特許第6799658号(P6799658)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6799658適応入力マッピングのためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799658
(24)【登録日】2020年11月25日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】適応入力マッピングのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20201207BHJP
   A61B 34/35 20160101ALI20201207BHJP
【FI】
   A61B34/20
   A61B34/35
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-201563(P2019-201563)
(22)【出願日】2019年11月6日
(62)【分割の表示】特願2017-510552(P2017-510552)の分割
【原出願日】2015年8月19日
(65)【公開番号】特開2020-18917(P2020-18917A)
(43)【公開日】2020年2月6日
【審査請求日】2019年11月13日
(31)【優先権主張番号】62/040,774
(32)【優先日】2014年8月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】カールソン,クリストファー アール
(72)【発明者】
【氏名】バルバグリ,フェデリコ
【審査官】 槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/150050(WO,A2)
【文献】 特開2000−312684(JP,A)
【文献】 特開2003−265500(JP,A)
【文献】 特開平08−071072(JP,A)
【文献】 特開2006−167867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/20−34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御システムと、
該制御システムを通じて医療器具に連結される操作者入力デバイスとを含み、
前記制御システムは、
プロセッサと、
機械可読指令を含むメモリとを含み、前記機械可読指令は、前記プロセッサによって実行されるときに、前記制御システムに、
前記医療器具を患者解剖学的構造のモデルに対して位置特定させ、
前記モデルに基づいて前記位置特定される医療器具についての環境因子を特定させ、
該環境因子に基づいて運動スケーリングパラメータを決定させ、
前記操作者入力デバイスから入力指令を受信させ、
該入力指令を前記医療器具のための出力指令にマッピングさせ、且つ
アクチュエータに指令して、前記出力指令に基づいて前記医療器具を移動させ、
前記マッピングさせることは、前記運動スケーリングパラメータを前記入力指令に適用して、前記出力指令を作ることを含む、
医療器具システム。
【請求項2】
1つ又はそれよりも多くの位置特定センサを更に含み、前記制御システムは、前記1つ又はそれよりも多くの位置特定センサに基づいて、前記患者解剖学的構造の前記モデルに対して前記医療器具を位置特定するように構成される、請求項1に記載の医療器具システム。
【請求項3】
前記環境因子は、前記医療器具の遠位先端の現在場所での前記患者解剖学的構造内の解剖学的通路の断面距離である、請求項1に記載の医療器具システム。
【請求項4】
前記環境因子は、前記医療器具の遠位先端の現在場所での前記患者解剖学的構造内の解剖学的通路の剛性である、請求項1に記載の医療器具システム。
【請求項5】
前記環境因子は、特定される解剖学的領域と前記医療器具の遠位先端の現在場所との間の距離である、請求項1に記載の医療器具システム。
【請求項6】
前記医療器具の少なくとも部分が、前記患者解剖学的構造の肺内で移動可能であり、前記特定される解剖学的領域は、前記患者解剖学的構造の胸膜である、請求項5に記載の医療器具システム。
【請求項7】
前記患者解剖学的構造の前記モデルに対して前記医療器具を位置特定させることは、
解剖学的フレーム内の前記医療器具の遠位先端の位置を決定すること、
前記患者解剖学的構造の前記モデルを前記解剖学的フレームに位置合わせすること、及び
前記患者解剖学的構造の前記モデルに対して前記医療器具の前記遠位先端の前記位置を位置決めすることを含む、
請求項1に記載の医療器具システム。
【請求項8】
前記運動スケーリングパラメータを前記入力指令に適用して、前記出力指令を作ることは、前記入力指令をより低くスケーリングして、前記出力指令を作ることを含む、請求項1に記載の医療器具システム。
【請求項9】
前記運動スケーリングパラメータを前記入力指令に適用して、前記出力指令を作ることは、前記入力指令をより高くスケーリングして、前記出力指令を作ることを含む、請求項1に記載の医療器具システム。
【請求項10】
制御システムと、
該制御システムを通じて医療器具に連結される操作者入力デバイスとを含み、
前記制御システムは、
プロセッサと、
機械可読指令を含むメモリとを含み、前記機械可読指令は、前記プロセッサによって実行されるときに、前記制御システムに、
前記医療器具の遠位先端と特定される解剖学的領域との間の距離を決定させ、
該距離に基づいて運動スケーリングパラメータを決定させ、
前記操作者入力デバイスから入力指令を受信させ、
該入力指令を前記医療器具のための出力指令にマッピングさせ、且つ
アクチュエータに指令して、前記出力指令に基づいて前記医療器具を移動させ、
前記マッピングさせることは、前記運動スケーリングパラメータを前記入力指令に適用して、前記出力指令を作ることを含む、
医療器具システム。
【請求項11】
前記医療器具に取り付けられるセンサを更に含み、前記制御システムは、前記センサからのセンサデータに基づいて前記距離を決定するように構成される、請求項10に記載の医療器具システム。
【請求項12】
前記センサは、超音波センサを含む、請求項11に記載の医療器具システム。
【請求項13】
前記センサは、カメラを含む、請求項11に記載の医療器具システム。
【請求項14】
前記センサは、レーザスキャナを含む、請求項11に記載の医療器具システム。
【請求項15】
前記医療器具の少なくとも部分が、患者解剖学的構造内の肺内に配置され、前記特定される解剖学的領域は、前記患者解剖学的構造の胸膜である、請求項10に記載の医療器具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この出願は、2014年8月22日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR ADAPTIVE INPUT MAPPING」という名称の米国仮特許出願第62/040,774号の優先権及び出願日の利益を主張し、その全文を本明細書中に参照として援用する。
【0002】
本開示は、外科処置を行うシステム及び方法に向けられており、より具体的には、患者の解剖学的構造内の医療器具の動きを制御するシステム及び方法に向けられている。
【背景技術】
【0003】
最小侵襲的な医療技法は、医療処置中に傷付けられる組織の量を減少させ、それにより、患者の回復時間、不快感、有害な副作用を減少させることを意図する。そのような最小侵襲的な技法は、患者の解剖学的構造にある自然開口部を通じて或いは1つ又はそれよりも多くの外科的な切開部を通じて行われることがある。臨床医は、これらの自然開口部又は切開部を通じて医療ツールを挿入し、標的組織場所に達してよい。医療ツールは、治療器具、診断器具、及び手術器具のような、器具を含む。標的組織場所に達するために、最小侵襲的な医療ツールは、肺、結腸、腸、腎臓、心臓、循環系、又は同等の器官のような、解剖学的系統における自然の又は外科的に創られる通路を進む(navigate)ことがある。
【0004】
幾つかの医療器具は、使用者制御デバイスの使用を通じて制御されて操作されることがある。具体的には、使用者制御デバイスの特定の動きが、医療器具の対応する動きを引き起こす。患者損傷の危険性を減少させるために、使用者制御デバイスと医療器具との間の効果的且つ安全な運動マッピングをもたらすシステム及び方法が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施態様は、以下に続く請求項によって要約される。
【0006】
1つの実施態様では、患者解剖学的構造内の医療器具を制御するために制御システムを用いる方法が、患者解剖学的構造に対して医療器具を位置特定すること(localizing)、及び位置特定される医療器具についての環境因子を特定することを含む。方法は、環境因子から決定される運動スケーリングパラメータを受信すること、及び操作者フレーム内の操作者入力デバイス動作から入力指令を受信することも含む。方法は、入力指令を解剖学的フレーム内の医療器具のための出力指令にマッピングすることも含む。マッピングすることは、運動スケーリングパラメータを入力指令に適用して、出力指令を創ることを含む。
