(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0021】
〔第1の実施形態〕
本実施形態では、本発明の断熱構造体の一例として、冷蔵庫に備えられた断熱箱体を例に挙げて説明する。但し、本発明は、これに限定はされない。
【0022】
<冷蔵庫の全体構成>
まず、本実施の形態にかかる冷蔵庫1の全体構成について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる冷蔵庫1の全体構成を示す側面断面図である。
【0023】
図1に示すように、冷蔵庫1は、上段に冷蔵室11、中段に野菜室12、及び下段に冷凍室13を備えている。冷蔵室11には、例えば、左右に分割された観音開き式の冷蔵室扉11aが設けられている。野菜室12には、引き出し式の冷蔵室扉12aが設けられている。冷凍室13には、引き出し式の冷凍室扉13aが設けられている。
【0024】
本実施形態では、扉が設けられている面を冷蔵庫の前面とする。そして、前面に対向する面を背面とする。
【0025】
冷蔵庫1には、各貯蔵空間を周囲から断熱するための断熱構造として、断熱箱体50が設けられている。断熱箱体50は、冷蔵庫1の外周を覆うように設けられている。断熱箱体50は、主として、外箱51と、内箱52と、断熱層(断熱材)53とを備えている。
【0026】
冷蔵庫1の内部には、冷凍サイクルが設けられている。冷凍サイクルは、冷媒が流通する冷媒管(冷媒流路)を介して、圧縮機61、凝縮器(図示せず)、膨張器(図示せず)、及び、冷却器72が接続されて構成されている。
【0027】
また、冷蔵庫1の内部には、制御部が設けられている。この制御部が、冷凍サイクルの運転の制御を行っている。すなわち、制御部が圧縮機61を駆動させることによって、冷凍サイクルの運転が開始され、サイクル内を冷媒が流通する。圧縮機61により圧縮された高温高圧の冷媒は、凝縮器で放熱しながら凝縮される。続いて、高温の冷媒は膨張器で膨張して低温低圧となり、蒸発器としての冷却器72に送られる。冷却器72に流入する冷媒は冷却室75内を流通する冷気と熱交換され、吸熱しながら蒸発して低温のガス冷媒となって圧縮機61に送られる。
【0028】
このように、冷媒が循環して冷凍サイクルが運転されるとともに、冷却器72と熱交換した気流によって冷気が生成される。本実施形態では、制御部は、制御ユニット81などとして実現される。
【0029】
図1に示すように、冷却器72は、冷蔵庫1の背面側に設けられた冷却室75内に配置されている。冷却室75は、各貯蔵空間と、断熱箱体50との間に配置されている。冷却室75内には、冷却器72の他に、冷却ファン73が備えられている。冷却ファン73は、冷却室75と各貯蔵空間との間で空気を循環させるために設けられている。すなわち、冷却ファン73は、冷凍サイクルの運転時などに冷却器72によって生成された冷気を、各流路を経由して各貯蔵空間へ送出するとともに、各貯蔵室に供給された冷気を、冷却室75内へ戻す。
【0030】
図1に示すように、圧縮機61は、冷蔵庫1の底部の背面側に設けられた機械室60内に配置されている。また、機械室60内には、制御ユニット81が配置されている。制御ユニット81は、圧縮機61などの断熱箱体50の外側に配置されている各部品と接続されている。また、制御ユニット81は、断熱箱体50の内側に配置されている各部品(冷却器72、冷却ファン73、各種スイッチなど)とも接続されている。制御ユニット81は、制御基板で構成されており、各部品の制御を行う。
【0031】
そして、断熱箱体50の内部には、複数本のハーネス(配線)20がさらに配置されている。ハーネス20は、制御ユニット81と各部品との間をそれぞれ接続する。ハーネス20は、主として、導電性を有する芯材21と、芯材21を覆っている絶縁性の樹脂組成物で形成された被覆材(例えば、第1被覆材22)とで構成されている(
図2(b)参照)。ハーネス20は、制御ユニット及び各部品を電気的に接続する。ハーネス20は、断熱層53中に埋め込まれている。本実施形態では、ハーネス20は、1種類のハーネス(すなわち、ポリ塩化ビニルを含まない第1被覆材を有する第1ハーネス(第1の配線)20a)で構成されている。
【0032】
<断熱箱体の説明>
続いて、断熱箱体50のより具体的な構成について、
図1及び
図2(a)を参照しながら説明する。
図2(a)は、断熱箱体50の横断面の構成を示す。
図2(a)に示すように、断熱箱体50は、主として、外箱51と、内箱52と、断熱層53とを備えている。
【0033】
外箱51は、断熱箱体50の外周面を形成する。外箱51は、冷蔵庫1の外形も部分的に形成している。内箱52は、断熱箱体50の内周面を形成する。また、内箱52は、貯蔵空間(例えば、冷蔵室11、野菜室12、冷凍室13)及び冷却室75との境界を形成している。
【0034】
なお、断熱箱体50の底部の背面側には、機械室60を配置するための空間が形成されている。つまり、機械室60は、断熱箱体50の外側に配置される。これは、圧縮機61が運転されることにより、機械室60内の温度が上昇するためである。
【0035】
上記の構成により、
図1に示すように、機械室60と冷凍室13とは、断熱箱体50によって隔離される。そのため、機械室60内で発生した熱が冷凍室13へ流れ込むことを抑えることができる。
