(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の超音波振動子では、音響部材の経年変化により圧電素子のピッチ間隔がずれる場合があった。また、従来の超音波振動子では、接着剤である音響部材が硬化する際に収縮し、収縮により生じた応力がダイシングする際に開放されて圧電素子のピッチ間隔がずれる場合があった。圧電素子のピッチ間隔がずれると、超音波を送受信するタイミングがずれ、超音波画像の画質が低下するため、圧電素子のピッチ間隔がずれることを防止した超音波振動子が求められていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、圧電素子のピッチ間隔がずれることを防止した超音波振動子、超音波プローブ、及び超音波内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る超音波振動子は、角柱状をなし、長手方向が平行になるように所定のピッチ間隔に配列されており、超音波の送受信を行う複数の圧電素子と、前記圧電素子の配列方向に沿って、隣接する前記圧電素子を連結する連結部と、前記圧電素子と前記連結部とを接合する音響部材と、前記圧電素子が超音波の送受信を行う方向と交わらない位置において、前記連結部に固定されており、前記連結部より剛性が高い芯部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様に係る超音波振動子は、前記連結部は、前記圧電素子が送信した超音波を吸収するバッキング材であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様に係る超音波振動子は、前記連結部は、前記圧電素子と観測対象との音響インピーダンスをマッチングさせる音響整合層であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様に係る超音波振動子は、前記芯部材は、前記圧電素子の配列方向に沿って、前記連結部の内部に位置することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係る超音波振動子は、前記芯部材は、前記圧電素子の配列方向に沿って、前記連結部の側面に位置することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様に係る超音波振動子は、前記連結部は、前記圧電素子が超音波の送受信を行う面、又は前記圧電素子が超音波の送受信を行う面と反対側の面の全面を覆っていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様に係る超音波振動子は、前記連結部は、前記圧電素子の前記長手方向の端部に位置することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様に係る超音波振動子は、前記圧電素子は、前記圧電素子の配列方向に沿って湾曲するように配列されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様に係る超音波振動子は、前記芯部材は、金属、合金、又は樹脂からなることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の一態様に係る超音波振動子は、前記芯部材は、前記圧電素子の配列方向に沿って一連の形状をなすことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の一態様に係る超音波プローブは、上記の超音波振動子を備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の一態様に係る超音波内視鏡は、上記の超音波プローブが被検体内に挿入する挿入部の先端に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、圧電素子のピッチ間隔がずれることを防止した超音波振動子、超音波プローブ、及び超音波内視鏡を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る超音波振動子を備える内視鏡システムを模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す超音波内視鏡の挿入部の先端構成を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る超音波振動子の構成を表す平面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
【
図5】
図5は、変形例1−1に係る超音波振動子の構成を表す平面図である。
【
図6】
図6は、変形例1−1に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
