特許第6799591号(P6799591)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799591
(24)【登録日】2020年11月25日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】溶接部材の製造方法および部材の使用
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/11 20060101AFI20201207BHJP
   B23K 26/22 20060101ALI20201207BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20201207BHJP
   B23K 9/167 20060101ALI20201207BHJP
   B23K 15/00 20060101ALI20201207BHJP
   F16B 5/08 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   B23K11/11 540
   B23K26/22
   B23K26/21 G
   B23K9/167 A
   B23K15/00 501A
   F16B5/08 A
【請求項の数】15
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-517512(P2018-517512)
(86)(22)【出願日】2016年10月4日
(65)【公表番号】特表2018-537287(P2018-537287A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(86)【国際出願番号】EP2016073654
(87)【国際公開番号】WO2017060229
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2018年5月10日
(31)【優先権主張番号】15188317.0
(32)【優先日】2015年10月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591064047
【氏名又は名称】オウトクンプ オサケイティオ ユルキネン
【氏名又は名称原語表記】OUTOKUMPU OYJ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100079991
【弁理士】
【氏名又は名称】香取 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】フレーリヒ、 トーマス
(72)【発明者】
【氏名】リンドナー、 シュテファン
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−240678(JP,A)
【文献】 特開2006−187786(JP,A)
【文献】 特開2001−53438(JP,A)
【文献】 特開平11−112145(JP,A)
【文献】 特開平9−314353(JP,A)
【文献】 特開2016−155154(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第1363536(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 11/11
B23K 26/00 − 26/70
B23K 9/167
B23K 15/00
F16B 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに溶接される金属片の間に少なくとも1つの材料片が配置される溶接部材の製造方法において、互いに溶接される金属片の少なくとも1つに少なくとも1つの突起部を設け、前記溶接される金属片間に配置され該溶接される金属片から絶縁される少なくとも1つの材料片に少なくとも1つの開口部を設け、これにより前記互いに溶接される金属片の1つに設けられた前記突起部の少なくとも一部分は、前記開口部を貫通して、該突起部の上端によって前記もう一方の溶接される金属片と機械的に接触し、前記金属片の溶接は、前記一方の溶接される金属片の突起部と接続する前記もう一方の金属片の表面に対して溶接効果をもたらすことによって行い、絶縁材を前記材料片の表面に塗布して、前記材料片と前記突起部との接触を抑制することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記突起部は、射出成形、クリンチング成形、円錐絞り加工、発泡成形または液圧成形などの成形法により形成することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記材料片の前記開口部は、打抜き、押抜き、中抜き、切削もしくは熱切断、またはレーザビームもしくはプラズマジェットおよびプラズマビームによって形成することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の方法において、前記金属片は、抵抗溶接、TIGスポット溶接、または例えばレーザビーム溶接もしくは電子ビーム溶接であるビーム溶接法などの熱結合法によって互いに溶接することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の方法において、前記絶縁材は、重合体、流動性接着剤、接着テープ、フリース素材入りテープ、可塑性絶縁材またはセラミック材であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1〜のいずれかに記載の方法において、本発明によって前記互いに溶接される金属片は、被覆鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、マグネシウム、銅または真鍮からなることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1〜のいずれかに記載の方法において、前記材料片は、被覆鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、マグネシウム、銅もしくは真鍮などの金属ベース材料、繊維複合体、またはセメント板もしくはセラミック材からなることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載の方法において、前記突起部は、前記溶接される他方の金属片と機械的に接触するのに有用な円錐形、ピン形、テーパ形または他の任意の幾何学形状に成形することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法により製造された乗用車の結合部または接合部としての部材。
