特許第6799722号(P6799722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6799722
(24)【登録日】2020年11月25日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】減衰力発生機構および圧力緩衝装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/46 20060101AFI20201207BHJP
   F16F 9/34 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   F16F9/46
   F16F9/34
【請求項の数】20
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-536300(P2020-536300)
(86)(22)【出願日】2020年6月25日
(86)【国際出願番号】JP2020025105
【審査請求日】2020年6月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146010
【氏名又は名称】株式会社ショーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】中野 剛太
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 力
【審査官】 谷口 耕之助
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−059573(JP,A)
【文献】 特開2007−225111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/46
F16F 9/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる第1の流路を形成する第1流路形成部と、
前記第1の流路における流体の流れを制御する第1バルブと、
前記第1バルブに背圧を付与する背圧室と
前記背圧室に接続し、前記背圧室における流体の圧力を調整するための第2の流路を複数有する第2流路形成部と、
前記第2流路形成部に対向して設けられ、複数の前記第2の流路における流体の流れを制御する第2バルブであって、流体が流れるときに、複数の前記第2の流路のうち少なくとも一の前記第2の流路と他の前記第2の流路とで時間差を有して開く第2バルブと、
を備える減衰力発生機構。
【請求項2】
前記一の第2の流路と前記他の第2の流路とは、形状が異なる請求項1に記載の減衰力発生機構。
【請求項3】
前記一の第2の流路と前記他の第2の流路とは、前記第2バルブに対向する流路口の流路断面積がそれぞれ異なる請求項に記載の減衰力発生機構。
【請求項4】
前記一の第2の流路と前記他の第2の流路とは、前記第2バルブに向けた突出高さがそれぞれ異なる請求項に記載の減衰力発生機構。
【請求項5】
前記第2流路形成部は、前記一の第2の流路および前記他の第2の流路に隣り合って設けられ、前記第2バルブに接触可能に前記第2バルブに向けて突出する突出部を備える請求項1に記載の減衰力発生機構。
【請求項6】
前記第2流路形成部は、前記第2の流路の流路口の周囲に設けられ前記第2バルブに向けて環状に突出すると共に、前記第2バルブに対して傾斜しているラウンド部を有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の減衰力発生機構。
【請求項7】
前記第2バルブは、前記一の第2の流路および前記他の第2の流路にそれぞれ対向する領域ごとに剛性が異なる請求項1に記載の減衰力発生機構。
【請求項8】
前記第2バルブは、複数の異なる形状を有する弾性部材によって構成されている請求項に記載の減衰力発生機構。
【請求項9】
前記第2バルブは、通電状態に応じて進退する進退部の端部に設けられ、前記第2の流路における流体の流れに応じて変形する変形部を有する請求項1に記載の減衰力発生機構。
【請求項10】
流体を収容するシリンダと、
軸方向に移動するロッドに接続するとともに、前記シリンダ内にて移動するピストン部と、
前記ピストン部の移動に伴って、流体が流れる第1の流路を形成する第1流路形成部と、
前記第1の流路における流体の流れを制御する第1バルブと、
前記第1バルブに背圧を付与する背圧室と
前記背圧室に接続し、前記背圧室における流体の圧力を調整するための第2の流路を複数有する第2流路形成部と、
前記第2流路形成部に対向して設けられ、複数の前記第2の流路における流体の流れを制御する第2バルブであって、流体が流れるときに、複数の前記第2の流路のうち少なくとも一の前記第2の流路と他の前記第2の流路とで時間差を有して開く第2バルブと、
を備える圧力緩衝装置。
【請求項11】
流体が流れる第1の流路を形成する第1流路形成部と、
前記第1の流路における流体の流れを制御する第1バルブと、
前記第1バルブに背圧を付与する背圧室と、
前記背圧室に接続し、前記背圧室における流体の圧力を調整するための外側パイロット流路を複数有する第2流路形成部と、
前記第2流路形成部に対向して設けられ、複数の前記外側パイロット流路における流体の流れを制御する第2バルブであって、流体が流れるときに、複数の前記外側パイロット流路のうち少なくとも一の前記外側パイロット流路と他の前記外側パイロット流路とで時間差を有して開く第2バルブと、
を備える減衰力発生機構。
【請求項12】
前記一の外側パイロット流路と前記他の外側パイロット流路とは、形状が異なる請求項11に記載の減衰力発生機構。
【請求項13】
前記一の外側パイロット流路と前記他の外側パイロット流路とは、前記第2バルブに対向する流路口の流路断面積がそれぞれ異なる請求項12に記載の減衰力発生機構。
【請求項14】
前記一の外側パイロット流路と前記他の外側パイロット流路とは、前記第2バルブに向けた突出高さがそれぞれ異なる請求項12に記載の減衰力発生機構。
【請求項15】
前記第2流路形成部は、前記一の外側パイロット流路および前記他の外側パイロット流路に隣り合って設けられ、前記第2バルブに接触可能に前記第2バルブに向けて突出する突出部を備える請求項11に記載の減衰力発生機構。
【請求項16】
前記第2流路形成部は、前記外側パイロット流路の流路口の周囲に設けられ前記第2バルブに向けて環状に突出すると共に、前記第2バルブに対して傾斜しているラウンド部を有する請求項11乃至15のいずれか1項に記載の減衰力発生機構。
【請求項17】
前記第2バルブは、前記一の外側パイロット流路および前記他の外側パイロット流路にそれぞれ対向する領域ごとに剛性が異なる請求項11に記載の減衰力発生機構。
【請求項18】
前記第2バルブは、複数の異なる形状を有する弾性部材によって構成されている請求項17に記載の減衰力発生機構。
【請求項19】
前記第2バルブは、通電状態に応じて進退する進退部の端部に設けられ、前記外側パイロット流路における流体の流れに応じて変形する変形部を有する請求項11に記載の減衰力発生機構。
【請求項20】
流体を収容するシリンダと、
軸方向に移動するロッドに接続するとともに、前記シリンダ内にて移動するピストン部と、
前記ピストン部の移動に伴って、流体が流れる第1の流路を形成する第1流路形成部と、
前記第1の流路における流体の流れを制御する第1バルブと、
前記第1バルブに背圧を付与する背圧室と、
前記背圧室に接続し、前記背圧室における流体の圧力を調整するための外側パイロット流路を複数有する第2流路形成部と、
前記第2流路形成部に対向して設けられ、複数の前記外側パイロット流路における流体の流れを制御する第2バルブであって、流体が流れるときに、複数の前記外側パイロット流路のうち少なくとも一の前記外側パイロット流路と他の前記外側パイロット流路とで時間差を有して開く第2バルブと、
