特許第6799772号(P6799772)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799772
(24)【登録日】2020年11月26日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】フロントバンパカバー支持構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/24 20060101AFI20201207BHJP
【FI】
   B60R19/24 M
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-47081(P2017-47081)
(22)【出願日】2017年3月13日
(65)【公開番号】特開2018-149904(P2018-149904A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2019年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 妙子
(72)【発明者】
【氏名】内村 耕二
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5195657(JP,B2)
【文献】 特開2015−157606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/00−19/56
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前端部で車幅方向に沿って延びかつその車幅方向の中央部の後側にバンパカバーステイを有するフロントバンパカバーと、
前記フロントバンパカバーの中央部の後方において前記車両の車体構成部材に設けられたセンターブレースと、
車両平面視で車両前後方向に延びる略直線状に形成され、後端部にブレース取り付け部を有し、前端部にステイ取り付け部を有するセンターブレースブラケットと、
を備えており、
前記センターブレースに前記ブレース取り付け部が取り付けられると共に、前記ステイ取り付け部に前記バンパカバーステイが取り付けられる、フロントバンパカバー支持構造であって、
前記バンパカバーステイから前記センターブレースブラケットに入力される衝突荷重の入力点と、前記センターブレースに対する前記センターブレースブラケットの支持点とは、車両平面視で車幅方向にオフセットして配置されており、
前記バンパカバーステイには、車両前後方向の剛性を強化する剛性強化部が設けられており、
前記剛性強化部は、前記バンパカバーステイに形成されたビードであり、
前記センターブレースブラケットは、車幅方向一方へ折れ曲がる曲げ変形の起点となる脆弱部を有しており、
前記ビードは、車両前後方向に延在しており、
前記バンパカバーステイは、前記ビードの後端部近傍で前記センターブレースブラケットの前記ステイ取り付け部に取り付けられている、フロントバンパカバー支持構造。
【請求項2】
請求項に記載のフロントバンパカバー支持構造であって、
前記バンパカバーステイの車両前後方向の中央部に、車幅方向に延びる段差部が形成されており、
前記ビードは、前記段差部と交差している、フロントバンパカバー支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントバンパカバー支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両のフロントバンパカバーを支持するフロントバンパカバー支持構造としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1のものでは、車体構成部材に設けられたセンターブレースにセンターブレースブラケットが取り付けられており、そのブラケットにフロントバンパカバーのバンパカバーステイが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5195657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来構造では、バンパカバーステイの剛性、特に車両前後方向の剛性が低いため、歩行者の大腿部に対する車両の前面衝突によって、バンパカバーステイが容易に変形する。