(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
温度制御の設定値と制御量とを入力としてPID制御演算を行い、加熱アクチュエータを操作する加熱モードと冷却アクチュエータを操作する冷却モードとを前記PID制御演算の結果に応じて切り換えて温度制御を行なうように構成されたヒートクール制御部と、
前記冷却モードから前記加熱モードに切り替わった時点からの経過時間、および前記加熱モードから前記冷却モードに切り替わった時点からの経過時間のうちいずれか一方を計測するように構成された経過時間計測部と、
前記冷却モードから前記加熱モードに切り替わった時点からの経過時間が規定時間以上で、かつ前記制御量が示す温度計測値が上昇したことを検出したときに、前記加熱モードらしい温度の状況と判定するように構成された加熱実態判定部と、
前記加熱モードから前記冷却モードに切り替わった時点からの経過時間が前記規定時間以上で、かつ前記制御量が示す温度計測値が下降したことを検出したときに、前記冷却モードらしい温度の状況と判定するように構成された冷却実態判定部と、
前記ヒートクール制御部が前記加熱モードで温度制御を実行している場合に、前記設定値を前記加熱モードに対応する表示色で表示し、前記ヒートクール制御部が前記冷却モードで温度制御を実行している場合に、前記設定値を前記冷却モードに対応する表示色で表示するように構成された設定値表示指示部と、
前記加熱実態判定部が前記加熱モードらしい温度の状況と判定した場合に、前記制御量を前記加熱モードに対応する表示色で表示し、前記冷却実態判定部が前記冷却モードらしい温度の状況と判定した場合に、前記制御量を前記冷却モードに対応する表示色で表示する制御量表示指示部とを備えることを特徴とする制御装置。
温度制御の設定値と制御量とを入力としてPID制御演算を行い、加熱アクチュエータを操作する加熱モードと冷却アクチュエータを操作する冷却モードとを前記PID制御演算の結果に応じて切り換えて温度制御を行なう第1のステップと、
前記冷却モードから前記加熱モードに切り替わった時点からの経過時間、および前記加熱モードから前記冷却モードに切り替わった時点からの経過時間のうちいずれか一方を計測する第2のステップと、
前記冷却モードから前記加熱モードに切り替わった時点からの経過時間が規定時間以上で、かつ前記制御量が示す温度計測値が上昇したことを検出したときに、前記加熱モードらしい温度の状況と判定する第3のステップと、
前記加熱モードから前記冷却モードに切り替わった時点からの経過時間が前記規定時間以上で、かつ前記制御量が示す温度計測値が下降したことを検出したときに、前記冷却モードらしい温度の状況と判定する第4のステップと、
前記第1のステップにより前記加熱モードで温度制御を実行している場合に、前記設定値を前記加熱モードに対応する表示色で表示し、前記第1のステップにより前記冷却モードで温度制御を実行している場合に、前記設定値を前記冷却モードに対応する表示色で表示する第5のステップと、
前記第3のステップで前記加熱モードらしい温度の状況と判定した場合に、前記制御量を前記加熱モードに対応する表示色で表示し、前記第4のステップで前記冷却モードらしい温度の状況と判定した場合に、前記制御量を前記冷却モードに対応する表示色で表示する第6のステップとを含むことを特徴とする制御装置の表示方法。
【背景技術】
【0002】
1個または複数の制御ループを備える装置を扱うために、多機能の汎用調節計(温調計)が使用されることがある(特許文献1参照)。調節計(温調計)が対象とする加熱装置の例を
図8、
図9に示す。
【0003】
図8の例では、加熱装置は、被加熱物を加熱するための加熱処理炉100と、加熱処理炉100の内部に設置された複数のヒータH1〜H4と、それぞれヒータH1〜H4によって加熱される加熱処理炉100内の温度制御ゾーンZ1〜Z4の温度を測定する複数の温度センサS1〜S4と、ヒータH1〜H4に出力する操作量MV1〜MV4を算出する調節計101と、調節計101から出力された操作量MV1〜MV4に応じた電力をヒータH1〜H4に供給する電力調整器102−1〜102−4とから構成される。調節計101は、温度センサS1〜S4が計測した温度PV1〜PV4が温度設定値SP1〜SP4と一致するように操作量MV1〜MV4を算出する。この
