(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エラー検出部が、前記ソフトウェアエラーの発生を1回でも検出すると、前記データ抽出部は、前記映像音声データの抽出を継続し、かつ前記放送データの抽出を停止する、
請求項1に記載のデジタル放送受信処理装置。
前記エラー検出部が、前記ソフトウェアエラーの発生を予め定められた回数検出すると、前記データ抽出部は、前記映像音声データの抽出を継続し、かつ前記放送データの抽出を停止する、
請求項1に記載のデジタル放送受信処理装置。
前記エラー検出部が、前記ソフトウェアエラーの発生を検出すると、前記データ抽出部は、前記映像音声データの抽出を継続し、かつ前記放送データの抽出を停止し、かつ予め抽出された前記放送データの処理も停止される、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のデジタル放送受信処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態1>
<構成>
図1は、本実施の形態1におけるデジタル放送受信処理装置100の機能ブロック図である。
図1に示すように、デジタル放送受信処理装置100は、チューナ部102と、データ抽出部103と、デコーダ部104と、出力部105と、エラー検出部120aを備える。
【0011】
デジタル放送受信処理装置100はさらに、制御部120と操作指示受信部131を備える。
【0012】
チューナ部102は、デジタル放送信号を受信して、デジタル放送信号からトランスポートストリーム(以降ではTSとも記載する)を抽出する。チューナ部102は、例えば外部のアンテナから、複数のデジタル放送チャンネルを含むRF(Radio Frequency)信号を受信し、任意の放送電波周波数に対する同調処理と復調処理を行い、TSを抽出する。TSはデータ抽出部103に入力される。
【0013】
データ抽出部103は、TSから、映像音声データと、映像音声データを含まないデータを抽出する。ここで、映像音声データとは、放送番組の映像データおよび音声データである。また、TSに含まれるデータのうち、映像音声データを含まないデータを放送データと記載する。データ抽出部103は、パケットフィルタ部103aと、映像音声抽出部103bと、字幕データ抽出部103cと、番組情報抽出部103dと、データ放送抽出部103eを備える。
【0014】
TSは複数のパケットで構成されており、各パケットには映像音声データと、映像音声データ以外のデータが格納されている。ここで、映像音声データ以外のデータ(即ち放送データ)とは、例えば、字幕情報データ、番組情報データ、データ放送用データなどである。パケットフィルタ部103aは、PSI(Program Specific Information)抽出部103fを内蔵している。パケットフィルタ部103aは、入力されたTSからパケットに付与された識別番号などを使用してフィルタリングを行い、個別データ抽出部にて各データを抽出する。具体的には、映像音声データ抽出部103bは、映像音声データを抽出する。字幕情報データ抽出部103cは、字幕情報データを抽出する。番組情報データ抽出部103dは、番組情報データを抽出する。データ放送用データ抽出部103eは、データ放送用データを抽出する。
【0015】
デコーダ部104は、映像音声データおよび放送データをデコードする。デコーダ部104は、映像音声生成部104aと、文字情報生成部104bと、番組表生成部104cと、データ放送生成部104dを備える。
【0016】
デコーダ部104は、入力された各データ(即ち、映像音声データ、字幕情報データ、番組情報データおよびデータ放送用データ)から、映像音声信号、字幕用の文字情報、番組表画面、データ放送画面などを生成し、出力部105に出力する。具体的には、映像音声生成部104aは、放送番組の映像信号および音声信号を生成する。文字情報生成部104bは、放送字幕用の文字情報を生成する。番組表生成部104cは、放送番組の内容、放送スケジュールなどを記載した番組表画面を生成する。データ放送生成部104dは、ブラウザなどにより、番組関連情報、天気予報などの情報を記載したデータ放送画面を生成する。
【0017】
出力部105は、デコーダ部104においてデコードされたデータを合成する。出力部105は、合成部106と、映像出力部107aと、音声出力部107bを備える。合成部106は、入力された放送番組の映像信号、字幕用の文字情報、番組表画面、データ放送画面などをひとつの画面として合成する。また、合成部106は、入力された放送番組の音声信号に、効果音等を合成する。合成された映像信号は映像出力部107aから液晶表示装置などに出力される。また、合成された音声信号は音声出力部107bからスピーカーなどに出力される。
【0018】
