特許第6800014号(P6800014)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800014
(24)【登録日】2020年11月26日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】排気後処理システム
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20201207BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20201207BHJP
   B01J 23/46 20060101ALI20201207BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   F01N3/28 301B
   F01N3/28 301F
   B01D53/94 222
   B01D53/94 245
   B01D53/94 280
   B01J23/46 311A
   F01N3/08 B
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-519975(P2016-519975)
(86)(22)【出願日】2014年9月18日
(65)【公表番号】特表2016-540144(P2016-540144A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】EP2014069924
(87)【国際公開番号】WO2015049110
(87)【国際公開日】20150409
【審査請求日】2017年9月5日
【審判番号】不服2019-7651(P2019-7651/J1)
【審判請求日】2019年6月10日
(31)【優先権主張番号】61/886,425
(32)【優先日】2013年10月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501399500
【氏名又は名称】ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダグ・ボール
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・モーザー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ヌナン
【合議体】
【審判長】 金澤 俊郎
【審判官】 北村 英隆
【審判官】 鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−161047(JP,A)
【文献】 特開2009−150279(JP,A)
【文献】 特開平7−279651(JP,A)
【文献】 特開2004−8855(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0128558(US,A1)
【文献】 特開2008−215123(JP,A)
【文献】 特開2002−242665(JP,A)
【文献】 特開2010−159672(JP,A)
【文献】 特開2010−31737(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/132895(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00
F01N 3/02
F01N 3/04 - 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学量論的条件下で主に稼働するエンジンから排出される有害汚染物質軽減のための排気処理システムであって、密結合の位置における1つ以上の三元触媒が組み合わされた床下(uf)触媒HCトラップ/SCR触媒装置を下流に伴い、
前記触媒HCトラップは、車両コールドスタート中に炭化水素を吸着し、前記炭化水素が脱離する前に、より高温でHCトラップ触媒上の前記炭化水素を酸化し、
前記触媒HCトラップが前記SCR触媒の上流に配置され、
前記SCR触媒は、少なくとも0.25g/L触媒程度までアンモニアを吸蔵することができ、
前記SCR触媒は、次の直列の触媒として前記HCトラップから直接前記HCトラップの出力を受け、
前記排気処理システムは、前記SCR触媒用の還元剤ソースとして前記1つ以上の三元触媒により生成されるアンモニアに依拠するように構成されており、従って前記HCトラップおよびSCR触媒との間に延在する排気通路において外部SCR還元剤注入が無い、排気処理システム。
【請求項2】
前記SCR触媒は、鉄、銅及びこれらの混合物からなる群から選択される金属とイオン交換されるゼオライト材料を含む、請求項に記載の排気システム。
【請求項3】
前記HCトラップの前記触媒は、少なくとも20mg/L触媒のHC吸蔵容量を有するゼオライト材料を含む、請求項1に記載の排気システム。
【請求項4】
前記HCトラップは、白金、パラジウム、ロジウム及びこれらの混合物からなる群から選択されるPGMの組み合わせを有する酸素吸蔵材からなる触媒を含む、請求項に記載の排気システム。
【請求項5】
前記PGMレベルは、7g/L〜0.4g/Lである、請求項に記載の排気システム。
【請求項6】
2つの三元触媒が互いに隣接して設置される、請求項1に記載の排気システム。
【請求項7】
化学量論的条件下で主に稼働するエンジンから排出される有害汚染物質の軽減プロセスであって、請求項1〜のいずれか一項に記載の排気システムが使用され、減速燃料カットストラテジーおよびエンジン運転の後続のリッチ期間が適用される、プロセス。
