特許第6799707号(P6799707)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6799707運動伝達ユニット、ドライブトレーン、及び毛切断器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799707
(24)【登録日】2020年11月25日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】運動伝達ユニット、ドライブトレーン、及び毛切断器具
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/28 20060101AFI20201207BHJP
【FI】
   B26B19/28 D
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-500089(P2020-500089)
(86)(22)【出願日】2018年7月2日
(65)【公表番号】特表2020-526291(P2020-526291A)
(43)【公表日】2020年8月31日
(86)【国際出願番号】EP2018067725
(87)【国際公開番号】WO2019007864
(87)【国際公開日】20190110
【審査請求日】2020年3月2日
(31)【優先権主張番号】17180303.4
(32)【優先日】2017年7月7日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ペトレッリ,マルキュス コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】デ フリース,アルウィン ウィリアム
【審査官】 山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−520530(JP,A)
【文献】 特表2017−500961(JP,A)
【文献】 米国特許第05259116(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第02378407(GB,A)
【文献】 米国特許第08418369(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 19/00 − 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛切断器具のドライブトレーンのための運動伝達ユニットであって、前記ユニットは:
‐ 入力シャフトであって、長手方向軸を定め、前記入力シャフトが回転されるときに前記長手方向軸周りに回転するように構成される偏心部を有する、入力シャフトと;
‐ 運動変換器入力インタフェース及び運動変換器出力インタフェースを有する運動変換器と;
‐ ピボット可能に取り付けられ、傾斜レバー入力インタフェース及び前記器具のブレードセットの駆動部と係合する傾斜レバー出力インタフェースを有する、傾斜レバーと;
を有し、
前記運動変換器は、前記入力シャフトと前記傾斜レバーとの間に配置され、
前記入力シャフトの前記偏心部は、前記運動変換器入力インタフェースに係合し、
前記運動変換器出力インタフェースは、前記傾斜レバー入力インタフェースに係合し、
前記運動変換器入力インタフェース及び前記運動変換器出力インタフェースは、前記入力シャフトに対して同じ長手方向レベルに配置され、
前記運動変換器出力インタフェースは、前記傾斜レバーのスイベル軸に基本的に平行である円筒軸を定める円筒部を有し、
前記傾斜レバー出力インタフェースは、前記傾斜レバーの前記スイベル軸に基本的に平行である円筒軸を定める円筒部として構成され、
前記傾斜レバーのヘッド部の前記円筒軸及び前記運動変換器の前記円筒部の前記円筒軸は、基本的に前記スイベル軸と平行であり、
前記偏心部は偏心ピンであり、
前記運動変換器入力インタフェースは、前記偏心ピンによって係合されるガイドスロットである、
運動伝達ユニット。
【請求項2】
前記運動変換器は、前記入力シャフトの前記偏心部の回転運動を、前記入力シャフトの前記長手方向軸に垂直な主運動方向を有する振動、特に線形振動に変換するように構成される、
請求項1に記載の運動伝達ユニット。
【請求項3】
前記運動変換器出力インタフェースの前記円筒部に、前記入力シャフトの前記偏心部によって係合されるように配置された前記ガイドスロットを形成する半径方向に延びる凹部が設けられる、
請求項1に記載の運動伝達ユニット。
【請求項4】
前記傾斜レバー入力インタフェースは、前記運動変換器出力インタフェースを横方向に包囲するヨークとして構成される、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の運動伝達ユニット。
【請求項5】
前記傾斜レバーは、前記スイベル軸に基本的に垂直なスイベル面内でピボットする、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の運動伝達ユニット。
【請求項6】
前記傾斜レバーの前記スイベル面は、前記入力シャフトの前記長手方向軸に対して傾斜している、
請求項5に記載の運動伝達ユニット。
【請求項7】
前記傾斜レバーは、前記傾斜レバーの中央部に配置されたスイベルベアリングに取り付けられている、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の運動伝達ユニット。