エラー検出部120aは、デジタル放送受信処理装置100内部で発生したソフトウェアの不具合(以降では、ソフトウェアエラーとも記載する)を検出する。エラー検出部120aがソフトウェアエラーを検出する対象は、データ抽出部103を含む範囲とする。エラー検出部120aは、制御部120に内蔵されていてもよい。
【0019】
制御部120は、チューナ部102、データ抽出部103、デコーダ部104、出力部105の動作を制御する。また、操作指示受信部131は、外部のリモコン等から操作指示信号を受信する。
【0020】
図2は、デジタル放送受信処理装置100のハードウェア構成を示す図である。
図2において、処理回路HW1、ROM(Read Only Memory)HW2、RAM(Random Access Memory)HW3、操作指示受信インターフェースHW4、チューナ回路HW5、データ抽出回路HW6、デコーダ回路HW7、出力回路HW8は、バスラインHW9により相互に接続されている。
【0021】
チューナ部102は、チューナ回路HW5および処理回路HW1により実現される。また、データ抽出部103は、データ抽出回路HW6および処理回路HW1により実現される。また、デコーダ部104は、デコーダ回路HW7および処理回路HW1により実現される。また、出力部105は、出力回路HW8および処理回路HW1により実現される。また、操作指示受信部131は、操作指示受信インターフェースHW4により実現される。また、制御部120およびエラー検出部120aは、処理回路HW1により実現される。
【0022】
処理回路HW1は、専用のハードウェアであっても、ROMHW2に格納されるプログラムを実行し、RAMHW3をワーク領域として使用するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSPともいう)であってもよい。
【0023】
処理回路HW1が専用のハードウェアである場合、処理回路HW1は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。チューナ部102、データ抽出部103、デコーダ部104、出力部105、制御部120、エラー検出部120aの各部の機能それぞれを処理回路HW1で実現してもよいし、各部の機能をまとめて処理回路HW1で実現してもよい。
【0024】
処理回路HW1がCPUの場合、チューナ部102、データ抽出部103、デコーダ部104、出力部105、制御部120、エラー検出部120aの機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアやファームウェアはプログラムとして記述され、ROMHW2に格納される。処理回路HW1は、ROMHW2に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。デジタル放送受信処理装置100は、処理回路HW1が処理を実行するときに、チューナ部102、データ抽出部103、デコーダ部104、出力部105、制御部120、エラー検出部120aの機能が実行されることになるプログラムを格納するためのメモリを備える。また、これらのプログラムは、チューナ部102、データ抽出部103、デコーダ部104、出力部105、制御部120、エラー検出部120aの手順や方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリとは、上述したRAMHW3、ROMHW2を兼用してもよいし、フラッシュメモリー、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリや、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等、あらゆる記憶媒体を使用することが可能である。
【0025】
なお、チューナ部102、データ抽出部103、デコーダ部104、出力部105、制御部120、エラー検出部120aの機能の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。例えば、チューナ部102、データ抽出部103、デコーダ部104、出力部105については専用のハードウェアとしての処理回路(即ち、チューナ回路HW5、データ抽出回路HW6、デコーダ回路HW7、出力回路HW8)でその機能を実現し、制御部120およびエラー検出部120aについては処理回路HW1がROMHW2に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0026】
本実施の形態1におけるデジタル放送受信処理装置100は、エラー検出部120aがエラーを検出していない状態において、通常モードで動作を行う。そして、エラー検出部120aがエラーを検出すると、通常モードから機能制限モードへ移行する。以下では、まず、通常モードの動作について説明する。
【0027】
<通常モード>