【0007】
他の実施態様では、患者解剖学的構造内の医療器具を制御する制御システムを使用する方法が、医療器具の遠位先端と特定される解剖学的領域との間の距離を決定することを含む。方法は、その距離に基づく運動スケーリングパラメータを受信すること、及び操作者フレーム内の操作者入力デバイス動作から入力指令を受信することも含む。方法は、入力指令を解剖学的フレーム内の医療器具動作のための出力指令にマッピングすることも含む。マッピングすることは、運動スケーリングパラメータを入力指令に適用して、出力指令を創ることを含む。
【0008】
他の実施態様では、患者解剖学的構造内で医療器具を制御する制御システムを使用する方法が、操作者フレーム内の操作者入力デバイス動作から入力指令を受信すること、及び入力指令に基づき制御因子を決定することを含む。方法は、制御因子から決定される運動スケーリングパラメータを受信すること、及び入力指令を解剖学的フレーム内の医療器具動作のための出力指令にマッピングすることも含む。マッピングすることは、運動スケーリングパラメータを入力指令に適用して、出力指令を創ることを含む。
【0009】
他の実施態様では、医療器具システムが、解剖学的フレーム内の患者解剖学的構造内を移動可能な遠位先端を含む医療器具と、操作者フレーム内を移動可能な操作者入力デバイスとを含む。制御システムは、プロセッサと、機械可読指令を含むメモリとを含み、機械可読指令は、プロセッサによって実行されるときに、システムに、患者解剖学的構造のモデルに対して医療器具を位置特定させる。機械可読指令は、その上、プロセッサに、モデルに基づき位置特定される医療器具についての環境因子を特定させ、環境因子から決定される運動スケーリングパラメータを受信させる。機械可読指令は、その上、プロセッサに、操作者入力デバイスから入力指令を受信させ、入力指令を医療器具のための出力指令にマッピングさせ、マッピングさせることは、運動スケーリングパラメータを入力指令に適用して、出力指令を創ることを含む。
【0010】
他の実施態様では、医療器具システムが、解剖学的フレーム内の患者解剖学的構造内で移動可能な遠位先端を含む医療器具と、操作者フレーム内で移動可能な操作者入力デバイスとを含む。制御システムは、プロセッサと、機械可読指令を含むメモリとを含み、機械可読指令は、プロセッサによって実行されるときに、システムに、医療器具の遠位先端と特定される解剖学的領域との間の距離を決定させる。機械可読指令は、その上、システムに、距離に基づく運動スケーリングパラメータを受信させ、操作者入力デバイスから入力指令を受信させる。機械可読指令は、その上、システムに、入力指令を医療器具のための出力指令にマッピングさせ、マッピングさせることは、運動スケーリングパラメータを入力指令に適用して、出力指令を創ることを含む。
【0011】
他の実施態様では、医療器具システムが、解剖学的フレーム内の患者解剖学的構造内で移動可能な遠位先端を含む医療器具と、操作者フレーム内で移動可能な操作者入力デバイスとを含む。システムは、プロセッサと、機械可読指令を含むメモリとを含む、制御システムも含み、機械可読指令は、プロセッサによって実行されるときに、システムに、操作者入力から入力指令を受信させる。機械可読指令は、その上、システムに、入力指令に基づき制御因子を決定させ、制御因子から決定される運動スケーリングパラメータを受信させる。機械可読指令は、その上、システムに、入力指令を医療器具のための出力指令にマッピングさせ、マッピングさせることは、運動スケーリングパラメータを入力指令に適用して、出力指令を創ることを含む。
【0012】
本開示の特徴は、添付の図面と共に判読されるとき、後続の詳細な記述から最良に理解される。業界の標準的な慣行に従って、様々な構成は原寸通りに描写されていないことを強調する。実際には、様々な構成の寸法は、議論の明確性のために、任意に増大させられ或いは減少させられることがある。加えて、本開示は、様々な実施例において参照番号及び/又は文字を繰り返すことがある。この繰返しは単純性及び明確性の目的のためであり、それ自体は本明細書中で議論する様々な実施態様及び/又は構成の間の関係を決定しない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本明細書中に記載する原理の1つの実施例に従った例示的な遠隔操作医療システムを示す図面である。
【0014】
図2】本開示の特徴を利用する医療器具システムを例示している。
【0015】
図3A】本明細書中に記載する原理の1つの実施例に従った例示的なスケーリングシナリオを示す図面である。
図3B】本明細書中に記載する原理の1つの実施例に従った例示的なスケーリングシナリオを示す図面である。
【0016】
図4】本明細書中に記載する原理の1つの実施例に従ったモデル患者解剖学的構造を示す図面である。
【0017】
図5A】本明細書中に記載する原理の1つの実施例に従った通路の断面サイズに基づく例示的な適応入力制御マッピングを示す図面である。
図5B】本明細書中に記載する原理の1つの実施例に従った通路の断面サイズに基づく例示的な適応入力制御マッピングを示す図面である。
【0018】
図6A】本明細書中に記載する原理の1つの実施例に従った関心の地点への距離に基づく例示的な適応入力制御マッピングを示す図面である。
図6B】本明細書中に記載する原理の1つの実施例に従った関心の地点への距離に基づく例示的な適応入力制御マッピングを示す図面である。
【0019】
図7A】本明細書中に記載する原理の1つの実施例に従った器具の実際の位置と命令される位置との間の差に基づく例示的な適応入力制御マッピングを示す図面である。
図7B】本明細書中に記載する原理の1つの実施例に従った器具の実際の位置と命令される位置との間の差に基づく例示的な適応入力制御マッピングを示す図面である。
【0020】
図8】インピーダンス力に基づく例示的な適応入力制御マッピングを示す図面である。
【0021】
図9】本明細書中に記載する原理の1つの実施例に従った適応入力制御マッピングのための例示的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の原理の理解を促進させる目的のために、図面に例示される実施態様を今や参照し、実施態様を記載するために特定の言語を用いる。それにも拘わらず、開示の範囲の限定を意図していないことが理解されるであろう。本発明の特徴の以下の詳細な記述において、開示する実施態様の網羅的な理解をもたらすために、数多くの具体的な詳細を示す。しかしながら、この開示の実施態様がこれらの詳細がなくても実施されることがあることは当業者に明らかであろう。他の場合には、本発明の実施態様の特徴を不必要に曖昧にしないよう、周知の方法、手順、コンポーネント(構成部品)、及び回路を詳細に記載しない。
【0023】
記載のデバイス、器具、方法、及び本開示の原理のあらゆる更なる適用に対する、あらゆる変更及び更なる修正は、本開示が関連する当業者の心に普通に思い浮かぶように、完全に想定される。具体的には、1つの実施態様に関して記載する構成、コンポーネント、及び/又はステップは、本開示の他の実施態様に関して記載する構成、コンポーネント、及び/又はステップと組み合わせられてよいことが完全に想定される。加えて、本明細書中で提供される寸法は、具体的な実施例のためにあり、異なる大きさ、寸法、及び/又は比率を利用して、本開示の着想を実施してよいことが想定される。不要な記述の繰返しを避けるために、1つの例示的な実施態様に従って記載する1つ又はそれよりも多くのコンポーネント又は行為を他の例示的な実施態様から適用可能なものとして用い或いは省略し得る。簡潔性のために、これらの実施態様の数多くの繰返しを別個に記載しない。単純性のために、幾つかの場合には、同一又は同等の部品に言及するために、図面を通じて同じ参照番号を用いる。
【0024】
以下の実施態様は、様々な器具及び器具の部分を、それらの三次元空間内の状態に関して記載する。本明細書中で用いられるとき、「位置」という用語は、三次元空間(例えば、デカルトX,Y,Z座標に沿う並進自由度)における物体又は物体の部分の場所を指す。本明細書中で用いられるとき、「向き」という用語は、物体又は物体の部分の回転は位置(3つの回転自由度−例えば、ロール、ピッチ、及びヨー)を指す。本明細書中で用いられるとき、「姿勢」という用語は、少なくとも1つの並進自由度における物体又は物体の部分の位置を指し、少なくとも1つの回転自由度(最大で6つの自由度)におけるその物体又はその物体の部分を指す。本明細書中で用いられるとき、「形状」という用語は、物体に沿って測定される姿勢、位置、又は向きのセットを指す。
【0025】
図面の図1を参照すると、例えば、診断処置、治療処置、又は外科処置を含む、医療処置における使用のための、遠隔操作医療システムが、参照番号100によって概ね示されている。記載するように、この開示の遠隔操作医療システムは、外科医の遠隔操作制御の下にある。代替的な実施態様において、遠隔操作医療システムは、処置又は下位処置を行うようプログラムされたコンピュータの部分的な制御の下にあってよい。更に他の代替的な実施態様では、処置又は下位処置を行うようプログラムされたコンピュータの完全制御の下で完全に自動化された医療システムを用いて、処置又は下位処置を行ってよい。
