(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
凸条及び凹条の形成された第一面と、該第一面に対して反対側を向き、且つ第一面の凸条と表裏の関係にある凹条及び第一面の凹条と表裏の関係にある凸条の形成された第二面とを有する伝熱部を含む伝熱プレートであって、それぞれの伝熱部が第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレートを備え、
複数の伝熱プレートのそれぞれは、自身の伝熱部の第一面を第一方向の一方側で隣に並ぶ伝熱プレートにおける伝熱部の第一面と対向させるとともに、自身の伝熱部の第二面を第一方向の他方側で隣に並ぶ伝熱プレートにおける伝熱部の第二面と対向させ、
第一流体を第一方向と直交する第二方向に流通させる第一流路が隣り合う伝熱プレートの伝熱部の第一面間に形成されるとともに、第二流体を第二方向に流通させる第二流路が隣り合う伝熱プレートの伝熱部の第二面間に形成され、
隣り合う伝熱プレートのそれぞれの伝熱部は、第一面に形成される凸条として、第一方向及び第二方向と交差する方向に間隔をあけて配置された複数の第一凸条であって、それぞれが第二方向又は第二方向を成分に含む合成方向に延びる複数の第一凸条と、該第一面に形成される第一凸条よりも低い障壁用凸条であって、第一凸条と交差する方向に延びる少なくとも一つの障壁用凸条とを含むとともに、第一面に形成される凹条として、第一方向及び第二方向と交差する方向で隣り合う第一凸条間に形成される複数の第一凹条を含み、且つ第二面に形成される凹条として、第一凸条と表裏の関係にある複数の第二凹条を含み、
隣り合う伝熱プレートのそれぞれの第一凸条は、相手方の伝熱プレートの第一凸条間に位置し、
隣り合う伝熱プレートのそれぞれの障壁用凸条の長手方向の寸法が、伝熱部の第一方向及び第二方向と直交する第三方向の全長よりも短く設定され、
隣り合う伝熱プレートの障壁用凸条は、第二方向及び第三方向の少なくとも何れか一方で互いに位置ずれした位置に配置され、相手方の伝熱プレートの第一凸条と交差衝合している、
プレート式熱交換器。
隣り合う伝熱プレートのうちの一方の伝熱プレートにおける列を構成する複数の障壁用凸条のそれぞれは、隣り合う伝熱プレートのうちの他方の伝熱プレートにおける列を構成する複数の障壁用凸条の間に位置する、
請求項3に記載のプレート式熱交換器。
【背景技術】
【0002】
従来から、プレート式熱交換器は、複数の伝熱プレートを備える。複数の伝熱プレートのそれぞれは、伝熱部を含む。伝熱部は、第一方向に第一面と第二面とを有する。具体的には、伝熱部は、凸条及び凹条の形成された第一面と、該第一面に対して反対側を向き、且つ第一面の凸条と表裏の関係にある凹条及び第一面の凹条と表裏の関係にある凸条の形成された第二面とを有する。
【0003】
伝熱部の第一面及び第二面のそれぞれにおいて、凸条は、第一方向と直交する第二方向に延びる伝熱部の中心線(以下、縦中心線という)と交差する。該凸条は、第一方向及び第二方向のそれぞれに直交する第三方向における伝熱部の全長に亘って形成される。
【0004】
複数の伝熱プレートは、第一方向に重ね合わされる。すなわち、複数の伝熱プレートのそれぞれは、自身の伝熱部の第一面を第一方向の一方側で隣に並ぶ伝熱プレートの伝熱部の第一面と対向させる。また、複数の伝熱プレートのそれぞれは、自身の伝熱部の第二面を第一方向の他方側で隣に並ぶ伝熱プレートの伝熱部の第二面と対向させる。
【0005】
この状態で、隣り合う伝熱プレートの伝熱部の凸条同士は、交差衝合し、伝熱部の凹条により、隣り合う伝熱プレートの伝熱部間に空間が形成される。すなわち、第一流体を第二方向に流通させる第一流路が隣り合う伝熱プレートの伝熱部の第一面間に形成される。また、第二流体を第二方向に流通させる第二流路が隣り合う伝熱プレートの伝熱部の第二面間に形成される。これに伴い、プレート式熱交換器は、第一流路と第二流路とを仕切る伝熱部を介して第一流路内の第一流体と第二流路内の第二流体とを熱交換させる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
ところで、この種のプレート式熱交換器は、第一流路内の第一流体と第二流路内の第二流体との熱交換により、第二流路内の第二流体を凝縮させる凝縮器として使用されることがある。また、この種のプレート式熱交換器は、第一流路内の第一流体と第二流路内の第二流体との熱交換により、第二流路内の第二流体を蒸発させる蒸発器として使用されることもある。
【0007】
しかしながら、従来のプレート式熱交換器では、凝縮器や蒸発器として使用された場合、凝縮や蒸発の対象となる第二流体の特性との関係で、熱伝達性能を向上させるのに限界がある。
【0008】
具体的に説明すると、伝熱部の凸条は、該伝熱部の縦中心線を横切り、第三方向における伝熱部の全長に亘って形成される。そのため、伝熱部の凸条は、第一流路及び第二流路のそれぞれの流通抵抗を大きくする。
【0009】
一般的に、第一流体には、相変化を起こさない流体(単相流となる流体)が採用される。そのため、第一流路の流通抵抗の増加は、伝熱部に対して熱的な影響を及ぼす機会を増やす。従って、第一流路の流通抵抗の増加は、熱伝達性能を高める要因となる。
【0010】
これに対し、第二流体には、フロン等の相変化を起こす流体(液体と気体とを含む二相流となる流体)が採用される。これに伴い、第二流路を画定する伝熱部の第二面上に、第二流体の液膜が形成される。そのため、熱伝達性能を向上させるべく、第二流体の流速を速め、伝熱部の第二面上に形成される液膜の流れを乱す必要がある。
【0011】
しかしながら、伝熱部の凸条は、該伝熱部の縦中心線を横切って、第三方向における伝熱部の全長に亘って形成されるため、伝熱部の凸条は、第二流路内での第二流体の流れを阻害する。すなわち、伝熱部の第二面にある凸条は、第二流路内での第二流体の流れに対して横切る(交差する)ように形成されるため、第二流路内での第二流体の流通抵抗を大きくする。
【0012】
そのため、従来のプレート式熱交換器では、第二流路内での第二流体の流速を速めるには限界があり、伝熱部の第二面上に形成される第二流体の液膜の流れを十分に乱すことができない。
【0013】
従って、従来のプレート式熱交換器では、第二流路を流通する第二流体の伝熱部に対する熱伝達性能を高めるのに限界がある。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の第一実施形態に係るプレート式熱交換器について、添付図面を参照して説明する。
【0024】
図1及び
図2に示す如く、第一実施形態に係るプレート式熱交換器(以下、本実施形態において、単に熱交換器という)1は、三つ以上の伝熱プレート2,3を備える。
【0025】
三つ以上の伝熱プレート2,3は、第一方向に重ね合わされる。本実施形態に係る熱交換器1は、三つ以上の伝熱プレート2,3には、二種類の伝熱プレートが含まれる。二種類の伝熱プレート2,3は、第一方向において交互に配置される。