【請求項8】
前記ブレードセットの前記駆動部は、前記傾斜レバー出力インタフェースによって係合されるスロットとして構成される、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の運動伝達ユニット。
【請求項9】
前記傾斜レバーは、前記ブレードセットの運動面に対して傾斜している、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の運動伝達ユニット。
【請求項10】
前記運動変換器の前記偏心部との係合点と前記傾斜レバー入力インタフェース前記運動変換器出力インタフェースとの係合点は実質的に同一平面内にある、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の運動伝達ユニット。
【請求項11】
前記運動変換器は、前記器具のハウジングに、弾性的に取り付けられ且つ横方向に結合されるように構成される、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の運動伝達ユニット。
【請求項12】
毛切断器具、特に、電動毛切断器具であって、前記毛切断器具は、ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられた切断ヘッドと、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の運動伝達ユニットを有するドライブトレーンとを有し、前記切断ヘッドはブレードセットを有し、前記ドライブトレーンは、前記切断ヘッドが前記ハウジングに取り付けられるときに、前記ブレードセットを作動させるように構成され、前記ブレードセットの運動面と前記運動伝達ユニットの前記入力シャフトの前記長手方向軸との間の全角度オフセットは、前記入力シャフトの前記長手方向軸と前記傾斜レバーのスイベル面との間の第1のオフセット角度と、前記傾斜レバーの前記スイベル面と前記ブレードセットの前記運動面との間の第2のオフセット角度とに分割される、
毛切断器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、毛切断器具のドライブトレーンのための運動伝達ユニット、及びそれぞれの運動伝達ユニットを備えた毛切断器具に関する。より詳細には、本開示は、毛切断器具のブレードセットの駆動運動を伝達することができる運動伝達ユニットであって、入力シャフトの主方位と、運動伝達ユニットによって駆動されることになるブレードセットのカッタブレード(可動ブレード)(の法線)との間にある一定の傾斜が存在する、運動伝達ユニットに関する。より詳細には、限定的な意味で理解されるべきではないが、本開示は、例えば、人間工学的な理由、製品設計の理由、及び/又は、到達可能性/可視性の理由から、いくぶん湾曲した又はバナナ形状のケーシングを有する毛切断器具用のドライブトレーンの改良に関する。
【0002】
さらに、より一般的には、本開示はまた、回転入力運動を往復(振動)出力運動、好ましくは基本的に直線往復出力運動に変換するように構成された、毛切断器具用のドライブトレーンに関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1は、把持片の長手方向軸に対して10〜70度の角度で形成された切断面を有するヘアクリッパを開示している。この装置のドライブトレーンは、駆動シャフトに対して垂直な方向に延びるシリンダの形態で構成された摺動ブロックを備えることが開示されている。
【0004】
特許文献2は、外側カッタと、外側カッタの内面と摺動接触しながら往復運動する内側カッタとを有する往復型電動シェーバであって、シェーバは、前記シェーバの本体の内側に設けられたモータによって往復運動で駆動されるオシレータと、前記オシレータ上に直立位置に設けられ、前記外側カッタの内側に向かって延びる中央シャフトと、内側カッタホルダであって、前記内側カッタホルダがその上に前記内側カッタを保持し、前記内側カッタが前記内側カッタの往復方向に垂直な直線周りに搖動するように、前記中央シャフト上に摺動可能に配置された、内側カッタホルダと、前記オシレータと前記内側カッタホルダとの間に設けられたバネと、を有する、往復型電動シェーバを開示している。
【0005】
特許文献3は、駆動シャフトと非整列出力シャフトとを有する毛切断器具のドライブトレーンのカップリングリンケージであって、前記カップリングリンケージは、駆動シャフトによって、特にモータシャフトによって駆動されるように構成された第1の駆動カップリング要素と、第1の端部の第1の駆動可能なカップリング要素と、第2の端部の第2の駆動可能なカップリング要素とを有する、伝達シャフト、特に剛性伝達シャフトと、を有し、第1の駆動カップリング要素は、伝達シャフトを回転駆動するために第1の駆動可能なカップリング要素と係合し、それによって、第1の枢動ジョイントを形成し、第2の駆動カップリング要素は、出力シャフトの第2の駆動可能なカップリング要素と係合するように構成される、カップリングリンケージを開示している。
【0006】
特許文献3に記載される構成にしたがって、湾曲した又はバナナ形状のケーシング及びハウジングに適した毛切断器具用のドライブトレーンが提供される。従って、シェービング用途及びトリミング用途において有益であり得る装置の操作を容易にする、扱いやすい装置を提供することができる。
