特許第6799794号(P6799794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6799794クレードル制御プログラム及びクレードル装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799794
(24)【登録日】2020年11月26日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】クレードル制御プログラム及びクレードル装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20201207BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   G06F3/12 336
   B41J29/38
   G06F3/12 303
   G06F3/12 331
   G06F3/12 384
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-235846(P2017-235846)
(22)【出願日】2017年12月8日
(65)【公開番号】特開2019-102020(P2019-102020A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 寛子
【審査官】 豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−42770(JP,A)
【文献】 特開2009−6671(JP,A)
【文献】 特開2008−299482(JP,A)
【文献】 特開2006−352429(JP,A)
【文献】 特開2017−200018(JP,A)
【文献】 特開2001−60998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置を情報送受信可能に装着可能な着脱手段と、前記印刷装置を操作するための操作端末に対し、情報送受信可能に有線接続される接続手段と、演算手段と、を有するクレードル装置の前記演算手段に対し、
前記着脱手段に前記印刷装置が装着されたか否かを判定する装着判定手順と、
前記装着判定手順で前記印刷装置が装着されたと判定された場合に、当該印刷装置の接続識別情報を取得する情報取得手順と、
前記情報取得手順で前記接続識別情報を取得した後、前記接続手段を介した前記操作端末との通信接続を確立させる接続確立手順と、
前記接続確立手順で前記通信接続を確立した後、前記情報取得手順で取得した前記接続識別情報を、前記操作端末へ送信する情報送信手順と、
を実行させるための、クレードル制御プログラム。
【請求項2】
請求項1記載のクレードル制御プログラムにおいて、
前記着脱手段における前記印刷装置の装着を検出する検出手段をさらに有し、
前記装着判定手順では、
前記検出手段の検出結果に基づき、前記印刷装置がクレードル装置に装着されたか否かを判定する
ことを特徴とするクレードル制御プログラム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のクレードル制御プログラムにおいて、
前記接続識別情報は、
前記印刷装置の、ベンダID、プロダクトID、ベンダーストリング、プロダクトストリング、デバイスID、及び、シリアルナンバー、のうち少なくとも1つを含む
ことを特徴とするクレードル制御プログラム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のクレードル制御プログラムにおいて、
前記演算手段は、さらに、
前記着脱手段に装着された前記印刷装置の電源がOFFされた場合に、前記接続確立手順で確立された前記操作端末との通信接続を切断する、第1接続切断手順と、
を実行することを特徴とするクレードル制御プログラム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のクレードル制御プログラムにおいて、
前記演算手段は、さらに、
前記着脱手段から前記印刷装置が取り外された場合に、前記接続確立手順で確立された前記操作端末との通信接続を切断する、第2接続切断手順と、
を実行することを特徴とするクレードル制御プログラム。
【請求項6】
印刷装置を情報送受信可能に装着可能な着脱手段と、
前記印刷装置を操作するための操作端末に対し、情報送受信可能に有線接続される接続手段と、
制御手段と、を有するクレードル装置であって
前記制御手段は、
前記着脱手段に前記印刷装置が装着されたか否かを判定する装着判定処理;
前記装着判定処理で前記印刷装置が装着されたと判定された場合に、当該印刷装置の接続識別情報を取得する情報取得処理;