【0026】
図1に示すように、遠隔操作システム100は、一般的に、患者Pに対して様々な処置を行うときに医療器具システム104を操作するための遠隔操作アセンブリ102を含む。医療器具の動きは、解剖学的基準系X,Y,Z内で行われる。遠隔操作アセンブリ102は、患者Pを位置付ける手術台Oに又はその付近に取り付けられる。医療器具システム104は、遠隔操作アセンブリ102に動作可能に連結される。操作者入力システム106は、外科医又は他の種類の臨床医Sが、手術部位の又は手術部位を表す画像を見て、医療器具システム104の動作を制御するのを可能にする。
【0027】
代替的な実施態様において、遠隔操作システムは、1つよりも多くのマニピュレータアセンブリを含んでよい。マニピュレータアセンブリの正確な数は、とりわけ、手術室内の空間制約及び外科処置に依存する。
【0028】
操作者入力システム106は、外科医コンソールに配置されてよく、外科医コンソールは、通常、手術台Oと同じ室内にある。しかしながら、外科医Sを患者Pと異なる室内に或いは完全に異なる建物内に配置してよいことが理解されるべきである。操作者入力システム106は、一般的に、医療器具システム104を制御する1つ又はそれよりも多くの制御デバイスを含む。制御デバイスの動きは、操作者基準系X,Y,Z内でトラッキング(追跡)される。(複数の)制御デバイスは、ハンドグリップ、ジョイスティック、トラックボール、データグローブ、トリガガン、手動操作コントローラ、音声認識デバイス、タッチスクリーン、身体動作又は存在センサ、及び同等物のような、任意の数の様々な入力デバイスのうちの1つ又はそれよりも多くを含んでよい。幾つかの実施態様において、(複数の)制御デバイスは、遠隔操作アセンブリの医療器具と同じ自由度を備えて、外科医に、テレプレゼンス、即ち、外科医が恰も手術部位に存在するかのように器具を直接的に制御しているという強い感覚を有するよう、(複数の)制御デバイスが器具と一体であるという知覚をもたらす。他の実施態様において、(複数の)制御デバイスは、関連する医療器具よりも多い又は少ない自由度を有しながら、依然として外科医にテレプレゼンスをもたらすことがある。幾つかの実施態様において、(複数の)制御デバイスは、6つの自由度で動く手動入力デバイスであり、それらは器具を作動させるための(例えば、把持ジョーを閉じる、電極に電位を印加する、医療処置を施す、並びに同等のことのための)作動可能なハンドルも含んでよい。
【0029】
遠隔操作アセンブリ102は、医療器具システム104をサポートし、1つ又はそれよりも多くの非サーボ制御リンク(例えば、手動で位置付けられ且つ所定の場所に係止させられてよい、セットアップ構造と概ね呼ぶ、1つ又はそれよりも多くのリンク)及び遠隔操作マニピュレータの運動学的構造を含んでよい。遠隔操作アセンブリ102は、制御システム(例えば、制御システム112)からの命令に応答して医療器具システム104の入力部を駆動させる複数のアクチュエータ又はモータを含む。モータは、駆動システムを含み、駆動システムは、医療器具システム104に連結されるときに、医療器具を自然に又は外科的に創られる解剖学的な開口部内に前進させることがある。他の電動駆動システムが、医療器具の遠位端を、多数の自由度において動かしてよく、多くの自由度は、3つの線形自由度(例えば、X,Y,Zデカルト軸に沿う線形運動)及び3つの回転自由度(例えば、X,Y,Zデカルト軸についての回転)を含んでよい。加えて、モータを用いて、生検デバイス又は同等物のジョー内で組織を把持する器具の関節作動可能なエンドエフェクタを作動させてよい。
【0030】
遠隔操作医療システム100は、遠隔操作アセンブリの器具についての情報を受信する1つ又はそれよりも多くのサブシステムを備えるセンサシステム108も含む。そのようなサブシステムは、位置センサシステム(例えば、電磁(EM)センサシステム)、器具システム104のフレキシブルな本体に沿うカテーテル先端の及び/又は1つ若しくはそれよりも多くのセグメントの位置、向き、速さ、速度、及び/又は形状を決定する形状センサシステム、及び/又はカテーテルシステムの遠位端から画像を取り込む(キャプチャする)視覚化システムを含んでよい。
【0031】
視覚化システム(例えば、図2の視覚化システム231)は、手術部位の現時点の又は実時間の画像が外科医コンソールに提供されるよう、(以下により詳細に記載する)視認スコープアセンブリを含んでよい。現時点の画像は、例えば、手術部位内に位置付けられる内視鏡によって取り込まれる二次元又は三次元画像であってよい。この実施態様において、視覚化システムは、医療器具104に一体的に又は取り外し可能に連結さてよい内視鏡コンポーネントを含む。しかしながら、代替的な実施態様では、別個のマニピュレータに取り付けられる別個の内視鏡を医療器具と共に用いて、手術部位を撮像してよい。視覚化システムは、1つ又はそれよりも多くのコンピュータプロセッサと相互作用する或いは1つ又はそれよりも多くのコンピュータプロセッサによってその他の方法で実行される、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせとして実施されてよく、1つ又はそれよりも多くのコンピュータプロセッサは、(以下に記載する)制御システム112のプロセッサを含んでよい。
【0032】
遠隔操作医療システム100は、センサシステム108のサブシステムによって生成される手術部位及び(複数の)医療器具104の画像又は表現を表示するディスプレイシステム110も含む。ディスプレイ110及び操作者入力システム106は、操作者が医療器具システム104及び操作者入力システム106をテレプレゼンスの知覚を伴って制御し得るよう、方向付けられてよい。
【0033】
ディスプレイシステム110は、視覚化システムによって取り込まれる手術部位及び医療器具の画像を表示する。操作者が、作業空間を恰も実質的に真実の存在(true presence)において見ているかのように、医療器具104及び手動制御装置を操作し得るよう、ディスプレイ110及び制御デバイスは、スコープアセンブリ内の撮像デバイス及び医療器具の相対的な位置が、外科医の両眼及び両手の相対的な位置と類似するよう、方向付けられてよい。
【0034】
代替的に及び/又は追加的に、ディスプレイ110は、コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴映像法(MRI)、蛍光透視法、サーモグラフィ、超音波、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)、熱映像法、インピーダンス映像法、レーザ映像法、又はナノチューブX線映像法のような撮像技法を用いて、術前に又は術中に記録され且つ/或いはモデル化される、手術部位の画像を提示してよい。提示される術前画像は、二次元、三次元、又は四次元画像を含んでよい。提示される術前又は術中画像は、二次元、三次元、又は(例えば、時間ベース又は速度ベースの情報を含む)四次元画像、及び画像を再現するための関連する画像データセットを含んでよい。
【0035】
幾つかの実施態様において、ディスプレイ110は、医療器具104の実際の場所を術前又は術中画像と位置合わせして(即ち、動的に参照して)、器具104の先端の場所での内部手術部位の仮想画像を外科医Sに提示する、仮想ナビゲーション画像を表示してよい。器具104の先端の画像又は他の図式的若しくは文字数次式インジケータを仮想画像の上に重ね合わせて、医療器具を制御する外科医を支援してよい。代替的に、器具104は、仮想画像中に見えなくてよい。
【0036】
他の実施態様において、ディスプレイ110は、医療器具の実際の場所を術前又は同時画像と位置合わせして、外部又は内部視点から手術部位内の医療器具の仮想画像を外科医Sに提示する、仮想ナビゲーション画像を表示してよい。医療器具の部分の画像又は図式的若しくは文字数字式インジケータを仮想画像の上に重ね合わせて、器具104を制御する外科医を支援してよい。
【0037】
遠隔操作医療システム100は、制御システム112も含む。制御システム112は、少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのプロセッサ(図示せず)とを含み、典型的には、医療器具システム104、操作者入力システム106、センサシステム108、及びディスプレイシステム110の間の制御をもたらす、複数のプロセッサを含む。制御システム112は、本明細書中に開示する特徴に従って記載する方法の一部又は全部を実施するよう、プログラムされた指令(例えば、指令を格納するコンピュータ可読媒体)も含む。制御システム112は、図1の簡略図中に単一のブロックとして示されているが、制御システムは、2つ又はそれよりも多くのデータ処理回路を含んでよく、処理の1つの部分は、遠隔操作アセンブリ102の上で又は隣接して任意的に行われ、処理の他の部分は、操作者入力システム106で行われる等してよい。多種多様な集中型又は分散型のデータ処理アーキテクチャのうちのいずれかが利用されてよい。同様に、プログラムされる指令は、多数の別個のプログラム又はサブルーチンとして実施されてよく、或いは、それらは、本明細書中に記載する遠隔操作システムの多数の他の特徴内に組み込まれてよい。1つの実施態様において、制御システム112は、Bluetooth(登録商標)、IrDA、HomeRF、IEEE 802.11、DECT、及びWireless Telemetryのような、無線通信プロトコルをサポートする。