【0007】
特許文献2及び特許文献3に示されているように、カッタブレード(可動ブレード)とガードブレード(静止ブレード)との間の直線往復相対運動のための往復出力運動に回転入力運動を変換するように構成された毛切断器具のドライブトレーン機構は、典型的には、回転入力駆動シャフトに偏心部を含み、偏心部は、駆動シャフトの長手方向軸周りに回転する。偏心部の回転運動は、傾斜レバーを介して往復スイベル(回転)(swiveling)運動に移行され、その後、ブレードセットの2つのブレード間の基本的に直線的な往復運動に変換される。
【0008】
運動変換の観点からは、ドライブトレーンの要素が基本的に互いに基本的に平行に整列及び/又は配向されるような向きにブレードセットを配置するのが最良であろう。この方法では、ドライブトレーンの結合される要素間の角度オフセットを省略することができる。
【0009】
しかし、実際には、ブレードセットの主方位と、毛切断器具の駆動ユニット(すなわち、駆動モータ及びそれぞれの出力シャフト)との間に一定の傾斜角が存在することが多い。さらなる制約として、装置のハウジングは、しばしば、細長いだけでなく、少なくともわずかに湾曲している又はバナナ形状である。
【0010】
従って、しばしば、運動伝達ユニットの入力シャフトと出力(ブレードセット運動面の法線)との間の一定の角度オフセットを生じる設計制約がある。
【0011】
運動学の観点では、かなりの角度だけ互いにオフセットされ、同時に回転入力運動を往復出力運動に変換するように構成された接続要素が、副作用として、関与する要素に望ましくない力及び/又はトルクを生じさせ得ることが観察されている。これは、望ましくない摩擦、摩耗、発熱、電力消費などを増加させ、装置の耐久性及び動作性能を低下させる可能性がある。
【0012】
これらの設計制約に対処するために、1つの選択肢は、ドライブトレーン、及び、特に運動伝達ユニットに、特定のクリアランス及び/又は特定の変形可能性を提供することである。この方法では、過剰な負荷を回避することができる。しかし、このアプローチの欠点は、毛切断器具のドライブトレーンがいくぶん柔らかい特性を有することである。切断性能の観点からは、ドライブトレーン及び関連する運動伝達ユニットの硬く剛性のある外形(stiff and rigid appearance)が好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2 123 408号
【特許文献2】米国特許願公開第2006/0107530号
【特許文献3】国際公開第2015/158681号
【発明の概要】
【0014】
本開示の目的は、毛切断器具の全体的な切断性能を改善し、好ましくはドライブトレーンの運動学的設計に関連する内部応力及び負荷を低減する、毛切断器具のドライブトレーンのための運動伝達ユニットを提供することである。より好ましくは、運動伝達ユニットは、回転駆動入力運動を往復(直線又は略直線の)出力運動に変換する変換ステージを含む。
【0015】
より好ましくは、運動伝達ユニットは、ドライブトレーンのスムーズな動作を可能にし、従って、ノイズレベルを低減し、電力消費及び寿命を改善する。
【0016】
本開示の第1の態様では、毛切断器具のドライブトレーンのための運動伝達ユニットが提示され、該ユニットは:
‐ 入力シャフトであって、長手方向軸を定め、入力シャフトが回転されるときに長手方向軸周りに回転するように構成される偏心部を有する、入力シャフトと;
‐ 運動変換器入力インタフェース及び運動変換器出力インタフェースを有する運動変換器と;
‐ ピボット可能に(pivotably)取り付けられ、傾斜レバー入力インタフェース及び器具のブレードセットの駆動部と係合する傾斜レバー出力インタフェースとを有する、傾斜レバーと;
を有し、
運動変換器は、入力シャフトと傾斜レバーとの間に配置され、
入力シャフトの偏心部は、運動変換器入力インタフェースに係合し、
運動変換器出力インタフェースは、傾斜レバー入力インタフェースに係合し、
運動変換器入力インタフェース及び運動変換器出力インタフェースは、入力シャフトに対して同じ長手方向レベルに配置され、
運動変換器出力インタフェースは、傾斜レバーのスイベル(回転)(swivel)軸に基本的に平行である円筒軸を定める円筒部を有し、
ブレードセットの駆動部は、傾斜レバー出力インタフェースによって係合されるスロットとして構成され、
傾斜レバーのヘッド部の円筒軸及び運動変換器の円筒部の円筒軸は、基本的にスイベル軸と平行である。
【0017】
従って、運動変換器における円筒部の主方位(main orientation)は、運動変換器の入力インタフェースに係合する回転偏心ピンの主方位に対してある程度傾いている。
【0018】
この態様は、運動変換器の入力インタフェースと出力インタフェースとの間の長手方向オフセットの低減が、運動伝達ユニットの運動学的状態に対してプラスの利点を有するという洞察に基づいている。
【0019】
その結果、関連する可動要素間に主として線接触が存在するような方法で運動伝達ユニットを形成することが可能である。これは、特に、運動伝達ユニットのスライド接触部に適用される。従って、低減された分布荷重が達成され得る。さらに、摩耗の低減、寿命の延長及び滑らかな動作状態が達成され得る。
【0020】