前記情報取得処理で前記接続識別情報を取得した後、前記接続手段を介した前記操作端末との通信接続を確立させる接続確立処理;
前記接続確立処理で前記通信接続を確立した後、前記情報取得処理で取得した前記接続識別情報を、前記操作端末へ送信する情報送信処理;
を実行することを特徴とするクレードル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置を情報送受信可能に装着可能なクレードル装置の制御プログラム、及び、そのクレードル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置を情報送受信可能に装着可能なクレードル装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このクレードル装置は、操作端末(タブレット端末)に対しLANにてネットワーク接続され、操作端末からの信号を変換して装着された印刷装置(モバイルプリンタ)へと送信するとともに、逆に印刷装置からの信号を変換して操作端末へと送信する機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−48537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように操作端末に接続されるクレードル装置では、通常、操作端末に対し、当該クレードル装置のためのデバイスドライバをインストールする必要がある。その結果、インストール後は、印刷装置が当該クレードル装置に装着されていないときであっても、操作端末の画面上に当該クレードル装置のアイコンが表示されてしまって紛らわしく、ユーザにとっての利便性を阻害していた。
【0005】
本発明の目的は、操作端末におけるクレードル装置のアイコン表示を解消し、ユーザの利便性を向上することができる、クレードル装置の制御プログラム及びクレードル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明のクレードル制御プログラムは、印刷装置を情報送受信可能に装着可能な着脱手段と、前記印刷装置を操作するための操作端末に対し、情報送受信可能に有線接続される接続手段と、演算手段と、を有するクレードル装置の前記演算手段に対し、前記着脱手段に前記印刷装置が装着されたか否かを判定する装着判定手順と、前記装着判定手順で前記印刷装置が装着されたと判定された場合に、当該印刷装置の接続識別情報を取得する情報取得手順と、前記情報取得手順で前記接続識別情報を取得した後、前記接続手段を介した前記操作端末との通信接続を確立させる接続確立手順と、前記接続確立手順で前記通信接続を確立した後、前記情報取得手順で取得した前記接続識別情報を、前記操作端末へ送信する情報送信手順と、を実行させる。
【0007】
操作端末に有線接続され印刷装置を装着するクレードル装置は、操作端末からの信号を変換して装着された印刷装置へと送信するとともに、逆に印刷装置からの信号を変換して操作端末へと送信する機能を有する。このため、通常、操作端末に対し、当該クレードル装置のためのデバイスドライバをインストールする必要がある。その結果、インストール後は、印刷装置が当該クレードル装置に装着されていないときであっても、操作端末の画面上に当該クレードル装置のアイコンが表示されてしまい、紛らわしい。
【0008】
これに対応して、本願発明のクレードル装置に備えられた演算手段では、まず着脱手段への印刷装置の装着有無を判定し(装着判定手順)、装着されたと判定すると、例えばベンダID、プロダクトID等の印刷装置の接続識別情報を印刷装置から取得する(情報取得手順)。そして、操作端末との通信接続(電気的な接続)を確立させた(接続確立手順)後、上記取得した印刷装置の接続識別情報を操作端末へ送信する(情報送信手順)。
【0009】
以上のようにして、クレードル装置において実行されるプログラムが、印刷装置側の接続識別情報を取得し操作端末へ送信することでクレードル装置と操作端末との間の通信接続を確立させる。すなわち、クレードル装置におけるハードウェアの制御(前述の2つの信号変換)が上記プログラムによって行われることとなるので、上述のデバイスドライバは不要となる。この結果、前述のようにクレードル装置のためのデバイスドライバを操作端末にインストールする必要がなくなるので、前述のようなクレードル装置のアイコン表示を解消することができる。またこの場合、操作端末側から見ると、当該操作端末に対し直接印刷装置が接続されているのと同様となる。この結果、ユーザは、クレードル装置の存在を意識することなしに、印刷装置のドライバ(プリンタドライバ)のみを操作端末にインストールするだけで、クレードル装置に装着された印刷装置を使用することができる。