【0038】
幾つかの実施態様において、制御システム112は、医療器具システム104から力及び/又はトルクフィードバックを受ける1つ又はそれよりも多くのサーボコントローラを含んでよい。フィードバックに応答して、サーボコントローラは、信号を操作者入力システム106に送信する。(複数の)サーボコントローラは、身体の開口を介して患者の体内の内部手術部位内に延びる(複数の)医療器具システム104を動かすことを遠隔操作アセンブリ102に指令する信号を送信してもよい。任意の適切な従来的な又は特殊化したサーボコントローラを用いてよい。サーボコントローラは、遠隔操作アセンブリ102と別個であってよく或いは一体的であってよい。幾つかの実施態様において、サーボコントローラ及び遠隔操作アセンブリは、患者の身体に隣接して位置付けられる遠隔操作アームカートの部分として提供される。
【0039】
制御システム112は、(複数の)医療器具システム104にナビゲーション支援を提供する仮想視覚化システムを更に含んでよい。仮想視覚化システムを用いる仮想ナビゲーションは、解剖学的通路の三次元構造と関連付けられる取得データセットの参照に基づく。より具体的には、仮想視覚化システムは、コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴映像法(MRI)、蛍光透視法、サーモグラフィ、超音波、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)、熱映像法、インピーダンス映像法、レーザ映像法、ナノチューブX線映像法、又は類似の映像法のような撮像技法を用いて撮像される、手術部位の画像を処理する。ソフトウェアを単独で又は手動入力との組み合わせにおいて用いて、記録される画像を部分的な又は全体的な解剖学的器官又は解剖学的領域のセグメント化された二次元又は三次元の合成表現(composite representation)に変換する。画像データセットが、合成表現と関連付けられる。合成表現及び画像データセットは、通路及びそれらの接続性の様々な場所及び形状を記述する。合成表現を生成するために用いられる画像は、術前に又は臨床処置の間に術中に記録されてよい。代替的な実施態様では、仮想視覚化システムが、標準的な表現(即ち、患者特異でない表現)又は標準的な表現及び患者特異データの混成を用いてよい。合成表現及び合成表現によって生成されるあらゆる仮想画像は、運動の1つ又はそれよりも多くの位相の間(例えば、肺の吸息/呼息周期の間)の変形可能な解剖学的領域の静止的な姿勢を表してよい。
【0040】
仮想ナビゲーション処置の間に、センサシステム108を用いて患者解剖学的構造に対する器具の近似の場所を計算してよい。その場所を用いて患者解剖学的構造のマクロレベルトラッキング画像及び患者解剖学的構造の仮想内部画像の両方を生成し得る。光センサを用いて仮想視覚化システムからのような術前に記録される手術画像と共に医療器具を位置合わせし且つ表示する様々なシステムが知られている。例えば、(2011年5月13に出願された)(「Medical System Providing Dynamic Registration of a Model of an Anatomical Structure for Image-Guided Surgery」を開示する)米国特許出願第13/107,562号が1つのそのようなシステムを開示しており、その全文を本明細書中に参照として援用する。
【0041】
遠隔操作医療システム100は、照明システム、操縦制御システム、洗浄システム、及び/又は吸引システムのような、任意的な操作システム及びサポートシステム(図示せず)を更に含んでよい。代替的な実施態様において、遠隔操作システムは、1つよりも多くの遠隔操作アセンブリ及び/又は1つよりも多くの操作者入力システムを含んでよい。マニピュレータアセンブリの正確な数は、数ある要因の中でも、外科処置及び手術室内の空間制約に依存する。操作者入力システムは並置されてよく、或いは、それらは別個の場所に位置付けられてよい。多数の操作者入力システムは、1人よりも多くの操作者が様々な組み合わせにおいて1つ又はそれよりも多くのマニピュレータアセンブリを制御するのを可能にする。
【0042】
図2は、遠隔医療システム100の医療器具システム104として用いられてよい、医療器具システム200を例示している。代替的に、医療器具システム200は、非遠隔操作診査処置のために或いは内視鏡のような従来的な手動操作医療器具を含む処置において用いられてよい。
【0043】
器具システム200は、器具本体204に連結されるカテーテルシステム202を含む。カテーテルシステム202は、近位端217と、遠位端又は先端部分218とを有する、細長いフレキシブルなカテーテル本体216を含む。1つの実施態様において、フレキシブルな本体216は、約3mmの外径を有する。他のフレキシブルな本体の外径は、より大きくてよく或いはより小さくてよい。カテーテルシステム202は、任意的に、本体216に沿う1つ若しくはそれよりも多くのセグメント224の及び/又は遠位端218でのカテーテル先端の位置、向き、速さ、速度、姿勢、及び/又は形状を決定する、形状センサ222を含む。遠位端218と近位端217との間の本体216の全長は、効果的にセグメント224に分割されてよい。器具システム200が、遠隔操作医療システム100の医療器具システム104であるならば、形状センサ222は、センサシステム108のコンポーネントであってよい。器具システム200が手動操作される、或いは非遠隔操作処置のためにその他の方法で用いられるならば、形状センサ222は、形状センサに呼び掛けて、受信する形状データを処理する、トラッキングシステム230に連結されてよい。
【0044】
形状センサ222は、(例えば、内部通路(図示せず)内に設けられる或いは外部的に取り付けられる)フレキシブルなカテーテル本体216と整列させられる光ファイバを含んでよい。1つの実施態様において、光ファイバは、約200μmの直径を有する。他の実施態様において、直径は、より大きくてよく或いはより小さくてよい。
【0045】
形状センサシステム222の光ファイバは、カテーテルシステム202の形状を決定する光ファイバ曲げセンサを形成する。1つの代替では、ファイバ・ブラッグ・グレーティング(FBGs)を含む光ファイバを用いて1つ又はそれよりも多くの次元における構造中のひずみ測定値を提供する。光ファイバの形状及び相対的位置を三次元においてモニタリングする様々なシステム及び方法が、(2005年7月13日に出願された)(「Fiber optic position and shape sensing device and method relating thereto」を開示する)米国特許出願第11/180,389号、(2004年7月16日に出願された)(「Fiber-optic shape and relative position sensing」を開示する)米国特許出願第12/047,056号、及び(1998年6月17日に出願された)(「Optical Fibre Bend Sensor」を開示する)米国特許第6,389,187号に記載されており、それらの全文を本明細書中に参照として援用する。代替的な実施態様におけるセンサは、レイリー散乱、ラマン散乱、ブリルアン散乱、及び蛍光散乱のような、他の適切なひずみ検知技法を利用してよい。光ファイバを用いてカテーテルシステム202の少なくとも部分の形状をモニタリングしてよい。より具体的には、光ファイバを通過する光を処理して、カテーテルシステム202の形状を検出し、その情報を用いて外科処置を支援する。センサシステム(例えば、センサシステム108)は、カテーテルシステム202の形状を決定するために用いられる光を生成し且つ検出する呼掛けシステム(interrogation system)を含んでよい。次に、この情報を用いて、医療器具システムの部分の速度及び加速度のような、他の関連する変数を決定し得る。検知することは、遠隔操作システムによって作動させられる自由度にのみ限定されてよく、或いは、検知することは、受動的な自由度(例えば、関節の間の剛性部材の作動させられない曲げ)及び能動的な自由度(例えば、器具の作動させられる動き)の両方に適用されてよい。
【0046】