【0026】
これに伴い、熱交換器1には、伝熱プレート2,3を境にして、第一流体Aを流通させる第一流路Raと、第二流体Bを流通させる第二流路Rbとが第一方向において交互に形成される。
【0027】
ここで、二種類の伝熱プレート2,3について具体的に説明する。二種類の伝熱プレート2,3は、共通点と、相違点とを有する。まず、二種類の伝熱プレート2,3の共通点について説明する。
【0028】
伝熱プレート2,3は、
図3乃至
図6に示す如く、第一面Sa1,Sb1と該第一面Sa1,Sb1に対して反対向きの第二面Sa2,Sb2とを有する伝熱部20,30と、伝熱部20,30の外周縁全周から該伝熱部20,30と面交差する方向に延出した環状の嵌合部21,31とを備える。
【0029】
伝熱部20,30は、第一方向に厚みを有する。これに伴い、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1及び第二面Sa2,Sb2は、第一方向に並ぶ。伝熱部20,30の外形(輪郭)は、第一方向と直交する第二方向に延びる一対の長辺と、第二方向に間隔をあけて配置される一対の短辺であって、それぞれが第一方向及び第二方向と直交する第三方向に延びて一対の長辺を繋ぐ一対の短辺とによって画定される。すなわち、第一方向から見た伝熱部20,30の外形は、第二方向に長手をなす長方形状である。
【0030】
伝熱部20,30は、第二方向に一端部と該一端部の反対側の他端部を有する。伝熱部20,30は、第二方向の一端部及び他端部のそれぞれに少なくとも二つの開口200,201,202,203,300,301,302,303を有する。本実施形態において、伝熱部20,30は、第二方向の一端部に二つの開口200,203,300,303を有し、第二方向の他端部に二つの開口201,202,301,302を有する。
【0031】
第二方向における伝熱部20,30の一端部にある二つの開口200,203,300,303は、第三方向に並んでいる。また、第二方向における伝熱部20,30の他端部にある二つの開口201,202,301,302は、第三方向に並んでいる。
【0032】
伝熱部20,30における第二方向の一端部にある一方の開口200,300の周囲及び他端部にある一方の開口201,301の周囲は、第一面Sa1,Sb1側において窪んでいる。これに伴い、伝熱部20,30における第二方向の一端部にある一方の開口200,300の周囲及び他端部にある一方の開口201,301の周囲は、第二面Sa2,Sb2側において膨出している。
【0033】
伝熱部20,30における第二方向の一端部にある一方の開口200,300の周囲及び他端部にある一方の開口201,301の周囲の第二面Sa2,Sb2側への膨出量は、第一方向で隣に並ぶ伝熱プレート2,3の伝熱部20,30の開口200,201,300,301(一端部の一方の開口200,300及び他端部の一方の開口201,301)の周囲と接触可能に設定される。
【0034】
これに対し、伝熱部20,30における第二方向の一端部にある他方の開口203,303の周囲及び他端部にある他方の開口202,302の周囲は、第二面Sa2,Sb2側において窪んでいる。これに伴い、伝熱部20,30における第二方向の一端部にある他方の開口203,303の周囲及び他端部にある他方の開口202,302の周囲は、第一面Sa1,Sb1側において膨出している。
【0035】
伝熱部20,30における第二方向の一端部にある他方の開口203,303の周囲及び他端部にある他方の開口202,302の周囲の第一面Sa1,Sb1側への膨出量は、第一方向で隣に並ぶ伝熱プレート2,3の伝熱部20,30の開口202,203,302,303(一端部の他方の開口202,302及び他端部にある他方の開口203,303)の周囲(膨出した部分)と接触可能に設定される。なお、
図3乃至
図6において、第一面Sa1,Sb1及び第二面Sa2,Sb2のそれぞれにおける凹凸関係を明確にすべく、開口200,201,202,203,300,301,302,303の周囲で窪んでいる領域、及び後述する凹条22,32の底部分に対してドットを付している。
【0036】
本実施形態において、伝熱プレート2,3を重ね合わせる態様との関係で、伝熱部20,30における第二方向の一端部にある一方の開口200,300と他端部にある一方の開口201,301とは、対角位置にある。また、伝熱部20,30における第二方向の一端部にある他方の開口203,303と他端部にある他方の開口202,302とは、対角位置にある。
【0037】
伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1及び第二面Sa2,Sb2のそれぞれには、凹条22,32及び凸条23,33が形成されている。伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1及び第二面Sa2,Sb2のそれぞれにおいて、凹条22,32及び凸条23,33のそれぞれは、複数(多数)ある。
【0038】
より具体的には、伝熱プレート2,3は、金属プレートをプレス成形することで成形される。これに伴い、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1に形成された凹条22,32と、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2に形成された凸条23,33とは、表裏の関係にある。また、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1に形成された凸条23,33と、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2に形成された凹条22,32とは、表裏の関係にある。すなわち、プレス成形に伴う金属プレートの変形により、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1に形成された凹条22,32は、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2に形成された凸条23,33と対応した位置に形成される。また、プレス成形に伴う金属プレートの変形により、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1に形成された凸条23,33は、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2に形成された凹条22,32と対応した位置に形成される。
【0039】
図3及び