これにより、バンパカバーステイ以外の部位(例えば、バンパカバーの下縁部)がセンターブレースブラケットにぶつかることで、センターブレースブラケットの衝突荷重の入力点が変化してしまい、衝突時のエネルギーを効率良く吸収することができない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、歩行者に対する車両の前面衝突時におけるバンパカバーステイの変形を抑制し、衝突時のエネルギーを効率良く吸収することのできるフロントバンパカバー支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明のフロントバンパカバー支持構造により解決することができる。第1の発明は、車両の前端部で車幅方向に沿って延びかつその車幅方向の中央部の後側にバンパカバーステイを有するフロントバンパカバーと、前記フロントバンパカバーの中央部の後方において前記車両の車体構成部材に設けられたセンターブレースと、車両平面視で車両前後方向に延びる略直線状に形成され、後端部にブレース取り付け部を有し、前端部にステイ取り付け部を有するセンターブレースブラケットと、を備えており、前記センターブレースに前記ブレース取り付け部が取り付けられると共に、前記ステイ取り付け部に前記バンパカバーステイが取り付けられる、フロントバンパカバー支持構造であって、前記バンパカバーステイから前記センターブレースブラケットに入力される衝突荷重の入力点と、前記センターブレースに対する前記センターブレースブラケットの支持点とは、車両平面視で車幅方向にオフセットして配置されており、前記バンパカバーステイには、車両前後方向の剛性を強化する剛性強化部が設けられている、フロントバンパカバー支持構造である。
【0007】
第1の発明によると、センターブレースブラケットの衝突荷重の入力点とセンターブレースに対する支持点とが、車両平面視で車幅方向にオフセットして配置されている。したがって、歩行者に対する車両の前面衝突時に、所定値以上の衝突荷重がセンターブレースブラケットの入力点に入力されると、センターブレースブラケットに車幅方向一方へ向けて折れ曲がる方向のモーメントが作用することで、センターブレースブラケットの所定の折れ曲がりを実現することができる。また、バンパカバーステイの剛性強化部により車両前後方向の剛性が強化されるため、歩行者に対する車両の前面衝突時におけるバンパカバーステイの変形を抑制することができる。これにより、センターブレースブラケットの衝突荷重の入力点の変化を抑制することができ、センターブレースブラケットの所定の折れ曲がりを実現することができる。よって、衝突時のエネルギーを効率良く吸収することができる。ひいては、歩行者の保護性能を向上することができる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記剛性強化部は、前記バンパカバーステイに形成されたビードである、フロントバンパカバー支持構造である。
【0009】
第2の発明によると、バンパカバーステイに形成されたビードによって、バンパカバーステイの車両前後方向の剛性を強化することができる。また、ビードは、バンパカバーステイに別部品を付加することなく、容易に形成することができる。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、前記バンパカバーステイの車両前後方向の中央部に、車幅方向に延びる段差部が形成されており、前記ビードは、前記段差部と交差している、フロントバンパカバー支持構造である。
【0011】
第3の発明によると、ビードがバンパカバーステイの車幅方向に延在する段差部と交差していることにより、段差部が形成されたバンパカバーステイの車両前後方向の剛性を強化することができる。
【0012】
第4の発明は、第1〜3のいずれか1つの発明において、前記センターブレースブラケットは、車幅方向一方へ折れ曲がる曲げ変形の起点となる脆弱部を有する、フロントバンパカバー支持構造である。
【0013】
第4の発明によると、センターブレースブラケットが脆弱部を起点として車幅方向の一方へ向けて確実に折れ曲がることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のフロントバンパカバー支持構造によれば、歩行者に対する車両の前面衝突時におけるバンパカバーステイの変形を抑制し、衝突時のエネルギーを効率良く吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態にかかる車両の前部を示す斜視図である。
図2】ラジエータサポートを示す斜視図である。
図3】フロントバンパカバー支持構造を示す平面図である。
図4図3のIV−IV線矢視断面図である。
図5図3のV−V矢視断面図である。
図6図5のVI−VI線矢視断面図である。
図7】センターブレースブラケットを示す斜視図である。