デジタル放送受信処理装置100を使用してデジタル放送番組の視聴を開始する場合について説明する。まず、使用者がリモコンの電源キーを押下すると、相当するキーコードがリモコンを経由して制御部120に送信される。制御部120は、チューナ部102を制御して、前回視聴した際に最後に選局していたチャンネル周波数に同調させ、復調処理を開始する。ここで同調するチャンネル周波数は前回視聴した際に最後に選局していたチャンネル周波数に限定されず、任意のチャンネルのチャンネル周波数としてもよい。
【0028】
復調処理が完了すると、制御部120は、データ抽出部103に内蔵されたPSI抽出部103fを制御して、TSの中からPSI情報と呼ばれる番組を特定するための情報を抽出させる。次に、TSパケットがフィルタリングされて、放送番組の映像音声データ、字幕情報データ、番組情報データ、データ放送用データなどが抽出される。また、制御部120は、番組情報抽出部103dにより、番組情報に含まれた番組タイトル、番組ジャンルなどの番組属性を格納するSI(Service Information)情報と呼ばれる番組配列情報を抽出して解析を行う。
【0029】
次に、制御部120は、デコーダ部104を制御して、放送番組の映像音声信号、放送字幕用の文字情報、番組表画面、データ放送画面などを生成させる。デジタル放送の映像信号は、2K又は4Kの解像度を有しており、MPEG2方式、H.264方式、HEVC(High Efficiency Video Coding)方式のいずれかの符号化方式によって符号化されている。デジタル放送の音声信号は、AAC(Advanced Audio Coding)方式等の符号化方式を使用してデータ圧縮されている。
【0030】
制御部120は、映像音声生成部104aに内蔵されたMPEG2/H.264/HEVCデコーダ、AACデコーダ等を使用して非圧縮の映像音声信号を復号する。また、制御部120は、字幕情報データ、番組情報データ、データ放送用データなどをソフトウェアで解析し、グラフィックス機能を使用して文字、画像等を生成する。
【0031】
制御部120は、出力部105を制御して、デコーダ部104で生成された映像音声信号に、字幕用の文字情報、番組表画面、データ放送画面などを重畳するなどして、ひとつの画面として合成させる。合成された映像信号は液晶表示装置などに出力される。また、合成された音声信号はスピーカーなどに出力される。字幕用の文字情報、番組表画面、データ放送画面などは、リモコン等から送信される操作指示信号などに従って、表示、非表示を切り替えることができる。以上により、使用者は任意のチャンネルで現在放送されている放送番組の映像と音声を視聴することができる。
【0032】
図3は、電波産業会(ARIB)の「デジタル放送におけるデータ放送符号化方式と伝送方式標準規格(ARIB STD−B24)」で定義されたデジタル放送受信処理装置のプロトコルスタックを示す図である。
図2において、MPEG2-TS(TSパケット)上に配置されたプロトコルスタックPS1が、デジタル放送受信処理装置100の通常モードにおけるデジタル放送受信ソフトウェア構造を示している。
【0033】
<機能制限モード>
デジタル放送受信処理装置100内部で何らかのソフトウェアエラーが発生した場合、エラー検出部120aはソフトウェアエラーの発生を検知することができる。ソフトウェアエラーの検出方法としては、ハードウェアによるエラーフラグを検出する、ソフトウェアの例外処理の発生を検出する、ソフトウェアのリセット処理又はリブート処理の発生を検出する、ハードウェアもしくはソフトウェアによるウォッチドッグ機能を使用するなどの方法がある。
【0034】
一般的に、ソフトウェアエラーが発生する場合、エラーを検出する前にソフトウェアの動作が停止してしまうため、制御部120又はエラー検出部120aがエラーの発生箇所および発生原因を特定することは困難である。ただし、リセット処理又はリブート処理後にソフトウェアが正常復帰すれば、エラー発生の有無を検出することは比較的容易である。
【0035】
本実施の形態1においては、デジタル放送受信処理装置100内部でソフトウェアエラーの発生が検出された場合、通常モードから機能制限モードへ移行する。機能制限モードとは、映像音声受信機能以外でエラー原因となる可能性が高いデジタル放送受信機能の一部を制限もしくは停止した動作モードである。機能制限モードへ移行することにより、同様のエラーが再び発生することを抑制することが可能である。
【0036】
本実施の形態1における機能制限モードとは、データ抽出部103が、映像音声データの抽出を継続し、かつ、映像音声データ以外の放送データ(例えば、字幕情報データ、番組情報データおよびデータ放送用データ)の抽出を停止する動作モードである。
【0037】
例えば、デジタル放送受信処理装置100内部で特定番組の字幕情報処理中にソフトウェアエラーが発生し、リセット処理が発生した場合を想定する。リセット処理によりソフトウェアが正常復帰すれば、エラー検出部120aはリセット処理を検知することにより、ソフトウェアエラーの発生を検出する。このとき、エラー検出部120aは、字幕情報処理中にソフトウェアエラーが発生したことは検出できない。
【0038】