さらなる潜在的な利点として、入力シャフト及び傾斜レバーの両方の運動変換器との接点は、基本的に同じレベルである。これは、実際には、それによって潜在的に妨害するトルクが発生する、無視できない(長手方向の)てこ(lever)が存在しないという効果を有する。
【0021】
従って、運動変換器では寄生トルク(parasitic torque)はほとんどないか全く発生しない。その結果、有害な運動学的影響は、有意に減少し得るか、又は回避されることさえある。例えば、運動変換器では、好ましくは、基本的に往復直線運動を誘起する直線力のみが発生する。対照的に、運動変換器の入力インタフェースと出力インタフェースとの間にある(長手方向の)てこが存在する場合、ドライブトレーンが器具のブレードセットを駆動するように動作するときに、外乱トルクが本質的に発生する。従って、寄生力及びトルクのレベルが大幅に低減されるので、関連する構成要素への動的負荷が大幅に低減されることができ、これはドライブトレーン及び毛切断器具の全体的な性能にプラスの影響を与える。
【0022】
より一般的には、基本的に、毛切断器具のドライブトレーンの関与する要素の所与の位置及び向きに関係なく、本開示の主な態様によれば、特に運動変換器及び傾斜レバーのインタフェースに改善された接触状態が存在するような方法で、運動伝達ユニットを設計することが可能である。従って、設計の自由度は大幅に改善される。さらに、運動伝達ユニットの運動学的設計のために、運動伝達ユニットの要素が担うことが一般に容易ではない潜在的に妨害となるモーメント及びトルクが、大幅に低減され得るか、又は回避さえされ得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、長手方向レベルという用語は、長手方向軸における特定の位置に関する。従って、運動変換器入力インタフェースの入力シャフトとの及び運動変換器出力インタフェースの傾斜レバーとの両方の係合の接触点(作用点)は、入力シャフトの長手方向軸において実質的に同じ点に配置される。
【0024】
さらに、上記は、運動変換器の入力インタフェース及び出力インタフェースが基本的に同じ長手方向レベルにある構成も含むことが留意されるべきである。また、これらの実施形態では、相当の改善を達成することができる。
【0025】
上記の態様による運動変換器は、運動伝達に関して、入力シャフトと傾斜レバーとの間に配置される。従って、入力シャフトは、運動変換器入力インタフェースに係合する。さらに、運動変換器出力インタフェースは、傾斜レバーに係合する。
【0026】
入力シャフトはまた、出力シャフト又は駆動シャフトとも呼ばれ得る。従って、入力シャフトは、ドライブトレーンのモータの出力シャフトによって形成され得る。場合によっては、ギアが運動伝達ユニットのモータ出力シャフトと入力シャフトとの間に介在され得る。
【0027】
概して、上記構成は、ブレードセットの可動ブレード(カッタブレード)の駆動部に対して整列されていない(non-aligned)入力シャフトを有する毛切断器具において実装され得る。本明細書で使用される場合、整列されていないという用語は、ブレードセットの静止ブレード及び可動ブレードによって共同で定義される運動面(切断平面)と入力シャフトの長手方向軸との間の特定の角度に関連し得る。それらの間のオフセット角度は、0°(度)より大きく、90°より小さい範囲にあり得る。より詳細には、ブレードセットと入力シャフトとの間の全体的なオフセット角度は、例えば、30°〜60°の範囲であり得る。
【0028】
上記の定義にもかかわらず、上記の態様による運動伝達ユニットは、ブレードセットの運動面と入力シャフトの長手方向軸との間のオフセット角度が0°(すなわち平行)又は90°(すなわち垂直)である毛切断器具にも実装され得る。しかし、より一般的には、基本的に、ブレードセットの運動面と入力シャフトの長手方向軸との間の如何なる角度も、運動伝達ユニットによって適応され得る。
【0029】
概して、少なくとも主要な実施形態では、運動伝達ユニットは、ブレードセットの可動ブレードと静止ブレードとの間に直線的又は基本的に直線的な往復運動を誘起するように構成されている。この往復運動の運動方向は、基本的に入力シャフトの長手方向軸に対して垂直であるが、これは、限定的な意味では解釈されてはならない。
【0030】
所望の線接触条件を提供するために、円筒軸を傾斜レバーのスイベル軸に対して正確に平行に配置することが好ましい。これは、円筒軸及びスイベル軸が、長手方向軸に対して、ある角度で、特に0°より大きく90°より小さい角度で、好ましくは30°から60°の間の範囲で、配置されることを含み得る。
【0031】
心部は偏心ピンであり、運動変換器入力インタフェースは、偏心ピンによって係合されるガイドスロットである。偏心ピンは、入力シャフトの前端にその長手方向軸から離れて配置される。従って、入力シャフトが回転されると、偏心ピンは、長手方向軸周りに回転する。運動変換器のガイドスロットは、偏心ピンの位置及びサイズに適合される。
【0032】
運動伝達ユニットの別の例示的な実施形態では、運動変換器は、入力シャフトの偏心部の回転運動を、入力シャフトの長手方向軸に垂直な主運動方向を有する振動、特に線形振動に変換するように構成される。従って、運動変換器は、回転入力運動を、その出力インタフェースにおける往復出力運動に既に変換する。
【0033】
