特許第6799786号(P6799786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799786
(24)【登録日】2020年11月26日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】マンコンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B66B 29/00 20060101AFI20201207BHJP
【FI】
   B66B29/00 D
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-198750(P2018-198750)
(22)【出願日】2018年10月22日
(65)【公開番号】特開2020-66482(P2020-66482A)
(43)【公開日】2020年4月30日
【審査請求日】2019年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 昌邦
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−018603(JP,A)
【文献】 実開昭55−058573(JP,U)
【文献】 国際公開第2015/102031(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00─31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端回転する環状の走行部と、
前記走行部に対して回転可能に接続される複数のステップと、
前記ステップが反転するように、前記走行部が巻き掛けられる回転部と、
前記回転部を収容する構造部と、
記ステップが反転する際に通過する反転路から外れた前記ステップが当たることによって当該ステップを止めるために、前記構造部に不動に固定される停止部と、を備える、マンコンベヤ。
【請求項2】
前記構造部の上に載せられる床板部をさらに備え、
前記停止部は、真下に前記反転路が位置し且つ真上に前記床板部が位置するよう配置される、請求項1に記載のマンコンベヤ。
【請求項3】
前記構造部に対する前記停止部の固定位置を変更可能な位置変更部をさらに備える、請求項1又は2に記載のマンコンベヤ。
【請求項4】
前記停止部は、前記構造部に着脱可能に構成され、
前記位置変更部は、前記停止部を横方向で挟む一対の挟持部を備え、
前記一対の挟持部は、前記構造部に対する固定位置が前記横方向に変更可能となるように、前記構造部に接続されると共に、前記停止部の上方及び下方の少なくとも一方を開放するように、配置される、請求項3に記載のマンコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、マンコンベヤは、無端回転する環状の走行部と、走行部に対して回転可能に接続される複数のステップと、ステップが反転するように、走行部が巻き掛けられる回転部とを備えている(例えば、特許文献1)。そして、例えば、マンコンベヤは、走行部が破断した際に、走行部の走行を停止させる安全装置を備えている。
【0003】
ところで、特許文献1に係るマンコンベヤにおいては、例えば、走行部が破断することなく、ステップが走行路から外れた際に、当該事象を検出できない場合があった。特に、ステップが反転する反転路においては、ステップに遠心力が働くため、ステップが反転路から外れた場合に、ステップが周辺の機器に当たる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭58−23822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、ステップが反転路から外れた場合に、ステップを止めることができるマンコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
マンコンベヤは、無端回転する環状の走行部と、前記走行部に対して回転可能に接続される複数のステップと、前記ステップが反転するように、前記走行部が巻き掛けられる回転部と、前記回転部を収容する構造部と、前記構造部に固定され、前記ステップが反転する際に通過する反転路から外れた前記ステップを止める停止部と、を備える。
【0007】
また、マンコンベヤは、前記構造部の上に載せられる床板部をさらに備え、前記停止部は、上下方向において、前記反転路と前記床板部との間に配置される、という構成でもよい。
