まれることがある。
施設での混雑はある程度仕方がないとしても、周辺道路の渋滞に巻き込まれることにユーザは大きなストレスを感じることがある。目的地の施設に到着したのにも拘わらず、渋滞に巻き込まれるのであれば、この目的地以外の施設の利用を考慮すべきであったとの後悔の念が生じかねない。
そこで、従来では、施設の周辺道路の混雑度を演算し、その混雑度が所定値を超えている場合には、目的地の代案を提示するという技術が提案されている(特許文献1)。
また、過去のデータに基づき、施設の周辺道路の混雑度を予測して地図上に表示させる技術も提案されている(特許文献2)。
その他、施設の周辺道路の混雑度を演算し、その対策を提案する特許文献3及び特許文献4も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−048559号公報
【特許文献2】特開2011−118110号公報
【特許文献3】特開2010−169441号公報
【特許文献4】特会2009−075652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの従来技術では、施設の周辺道路の混雑度を求めてその対策、例えば混雑した道路を避けるように案内したり、他の目的地を紹介したりしている。
しかしながら、ユーザにとって重要な関心事は、目的地へ到着するのに要した余分な時間であって、その時間が間尺に合うか否かである。換言すれば、商業施設や娯楽施設の魅力が大きければ、多少の渋滞には納得でき、何らストレスを感じることはない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこでこの発明では、施設の周辺道路の混雑度を取得してこれを経路案内に反映し、目的地までの到着予想時間(アクセス実時間)を演算する。同時に、混雑が無いときの目的地までの到着予想時間(アクセス標準時間)を演算する。両者の差が、出発時に予想される渋滞時間である。
他方、目的地である施設にはそれぞれの魅力度があり、その魅力度は変化する。この明細書において、施設の魅力度とは、ユーザの属人的なパラメータではなく、ユーザの嗜好等から独立したものを指し、例えば施設内の混雑度やイベントの有無が該当する。施設内の混雑度が高いと魅力度は低下し、イベントが開催されているとその魅力度は高くなる。その他、気温、天候、時間、季節等も施設の魅力度を規定する要因となり得る。また、施設に応じて個別に、デフォルト値として、魅力度を付与することもできる。また、営業時間内や閉店時間までの残り時間なども魅力度のパラメータとなり得る。
施設の魅力度が大きければ、周辺道路の渋滞に伴い到着までに時間がかかろうとも、ユーザにとっては大したストレスとならない。つまり、魅力度の如何によって、我慢できる渋滞時間もかわるものである。
【0006】
この発明の案内装置は、ユーザがある施設を目的地として設定したとき、該施設の魅力度と当該施設に到達するまでに巻き込まれる渋滞時間とを考慮して案内を行うようにした。即ち、この発明の第1の局面は次のように規定される。
施設を保存する施設保存部と、
該保存された施設の魅力度を特定する魅力度設定部と、
所定の位置から前記施設へ到達するのに要するアクセス実時間を道路の混雑情報を参照して演算し、該所定の位置から該施設に到達するのに要するアクセス標準時間を道路の混雑情報を参照せずに演算し、前者と後者の時間差である渋滞時間を演算する渋滞時間演算部と、
前記特定された魅力度と前記演算された渋滞時間とに基づき、ユーザへのレコメンドを作成するレコメンド作成部と、
とを備える案内装置。
【0007】
このように規定された第1の局面の案内装置によれば、施設の魅力度と渋滞時間との両者に基づいてユーザへのレコメンドが作成される。他方、従来の技術では、施設の周辺道路の混雑度を特定しただけで、特に渋滞時間を演算することもなく、勿論、施設の魅力度は何ら考慮されずに、その対策としてユーザへレコメンド(渋滞道路の表示や代替目的地の提案等)が行われていた。
本発明のように、渋滞時間に加えて施設の魅力度を考慮してユーザへのレコメンドを作成すれば、そのレコメンドはよりユーザにとって有益なものとなる。
