特許第6799891号(P6799891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6799891
(24)【登録日】2020年11月26日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】紙パック切断刃誘導器具
(51)【国際特許分類】
   B26B 29/06 20060101AFI20201207BHJP
   B26D 7/01 20060101ALI20201207BHJP
   B26D 1/06 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   B26B29/06
   B26D7/01 C
   B26D1/06 Z
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-107468(P2020-107468)
(22)【出願日】2020年6月23日
【審査請求日】2020年6月23日
(31)【優先権主張番号】特願2020-46755(P2020-46755)
(32)【優先日】2020年3月17日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520094189
【氏名又は名称】中川 種博
(74)【代理人】
【識別番号】100180482
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 将隆
(72)【発明者】
【氏名】中川 種博
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3137458(JP,U)
【文献】 特開2011−102151(JP,A)
【文献】 特開2002−066173(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3177777(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 29/06
B26D 1/06
B26D 7/01
B65B 69/00
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角柱型の胴体部分を有する立体的な紙パックを平板状にコンパクトにまとめられるよう加工するための紙パック切断刃誘導器具であって、

紙パック挿入口を有してなる、紙パックの断面と同一形状・同一寸法の内寸を有する四角柱型の筒からなる胴体部差込筒と、
紙パックの断面と同一形状・同一寸法の内寸を有する浅底の箱からなる、底面部差込筒と、
胴体部差込筒と底面部差込筒との間に存在するコの字状の溝であって、切断器具の刃を外部から挿通できるだけの幅を有する切断刃導入溝と、
を備え、

紙パックの底面部が底面部差込筒に収容された状態で紙パックを固定支持している際、切断刃導入溝に外部から挿通された切断器具の刃を、当該切断刃導入溝に沿って誘導する
ように構成されたことを特徴とする、紙パック切断刃誘導器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体形状の紙パックをコンパクトにまとめられるよう加工する紙パック切断刃誘導器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、全世界の温室効果ガス排出量が、かつてないほどの記録的な水準に達している。
このような逼迫した状況のもと、自然環境に対する負荷軽減を図るべく資源の再利用が世界規模で意識されている。昨年の国連気候行動サミットにおいて、各国が利害の主張を繰り広げ、議論が紛糾するなか、環境活動家の10代少女が熱弁をふるったことは記憶に新しいところである。
【0003】
少資源国といわれる日本では、資源の再利用は今に始まったことではなく、すでに何十年も前から牛乳パックなどの紙製パックを資源として回収し有効活用する取組がなされてきた。
【0004】
全国牛乳容器環境協議会の実態調査によれば、ここ数年、使用済紙パックの回収率は横ばい傾向にある。
2017年度における使用済紙パックの回収率は34.9%にとどまっており、現状、使用済紙パックの3本に1本しか回収が進んでいない計算になる。
日本が世界各国と足並を揃えていくためには、さらなる使用済紙パックの資源回収を啓発することが必要と思われる。
【0005】
上述したような紙パックの資源回収が促進されるよう、過去においても様々な原理の紙パック切断器具や紙パック切断刃誘導器具が提案されてきた(特許文献1〜5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−161999号公報
【特許文献2】特開2005−013693号公報