他の代替的な実施態様において、カテーテルの形状は、他の技法を用いて決定されてよい。例えば、カテーテルの遠位先端姿勢の履歴を用いて、時間の間隔に亘ってデバイスの形状を再構築し得る。他の例として、履歴的な姿勢、位置、又は向きデータが、呼吸のような、交互の運動の周期に沿う器具システムの既知の地点のために格納されてよい。この格納データを用いてカテーテルに関する形状データを作り上げてよい。代替的に、形状検知のために、カテーテルに沿って位置付けられる、EMセンサのような一連の位置センサを用い得る。代替的に、特に解剖学的通路が概ね静止的であるならば、処置中の器具システム上のEMセンサのような位置センサからのデータの履歴を用いて器具の形状を表してよい。代替的に、外部磁場によって位置又は向きが制御される無線デバイスが、形状検知のために用いられてよい。無線デバイスの位置の履歴を用いて、ナビゲートされる通路についての形状を決定してよい。
【0047】
医療器具システムは、任意的に、位置センサシステム220を含んでよい。位置センサシステム220は、外部生成される電磁場に晒されることがある1つ又はそれよりも多くの導電性コイルを含むセンサ220を備えるEMセンサシステムのコンポーネントであってよい。次に、EMセンサシステム220の各コイルは、外部生成される電磁場に対するコイルの位置及び向きに依存する特性を有する誘導電気信号を生成する。1つの実施態様において、EMセンサシステムは、6つの自由度、例えば、3つの位置座標X,Y,Z、並びに基点のピッチ、ヨー及びロールを示す3つの配向角、又は5つの自由度、例えば、3つの位置座標X,Y,Z、並びに基点のピッチ及びヨーを示す2つの配向角を測定するように、構成され且つ位置付けられてよい。EMセンサシステムの更なる記述は、(1999年8月11日に出願された)(「Six-Degree of Freedom Tracking System Having a Passive Transponder on the Object Being Tracked」を開示する)に提示されており、その全文を本明細書中に参照として援用する。
【0048】
トラッキングシステム230が、器具200に沿う遠位端218の及び1つ又はそれよりも多くのセグメント224の位置、向き、速さ、姿勢、及び/又は形状を決定するために、位置センサシステム220及び形状センサ222を含んでよい。トラッキングシステム230は、制御システム116のプロセッサを含んでよい1つ又はそれよりも多くのコンピュータプロセッサと相互作用する或いはその他の方法で実行される、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせとして実施されてよい。
【0049】
フレキシブルなカテーテル本体216は、補助的な器具226を受け入れるような大きさ及び形状とされる作業通路を含む。補助的な器具は、例えば、画像キャプチャプローブ、生検器具、レーザアブレーションファイバ、又は他の外科的、診断的、若しくは治療的なツールを含んでよい。補助的なツールは、メス、鈍らなブレード、光ファイバ、又は電極のような、単一の作業部材を有する、エンドエフェクタを含んでよい。他のエンドエフェクタは、例えば、鉗子、グラスパ(graspers)、ハサミ、又はクリップアプライヤ(clip
appliers)を含んでよい。電気的にアクティブ化されるエンドエフェクタの実施例は、電気外科電極、変換器(トランスデューサ)、センサ、及び同等物を含む。様々な実施態様において、補助的なツール226は、表示のために視覚化システム231によって処理される画像(ビデオ画像を含む)を取り込むためにフレキシブルなカテーテル本体216の遠位端218又はその付近に立体視又は平面視カメラを備える遠位部分を含む、画像キャプチャプローブであってよい。画像キャプチャプローブは、取り込んだ画像データを送信するためにカメラに連結されるケーブルを含んでよい。代替的に、画像キャプチャ器具は、視覚化システムに繋がる、ファイバスコープのような光ファイバの束であってよい。画像キャプチャ器具は、単スペクトル又は多スペクトルであってよく、例えば、可視スペクトル、赤外スペクトル、又は紫外スペクトルのうちの1つ又はそれよりも多くにおいて画像データを取り込む。
【0050】
補助的な器具226は、器具の遠位端を制御可能に曲げるよう、器具の近位端と遠位端との間に延びる、ケーブル、リンケージ、又は他の作動制御装置を収容してよい。操縦可能な器具は、(2005年10月4日に出願された)(「Articulated Surgical Instrument for Performing Minimally Invasive Surgery with Enhanced Dexterity and Sensitivity」を開示する)米国特許第7,316,681号及び(2008年9月30日に出願された)(「Passive Preload and Capstan Drive for Surgical
Instruments」を開示する)米国特許出願第12/286,644号に詳細に記載されており、それらの全文を本明細書中に参照として援用する。
【0051】
フレキシブルなカテーテル本体216は、例えば、遠位端の破線描写219によって示すように、遠位端218を制御可能に曲げるよう、ハウジング204と遠位端218との間に延びる、ケーブル、リンケージ、又は他の操縦制御装置(図示せず)も収容してよい。操縦可能なカテーテルは、(2011年10月14日に出願された)(「Catheter with Removable Vision Probe」を開示する)米国特許出願第13/274,208に詳細に記載されており、その全文を本明細書中に参照として援用する。器具システム200が遠隔操作アセンブリによって作動させられる実施態様において、ハウジング204は、遠隔操作アセンブリの電動駆動要素に取り外し可能に繋がり且つそこから動力を受け取る、駆動入力部を含んでよい。器具システム200が手動操作される実施態様において、ハウジング204は、把持構成、手動アクチュエータ、又は器具システムの動きを手動で制御するための他のコンポーネントを含んでよい。カテーテルシステムは、操縦可能であってよく、或いは、代替的に、システムは、器具の曲げの操作者制御のための統合的な機構を具備しないで、操縦不能であってよい。その上又は代替的に、1つ又はそれよりも多くの管腔が、フレキシブルな本体216の壁に定められ、1つ又はそれよりも多くの管腔を通じて器具を標的手術場所に配置して用い得る。
【0052】
様々な実施態様において、医療器具システム200は、肺の検査、診断、生検、又は治療における使用のための、気管支鏡又は気管支カテーテルのような、フレキシブルな気管支器具を含んでよい。システム200は、結腸、腸、腎臓、脳、心臓、循環系、及び同等の器官を含む、様々な解剖学的系統のいずれかにおける、自然の又は外科的に創られる接続通路を介した、他の組織のナビゲーション及び治療のためにも適する。
【0053】
トラッキングシステム230からの情報をナビゲーションシステム232に送信してよく、その情報はナビゲーションシステムで視覚化システム231からの情報及び/又は術前に得られるモデルと組み合わせられて、器具200の制御における使用のためのディスプレイシステム110上の実時間位置情報を外科医又は他の操作者にもたらす。制御システム116は、位置情報を器具200を位置付けるためのフィードバックとして利用してよい。光ファイバセンサを用いて手術器具を手術画像と位置合わせし且つ表示する様々なシステムが、(2011年5月13日に出願された)(「Medical System Providing Dynamic Registration of a Model of an Anatomical Structure for Image-Guided Surgery」を開示する)米国特許出願第13/107,562号に提供されており、その全文を本明細書中に参照として援用する。
【0054】
図2の実施態様において、器具200は、遠隔操作医療システム100内で遠隔操作される。代替的な実施態様において、遠隔操作アセンブリ102は、直接操作制御装置と置換されてよい。直接操作代替では、様々なハンドル及び操作者インターフェースが器具の手持ち式操作のために含められてよい。
【0055】
遠隔操作医療システムでは、操作者入力システム(例えば、入力システム106)にある制御デバイスを用いて、患者内の医療器具(例えば、器具104)の遠位先端の動きを制御してよい。より具体的には、操作者フレーム内の制御デバイスの動きが、入力指令のセットとして記録される。入力指令は、患者解剖学的基準系内の医療器具の動きを制御する出力指令のセットを創るよう、マッピングされる。制御動作は、三次元変位(X、Y、及びZ方向の横方向の動き)、三次元回転(ピッチ、ヨー、及びロール)、速さ、及び加速度を含む、様々な次元の動きが、操作者フレーム内で及び解剖学的フレーム内で直接的に対応するよう、マッピングされてよい。この種の同一性マッピングは、1:1のマッピング比又は縮尺(scale)を有する。代替的に、制御動作は、様々な次元の動きが、所定の比率(例えば、1:1.5,1:5)を用いて制御フレームから解剖学的フレームにより高くスケーリング(縮尺)されるよう、マッピングされてよい。より高いスケーリングは、制御フレーム内よりも解剖学的フレーム内でより大きな動き(例えば、より長い距離、より速い速度)を生む。代替的に、制御動作は、様々な次元の動きが、所定の比率(例えば、1:0.8又は1:0.2)を用いて制御フレームから解剖学的フレームにより低くスケーリングされるよう、マッピングされてよい。より低いスケーリングは、制御フレーム内よりも解剖学的フレーム内でより小さな動き(例えば、より短い距離、より遅い速度)を生む。