図5に示す如く、伝熱部20,30は、第一面Sa1,Sb1に形成される凹条22,32として、それぞれが第二方向に延びる複数の第一凹条220,320であって、第三方向に間隔をあけて配置された複数の第一凹条220,320を含む。また、伝熱部20,30は、第一面Sa1,Sb1に形成される凸条23,33として、第三方向で隣り合う第一凹条220,320間で第二方向に延びる複数の第一凸条230,330を含む。すなわち、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1において、第一凹条220,320及び第一凸条230,330は、第三方向で交互に配置される。
【0040】
さらに、伝熱部20,30は、第一面Sa1,Sb1に形成される凸条23,33として、該第一面Sa1,Sb1に形成される第一凸条230,330よりも低い障壁用凸条231,331であって、複数の第一凸条230,330と交差する方向に延びる少なくとも一つの障壁用凸条231,331を含む。
【0041】
複数の第一凹条220,320のそれぞれにおける第三方向の幅、及び複数の第一凸条230,330のそれぞれの第三方向の幅は、同一又は略同一である。第一凹条220,320を画定する内面と第一凸条230,330を画定する外面とは連続している。これにより、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1は、第一方向に起伏した波形状に形成される。
【0042】
これを前提に、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1において、複数の第一凹条220,320のうちの特定の第一凹条220,320と、複数の第一凸条230,330のうちの特定の第一凸条230,330であって、特定の第一凹条220,320と隣り合う第一凸条230,330との境界が、縦中心線CL上に位置している。
【0043】
すなわち、特定の第一凹条220,320又は特定の第一凸条230,330は、一つの第一凹条220,320を挟んで隣り合う第一凸条230,330同士の間隔、又は一つの第一凸条230,330を挟んで隣り合う第一凹条220,320同士の間隔の1/4の距離だけ縦中心線CLから第三方向にずれて配置される。
【0044】
本実施形態において、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1には、複数の障壁用凸条231,331がある。複数の障壁用凸条231,331は、第二方向に間隔をあけて配置される。複数の障壁用凸条231,331のそれぞれは、上述の如く、第一凸条230,330よりも低い。具体的には、第二面Sa2,Sb2上に形成される後述する複数の第二凸条233,333の
頂部を通る仮想面(第二方向及び第三方向に広がる仮想面)からの突出量が、第一凸条230,330よりも障壁用凸条231,331の方が少ない。これに伴い、障壁用凸条231,331の
頂部は、第一凸条230,330の
頂部よりも第一方向において第二面側に位置する。すなわち、障壁用凸条231,331の
頂部は、第一凸条230,330の
頂部と第一凹条220,320の底部との間に位置する。
【0045】
詳細については後述するが、本実施形態において、複数の伝熱プレート2,3が重ね合わされた状態において、隣り合う伝熱プレート2,3の一方の伝熱プレート2,3の第一凸条230,330間(第一凹条220,320と対応する位置)に、隣り合う伝熱プレート2,3の他方の伝熱プレート2,3の第一凸条230,330が位置する。
【0046】
これに伴い、第一方向における第一凸条230,330の
頂部と障壁用凸条231,331の
頂部との間隔(距離)は、隣り合う伝熱プレート2,3のうちの一方の伝熱プレート2,3の第一凸条230,330と、他方の伝熱プレート2,3の第一凹条220,320との間隔が第一流体Aの流通を確保できる間隔となるように、設定される。
【0047】
具体的に説明すると、本実施形態において、各伝熱プレート2,3において、複数の第一凹条220,320が同幅に設定されるとともに、複数の第一凸条230,330が同幅に設定される。また、各伝熱プレート2,3において、第一凹条220,320と第一凸条230,330とが略同幅に設定される。
【0048】
これに伴い、隣り合う伝熱プレート2,3のうちの一方の伝熱プレート2,3の第一凸条230,330が、隣り合う伝熱プレート2,3のうちの他方の伝熱プレート2,3の第一凹条220,320に近づきすぎると、第一凸条230,330の幅方向の両側と第一凹条220,320の幅方向の両側との間の隙間が無くなるか、或いは、第一凸条230,330の
頂部と第一凹条220,320の底部との間にできる隙間に比して極端に狭くなってしまう。
【0049】
そのため、本実施形態において、第一凸条230,330の幅方向の両側と第一凹条220,320の幅方向の両側との間隔が、第一流体Aの流通性を確保できる間隔になるように、第一方向における第一凸条230,330の
頂部と障壁用凸条231,331の
頂部との間隔(距離)が設定される。
【0050】
本実施形態において、障壁用凸条231,331は、複数の第一凸条230,330及び第一凹条220,320と交差する。本実施形態において、障壁用凸条231,331は、第三方向に延びている。障壁用凸条231,331は、伝熱部20,30の第三方向の全長よりも短い長さに設定される。すなわち、伝熱部20,30の第三方向の全長に亘って並ぶ複数の複数の第一凸条230,330及び第一凹条220,320の総数よりも少ない数の第一凸条230,330及び第一凹条220,320と交差する長さに設定される。
【0051】
より具体的に説明すると、障壁用凸条231,331の延びる方向(長手方向)の長さは、伝熱部20,30の第三方向の全長の1/2以下に設定される。本実施形態においては、障壁用凸条231,331の延びる方向(長手方向)の長さは、伝熱部20,30の第三方向の全長の1/3以下に設定される。
【0052】
このように、障壁用凸条231,331の延びる方向(長手方向)の長さは、伝熱部20,30の第三方向の全長の1/3以下に設定されるに伴い、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1において、第二方向に間隔をあけて並ぶ複数の障壁用凸条231,331の列が第三方向に間隔をあけて複数列設けられる。すなわち、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1において複数の障壁用凸条231,331がマトリックス状に配置されている。
【0053】
各列の障壁用凸条231,331の数及び位置は対応している。これに伴い、異なる列同士の対応する障壁用凸条231,331は、第三方向で一列に並んでいる。
【0054】
ここで隣り合う障壁用凸条231,331の列の間隔(第三方向で隣り合う障壁用凸条231,331の間隔)は、単一の障壁用凸条231,331の延びる方向(長手方向)の長さ以下に設定される。本実施形態において、隣り合う障壁用凸条231,331の列の間隔(第三方向で隣り合う障壁用凸条231,331の間隔)は、単一の障壁用凸条231,331の延びる方向(長手方向)の長さよりも小さく設定される。
