特許第6799602号(P6799602)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6799602カーボンナノチューブ集合体、防刺複合材料および防弾複合材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799602
(24)【登録日】2020年11月25日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】カーボンナノチューブ集合体、防刺複合材料および防弾複合材料
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/02 20060101AFI20201207BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20201207BHJP
   C01B 32/168 20170101ALI20201207BHJP
   C01B 32/194 20170101ALI20201207BHJP
   C01B 32/16 20170101ALI20201207BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20201207BHJP
【FI】
   B32B5/02 Z
   B32B9/00 A
   C01B32/168
   C01B32/194
   C01B32/16
   B82Y40/00
【請求項の数】12
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2018-539296(P2018-539296)
(86)(22)【出願日】2017年1月9日
(65)【公表番号】特表2019-509909(P2019-509909A)
(43)【公表日】2019年4月11日
(86)【国際出願番号】CN2017070627
(87)【国際公開番号】WO2017128944
(87)【国際公開日】20170803
【審査請求日】2018年9月12日
(31)【優先権主張番号】201610064974.5
(32)【優先日】2016年1月29日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201610064733.0
(32)【優先日】2016年1月29日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201610064973.0
(32)【優先日】2016年1月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516082763
【氏名又は名称】中国科学院蘇州納米技術与納米▲ファン▼生研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】胡 東梅
(72)【発明者】
【氏名】李 清文
【審査官】 松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−207965(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/099975(WO,A1)
【文献】 特表2018−533510(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0095938(US,A1)
【文献】 特表2008−540857(JP,A)
【文献】 特表2008−523254(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103395240(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0033429(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102516569(CN,A)
【文献】 特開2010−254570(JP,A)
【文献】 特開2012−206924(JP,A)
【文献】 特表2014−508054(JP,A)
【文献】 特表2014−503448(JP,A)
【文献】 特開2015−084359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 5/02
B32B 9/00
B82Y 40/00
C01B 32/158−32/178
C01B 32/182−32/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ炭素耐衝撃性材料製造用のカーボンナノチューブ集合体であって、前記カーボンナノチューブ集合体は、少なくとも1つの連続平面又は曲面を有するマクロ構造であり、前記少なくとも1つの連続平面内又は曲面内に複数のカーボンナノチューブが密集して分布され、かつ前記複数のカーボンナノチューブのうちの少なくとも一部のカーボンナノチューブの少なくとも局所的な断片が前記少なくとも1つの連続平面内又は曲面内において連続的に延伸し、
前記カーボンナノチューブ集合体は、一の方向に配向・配列したカーボンナノチューブを含む基本ユニットを複数有し、各前記基本ユニットが複数のカーボンナノチューブにより交り合わせることで形成された2次元の平面構造を形成し、
複数の前記基本ユニットは、前記少なくとも1つの連続平面内又は曲面内に密集して配列され、かつ互いに平行となり、前記カーボンナノチューブ集合体がマクロ構造の秩序化という形態になり、
前記基本ユニット内の複数の前記カーボンナノチューブが無秩序に交り合わせることで、前記カーボンナノチューブ集合体を微細構造の無秩序化という形態になり、
前記ナノ炭素耐衝撃性材料が防弾複合材料であり、
前記防弾複合材料は、少なくとも一側の表面上に少なくとも1つのカーボンナノチューブで覆われる織物を更に備える、
ことを特徴とする、カーボンナノチューブ集合体。
【請求項2】
ナノ炭素耐衝撃性材料製造用のカーボンナノチューブ集合体であって、前記カーボンナノチューブ集合体は、少なくとも1つの連続平面又は曲面を有するマクロ構造であり、前記少なくとも1つの連続平面内又は曲面内に複数のカーボンナノチューブが密集して分布され、かつ前記複数のカーボンナノチューブのうちの少なくとも一部のカーボンナノチューブの少なくとも局所的な断片が前記少なくとも1つの連続平面内又は曲面内において連続的に延伸し、
前記カーボンナノチューブ集合体は、一の方向に配向・配列したカーボンナノチューブを含む基本ユニットを複数有し、各前記基本ユニットが複数のカーボンナノチューブにより交り合わせることで形成された2次元の平面構造を形成し、
複数の前記基本ユニットは、前記少なくとも1つの連続平面内又は曲面内に密集して配列され、かつ互いに平行となり、前記カーボンナノチューブ集合体がマクロ構造の秩序化という形態になり、
前記基本ユニット内の複数の前記カーボンナノチューブが無秩序に交り合わせることで、前記カーボンナノチューブ集合体を微細構造の無秩序化という形態になり、
前記ナノ炭素耐衝撃性材料が防刺複合材料であり、かつ前記防刺複合材料は、
少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体と、
少なくとも一側の表面上に少なくとも1つのカーボンナノチューブ薄膜で覆われる柔軟な基布と、
を備えることを特徴とする、防刺複合材料。
【請求項3】
前記カーボンナノチューブ集合体は、多孔質構造を有し、前記多孔質構造に含まれる孔の孔径が10nm〜200nmで、空隙率が10%〜60%とし、
及び/又は、前記カーボンナノチューブの管径は、2nm〜100nmとし、
及び/又は、前記カーボンナノチューブ集合体内のカーボンナノチューブ含有量は、99wt%以上とする、
ことを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブ集合体。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブ集合体は、自己支持性カーボンナノチューブ薄膜とする、
ことを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブ集合体。
【請求項5】
ナノ炭素耐衝撃性材料製造用のカーボンナノチューブ集合体であって、前記カーボンナノチューブ集合体は、少なくとも1つの連続平面又は曲面を有するマクロ構造であり、前記少なくとも1つの連続平面内又は曲面内に複数のカーボンナノチューブが密集して分布され、かつ前記複数のカーボンナノチューブのうちの少なくとも一部のカーボンナノチューブの少なくとも局所的な断片が前記少なくとも1つの連続平面内又は曲面内において連続的に延伸し、
前記カーボンナノチューブ集合体は、一の方向に配向・配列したカーボンナノチューブを含む基本ユニットを複数有し、各前記基本ユニットが複数のカーボンナノチューブにより交り合わせることで形成された2次元の平面構造を形成し、
複数の前記基本ユニットは、前記少なくとも1つの連続平面内又は曲面内に密集して配列され、かつ互いに平行となり、前記カーボンナノチューブ集合体がマクロ構造の秩序化という形態になり、
前記基本ユニット内の複数の前記カーボンナノチューブが無秩序に交り合わせることで、前記カーボンナノチューブ集合体を微細構造の無秩序化という形態になり、
前記ナノ炭素耐衝撃性材料全体は、軟質フィルム状又は片状の構造とし、
及び/又は、前記ナノ炭素耐衝撃性材料の厚さは、1〜100μmであり、
及び/又は、前記ナノ炭素耐衝撃性材料の面密度は、2〜20g/mであり、
及び/又は、前記ナノ炭素耐衝撃性材料の引張強度は、10Mpa以上であり、弾性率が10Gpa以上であり、
及び/又は、前記ナノ炭素耐衝撃性材料の耐熱温度範囲は、液体窒素温度〜500℃とする、
ことを特徴とする、カーボンナノチューブ集合体。
【請求項6】
前記カーボンナノチューブ薄膜の応力≧10MPa、伸び率≧2%となり、長手及び短手方向における引張応力の差の絶対値は長手或いは短手方向における引張応力の20%より小さいか又は等しく、長手及び短手方向における切断時伸びの差の絶対値が長手或いは短手方向における切断時伸びの10%より小さいか又は等しい、
及び/又は、前記カーボンナノチューブ薄膜の厚さは、前記柔軟な基布の厚さより小さいか又は等しい、
及び/又は、前記柔軟な基布を構成する高性能繊維の強度≧2.0GPa、弾性率≧80GPa、伸び率が3〜5%とする、
ことを特徴とする、請求項2に記載の防刺複合材料
【請求項7】
前記柔軟な基布と前記カーボンナノチューブ集合体は、ホットプレスまたは接着剤で結合される、
ことを特徴とする、請求項2に記載の防刺複合材料。
【請求項8】
前記カーボンナノチューブ集合体は、カーボンナノチューブ薄膜で、かつ前記カーボンナノチューブ薄膜の前記基本ユニットの配向方向における強度が50MPa〜12GPaであり、前記配向方向に直交する強度が30MPa〜10GPaであり、
及び/又は、前記織物を構成する単糸の引張強度は22CN/dtex以上であり、
及び/又は、前記織物の面密度は、35〜220g/mであり、
及び/又は、前記織物を構成する高性能繊維は、超高分子量ポリエチレン繊維、アラミド繊維及びポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維のいずれか1種又は数種の組み合わせが挙げられる、
ことを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブ集合体。
【請求項9】
請求項1に記載のカーボンナノチューブ集合体と、
積層して設けられる少なくとも二層の織物と、を備え、
前記カーボンナノチューブ集合体がフィルム状である、
ことを特徴とする、防弾複合材料。
【請求項10】
隣接する二層の前記織物間に少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体が分布される、
又は、隣接する2つの前記カーボンナノチューブ集合体の間に少なくとも一層の前記織物が分布される、
ことを特徴とする、請求項9に記載の防弾複合材料。
【請求項11】
隣接する二層の前記織物が緯糸なし織物で、かつうちの一層の前記織物の経糸配向方向と他層の前記織物の経糸配向方向との間で0〜180°の狭角を成す、
又は、隣接する二層の前記織物間の少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体内の前記基本ユニットの配向方向は、うちの少なくとも1つの前記織物内の経糸配向方向と同じ、前記織物が緯糸なし織物である、
ことを特徴とする、請求項9に記載の防弾複合材料。
【請求項12】
少なくとも1つの前記織物の両面に請求項1に記載の前記カーボンナノチューブ集合体が結合される、
ことを特徴とする、防弾複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐衝撃性材料に関し、特に、カーボンナノチューブ集合体の防爆材料、防弾材料、防刺材料等のナノ炭素耐衝撃性材料製造における用途及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
耐衝撃性材料は、防爆・防刺・防弾材料等の武器、化学工業、交通、航空宇宙等を含む分野において均しく幅広く活用されている。従来の耐衝撃性材料は、主に金属材料、高分子材料、セラミック材料等が挙げられる。金属材料、セラミック材料は、形状及び構造の設計を経て良好な耐衝撃性能を生じることができるが、構造が重く、かつ均しく剛性を有し、使用時著しく運動性に影響を与えていた。高分子材料をベースとした耐衝撃性材料は、主に超高分子量ポリエチレン繊維、ポリアミド類繊維及びPBO類繊維等で製造されている。この種の耐衝撃性材料は、金属、セラミック等剛性の耐衝撃性材料に比べると、軽量等の利点を有するが、やはり比較的多くの不足が存在し、例えば超高分子量ポリエチレン繊維は耐熱性に劣り、最高耐熱温度が120℃より低く、ポリアミド類繊維は、紫外線及び水蒸気に弱く、これら高分子材料の密度は、やはり相対的に高い。よって、これら材料は、幾つかの分野の応用需要に適応することは困難である。例えば、個人保護材料とする時、これら高分子耐衝撃性材料で形成された保護構造が重く、着用快適性に劣り、通気性がないため、人体の動き及び運動性に影響を与えている。
【0003】
従来耐衝撃性材料の不足に鑑み、研究者は更に様々な改善策を提出した。例えば、特許文献1では、高靭性繊維網で形成された織物基材を開示し、該基材に粘着層及びゴム層を粘着し、複数のこのようなユニットを積層して柔軟な防刺複合材料になり、材料の構造が複雑で、加工性に劣り、量産化製造に適しない。また特許文献2は、高性能繊維織物の表面に一定量の固体硬質ペレットを粘着することで、刃物による切り付け抵抗が高い。特許文献3では、無機ペレットをアラミド織物の表面に塗ることで材料の防刺性を改善するが、その構造が硬くなって着用快適性が下がってしまう。また特許文献4では、ナノ粒子を通じて高性能繊維織物と複合した後、更に熱可塑性樹脂と複合することで、大幅に耐衝撃性を向上でき、また重量を効果的に減少し、並びに材料自体の柔軟性が基本的に変化させない。次に、特許文献5では、カーボンナノチューブを接着剤内に溶かしてからUHMWPE繊維上に塗布することで、UHMWPEの耐熱性とクリープ特性及び機械強度等を効果的に向上できる。ただし、ナノ材料製造技術の不成熟により、前記解決策において表面のみを通じて接着剤内に少量のナノ材料を添加して防弾性を向上でき、ナノ材料の接着剤内に分散する均一性及び高性能繊維表面における堆積形態及び分布状況は、材料の防弾性に影響を及ぼすが、これら要因は均しく調整・制御しにくい。かつこれで形成した防弾材料は、やはり硬く、密度が大きく、重量が重く、人体のフィット性に劣り、着用快適性に劣り、人体の運動追従性に対しやはり著しく影響する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許第101218480号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0048536号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0105471号明細書