ここにレコメンドは、案内装置がユーザに提供する情報であって、ユーザの行動の指針またはヒントになりうる情報を指す。この発明では、レコメンドは周辺道路の混雑を示唆する内容を含むこととなる。例えば、施設までのアクセス実時間や渋滞時間に関する情報をこのレコメンドに含ませることが好ましい。レコメンドは画像上にテキスト若しくはシンボルの形で表示することができる。また、音声としての出力も可能である。
案内装置が施設検索機能(所定の種類(娯楽施設等)の施設を検索する機能)を有する場合、所定の範囲に存在する複数の施設に対して本発明の機能(魅力度と渋滞時間とを用いる評価)が発揮される。その結果にもとづき、施設を順位付けすることができる。この順位もレコメンドの1つとなりうる。
【0008】
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、第1の局面の案内装置において、前記施設の魅力度は該施設の混雑度に基づき特定される。例えば娯楽施設が混雑しておれば、アトラクションの待ち時間が数時間に及ぶこともある。他方、周辺道路は何ら混雑していない場合もある。周辺道路の渋滞度のみに基づき当該施設を選択すると、やはりユーザがストレスを感じることを否めない。そこで、第2の局面で規定するように、当該施設を目的地として指定したとき、渋滞時間の演算はもとより施設の混雑度に基づいて(即ち、混雑度を魅力度として)、ユーザに対するレコメンドを作成する。
たとえば、周辺道路が渋滞して長い渋滞時間を要して(例えば1時間)がかかっても施設が混雑していなければ(例えば、アトラクションの待ち時間が5分)、当該施設への案内を強く勧めるレコメンドが作成される。他方、渋滞時間が殆どなくても、施設が混雑していれば(例えば、アトラクションの待ち時間が2時間)、当該施設の案内をする際に施設が混雑している旨をレコメンドする。
ここに、施設の混雑度の特定方法は特に限定されるものではないが、例えば、施設自体から発信される混雑情報(例えば、アトラクションの平均待ち時間)に基づきその混雑度を特定できる。また、施設周辺の駐車場の混雑度合いから施設自体の混雑度を予想可能である。駐車場の混雑度合いは車輌の行動履歴を指すプローブ情報を解析することで得られる。
【0009】
この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、第1又は第2の局面に記載の前記施設の魅力度が該施設のイベント情報によって修正される。
施設内でイベントが行われておれば、ユーザにとって多少の混雑は気にならなくなる。そこで、施設から提供されるイベントの情報に基づいて、当該イベントが開催される間は、施設の魅力度を高くする。なお、施設の魅力度が混雑度で修正されているときは、この混雑度をイベントの有無で補正し、もって魅力度を修正することができる。混雑度を示すパラメータをイベントの有無若しくはイベントの種類に応じて補正してこれを小さくする。イベントが開催されている間は、混雑がなかったもの(混雑度=0)とすることもできる。
第3の局面で説明したようにイベント情報に基づき魅力度を変化させたとき、ユーザへのレコメンドに当該イベント情報が反映されるものとする(第4の局面)。これにより、ユーザにより有用なレコメンドを行える。
【0010】
この発明の第5の局面は次のように規定される。即ち、第1の局面に記載の案内装置において、前記施設の魅力度が第1の閾値以下のときに前記渋滞時間演算部が前記渋滞時間を演算する。
このように規定された第5の局面の案内装置によれば、施設の魅力度の如何によって、渋滞時間が演算されたり演算されなかったりする。例えば、施設が全く混雑しておらずその魅力度が大のとき(魅力度>第1の閾値)、周辺道路の渋滞はユーザにとってのストレスとならない。そこで、魅力度が第1の閾値以下のときのみ渋滞時間演算部をオンにしてレコメンドの作成を可能な状態とし、他方、魅了度が第1の閾値を超えたときには渋滞時間演算部をオフとし、汎用的な案内を行う。これにより、案内装置に要求される負担が軽くなる。
【0011】
