(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に記載の発明にあっては、連結時には、端部が径方向に膨出したスプリングピンを圧入する作業と、その後にそのスプリングピン内に補強用の芯金を打ち込む作業とが必要であり、連結を解く際には補強用の芯金から抜き出す作業と、その後に両端部が径方向に膨出したスプリングピンを抜き出す作業とが必要であり、運搬、保管時も含め2本のピンを取り扱う必要があり煩雑である。
特許文献1に記載の発明にあっては、スプリングピンの中空部に硬質ゴム、シリコーンなどのスプリングピンを構成する部材より硬度が低い弾性部材を挿入固定した構成であるため、始終1本のジョイントピンとして取り扱える。
しかし、スプリングピンは、大きな荷重や激しい振動が加わる連結部にも用いられるため、着脱のための弾性変形量が確保できれば、それ以上に変形しない高剛性、高強度によって耐荷重の向上やスプリング効果の劣化を防止することが要請されるところ、特許文献1に記載の発明によっては、無負荷から着脱のための弾性変形量までの範囲と、同弾性変形量を超えた範囲とで変形特性が変わらず、かかる要請に効果的に応えることはできない。
また、特許文献1に記載の発明にあっては、スプリングピンのスリットは、部材で埋められておらず、スリットから異物が侵入し、スリットや連結される2部品間に異物が詰まることで、スプリングピンの抜出も、その後の当該2部品の分離作業も困難となるおそれがある。
【0005】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、作業性良好で剛性、強度の高いジョイントピン及びそれを用いた連結構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、弾性板材を、スリットを残して円筒状に巻いた中空構造のスプリングピンと、
前記スプリングピンの中空部に挿入固定された丸棒状の軸部材とを備え、
無負荷時の前記スプリングピンの内周面と前記軸部材の外周面との間が空隙とされるか又は当該間に緩衝材が設置されていることで、前記スプリングピンの弾性縮径変形が可能にされ
、無負荷時の前記軸部材の外周の長さは、無負荷時の前記スプリングピンの内周であって前記スリットに掛る部分を除いた部分の長さ以上であるジョイントピンである。
【0008】
請求項
2記載の発明は、前記スリットは、緩衝材が充填されて封止された請求項
1に記載のジョイントピンである。
【0009】
請求項
3記載の発明は、前記軸部材の軸方向の一端又は両端にフランジが設けられ、当該フランジの首下面が前記スプリングピンの軸方向端面に掛設された請求項1
又は請求項2に記載のジョイントピンである。
【0010】
請求項
4記載の発明は、前記軸部材の軸方向の両端にフランジが設けられ、当該フランジの首下面が前記スプリングピンの軸方向端面に掛設され、
前記軸部材は、両端のフランジ同士が別部品に属する2以上の部品から構成された請求項1
又は請求項2に記載のジョイントピンである。
【0011】
請求項
5記載の発明は、前記軸部材を構成する部品同士の接続面は、軸方向中央から偏在した位置とされた請求項
4に記載のジョイントピンである。
【0012】
請求項
6記載の発明は、前記フランジの半径は、無負荷時の前記スプリングピンの内半径を越え、前記軸部材の半径に前記弾性板材の厚みを加えた寸法以下である請求項
3から請求項
5のうちいずれか一に記載のジョイントピンである。
【0013】
請求項
7記載の発明は、請求項1から請求項
6のうちいずれか一に記載のジョイントピンによる2部品の連結構造であって、
前記スプリングピン及び前記軸部材が、一方の部品に両持ちされ、その両持ちの支点間で他方の部品を保持するジョイントピンによる連結構造である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、丸棒状の軸部材によってジョイントピン全体としての高剛性、高強度が達成され、耐荷重が向上される。
また本発明によれば、スプリングピンは弾性縮径変形が可能にされているとともに、丸棒状の軸部材による変形量抑制によって塑性変形や疲労劣化が抑止されてスプリング効果は維持され、そのため良好な着脱性(圧入、止着、抜出の性能)が維持できる。