【
図7】
図7は、変形例1−2に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
【
図8】
図8は、変形例1−3に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
【
図9】
図9は、変形例1−4に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
【
図10】
図10は、実施の形態2に係る超音波振動子の構成を表す平面図である。
【
図11】
図11は、実施の形態2に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
【
図12】
図12は、変形例2−1に係る超音波振動子の構成を表す平面図である。
【
図13】
図13は、変形例2−1に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
【
図14】
図14は、変形例2−1に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
【
図15】
図15は、実施の形態3に係る超音波振動子の構成を表す平面図である。
【
図16】
図16は、実施の形態3に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
【
図17】
図17は、変形例3−1に係る超音波振動子の構成を表す平面図である。
【
図18】
図18は、変形例3−1に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
【
図19】
図19は、変形例3−2に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
【
図20】
図20は、変形例3−3に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
【
図21】
図21は、変形例3−4に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
【
図22】
図22は、実施の形態4に係る超音波振動子の構成を表す平面図である。
【
図23】
図23は、実施の形態4に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
【
図24】
図24は、変形例4−1に係る超音波振動子の構成を表す平面図である。
【
図25】
図25は、変形例4−1に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
【
図26】
図26は、変形例4−1に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して本発明に係る超音波振動子、超音波プローブ、及び超音波内視鏡の実施の形態を説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。以下の実施の形態においては、超音波内視鏡を例示して説明するが、本発明は複数の圧電素子を備える超音波振動子一般に適用することができる。
【0022】
また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る超音波振動子を備える内視鏡システムを模式的に示す図である。内視鏡システム1は、超音波内視鏡を用いて人等の被検体内の超音波診断を行うシステムである。この内視鏡システム1は、
図1に示すように、超音波内視鏡2と、超音波観測装置3と、内視鏡観察装置4と、表示装置5と、光源装置6と、を備える。
【0024】
超音波内視鏡2は、その先端部において、超音波観測装置3から受信した電気的なパルス信号を超音波パルス(音響パルス)に変換して被検体へ照射するとともに、被検体で反射された超音波エコーを電圧変化で表現する電気的なエコー信号に変換して出力する。
【0025】
超音波内視鏡2は、通常は撮像光学系及び撮像素子を有しており、被検体の消化管(食道、胃、十二指腸、大腸)、又は呼吸器(気管、気管支)へ挿入され、消化管や、呼吸器の撮像を行うことが可能である。また、その周囲臓器(膵臓、胆嚢、胆管、胆道、リンパ節、縦隔臓器、血管等)を、超音波を用いて撮像することが可能である。また、超音波内視鏡2は、光学撮像時に被検体へ照射する照明光を導くライトガイドを有する。このライトガイドは、先端部が超音波内視鏡2の被検体への挿入部の先端まで達している一方、基端部が照明光を発生する光源装置6に接続されている。
【0026】
超音波内視鏡2は、
図1に示すように、挿入部21と、操作部22と、ユニバーサルケーブル23と、コネクタ24と、を備える。挿入部21は、被検体内に挿入される部分である。この挿入部21は、
