(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記運転モード判定部は、前記異常判定部が異常を判定すると、前記制御対象装置の処理を停止させる運転モード、または、前記制御対象装置を所定の位置に移動させる運転モードを選択し、選択した運転モードに対応する制御回路を前記可変回路領域に構成する、
請求項1から請求項2の何れか1項に記載の制御装置。
前記動作中に論理回路の組替えが可能なデバイスに設定された固定回路に前記制御対象装置の異常を判定する回路、または、前記制御対象装置を継続して運転することが可能かどうかを判定する回路を備える、
請求項4に記載の制御装置。
前記制御部は、前記運転モード判定部が構成した制御回路を用いて前記決定した運転モードに応じた処理を行い、当該処理の結果に基づく前記制御対象装置の状態を示す情報を前記運転モード判定部に出力する、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小型移動体に対する上記のニーズを満たすためには、移動体に搭載する装置の小型化や省電力化が課題である。例えば、小型の無人航空機は、最大積載量が数Kg以下で、一回の飛行時間も数十分と短いものが多数である。このような小型移動体では、搭載する装置の消費電力が稼働時間に大きく影響する。従来、小型移動体に搭載する装置としては、センサや、予め決まった信号処理を行う固定回路及びプロセッサ及びメモリから構成される制御装置が考えられる。しかし、上記のとおり小型移動体に搭載する装置が使用できる電力には制約が加わる。従って、小型移動体に搭載される制御装置は、電力の消費を抑えるために、限られた範囲をのみを監視したり、短時間のみ状況の記録が可能であったりするような機能が限定されたものであることが多かった。
【0005】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる制御装置、移動体、制御方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、制御装置は、
制御対象装置の運転モードに対応する制御回路の構成に用いる回路構成情報を記憶する記憶部と、前記制御対象装置に対する指令情報または
前記制御対象装置の状態を示す情報に基づいて、
前記制御対象装置の運転モードを決定し、
決定した前記運転モードに対応する前記回路構成情報を前記記憶部から読み込んで、当該運転モードに対応する制御回路を
、所定の可変回路領域に構成する運転モード判定部と、前記運転モード判定部が構成した制御回路を用いて前記制御対象装置を制御する制御部と、
前記制御対象装置の異常を判定する異常判定部と、前記記憶部が記憶するデータを削除するデータ削除部と、を備
え、前記データ削除部は、前記異常判定部が異常を判定すると、前記記憶部が記憶する前記回路構成情報と前記運転モードでの制御中に生成した処理結果のデータを削除する。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、制御装置は、記憶部と、基地局との通信を行う送受信部と、制御対象装置に対する指令情報または前記制御対象装置の状態を示す情報に基づいて、前記制御対象装置の運転モードを決定し、決定した前記運転モードに対応する
制御回路の構成に用いる回路構成情報を、前記送受信部を介して前記基地局から取得し、当該運転モードに対応する制御回路を、揮発性の記憶素子に設けられた所定の可変回路領域に構成する運転モード判定部と、前記運転モード判定部が構成した制御回路を用いて前記制御対象装置を制御する制御部と、前記制御対象装置の異常を判定する異常判定部と、前記記憶部が記憶するデータを削除するデータ削除部と、を備え、前記データ削除部は、前記異常判定部が異常を判定すると、前記記憶部が記憶する前記運転モードでの制御中に生成した処理結果のデータを削除する。
【0010】
本発明の第
3の態様によれば
、前記運転モード判定部は、前記異常判定部が異常を判定すると、前記制御対象装置の処理を停止させる運転モード、または、前記制御対象装置を所定の位置に移動させる運転モードを選択し、選択した運転モードに対応する制御回路を前記可変回路領域に構成する。
【0011】
本発明の第
4の態様によれば、前記所定の可変回路領域は、前記制御装置が備える動作中に論理回路の組替えが可能なデバイスに設定された可変回路領域である。
【0012】
本発明の第
5の態様によれば、前記動作中に論理回路の組替えが可能なデバイスに設定された固定回路に前記制御対象装置の異常を判定する回路、または、前記制御対象装置を継続して運転することが可能かどうかを判定する回路を備える。