【0036】
断熱層53は、主として、発泡断熱材で構成される。具体的には、断熱層53は、硬質発泡ウレタン(硬質ウレタンフォームともいう)などで形成することができる。硬質発泡ウレタンは、2種類の主原料に触媒、発泡剤、製泡剤などを混合し、泡化反応と樹脂化反応を同時に起こして得られる均一な樹脂発泡体である。
【0037】
本実施形態に係る断熱箱体50において、硬質発泡ウレタン製の断熱層53の発泡剤として使用可能な発泡剤の詳細については、後述する。
【0038】
なお、断熱箱体50の断熱層53に含まれる発泡剤以外の材料(2種類の主原料、触媒、及び製泡剤など)については、従来公知のものを用いることができる。
【0039】
なお、図示はしていないが、断熱層53内には、発泡断熱材の他に真空断熱材が含まれていてもよい。真空断熱材は、その内部空間を高真空に保ち、気相を伝わる熱量を出来る限り小さくすることにより、高い断熱効果を実現することができる。
【0040】
真空断熱材を構成する材料については、従来公知のものを用いることができる。真空断熱材は、一般に、薄いシート状または板状の断熱材であり、例えば、冷蔵庫1の側面、上面、底面、及び、背面にそれぞれ配置されている。
【0041】
このような構成の断熱箱体50は、例えば次のように製造される。まず、内箱52の内部に、ハーネス20などの配線構造を所定の位置に取り付ける。その後、真空断熱材をあらかじめ外箱51に接着固定する。そして、外箱51と内箱52とを例えば接着固定する。
【0042】
その後、外箱51と内箱52との間に液体状の発泡断熱材の原料を注入する。発泡断熱材の原料は、外箱51と内箱52との間の空間内で発泡した後、硬化する。これにより、断熱箱体50の内部は、発泡断熱材で充填された状態となる。配線(ハーネス20)は、発泡断熱材(硬質発泡ウレタン)の内部に埋め込まれた状態となる。
【0043】
上述した断熱箱体の構成は、本発明の一例である。したがって、本発明の冷蔵庫において、断熱箱体の構成は、上記のようなものに限定はされない。
【0044】
<断熱材に使用する発泡剤について>
本発明においては、断熱構造体の断熱効率をより高めるために、硬質発泡ウレタン断熱材に用いる発泡剤として、気体熱伝導率が低いビニレン基(−CH=CH−)、ビニル基(H
2C=CH−)、及びビニリデン基(H
2C=CH<)の何れかを基本構造とするハロゲン化炭化水素を主成分として含む発泡剤を使用している。水素と置換されるハロゲンは、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)などである。この中でも、ビニレン基を基本構造とするハロゲン化炭化水素を主成分として含む発泡剤を使用することが好ましい。また、置換されるハロゲンは、フッ素(F)又は塩素(Cl)であることが好ましい。また、ハロゲンを含むハロゲン化合物が水素と置換されて得られるハロゲン化炭化水素も本発明の範疇に含まれる。
【0045】
ビニレン基を基本構造とするハロゲン化炭化水素としては、例えば、CHCl=CHCF
3またはCF
3CH=CHCF
3を挙げることができる。
【0046】
なお、発泡剤の主成分となるハロゲン化炭化水素は、上記の構造に限定はされない。すなわち、このハロゲン化炭化水素は、ビニレン基、ビニル基、及びビニリデン基からなる群から選択される何れか一つの炭化水素基の水素が、ハロゲンまたはハロゲン化合物と置換された構造を有していればよい。たとえば、ハロゲン化炭化水素は、ビニレン基を基本構造として有する、CHR
1=CHCR
2またはCR
1CH=CHCR
2で表され、上記R
1及びR
2は、それぞれがハロゲンまたはハロゲン化合物であってもよい。
【0047】
上記のCHCl=CHCF
3で表されるハロゲン化炭化水素を主成分として含む発泡剤としては、例えば、ハネウエルソルティス(登録商標)LBA(ハネウエルジャパン株式会社製)などが挙げられる。この発泡剤を用いることで、断熱構造体のエネルギー効率をより向上させることができる。
【0048】
しかし、上述したようなハロゲン化炭化水素を主成分として含む発泡剤を用いて形成された断熱材は、断熱効率が高い反面、ハーネス20の被覆材として用いられる樹脂組成物、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)を硬化させやすいという問題を有している。
【0049】
この問題の原因の一つとして、発泡剤中に含まれるハロゲン化炭化水素(例えば、CHCl=CHCF
3など)の化学構造が、PVCと似ていることによる相溶性の影響が考えられる。そのため、本実施形態にかかる断熱材中のハーネスの被覆材にPVCが含まれる場合は、従来の発泡剤(例えば、炭化水素の一種であるシクロペンタン)を使用した断熱材と比較して、より浸食されやすい。
【0050】
また、ハーネスは、通常、複数本でまとめられた状態で断熱材中に埋め込まれる。そのため、断熱材中に埋め込まれたハーネスの被覆材に劣化が生じ、被覆材がひび割れたり、剥がれたりすると、隣接する各ハーネス間で互いの芯材が接触して、短絡を引き起こす可能性がある。
【0051】