【特許文献4】中国特許第102058188号明細書
【特許文献5】中国特許出願公開第100567606号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Science,2004年,304期,p276
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術中の不足を克服するため、カーボンナノチューブ集合体の耐衝撃性材料製造における用途及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記発明の目的を達成するため、本発明が用いる技術的手段は、次を含む。
【0008】
本発明の実施例は、カーボンナノチューブ集合体のナノ炭素耐衝撃性材料製造における用途を提供するものであり、前記カーボンナノチューブ集合体は少なくとも1つの連続面を有するマクロ構造であり、前記少なくとも1つの連続面内に複数のカーボンナノチューブが密集して分布され、かつ前記複数のカーボンナノチューブのうちの少なくとも一部のカーボンナノチューブの少なくとも局所的な断片が前記少なくとも1つの連続面内において連続的に延伸する。
【0009】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体の表面及び/又は内部は、グラフェン材料等を更に複合させることができる。
【0010】
本発明の実施例は、ナノ炭素耐衝撃性材料の製造方法を提供し、前記製造方法は複数のカーボンナノチューブを用意し、該複数のカーボンナノチューブが密集することでカーボンナノチューブ集合体を形成させ、前記カーボンナノチューブ集合体が少なくとも1つの連続面を有するマクロ構造であり、前記複数のカーボンナノチューブのうちの少なくとも一部のカーボンナノチューブの少なくとも局所的な断片が前記少なくとも1つの連続面内において連続的に延伸することを包括する。
【0011】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体の表面及び/又は内部は、グラフェン材料等を更に複合させることができる。
【0012】
前記実施例において、カーボンナノチューブ集合体からなるナノ炭素耐衝撃性材料を用いることで、カーボンナノチューブの中空構造を利用して大量の衝撃エネルギーを吸収し、材料が加圧された時、カーボンナノチューブとカーボンナノチューブとの間の微細構造の変化、例えばカーボンナノチューブが引き裂かれ、圧し潰され、カーボンナノチューブとカーボンナノチューブとの間の接合部破壊等の変化を通じてエネルギーを吸収し、優良な防護作用を実現でき、かつ同時に軽量、柔軟性に優れ、耐熱温度範囲も広く(約液体窒素温度〜500℃)、折り曲げ可能、フィット性が高く、通気性に優れ、人体の体温と湿度バランス適合及び着用における快適性に優れているという利点があり、防弾・防刺・防爆材料等として幅広く応用させことができる。
【0013】
更に、本発明の実施例は、カーボンナノチューブ集合体の防刺複合材料製造における用途を提供し、前記カーボンナノチューブ集合体は複数のカーボンナノチューブが密集して形成された2次元平面のマクロ構造を含む。
【0014】
更に、本発明の実施例で提供する防刺複合材料は、
複数のカーボンナノチューブが密集して形成されたカーボンナノチューブ薄膜を含む少なくとも1つのカーボンナノチューブ集合体と、
少なくとも一側の表面上に少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ薄膜で覆われる柔軟な基布と、
を包括する。
【0015】
好ましくは、前記カーボンナノチューブ集合体は、複数配向・配列の基本ユニットを包括し、該複数の基本ユニットが1つの連続面内に密集して配列され、かつ互いに平行となり、前記カーボンナノチューブ集合体がマクロ構造の秩序化、微細構造の無秩序化という形態になり、前記連続面が平面又は曲面である。各基本ユニットは、複数のカーボンナノチューブにより無秩序に交り合うことで形成された2次元の平面構造を包括する。
【0016】
幾つかの実施形態において、複数のカーボンナノチューブ連続体は、前記連続面上に連続的に集合すると共に緻密化処理を経た後で複数の前記基本ユニットが形成され、前記カーボンナノチューブ連続体は、複数のカーボンナノチューブにより無秩序に交り合うことで形成され、かつ緻密化処理の前に密閉型、半密閉型又は開放型の2次元又は3次元の空間構造を呈する。
【0017】
更に、前記カーボンナノチューブ連続体は、浮遊触媒法で製造して形成される。
【0018】
本発明の実施例は、防刺構造を更に提供し、前記防刺構造は積層して設けられる複数のサブユニットを含み、各サブユニットが前記防刺複合材料を含む。
【0019】
本発明の実施例は、防刺複合材料の製造方法を更に提供し、前記防刺複合材料の製造方法は、
複数のカーボンナノチューブ連続体を1つの連続平面又は曲面上に連続的に集合させすると共に緻密化処理を経た後に複数の配向の基本ユニットを形成させ、該複数の基本ユニットが密集して配列されてフィルム状のカーボンナノチューブ集合体を形成させ、前記カーボンナノチューブ連続体が複数のカーボンナノチューブにより無秩序に交り合うことで形成され、かつ緻密化処理の前に密閉型、半密閉型又は開放型の2次元又は3次元の空間構造を呈することと、
前記カーボンナノチューブ集合体を柔軟な基布の表面に覆われることで、前記防刺複合材料になることと、
を包括する。
【0020】
本発明の実施例は、防刺複合材料の製造方法を更に提供し、前記防刺複合材料の製造方法は複数のカーボンナノチューブ連続体を柔軟な基布の表面上に連続的に集合させすると共に緻密化処理を経た後に複数の配向の基本ユニットを形成させ、該複数の基本ユニットが密集して配列されてフィルム状のカーボンナノチューブ集合体を形成させ、従って防刺複合材料になり、前記カーボンナノチューブ連続体は、複数のカーボンナノチューブにより無秩序に交り合うことで形成され、かつ緻密化処理の前に密閉型、半密閉型又は開放型の2次元又は3次元の空間構造を呈することを包括する。
【0021】
前記実施例において、カーボンナノチューブ集合体、特に、柔軟なカーボンナノチューブ薄膜を柔軟な基布と結合し、特に柔軟なカーボンナノチューブ薄膜を高性能繊維織物表面に粘着することで防刺複合材料になり、刃先の切り付けによる抵抗が高く、突き刺さされる力を受け止め、かつ刃物の運動エネルギーを効果的に分散及び吸収し、高性能繊維の移動も効果的にけん制し、繊維織物面内の不均一率を下げることができ、同時に前記防刺複合材料構造が軽量で、柔軟性に優れ、着用時も人体の動きに影響を与えず、かつ優れた耐熱性、耐紫外線及び水蒸気環境のような優れた耐環境性を持っている。
【0022】
更に、本発明の実施例は、カーボンナノチューブ集合体の防弾複合材料製造における用途を提供する。
【0023】
好ましくは、本発明の実施例で提供する防弾複合材料は、
複数のカーボンナノチューブが密集して形成された2次元平面のマクロ構造を含む少なくとも1つのカーボンナノチューブ集合体と、
少なくとも一側の表面上に少なくとも1つの前記カーボンナノチューブで覆われる織物と、
を包括する。
【0024】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体は、複数の配向・配列の基本ユニットを包括し、各基本ユニットが複数のカーボンナノチューブにより交り合わせることで形成された2次元の平面構造を包括する。
【0025】
幾つかの実施形態において、複数の基本ユニットは、1つの連続面内に密集して配列され、かつ互いに平行となり、前記カーボンナノチューブ集合体がマクロ構造の秩序化、微細構造の無秩序化という形態になる。
【0026】
幾つかの実施形態において、複数のカーボンナノチューブ連続体は、前記連続面上に連続的に集合すると共に緻密化処理を経た後で複数の前記基本ユニットが形成される。前記カーボンナノチューブ連続体は、浮遊触媒法で製造して形成される。
【0027】
前記織物は、高性能繊維織物から選択される。
【0028】
本発明の実施例は、防弾複合材料の製造方法を提供し、前記防弾複合材料の製造方法は、
複数のカーボンナノチューブ連続体を1つの連続面上に連続的に集合させすると共に緻密化処理を経た後に複数の配向の基本ユニットを形成させ、該複数の基本ユニットが密集して配列されて2次元平面のマクロ構造を有するカーボンナノチューブ集合体を形成させ、前記カーボンナノチューブ連続体は複数のカーボンナノチューブにより無秩序に交り合うことで形成され、かつ緻密化処理の前に密閉型、半密閉型又は開放型の2次元又は3次元の空間構造を呈することと、
前記カーボンナノチューブ集合体と織物の表面を固着して前記防弾複合材料になることと、
を包括する。
【発明の効果】
【0029】
前記実施例において、カーボンナノチューブ集合体からなるナノ炭素耐衝撃性材料及び織物、特に高性能繊維織物を複合してなる防弾複合材料を用いることで、カーボンナノチューブの中空構造を利用して大量の衝撃エネルギーを吸収し、材料が外部負荷を受けた時、カーボンナノチューブとカーボンナノチューブとの間の微細構造の変化、例えばカーボンナノチューブが引き裂かれ、圧し潰され、カーボンナノチューブとカーボンナノチューブとの間の接合部破壊等の変化を通じてエネルギーを吸収し、従って優良な防護作用を実現し、同時に本発明の防弾複合材料は更に質感が軽く柔らかく、密度が小さく(1g/cm未満)、防弾性に優れ(高効率の銃弾の変形及びエネルギー吸収性)、耐衝撃性が高く、耐熱性に優れ(短時間で400℃以上の環境でも使用でき、長時間で温度200℃以上の環境でも使用可能)、並びに人体の曲面にフィットする等の特性を持つ。
【0030】
以下、本発明の実施例又は従来技術内の技術的解決策を明確に説明するため、実施例又は従来技術の記述中に使用する必要がある添付属図面を簡単に説明する。下記添付属図面は、僅か本発明の若干の実施例を説明するものであって、当業者にとって格別の創意工夫を要すものではないとして、それら添付属図面に示す構造に基づいてその他の添付属図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一つの代表的な実施例におけるホットプレス機によるナノ炭素薄膜のプレス処理を示す模式図である。
図2】本発明の一つの代表的な実施例に係るナノ炭素耐衝撃性材料の薄膜の写真である。
図3】本発明の一つの代表的な実施例に係るナノ炭素耐衝撃性材料の薄膜のTEM写真である。
図4】本発明の一つの代表的な実施例に係るナノ炭素耐衝撃性材料の薄膜内に含まれるカーボンナノチューブのTEM写真である。
図5a】本発明の一つの代表的な実施例に係る直交積層されたナノ炭素耐衝撃性材料の構造を示す模式図である。
図5b】本発明の一つの代表的な実施例に係る多角度積層されたナノ炭素耐衝撃性材料の構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施例の一つの態様では、カーボンナノチューブ集合体の衝撃性材料、特にナノ炭素耐衝撃性材料製造における用途を提供するものであり、前記カーボンナノチューブ集合体は少なくとも1つの連続面を有するマクロ構造であり、前記少なくとも1つの連続面内に複数のカーボンナノチューブが密集して分布され、かつ前記複数のカーボンナノチューブのうちの少なくとも一部のカーボンナノチューブの少なくとも局所的な断片が前記少なくとも1つの連続面内において連続的に延伸する。
【0033】
前記“密集分布”は、交差、交り合わせ、巻き付け、並行配列又はその他の適した方式のうちのいずれか1種或いは数種の組み合わせが含まれる。
【0034】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体は、複数のカーボンナノチューブが密集して成る多孔質集合体を含む。
【0035】
前記“密集”は、秩序又は無秩序な交差、無秩序の交り合わせ、秩序又は無秩序な巻き付け、或いはその他の適した方式が含まれる。
【0036】
又は、幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体も密集に配列する複数の配向カーボンナノチューブを含むことができ、例えば超整列カーボンナノチューブアレイで構成されることができる。
【0037】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体は、複数のカーボンナノチューブが密集して形成された2次元の平面構造を含む。例えば前記カーボンナノチューブ集合体はカーボンナノチューブ層又は自己支持性カーボンナノチューブ薄膜として呈することができる。
【0038】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体は、複数のカーボンナノチューブを交り合わせることで形成された2次元の平面構造を包括する。交り合わせる方式は、秩序又は無秩序とすることができる。
【0039】
幾つかの実施形態において、前記ナノ炭素耐衝撃性材料は、積層して設けられる少なくとも2つの前記カーボンナノチューブ集合体を包括し、各カーボンナノチューブ集合体が均しく2次元平面のマクロ構造を呈する。
【0040】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体は、複数の配向・配列の基本ユニットを包括し、各基本ユニットは複数のカーボンナノチューブにより交り合わされ、例えば無秩序に交り合うことで形成された2次元の平面構造を包括する。
【0041】
幾つかの好適な実施形態において、前記ナノ炭素耐衝撃性材料は、積層して設けられる少なくとも2つの前記カーボンナノチューブ集合体を包括し、少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体が第1方向に沿って配向・配列する複数の基本ユニットを含み、少なくとも別の1つの前記カーボンナノチューブ集合体が第2方向に沿って配向・配列する複数の基本ユニットを含み、該第1方向と第2方向との間が0〜180°の狭角となる。更に、該第1方向と第2方向との間の夾角は、0°又は180°にならず、例えば45°〜135°内のいずれかの適した角度とすることができる。
【0042】
幾つかの好適な実施形態において、複数の前記基本ユニットは前記少なくとも1つの連続面内に密集して配列され、かつ互いに平行となり、前記カーボンナノチューブ集合体がマクロ構造の秩序化という形態になる。
【0043】