図1に示すように、先端に配置される超音波振動子7と、超音波振動子7を保持する硬性部材211と、硬性部材211の基端側に連結され湾曲可能とする湾曲部212と、湾曲部212の基端側に連結され可撓性を有する可撓管部213と、を備える。ここで、挿入部21の内部には、具体的な図示は省略したが、光源装置6から供給された照明光を伝送するライトガイド、各種信号を伝送する複数の信号ケーブルが引き回されているとともに、処置具を挿通するための処置具用挿通路が形成されている。
【0027】
超音波振動子7は、コンベックス振動子、リニア振動子及びラジアル振動子のいずれでも構わない。超音波内視鏡2が、超音波振動子7として複数の圧電素子をアレイ状に設け、送受信にかかわる圧電素子を電子的に切り替えたり、各圧電素子の送受信に遅延をかけたりすることで、電子的に走査させる。超音波振動子7の構成については、後述する。
【0028】
図2は、
図1に示す超音波内視鏡の挿入部の先端構成を模式的に示す斜視図である。
図2に示すように、硬性部材211は、照明光を集光して外部に出射する照明レンズ211aと、撮像光学系の一部をなし、外部からの光を取り込む対物レンズ211bと、挿入部21内に形成された処置具用挿通路に連通し、挿入部21の先端から処置具を突出させる処置具突出口211cと、を有する。
【0029】
操作部22は、挿入部21の基端側に連結され、医師等からの各種操作を受け付ける部分である。この操作部22は、
図1に示すように、湾曲部212を湾曲操作するための湾曲ノブ221と、各種操作を行うための複数の操作部材222と、を備える。また、操作部22には、処置具用挿通路に連通し、当該処置具用挿通路に処置具を挿通するための処置具挿入口223が形成されている。
【0030】
ユニバーサルケーブル23は、操作部22から延在し、各種信号を伝送する複数の信号ケーブル、及び光源装置6から供給された照明光を伝送する光ファイバ等が配設されたケーブルである。
【0031】
コネクタ24は、ユニバーサルケーブル23の先端に設けられている。そして、コネクタ24は、超音波ケーブル31、ビデオケーブル41、及び光ファイバケーブル61がそれぞれ接続される第1〜第3コネクタ部241〜243を備える。
【0032】
超音波観測装置3は、超音波ケーブル31(
図1)を介して超音波内視鏡2に電気的に接続し、超音波ケーブル31を介して超音波内視鏡2にパルス信号を出力するとともに超音波内視鏡2からエコー信号を入力する。そして、超音波観測装置3は、当該エコー信号に所定の処理を施して超音波画像を生成する。
【0033】
内視鏡観察装置4は、ビデオケーブル41(
図1)を介して超音波内視鏡2に電気的に接続し、ビデオケーブル41を介して超音波内視鏡2からの画像信号を入力する。そして、内視鏡観察装置4は、当該画像信号に所定の処理を施して内視鏡画像を生成する。
【0034】
表示装置5は、液晶又は有機EL(Electro Luminescence)、プロジェクタ、CRT(Cathode Ray Tube)などを用いて構成され、超音波観測装置3にて生成された超音波画像や、内視鏡観察装置4にて生成された内視鏡画像等を表示する。
【0035】
光源装置6は、光ファイバケーブル61(
図1)を介して超音波内視鏡2に接続し、光ファイバケーブル61を介して被検体内を照明する照明光を超音波内視鏡2に供給する。
【0036】
続いて、挿入部21の先端に設けられた超音波振動子7の構成を
図3、
図4を参照して説明する。
図3は、実施の形態1に係る超音波振動子の構成を表す平面図である。
図4は、実施の形態1に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。なお、
図3は、超音波振動子7を
図2の下方から見た平面図である。
図4は、
図2に対して上下が逆の側面図である。また、
図3、
図4は、超音波振動子7の一例を表す図であり、実際に配設される圧電素子71の個数はこの限りではない。本実施の形態1では、超音波振動子7が、
図2に示すようなコンベックス型の超音波振動子であって、複数の圧電素子71が一列に配列された一次元アレイ(1Dアレイ)であるものとして説明する。換言すれば、本実施の形態1に係る超音波振動子7では、複数の圧電素子71が、当該超音波振動子7の曲面をなす外表面に沿って配置されている。
【0037】
超音波振動子7は、角柱状をなし、長手方向が平行になるように所定のピッチ間隔に配列されている複数の圧電素子71と、圧電素子71に対し、当該超音波振動子7の外表面側にそれぞれ設けられる複数の音響部材72と、音響部材72の圧電素子71と接する側と反対側に設けられ、隣接する圧電素子71及び音響部材72同士を連結する連結部73と、連結部73の内部に固定されている芯部材74と、を備える。以下、
図2〜