エラー検出部120aがソフトウェアエラーの発生を検知すると、制御部120はデジタル放送受信処理装置100の動作を通常モードから機能制限モードに移行させる。機能制限モードにおいて制御部120は、データ抽出部103に備わる字幕情報データ抽出部103c、番組情報データ抽出部103dおよびデータ放送用データ抽出部103eの動作を停止させる。一方で、機能制限モードにおいて制御部120は、データ抽出部103に備わるパケットフィルタ部103aおよび映像音声データ抽出部103bについては通常通り動作を継続させる。
【0039】
機能制限モードにおいては、デコーダ部104には放送番組の映像音声データのみが入力される。従って、出力部105には、映像音声生成部104aから出力された映像音声信号しか入力されない。結果として、放送番組の映像信号および音声信号は出力部105から出力されるが、字幕文字情報、番組表画面、データ放送画面などは出力されない。従って、使用者は放送番組を視聴可能であるが、リモコン等を操作しても、字幕文字情報、番組表画面、データ放送画面などを視聴することはできない。
【0040】
機能制限モードにおいては、字幕情報データ抽出部103c、番組情報データ抽出部103dおよびデータ放送用データ抽出部103eの動作が停止されているため、使用者が番組視聴を継続しても、字幕情報処理中にソフトウェアエラーが再び発生することは無い。従って、使用者の放送番組の視聴がソフトウェアエラーにより阻害されることを最小限に抑えることができる。
【0041】
図3に示すプロトコルスタックPS2は、デジタル放送受信処理装置100の機能制限モードにおけるプロトコルスタックである。通常動作モードにおけるプロトコルスタックPS1と比較して、機能制限モードにおけるプロトコルスタックPS2は、デジタル放送の映像音声の処理に関するプロトコルスタックに特化されている。
【0042】
一般的に、デジタル放送受信処理装置は、LAN(Local Area Network)接続に対応し、双方向通信機能を有するが、機能制限モードにおけるプロトコルスタックPS2においては、双方向通信機能は制限されている。
【0043】
図4は、本実施の形態1におけるデジタル放送受信処理100の動作を示すフローチャートである。まず、使用者によってデジタル放送受信処理装置100の電源がオンされる(ステップS101)。電源がオンされると、制御部120は、デジタル放送受信処理装置100の動作モードを通常モードに設定する(ステップS102)。そして、放送番組の視聴が開始される(ステップS103)。
【0044】
デジタル放送受信処理装置100の電源がオンされている間において、制御部120は、電源をオフする操作指示信号を受信したか否かの判断を行う(ステップS104)。電源をオフする操作指示信号を受信した場合、制御部120はデジタル放送受信処理装置100の停止処理を行う(ステップS105)。
【0045】
エラー検出部120aは、使用者が放送番組の視聴中においてリセット処理又はリブート処理が発生したか否かの判断を行う(ステップS106)。リセット処理又はリブート処理が発生した場合、エラー検出部120aはソフトウェアエラーの発生を検出する(ステップS107)。つまり、リセット処理又はリブート処理が発生すると、エラー検出部120aはソフトウェアエラーが発生したと判断する。ソフトウェアエラーが1回でも発生すると、制御部120は動作モードを通常モードから機能制限モードに切り替える(ステップS108)。つまり、制御部120は、データ抽出部103に備わる字幕情報データ抽出部103c、番組情報データ抽出部103dおよびデータ放送用データ抽出部103eの動作を停止させる。そして、使用者は放送番組の視聴を継続する。
【0046】
<効果>
本実施の形態1におけるデジタル放送受信処理装置100は、デジタル放送信号を受信して、デジタル放送信号からトランスポートストリームを抽出するチューナ部102と、トランスポートストリームから、映像音声データと、映像音声データを含まない放送データとを抽出するデータ抽出部103と、映像音声データおよび放送データをデコードするデコーダ部104と、デコードされたデータを合成して出力する出力部104と、少なくともデータ抽出部103を含む範囲を対象としてソフトウェアエラーの発生を検出するエラー検出部120aと、を備え、エラー検出部120aが、ソフトウェアエラーの発生を検出すると、データ抽出部103は、映像音声データの抽出を継続し、かつ放送データの抽出を停止する。
【0047】
また、本実施の形態1におけるデジタル放送信号処理方法は、デジタル放送受信処理装置100におけるデジタル放送信号処理方法であって、(a)デジタル放送信号を受信して、デジタル放送信号からトランスポートストリームを抽出する工程と、(b)トランスポートストリームから、映像音声データと、映像音声データを含まない放送データとを抽出する工程と、(c)映像音声データおよび放送データをデコードする工程と、(d)少なくとも工程(b)を含む範囲を対象としてソフトウェアエラーの発生を検出する工程と、を備え、工程(