【0013】
本発明の第
6の態様によれば、前記制御部は、前記運転モード判定部が構成した制御回路を用いて前記決定した運転モードに応じた処理を行い、当該処理の結果に基づく前記制御対象装置の状態を示す情報を前記運転モード判定部に出力する。
【0014】
本発明の第
7の態様によれば、前記制御装置は、前記制御対象装置
は移動体であって、前
記移動体に備えられる制御装置である。
【0015】
本発明の第
8の態様によれば、移動体は、前記制御対象装置に含まれる移動体であって、上述の何れか1つに記載の制御装置、を備える。
【0016】
本発明の第
9の態様によれば、制御方法は
、制御装置が、制御対象装置に対する指令情報または制御対象装置の状態を示す情報に基づいて、
前記制御対象装置の運転モードを決定し、
決定した前記運転モードに対応する回路構成情報を前記制御装置が備える記憶部から読み込んで、当該運転モードに対応する制御回路を
、所定の可変回路領域に構成するステップ
と、
前記構成するステップで構成した
前記制御回路を用いて前記制御対象装置を制御するステップ
と、
前記制御対象装置の異常を判定するステップと、前記異常を判定するステップにて異常を判定すると、前記記憶部が記憶する前記回路構成情報と前記運転モードでの制御中に生成した処理結果のデータを削除するステップと、を含む。
【0017】
本発明の第
10の態様によれば、プログラムは
、制御装置のコンピュータを、制御対象装置に対する指令情報または制御対象装置の状態を示す情報に基づいて、
前記制御対象装置の運転モードを決定し、
決定した前記運転モードに対応する回路構成情報を前記記憶部から読み込んで、当該運転モードに対応する制御回路を
、所定の可変回路領域に構成する手段、
前記構成する手段が構成した
前記制御回路を用いて前記制御対象装置を制御する手段、
前記制御対象装置の異常を判定する手段、前記異常を判定する手段が異常を判定すると、前記記憶部が記憶する前記回路構成情報と前記運転モードでの制御中に生成した処理結果のデータを削除する手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、小型且つ高機能な小型移動体に搭載する制御装置を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態による制御装置を
図1〜
図5を参照して説明する。
図1は、本発明に係る第一実施形態における無人の小型移動体を用いた監視システムの概略図である。
図1が示すように監視システムは、基地局1、小型移動体2を含んで構成される。小型移動体2は、例えば、無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)や無人地上車両(UGV:Unmanned Ground Vehicle)である。小型移動体2には、小型移動体2の周囲の状況を検出するための一つまたは複数のセンサ3が搭載されている。センサ3は、例えば画像センサ(カメラ)、レーザレーダ、超音波センサなどである。また、小型移動体2は、小型移動体2の位置情報を測定するためにGPS受信機を搭載している。また、小型移動体2には、小型移動体2やセンサ3を制御する制御装置10が搭載されている。制御装置10は、センサ3の検出した情報に基づいて自律的に小型移動体2の動作を制御する。また、基地局1と制御装置10とは、有線または無線の通信手段によって通信が可能であって、制御装置10は基地局1から指示情報を受信して、その指示情報に基づいて小型移動体2やセンサ3の動作を制御する。また、制御装置10は、センサ3の検出した情報を必要に応じて基地局1に送信する。なお、1基の基地局1について複数の小型移動体2が存在しても良い。
【0021】
小型移動体2は、人間が直接調査や監視のために赴くことができない危険な場所や、人間が入り込めない場所に送り込むことができるため、災害時の偵察や情報収集に活用することができる。しかし、小型移動体2は、機体が小さく搭載できる装置に制限があるため、長時間の稼働や、多くのセンサ等の機器を搭載することが困難である。また、小型移動体2に搭載できる制御装置も小型なものに限定される。そのような制御装置においては、多数の制御回路を搭載し、複雑で高度な制御を行うことは困難である。そこで、本実施形態では、少ないハードウェア・リソースを有効に活用し、状況に応じた必要な制御回路だけを動的に構成することで、小型でありながら高機能な制御装置10を提供する。
【0022】
