(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799594
(24)【登録日】2020年11月25日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】選択的触媒還元システム管理装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
F01N 3/20 20060101AFI20201207BHJP
F01N 11/00 20060101ALI20201207BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20201207BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
F01N3/20 CZAB
F01N11/00
F01N3/08 B
B01D53/94 222
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-521644(P2018-521644)
(86)(22)【出願日】2016年10月28日
(65)【公表番号】特表2018-538470(P2018-538470A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】KR2016012226
(87)【国際公開番号】WO2017074089
(87)【国際公開日】20170504
【審査請求日】2019年10月25日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0151677
(32)【優先日】2015年10月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515349995
【氏名又は名称】エイチエスディー エンジン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ミー
(72)【発明者】
【氏名】キム, テ ホン
【審査官】
楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−249801(JP,A)
【文献】
特開2012−233415(JP,A)
【文献】
特開平07−271589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00〜 3/38
F01N 11/00
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的触媒還元システム管理装置であって、
排ガスの温度、窒素酸化物の濃度、触媒が設置された反応器の内圧、還元剤噴射装置、及び弁の動作のうちのいずれか1つ以上を含む、前記選択的触媒還元システムの異常情報を検出する検出部と、
前記選択的触媒還元システムのマニュアルデータが予め格納されたマニュアルデータベース、前記異常情報に関する異常原因が格納された診断データ
、及び、前記異常原因を解決する複数の解決案が格納された解決データを含み、前記検出部で検出された前記異常情報と前記診断データとをマッチングさせて前記異常原因を導出
し、さらに、前記異常原因と前記解決データとをマッチングさせて前記解決案を導出する制御部と、
該制御部から伝達された前記異常情報及び前記異常原因を出力
し、又は、使用者から検索情報が入力されて前記マニュアルデータを出力する表示部とを備え
、
前記制御部が、格納されている複数の前記解決案のうち、前記異常原因の解決に使用された解決案に補正加重値を付与し、導出した前記解決案を出力するように前記表示部に情報を伝達するとともに、複数の前記解決案のうち、前記異常原因を解決した履歴のある前記解決案が優先して表示されるように前記表示部に情報を伝達し、さらに、前記補正加重値を下記の数式で算出する、選択的触媒還元システム管理装置。
【数1】
式中、Wl(i+1)は、補正加重値、Wl(i)は、以前加重値(又は、基本加重値)、Clは、解決案として選択された累積回数、Csumは、当該異常情報に対する全累積回数である。
【請求項2】
前記制御部が、前記選択的触媒還元システムの部品情報が格納された部品情報データをさらに含み、前記解決案で部品の交換が行われたか否かを判別し、前記部品の交換が行われた場合、交換された前記部品の前記部品情報データを更新する請求項1に記載の選択的触媒還元システム管理装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記解決案又は前記異常情報を前記表示部に出力するときに、更新された前記部品情報データを共に出力する請求項2に記載の選択的触媒還元システム管理装置。
【請求項4】
前記表示部が、前記異常情報、前記異常原因及び前記解決案の少なくとも1つを出力するときに、イメージ情報を共に提供する請求項1から請求項3のいずれかに記載の選択的触媒還元システム管理装置。
【請求項5】