【特許文献3】特開2012−192136号公報
【特許文献4】実登3137458号公報
【特許文献5】特願2020−046755号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
飲料用の紙パックは、液体を収容するというその機能ゆえに、一定の体積を持つよう立体的に構成されている。
市場でよく見かける1000ミリリットルの容量をもつ牛乳パックは、図2(a)に示すように四角柱型の胴体部分(容体)を持ち、上部が三角屋根型に形成されたものが多い。なお、胴体部分は一般に、幅70mm・奥行70mm・高さ194mmの内寸が採用される。
【0008】
消費者の環境意識を高めるため、市販の紙パックには、資源回収時における紙パック形状の模範例として、図2(b)のような1層のみのシートに展開された形状が表示(印刷)されているのをしばしば見かける。
すなわち、隣合う2枚の側面に共通する長辺(以下、「コーナー稜線」という)に沿って紙パックを切断し、かつ紙パックの底面ちかくにおいて3枚の側面を水平方向に切断する。
図2(a)の紙パックPKを例にとると、まず三角屋根部TPを開いてから、コーナー稜線RG−1に沿って紙パックを切断し、最後に、側面部分SD−1・SD−3・SD−4を底面部BTよりもわずかに上の位置で水平方向に切断することで、図2(b)の模範形状を得ることができる。
【0009】
上述した特許文献1〜4の技術は、図2(b)の模範形状を参考に、切断後において紙パックの各側面がたがいに重なり合うことなく1層のみ(一重)のシートとなるよう、紙パックを加工する技術内容となっている。
【0010】
特許文献1の技術によれば、紙パック胴体部分(四角柱型)の軸方向に、ある1つの側面(たとえば図2(a)のSD1)の中央部分を切り開く。
これと同時に、W字型の切断刃をパック容器軸方向と垂直に押当てることで、パック容器の底面部分BTを胴体部分から切離す。
すなわち、切断後の紙パックの形状として、図3(a)の形状を得る。
【0011】
また、特許文献2〜4の技術においては、隣接する2つの側面に共通するコーナー稜線沿いに紙パックを切断する。
特許文献2の技術では、紙パックの胴体部分をいずれか1本のコーナー稜線RG(たとえば図2(a)のRG−1)に沿って切断しつつ、正方形型の底面部BTを重心から各頂点にむけて切ることで、切断後の形状として図3(b)の形状を得る。
また、特許文献3の技術は、隣接する各側面の間にある4本のコーナー稜線RG−1〜RG−4すべてを切断することで、切断後の紙パック形状として図4の形状を得る。
【0012】
図2(b)に示した展開図は、回収時における理想的な模範形状の1つであることに相違ない。
実際、市場流通している紙パックには、この模範形状が印刷されたものが多く見受けられる。
そのため、特許文献1・2に代表されるように、紙パック切断後の形状が図2(b)の模範形状に近しくなることを目指した既存技術が非常に多く看取される。
また、特許文献4の紙容器切断補助装置を用いた場合にも、同文献4の図10(a)に明示されるように、本願・図2(b)に示す模範形状に紙パックが解体される。
【0013】
特許文献1・2の技術は、切断後の形状を模範形状に近づけるべく、紙パック胴体部分の側面SDもしくはコーナー稜線RGを垂直方向に一刀両断する機能を備えている。
それゆえに、同文献1・2の器具は、直方体形状の紙パックを器具内部に完全に収容する構造になっている。
そのため、特許文献1・2では器具のサイズが紙パックのサイズを上回ってしまい、発明の原理上、紙パック切断器具の「小型化が図れない」という技術的宿命がある。
同様に、特許文献4の技術についても、紙パック胴体部分をコーナー稜線RGに沿って軸方向に切断するため、紙容器切断補助装置のサイズが、最低限、紙パックのサイズと同寸法であることが必要となり、やはり装置を小型化することは難しい。
【0014】
さらに、紙パック切断器具のサイズがかさばってしまうと、自然、携帯性も損ねることになる。
携帯性は、消費者目線からすると往々にして、器具利用の手軽さにつながる。そのため、いかに優れた機能を備えていても、外寸が大きく手軽さの感じられない紙パック切断器具は使用頻度も少なくなりかねない。
特に、一般家庭向けに購入・使用してもらうためには、小型・軽量かつ構造が簡易で、製造コストがかさまず、廉価に提供(販売)できることが望ましい。
【0015】
また、特許文献1〜3の技術においてはいずれも、紙パックが実際に挿入されていない非使用時であっても、紙パックを切断する刃がむき出しの状態となっている。
そのため、実際に紙パックの解体を行わないときでも、鋭利な切断刃により、器具の利用者が誤って怪我を負ってしまうリスクがある。