【0056】
図3A及び3Bは、異なるスケーリングシナリオを例示する図面である。操作者基準系X,Y,Z内の操作者制御又は入力デバイス400を用いて、解剖学的基準系X,Y,Z内の医療器具410の動きを制御する。より具体的には、入力指令は、制御フレーム内の操作者入力デバイス400の動きに基づいて創られ、解剖学的フレーム内の医療器具410の動きについての出力指令にマッピングされる。制御デバイス400及び医療器具410は、多数の自由度内で移動可能である。図3Aは、ピッチ又はヨー動作を例示している。しかしながら、本明細書中に記載する原理に従って、他の自由度が用いられてよい。
【0057】
図3Aに示すように、制御デバイス400は、元の位置402から二次的な位置404へ、ある距離406動かされてよい。位置402から位置404への制御デバイス400の動きは、距離416に亘る元の位置412から二次的な位置414への医療器具410の対応する動きを引き起こす。この実施態様において、医療器具410への制御デバイス400の移動のスケーリングされたマッピングは、第1の運動スケーリングパラメータによって管理される。運動スケーリングパラメータは、出力動作に対して入力動作をスケーリングする比率である。
【0058】
図3Bに示すように、制御デバイス400は、再び、元の位置402から二次的な位置404へ、ある距離406動かされてよい。この実施態様において、位置402から位置404への制御デバイス400の移動は、距離420に亘る元の位置412から二次的な位置418への医療器具410の対応する移動を引き起こす。この実施態様において、医療器具410への制御デバイス400の移動のスケーリングされたマッピングは、第2の運動スケーリングパラメータによって管理される。よって、第2の運動スケーリングパラメータと比較して、第1の運動スケーリングパラメータは、制御デバイス400の同じ運動を医療器具411においてより低くスケーリングさせる。換言すれば、制御デバイス400の同じ運動を用いて、第1の運動スケーリングパラメータがマッピングにおいて用いられるときに、医療器具におけるより小さな運動が生成され、第2の運動スケーリングパラメータがマッピングにおいて用いられるときに、医療器具におけるより大きな運動が生成される。図3A及び3Bは、制御機構の単一の移動距離406に対応する異なる変位距離416,420を例示するが、移動の比率をスケーリングする他の方法が用いられてよい。例えば、その上又は代替的に、医療器具の速度又は加速度がスケーリングされてよい。
【0059】
固定的な所定の運動スケーリングパラメータに依存するよりもむしろ、制御動作は、様々な次元の動きが、患者解剖学的構造内の又は操作者フレームにおける測定される因子(factor)に基づいて解剖学的フレームにおいて適応的にスケーリングされるよう、マッピングされてよい。よって、制御入力と医療器具出力との間のマッピングの縮尺は、解剖学的処置の間で異なることがある。何故ならば、測定される因子は変化するからである。以下に詳細に記載するように、測定される因子は、医療器具の動きが患者にもたらす損傷の相対的な危険性の表示をもたらすことがある。例えば、肺のより大きな中央通路内の医療器具の動きは、肺のより末梢の領域における医療器具の動きよりも低い、患者の損傷の危険性を有することがある。気道がより小さく、より柔らかく、より短い、肺の末梢領域における不正確な動きは、通路壁を穿刺する医療器具をもたらすことがある。気胸又は他の有害な状況が結果的に生じることがある。損傷の危険性を減少させるために、末梢領域における医療器具の運動は、医療器具の動きが制御デバイスの動きよりも比例的により小さい(横方向距離がより短い、速度がより遅い)よう、より低くスケーリングされてよい。以下に詳細に記載するように、様々な測定される因子を用いて使用者入力と医療器具出力との間のスケーリングを適合させ得る。これらの測定される因子は、医療処置を通じて変化し、よって、マッピングを変更する。
【0060】
幾つかの実施態様では、運動スケーリングパラメータ(例えば、出力動作に対して入力動作をスケーリングする比率)が、医療器具の遠位先端及び周囲の解剖学的領域についての知識に基づき決定されてよい。図4は、人間の肺152の外部の視点からの肺152の解剖学的モデル151を含む合成画像150を描写している。肺152のモデル151は、セグメント化プロセスのようなモデル化機能を用いて、取り込まれる画像(例えば、術前又は術中のCT又はMRI画像)のセットから生成されてよい。
【0061】
肺152における使用のための医療器具(例えば、器具104,200)が、解剖学的基準系内に配置される。医療器具の位置、向き、姿勢、及び形状、並びに、遠位先端を含む、医療器具に沿う様々な地点が、解剖学的基準系内に位置特定(localized)されてよい。前述のように、解剖学的フレーム内の遠位先端のような地点の場所は、EMセンサ、光ファイバ形状センサ、又は蛍光透視センサを用いて、決定されてよい。医療器具の遠位先端を位置特定する他のセンサは、超音波に基づくセンサ、光学位置特定センサ、インピーダンスに基づく位置特定センサ、運動学的センサ、又はこれらのセンサのうちのいずれかのセンサの組み合わせを含んでよい。幾つかの実施態様では、運動スケーリングパラメータが、位置特定センサデータに直接的に基づき、例えば、場所又は運動学的センサによって示される肺内への医療器具の挿入の深さ、超音波センサによって示される組織の密度、及び/又は形状センサによって示される器具構成に基づき、適用されてよい。
【0062】
様々な他の実施態様において、モデル肺151は、位置特定される医療器具(又は医療器具の少なくとも部分の)画像154が、合成画像150と位置合わせされ且つ同時に表示されるよう、解剖学的基準系に対しても位置合わせされる。よって、合成画像150は、肺152内の医療器具の遠位先端の場所を示す。よって、医療器具の遠位先端は、モデルに対して位置特定され、医療器具の位置特定される遠位先端についての環境情報が、モデル及びモデルに由来する画像から決定されてよい。器具及び肺152のモデル151のビューは、例えば、吸息又は呼息の状態における肺を描写するよう、変化してよい。器具画像154は、気管支通路156を通じる器具の前進又は後退を描写するよう、変化してよい。幾つかの実施例において、モデル151は、標的領域160を含んでもよい。標的領域160は、手術器具のための目的地を表してよい。例えば、生検を行うとき、抽出されるべき組織は、標的領域160内にある。
【0063】
肺152内の医療器具の遠位先端の場所の知識は、その場所についての環境情報が、術前又は術中画像データから測定されるのを可能にする。そのような測定値は、例えば、遠位先端の場所での気道の断面サイズ、遠位先端の場所での気道の剛性、遠位先端と肺の胸膜のような解剖学的な関心の領域との間の距離、又は遠位先端と左気管支及び右気管支間の分岐のような中央肺領域との間の距離を含む。
【0064】
図5A及び5Bは、通路(例えば、通路156)の断面サイズ504,506である測定される因子に基づく適応入力制御マッピング(adaptive input control mapping)を示す図である。図5Aは、比較的広い断面サイズ504を有する通路500内の医療器具502を例示している。図5Bは、比較的小さな断面サイズ506を有する通路510内の医療器具502を例示している。異なる運動スケーリングパラメータ(例えば、出力動作に対して入力動作をスケーリングする比率)が、測定される断面サイズ504,506から決定されてよい。例えば、器具502の先端501がより小さな断面サイズ506内にあるとき、運動スケーリングパラメータは、器具502の先端501がより大きな断面サイズ504内にあるときよりも低くてよい。図5Bに例示するように、より低い運動スケーリングパラメータは、操作者入力デバイスの挿入運動をマッピングして、器具がより小さな通路内にあるときに医療器具502の遠位先端501を距離D2移動させる。図5Aに例示するように、より大きな断面サイズ504と関連付けられるより高い運動スケーリングパラメータが、操作者入力デバイスの同じ挿入運動をマッピングして、医療器具502の遠位先端501を距離D1移動させる。よって、器具の先端501は、より大きな通路内よりも、より小さな通路内のより小さな動きのために、スケーリングされる。より低い運動スケーリングパラメータは、より小さな変位出力と関連付けられて示されているが、より低い運動スケーリングパラメータは、その上又は代替的に、より小さな回転運動、より小さな速度、又はより小さな加速度出力と関連付けられてよい。
【0065】