【0010】
また、クレードル装置は、印刷装置が装着されていない状態では操作端末との接続は確立されず、印刷装置が装着された状態でのみ操作端末との接続が確立される。これにより、操作端末に対し、印刷装置が装着されず印刷ができない状態でクレードル装置を認識させることはなくなり、印刷装置が装着されて印刷可能な状態でのみクレードル装置を認識させることができるので、ユーザにとってわかりやすい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、操作端末におけるクレードル装置のアイコン表示を解消し、ユーザの利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態のクレードル装置の全体構造を表す斜視図である。
図2】クレードル装置の回路構成を表す回路図である。
図3】クレードル装置のCPUの各ポートにおける入出力信号の詳細機能を表す説明図である。
図4】クレードル装置のCPUにより実行される制御手順を表すフローチャートである。
図5図4のステップS20、ステップS30、ステップS35及びステップS40の詳細内容を表すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
<クレードル装置の概略構成>
図1は、本実施形態のクレードル装置を表す斜視図である。図1において、クレードル装置100は、筐体131を有する。
【0015】
筐体131の上面には、例えばモバイル型のプリンタ11(印刷装置)を載置しつつ装着可能な、平面状の載置部132(着脱手段)が形成されている。この載置部132の上面略中央には、左右一対となって載置部132の上方へ突出する、ロック機構136が設けられている。ロック機構136の基部には、プリンタ検出スイッチ136A(検出手段。後述の図2も参照)が設けられている。一方このとき、プリンタ11の底面には、不図示の電極端子が設けられている。これに対応し、上記載置部132における、プリンタ11装着時の上記電極端子が対向する位置には、プリンタ11との情報送受信を行うためのコネクタ端子133が設けられている。
【0016】
筐体131の側面には、ジャックカバー134と、DC電源に接続するためのDCジャック135(後述の図2も参照)とが設けられている。ジャックカバー134の内部にはUSBジャック17(接続手段:後述の図2参照)が収納されており、このUSBジャック17にUSBケーブルUC1(後述の図2参照)が装着される。クレードル装置100は、上記USBケーブルUC1を介し、例えばパソコン等により構成された操作端末10(後述の図2参照)に対し、情報送受信可能に接続される。そして、上記ジャックカバー134を開くことで、上記USBジャック17が筐体131の外部に露出して使用可能となる。DCジャック135には、図示しない外部電源装置に接続されたDCプラグが装着され、これによって当該外部電源装置からの電力がクレードル装置100内に供給される。そして、この電力が、上記コネクタ端子133を介しプリンタ11に供給されることで、プリンタ11の充電も行うことができる。なお、プリンタ11にはUSBジャック11Aが備えられており、このUSBジャック11Aが、USBケーブルUC2を介して、操作端末10に対し情報送受信可能に接続される(後述の図2参照)。
【0017】
上記構成のクレードル装置100において、載置部132にプリンタ11が載置されると、上記ロック機構136によってプリンタ11がロックされ、上記プリンタ検出スイッチ136Aが「ON」状態となる。そして、プリンタ11の上記電極端子がクレードル装置100の上記コネクタ端子133に嵌合することで、これら電極端子とコネクタ端子133とが電気的に接続(導通)される。
【0018】
<回路構成>
図2は、クレードル装置100の回路構成を表す回路図である。
【0019】
図2に示す回路において、クレードル装置100には、演算手段、制御手段としてのCPU14と、上記コネクタ端子133と、操作端末10(図中では「PC」と略記)に接続された上記USBジャック17と、上記DCジャック135と、上記プリンタ検出スイッチ136Aと、が備えられている。
【0020】
上記DCジャック135は、ヒューズ18、ダイオード19、リニアレギュレータ20を介して、上記CPU14の「VCC」ポートに接続されている。このとき、ヒューズ18とダイオード19との間から分岐した給電回路が、FET21を介して、上記コネクタ端子133の「15V」ポートに接続されている。この「15V」ポートは、さらにプリンタ11に備えられたCPU12の、自動データ処理を行う「ADP」ポートに接続されている。このとき、上記FET21は、CPU14の「P60」ポートからの制御信号によって制御される。すなわち、図3(b)に示されるように、「P60」ポートから出力される信号「1」のときはFET21はオンとなり、上記の経路でプリンタ11に電力が供給される状態となる。「P60」ポートから出力される信号「0」のときはFFET21はオフとなり、上記電力供給がない遮断状態となる。