運動伝達のさらなる例示的な実施形態では、円筒部に、入力シャフトの偏心部によって係合されるように配置されたガイドスロットを形成する半径方向に延びる凹部が設けられる。言い換えれば、偏心ピンによって係合されるように配置されたガイドスロットは、円筒部内に延び、円筒部を貫通して延び得る。これは、偏心ピンと運動変換器入力インタフェースとの間、傾斜レバーと運動変換器出力インタフェースとの間の接触点(又は線接触/表面接触スポット)が基本的に同じ長手方向レベル上にあるという効果を有する。
【0034】
言い換えると、より一般的には、運動変換器入力インタフェースは、運動変換器出力インタフェース内のガイドスロット又は凹部として配置される。
【0035】
運動伝達ユニットのさらに別の例示的な実施形態では、傾斜レバー入力インタフェースは、運動変換器出力インタフェースを横方向に包囲する(embraces)ヨークとして構成される。ヨークは、運動変換器の円筒部に接触する2つの基本的に平行な側部(sides)を有する。
【0036】
代替実施形態では、ヨークは運動変換器に設けられ、円筒部は傾斜レバーに設けられていることが、この文脈では留意されるべきである。いずれの場合も、入力シャフト、運動変換器、及び傾斜レバーの間の接触点は、入力シャフトの長手方向軸に対して、同じ長手方向レベル、又は基本的に同じ長手方向レベルにある。
【0037】
運動伝達ユニットのさらに別の例示的な実施形態では、傾斜レバーは、そのスイベル軸に基本的に垂直なスイベル面(swivel plane)内でピボットする(pivoted)。スイベル面は、傾斜レバーのピボット運動によって定められる。傾斜レバーは、基本的にスイベル面と平行又は整列した主伸長方向を有する。スイベル面は、ブレードセットと入力シャフトの長手方向軸との間の全体の傾斜角を2つの角度部分に分割する面と見なされ得る。
【0038】
第1の角度部分は、及び傾斜レバーのスイベル面によって定められる。第2の角度部分は、入力シャフトの長手方向軸及び傾斜レバーのスイベル面によって定められる。この方法では、ブレードセットと運動伝達ユニットの入力シャフトとの間のかなり大きい角度オフセットが、運動学の観点から、対処がより容易な2つのセグメントに分割され得る。
【0039】
運動伝達ユニットのさらに別の例示的な実施形態では、傾斜レバーのスイベル面は、入力シャフトの長手方向軸に対して傾斜している。傾斜角は、0°より大きく90°未満の範囲、好ましくは15°から75°の範囲、より好ましくは30°から60°の範囲であり得る。
【0040】
運動伝達ユニットのさらに別の例示的な実施形態では、傾斜レバーは、傾斜レバーの中央部に配置されたスイベルベアリングに取り付けられている。したがって、傾斜レバーは、ロッカーと同様に構成されることができ、入力インタフェースは第1の端部に配置され、出力インタフェースは第2の端部に配置される。好ましくは、傾斜レバーの入力インタフェース及び出力インタフェースにおける係合要素が、それらの間の接続線がスイベル軸と交差するように、それらのスイベル軸と整列される。
【0041】
直列配置(in-line arrangement)は、動作時に、ねじり力よりも主に曲げトルク(スイベルベアリング付近)が傾斜レバーに作用するという利点を有する。曲げトルクを適切に対応し、耐える傾斜レバーの硬い設計は、基本的に実装が容易である。
【0042】
運動伝達ユニットのさらに別の例示的な実施形態では、傾斜レバー出力インタフェースは、傾斜レバーのスイベル軸に基本的に平行である円筒軸を定める円筒部として構成される。
【0043】
代替的な実施形態では、ブレードセットの駆動部及び傾斜レバー出力インタフェースを形成する要素は交換され得る。従って、傾斜レバーにはスロットが設けられ得、ブレードセットの駆動部には円筒部が形成され得る。
【0044】
運動伝達ユニットのさらなる例示的な実施形態では、傾斜レバーは、ブレードセットの運動面に対して傾斜している。傾斜レバーの傾斜角度は、傾斜レバーのスイベル面によって定められる。傾斜レバーとブレードセットの運動面との間の傾斜角は、0°より大きく90°未満、好ましくは15°〜75°の範囲、より好ましくは30°〜60°の範囲であり得る。
【0045】
運動伝達ユニットのさらに別の例示的な実施形態では、運動変換器の駆動点と傾斜レバーの駆動点は実質的に同一平面内にある。ここでも、これは、運動伝達ユニットにおける潜在的に不利な寄生トルクを防止する。駆動点という用語は、接触点、係合点(点接触、線接触、及び表面接触を含む)とも呼ばれ得る。
【0046】
運動伝達ユニットのさらに別の例示的な実施形態では、運動変換器は、器具のハウジングに、弾性的に取り付けられ且つ横方向に結合されるように構成される。換言すれば、運動変換器は、ハウジングに固定的に取り付けられ、一方、運動変換器は、その入力インタフェース及び出力インタフェースの往復運動を可能にするのに十分可撓性である変形可能な部分を有する。
【0047】
運動変換器は、好ましくは一ピースに形成されている一体的に形成された部品として構成され得る。運動変換器は、一方では特定の運動を可能にし、他方では特定の反発力を提供する可撓性部分を含み得る。従って、運動変換器は、弾性力と、内部摩擦に起因する、ある減衰効果の両方を提供し得る。
【0048】