また、前記施設の魅力度が第1の閾値以下のときであっても、演算された渋滞時間が殆どゼロ(即ち、渋滞なし)のときは、強いてレコメンドを作成するまでもないことがある。そこでこの発明の第6の局面では、第5の局面に規定の案内装置において、前記渋滞時間が第1の閾値時間以上のときのみ、レコメンドを作成することとした。これにより、無駄なレコメンドが省かれ、ユーザにとって使い勝手よいものとする。
更に第7の局面では、第6の局面に規定の案内装置において、レコメンドを作成する条件を更に絞り込み、無駄なレコメンドを省く。即ち、施設の魅力度が第2の閾値以下のとき、レコメンドを作成することとした。この第2の閾値は第1の閾値より小さいものとする。即ち、魅力度が第1の閾値以下なので渋滞時間演算部はオンになるが、当該魅力度が第2の閾値より大きいときはレコメンド作成部を動作させず、これが第2の閾値以下のときのみレコメンドを作成させる。第1の閾値を用いることにより多少のマージンをみて、案内装置のバックグラウンドとして渋滞時間演算部をオンとしておくことで、施設の魅力度が変化して、即ち魅力度が第2の閾値以下となって、ユーザに強く案内する必要が生じたときなど、迅速にレコメンドを作成できる。
【0012】
施設の魅力度の感じ方、例えば、施設のアトラクションの待ち時間に対するストレスや渋滞時間に対するストレスはユーザによって異なる。そこで、この発明の案内装置には、施設の魅力度に関する第1の閾値及び渋滞時間に関する第1の閾値をユーザが任意に設定できるよう、閾値設定部を備えることとした(第8の局面)。
【0013】
この発明の第9の局面は次のように規定される。即ち、第6の局面に規定の案内装置において、前記レコメンド作成部は前記渋滞時間に比べ前記魅力度から高い影響を受けて前記レコメンドの内容を特定する。このように、施設の現況をレコメンドに反映させることより、ユーザにとってより使いやすいものとなる。また、施設の魅力に比べて渋滞時間は変化し易いので、レコメンド作成の基準を施設の魅力度とすることが好ましい。レコメンドが頻繁に代わるとユーザが混乱するおそれがあるからである。
その一方で、施設へのアクセス実時間はユーザにとって重要な情報であるので、当該アクセス実時間が把握できるようにレコメンドを作成することが好ましい(第10の局面)。
【0014】
この発明の第11の局面は次のように規定される。即ち、第1〜10に規定の局面において、
前記レコメンド作成部がレコメンドを作成する毎に、該レコメンドの内容及び該レコメンドを作成ときの環境を保存する履歴保存部と、
前記レコメンド作成部が新たにレコメンドを作成する際、該新たなレコメンドと同一若しくは同種のレコメンドを前記履歴保存部から抽出して、該抽出したレコメンドの作成時の環境を特定するレコメンド抽出部と、
該特定された環境と新たにレコメンドを作成する際の環境とを比較する比較部と、を備え、
前記レコメンド作成部は前記比較の結果をレコメンドの作成に反映させる。
【0015】
このように規定される第11の局面の案内装置によれば、履歴保存部においてレコメンド作成のログが記録される。
そして、新たなレコメンドを作成する際にレコメンド抽出部によりレコメンドのログが参照されて、同一若しくは同種のレコメンドが抽出される。ここに、同一若しくは同種のレコメンドは施設の魅力及び渋滞時間が同じ条件のとき作成されるべきものである。一般的な娯楽施設及びその周辺道路では、週単位おいては曜日毎に、年単位において月日毎に、同種の混雑傾向が現れる。いわゆる定常の混雑状態である。
そこで、この第11の局面の案内装置では、比較部を用いて、定常の混雑状態の環境と新たにレコメンドを作成する際の環境とを比較する。例えば、レコメンドの内容は同一若しくは同種であるにも拘わらず、両者の曜日、若しくは月日に大きな違いが認められたとき、即ち、定常の混雑状態以外のときに定常状態と同じレコメンドが作成されるとき、そのこと(比較結果)をレコメンドに反映させる。これにより、ユーザに注意喚起を行える。
上記の例では、曜日(周単位)や月日(年単位)を環境の指標としたが、時分(日単位)を用いることができ、またこれら時間を指標とする環境の他、天候、気温などを環境の指標とすること、更にはこれらの組合せを環境の指標とすることができる。