図8】バンパカバーステイを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための一実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態に係るフロントバンパカバー支持構造の説明に先立って、自動車すなわち車両の前部の概要から説明する。図面において、矢印FRは車両前方を示しており、矢印UPは車両上方を示しており、矢印LHは車両左方を示し、矢印RHは車両左方を示している。図1は車両の前部を示す斜視図である。なお、本実施形態における前後方向は車両前後方向(車長方向)に相当し、左右方向は車幅方向に相当し、上下方向は車両上下方向(車高方向)に相当する。
【0017】
図1に示すように、車両10の前端部には、フロントバンパ12が設けられている。フロントバンパ12は、意匠面を構成する樹脂製のフロントバンパカバー14を備えている。フロントバンパカバー14は、バンパカバー本体15を主体として構成されている。バンパカバー本体15は、左右方向に沿って延びている。バンパカバー本体15は、後方に開口する断面略コ字形状に形成されている。バンパカバー本体15の中空部内には、図示しないフロントバンパリインフォースメント及びフロントバンパアブソーバが収容されている。なお、フロントバンパカバー14とフロントバンパリインフォースメントとフロントバンパアブソーバとにより、フロントバンパ12が構成されている。
【0018】
車両10の前部には、エンジンルーム17の上面開口部を開閉可能に覆うフード19が設けられている。車両10の前端部において、フロントバンパカバー14のバンパカバー本体15とフード19との左右方向の中央部の相互間には、ラジエータグリル21が配置されている。バンパカバー本体15とフード19との左右両端部の相互間には、左右一対の両ヘッドランプ23が配置されている。エンジンルーム17内の前部には、ラジエータサポート25が設けられている。図2はラジエータサポートを示す斜視図である。
【0019】
図2に示すように、ラジエータサポート25は、略矩形枠状に形成されている。ラジエータサポート25は、ラジエータサポートアッパ26と、ラジエータサポートロア27と、左右一対の両ラジエータサポートサイド28と、を備えて構成されている。ラジエータサポートアッパ26とラジエータサポートロア27とは、左右方向に沿って延びており、上下に平行状をなすように配置されている。両ラジエータサポートサイド28は、ラジエータサポートアッパ26とラジエータサポートロア27との間に所定間隔を隔てて架設されている。なお、ラジエータサポート25は本明細書でいう「車体構成部材」に相当する。
【0020】
ラジエータサポート25内には、冷却系部品30が設けられている。冷却系部品30は、ラジエータサポートアッパ26及びラジエータサポートロア27に取り付けられている。冷却系部品30は、ラジエータ31と、ラジエータ31の前方に並設されたコンデンサ32とを備えている。
【0021】
ラジエータサポート25の左右方向の中央部の前側には、縦方向に延在するセンターブレース34が設けられている。センターブレース34は、ラジエータサポートアッパ26とラジエータサポートロア27とに架設されている。センターブレース34は、右方に開口する断面チャンネル状の金属製長尺材からなる。センターブレース34は、前壁部34a及び後壁部34bと、両壁部34a,34bを接続する側壁部34cと、を有している。後壁部34bの上端部は、ラジエータサポートアッパ26の前面側に固定されている。後壁部34bの下端部は、ラジエータサポートロア27の前面側に固定されている。
【0022】
次に、フロントバンパカバー14を支持するフロントバンパカバー支持構造36について説明する。図3はフロントバンパカバー支持構造を示す平面図、図4図3のIV−IV線矢視断面図、図5図3のV−V矢視断面図、図6図5のVI−VI線矢視断面図、図7はセンターブレースブラケットを示す斜視図、図8はバンパカバーステイを示す斜視図である。図3及び図4に示すように、センターブレース34の上下方向の中央部には、金属製のセンターブレースブラケット38が設けられている。
【0023】
図7に示すように、センターブレースブラケット38は、縦壁状のブラケット本体部39と、ブラケット本体部39の上端縁から右方へ水平状に折り曲げられたフランジ部40とを有する断面逆L字状に形成されている。ブラケット本体部39は、平面視で前後方向に延びる略直線状に形成されている。ブラケット本体部39の後端部には、ブレース取り付け部42が形成されている。ブラケット本体部39は、ブレース取り付け部42から前方に向かって上下方向の寸法を次第に小さくするように形成されている。
【0024】