更に、前記基本ユニット内の複数のカーボンナノチューブが無秩序に交り合わせることで、前記カーボンナノチューブ集合体を微細構造の無秩序化という形態になる。本願の発明者は、偶然にこのようなマクロ構造の秩序化、微細構造の無秩序化という特殊構造を有するナノ炭素耐衝撃性材料が他のカーボンナノチューブ集合形式を有するナノ炭素耐衝撃性材料に比べると、耐衝撃性等の面においてより多くの利点があることを発見し、可能な原因は該特殊構造を有するナノ炭素耐衝撃性材料において、一方、カーボンナノチューブの独自構造により大量の衝撃エネルギーを吸収させることができ、もう一方、カーボンナノチューブとカーボンナノチューブとの間に緻密なネットワーク及び豊富なインターフェースがあるため、十分にマッチさせることができ、従って優れた耐衝撃性を持たせる。
【0044】
幾つかの好適な実施形態において、前記基本ユニットは、カーボンナノチューブ連続体が前記少なくとも1つの連続面上に沈着すると共に緻密化処理を経た後で形成された2次元の平面構造を包括し、前記カーボンナノチューブ連続体が複数のカーボンナノチューブにより無秩序に交り合うことで形成され、かつ緻密化処理の前に密閉型、半密閉型又は開放型の2次元又は3次元の空間構造を呈する。
【0045】
更に、前記カーボンナノチューブ連続体は、化学気相成長法、特に浮遊触媒法で製造して形成される。幾つかの実施例において、前記カーボンナノチューブ連続体は、複数のカーボンナノチューブにより無秩序に交り合うことで形成され、密閉型又は開放型の円筒状となり、かつ一定の長さを有し、一定の基材上に沈着され、緻密化処理を経た後、線状を呈する前記基本ユニットを形成できる。
【0046】
更に具体的には、前記カーボンナノチューブ連続体の製造工程は、従来の幾つかの文献、例えば非特許文献1を参照できる。一つの代表的な実施例において、前記カーボンナノチューブ連続体の製造方法は、
反応炉の温度を1100℃〜1600℃に上昇させ、温度の安定性を維持し、前記反応炉内にキャリアガスを吹き込むステップS1と、
液相炭素源を炭素源注入ポンプにより注入し、液相炭素源が順次に炭素源輸送管、オリフィスを通過した後均一に炭素源注入管の炭素源注入管芯に入るステップS2と、
液相炭素源を気化するステップS3と、
キャリアガスによって気化後の炭素源を前記反応炉の高温ゾーン内に運んでカーボンナノチューブ集合体が生成されるステップS4と、
を包括する。
【0047】
前記液相炭素源は、エタノール、フェロセン、チオフェンの混合溶液等とすることができる。例えばエタノールの重量パーセントは90〜99.9%で、フェロセンの重量パーセントが0.1〜5%で、チオフェンの重量パーセントが0.1〜5%である。前記キャリアガスは、水素ガス及び窒素ガス又は水素ガス及び不活性ガスの混合ガスであり、例えば水素ガスの体積パーセントが1〜100%,不活性ガスがアルゴンガス又はヘリウムガスで、キャリアガス流量が1〜15L/minとする。
【0048】
幾つかの実施形態において、複数のカーボンナノチューブ連続体は、前記少なくとも1つの連続面上に連続的に沈着すると共に緻密化処理を経た後、複数の前記基本ユニットを形成する。
【0049】
好ましくは、隣り合う2つの基本ユニットの縦方向周縁部の間は一定距離をあけ、隣接又は互いに交差して配置される。更に、隣り合う2つの基本ユニットの間の距離は、できる限り小さく、隣り合う2つの基本ユニットの間をより一層マッチ又は互いに支えることで、更に前記ナノ炭素耐衝撃性材料の信頼性及び耐衝撃強度を向上させる。
【0050】
更に、前記少なくとも1つの連続面は、平面又は曲面とする。
【0051】
幾つかの実施形態において、前記ナノ炭素耐衝撃性材料が積層して設けられる少なくとも2つの2次元平面のマクロ構造を呈するカーボンナノチューブ集合体(カーボンナノチューブ薄膜と考えられてもよい)を包括する時、隣接に設けられる2つの前記カーボンナノチューブ集合体の間は、コールドプレス、ホットプレス等の方式を通じて直接結合できる。カーボンナノチューブは、高比表面積の特性を持つため、各カーボンナノチューブ集合体をしっかりと結合させると共に前記ナノ炭素耐衝撃性材料の環境耐候性を向上させることができ、かつ接着剤の使用等でもたらす幾つかの問題を避けることができる。
【0052】
当然幾つかの実施形態において、前記ナノ炭素耐衝撃性材料が積層して設けられる少なくとも2つの2次元平面のマクロ構造を呈するカーボンナノチューブ集合体(カーボンナノチューブ薄膜と考えられてもよい)を包括する時、隣接に設けられる2つの前記カーボンナノチューブ集合体の間に接着剤層が設けられることができる。
【0053】
幾つかの実施形態において、前記ナノ炭素耐衝撃性材料が積層して設けられる少なくとも2つの2次元平面のマクロ構造を呈するカーボンナノチューブ集合体(カーボンナノチューブ薄膜と考えられてもよい)を包括する時、隣接に設けられる2つの前記カーボンナノチューブ集合体の間にせん断増粘流体が更に設けられことができる。
【0054】
幾つかの好ましい実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体の表面及び/又は内部にグラフェンが更に分布される。
【0055】
例えば少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体内の少なくとも1本のカーボンナノチューブ上にグラフェンシートを覆う。
【0056】
又は、例えば少なくとも1つのグラフェンシートは、前記カーボンナノチューブ集合体内の少なくとも2本のカーボンナノチューブの間に接合される。
【0057】
又は、例えば前記ナノ炭素耐衝撃性材料は、複数のグラフェン集合体を更に包括し、前記複数のグラフェン集合体が少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体と固結される。
【0058】
又は、例えば少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体及び少なくとも1つの前記複数のグラフェン集合体は、2次元平面のマクロ構造を呈し、かつ該少なくとも1つのカーボンナノチューブ集合体及び該少なくとも1つの複数のグラフェン集合体が積層して設けられる。
【0059】
前記実施形態において、カーボンナノチューブとグラフェンの複合を通じてグラフェン大面積の構造特徴を更に利用して応力波を分散し、耐衝撃性材料が単位面積で受けた衝撃エネルギーを低下させ、従って防護効果を更に向上できる。
【0060】
前記各実施形態において、前記カーボンナノチューブの管径は、2nm〜100nmとすることができ、また単層、二層、多層カーボンナノチューブのうちのいずれか1種又は数種の組み合わせから選択させることができる。
【0061】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体は、2次元平面のマクロ構造、例えば自己支持性カーボンナノチューブ薄膜とする場合、前記カーボンナノチューブ薄膜の応力≧10MPa、伸び率≧2%となり、長手及び短手方向における引張応力の差の絶対値は長手或いは短手方向における引張応力の20%より小さいか又は等しく、長手及び短手方向における切断時伸びの差の絶対値が長手或いは短手方向における切断時伸びの10%より小さいか又は等しい。
【0062】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体は、多孔質構造を有し、前記多孔質構造に含まれる孔の孔径が10nm〜200nmで、空隙率が10%〜60%とする。このような多孔質構造の存在は、前記カーボンナノチューブ集合体の力学特性に大きな影響を受けない以外に、前記カーボンナノチューブ集合体に良好な透気性を持たせることができる。
【0063】
幾つかの実施形態において、前記ナノ炭素耐衝撃性材料全体は、軟質フィルム状又は片状の構造とする。
【0064】
更に、前記ナノ炭素耐衝撃性材料の厚さは、1〜100μmであり、好ましくは5〜15μmである。
【0065】
更に、前記ナノ炭素耐衝撃性材料の面密度は、2〜20g/mであり、好ましくは5〜10g/mである。
【0066】
更に、前記ナノ炭素耐衝撃性材料の引張強度は、10MPa以上で、弾性率が10GPa以上とする。
【0067】
更に、前記ナノ炭素耐衝撃性材料の引張強度は、90Mpa以上で、好ましくは200MPa以上であり、弾性率が30Gpa以上で、好ましくは60GPa以上である。
【0068】
更に、前記ナノ炭素耐衝撃性材料の耐熱温度範囲は、液体窒素温度〜500℃とする。
【0069】
本発明の実施例の別の態様で提供する耐衝撃性構造は、前に述べたいずれかのナノ炭素耐衝撃性材料を含む。
【0070】
幾つかの実施形態において、前記耐衝撃性構造は、前記ナノ炭素耐衝撃性材料と結合する基材を更に含み、前記基材が硬質又は柔軟なものとすることができ、人体の防護に応用された時、前記基材は柔軟な通気性基材であることが好ましい。
【0071】
本発明の実施例の更なる態様で提供する前記ナノ炭素耐衝撃性材料の製造方法は、複数のカーボンナノチューブを用意し、該複数のカーボンナノチューブが密集することでカーボンナノチューブ集合体を形成させ、前記カーボンナノチューブ集合体が少なくとも1つの連続面を有するマクロ構造であり、前記複数のカーボンナノチューブのうちの少なくとも一部のカーボンナノチューブの少なくとも局所的な断片が前記少なくとも1つの連続面内において連続的に延伸することを包括する。
【0072】
幾つかの実施形態において、前記製造方法は、カーボンナノチューブの間のファンデルワールス力の作用を利用して少なくとも1つのカーボンナノチューブ連続体を1つの連続面上に集合させてから緻密化処理を行うことで、カーボンナノチューブ集合体を形成することを包括し、前記カーボンナノチューブ連続体は、複数のカーボンナノチューブが交り合わせることで形成され、かつ緻密化処理の前に密閉型、半密閉型又は開放型の2次元又は3次元の空間構造を呈する。
【0073】
更に、複数のカーボンナノチューブ連続体を1つの連続面上に連続的に集合させてから緻密化処理を行うことで、複数の配向の基本ユニットを含むカーボンナノチューブ集合体を形成させ、各基本ユニットは少なくとも1つのカーボンナノチューブ連続体からなる2次元の平面構造を含む。
【0074】
更に、複数の前記基本ユニットは、1つの連続面内に密集して配列され、かつ互いに平行となり、従って前記カーボンナノチューブ集合体がマクロ構造の秩序化された形態になる。
【0075】
前記連続面は、幾つかの基材から提供され、例えば加圧ロールの円弧形受取面、ポリマー薄膜、織物等とすることができるが、これに限定されない。よって、前記連続面は、平面又は曲面とすることができる。
【0076】
更に、隣り合う2つの基本ユニットの縦方向周縁部の間は間隔をあけ、隣接又は互いに交差して配置させることができる。
【0077】
更に、前記カーボンナノチューブ連続体は、複数のカーボンナノチューブが無秩序に交り合わせることで、形成された前記カーボンナノチューブ集合体を微細構造の無秩序化された形態になる。
【0078】
更に、浮遊触媒法で製造して前記カーボンナノチューブ連続体を形成させることができる。
【0079】
幾つかの実施形態において、前記製造方法は、
少なくとも2つの2次元平面のマクロ構造を呈する前記カーボンナノチューブ集合体を用意することと、
該少なくとも2つのカーボンナノチューブ集合体を積層して設けることと、
を更に含む。
【0080】
更に、該少なくとも2つのカーボンナノチューブ集合体内の少なくとも1つのカーボンナノチューブ集合体は、第1方向に沿って配向・配列する複数の基本ユニットを含み、少なくとも別の1つの前記カーボンナノチューブ集合体が第2方向に沿って配向・配列する複数の基本ユニットを含み、該第1方向と第2方向との間が0〜180°の狭角、特に45〜135°の狭角を成し、好しくは45°、90°、135°等である。
【0081】
更に、該少なくとも2つのカーボンナノチューブ集合体に加圧して一体構造として結合させることができる。
【0082】
更に、接着剤により該少なくとも2つのカーボンナノチューブ集合体を一体構造として結合させることができる。
【0083】
更に、前記製造方法は、隣接に設けられる2つのカーボンナノチューブ集合体の間に接着剤層又はせん断増粘流体が設けられることを更に含むことができる。
【0084】
更に、前記製造方法は、使用或いは者不使用接着剤及び/又は溶媒を使用或いは使用しないことで、前記緻密化処理を完成させることを更に含む。前記接着剤は、前記に挙げられるものから選択されることができるが、これに限定されない。前記溶媒は、水、有機溶媒(例えばエタノール等)又は無機物或いは有機物を含有する溶液から選択させることができる。
【0085】
幾つかの実施形態において、前記製造方法は、前記カーボンナノチューブ集合体に対しホットプレス処理を行うことで、その中のカーボンナノチューブ分布の緻密度を向上することを更に含む。
【0086】
更に、少なくともローラホットプレス、平面プレス機ホットプレスのうちのいずれか1種又は2種方式の組み合わせを選択して前記カーボンナノチューブ集合体に対しホットプレス処理を行うことができる。
【0087】
前記ホットプレス処理で用いる温度は、室温〜300℃が好ましく、圧力は2〜50Mpaが好ましい。
【0088】
幾つかの好ましい実施形態において、前記製造方法は、少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体内の少なくとも1本のカーボンナノチューブ上にグラフェンを覆うことを更に含む。
【0089】
更に、前記製造方法は、前記カーボンナノチューブ集合体の形成過程中又は前記カーボンナノチューブ集合体が形成された後、少なくとも被覆、浸潤、浸漬、吹付塗装のうちのいずれか1種方式を選択してグラフェンと前記カーボンナノチューブ集合体を構成する複数のカーボンナノチューブとを結合させることを更に含む。
【0090】
本発明の実施例の一つの態様では、カーボンナノチューブ集合体の防刺複合材料製造における用途を提供する。
【0091】
更に、前記防刺複合材料は、
複数のカーボンナノチューブが密集して形成されたカーボンナノチューブ薄膜を含む少なくとも1つのカーボンナノチューブ集合体と、
少なくとも一側の表面上に少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ薄膜で覆われる柔軟な基布と、
を包括する。
【0092】
ここで“密集”の定義は、先に述べた通りとする。例えば実現可能な解決策の一つとして前記カーボンナノチューブ集合体も密集に配列する複数の配向カーボンナノチューブも包括でき、例えば超整列カーボンナノチューブアレイで前記カーボンナノチューブ薄膜を構成できる。
【0093】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体内の複数のカーボンナノチューブにより交り合わせることでカーボンナノチューブ薄膜を形成する。交り合わせる方式は、秩序又は無秩序とすることができる。
【0094】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体は、自己支持性カーボンナノチューブ薄膜として呈することができる。
【0095】
幾つかの好適な実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体は、複数の配向・配列の基本ユニットを包括し、各基本ユニットは複数のカーボンナノチューブにより交り合うことで形成された2次元の平面構造を包括する。
【0096】
更に、複数の前記基本ユニットは、前記少なくとも1つの連続面内に密集して配列され、かつ互いに平行となり、前記カーボンナノチューブ集合体がマクロ構造の秩序化という形態になり、前記連続面が平面又は曲面とする。
【0097】