【0016】
この発明の第12の局面は次のように規定される。即ち、施設保存部、魅力度設定部、渋滞時間演算部及びレコメンド作成部を備える案内装置を用いる案内方法であって、
前記施設保存部に保存された施設の魅力度を前記魅力度設定部が特定し、
前記渋滞時間演算部は所定の位置から前記施設へ到達するのに要するアクセス実時間を道路の混雑情報を参照して演算し、該所定の位置から該施設に到達するのに要するアクセス標準時間を道路の混雑情報を参照せずに演算し、前者と後者の時間差を演算してこれを渋滞時間とし、
前記レコメンド作成部は前記特定された魅力度と前記演算された渋滞時間とに基づき、ユーザへのレコメンドを作成する、案内方法
このように規定される第12の局面の案内方法のように、渋滞時間に加えて施設の魅力度を考慮してユーザへのレコメンドを作成すれば、そのレコメンドはよりユーザにとって有益なものとなる。
【0017】
この発明の第13の局面は次のように規定される。即ち、第12の局面に規定の案内方法において、前記施設の魅力度は該施設の混雑度に基づき特定される。施設の混雑度は入手し易いパラメータであるため、施設の魅力度の特定が容易になる。
この発明の第14の局面は次のように規定される。即ち、第13の局面に規定の案内方法において、前記施設の魅力度が該施設のイベント情報により修正される。施設の混雑度に基づき特定される施設の魅力度をイベント情報を用いて修正することにより、施設の魅力度がユーザの求めにより適合するものとなる。
【0018】
この発明の第15の局面は次のように規定される。即ち、第14の局面に規定の案内方法において、前記イベント情報により前記魅力度が修正されたとき、前記イベント情報が前記レコメンドの内容に反映される。魅力度を修正するようなイベント情報をユーザに提供することは、ユーザにとって有益である。
【0019】
この発明の第16の局面は次のように規定される。即ち、第12の局面に規定の案内方法において、前記レコメンド作成部は、前記施設の魅力度が第1の閾値以下であり、かつ前記渋滞時間が第1の閾値時間以上のときにレコメンドを作成する。施設の魅力度と渋滞時間とが所定の条件を満足するときのみにレコメンドの作成することにより、無駄なレコメンドの作成を防止する。
更に、この発明は、第12〜第16の局面の案内方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は本発明の一実施形態の案内装置1の構成を示すブロック図である。
図2図2は魅力度設定部20の構成を示すブロック図である。
図3図3は渋滞時間演算部30の構成を示すブロックである。
図4図4はレコメンド作成部40の構成を示すブロック図である。
図5図5は他の実施形態のレコメンド作成部140の構成を示すブロック図である。
図6】案内装置1の全体の動作を示すフローチャートである。
図7図7は魅力度の特定手順を示すフローチャートである。
図8図8渋滞時間の演算手順を示すフローチャートである。
図9図9はレコメンドの作成手順を示すフローチャートである。
図10図10はレコメンドのログを利用したレコメンド作成手順を示すフローチャートである。
図11図11はコンピュータ装置としてのハード構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態の案内装置1について図を参照しながら説明する。図1は案内装置1の機能をブロック図化したものである。
この案内装置1は車輌用ナビゲーション装置が通常備える基本的構成部2とこの発明の独自の作用を奏する魅力度設定部20、渋滞時間演算部30及びレコメンド作成部40とを備える。
ナビゲーション装置の基本的構成構成部分2は経路演算部3、入力部3、出力部7、マップメモリ部9を備える。
入力部5から、車輌の現在位置、目的地、その他の走行条件などが入力される。車輌の現在位置の入力はGPSやジャイロを用いてなされる。目的地の入力はタッチパネルやカーソル入力装置、音声入力用のマイクなど介して行われる。その他の走行条件はユーザによって適宜マニュアル入力される。