【0055】
このように、障壁用凸条231,331の延びる方向(長手方向)の長さは、伝熱部20,30の第三方向の全長の1/3以下(本実施形態においては1/2以下)に設定されるに伴い、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1上の第一凹条220,320及び第一凸条230,330には、第二方向で連続したものと、障壁用凸条231,331によって第二方向の複数個所で分断されたものとが含まれる。分断された第一凹条220,320及び第一凸条230,330の少なくとも一端は、障壁用凸条231,331に繋がる。
【0056】
本実施形態において、分断された第一凹条220,320は、第二方向で整列している。これに伴い、分断された第一凸条230,330も、第二方向で整列している。
【0057】
図4及び
図6に示す如く、伝熱部20,30は、第二面Sa2,Sb2に形成される凹条22,32として、それぞれが第二方向に延びる複数の第二凹条221,321であって、第三方向に間隔をあけて配置された複数の第二凹条221,321を含む。また、伝熱部20,30は、第二面Sa2,Sb2に形成される凸条23,33として、第三方向で隣り合う第二凹条221,321間で第二方向に延びて形成された複数の第二凸条233,333を含む。すなわち、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2において、第二凹条221,321及び第二凸条233,333は、第三方向で交互に配置される。
【0058】
さらに、伝熱部20,30は、第二面Sa2,Sb2に形成される凹条22,32として、第一面Sa1,Sb1上の障壁用凸条231,331の裏側に形成される凹条(以下、裏側凹条という)222,322を含む。
【0059】
第二凹条221,321は、第一面Sa1,Sb1上の第一凸条230,330の裏側に形成される凹条22,32である。これに伴い、第二凹条221,321は、第二方向に延びている。第二凸条233,333は、第一面Sa1,Sb1上の第一凹条220,320の裏側に形成される凸条23,33である。これに伴い、第二凸条233,333は、第二方向に延びている。
【0060】
第二凹条221,321を画定する内面と第二凸条233,333を画定する外面とは連続している。これにより、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2は、第三方向に起伏した波形状に形成される。
【0061】
裏側凹条222,322は、障壁用凸条231,331と凹凸関係を逆にする以外は同形態で形成される。
【0062】
本実施形態において、裏側凹条222,322は、複数の第二凸条233,333及び第二凹条221,321と交差する。本実施形態において、裏側凹条222,322は、伝熱部20,30の第三方向の全長よりも短い長さに設定される。すなわち、伝熱部20,30の第三方向の全長に亘って並ぶ複数の複数の第二凸条233,333及び第二凹条221,321の総数よりも少ない数の第二凸条233,333及び第二凹条221,321と交差する長さに設定される。
【0063】
より具体的に説明すると、裏側凹条222,322の延びる方向(長手方向)の長さは、伝熱部20,30の第三方向の全長の1/2以下に設定される。本実施形態においては、裏側凹条222,322の延びる方向(長手方向)の長さは、伝熱部20,30の第三方向の全長の1/3以下に設定される。
【0064】
このように、裏側凹条222,322の延びる方向(長手方向)の長さは、伝熱部20,30の第三方向の全長の1/3以下に設定されるに伴い、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2において、第二方向に間隔をあけて並ぶ複数の裏側凹条222,322の列が第三方向に間隔をあけて複数列設けられる。すなわち、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2において複数の裏側凹条222,322がマトリックス状に配置されている。
【0065】
各列の裏側凹条222,322の数及び位置は対応している。これに伴い、異なる列同士の対応する裏側凹条222,322は、第三方向で一列に並んでいる。
【0066】
ここで隣り合う裏側凹条222,322の列の間隔(第三方向で隣り合う裏側凹条222,322の間隔)は、単一の裏側凹条222,322の延びる方向(長手方向)の長さ以下に設定される。本実施形態において、隣り合う裏側凹条222,322の列の間隔(第三方向で隣り合う裏側凹条222,322の間隔)は、単一の裏側凹条222,322の延びる方向(長手方向)の長さよりも小さく設定される。
【0067】
このように、裏側凹条222,322の延びる方向(長手方向)の長さは、伝熱部20,30の第三方向の全長の1/3以下(本実施形態においては1/2以下)に設定されるに伴い、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2上の第二凹条221,321及び第二凸条233,333には、第二方向で連続したものと、裏側凹条222,322によって第二方向の複数個所で分断されたものとが含まれる。分断された第二凹条221,321及び第二凸条233,333の少なくとも一端は、裏側凹条222,322に繋がる。すなわち、分断された第二凹条221,321は、裏側凹条222,322内に向けて開放している。
【0068】
本実施形態において、分断された第二凹条221,321は、第二方向で整列している。これに伴い、分断された第二凸条233,333も、第二方向で整列している。
【0069】
二種類の伝熱プレート2,3の共通点は、以上の通りである。次に、二種類の伝熱プレート2,3の相違点について説明する。
【0070】
図3及び
図5に示す如く、二種類の伝熱プレート2,3のうちの一方の伝熱プレート(以下、第一伝熱プレートという)2の第一面Sa1上の第一凸条230と、二種類の伝熱プレート2,3のうちの他方の伝熱プレート(以下、第二伝熱プレートという)3の第一面Sb1上の第一凸条330とは、第三方向において位置ずれして配置される。すなわち、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第一面Sa1と第二伝熱プレート3の伝熱部30の第一面Sb1とが対向した状態で、第一伝熱プレート2の第一凸条230が第二伝熱プレート3の第一凹条320と対応するとともに、第二伝熱プレート3の第一凸条330が第一伝熱プレート2の第一凹条220と対応するように、それぞれの第一凹条220,320及び第一凸条230,330の配置が設定されている。
【0071】