そこで、本実施形態では、断熱材中に埋め込まれるハーネス20として、ポリ塩化ビニルを含まない第1被覆材22を有する第1ハーネス(第1の配線)20aを用いている。以下に、第1ハーネス20aのより詳しい構成について説明する。
【0052】
<断熱材中のハーネスの構成について>
図2(b)には、第1ハーネス20aの断面構成を示す。
図2(b)に示すように、第1ハーネス20aは、主として、芯材21と、それを被覆する第1被覆材22とで構成されている。芯材21は、導電性を有する金属線(銅線など)で形成されている。芯材21は、複数本の金属線を束ねて構成されていてもよい。第1被覆材22は、芯材21の外周を覆っている。第1被覆材22は、可撓性を有する絶縁性の材料(樹脂組成物など)で形成されている。上述したように、第1被覆材22は、ポリ塩化ビニルを含んでいない。
【0053】
第1被覆材22は、可塑剤(増塑剤ともいう)、阻燃剤、安定剤、顔料、及び充填剤などを含んでいる。また、第1被覆材22には、ポリ塩化ビニルの代わりに、架橋ポリエチレン、フッ素樹脂などが含まれている。
【0054】
架橋ポリエチレンは、ポリエチレンの直鎖を構成する炭素原子の一部が架橋して得られる。架橋ポリエチレンは、例えば、以下の(式1)に示す構造を有する。
【0056】
上記のように、架橋ポリエチレンは、三次元的な網状構造を有するため、有機溶剤に対する耐性が、直鎖構造のポリエチレンと比較して向上する。また、応力のかかった状態における亀裂発生も生じにくくなる。そのため、断熱層53中に第1ハーネス20aを埋め込んだ場合の第1被覆材22の劣化を抑えることができる。より具体的には、断熱層53中に埋め込まれた第1ハーネス20aの第1被覆材22の伸び残率を比較的高い状態で維持することができる。
【0057】
このように、ポリ塩化ビニルを含有しない第1被覆材22を有する第1ハーネス20aは、後述のポリ塩化ビニルを含有する第2被覆材23を有する第2ハーネス20bと比較して、断熱層53中に埋め込まれた場合の劣化の進行を抑えることができる。
【0058】
第1被覆材22は、架橋ポリエチレンの他に、可塑剤(増塑剤ともいう)、阻燃剤、安定剤、顔料、及び充填剤などを含んでいる。
【0059】
可塑剤は、被覆材に柔軟性を付与する。使用される可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、トリメット酸トリオクチル(TOTM)などを挙げることができる。
【0060】
阻燃剤は、被覆材を難燃化する役割を有する。使用される阻燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン(Sb
2O
3)などを挙げることができる。
【0061】
安定剤は、被覆材の劣化を抑える役割を有する。使用される安定剤としては、例えば、亜鉛(Zn)系安定剤などを挙げることができる。
【0062】
顔料は、被覆材を着色するために使用される。顔料は、着色したい色に応じて、適宜選択することができる。
【0063】
充填剤は、被覆材の増量を目的として添加される。使用される充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化亜鉛などを挙げることができる。
【0064】
本実施形態では、断熱箱体50の断熱層53内に、複数本のハーネス20が並んで配置されている。例えば、
図2(a)に示す例では、3本のハーネス20が並走している。このように、断熱箱体50の断熱層53内では、複数本のハーネス20が一つにまとめられて配置されている。一つの束にまとめられたハーネスの集合体を配線構造と呼ぶ。配線構造内に含まれるハーネスの本数は、必要に応じて様々に異なる。
【0065】
図3には、配線構造の一例を示す。
図3に示す配線構造30においては、コネクタ31から3本のハーネス20が伸びている。コネクタ31は、他の配線構造などと接続される。
図3に示すように、配線構造30は、3本の第1ハーネス20aで構成されている。
【0066】
<効果>
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫1は、断熱箱体50を構成している断熱層53の発泡剤として、ビニレン基(−CH=CH−)、ビニル基(H
2C=CH−)、及びビニリデン基(H
2C=CH<)の何れかを基本構造とするハロゲン化炭化水素を主成分として含む発泡剤を使用している。このような発泡剤を用いることで、従来のシクロペンタンなどを主成分とする発泡剤を用いた場合と比較して、発泡断熱材中の熱伝導率を低く抑えることができる。したがって、断熱効率のより高い断熱構造体を得ることができる。
【0067】
また、本実施形態では、断熱層53中に埋め込まれている第1ハーネス20aの第1被覆材22として、ポリ塩化ビニルを含有しないものを用いている。例えば、第1被覆材22には、ポリ塩化ビニルの代わりに架橋ポリエチレンが含まれている。ポリ塩化ビニルを含有しない第1被覆材22は、ポリ塩化ビニルを含有する被覆材と比較して、断熱層53に対する耐久性がより高い。そのため、断熱層53中に埋め込まれた場合のハーネス20の劣化の進行を抑えることができる。
【0068】
<実施例>
以下に、本発明の実施例について説明する。
【0069】