【0008】
また、マンコンベヤは、前記構造部に対する前記停止部の固定位置を変更可能な位置変更部をさらに備える、という構成でもよい。
【0009】
また、マンコンベヤにおいては、前記停止部は、前記構造部に着脱可能に構成され、前記位置変更部は、前記停止部を横方向で挟む一対の挟持部を備え、前記一対の挟持部は、前記構造部に対する固定位置が前記横方向に変更可能となるように、前記構造部に接続されると共に、前記停止部の上方及び下方の少なくとも一方を開放するように、配置される、という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係るマンコンベヤの全体概要図である。
図2図2は、同実施形態に係るマンコンベヤの機械室内の拡大図である。
図3図3は、同実施形態に係るマンコンベヤの機械室内の拡大縦断面図である。
図4図4は、同実施形態に係る停止部及び位置変更部の正面図であって、停止部が切断された図である。
図5図5は、同実施形態に係る停止部及び位置変更部の平面図である。
図6図6は、同実施形態に係る停止部及び位置変更部の底面図である。
図7図7は、図4のVII−VII線における断面図である。
図8図8は、図4のVIII−VIII線における断面図である。
図9図9は、同実施形態に係るマンコンベヤの拡大縦断面図であって、動作を説明する図である。
図10図10は、同実施形態に係るマンコンベヤの拡大縦断面図であって、動作を説明する図である。
図11図11は、他の実施形態に係るマンコンベヤの機械室内の拡大縦断面図である。
図12図12は、さらに他の実施形態に係るマンコンベヤの機械室内の拡大縦断面図である。
図13図13は、さらに他の実施形態に係る停止部及び位置変更部の平面図である。
図14図14は、図13のXIV−XIV線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、マンコンベヤにおける一実施形態について、図1図10を参照しながら説明する。なお、各図(図11図14も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係るマンコンベヤ1は、躯体に固定される構造部2と、人を搬送する搬送部3と、人につかまれる手摺部4と、搬送部3及び手摺部4を駆動させる駆動部5と、マンコンベヤ1の全体を制御する制御部6とを備えている。なお、本実施形態に係るマンコンベヤ1は、踏面が階段状になるエスカレータであるが、斯かる構成に限られない。例えば、マンコンベヤ1は、踏面が平面状となる移動歩道(動く歩道)であってもよい。
【0013】
構造部2は、躯体に固定される構造本体部2aを備えている。構造本体部2aは、上下階の間に掛け渡されている。なお、構造本体部2aの構成は、特に限定されないが、例えば、構造本体部2aは、トラス構造又はケタ構造とすることができる。
【0014】
また、構造本体部2aは、上方の端部と下方の端部とに、それぞれ機械室2b,2bを備えている。具体的には、構造本体部2aは、マンコンベヤ1の各乗降口1aの下方に、機械室2bを備えている。
【0015】
そして、マンコンベヤ1は、各乗降口1aの床を構成するために、各機械室2bを上方から覆う床板部1bを備えている。そして、床板部1bは、構造部2の構造本体部2aの上に載せられている。なお、構造部2は、各構成1b,3〜6を支持している。
【0016】
搬送部3は、無端回転する環状の走行部3aと、走行部3aに対して回転可能に接続され、人が乗る踏面を有する複数のステップ3bとを備えている。なお、走行部3aは、第1横方向(幅方向)D1に離れて一対設けられている。そして、複数のステップ3bは、一対の走行部3a,3aの間に配置され、それぞれの走行部3aに対して回転可能に接続されている。
【0017】
駆動部5は、ステップ3bが反転するように、走行部3aが巻き掛けられる一対の回転部5a,5aを備えている。また、駆動部5は、回転部5aを回転させる駆動源(例えば、モータ)5bと、回転部5aの回転を停止するように、駆動源5bを制動する制動部(例えば、ブレーキ)5cを備えている。
【0018】
回転部5aは、構造部2(具体的には、構造本体部2a)の内部に収容されている。そして、回転部5aは、構造部2(具体的には、構造本体部2a)に回転可能に接続されている。なお、上方の回転部5a、駆動源5b及び制動部5cは、上方の機械室2bの内部に配置されており、下方の回転部5aは、下方の機械室2bの内部に配置されている。
【0019】