を備える圧力緩衝装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減衰力発生機構および圧力緩衝装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、シリンダ内のピストンの摺動によって生じる環状油路とリザーバとの間に生じる油液の流れを背圧型のメインバルブ及び圧力制御弁によって制御して減衰力を発生させる減衰力調整式油圧緩衝器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−281584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、背圧室によって減衰力が調整される減衰バルブの開弁特性を制御するために、背圧室に接続する接続流路の流体の流れをバルブによって制御する場合がある。ここで、接続流路における流体の流れを制御するために、バルブによって接続流路の開度を調整することを考える。しかしながら、接続流路に対するバルブの開度が比較的小さい状態においては、接続流路を流れる流体の流量に応じた、バルブによる接続流路の開口面積の変化量が大きくなる。そのため、バルブによる接続流路の開度が比較的小さい状態においては、バルブによる接続流路における流体の流れの制御が困難であった。
【0005】
本発明は、背圧室に接続する接続流路に対するバルブの開度が小さい状態における、バルブによる接続流路の流体の流れの制御を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明は、流体が流れる流路を形成する第1流路形成部と、前記流路における流体の流れを制御する第1バルブと、前記第1バルブに背圧を付与する背圧室を形成する背圧室形成部と、前記背圧室に接続する接続流路を複数有する第2流路形成部と、前記第2流路形成部に対向して設けられ、複数の前記接続流路における流体の流れを制御する第2バルブと、を備える減衰力発生機構である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、背圧室に接続する接続流路に対するバルブの開度が小さい状態における、バルブによる接続流路の流体の流れの制御が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の油圧緩衝装置の全体図である。
図2】第1実施形態の外側減衰部の断面図である。
図3】第1実施形態のメインバルブ部および減衰力調整部の部分断面図である。
図4】第1実施形態のパイロットバルブおよびパイロットバルブシートの説明図である。
図5】第1実施形態のパイロットバルブシートの説明図である。
図6】第1実施形態の油圧緩衝装置の動作説明図である。
図7】第1実施形態の外側減衰部におけるオイルの流れの説明図である。
図8】第2実施形態が適用される減衰力調整部の説明図である。
図9】第3実施形態が適用される減衰力調整部の説明図である。
図10】第4実施形態の減衰力調整部の説明図である。
図11】第5実施形態の減衰力調整部の説明図である。
図12】第6実施形態の減衰力調整部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
[油圧緩衝装置1の構成・機能]
図1は、第1実施形態の油圧緩衝装置1の全体図である。
【0010】
図1に示すように、油圧緩衝装置1は、オイルを収容するシリンダ部10と、他方側がシリンダ部10から突出して設けられるとともに一方側がシリンダ部10内にスライド可能に挿入されるロッド20と、を備える。また、油圧緩衝装置1は、ロッド20の一方側の端部に設けられるピストン部30と、シリンダ部10の一方側の端部に設けられるボトム部40と、を備える。さらに、油圧緩衝装置1は、シリンダ部10の外部に設けられて減衰力を発生させる外側減衰部100を備える。
【0011】
なお、以下の説明において、図1に示すシリンダ部10の長手方向は、「軸方向」と称する。また、軸方向におけるシリンダ部10の下側は、「一方側」と称し、シリンダ部10の上側は、「他方側」と称する。
また、図1に示すシリンダ部10の左右方向は、「半径方向」と称する。そして、半径方向において、中心軸側は、「半径方向内側」と称し、中心軸から離れる側は、「半径方向外側」と称する。
【0012】
〔シリンダ部10の構成・機能〕
シリンダ部10は、オイルを収容するシリンダ11と、シリンダ11の半径方向外側に設けられる外筒体12と、シリンダ11の半径方向外側であって外筒体12のさらに半径方向外側に設けられるダンパケース13とを有する。
【0013】
シリンダ11は、円筒状に形成され、他方側にシリンダ開口11Hを有する。
外筒体12は、円筒状に形成される。そして、外筒体12は、シリンダ11との間に、連絡路Lを形成する。また、外筒体12は、外側減衰部100との対向位置に、外筒体開口部12Hおよび外側接続部12Jを有する。外側接続部12Jは、オイルの流路を有するとともに、半径方向外側に向けて突出し外側減衰部100との接続箇所を形成する。
【0014】
ダンパケース13は、円筒状に形成される。そして、ダンパケース13は、外筒体12との間においてオイルが溜まるリザーバ室Rを形成する。リザーバ室Rは、ロッド20のシリンダ11に対する相対移動に伴って、シリンダ11内のオイルを吸収したり、シリンダ11内にオイルを供給したりする。また、リザーバ室Rは、外側減衰部100から流れ出たオイルを溜める。また、ダンパケース13は、外側減衰部100との対向位置に、ケース開口部13Hを有する。
【0015】
〔ロッド20の構成・機能〕
ロッド20は、軸方向に長く延びる棒状の部材である。ロッド20は、一方側にてピストン部30に接続する。また、ロッド20は、他方側にて図示しない連結部材等を介して例えば車体に接続する。ロッド20は、内側が空洞になっている中空状、または、内側に空洞を有さない中実状のいずれでも良い。
【0016】
〔ピストン部30の構成・機能〕
ピストン部30は、複数のピストン油路口311を有するピストンボディ31と、ピストン油路口311の他方側を開閉するピストンバルブ32と、ピストンバルブ32とロッド20の一方側端部との間に設けられるスプリング33とを有する。そして、ピストン部30は、シリンダ11内のオイルを第1油室Y1と第2油室Y2とに区画する。
【0017】
〔ボトム部40の構成・機能〕
ボトム部40は、バルブシート41と、バルブシート41の他方側に設けられるチェックバルブ部43と、軸方向に設けられる固定部材44と、を有する。そして、ボトム部40は、第1油室Y1とリザーバ室Rとを区分する。
【0018】
〔外側減衰部100の構成・機能〕
図2は、第1実施形態の外側減衰部100の断面図である。
図3は、第1実施形態のメインバルブ部50および減衰力調整部60の部分断面図である。
【0019】
以下の説明では、図2に示す外側減衰部100の長手方向(すなわち、シリンダ部10の軸方向(図1参照)に交差する交差方向(例えば、略直交方向))は、「第2軸方向」と称する。また、第2軸方向において外側減衰部100の左側は、「第2軸内側」と称し、外側減衰部100の右側は、「第2軸外側」と称する。
また、図2に示す外側減衰部100の上下方向(すなわち、第2軸方向に交差する方向)は、「第2半径方向」と称する。そして、第2半径方向において、第2軸に沿う中心軸側は、「第2半径方向内側」と称し、第2軸に沿う中心軸に対して離れる側は、「第2半径方向外側」と称する。
【0020】