【0021】
また、CPU14の情報送信用の「TXDC3」ポートは、コネクタ端子133の情報送信用の「TXD」ポートに接続され、「TXD」ポートはさらに上記CPU12における情報受信用の「RXD」ポートに接続されている。またCPU14の情報受信用の「RXDC3」ポートは、コネクタ端子133の情報受信用の「RXD」ポートに接続され、「RXD」ポートはさらに上記CPU12における情報送信用の「TXD」ポートに接続されている。このように、各「TXD」ポートは、相手の「RXD」ポートに接続されるいわゆるUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitterの略でシリアル通信装置の一種)による接続となっている。そして、1バイト8ビットのデータを送るために時系列にデータを分解して、1ビットずつ出力(送信)または入力(受信)する。
【0022】
なお、コネクタ端子133及びプリンタ11のCPU12はともに「GND」ポートにおいてアースされている。
【0023】
一方、USBジャック17の「VBUS」ポートは、論理ゲート16を介して、CPU14の「INTP05」ポートに接続されている。そして、CPU14の「P21」ポートが論理ゲート16に接続され、上記論理ゲート16は、CPU14の「P21」ポートからの制御信号(以下適宜、「USBF_ON」信号という)によって制御される。
【0024】
すなわち、図3(a)に示されるように、「P21」ポートから出力される「USBF_ON」信号が「1」のときは論理ゲート16はオン(信号伝達状態)となり、上記USBジャック17の「VBUS」ポートからCPU14の「INTP05」ポートへの信号伝達が可能となる。この結果、図3(a)に示されるように、「INTP05」ポートへ入力される信号がUSB接続を検知した状態の「0」となり、USBジャック17へ装着される上記USBケーブルUC1を用いた、クレードル装置100と操作端末10との電気的接続が可能となる。
【0025】
一方、「P21」ポートから出力される「USBF_ON」信号が「0」のときは論理ゲート16はオフ(信号遮断状態)となり、上記USBジャック17の「VBUS」ポートからCPU14の「INTP05」ポートへの信号伝達が不可能となる。この結果、図3(a)に示されるように、「INTP05」ポートへ入力される信号はUSB未接続状態の「1」となり、USBジャック17へ装着される上記USBケーブルUC1を用いた、クレードル装置100と操作端末10との電気的接続は遮断される。
【0026】
また、USBジャック17の「D+」ポートはCPU14の「UDPF」ポートに接続されており、CPU14は、図3(a)に示すように、この「UDPF」ポートにおいて上記「D+」ポートとの間のUSBファンクションデータ信号線を識別している。同様に、USBジャック17の「D−」ポートは、CPU14の「UDMF」ポートに接続されており、CPU14は、図3(a)に示すように、この「UDMF」ポートにおいて上記「D−」ポートとの間のUSBファンクションデータ信号線を識別している。なお、このUSBジャック17も、「GND」においてアースされている。
【0027】
また、プリンタ検出スイッチ136Aは、CPU14の「INTP02」ポートに接続されている。プリンタ11が載置部132に対し装着されている場合、図3(c)に示すように、プリンタ検出スイッチ136Aから出力され上記「INTP02」ポートに入力される信号は、プリンタ11の装着を表す「Low」状態となる。プリンタ11が載置部132から取り外されている場合、図3(c)に示すように、プリンタ検出スイッチ136Aから出力され上記「INTP02」ポートに入力される信号は、プリンタ11の非装着を表す「High」状態となる。このようにして、当該「INTP02」ポートでの信号「High」「Low」入力によって、載置部132へのプリンタ11の装着有無が判定される。なお、上記プリンタ検出スイッチ136Aからの信号の「Low」状態と、上記コネクタ端子133を介したプリンタ11からの信号入力との両方とが揃うことを条件に、プリンタ11の装着を検出するようにしてもよい。この場合、プリンタ検出スイッチ136Aをユーザが手で押さえた場合などにプリンタ11が装着されたと誤検出するのを防止することができる。
【0028】