図2及び図3に示すように、搬送部3は、一対の走行部3a,3aにそれぞれ連結される連結軸3cを備えており、ステップ3bは、連結部3dで、連結軸3cに回転可能に連結されている。これにより、ステップ3bは、走行部3aに対して回転可能に接続されている。なお、走行部3aの構成は、特に限定されないが、本実施形態においては、走行部3aは、チェーン3eと、チェーン3eに回転可能に接続されるローラ3fとを備えている。
【0020】
構造部2は、走行部3aを案内する第1案内部2cを備えている。また、構造部2は、ステップ3bを案内する第2案内部2dを備えており、ステップ3bは、第2案内部2dに案内される被案内部3gを備えている。なお、第1案内部2c及び第2案内部2dの構成は、特に限定されないが、本実施形態においては、第1案内部2c及び第2案内部2dは、それぞれガイドレールで構成されている。また、被案内部3gの構成は、特に限定されないが、本実施形態においては、被案内部3gは、ローラで構成されている。
【0021】
走行部3aは、回転部5a及び第1案内部2cに案内されている。なお、回転部5aの構成は、特に限定されないが、本実施形態においては、回転部5aは、スプロケットで構成されている。即ち、走行部3aは、巻き掛けられた回転部5aと一体となって回転することによって、回転部5aに案内されて、反転している。
【0022】
そして、走行部3aが回転部5a及び第1案内部2cに案内されることによって、連結軸3cとステップ3bの連結部3dとは、回転部5a及び第1案内部2cに間接的に案内されている。このように、ステップ3bの連結部3dが回転部5a及び第1案内部2cに案内され、且つ、ステップ3bの被案内部3gが第2案内部2dに案内されることによって、ステップ3bは、所定の走行路を通過するように、走行する。
【0023】
そして、走行路のうち、正常なステップ3bが反転する際に通過する走行路は、反転路という。換言すると、走行路のうち、ステップ3bの連結部3dが回転部5aに案内されている際の走行路は、反転路という。そして、図3図9図12も同様)において、破線は、反転路の境界を示している。また、図3図9図12も同様)において、二点鎖線は、連結部3d(走行部3aのローラ3f)の中心の軌道と、被案内部3gの中心の軌道とをそれぞれ示している。
【0024】
ところで、マンコンベヤ1は、反転路から外れたステップ3bを止める停止部7を備えている。停止部7は、長尺に形成されており、第1横方向D1に延びている。そして、停止部7は、構造部2に固定されている。具体的には、停止部7の両端部は、構造本体部2aの上枠部2eに固定されている。
【0025】
停止部7は、ステップ3bの反転路の外側の近傍に配置されている。停止部7は、回転部5aの回転中心P1よりも、上方に配置されている。そして、停止部7は、上下方向D3において、反転路と床板部1bとの間に配置されている。具体的には、停止部7は、上下方向D3において、図3において破線で図示している反転路の境界と、床板部1bと、の間に配置されている。
【0026】
なお、ステップ3bが反転路から外れた際に、停止部7がステップ3bを確実に止めるために、ステップ3bの反転路と停止部7との距離W1を適正にする必要がある。例えば、ステップ3bの反転路と停止部7との距離W1は、15mm以下であることが好ましく、また、5mm以下であることがさらに好ましい。
【0027】
なお、図2及び図3においては、構造本体部2aのうち、上枠部2eと下枠部2fのみが図示されているが、構造本体部2aは、上枠部2e及び下枠部2fの他に、上枠部2e及び下枠部2fに連結される縦枠部2g(図11及び図12参照)及び斜枠部2h(図12参照)を備えている。縦枠部2gは、上下方向D3に延びており、斜枠部2hは、上下方向D3に対して傾斜する方向に延びている。
【0028】
マンコンベヤ1は、図4図8に示すように、停止部7を構造部2に固定し且つ構造部2に対する停止部7の固定位置が変更可能な位置変更部8を備えている。位置変更部8は、構造部2の上枠部2eと停止部7とを接続する接続部9と、停止部7を第2横方向D2で挟む一対の挟持部10,10とを備えている。
【0029】
停止部7,接続部9及び挟持部10は、剛性を有していればよく、その材質は、特に限定されない。例えば、停止部7,接続部9及び挟持部10は、金属で形成されていてもよい。なお、第2横方向D2は、第1横方向D1及び上下方向D3にそれぞれ直交する方向である。
【0030】
マンコンベヤ1は、接続部9を構造部2の上枠部2eに固定するための第1固定手段11を備えている。第1固定手段11の構成は、接続部9を構造部2に固定できる構成であれば、特に限定されないが、本実施形態においては、第1固定手段11は、ボルト11a及びナット11bを備えている。