【0022】
入力部から入力された情報に基づき、経路演算部3はマップメモリ9を参照して、目的地までの案内ルートを汎用的な方法に沿って演算し、バッファメモリ(図示せず)に保存する。マップメモリ9にはナビゲーションを実行するために必要なデータが保存されている。かかるデータとして、地図データや道路テータ、及び住所や電話番号、更には施設情報等がある。
施設メモリ部10は、マップメモリ9において、施設の情報を保存する領域であり、施設の名称、座標(施設の領域を表すポリゴン含む)、電話番号、種別等がこの領域に保存される。本件では、施設の魅力度のデフォルト値も併せて保存されている。ここに施設の魅力度のデフォルト値とは、施設が本来的に備える魅力をいい、例えば東京ディズニーランド(登録商標)やUSJジャパン(登録商標)など、有名施設には高い魅力度が初めから与えられる。その一方、郊外型の大型ショッピングモールには前二者ほどの魅力度は与えられない。かかるディフォルト値は施設メモリ部10の中の特定領域11に保存される。
【0023】
マップメモリ9中の施設が目的地として設定されると、経路演算部3はマップメモリ9に保存されている地図データや道路データを参照し、定法に従って、最適な案内ルートを選択する。そのとき、併せて、目的地への到着予想時間が演算される。この演算は、選択したルートの距離と、道路の法定速度、及び通過する信号の数などに基づき実行され、ここに渋滞情報は加味されていない。このようにして演算された目的地への到着予想時刻(アクセス標準時間)は、渋滞時間演算部30のアクセス標準時間保存部32に保存される(図3参照)。
【0024】
経路演算部3は、渋滞情報を参照して、目的地までの到着予定時刻(アクセス実時間)を演算できる。VICS(登録商標)等が提供する渋滞情報を入手して、当該渋滞情報に従ってマップメモリ9に保存されているデータ、例えばリンク毎の制限速度を変更して、再度案内ルートを演算する。その結果として得られる目的地への到着予定時刻(アクセス実時間)も渋滞時間演算部30のアクセス実時間保存部31に保存される。
なお、経路演算部3が渋滞道路を迂回するルートを選択した場合は、当該ルートを利用したときの目的地到着予定時間をアクセス実時間としてアクセス実時間保存部31に保存する。
演算装置35は、そのアクセス実時間保存部31に格納されたアクセス実時間とアクセス標準時間保存部32に格納されたアクセス標準時間との差を演算して、渋滞時間とする。
【0025】
出力部7はディスプレイ装置とスピーカを含み、経路演算部3が探索した案内ルートやその他の情報をディスプレイ装置に表示するとともに、スピーカ通して、ユーザに案内する。後述するレコメンドもこの出力部を介してユーザに案内される。
【0026】
魅力度設定部20は施設の魅力度を特定する(図2参照)。施設によってはその混雑度を殆ど考慮しなくてすむものもある。かかる施設には、ディフォルト値として0(混雑無し)が与えられて保存される。他方、混雑が予想される施設にはディフォルト値N(≠O)が与えられ、かかるディフォルト値Nを有する施設については、魅力度設定部がその魅力度を特定領域11から読みだして、ディフォルト値保存部21に保存する。
魅力度設定部20には、外部から、施設の混雑度に関する情報が入力される。この混雑度に関する情報として、施設から直接提供される情報(例えば、アトラクションの平均待ち時間)を利用できるが、勿論、これに限定されるものではない。
このようにして入力された混雑度を用いて魅力度修正部23は魅力度N(ディフォルト値)を修正する。例えば、混雑度aが大きくなれば、魅力度Nを小さくする。例えば、N−aを新たな魅力度とする。また、混雑度aに応じて係数α(≦1)を乗算してもよい。
【0027】
魅力度設定部20には、施設で開催されるイベントの情報(イベント情報)も入力される。このイベント情報としては施設から供給されるもの利用することが好ましい。
イベントが開催されておれば、多少の混雑がユーザのストレスとなることは無いので、この例では、補正部25において、混雑度をイベント情報で補正している。例えば、イベント情報bに応じて、混雑度の値を小さくする補正を行う。混雑度a‐bを新たな混雑度としてもよいし、イベント情報bに応じて係数β(≦1)を乗算してもよい。