なお、図2中における図示を省略しているが、クレードル装置100には、記録媒体としてのROMが備えられている。このROMには、後述の図4に示すフローチャートを実行するためのクレードル制御プログラムを含む、クレードル装置100が動作するのに必要な各種制御プログラムが記憶されている。上記CPU14は、上記ROMから読み出したプログラムに従って各部の制御を行うとともに、後述する図4に示すフローチャートを実行する。
【0029】
<実施形態の背景及び概要>
上記クレードル装置100は、操作端末10からの信号を変換して、載置部132に対し装着されたプリンタ11へと送信するとともに、逆にプリンタ11からの信号を変換して、操作端末10へと送信する機能を有する。このため、通常は、操作端末10に対し、当該クレードル装置100のためのデバイスドライバをインストールする必要があった。この場合、インストール後は、プリンタ11が装着されていないときであっても、操作端末10の画面上に当該クレードル装置100のアイコンが表示されてしまい、紛らわしかった。
【0030】
そこで、本実施形態では、クレードル装置100がプリンタ11の接続識別情報(後述)を取得して操作端末10へ送信することによって、クレードル装置100と操作端末10との間の通信接続(電気的な接続)を確立させ、上記デバイスドライバのインストールを不要とする。以下、その詳細を図4に基づき順を追って説明する。
【0031】
<制御フロー>
図4に、クレードル装置100の上記CPU14により実行される制御手順を表すフローチャートを示す。
【0032】
図4において、まず、ステップS5で、CPU14は、プリンタ11が載置部132に装着されているか否かを判定する。具体的には、前述したように、プリンタ検出スイッチ136Aから上記「INTP02」ポートに入力される信号が「Low」であるか否か、が判定される。装着されていなければステップS5の判定は満たされず(S5:NO)、載置部132にプリンタ11が装着されるまでループ待機する。載置部132にプリンタ11が装着されたら、ステップS5の判定が満たされ(S5:YES)、ステップS10に移る。なお、このステップS5で実行する処理が各請求項記載の装着判定処理に相当すると共に、ステップS5が装着判定手順に相当する。
【0033】
ステップS10では、CPU14は、プリンタ11への電源供給を開始する。具体的には、前述したようにCPU14の「P60」ポートから信号「1」がFET21に出力され、FET21がオンとなる。これにより、すなわち、外部電源に接続されたDCジャック135から、FET21及びコネクタ端子133を介し、プリンタ11のCPU12のADPポートへ給電が行われる。
【0034】
その後、ステップS15に移り、CPU14は、公知の適宜の手法によりプリンタ11が起動しているか否かを判定する。起動していなければステップS15の判定は満たされず(S15:NO)、ステップS17に移る。
【0035】
ステップS17では、CPU14は、プリンタ11への電源供給を停止する。具体的には、前述したようにCPU14の「P60」ポートから信号「0」がFET21に出力され、FET21がオフとなる。これにより、前述のようにFET21及びコネクタ端子133を介したCPU12の「ADP」ポートへの給電が停止される。その後、ステップS5に戻り、上記同様の手順を繰り返す。
【0036】
一方、上記ステップS15において、プリンタ11が起動していたらステップS15の判定が満たされ(S15:YES)、ステップS20に移る。ステップS20では、CPU14は、上記「RXDC3」ポートにおいて、上記プリンタ11のCPU12の「TXD」ポートから出力されるプリンタ11の接続識別情報を、受信する。この接続識別情報には、例えば、プリンタ11に係わる、ベンダID、プロダクトID、ベンダーストリング、プロダクトストリング、デバイスID、シリアルナンバー等が含まれる。なお、このステップS20で実行する処理が各請求項記載の情報取得処理に相当すると共に、ステップS20が情報取得手順に相当する。
【0037】
その後、ステップS25に移り、CPU14は、このクレードル装置100が、プリンタ11へ電源のみ供給する給電モードとなっているか否かを判定する。すなわち、このクレードル装置100は、上記のように載置部132にプリンタ11が装着されたときに、プリンタ11に対し給電のみを行う上記給電モードと、上記給電のみならず、前述のようなプリンタ11との情報送受信を行う通常モードと、の2つの動作モードが備えられている。そして、例えば上記操作端末(この図4中では適宜「PC」と略記している)10若しくはプリンタ11におけるユーザの適宜の操作により、上記2つの動作モードのいずれかが選択的に設定されている。このステップS25では、ユーザにより、上記給電モードが設定されているか否か、が判定される。給電モードであればステップS25の判定は満たされ(S25:YES)、ステップS15に戻って、上記同様の手順を繰り返す。上記給電モードでなく通常モードであれば、ステップS25の判定は満たされず(S25:NO)、ステップS30に移る。