図8に示した加熱装置においては、温度PV1〜PV4を制御する制御ループが4個形成されていることになる。
【0004】
また、
図9に示した加熱装置の例では、酸化拡散炉200内の石英管203の内部に、シリコンウェハ204が搬入される。温度センサS1〜S4は、それぞれヒータH1〜H4によって加熱される温度制御ゾーンZ1〜Z4の温度PV1〜PV4を測定する。調節計201は、温度センサS1〜S4が計測した温度PV1〜PV4が温度設定値SP1〜SP4と一致するように操作量MV1〜MV4を算出してヒータ電源202に出力する。ヒータ電源202は、操作量MV1〜MV4に応じた電力をヒータH1〜H4に供給する。こうして、酸化拡散炉200内の石英管203内に導入される酸素とシリコンウェハ204とを加熱することにより、シリコンウェハ204の表面に酸化膜を形成する。この
図9に示した加熱装置においても、温度PV1〜PV4を制御する制御ループが4個形成されていることになる。
【0005】
調節計101,201や、調節計101,201を用いて例えば半導体の製造を行なう製造装置においては、オペレータに情報を伝えるために、液晶ディスプレイなどの表示器が使用される(特許文献2参照)。
【0006】
ところで、調節計の代表的な適用対象は、言うまでもなく上記のような加熱装置などの温度制御系である。温度制御では、加熱操作を緩和するだけでは十分な冷却動作が得られない場合などにおいて、ヒートクール制御(加熱冷却制御)と言われる2モードの切替構造により1個の制御系を構成する制御が多く行なわれている(特許文献3、特許文献4参照)。
【0007】
ヒートクール制御システムの構成を
図10に示す。PID制御部300は、制御対象302の制御量PVが設定値SPと一致するように操作量MVを算出する。ヒートクール制御部301は、操作量MVが予め規定された値以上である場合に加熱モードと判断して操作量MV(
図10のMV_H)を加熱アクチュエータに出力し、また操作量MVが予め規定された値未満である場合に冷却モードと判断して操作量MV(
図10のMV_C)を冷却アクチュエータに出力する。
【0008】
ヒートクール制御を加熱装置に適用すると、例えば
図11のような構成になる。
図11に示す加熱装置は、処理対象の被加熱物を加熱する加熱処理炉400と、電気ヒータ401(加熱アクチュエータ)と、冷却器402(冷却アクチュエータ)と、加熱処理炉400内の空気循環出口付近の温度を計測する温度センサ403と、温調計404と、電力調整器405と、電力供給回路406と、インバータ407とから構成される。
【0009】
温調計404は、加熱モードのときには操作量MVを電力調整器405に出力し、冷却モードのときには操作量MVをインバータ407に出力する。電力調整器405は、操作量MVに応じた電力を決定し、この決定した電力を電力供給回路406を通じて電気ヒータ401に供給する。インバータ407は、操作量MVに応じて冷却器402の冷却能力を加減する。
【0010】
以上のようなヒートクール制御システムにおいて、加熱モードは加熱アクチュエータを操作するモードであり、冷却モードは冷却アクチュエータを操作するモードであるから、どちらのモードであるかは操作量MVで決まる。
しかし、例えば冷却モードから加熱モードに切り替わっても、制御動作の結果が温度に反映されるのはモードの切り替わりと同時というわけではない。すなわち、操作量MVにより加熱モードと判断して加熱モードに切り替えたとしても、温度(制御量PV)は加熱モードらしい値になっていないということが有り得るし、同様に操作量MVにより冷却モードと判断して冷却モードに切り替えたとしても、温度(制御量PV)は冷却モードらしい値になっていないということが有り得る。
【0011】
また、汎用調節計(温調計)では、操作量MVは表示されないケースが多いし、仮に操作量MVが表示されていても、意味がわからないオペレータも少なくない。制御中において、加熱モードであるのか冷却モードであるのかをオペレータに認識させることは、安全面も含めて重要なことであるが、上記のような事情から、操作量MVを基準にモードに対応する表示方法を規定するのが、必ずしも最善であるとは限らない。このように、ヒートクール制御のモード表示には問題点があり、改善が求められている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[発明の原理]