図2は、本発明に係る第一実施形態における制御装置の機能ブロック図である。
図2が示すように制御装置10は、センサ情報取得部11、指令情報取得部12、運転モード判定部13、制御部14、運転限界判定部15、送受信部16、記憶部17を備えている。
センサ情報取得部11は、小型移動体2に搭載された各種センサが検出した情報(センサ情報)を取得する。
運転モード判定部13は、制御対象装置(小型移動体2やセンサ3)に対する指令情報または制御対象装置の状態を示す情報に基づいて、制御対象装置の運転モードを決定し、当該運転モードに対応する制御回路を所定の可変回路領域に構成する。
制御部14は、運転モード判定部13が構成した制御回路を用いて、制御対象装置の動作を制御する。また、制御部14は、運転モード判定部13が構成した制御回路を用いて前記決定した運転モードに応じた処理を行い、当該処理の結果に基づく前記制御対象装置の状態を示す情報を運転モード判定部13に出力する、
運転限界判定部15は、小型移動体2を継続して運転することが可能かどうかを判定する。
送受信部16は、基地局1などの他の装置との通信を行う。
記憶部17は、センサ情報や、運転モードに対応する制御回路の構成に必要な回路構成情報などを記憶する。
【0023】
図3は、本発明に係る第一実施形態における制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3に示す通り、制御装置10は、プロセッサ101と、FPGA(Field-Programmable Gate Array)102と、メモリ103と、入出力IF104とを含む、コンピュータ装置によって実現される。入出力IF104は、小型移動体2が備える通信装置や、センサ3や、小型移動体2が備えるプロペラやタイヤなどを駆動するアクチュエータ、小型移動体2が備えるバッテリ装置など各種装置105との信号の入出力を行うインターフェースである。プロセッサ101は、メモリ103が記憶するプログラムを読み出して、例えば、指令情報取得部12、運転モード判定部13、送受信部16の機能を実現する。FPGA102は、動作中に論理回路の組替えが可能なデバイスである。一般にFPGAは、内部の制御回路が書き換え可能であるが、本実施形態のFPGA102には、部分的かつ動的に制御回路の書き換えが可能なFPGAを用いる。部分的とは、FPGA102には固定回路が構成されているため、可変回路として設定された領域のみを書き換える意味である。また、動的とは、書き換えを行っている回路以外は動作させたまま、書き換え対象とする回路の再構成が可能であることを意味する。
【0024】
FPGA102は、固定回路と可変回路領域を有している。固定回路には、例えば、センサ情報取得部11を実現するセンサ3のコントローラに対応する回路のように、変更の必要がない回路が構成されている。あるいは、固定回路には、例えば、運転限界判定部15を実現する制御対象を継続して運転することが可能かどうかを判定する回路のように、常時動作する必要がある回路が構成されている。
また、可変回路領域には、小型移動体2の状態(運転モード)に対応する制御回路が割り当てられる。小型移動体2の運転モードに対応する制御回路の割り当ては、運転モード判定部13が、運転モードに対応する回路構成情報を用いて、FPGA102の可変回路領域に回路情報を書き込むことによって行う。これを、動的再構成と呼ぶ。回路構成情報には、FPGA102が備える大量の論理回路について、各論理回路間の接続関係を設定する接続情報が含まれている。この回路構成情報は、FPGA102の設計ツール等を用いて、ユーザが予め生成した情報である。
FPGA102の可変回路領域に構成された制御回路が動作することによって、制御装置10に制御部14の主な機能が備わる。メモリ103は、運転モード状態に対応した制御回路を形成するための回路構成情報や、センサ3が検出したセンサ情報、プロセッサ101が実行するプログラムなどを記憶する。
【0025】
図4は、本発明に係る第一実施形態における制御装置が取り得る運転モードの状態遷移図の一例である。
図4を用いて、運転モードA〜Fについて説明する。なお、小型移動体2には、センサ3の一例として画像センサ(カメラ)が備えられていて、小型移動体2を目的地へ移動させ、画像センサによって調査対象を撮像して、基地局1へ帰還させる場合の運転モードの遷移を例に説明を行う。
運転モードAは、小型移動体2がアイドル状態であるときの運転モードである。初期状態において、小型移動体2は、例えば、基地局1の近くで停止している。このとき、制御装置10は、小型移動体2を運転モードAで動作させる。