【0038】
ステップS30では、CPU14は、前述したようにCPU14の「P21」ポートから「1」の「USBF_ON」信号を出力し、論理ゲート16をオン(信号伝達状態)とする。これにより、前述したように、上記USBジャック17の「VBUS」ポートからCPU14の「INTP05」ポートへの信号伝達が可能となり、上記USBケーブルUC1を用いた、クレードル装置100と操作端末10との通信接続(電気的な接続)が確立する。なお、このステップS30で実行する処理が各請求項記載の接続確立処理に相当すると共に、ステップS30が接続確立手順に相当する。その後、ステップS35に移る。
【0039】
ステップS35で、CPU14は、操作端末10から、ディスクリプタ、すなわち、デバイス・ストリング・デバイスID等の記述子(データやファイルの性質・取り扱い方を示す情報を記載してあるデータ)の要求があったか否かを判定する。要求がなければステップS35の判定は満たされず(S35:NO)、要求があるまでループ待機する。要求があったらステップS35の判定が満たされ(S35:YES)、ステップS40に移る。
【0040】
ステップS40で、CPU14は、上記ステップS20で取得したプリンタ11の接続識別情報(言い換えればUSBファンクションデータ)を、上記「UDPF」「UDMF」ポートから、それらにそれぞれ接続された上記USBジャック17の「D+」「D−」ポート、及び、USBケーブルUC1、を介して、操作端末10へ送信する。なお、このステップS40で実行する処理が各請求項記載の情報送信処理に相当すると共に、ステップS40が情報送信手順に相当する。その後、ステップS45に移る。
【0041】
ステップS45では、CPU14は、上記ステップS40での情報送信に基づき、当該送信された情報を受信したことに対応する操作端末10からの適宜のレスポンスデータ(詳細な説明は省略)を、上記USBケーブルUC1及び「D+」「D−」ポートを介し、上記「UDPF」「UDMF」ポートで受信したか否かを判定する。レスポンスデータを受信していなければ、ステップS45の判定は満たされず(S45:NO)、後述のステップS55に移る。レスポンスデータを受信していたらステップS45の判定が満たされ(S45:YES)、ステップS50に移る。
【0042】
ステップS50では、CPU14は、上記ステップS45でのレスポンスデータの受信に対応する適宜のデータ(詳細な説明は省略)を、上記「TXDC3」ポートから、コネクタ端子13の上記「TXD」ポートを介して、プリンタ11の上記CPU12の「RXD」ポートへ送信する。その後、ステップS55に移る。
【0043】
ステップS55では、CPU14は、上記「RXDC3」ポートにおいて、上記ステップS50でのデータ送信に基づき、当該送信されたデータを受信したことに対応する操作端末10からの適宜のレスポンスデータ(詳細な説明は省略)を受信したか否か、を判定する。レスポンスデータを受信していなければ、ステップS55の判定は満たされず(S55:NO)、上記ステップS45に戻って同様の手順を繰り返す。受信していたらステップS55の判定が満たされ(S55:YES)、ステップS60に移る。
【0044】
ステップS60で、CPU14は、プリンタ11における適宜の操作部に対するユーザの操作により、プリンタ11の電源OFFの指示があったか否かを判定する。電源OFFの指示があったときは、ステップS60の判定が満たされ(S60:YES)、ステップS85に移る。
【0045】
ステップS85では、CPU14は、「P21」ポートから「0」の「USBF_ON」信号を出力し、論理ゲート16をオフ(信号遮断状態)とする。これにより、前述したように、上記USBジャック17の「VBUS」ポートからCPU14の「INTP05」ポートへの信号伝達が不可能となり、上記ステップS30で確立された、クレードル装置100と操作端末10との通信接続(電気的な接続)が切断される。なお、このステップS85が各請求項記載の第1接続遮断手順に相当する。その後、上記ステップS15に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0046】
一方、上記ステップS60において、プリンタ11の電源OFFの指示がなかったときは、ステップS60の判定が満たされず(S60:NO)、ステップS65に移る。
【0047】
ステップS65では、CPU14は、上記ステップS55での情報受信に基づき、対応する適宜のレスポンスデータ(詳細な説明は省略)を、上記「UDPF」「UDMF」ポート、上記「D+」「D−」ポート、及び上記USBケーブルUC1を介し、操作端末10に送信する。その後、ステップS70に移る。