【0016】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、紙製パックを平面的にまとめられるような形状に加工できるとともに、従来の紙パック切断器具・紙パック切断刃誘導器具にくらべ「小型かつ安全な構成」とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
ところで、上記の課題を解決するために、本願発明者は、過去に特許文献5において、自ら発明した以下のような紙パック切断器具900(図5)を開示している。
〔特許文献5の従来技術〕
特許文献5の紙パック切断器具900は、四角柱型の胴体部分を有する立体的な紙パックを平板状にコンパクトにまとめられるよう加工する切断器具であって、
凹状刃が外縁の一部に設けられたスライダ901と、同スライダ901を差込んで摺動できる基体902と、を有している。

スライダ901は、
中央部が両端部よりも引っ込んだ凹型に切断刃が配置されてなり、薄板状の切断刃において一方が垂直面をなすとともに他方が傾斜面をなしている前記凹状刃と、
凹状刃を挟持するための支持溝が一辺に設けられた支持板と、
支持板において支持溝に対向する他辺に取付けられる部材であって、スライダを基体に対して摺動する際、使用者によって把持される持手と、
を備えている。

また、基体902は、
平たい直方体形状を有する基台と、
スライダの支持板の断面と同一形状・同一寸法の開口部であって、基台の上面に設けられた、スライダを基体に差込むためのスライダ挿入口と、
四角柱型の紙パック胴体部分の方形断面と同一寸法・同一形状の開口部であって、基体内部におけるスライダの移動方向と垂直な基台片面のみに設けられた、紙パックの底面部を基体に差込むための紙パック挿入口と、
を備えている。

紙パック切断器具900において、基体902の紙パック挿入口から紙パックPKの底面部を差込み、紙パック挿入口に対向する紙パック停止壁に同底面部を押付けた状態(図5)にして、スライダ901先端の凹状刃を基体内にある切断刃停止壁まで押込んでいくと、
(1)凹状刃の両端部が、紙パック胴体部分の左右側面を紙パック軸方向と垂直に切断するとともに、
(2)凹状刃の刃渡り全体が、紙パック胴体部分の正面を紙パック軸方向と垂直に切断する。
【0018】
上述したように、図2(b)に示した模範形状は、回収時における理想的な形状として、全国津々浦々まで広く浸透している。
しかしながら、この模範形状が印刷された紙パックが長きにわたり流通し続けたことで、当該形状は、日本国内において消費者の紙パック収集における強い既成概念を形成し、消費者による発想を硬直化させてしまっていたとも思える。
【0019】
特許文献5において、本願発明者は、このような既成概念と一線を画し、異なる観点から紙パック切断器具900(図5)を発想した。
【0020】
古紙パルプの再生行程においては、古紙と温水と薬品(苛性ソーダ・脱墨剤など)をパルパーと呼ばれる大型のミキサに投入し、これらを攪拌して古紙を粥状にすることで、紙繊維からインクを剥がしやすくしている。
このような行程に鑑みると、特許文献1〜4の既存技術のごとく、紙製パック容器を構成する各側面が「2重に折り重ならない」よう1枚(1層)のシートに展開(切断)することは、紙パックの資源回収において必須要件ではないものと考えられる。
上述したように、1層のみのシートであるか、何層かが折り重なったシートであるかの分け隔てなく、いかなる形状であっても、古紙は、古紙パルプの再生行程において粥状のどろどろした状態で混ぜられてしまうからである。
【0021】
このような観点から、特許文献5において、本願発明者は、資源回収する際の紙パック形状は、図7(b)・図7(c)に示すごとく平板的な形状でありさえすれば、四角柱の側面がたがいに重なり合った2層形状(2枚の紙が重なった形状)であっても問題ないものと考えた。
そこで、着眼したのは「紙パックの底面部BT」である。
【0022】
紙パックを2層の平板状に加工するという着想を具体化するため、特許文献5の技術においては、紙パック胴体部分(四角柱)は原形をとどめたままとし、「底面部BT近くのみを加工」する。
すなわち、特許文献5の紙パック切断器具を使用して紙パックPKを切断した場合、紙パック胴体部分は筒型を維持し、これらの全側面はいずれも互いに切り離されることはない(図7(a)参照)。
特許文献5の器具により底面部BTを切断した後の紙パックPKは、四角柱の隣合う側面SD同士が重なり合った2層形状(図7(b)のように2枚の紙が重なった形状)を呈するものであり、特許文献1〜4の技術により得られる紙パック形状(ひとえのシート)とは発想を異にするものである。
【0023】
なお、紙パックPKの底面部BTは、一般的に何層かに紙を折込むことで、平坦な底面を形成している。
このように複数の紙を重ねてあることで、底面部BTは、一層のみの紙で形成された胴体部分側面よりも剛性が高くなっている。