汎用調節計(温調計)を課題解決の対象に含めることを考える。温調計は、設定値SPと制御量PVの表示部を備えており、操作量MVを表示することは可能ではあるが、通常の表示状態では表示対象にしないのが一般的である。したがって、設定値SP(温度設定値)と制御量PV(温度計測値)のみが表示されるユーザインタフェースを前提とする。
【0019】
設定値SPは、あくまでもオペレータの意思などにより設定される値であり、物理的状態量ではない。一方、制御量PVは、物理的状態量である。このため、設定値SPについては、加熱モード/冷却モードの切り替わりに単純明快に即応して表示色(表示形態)を変えるのが妥当である。また、発明者は、加熱モードらしい温度または冷却モードらしい温度に対応して制御量PVの表示色を変えるようにしても、オペレータが違和感を持ちにくいであろうし、制御の実態(加熱らしさまたは冷却らしさ)に対応する表示状態に近づくであろうことに着眼した。
【0020】
加熱モードらしい温度の状況としては温度上昇の状況があり、冷却モードらしい温度の状況としては温度下降の状況がある。したがって、冷却モードから加熱モードに切り替わった場合には、制御対象の応答時間を考慮した時間が経過した後に、制御量PV(温度計測値)の上昇を検出したときに、制御量PVの表示色を加熱モードに対応する色(表示形態)に切り替える。また、加熱モードから冷却モードに切り替わった場合には、制御対象の応答時間を考慮した時間が経過した後に、制御量PV(温度計測値)の下降を検出したときに、制御量PVの表示色を冷却モードに対応する色(表示形態)に切り替える。このようにすることで、制御状態自体の切り替わりを反映したモード表示を実現することができる。
【0021】
[実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施例に係る制御装置1の構成を示すブロック図である。ここでは、
図2に示すように、小型の表示素子8を備える制御装置1(マルチループ調節計)への適用例として説明する。
図1に示すように、本実施例の制御装置1は、設定値SPと制御量PVとを入力としてPID制御演算を行い、加熱アクチュエータを操作する加熱モードと冷却アクチュエータを操作する冷却モードとをPID制御演算の結果に応じて切り換えて温度制御を行なうヒートクール制御部2と、冷却モードから加熱モードに切り替わった時点からの経過時間、および加熱モードから冷却モードに切り替わった時点からの経過時間のうちいずれか一方を計測する経過時間計測部3と、冷却モードから加熱モードに切り替わった時点からの経過時間が規定時間以上で、かつ制御量PVが示す温度計測値が上昇したことを検出したときに、加熱モードらしい温度の状況と判定する加熱実態判定部4と、加熱モードから冷却モードに切り替わった時点からの経過時間が規定時間以上で、かつ制御量PVが示す温度計測値が下降したことを検出したときに、冷却モードらしい温度の状況と判定する冷却実態判定部5と、ヒートクール制御部2が加熱モードで温度制御を実行している場合に、設定値SPを加熱モードに対応する表示色で表示し、ヒートクール制御部2が冷却モードで温度制御を実行している場合に、設定値SPを冷却モードに対応する表示色で表示する設定値表示指示部6と、加熱実態判定部4が加熱モードらしい温度の状況と判定した場合に、制御量PVを加熱モードに対応する表示色で表示し、冷却実態判定部5が冷却モードらしい温度の状況と判定した場合に、制御量PVを冷却モードに対応する表示色で表示する制御量表示指示部7と、情報表示のための液晶パネル等の表示素子8とを備えている。
【0022】
図3、
図4は本実施例の制御装置1の動作を説明するフローチャートである。なお、
図3と
図4のA同士が繋がり、
図3と
図4のB同士が繋がっていることは言うまでもない。
【0023】
設定値SP(温度設定値)は、オペレータによって設定され、ヒートクール制御部2に入力される(