【0048】
ステップS70では、CPU14は、プリンタ11が載置部132から取り外されたか否かを判定する。具体的には、前述したように、プリンタ検出スイッチ136Aから上記「INTP02」ポートに入力される信号が「High」であるか否か、が判定される。装着されたままであればステップS70の判定が満たされず(S70:NO)、上記ステップS45に戻って同様の手順を繰り返す。プリンタ11が載置部132から取り外されたら、ステップS70の判定が満たされ(S70:YES)、ステップS75に移る。
【0049】
ステップS75では、CPU14は、プリンタ11への電源供給を停止する。すなわち、上記ステップS17と同様、「P60」ポートから信号「0」がFET21に出力されてFET21がオフとなり、コネクタ端子133を介したCPU12の「ADP」ポートへの給電が停止される。その後、ステップS80に移る。
【0050】
ステップS80では、CPU14は、上記ステップS85と同様、「P21」ポートから「0」の「USBF_ON」信号を出力し、論理ゲート16をオフ(信号遮断状態)とする。これにより、前述と同様、上記ステップS30で確立された、クレードル装置100と操作端末10との通信接続(電気的な接続)が切断される。なお、このステップS85が各請求項記載の第2接続遮断手順に相当する。その後、上記ステップS5に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0051】
<詳細シーケンス>
図5は、上記図4のステップS20、ステップS30、ステップS35及びステップS40の詳細内容を表すシーケンス図である。
【0052】
図5に示すように、上記ステップS20には、この例では、詳細にはステップS20a〜ステップS20jがこの順序で含まれている。すなわち、上記接続識別情報として、ステップS20aでは、プリンタ11のベンダIDが、CPU12の「TXD」ポートからクレードル装置100のCPU14の「RXDC3」ポートへと送信される。同様に、ステップS20bではプロダクトIDが送信され、ステップS20cではベンダーストリング長が送信され、ステップS20dではベンダーストリングが送信され、ステップS20eではプロダクトストリング長が送信され、ステップS20fではプロダクトストリングが送信され、ステップS20gではデバイスIDストリング長が送信され、ステップS20hではデバイスIDストリングが送信され、ステップS20iではシリアルナンバー長が送信され、ステップS20jではシリアルナンバーが出力される。なお、これらステップS20a〜20jがすべて実行される必要はなく、少なくとも1つが実行されれば足りる。
【0053】
また、上記ステップS30においては、前述したように、クレードル装置100のCPU14の「P21」ポートから論理ゲート16へ、「1」の「USBF_ON」が送信される。
【0054】
さらに、上記ステップS35には、詳細にはステップS35a〜ステップS35eが含まれ、上記ステップS40には、詳細にはステップS40a〜ステップS40iが含まれている。そして、図示のように、この例では、ステップS35a、ステップS40a、ステップS40b、ステップS35b、ステップS40c、ステップS40d、ステップS35c、ステップS40e、ステップS40f、ステップS35d、ステップS40g、ステップS40h、ステップS35e、ステップS40i、の順で、時系列的に実行される。
【0055】
すなわち、上記ステップS35aで上記ディスクリプタ要求としての「GET DESCRIPTOR(DEVICE)」がUSBジャック17からCPU14へ送信されたことに応じて、ステップS40aでは、上記ステップS20aで受信したプリンタ11のベンダIDが、CPU14の上記「UDPF」「UDMF」ポートから上記USBジャック17の「D+」「D−」ポートへと送信され、ステップS40bでは、上記ステップS20bで受信したプロダクトIDが送信される。
【0056】
また同様に、上記ステップS35bで「GET DESCRIPTOR(STRING1)」がUSBジャック17からCPU14へ送信されたことに応じて、ステップS40cでは、上記ステップS20cで受信したプリンタ11のベンダーストリング長が送信され、ステップS40dでは、上記ステップS20dで受信したベンダーストリングが送信される。
【0057】
また同様に、上記ステップS35cで「GET DESCRIPTOR(STRING2)」がUSBジャック17からCPU14へ送信されたことに応じて、ステップS40eでは、上記ステップS20eで受信したプリンタ11のプロダクトストリング長が送信され、ステップS40fでは、上記ステップS20fで受信したプロダクトストリングが送信される。
