特許第6799797号(P6799797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6799797
(24)【登録日】2020年11月26日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】刃先交換式穴あけ工具
(51)【国際特許分類】
   B23B 51/00 20060101AFI20201207BHJP
   B23B 51/06 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   B23B51/00 T
   B23B51/00 L
   B23B51/06 B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-209888(P2018-209888)
(22)【出願日】2018年11月7日
(65)【公開番号】特開2019-104102(P2019-104102A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2018年11月7日
(31)【優先権主張番号】特願2017-236529(P2017-236529)
(32)【優先日】2017年12月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000221144
【氏名又は名称】株式会社タンガロイ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】塩田 雄介
【審査官】 久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−085511(JP,U)
【文献】 特開平10−180515(JP,A)
【文献】 再公表特許第2010/092807(JP,A1)
【文献】 特開昭51−097880(JP,A)
【文献】 特表2008−529811(JP,A)
【文献】 特開2012−143866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 51/00
B23B 51/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削インサートと、
円筒状であり、外周に切りくず排出溝が形成され、先端部に前記切削インサートが載置可能なチップ座が形成されるボデーと、
を備える刃先交換式穴あけ工具であって、
工具径が15mm以下であり、
前記切削インサートの切れ刃は、前記切削インサートをその上面に対向する方向から見たとき少なくとも一つの段差部を有し、該段差部を挟んで一方側に位置した第1の部分切れ刃と、他方側に位置した第2の部分切れ刃と、に分割され、
前記第2の部分切れ刃は、前記第1の部分切れ刃よりも前記切削インサートの中心側に後退しており、
前記切削インサートの側面は、前記チップ座を構成する壁と当接する当接面を有し、
前記当接面は、前記第1の部分切れ刃に臨む部位と、前記第2の部分切れ刃に臨む部位とが面一に形成され、かつ前記切削インサートの切れ刃に垂直な断面で見たとき、前記第2の部分切れ刃よりも更に前記切削インサートの中心側に後退しており、
前記切りくず排出溝を構成する壁面のうち、前記ボデーの回転方向と反対方向を向く壁面は、その先端部に、前記切削インサートの上面の一部を覆うように突出する張り出し部を有し、
前記張り出し部と前記切削インサートの上面との隙間の大きさの最大値は、前記チップ座を構成する壁の高さよりも小さい刃先交換式穴あけ工具。
【請求項2】
前記切削インサートを一つだけ備え、該切削インサートは、前記ボデーの中心軸線に重畳するように配置されている、請求項1に記載の刃先交換式穴あけ工具。
【請求項3】
前記切削インサートは、前記ボデーの外周に面した右側面と、該右側面とは反対側の左側面と、を有し、
前記右側面から前記左側面への向きを左向きとしたとき、前記張り出し部の先端は、前記チップ座の底面に垂直な方向から見て、前記中心軸線よりも左向きに進んだ位置に配置されている、請求項2に記載の刃先交換式穴あけ工具。
【請求項4】
L/Dが10以上である(ただし、L:切りくず排出溝の長さ D:工具径を示す)請求項1からのいずれか一項に記載の刃先交換式穴あけ工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は刃先交換式穴あけ工具、特に小径かつ深穴を加工する刃先交換式穴あけ工具に関する。
【背景技術】
【0002】
比較的小径のガンドリルを製造する場合、必然的に切削インサートの大きさと、それを設置する場所であるチップ座が小さくなる。チップ座が小さくなるということは、チップ座の周囲にある拘束壁(切削インサートと接触する壁)の高さも低くなる。拘束壁が低くなると、切削インサートをねじで固定する過程で切削インサートの端部が浮き上がり、拘束壁に乗り上げていても、拘束壁が低いせいで切削インサートが乗り上がったことに気付かないことがある。この状態のまま切削加工を行うと、切削インサート及びボデーの破損を引き起こす。