本実施例では、第1被覆材22の一例である架橋ポリエチレンを含有する被覆材を、銅線で形成された芯材に被覆して、ハーネスを作製した。なお、本実施例では、住友電気工業株式会社製のイラックス(登録商標)を使用して、被覆材を作製した。また、比較のために、ポリ塩化ビニルを含有する被覆材を、銅線で形成された芯材に被覆して、ハーネスを作製し、比較例とした。
【0070】
次に、作製されたハーネス(通常品)について、伸び率A:X’/X(%)(X:ハーネスの通常時の長さ、X’:ハーネスを伸ばした後の長さ)の測定を行った。この伸び率Aを基準として用いた。
【0071】
続いて、第1の実施形態に係る断熱構造体中に含まれる発泡剤の一つである、液状発泡剤(ハネウエルソルティス(登録商標)LBA(ハネウエルジャパン株式会社製))中に、実施例および比較例にかかるハーネスを浸漬させた。浸漬時間は、120時間であった。
【0072】
その後、上述した伸び率Aの測定方法と同じ方法で、浸漬後の各ハーネスについて伸び率を測定した。実施例のハーネスの伸び率を伸び率Bとし、比較例のハーネスの伸び率を伸び率Cとした。そして、浸漬前の伸び率Aに対する浸漬後の伸び率B及び伸び率Cの割合を、伸び残率(%)(実施例:伸び率B/伸び率A×100、比較例:伸び率C/伸び率A×100)として算出した。
【0075】
この結果から、液状発泡剤中に浸漬(120時間)させた後の伸び残率が、比較例では平均14%であったのに対し、実施例では平均67%であり、架橋ポリエチレン被覆材を用いた被覆材は、伸び率の低下、すなわち、被覆材の硬化を抑制できることが確認された。したがって、本実施例にかかるハーネスによれば、被覆材のひび割れや剥離が防止でき、配線の芯材の露出や配線の断線を防止できる。
【0076】
〔第2の実施形態〕
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。上述したように、例えば、架橋ポリエチレンなどのポリ塩化ビニルを含まない被覆材を有するハーネスのみで構成された第1の実施形態によれば、被覆材の劣化を防止できる。但し、実施例に記載のように、架橋ポリエチレンは、発泡剤浸漬前の伸び率が比較的に低い。そのため、例えば、ハーネスを断熱箱体の内箱などに取り付ける際に、束ねたハーネスを所定の形状に曲げるのに必要な応力が大きくなり、作業性が低くなる。また、曲げ半径を小さくし難いため、内箱から浮き上がりやすくなり、発泡断熱材の発泡充填がハーネスによって妨げられる可能性がある。また、架橋ポリエチレンはPVCに比べて高価である。
【0077】
そのため、本実施形態においては、断熱箱体(断熱構造体)50内に配置される複数のハーネス(配線)20が、ポリ塩化ビニル(塩化ビニルともいう)を含まない第1被覆材22を有する第1ハーネス(第1の配線)20aと、ポリ塩化ビニルを含む第2被覆材23を有する第2ハーネス(第2の配線)20bとで構成されている。以下では、断熱層53内に埋め込まれている第1ハーネス20aおよび第2ハーネス20bの構成について説明する。
【0078】
図4(a)は、断熱箱体50の横断面の構成を示す。
図4(a)に示すように、断熱箱体50は、主として、外箱51と、内箱52と、断熱層53とを備えている。なお、本明細書中では、第1ハーネス20aおよび第2ハーネス20bなどのような異なる種類のハーネスを総称する場合には、ハーネス20と記載する。外箱51、内箱52、および断熱層53などの断熱箱体50の基本的な構成は、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。そこで以下では、第1の実施形態とは異なる構成のみについて説明する。
【0079】
ハーネス20は、配線を複数本束ねた状態で、断熱箱体50内の断熱層53に埋め込まれるようにして配置されている。例えば、
図4(a)に示すように、ハーネス20は、内箱52の背面と側面との角部分に配置され、内箱52の壁面に沿うように複数本並んで配置されている。但し、これは一例であり、断熱層53内におけるハーネス20の配置の仕方はこれに限定はされない。
【0080】
上述したように、本実施形態では、ハーネス20は、第1ハーネス(第1の配線)20aと、第2ハーネス(第2の配線)20bとに分けられる。
図4(b)には、第1ハーネス20aの断面構成を示す。
図4(c)には、第2ハーネス20bの断面構成を示す。
図4(b)に示す第1ハーネス20aは、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0081】
図4(c)に示すように、第2ハーネス20bは、主として、芯材21と、それを被覆する第2被覆材23とで構成されている。芯材21は、第1ハーネス20aと同様に、導電性を有する金属線(銅線など)で形成されている。芯材21は、複数本の金属線を束ねて構成されていてもよい。第2被覆材23は、芯材21の外周を覆っている。第2被覆材23は、可撓性を有する絶縁性の材料(樹脂組成物など)で形成されている。上述したように、第2被覆材23は、ポリ塩化ビニルを含んでいる。
【0082】
第2被覆材23は、ポリ塩化ビニル(PVC)の他に、可塑剤(増塑剤ともいう)、阻燃剤、安定剤、顔料、及び充填剤などを含んでいる。
【0083】
第2被覆材23中に含まれるポリ塩化ビニル(PVC)以外の材料(すなわち、可塑剤(増塑剤ともいう)、阻燃剤、安定剤、顔料、及び充填剤など)については、第1被覆材22と同様の材料を用いることができる。