そして、本実施形態において、第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3は、第一面Sa1,Sb1上の障壁用凸条231,331の数及び配置を異にする。すなわち、第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3は、第一面Sa1,Sb1上の障壁用凸条231,331の列数と、各列における障壁用凸条231,331の配置を異にする。
【0072】
具体的には、第一伝熱プレート2の第一面Sa1において、第三方向に間隔をあけて並ぶ障壁用凸条231の列数よりも、第二伝熱プレート3の第一面Sb1において、第三方向に間隔をあけて並ぶ障壁用凸条331の列数の方が一列少ない。また、第一伝熱プレート2の第一面Sa1における各列の障壁用凸条231の数よりも、第二伝熱プレート3の第一面Sb1における各列の障壁用凸条231の数の方が一つ少ない。
【0073】
これに伴い、第一伝熱プレート2の第一面Sa1の障壁用凸条231の列の位置は、第二伝熱プレート3の第一面Sb1の障壁用凸条331の列間の位置と対応し、第二伝熱プレート3の第一面Sb1の障壁用凸条331の列の位置は、第一伝熱プレート2の第一面Sa1の障壁用凸条231の列間の位置と対応している。また、第一伝熱プレート2の第一面Sa1の各列の障壁用凸条231は、第二伝熱プレート3の第一面Sb1の各列の障壁用凸条331間(第二方向で隣り合う障壁用凸条331の中間位置)と対応し、第二伝熱プレート3の第一面Sb1の各列の障壁用凸条331は、第一伝熱プレート2の第一面Sa1の各列の障壁用凸条231間(第二方向で隣り合う障壁用凸条231の中間位置)と対応している。
【0074】
そして、第一伝熱プレート2においては、
図3に示す如く、嵌合部21は伝熱部20の第一面Sa1側に延出する。これに対し、第二伝熱プレート3においては、
図6に示す如く、嵌合部31は伝熱部30の第二面Sb2側に延出する。
【0075】
複数の伝熱プレート2,3(第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3)のそれぞれは、以上の通りである。複数の伝熱プレート2,3(第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3)のそれぞれは、
図2に示す如く、第一方向に重ね合わされる。本実施形態において、第一伝熱プレート2と第二伝熱プレート3とが、第一方向で交互に重ね合わされる。このとき、複数の伝熱プレート2,3のそれぞれは、自身の伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1を第一方向の一方側で隣に並ぶ伝熱プレート2,3における伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1と対向させる。また、複数の伝熱プレート2,3のそれぞれは、自身の伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2を第一方向の他方側で隣に並ぶ伝熱プレート2,3における伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2と対向させる。
【0076】
これにより、
図2及び
図7に示す如く、第一流体Aを第二方向に流通させる第一流路Raと、第二流体B第二方向に流通させる第二流路Rbとが伝熱プレート2,3の伝熱部20,30を境にして交互に形成される。すなわち、第一流体Aに流通させる第一流路Raが隣り合う伝熱プレート2,3の伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1間に形成されるとともに、第二流体Bを流通させる第二流路Rbが隣り合う伝熱プレート2,3の伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2間に形成される。
【0077】
また、この状態において、
図2に示す如く、伝熱部20,30の対応する位置にある開口200,201,202,203,300,301,302,303が第一方向に連なる。また、互いに対向する開口200,201,202,203,300,301,302,303の周囲であって、相手方に向かって膨出した部分が接触する。これにより、第一流路Raに第一流体Aを供給する第一流入路Pa1と、第一流路Raから第一流体Aを流出させる第一流出路Pa2と、第二流路Rbに第二流体Bを供給する第二流入路Pb1と、第二流路Rbから第二流体Bを流出させる第二流出路Pb2とが形成される。
【0078】
より具体的に説明すると、複数の伝熱プレート2,3を重ね合わせる際、一つの第一伝熱プレート2と一つの第二伝熱プレート3とを重ね合わせて一組とされる。この組を複数組重ね合わせるに際し、一組おきに第一方向に延びる仮想線周りで180度回転させて重ね合わされる。この状態において、第一方向で隣り合う伝熱プレート2,3のうちの一方の伝熱プレート2,3(第一伝熱プレート2又は第二伝熱プレート3)の嵌合部21,31は、第一方向で隣り合う伝熱プレート2,3のうちの他方の伝熱プレート2,3(第一伝熱プレート2又は第二伝熱プレート3)の嵌合部21,31に外嵌される。
【0079】
これにより、
図8乃至
図11に示す如く、隣り合う伝熱プレート2,3の第一面Sa1,Sb1側において、第一伝熱プレート2(伝熱部20)の第一凸条230は、第二伝熱プレート(伝熱部30)の第一凹条320と対向し、第一伝熱プレート2(伝熱部20)の第一凹条220は、第二伝熱プレート(伝熱部30)の第一凸条330と対向する。
【0080】
第一伝熱プレート2において、障壁用凸条231が第一凸条230よりも低く、第二伝熱プレート3において、障壁用凸条331が第一凸条330よりも低いため、第一伝熱プレート2の障壁用凸条231は、第二伝熱プレート3の第一凸条330と交差衝合し、第二伝熱プレート3の障壁用凸条331は、第一伝熱プレート2の第一凸条230と交差衝合する。
【0081】
これに対し、隣り合う伝熱プレート2,3の第二面Sa2,Sb2側において、第一伝熱プレート2(伝熱部20)の第二凸条233は、第二伝熱プレート(伝熱部30)の第二凸条333と対向し、第一伝熱プレート2(伝熱部20)の第二凹条221は、第二伝熱プレート(伝熱部30)の第二凹条321と対向する。すなわち、第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3のそれぞれの伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1において、複数の第一凹条220,320のうちの特定の第一凹条220,320と、複数の第一凸条230,330のうちの特定の第一凸条230,330であって、特定の第一凹条220,320と隣り合う第一凸条230,330との境界が、縦中心線CL上に位置しているため、上記の通り、第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3を180°回転させることで、隣り合う伝熱プレート2,3の第二凸条233,333同士が対向し、互いの