【0003】
そのため、小径の場合はねじ止め以外の方法が求められている。特許文献1はその対応策の一つであり、切れ刃を交換することができる深穴工具の一つが開示されている。特許文献1の深穴工具は、切れ刃を有するカッタ―板(「切削インサート」とも称される)がすくい面側から締付爪によって押圧されて固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭51−97880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような切削インサートの固定方法の場合、締付爪が別体となっているため、確実に切削インサートを固定するにはすくい面の多くの部分を押さえつける必要がある。そのため、締付爪が大きくなり、切りくず排出溝の空間を大きく占有することになる。その結果、切りくずの排出性能が低下する。
本発明は上記の課題に鑑み、切削インサートが誤った姿勢で取り付けられることを未然に防止できる刃先交換式穴あけ工具を提供することを目的とする。また、本発明は、切りくずの排出性を低下させない刃先交換式穴あけ工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る刃先交換式穴あけ工具は、切削インサートと、ボデーと、を備え、ボデーの外周に形成される切りくず排出溝の一方の溝壁の先端に、切削インサートの上面の一部を覆うようにボデーの外周方向に突出する張り出し部が形成され、その張り出し部と切削インサートの上面との隙間の最大値が、チップ座を構成する壁の高さよりも小さくなっている。
【0007】
上記態様において、工具径は、15mm以下であってもよい。
穴あけ工具の工具径を15mm以下に設定した場合、切削インサートの大きさと、それを設置するチップ座が小さくなる。チップ座が小さくなるということは、チップ座の周囲にある拘束壁の高さも低くなる。チップ座の底面に垂直な方向から切削インサートを載置しようとすると、チップ座の拘束壁と切削インサートの底面と、が接触し、切削インサートがチップ座の底面に対して傾いた状態で取り付いてしまうおそれがある。
しかしながら、この態様では張り出し部が形成されているため、チップ座の底面に垂直な方向から切削インサートを載置することができないため、切削インサートが誤った姿勢で取り付けられることを未然に防止できる。
【0008】
上記態様において、切削インサートを上面に対向する方向から見たとき、切れ刃に複数の段差部が形成されていることが好ましい。
この態様によれば、段差部において分断された切れ刃から幅の狭い切りくずが流出するようになるため、切りくずを細分化できる。
【0009】
上記態様において、L/Dは10以上であってもよい。ただし、前述したLは切りくず排出溝の長さを表し、Dは工具径を表す。
L/Dが10以上であるような小径のガンドリルを製造する場合、切削インサートの大きさと、それを設置するチップ座が小さくなる。チップ座が小さくなるということは、チップ座の周囲にある拘束壁の高さも低くなる。拘束壁が低くなると、インサートをねじで固定する過程でインサートの端部が浮き上がり、拘束壁に乗り上げていても、拘束壁が低いせいでインサートが乗り上がったことに気付かないことがある。この状態のまま切削加工を行うと、インサート及びボデーの破損を引き起こす。
しかしながら、この態様では張り出し部が形成されているため、L/Dが10以上であるような小径かつ深穴を加工する刃先交換式穴あけ工具であっても、切削インサートが誤った姿勢で取り付けられることを未然に防止できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、切削インサートが誤った姿勢で取り付けられることを未然に防止できる刃先交換式穴あけ工具を提供することができる。さらに、小径の切削インサートであっても確実に固定できて、切りくずの排出性が低下することを最小限に抑えられる刃先交換式穴あけ工具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は本発明の一実施形態に係る穴あけ工具の正面図である。
図2図2は本発明の一実施形態に係る穴あけ工具の先端部を拡大して示す斜視図である。
図3図3は本発明の一実施形態に係る穴あけ工具を拡大して示す正面図である。
図4図4は本発明の一実施形態に係る穴あけ工具を拡大して示す平面図である。
図5図5は本発明の一実施形態に係る穴あけ工具を拡大して示す背面図である。
図6図6は本発明の一実施形態に係る穴あけ工具を先端側から見た図である。
図7図7図1中のVII−VII線に沿う断面図である。
図8図8は本発明の一実施形態に係る切削インサートの斜視図である。
図9図9は本発明の一実施形態に係る切削インサートの正面図である。
図10図10は本発明の一実施形態に係る切削インサートの左側面図である。