【0084】
上述の実施例に示すように、断熱層53中に埋め込まれた第1ハーネス20aの第1被覆材22は、架橋ポリエチレンなどで構成されてポリ塩化ビニルを含まない。従って、断熱層53中に埋め込まれた第1ハーネス20aの第1被覆材22の伸び残率を、より高く維持することができる。具体的には、第1被覆材22の伸び残率を、断熱材内に埋め込まれる前の状態での第1被覆材22の引張強度に対して、60%以上とすることができる。
【0085】
以上のように、本実施形態にかかる断熱箱体50では、断熱層53中での伸び残率が互いに異なる2種類の被覆材を用いて形成された2種類のハーネス20aおよび20bで配線を構成している。なお、本発明では、ハーネスの種類は、2種類に限定はされない。それぞれ異なる被覆材を有する3種類以上のハーネスを用いて断熱構造体を形成してもよい。
【0086】
<断熱材中の各ハーネスの配列について>
続いて、断熱箱体50における、第1ハーネス20aおよび第2ハーネス20bの配列の仕方について、
図4から
図8を参照しながら説明する。本実施形態では、断熱箱体50の断熱層53内に、複数本のハーネス20が並んで配置されている。例えば、
図4(a)に示す例では、3本のハーネス20が並走している。
【0087】
このように、断熱箱体50の断熱層53内では、複数本のハーネス20が一つにまとめられて配置されている。一つの束にまとめられたハーネスの集合体を配線構造と呼ぶ。配線構造内に含まれるハーネスの本数は、必要に応じて様々に異なる。
図5から
図8には、配線構造の例をそれぞれ示す。
【0088】
図5(a)に示す配線構造30aにおいては、コネクタ31から3本のハーネス20が伸びている。コネクタ31は、他の配線構造などと接続される。
図5(a)に示すように、配線構造30aは、2本の第1ハーネス20aと1本の第2ハーネス20bとで構成されている。
【0089】
図5(b)には、
図5(a)のX1−X1線における断面構造を示す。
図5(b)に示すように、配線構造30aでは、3本のハーネス20が平面的に配置されている。ここで、複数本のハーネスが平面的に配置されているとは、配線構造の断面構造において、各ハーネスの芯材21(あるいは、各ハーネスの中心軸P)が略一直線上に整列していることをいう(
図6(b)参照)。
【0090】
また、配線構造30aにおいては、平面的に並んだ3本のハーネスのうち、中央のハーネスを第2ハーネス20bで構成し、その両脇の各ハーネスを第1ハーネス20aで構成している。このように、本実施形態では、断熱層53に対する耐久性の異なる2種類のハーネス(すなわち、第1ハーネス20aおよび第2ハーネス20b)を交互に配置することが好ましい。
【0091】
この構成によれば、断熱層53中に埋め込まれたハーネスのうち、より断熱層53によって硬化しやすい第2ハーネス20bの第2被覆材23に万一亀裂や破損などが発生した場合にも、その両隣には、断熱層53に対する耐久性のより高い第1被覆材22を有する第1ハーネス20aが配置されている。そのため、隣接するハーネス20間の芯材21同士が接触して短絡することを抑えることができる。また、複数のハーネス20が平面的に配置されていることで、複数のハーネスが互いに接触する可能性を低くすることができるため、万一被覆材に亀裂などが発生した場合の配線の短絡を抑えることができる。
【0092】
図6(a)には、配線構造の他の例を示す。
図6(a)に示す配線構造30bにおいては、コネクタ31から3本のハーネス20が伸びている。
図6(b)には、
図6(a)のX2−X2線における断面構造を示す。
【0093】
配線構造30aと同様に、配線構造30bは、3本のハーネスが平面的に配置されている。そして、配線構造30bは、2本の第1ハーネス20aと1本の第2ハーネス20bとで構成されている。配線構造30bでは、左右何れかの端部(
図6(a)では右端部)に第2ハーネス20bが配置されている。
【0094】
以上のように、断熱箱体50内の配線構造は、配線構造30aおよび30bのように、一つのコネクタ31によってまとめられている3つのハーネスのうち、1つが第2ハーネス20bであり、残りの2つが第1ハーネス20aであることが好ましい。このように、より断熱層53に対する耐久性の高い第1ハーネス20aを複数本で構成し、1本のみを耐久性のやや劣る第2ハーネス20bで構成することで、万一第2ハーネス20bの第2被覆材23に亀裂が生じた場合にも、ハーネス同士が短絡することを抑えることができる。
【0095】
図7(a)には、配線構造のさらに他の例を示す。
図7(a)に示す配線構造30cにおいては、コネクタ31から2本のハーネス20が伸びている。
図7(b)には、
図7(a)のX3−X3線における断面構造を示す。
【0096】
図7(a)に示すように、配線構造30cは、1本の第1ハーネス20aと1本の第2ハーネス20bとで構成されている。このように、2本のハーネスが並んで配置されている配線構造では、少なくとも1本のハーネスを、断熱層53に対する耐久性のより高い第1ハーネス20aで構成することが好ましい。これにより、万一第2ハーネス20bの第2被覆材23に亀裂が生じた場合にも、ハーネス同士が短絡することを抑えることができる。