また本発明によれば、丸棒状の軸部材はスプリングピンに固定されているので始終1本のジョイントピンとして取り扱うことができ、運搬、保管その他の作業性も良好である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0017】
本実施形態に係るジョイントピン及びそれを用いた連結構造は、
図1に示すオーガ軸連結構造1に好適に利用される。オーガ軸連結構造1は、杭圧入機100のオーガモータ101の回転力出力軸からオーガヘッド103までの回転力伝達軸102を所定の部位で、オス軸とメス軸の孔部とを互いに嵌合させて連結するオーガ軸の連結構造である。
図1に示すようにオーガ軸連結構造1は、オーガスクリューの羽根104が形成された位置に適用可能なものであるが、もちろん、オーガスクリューが形成されていない位置にも適用できる。
【0018】
本実施形態に係るジョイントピン4及びこれを適用したオーガ軸連結構造1の詳細を
図2、
図4、
図6、及び
図8に示す。
図3,5,7はスプリングピンのみによって構成される比較用ジョイントピン14の図である。
オス軸2及びメス軸3は、回転力伝達軸102と同軸に形成される。その中心軸をYとする。なお、オーガモータ101の回転力出力軸側からオーガヘッド103側に流動体を通すための軸方向に延びるトンネル状の流路が形成される。その流路を構成する一部の流路27がオス軸2に形成されている。
【0019】
オーガ軸連結構造1は、オス軸2とメス軸3との相対的な軸方向位置及び回転方向位置を所定位置に合わせた状態で連通する位置決め用溝24と位置決め用孔34とにジョイントピン4が貫入されることで連結する。スプリングピン41及び軸部材42が、一方の部品(メス軸3)に両持ちされ、その両持ちの支点間で他方の部品(オス軸2)を保持するジョイントピン4による連結構造である。スプリングピン41もその支点間寸法を超え、軸部材42もその支点間寸法を超え、スプリングピン41の端部に軸部材42が配置されていない部分があってもよいが、
図2(a)(b)に示すようにジョイントピン4の径方向に見てスプリングピン41と軸部材42とが重なっている部分のジョイントピン4の軸方向の長さが、上記の支点間寸法を超えるものである。
なお、オス軸2とメス軸3とは、図示しない部分に形成されたスプラインによってトルク伝達可能に接続している。また、回転力伝達軸102を地盤に押し込む場合には、オス軸2とメス軸3とに形成された中心軸Yに垂直な面が互いに当接するので、ジョイントピン4には荷重はかからないが、回転力伝達軸102を引き上げる場合にはジョイントピン4に剪断荷重がかかる。
【0020】
さて、ジョイントピン4は、弾性板材を、スリットを残して断面C型の円筒状に巻いた中空構造のスプリングピン41と、スプリングピン41の中空部に挿入固定された丸棒状の軸部材42とを備える。スプリングピン41のスリットは、エラストマー材43が充填されて封止されている。
また、スプリングピン41の内周面と軸部材42の外周面との間にエラストマー材44が充填されている。エラストマー材43とエラストマー材44とは、同じ材質で連続して形成されたもので足りる。エラストマー材43及びエラストマー材44の変形を伴いながら、スプリングピン41の弾性縮径変形、その回復変形である拡径変形が可能にされている。エラストマー材43及びエラストマー材44を充填せず、スプリングピン41のスリット、無負荷時のスプリングピン41の内周面と軸部材42の外周面との間が空隙とされている構成としても、同様にスプリングピン41の弾性縮径変形、その回復変形である拡径変形が可能な構成とすることができるので、そのような構成を実施してもよい。
したがって、スプリングピン41の弾性縮径変形、その回復変形である拡径変形が可能な構成とすることができれば、エラストマー材に限らず、また、隙間のすべてを埋めるように充填することに限らず、スプリングピン41の弾性縮径変形を自らが変形することで許容する緩衝材をスプリングピン41の内周面と軸部材42の外周面との間に設置するか(さらにはスプリングピン41のスリットに設置する)、何も設置せず無負荷時において空隙とすればよい。緩衝材を設置する場合も、スプリングピン41を緩衝材でコーティングするか又は/及び軸部材42を緩衝材でコーティングすることで、無負荷時に空隙が生じるようにしてもよい。後述するように封止性等を獲得する場合にもエラストマー材に限らず材料を選択することができる。