図2に示すように、外側減衰部100は、第1実施形態の油圧緩衝装置1において主に減衰力を発生させるメインバルブ部50と、外側減衰部100にて発生させる減衰力の大きさを調整する減衰力調整部60と、を備える。また、外側減衰部100は、メインバルブ部50および減衰力調整部60を保持するケース60Cを備える。さらに、外側減衰部100は、メインバルブ部50を支持するスペーサ95と、メインバルブ部50に対して連絡路Lからのオイルの流路を形成する接続流路部90と、を備える。さらに、外側減衰部100は、外側減衰部100を構成する各種の部品を収容する外側ハウジング100Cを備える。
【0021】
(メインバルブ部50)
メインバルブ部50は、オイルの流れを絞るように制御することで減衰力を発生させるメインバルブ51(第1バルブの一例)と、メインバルブ51と対向しメインバルブ51が接触するメインバルブシート52(第1流路形成部の一例)と、を有する。
【0022】
図3に示すように、メインバルブ51は、第2半径方向内側に開口部51Hを有し、弾性変形する円盤形状の部材である。メインバルブ51の材料には、例えば鉄などの金属を用いることができる。そして、メインバルブ51の開口部51Hには、後述の流路部材80が貫通する。また、メインバルブ51は、メインバルブシート52に第2軸外側で対向するようにして設けられる。
【0023】
以上のように構成されるメインバルブ51は、後述の流路部材80によって第2半径方向における位置の移動が制限される。また、メインバルブ51の第2半径方向内側は、流路部材80によって第2軸外側に向けた移動が制限される。一方、メインバルブ51の第2半径方向外側は、変形することで第2軸方向において移動可能になっている。そして、メインバルブ51は、メインバルブシート52の後述するメイン流路54におけるオイルの流れを絞って差圧を生じさせ、減衰力を発生させる。
【0024】
続いて、メインバルブシート52について説明する。
図3に示すように、メインバルブシート52は、第2半径方向内側に設けられる中央流路53と、中央流路53の第2半径方向外側に設けられるメイン流路54と、を有する。また、メインバルブシート52は、中央流路53の第2軸外側にて窪む凹部55と、メイン流路54の第2半径方向外側に設けられるラウンド部56と、を有する。
そして、メインバルブシート52は、凹部55にて後述の流路部材80と接触する。また、メインバルブシート52は、第2軸内側の一部がスペーサ95に挿入される。
【0025】
中央流路53は、第2軸方向に沿って形成されるとともに、メインバルブシート52において貫通している。そして、中央流路53は、第2軸内側にて接続流路部90(図2参照)に連絡し、第2軸外側にて後述の流路部材80に連絡する。
【0026】
メイン流路54は、パイロットバルブシート75の後述する内側パイロット流路77および外側パイロット流路78に対して、並列流路を構成する。また、第1実施形態のメイン流路54は、複数設けられる。そして、各々のメイン流路54は、第2軸内側にて中央流路53に連絡する。また、各々のメイン流路54は、第2軸外側が凹部55とラウンド部56との間に位置する。
【0027】
ラウンド部56は、円環状に形成されている。また、ラウンド部56は、メインバルブ51側に向けて、凹部55よりも第2軸外側に突出している。そして、ラウンド部56は、メインバルブ51が着座する箇所を形成する。
【0028】
(減衰力調整部60)
図2に示すように、減衰力調整部60は、後述のパイロットバルブ70をパイロットバルブシート75に対して進退させる進退部61と、主にパイロットバルブ70を覆うキャップ部67と、を有する。また、減衰力調整部60は、後述の背圧室68Pにおけるオイルの圧力に応じてメインバルブ51の変形し易さを変更する背圧生成機構68を有している。また、減衰力調整部60は、後述する背圧室68Pに連絡するとともに低速時におけるオイルの流れを形成する流路を有するパイロットバルブシート75(第2流路形成部材の一例)と、パイロットバルブシート75の流路におけるオイルの流れを制御するパイロットバルブ70(第2バルブの一例)と、を有する。さらに、減衰力調整部60は、パイロットバルブシート75とメインバルブシート52との間におけるオイルの流路を形成する流路部材80を有する。
【0029】
−進退部61−
図2に示すように、進退部61は、電磁石を用いて、後述のプランジャ64を進退させるソレノイド部62と、後述の押付部材65とパイロットバルブ70との間に設けられる圧縮コイルバネ63と、第2軸方向に沿って進退するプランジャ64と、パイロットバルブ70をパイロットバルブシート75に対して押し付ける押付部材65と、を有する。
【0030】
ソレノイド部62は、電磁石が通電状態になることで、プランジャ64を押付部材65側に向けて押し出す。
圧縮コイルバネ63は、第2軸内側にてパイロットバルブ70に接触し、第2軸外側にて押付部材65に接触する。そして、圧縮コイルバネ63は、押付部材65とパイロットバルブ70とが互いに離れる方向の力を、押付部材65およびパイロットバルブ70にそれぞれ与える。
プランジャ64は、ソレノイド部62が通電状態のときに押付部材65に向けて押し出され、ソレノイド部62が非通電状態のときに圧縮コイルバネ63により押し戻される。
【0031】
図3に示すように、押付部材65は、パイロットバルブ70側(すなわち、第2軸内側)に向けて突出するバルブ接触部651を有している。第1実施形態のバルブ接触部651は、環状に形成されている。さらに、バルブ接触部651は、パイロットバルブ70の第2対向部72(後述する図4参照)に対向する位置に形成されている。そして、バルブ接触部651は、第2対向部72に接触する。
【0032】
−キャップ部67−
図3に示すように、キャップ部67は、第2軸外側に開口部67Hを有し、概形が円筒状に形成された部品である。そして、キャップ部67は、開口部67Hに、プランジャ64が貫通して設けられる。また、キャップ部67は、キャップ部67の内部において、押付部材65が第2軸方向に沿って進退する。
【0033】
そして、図3に示すように、キャップ部67は、ケース60Cに押し付けられることで固定される。また、キャップ部67は、ケース60Cとの間にて、オイルが流れるキャップ流路67Rを有する。キャップ流路67Rは、開口部67Hに連絡するとともに、後述のケース内流路60Pに連絡する。
【0034】
−背圧生成機構68−
図3に示すように、背圧生成機構68は、メインバルブ51に対してメインバルブシート52の反対側(すなわち、第2軸外側)に設けられるスプール681を有する。また、背圧生成機構68は、パイロットバルブシート75とスプール681との間をシール(すなわち、液密)するシール部材682、を有する。さらに、背圧生成機構68は、スプール681をメインバルブ51に押し付ける力をスプール681に与える戻バネ683を有する。
【0035】
スプール681の概形は、略円筒状に形成されている。そして、スプール681は、第2軸方向において移動可能になっている。例えば、スプール681は、メインバルブ51が第2軸外側に向けて変形する際、第2軸外側に移動する。また、スプール681は、メインバルブ51が第2軸内側に向けて変形状態から元の状態に戻る際、第2軸内側に移動する。
【0036】
第1実施形態のスプール681は、メインバルブ51に接触するメインバルブ接触部681Vを有している。メインバルブ接触部681Vは、スプール681における第2軸内側に設けられる。第1実施形態のメインバルブ接触部681Vは、第2軸外側から第2軸内側に向けて次第に幅が狭まるように形成されている。メインバルブ接触部681Vは、メインバルブ51に対して環状に接触する。そして、スプール681は、メインバルブ51に対して、メインバルブシート52の反対側となる第2軸外側からのオイル圧(以下、背圧と呼ぶ)を作用させる背圧室68Pを形成する部品の一つを構成する。