【0097】
図8(a)には、配線構造のさらに他の例を示す。
図8(a)に示す配線構造30dにおいては、コネクタ31から7本のハーネス20が伸びている。
図8(b)には、
図8(a)のX4−X4線における断面構造を示す。
【0098】
図8(a)に示すように、配線構造30dは、4本の第1ハーネス20aと3本の第2ハーネス20bとで構成されている。そして、第1ハーネス20aと第2ハーネス20bとが交互に並んで平面的に配置されている。これにより、万一第2ハーネス20bの第2被覆材23に亀裂が生じた場合にも、第2ハーネス20bの両隣には、断熱層53に対する耐久性のより高い第1ハーネス20aが配置されているため、ハーネス同士が短絡することを抑えることができる。
【0099】
<効果>
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫1は、断熱箱体50を構成している断熱層53の発泡剤として、ビニレン基(−CH=CH−)、ビニル基(H
2C=CH−)、及びビニリデン基(H
2C=CH<)の何れかを基本構造とするハロゲン化炭化水素を主成分として含む発泡剤を使用している。このような発泡剤を用いることで、従来のシクロペンタンなどを主成分とする発泡剤を用いた場合と比較して、発泡断熱材中の熱伝導率を低く抑えることができる。したがって、断熱効率のより高い断熱構造体を得ることができる。
【0100】
また、本実施形態では、断熱層53中に埋め込まれている第1ハーネス20aの第1被覆材22として、ポリ塩化ビニルを含有しないものを用いるとともに、断熱層53中に埋め込まれている第2ハーネス20bの第2被覆材23として、ポリ塩化ビニルを含有するものを用いている。ポリ塩化ビニルを含有しない第1被覆材22は、ポリ塩化ビニルを含有する第2被覆材23と比較して、断熱層53に対する耐久性がより高い。
【0101】
このように、断熱層53内に埋め込まれる複数のハーネスのうちのいくつかを、断熱層53に対する耐久性のより高い第1被覆材22を用いて形成することで、ハーネス同士が短絡する可能性を低く抑えることができる。
【0102】
また、断熱層53内に埋め込まれる複数のハーネスのうちのいくつかを、発泡剤浸漬前の伸び率が比較的に高い第2の被覆材23を用いて形成することで、断熱箱体を製造する際の加工性を改善することができる。また、断熱層53内に埋め込まれる複数のハーネスのうちのいくつかを、第2の被覆材23を用いて形成することで、すべてのハーネスを第1の被覆材22を用いて形成した場合と比較して、製造コストを低減させることができる。
【0103】
以上より、上記の構成によれば、ハロゲン化炭化水素を主成分として含む発泡剤を用いて断熱構造体の断熱効果を向上させつつ、発泡剤に起因した被覆材の劣化を抑えることができる。
【0104】
〔第3の実施形態〕
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、断熱箱体50内に配置された配線構造の構成のみが第2の実施形態とは異なっている。そこで、以下では、第3の実施形態にかかる配線構造について説明する。
【0105】
図9には、第3の実施形態にかかる配線構造130の外観構成を示す。配線構造130は、複数本のハーネス20と、複数のコネクタ31a・31b・31cおよび32と、樹脂製のテープ(外側被覆材)141とを有している。複数本のハーネス20は、第1ハーネス20aと第2ハーネス20bとで構成されている。第1ハーネス20aおよび第2ハーネス20bの構成は、第2の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0106】
図9に示すように、一例の配線構造130は、10本のハーネス20で構成されている。コネクタ32は、配線構造130内のすべてのハーネス20と接続されている。すなわち、コネクタ32は、配線構造130内のすべてのハーネス20を一つにまとめている。
【0107】
また、
図9に示す一例の配線構造130では、10本のハーネス20のうちの右側6本のハーネス20が、1個のコネクタ31aによって一つにまとめられている。また、10本のハーネス20のうちの左側4本のハーネス20は、2本ずつに分けられて、2個のコネクタ31bおよび31cの何れかと接続されている。一つのコネクタ31aにまとめられている6本のハーネス20においては、第1ハーネス20aと第2ハーネス20bとが交互に配置されている。
【0108】
また、2つのグループに分けられている左側4本のハーネス20は、各グループが、1本の第1ハーネス20aと1本の第2ハーネス20bとでそれぞれ構成されている。各グループ間で隣接する位置には、断熱層53に対する耐久性のより高い第1ハーネス20aが配置されている。これにより、隣接するハーネス同士が短絡する可能性を低下させることができる。
【0109】
第2の実施形態と同様に、配線構造130内の各ハーネス20は、平面的に配置されていることが好ましい。そして、3本以上のハーネス20の配列は、樹脂製のテープ(外側被覆材)141によってその外側表面が被覆されている。
図9に示す一例の配線構造130では、コネクタ32に近い側において、10本のハーネス20がテープ141aによって一つにまとめられている。また、コネクタ31aに近い側において、6本のハーネス20がテープ141bによって一つにまとめられている。