なお、イベント情報を用いて、魅力度Nを直接修正してもよい。
【0028】
図4に詳述するように、レコメンド作成部40の比較部41には、魅力度設定部20において特定された魅力度と渋滞時間演算部30で演算された渋滞時間が入力される。比較部41は対応するレコメンドをレコメンド保存部42から読みだし、出力部7へ送る。出力部7は送られたレコメンドを出力してユーザに認知させる。
ここに、レコメンド保存部42には魅力度と渋滞時間とのマトリックス形式でレコメンドの内容がまとめられており、比較部41は入力された魅力度と渋滞時間のセットに最も近いマトリックスのセルに存在するレコメンドを読みだす。勿論、魅力度と演算時間との関数を予め定めておいて、その関数演算によりレコメンドの内容を特定することもできる。
【0029】
レコメンド作成部40は閾値保存部44を備え、この閾値保存部44には魅力度に関する第1の閾値a1及び第2の閾値a2が保存される。同じく、渋滞時間に関する第1の閾値時間t1が保存される。
魅力度が第1の閾値a1以下のとき(即ち、施設の魅力度が小さいとき)、魅力度設定部20から渋滞時間演算部30に信号を送って、渋滞時間演算を実行する。換言すれば、魅力度が第1の閾値a1を超えるときは渋滞時間演算部30による渋滞時間の演算を止め、装置の負担を小さくする。
【0030】
なお、魅力度が第1の閾値a1以下のときであっても(渋滞時間演算部はオン)、渋滞時間が第1の閾値時間t1より小さいとき(周辺道路が殆ど渋滞していないとき)はレコメンド作成部40の作動を止めることができる。換言すれば、魅力度が第1の閾値a1以下であり、かつ渋滞時間が第1の閾値時間t1以上のとき(周辺道路に渋滞がみられたとき)、レコメンドが作成される。
更には、魅力度が第1の閾値a1以下であり、かつ渋滞時間が第1の閾値時間t1以上であっても、魅力度が第2の閾値a1を超えるときは、レコメンドの作成を止めることができる。ここに、第1の閾値a1より第2の閾値a2の方が小さいものとする。
これら閾値を任意に設定できる閾値設定部46をレコメンド演算部40へ付設することが好ましい。
【0031】
図5には他の例のレコメンド作成部141を示す。既述の図4と同一の要素には同一の符号を付してその説明を部分的に省略する。このレコメンド作成部141にはレコメンドログ保存部143が備えられる。レコメンドログ保存部143にはレコメンドの内容と当該レコメンドを作成したときの環境との標準セットが保存される。ここに環境の一指標として月日時がある。
【0032】
レコメンド内容と環境との標準セットはレコメンドログ処理部により作成される。即ち、レコメンドを作成したとき、その全てについて内容とこれを作成したときの環境をレコメンドログ保存部143に一旦記録し、それを統計処理してレコメンド内容と環境との標準セットを定める。例えば、所定の施設に関し、環境としての「日曜日の午前中」を採用したときのレコメンドの内容を集計し、最も使用された内容を選択し、当該内容と「日曜日の午前中」とを標準セットとする。この標準セットがレコメンドログ保存部143に保存される。
比較部141は、現在の魅力度と渋滞時間にもとづきレコメンドを作成する際、レコメンドログ保存部143において同一若しくは同種のレコメンドを検索しそのときの環境を特定する。このようにして特定された環境と、現在のレコメンド作成の際の環境とを比較し、両者に差が生じていた際は、その旨をレコメンドに反映させる。例えば、当該レコメンドとして、例えば、「通常と異なる混雑若しくは渋滞が発生していますのでご注意ください」を採用できる。このレコメンドもレコメンド保存部42に保存される。
【0033】
次の、この案内装置1の動作についてフローチャート(図6図9)に基づいて説明する。
入力部5を用いて目的地が設定されると(S1)、案内装置1の全体を制御する制御装置は、施設メモリ10の特定領域11のデータを参照して、指定された目的地が魅力度に関するデフォルト値A0を持つ施設であるか否かを判断する(S2)。