運転モードBは、小型移動体2が目的地へ移動するときの運転モードである。例えば、基地局1が小型移動体2に調査指令を行うと、小型移動体2の制御装置10は、調査対象が存在する目的地まで移動する。このとき、制御装置10は、小型移動体2を運転モードBで動作させる。
運転モードCは、小型移動体2が目的地に到達し、偵察/監視を行うときの運転モードである。小型移動体2が目的地へ到着すると、小型移動体2は、調査対象の偵察を行う。このとき、制御装置10は、小型移動体2を運転モードCで動作させる。
運転モードDは、小型移動体2が調査対象を検知するときの運転モードである。小型移動体2が偵察によって、調査対象の候補を検出すると、制御装置10は、小型移動体2を運転モードDで動作させる。運転モードDでは、制御装置10は、調査対象の候補に対してさらに詳細な判別処理を行って、調査対象候補が調査対象かどうかを判定する。この処理を調査対象の検知という。
運転モードEは、小型移動体2が調査対象を検知し、さらに追跡を行うときの運転モードである。小型移動体2が調査対象を検知すると、小型移動体2は、調査対象を追跡する。このとき、制御装置10は、小型移動体2を運転モードEで動作させる。調査対象を追跡とは、調査対象の動きを追跡し把握することである。
運転モードFは、基地局1などへ帰還するときの運転モードである。例えば、小型移動体2が調査対象の追跡を完了すると、制御装置10は、小型移動体2を運転モードFで動作させる。
これら運転モードA〜Fのそれぞれにおいて、制御装置10は、それぞれ異なる制御を行って小型移動体2を動作させる。その場合、制御装置10のFPGAに運転モードA〜Fのそれぞれに適した制御回路を搭載し、運転モードを切り替えるタイミングで制御回路を切り替えることも考えられるが、多くの回路を固定回路として搭載すると、制御装置10の大型化や重量の増大につながる。また、制御装置10の大型化を回避するために、各制御回路を小型化すると、それぞれの運転モードにおける機能を充実させることが困難になる。そこで、本実施形態では、FPGA102の可変回路領域に、そのときの運転モードに対応した制御回路を動的に形成し、小型移動体2やセンサ3の動作を制御する。
【0026】
図5は、本発明に係る第一実施形態における制御装置の処理フローの一例を示す図である。
図5を用いて、基地局1付近で待機している小型移動体2を目的地へ移動させて調査対象を撮像して基地局1に帰還させる場合において、制御装置10が運転モードに応じて制御回路を切り替える処理について説明する。前提として、記憶部17には、運転モードに対応付けて各運転モードに対応する回路構成情報が格納されている。
制御装置10は、小型移動体2を運転モードAで動作させているものとする。運転モードAでは、可変回路領域には任意の制御回路が形成されている。あるいは、空き領域となっていてもよい。
まず、基地局1が、小型移動体2に対して、調査指令情報を送信する。調査指令情報には、調査の開始を指示する情報、目的地Xの位置情報、目的地X付近のランドマーク(目印)になる建物等の情報、調査対象Yの情報(調査対象Yが人であるか車両であるか等やYの特徴など)などが含まれている。小型移動体2では、制御装置10の送受信部16が、調査指令情報を受信する(ステップS11)。送受信部16は、運転モード判定部13に調査指令情報を出力する。運転モード判定部13は、調査指令情報に含まれる調査の開始を指示する情報に基づいて、小型移動体2を運転モードBで動作させることを決定する。次に運転モード判定部13は、FPGA102の可変回路領域を、運転モードB用の制御回路に変更する(ステップS12)。具体的には、運転モード判定部13は、運転モードBに対応する回路構成情報を記憶部17から読み出す。次に、運転モード判定部13は、読み出した回路構成情報を用いてFPGA102に対して動的再構成を行い、可変回路領域に運転モードBに対応する制御回路を書き込む。可変回路領域が運転モードB用の制御回路に書き換わると、制御部14は、運転モードBで小型移動体2を動作させ、小型移動体2を目的地Xへ移動させる。例えば、運転モードB用の制御回路には、移動量算出回路や映像特徴点検出回路が含まれる。移動量算出回路が動作することによって、制御部14は、目的地Xの位置情報と小型移動体2に搭載されたGPS受信機による位置情報との差分から移動量を算出し、小型移動体2を移動させる。また、映像特徴点検出回路が動作することによって、制御部14は、目的地X付近のランドマークを検出し目的地Xへの到着を判定したり、また移動中に障害物を検出し、障害物を迂回したりすることができる。小型移動体2が、目的地Xに到着すると、制御部14が、例えば、制御部14は、目的地Xの位置情報とGPSによる位置情報との比較、目的地X付近のランドマークの検出などに基づき、目的地Xへ到着したと判定する(ステップS13)。制御部14は、目的地Xへ到着したことを示す情報(制御対象装置の状態を示す情報)を運転モード判定部13に出力する。