【0110】
テープ141は、第1ハーネス20aを構成する第1被覆材22、または、第2ハーネス20bを構成する第2被覆材23と同じ素材で形成することができる。またあるいは、テープ141は、その他の伸縮性を有する樹脂素材で形成することもできる。また、テープ141は、透明あるいは半透明の材料で形成してもよい。
【0111】
本実施形態では、3本以上のハーネス20がテープ141によって被覆され、一つにまとめられることで、各ハーネス20の平面的な配置構造を保持することができる。これにより、断熱層53に対する耐久性のより低い第1ハーネス20a同士が接触することを避けることができる。
【0112】
また、各ハーネス20a・20bにおいて、テープ141によって被覆されている領域は、断熱層53と被覆材22・23とが直接接触することが回避される。そのため、断熱層53の影響によって被覆材22・23が硬化する可能性を低減させることができる。
【0113】
なお、1つの断熱箱体50内において、第2の実施形態で説明した各種配線構造30aから30dと、第3の実施形態で説明した配線構造130とが、混在していてもよい。すなわち、断熱箱体50内の各位置において、一つにまとめるべきハーネスの本数に応じて、上述した各種配線構造を適宜選択することができる。
【0114】
〔第4の実施形態〕
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、断熱箱体50内に配置された配線構造の構成のみが第2の実施形態とは異なっている。そこで、以下では、第4の実施形態にかかる配線構造について説明する。
【0115】
図10には、第4の実施形態にかかる配線構造230の外観構成を示す。配線構造230は、複数本のハーネス20と、複数のコネクタ231および232a・232bと、複数の樹脂製の外側テープ(外側被覆材)241と、複数の樹脂製の内側テープ(外側被覆材)242とを有している。
【0116】
ハーネス20は、芯材と、それを被覆する被覆材とで構成されている。芯材は、導電性を有する金属線(銅線など)で形成されている。被覆材は、芯材の外周を覆っている。被覆材は、可撓性を有する絶縁性の材料(樹脂組成物など)で形成されている。
【0117】
ハーネス20としては、第1の実施形態で説明した第1ハーネス20aおよび第2の実施形態で説明した第2ハーネス20bの何れかを採用することができる。第2の実施形態では、第1ハーネス20aおよび第2ハーネス20bという2種類のハーネスで配線構造を構成していたが、本実施形態では、第1ハーネス20aおよび第2ハーネス20bの何れか1種類のみを用いて配線構造を構成してもよい。
【0118】
図10に示すように、一例の配線構造230は、10本のハーネス20で構成されている。コネクタ231は、配線構造230内のすべてのハーネス20と接続されている。すなわち、コネクタ231は、配線構造230内のすべてのハーネス20を一つにまとめている。
【0119】
また、
図10に示す一例の配線構造230では、10本のハーネス20のうちの右側4本のハーネス20が、1個のコネクタ232aによって一つにまとめられている。また、10本のハーネス20のうちの左側6本のハーネス20が、1個のコネクタ232bによって一つにまとめられている。このように、一例の配線構造230では、その上方部分において、各ハーネス20が2つにグループ分けされている。
【0120】
第2の実施形態と同様に、配線構造230内の各ハーネス20は、平面的に配置されていることが好ましい。ハーネス20の配列は、樹脂製の外側テープ(外側被覆材)241によってその外側表面が被覆されている。
【0121】
さらに、配線構造230では、各ハーネス20の配列が2つにグループ分けされている分岐部分において、外側テープ241の内側に、内側テープ242が設けられている。内側テープ242は、2つに分かれたハーネス20集合のグループごとに、その外側表面を被覆している。
【0122】
外側テープ241および内側テープ242は、ハーネス20を構成する被覆材と同じ素材で形成することができる。またあるいは、外側テープ241および内側テープ242は、その他の伸縮性を有する樹脂素材で形成することもできる。なお、
図10では、説明の便宜上、外側テープ241および内側テープ242を半透明の材料として図示しているが、外側テープ241および内側テープ242は、不透明の材料であってもよい。
【0123】
このように、配線構造230では、ハーネス20の表面が、断熱層53と接触する略全領域において、外側テープ241および内側テープ242の少なくとも何れかで覆われていることが好ましい。
【0124】
上記構成の配線構造230は、断熱箱体50を構成している断熱層53内に埋め込まれている。第1の実施形態と同様に、断熱層53は、発泡剤として、ビニレン基(−CH=CH−)、ビニル基(H
2C=CH−)、及びビニリデン基(H
2C=CH<)の何れかを基本構造とするハロゲン化炭化水素を主成分として含む発泡剤を使用している。したがって、断熱効率のより高い断熱構造体を得ることができる。
【0125】