目的地として指定され他施設に魅力度のデフォルト値が関連づけられていないときはレコメンドを行わない、通常の案内モードとなる。
【0034】
魅力度のデフォルト値A0が関連付けられている施設が指定されたとき、その施設の魅力度を特定する。デフォルト値A0をそのまま魅力度の値として使用することもできるが、この実施の形態では、図7に示すように、デフォルト値A0を施設の混雑度に基づいて修正している。
ステップ31において、魅力度設定部20は、施設メモリ部10の特定領域11から該当する施設の魅力度のデフォルト値A0を読出し、デフォルト値保存部21に保存する。ステップ33では、施設の混雑度に関する情報を外部から得て図示しないバッファメモリに保存しておく。次に、当該施設のイベント情報を確認し、イベント情報があれば補正部25において混雑情報を補正する(S35、S37)。この例では、イベント情報があれば(即ち、イベントが開催されておいれば)、混雑度をゼロとしている。なお、イベント情報が補正部25に入力されたとき、即ち、イベント情報により魅力度が修正されたとき、その履歴を記録しておく。そして、当該修正された魅力度に基づくレコメンドが作成されたときは、イベント情報の存在をレコメンドに含ませるようにする。イベント情報にはユーザが高い関心を払うものと考えられる。
ステップ39では得られた混雑度に応じて魅力度のデフォルト値を修正する。この例では、混雑度に応じて予め決められた係数α(α≦1)をデフォルト値へ乗算し、魅力度Aを特定する。
【0035】
図6に戻り、ステップ5では、ステップ3で特定された魅力度Aと所定の第1の閾値a1とが比較され、魅力度Aが第1の閾値a1以下のときに渋滞時間演算部30をオンとする。他方、魅力度A1が第1の閾値a1を超えるときは、施設の魅力度は十分に大きく、ユーザはレコメンドに関係なく当該施設を訪問するべきものと考え、渋滞時間演算部30をオンとすることなく、通常の案内モードのみを実行する。
【0036】
ステップ5においてオンにされた渋滞時間演算部30は渋滞時間Tjを演算する。具体的には、図8に示すように、目的地を指定したとき、経路演算部3は通常の処理を実行して案内ルートを演算する(ステップ71)。そのとき、マップメモリ9のみのデータで演算したときの、所謂理論上の目的地への到着時間(アクセス標準時間Tn)を演算し(S73)、渋滞時間演算部30のアクセス標準時間保存部32にこれを保存する。それと同時に、外部より渋滞情報をとりこみ、当該渋滞情報を加味したときの目的地への到着予定時間(アクセス実時間Tr)を演算してアクセス実時間保存部31に保存する(S75)。演算装置35はアクセス実時間Trからアクセス標準時間Tnを差し引き、得られた差を渋滞時間Tjとする(S77)。
【0037】
図6に戻り、ステップ9では、ステップ7で特定された渋滞時間Tjが予め定められた第1の閾値時間より小さいときは通常の案内モードを実行し、何らレコメンドを発しない。これは、周辺道路の渋滞がユーザに与えるストレスは極めて小さく、敢えてレコメンドで当該渋滞の存在を通知する必要は無いからである。
他方、渋滞時間Tjが第1の閾値時間t1以上のときはステップ11へ進む。
このステップ11では、ステップ3で特定された魅力度Aを第2の閾値a2(>第1の閾値a1)と比較し、当該魅力度Aが第2の閾値a2以下のときはレコメンド作成ステップ13へ進むが、当該魅力度Aが第2の閾値a2を超えるときは通常の案内モードを実行してレコメンドを発さない。
レコメンド作成のステップ13に到達するまでに、魅力度は2度までも検討対象となっているので、レコメンド作成には、1度の検討がなされた渋滞時間よりも魅力度の影響が大であると言える。このようにして作成されたレコメンドは、渋滞時間に比べて魅力度から高い影響を受けている。
【0038】
ステップ13では、図9に詳記するように、レコメンドを特定する。
ステップ131において、魅力度設定部20から送られてきた魅力度Aを図示しないバッファメモリに保存する。ステップ133では渋滞時間演算部30から送られてきた渋滞時間Tjを図示しないバッファメモリに保存する。比較部41は両者の組合せに最も近い組合せに対応するレコメンドの内容をレコメンド保存部42から読出す。読み出されたレコメンドの内容は出力部7から出力される。