フランジ部40の前端部には、左方へ水平状に張り出すステイ取り付け部44が形成されている。ステイ取り付け部44の中央部には、板厚方向(上下方向)に貫通するボルト挿通孔45が形成されている。ステイ取り付け部を除くフランジ部40の左右方向の寸法は、前後方向に一定で形成されている。
【0025】
ブラケット本体部39の前後方向の中央部には、折り曲げ加工によって左方へ凹む凹溝部47が形成されている。凹溝部47は、上下方向に延びている。凹溝部47は、溝底側(左側)の溝幅(前後方向の寸法)よりも開口側(右側)の溝幅を大きくする略台形形状に形成されている(図3参照)。凹溝部47の形成によって、ブラケット本体部39の前後方向の中央部に弱体化された脆弱部48が形成されている。ブラケット本体部39の前端側の下端部には、切り欠き凹部49が形成されている(図4参照)。
【0026】
図3に示すように、ブレース取り付け部42は、センターブレース34の側壁部34cの上下方向の中央部の右側に面接触状に重ね合わせられており、その側壁部34cにスポット溶接等の溶接によって取り付けられている。その取り付け部分が、センターブレース34に対するセンターブレースブラケット38の支持点P1となっている。
【0027】
図8に示すように、フロントバンパカバー14のバンパカバー本体15の左右方向の中央部の後側には、機器収容部50が形成されている。機器収容部50は、後端面を開口する横長四角形筒状に形成されている。機器収容部50は、水平状に形成された上壁部50aを有している、機器収容部50内に収容される車載機器としては、例えば、カメラ、レーダー等の前方監視装置が相当する。
【0028】
フロントバンパカバー14には、機器収容部50の上壁部50aを含むバンパカバーステイ52が形成されている。上壁部50aにおける後端部の左右方向の中央部には、後方斜め下方へ突出する段差部53が形成されている。段差部53の後端部には、後方へ突出する水平板状のブラケット取り付け部55が形成されている。段差部53とブラケット取り付け部55は、平面視で四角形状に形成されている(図3参照)。なお、バンパカバー本体15と機器収容部50とバンパカバーステイ52とにより、フロントバンパカバー14が構成されている。
【0029】
ブラケット取り付け部55の中央部には、板厚方向(上下方向)に貫通するボルト挿通孔56が形成されている。なお、段差部53とブラケット取り付け部55の左右両側縁には、下方へ突出するフランジ部57が形成されている。フランジ部57は、機器収容部50の上壁部50aの後端縁から下方へ突出するフランジ部51と連続状をなしている。
【0030】
バンパカバーステイ52には、前後方向に延在する左右2本の両ビード58が左右対称状に形成されている。両ビード58は、両ビード58は、上壁部50aの後部から段差部53を通ってブラケット取り付け部55の前部に延びている。両ビード58は、段差部53と直交状に交差している。両ビード58は、上方に突出する断面逆U字状に形成されている(図5参照)。両ビード58の前後の両端面は、閉鎖されている(図6参照)。なお、ビード58は本明細書でいう「剛性強化部」に相当する。
【0031】
図4に示すように、バンパカバーステイ52のブラケット取り付け部55が、センターブレースブラケット38のステイ取り付け部44の上面に面接触状に重ね合わせられる。このとき、ステイ取り付け部44のボルト挿通孔45に、ブラケット取り付け部55のボルト挿通孔56が整合される。この状態で、取り付けボルト60が、両ボルト挿通孔56,45に上方から挿通され、そのステイ取り付け部44の下面側に配置されたナット61に締め付けられている。このようにして、センターブレースブラケット38のステイ取り付け部44にバンパカバーステイ52が締結により固定されている。なお、ナット61は、ステイ取り付け部44に予めスポット溶接等の溶接によって固定してもよい。
【0032】
取り付けボルト60による締結部分が、バンパカバーステイ52からセンターブレースブラケット38に入力される衝突荷重の入力点P2となっている。入力点P2は、支持点P1に対して平面視で左方にオフセットして配置されている。オフセット量Xは、適宜設定される。
【0033】
次に、前記フロントバンパカバー支持構造36の作用及び効果について説明する。図4には、被衝突物であるインパクタ63が示されている。インパクタ63は、車両10(図1参照)への歩行者の大腿部の衝突を模擬する際に用いられるものである。インパクタ63が、車両10の前部に衝突すると、その衝突荷重がフロントバンパカバー14、センターブレースブラケット38を介してセンターブレース34に伝達される。そして、センターブレースブラケット38の入力点P2(図3参照)に所定値以上の衝突荷重が入力されると、センターブレースブラケット38の前部が脆弱部48を起点として左方(図3中、矢印Y参照)へ折れ曲がる。これにより、歩行者に入力される衝突エネルギーを吸収することができる。