図4に示すように、圧電素子71の長手方向をエレベーション方向Deとよび、圧電素子71の配列方向を走査方向Dsとよぶ。
【0038】
圧電素子71は、超音波の送受信を行う。具体的には、圧電素子71は、電気的なパルス信号を音響パルスに変換して被検体へ照射するとともに、被検体で反射された超音波エコーを電圧変化で表現する電気的なエコー信号に変換して出力する。圧電素子71には、例えば、音響部材72と接する側と反対側の主面に不図示の信号入出力用電極が設けられているとともに、圧電素子71の音響部材72側の主面に不図示のグラウンド接地用のグラウンド電極が設けられている。各電極は、導電性を有する金属材料又は樹脂材料を用いて形成される。圧電素子71は、走査方向Dsに沿って湾曲するように配置されている。
【0039】
圧電素子71は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)セラミック材料、又はPMN−PT単結晶、PMN−PZT単結晶、PZN−PT単結晶、PIN−PZN−PT単結晶もしくはリラクサー系材料を用いて形成される。PMN−PT単結晶は、マグネシウム・ニオブ酸鉛及びチタン酸鉛の固溶体の略称である。PMN−PZT単結晶は、マグネシウム・ニオブ酸鉛及びチタン酸ジルコン酸鉛の固溶体の略称である。PZN−PT単結晶は、亜鉛・ニオブ酸鉛及びチタン酸鉛の固溶体の略称である。PIN−PZN−PT単結晶は、インジウム・ニオブ酸鉛、亜鉛・ニオブ酸鉛及びチタン酸鉛の固溶体の略称である。リラクサー系材料は、圧電定数や誘電率を増加させる目的でリラクサー材料である鉛系複合ペロブスカイトをPZTに添加した三成分系圧電材料の総称である。鉛系複合ペロブスカイトは、Pb(B1、B2)O
3で表され、B1はマグネシウム、亜鉛、インジウム又はスカンジウムのいずれかであり、B2はニオブ、タンタル又はタングステンのいずれかである。これらの材料は、優れた圧電効果を有している。このため、小型化しても電気的なインピーダンスの値を低くすることができ、圧電素子71に設けられる薄膜電極との間のインピーダンスマッチングの観点から好ましい。
【0040】
音響部材72は、圧電素子71と連結部73とを接合する。音響部材72は、例えばエポキシ樹脂等の各種樹脂からなる接着剤である。また、音響部材72は、超音波の少なくとも一部を透過する部材であればよく、樹脂、カーボン、セラミック、金属、紙、ガラス等からなる構成であってもよい。また、音響部材72の形状は特に限定されず、液体を封入した薄い容器状、綿状、粒子状、シート状、ゲル状、多孔質、繊維を配列したもの等であってもよい。なお、音響部材72が接着剤でない場合、音響部材72の両面にそれぞれ接着剤が塗布され、圧電素子71と連結部73とが音響部材72を挟んで接合される。音響部材72は、圧電素子71と観測対象との間で音(超音波)を効率よく透過させるために、圧電素子71と観測対象との音響インピーダンスをマッチングさせる音響整合層としての機能を兼ね備えていてもよい。
【0041】
連結部73は、走査方向Dsに沿って、圧電素子71を連結する。連結部73は、圧電素子71が超音波の送受信を行う方向の全面を覆うように設けられている。連結部73は、音響部材72と同様に、音響整合層としての機能を兼ね備えていてもよい。連結部73は、例えば音響部材72と同じ材料を用いて形成されるが、音響部材72と異なる樹脂から形成されていてもよい。なお、連結部73は、音響部材72と一体的に設けられるものであってもよい。
【0042】
芯部材74は、圧電素子71が超音波の送受信を行う方向と交わらない位置に配置されている。芯部材74は、走査方向Dsに沿って、連結部73の内部に固定されている。芯部材74は、走査方向Dsに沿って一連の形状をなす。芯部材74は、連結部73より剛性が高い部材からなる。具体的には、芯部材74は、例えば銅、チタン、銀、タングステン等の金属又は合金からなる線状、板状、棒状の部材である。また、芯部材74は、金属又は合金からなる細線が編み込まれた編込みワイヤ、金属又は合金からなる密巻きコイル、金属又は合金からなる複数のボールが互いに密着している数珠状のチェーンであってもよい。また、芯部材74は、連結部73よりも熱膨張係数が小さく、かつ芯部材74が延伸する方向(走査方向Ds)の弾性が連結部73よりも大きい樹脂からなる線状、板状、棒状の部材であってもよい。芯部材74は、例えばインサート成形により連結部73の内部に配置される。
【0043】
以上の構成を有する超音波振動子7は、パルス信号の入力によって圧電素子71が振動することで、音響部材72及び連結部73を介して観測対象に超音波を照射する。また、観測対象から反射された超音波は、音響部材72及び連結部73を介して圧電素子71に伝えられる。伝達された超音波により圧電素子71が振動し、圧電素子71が該振動を電気的なエコー信号に変換して、エコー信号として不図示の配線を介して超音波観測装置3に出力する。