頂部同士を接触させる。
【0082】
これにより、
図2に示す如く、第一流体Aを第一方向と直交する第二方向に流通させる第一流路Raが隣り合う伝熱プレート2,3の伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1間に形成される。また、第二流体Bを第二方向に流通させる第二流路Rbが隣り合う伝熱プレート2,3の伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2間に形成される。
【0083】
そして、上述の如く、複数の伝熱プレート2,3が第一方向に重ね合わされることで、伝熱部20,30の対応する位置にある開口200,201,202,203,300,301,302,303が第一方向に連なる。また、互いに対向する開口200,201,202,203,300,301,302,303の周囲であって、相手方に向かって膨出した部分が接触する。これにより、第一流路Raに第一流体Aを供給する第一流入路Pa1と、第一流路Raから第一流体Aを流出させる第一流出路Pa2と、第二流路Rbに第二流体Bを供給する第二流入路Pb1と、第二流路Rbから第二流体Bを流出させる第二流出路Pb2とが形成される。
【0084】
なお、本実施形態に係る熱交換器1において、隣り合う伝熱プレート2,3の接触した部分同士がロウ付けされる。これにより、複数の伝熱プレート2,3が一体的(機械的)に接続されるとともに、隣り合う伝熱プレート2,3の対向面間(接触部分)が封止される。
【0085】
本実施形態に係る熱交換器1は、以上の通りである。第一流体Aは、
図2、
図7、及び
図12に示す如く、第一流入路Pa1から複数の第一流路Raに流入する。第一流体Aは、複数の第一流路Raのぞれぞれで第二方向に流通し、第一流出路Pa2に流出する。これに対し、第二流体Bは、
図2、
図7、及び
図13に示す如く、第二流入路Pb1から複数の第二流路Rbに流入する。第二流体Bは、該複数の第二流路Rbのぞれぞれで第二方向に流通し、第二流出路Pb2に流出する。
【0086】
本実施形態において、第一流体Aは、
図12に示す如く、第一流路Raにおいて、伝熱部20,30の対角を結ぶ対角線を中心として流通する。これに対し、第二流体Bは、
図13に示す如く、第二流路Rbにおいて、伝熱部20,30の対角を結ぶ対角線であって、第一流体Aの流れの中心となる対角線とは別の対角線を中心に流通する。
【0087】
このとき、第一流路Raを流通する第一流体A、及び第二流路Rbを流通する第二流体Bは、第一流路Raと第二流路Rbとを仕切る伝熱プレート2,3(伝熱部20,30)を介して熱交換する。これにより、第二流体Bは、第二流路Rb内で第二方向に流通する過程において、凝縮或いは蒸発する。
【0088】
以上のように、本実施形態に係る熱交換器1は、凸条23,33及び凹条22,32の形成された第一面Sa1,Sb1と、該第一面Sa1,Sb1に対して反対側を向き、且つ第一面Sa1,Sb1の凸条23,33と表裏の関係にある凹条22,32及び第一面Sa1,Sb1の凹条22,32と表裏の関係にある凸条23,33の形成された第二面Sa2,Sb2とを有する伝熱部20,30を含む伝熱プレート2,3であって、それぞれの伝熱部20,30が第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート2,3を備え、複数の伝熱プレート2,3のそれぞれは、自身の伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1を第一方向の一方側で隣に並ぶ伝熱プレート2,3における伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1と対向させるとともに、自身の伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2を第一方向の他方側で隣に並ぶ伝熱プレート2,3における伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2と対向させ、第一流体Aを第一方向と直交する第二方向に流通させる第一流路Raが隣り合う伝熱プレート2,3の伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1間に形成されるとともに、第二流体Bを第二方向に流通させる第二流路Rbが隣り合う伝熱プレート2,3の伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2間に形成され、隣り合う伝熱プレート2,3のそれぞれの伝熱部20,30は、第一面Sa1,Sb1に形成される凸条23,33として、第一方向及び第二方向と交差する方向に間隔をあけて配置された複数の第一凸条230,330であって、それぞれが第二方向又は第二方向を成分に含む合成方向に延びる複数の第一凸条230,330と、該第一面Sa1,Sb1に形成される第一凸条230,330よりも低い障壁用凸条231,331であって、第一凸条230,330と交差する方向に延びる少なくとも一つの障壁用凸条231,331とを含むとともに、第一面Sa1,Sb1に形成される凹条22,32として、第一方向及び第二方向と交差する方向で隣り合う第一凸条230,230,330,330間に形成される複数の第一凹条220,320を含み、且つ第二面Sa2,Sb2に形成される凹条22,32として、第一凸条230,330と表裏の関係にある複数の第二凹条221,321を含み、隣り合う伝熱プレート2,3のそれぞれの第一凸条230,330は、相手方の伝熱プレート2,3の第一凸条230,330間に位置し、隣り合う伝熱プレート2,3のそれぞれの障壁用凸条231,331の長手方向の寸法が、伝熱部20,30の第一方向及び第二方向と直交する第三方向の全長よりも短く設定され、隣り合う伝熱プレート2,3の障壁用凸条231,331は、第二方向及び第三方向の少なくとも何れか一方で互いに位置ずれした位置に配置され、相手方の伝熱プレート2,3の第一凸条230,330と交差衝合している。
【0089】
上記構成の熱交換器1によれば、隣り合う伝熱プレート2,3のそれぞれの障壁用凸条231,331の長手方向の寸法が、伝熱部20,30の第三方向の全長よりも短く設定され、隣り合う伝熱プレート2,3の障壁用凸条231,331は、第二方向及び第三方向の少なくとも何れか一方で互いに位置ずれした位置に配置されているため、障壁用凸条231,331同士が一致する(重なる)ことがない。これにより、第一流路Raは、第二方向に連通した状態で形成される。
【0090】
そして、