【0034】
前記フロントバンパカバー支持構造36によると、センターブレースブラケット38の衝突荷重の入力点P2とセンターブレース34に対する支持点P1とが、平面視で左右方向にオフセットして配置されている。したがって、歩行者に対する車両10の前面衝突時に、所定値以上の衝突荷重がセンターブレースブラケット38の入力点P2に入力されると、センターブレースブラケット38に左方へ向けて折れ曲がる方向のモーメントが作用することで、センターブレースブラケット38の所定の折れ曲がりを実現することができる。また、バンパカバーステイ52のビード58により前後方向の剛性が強化されるため、歩行者に対する車両10の前面衝突時におけるバンパカバーステイ52の変形を抑制することができる。これにより、センターブレースブラケット38の衝突荷重の入力点P2の変化を抑制することができ、センターブレースブラケット38の所定の折れ曲がりを実現することができる。よって、衝突時のエネルギーを効率良く吸収することができる。ひいては、歩行者の保護性能を向上することができる。
【0035】
また、バンパカバーステイ52に形成されたビード58によって、バンパカバーステイ52の前後方向の剛性を強化することができる。また、ビード58は、バンパカバーステイ52に別部品を付加することなく、容易に形成することができる。
【0036】
また、ビード58がバンパカバーステイ52の左右方向に延在する段差部53と交差していることにより、段差部53が形成されたバンパカバーステイ52の前後方向の剛性を強化することができる。
【0037】
また、センターブレースブラケット38が脆弱部48を起点として左右方向の一方へ向けて確実に折れ曲がることができる。
【0038】
また、センターブレースブラケット38のブラケット本体部39に切り欠き凹部49が形成されている。したがって、歩行者に対する車両10の前面衝突時のセンターブレースブラケット38の変形前において、フロントバンパ12の変形によりその一部がブラケット本体部39と干渉することを抑制することができる。
【0039】
また、センターブレースブラケット38の入力点P2と支持点P1とのオフセットと、バンパカバーステイ52のビード58と、センターブレースブラケット38の脆弱部48とによる相乗作用によって、センターブレースブラケット38の脆弱部以外の部分の剛性低下を抑制しつつ衝突時のエネルギーの吸収特性を適正化することが可能となる。
【0040】
[他の実施形態]本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、センターブレースブラケット38の入力点P2は、支持点P1に対して平面視で右方にオフセットして配置してもよい。また、センターブレースブラケット38のブレース取り付け部42は、センターブレース34にボルト・ナットにより取り付けてもよい。また、バンパカバーステイ52は、センターブレースブラケット38のステイ取り付け部44にクリップ等により取り付けてもよい。
【0041】
また、バンパカバーステイ52のビード58の本数は限定されない。また、バンパカバーステイ52のビード58の断面形状は、半円弧状、逆V字状、台形形状、四角形状等、適宜変更してもよい。また、バンパカバーステイ52のビード58は、リブに代えてもよい。また、バンパカバーステイ52の段差部53は省略してもよい。また、剛性強化部は、ビード58に限らず、バンパカバーステイ52の前後方向の剛性を強化するものであればよい。
【0042】
また、センターブレースブラケット38の脆弱部48は、ブラケット本体部39に板厚方向に貫通する貫通孔、切欠き凹部を設けることによって形成してもよい。また、センターブレースブラケット38の切り欠き凹部49は省略してもよい。また、センターブレース34に、断面L字形、断面ハット形、閉断面等の金属製長尺材を用いてもよい。また、部材同士を相互に接合する手段は、溶接に限らず、リベット、ボルト・ナット等でもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 車両
14 フロントバンパカバー
25 ラジエータサポート(車体構成部材)
34 センターブレース
36 フロントバンパカバー支持構造
38 センターブレースブラケット
42 ブレース取り付け部
44 ステイ取り付け部
48 脆弱部
52 バンパカバーステイ
53 段差部
58 ビード(剛性強化部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8