d)においてソフトウェアエラーの発生が検出されると、工程(b)において映像音声データの抽出を継続し、かつ放送データの抽出を停止する。
【0048】
本実施の形態1におけるデジタル放送受信処理装置100およびデジタル放送信号処理方法によれば、ソフトウェアエラーの発生を検出すると映像音声データを含まない放送データの抽出を停止するため、速やかに機能制限をかけることが可能である。また、放送データの抽出が停止された状態においては、ソフトウェアエラーが再び発生する可能性が低減されるため、ソフトウェアエラーの発生に伴うリセット処理又はリブート処理の発生を抑制することが可能である。
【0049】
また、本実施の形態1におけるデジタル放送受信処理装置100およびデジタル放送信号処理方法は、ソフトウェアエラーの発生に基づいて放送データの抽出を停止する。従って、放送局から機能制限に関する情報を含むデジタル放送信号を受信する必要がなく、デジタル放送受信処理装置100単独で機能制限をかけることが可能である。
【0050】
また、本実施の形態1におけるデジタル放送受信処理装置100において、エラー検出部120aが、ソフトウェアエラーの発生を1回でも検出すると、データ抽出部103は、映像音声データの抽出を継続し、かつ放送データの抽出を停止する。
【0051】
従って、本実施の形態1におけるデジタル放送受信処理装置100においては、ソフトウェアエラーの発生を1回でも検出すると機能制限モードに移行するため、速やかに機能制限をかけることが可能となる。
【0052】
<実施の形態2>
本実施の形態2におけるデジタル放送受信処理装置100の構成は実施の形態1(
図1)と同様のため、説明を省略する。
【0053】
実施の形態1におけるデジタル放送受信処理装置100においては、ソフトウェアエラーが1回でも発生すると、通常モードから機能制限モードに切り替わるように制御が行われた。一方、本実施の形態2におけるデジタル放送受信処理装置100においては、ソフトウェアエラーが予め定めらえた回数発生すると、通常モードから機能制限モードに切り替わるように制御が行われる。
【0054】
図5は、本実施の形態2におけるデジタル放送受信処理装置100の動作を示すフローチャートである。まず、使用者によってデジタル放送受信処理装置100の電源がオンされる(ステップS201)。電源がオンされると、制御部120は、デジタル放送受信処理装置100の動作モードを通常モードに設定する(ステップS202)。また、制御部120はソフトウェアエラーの発生回数Nをゼロに設定する(ステップS203)。そして、放送番組の視聴が開始される(ステップS204)。
【0055】
デジタル放送受信処理装置100の電源がオンされている間において、制御部120は、電源をオフする操作指示信号を受信したか否かの判断を行う(ステップS205)。電源をオフする操作指示信号を受信した場合、制御部120はデジタル放送受信処理装置100の停止処理を行う(ステップS206)。
【0056】
エラー検出部120aは、使用者がデジタル放送の視聴中においてリセット処理又はリブート処理が発生したか否かの判断を行う(ステップS207)。リセット処理又はリブート処理が発生した場合、エラー検出部120aはソフトウェアエラーの発生を検出する(ステップS208)。そして、制御部120は、ソフトウェアエラーの発生回数Nに1を加算する(ステップS209)。
【0057】
次に、制御部120は、ソフトウェアエラーの発生回数Nが閾値Nt以上であるか否かの判定を行う(ステップS210)。ここで、閾値Ntは予め定められた回数であり、例えばNt=5に設定されている。ソフトウェアエラーの発生回数Nが閾値Nt以上でない場合、制御部120は通常モードを維持する。一方、ソフトウェアエラーの発生回数Nが閾値Nt以上の場合、制御部120は動作モードを通常モードから機能制限モードに切り替える(ステップS211)。そして、使用者は放送番組の視聴を継続する。
【0058】
なお、本実施の形態2においては、ソフトウェアエラーの発生回数Nが閾値Nt以上となることを条件に通常モードから機能制限モードへ移行したが、予め定めらえた時間(例えば1時間)エラーが発生しなければ、エラー発生回数Nの値をゼロにリセットしてもよい。
【0059】
<効果>
本実施の形態2におけるデジタル放送受信処理装置100において、エラー検出部120aが、ソフトウェアエラーの発生を予め定められた回数検出すると、データ抽出部103は、映像音声データの抽出を継続し、かつ放送データの抽出を停止する。
【0060】
一般に、デジタル放送で伝送されてくる情報(即ち、字幕情報、番組情報、データ放送など)に何らかの問題が包含されていることにより、これらの情報を処理する過程でソフトウェアエラーが発生する可能性が高い。一方、放送電波に雑音が偶然混入した場合などは、ソフトウェアエラーは一過性となる。このような一過性のエラーを検出して機能制限モードに移行した場合、過度にデジタル放送受信処理装置100の機能を制限してしまう可能性がある。