選択的触媒還元システム管理装置の制御方法であって、
排ガスの温度、窒素酸化物の濃度、触媒が設置された反応器の内圧、還元剤噴射装置、及び弁の動作のうちのいずれか1つ以上を含む、選択的触媒還元システムの異常情報を検出して異常であるか否かを判断するステップと、
前記異常情報に関する異常原因の候補を導出するステップと、
前記異常原因の候補別に異常の診断を行って前記異常原因の候補から有力な前記異常原因を導出するステップと、
前記異常原因を解決する複数の解決案が格納された解決データと導出された前記異常原因
とをマッチングさせることによって、前記異常原因を解決する解決案を
導出して提示するステップと、
提示された前記解決案によって導出された前記異常原因が解決されたか否かを判断するステップと
、
同じ前記異常原因が導出された場合に該異常原因を解決した履歴のある前記解決案が優先して提示されるように、複数の前記解決案のうち、導出した前記異常原因を解決した前記解決案に補正加重値を付与するステップとを含
み、
前記補正加重値を付与するステップが、下記の数式で前記補正加重値を算出する、選択的触媒還元システム管理装置の制御方法。
【数1】
式中、Wl(i+1)は、補正加重値、Wl(i)は、以前加重値(又は、基本加重値)、Clは、解決案として選択された累積回数、Csumは、当該異常情報に対する全累積回数である。
【請求項6】
前記選択的触媒還元システムに異常がないと判断された場合、使用者から、前記選択的触媒還元システムの異常情報に対する検索を入力されるステップと、
入力された前記異常情報の検出時に表れる詳細情報を案内するステップと、
入力された前記異常情報を解決する前記解決案を案内するステップとをさらに含む請求項5に記載の選択的触媒還元システム管理装置の制御方法。
【請求項7】
前記異常情報及び前記解決案の少なくとも1つは、使用者が視覚的に認知し得るようにイメージ情報が共に提供される請求項5または請求項6に記載の選択的触媒還元システム管理装置の制御方法。
【請求項8】
導出された前記異常原因の解決のために部品の交換を行うか否かを判別するステップと、
前記部品の交換が行われたと判断した場合、交換された前記部品の情報を格納するステップとをさらに含む請求項5に記載の選択的触媒還元システム管理装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、選択的触媒還元システム管理装置及びその制御方法に関し、より詳しくは、排ガスに含まれた窒素酸化物を低減させる選択的触媒還元システム管理装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、燃料を燃焼させて動力を生産する動力装置を備えるシステムは、排ガスを排出する。このような排ガスは、窒素酸化物を含んでいる。上述のシステムは、排ガスに含まれた窒素酸化物を低減させて外部に排出させる選択的触媒還元システムである。
【0003】
選択的触媒還元システムでは、排ガスにウレア(Urea)又はアンモニアを含む還元剤を噴射させ、この噴射された還元剤と混合された排ガスが触媒を通過することにより、窒素及び水蒸気(又は、水)に変換し、外部へ排出される。
【0004】
しかし、排ガスを排出するシステムが船舶である場合、航海中の船舶において選択的触媒還元システムに異常が発生した際には、修理又は措置のために陸地に停泊する必要があり、多くの時間がかかってしまうという問題点がある。
【0005】
また、選択的触媒還元システムのメンテナンスを行うための専門家が乗船していない状態で、選択的触媒還元システムの異常により、排ガスに含まれた窒素酸化物が低減されずにそのまま外部に排出される場合には、環境汚染の問題だけでなく、大気汚染物質放出規制海域を通過する際に国際的な紛争を引き起こすおそれがあるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、選択的触媒還元システムにおいて発生した異常情報及びそれを解決するための解決案を提示する、選択的触媒還元システム管理装置及びその制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、選択的触媒還元システム管理装置は、
排ガスの温度、窒素酸化物の濃度、触媒が設置された反応器の内圧、還元剤噴射装置、及び弁の動作のうちのいずれか1つ以上を含む、前記選択的触媒還元システムの異常情報を検出する検出部と、
前記選択的触媒還元システムのマニュアルデータが予め格納されたマニュアルデータベース、前記異常情報に関する異常原因が格納された診断データ
、及び、前記異常原因を解決する複数の解決案が格納された解決データを含み、前記検出部で検出された前記異常情報と前記診断データとをマッチングさせて前記異常原因を導出
し、さらに、前記異常原因と前記解決データとをマッチングさせて前記解決案を導出する制御部と、該制御部から伝達された前記異常情報及び前記異常原因を出力
し、又は、使用者から検索情報が入力されて前記マニュアルデータを出力する表示部とを備え