図3ステップS1)。
制御量PV(温度計測値)は、制御対象に設けられたセンサ(例えば
図11の温度センサ403)によって計測され、ヒートクール制御部2と加熱実態判定部4と冷却実態判定部5とに入力される(
図3ステップS2)。
【0024】
設定値表示指示部6と制御量表示指示部7とは、制御装置1が起動しているが、ヒートクール制御が開示されていない初期状態において(
図3ステップS3においてNO)、設定値SPと制御量PVとを予め規定された同一の表示色(例えば白色)で表示素子8に表示させる(
図3ステップS4)。
【0025】
次に、例えばオペレータからの指示によりヒートクール制御の実行が開始されると(ステップS3においてYES)、ヒートクール制御部2は、設定値SPと制御量PVとを入力として、制御量PVが設定値SPと一致するように周知のPID制御演算により操作量MVを算出する(
図3ステップS5)。操作量MVは、最小0%から最大100%の範囲の数値である。
【0026】
続いて、ヒートクール制御部2は、ステップS5で算出した操作量MVが予め定められた規定値TH以上(例えばTH=50%)である場合に(
図3ステップS6においてYES)、加熱モードと判定し(
図3ステップS7)、操作量MVを加熱アクチュエータへの操作量MV_Hに変換して出力する(
図3ステップS8)。規定値をTH=50%とすると、例えば操作量MV_Hは次式のようになる。
MV_H=(MV−TH)/(100−TH)×100 ・・・(1)
【0027】
図11に示した加熱装置が制御対象の場合、電気ヒータ401が加熱アクチュエータであり、操作量MV_Hの実際の出力先は電力調整器405となる。
また、ヒートクール制御部2は、ステップS5で算出した操作量MVが規定値TH未満である場合に(ステップS6においてNO)、冷却モードと判定し(
図3ステップS9)、操作量MVを冷却アクチュエータへの操作量MV_Cに変換して出力する(
図3ステップS10)。操作量MV_Cは例えば次式のようになる。
MV_C=100−(MV/TH×100) ・・・(2)
【0028】
図11に示した加熱装置が制御対象の場合、冷却器402が冷却アクチュエータであり、操作量MV_Cの実際の出力先はインバータ407となる。
また、ヒートクール制御部2は、加熱モードまたは冷却モードを示すモード情報を、経過時間計測部3と加熱実態判定部4と冷却実態判定部5と設定値表示指示部6とに出力する。
【0029】
なお、本実施例では、最新の操作量MVを基に加熱モードか冷却モードかを判定して、操作量MVを加熱モード用の操作量MV_Hあるいは冷却モード用のMV_Hに変換しているが、ヒートクール制御部2の処理は本実施例に限るものではない。
【0030】
例えば特許文献3に開示されたヒートクール制御部(コントローラ)は、予め加熱モード用にPIDパラメータが設定されたPID制御演算式により加熱モード用の操作量MV_Hを算出すると共に、予め冷却モード用にPIDパラメータが設定されたPID制御演算式により冷却モード用の操作量MV_Cを算出する。そして、このヒートクール制御部(コントローラ)は、操作量MV_Hが表す制御能力が規定値以下に低下したときに、加熱モードから冷却モードに切り替え、操作量MV_Cが表す制御能力が規定値以下に低下したときに、冷却モードから加熱モードに切り替えるようにしている。
【0031】
また、特許文献4に開示されたヒートクール制御部(PID制御演算部)は、1制御周期前の操作量MVが規定値以上の場合、加熱モードと判定して、予め加熱モード用にPIDパラメータが設定されたPID制御演算式により加熱モード用の操作量MVを算出して加熱アクチュエータに出力する。また、このヒートクール制御部(PID制御演算部)は、1制御周期前の操作量MVが規定値未満の場合、冷却モードと判定して、予め冷却モード用にPIDパラメータが設定されたPID制御演算式により冷却モード用の操作量MVを算出して冷却アクチュエータに出力する。
【0032】
以上のようにヒートクール制御の方法としては、様々な方法が考えられる。本発明は、加熱モードと冷却モードとを適宜切り換えて温度制御を行うヒートクール制御部2であれば、その制御方法を問わず適用が可能である。