【請求項8】
100℃〜300℃の比較的低温の排気状態の間に少なくとも1回前記減速燃料カットストラテジーが実施される、請求項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記リッチ段階においてλ=0.80〜0.95が適用される、請求項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記リッチ段階が3〜6秒間続く、請求項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排気処理システム及びガソリン車から排出されている有害汚染物質の低減のためのプロセスに関する。詳しくは、本発明は、密結合の位置の1つ以上の三元触媒(TWC)及び車両の床下(uf)領域のHCトラップ/SCRの組合せ装置からなる排気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばポート燃料噴射(PFI)エンジンなどの、主に化学量論的空気/燃料(A/F)混合物で運転される内燃機関からの排気ガスは三元触媒(TWC)コンバータを使用した従来の方法によって浄化される。これらはエンジンの3つの基本的な気体状汚染物質、特に、炭化水素、一酸化炭素及び窒素酸化物を同時に無害成分に転換することができる。
【0003】
TWCの最適な使用は空燃比が、λ=1に相当する約14.56である。この値の周辺で、特定の頻度で空燃比がわずかにリーンからわずかにリッチへと変わることはウォブリング(+/−0.05)と称される。これらの値より高い場合、排気ガスはリーンと言われ、CO及びHCは二酸化炭素及び水に触媒的に酸化される。これらの値より低い場合、排気ガスはリッチと言われ、還元剤として例えばCOを用いて主としてNOは窒素Nに還元される。
【0004】
かかるガソリン推進式の車両に関して、適用された排気システムに関する、すなわち含まれる触媒の数及びエンジンアウトレットに対する触媒の位置を考慮した種々の解決策が存在する。密結合のエンジンアウト位置における一般的な単一ブリックの解決策は、異なる基材、容積及び貴金属使用量並びに均質触媒又はゾーン触媒タイプを使用する。更に、最小2つのブリック又はそれ以上を有する排気システムに取り付けられた触媒は、例えば触媒の個々の容積、各ブリック基材のタイプ、貴金属使用量及び均質にコーティングされた触媒又はゾーン触媒などのコーティングのタイプにおいて異なる(参照により組み込まれる米国特許第12/951301号)。
【0005】
大型及びより低温のエンジンの厳しい排出規制のための比較的一般的な設計は、比較的高温な密結合(cc)の位置(エンジン排気口に近い、エンジン排気口から約50cmまでのインフロー)に1つのTWCコンバータを有するべきであり、第2のTWCコンバータは、より低温の、車両のキャビン下に配置されていることを意味する、車体下(ub又は床下(uf))配置にあるべきである(フルTWCシステム)。ほとんど全ての自動車の排気制御システムは本質的に動力を有していないため、根拠とし、その全体が参照により本明細書に組み込まれる欧州特許第1,900,416A号に開示されるように、触媒の作用温度まで加熱する時間は重要である。
【0006】
ターボチャージャーを備える及び備えないガソリン直噴(GDI)エンジンを有する車両は、ポート燃料噴射(PFI)エンジンを有する車両と比較した場合のガソリン直噴(GDI)エンジンの優れた燃料経済性及び駆動性能により、ヨーロッパ又は米国において市場シェアを拡大しつつある。この傾向は続くことが予想されており、すなわち、乗用車メーカーに対する欧州連合からの義務付けにより、CO排出を更に低減すること及び130g/kmのCOのフリート平均を満たすことは続く。より意欲的なCOフリート平均目標が、更に検討されている。企業平均燃費基準がより厳しくなり、一般的に、北米においてGDI車両のシェアはPFI車両を犠牲にして成長するだろうと予想される。今後取り組むことになるより厳しい政府による排出規制(例えば、EU−6−表1、LEV−III)及び燃料経済性基準(CO規制)は、当然のことであるが、排気後処理を将来より困難なものにするだろう。
【0007】
【表1】
【0008】
このため、また、主に化学量論的条件(空燃比=14.56又はλ=1)下で稼働するガソリン車に関して、COの排出量は問題になりつつあり、より多くの用途は燃料経済性を向上させるために特定の手段を導入しなければならないだろう。
【0009】
減速燃料カット運転(DFCO)はこの目的を達成するための1つの選択肢である。必ず、燃料経済性を向上させるため、したがって、CO排出を更に減少させるためにこれらの手段はそれぞれのタイプの車両のためのキャリブレーションを見出さなければならないだろう。典型的には、減速燃料カット事象は、車両の減速期間中などの、動力が必要ないときのシリンダーへ燃料の停止により始まる。このモードにおいて、エンジンはエアポンプとして動作し、周囲空気をシリンダー中に吸い込んで、排気システムを通してそれを排出して大気中へと戻す。
【0010】