【0031】
構造部2の上枠部2e及び接続部9のそれぞれは、第1固定手段11のボルト11aに挿入される貫通孔2i,9aを備えている。貫通孔2i,9aは、上下方向D3に貫通しており、構造部2の上枠部2e及び接続部9は、第1固定手段11に上下方向D3で挟まれることによって、固定されている。
【0032】
なお、貫通孔2i,9aは、それぞれ真円形状に形成されているため、構造部2に対する接続部9の固定位置は、一定である。換言すると、上枠部2e及び接続部9は、横方向D1,D2でボルト11aに止められるため、接続部9は、構造部2に対して横方向D1,D2に不動である。
【0033】
構造部2の上枠部2eは、平面が上下方向D3を向く平板状の上面部2jと、上面部2jから下方に向けて突出し、平面が第1横方向D1を向く平板状の側面部2kとを備えている。そして、貫通孔2iは、上面部2jに設けられている。
【0034】
接続部9は、平面が上下方向D3を向く平板状の上面部9bと、上面部9bから下方に向けて突出し、平面が第1横方向D1を向く平板状の側面部9cとを備えている。そして、貫通孔9aは、上面部9bに設けられている。
【0035】
なお、位置変更部8は、接続部9の側面部9cと上枠部2eの側面部2kとの間に配置されている介在部8aを備えている。介在部8aが、接続部9の側面部9cと上枠部2eの側面部2kとに挟まれているため、位置変更部8に第1横方向D1の力が加えられても、位置変更部8が位置ずれすることを抑制することができる。
【0036】
介在部8aは、接続部9の側面部9cに固定されていてもよく、また、上枠部2eの側面部2kに固定されていてもよく、接続部9の側面部9c及び上枠部2eの側面部2kから分離可能であってもよい。また、介在部8aの材質は、特に限定されない。本実施形態においては、介在部8aは、剛性材(例えば、金属、硬質樹脂)で形成されているが、介在部8aは、弾性材(例えば、ゴム)で形成されていてもよい。
【0037】
また、マンコンベヤ1は、停止部7を接続部9に固定するための第2固定手段12を備えている。第2固定手段12の構成は、停止部7を接続部9に固定できる構成であれば、特に限定されないが、本実施形態においては、第2固定手段12は、ボルト12a及びナット12bを備えている。なお、第2固定手段12による固定を解除することによって、停止部7を接続部9から取り外すことができる。これにより、停止部7は、接続部9に着脱可能に構成されている。即ち、停止部7は、構造部2に着脱可能に構成されている。
【0038】
接続部9は、第2固定手段12のボルト12aに挿入される長孔部9dを備えており、停止部7は、第2固定手段12のボルト12aに挿入される孔部7aを備えている。長孔部9d及び孔部7aは、上下方向D3に貫通しており、接続部9及び停止部7は、第2固定手段12に上下方向D3で挟まれることによって、固定されている。
【0039】
孔部7aは、真円形状に形成されていることに対して、長孔部9dは、第2横方向D2に延びている。これにより、ボルト12aが孔部7a及び長孔部9dに挿入された状態であっても、停止部7は、接続部9に対して第2横方向D2で変位可能である。
【0040】
したがって、接続部9に対する停止部7の固定位置は、第2横方向D2で変更可能である。即ち、構造部2に対する停止部7の固定位置は、第2横方向D2で変更可能である。なお、停止部7及び接続部9は、第1横方向D1でボルト12aに止められるため、停止部7は、第1横方向D1においては、接続部9に対して不動である。
【0041】
このように、構造部2に対する停止部7の固定位置を変更することができるため、ステップ3b(図3参照)の反転路と停止部7との距離W1(図3参照)を変更することができる。したがって、例えば、経年(例えば、走行部3aの伸びなど)により、構造部2に対する回転部5aの固定位置が変更され、ステップ3bの反転路の位置が変化することに対応して、ステップ3bの反転路と停止部7との距離W1を変更することができる。その結果、ステップ3bの反転路と停止部7との距離W1を適正に維持することができる。
【0042】
なお、停止部7の構成は、特に限定されないが、本実施形態においては、停止部7は、角筒状に形成されている。これにより、停止部7は、平面が上下方向D3を向く平板状の上面部7b及び下面部7cと、上面部7bと下面部7cとを連結し、平面が第2横方向D2を向く平板状の側面部7d,7dとを備えている。そして、貫通孔9aは、上面部7b及び下面部7cに設けられている。