、前記制御部が、格納されている複数の前記解決案のうち、前記異常原因の解決に使用された解決案に補正加重値を付与し、導出した前記解決案を出力するように前記表示部に情報を伝達するとともに、複数の前記解決案のうち、前記異常原因を解決した履歴のある前記解決案が優先して表示されるように前記表示部に情報を伝達し、さらに、前記補正加重値を下記の数式で算出する。
【数1】
式中、Wl(i+1)は、補正加重値、Wl(i)は、以前加重値(又は、基本加重値)、Clは、解決案として選択された累積回数、Csumは、当該異常情報に対する全累積回数である。
【0008】
また、前記制御部が、前記異常原因を解決する複数の解決案が格納された解決データをさらに含み、前記異常原因と前記解決データとをマッチングさせて前記解決案を導出し、前記表示部に伝達
する。
【0009】
また、前記制御部が、複数の前記解決案のうち前記異常原因を解決した履歴のある前記解決案が優先して表示されるように前記表示部に情報を伝達
する。
【0010】
また、前記制御部が、前記選択的触媒還元システムの部品情報が格納された部品情報データをさらに含み、前記解決案で部品の交換が行われたか否かを判別し、前記部品の交換が行われた場合、交換された前記部品の前記部品情報データを更新してもよい。
【0011】
また、前記制御部が、前記解決案又は前記異常情報を前記表示部に出力するときに、更新された前記部品情報データを共に出力してもよい。
【0012】
また、前記表示部が、前記異常情報及び前記異常原因を出力するときに、イメージ情報を共に提供してもよい。
【0013】
本発明の他の態様によれば、選択的触媒還元システム管理装置の制御方法は、
排ガスの温度、窒素酸化物の濃度、触媒が設置された反応器の内圧、還元剤噴射装置、及び弁の動作のうちのいずれか1つ以上を含む、選択的触媒還元システムの異常情報を検出して異常であるか否かを判断するステップと、前記異常情報に関する異常原因の候補を導出するステップと、前記異常原因の候補別に異常の診断を行って前記異常原因の候補から有力な前記異常原因を導出するステップと、
前記異常原因を解決する複数の解決案が格納された解決データと導出された前記異常原因
とをマッチングさせることによって、前記異常原因を解決する解決案を
導出して提示するステップと、提示された前記解決案によって導出された前記異常原因が解決されたか否かを判断するステップと
、同じ前記異常原因が導出された場合に該異常原因を解決した履歴のある前記解決案が優先して提示されるように、複数の前記解決案のうち、導出した前記異常原因を解決した前記解決案に補正加重値を付与するステップとを含
み、前記補正加重値を付与するステップが、下記の数式で前記補正加重値を算出する。
【数1】
式中、Wl(i+1)は、補正加重値、Wl(i)は、以前加重値(又は、基本加重値)、Clは、解決案として選択された累積回数、Csumは、当該異常情報に対する全累積回数である。
【0014】
また、上述の選択的触媒還元システム管理装置の制御方法は、複数の前記解決案のうち、導出した前記異常原因を解決した前記解決案に加重値を付与するステップをさらに含んでいてもよい。
【0015】
また、上述の選択的触媒還元システム管理装置の制御方法は、前記選択的触媒還元システムに異常がないと判断された場合、使用者から、前記選択的触媒還元システムの異常情報に対する検索を入力されるステップと、入力された前記異常情報の検出時に表れる詳細情報を案内するステップと、入力された前記異常情報を解決する前記解決案を案内するステップとをさらに含んでいてもよい。
【0016】
また、前記異常情報及び前記解決案の少なくとも1つは、使用者が視覚的に認知し得るようにイメージ情報を共に提供してもよい。
【0017】
また、上述の選択的触媒還元システム管理装置の制御方法は、導出された前記異常原因の解決のために部品の交換を行うか否かを判別するステップと、前記部品の交換が行われたと判断した場合、交換された前記部品の情報を格納するステップとをさらに含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施形態によれば、本発明に係る選択的触媒還元システム管理装置及びその制御方法は、選択的触媒還元システムにおいて発生した異常情報に対する解決案を提示することができるため、専門知識を有しない使用者でも、選択的触媒還元システムにおいて発生した異常を効果的に解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る選択的触媒還元システム管理装置を示す構成図である。
【
図2】
図1における表示部の出力形態を示す図である。
【
図3】
図1における表示部の出力形態を示す図である。
【
図4】
図1における表示部の出力形態を示す図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る選択的触媒還元システム管理装置の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳述する。本発明は、種々に変更して実施することができ、後述の実施例に限定されない。