上記のように、TWCによるHC、CO及びNOの最適転換はλ=1の周辺においてのみ達成される。しかしながら、わずかにリーンな状態とわずかにリッチな状態の間で変動する条件(ウォブリング)下でガソリンエンジンは動作する。純粋にリッチな状態下では、炭化水素の転換は急激に低下する。純粋にリーンな状態下では、NO破過は避けることができない。TWCの最適作用を拡大するために、例えばCe混合酸化物の形態の酸素吸蔵材(OSM)はTWCの配合物に含まれていた(米国特許出願第12/951301号;Critical Topics in Exhaust Gas Aftertreatment,Peter Eastwood,Research Studies Press Ltd.,2000)。燃料カット手順の下で、OSM含有TWCは純リーン環境(酸素過剰)に晒される。このため、このプロセス中、燃料カット開始時の触媒の状態及び燃料カットの持続時間に応じて触媒のOSMは部分的酸化状態又は完全酸化状態のいずれかへと遷移する。ECUがエンジントルク要求(すなわち、スロットル入力)を受けたらすぐに燃料噴射を再開する。
【0011】
動力を再び必要とする場合、過剰燃料は、短時間、三元触媒のOSM機能を再生するために使用される。燃料カット後、触媒のOSMをより還元状態に戻すために、リッチ再生を必要とする。エンジン流量及びNO濃度が上昇する場合に、これは加速を確実にするために必要である。燃料カットの後に触媒システムが酸化状態のままである場合、次の加速時のリーンエンジンのλ偏位は、排気管へのNO破過をもたらす可能性がある。
【0012】
通常、リッチ再生中、0.8〜0.9λの範囲においてエンジンはリッチ運転するようになる。これは、車両速度がゼロに近く、エンジンを介した流量が低い場合の燃料カットの最後に燃料噴射を再始動する場合に直ちに生じる。通常、リッチ運転は、車両が停止するときのアイドル部分まで継続する。大部分のキャリブレーションは、燃料システムがいつクローズドループλ=1(±0,005)の運転状態に戻ることができるかを判断するための手段として、触媒の後にOのスイッチングが可能なセンサ信号を使用する(正方向の450mVのクロスオーバーを探す)。
【0013】
それ故、後のリッチ再生に、記載した減速燃料カットを適用する場合に、最適な排出転換(λ=1±0,005)のための範囲が残るという問題が生じる。このため、これらの減速燃料カットキャリブレーションは、すなわちNO又はHC排出を増大させないために、注意深く行わなければならない。更に、不適切に実行されるDFCOの欠点はドライバーがエンジンブレーキ効果を体験することである。DFCO中にエンジンにより負の仕事が行われるため、減速中に燃料噴射されたままであるシナリオと比較して、プロセスが車両をより高い割合で減速するように作用する。これは一部のドライバーは慣れていない場合がある。加えて、燃料経済性を向上させるためにメーカーがエンジンを小型化し、及びターボチャージャーを使用するにつれて、リッチ再生によりHC排出基準を満たすことはより困難になるであろう。これらのターボチャージャーは排気温度を著しく低下させ、最も厳しい基準(例えば、SULEV、EU−6+)のためのHC排出削減を非常に困難にさせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第12/951301号
【特許文献2】欧州特許第1,900,416A号
【特許文献3】欧州特許第1974810(B1)号
【特許文献4】PCT出願/欧州特許第2011/070541号
【特許文献5】欧州特許第1974809(B1)号
【特許文献6】PCT出願/欧州特許第2011/070539号
【特許文献7】韓国特許出願公開第20040042177号
【特許文献8】米国特許出願公開第2006/0010857号
【特許文献9】PCT出願PCT国際公開第2004076829号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Critical Topics in Exhaust Gas Aftertreatment,Peter Eastwood,Research Studies Press Ltd.,2000
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、予想される問題を克服するための、主に化学量論的条件下で稼働するエンジンから排出される有害汚染物質の軽減のための排気処理システムに関するものであり、密結合(cc)の位置の1つ以上の三元触媒が、組み合わされた床下(uf)触媒HCトラップ/SCR触媒装置を流体連通して下流に伴う。後のリッチパージを備えた減速燃料カットは燃料経済性の純増を生じており、したがって、COの排出の減少をもたらすという事実を特に考慮して、主としてλ=1において又は約λ=1において運転されるガソリンエンジンの全ての汚染物質の好ましい軽減のために機能するのが本システムレイアウト(図1図2)であり、全体の有害ガス排出に対する悪影響は全く生じない。
【0017】
−当然ながら−ガソリンエンジンの通常の化学量論的運転のためにcc−TWCが必要である。下流の触媒HCトラップの1つの機能は車両コールドスタート中に炭化水素を吸着することであり、炭化水素が脱着する前に、好ましくは減速燃料カット事象中により高温でHCトラップ触媒の種を酸化することである。SCR触媒の機能はアンモニアとNO(両方とも上流のTWCにより生成される)を反応させることにより窒素を生成し、減速燃料カット中のNO排出を低減することである。
【0018】