本開示のさらに別の態様では、毛切断器具、特に、電動毛切断器具であって、ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられた切断ヘッドと、本明細書に開示された少なくとも1つの実施形態による運動伝達ユニットを有するドライブトレーンとを有し、切断ヘッドはブレードセットを有し、ドライブトレーンは、切断ヘッドがハウジングに取り付けられるときに、ブレードセットを作動させるように構成され、ブレードセットの運動面と運動伝達ユニットの入力シャフトの長手方向軸との間の全体の角度オフセットは、入力シャフトの長手方向軸と傾斜レバーのスイベル面との間の第1のオフセット角度と、傾斜レバーのスイベル面とブレードセットの運動面との間の第2のオフセット角度と(によって形成される集合体)に分割される、毛切断器具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本開示のこれら及び他の態様は、以下に記載する実施形態から明らかになり、説明される。
【0050】
図1】電動毛切断器具の一実施形態の概略斜視図を示す。
図2】毛切断器具のドライブトレーンの簡略側面図である。
図3】毛切断器具のドライブトレーン用運動伝達ユニットの一実施形態の斜視底面図である。
図4図3の構成の斜視上面図である。
図5】ビューレベル(view level)が入力シャフトの長手方向軸に平行であり且つブレードセットのカッタブレードの駆動方向に平行である、図3の運動伝達ユニットの分解図である。
図6図5の構成の斜視底面図である。
図7】運動伝達ユニット用傾斜レバーの例示的な実施形態の斜視図である。
図8】運動伝達ユニット用運動変換器の例示的実施形態の斜視断面図である。
図9】係合状態における図7の傾斜レバー及び図8の運動変換器の斜視断面図である。
図10】カッタブレードの第1の移動位置における組み立てられた状態の図5の構成のさらなる図である。
図11】カッタブレードの第2の移動位置における図10の構成のさらなる図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、毛切断器具10の斜視図を示す。器具10はハウジング12を有する。さらに、ハウジング12に配置又は取り付けられた切断ヘッド14が設けられる。切断ヘッド14には、毛を切るために互いに対して動かされるように配置された静止ブレードとカッタブレードとを含むブレードセット16が形成されている。
【0052】
切断ヘッド14から離れる方を向いているハウジング12の側面には、ハンドル部18が設けられている。さらに、参照番号20で示されるように、制御装置がハウジング12に形成されている。
【0053】
図1から分かるように、ハウジング12は、概して細長く、幾分湾曲した形状を有する。ユーザは、ハンドル部18で器具10を把持し、それに応じて器具10をガイドして、ブレードセット16で毛を切ることができる。
【0054】
毛切断器具10には、いくつかの設計上の制約及び設計目標がある。例えば、ハウジング12の設計は、基本的に工業的な設計目標、人間工学的な設計目標に適合し、器具10の必要な要素を収容するのに十分な空間を提供するべきである。さらなる設計目標は、ブレードセット16の到達可能性及び可視性を改善するために、切断ヘッド14を好ましくは細長くすることである。
【0055】
その結果、かなり頻繁に、ブレードセット16は、ドライブトレーンの入力シャフトに対する角度オフセットが設けられるように、一定の向きに配置される。従って、駆動運動を伝達し、回転運動を往復運動に変換するために、運動伝達ユニットを設ける必要があり得る。
【0056】
以下では、毛切断器具10のための運動伝達ユニットのいくつかの態様及び実施形態を説明し、より詳細に論じる。
【0057】
図2は、毛切断器具10のブレードセット16用のドライブトレーン30の概略側面図である。ブレードセット16は、静止ブレード(ガードブレード)26とカッタブレード(可動ブレード)28とを有する。ドライブトレーン30は、モータ32と、少なくともいくつかの実施形態では、バッテリ34とを含む。代替的に又は追加的に、コンセントを使う接続部(mains contact)もまた設けられ得る。モータ32は、モータ32に電力が供給されるときに回転される出力シャフトを有する。さらに、いくつかの実施形態では、必要に応じて、モータ32の出力を移動させるためにギアも設けられ得る。
【0058】
さらに、運動伝達ユニット40は、ドライブトレーン30の一部を形成する。運動伝達ユニット40は、2つの目的のために設計される。まず、運動伝達ユニット40は、回転入力運動をブレードセット16の一部の往復出力運動に変換するように構成される。加えて、運動伝達ユニット40は、ブレードセット16とドライブトレーン30のモータ32との間の一定の傾斜及び/又はオフセットに適応及び対応するように構成される。すなわち、モータ32とブレードセット16との間には、ある長手方向距離、及び少なくともいくつかの実施形態では、モータ32とブレードセット16の法線との間のある角度オフセットが存在する。
【0059】
図2に示す実施形態による運動伝達ユニット40は、入力シャフト42と、運動変換器44と、傾斜レバー46とを有する。この文脈において、図3及び図4に示される運動伝達ユニット40の斜視図をさらに参照する。
【0060】
入力シャフト42は、モータ32によって動力が与えられ、長手方向軸50周りに回転する。入力シャフト42の回転は、湾曲した矢印52によって示される。
【0061】
入力シャフト42は、図3の二重矢印54を参照して、入力シャフト42が回転するとき運動変換器44が往復運動するような方法で運動変換器44と係合する。
【0062】
従って、入力シャフト42と運動変換器44との係合により、入力シャフト42の回転運動は運動変換器の直線往復運動54に変換される。