【0027】
運転モード判定部13は、目的地到着信号に基づいて、小型移動体2を運転モードCで動作させることを決定する。次に運転モード判定部13は、FPGA102の可変回路領域を、運転モードC用の制御回路に変更する(ステップS14)。具体的には、運転モード判定部13は、運転モードCに対応する回路構成情報を記憶部17から読み出して、FPGA102に対して動的再構成を行う。可変回路領域が運転モードC用の制御回路に書き換わると、制御部14は、運転モードCで小型移動体2を動作させ、目的地Xで調査対象Yを偵察する。例えば、運転モードC用の制御回路には、動体検出回路が含まれる。動体検出回路が動作することによって、制御部14は、例えば、センサ情報(画像センサの撮像した画像)の変化に基づいて、撮像範囲内に動体(人や車両など)が存在するかどうかを判定することができる。また、制御部14は、その動体が移動する範囲を算出することができる。制御部14は、偵察の結果、目的地Xの近辺に調査対象候補は存在するかどうかを判定する(ステップS15)。例えば、調査対象Yの特徴が「人」である場合、制御部14は、動体を検出できれば調査対象候補は存在すると判定する。調査対象候補は存在しないと判定した場合(ステップS15=No)、制御部14は判定結果を運転モード判定部13に出力し、ステップS20へ進む。調査対象候補は存在すると判定した場合(ステップS15=Yes)、制御部14は、偵察結果(動体の有無、動体有りの場合、動体の移動範囲)の情報(制御対象装置の状態を示す情報)を運転モード判定部13に出力する。また、制御部14は、偵察結果の情報を記憶部17に書き込む。
【0028】
次に運転モード判定部13は、調査対象候補ありの情報に基づいて、小型移動体2を運転モードDで動作させることを決定する。次に運転モード判定部13は、FPGA102の可変回路領域を、運転モードD用の制御回路に変更する(ステップS16)。具体的には、運転モード判定部13は、運転モードDに対応する回路構成情報を記憶部17から読み出して、FPGA102に対して動的再構成を行う。可変回路領域が運転モードD用の制御回路に書き換わると、制御部14は、運転モードDで小型移動体2を動作させ、監視候補対象をさらに詳細に分析して、調査対象候補が調査対象Yであるかどうかを検知する。例えば、運転モードD用の制御回路には、検知識別回路が含まれる。検知識別回路が動作することによって、制御部14は、例えば、記憶部17に書き込んだ動体の移動範囲を検知処理範囲として、動体を検出し、検出した動体と予め記憶部17に記録されている例えば人や車両のマッチング用テンプレート情報とを比較して、動体が人であると識別する。マッチング用テンプレート情報には、例えば人や車両の形状、サイズなどの情報が含まれている。そして、制御部14は、例えば、人が歩いているときの形状と画像センサが時系列に撮影した画像に写る動体の形状とを比較し、時系列の画像が示す動体の姿勢変化と人が歩いているときの形状の変化とが類似していれば、動体は人であると識別する。また、例えば、時系列の画像が示す動体の姿勢変化が、テンプレート情報が示す姿勢の変化に類似しない場合、制御部14は、動体は、ノイズであると識別する。制御部14は、調査対象を検知できたかどうかを判定する(ステップS17)。例えば、調査指令情報に含まれる調査対象Yが人であって、検知処理範囲の動体が人であると識別した場合、制御部14は、調査対象を検知できたと判定する。調査対象を検知できなかったと判定した場合(ステップS17=No)、制御部14は判定結果を運転モード判定部13に出力し、ステップS20へ進む。調査対象を検知できたと判定した場合(ステップS17=Yes)、制御部14は、判定結果を運転モード判定部13に出力する。また、制御部14は、調査対象の位置、調査対象の数、などを含む情報を記憶部17に書き込む。なお、検知できたかどうかにかかわらず、制御部14が運転モード判定部13に出力する判定結果は、制御対象装置の状態を示す情報である。
【0029】