【0021】
なお、図面は、概略的に示され、縮尺に合わせて図示していないことに留意されたい。図面に示された部分の相対的な寸法及び比率は、図面の明確性及び便宜を図るため、その大きさが誇張又は縮小して示されており、任意の寸法は、例示に過ぎず、限定的なものではない。また、2つ以上の図面に示される同一構造の要素又は部品には、類似した特徴を示すため、同一の参照符号を付してある。
【0022】
本発明の実施形態は、本発明の好適な一例を具体的に示すものである。それで、様々に図解されることが予想される。従って、実施形態は、図示した領域の特定の形態に限定されず、例えば、製造による形態の変形も含まれる。
【0023】
以下、
図1から
図4を参照して、本発明の一実施形態に係る選択的触媒還元システムの故障管理装置101について説明する。
【0024】
本発明の一実施形態に係る選択的触媒還元システムの管理装置101は、
図1に示されるように、検出部100と、制御部200と、表示部300とを備えている。
【0025】
検出部100は、選択的触媒還元システムの異常(error)情報を検出する。具体的に、検出部100は、図示しない選択的触媒還元システムにおける、排ガスの温度、窒素酸化物の濃度、触媒を設置した反応器の内圧、還元剤噴射装置、及び種々の弁の動作有無又は現在の情報値等を検出することができる。
【0026】
制御部200は、診断データ210を含む。具体的に、診断データ210は、制御部200が、検出部100が検出した情報が異常状態であるか否かを判断するときに利用される、既格納データベース(DB)である。即ち、診断データ210は、異常を判別することが可能な正常範囲の情報を含んでいる。さらに、診断データ210には、異常情報に応じて、その異常の発生原因が格納されている。
【0027】
従って、制御部200は、検出部100が検出した異常情報と、診断データ210に格納された情報とを比較することで、検出部100が検出した情報値が異常であるか否かを診断し、診断された異常の異常原因を導出する。
【0028】
即ち、制御部200は、異常であるか否かを診断し、診断された異常とマッチングされる異常原因を導出する。具体的に、制御部200は、検出部100で検出された異常情報と診断データ210とをマッチングさせ、現在検出された異常情報に対応する異常原因を導出する。
【0029】
表示部300は、制御部200から伝達された異常情報及び異常原因を出力する。具体的に、表示部300は、使用者(作業者、管理者)が、異常情報を視覚的に認知し得るように出力することができる。即ち、使用者は、異常情報及び異常原因を出力する表示部300により、選択的触媒還元システムにおいて発生した異常情報及びその原因を効果的に認知することができる。
【0030】
また、本発明の一実施形態における制御部200は、解決データ220をさらに含むことができる。解決データ220は、異常情報とマッチングされる異常原因を解決するための複数の解決案が含まれた既格納データベース(DB)である。具体的に、解決データ220には、各部品の誤作動又は故障のような異常を解決するため、各分野の専門家から得た解決案の情報が含まれている。
【0031】
制御部200は、異常原因と解決データ220とをマッチングさせて現在の異常原因の解決に適した複数の解決案を導出して表示部300に伝達することができる。
【0032】
即ち、制御部200は、解決データ220に格納された複数の解決案のうち、現在発生した異常原因の解決に必要な解決案を、表示部300を通じて使用者に提示することができる。
【0033】
従って、使用者は、表示部300を通じて出力された複数の解決案のうちのいずれか1つを選択して遂行することが可能である。即ち、選択的触媒還元システムに関する専門知識又は経験を有しない使用者であっても、表示部300を通じて出力される解決案に基づいて、選択的触媒還元システムにおける異常の解決を行うことができる。
【0034】
また、船舶の場合、使用者は、選択的触媒還元システムの異常が発生した場合、船を停泊させる前に、表示部300が出力する解決案に基づいて、効果的に異常の解決を行うことができる。
【0035】
さらに、本発明の一実施形態に係る選択的触媒還元システムの故障管理装置101の制御部200は、複数の解決案のうち、異常原因を解決した履歴がある解決案が優先して表示されるように表示部300に情報を伝達することができる。
【0036】
制御部200は、異常原因に応じた解決案を表示部300に出力するように情報を伝達するときに、複数の解決案のうち同じ異常原因を解決するために選択されて使用された履歴のある解決案があれば、これが優先して出力されるように表示部300に情報を伝達することができる。
【0037】
具体的には、制御部200は、異常原因に応じて、その異常を解決するために選択されて使用された解決案の情報に基づいて、解決データ220の更新を行うことができる。制御部200は、格納されている複数の解決案のうち、異常原因の解決に使用された解決案に加重値を付与することで、同じ異常原因が導出された場合、使用者に、同じ異常原因の解決のために使用された履歴のある解決案を優先して伝達することができる。