【0043】
また、接続部9は、一対の挟持部10,10をそれぞれ固定する固定部9eを備えている。固定部9e及び挟持部10の構成は、特に限定されないが、本実施形態においては、挟持部10は、雄ねじ(例えば、ボルト)であって、固定部9eは、挟持部10と螺合する雌ねじ部9fを備えている。なお、雌ねじ部9fは、第2横方向D2に貫通するように、配置されている。
【0044】
これにより、固定部9eは、挟持部10を固定する一方で、挟持部10は、接続部9に対して第2横方向D2で変位可能である。したがって、構造部2に対する挟持部10の固定位置を変更することができる。即ち、一対の挟持部10,10は、構造部2に対して第2横方向D2に変位可能に、構造部2に接続されている。そして、一対の挟持部10,10のそれぞれの先端部が停止部7の側面部7dに接するように、構造部2に対する挟持部10の固定位置が設定されている。
【0045】
これにより、第2固定手段12が接続部9及び停止部7を固定しているものの、第2固定手段12だけでは、停止部7が接続部9に対して第2横方向D2で位置ずれする可能性があることに対して、一対の挟持部10が停止部7を第2横方向D2で保持している。したがって、停止部7にステップ3bが当たって大きな力を受けた場合でも、構造部2に対する停止部7の固定位置が維持される。
【0046】
なお、位置変更部8は、挟持部10が固定部9eに対して位置ずれすることを抑制するための位置ずれ抑制部13を備えている。例えば、挟持部10が固定部9eの雌ねじ部9fと螺合しているため、位置ずれ抑制部13は、挟持部10と螺合する緩み止のナットとすることができる。
【0047】
また、一対の挟持部10,10は、停止部7の下方を開放するように、配置されている。これにより、停止部7を構造部2から取り外す際に、第2固定手段12による固定を解除した後に、一対の挟持部10,10を操作することなく、停止部7を下方に移動させるだけで、停止部7を構造部2から取り外すことができる。
【0048】
また、その後、停止部7を構造部2に取り付ける際には、一対の挟持部10,10を操作することなく、停止部7を上方に移動させた後に、第2固定手段12による固定を行うだけで、停止部7を構造部2に取り付けることができる。しかも、一対の挟持部10,10の位置が不変であるため、取り外し前と取り付け後において、構造部2に対する停止部7の固定位置が不変である。
【0049】
このように、構造部2から停止部7を取り外したり、構造部2に停止部7を再び取り付けたりする作業が容易となる。なお、一対の挟持部10,10は、停止部7に接するように、固定部9eに固定されている、という構成だけでなく、停止部7に僅かな隙間(例えば、3mm未満)を有して、固定部9eに固定されている、という構成でもよい。
【0050】
本実施形態に係るマンコンベヤ1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るマンコンベヤ1の動作について図9及び図10を参照しながら説明する。
【0051】
ステップ3bが反転路で反転する際に、ステップ3bには遠心力が働いている。そして、図9に示すように、例えば、ステップ3bが連結軸3cから外れた場合には、その異常のステップ3b(図9において、走行方向の前から3番目のステップ3b)は、反転路から外れてしまう。
【0052】
それに対して、図10に示すように、異常のステップ3b(図10において、走行方向の前から2番目のステップ3b)が停止部7に当たるため、停止部7は、異常のステップ3bを止める。これにより、例えば、異常のステップ3bが床板部1bに当たることを抑制することができる。
【0053】
なお、異常のステップ3bが停止部7に当たったことを、検出部(図示していない)が検出することによって、制動部5c(図1参照)が駆動源5b(図1参照)を制動するため、回転部5aの回転が停止する。例えば、検出部は、回転部5aの回転トルクを検出するセンサであってもよく、所定以上の力を受けることによって移動する回転部5aの位置を検出するセンサであってもよい。
【0054】
また、図9及び図10においては、ステップ3bが連結軸3cから外れた場合について説明したが、斯かる場合に限らない。例えば、走行部3aが回転部5aから外れた場合でも、走行部3aが破断した場合でも、ステップ3bが停止部7に当たることによって、停止部7は、反転路から外れたステップ3bを止めることができる。
【0055】