次に運転モード判定部13は、調査対象を検知できたとの情報に基づいて、小型移動体2を運転モードEで動作させることを決定する。次に運転モード判定部13は、FPGA102の可変回路領域を、運転モードE用の制御回路に変更する(ステップS18)。具体的には、運転モード判定部13は、運転モードEに対応する制御回路の回路構成情報を記憶部17から読み出して、FPGA102に対して動的再構成を行う。可変回路領域が運転モードE用の制御回路に書き換わると、制御部14は、運転モードEで小型移動体2を動作させ、調査対象Yを追跡する。追跡とは、例えば画像センサの場合、調査対象Yを常に画像内に収めるように撮像し、さらに調査対象Yの動線(移動経路)を算出することをいう。例えば、運転モードE用の制御回路には、追跡回路が含まれる。追跡回路が動作することによって、制御部14は、画像センサが時系列に撮像した画像から、調査対象Yの重心位置を算出することができる。
なお、運転モード判定部13は、調査対象の数に応じて、調査対象の数と同じ数の追跡回路を可変回路領域に構成することも可能である。調査対象の数分の追跡回路を構成することで、追跡処理に要する処理時間を短縮化することができる。また、処理時間を短縮することで、省力化を図ることができる。
【0030】
次に、運転モード判定部13は、運転限界判定部15の判定結果や基地局1からの帰還指令情報に基づいて、小型移動体2を基地局1に帰還させるかどうかを判定する(ステップS19)。より具体的には、運転限界判定部15は、小型移動体2の運転を継続できるか否かを判定する。例えば、小型移動体2には、予め連続して運転できる時間(最大連続運転時間)が定められており、運転限界判定部15は、基地局1を出発してから各運転モードに遷移するまでの経過時間を測定しているものとする。このとき、運転限界判定部15は、最大連続運転時間と基地局1を出発してから現在までの経過時間との差が、運転モードBでの運転時間(出発から目的地Xまでの移動時間)に応じた所定の時間に達すると小型移動体2の運転は、これ以上継続できないと判定する。また、運転限界判定部15は、基地局1から目的地Xまでの移動距離に基づいて、基地局1〜目的地X間を移動するのに要する消費電力を算出し、小型移動体2が搭載するバッテリ装置の残容量が、移動に要する消費電力に応じた所定の容量に達すると小型移動体2の継続運転は不可であると判定してもよい。運転限界判定部15は、継続運転が不可であると判定すると、その旨の情報を運転モード判定部13に出力する。また、指令情報取得部12が、送受信部16を介して基地局1から帰還指令情報を取得すると、指令情報取得部12は、帰還を指示する情報を、運転モード判定部13に出力する。指令情報取得部12は、継続運転が不可であるとの情報、または、帰還を指示する情報を取得すると、運転モード判定部13は、小型移動体2を基地局1に帰還させると判定する(ステップS19=Yes)。これらの情報を取得しない場合(ステップS19=No)、運転モード判定部13は、小型移動体2をまだ帰還させなくてよいと判定し、ステップS19の判定を繰り返す。
【0031】
ステップS15で調査対象候補が存在しないと判定した場合、または、ステップS17で調査対象を検知できないと判定した場合、または、ステップS19で小型移動体2を帰還させると判定した場合、運転モード判定部13は、小型移動体2を運転モードFで動作させることを決定する。次に運転モード判定部13は、FPGA102の可変回路領域を、運転モードF用の制御回路に変更する(ステップS20)。具体的には、運転モード判定部13は、運転モードFに対応する制御回路の回路構成情報を記憶部17から読み出して、FPGA102に対して動的再構成を行う。可変回路領域が運転モードF用の制御回路に書き換わると、制御部14は、運転モードFで小型移動体2を動作させ、小型移動体2を例えば基地局1に帰還させる。例えば、運転モードF用の制御回路には、移動量算出回路が含まれる。移動量算出回路は、運転モードBで説明したものと同様である。
【0032】
FPGAの動的再構成機能を利用すると、状況に適した専用の制御回路を切り替えて形成することができる。本実施形態によれば、小型移動体2が搭載できる制御装置10のように、ハードウェア・リソースに制限がある場合であっても、運転モードごとに制御回路を切り替えて構成することによって、限られた可変回路領域をその時々の状況に応じた制御回路に割り当てることで必要な機能を具備することが可能になる。また、従来の制御装置10では、例えば上述の各運転モードに対応する制御回路をそれぞれ備えなければならないところ、本実施形態によれば、FPGA102の可変回路領域を運転モードに応じて切り替えて使用するので、制御回路を実装した基板の小型化、制御装置10自体の小型化を図ることができる。また、制御装置10のサイズを小さくすることで、小型移動体2の重量負荷を低減することができ、小型移動体2の省電力化を実現することができる。また、制御装置10を軽量化することで、最大搭載重量に対する余裕ができるので、必要機能とペイロード(有効積載量)の両立を実現する。また、運転モードの遷移にあたっては、それぞれの運転モードで生成した情報のやりとりを、記憶部17を介して行うことができるので、運転モードを変更しても、シームレスな一連の処理が可能となる。