【0033】
次に、経過時間計測部3は、冷却モードから加熱モードに切り替わった時点からの経過時間、または加熱モードから冷却モードに切り替わった時点からの経過時間を計測する(
図3ステップS11,S12)。
【0034】
加熱実態判定部4は、冷却モードから加熱モードに切り替わった時点からの経過時間が予め定められた規定時間T以上で(
図3ステップS13においてYES)、かつ制御量PVが示す温度計測値が上昇したことを検出したときに(
図3ステップS14においてYES)、加熱モードらしい温度の状況と判定する(
図3ステップS15)。規定時間Tは、制御対象の応答時間を考慮して予め設定される。なお、規定時間Tが経過した時点の制御量PVからの変化量ΔPV(温度変化量)で判定することも可能である。加熱実態判定部4は、制御量PVの1制御周期あたりの変化量ΔPV(温度変化量)が規定値TU=0.5℃を超えて正の方向に増加したとき、制御量PV(温度計測値)が上昇したと判定する。
【0035】
冷却実態判定部5は、加熱モードから冷却モードに切り替わった時点からの経過時間が規定時間T以上で(
図4ステップS16においてYES)、かつ制御量PVが示す温度計測値が下降したことを検出したときに(
図4ステップS17においてYES)、冷却モードらしい温度の状況と判定する(
図4ステップS18)。なお、規定時間Tが経過した時点の制御量PVからの変化量ΔPV(温度変化量)で判定することも可能である。冷却実態判定部5は、制御量PVの1制御周期あたりの変化量ΔPV(温度変化量)が規定値TD=−0.5℃を超えて負の方向に増加したとき、制御量PV(温度計測値)が下降したと判定する。
【0036】
なお、経過時間計測部3は、冷却モードから加熱モードに切り替わった時点または加熱モードから冷却モードに切り替わった時点から、次にモードが切り替わるまで、経過時間の計測を続けてもよいし、経過時間が規定時間Tよりも長い予め規定された時間TX(例えば10秒)まで達したときに計測を停止してもよい。実際には、時間TXまで計測すれば十分であり、次に加熱モードから冷却モードに切り替わったとき、または冷却モードから加熱モードに切り替わったときに、経過時間0から再び計測を開始すればよい。
【0037】
次に、設定値表示指示部6と制御量表示指示部7とは、表示すべき情報を所定の規則に従って表示素子8に表示させる。表示モードは、予め定められた規則に従って自動的に設定されるか、あるいはオペレータの操作に応じて設定される。ここでは、設定値SPと制御量PVとを表示する一般的な表示モードになっているものとする。
【0038】
設定値表示指示部6は、ヒートクール制御部2が加熱モードと判定した場合(
図4ステップS19においてYES)、設定値SPを加熱モードに対応する表示色で表示素子8に表示させる(
図4ステップS20)。また、設定値表示指示部6は、ヒートクール制御部2が冷却モードと判定した場合(ステップS19においてNO)、設定値SPを冷却モードに対応する表示色で表示素子8に表示させる(
図4ステップS21)。例えば、加熱モードでは赤系統の表示色で設定値SPを表示し、冷却モードでは青系統の表示色で設定値SPを表示するのが、一般的なイメージと言える。
【0039】
一方、制御量表示指示部7は、加熱実態判定部4が加熱モードらしい温度の状況と判定した場合(
図4ステップS22においてYES)、制御量PVを加熱モードに対応する表示色で表示素子8に表示させる(
図4ステップS23)。また、制御量表示指示部7は、冷却実態判定部5が冷却モードらしい温度の状況と判定した場合(
図4ステップS24においてYES)、制御量PVを冷却モードに対応する表示色で表示素子8に表示させる(
図4ステップS25)。例えば、加熱モードらしい温度の状況では赤系統の表示色で制御量PVを表示し、冷却モードらしい温度の状況では青系統の表示色で制御量PVを表示するのが、一般的なイメージと言える。
【0040】
以上のようなステップS1〜S25の処理を、制御装置1の表示動作が終了するまで(
図4ステップS26においてYES)、制御周期毎および制御ループ毎に繰り返し実行する。
【0041】