【0061】
そこで、本実施の形態2におけるデジタル放送受信処理装置100においては、ソフトウェアエラーが予め定められた回数発生した場合に、機能制限モードに移行する。これにより、一過性のエラーを検出して機能制限モードへ移行することを抑制することが可能である。従って、デジタル放送受信処理装置100の機能が過度に限定されることを抑制することが可能である。
【0062】
また、本実施の形態2におけるデジタル放送受信処理装置100において、エラー検出部120aがソフトウェアエラーの発生を予め定められた時間検出しない場合、ソフトウェアエラーの発生回数がゼロにリセットされる。
【0063】
従って、予め定められた時間エラーが発生しない場合は、エラー発生回数Nの値をゼロにリセットすることで、例えば一過性のエラーが時間を空けて複数回発生するような場合(すなわち、機能制限モードに移行しなくても使用者がデジタル放送の視聴を十分可能であるような場合)において、機能制限モードへの移行を抑制することが可能である。
【0064】
また、実施の形態1および2におけるデジタル放送受信処理装置100において、放送データは、字幕情報データ、番組情報データ、データ放送用データの少なくとも1つを含む。
【0065】
デジタル放送信号において、一般に、映像音声データ以外のデータ(即ち放送データ)として、字幕情報データ、番組情報データ、データ放送用データが含まれる。ソフトウェアエラーは、字幕情報データ、番組情報データ、データ放送用データの処理過程において発生する可能性が高い。そこで、機能制限モードにおいて、字幕情報データ、番組情報データ、データ放送用データのTSからの抽出を停止することにより、ソフトウェアエラーの発生を抑制することが可能である。
【0066】
なお、実施の形態1および2においては、機能制限モードにおいて、字幕情報、番組情報、データ放送用データの抽出を停止したが、これらのうち一部の情報の抽出のみを停止してもよい。機能制限モードにおいて抽出を停止する情報を少なくすることにより、機能の制限を緩和することができる。
【0067】
また、実施の形態1および2においては、放送データに含まれるデータとして字幕情報データ、番組情報データ、データ放送用データを挙げた。しかしながら、放送データは映像音声データを含まないデータであればよく、これに限定されるものではない。
【0068】
また、実施の形態1および2においては、機能制限モードで制限する情報(機能)を字幕情報、番組情報、データ放送としたが、それ以外の情報の抽出を制限するようにしても構わない。
【0069】
また、実施の形態1および2において、エラー検出部120aがソフトウェアエラーの発生を検出すると、データ抽出部103が、映像音声データの抽出を継続し、かつ放送データの抽出を停止するものとしたが、予め抽出されてROMHW2などのメモリに保存されている放送データの処理も同様に停止してもよい。字幕情報データ、データ放送用データはリアルタイムで抽出される場合が多い。一方、番組情報データなどはリアルタイムで抽出されるだけでなく、予め抽出されて保存され、電源オン後のデジタル放送視聴中に処理される場合が多い。そのため、予め抽出されて保存されたデータの処理中にソフトウェアエラーが発生する可能性もある。そこで、エラー検出部120aがソフトウェアエラーの発生を検出すると、予め抽出されてROMHW2などのメモリに保存されている放送データの処理を停止することにより、ソフトウェアエラーが再び発生する可能性がより低減される。よって、ソフトウェアエラーの発生に伴うリセット処理又はリブート処理の発生をより抑制することが可能である。
【0070】
また、実施の形態1および2においては、エラー検出部120aは、ソフトウェアのリセット処理又はリブート処理を検出することにより、ソフトウェアエラーを検出するとしたが、ソフトウェアエラーの検出方法はこれに限定されない。例えば、ハードウェアによるエラーフラグを検出する、ソフトウェアの例外処理の発生を検出する、ハードウェアもしくはソフトウェアによるウォッチドッグ機能を使用するなどの方法によってソフトウェアエラーを検出してもよい。
【0071】
また、実施の形態1および2においては、デジタル放送のTSから特定の情報の抽出を停止することによって機能制限モードを実現したが、これ以外の手段を用いて機能制限モードを実現してもよい。例えば、ソフトウェアを複数のプロセスに分離するマルチプロセス構造とし、特定機能に対応したプロセスを停止又はスリープすることで、機能制限を行うようにしてもよい。
【0072】
また、上述した実施の形態1および2においては、デジタル放送受信処理装置100は、デジタル放送を外部のアンテナ経由で受信するとしたが、インターネットなどのネットワークを経由してIP(Internet Protocol)放送もしくは動画などを受信してもよい。
【0073】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。