【0033】
<第二実施形態>
以下、本発明の第二実施形態による制御装置10を
図6〜
図7を参照して説明する。
図6は、本発明に係る第二実施形態における制御装置の機能ブロック図である。
図6で示すように、本実施形態の制御装置10における記憶部17は、運転モードごとの回路構成情報を記憶していない。本実施形態では、運転モード判定部13が、運転モードの変更を決定すると、基地局1に変更後の運転モードに対応する構成回路情報を要求する。そして、運転モード判定部13は、送受信部16を介して構成回路情報を取得し、FPGA102の可変回路領域にその構成回路情報に基づいて制御回路を書き込む。他の構成については、第一実施形態と同様である。
【0034】
図7は、本発明に係る第二実施形態における制御装置の処理フローの一例を示す図である。
図7を用いて本実施形態における制御回路の書き換え処理について説明を行う。
例えば、制御装置10が、現在、運転モードBで小型移動体2を目的地Xまで移動させているとする。制御部14が目的地Xへ到着したことを判定すると、運転モード判定部13は、目的地到着信号に基づいて、運転モードの変更を決定する(ステップS21)。具体的には、運転モード判定部13は、小型移動体2を運転モードCで動作させることを決定する。次に運転モード判定部13は、運転モードCに対応する回路構成情報を、送受信部16を介して基地局1に要求する(ステップS22)。基地局1は、運転モードCに対応する回路構成情報の要求信号を受信する。そして、基地局1は、自装置の備える記憶部から運転モードCに対応する回路構成情報を読み出して、小型移動体2へ送信する。
小型移動体2では、制御装置10の運転モード判定部13が、送受信部16を介して運転モードCに対応する回路構成情報を取得する(ステップS23)。次に、運転モード判定部13は、取得した回路構成情報を用いてFPGA102の可変回路領域に対して動的再構成を行い、運転モードCの制御回路を書き込む(ステップS24)。可変回路領域が運転モードC用の制御回路に書き換わると、制御部14は、運転モードCで小型移動体2を動作させ、目的地Xで調査対象Yを偵察する。
以降も、運転モード判定部13は、第一実施形態と同様に、状態に応じて運転モードの変更を行いながら、その都度、基地局1からその時の運転モードに対応する回路構成情報を取得する。そして、運転モード判定部13は、有線または無線通信手段によって取得した回路構成情報に基づいて運転モードに応じた制御回路を構成する。
【0035】
本実施形態によれば、第一実施形態の効果に加え、記憶部17に回路構成情報を記録しておく必要が無いので記憶部17の記憶容量を他の情報の記憶に充てることができる。あるいは、記憶部17の容量を小さくすることができ、装置の小型化、低コスト化を図ることができる。また、本実施形態によれば、基地局1から最新の回路構成情報を得ることができるので、例えば、各運転モードでの制御方法に変更があった場合などにも、変更後の制御回路に対応した新たな回路構成情報を記憶部17に書き込む手間を省くことができる。また、SRAMなどの揮発性の記憶素子を利用したFPGAに構成された制御回路の情報は、電源を停止すると消去される。この性質により、例えば、小型移動体2が、誤って他人の手に渡ったような場合でも、バッテリ装置の残容量が無くなって電源の供給が遮断されると、FPGA102に構成された制御回路の情報が消去され、回路情報が流出する心配がない。さらにセンサ情報や各運転モードの処理結果のデータを揮発性の記憶素子に記録するようにすれば、それらの情報の流出を防ぐことも可能である。
【0036】
<第三実施形態>
以下、本発明の第三実施形態による制御装置を
図8〜
図9を参照して説明する。
図8は、本発明に係る第三実施形態における制御装置の機能ブロック図である。