図11図11図9中のXI−XI線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を、図面を用いて説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。本発明の各実施形態の穴あけ工具1は、切りくず排出溝4の溝壁42に張り出し部7が形成されていることが特徴の一つである(図2参照)。張り出し部7は、溝壁42と一体構造物として形成され(図7参照)、平面視において切削インサート2の上面10の一部を覆っている(図3参照)。張り出し部7は、外付けの締付爪より小さく形成できるため、切りくず排出溝4の空間を大きく占有しない。穴あけ工具1の切りくずの排出性の低下を最小限に抑えることができる。
【0013】
張り出し部7と切削インサート2との隙間bの大きさの最大値は、チップ座6を構成する壁の高さaよりも小さく設定されている(図7参照)。これにより、切削インサート2が誤った姿勢で取り付けられることを未然に防止できる。各々の切れ刃11は、段差部12を境にして部分切れ刃11a,11bに分割されているため(図9参照)、切れ刃11から流出する切りくずを細分化できる。
【0014】
切削インサート2の当接面14は、切れ刃11と面一ではなく、切れ刃11よりも切削インサート2の中心O側に後退している(図11参照)。切れ刃11が段差部12によって分割されていても、段差部12に分割されていない当接面14を形成できるため(図8及び図10参照)、切削インサート2を拘束するために十分な面積を確保できる。以下、図1から図11を参照して各構成について詳しく説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る穴あけ工具1を示す正面図である。図1に示すように、本実施形態に係る穴あけ工具1は、切削インサート2と、切削インサート2が取り付けられるボデー3と、を備えている。穴あけ工具1は、矢印Tの方向に回転して被削物に深穴を加工する。図示した例では、穴あけ工具1の工具径Dが15mmに設定されている。
【0016】
図2は、穴あけ工具1の先端部を拡大して示す斜視図である。図2に示すように、ボデー3は、略円筒状に形成されている。ボデー3の外周部には、切りくず排出溝4が、ボデー3の中心軸線に沿って直線状に形成されている。切りくず排出溝4は、溝壁(壁面)41と溝壁(壁面)42とで構成され、断面が概ねV字形状となっている。切りくず排出溝4の長さをLとすると、穴あけ工具1のL/Dは、例えばL/D=10以上に設定されている。
【0017】
図3は、穴あけ工具1を拡大して示す正面図である。穴あけ工具1の先端部において、溝壁42は、正面視で切削インサート2の上面10の一部を覆うように突出する張り出し部7を有している。張り出し部7については、図6及び図7を参照して後で詳しく説明する。
【0018】
図4は、ガイドパッド51を示す平面図であり、図5は、ガイドパッド52を示す背面図である。図4及び図5に示すように、ボデー3の先端部の外周には、二つのガイドパッド51,52がねじによってボデー3に固定されている。ガイドパッド51,52が交換可能に構成されているため、手間のかかるガイドパッドの再研磨を省略できる。ガイドパッド51,52は、切れ刃11の切削抵抗を支持するように配置され、穴曲がりにより引き起こされる穴あけ工具1の折損を防ぎ、深穴の真円度、真直度及び加工面粗さを向上させる。
【0019】
図6は、穴あけ工具1を先端側から見た図であり、図7は、図1中のVII−VII線に沿う断面図である。図6及び図7に示すように、切りくず排出溝4の溝壁41(図2参照)の先端には、切削インサート2を載置するためのチップ座6が切りくず排出溝4の溝壁41よりも凹んで形成されている。そのため、チップ座6に取り付けられた切削インサート2の上面10の位置は、切りくず排出溝4の溝壁41と概ね同じ高さになる。切りくず排出溝4の溝壁41,42のうち、回転方向Tと反対方向を向く溝壁42の先端には、張り出し部7が溝壁42と一体に形成されている。
【0020】
張り出し部7はボデー3の外周方向に向かって突出して形成されており、切削インサート2との間には隙間bが形成されている。また、穴あけ工具1を切削インサート2の上面10に対向する方向から見たとき、張り出し部7は切削インサート2の上面10の一部を覆っている。つまり、図6の断面図に示すように、張り出し部7は切削インサート2の上面10の上方に配置される。本実施形態の穴あけ工具1は、切削インサート2のねじ孔8の内周面を押さえ付けるねじに加えて、切削インサート2が浮き上がる方向の移動を規制する張り出し部7を有しているため、小径の切削インサート2であっても確実に固定できる。
【0021】
しかも、張り出し部7と切削インサート2との隙間bの大きさの最大値は、チップ座6を構成する壁の高さaよりも小さく設定されている。厳密には、チップ座6を構成する壁のうち、切削インサート2に当接する部分61(以下、この部分を「拘束壁」と呼称する)の高さaよりも、隙間bの最大値は小さく設定されている。なお、切削インサート2の側面形状よっては拘束壁6の高さaが部位によって異なることがある。その場合はより低い方の高さaを基準にして張り出し部7と切削インサート2との隙間bの最大値が設定される。