上流のcc−TWCはアンモニア及びNOを同時に生成する。DFCO中に、すでに説明したように、cc−TWC内のOSMを酸化状態にする。それ故、DFCOの後にリッチ再生が生じる場合、cc−TWCの入り口は迅速に還元状態になり、アンモニアを生成し始める。依然として酸化状態であるcc−TWCの出口はアンモニア酸化反応を介してまず少量のNOを出すが、また、その後還元状態になり、リッチ再生期間の残りの間に主としてアンモニアを生成する。一旦吸蔵されたOが欠乏したら、cc−TWCによりNOはもはや生成されず、それは取り付けられたOSMの量又はcc−TWCの長さに応じて起こる。2つのcc−TWCが存在する場合であっても、第2のブリック内のOSMが完全に還元されている限りNOの生成は続く。この関連で、リッチ再生中の第2のcc−TWCへのアンモニア投入の継続は第2のcc−TWC内のより高濃度の吸蔵Oと結合するために作用し、NH酸化反応によりNOを更に増大させる。しかしながら、このプロセス中に全てのアンモニアが消費されるとは限らず、同様に床下(uf)触媒HCトラップ/SCR触媒装置をアンモニアに晒すことになる。
【0019】
本発明の好ましい態様において、触媒HCトラップがSCR触媒の上流に配置される排気システムが予想される。また、触媒HCトラップが車両の床下領域におけるSCR触媒の下流に配置される場合に本発明の結果が得られるにもかかわらず、SCR触媒の前に触媒HCトラップが設置される場合に、わずかにより良好なパフォーマンスが見られる(図2)。
【0020】
SCR触媒に対する触媒HCトラップの適用は当業者の知識次第である。両方の機能はゾーン又は層形式において1つのブリック上に配置することができるが、排気管の床下領域において60cm以下、好ましくは15cm、より好ましくは2〜0cmで離間し得る2つの異なるブリックに存在する方がよい。有利には、両方の機能は上流のcc−TWCと流体連通している共通のハウジング内の隣接する2つのブリック上に配置される。
【0021】
良好なパフォーマンスを得るために、主として減速燃料カット及び後のリッチ再生期間を有する化学量論的条件下で稼動しているガソリン車へ適用された場合に、問題の排気システムは(触媒容積に対して)少なくとも0.25g/L、好ましくは0.50g/Lを超える及び最も好ましくは1.0g/Lを超えるアンモニアを吸蔵することができるSCR触媒を含む。すでに示したように、減速燃料カット事象後のリッチ再生中に、リーンな状態下で燃料カット事象中に生成された又はアンモニア酸化により生成されたNOを減らすために、cc−TWCは下流のSCR触媒に吸蔵可能な若干のアンモニアを生成する。高いアンモニア吸蔵量及び最適なNOの選択触媒還元のために、鉄、銅及びこれらの混合物からなる群から選択される金属とイオン交換されるゼオライト材料を取り付けることが可能である。
【0022】
次の好ましい態様では、床下領域にSCR触媒が取り付けられたHCトラップは少なくとも20mg/L、より好ましくは30mg/Lを超える及び最も好ましくは40mg/Lを超える触媒容積のHC吸蔵容量を有するゼオライト材料を含む。加えて、HCトラップは、有利なことに、例えば、白金、パラジウム、ロジウム及びこれらの混合物からなる群から選択されたPGMの組み合わせを有する酸素吸蔵材を含むTWCタイプの触媒のような触媒を含む。HCトラップの合計のPGMレベルは好ましくは7g/L〜0.4g/L、より好ましくは4〜0.4g/L及び最も好ましくは1.0〜0.4g/Lの触媒容積になる。
【0023】
当業者の知識に従って、cc−TWCを選択することができる。事実、cc−TWCはTWC機能を有する1つ以上のブリックから構成されていてよい。cc−TWCのための好ましい代替法は、次の段落において見られる。本発明の極めて好ましい実施形態において、排気システムは好ましくは1つのハウジングに互いに隣接して設置される2つの密結合三元触媒が取り付けてある。
【0024】
2つ以上のcc−TWCが適用された場合、それらは同様にみなされるが、また、本質的に異なり得る。適用された触媒の物理的寸法は同じか又は異なることができ、例えば、cc−TWC内に存在するOSMに関して0.5〜1.5L及び最も好ましくは1〜1.5Lの制限内において変えることができ、当業者は触媒に対称に又は非対称に材料を割り当てることができる。加えて、用いられる材料は同一であっても又は異なっていてもよい。あらゆる面で、これは使用されるエンジンに依存し得る。
【0025】
次の実施形態において、本発明はちょうど上述したような排気システムが使用され、エンジン運転の後のリッチ期間を有する減速燃料カットストラテジーが適用される、主として化学量論的条件下で稼働するエンジンから排出される有害汚染物質の低減のためのプロセスに関する。このプロセスにおいて、運転下でエンジンにより排出される排気はエンジンアウトレットからcc−TWC機能へ運ばれる。化学量論的条件下でこのcc−TWCは、λ=1においてCO、HCを酸化し、NOを還元する任意の他の既知のTWCのように、機能する。
【0026】
通常の減速燃料カット事象は動力が必要ないときに、シリンダーに対する燃料の停止から始まる。触媒は純リーン環境(酸素過剰)に晒される。動力を再び必要とするとき、過剰燃料は、短時間、HCトラップの上流の密結合触媒及び触媒層の三元触媒のOSM機能を再生するために使用される。すでに説明したように、この遷移の内に、cc−TWC触媒はNO排出を増加させるアンモニアを酸化し得る。この短時間の過剰燃料中に、また、アンモニアはcc−TWC触媒により生成されSCR触媒により吸蔵される。リッチな状態下にてcc−TWC上によりアンモニアが生成され、ここでNOがNに還元されるだけではなく、更にNHにも還元される。生成されたNHは、その後、下流のSCR触媒に流入し、SCR触媒内に吸蔵される。予定される更なるcc−TWCのブリック及び/又はHCトラップの触媒層を横切ってNHはNOに酸化され得る。SCRに吸蔵されたNH及びO、プラス排気流れ中のNHは以下に示す経路に従って反応し、NOを還元する。
【0027】