【0038】
即ち、制御部200は、異常原因の解決に選択されて使用された解決案を格納して解決データ220の情報の再格納を行うことで更新させることができる。
【0039】
従って、制御部200により加重値が付与され、同じ異常原因を解決するために使用されたことがある解決案が優先して表示部300に出力されることで、使用者は、同じ異常原因を解決するため、検証された解決案を優先して実行することが可能となる。それで、使用者は、同じ異常原因を解決するため、試行錯誤を繰り返すことなく管理作業を行うことができる。
【0040】
具体的に、このような解決案の加重値は、下記の数式(1)を用いて付与することができる。
【0042】
式中、W
l(i+1)は、補正加重値、W
l(i)は、以前加重値(又は、基本加重値)、C
lは、解決案として選択された累積回数、C
sumは、当該
異常情報に対する全累積回数である。
【0043】
また、本発明の一実施形態に係る制御部200は、選択的触媒還元システムの部品情報が格納された部品情報データ230をさらに含むことができる。
【0044】
部品情報データ230は、選択的触媒還元システムの部品情報が格納されたデータベース(DB)であることができる。具体的に、選択的触媒還元システムの部品情報は、選択的触媒還元システムが備えている部品の製造モデル、設置日付、製造者及び性能情報(spec)などのうちのいずれか1つを含むことができる。例えば、部品情報データ230は、還元剤噴射ノズル、スートブロワ、還元剤噴射装置、又は、センサのような検出部100の部品情報のうちのいずれか1つを含むことができる。
【0045】
制御部200は、解決案で部品の交換が提示された場合、部品の交換を行うか否かを判別することができる。即ち、制御部200は、部品の交換が行われたか否かを判別し、交換された部品の部品情報を更新することができる。従って、制御部200は、交換された部品の交換日などを再設定することができ、以後、使用者は、交換された部品の履歴及び使用周期を効果的に確認することができる。
【0046】
また、本発明の一実施形態に係る選択的触媒還元システム管理装置101の制御部200は、異常情報、異常原因、又は、解決案を伝達する際に、このような更新された部品情報データ230を表示部300に共に出力させることができる。
【0047】
従って、使用者は、更新された部品情報データ230に基づいて、選択的触媒還元システムの管理を行うための部品数量及び交換周期などを効果的に予測することができる。
【0048】
また、本発明の一実施形態における表示部300は、イメージ情報を共に提供することができる。
【0049】
表示部300は、
図2に示されるように、異常情報が検出された位置、又は、異常情報に応じた種々のアラームなどを表示することができる。さらには、表示部300は、異常情報の警告レベルに応じて種々の色で使用者が認知し得るように表示することができる。一例として、異常情報と対応するエラーコード又は異常情報の発生日などを表示することができる。
【0050】
表示部300は、
図3に示されるように、異常原因の出力の際に、異常原因の位置又は異常原因に関する説明を、写真(構成図)又は動画で使用者に共に提供することができる。従って、専門知識を有しない使用者であっても、このような異常原因又は異常原因の詳細などを把握することができる。
【0051】
表示部300は、
図4に示されるように、解決案の出力の際に、異常原因を解決するための部品の脱着時に必要なアセンブリー図、又は、異常原因を解決するための解決案を、動画で使用者に共に提供することができる。
【0052】
また、制御部200は、選択的触媒還元システム全般のマニュアルデータ240が格納されたマニュアルデータベース(DB)をさらに含むことができる。具体的には、このようなマニュアルデータ240を表示部300に出力することができる。なお、表示部300は、タッチスクリーンタイプであって、使用者が、これを用いて情報の検索を行うか、ズームイン/アウト機能を含み、使用者により選択されることができる。
【0053】
従って、使用者は、マニュアルデータベース(DB)に基づいて、選択的触媒還元システムの異常の有無にかかわらず、必要に応じて選択的触媒還元システムに関する種々の情報を検索することが可能である。また、このような情報は、解決案などと同様にイメージ情報と共に表示部300に出力させることができる。
【0054】
上述のような構成により、本発明の一実施形態に係る選択的触媒還元システムの管理装置101は、専門知識及びスキルを有しない使用者であっても、異常を効果的に解決することができる。
【0055】
以下、
図1及び
図5を参照して、本発明の他の実施形態に係る選択的触媒還元システム管理装置の制御方法を説明する。
後述の選択的触媒還元システム管理装置は、上述の選択的触媒還元システム管理装置101と同様な構成を有する。