【0063】
傾斜レバー46は、図2を参照して、スイベル軸58の周りにピボットするように配置されている。傾斜レバー46のピボット運動は、図3の湾曲した二重矢印60によって示されている。
【0064】
傾斜レバー46のピボット動作は、ブレードセット16のカッタブレード28と静止ブレード26との間の運動を誘起する。静止ブレード26及びカッタブレード28は、図2を参照して、それらの間のそれぞれの接触面において共に運動面56を定める。
【0065】
運動面56と長手方向軸50との間には、角度オフセットα(アルファ)が存在する。概して、角度αは、0°から90°の範囲であり得る。好ましくは、角度αは15°〜75°の範囲であり、より好ましくは30°〜60°の範囲である。
【0066】
傾斜レバー46は、そのスイベル軸58に垂直なスイベル面62内でピボットする。スイベル面62は、傾斜レバー46の主延長方向と整列し(aligned with)得る。しかし、傾斜レバー46は、スイベル面62からそれるような方法で少なくとも部分的に湾曲され得る及び/又はその他の方法で成形され得る。従って、スイベル軸58の向きは、スイベル面62の全体的な向きを規定する。
【0067】
図2から分かるように、スイベル面62の向きは、全体の角度オフセットαを2つの部分、すなわち、長手方向軸50とスイベル面62との間の角度β(ベータ)と、スイベル面62とブレードセットの運動面56との間の角度δ(デルタ)とに分割する。
【0068】
図2に示した角度α、β及びδの値は、主として説明のためのものであることが留意されるべきである。角度α、β及びδは、広い範囲内で変化され得、一方、セクションβ及びδは、共同で全体の角度オフセットαを形成することが当業者には理解されるであろう。
【0069】
部分の角度β及びδは同じ値である必要はない。むしろ、本明細書で論じる運動伝達ユニットの少なくともいくつかの実施形態の主な利点は、運動伝達ユニット40の関連する要素の向きに関するかなり自由な選択が、最終的には種々の設計上の制約に従うことができるように、可能であることである。
【0070】
図5及び図6を参照し、さらに図7図8及び図9を参照して、運動伝達ユニット40の例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【0071】
入力シャフト42は、その前端に偏心部68を有する。図5及び図6に示す実施形態の偏心部68は、入力シャフト42の主方向に平行な主方向を有する偏心ピン70を有する。しかし、ピン70は、長手方向軸50に対して中心からずれている(off-center)。従って、入力シャフト42が回転すると、ピン70は、長手方向軸50周りを回る。
【0072】
入力シャフト42の偏心部68は、運動変換器の入力インタフェース74と係合する。運動変換器44は、傾斜レバー46の入力インタフェース80に係合するか又はこれに係合される出力インタフェース76をさらに有する。同様に、出力インタフェース82が、ブレードセット16のカッタブレード28に形成された駆動部86に係合する又はそれに係合される傾斜レバー46にも存在する。
【0073】
運動変換器44は、例示的な実施形態では、一体成形される。概して、運動変換器44は、器具10のハウジング部分に取り付けられるように構成された側部コネクタ90を有し得る。従って、側部コネクタ90は、概して、運動変換器44が作動されるときには動かされない。さらに、運動変換器44は、図5図9に示す実施形態では、屈曲部として構成された弾性部92を有する。
【0074】
弾性部92の間には、中央ブロック94が形成される。運動変換器44が入力シャフト42の偏心部68によって作動されるとき、中央ブロック94は、側部コネクタ90の間で直線的に往復移動され、これは側部コネクタ90と中央ブロック94それぞれとの間に挟まれた弾性部92の変形を伴う。
【0075】
弾性部92は、運動変換器44に、一方では、一定の可撓性を提供し、他方では、一定の反発力を提供する。加えて、固有の摩擦のために、運動変換器44の全体的な構成により、一定の減衰特性が提供される。
【0076】
中央ブロック94には、運動変換器の入力インタフェース74を形成するガイドスロット96が設けられている。ガイドスロット96は、入力シャフト42のピン70に係合される。
【0077】
さらに、傾斜壁98が、中央ブロック94においてガイドスロット96に隣接して形成され、これはピン70の挿入補助として機能し得る。
【0078】
基本的には、ガイドスロット96が形成されるところと同じ長手方向レベル(入力シャフト42の長手方向軸50に対して)に、出力インタフェース76を形成する円筒部102が運動変換器44に設けられる。円筒セクション102は、湾曲セクション、バレルセクションなどとも呼ばれ得る。円筒部102は、図8及び図9を参照すると、円筒軸104を定める。
【0079】
図8から最もよく分かるように、ガイドスロット96は、円筒部102を貫通して延び、頂部凹部106を形成し得る。図9は、ガイドスロット96が半径方向に延びる凹部として円筒部102を貫通する円筒部102を通る断面を示している。ガイドスロット96が円筒部102を完全に貫通している必要はないことに留意されたい。
【0080】