スプリングピン41と軸部材42とは、これらの軸に垂直な方向に連通する孔が形成されており、その孔に固定ピン45が嵌め入れられることで、互いに分離しないように固定されている。
【0021】
無負荷時の軸部材42の外周の長さは、無負荷時のスプリングピン41の内周であってスリットに掛る部分を除いた部分の長さ以上である。スプリングピン41が徐々に縮径変形する過程において、遅くともスリットが消失する時点で、スプリングピン41の内周の全部が軸部材42の外周位置に到達するようにして、スプリングピン41のさらなる変形を抑制するためである。もちろん、無負荷時の軸部材42の外周の長さは、無負荷時のスプリングピン41の内周の長さ(スリットに掛る部分を含む全周)未満とされる。したがって、スプリングピン41の外周面に外圧を受けることで、軸部材42に拘束されることなく縮径変形可能であり、その外圧が徐々に大きくなる過程において遅くともスリットが消失する時点で、スプリングピン41は軸部材42に拘束されて変形が抑制される。スプリングピン41と軸部材42との間にエラストマー材43が介在する場合にも同等以上の変形量抑制作用が得られる。この時点までのスプリングピン41の変形範囲において着脱機能を確保するように設定し、同変形範囲における変形量をスリットの幅寸法により設定する。スプリングピン41が軸部材42に拘束された後は、スプリングピン41と軸部材42との複合構造により外圧に耐えることとなる。
したがって、スプリングピン41の位置決め用溝24と位置決め用孔34への着脱のための変形量は確保され、丸棒状の軸部材42による変形量抑制によってスプリングピン41の塑性変形や疲労劣化が抑止されてスプリング効果は維持される。そのため、スプリングピン41の弾性縮径変形による良好な着脱性(圧入、止着、抜出の性能)が維持できる。スプリングピン41の拡径しようとする弾性回復力によって位置決め用溝24及び位置決め用孔34の内面を圧迫する緊迫力により高い止着性が確保されて、オーガ駆動時の振動を受けても、ジョイントピン4は位置決め用溝24及び位置決め用孔34から脱落せず保持される。
上述したようにスプリングピン41が軸部材42に拘束された後は、スプリングピン41と軸部材42との複合構造により外圧に耐えることとなる。そのため、丸棒状の軸部材42によってジョイントピン4全体としての高剛性、高強度が達成され、耐荷重の向上が達成される。
【0022】
ジョイントピン4は、位置決め用溝24及び位置決め用孔34などに嵌め入れて使用する前の時点で完成し、軸部材42がスプリングピン41に固定されたものである。軸部材42がスプリングピン41の中空部に挿入され、軸方向にずれないように固定されている。この固定は、スプリングピン41の外周面と軸部材42の内周面とが離れていても、接触していても、スプリングピン41と軸部材42とが互いに軸方向にずれないように係止する固定である。
したがって、始終1本のジョイントピン4として取り扱うことができ、着脱のほか、運搬、保管その他の作業性も良好である。
【0023】
軸部材42の軸方向の一端にフランジ42aが設けられ、当該フランジ42aの首下面がスプリングピン41の軸方向端面に掛設されている。すなわち、フランジ42aの半径が、無負荷時のスプリングピン41の内半径を越えていることで、フランジ42aが、スプリングピン41の中空部に入り込まないように、フランジ42aの首下面がスプリングピン41の軸方向端面に掛設されている。
また、フランジ42aの半径は、軸部材42の半径にスプリングピン41を構成する弾性板材の厚みを加えた寸法以下である。かかる条件により、フランジ42aを位置決め用孔34の内面に干渉させずに、スプリングピン41のスプリング効果により十分な緊迫力を発揮させることができ、かつ、フランジ42aを位置決め用孔34内に配置して、ジョイントピン4の端部が位置決め用孔34から外側に突出しないように配置可能である。これにより、回転力伝達軸102の外周にジョイントピン4による凸部を設けなくて済む。
フランジ42aを軸部材42の軸方向の両端に設けて実施してもよい。その場合は、軸部材42は、両端のフランジによってスプリングピン41を軸方向に挟むようにしてスプリングピン41に固定されるから、固定ピン45を排してもよい。固定ピン45をも適用して二重の安全構造としてもよい。
【0024】
(製造方法と材料の例)
次に、ジョイントピン4の製造方法の例と材料例につき説明する。