以上より、本実施形態に係るマンコンベヤ1は、無端回転する環状の走行部3aと、前記走行部3aに対して回転可能に接続される複数のステップ3bと、前記ステップ3bが反転するように、前記走行部3aが巻き掛けられる回転部5aと、前記回転部5aを収容する構造部2と、前記構造部2に固定され、前記ステップ3bが反転する際に通過する反転路から外れた前記ステップ3bを止める停止部7と、を備える。
【0056】
斯かる構成によれば、停止部7が構造部2に固定されており、ステップ3bが反転路から外れた際に、停止部7がステップ3bを止める。これにより、ステップ3bが反転路から外れた場合に、ステップ3bを止めることができる。
【0057】
また、本実施形態に係るマンコンベヤ1は、前記構造部2の上に載せられる床板部1bをさらに備え、前記停止部7は、上下方向D3において、前記反転路と前記床板部1bとの間に配置される、という構成である。
【0058】
斯かる構成によれば、停止部7が、上下方向D3において、反転路と床板部1bとの間に配置されているため、ステップ3bが反転路から外れて床板部1bに向かう際に、停止部7がステップ3bを止める。これにより、ステップ3bが床板部1bに当たることを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態に係るマンコンベヤ1は、前記構造部2に対する前記停止部7の固定位置を変更可能な位置変更部8をさらに備える、という構成である。
【0060】
斯かる構成によれば、構造部2に対する停止部7の固定位置が、位置変更部8によって、変更することができるため、ステップ3bの反転路と停止部7との距離W1を変更することができる。これにより、ステップ3bの反転路と停止部7との距離W1を適正に設定することができる。
【0061】
また、本実施形態に係るマンコンベヤ1においては、前記停止部7は、前記構造部2に着脱可能に構成され、前記位置変更部8は、前記停止部7を横方向D2で挟む一対の挟持部10,10を備え、前記一対の挟持部10,10は、前記構造部2に対する固定位置が前記横方向D2に変更可能となるように、前記構造部2に接続されると共に、前記停止部7の上方及び下方の少なくとも一方(本実施形態においては、下方)を開放するように、配置される、という構成である。
【0062】
斯かる構成によれば、一対の挟持部10,10が停止部7を横方向D2で挟むため、構造部2に対する停止部7の固定位置が設定される。そして、構造部2に対する挟持部10の固定位置が、横方向D2で変更されることによって、構造部2に対する停止部7の固定位置を変更することができる。しかも、停止部7の上方及び下方の少なくとも一方が開放されているため、停止部7が構造部2に着脱される際に、一対の挟持部10,10を操作することなく、開放されている方向から停止部7を出し入れすることができる。
【0063】
なお、マンコンベヤ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、マンコンベヤ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0064】
(1)上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、停止部7は、第1横方向D1に延びている、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、図11に示すように、停止部7は、第2横方向D2に延びている、という構成でもよい。
【0065】
(2)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、停止部7は、上下方向D3において、反転路と床板部1bとの間に配置されている、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成が好ましいものの、斯かる構成に限られない。例えば、図12に示すように、停止部7は、上下方向D3において、反転路と床板部1bとの間から外れて配置されている、という構成でもよい。
【0066】
そして、図9及び図10においては、ステップ3bが回転部5aの下方から上方に向けて反転している場合について説明したが、斯かる場合に限らない。例えば、図12に係るマンコンベヤ1においては、ステップ3bが回転部5aの上方から下方に向けて反転している場合にも、反転路から外れたステップ3bが、停止部7に当たることによって、停止部7がステップ3bを止めることができる。
【0067】