図4を参照する代替的な実施態様において、適応入力制御マッピングは、医療器具の遠位先端を収容する通路(例えば、通路156)が位置する解剖学的構造の領域の一般的な剛性である測定される因子に基づいてよい。例えば、遠位先端が中央領域162内に位置するならば、気道はより剛的な構造及びより大きな測定値の剛性を有することが知られている。遠位先端が末梢領域164内に位置するならば、気道はよりフレキシブルな構造及びより低い測定値の剛性を有することが知られている。より高い運動スケーリングパラメータが、より中央の領域と関連付けられることがあり、より低い運動スケーリングパラメータが、より末梢の領域及びより低い測定値の剛性と関連付けられることがある。よって、操作者入力動作は、より繊細な気道が気道を穿刺するより大きな危険性を生む末梢領域において、より注意深くマッピングする(変位はより小さく、速度及び加速度はより遅い)。通路がより大きくより頑丈であるより中央の領域において、より高い運動スケーリングパラメータで入力制御運動をマッピングすることは、器具が、患者損傷の危険性が減少させられるより大きな解剖学的通路内で、より大きな速度で、より多くの距離で、より効率的に走行するのを可能にすることがある。
【0066】
図6A及び6Bは、関心の領域又は地点608への距離である測定される因子に基づく適応入力制御マッピングを示す図面である。図6Aは、医療器具の先端604から関心の地点608への測定される距離606が比較的大きいように位置付けられる、医療器具602を例示している。図6Bは、医療器具の先端604から関心の地点608への測定される距離612が比較的小さいように位置付けられる、医療器具602を例示している。
【0067】
関心の地点608は、解剖学的構造内の様々な場所であってよい。1つの実施例において、関心の地点608は、生検サンプルを得るための標的地点であってよい。そのような場合、医療器具604の先端604は、生検針であってよい。関心の地点608は、肺を取り囲む胸膜のような解剖学的構造の高リスク部分であってもよい。医療器具で胸膜に不注意にアクセスすることは、気胸又は患者に対する他の重大な害を引き起こすことがある。
【0068】
異なる運動スケーリングパラメータ(例えば、出力動作に対して入力動作をスケーリングする比率)が、測定される距離606,612から決定されてよい。例えば、器具602の先端604が関心の地点608により近接し、測定される距離が小さいとき、運動スケーリングパラメータは、器具602の先端604が関心の地点608から遠く離れるときよりも低くてよい。図6Bに示すように、より低い運動スケーリングパラメータは、操作者入力デバイスの挿入動作をマッピングして、器具が関心の地点608により近接するときに器具602の遠位先端604を距離D3移動させる。図6Aに例示するように、より大きな測定される距離606と関連付けられるより高い運動スケーリングパラメータが、操作者入力デバイスの同じ挿入動作をマッピングして、医療器具602の遠位先端604を距離D4移動させる。よって、器具の先端604は、先端が関心の地点により近接するときに、より小さな動きD3のためにスケーリングされる。より低い運動スケーリングパラメータが、より小さな変位出力と関連付けられて示されているが、より低い運動スケーリングパラメータは、その上又は代替的に、より小さな回転運動、より小さな速度、又はより小さな加速度出力と関連付けられてよい。よって、遠位先端が関心の地点により近接するとき、操作者入力動作は、より注意深くマッピングし(変位はより小さく、速度及び加速度はより遅く)、標的組織にアクセスするために或いは気道を穿刺する危険性を減少させるために、より大きな警戒が必要とされることがある。入力制御と医療器具602の動きとの間の比率をより低くスケーリングすることによって、器具が過剰な力で関心の地点608と接触する可能性は低い。入力制御機構からの入力が絶え間なくあるとしても、医療器具602は、器具の遠位先端と関心の地点608との間の測定される距離を変更することに基づき、速度を遅くすることがあり、停止することさえある。
【0069】
1つ又はそれよりも多くの測定システムを用いて運動スケーリングパラメータを決定してよい。上述のように、解剖学的構造内の器具遠位先端の場所についての知識は、患者解剖学的構造の術前又は術中モデルから決定されてよい。術前又は術中画像又はモデルを用いて、画像又はモデル内に見える器具の遠位先端と解剖学的構造との間の距離を測定してもよい。代替的な実施態様において、解剖学的構造内の遠位先端の一般的な場所、よって、特定の解剖学的構造(例えば、胸膜)に対する遠位先端の一般的な場所は、遠位先端の動きに対する周期的な解剖学的運動周期(例えば、呼吸周期)の影響を測定することによって決定されてよい。例えば、肺は、より固定的な中央領域におけるよりも、周期的な解剖学的運動に応答して末梢の領域においてより多く動くことがある。
【0070】
更に他の代替において、運動スケーリングパラメータを決定するために用いられる測定システムは、1つ又はそれよりも多くのセンサで決定されてよい。例えば、医療器具(例えば、器具104,200)上に取り付けられるセンサを用いて、器具が配置される通路の断面サイズを評価し、或いは、器具の遠位先端と遠位先端の近傍における他の解剖学的構造との間の距離を評価してよい。適切なセンサは、光センサ、超音波センサ、二次元カメラ、三次元カメラ、又はレーザスキャナを含んでよい。例えば、振幅変調スキャン(Aスキャン)が、カテーテルから延びるファイバの先端から取られてよい。Aスキャンからの情報は、器具の先端からの位置及び向きデータを用いて一時的に統合させられてよい。他の実施例において、センサは立体視撮像システムであってよい。立体鏡は、空間的に変位させられるレンズから2つの別個の画像を生成する。両方の画像からのデータを相関させることによって、三次元データを構築し得る。よって、立体視撮像システムは、医療器具の遠位先端付近の三次元表面を決定し得る。他の実施例において、センサは構造光撮像システムであってよい。例えば、位置におけるオフセットを有する投射器(projector)が、カメラによって見られる光パターンを投射する。この情報は3D表面を再構築するために用いられる。他の実施例において、センサは血管内超音波(IVUS)システムであってよい。IVUSシステムは、超音波信号を用いて、超音波変換器と周囲組織との間の距離を測定し得る。器具の先端に取り付けられるIVUSプローブを用いて、通路内の環境をスキャン(走査)して、軸方向において超音波信号を投射することによって通路を定める三次元表面構造を決定し得る。1つの代替的な実施例において、IVUSプローブは、前方に面するプローブであってよい。他の実施例では、干渉計センサを用いて組織構造を測定するために、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)が用いられる。それを距離計(レンジファインダ)としても用いて、解剖学的通路の三次元表面を測定し得る。他の実施例において、センサはツールに基づく測定デバイスであってよい。例えば、プローブと様々な表面との間の距離を測定するために、生検針が拡張されてよい。多数の測定値からのデータを用いて、器具をナビゲートする通路の三次元表面を構築し得る。上述のように、測定される距離を用いて、医療器具に対して制御デバイスの動きをマッピングする運動スケーリングパラメータを決定してよい。
【0071】
図7A及び7Bは、器具702の実際の位置と命令される位置との間の差である測定される因子に基づく例示的な適応入力制御マッピングを示す図面である。図7Aは、器具702の実際の位置704と命令される位置706との間の比較的大きな測定される差又は誤差705を例示している。図7Bは、器具702の実際の位置704と命令される位置708との間の比較的小さな測定される差又は誤差707を例示している。
【0072】
異なる運動スケーリングパラメータ(例えば、出力動作に対して入力動作をマッピングする比率)が、測定される誤差705,707から決定されてよい。例えば、側愛知される誤差がより大きいとき、運動スケーリングパラメータはより低くてよい。命令される位置と実際の位置との間の測定されるより大きな誤差は、器具の遠位先端に対するより大きな反作用する荷重によって引き起こされることがある。よって、より大きな測定される誤差は、より小さな、より繊細な、解剖学的通路と関連付けられる。前述のように、より低い運動スケーリングパラメータで入力制御運動をマッピングすることは、医療器具の遠位先端が、遠位先端を近接して取り囲む又は遠位先端の周りに伸びる、より小さな、より繊細な、解剖学的通路内に配置されるときの、患者損傷の危険性を減少させることがある。命令される位置706と実際の位置704との間の大きな誤差は、器具が何らかの種類の拘束に接近したことを示すことがある。例えば、器具は、隣接する組織の表面に接触して、前進し得ないことがある。そのような場合には、器具に対して過剰な力を置かないことが望ましい。何故ならば、そのようにすることは、組織を穿刺することがあるからである。幾つかの場合には、測定される誤差が閾値を越えるならば、入力制御機構の動きは、それぞれの自由度における如何なる動きも引き起こさない。
【0073】
測定される誤差がより小さいとき、運動スケーリングパラメータはより高くてよい。命令される位置と実際の位置との間のより小さな測定される誤差は、器具の遠位先端に対する幾らかの反作用する荷重に起因することがある。よって、より小さな測定される誤差は、より大きな、より凹凸のある(rugged)、中央の解剖学的通路と関連付けられる。前述のように、より大きな運動スケーリングパラメータで入力制御運動をマッピングすることは、器具が、患者損傷の危険性を減少させるより大きな解剖学的通路内で、より大きな距離で、より大きな速さで、より効率的に走行するのを可能にすることがある。