上記のハロゲン化炭化水素を主成分として含む発泡剤としては、例えば、ハネウエルソルティス(登録商標)LBA(ハネウエルジャパン株式会社製)などが挙げられる。この発泡剤を用いることで、断熱構造体のエネルギー効率をより向上させることができる。
【0126】
そして、本実施形態では、配線構造230を構成するハーネス20の外側表面の全領域が、外側テープ241および内側テープ242の少なくとも何れかで覆われている。このような配線構造230を、上記のような発泡剤を使用した断熱層53内に埋め込んだ場合には、配線構造230の配線領域のほぼ全範囲において、断熱層53とハーネス20の被覆材との間に、外側テープ241および内側テープ242の少なくとも何れかが介在することになる。
【0127】
上記の構成によれば、ハーネス20の被覆材が断熱層53と直接接触する可能性を低く抑えることができる。したがって、本実施形態にかかる配線構造230によれば、断熱層53中に埋め込まれるハーネス20の品質低下を抑えることができる。
【0128】
〔第5の実施形態〕
続いて、本発明の第5の実施形態について説明する。上述の第1の実施形態では、制御ユニット81が機械室60内に配置されている構成について説明した。しかし、本発明の冷蔵庫の構成は、これに限定はされない。そこで、第5の実施形態では、制御ユニットが断熱層内に配置されている構成例について説明する。
【0129】
図11は、本実施形態に係る冷蔵庫300の全体構成を示す側面断面図である。本実施形態に係る冷蔵庫300においては、制御ユニット382の配置位置が第1の実施形態に係る冷蔵庫1とは異なっている。その他の構成については、基本的に第1の実施形態の冷蔵庫1と同様の構成が適用できる。そのため、冷蔵庫1と同様の構成部材については同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0130】
図11に示すように、制御ユニット382は、断熱箱体50の内部に、断熱層53に埋め込まれるようにして配置されている。制御ユニット382は、断熱箱体50の内側に配置されている各部品(冷却器72、冷却ファン73、各種スイッチなど)と接続されている。
【0131】
また、図示はしていないが、制御ユニット382は、圧縮機61などの断熱箱体50の外側に配置されている各部品とも接続されている。制御ユニット382は、制御基板で構成されており、各部品の制御を行う。庫内制御ユニット382は、筐体などの中に収容され、断熱層53とは直接接触しないようになっている。
【0132】
断熱層53は、主として、発泡断熱材で構成される。断熱層53を構成している発泡断熱材としては、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。
【0133】
断熱層53の内部には、ハーネス(配線)20が埋め込まれている。第2の実施形態と同様に、ハーネス20は、第1ハーネス20aと第2ハーネス20bとで構成されている。第1ハーネス20aおよび第2ハーネス20bの具体的な構成については、第1および第2の実施形態と同様の構成を適用することができる。
【0134】
本実施形態に係る冷蔵庫300は、断熱箱体50を構成している断熱層53の発泡剤として、ビニレン基(−CH=CH−)、ビニル基(H
2C=CH−)、及びビニリデン基(H
2C=CH<)の何れかを基本構造とするハロゲン化炭化水素を主成分として含む発泡剤を使用している。したがって、断熱効率のより高い断熱構造体を得ることができる。
【0135】
〔第6の実施形態〕
続いて、本発明の第6の実施形態について説明する。上述の第2の実施形態では、本発明に係る断熱構造体の一例として、冷蔵庫の断熱箱体を例に挙げて説明した。しかし、本発明の断熱構造体は、これに限定はされない。そこで、第6の実施形態では、本発明の断熱構造体を保温器の筐体として使用する例について説明する。
【0136】
図4(a)には、本実施形態に係る保温器の筐体400の構成を示す。
図4(a)に示す筐体400は、保温器の外形を形成している。冷蔵庫1の断熱箱体50と同様に、筐体400の内部が、保温対象となる飲料や食品などの収容室となっている。この収容室内を、例えば、70℃程度の高温状態に維持することで、収容室内に置かれた飲料などを温めることができる。なお、筐体400の前面には、扉(図示せず)が設けられている。
【0137】
断熱層53は、主として、発泡断熱材で構成される。断熱層53を構成している発泡断熱材としては、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。
【0138】
断熱層53の内部には、ハーネス(配線)20が埋め込まれている。ハーネス20は、保温器内の制御ユニット及び各部品を電気的に接続する。第2の実施形態と同様に、ハーネス20は、第1ハーネス20aと第2ハーネス20bとで構成されている。第1ハーネス20aおよび第2ハーネス20bの具体的な構成については、第1および第2の実施形態と同様の構成を適用することができる。
【0139】
なお、本発明の断熱構造体は、上述した冷蔵庫及び保温器以外にも、例えば、湯沸かし器の筐体、冷水供給装置の筐体、住宅用の断熱材などに適用することができる。
【0140】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。