スプリングピン41の材料としては例えばバネ鋼鋼材を適用する。軸部材42の材料としては、例えば工具鋼鋼材を適用する。
ジョイントピン4は、着脱のためのスプリングピン41の弾性変形量が確保できれば、それ以上に変形しない高剛性、高強度であることが好ましい。そのため、軸部材42は、中実丸棒として断面係数を大きくするとともに、弾性係数の高い材料を適用して高剛性に構成すること好ましい。これにより、ジョイントピン4全体がより高剛性となる。軸部材42の材料として、スプリングピン41と同じ材料、スプリングピン41と同じ弾性係数の材料、スプリングピン41より弾性係数の低い材料を適用する場合でも、エラストマー材44より弾性係数の高い材料を適用すれば、スプリングピン41内の全体をエラストマー材とするよりジョイントピン4全体としての高剛性が達成できる。好ましくは、軸部材42は、スプリングピン41より弾性係数の高い材料を適用する。
エラストマー材43及びエラストマー材44の材料としては、天然ゴム、合成ゴムなどで、接着剤(ポリウレタンエラストマー系接着剤. ニトリルゴム系接着剤など)として提供されるものを使用してもよい。
【0025】
製造方法としては、まず、スプリングピン41の内側に未固化のエラストマー材を流し込み、そこにフランジ42aが一端に形成された軸部材42を挿入し、固定ピン45を嵌め入れ、スプリングピン41のスリットにも未固化のエラストマー材を充填し、エラストマー材の露出面を成形し、エラストマー材を固化させる。
他の製造方法としては、スプリングピン41にフランジ42aが一端に形成された軸部材42を挿入し、軸部材42の他端に他のフランジを溶接固定する。その後、スプリングピン41のスリットに未固化のエラストマー材を流し込み、軸部材42を回転させてスプリングピン41の内周面と軸部材42の外周面との間の隙間にエラストマー材を廻し込み、エラストマー材の露出面を成形し、エラストマー材を固化させる。
【0026】
(比較説明)
次に、
図3,5,7に示したスプリングピンのみによって構成される比較用ジョイントピン14と比較して、本実施形態に係るジョイントピン4の特性につき説明する。
【0027】
上述したように回転力伝達軸102を引き上げる場合にはジョイントピンに剪断荷重がかかるが、
図3に示すように比較用ジョイントピン14にあっては、曲げ変形量の顕著な増加や破断が懸念され、それよってオス軸2がメス軸3から抜けてしまうことが懸念させる。
これに対し本実施形態に係るジョイントピン4によれば、
図4に示すようにスプリングピン41と軸部材42とが一体になって剪断荷重に耐えるので、曲げ変形量は小さく抑制され、破断応力も十分大きく、オス軸2がメス軸3から抜けてしまうことを十分に防止できる。
【0028】
図5に示すように比較用ジョイントピン14にあっては、その中空部及びスリットから土砂9が侵入する。土砂9は、比較用ジョイントピン14の中空部及びスリットに詰まり、さらにオス軸2とメス軸3との間にも詰まる。比較用ジョイントピン14の中空部が部材で埋まっている場合にも、比較用ジョイントピン14のスリットが侵入経路となって、スリットさらにはオス軸2とメス軸3との間にも土砂9が詰まる。これでは、比較用ジョイントピン14の抜出も、その後のオス軸2とメス軸3との分離作業も困難となるおそれがある。
これに対し本実施形態に係るジョイントピン4によれば、土砂9のジョイントピン4の端面への付着は有り得るが、
図6に示すようにその中空部が軸部材42及びエラストマー材44で、スリットがエラストマー材43で埋まっているので、土砂9は連結構造の内部には侵入せず、ジョイントピン4の抜出も、その後のオス軸2とメス軸3との分離作業も容易である。なお、
図2(c)によって、侵入する隙間がないことが確認できる。
以上のようにジョイントピン4は、軸部材42及びエラストマー材43,44によって、連結構造の内部に土砂等の異物を侵入させない封止性を獲得している。
【0029】
図7に示すように比較用ジョイントピン14にあっては、圧入及び抜出時の打撃によって端面が潰れて変形しやすい。また、圧入時にはハンマーによって、位置決め用孔34から外側に突出した状態の比較用ジョイントピン14を打撃するので、比較用ジョイントピン14が曲がり変形するおそれがある。したがって、繰り返し再使用に耐えがたい。
これに対し本実施形態に係るジョイントピン4によれば、