図9乃至
図11に示す如く、隣り合う伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1間に形成される第一流路Raの途中位置において、障壁用凸条231,331が相手方の伝熱部20,30に向けて突出した状態で存在する。これに伴い、障壁用凸条231,331は、第一流路Ra内で第一流体Aの流通を阻害し、第一流路Ra内における第一流体Aの流通抵抗を増大させる。
【0091】
特に、本実施形態に係る熱交換器1によれば、隣り合う伝熱プレート2,3のそれぞれの第一凸条230,330は、相手方の伝熱プレート2,3の第一凸条230,330間に位置し、伝熱プレート2,3の障壁用凸条231,331(第一凸条230,330よりも低い障壁用凸条231,331)と、相手方の伝熱プレート2,3の第一凸条230,330とが交差衝合している。
【0092】
そのため、隣り合う伝熱プレート2,3の第一面Sa1,Sb1の間隔が狭くなる。すなわち、障壁用凸条231,331の突出量が第一凸条230,330の突出量よりも少ない分、第一流路Raを画定する伝熱プレート2,3同士が接近した状態になる。これに伴い、第一流路Raの流路幅が狭くなる結果、第一流路Ra内における第一流体Aの流通抵抗を増大させる。
【0093】
従って、本実施形態に係る熱交換器1は、障壁用凸条231,331の存在と第一流路Raの流路幅とによって、第一流体Aの流通抵抗を増大させる結果、第一流体Aが伝熱部20,30に対して熱的な影響を及ぼす機会が増え、第二流体B側への熱伝達性能が高くなる。
【0094】
これに対し、各伝熱プレート2,3の第二面Sa2,Sb2においては、第一凸条230,330と表裏の関係にある複数の第二凹条221,321が形成され、また、第一面Sa1,Sb1の障壁用凸条231,331と表裏の関係にある凹条が形成されるため、隣り合う伝熱プレート2,3の第二面Sa2,Sb2間に形成される第二流路Rb内には、第二流体Bの流通抵抗となるものがない。従って、第二流路Rbでの第二流体Bの流通抵抗が小さくなり、第二流体Bの流速を速めることができる。
【0095】
これにより、相変化を起こす流体(液体と気体とを含む二相流となる流体)が第二流体Bとして採用されとしても、第二流体Bの流速により、伝熱部20,30の表面上に形成された第二流体Bの液膜の流れが乱される。
【0096】
従って、上記構成の熱交換器1では、第二流路Rbを流通する第二流体Bの伝熱部20,30(第一流体A側)に対する熱伝達性能が高まる。
【0097】
そして、本実施形態において、隣り合う伝熱プレート2,3のそれぞれの伝熱部20,30は、障壁用凸条231,331を複数含み、複数の障壁用凸条231,331は、第二方向に間隔をあけて整列しているため、第一流路Ra内の複数個所(障壁用凸条231,331のある場所)で流通抵抗を高めることができる。これにより、第一流体Aが伝熱部20,30に対して熱的な影響を及ぼす機会が増え、第二流体B側への熱伝達性能が高くなる。
【0098】
特に、本実施形態において、隣り合う伝熱プレート2,3のうちの一方の伝熱プレート2の伝熱部20は、第二方向に間隔をあけて配置された複数の障壁用凸条331を含む列を少なくとも一列(本実施形態において二列)有し、隣り合う伝熱プレート2,3のうちの他方の伝熱プレート3の伝熱部30は、第二方向に間隔をあけて配置された複数の障壁用凸条331を含む列を少なくとも二列(本実施形態においては三列)有し、隣り合う伝熱プレート2,3のうちの一方の伝熱プレート2における列が、他方の伝熱プレート3の列間に位置しているため、第一流体Aが第一流路Ra全体で拡散する。従って、伝熱部20,30における伝熱に寄与する領域が増え、第一流路Raにおける第一流体Aの熱伝達性能が向上する。
【0099】
特に、隣り合う伝熱プレート2,3のうちの一方の伝熱プレート2における列を構成する複数の障壁用凸条231のそれぞれは、隣り合う伝熱プレート2,3のうちの他方の伝熱プレート3における列を構成する複数の障壁用凸条331の間に位置するため、第一流路Raを流通する第一流体Aは、下流側に進むのに併せて各障壁用凸条231,331の周囲に分散する。従って、第一流体Aが第一流路Ra全体で拡散し、伝熱部20,30における伝熱に寄与する領域が増える。これにより、第一流路Raにおける第一流体Aの熱伝達性能が向上する。
【0100】
また、障壁用凸条231,331は、第三方向に真っすぐに延びるため、第一流路Raにおける第一流体Aの流通方向と直交する方向に延びて存在する。これにより、第一流体が障壁用凸条231,331に衝突する割合が多くなるため、流通抵抗が大きくなるだけでなく、第一流体Aが第三方向に効率的に拡散する。
【0101】
また、本実施形態において、隣り合う伝熱プレート2,3のそれぞれの伝熱部20,30は、第二面Sa2,Sb2に形成される凸条23,33として、第一凹条220,320と表裏の関係にある複数の第二凸条233,333を含み、隣り合う伝熱プレート2,3のそれぞれの第二凸条233,333は、相手方の伝熱プレート2,3の第二凸条233,333と重なり合い、該相手方の伝熱プレート2,3の第二凸条233,333の
頂部と接触しているため、第一流路Ra内を流通する第一流体Aの流動圧が伝熱部20,30に作用しても、該伝熱部20,30が押し広げられることがない。従って、第二流路Rbを構成する空間が確保され、第二流体Bの流通の円滑性が確保される。
【0102】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、適宜変更を加え得ることは勿論のことである。
【0103】
上記実施形態において、隣り合う伝熱プレート2,3(第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3)の第二凸条233,333の
頂部同士が接触乃至接続されたが、これに限定されない。例えば、隣り合う伝熱プレート2,3(第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3)の第二凸条233,333の
頂部同士が第一方向或いは第二方向で離間していてもよい。但し、第一流路Ra内の流動圧の上昇等に対抗し得る剛性を得るには、上記実施形態と同様に、隣り合う伝熱プレート2,3(第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3)の第二凸条233,333の
頂部同士が接触乃至接続されることが好ましい。
【0104】
上記実施形態において、第一凹条220,320、第一凸条230,330、第二凹条221,321、及び第二凸条233,333が第二方向に真っ直ぐに延びて形成されたが、これに限定されない。例えば、第二凹条221,321は、裏側凹条222,322と連続していることを前提に、第二方向を成分に含む合成方向(第二方向に延びる仮想線に対して傾斜する方向)に延びていてもよい。但し、第二流体Bの流速を速めるためには、第二方向に延びる仮想線に対する傾き成分(角度)が第三方向に延びる仮想線に対する傾き成分(角度)よりも小さい状態で傾斜することが条件である。