(3)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、停止部7は、構造部2の構造本体部2aの上枠部2eに固定されている、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、図11に示すように、停止部7は、構造本体部2aの縦枠部2gに固定されている、という構成でもよく、また、例えば、図12に示すように、停止部7は、構造本体部2aの斜枠部2hに固定されている、という構成でもよい。
【0068】
(4)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、停止部7は、回転部5aの回転中心P1よりも、上方に配置されている、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、停止部7は、回転部5aの回転中心P1よりも、下方に配置されている、という構成でもよい。
【0069】
(5)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、位置変更部8は、第2固定手段12のボルト12aに挿入される長孔部9dを備えることによって、構造部2に対する停止部7の固定位置を変更可能である、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、図13及び図14に示すように、位置変更部8は、第2固定手段12のボルト12aに挿入される複数の孔部9gを備えることによって、構造部2に対する停止部7の固定位置を変更可能である、という構成でもよい。
【0070】
図13及び図14に係る位置変更部8においては、複数の孔部9gは、それぞれ真円形状に形成されている。そして、複数の孔部9gは、第2横方向D2に沿って並列されている。これにより、第2固定手段12のボルト12aの挿入される孔部9gを変更することによって、構造部2に対する停止部7の固定位置を変更することができる。
【0071】
(6)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、停止部7は、構造部2に着脱可能である、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成が好ましいものの、斯かる構成に限られない。例えば、停止部7は、構造部2に着脱不能に固定されている、という構成でもよい。
【0072】
(7)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1は、構造部2に対する停止部7の固定位置を変更可能である、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成が好ましいものの、斯かる構成に限られない。例えば、マンコンベヤ1は、構造部2に対する停止部7の固定位置が一定(不変)である、という構成でもよい。
【0073】
(8)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1は、接続部9を備えている、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、マンコンベヤ1は、接続部9を備えておらず、停止部7が直接に構造部2に接続されている、という構成でもよい。斯かる構成においては、例えば、長孔部9d及び固定部9eが構造部2の構造本体部2aの上枠部2eに設けられている、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…マンコンベヤ、1a…乗降口、1b…床板部、2…構造部、2a…構造本体部、2b…機械室、2c…第1案内部、2d…第2案内部、2e…上枠部、2f…下枠部、2g…縦枠部、2h…斜枠部、2i…貫通孔、2j…上面部、2k…側面部、3…搬送部、3a…走行部、3b…ステップ、3c…連結軸、3d…連結部、3e…チェーン、3f…ローラ、3g…被案内部、4…手摺部、5…駆動部、5a…回転部、5b…駆動源、5c…制動部、6…制御部、7…停止部、7a…孔部、7b…上面部、7c…下面部、7d…側面部、8…位置変更部、8a…介在部、9…接続部、9a…貫通孔、9b…上面部、9c…側面部、9d…長孔部、9e…固定部、9f…雌ねじ部、9g…孔部、10…挟持部、11…第1固定手段、11a…ボルト、11b…ナット、12…第2固定手段、12a…ボルト、12b…ナット、13…位置ずれ抑制部、D1…第1横方向、D2…第2横方向、D3…上下方向
図1
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