【0037】
ここで、背圧室68Pは、オイルが流入することで、流入したオイルに応じたオイル圧をメインバルブ51に作用させる部屋である。そして、背圧室68Pは、メインバルブ51に対してメインバルブ51をメインバルブシート52に押し付ける力を付与するように作用する。つまり、背圧室68Pは、メインバルブ51に背圧を付与する。なお、第1実施形態の背圧室68Pは、スプール681、パイロットバルブシート75および流路部材80によって形成される。
【0038】
シール部材682は、環状に形成されている。シール部材682には、エンジニアプラスティックやゴムなどの弾性変形する樹脂材料を用いることができる。
【0039】
図4は、第1実施形態のパイロットバルブ70およびパイロットバルブシート75の説明図である。
なお、図4(A)は、パイロットバルブ70およびパイロットバルブシート75の斜視図であり、図4(B)は、パイロットバルブ70の上面図である。
図5は、第1実施形態のパイロットバルブシート75の説明図である。
【0040】
−パイロットバルブシート75−
図4(A)に示すように、パイロットバルブシート75は、パイロットバルブ70を支持する外側シート部76と、背圧室68P(図3参照)におけるオイルの圧力を調整するためのオイルの流路を構成する内側パイロット流路77および外側パイロット流路78と、を有する。
【0041】
外側シート部76は、第2軸外側に設けられる略円形状の面である底面部750に対して、第2軸外側に向けて環状に突出している。そして、外側シート部76は、パイロットバルブ70の外側環状部70C(後述)と対向する。また、外側シート部76は、底面部750に対して、内側パイロット流路77および外側パイロット流路78よりも第2軸外側に向けて突出している。
【0042】
内側パイロット流路77は、パイロットバルブ70の第2半径方向内側に設けられる。そして、内側パイロット流路77は、第2軸方向においてパイロットバルブシート75を貫通して設けられる(図3参照)。また、内側パイロット流路77は、第2軸外側に、内側ラウンド77Rを有する。内側ラウンド77Rは、第2軸外側に向けて環状に突出している。そして、内側ラウンド77Rは、パイロットバルブ70との接触箇所を形成する。
【0043】
外側パイロット流路78は、第1実施形態のパイロットバルブシート75において複数設けられる。具体的には、第1実施形態のパイロットバルブシート75は、第1外側パイロット流路781と、第2外側パイロット流路782と、第3外側パイロット流路783と、を備える。なお、以下の説明において、第1外側パイロット流路781、第2外側パイロット流路782および第3外側パイロット流路783を、それぞれ特に区別しない場合には、外側パイロット流路78と総称する。
【0044】
そして、複数の外側パイロット流路78は、内側パイロット流路77を囲むようにして、内側パイロット流路77の第2半径方向外側に配置される。また、外側パイロット流路78は、第2軸方向においてパイロットバルブシート75を貫通して設けられる(図3参照)。
また、外側パイロット流路78は、第2軸外側に、外側ラウンド78Rを有する。外側ラウンド78Rは、第2軸外側に向けて環状に突出している。そして、外側ラウンド78Rは、パイロットバルブ70との接触箇所を形成する。
【0045】
なお、以下の説明において、第1外側パイロット流路781の外側ラウンド78Rは、第1外側ラウンド781Rと呼ぶ。第2外側パイロット流路782の外側ラウンド78Rは、第2外側ラウンド782Rと呼ぶ。第3外側パイロット流路783の外側ラウンド78Rは、第3外側ラウンド783Rと呼ぶ。
【0046】
図5に示すように、複数の外側パイロット流路78は、底面部750を基準とした場合に、各々の外側ラウンド78Rの高さがそれぞれ略等しくなっている。つまり、第1外側ラウンド781R、第2外側ラウンド782Rおよび第3外側ラウンド783Rは、それぞれ高さh1になっている。
そして、複数の外側パイロット流路78の外側ラウンド78Rの高さh1は、それぞれ、内側パイロット流路77の内側ラウンド77Rの高さh2よりも低くなっている。
【0047】
さらに、第1実施形態のパイロットバルブシート75は、複数の外側パイロット流路78の流路口の内径がそれぞれ異なっている。すなわち、複数の外側パイロット流路78は、流路口の流路断面積がそれぞれ異なっている。具体的には、図4(A)に示すように、第1外側パイロット流路781の流路口の内径d1は、第2外側パイロット流路782の流路口の内径d2および第3外側パイロット流路783の流路口の内径d3よりも大きい。また、第2外側パイロット流路782の流路口の内径d2は、第3外側パイロット流路783の流路口の内径d3よりも大きい。すなわち、複数の外側パイロット流路78の流路口の流路断面積は、第3外側パイロット流路783、第2外側パイロット流路782、第1外側パイロット流路781の順に大きくなっている。
また、各外側パイロット流路78の流路口の流路断面積は、内側パイロット流路77の流路口の流路断面積よりも小さい。
【0048】
−パイロットバルブ70−
図4(A)に示すように、パイロットバルブ70は、弾性変形する略円形状の板状部材である。パイロットバルブ70の材料には、例えば鉄などの金属を用いることができる。そして、パイロットバルブ70は、パイロットバルブシート75の第2軸外側に対向して設けられる。
そして、第1実施形態のパイロットバルブ70は、メインバルブ部50のメイン流路54(図3参照)とは並列であり、メイン流路54とは異なる流路となる内側パイロット流路77や外側パイロット流路78におけるオイルの流れを制御する。
【0049】
パイロットバルブ70は、環状に形成される外側環状部70Cと、内側パイロット流路77に対向する第1対向部71と、外側パイロット流路78に対向する第2対向部72とを有する。さらに、パイロットバルブ70は、第2半径方向内側に設けられパイロットバルブ70を第2軸方向において変形し易くする内側開口部73と、内側開口部73よりも第2半径方向外側に設けられパイロットバルブ70を第2軸方向において変形し易くする外側開口部74と、を有する。
【0050】
外側環状部70Cは、第2半径方向外側に設けられる。外側環状部70Cは、キャップ部67とパイロットバルブシート75との間に挟み込まれる部分として機能する。そして、パイロットバルブ70は、外側環状部70Cが挟み込まれることで、パイロットバルブシート75に保持される(図3参照)。
【0051】
第1対向部71は、円形状であって板状に形成される。そして、第1対向部71は、内側パイロット流路77の内径よりも大きく形成され、内側ラウンド77Rを覆うことが可能になっている。第1実施形態において、第1対向部71は、パイロットバルブ70の中央部(すなわち、第2半径方向内側)に形成している。
【0052】
第2対向部72は、円環状であって板状に形成される。そして、第2対向部72は、外側パイロット流路78の内径よりも大きく形成され、外側ラウンド78Rを覆うことが可能になっている。第2対向部72は、第1対向部71よりも第2半径方向外側に形成される。また、第2対向部72は、パイロットバルブ70において円環状の領域として形成される。これによって、第1実施形態では、パイロットバルブシート75に対するパイロットバルブ70の周方向における位置にかかわらず、第2対向部72は、外側パイロット流路78と常に対向するようになっている。
【0053】