図8に示すように圧入及び抜出時にフランジ42aを打撃することで、スプリングピン41の端面は直接打撃されることなく保護される。また、圧入時にはハンマーによって、位置決め用孔34から外側に突出した状態のジョイントピン4を打撃するが、軸部材42によってジョイントピン4全体の真直度は保持される。軸部材42が打撃を受けても、軸部材42の中心軸とスプリングピン41の中心軸とが一致しているようにエラストマー材44によって保持される。したがって、打撃による変形は抑えられ、繰り返し再使用しやすい。また、スプリングピン41に打撃による塑性変形を来すことなく使用できるので、スプリングピン41の外周側等に異物侵入経路となる隙間を生じさせることなく封止性を維持できる。
【0030】
(他の一実施形態)
さらに他の一実施形態につき説明する。
図9に示すジョイントピン4Bは、両端フランジ型で2部品から構成される軸部材52を備えるものであり、スプリングピン51は、上記実施形態のスプリングピン41と同様の物である。エラストマー材の図示を省略する。以下に説明する事項を除き、エラストマー材の適用、寸法設定等については上記実施形態と同様である。
【0031】
軸部材52は、部品52aと部品52bとからなる。部品52aにフランジ52a1が形成され、部品52bにフランジ52b1が形成されていることで、軸部材52の軸方向の両端にフランジ52a1,52b1が設けられ、当該フランジ52a1,52b1の首下面がスプリングピン51の軸方向端面に掛設されている。このように軸部材52の軸方向の両端にフランジ52a1,52b1を設ける場合、スプリングピン51との組立てが難しくなるため、軸部材52は、両端のフランジ52a1,52b1同士が別部品に属する2以上の部品52a,52bから構成されている。一端のフランジが属する部品と、他端のフランジが属する部品と、これらの間の軸部品とからなる3部品以上で構成することも可能である。
【0032】
部品52aには、フランジ52a1の逆側の端面から軸方向に雌螺子52a2が形成されており、部品52bには、フランジ52b1の逆側の端部に軸方向に突出する雄螺子52b2が形成され、雌螺子52a2と雄螺子52b2との螺合締結により、軸部材52が組立てられる。この螺合締結をスプリングピン51内で行うことで、スプリングピン51との組立ても完了し、ジョイントピン4Bが構成される。このようにジョイントピン4Bの組立てを螺子式とすることで組み立て後分解可能であり、ジョイントピン4Bは、スプリングピン41を含めた部品を部品ごとに交換することが可能である。
螺合締結のためのレンチなどの締結工具を係合させるために、フランジ52a1の外周面52a4及び凸部52b3の外周面52b4は、平行2面、6角形その他の工具係合面が形成されている。もちろん、工具係合面は、平面に限らず特殊形状を採用してもよい。なお、フランジ52b1にその中心部から軸方向外方に突出する凸部52b3が形成され、フランジ52a1にはそのような凸部は形成されない構成を説明しているが、フランジ52a1及びフランジ52b1のうち双方に同凸部を形成する構成、双方に同凸部を形成しない構成、一方のフランジ52a1に同凸部を形成し他方のフランジ52b1に同凸部を形成しない構成なども実施可能である。
【0033】
図示例のように軸部材52を構成する部品52a,52b同士の接続面は、軸方向中央から偏在した位置とされていることが好ましい。
図12(b)に示すようにジョイントピン4Bによって連結する2部品(2,3)から受ける曲げ荷重に対してジョイントピン4Bの高剛性、高強度を確保するためである。
【0034】
図9(a)に示すように雌螺子52a2と雄螺子52b2の螺合部の周囲における部品52aと部品52bとの接続面は、軸部材52の中心軸に垂直な平面として実施することができる。
これに対し
図10(a)に示すように雌螺子52a2と雄螺子52b2の螺合部の周囲における部品52aと部品52bとの接続面53は、クサビ形状として実施してもよい。このようなクサビ形状にすれば、雌螺子52a2と雄螺子52b2の螺合部の緩みを抑制する効果が高くなる。
また、部品52aと部品52bとの結合は、螺子式に限らず、
図10(b)に示すようにスナップフィット式として実施してもよい。