図5のように本願発明者が創作した特許文献5の紙パック切断器具900を使用し、図6(c)に示す切断線CL沿いに凹状刃で側面SDを切断していく作用も、紙パックの底面BTが強固に作られており凹状刃からの圧力が側面部SDに充分伝達されるがゆえに達成される。
それゆえに、切断線CL(切断する位置)が底面部BTからかなり離れたところでは、凹状刃で側面を切断しようとすると凹状刃からの圧力がかかったところがたわんでしまい、うまく切断することができない。
本願発明者の試行によれば、切断線CL(切断する位置)が底面部BTから1mm〜20mm離れた範囲内であれば、本紙パック切断器具により有効に図7(a)の形状に加工可能である。
【0024】
特許文献5の発明によれば、使用時は立体形状で飲物を収容する紙パックについて、その容積を小さくする際の作業が容易かつワンアクション(1回の動作)で済み、手間を大幅に減らすことができる。
具体的には、紙パックPKの底面部BTを紙パック挿入口にはめ込んだのち、スライダを押込むだけの単純かつ短時間の作業で済む(図5参照)。
紙パックPKの加工に要する作業時間が短いことは使用者にとって大きなメリットをもたらし、ひいては紙パックの回収率向上にも資するものと考えられる。
【0025】
また、特許文献5によれば、切断後の紙パック形状は平板状であり(図7(b)参照)、リサイクル業者が収集にくるまでの期間中、家庭内で保管することができる。
さらに、紙パックを収集拠点に運搬する際にも、平板状で容積がきわめて少ないことから、人手で運ぶ場合にも一度に大量に抱えることができる。
【0026】
なお、特許文献5によれば、紙パック軸方向に沿ってコーナー稜線RGを切断する発想から離れることで、紙パック切断器具1の全体形状を小型化できる(図5)。
それゆえに、携帯性をも獲得可能となり、消費者にとって紙パックの加工作業が手軽で身近なものとなる。
【0027】
さらに、特許文献5の紙パック切断器具は小型・軽量かつ構造が簡易なことから、製造コストに加えて販売価格も低廉にすることが可能となる。
その結果、紙パック切断器具の一般家庭における普及率向上が期待でき、ひいては紙パック回収率の向上にも寄与しうる。
【0028】
今回、本願発明者は、過去発明した特許文献5の技術的思想から発想を転換し、紙パック切断器具900のように切断刃を備えた構成ではなく、使用者がもちいる任意の切断器具(たとえば、包丁・ナイフなど)の切断刃の誘導のみを行う器具を着想した(図1(a)参照)。
〔第1発明〕
上記課題を解決するために、本願の第1発明は、四角柱型の胴体部分を有する立体的な紙パックを平板状にコンパクトにまとめられるよう加工するための紙パック切断刃誘導器具であって、

紙パック挿入口を有してなる、紙パックの断面と同一形状・同一寸法の内寸を有する四角柱型の筒からなる胴体部差込筒と、
紙パックの断面と同一形状・同一寸法の内寸を有する浅底の箱からなる、底面部差込筒と、
胴体部差込筒と底面部差込筒との間に存在するコの字状の溝であって、切断器具の刃を外部から挿通できるだけの幅を有する切断刃導入溝と、
を備え、

紙パックの底面部が底面部差込筒に収容された状態で紙パックを固定支持している際、切断刃導入溝に外部から挿通された切断器具の刃を、当該切断刃導入溝に沿って誘導する構成とした。
【0029】
第1発明に係る紙パック切断刃誘導器具によれば、同誘導器具自体は切断刃を持つように構成されていないものの、切断刃導入溝13に対して外部から挿通された切断器具の刃を誘導する。
これにより、紙パック胴体部分の連なる3つの側面を紙パック軸方向と垂直に切断することができ(図1(b)参照)、上記特許文献5と同様の効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】(a)は実施形態1の紙パック切断刃誘導器具を示す外観斜視図、(b)は実施形態1の紙パック切断刃誘導器具の使用状態を示す模式図である。
図2】紙パックを示す模式図であって、(a)は切断する前の状態の斜視図、(b)は紙パック回収時における模範形状を表す平面図である。
図3】従来技術による切断後の紙パック形状を示す模式図であって、(a)は特許文献1による切断後の紙パック形状の平面図、(b)は特許文献2による切断後の紙パック形状の平面図である。
図4】従来技術である特許文献3による切断後の紙パック形状の平面図である。
図5】従来技術(特許文献5)の紙パック切断器具の使用状態を示す模式図である。
図6】従来技術(特許文献5)において加工される紙パックの模式図であって、(a)は全く手を加えていない状態、(b)は紙パックの上部を開放した状態、(c)は底面ちかくの側面を切断した状態である。