傾斜レバー46は、スイベル軸58の周りをピボットするように配置されている。その第1の端部において、傾斜レバー46は、その間にガイド凹部114を画定する側部アーム112を有するヨーク110を備える。ヨーク110は、円筒部102と係合する又はそれを包囲する。換言すれば、ヨーク110は、傾斜レバー46の入力インタフェース80を形成する。
【0081】
その中央部116において、スイベルベアリング118が傾斜レバー46に形成され、これはベアリングピンを含み得る。スイベルベアリング118は、最終的にスイベル軸58を画定する。
【0082】
傾斜レバー46の主配向方向(main orientation direction)は、図7に二重矢印120で示されている。主配向方向120は、図7に示す実施形態では、スイベル軸58に対して基本的に垂直である。しかし、いずれの場合も、傾斜レバー46が主延長方向120と完全に整列するように傾斜レバー46を設計する必要はない。
【0083】
傾斜レバー46は、主延長方向120に基本的に平行であり、かつ、主延長方向120を定めるビーム124をさらに有する。ビーム124は、傾斜レバー46の第1の端部と第2の端部との間に延びる。ヨーク110から離れる方を向いている傾斜レバー46の端部には、円筒ヘッド部として構成されたヘッド部126が形成されている。ヘッド部126は、傾斜レバー46の出力インタフェース82を形成する。図7に示すように、ヘッド部126は、円筒軸130を定める円筒部128を形成する。円筒軸130は、スイベル軸58に平行である。
【0084】
これに関連して、図9をさらに参照する。好ましくは、少なくともいくつかの実施態様において、傾斜レバー46のヘッド部126の円筒軸130及び運動変換器44の円筒部102の円筒軸104の両方が、スイベル軸58に対して基本的に平行である。これは、運動伝達ユニット40が動作するときに、滑らかな作動並びに寄生力及びトルクがほとんどあるいは全く存在しない効果を有する。
【0085】
再度図6を参照する。傾斜レバー46の出力インタフェース82は、カッタブレード28に設けられた駆動部86と係合する。駆動部86は、図6に示す実施形態では、その間にスロット134を画定する2つの対向する側壁136によって形成される。傾斜レバー46の円筒状ヘッド部126は、駆動部86のスロット134と係合し、静止ブレード26に対するカッタブレード28の直線往復運動64を実行する。
【0086】
さらに、カッタブレード28の反対の移動位置(最外側の横方向の位置)をそれぞれ示す、図10及び図11をそれぞれ参照する。図11では、入力シャフト42は、図10の状態に対して約180°回転されている。
【0087】
図10では、運動変換器44の中央ブロック94は最も右側の位置に動かされ、一方、カッタブレード28は傾斜レバー46の角度変位により最も左側の位置に動かされている。対照的に、図11では、運動変換器44の中央ブロック94は、最も左の位置に動かされ、一方、カッタブレード28は、最も右の位置に動かされている。
【0088】
運動変換器44の弾性部92は、偏心ピン70の回転を引き起こす入力シャフト42の回転に反応して中央ブロック94が往復運動(矢印54)されるときに、それぞれ変形される。
【0089】
図10及び図11において、参照番号140は、入力シャフト42の偏心部(ピン70)と運動変換器44の入力インタフェース(ガイドスロット96)との、及び傾斜レバー46の入力インタフェース(ヨーク110)と運動変換器44の出力インタフェース(円筒部102)との両方の接点の長手方向レベルを示す。それぞれの接触スポットの同じレベルにされた配置(levelled arrangement)の結果として、寄生力及び/又はトルクは、運動変換器44にほとんど又は全く作用しないので、運動伝達ユニット40の全体的な滑らかな動作及び性能を大幅に改善する。
【0090】
入力シャフト42(ピン70)、運動変換器44(スロット96及び円筒部102)及び傾斜レバー46(ヨーク110)の駆動又は係合点は、基本的に同じ長手方向レベルに配置される。当業者であれば、例えば、傾斜レバー46がピボットするときにヨーク110の接点が共通の長手方向レベル140から少なくともわずかに外れて動かされるとき、わずかなずれがあり得ることは理解されるであろう。従って、共通の長手方向レベル140は、また、(かなり狭い)長手方向範囲とみなされ得る。
【0091】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されているが、そのような図示及び説明は、説明的又は例示的であり、限定的ではないとみなされるべきであり、本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形例は、図面、開示、及び添付の請求の範囲の研究から、当業者が請求項に記載された発明を実施する際に理解し、実施することができる。
【0092】
請求項において、語「有する」は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「1つの(“a”又は“an”)」は、複数を除外しない。単一要素又は他のユニットが、請求項に記載された幾つかのアイテムの機能を満たし得る。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に利用できないことを示すものではない。
【0093】
請求項中の引用符号は、その範囲を限定するものと解釈してはならない。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図10
図11