更に、前記基本ユニット内の複数のカーボンナノチューブが無秩序に交り合わせることで、前記カーボンナノチューブ集合体を微細構造の無秩序化という形態になる。本願の発明者は、偶然にこのようなマクロ構造の秩序化、微細構造の無秩序化という特殊構造を有するナノ炭素耐衝撃性材料が他のカーボンナノチューブ集合形式を有するナノ炭素耐衝撃性材料に比べると、耐衝撃性等の面においてより多くの利点があることを発見し、可能な原因は該特殊構造を有するナノ炭素耐衝撃性材料において、一方、カーボンナノチューブの独自構造により大量の衝撃エネルギーを吸収させることができ、もう一方、カーボンナノチューブとカーボンナノチューブとの間に緻密なネットワーク及び豊富なインターフェースがあるため、十分にマッチさせることができ、従って優れた耐衝撃性を持たせる。
【0098】
幾つかの好ましい実施形態において、複数のカーボンナノチューブ連続体は、前記連続面上に連続的に集合すると共に緻密化処理を経た後で複数の前記基本ユニットが形成され、前記カーボンナノチューブ連続体は、複数のカーボンナノチューブにより無秩序に交り合うことで形成され、かつ緻密化処理の前に密閉型、半密閉型又は開放型の2次元又は3次元の空間構造を呈する。
【0099】
更に、前記カーボンナノチューブ連続体は、化学気相成長法、特に浮遊触媒法で製造して形成される。幾つかの実施例において、前記カーボンナノチューブ連続体は、複数のカーボンナノチューブにより無秩序に交り合うことで形成され、密閉型又は開放型の円筒状となり、かつ一定の長さを有し、一定の基材上に沈着され、緻密化処理を経た後、線状を呈する前記基本ユニットを形成できる。
【0100】
前記カーボンナノチューブ連続体の製造工程は、先に述べた通りとする。
【0101】
好ましくは、隣り合う2つの基本ユニットの縦方向周縁部の間は一定距離をあけ、隣接又は互いに交差して配置される。更に、隣り合う2つの基本ユニットの間の距離は、できる限り小さく、隣り合う2つの基本ユニットの間をより一層マッチ又は互いに支えることで、更に前記ナノ炭素耐衝撃性材料の信頼性及び耐衝撃強度を向上させる。
【0102】
幾つかの好ましい実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体の表面及び/又は内部にグラフェンが更に分布される。
【0103】
例えば少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体内の少なくとも1本のカーボンナノチューブ上にグラフェンシートを覆う。
【0104】
又は、例えば少なくとも1つのグラフェンシートは、前記カーボンナノチューブ集合体内の少なくとも2本のカーボンナノチューブの間に接合される。
【0105】
又は、例えば前記ナノ炭素耐衝撃性材料は、複数のグラフェン集合体を更に包括し、前記複数のグラフェン集合体が少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体と固結される。
【0106】
又は、例えば少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体及び少なくとも1つの前記複数のグラフェン集合体は、2次元平面のマクロ構造を呈し、かつ該少なくとも1つのカーボンナノチューブ集合体及び該少なくとも1つの複数のグラフェン集合体が積層して設けられる。
【0107】
前記実施形態において、カーボンナノチューブとグラフェンの複合を通じてグラフェン大面積の構造特徴を更に利用して応力波を分散し、耐衝撃性材料が単位面積で受けた衝撃エネルギーを低下させ、従って防護効果を更に向上できる。
【0108】
前記各実施形態において、前記カーボンナノチューブの管径は、2nm〜100nmとすることができ、また単層、二層、多層カーボンナノチューブのうちのいずれか1種又は数種の組み合わせから選択させることができる。
【0109】
好ましくは、前記カーボンナノチューブ集合体内のカーボンナノチューブ含有量は、99wt%以上とする。
【0110】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体は、2次元平面のマクロ構造、例えば自己支持性カーボンナノチューブ薄膜とする場合、前記カーボンナノチューブ薄膜の応力≧10MPa、伸び率≧2%となり、長手及び短手方向における引張応力の差の絶対値は長手或いは短手方向における引張応力の20%より小さいか又は等しく、長手及び短手方向における切断時伸びの差の絶対値が長手或いは短手方向における切断時伸びの10%より小さいか又は等しい。
【0111】
好ましくは、前記カーボンナノチューブ薄膜の厚さは、前記柔軟な基布の厚さより小さいか又は等しい。
【0112】
更に、幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体は、多孔質構造を有し、前記多孔質構造に含まれる孔の孔径が10nm〜200nmで、空隙率が10%〜60%とする。このような多孔質構造の存在は、前記カーボンナノチューブ集合体の力学特性に大きな影響を受けない以外に、前記カーボンナノチューブ集合体に良好な透気性を持たせることができる。
【0113】
更に、前記ナノ炭素耐衝撃性材料の厚さは、1〜100μmであり、好ましくは5〜15μmである。
【0114】
更に、前記ナノ炭素耐衝撃性材料の面密度は、2〜20g/mであり、好ましくは5〜10g/mである。
【0115】
更に、前記ナノ炭素耐衝撃性材料の引張強度は、10MPa以上で、弾性率が10GPa以上とする。
【0116】
更に、前記ナノ炭素耐衝撃性材料の引張強度は、90Mpa以上で、好ましくは200MPa以上であり、弾性率が30Gpa以上で、好ましくは60GPa以上である。
【0117】
更に、前記ナノ炭素耐衝撃性材料の耐熱温度範囲は、液体窒素温度〜500℃とする。
【0118】
好ましくは、前記柔軟な基布を構成する高性能繊維の強度≧2.0GPa、弾性率≧80GPa、伸び率が3〜5%とする。
【0119】
好ましくは、前記柔軟な基布は、緯糸なし織物から選択され、前記緯糸なし織物の面密度が35〜180g/mとする。
【0120】
幾つかの実施形態において、前記基布は、超高分子量ポリエチレンの一方向性織物又はアラミドの一方向性織物を含む。
【0121】
幾つかの実施形態において、前記柔軟な基布と前記カーボンナノチューブ集合体は、ホットプレスで結合される。
【0122】
幾つかの実施形態において、前記柔軟な基布及び前記カーボンナノチューブ集合体は、更に接着剤で接着される。前記接着剤は、PVA(ポリビニルアルコール)、ケイ素類、ポリエチレン類又はポリウレタン類の接着剤等から選択させることができるが、これに限定されない。
【0123】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体及び/又は柔軟な基布の表面に樹脂薄膜が付着される。前記樹脂薄膜の材質は、エポキシ、ポリエチレン類或いはポリエステル類の化合物等、例えばPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)或いはPVB(ポリビニルブチラール)が挙げられるがこれに限定されない。
【0124】
本発明の実施例の別の態様では、積層して設けられる複数のサブユニットを含む防刺構造を提供し、各サブユニットが前記防刺複合材料を含む。
【0125】
好ましくは、前記防刺構造は、N個のサブユニットを包括し、Nが4の整数倍である。
【0126】
幾つかの実施形態において、隣り合う2つのサブユニット内の1つのサブユニット内のカーボンナノチューブ集合体の基本ユニットは、第1方向に沿って配向・配列し、もう1つのサブユニット内のカーボンナノチューブ集合体の基本ユニットが第2方向に沿って配向・配列し、該第1方向と第2方向との間が0〜180°の狭角となり、好ましくは45〜135°の狭角となる。
【0127】
本発明の実施例の更なる態様で提供する前記防刺複合材料の製造方法は、
複数のカーボンナノチューブ連続体を1つの連続平面又は曲面上に連続的に集合させると共に緻密化処理を経た後に複数の配向の基本ユニットを形成させ、該複数の基本ユニットが密集して配列されてフィルム状のカーボンナノチューブ集合体を形成させ、前記カーボンナノチューブ連続体が複数のカーボンナノチューブにより無秩序に交り合うことで形成され、かつ緻密化処理の前に密閉型、半密閉型又は開放型の2次元又は3次元の空間構造を呈することと、
前記カーボンナノチューブ集合体を柔軟な基布の表面に覆われることで、前記防刺複合材料になることと、
を包括する。
【0128】
本発明の実施例の更なる態様で提供する防刺複合材料の製造方法は、複数のカーボンナノチューブ連続体を柔軟な基布の表面上に連続的に集合させすると共に緻密化処理を経た後に複数の配向の基本ユニットを形成させ、該複数の基本ユニットが密集して配列されてフィルム状のカーボンナノチューブ集合体を形成させ、従って防刺複合材料になり、前記カーボンナノチューブ連続体は、複数のカーボンナノチューブにより無秩序に交り合うことで形成され、かつ緻密化処理の前に密閉型、半密閉型又は開放型の2次元又は3次元の空間構造を呈することを包括する。
【0129】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ連続体は、浮遊触媒法で製造して形成され、具体的には前に述べた通りとする。
【0130】
幾つかの実施形態において、前記製造方法は、柔軟な基布及び柔軟な基布と結合されるカーボンナノチューブ集合体に対しホットプレス処理を行う。
【0131】
幾つかの実施形態において、前記ホットプレス処理の条件は温度が室温〜140℃で、圧力が1〜30MPa、時間が1min以上である。
【0132】
例えば前記ホットプレス処理は、
温度が110〜120℃で、圧力が1〜4MPa、時間が10〜30minである第1段階と、
温度が120〜140℃で、圧力が15〜30MPa、時間が1〜3minである第2段階と、
を包括する。
【0133】
幾つかの実施形態において、前記ホットプレス処理の条件は、温度が室温で、圧力が1〜30MPaで、時間が1〜30minである。
【0134】
本発明の前記実施例で提供される防刺複合材料は、軽薄、防刺性に優れ、量産化製造に適した特徴を持つ。
【0135】
本発明の実施例の別の態様では、カーボンナノチューブ集合体の防弾複合材料製造における用途を提供し、前記カーボンナノチューブ集合体は複数のカーボンナノチューブが密集して形成された2次元平面のマクロ構造を含む。
【0136】
更に、前記防弾複合材料は、
複数のカーボンナノチューブが密集して形成された2次元平面のマクロ構造を含む少なくとも1つのカーボンナノチューブ集合体と、
少なくとも一側の表面上に少なくとも1つの前記カーボンナノチューブで覆われる織物と、
を包括する。
【0137】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体は、複数のカーボンナノチューブにより交り合わせることで形成された2次元の平面構造を包括する。交り合わせる方式は、秩序又は無秩序とすることができる。
【0138】
幾つかの好適な実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体は、複数の配向・配列の基本ユニットを包括し、各基本ユニットは複数のカーボンナノチューブにより交り合わせることで形成された2次元の平面構造を包括する。
【0139】
更に、複数の前記基本ユニットは、1つの連続面内に密集して配列され、かつ互いに平行となり、前記カーボンナノチューブ集合体がマクロ構造の秩序化という形態になる。
【0140】
前記連続面は、幾つかの基材から提供され、例えば加圧ロールの円弧形受取面、ポリマー薄膜、織物等とすることができるが、これに限定されない。よって、前記連続面は、平面又は曲面とすることができる。
【0141】
更に、前記基本ユニット内の複数のカーボンナノチューブが無秩序に交り合わせることで、前記カーボンナノチューブ集合体を微細構造の無秩序化という形態になる。本願の発明者は、偶然にこのようなマクロ構造の秩序化、微細構造の無秩序化という特殊構造を有するカーボンナノチューブ集合体が他のカーボンナノチューブ集合形式を有する防弾材料に比べると、防弾性等の面においてより多くの利点があることを発見し、可能な原因は該特殊構造を有するカーボンナノチューブ集合体において、一方、カーボンナノチューブの独自構造により大量の衝撃エネルギーを吸収させることができ、もう一方、カーボンナノチューブとカーボンナノチューブとの間に緻密なネットワーク及び豊富なインターフェースがあるため、十分にマッチさせることができ、従って優れた防弾性を持たせる。
【0142】
幾つかの好適な実施形態において、複数のカーボンナノチューブ連続体を前記連続面上に連続的に集合させると共に緻密化処理を経た後に複数の前記基本ユニットを形成させる。
【0143】
前記カーボンナノチューブ連続体は、複数のカーボンナノチューブにより無秩序に交り合うことで形成され、かつ緻密化処理の前に密閉型、半密閉型又は開放型の2次元又は3次元の空間構造を呈する。
【0144】
更に、前記カーボンナノチューブ連続体は、浮遊触媒法で製造して形成される。
【0145】
幾つかの代表的な前記カーボンナノチューブ連続体は、複数のカーボンナノチューブにより無秩序に交り合うことで形成され、密閉型又は開放型の円筒状となり、かつ一定の長さを有し、一定の基材上に沈着され、緻密化処理を経た後、線状を呈する前記基本ユニットを形成できる。
【0146】
更に具体的には、前記カーボンナノチューブ連続体の製造工程は、先行文献を参考にでき、例えば触媒を通じて高温で分解させ、炭素源ガスを吹き込んで成長させて単層又は多層のカーボンナノチューブ連続体が得られ、次にこのような連続体を連続した平面或いは曲面(すなわち、前に述べた連続面)内に集合させて前記カーボンナノチューブ集合体を形成させ、前記カーボンナノチューブ集合体は自己支持性又は非自己支持性カーボンナノチューブ薄膜とすることができる。
【0147】
更に、前記カーボンナノチューブ連続体の製造工程も、先に述べた通りとすることができる。
【0148】
好ましくは、隣り合う2つの基本ユニットの縦方向周縁部の間は一定距離をあけ、隣接又は互いに交差して配置される。更に、隣り合う2つの基本ユニットの間の距離は、できる限り小さく、隣り合う2つの基本ユニットの間をより一層マッチ又は互いに支えることで、更に前記ナノ炭素耐衝撃性材料の信頼性及び耐衝撃強度を向上させる。
【0149】
幾つかの実施例において、前記製造工程を介して連続したカーボンナノチューブ連続体を製造し、更に巻き取り方式により厚さを制御(好ましくは>10nm)できる前記カーボンナノチューブ集合体(カーボンナノチューブ薄膜)が得られ、このようなカーボンナノチューブ薄膜がマクロ構造の秩序化(マクロ上で比較的良好な配向性を有する)、微細構造の無秩序化(カーボンナノチューブ同士間が同一面内に随意接合する)という特徴を呈し、その厚さをナノスケールからミクロンからミリミクロンまで制御できる。
【0150】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ連続体は、積層して設けられる2つ以上のものとすることができ、隣接に設けられる2つの前記カーボンナノチューブ集合体の間は、コールドプレス、ホットプレス等の方式を通じて直接結合できる。カーボンナノチューブは、高比表面積の特性を持つため、各カーボンナノチューブ集合体をしっかりと結合させると共にその環境耐候性を向上させることができ、かつ接着剤の使用等でもたらす幾つかの問題を避けることができる。