SCR触媒は後の減速燃料カット事象中にこの吸蔵されたアンモニアを使用して、リーン環境においてアンモニアとNO又はNOのどちらかを反応させることによりNO排出を窒素(N)に還元する。通常のSCRアンモニア反応は以下の通りである。
[数1]
4NH+4NO+O→4N+6HO 1)
[数2]
2NH+NO+NO→2N+3HO 2)
【0028】
これらのリーン事象中にSCR触媒はNO排出を低減する。低排出車両に関して、通常のエンジンのクローズドループA/F制御は、0.995(±0.05)に近いわずかにリッチバイアスのλである化学量論的でなければならない。上流のTWC触媒により生成されたアンモニアを反応させることにより、SCR触媒は、また、化学量論的運転中のNO排出又はわずかにリッチなバイアスを低減することができ、窒素を生成する。上記の反応を参照されたい。
【0029】
100〜300℃、好ましくは100〜250℃及び最も好ましくは100〜200℃の床下位置において比較的低温の排気状態中に少なくとも1回減速燃料カットが後のリッチ再生に適用されるプロセスが好ましい。特にドライビングの初期段階中の減速燃料カットは、酸素リッチな排気を提供するので、HCトラップの触媒性能を促進する。比較的初期のドライビング中においてNHを下流のSCR触媒に充填するためだけではなく、また、これはリーンな燃料カット段階中にコールドスタート条件下で触媒HCトラップに吸蔵されたHCを酸化するためにも役立つ。このため、早期減速燃料カットは実際に触媒HCトラップのパフォーマンスを高める。減速燃料カット中の酸素過剰は、HCが脱着する前に、触媒HCトラップに吸着されたHCの酸化を促進する。このため、本発明の更に好ましい変形はエンジン制御システムが、車両のコールドスタート中に存在する減速燃料カットを伴うクローズドループ制御に入るという事実に関し、エンジン及びコンバータが依然として暖まっているときに、例えば、FTPのサイクル1及び2において減速燃料カットが存在しなければならないことを意味する。
【0030】
λ=0.80〜0.95、好ましくは0.85〜0.90のアイドルを短時間、例えば、3〜6、好ましくは約4〜5秒適用する間に、燃料カットの後にリッチ段階が続かなればならない。TWCを横切ってこれは適切なNH形成をもたらし、それはSCRがNOを転換する必要がある。
【0031】
基材:
記載したcc−TWC又はHCトラップ若しくはSCR触媒は、それぞれ、基材モノリス上に配置される。基材は通常触媒を調製するために使用されるこれらの材料のいずれかであってよく、セラミック又は金属ハニカム構造を含むのが好ましい。通路がそこを通る流量を受け入れるように、基材の入口又は出口面からそこを通り抜けて延びる微細な、平行のガス流路を有するタイプのモノリシック基材などの任意の好適な基材を使用することができる(ハニカム型流通基材と称される)。通路を通って流れているガスが触媒材料と接触するように、流入口から流出口へ本質的に真直ぐな経路である通路は触媒材料がウォッシュコートとしてその上又はその中にコーティングされる壁によって画定される。モノリシック基材の流路は、例えば台形、長方形、正方形、正弦波、六角形、楕円形、円形などの任意の好適な断面形状及びサイズであり得る薄壁のチャネルである。かかる構造体は断面積の平方インチ当たり約400〜900又はそれより多くのガス導入開口部(すなわち、セル)を含み得る(62〜140セル/cm)。
【0032】
セラミック基材は任意の好適な耐火性材料、例えば、コーディエライト、コーディエライト−アルミナ、窒化シリコン、ジルコンムライト、スポジュメン、アルミナ−シリカマグネシア、ジルコンシリケート、シリマナイト、マグネシウムシリケート、ジルコン、ペタライト、アルミナ、アルミノシリケートなどでできていてもよい。また、本発明の触媒複合体に対して有用な基材は本質的に金属であってもよく、1つ以上の金属又は金属合金からなる。金属基材は波形シート又はモノリス形状などの種々の形状で使用され得る。好ましい金属支持体としては、チタン及びステンレス鋼、並びに鉄が大部分の又は主要な構成成分である、その他の金属合金などの耐熱性金属及び合金が挙げられる。かかる合金は1種以上のニッケル、クロム及び/又はアルミニウムを含むことができ、これらの金属の総量は、有利には、少なくとも約15重量%の合金、例えば、約10〜25重量%のクロム、約3〜8重量%のアルミニウム及び最大約20重量%のニッケルを含むことができる。合金は、また、例えばマンガン、銅、バナジウム、チタンなどの少量の又は微量の1種以上の他の金属を含み得る。基材表面上に酸化物層を形成することにより合金の耐腐食性を向上させるために、金属基材の表面は、例えば、約1000℃以上の高温にて酸化され得る。かかる高温による酸化は高融点金属酸化物支持体の接着性及び基材に対する金属成分の触媒的促進を高めることができる。代替実施形態では、開放気泡発泡体基材上に1つ以上の触媒組成物が堆積されてもよい。かかる基材は当該技術分野において周知であり、通常、耐火セラミック又は金属材料により形成される。
【0033】
TWCウォッシュコート:
本発明によれば、上流のcc−TWC基材又は下流のHCトラップのTWCは三元機能を含む触媒を担持する適切なウォッシュコートでコーティングされる。従来技術でよく知られているプロセスにより複合材料は容易に調製することが可能である。本明細書で使用する場合、用語「ウォッシュコート」は、ガス流が通り抜ける通路が処理されることを可能にするように十分に開いているハニカム型キャリア部材(貫流モノリス)などの基材支持材料に適用される、触媒の又はその他の材料の薄い、接着性コーティングという当該技術分野における通常の意味を有する。
【0034】