【請求項10】
請求項1に記載の方法により製造された鉄道車両の結合部または接合部として部材。
【請求項11】
請求項1に記載の方法により製造された農業用機械の結合部または接合部としての部材。
【請求項12】
請求項1に記載の方法により製造されたバスまたはトラックの結合部または接合部としての部材。
【請求項13】
請求項1に記載の方法により製造された航空宇宙飛行手段の結合部または接合部としての部材。
【請求項14】
請求項1に記載の方法により製造された宇宙飛行手段の結合部または接合部としての部材。
【請求項15】
請求項1に記載の方法により製造された、少なくとも1つの別の部材に結合される適合部材。
【発明の詳細な説明】
【詳細な説明】
【0001】
本発明は、金属片を溶接して部材を製造する方法に関するものであり、金属片間に少なくとも1つの材料片を配置して溶接する。また、本発明は、本部材の使用に関するものである。
【0002】
互いに固定された少なくとも2つの異なる材料を含む材料構成物は、自動車、商用車、バスまたは鉄道車両などの輸送機関製造分野においてますます重要になってきている。いわゆる「複合材料構造」において、常に適切な材料を適切な場所に適用する必要がある。しかしながら、従来の接合方法では、鋼をアルミニウムに接合する、あるいは鋼を炭素繊維に接合するといった異種材料の接合組合せにおいて限界に達している。他にも、使用する材料の腐食電位が異なるという問題がある。薄板または要素の間に直接的な接触がある場合、卑材料に腐食が起きるおそれがある。塩化物のように湿潤部分または溶解液がある場合、問題はさらに深刻になる。
【0003】
英国特許第1363536号は、パネル平面から貫入するたくさんのタブを全タブがパネルシートの平面に立った状態で使用する結合体に適用されパネルの厚さの総計よりも厚さ寸法が大きい構造用パネルについて記載している。さらに、タブは相互に取付け可能なため、2枚の薄板間に延びる1対の中間タブ間の結合が強固である。英国特許第1363536号は、パネルの強度を高めるためにパネルシートに対するタブの垂直位置および穿孔に関連して形成される一対のタブを示している。当該構造では、パネル層を2枚だけ相互に結合させている。
【0004】
本発明の目的は、従来技術における問題点を解消し、互いに溶接される金属片間に少なくとも1つの材料片が配置された溶接部材の製造方法を達成することである。また、本発明は、上記部材の使用を目的とする。本発明の基本的な特徴は、添付の本願特許請求の範囲に記載する。
【0005】
本発明によると、互いに溶接される金属片の少なくとも一方に、少なくとも1つの突起部が設けられる。溶接される金属片間に配置される少なくとも1つの材料片に、少なくとも1つの開口部が設けられ、互いに溶接される金属片の一方の金属片の突起部の少なくとも一部分が、開口部を貫通する。これにより、突起部の上端を介して、溶接される他方の金属片と機械的に接触する。金属片の溶接は、溶接される第1の金属片の突起部に接続する第2の金属片の表面に対して溶接効果をもたらすことによって行う。
【0006】
このように、本発明によって製造された部材において、互いに溶接される金属片の少なくとも一方に少なくとも1つの突起部が設けられ、突起部の上端によって、溶接される第2の金属片と機械的に接触する。本発明の説明において、用語「第1の金属片」とは突起部を有する金属片を指し、用語「第2の金属片」とは突起部の上端が機械的に接触するもう一方の金属片を指す。本発明の説明において、用語「突起部の上端」とは、溶接を行う前に一方の金属片に固定される突起部の端部とは反対側の突起部の端部を指す。本発明の一実施例において、両金属片に突起部が設けられ、一方の金属片の突起部は他方の金属片の突起部と向かい合っていない。
【0007】
少なくとも1つの開口部が設けられた材料片は、中間層として、溶接される金属片の間に配置されるものである。材料片の開口部は、互いに溶接される金属片の一方の突起部の少なくとも一部が貫通できる形状である。突起部は開口部に対して配置されるため、突起部と開口部との直接的な接触をすべて防止できる。よって、開口部を貫通する突起部の部分は、溶接される第2の金属片の表面に機械的に接続される。金属片が互いに上述のように配置される場合、本発明による溶接は、溶接される金属片の突起部に接触する金属片の表面に作用する溶接効果に重点を置いて行われる。これにより、溶接された金属片間に配された少なくとも1つの材料片で構成される積層溶接部材を達成できる。
【0008】
本発明によると、本発明の方法は2つの材料を互いに直接接触させることなく3部構成部材として接合できるため、直接互いに溶接できない少なくとも3つの部分からなる材料の組合せの接合が可能である。したがって、開口部を備えた材料片は、閉鎖法として、または適合接続法として他の薄板に接合され、溶接される金属片は相互に物質的に接続される。よって、中間層材料と溶接された金属片との間の腐食に対する異なる電気化学電位は、本発明の方法によって製造された部材に直接的に関連しない。
【0009】