内側開口部73は、パイロットバルブ70の周方向に沿って長く延びて設けられる。また、内側開口部73は、複数設けられる。そして、隣り合う2つの内側開口部73の間には、内側腕部73Aが形成される。各々の内側腕部73Aは、少なくとも一部が周方向に沿って延びるように形成される。第1実施形態において、複数の内側腕部73Aは、全体として、螺旋状に形成されている。また、内側腕部73Aは、パイロットバルブ70において、第1対向部71よりも第2半径方向外側であって第2対向部72よりも第2半径方向内側に設けられる。すなわち、内側腕部73Aは、第2半径方向において、第1対向部71および第2対向部72の間に設けられる。
そして、図4(B)に示すように、第1実施形態のパイロットバルブ70において、複数の内側腕部73Aは、内側腕部73Aの中央部の幅B11が略等しくなっている。
【0054】
図4(A)に示すように、外側開口部74は、パイロットバルブ70の周方向に延びて設けられる。また、外側開口部74は、複数設けられるとともに、周方向において略等間隔に並べられている。さらに、第1実施形態のパイロットバルブ70では、第2半径方向において、異なる2つの外側開口部74が重なるように配置されている。
そして、図4(B)に示すように、外側開口部74は、第2対向部72よりも第2半径方向外側であって、外側環状部70Cよりも第2半径方向内側に形成される。
【0055】
また、隣り合う2つの外側開口部74の間には、外側腕部74Aが形成される。そして、各々の外側腕部74Aは、少なくとも一部が周方向に沿って延びるように形成される。また、第1実施形態において、複数の外側腕部74Aは、全体として、螺旋状に形成されている。そして、外側腕部74Aは、パイロットバルブ70において、第2対向部72の第2半径方向外側であって、外側環状部70Cよりも第2半径方向内側に設けられる。すなわち、外側腕部74Aは、第2半径方向において、第2対向部72および外側環状部70Cの間に設けられる。
そして、図4(B)に示すように、第1実施形態のパイロットバルブ70において、複数の外側腕部74Aは、外側腕部74Aの中央部の幅B12が略等しくなっている。
【0056】
そして、第1実施形態のパイロットバルブ70は、内側腕部73Aや外側腕部74Aが形成される箇所の剛性が低下し、内側腕部73Aや外側腕部74Aが形成される箇所が変形し易くなる。特に、第1実施形態では、例えば内側腕部73Aや外側腕部74Aは、それぞれ周方向に沿って延びるように形成され、変形可能な腕の長さが確保され、より変形し易くなっている。
【0057】
−流路部材80−
図3に示すように、流路部材80は、内側パイロット流路77および外側パイロット流路78に連絡する連絡室81と、連絡室81とメインバルブシート52の中央流路53とを連絡する中央連絡路82と、連絡室81と背圧室68Pとをつなぐ背圧連絡路83と、を有する。
【0058】
連絡室81は、第2軸内側にて中央連絡路82に連絡し、第2軸外側にて内側パイロット流路77および外側パイロット流路78にそれぞれ連絡する。
中央連絡路82は、第2軸内側にて中央流路53に連絡し、第2軸外側にて連絡室81に連絡する。また、中央連絡路82は、オイルの流れを絞るオリフィス流路84を有する。オリフィス流路84は、オイルの流路断面積が背圧連絡路83よりも小さく形成される。そして、オリフィス流路84は、背圧室68P内のオイルが中央流路53側に戻り難くしている。
背圧連絡路83は、第2半径方向内側にて連絡室81に連絡し、第2半径方向外側にて背圧室68Pに連絡する。
【0059】
(ケース60C)
図2に示すように、ケース60Cは、第2軸外側にてプランジャ64を第2軸方向に移動可能に支持する。また、ケース60Cは、ケース60C内においてオイルが流れるケース内流路60Pと、ケース60Cを貫通する貫通孔60Hとを有する。
ケース内流路60Pには、キャップ部67の開口部67Hから流れ出たオイル、およびメインバルブ51を開いてメイン流路54から流れ出たオイルが流入する。
貫通孔60Hは、ケース内流路60Pと後述のハウジング内流路111とを連絡する。
【0060】
(接続流路部90)
図2に示すように、接続流路部90は、第2半径方向内側に設けられる内側流路91と、第2半径方向外側に設けられる外側流路92とを有する。
【0061】
内側流路91は、第2軸内側にて外筒体開口部12Hに連絡し、第2軸外側にてメインバルブシート52の中央流路53に連絡する。
外側流路92は、複数設けられている。そして、外側流路92は、第2軸内側にてケース開口部13Hに連絡し、第2軸外側にて後述のハウジング内流路111に連絡する。
【0062】
(スペーサ95)
図3に示すように、スペーサ95は、第2半径方向内側に開口部95Hを有する円盤状の部材である。また、スペーサ95は、メインバルブシート52との間に設けられるシール部材95Sを有する。そして、図2に示すように、スペーサ95は、第2軸外側からメインバルブシート52が挿入され、第2軸内側にて接続流路部90と対向する。
【0063】
(外側ハウジング100C)
図2に示すように、外側ハウジング100Cは、略円筒形状の部材である。外側ハウジング100Cは、第2軸内側にて、例えば溶接等によってダンパケース13に固定される。
また、外側ハウジング100Cは、ケース60Cの第2半径方向外側に、外側ハウジング100C内におけるオイルの流路であるハウジング内流路111を形成する。
【0064】
[油圧緩衝装置1の動作]
図6は、第1実施形態の油圧緩衝装置1の動作説明図である。
なお、図6(A)は伸張行程時におけるオイルの流れを示し、図6(B)は圧縮行程時におけるオイルの流れを示す。
【0065】
まず、油圧緩衝装置1の伸張行程時における動作を説明する。
図6(A)に示すように、伸張行程時において、ロッド20は、シリンダ11に対して他方側に移動する。このとき、ピストンバルブ32は、ピストン油路口311を塞いだままである。また、ピストン部30の他方側への移動によって、第2油室Y2の容積は、減少する。そして、第2油室Y2のオイルは、シリンダ開口11Hから連絡路Lに流れ出る。
【0066】
さらに、オイルは、連絡路Lおよび外筒体開口部12Hを通って、外側減衰部100に流れ込む。そして、外側減衰部100において、オイルは、先ず、接続流路部90の内側流路91に流れ込む。その後、外側減衰部100において、メインバルブ51またはパイロットバルブ70において減衰力が発生する。なお、このときのオイルの流れについては、後に詳しく説明する。
【0067】
その後、メインバルブ51またはパイロットバルブ70に流れたオイルは、ハウジング内流路111に流れ出る。さらに、オイルは、接続流路部90の外側流路92を通ってケース開口部13Hからリザーバ室Rに流れ込む。
【0068】
また、第1油室Y1の圧力は、リザーバ室Rに対して相対的に低くなる。そのため、リザーバ室Rのオイルは、ボトム部40を通って、第1油室Y1に流れ込む。
【0069】
次に、油圧緩衝装置1の圧縮行程時における動作を説明する。
図6(B)に示すように、圧縮行程時において、ロッド20は、シリンダ11に対して一方側に相対移動する。ピストン部30においては、第1油室Y1と第2油室Y2との差圧によって、ピストン油路口311を塞ぐピストンバルブ32が開く。そして、第1油室Y1のオイルは、ピストン油路口311を通って第2油室Y2に流れ出る。ここで、第2油室Y2には、ロッド20が配置されている。そのため、第1油室Y1から第2油室Y2に流れ込むオイルは、ロッド20の体積分だけ過剰になる。従って、このロッド20の体積分に相当する量のオイルが、シリンダ開口11Hから連絡路Lに流出する。
【0070】
さらに、オイルは、連絡路L、外筒体開口部12Hを通って、外側減衰部100に流れ込む。なお、外側減衰部100におけるオイルの流れは、上述した伸張行程時におけるオイルの流れと同様である。すなわち、第1実施形態の油圧緩衝装置1では、圧縮行程時および伸張行程時との両方において、外側減衰部100においてオイルが流れる方向は同じになる。
【0071】