原理として、ガソリンエンジン排気ガスの効果的な処理がλ=1において実行され得るならば、本発明の制限内におけるいかなるTWCウォッシュコートが処理システムにおいて用いられてもよい。ゾーン化された単層又は多層設計の適切なTWCウォッシュコートが、例えば、(参照により本明細書に組み込まれる)欧州特許第1974810(B1)号、PCT出願/欧州特許第2011/070541号、欧州特許第1974809(B1)号又はPCT出願/欧州特許第2011/070539号に見られる。更なる情報のために、また、背景技術として引用される文献を参照されたい。
【0035】
本発明の好ましい実施形態において、TWCウォッシュコートは金属酸化物支持材料上のPGM金属からなる触媒を含み、この支持材料は好ましくはアルミナ、ジルコニア、ジルコニア−アルミナ、酸化バリウム−アルミナ、ランタナ−アルミナ、ランタナ−ジルコニア−アルミナ及びこれらの混合物からなる群から選択される。特に好ましい実施形態では、金属酸化物支持材料はガンマ−アルミナである。好ましくは、支持材料は希土類元素、アルカリ土類又は高融点金属酸化物によって、好ましくは0.01〜30重量%、より好ましくは0.05〜15重量%、更により好ましくは0.1〜10重量%の範囲の量でドープされる。詳しくは、希土類元素、アルカリ土類又は高融点金属酸化物は好ましくはセリア、ランタナ、プラセオジム、ネオジム、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、ジルコニア及びこれらの混合物からなる群から選択され、希土類元素、アルカリ土類又は高融点金属酸化物は好ましくはランタナ、酸化バリウム及び/又はジルコニアである。本発明の特に好ましい実施形態によると、金属酸化物支持材料は、好ましくは希土類元素、アルカリ土類又は高融点金属酸化物、より好ましくはランタナ、酸化バリウム及び/又はジルコニアによってドープされたガンマ−アルミナである。
【0036】
この支持材料に加えて、本発明のTWCウォッシュコートは、好ましくは、酸素吸蔵剤(OSC)を含む。酸素吸蔵材は酸化還元特性を有し、酸化雰囲気において酸素又は窒素酸化物などの酸化成分と及び還元雰囲気において水素又は一酸化炭素などの還元成分と反応することができる。これらの酸素吸蔵材料は、多くの場合、Pd、Rh及び/又はPtなどの貴金属によってドープされ、それによって、吸蔵能力及び吸蔵特性を変更することができる。
【0037】
酸素吸蔵材料は、通常、セリウムの酸化物類からなり、場合により、熱的に安定な混合相として、好ましくはセリア−ジルコニア、セリア−ジルコニア−ランタナ、セリア−ジルコニア−ネオジム、セリア−ジルコニア−プラセオジム、セリア−ジルコニア−イットリア、セリア−ジルコニア−ランタナ−ネオジム、セリア−ジルコニア−ランタナ−プラセオジム又はセリア−ジルコニア−ランタナ−イットリア混合物からなる群から選択されるその他の金属酸化物(例えば、Ce/Zr混合酸化物)と共に使用される。これらはリーン状態下において排気ガスから酸素を除去することができ、リッチな排気ガス状態下でこの排気ガスを再度放出する。このように、TWCが減少し、NO破過が生じる中、λ=1からリーンな範囲への空燃比の短い偏位中のNO転換を防止する。更に、破過が生じる前にリッチな排気ガス状態下で吸蔵された酸素は、まず、過剰なHC及びCOと反応するため、充填された酸素吸蔵により排気ガスが短時間でリッチ範囲に入る場合のHC及びCO漏出の発生を防止する。この場合、酸素吸蔵はλ=1の周辺の変動に対するバッファとして機能する。半充填された酸素吸蔵はλ=1からのわずかなずれを阻止するための最も良いパフォーマンスを有する。運転中の酸素吸蔵の充填レベルを検出するために、λセンサが使用される。
【0038】
白金族金属、例えば、Pt、Rh及びPdを含むTWC材料が用いられる。白金族金属(例えば、パラジウム、ロジウム、白金及び/又はそれらの組み合わせ)などの構成成分、安定剤及び/又は促進剤を導入するために、水溶性又は水分散性化合物又は錯体の混合物としてかかる構成成分がスラリーに導入され得る。典型的には、PGM成分、例えば、Pt、Pd及び/又はRhがウォッシュコートに含まれている場合、金属酸化物支持体の構成成分の分散を達成するために問題の構成成分は化合物又は錯体の形態にて利用される。
【0039】
HCトラップ材料:
本発明の排気後処理システムに関連する更なる吸蔵材料は炭化水素(HC)のための吸蔵材料である。かかる材料は、同様に、当業者にはよく知られている(韓国特許出願公開第20040042177号)。ゼオライト材料は、通常、炭化水素を吸蔵するために使用される。排気ガスが低温の間に(例えば、コールドスタート中に)炭化水素は吸着され、より高い排気ガス温度に到達した場合に脱着され転換される。ほとんどの場合は例えばPGMのような触媒中心において炭化水素の転換が生じる。したがって、触媒的に活性な中心がまだ活性ではない場合に炭化水素を吸蔵するために及び触媒中心がそれらの着火温度に到達した場合にこの炭化水素を脱着するために炭化水素吸蔵材料を三元触媒コンバータに一体化することが普通である。この場合、本発明によれば、触媒のTWC機能と併せて炭化水素吸蔵を下流のuf−モノリスに一体化されてよい。
【0040】
炭化水素のための吸蔵材料として微小多孔性固体、いわゆるモレキュラーシーブが使用される。例えば、モルデナイト(MOR)、Y−ゼオライト(FAU)、ZSM−5(MFI)及びβ−ゼオライト(BEA)又はこれらの混合物のようなゼオライト材料が使用されるのが好ましい。これらは遷移金属と交換されるH形態又はNH形態において使用するのが好ましい。すでに述べたように、HCトラップはTWC機能を有する触媒を含む。TWCウォッシュコートに関する上記の説明を参照する。好ましくは、モルデナイト(MOR)、Y−ゼオライト(FAU)、ZSM−5(MFI)及びβ−ゼオライト(BEA)のような材料に関連したPt、Pd、Rh及びこれらの混合物などの金属が適用される。