【0058】
また同様に、上記ステップS35dで「GET DESCRIPTOR(STRING3)」がUSBジャック17からCPU14へ送信されたことに応じて、ステップS40gでは、上記ステップS20iで受信したプリンタ11のシリアルナンバー長が送信され、ステップS40hでは、上記ステップS20jで受信したシリアルナンバーが送信される。
【0059】
さらに同様に、上記ステップS35eで「GET_DEVICE_ID」がUSBジャック17からCPU14へ送信されたことに応じて、ステップS40jでは、上記ステップS20hで受信したプリンタ11のデバイスIDストリングが送信される。
【0060】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態では、まず載置部132へのプリンタ11の装着有無が判定され(S5)、装着されたと判定されたら、プリンタ11の接続識別情報がプリンタ11から取得される(ステップS20)。そして、ステップS40で操作端末10との通信接続が確立された(ステップS30)後、上記取得したプリンタ11の接続識別情報が操作端末10へ送信される(ステップS40)。以上のようにして、クレードル装置100においてプリンタ11側の接続識別情報を取得し操作端末10へ送信することで、クレードル装置100と操作端末10との接続を確立させる。すなわち、クレードル装置100におけるハードウェアの制御(前述の2つの信号変換)が上記クレードル制御プログラムによって行われることとなるので、上述のデバイスドライバは不要となる。この結果、前述のようにデバイスドライバを操作端末10にインストールする必要がなくなるので、前述のようなクレードル装置100のアイコン表示を解消することができる。またこの場合、操作端末10側から見ると、当該操作端末10に対し直接プリンタ11が接続されているのと同様となる。この結果、ユーザは、クレードル装置100の存在を意識することなしに、プリンタ11のドライバ(プリンタドライバ)のみを操作端末10にインストールするだけで、クレードル装置100に装着されたプリンタ11を使用することができる。
【0061】
また、クレードル装置100は、プリンタ11が装着されていない状態では操作端末10との接続は確立されず、プリンタ11が装着された状態でのみ操作端末10との接続が確立される(ステップS5、ステップS30参照)。これにより、操作端末10に対し、プリンタ11が装着されず印刷ができない状態でクレードル装置100を認識させることはなくなり、プリンタ11が装着されて印刷可能な状態でのみクレードル装置100を認識させることができるので、ユーザにとってわかりやすい。
【0062】
また、本実施形態では特に、プリンタ検出スイッチ136Aの検出結果に基づき、プリンタ11がクレードル装置100に装着されたか否かが判定される(ステップS5)。これにより、操作端末10に対し、プリンタ11が装着されて印刷可能な状態でのみ、確実にクレードル装置100を認識させることができる。
【0063】
また、本実施形態では特に、載置部132に装着されたプリンタ11の電源がOFFされた場合に、確立されている操作端末10との通信接続が切断される(ステップS85)。これにより、いったん確立された操作端末10とクレードル装置100との通信接続を、載置部132に装着されているプリンタ11の電源がOFFされたことを契機に、確実に遮断することができる。
【0064】
また、本実施形態では特に、載置部132からプリンタ11が取り外された場合に、確立されている操作端末10との通信接続が切断される(ステップS80)。これにより、いったん確立された操作端末10とクレードル装置100との通信接続を、載置部132に装着されているプリンタ11が取り外されたことを契機に、確実に遮断することができる。
【0065】
なお、以上において、図2中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0066】
また、図4に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0067】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0068】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0069】
10 操作端末
11 プリンタ(印刷装置)
13 クレードル装置
14 CPU(演算手段、制御手段)
17 USBジャック(接続手段)
132 載置部(着脱手段)
136A プリンタ検出スイッチ(検出手段)
図1
図2
図3
図4
図5