【0044】
実施の形態1によれば、連結部73の内部に連結部73より剛性の高い芯部材74が配置されているため、音響部材72の経年劣化によるピッチずれを防止することができる。
【0045】
また、超音波振動子7は、内部に芯部材74が配置された連結部73上に、音響部材72により圧電素子71となる板状の圧電材料を接着し、ダイシングにより圧電材料及び音響部材72を切断した後、全体を湾曲させることにより製造することができる。ここで、接着剤である音響部材72、又は例えばシート状である音響部材72の両面に塗布された接着剤が硬化する際に収縮し、収縮により生じた応力がダイシングする際に開放されて圧電素子71のピッチ間隔がずれる場合があった。しかしながら、実施の形態1によれば、ダイシング時に連結部73の内部に連結部73より剛性の高い芯部材74が配置されているため、ダイシング時に接着剤からの応力により圧電素子71のピッチがずれることを防止することができる。
【0046】
また、実施の形態1によれば、芯部材74が、圧電素子71が超音波の送受信を行う方向と交わらない位置に配置されているため、芯部材74により圧電素子71のピッチずれを防止するとともに、芯部材74が超音波画像に影響を与えることを防止している。
【0047】
なお、超音波振動子7は、連結部73とは別に、1つ又は複数の音響整合層を備えていてもよい。また、超音波振動子7は、一方の面が凸状又は凹状をなして超音波を絞る機能を有し、圧電素子71からの超音波を外部に出射する、又は外部からの超音波エコーを取り込む音響レンズを備えていてもよい。音響レンズは、シリコーン、ポリメチルペンテンや、エポキシ樹脂、ポリエーテルイミドなどを用いて形成される。また、超音波振動子7は、圧電素子71の動作によって生じる不要な超音波振動を減衰させるバッキング材を備えていてもよい。バッキング材は、減衰率の大きい材料、例えば、アルミナやジルコニア等のフィラーを分散させたエポキシ樹脂や、上述したフィラーを分散したゴムを用いて形成される。
【0048】
(変形例1−1)
図5は、変形例1−1に係る超音波振動子の構成を表す平面図である。
図6は、変形例1−1に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
図5、
図6に示すように、超音波振動子7は、圧電素子71が平面状に配列されているリニア型の超音波振動子であってもよい。
【0049】
(変形例1−2)
図7は、変形例1−2に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
図7に示すように、超音波振動子7において、圧電素子71の外表面側と反対側に連結部73が配置されていてもよい。連結部73は、圧電素子71が超音波の送受信を行う方向と反対側の全面を覆うように設けられている。この構成において、連結部73は、圧電素子71が送信した超音波を吸収するバッキング材としての機能を兼ね備えていてもよい。
【0050】
(変形例1−3)
図8は、変形例1−3に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
図8に示すように、超音波振動子7aにおいて、芯部材74aは、圧電素子71の配列方向の中央や端部に選択的に配置されていてもよい。
【0051】
(変形例1−4)
図9は、変形例1−4に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
図9に示すように、超音波振動子7aにおいて、圧電素子71の外表面側と反対側に連結部73が配置されており、かつ芯部材74aが圧電素子71の配列方向の中央や端部に選択的に配置されていてもよい。
【0052】
(実施の形態2)
図10は、実施の形態2に係る超音波振動子の構成を表す平面図である。
図11は、実施の形態2に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
図10、
図11に示すように、超音波振動子7Aにおいて、連結部73Aは、圧電素子71の長手方向の端部に位置する。圧電素子71は、圧電素子71の配列方向に沿って湾曲するように配置されている。また、音響部材72と連結部73Aとの間には、圧電素子71と観測対象との音響インピーダンスをマッチングさせる音響整合層75Aが配置されている。この構成では、連結部73Aが、圧電素子71が超音波の送受信を行う方向と交わらない位置に配置されていることにより、連結部73Aにより超音波が減衰することを防止することができる。
【0053】
(変形例2−1)
図12は、変形例2−1に係る超音波振動子の構成を表す平面図である。
図13、
図14は、変形例2−1に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
図14は、
図12又は