【0151】
更に、幾つかの実施形態において、隣接に設けられる2つの前記カーボンナノチューブ集合体の間に接着剤層が設けられることもできる。
【0152】
更に、幾つかの実施形態において、隣接に設けられる2つの前記カーボンナノチューブ集合体の間にせん断増粘流体が更に設けられことができる。
【0153】
幾つかの好ましい実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体の表面及び/又は内部にグラフェンが更に分布される。
【0154】
例えば少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体内の少なくとも1本のカーボンナノチューブ上にグラフェンシートを覆う。
【0155】
又は、例えば少なくとも1つのグラフェンシートは、前記カーボンナノチューブ集合体内の少なくとも2本のカーボンナノチューブの間に接合される。
【0156】
又は、例えば前記ナノ炭素耐衝撃性材料は、複数のグラフェン集合体を更に包括し、前記複数のグラフェン集合体が少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体と固結される。
【0157】
又は、例えば少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体及び少なくとも1つの前記複数のグラフェン集合体は、2次元平面のマクロ構造を呈し、かつ該少なくとも1つのカーボンナノチューブ集合体及び該少なくとも1つの複数のグラフェン集合体が積層して設けられる。
【0158】
前記実施形態において、カーボンナノチューブとグラフェンの複合を通じてグラフェン大面積の構造特徴を更に利用して応力波を分散し、耐衝撃性材料が単位面積で受けた衝撃エネルギーを低下させ、従って防護効果を更に向上できる。
【0159】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ連続体の厚さは、1〜100μmであり、好ましくは5〜15μmである。
【0160】
更に、前記カーボンナノチューブ連続体の面密度は、2〜20g/mであり、好ましくは5〜10g/mである。
【0161】
更に、前記カーボンナノチューブ連続体の引張強度は、10Mpa以上で、好ましくは90MPa以上であり、より好ましくは200MPa以上であり、弾性率が10Gpa以上であり、好ましくは30GPa以上であり、より好ましくは60MPa以上である。
【0162】
更に、前記カーボンナノチューブ連続体の耐熱温度範囲は、液体窒素温度〜500℃とする。
【0163】
幾つかの好適な実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体は、カーボンナノチューブ薄膜で、かつ前記カーボンナノチューブ薄膜の基本ユニットの配向方向における強度が50MPa〜12GPaであり、好ましくは120MPa〜1GPaであり、該配向方向に直交する強度が30MPa〜10GPaであり、好ましくは60MPa〜800MPaである。
【0164】
前記各実施形態において、前記カーボンナノチューブの管径は、2nm〜100nmとすることができ、また単層、二層、多層カーボンナノチューブのうちのいずれか1種又は数種の組み合わせから選択させることができる。
【0165】
更に、幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体は、多孔質構造を有し、前記多孔質構造に含まれる孔の孔径が10nm〜200nmで、空隙率が10%〜60%とする。このような多孔質構造の存在は、前記カーボンナノチューブ集合体の力学特性に大きな影響を受けない以外に、前記カーボンナノチューブ集合体に良好な透気性を持たせることができる。
【0166】
幾つかの実施形態において、前記織物を構成する単糸の引張強度は22CN/dtex以上であり、好ましくは35CN/dtex以上である。
【0167】
幾つかの好適な実施形態において、前記織物は、高性能繊維織物から選択され、前記高性能繊維織物は緯糸なし織物及び/又は交織布が挙げられる。
【0168】
前記高性能繊維織物を構成する高性能繊維は、超高分子量ポリエチレン繊維、アラミド繊維及びポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維のいずれか1種又は数種の組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。
【0169】
好ましくは、前記高性能繊維織物の面密度は、35〜220g/mであり、より好ましくは120〜160g/mである。
【0170】
幾つかの実施形態において、前記防弾複合材料は、積層して設けられる少なくとも二層の織物及び/又は積層して設けられる少なくとも2つの前記カーボンナノチューブ集合体を包括し、前記カーボンナノチューブ集合体がフィルム状である。
【0171】
更に、隣接する二層の織物間に少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体が分布され、及び/又は、隣接する2つの前記カーボンナノチューブ集合体の間に少なくとも一層の前記織物が分布される。
【0172】
幾つかの実施形態において、隣接する二層の織物が緯糸なし織物で、かつうちの一層の織物の経糸配向方向と他層の織物の経糸配向方向との間で0〜180°の狭角を成し、例えば45°〜135°範囲内の適した角度とすることができる。
【0173】
幾つかの実施形態において、隣接する二層の織物間の少なくとも1つのカーボンナノチューブ集合体内の基本ユニットの配向方向は、うちの少なくとも1つの織物内の経糸配向方向と同じ、前記織物が緯糸なし織物である。
【0174】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの織物の裏向ける両側表面に前記カーボンナノチューブ集合体が結合される。
【0175】
幾つかの実施形態において、うちの1つの織物が交織布で、かつ該織物両側に分布する2つのフィルム状となる前記カーボンナノチューブ集合体の構造が対称となる。
【0176】
幾つかの好ましい実施例において、高性能繊維織物を1つの構造ユニットAとし、カーボンナノチューブ集合体(特にカーボンナノチューブ薄膜)を構造ユニットBとし、
1、高性能繊維織物が緯糸なし織物の場合
Aの特徴:前記緯糸なし織物で0/90(隣接する二層の緯糸なし織物内の経糸配向が直交するため、うちの1つの緯糸なし織物Aの経糸配向を0°と定め、別の緯糸なし織物A90の経糸配向を90°に定めることができ、0/90と略記する)を通じて交互に積層してからなることができ、
Bの特徴:2つ以上のカーボンナノチューブ集合体が積層し(2つのカーボンナノチューブ集合体の基本ユニット配向が直交するため、うちの1つのカーボンナノチューブ集合体Bの基本ユニット配向を0°と定め、別のカーボンナノチューブ集合体B90の基本ユニット配向を90°と定めることができる)、
ここで、Bは>一層の方式でA内に挿入し、插入方式:AとB配向方向が同一(A内のいずれかの緯糸なし織物の経糸配向がB内のいずれかのカーボンナノチューブ集合体内の基本ユニットの配向と同じ)、
又は、ここでB≧一層で複合し、A、A90の一側表面或いは両側表面若しくはAの一側表面或いは両側表面で行うことができる。
2、高性能繊維織物が交織布の場合
B(定義は前述の通り)が>一層の方式でA(二層の交織布が積層してなることができる)内に挿入し、又はA(一層の交織布)をB内に挿入する。
Aの上下表面に存在するBは構造が対称となること。例えば、BAB9090AB(順次に積層する)、B90AB90のユニット構造を形成できる。
【0177】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体と前記織物との間は、真空処理、コールドプレス或いはホットプレス処理を経て密着する。
【0178】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体と前記織物の間が接着剤を通じて結合する。
【0179】
幾つかの実施形態において、前記カーボンナノチューブ集合体の表面に第1接着剤分子が分布され、及び/又は前記織物の前記カーボンナノチューブ集合体とマッチする表面上に第2接着剤分子が分布され、前記第1接着剤分子と第2接着剤分子は、同一或いは異なる。
【0180】
本発明の実施例の別の態様で提供する前記防弾複合材料の製造方法は、
複数のカーボンナノチューブ連続体を1つの連続面上に連続的に集合させすると共に緻密化処理を経た後に複数の配向の基本ユニットを形成させ、該複数の基本ユニットが密集して配列されて2次元平面のマクロ構造を有するカーボンナノチューブ集合体を形成させ、前記カーボンナノチューブ連続体は複数のカーボンナノチューブにより無秩序に交り合うことで形成され、かつ緻密化処理の前に密閉型、半密閉型又は開放型の2次元又は3次元の空間構造を呈することと、
前記カーボンナノチューブ集合体と織物の表面を固着して前記防弾複合材料になることと、
を含む。
【0181】
好ましくは、前に述べたことを参照すると、前記カーボンナノチューブ連続体は、浮遊触媒法で製造して形成される。
【0182】
更に、前記連続面は、平面或いは曲面とする。
【0183】
更に、前記製造方法は、接着剤及び/又は溶媒を使用或いは使用しないことで、前記緻密化処理を完成させることを更に含む。前記接着剤は、前記に挙げられるものから選択されることができるが、これに限定されない。前記溶媒は、水、有機溶媒(例えばエタノール等)又は無機物或いは有機物を含有する溶液から選択させることができる。
【0184】
幾つかの実施形態において、前記製造方法は、前記カーボンナノチューブ集合体に対しホットプレス処理を行うことで、その中のカーボンナノチューブ分布の緻密度を向上することを更に含む。
【0185】
更に、少なくともローラホットプレス、平面プレス機ホットプレスのうちのいずれか1種又は2種方式の組み合わせを選択して前記カーボンナノチューブ集合体に対しホットプレス処理を行うことができる。
【0186】
前記ホットプレス処理で用いる温度は、室温〜300℃が好ましく、圧力は2〜50Mpaが好ましい。
【0187】
幾つかの好ましい実施形態において、前記製造方法は、少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体内の少なくとも1本のカーボンナノチューブ上にグラフェンを覆うことを更に含む。
【0188】
更に、前記製造方法は、前記カーボンナノチューブ集合体の形成過程中又は前記カーボンナノチューブ集合体が形成された後、少なくとも被覆、浸潤、浸漬、吹付塗装のうちのいずれか1種方式を選択してグラフェンと前記カーボンナノチューブ集合体を構成する複数のカーボンナノチューブとを結合させることを更に含む。
【0189】
幾つかの実施形態において、前記製造方法は、
少なくとも二層の織物を積層して設けて基本構造ユニットを形成することと、
前記基本構造ユニットの少なくとも一側表面に少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体、及び/又は前記基本構造ユニット内に少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体を嵌め込むことと、
を包括する。
【0190】
幾つかの実施形態において、前記織物は緯糸なし織物で、少なくとも1つのカーボンナノチューブ集合体内の基本ユニットの配向方向が少なくとも1つの織物内の経糸配向方向と同じである。
【0191】
幾つかの実施形態において、前記織物が交織布で、かつ前記基本構造ユニットの裏向ける両側表面を覆う2つのカーボンナノチューブ集合体の構造が対称となる。
【0192】
幾つかの実施形態において、前記製造方法は、前記カーボンナノチューブ集合体と織物の表面の間に接着剤を設けることで、前記カーボンナノチューブ集合体と織物を接着させることを包括する。
【0193】
前記高性能繊維織物の表面に一定の接着剤分子Cがあってもよい。
【0194】
前記カーボンナノチューブ集合体表面に接着剤分子Dがあっても、或いはなくてもよい。
【0195】
前記接着剤分子C及びDは、同種又は異種の接着剤分子とすることができるが、両者の 結合によってもいずれか1種の使用性能が下がってはならない。
【0196】
幾つかの実施形態において、前記製造方法は、少なくとも真空処理、ホットプレス、コールドプレスのうちのいずれか方式を選択して、前記織物と前記カーボンナノチューブ集合体の間の空気を追い出すことで、前記カーボンナノチューブ集合体と織物を密着させることを包括する。
【0197】
本発明の前記実施例の防弾複合材料は、密度が小さく、軽薄、柔軟性に優れ、環境耐候性も良好で、防弾性に優れ、量産化製造適合等の特徴を持つ。
【実施例】
【0198】
以下、更に本発明を理解するため、若干の実施例及び添付図面を組み合わせて本発明に対し詳細に説明する。ただし、本明細書の内容を参照して工程パラメータを改善して実現できることが業者には明白であろう。言及すべき点は、全ての類似する置換及び修正が当業者にとって自明であり、それらは、本発明に含まれる。本発明の応用は、すでに好ましい実施例を通じて記述され、当業者は本発明の内容、精神及び範囲とから外れることなく、本明細書に記載されている応用に対し修正又は適切な変更や組み合わせを行うことで、本発明の技術を明らかに実現及び応用できる。
【0199】
(実施例1)
本実施例に係るナノ炭素耐衝撃性材料の製造工程は、
カーボンナノチューブの間のファンデルワールス力作用により、高温炉内で成長した円筒状の中空カーボンナノチューブ連続体(非特許文献1参照)を空気の浮力作用において、円筒横置型ロール上に巻き付け、ロールも自転しながら軸方向に向かって往復移動でき、移動距離がロールの長さであり、連続して一定時間巻き取った後、得られたカーボンナノチューブ集合体の連続表面にエタノールをスプレーし、同時に円筒形スチールロールで加圧(図1)を行い、圧力が約4MPaとする。室温下で溶媒を揮発させた後、支持ロール上から取り外し、自己支持性ナノ炭素薄膜(外形は図2乃至図4を参照)を形成し、その厚さが約7μmで、面密度が約3g/mであるステップ1)と、
更に図1を参照すると、ステップ1)で得られた自己支持性ナノ炭素薄膜をプレス機でプレス処理することで、更に薄膜の密度が高まり、用いる圧力が15MPaで、温度が約90℃、時間が約2時間であり、最終的に得られた前記ナノ炭素耐衝撃性材料の平均厚さが約5umで、平均面密度が約3g/m、平均引張強度が約800MPa、平均弾性率が約120GPa、平均切断時伸びが約9%となるステップ2)と、
を包括する。
【0200】
(実施例2)
本実施例に係るナノ炭素耐衝撃性材料の製造工程は、
実施例1のカーボンナノチューブ製造工程を参照し、カーボンナノチューブの間のファンデルワールス力作用により、高温炉内で成長した円筒状の中空カーボンナノチューブ連続体(前記の代表的な例内で記載されているカーボンナノチューブ連続体の製造工程を参照)を空気の浮力作用において、円筒横置型ロール上に巻き付け、ロールも自転しながら軸方向に向かって往復移動でき、移動距離がロールの長さであり、連続して一定時間巻き取った後、得られたカーボンナノチューブ集合体の連続表面にグラフェンアルコール溶液(濃度が約0.1wt%〜5wt%で、アルコール溶媒はプロパノール、エタノール、エチレングリコール等とすることができ、アルコールと水の混合溶媒でもよい)をスプレーし、同時に円筒形スチールロールで加圧(図1)を行い、圧力が約4MPaとする。室温下で溶媒を揮発させた後、支持ロール上から取り外し、自己支持性ナノ炭素薄膜を形成し、その厚さが約12μmで、面密度が約6.5g/mであるステップ1)と、