以上のとおり、第1実施形態の油圧緩衝装置1では、圧縮行程時および伸張行程時の両行程において外側減衰部100にて減衰力を発生させる。
【0072】
次に、第1実施形態の外側減衰部100におけるオイルの流れについて詳細に説明する。
図7は、第1実施形態の外側減衰部100におけるオイルの流れの説明図である。
なお、図7(A)は、ピストン部30の移動速度が比較的低い低速時のオイルの流れを示し、図7(B)は、ピストン部30の移動速度が比較的高い高速時のオイルの流れを示す。
【0073】
(低速時)
図7(A)に示すように、ピストン部30(図1参照)の移動速度が低速である場合、内側流路91に流れたオイルは、中央流路53に流れ込む。
また、中央流路53に流れ込んだオイルは、中央連絡路82から連絡室81に流れ込む。連絡室81のオイルは、背圧連絡路83を流れて背圧室68Pに流れ込む。
【0074】
ここで、後述するように、連絡室81のオイルは、外側パイロット流路78を通ってパイロットバルブ70を開きながら流出する。ただし、外側パイロット流路78を流れるオイルの流量は、比較的小さい。また、内側パイロット流路77は、外側パイロット流路78よりも突出高さが高い。従って、外側パイロット流路78に流れたオイルがパイロットバルブ70を開きながら流れても、パイロットバルブ70は、内側パイロット流路77を閉じたままの状態にしている。そのため、連絡室81につながる背圧室68Pのオイルの圧力は、比較的高まった状態になっている。そして、背圧室68Pのオイルの圧力が高いことで、メインバルブ51は、メインバルブシート52に向けて押し付けられる。
以上より、ピストン部30の移動速度が低速である場合には、メイン流路54においてメインバルブ51を開くオイルの流れは生じない。
【0075】
そして、連絡室81のオイルは、複数の外側パイロット流路78にそれぞれ流れる。そして、外側パイロット流路78に流れたオイルは、パイロットバルブ70をパイロットバルブシート75から離れる方向に変形させながら、外側ラウンド78Rとパイロットバルブ70との隙間を流れる。このように、第1実施形態の減衰力調整部60において、複数の外側パイロット流路78は、低速時におけるオイルの流路として機能する。
【0076】
そして、パイロットバルブ70は、受圧面積が大きい箇所ほど変形し易い。従って、各々の外側パイロット流路78を流れるオイルは、第1外側パイロット流路781、第2外側パイロット流路782、第3外側パイロット流路783(図4(A)および図4(B)参照)の順に時間差を有してパイロットバルブ70を開きながら流れ出る。
【0077】
そして、外側パイロット流路78から流れ出たオイルは、開口部67H、キャップ流路67R、ケース内流路60P、貫通孔60H、ハウジング内流路111および外側流路92の順に流れ、リザーバ室Rに流れ出る。
ピストン部30の移動速度が低速であって連絡室81を流れるオイルの流量が小さい場合、減衰力は、外側パイロット流路78の外側ラウンド78Rとパイロットバルブ70との隙間によってオイルの流量が絞られることによる差圧によって発生する。そして、第1実施形態では、複数の外側パイロット流路78が時間差を有してパイロットバルブ70を開きながらオイルを流す。これによって、第1実施形態の外側減衰部100では、オイルの流量に応じた、パイロットバルブ70による外側パイロット流路78の開口面積の変化量が小さくなる。
【0078】
(高速時)
図7(B)に示すように、ピストン部30(図1参照)の移動速度が高速である場合、内側流路91に流れたオイルは、中央流路53に流れ込む。
中央流路53に流れ込んだオイルは、中央連絡路82から連絡室81に流れ込む。連絡室81のオイルは、背圧連絡路83を流れて背圧室68Pに流れ込む。ここで、ピストン部30の移動速度が比較的高速である場合、連絡室81を流れるオイルの流量は、比較的大きい。そして、連絡室81に流れたオイルは、パイロットバルブ70を開き、外側パイロット流路78に加えて内側パイロット流路77からも流出する。これによって、背圧室68Pのオイル圧は、パイロットバルブ70が内側パイロット流路77を閉じている状態と比較して低下する。
そして、メイン流路54に流れ込んだオイルは、メインバルブ51を開き、メインバルブシート52のラウンド部56(図3参照)との間を流れ出る。オイルは、ラウンド部56とメインバルブ51との隙間によって流量を絞られることによって差圧を発生させる。さらに、オイルは、ケース内流路60P、貫通孔60H、ハウジング内流路111および外側流路92で流れ、リザーバ室Rに流れ出る。
【0079】
なお、移動速度が高速である場合も、中央流路53に流れ込んだオイルは、低速時と同様に、外側パイロット流路78の外側ラウンド78Rとパイロットバルブ70との隙間によって流量を絞られることによって差圧を発生させながら、リザーバ室Rに流れ出る。
【0080】
以上のように、ピストン部30の移動速度が高速である場合、減衰力は、主に、メインバルブシート52のメイン流路54におけるオイルの流れにより発生する。
【0081】
[減衰力調整部60の調整動作]
次に、減衰力調整部60における調整動作について説明する。
図2に示すように、押付部材65を第2軸内側に向けて押し込むことにより、パイロットバルブ70は、パイロットバルブシート75に押し付けられる。そして、押付部材65の押付力は、ソレノイド部62(図2参照)に流す電流量に応じて変化する。従って、減衰力調整部60は、ソレノイド部62に対する電流量に応じて押付部材65の押付力を調整可能な範囲で任意に設定することができる。
【0082】
第1実施形態の油圧緩衝装置1では、押付部材65を操作することで、減衰力の調整を行う。すなわち、第1実施形態の油圧緩衝装置1は、押付部材65によってパイロットバルブシート75に対するパイロットバルブ70の押付力を変更することで、内側パイロット流路77の流路面積および外側パイロット流路78に対するパイロットバルブ70の開度を調整する。そして、第1実施形態の油圧緩衝装置1では、単一のパイロットバルブ70によって内側パイロット流路77におけるオイルの流れと外側パイロット流路78におけるオイルの流れとを同時に制御することができる。
【0083】
ここで、従来の一般的なバルブは、流路に対する開度が小さい状態ほど流量に対する開口面積の変化量が大きく、流路に対する開度が大きい状態ほど流量に対する開口面積の変化量が小さくなる。そのため、ソレノイド部62の電流量に応じて定まる押付部材65によるバルブに対する推力の調整が困難であった。
これに対して、第1実施形態の減衰力調整部60では、オイルの流量に応じた、パイロットバルブ70による外側パイロット流路78の開口面積の変化量が小さくなる。そして、第1実施形態の減衰力調整部60では、押付部材65がパイロットバルブ70に付与する推力とパイロットバルブ70による外側パイロット流路78の開口面積との関係を非線形にした。
【0084】
このように、第1実施形態の減衰力調整部60では、複数の外側パイロット流路78を備えることで、パイロットバルブ70による複数の外側パイロット流路78の制御動作を、外側パイロット流路78ごとに異ならせることを可能にしている。
そして、第1実施形態の減衰力調整部60では、特にパイロットバルブ70の開度が小さい状態における、パイロットバルブ70による外側パイロット流路78のオイルの流れの制御をより細かく制御できるようにしている。
【0085】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態が適用される油圧緩衝装置1について説明する。
図8は、第2実施形態が適用される減衰力調整部60の説明図である。
なお、第2実施形態における説明において、他の実施形態と同様な構成について同一の符号を付すことでその詳細な説明を省略する。
【0086】