【0074】
位置センサにおける小さな変動の故に、命令される位置と実際の位置との間に小さな程度の誤差があることは受け容れられる。よって、差707が閾値レベルよりも下であるならば、命令される位置708と実際の位置704との間の差の目的のために、スケーリングに対する調節は行われない。しかしながら、その差がより大きくなると、入力制御と器具702の動きとの間の比率は、器具702が解剖学的構造に損傷を引き起こす可能性が低くなるよう、増大する。幾つかの場合、医療器具に対する重力の荷重が検知されて、命令される位置と実際の位置との間の差から引かれることがある。命令される位置と実際の位置との間の差は、モータアクチュエータの命令される位置及び実際の位置から決定されてよい。代替的に、誤差は、光ファイバ形状センサ又は力センサのようなセンサから決定されてよい。
【0075】
図8は、器具702の検知されるインピーダンスである測定される力に基づく例示的な適応入力制御マッピングを示す図面である。検知されるインピーダンスは、力Fに晒されるときの器具の運動に対する抵抗(opposition)の測定値である。異なる運動スケーリングパラメータ(例えば、出力動作に対して入力動作をスケーリングする比率)が、検知されるインピーダンスから決定されてよい。例えば、測定されるインピーダンスがより大きいとき、運動スケーリングパラメータはより低くてよい。より大きな測定されるインピーダンス(よって、力F)は、器具の遠位先端に対するより大きな反作用する荷重によって引き起こされることがある。よって、より大きな測定される誤差は、より小さな、より繊細な、解剖学的通路と関連付けられる。前述のように、より低い運動スケーリングパラメータで入力制御運動をマッピングすることは、医療器具の遠位先端が、遠位先端を近接して取り囲む或いは遠位先端の周りに伸びる、より小さな、より繊細な、解剖学的通路内に配置されるときの、患者損傷の危険性を減少させることがある。大きな検知されるインピーダンスは、器具が何らかの種類の拘束に接近したことも示すことがある。例えば、器具は、隣接する組織の表面に接触して、前進し得ないことがある。そのような場合には、器具に対して過剰な力を置かないことが望ましい。何故ならば、そのようにすることは、組織を穿刺することがあるからである。幾つかの場合には、測定される誤差が閾値を越えるならば、入力制御機構の動きは、それぞれの自由度における如何なる動きも引き起こさない。
【0076】
測定されるインピーダンスがより小さいとき、運動スケーリングパラメータはより高くてよい。より小さな測定されるインピーダンスは、器具の遠位先端に対する幾らかの反作用する荷重に起因することがある。よって、より小さな測定されるインピーダンス又は力Fは、より大きな、より凹凸のある、中央の解剖学的通路と関連付けられる。前述のように、より高い運動スケーリングパラメータで入力制御運動をマッピングすることは、器具が、患者損傷の危険性を減少させるより大きな解剖学的通路内で、より大きな距離で、より大きな速さで、効率的に走行するのを可能にすることがある。
【0077】
幾つかの実施態様において、インピーダンス又は力Fは、医療器具の運動を作動させるモータのためのモータ電流の測定値から決定されてよい。代替的に、インピーダンス又は力Fは、測定される器具形状(例えば、光ファイバ形状センサ)及び器具の剛性特性から決定されてよい。
【0078】
代替的な実施態様において、適応入力制御マッピングは、操作者入力デバイスの測定される動力学に基づいてよい。異なる運動スケーリングパラメータ(例えば、出力動作に対して入力動作をスケーリングする比率)が、操作者入力デバイスの測定される動力学から決定されてよい。例えば、操作者入力デバイスが、高い測定される速度又は加速度のような、高い測定される動力学を有するとき、運動スケーリングパラメータはより大きくてよい。よって、操作者入力デバイスが速く動いているとき、医療器具動作は、制御デバイスと同じ速さで或いは制御デバイスよりも速く動くようにスケーリングされ得る。操作者入力デバイスが、より遅い測定される速度又は加速度のような、より低い測定される動力学を有するとき、運動スケーリングパラメータはより小さくてよい。よって、操作者入力デバイスがゆっくり動いているとき、医療器具動作は、操作者入力デバイスよりもゆっくり動くようスケーリングされてよい。
【0079】
図9は、適応入力制御マッピングのための例示的な方法900を示すフローチャートである。本実施例によれば、方法900は、運動スケーリングパラメータを受信するプロセス902を含む。運動スケーリングパラメータは、医療器具の遠位先端の出力動作に対して操作者入力デバイスでの入力動作をスケーリングする比率である。運動スケーリングパラメータは、医療器具が医療処置中に解剖学的構造を通じて動くときに変化する、患者解剖学的構造内の環境条件に適合してよい。上述のように、運動スケーリングパラメータは、解剖学的通路の断面距離、解剖学的通路の剛性、及び器具と高リスク領域との間の距離のような指令環境因子を含む、1つ又はそれよりも多くの測定される因子から決定される。測定される因子は、その上又は代替的に、制御デバイス動作の速度又は加速度成分のような、操作者入力デバイス動作のための動的なパラメータを含んでよい。測定される因子は、医療器具の命令される運動と実際の出力運動との間の誤差値を示してもよい。測定される因子は、医療器具の命令される運動についての力又はインピーダンス値を含んでもよい。
【0080】
方法900は、操作者入力デバイス動作から入力指令を受信するプロセス904を更に含む。操作者が操作者基準系内で操作者入力デバイスを動かすとき、制御システムは、その動きを医療器具にマッピングするために用いられる動きについての入力指令を受信する。
【0081】
方法900は、入力指令を医療器具を動かすための出力指令にマッピングするプロセス906を更に含む。マッピングプロセス906は、運動スケーリングパラメータを入力指令に適用して、出力指令を生成することを含む。医療器具が解剖学的通路内で動き、運動スケーリングパラメータが変化する解剖学的環境又は他の測定される因子に応答して変化するとき、出力動作への入力動作のマッピングは実時間において調節される。
【0082】
この開示のシステム及び方法は、肺の接続される気管支通路のために用いられてよい。システム及び方法は、結腸、腸、腎臓、脳、心臓、循環系、又は同等の器官を含む、様々な解剖学的系統のうちのいずれかにおける、自然の又は外科的に創られる接続される通路を介した、他の組織の治療及びナビゲーションにも適することがある。この開示の方法及び実施態様は、非外科用途にも適する。
【0083】
本発明の実施態様における1つ又はそれよりも多くの要素をソフトウェアにおいて実施して、制御処理システム112のようなコンピュータシステムのプロセッサを実行してよい。ソフトウェアにおいて実施されるとき、本発明の実施態様の要素は、本質的には、所要のタスクを行うコードセグメントである。送信媒体又は通信リンクを通じて搬送波において具現されるコンピュータデータ信号によってダウンロードされてよいプロセッサ可読記憶媒体又はデバイス内にプログラム又はコードセグメントを格納し得る。プロセッサ可読記憶デバイスは、光媒体、半導体媒体、及び磁気媒体を含む、情報を格納し得る任意の媒体を含んでよい。プロセッサ可読記憶デバイスの実施例は、電子回路、半導体デバイス、半導体メモリデバイス、読出し専用記憶装置(ROM)、フラッシュメモリ、消去可能なプログラム可能読取り専用記憶装置(EPROM)、フロッピーディスケット、CD−ROM、光ディスク、ハードディスク、又は他の格納デバイスを含む。コードセグメントは、インターネット、イントラネット等のような、コンピュータネットワークを介して、ダウンロードされてよい。
【0084】
提示されるプロセス及び表示は、如何なる特定のコンピュータ又は他の装置にも本質的に関係しないでよいことに留意のこと。様々な汎用システムが、本明細書中の教示に従ったプログラムと共に用いられてよく、より特殊な装置を構築して記載する操作を行うことが便利であると分かることがある。様々なこれらのシステムのための所要の構造は、請求項中に要素として現れるであろう。加えて、本発明の実施態様は、如何なる特定のプログラミング言語を参照しても記載されていない。様々なプログラミング言語を用いて本明細書中に記載するような本発明の教示を実施してよいことが理解されるであろう。
【0085】
本発明の特定の実施態様を記載し且つ添付の図面に示したが、そのような実施態様は広義の発明の例示に過ぎず、広義の発明の限定でないこと、並びに、本発明の実施態様は、図示し且つ記載する特定の構造及び構成に限定されないことが理解されるべきである。何故ならば、様々な他の修正が、当業者の心に思い浮かぶことがあるからである。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9