図13を右側又は左側から見た側面図である。
図12〜
図14に示すように、超音波振動子7Aにおいて、連結部73Aが圧電素子71の長手方向の端部に位置し、かつ圧電素子71が平面状に配列されている。
【0054】
(実施の形態3)
図15は、実施の形態3に係る超音波振動子の構成を表す平面図である。
図16は、実施の形態3に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
図15、
図16に示すように、超音波振動子7Bにおいて、芯部材74Bは、圧電素子71の配列方向に沿って、連結部73の側面に設けられている。連結部73は、接着剤による接着や金属部材をかしめることにより連結部73の側面に固定されている。圧電素子71は、圧電素子71の配列方向に沿って湾曲するように配置されている。
【0055】
(変形例3−1)
図17は、変形例3−1に係る超音波振動子の構成を表す平面図である。
図18は、変形例3−1に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
図17、
図18に示すように、超音波振動子7Bは、圧電素子71が平面状に配列されているリニア型の超音波振動子であってもよい。
【0056】
(変形例3−2)
図19は、変形例3−2に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
図19に示すように、超音波振動子7Bにおいて、圧電素子71の外表面側と反対側に連結部73が配置されていてもよい。
【0057】
(変形例3−3)
図20は、変形例3−3に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
図20に示すように、超音波振動子7Baにおいて、芯部材74Baは、圧電素子71の配列方向の中央や端部に選択的に配置されていてもよい。
【0058】
(変形例3−4)
図21は、変形例3−4に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
図21に示すように、超音波振動子7Baにおいて、圧電素子71の外表面側と反対側に連結部73が配置されており、かつ芯部材74Baが圧電素子71の配列方向の中央や端部に選択的に配置されていてもよい。なお、超音波振動子7Baは、連結部73上に音響部材72により圧電素子71となる板状の圧電材料を貼り付け、全体を湾曲させた後に芯部材74Baを連結部73の側面に貼り付けた後、ダイシングにより圧電材料及び音響部材72を角柱状に切断して、圧電素子71を形成してもよい。この場合、圧電材料は、例えばPVDF(PolyVinylidene DiFluoride)等の湾曲可能な軟性の材料からなる。また、超音波振動子7Baは、半円形状の連結部73上に音響部材72により圧電素子71となる半円形状の圧電材料を貼り付け、半円形状の芯部材74Baを連結部73の側面に貼り付けた後、ダイシングにより圧電材料及び音響部材72を角柱状に切断して、圧電素子71を形成してもよい。
【0059】
(実施の形態4)
図22は、実施の形態4に係る超音波振動子の構成を表す平面図である。
図23は、実施の形態4に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
図22、
図23に示すように、超音波振動子7Cにおいて、連結部73Aは、圧電素子71の長手方向の端部に位置し、かつ芯部材74Bが圧電素子71の配列方向に沿って、連結部73Aの側面に固定されている。圧電素子71は、圧電素子71の配列方向に沿って湾曲するように配置されている。また、音響部材72と連結部73Aとの間には、音響整合層75Aが配置されている。
【0060】
(変形例4−1)
図24は、変形例4−1に係る超音波振動子の構成を表す平面図である。
図25、
図26は、変形例4−1に係る超音波振動子の構成を表す側面図である。
図26は、
図24又は
図25を右側又は左側から見た側面図である。
図24〜
図26に示すように、超音波振動子7Cにおいて、連結部73Aが圧電素子71の長手方向の端部に位置し、かつ圧電素子71が平面状に配列されている。
【0061】
なお、超音波内視鏡として一例を記載したが、本発明の超音波振動子は、被検体の体表から超音波を照射する体外式の超音波プローブに適用してもよい。体外式の超音波プローブは、通常、腹部臓器(肝臓、胆嚢、膀胱)、乳房(特に乳腺)、甲状腺を観察する際に用いられる。
【0062】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表わしかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付のクレーム及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。