なお、加熱モードで昇温が行なわれた後に、制御量PVが高温で整定した状態においては、設定値SPと制御量PVを赤系統の表示色で表示する形式が維持される。同様に、冷却モードで降温が行なわれた後に、制御量PVが低温で整定した状態においては、設定値SPと制御量PVを青系統の表示色で表示する形式が維持される。
【0042】
図5は加熱モードまたは冷却モードで整定しているときの情報表示の例を示す図、
図6は加熱モードまたは冷却モードが切り替わった直後の情報表示の例を示す図である。
図5、
図6の例は、4つの制御ループの温度制御を独立に行なう制御装置1(マルチループ調節計)において、No.1〜No.4の番号で区別される各制御ループの設定値SPと制御量PVとを表示素子8の画面80上の対応する区画80−1〜80−4に1ループ分ずつ表示する表示モードの例を示している。また、
図5、
図6の例は、番号No.1とNo.2の制御ループについてはヒートクール制御が実行され、No.3とNo.4の制御ループについてはヒータのみによる通常の加熱制御が実行されているときの例を示している。
【0043】
上記のとおり、設定値表示指示部6と制御量表示指示部7とは、初期状態においては、設定値SPに合わせて制御量PVの表示色(例えば白色)を決める。また、設定値表示指示部6と制御量表示指示部7とは、
図5、
図6に示すように、通常の加熱制御が実行されている制御ループについては、設定値SPと制御量PVとを同一の表示色(例えば白色)で表示する。
【0044】
図5の例では、番号No.1の制御ループが冷却モードで低温に整定している状態のため、番号No.1の制御ループに対応する区画80−1の設定値SPと制御量PVとが青系統の表示色で表示されている。また、
図5の例では、番号No.2の制御ループが加熱モードで高温に整定している状態のため、番号No.2の制御ループに対応する区画80−2の設定値SPと制御量PVとが赤系統の表示色で表示されている。
【0045】
一方、
図6の例では、番号No.1の制御ループが設定値SPの変更により冷却モードから加熱モードに切り替わった直後で温度上昇が検出されていない状態のため、番号No.1の制御ループに対応する区画80−1の設定値SPは赤系統の表示色で表示され、制御量PVは青系統の表示色で表示されている。また、
図6の例では、番号No.2の制御ループが設定値SPの変更により加熱モードから冷却モードに切り替わった直後で温度下降が検出されていない状態のため、番号No.2の制御ループに対応する区画80−2の設定値SPは青系統の表示色で表示され、制御量PVは赤系統の表示色で表示されている。
【0046】
以上のように、本実施例では、ヒートクール制御(加熱冷却制御)のモード表示について、制御状態の切り替わりを反映したモード表示を実現することができ、加熱モードか冷却モードかをオペレータに認識させるだけでなく、モードと制御量PVの状況の一致/不一致(制御量PVがモードに応じた値になっているかどうか)をオペレータに認識させることができる。
【0047】
なお、本実施例では、表示素子8として液晶パネルを備えた制御装置1(マルチループ調節計)に本発明を適用するケースとして説明しているが、シングルループ調節計に本発明を適用してもよい。
図7に示すように7セグメントLEDの表示素子8aを備えた制御装置1(シングルループ調節計)が汎用調節計として産業界で多く採用されている。このようなシングルループ調節計の7セグメントLEDでは、液晶パネルと同様の多彩な表示を実現することはできないが、表示色の変更は可能なので、本発明を適用することが可能である。
【0048】
本発明は、液晶パネルあるいはLEDのいずれの表示素子でも共通して適用できる点に特徴があり、製造装置や製造ラインによって液晶パネルやLEDの表示素子が混在する形でヒートクール制御が稼働する場合でも、ヒートクール制御について一定の規則に統一することが可能になる。
【0049】
上記の実施例で説明した制御装置1のうち、ヒートクール制御部2と経過時間計測部3と加熱実態判定部4と冷却実態判定部5と設定値表示指示部6と制御量表示指示部7とは、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って本実施例で説明した処理を実行する。