ステップ1)で得られたナノ炭素薄膜をプレス機でプレス処理することで、更に薄膜の密度が高まり、圧力が2MPaで、温度が約90℃、時間が約4時間であり、最終的に得られたナノ炭素耐衝撃性材料の平均厚さが約10umで、平均面密度が約6.5g/m、平均引張強度が約1200MPa、平均弾性率が約140GPa、平均切断時伸びが約7%となるステップ2)と、
を包括する。
【0201】
(実施例3)
本実施例に係るナノ炭素耐衝撃性材料の製造工程は、
実施例1のカーボンナノチューブ製造工程を参照し、カーボンナノチューブの間のファンデルワールス力作用により、高温炉内で成長した円筒状の中空カーボンナノチューブ連続体(実施例1〜2参照)を空気の浮力作用において、円筒横置型ロール上に巻き付け、ロールも自転しながら軸方向に向かって往復移動でき、連続して一定時間巻き取った後、得られたカーボンナノチューブ集合体の連続表面にグラフェンポリウレタン溶液(濃度が約0.1wt%〜5wt%である)をスプレーし、同時に円筒形スチールロールで加圧を行い、圧力が約4MPaとする。室温下で溶媒を揮発させた後、支持ロール上から取り外し、自己支持性ナノ炭素薄膜を形成し、その厚さが約17μmで、面密度が約8g/mであるステップ1)と、
ステップ1)で得られたナノ炭素薄膜をプレス機でプレス処理することで、更に薄膜の密度が高まり、圧力が90MPaで、温度が約110℃、時間が約2時間であり、最終的に得られたナノ炭素耐衝撃性材料の平均厚さが約13umで、平均面密度が約8g/m、平均引張強度が約600MPa、平均弾性率が約80GPa、平均切断時伸びが約12%となるステップ2)と、
を包括する。
【0202】
(実施例4)
本実施例渉に係るナノ炭素耐衝撃性材料の製造工程は、
炭素源ガスは、金属触媒(実施例2参照)の作用下で、高温条件により連続的なカーボンナノチューブ連続体を成長させ、得られた連続体を2次元の平面内で絶え間なく集合させ、かつ平行に並んでカーボンナノチューブ薄膜を形成させ、カーボンナノチューブは単層、二層、多層のうちの1種又は2種以上が挙げられ、管径が2〜100nmの範囲で、カーボンナノチューブ同士の間がファンデルワールス力で結合され、形成されたカーボンナノチューブ薄膜の厚さが約5〜15um、面密度が約3〜7g/mであるステップ1)と、
ステップ1)で得られたナノ炭素薄膜をプレス機でプレス処理することで、更に薄膜の密度が高まり、室温下でプレス加工し、圧力が120MPaで、時間が約1時間であり、最終的に得られた薄膜の平均引張強度が約300MPa、平均弾性率が約130GPa、平均切断時伸びが約12%となるステップ2)と、
を包括する。
【0203】
(実施例5)
本実施例に係るナノ炭素耐衝撃性材料の製造工程は、
炭素源ガスの高温分解を通じてカーボンナノチューブ連続体(実施例2参照)を形成し、平面に巻き取った集合体により薄膜材料を形成し、該薄膜材料の平均厚さは約22μm、平均面密度が約6.5g/m、平均引張強度が約3〜50MPa、平均弾性率が約15GPa、平均切断時伸びが約25%であるステップを包括する。
【0204】
(実施例6)
実施例1で得られた1つのナノ炭素耐衝撃性材料を取って1つの基本ユニットとし、4つの基本ユニットを取って積層し、頂部層上のカーボンナノチューブ集合体の配向角度を0°と定め、2層目上のカーボンナノチューブ集合体の配向角度を90°(すなわち、頂部層のカーボンナノチューブ集合体の配向と直交する)と定め、3層目上のカーボンナノチューブ集合体の配向角度を0°(つまり頂部層のカーボンナノチューブ集合体の配向と同じ)と定め、底層上のカーボンナノチューブ集合体の配向角度を90°(つまり頂部層のカーボンナノチューブ集合体の配向と直交する)と定め、そしてプレス加工を行うことで、形成された構造をA[0/90/0/90])と定義する。類似の方式を参照して別に4つの基本ユニットを取って積層してB[0/45/90/135]が形成する。
400層以上のナノ炭素薄膜をA/B/A/Bの方式により積層してからプレス加工を行うことで、複合構造を有するナノ炭素耐衝撃性材料が形成される。
前記A、B構造層内の隣り合う基本ユニットと基本ユニットの間、及び隣り合うA、B構造層の間は、ポリウレタン接着剤で接着する。
【0205】
(実施例7)
実施例6の形態を参照して、実施例2で得られた1つのナノ炭素耐衝撃性材料を取って1つの基本ユニットとし、A[0/90/0/90]、B[0/45/90/135]構造層(図5a乃至図5b参照)を構築した後、複合構造を有するナノ炭素耐衝撃性材料が形成される。
【0206】
(実施例8)
実施例6の形態を参照して、実施例3で得られた1つのナノ炭素耐衝撃性材料を1つの基本ユニットを構築して複合構造を有するナノ炭素耐衝撃性材料が形成される。
【0207】
実施例6乃至実施例8で得られた複合構造を有するナノ炭素耐衝撃性材料の性能テストの結果を表1にまとめた。
【0208】
(実施例9)
市販されているカーボンナノチューブ粉末を取り、ろ過法で製造してバッキーペーパー状のカーボンナノチューブ薄膜が形成され、その厚さは約40μmで、面密度が約12g/m、引張強度が約10MPa、弾性率が約2GPa、切断時伸びが約3%である。
【0209】
(実施例10)
紡糸可能なカーボンナノチューブアレイを取り、引き出して超整列カーボンナノチューブ薄膜が形成され、その厚さは約7μmで、面密度が約6g/m、引張強度が約400MPa、弾性率が約45GPa、切断時伸びが約3%である。
【0210】
(実施例11)
1)カーボンナノチューブ薄膜の製造:炭素源ガスは、金属触媒の作用下で、高温条件により連続的なカーボンナノチューブ連続体(非特許文献1参照)を成長させ、連続体を2次元の平面内で絶え間なく集合させ、かつ平行に並んでカーボンナノチューブ薄膜を形成させ、カーボンナノチューブは単層、二層、多層のうちの1種又は2種以上が挙げられ、管径が2〜100nmの範囲で、カーボンナノチューブ同士の間がファンデルワールス力で結合され、その後、プレス機でカーボンナノチューブ薄膜(該過程も図1を参照)をプレス処理することで、更に薄膜の密度を高め、使用する圧力は15MPaで、温度が約90℃、時間が約2h、最終的に得られたカーボンナノチューブ薄膜(外形は図2乃至図4に示すものと類似する)の平均面密度が約5g/mで、平均引張強度が約300MPa、平均弾性率が約60Gpa、平均断裂伸長が約10%であり、
2)超高分子量ポリエチレンの一方向性織物:表面に接着剤を含浸させた超高分子量ポリエチレン繊維(引張強度が約22CN/dtex)を平面内において平行に並んで一方向性織物を形成し、一方向性織物の面密度が約40g/mであり、
3)一層のステップ1)で得られたカーボンナノチューブ薄膜と一層の超高分子量ポリエチレンの一方向性織物をホットプレスして複合し、1つのサブユニットが得られ、ホットプレス処理方法は、
温度が110℃、圧力が2MPa、時間が10minである第1段階と、
温度が130℃、圧力が25MPa、時間が1minである第2段階と、を含み、その後自然空冷し、
4)ステップ3)で得られた4つのサブユニットを0/90/45/−45(1つ目のサブユニット内の一方向性織物の経糸配向を0°と定め、2つ目のサブユニット内の一方向性織物の経糸配向を90°と定め、3つ目のサブユニット内の一方向性織物の経糸配向を45°と定め、4つ目のサブユニット内の一方向性織物の経糸配向を−45°と定め、0/90/45/−45と略記する)に従い1つの構造層として積層し、
5)30個の構造層を積層して防刺構造を形成し、動的穿刺試験を行う。
【0211】
(実施例12)
1)カーボンナノチューブ薄膜の製造:炭素源ガスは、金属触媒の作用下で、高温条件により連続的なカーボンナノチューブ連続体(前記の代表的な実施形態を参照)を成長させ、連続体を2次元の平面内で絶え間なく集合させ、かつ平行に並んでカーボンナノチューブ薄膜を形成させ、カーボンナノチューブは単層、二層、多層のうちの1種又は2種以上が挙げられ、管径が2〜100nmの範囲で、カーボンナノチューブ同士の間がファンデルワールス力で結合され、その後、プレス機でカーボンナノチューブ薄膜をプレス処理することで、更に薄膜の密度を高め、使用する圧力は2MPaで、温度が約90℃、時間が約4時間、最終的に得られたカーボンナノチューブ薄膜の平均面密度が約5.5g/mで、平均引張強度が約200MPa、平均弾性率が約45Gpa、平均断裂伸長が約18%であり、
2)アラミド繊維の一方向性織物:表面に接着剤を含浸させたアラミド繊維(引張強度が約22CN/dtex)を平面内において平行に並んで一方向性織物を形成し、一方向性織物の面密度が約110g/mであり、
3)一層のステップ1)で得られたカーボンナノチューブ薄膜と一層のアラミド繊維の一方向性織物をホットプレスして複合し、1つのサブユニットが得られ、ホットプレス処理方法は、
温度が110℃、圧力が2MPa、時間が10minである第1段階と、
温度が130℃、圧力が25MPa、時間が1minである第2段階と、を含み、その後自然空冷し、
4)ステップ3)で得られた4つのサブユニットを0/90/45/−45(1つ目のサブユニット内の一方向性織物の経糸配向を0°と定め、2つ目のサブユニット内の一方向性織物の経糸配向を90°と定め、3つ目のサブユニット内の一方向性織物の経糸配向を45°と定め、4つ目のサブユニット内の一方向性織物の経糸配向を−45°と定め、0/90/45/−45と略記する)に従い1つの構造層として積層し、
5)30個の構造層を積層して防刺構造を形成し、動的穿刺試験を行う。
【0212】
(実施例13)
1)カーボンナノチューブ薄膜の製造:炭素源ガスは、金属触媒の作用下で、高温条件により連続的なカーボンナノチューブ連続体(実施例12参照)を成長させ、連続体を2次元の平面内で絶え間なく集合させ、かつ平行に並んでカーボンナノチューブ薄膜を形成させ、カーボンナノチューブは単層、二層、多層のうちの1種又は2種以上が挙げられ、管径が2〜100nmの範囲で、カーボンナノチューブ同士の間がファンデルワールス力で結合され、その後、プレス機でカーボンナノチューブ薄膜をプレス処理することで、更に薄膜の密度を高め、室温下でプレス加工し、圧力は120MPaで、時間が約1時間、最終的に得られたカーボンナノチューブ薄膜の平均面密度が約5g/mで、平均引張強度が約200MPa、平均弾性率が約45Gpa、平均断裂伸長が約18%であり、
2)超高分子量ポリエチレンの一方向性織物:表面に接着剤を含浸させた超高分子量ポリエチレン繊維を平面内において平行に並んで一方向性織物を形成し、一方向性織物の面密度が約40g/mであり、
3)一層のステップ1)で得られたカーボンナノチューブ薄膜と一層の超高分子量ポリエチレンの一方向性織物をホットプレスして複合し、1つのサブユニットが得られ、ホットプレス処理方法は、
温度が110℃、圧力が2MPa、時間が10minである第1段階と、
温度が130℃、圧力が25MPa、時間が1minである第2段階と、を含み、その後自然空冷し、
4)ステップ3)で得られた4つのサブユニットを0/45/90/−45に従い1つの構造層として積層し、
5)10個の構造層を積層して防刺構造を形成し、動的穿刺試験を行う。
【0213】
(比較例1)
実施例11内の超高分子量ポリエチレンの10つのユニットを取って積層して動的試験を行う。
【0214】
(比較例2)
実施例12内のアラミドの8つのユニットを取って積層して動的試験を行う。
【0215】
(実施例14)
市販されているカーボンナノチューブ粉末を取り、ろ過法で製造してバッキーペーパー状のカーボンナノチューブ薄膜が形成され、その厚さは約40μmで、面密度が約12g/m、引張強度が約10MPa、弾性率が約2GPa、切断時伸びが約3%である。更に前記バッキーペーパー状のカーボンナノチューブ薄膜を実施例11内のカーボンナノチューブ薄膜に取り換え、また実施例11の形態を参照して、前記バッキーペーパー状のカーボンナノチューブ薄膜と超高分子量ポリエチレンの一方向性織物を結合して防刺複合材料を形成し、その平均面密度は約170g/mで、最大穿刺深度が約50cmである。
【0216】
(実施例15)
紡糸可能なカーボンナノチューブアレイを取り、引き出して超整列カーボンナノチューブ薄膜が形成され、その厚さは約7μmで、面密度が約6g/m、引張強度が約400MPa、弾性率が約45GPa、切断時伸びが約3%である。更に前記超整列カーボンナノチューブ薄膜を実施例12内のカーボンナノチューブ薄膜に取り換え、また実施例12の形態を参照して、前記超整列カーボンナノチューブ薄膜とアラミド繊維の一方向性織物を結合して防刺複合材料を形成し、その平均面密度は約115g/mで、最大突き刺し深さが約18cmである。最大負荷が約850Nである。
【0217】
(実施例16)
1)カーボンナノチューブの間のファンデルワールス力作用により、高温炉内で成長した円筒状の中空カーボンナノチューブ連続体(非特許文献1参照)を空気の浮力作用において、円筒横置型ロール上に巻き付け、ロールも自転しながら軸方向に向かって往復移動でき、移動距離がロールの長さであり、連続して一定時間巻き取った後、得られたカーボンナノチューブ集合体の連続表面にエタノールをスプレーし、同時に円筒形スチールロールで加圧(該過程も図1を参照)を行い、圧力が約4MPaとする。室温下で溶媒を揮発させた後、支持ロール上から取り外し、自己支持性ナノ炭素薄膜を形成し、その後、プレス機でプレス処理することで、更に薄膜の密度を高め、使用する圧力は15MPaで、温度が約90℃、時間が約2時間、最終的に得られたカーボンナノチューブ薄膜(外形は図2乃至図4に示すものと類似する)の平均面密度が約5.5g/mで、平均引張強度が約300MPa、平均弾性率が約60Gpa、平均断裂伸長が約10%であり、Mとマークし、
2)超高分子量ポリエチレンの緯糸なし織物:一層の4つの一方向性織物を0/90/0/90(定義は、前記に同じ)に従い積層して形成し、その面密度は約120g/mで、Pとマークし、
3)構造設計:上下両側がいずれも12つのPを積層した構造であり、中間が60つのM層を積層した構造で、12P/60M/12Pとマークし、
4)コールドプレス処理:圧力が8MPa、時間を30minで防弾複合材料が得られ、その性能テストデータを表3にまとめた。
【0218】
(実施例17)
1)実施例16のカーボンナノチューブ製造工程を参照し、カーボンナノチューブの間のファンデルワールス力作用により、高温炉内で成長した円筒状の中空カーボンナノチューブ連続体(前記の代表的な例内で記載されているカーボンナノチューブ連続体の製造工程を参照)を空気の浮力作用において、円筒横置型ロール上に巻き付け、ロールも自転しながら軸方向に向かって往復移動でき、移動距離がロールの長さであり、連続して一定時間巻き取った後、得られたカーボンナノチューブ集合体の連続表面にグラフェンアルコール溶液(濃度が約0.1wt%〜5wt%で、アルコール溶媒はプロパノール、エタノール、エチレングリコール等とすることができ、アルコールと水の混合溶媒でもよい)をスプレーし、同時に円筒形スチールロールで加圧(図1参照可)を行い、圧力が約4MPaとする。室温下で溶媒を揮発させた後、支持ロール上から取り外し、自己支持性ナノ炭素薄膜を形成し、その後、プレス機でプレス処理することで、更に薄膜の密度を高め、圧力は2MPaで、温度が約90℃、時間が約4時間、最終的に得られたカーボンナノチューブ薄膜の平均面密度が約5.5g/mで、平均引張強度が約450MPa、平均弾性率が約90Gpa、平均断裂伸長が約7%であり、Mとマークし、