図8で示すように、本実施形態の制御装置10は、第一実施形態の構成に加え、異常判定部18と、データ削除部19とを備えている。異常判定部18は、小型移動体2や制御装置10に異常が発生していないかどうかを判定する。データ削除部19は、異常判定部18が異常の発生を判定した場合に、記憶部17のデータを削除する。また、本実施形態の運転モード判定部13は、異常判定部18が異常の発生を判定した場合に、運転モードを上述の運転モードF(帰還)、または、運転モードGに切り替える。なお、運転モードGとは、運転モードB(目的地へ移動)、運転モードC(偵察/監視)、運転モードD(検知)、運転モードE(追跡)等の処理を停止し、データ削除部19にこれらの運転モードにおいて生成した処理結果のデータや、回路構成情報を削除させる運転モードをいう。他の構成は、第一実施形態と同様である。
【0037】
図9は、本発明の第三実施形態における制御装置が取り得る運転モードの状態遷移図の一例である。
図9を用いて本実施形態における運転モードGへの切り替え処理を説明する。
制御装置10は、小型移動体2及びセンサ3を運転モードB〜Eの何れかで動作させているとする。このとき、異常判定部18は、小型移動体2や制御装置10に異常が発生していないかどうかを監視する。例えば、異常判定部18は、制御装置10が備える所定の回路の電圧値を監視し、例えば、電圧値が所定の範囲内から外れると、制御装置10に異常が発生したと判定する。また、例えば、異常判定部18は、バッテリ装置の電圧を監視し、電圧が急激に低下すると小型移動体2に異常が発生したと判定する。また、例えば、異常判定部18は、運転モード判定部13による制御回路の書き換え処理がエラーになると制御装置10に異常が発生したと判定する。また、例えば、運転モードC〜Eでの運転中に小型移動体2の位置が目的地Xから所定の距離以上外れた場合、小型移動体2が第三者によって持ち去られた可能性があるため、異常判定部18は、小型移動体2に異常が発生したと判定する。あるいは、小型移動体2が無人航空機の場合、小型移動体2の高度が所定の高さより低くなると、小型移動体2が第三者によって捕獲された可能性があるため、異常判定部18は、小型移動体2に異常が発生したと判定する。異常判定部18は、小型移動体2または制御装置10に異常が発生したと判定すると、異常の内容と異常の発生を示す情報を運転モード判定部13に出力する。
【0038】
異常の内容と異常の発生を示す情報を取得すると、運転モード判定部13は、小型移動体2を運転モードGで動作させることを決定する。具体的には、運転モード判定部13は、FPGA102の可変回路領域の回路情報を消去する。また、運転モード判定部13は、データ削除部19に記憶部17が記憶するデータの削除を指示する。データ削除部19は、記憶部17が記憶する各運転モードで使用した情報(例えば、運転モードBであれば、目的地Xの位置情報や調査対象Yに関する情報、運転モードCであれば、動体の有無や検知処理範囲など)を削除する。また、データ削除部19は、記憶部17が記憶する運転モードB〜Fに対応した回路構成情報を消去する。
【0039】
なお、運転モード判定部13は、異常判定部18から異常の内容と異常の発生を示す情報を取得すると、その異常の内容に応じて、基地局1への帰還が可能であれば、運転モードFを選択し、小型移動体2を帰還させてもよい。
なお、上記では第一実施形態と組み合わせた場合を例に説明を行ったが、第二実施形態と組み合わせることも可能である。また、異常判定部18やデータ削除部19のように緊急時にも動作する必要がある機能を実現する回路は、FPGA102の固定回路として構成されていてもよい。
【0040】
本実施形態によれば、小型移動体2や制御装置10に異常が発生した場合、記憶部17が記憶するデータを削除することができるので、情報の流出を防ぎセキュリティを向上することができる。例えば、記憶部17記録された調査対象や調査に関する情報の流出を防ぐことができる。また、各運転モードに対応する回路構成情報を削除することで、小型移動体2を用いてどのような調査活動を行っていたかを示す情報の流出を防ぐことができる。
【0041】
なお、上述した制御装置10における各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムを制御装置10のコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0042】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
また、制御装置10は、1台のコンピュータで構成されていても良いし、通信可能に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。
【0043】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。