【0041】
このため、触媒HCトラップは、好ましくは酸素吸蔵剤並びにPt、Pd及びRhのようなPGMを含む三元触媒層を備えるゼオライト材料を含む吸着体材からなるのが好ましい。HCトラップは、低いPGMレベルにおいて、好ましくは通常のTWCのための上述のPGMレベルより十分に低いPGMレベルにおいて十分に機能する。初期の運転段階において、すなわち、コールドスタートにおいて、減速燃料カットオフ(「DFCO」)事象が存在する場合、HCトラップが十分に機能する。弱い触媒着火条件でHCトラップが十分に機能し、トラップが着火中の遅い温度ランプ速度をもたらす排気位置にある場合に、トラップが十分に機能することを意味する。約330℃の温度に到達する場合、HCトラップはほぼ全てのHCを脱着するだろう。先に記載したように、HCトラップが250℃、好ましくは200℃に到達する前に、後のリッチパージを備えた燃料カット事象が必要とされる。
【0042】
SCRコンバータ:
SCR触媒コンバータは窒素酸化物をアンモニアと反応させることができ、リーンな排気ガス状態下で窒素を形成する。SCR触媒コンバータは、通常、アンモニアの吸蔵機能を有し、遷移金属と交換され得るゼオライト材料を含む。SCR触媒コンバータは、そのアンモニア吸蔵が、少なくとも部分的に充填される場合に、特に活性となる。この場合、リッチな排気ガスの段階において、cc−TWCによりアンモニアはその場で生成される。アンモニアは極めて刺激性の臭気を有するため、過度の形成の結果としてのアンモニアの余剰排出又は急速な温度上昇の結果としてのアンモニアの脱着は極力防止されなければならず、二次排出又は三次排出として大気へと未処理で排泄すべきではない。
【0043】
NHを吸蔵するための使用を促進することが証明されている材料は、当業者には既知である(米国特許出願公開第2006/0010857号、PCT出願PCT国際公開第2004076829号)。アンモニアのための吸蔵材料として微小多孔性固体材料、いわゆるモレキュラーシーブが使用されるのが好ましい。これらは、例えばモルデナイト(MOR)、Y−ゼオライト(FAU)、ZSM−5(MFI)、フェリエライト(FER)、チャバサイト(CHA)及びβ−ゼオライト(BEA)並びにアルミニウムホスフェート(AlPO)及びシリコンアルミニウムホスフェート(SAPO)又はこれらの混合物などのゼオライト材料であってもよい。これらは好ましくは遷移金属と、特に好ましくは鉄、銅、コバルト若しくは銀又はマンガンと交換され、アンモニアと窒素酸化物のSCR反応を触媒する。特に好ましくは、ZSM−5(MFI)、チャバサイト(CHA)、フェリエライト(FER)、SAPO−34及びβ−ゼオライト(BEA)が使用され、鉄及び/又は銅と交換される。極めて好ましくは、SAPO−34、チャバサイト(CHA)又はβ−ゼオライト(BEA)が使用され、鉄及び/又は銅と交換される。
【0044】
アンモニア及び酸素の存在下並びに200〜500℃、より好ましくは250〜400℃以内の運転温度でSCR触媒は機能するのが好ましい。
【0045】
典型的には、車両の用途に応じて、好ましくは、各々0.5L〜1.0Lの等容積の触媒HCトラップ及びSCR触媒が使用される。より大きなエンジン排気量は、通常、より多くの触媒容積を必要とする。
【0046】
ゼオライト材料はゼオライト又はゼオタイプの構造表現形式(structural formalisms)に基づく材料である。
【0047】
ゼオライト:ゼオライトは(フレームワークタイプに依存する)3〜10Aの均一なポア/チャネル/カゴ構造を有する秩序だった3D構造及び構造全体を通して触媒的に活性なカチオンの分散を可能にするためのイオン交換を進める能力を特徴とする微孔性結晶性アルミノシリケート材料である。
【0048】
ゼオタイプ:ゼオタイプはゼオライトの構造的アイソタイプ/同形体であるが、結合したシリカアルミナ四面体が導出されるフレームワーク構造の代わりに、それらは、例えば、アルミナ−ホスフェート(ALPO)、シリカ−アルミニウム−ホスフェート(SAPO)、金属−アルミナ−ホスフェート(Me−ALPO)又は金属−シリカ−アルミナ−ホスフェート(MeAPSO)に基づく。
【0049】
主として化学量論的条件について話す場合、運転時間の大部分においてエンジンは平均14.56の空燃比が供給されることが分かる。少なくともウォブリングの目的又は減速燃料カット及びリッチ再生を除き、A/F値はλ=1(±0,005)にとどまる。いずれのエンジンタイプ、例えば、PFI又はGDIが用いられるかに関係なく、これはあてはまる。かかるプロセスは、当業者には広く知られている。
【0050】
当業者は、密結合の位置について話す場合、これはエンジンアウトレットと流体連通し、エンジンアウトレットのすぐ下流に配置される、好ましくはエンジンアウトレットの後に50cm以内、より好ましくは30cm以内及び最も好ましくは20cm以内の位置を意味することが分かる。床下領域は車室の下の場所として見られる。50cm〜150cm、好ましくは75〜150cm及び最も好ましくは100〜150cmの間のcc−TWCと流体連通したcc−TWCとuf−装置の間の距離が存在しなければならない。
【0051】