2)超高分子量ポリエチレンの緯糸なし織物:一層の4つの一方向性織物を0/90/0/90(定義は、前記に同じ)に従い積層して形成し、その面密度は約120g/mで、Pとマークし、
3)構造設計:上下両側が各々7つ、17つのPを積層した構造であり、中間が60つのM層を積層した構造で、7P/60M/17Pとマークし、
4)コールドプレス処理:圧力が8MPa、時間を30minで防弾複合材料が得られ、 その性能テストデータを表3にまとめた。
【0219】
(実施例18)
1)炭素源ガスは、金属触媒(実施例17参照)の作用下で、高温条件により連続的なカーボンナノチューブ連続体を成長させ、得られた連続体を2次元の平面内で絶え間なく集合させ、かつ平行に並んでカーボンナノチューブ薄膜を形成させ、カーボンナノチューブは単層、二層、多層のうちの1種又は2種以上が挙げられ、管径が2〜100nmの範囲で、カーボンナノチューブ同士の間がファンデルワールス力で結合され、平面に巻き取ることで、カーボンナノチューブ薄膜が形成され、その後、プレス機でプレス処理することで、更に薄膜の密度を高め、室温でプレス加工し、圧力は10MPaで、時間が約1時間、最終的に得られた薄膜の平均面密度が約5.5g/mで、平均引張強度が約200MPa、平均弾性率が約45Gpa、平均断裂伸長が約18%であり、Mとマークし、
2)超高分子量ポリエチレンの緯糸なし織物:一層の4つの一方向性織物を0/90/0/90に従い積層して形成し、その面密度は約120g/mで、Pとマークし、
3)構造設計:上下両側が17つ、7つのPを積層した構造であり、中間が60つのM層を積層した構造で、17P/60M/7Pとマークし、
4)コールドプレス処理:圧力が8MPa、時間を30minで防弾複合材料が得られ、その性能テストデータを表3にまとめた。
【0220】
(実施例19)
1)カーボンナノチューブは、炭素源ガスの高温分解を通じて連続体を形成し、平面に巻き取った集合体により薄膜材料を形成し、面密度が約5.5g/m、引張強度が約200MPa、弾性率が約45GPa、切断時伸びが約18%であり、Pとマークし、
2)超高分子量ポリエチレンの緯糸なし織物:一層の4つの一方向性織物を0/90/0/90に従い積層して形成し、その面密度は約120g/mで、Pとマークし、
3)構造設計:1つPと2つMを積層して1個の構造ユニットが形成され、24個の構造ユニットを積層し、(1P/2M)24とマークし、
4)コールドプレス処理:圧力が8MPa、時間を30minで防弾複合材料が得られ、その性能テストデータを表3にまとめた。
【0221】
(比較例3)
超高分子量ポリエチレンの緯糸なし織物:一層の4つの一方向性織物を0/90/0/90に従い積層して形成する。面密度は120g/mで、Pとマークし、24つのPを積層して形成された防弾複合材料の性能テストデータを表3にまとめた。
【0222】
(実施例20)
市販されているカーボンナノチューブ粉末を取り、ろ過法で製造してバッキーペーパー状のカーボンナノチューブ薄膜が形成され、その厚さは約40μmで、面密度が約12g/m、引張強度が約10MPa、弾性率が約2GPa、切断時伸びが約3%である。更に実施例16の形態を参照して、前記バッキーペーパー状のカーボンナノチューブ薄膜と超高分子量ポリエチレンの緯糸なし織物を結合することで防弾複合材料を形成し、平均面密度は約125g/m、貫通層数が約9で、V50値が約510m/s、デフォネーションが約22mmである。
【0223】
(実施例21)
紡糸可能なカーボンナノチューブアレイを取り、引き出して超整列カーボンナノチューブ薄膜が形成され、その厚さは約7μmで、面密度が約6g/m、引張強度が約400MPa、弾性率が約45GPa、切断時伸びが約3%である。更に実施例17の形態を参照して、前記超整列カーボンナノチューブ薄膜と超高分子量ポリエチレンの緯糸なし織物を結合することで防弾複合材料を形成し、平均面密度は約126g/m、貫通層数が約10で、V50値が約520m/s、デフォネーションが約1mmである。
【0224】
【表1】
注記:防弾規格:GA141−2010警察用防弾テスト基準。防刺規格:GA−2008。
【0225】
【表2】
【0226】
【表3】
【0227】
ここで言及すべき点は、本発明の添付図面が均しく非常に簡略化された形を用い、かつ正しくない比率を使用し、本発明の実施例の説明を補助するために使用される。本明細書で使用されるとき、用語「包括」、「含む」又はこれらの他のいかなる変形は、非排他的な包含をカバーすることが意図されている。例えば、列挙した構成要素を含むプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの構成要素だけに限定されず、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に対して明示的に列挙してない、あるいは固有の他の構成要素も含むことができる。
【0228】
本発明では好適な実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明の範囲を限定するものではなく、当業者にとって、本発明に対して様々変更及び変化を行うことができる。本発明の精神及び原理から逸脱することなく、行った修正、均等範囲内の置換、改善などは、均しく本発明の保護範囲内に含めるものであるのが勿論である。
【0229】
(付記)
(付記1)
カーボンナノチューブ集合体のナノ炭素耐衝撃性材料製造における用途であって、前記カーボンナノチューブ集合体は、少なくとも1つの連続面を有するマクロ構造であり、前記少なくとも1つの連続面内に複数のカーボンナノチューブが密集して分布され、かつ前記複数のカーボンナノチューブのうちの少なくとも一部のカーボンナノチューブの少なくとも局所的な断片が前記少なくとも1つの連続面内において連続的に延伸することを特徴とする、用途。
【0230】
(付記2)
前記ナノ炭素耐衝撃性材料が防弾複合材料であり、前記防弾複合材料は、
複数のカーボンナノチューブが密集して形成された2次元平面のマクロ構造を含む少なくとも1つのカーボンナノチューブ集合体と、
少なくとも一側の表面上に少なくとも1つの前記カーボンナノチューブで覆われる織物と、
を包括することを特徴とする、付記1に記載の用途。
【0231】
(付記3)
前記カーボンナノチューブ集合体は、複数のカーボンナノチューブにより交り合わせることで形成された2次元の平面構造を包括することを特徴とする、付記1に記載の用途。
【0232】
(付記4)
前記ナノ炭素耐衝撃性材料が防刺複合材料であり、かつ前記防刺複合材料は、
複数のカーボンナノチューブが密集して形成されたカーボンナノチューブ薄膜を含む少なくとも1つのカーボンナノチューブ集合体と、
少なくとも一側の表面上に少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ薄膜で覆われる柔軟な基布と、
を包括することを特徴とする、付記1に記載の用途。
【0233】
(付記5)
前記カーボンナノチューブ集合体内の複数のカーボンナノチューブにより交り合わせることでカーボンナノチューブ薄膜が形成されることを特徴とする、付記1〜4のいずれか一つに記載の用途。
【0234】
(付記6)
積層して設けられる少なくとも2つの前記カーボンナノチューブ集合体を包括し、各前記カーボンナノチューブ集合体が均しく2次元平面のマクロ構造を呈することを特徴とする、付記1〜4のいずれか一つに記載の用途。
【0235】
(付記7)
前記カーボンナノチューブ集合体は、複数の配向・配列の基本ユニットを包括し、各前記基本ユニットが複数のカーボンナノチューブにより交り合わせることで形成された2次元の平面構造を包括することを特徴とする、付記1〜4のいずれか一つに記載の用途。
【0236】
(付記8)
積層して設けられる少なくとも2つの前記カーボンナノチューブ集合体において、少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体は第1方向に沿って配向・配列する複数の基本ユニットを含み、少なくとも別の1つの前記カーボンナノチューブ集合体が第2方向に沿って配向・配列する複数の前記基本ユニットを含み、前記第1方向と前記第2方向との間が0〜180°の狭角となり、好ましくは45〜135°であることを特徴とする、付記7に記載の用途。
【0237】
(付記9)
複数の前記基本ユニットは、前記少なくとも1つの連続面内に密集して配列され、かつ互いに平行となり、前記カーボンナノチューブ集合体がマクロ構造の秩序化という形態になることを特徴とする、付記7に記載の用途。
【0238】
(付記10)
前記基本ユニット内の複数の前記カーボンナノチューブが無秩序に交り合わせることで、前記カーボンナノチューブ集合体を微細構造の無秩序化という形態になることを特徴とする、付記7に記載の用途。
【0239】
(付記11)
前記基本ユニットは、カーボンナノチューブ連続体が前記少なくとも1つの連続面上に沈着すると共に緻密化処理を経た後で形成された2次元の平面構造を包括し、前記カーボンナノチューブ連続体が複数の前記カーボンナノチューブにより無秩序に交り合うことで形成され、かつ緻密化処理の前に密閉型、半密閉型又は開放型の2次元又は3次元の空間構造を呈することを特徴とする、付記7に記載の用途。
【0240】
(付記12)
前記カーボンナノチューブ連続体は、浮遊触媒法で製造して形成されることを特徴とする、付記11に記載の用途。
【0241】
(付記13)
複数の前記カーボンナノチューブ連続体は、前記少なくとも1つの連続面上に連続的に沈着すると共に緻密化処理を経た後、複数の前記基本ユニットを形成することを特徴とする、付記11に記載の用途。
【0242】
(付記14)
隣り合う2つの前記基本ユニットの縦方向周縁部の間は間隔をあけ、隣接又は互いに交差して配置されることを特徴とする、付記7に記載の用途。
【0243】
(付記15)
前記少なくとも1つの連続面は、平面又は曲面とすることを特徴とする、付記1に記載の用途。
【0244】
(付記16)
隣接に設けられる2つの前記カーボンナノチューブ集合体の間は、直接結合され、又は隣接に設けられる2つの前記カーボンナノチューブ集合体の間に接着剤層又はせん断増粘流体が更に設けられることを特徴とする、付記7に記載の用途。
【0245】
(付記17)
前記カーボンナノチューブ集合体の表面及び/又は内部にグラフェンが更に分布されることを特徴とする、付記1〜4、付記8〜16のいずれか一つに記載の用途。
【0246】
(付記18)
少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体内の少なくとも1本の前記カーボンナノチューブ上にグラフェンシートで覆うことを特徴とする、付記17に記載の用途。
【0247】
(付記19)
少なくとも1つの前記グラフェンシートは、前記カーボンナノチューブ集合体内の少なくとも2本のカーボンナノチューブの間に接合されることを特徴とする、付記17に記載の用途。
【0248】
(付記20)
前記ナノ炭素耐衝撃性材料は、複数のグラフェン集合体を更に包括し、前記複数のグラフェン集合体が少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体と固結されることを特徴とする、付記17に記載の用途。
【0249】
(付記21)
少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体及び少なくとも1つの前記複数のグラフェン集合体は、2次元平面のマクロ構造を呈し、かつ前記少なくとも1つのカーボンナノチューブ集合体及び前記少なくとも1つの複数のグラフェン集合体が積層して設けられることを特徴とする、付記20に記載の用途。
【0250】
(付記22)
前記カーボンナノチューブ集合体は、多孔質構造を有し、前記多孔質構造に含まれる孔の孔径が10nm〜200nmで、空隙率が10%〜60%とすることを特徴とする、付記1に記載の用途。
【0251】
(付記23)
前記カーボンナノチューブ集合体は、自己支持性カーボンナノチューブ薄膜とすることを特徴とする、付記1に記載の用途。
【0252】
(付記24)
前記ナノ炭素耐衝撃性材料全体は、軟質フィルム状又は片状の構造とすることを特徴とする、付記1に記載の用途。
【0253】
(付記25)
前記ナノ炭素耐衝撃性材料の厚さは、1〜100μmであり、好ましくは5〜15μmであることを特徴とする、付記1に記載の用途。
【0254】
(付記26)
前記ナノ炭素耐衝撃性材料の面密度は、2〜20g/mであり、好ましくは5〜10g/mであることを特徴とする、付記1に記載の用途。
【0255】
(付記27)
前記ナノ炭素耐衝撃性材料の引張強度は、10Mpa以上で、好ましくは90MPa以上であり、より好ましくは200MPa以上であり、弾性率が10Gpa以上であり、好ましくは30GPa以上であり、より好ましくは60MPa以上であることを特徴とする、付記1に記載の用途。
【0256】
(付記28)
前記ナノ炭素耐衝撃性材料の耐熱温度範囲は、液体窒素温度〜500℃とすることを特徴とする、付記1に記載の用途。
【0257】
(付記29)
前記カーボンナノチューブの管径は、2nm〜100nmとすることを特徴とする付記1〜4、付記8〜16、付記18〜28のいずれか一つに記載の用途。
【0258】
(付記30)
前記カーボンナノチューブ集合体内のカーボンナノチューブ含有量は、99wt%以上とすることを特徴とする付記1〜4、付記8〜16、付記18〜28のいずれか一つに記載の用途。
【0259】
(付記31)
前記カーボンナノチューブ薄膜の応力≧10MPa、伸び率≧2%となり、長手及び短手方向における引張応力の差の絶対値は長手或いは短手方向における引張応力の20%より小さいか又は等しく、長手及び短手方向における切断時伸びの差の絶対値が長手或いは短手方向における切断時伸びの10%より小さいか又は等しいことを特徴とする、付記4に記載の用途。
【0260】
(付記32)
前記カーボンナノチューブ薄膜の厚さは、前記柔軟な基布の厚さより小さいか又は等しいことを特徴とする、付記4に記載の用途。
【0261】
(付記33)
前記柔軟な基布を構成する高性能繊維の強度≧2.0GPa、弾性率≧80GPa、伸び率が3〜5%とすることを特徴とする、付記4に記載の用途。
【0262】
(付記34)
前記柔軟な基布は、緯糸なし織物から選択され、前記緯糸なし織物の面密度が35〜180g/mとすることを特徴とする、付記4、32、33のいずれか一つに記載の用途。
【0263】
(付記35)
前記柔軟な基布と前記カーボンナノチューブ集合体は、ホットプレスで結合されることを特徴とする、付記4、32、33のいずれか一つに記載の用途。
【0264】
(付記36)
前記柔軟な基布及び前記カーボンナノチューブ集合体は、更に接着剤で接着され、前記接着剤はPVA、ケイ素類、ポリエチレン類又はポリウレタン類の接着剤等が挙げられることを特徴とする、付記4、32、33のいずれか一つに記載の用途。
【0265】
(付記37)
前記カーボンナノチューブ集合体及び/又は柔軟な基布の表面に樹脂薄膜が付着される。前記樹脂薄膜の材質は、エポキシ、ポリエチレン類或いはポリエステル類の化合物が挙げられることを特徴とする、付記4、32、33のいずれか一つに記載の用途。
【0266】
(付記38)