このとき、アクセス実時間をレコメンドに含ませることが好ましい。アクセス実時間はユーザにとって高い関心事だからである。
【0039】
上記の例において、第1の閾値a1、第2の閾値a2及び第1の閾値時間t1は任意に設定可能である。混雑や渋滞に対するストレスの感じ方は個人の属性によるからである。この例では、当該閾値の設定部46をレコメンド作成部40に付設してある。図6のステップ9及びステップ11において、比較部41は第2の閾値a及び第1の閾値時間t1を用いてレコメンドの作成をするか否を検討するからである。
なお、第1の閾値a1は、渋滞時間演算部30のオン・オフに関わるものであるので、案内装置の全体のコントローラに利用される。便宜上、当該第1の閾値もレコメンド作成部40の閾値保存部44に保存しておく。
【0040】
他の実施の形態のレコメンド作成部140(図5参照)の動作について、図10のフローチャートを用いて説明する。なお、図9のフローチャートと同一のステップには同一の符号を付してその説明を省略する。
図10のフローチャートにおいて、ステップ137では、図6のステップ13においてレコメンドを作成している際の環境(この例では月日時)を特定し、図示しない履歴保存部142に保存しておく。
ステップ135で特定されたレコメンドの内容とステップ137で特定された環境とのセット(現在特定されたもの)をレコメンドログ保存部143に保存されているレコメンドの内容と環境との標準セットと比較する(S139)。現在のセットが標準セットと一致していれば、S135で特定されたレコメンドをそのまま出力する(ステップ141)。他方、現在のセットの標準セットとが不一致のときは、標準から外れた旨をレコメンドに反映させる(ステップ143)。
【0041】
この案内装置1の、コンピュータとしてのハード構成を図11に示す。
演算機能を備える要素3,23,25,35,41は1つの演算部が担当する。この演算部はCPU、ROM及びRAMを備え、システム全体の制御をつかさどる。ROMは、演算部を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリを含む。RAMは、入力装置を介して利用者により予め設定された各種設定値を読み出し可能に格納したり、CPUに対してワーキングエリアを提供したりする。演算部を制御する制御プログラムはROMに限らずRAMや第1記憶装置及び第2記憶装置に格納されていてもよい。
【0042】
第1記憶装置9は汎用的な案内装置に備えられてるメモリ装置であり、道路探索やナビゲーションを実行するのに必要なデータが格納されている。本件発明が対象としてる施設もマップデータの一部であるが、本件では、特定の施設のみに魅力度のデフォルト値が関連付けられて、施設メモリ部10に保存されている。
第2記憶装置は、レコメンド機能を実行するための保存装置21、42、143、44であり、ハードメモリやフラッシュメモリなど、案内装置に備えられているメモリ装置の一部の領域を利用することが好ましい。
なお、データを一時的の保存する、いわゆるバッファメモリには、演算部のRAMの一部領域を利用できる。
【0043】
魅力度設定部20へ外部から混雑度やイベント情報が提供し、経路演算部3が参照する渋滞情報も外部から提供されなければならない。そのため、案内装置は汎用的な通信装置200を備える。この通信装置200は少なくともデータセンタ300と双方向通信可能である。渋滞情報や施設の混雑度及びイベント情報は、データセンタ300で一括管理される。
【0044】
本発明は、上記実施形態、実施例、変形例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1 案内装置
10 施設メモリ
20 魅力度設定部
30 渋滞時間演算部
40 レコメンド作成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11