図7】従来技術(特許文献5)において加工された紙パックの模式図であって、(a)は3枚の側面から切り離した底面部を開けた状態、(b)は折り重ねた状態、(c)は上方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図1乃至図7を参照して、本発明の紙パック切断刃誘導器具について説明する。
[実施形態1]
図1(a)のように、紙パック切断刃誘導器具1は、胴体部差込筒11と、底面部差込筒12と、切断刃導入溝13と、を備えている。
本誘導器具1の全体形状は、概ね、切込の入った直方体形状の箱型であり、切断刃導入溝13により、胴体部差込筒11と底面部差込筒12の2つの空間に隔てられている。
より詳細には、本誘導器具1は、加工対象である紙パックPKの胴体部分よりも高さが低く、紙パックPKの断面と同一形状・同一寸法の内寸を有する四角柱型の中空構造体である。
【0032】
胴体部差込筒11は、紙パック挿入口14を有してなる筒であって、紙パックPKの断面と同一形状・同一寸法の内寸を有する四角柱型の筒である。
紙パック挿入口14から、底面部BTを先頭にして紙パックPKが差込まれる(図1(b)参照)。
【0033】
底面部差込筒12は、紙パックPKの断面と同一形状・同一寸法の内寸を有する浅底の箱である。
同差込筒12は、切断刃導入溝13を介して、胴体部差込筒11と連通している。
底面部差込筒12は、紙パックPKの切断時に、紙パックの底面部BTを収容する役割を果たす。
【0034】
切断刃導入溝13は、胴体部差込筒11と底面部差込筒12の間に介在する溝である。
当該溝13は、紙パック切断刃誘導器具1の3つの側面を横断するように(紙パック軸方向と直交する向きに)、コの字状に形成されている。
切断刃導入溝13には、包丁・ナイフ・カッターナイフその他の切断器具(図示略)の刃を外部から挿通できるよう、刃の厚みよりも大きな幅を持たせてある。
【0035】
紙パック切断刃誘導器具1には、その使用時、図1(b)のように、底面部BTが底面部差込筒12の内部空間に収容される向きに紙パックPKが差込まれる。
この状態で、使用者は、別途準備しておいた切断器具(図示略)の刃を切断刃導入溝13に挿通させ、胴体部差込筒11および底面部差込筒12により固定支持されている紙パックの側面を横断的に切断する。
すなわち、切断刃導入溝13は、切断器具(図示略)の刃を当該溝13に沿って誘導する役割を果たす。
これにより、特許文献5と同様に、図7(b)のような2層の平板状に紙パックを加工することができる。
実施形態1の器具1を用いて得られる加工後の形状は、紙製パック容器を構成する各側面が「2重に折り重ならない」よう1枚(1層)のシートに展開する従来の手法(図2図4)とは、技術的観点がまったく異なっている。
【0036】
また、実施形態1の紙パック切断刃誘導器具1では、コーナー稜線RG沿いに(つまり、紙パック軸方向に)紙パックPKを切断する動作を伴わない。
そのため、紙パック胴体部分よりも本誘導器具1の高さが低くでき、小型化が図られる。これは、特許文献4の使用状態(同文献4・図7(b))を参照しても、本願技術の既存技術に対する有利な効果は顕著である。
特許文献4の紙容器切断補助装置は、同文献4・図7(b)のように紙パック全体をその装置内に収容する構造となっており、紙容器切断補助装置の「装置寸法が紙パックを上回ってしまう」ためである。
さらに、本願の紙パック切断刃誘導器具1では、器具の小型化という技術的利点から軽量化・携帯性のメリットが派生し、付随的に、製造コストや末端販売価格の低廉化にも資することできる。
【0037】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が理解し得る各種の変形が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 紙パック切断刃誘導器具
11 胴体部差込筒
12 底面部差込筒
13 切断刃導入溝
14 紙パック挿入口
【要約】
【課題】紙製パックを平面的にまとめられるような形状に加工できるとともに、従来の紙パック切断器具・紙パック切断刃誘導器具にくらべ小型な構成とする。
【解決手段】紙パック切断刃誘導器具1は、紙パック挿入口14を有してなる、紙パックの断面と同一形状・同一寸法の内寸を有する四角柱型の筒からなる胴体部差込筒11と、紙パックの断面と同一形状・同一寸法の内寸を有する浅底の箱からなる、底面部差込筒12と、胴体部差込筒11と底面部差込筒12との間に存在するコの字状の溝であって切断器具の刃を外部から挿通できるだけの幅を有する切断刃導入溝13と、を備える。紙パックの底面部BTが底面部差込筒12に収容された状態で紙パックを固定支持している際、切断刃導入溝13に外部から挿通された切断器具の刃を、当該切断刃導入溝13に沿って誘導する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7