本発明は車両の上流の密結合三元触媒(TWC)を備える床下位置における触媒HCトラップ+SCR触媒の組み合わせを使用することを提案する。(通常ディーゼル用途において使用される)このHCトラップ+SCR触媒の組み合わせは、理想的には、エンジン運転の後のリッチ期間を有する減速燃料カットストラテジーと共に機能する。提案されている本発明によってHC及びNO排出を著しく低減することができ、減速燃料カットの利用を拡大することが可能であり、燃料経済性を向上させ、CO排出を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明によるシステムレイアウトを示す。
図2】フルTWCシステム、uf−HCトラップ+uf−SCRシステム及びuf−SCR+uf−HCトラップシステムのためのバッグ排出を示す。
図3】uf−HCトラップ+SCRの組み合わせのHCの利点を示す。
図4】累積排出量データを示し、この特許に記載されているNO機構を示している
図5】同一のPGMレベルにおける完全に調合した二重層TWCに対するcc−TWC−uf−HCトラップ+SCRシステムのFTP排出合計を示す。
図6】UFシステムのTHCの利点を示す。
図7】SCR機能を反映する。
【発明を実施するための形態】
【0053】
実施例及び図
図1は本発明によるシステムレイアウトを示す。密結合の位置の排気管において、2つの三元触媒(TWC1及びTWC2)が配置される。TWCの下流の及びTWCと流体連通している床下領域において、1つのハウジング内にHCトラップ及びSCR触媒が存在する。排気はエンジンから両方のTWCを通り、その後、排気が環境の外に流出する前に、HCトラップ/SCRの組み合わせを通って流れる。
【0054】
1.実施例:2007 Mini Cooper S、1.6Lターボ過給DI
本明細書に記載されるように、この用途は第1のブリックのuf−HCトラップ+第2のブリックのSCR触媒の組み合わせを備えた二重のcc−TWC(CC1及びCC2)を含んでいた。CC1及びCC2触媒は、それぞれ、0/2.69/0.14g/LのPt/Pd/Rh及び0/0.70/0.21g/LのPt/Pd/Rhを含んでいた。それらは両方0.67Lの容積であり、合計のCC容積は1.34Lとなった。uf−HCトラップ及びSCRは両方0.85Lの大きさであり、ufのために合計1.7Lとなり、共通のハウジング内に取り付けられた。全システム容積は3.04Lであった。HCトラップのPGM使用量は0/0.35/0.1g/LのPt/Pd/Rhであった。2007 Mini Cooper S用途はサイクル1及び2において燃料カットを有する。
【0055】
図2はフルTWCシステム、uf−HCトラップ+uf−SCRシステム及びuf−SCR+uf−HCトラップシステムのためのバッグ排出を示す。HCをTWCシステムに存在するほぼ半分のレベルに低下させる、uf−HCトラップ+uf−SCRシステムの大きな利点が存在する。フルTWCシステムと比較して、NOに対する利点も存在する。uf−HCトラップ+uf−SCRシステムは前方位置のSCR及び後方位置のHCトラップという反対の配置と比較してわずかにより良好である。
【0056】
図3はuf−HCトラップ+SCRの組み合わせのHCの利点を示す。トラップイン(緑線)とテールパイプ(赤線)累積排出量の間の差はHC低減に対するufシステムの貢献を表す。この特定の場合において、HC排出は約52mg/mi〜32mg/miへと低減され、20mg/miの利益を表す。また、SCRはHCの排出を低減するのに役立ち、合計20mg/miの利益のうち8mg/miの原因である。
【0057】
図4は累積排出量データを示し、この特許に記載されているNO機構を示している。SCR機能は黒線(SCR入口排出)と赤線(テールパイプ排出)の間の差で表される。この特定の試験において、SCRは20mg/mi〜13mg/miへとNOを低下させる。すなわち7mg/miの利益である。
【0058】
図5は同一のPGMレベルにおける完全に調合した二重層TWCに対するcc−TWC−uf−HCトラップ+SCRシステムのFTP排出合計を示す。uf−HCトラップ+SCRシステムは、TWCと比較して(存在する場合、uf位置におけるTWCはHCのパフォーマンスに対してごくわずかの貢献しかない)、THCに関して27.5mg/miの利益及びNOに関して2.7mg/miの利益を有する。百分率基準で、これらの利点は有意である。
【0059】
2.実施例:2013 Dodge Dart、1.4Lターボ過給PFI
この用途は本明細書で記載されるuf−HCトラップ+SCR構成を備える単一のcc−TWC(CC)を含んでいた。cc触媒は0/6.0/0.3g/LのPt/Pd/Rhを含んでいた。CCは1.4Lの容積であった。uf−HCトラップ及びSCRは両方0.85Lの大きさであり、UFに関して合計1.7Lとなった。したがって、全システム容積は3.1Lであった。HCトラップのPGM使用量は0/0.35/0.1g/LのPt/Pd/Rhであった。2013 Dodge Dart用途は、連邦試験検査工程(FTP)のサイクル1及び2における燃料カットを有する。
【0060】
図6はUFシステムのTHCの利点を示す。サイクル2の最後における入ってくる及び出て行くTHC累積排出量は、それぞれ、43mg/mi及び29mg/miである。これはuf−HCトラップ+SCRシステムに関して14mg/miの利益を表す。
【0061】
図7はSCR機能を反映する。FTP中において、SCR反応は約5mg/miのNOに値する。主としてFTPのバッグ2中にパフォーマンス上の利益が生じる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7