ここで、第2実施形態の減衰力調整部60において、パイロットバルブシート75(図4参照)は、複数の外側パイロット流路78の流路口の流路断面積が等しくなっている。そして、第2実施形態が適用される減衰力調整部60は、パイロットバルブ270の構造が、第1実施形態のパイロットバルブ70とは異なる。
【0087】
図8に示すように、第2実施形態のパイロットバルブ270は、複数の外側腕部74Aの形状がそれぞれ異なっている。具体的には、パイロットバルブ270は、第1外側腕部74A1と、第2外側腕部74A2と、第3外側腕部74A3と、第4外側腕部74A4と、第5外側腕部74A5と、を有する。そして、パイロットバルブ270は、第1外側腕部74A1の幅B31、第2外側腕部74A2の幅B32、第3外側腕部74A3の幅B33、第4外側腕部74A4の幅B34、第5外側腕部74A5の幅B35の順に大きく形成されている。
【0088】
そして、パイロットバルブ270は、第1外側腕部74A1、第2外側腕部74A2、第3外側腕部74A3、第4外側腕部74A4および第5外側腕部74A5の剛性が異なることで、各々の外側腕部74Aのばね係数が異なる。つまり、パイロットバルブ270は、周方向においてばね係数が異なっている。
【0089】
以上のように構成される第2実施形態のパイロットバルブ270は、外側パイロット流路78を流れるオイルによる第2対向部72の変形し易さが、各々の外側腕部74Aが接続する領域に応じて異なる。すなわち、パイロットバルブ270の第2対向部72は、幅が比較的小さい外側腕部74Aが接続する領域が変形し易く、幅が比較的大きい外側腕部74Aが接続する領域が変形し難くなっている。
従って、各々の外側パイロット流路78を流れるオイルは、幅が小さい外側腕部74Aが接続する領域の第2対向部72と対向する外側パイロット流路78から先に流れ出て、その後、幅が大きい外側腕部74Aが接続する領域の第2対向部72と対向する外側パイロット流路78の順に流れ出る。
【0090】
以上のように、第2実施形態の減衰力調整部60は、複数の外側パイロット流路78が時間差を有してパイロットバルブ270を開きながらオイルを流す。そして、第2実施形態の減衰力調整部60では、オイルの流量に応じた、パイロットバルブ270による外側パイロット流路78の開口面積の変化量が小さくなる。これによって、第2実施形態の減衰力調整部60では、特にパイロットバルブ270の開度が小さい状態における、パイロットバルブ270による外側パイロット流路78のオイルの流れの制御が容易になる。
【0091】
なお、第2実施形態の減衰力調整部60は、外側腕部74Aの厚みを複数の外側腕部74Aごとに異ならせても良い。また、第2実施形態では、外側腕部74Aの長さを複数の外側腕部74Aごとに異ならせても良い。また、外側腕部74Aと同様に、複数の内側腕部73Aは、幅、厚み、および長さを、内側腕部73Aごとに異ならせても良い。
【0092】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態が適用される油圧緩衝装置1について説明する。
図9は、第3実施形態が適用される減衰力調整部60の説明図である。
なお、図9(A)は、パイロットバルブシート375の斜視図であり、図9(B)は、パイロットバルブシート375の断面図である。
なお、第3実施形態における説明において、他の実施形態と同様な構成について同一の符号を付すことでその詳細な説明を省略する。
【0093】
ここで、第3実施形態の減衰力調整部60は、複数の外側パイロット流路78は、流路口の流路断面積が等しくなっている。そして、第3実施形態が適用される減衰力調整部60は、パイロットバルブシート375の構造が、第1実施形態のパイロットバルブシート75とは異なる。
【0094】
図9(A)に示すように、パイロットバルブシート375は、外側シート部76と、内側パイロット流路77と、外側パイロット流路78と、第2軸外側に向けて突出する突出部79とを有している。
そして、突出部79は、複数の外側パイロット流路78のうち、何れかの一の外側パイロット流路78の最も近くに配置される。第3実施形態において、突出部79は、第1外側パイロット流路781との距離L1が、第2外側パイロット流路782との距離L2および第3外側パイロット流路783との距離L3よりも短くなっている。また、突出部79は、第2外側パイロット流路782との距離L2が、第3外側パイロット流路783との距離L3よりも短くなっている。
【0095】
また、図9(B)に示すように、突出部79は、パイロットバルブシート375における底面部750からの突出高さが外側パイロット流路78の外側ラウンド78Rと等しいか、外側ラウンド78Rよりも若干低く形成される。
【0096】
以上のように構成される第3実施形態のパイロットバルブ70は、外側パイロット流路78を流れるオイルによる第2対向部72の変形し易さが、外側パイロット流路78と突出部79との距離に応じて異なる。例えば、パイロットバルブ70は、外側パイロット流路78と突出部79との距離が近い領域における第2対向部72の剛性が比較的高くなり、変形し難い。一方、パイロットバルブ70は、外側パイロット流路78と突出部79との距離が遠い領域における第2対向部72の剛性が比較的低くなり、変形し易い。
【0097】
従って、各々の外側パイロット流路78を流れるオイルは、突出部79との距離が遠い外側パイロット流路78が先にパイロットバルブ70を開いて流れ出し、その後、突出部79との距離が近い外側パイロット流路78がパイロットバルブ70を開いて流れ出す。
【0098】
以上のように、第3実施形態の減衰力調整部60では、複数の外側パイロット流路78が時間差を有してパイロットバルブ70を開きながらオイルを流す。そして、第3実施形態の減衰力調整部60では、オイルの流量に応じた、パイロットバルブ70による外側パイロット流路78の開口面積の変化量が小さくなる。これによって、第3実施形態の減衰力調整部60では、特にパイロットバルブ70の開度が小さい状態における、パイロットバルブ70による外側パイロット流路78のオイルの流れの制御が容易になる。
【0099】
なお、第3実施形態において、単数の突出部79をパイロットバルブシート375に設けた例を示しているが、突出部79は、複数設けられていても良い。
【0100】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態が適用される油圧緩衝装置1について説明する。
図10は、第4実施形態の減衰力調整部60の説明図である。
なお、第4実施形態における説明において、他の実施形態と同様な構成について同一の符号を付すことでその詳細な説明を省略する。
【0101】
図10に示すように、第4実施形態の減衰力調整部60において、パイロットバルブシート75は、複数の外側パイロット流路78の流路口の流路断面積が等しくなっている。そして、第4実施形態の減衰力調整部60は、パイロットバルブ70と、第1ばね70Aと、第2ばね70Bとを備える。
【0102】
第1ばね70Aは、円環状に形成された弾性部材である。そして、第1ばね70Aは、パイロットバルブ70の第2軸内側にて、パイロットバルブ70と重ねて設けられる。
【0103】
第2ばね70Bは、円環状に形成された弾性部材であって、第2半径方向内側に向けてそれぞれ突出する第1腕部701、第2腕部702および第3腕部703を有する。そして、第1腕部701、第2腕部702および第3腕部703は、それぞれ周方向における幅が異なっている。具体的には、第1腕部701の幅W1、第2腕部702の幅W2、第3腕部703の幅W3の順に広くなっている。
そして、第2ばね70Bは、第1ばね70Aの第2軸内側にて、第1ばね70Aに重ねて設けられる。なお、第1腕部701、第2腕部702および第3腕部703は、それぞれ、内側パイロット流路77および外側パイロット流路78と第2軸方向において重ならない位置に設けられる。