【0022】
仮に、張り出し部7がない穴あけ工具であれば、チップ座6の底面に垂直な方向から切削インサート2を載置することもできるため、チップ座6の拘束壁61と切削インサート2の底面とが接触するような、切削インサート2がチップ座6の底面に対して傾いた状態で取り付いてしまうおそれがある。これに対し、図7に示された本実施形態の穴あけ工具1では、拘束壁61の高さaよりも、隙間bの最大値は小さくなるように張り出し部7が形成されているため、チップ座6の底面に垂直な方向から切削インサートを載置することができない。切削インサート2が誤った姿勢で取り付けられることを未然に防止できる。
【0023】
図8は、本発明の一実施形態に係る切削インサート2の斜視図である。図8に示すように、切削インサート2は、すくい面となる上面10と、上面10とは反対側の下面9と、上面10及び下面9を繋ぐ側面13と、を有している。切削インサート2の中心Oには、上面10及び下面9を貫通するねじ孔8が形成されている。
【0024】
上面10と側面13とが交差する稜線Rには、切れ刃11が形成されている。図示した例では、稜線Rの一側と、該一側とは反対側の他側とに一対の切れ刃11,11が形成されている。なお、稜線Rに形成される切れ刃11の数は限定されず、一つであってもよいし、三つ以上であってもよい。一対の切れ刃11は、切削インサート2の中心Oに対して点対称に形成されている。側面13は、各々の切れ刃11,11に接続する一対の部分15と、各々の部分15に隣接する一対の当接面14と、を含んでいる。部分15及び当接面14については、図10及び図11を参照して後で詳しく説明する。
【0025】
図9は、切削インサート2の正面図である。図9に示すように、切削インサート2をその上面10に対向する方向から見たとき、切削インサート2に形成された切れ刃11は段差部12をそれぞれ有している。すなわち、段差部12を挟んで図面左側に位置する部分切れ刃11aの位置と、段差部12の右側に位置する部分切れ刃11bの位置と、を比較したとき、部分切れ刃11bの方が切削インサート2の中心O側に向って後退した位置になっている。切れ刃11が段差部12を有することで部分切れ刃11a,11bに分割され、切れ刃11から流出する切りくずが分割されて細分化される。
【0026】
図10は、切削インサート2の左側面図であり、図11は、図中のXI−XI線に沿う断面図である。図10及び図11に示すように、切削インサート2の側面13には、チップ座6を構成する壁と当接する当接面14が形成されている。当接面14は、側面13の部分のうち切れ刃11に接続する部分15よりも相対的に下面9に近い位置に形成される。また、当接面14は図10の断面図に示すように、切れ刃11よりも切削インサート2の中心O側に後退した位置にある。換言すると、当接面14は、切削インサート2の中心軸線に沿う高さ方向において当該部分15の下側に形成され、中心Oから放射状に延びる径方向において、当該部分15よりも中心O側に凹んでいる。
【0027】
次に、上記実施形態の効果について説明する。切りくず排出溝4の溝壁42と一体的に張り出し部7が形成されることで、従来よりも切削インサート2の上面10を覆う面積が小さくても足り、その結果切りくず排出溝4の断面積を大きく確保できる。
【0028】
穴あけ工具1の工具径Dを例えば15mm以下に設定した場合であっても、張り出し部7が形成されることで切削インサート2が誤った姿勢で取り付けられることを防止できる。すなわち、穴あけ工具1の工具径Dを15mm以下に設定した場合、切削インサート2の大きさを工具径の縮小に伴って小さくしていくことは難しいため、チップ座6の底面に垂直な方向から切削インサート2を載置しようとすると、チップ座6の拘束壁61と切削インサート2の底面と、が接触し、切削インサート2がチップ座6の底面に対して傾いた状態で取り付いてしまうおそれがある。
【0029】
一方、張り出し部7が形成されている本実施形態によれば、チップ座6の底面に垂直な方向から切削インサート2を載置することができなくなり、切削インサート2はチップ座6の底面に対して平行な方向からしか載置できなくなる。そのため、傾斜した姿勢で切削インサート2がチップ座6に取りつくことが未然に防止される。
【0030】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1…穴あけ工具、2…切削インサート、3…ボデー、4…切りくず排出溝、6…チップ座、7…張り出し部、8…ねじ孔、9…下面、10…上面、11…切れ刃、11a,11b…部分切れ刃、12…段差部、13…側面、14…当接面、15…側面の一部、41,42…溝壁(壁面)、51,52…ガイドパッド、61…拘束壁、a…拘束壁の高さ、b…張り出し部と切削インサートとの隙間、D…工具径、L…切りくず排出溝の長さ、O…中心、R…稜線、T…回転方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11