【0105】
上記実施形態において、各伝熱プレート2,3に対して障壁用凸条231,331が第二方向に間隔をあけて二つ以上設けられが、これに限定されない。例えば、一つの伝熱部20,30に対して一つの障壁用凸条231,331が設けられてもよい。また、上記第二実施形態において、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1に対し、第二方向に間隔をあけた複数の障壁用凸条231,331の列が、第三方向に間隔をあけて二列以上設けられたが、これに限定されない。例えば、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1に対し、第二方向に間隔をあけた複数の障壁用凸条231,331の列が一列設けられてもよい。さらに、上記第二実施形態において、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1に対し、第二方向に間隔をあけた複数の障壁用凸条231,331が第二方向において整列したが、これに限定されない。例えば、第二方向に間隔をあけて配置された複数の障壁用凸条231,331は、第三方向において位置ずれして配置されていてもよい。
【0106】
上記実施形態において、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1上に形成される複数の障壁用凸条231,331が同一形態にされたが、これに限定されない。例えば、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1上に形態を異にする複数の障壁用凸条231,331が形成されてもよい。
【0107】
上記実施形態において、第一凹条220,320及び第一凸条230,330の幅寸法(長手方向と直交する方向の寸法)が同一に設定されたが、これに限定されない。例えば、
図14乃至
図16に示す如く、第一凸条230,330の幅寸法よりも第一凹条220,320の幅寸法が大きく設定されてもよい。具体的には、
図14に示す如く、第一凹条220,320及び第一凸条230,330を断面円弧状に形成することを前提に、第一凹条220,320の曲率半径を第一凸条230,330の曲率半径よりも大きく設定してもよい。また、
図15及び
図16に示す如く、第一凹条220,320の底部を平坦状に形成し、第一凹条220,320の幅寸法を第一凸条230,330の幅寸法よりも大きく設定してもよい。この場合、
図15に示す如く、第一凸条230,330を断面円弧状にしてもよいし、
図16に示す如く、第一凸条230,330の
頂部を平坦状にしてもよい。このようにすれば、第一凸条230,330よりも低い障壁用凸条231,331に対して相手方の伝熱プレート2,3の第一凸条230,330が交差衝合することで、第一凹条220,320に対して第一凸条230,330が接近或いは入り込んだ状態になっても、第一凹条220,320と第一凸条230,330との間に極端に間隔の狭まった部分が形成されることがなく、第一流体Aの流通性が確保される。
【0108】
上記実施形態において、第一流路Raが第一流入路Pa1と第一流出路Pa2とを直接連通させるとともに、第二流路Rbが第二流入路Pb1と第二流出路Pb2とを直接連通させたが、これに限定されない。例えば、
図17及び
図18に示す如く、第二流入路Pb1及び第二流出路Pb2と異なる位置で第一方向に延びる接続流路PJによって少なくとも二つの第二流路Rb同士を連通させ、接続流路PJを含む第二流体Bの流通経路の最上流に位置する第二流路Rbを第二流入路Pb1に接続するとともに、接続流路PJを含む第二流体Bの流通経路の最下流に位置する第二流路Rbを第二流出路Pb2に接続してもよい。
【0109】
より詳しくは、伝熱プレート2,3の重ね合わせ方向(第一方向)の途中位置で隣り合う伝熱プレート2,3間に分岐基準空間Ds1が形成される。これを前提に、第一方向において分岐基準空間Ds1よりも一方側にある第二流路Rbと分岐基準空間Ds1とが接続流路PJを介して接続され、第一方向において分岐基準空間Ds1よりも他方側にある第二流路Rbと分岐基準空間Ds1とが接続流路PJを介して接続されてもよい。このようにすれば、第二流体Bの流通経路が、分岐基準空間Ds1から第一方向の一方側で連続する少なくとも一つの第一系統S1と、分岐基準空間Ds1から第一方向の他方側で連続する少なくとも一つの第二系統S2とに分岐される。
【0110】
また、第二流体Bの流通経路が第一系統S1と第二系統S2とを含む場合、第一系統S1及び第二系統S2のそれぞれにおいて、第一方向の途中位置にある少なくとも一つの第二流路Rbであって、接続流路PJを介して上流の分岐基準空間Ds1と直接的又は間接的に接続された第二流路Rbを画定する伝熱プレート2,3間に分岐基準空間(下流側の分岐基準空間)Ds2を形成してもよい。この場合、第一方向において分岐基準空間Ds2よりも一方側にある第二流路Rbと下流側の分岐基準空間Ds2とが接続流路PJを介して接続され、第一方向において分岐基準空間Ds2よりも他方側にある第二流路Rbと下流側の分岐基準空間Ds2とが接続流路PJを介して接続される。これにより、第一系統S1及び第二系統S2のそれぞれにおける第二流体Bの流通経路が、さらに少なくとも二系統S1a,S1b,S2a,S2bに分岐し、その系統S1a,S1b,S2a,S2bにおける最下流にある第二流路Rbが第二流出路Pb2に接続される。なお、各系統S1a,S1b,S2a,S2bにおける最下流にある第二流路Rb(第二流出路Pb2に接続される第二流路Rb)は、一つに限らず、複数であってもよい。
【0111】
上記実施形態において、複数の障壁用凸条231,331のそれぞれが、第三方向に真っすぐに延びたが、これに限定されない。例えば、複数の障壁用凸条231,331のそれぞれが、第一実施形態と同様に、屈曲凸条部232,332を含んでいてもよい。
この場合において、隣り合う伝熱プレート2,3の障壁用凸条231,331同士が第一方向から見て交差した態様であってもよい。
【0112】
上記実施形態において、障壁用凸条231,331が複数の第一凸条230,330と交差して設けられたが、これに限定されない。障壁用凸条231,331は、第一凸条230,330と交差する方向に延びていればよい。すなわち、隔壁用凸条231,331は、第一凸条230,330と交差する方向に延びること(隔壁用凸条231,331の
頂部(稜線)が第一凸条230,330と交差する方向に延びること)を前提に、極端に短く形成され、単一の第一凸条230,330のみと交差したり、隣り合う第一凸条230,230,330,330間(単一の第一凹条220,320内)に存在したりしてもよい。