【0056】
使用者は、選択的触媒還元システム管理装置の制御方法を実行する。
選択的触媒還元システムの異常情報を検出し、異常が発生したか否かを判断する(S100)。言い換えれば、選択的触媒還元システムの運営に問題が生じたか否かに関する異常情報を検出し、この検出された異常情報の値が異常状態であるか否かの判別を行う。
【0057】
異常情報に基づいて異常があると判断した場合、検出された異常情報に応じて当該異常情報を惹起し得る異常原因の候補を導出する(S200)。言い換えれば、1つの異常情報に対して、当該異常情報を惹起し得る複数の異常原因の候補を導出する。従って、制御部は、異常情報に応じて複数の異常原因の候補を導出することができる。即ち、種々の原因による異常の解決を効果的に行うことが可能となる。
【0058】
また、制御部は、種々の異常原因の候補別に、ファジー診断アルゴリズムを通じて、各異常原因の候補に対する異常発生確率の計算を行う(S300)。
【0059】
上述のようにアルゴリズムを通じて計算された確率に基づいて、異常原因の候補のうち最も有力な異常原因を導出する(S400)。言い換えれば、現在検出された異常情報に最も高い確率でマッチングされた異常原因を導出する。例えば、最も有力な異常原因の部品、部品の症状などを、表示部を通じて使用者に知らせることができる。
【0060】
導出された異常原因を解決するための解決案を提示する(S500)。具体的には、制御部は、導出された異常原因を解決するための種々の解決案が格納されたデータベース(DB)から導出された、異常原因を解決するための最適にマッチングされる解決案を、使用者に提示する。なお、初期に提示される解決案は、既定値を基準として選択し、提示することができる。
【0061】
導出された異常原因が解決されたか否かを判断する(S600)。なお、導出された異常原因が解決されていない場合には、提示された複数の解決案(S500)のうちから他の解決案を選択して実行することができる。
【0062】
制御部は、導出された異常原因を解決した解決案に加重値を付与する(S700)。言い換えれば、複数の解決案のうち、導出された異常原因の解決のために選択された解決案が、以後、同じ異常原因として導出される場合には、上述の解決案の提示(S500)の際に、これが優先して表示部に出力されるようになる。
【0063】
導出された異常原因を解決するために部品の交換が行われたか否かを判別する(S800)。
部品の交換が行われたと判断した場合、交換された部品の情報を格納する(S900)。言い換えれば、選択的触媒還元システムの部品情報を更新する。具体的には、制御部は、使用者から部品情報を入力され、又は、選択的触媒還元システムが備えるタイマーなどを通じて、交換された部品の交換日を算出して格納することができる。
【0064】
異常情報に基づいて異常がないと判断した場合、使用者から、選択的触媒還元システムの異常情報に対する検索語を入力される(S250)。具体的には、使用者は、選択的触媒還元システムが正常稼動中の場合でも、異常情報の検索を行うことができる。
【0065】
入力された異常情報に応じて当該異常情報の検出時に生じ得る異常症状などを詳細に表示部に出力し、使用者が認知し得るように案内する(S260)。
また、入力された異常情報を解決するための解決案を使用者が認知し得るように案内する(S270)。
【0066】
使用者に、表示部を通じて、異常情報、異常原因及び解決案などの少なくとも1つを出力する時に、イメージ情報を共に提供することができる。
このような構成により、本発明の他の実施形態に係る選択的触媒還元システム管理装置の制御方法では、専門知識及びスキルを有しない使用者であっても、異常情報の確認だけでなく、異常の解決を効果的に行うことができる。
【0067】
また、異常情報の検出の有無にかかわらず、使用者が、選択的触媒還元システムの異常を検索し、それに伴う症状などを効果的に認知して学習することができる。
【0068】
以上、添付の図面を参照して本発明を説明してきたが、本発明の属する技術分野の当業者であれば、本発明の技術的な思想や必須要素を変更することなく、種々に変形して実施できることが理解でき得る。
【0069】
それで、上記の実施形態は、あくまでも例示に過ぎず、限定的なものではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその等価概念から導出される全ての変更又は変形されたものは、本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の実施形態は、選択的触媒還元システムにおいて発生した異常情報及びそれを解決するための解決案を提示する、選択的触媒還元システム管理装置及びその制御方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
100 検出部
101 選択的触媒還元システム管理装置
200 制御部
210 診断データ
220 解決データ
230 部品情報データ
300 表示部