図10(b)に示すように先端に抜け止め爪が形成されたオス型連結部52b6を弾性変形させながら、爪受容部を有したメス型連結部52a6に嵌め込むことで結合させる。オス型連結部52b6をメス型連結部52a6に挿入する時に抜け止め爪を後退させるとともに、挿入完了時に抜け止め爪をメス型連結部52a6の爪受容部に嵌めるためのオス型連結部52b6の弾性変形が可能となるように、オス型連結部52b6には、先端から軸方向に形成されたスリット52b7が設けられている。このようなスナップフィット式とすれば、振動等による分解を防止でき、また上述した締結工具の使用及び工具係合面の形成は不要であり、作業面、構造面において簡素化が図られる。
【0035】
以上のような軸部材52の両端にフランジ52a1,52b1が設けられたジョイントピン4Bにあっては、フランジ52a1又はフランジ52b1がジョイントピン4Bの圧入及び抜出作業時の打撃を受けるので、双方向に打撃する使い方に適する。すなわち、ジョイントピン4Bの圧入方向と抜出方向とを互いに逆方向にする使い方に適している。そのため、
図11(a)に示すように、ジョイントピン4Bの圧入方向奥側にあたる位置決め用孔34の内面にジョイントピン4Bを係止する段差部34aを形成し、一方向からしか圧入できず、かつ、圧入方向に抜け出さない連結構造として実施することができる。
【0036】
さらに、ジョイントピン4B係止用の段差部34aを形成した位置決め用孔34に対して逆側の位置決め用孔34の内面に溝34bを形成しておく。そして、
図12(a)に示すように、ジョイントピン4Bの圧入が完了した後に、Cリング等の係止部材54を溝34bに弾設し、溝34bに嵌って固定された係止部材54がジョイントピン4Bの端面に掛かることで、ジョイントピン4Bの抜け出し阻止を確実にすることができる。もちろん、スプリングピン41の弾性力によっても係止されているので、Cリング等の係止部材54を適用するかは任意である。
【0037】
なお、本実施形態では、凸部52b3がフランジ52b1より小径に収まっており、係止部材54がフランジ52b1に係合するようにされている。係止部材54の取り付け、取り外しが可能となるように凸部52b3がフランジ52b1より小径に収まっている。凸部52b3の外周面52b4より先端の部分にはテーパ52b5が付けられている。係止部材54の取り付け時にテーパ52b5により係止部材54が溝34bの方へ案内されるので作業性が良い。
また、凸部52b3は、ジョイントピン4Bの圧入時に打撃を受ける部分となる。打撃を受ける部分は、繰り返される打撃により変形し径方向外方へ張り出す。しかし、打撃を受ける部分である凸部52b3は小径にされているので、打撃時の変形により位置決め用孔34の内周面に接触するまで張り出すことは防がれる。さらに、テーパ52b5によって凸部52b3の先端は、より小径であるので、なおさら、打撃時の変形により位置決め用孔34の内周面に接触するまで張り出すことは防がれる。初回や再使用における圧入のための打撃により、凸部52b3に変形が生じても、位置決め用孔34の内周面に接触することがないので、位置決め用孔34の内周面や溝34bを損傷することが防がれる。また、凸部52b3があるために、打撃に使用するハンマーや打撃棒は溝34bまで届かず溝34bを損傷させることはない。溝34bが損傷しないので、溝34bを、Cリング等の係止部材54を嵌め込む溝として繰り返し使用することができる。
ジョイントピン4Bを使用して連結した
図12に示す状態において、Cリング等の係止部材54に土砂が直接的に強く当たることが凸部52b3によって防がれ、Cリング等の係止部材54が保護される。
【0038】
ジョイントピン4Bを
図12に示す様態から抜出すには、Cリング等の係止部材54を取り除いた後、軸部材52のフランジ52a1が設けられた端部を打撃する。軸部材52のフランジ52a1が設けられた端部は抜出時に打撃を受ける部分となるが、同様にテーパ52a5が設けられ、打撃時の変形により位置決め用孔34の内周面に接触するまで張り出すことは防がれており、位置決め用孔34の内周面や溝34bを損傷することが防がれ、繰り返し使用性が確保されている。また、テーパ52a5は、ジョイントピン4Bの位置決め用孔34への挿入時の先端に設けられているので、ジョイントピン4Bの挿入の案内部として作用し、作業性を良好にする。
【0039】
以上の実施形態にあっては、ジョイントピンをオーガ軸連結構造に適用したが、本発明はこれに限らず、ジョイントピンを掘削爪とそのホルダーの連結に適用してもよいし、その他様々な2部品の連結構造に適用することができる。