本発明により溶接される金属片は、被覆鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、マグネシウム、銅または真鍮から作られる。金属片は同種の材料からなるか、あるいは金属片は互いに溶接可能な材料の組合せから形成される材料からなる。金属片を互いに溶接する場合、抵抗溶接法、TIGスポット溶接法、またはレーザビーム溶接もしくは電子ビーム溶接などのビーム溶接法などの熱接合法によって行う。互いに溶接される金属片の少なくとも一方に少なくとも1つの突起部が設けられ、この場合、金属片は少なくとも一部が立体的である。突起部の形状は、円錐形、ピン形、テーパ形または他の任意の表面形状であり、溶接される他方の金属片との機械的に接触するのに有用である。有利には、金属片には複数の突起部が設けられ、突起部は、射出成形、クリンチング、円錐絞り加工、発泡成形または液圧成形などの成形法によって製造される。
【0010】
溶接される金属片の間に中間層として配置される材料片は、被覆鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、マグネシウム、銅もしくは真鍮など金属ベースの材料からなるか、または繊維複合体もしくはセメント板からなる。中間層には少なくとも1つの開口部が設けられ、開口部の位置は金属片の突起に対して決められるため、突起部の少なくとも一部分が開口部を貫通することができ、これにより、中間層材とのあらゆる機械的な接触が防止される。有利には、中間層は複数の開口部を有し、開口部は中間層を穿孔して形成できる。中間層の穿孔は、打抜き、押抜き、中抜き、切削、またはレーザビームあるいはプラズマジェットおよびプラズマビームなどの熱切断によって作製できる。
【0011】
本発明によると、突起部を備えた金属片は、中間層の開口部に積み重ねられる。中間層の開口部の領域は、突起部の少なくとも一部分が開口部を貫通する形状であり、これにより、積層時および積層後に、中間層、突起部および金属片の間に接触が生じない。積層を行う前に、中間層と突起部との接触を防止するために、絶縁材の層を中間層の表面に塗布する。絶縁材は重合体、流動性接着剤、接着テープ、フリース素材入りテープ、可塑性絶縁材またはセラミック材である。絶縁材は、溶接される金属片と中間層材との間の電気化学的絶縁、電解腐食および接触腐食が発生する危険性を回避する。積層時、開口部と突起部の位置関係から、中間層の形態は固定され、接合される。金属層を積層して溶接した後、中間層を所望の方法により金属片間に圧入して、溶接部材を得る。
【0012】
本発明の方法によって製造された部材は、乗用車の横材、縦材、前壁、ピラー、床組立部または溝型材を相互に接合する結合部または接合部として用いられ、例えばBピラーとロッカーレールの結合部として使用される。また、本部材は、鉄道車両の側壁、フロアパネル、屋根またはステッププレートを相互に接合する結合部または接合部として用いることも可能であり、例えばフロアプレートと側壁との結合部として使用される。さらに、本部材を農業用機械、バスまたはトラックの薄板、板金、管、異形材を接合したり、航空宇宙飛行手段または宇宙飛行手段のプレートおよび薄板を接合したりする結合部または接合部として用いることも可能であり、例えばフロアプレートと側壁との結合部として使用できる。また、本部材は、例えば建造物の外殻構造と外観要素の結合部として建造物に使用可能であり、また、例えば鉄筋コンクリートの代替材料として橋および建造物に使用することもできる。
【0013】
本発明の方法によって製造された部材を使用することにより、サンドイッチ板や注文部品の少なくともいずれかなど、半仕上げの製品を作製することも可能である。また、本発明の方法によって製造された部材を、少なくとも1つの他の部材に結合される適合部材として活用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明について、図面を参照して詳細に述べる。
図1】本発明の好適な一実施例の積層前の斜め上方位置から見た概略斜視図である。
図2図1の実施例の積層および溶接後の概略側面図である。
図3】本発明の好適な一実施例の積層後の概略側部断面図である。
図4】本発明の好適な一実施例の積層後の概略側部断面図である。
図5】本発明の好適な一実施例の積層および溶接後の概略側部断面図である。
図6】本発明の好適な一実施例の積層および溶接後の概略側部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1において、中間層薄板1には孔2が設けられ、中間層1は2枚の金属薄板3および4の間に配置されている。金属薄板3は、突起部5が金属薄板3の表面に成形されるように構成されている。
【0016】
図2において、金属薄板3および4は、突起部5が部分的に中間層1の孔を貫通するように積層される。金属薄板3および4は、突起部5の上端7によって機械的接触6を得る。中間層1と金属薄板3および4とを絶縁する絶縁材は図示しない。
【0017】
図3において、金属薄板11および12は、突起部13が部分的に中間層15の孔14を貫通するように積層される。中間層15を2つの絶縁材16および17によって支持することにより、突起部13と中間層15との間のあらゆる機械的な接触が防止される。
【0018】
図4において、金属薄板21および22は、突起部23が部分的に中間層25の孔24を貫通するように積層される。中間層25を1つの絶縁材26によって支持することにより、突起部23と中間層25との間のあらゆる機械的な接触が防止される。
【0019】
図5において、金属薄板31および32は、突起部33が部分的に中間層35の孔を貫通するように積層される。中間層35を1つの絶縁材36によって支持することにより、突起部33と中間層35との間のあらゆる機械的な接触が防止される。また図5は、金属薄板31および32を互いに溶接する別の方法を示し、抵抗スポット溶接によって生じる溶接ナゲット37、レーザビーム法によって生じる溶接継目38、およびTIGスポット溶接法によって生じる溶接継目39を示す。
【0020】
図6において、金属薄板41および42は、突起部43が部分的に中間層45の孔44を貫通するように積層される。絶縁材はいずれも図示していない。本発明による部材から注文品を製造するために、金属薄板41は別の部材47と結合する接合部46を有し、中間層45は本発明の部材の中間層45とは分離している中間層材49との接合部48を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6