前記カーボンナノチューブ集合体は、カーボンナノチューブ薄膜で、かつ前記カーボンナノチューブ薄膜の前記基本ユニットの配向方向における強度が50MPa〜12GPaであり、好ましくは120MPa〜1GPaであり、前記配向方向に直交する強度が30MPa〜10GPaであり、好ましくは60MPa〜800MPaであることを特徴とする、付記2に記載の用途。
【0267】
(付記39)
前記織物を構成する単糸の引張強度は22CN/dtex以上であり、好ましくは35CN/dtex以上であることを特徴とする、付記2に記載の用途。
【0268】
(付記40)
前記高性能繊維織物の面密度は、35〜220g/mであり、より好ましくは120〜160g/mであることを特徴とする、付記2に記載の用途。
【0269】
(付記41)
前記織物は、高性能繊維織物から選択され、前記高性能繊維織物は緯糸なし織物及び/又は交織布が挙げられ、
前記高性能繊維織物を構成する高性能繊維は、超高分子量ポリエチレン繊維、アラミド繊維及びポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維のいずれか1種又は数種の組み合わせが挙げられることを特徴とする、付記2、39、40のいずれか一つに記載の用途。
【0270】
(付記42)
積層して設けられる少なくとも二層の織物及び/又は積層して設けられる少なくとも2つの前記カーボンナノチューブ集合体を包括し、前記カーボンナノチューブ集合体がフィルム状であることを特徴とする、付記2に記載の用途。
【0271】
(付記43)
隣接する二層の前記織物間に少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体が分布されることを特徴とする、付記42に記載の用途。
【0272】
(付記44)
隣接する2つの前記カーボンナノチューブ集合体の間に少なくとも一層の前記織物が分布されることを特徴とする、付記42に記載の用途。
【0273】
(付記45)
隣接する二層の前記織物が緯糸なし織物で、かつうちの一層の前記織物の経糸配向方向と他層の前記織物の経糸配向方向との間で0〜180°の狭角を成し、好ましくは45°〜135°の狭角を成すことを特徴とする、付記42に記載の用途。
【0274】
(付記46)
隣接する二層の前記織物間の少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体内の前記基本ユニットの配向方向は、うちの少なくとも1つの前記織物内の経糸配向方向と同じ、前記織物が緯糸なし織物であることを特徴とする、付記42に記載の用途。
【0275】
(付記47)
少なくとも1つの前記織物の裏向ける両側表面に前記カーボンナノチューブ集合体が結合されることを特徴とする、付記2、42〜46のいずれか一つに記載の用途。
【0276】
(付記48)
うちの1つの前記織物が交織布で、かつ前記織物両側に分布する2つのフィルム状となる前記カーボンナノチューブ集合体の構造が対称となることを特徴とする、付記2、42〜46のいずれか一つに記載の用途。
【0277】
(付記49)
前記カーボンナノチューブ集合体と前記織物との間は、真空処理、コールドプレス或いはホットプレス処理を経て密着することを特徴とする、付記2、42〜46のいずれか一つに記載の用途。
【0278】
(付記50)
前記カーボンナノチューブ集合体と前記織物の間は、更に接着剤を通じて結合することを特徴とする、付記2、42〜46のいずれか一つに記載の用途。
【0279】
(付記51)
前記カーボンナノチューブ集合体の表面に第1接着剤分子が分布されることを特徴とする、付記2、42〜46のいずれか一つに記載の用途。
【0280】
(付記52)
前記織物の前記カーボンナノチューブ集合体とマッチする表面上に第2接着剤分子が分布され、前記第1接着剤分子と前記第2接着剤分子は、同一或いは異なることを特徴とする、付記2、42〜46のいずれか一つに記載の用途。
【0281】
(付記53)
前記防刺複合材料で製造された防刺構造を包括し、前記防刺構造は、積層して設けられる複数のサブユニットを含み、各サブユニットが前記防刺複合材料を含むことを特徴とする、付記4に記載の用途。
【0282】
(付記54)
前記防刺構造は、N個のサブユニットを包括し、Nが4の整数倍であることを特徴とする、付記53に記載の用途。
【0283】
(付記55)
隣り合う2つの前記サブユニット内の1つの前記サブユニット内のカーボンナノチューブ集合体の基本ユニットは、第1方向に沿って配向・配列し、もう1つの前記サブユニット内のカーボンナノチューブ集合体の基本ユニットが第2方向に沿って配向・配列し、前記第1方向と前記第2方向との間が0〜180°の狭角となり、好ましくは45〜135°の狭角となることを特徴とする、付記53、54に記載の用途。
【0284】
(付記56)
ナノ炭素耐衝撃性材料の製造方法であって、複数のカーボンナノチューブを用意し、該複数のカーボンナノチューブが密集することでカーボンナノチューブ集合体を形成させ、前記カーボンナノチューブ集合体が少なくとも1つの連続面を有するマクロ構造であり、前記複数のカーボンナノチューブのうちの少なくとも一部のカーボンナノチューブの少なくとも局所的な断片が前記少なくとも1つの連続面内において連続的に延伸することを包括することを特徴とする、製造方法。
【0285】
(付記57)
前記カーボンナノチューブの間のファンデルワールス力の作用を利用して少なくとも1つのカーボンナノチューブ連続体を1つの連続面上に集合させてから緻密化処理を行うことで、前記カーボンナノチューブ集合体を形成することを包括し、前記カーボンナノチューブ連続体は、複数の前記カーボンナノチューブが交り合わせることで形成され、かつ緻密化処理の前に密閉型、半密閉型又は開放型の2次元又は3次元の空間構造を呈することを特徴とする、付記56に記載の製造方法。
【0286】
(付記58)
複数の前記カーボンナノチューブ連続体を1つの連続面上に連続的に集合させてから緻密化処理を行うことで、複数の配向の基本ユニットを含む前記カーボンナノチューブ集合体を形成させ、各前記基本ユニットは少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ連続体からなる2次元の平面構造を含むことを特徴とする、付記56、57のいずれか一つに記載の製造方法。
【0287】
(付記59)
複数の前記基本ユニットは、1つの連続面内に密集して配列され、かつ互いに平行となり、従って前記カーボンナノチューブ集合体がマクロ構造の秩序化された形態になることを特徴とする、付記58に記載の製造方法。
【0288】
(付記60)
隣り合う2つの前記基本ユニットの縦方向周縁部の間は間隔をあけ、隣接又は互いに交差して配置されることを特徴とする、付記58に記載の製造方法。
【0289】
(付記61)
前記カーボンナノチューブ連続体は、複数の前記カーボンナノチューブが無秩序に交り合わせることで、形成された前記カーボンナノチューブ集合体を微細構造の無秩序化された形態になる、付記58に記載の製造方法。
【0290】
(付記62)
前記カーボンナノチューブ連続体は、浮遊触媒法で製造して形成されることを特徴とする、付記57、59、60、61のいずれか一つに記載の製造方法。
【0291】
(付記63)
少なくとも2つの2次元平面のマクロ構造を呈する前記カーボンナノチューブ集合体を用意することと、
前記少なくとも2つのカーボンナノチューブ集合体を積層して設けることと、
を包括することを特徴とする、付記56、57、59、60、61のいずれか一つに記載の製造方法。
【0292】
(付記64)
前記少なくとも2つのカーボンナノチューブ集合体内の少なくとも1つのカーボンナノチューブ集合体は、第1方向に沿って配向・配列する複数の基本ユニットを含み、少なくとも別の1つの前記カーボンナノチューブ集合体が第2方向に沿って配向・配列する複数の基本ユニットを含み、前記第1方向と前記第2方向との間が0〜180°の狭角を成し、好ましくは45〜135°の狭角を成すことを特徴とする付記63に記載の製造方法。
【0293】
(付記65)
前記少なくとも2つのカーボンナノチューブ集合体に加圧して一体構造として結合させ、又は、接着剤により前記少なくとも2つのカーボンナノチューブ集合体を一体構造として結合させることを特徴とする付記63に記載の製造方法。
【0294】
(付記66)
前記連続面は、平面或いは曲面とすることを特徴とする付記56または57に記載の製造方法。
【0295】
(付記67)
隣接に設けられる2つの前記カーボンナノチューブ集合体の間に接着剤層又はせん断増粘流体が設けられることを包括することを特徴とする付記63に記載の製造方法。
【0296】
(付記68)
接着剤及び/又は溶媒を使用或いは使用しないことで、前記緻密化処理を完成させることを包括することを特徴とする付記57に記載の製造方法。
【0297】
(付記69)
前記カーボンナノチューブ集合体に対して加圧処理を行うことを包括することを特徴とする付記56、57、59、60、61のいずれか一つに記載の製造方法。
【0298】
(付記70)
少なくともローラホットプレス、平面プレス機ホットプレスのうちのいずれか1種又は2種方式の組み合わせを選択して前記カーボンナノチューブ集合体に対しホットプレス処理を行うことを包括することを特徴とする付記69に記載の製造方法。
【0299】
(付記71)
前記ホットプレス処理で用いる温度は、室温〜300℃であり、好ましくは80〜120℃であり、圧力が2〜50Mpaであり、好ましくは4〜8Mpaであることを特徴とする付記70に記載の製造方法。
【0300】
(付記72)
少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体内の少なくとも1本の前記カーボンナノチューブ上にグラフェンを覆うことを更に含むことを特徴とする、付記56、57、59、60、61、64、65、67、68、70、71のいずれか一つに記載の製造方法。
【0301】
(付記73)
前記カーボンナノチューブ集合体の形成過程中又は前記カーボンナノチューブ集合体が形成された後、少なくとも被覆、浸潤、浸漬、吹付塗装のうちのいずれか1種方式を選択してグラフェンと前記カーボンナノチューブ集合体を構成する複数の前記カーボンナノチューブとを結合させることを包括することを特徴とする付記72に記載の製造方法。
【0302】
(付記74)
防刺複合材料の製造方法であって、
複数のカーボンナノチューブ連続体を1つの連続平面又は曲面上に連続的に集合させると共に緻密化処理を経た後に複数の配向の基本ユニットを形成させ、該複数の基本ユニットが密集して配列されてフィルム状のカーボンナノチューブ集合体を形成させ、前記カーボンナノチューブ連続体が複数のカーボンナノチューブにより無秩序に交り合うことで形成され、かつ緻密化処理の前に密閉型、半密閉型又は開放型の2次元又は3次元の空間構造を呈することと、
前記カーボンナノチューブ集合体を柔軟な基布の表面に覆われることで、前記防刺複合材料になることと、
を包括することを特徴とする、製造方法。
【0303】
(付記75)
前記カーボンナノチューブ連続体は、浮遊触媒法で製造して形成されることを特徴とする、付記74に記載の製造方法。
【0304】
(付記76)
前記柔軟な基布及び前記柔軟な基布と結合される前記カーボンナノチューブ集合体に対しホットプレス処理を行うことを包括することを特徴とする付記74、75のいずれか一つに記載の製造方法。
【0305】
(付記77)
前記ホットプレス処理の条件は、温度が室温〜140℃で、圧力が1〜30MPa、時間が1min以上であることを特徴とする、付記76に記載の製造方法。
【0306】
(付記78)
前記ホットプレス処理は、温度が110〜120℃で、圧力が1〜4MPa、時間が10〜30minである第1段階と、温度が120〜140℃で、圧力が15〜30MPa、時間が1〜3minである第2段階と、を包括し、
又は、温度が室温で、圧力が1〜30MPa、時間が1〜30minであることを特徴とする付記76に記載の製造方法。
【0307】
(付記79)
防刺複合材料の製造方法であって、複数のカーボンナノチューブ連続体を柔軟な基布の表面上に連続的に集合させすると共に緻密化処理を経た後に複数の配向の基本ユニットを形成させ、該複数の基本ユニットが密集して配列されてフィルム状のカーボンナノチューブ集合体を形成させ、従って防刺複合材料になり、前記カーボンナノチューブ連続体は、複数のカーボンナノチューブにより無秩序に交り合うことで形成され、かつ緻密化処理の前に密閉型、半密閉型又は開放型の2次元又は3次元の空間構造を呈することを包括することを特徴とする、製造方法。
【0308】
(付記80)
前記カーボンナノチューブ連続体は、浮遊触媒法で製造して形成されることを特徴とする、付記79に記載の製造方法。
【0309】
(付記81)
前記柔軟な基布及び前記柔軟な基布と結合される前記カーボンナノチューブ集合体に対しホットプレス処理を行うことを包括することを特徴とする付記79、80のいずれか一つに記載の製造方法。
【0310】
(付記82)
防弾複合材料の製造方法であって、
複数のカーボンナノチューブ連続体を1つの連続面上に連続的に集合させすると共に緻密化処理を経た後に複数の配向の基本ユニットを形成させ、該複数の基本ユニットが密集して配列されて2次元平面のマクロ構造を有するカーボンナノチューブ集合体を形成させ、前記カーボンナノチューブ連続体は複数のカーボンナノチューブにより無秩序に交り合うことで形成され、かつ緻密化処理の前に密閉型、半密閉型又は開放型の2次元又は3次元の空間構造を呈することと、
前記カーボンナノチューブ集合体と織物の表面を固着して前記防弾複合材料になることと、
を包括することを特徴とする、製造方法。
【0311】
(付記83)
前記カーボンナノチューブ連続体は、浮遊触媒法で製造して形成されることを特徴とする、付記82に記載の製造方法。
【0312】
(付記84)
少なくとも二層の織物を積層して設けて基本構造ユニットを形成することと、
前記基本構造ユニットの少なくとも一側表面に少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体、及び/又は前記基本構造ユニット内に少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体を嵌め込むことと、
を包括することを特徴とする、付記82又は83に記載の製造方法。
【0313】
(付記85)
前記織物は緯糸なし織物で、少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ集合体内の前記基本ユニットの配向方向が少なくとも1つ前記の織物内の経糸配向方向と同じであることを特徴とする、付記84に記載の製造方法。
【0314】
(付記86)
前記織物が交織布で、かつ前記基本構造ユニットの裏向ける両側表面を覆う2つの前記カーボンナノチューブ集合体の構造が対称となることを特徴とする、付記84に記載の製造方法。
【0315】
(付記87)
前記カーボンナノチューブ集合体と前記織物の表面の間に接着剤を設けることで、前記カーボンナノチューブ集合体と前記織物を接着させることを包括することを特徴とする、付記84に記載の製造方法。
【0316】
(付記88)
少なくとも真空処理、ホットプレス、コールドプレスのうちのいずれか方式で前記織物と前記カーボンナノチューブ集合体の間の空気を追い出すことで、前記カーボンナノチューブ集合体と前記織物を密着させることを包括することを特徴とする、付記84に記載の製造方法。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b