【0104】
以上のように構成される第4実施形態のパイロットバルブ70は、外側パイロット流路78を流れるオイルによる第2対向部72の変形し易さが、第2ばね70Bの各腕部との位置関係に応じて異なっている。すなわち、パイロットバルブ70の第2対向部72は、幅が比較的小さい腕部に近い領域が変形し易く、幅が比較的大きい腕部に近い領域が変形し難くなっている。
従って、各々の外側パイロット流路78を流れるオイルは、幅が小さい腕部に近い領域の第2対向部72と対向する外側パイロット流路78から先に流れ出て、その後、幅が大きい腕部に近い第2対向部72と対向する外側パイロット流路78の順に流れ出る。
【0105】
以上のように、第4実施形態の減衰力調整部60では、複数の外側パイロット流路78が時間差を有してパイロットバルブ70を開きながらオイルを流す。そして、第4実施形態の減衰力調整部60では、オイルの流量に応じた、パイロットバルブ70による外側パイロット流路78の開口面積の変化量が小さくなる。これによって、第4実施形態の減衰力調整部60では、特にパイロットバルブ70の開度が小さい状態における、パイロットバルブ70による外側パイロット流路78のオイルの流れの制御が容易になる。
【0106】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態が適用される油圧緩衝装置1について説明する。
図11は、第5実施形態の減衰力調整部60の説明図である。
なお、第5実施形態における説明において、他の実施形態と同様な構成について同一の符号を付すことでその詳細な説明を省略する。
【0107】
第5実施形態の減衰力調整部60は、パイロットバルブシート575の構成が、第1実施形態のパイロットバルブシート75とは異なる。
【0108】
第5実施形態の減衰力調整部60において、パイロットバルブシート575は、複数の外側パイロット流路78の流路口の流路断面積が略等しくなっている。
そして、図11に示すように、パイロットバルブシート575は、複数の外側パイロット流路78の外側ラウンド78Rの突出高さがそれぞれ異なっている。例えば、パイロットバルブシート575は、底面部750を基準とした場合に、第1外側ラウンド781Rの突出高さh3、第2外側ラウンド782Rの突出高さh4、第3外側ラウンド783Rの突出高さh5(不図示)の順に低くなっている。
【0109】
以上のように構成される第5実施形態のパイロットバルブ70は、各々の外側パイロット流路78におけるオイルの流れ易さが、外側ラウンド78Rの高さに応じて異なっている。第5実施形態の減衰力調整部60では、外側ラウンド78Rの突出高さが低い外側パイロット流路78ほどパイロットバルブ70の押付力(プリロード)が低くなり、外側パイロット流路78におけるオイルが流れ易くなる。一方、第5実施形態の減衰力調整部60では、外側ラウンド78Rの突出高さが高い外側パイロット流路78ほどパイロットバルブ70の押付力が高くなり、外側パイロット流路78におけるオイルが流れ難くなる。
従って、第5実施形態の減衰力調整部60では、第3外側パイロット流路783、第2外側パイロット流路782、第1外側パイロット流路781の順に、パイロットバルブ70を開くオイルの流れが生じる。
【0110】
以上のように、第5実施形態の減衰力調整部60では、複数の外側パイロット流路78が時間差を有してパイロットバルブ70を開きながらオイルを流す。そして、第5実施形態の減衰力調整部60では、オイルの流量に応じた、パイロットバルブ70による外側パイロット流路78の開口面積の変化量が小さくなる。これによって、第5実施形態の減衰力調整部60では、特にパイロットバルブ70の開度が小さい状態における、パイロットバルブ70による外側パイロット流路78のオイルの流れの制御が容易になる。
【0111】
<第6実施形態>
次に、第6実施形態が適用される油圧緩衝装置1について説明する。
図12は、第6実施形態の減衰力調整部60の説明図である。
なお、第6実施形態における説明において、他の実施形態と同様な構成について同一の符号を付すことでその詳細な説明を省略する。
【0112】
第6実施形態の減衰力調整部60は、パイロットバルブシート675の構成が、第1実施形態のパイロットバルブシート75とは異なる。
【0113】
第6実施形態の減衰力調整部60において、パイロットバルブシート675は、複数の外側パイロット流路78の流路口の流路断面積が等しくなっている。
そして、図12に示すように、第6実施形態の外側パイロット流路78は、外側ラウンド78Rが底面部750に対して傾斜している。そして、外側ラウンド78R(ラウンド部の一例)は、パイロットバルブ70の板面に対して角度θ1を有している。
【0114】
そして、第6実施形態の減衰力調整部60では、パイロットバルブ70が外側パイロット流路78を開く際に、例えば外側ラウンド78Rが傾斜していない場合と比較して、外側パイロット流路78を徐々に開く。これによって、第6実施形態の減衰力調整部60では、パイロットバルブ70による外側パイロット流路78における、流量に応じた開口面積の変化量が小さくなる。
【0115】
なお、上述した各実施形態においては、押付部材65によって、板状のパイロットバルブ70を内側パイロット流路77や外側パイロット流路78にそれぞれ押し付ける構成を用いているが、この例に限定されない。例えば、押付部材65(変形部の一例)は、オイルの流れに応じて変形する部材によって構成する。そして、押付部材65は、パイロットバルブ70に代わって、複数の外側ラウンド78Rに対して直接的にオイルの流れを制御するようにしても良い。
【0116】
この場合、押付部材65は、オイルの流れに応じて変形することで、複数の外側パイロット流路78を開弁するタイミングを異ならせる。その結果、複数の外側パイロット流路78は、それぞれ時間差を有してパイロットバルブ70を開きながらオイルを流す。そして、この場合でも、減衰力調整部60では、オイルの流量に応じた、パイロットバルブ70による外側パイロット流路78の開口面積の変化量が小さくなる。
【0117】
また、上述したパイロットバルブ70およびパイロットバルブシート75に代えて、背圧室68Pに接続する接続流路に、複数の開口部を有する流路を連絡させる。そして、接続流路にオイルが流れた際に、複数の開口部が時間差を有してオイルを流すように、複数の開口部を開閉するシャッタ部材を設ける。このようにして、減衰力調整部60において、オイルの流量に応じて、開口面積の変化量が小さくなるようにしても良い。
【0118】
なお、上述した第1実施形態〜第6実施形態において、一の実施形態にて説明した構成の全部または一部は、他の実施形態に応用したり、組み合わせたりしても良い。
【符号の説明】
【0119】
1…油圧緩衝装置、11…シリンダ、20…ロッド、30…ピストン部、50…メインバルブ部、51…メインバルブ、52…メインバルブシート、54…メイン流路、60…減衰力調整部、65…押付部材、67…キャップ部、68…背圧生成機構、68P…背圧室、70…パイロットバルブ、75…パイロットバルブシート、77…内側パイロット流路、78…外側パイロット流路、100…外側減衰部
【要約】
減衰力発生機構は、流体が流れる流路を形成する第1流路形成部と、流路における流体の流れを制御する第1バルブと、第1バルブに背圧を付与する背圧室を形成する背圧室形成部と、背圧室に接続する接続流路を複数有する第2流路形成部と、第2流路形成部に対向して設けられ、複数の接続流路における流体の流れを制御する第2バルブと、を備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
図12