【実施例】
【0022】
1.試料
1)乳または乳由来のタンパク質を含む材料として、脱脂粉乳を用いた。
2)15%以下のエステル化度を有するペクチンとして、LMペクチン(UTLP-100(DE値:7%))を用いた。
3)50%以上のエステル化度を有するペクチンとして、HMペクチン(UTHP-510(DE値:68%)またはUTHP-310(DE値:70%))を用いた。
4)市販の発酵乳飲料
明治ブルガリアのむヨーグルトプレーンLB81 (株式会社明治製) を用いた。
【0023】
[実施例1]
発酵乳飲料の製造方法(1)
1)80gの脱脂粉乳および1g〜2gのLMペクチンを混合して予備混合物を得た。
2)上記1)の予備混合物を高速ミキサー(T.K. HOMOMIXER MARKII (プライミクス株式会社製)、3000rpm±200rpm)を使用し、60℃±5℃の水に混ぜ合わせることで混合物を得た。
3)上記2)の混合物を水槽内に置き、約90℃にて10分間熱した(水槽温度95℃)。
4)上記3)の混合物を攪拌しながら45℃まで冷却した。
5)上記4)の混合物に対して3w/w%となるように市販の発酵乳飲料をスターターとして添加し、その後620gとなるよう重量調整を行った。
6)上記5)の混合物を43℃に設定した発酵装置内に置き、pH4.35±0.05に至るまで発酵させた。
7)上記6)の発酵により得られたカードに380gの糖液を加えた後、高速ミキサー(3000rpm±200rpm)を使用して10分間攪拌することでドリンクヨーグルトを得た。
8)上記7)にて得られたドリンクヨーグルトは約150バールにて約40℃で均質化した。
9)上記8)にて均質化した後、ドリンクヨーグルトを容器に入れ、10℃まで冷却し、保管した。
【0024】
[実施例2]
発酵乳飲料の製造方法(2)
1)80gの脱脂粉乳、全量で1〜2gとなるように調製したLMペクチンおよびHMペクチンを混合して予備混合物を得た。
2)上記1)の予備混合物を高速ミキサー(3000rpm±200rpm)を使用し、60℃±5℃の水に混ぜ合わせることで混合物を得た。
3)上記2)の混合物を水槽内に置き、約90℃にて10分間熱した(水槽温度95℃)。
4)上記3)の混合物を攪拌しながら45℃まで冷却した。
5)上記4)の混合物に対して3w/w%となるように市販の発酵乳飲料をスターターとして添加し、その後620gとなるよう重量調整を行った。
6)上記5)の混合物を43℃に設定した発酵装置内に置き、pH4.35±0.05に至るまで発酵させた。
7)上記6)の発酵により得られたカードに380gの糖液を加えた後、高速ミキサー(3000rpm±200rpm)を使用して10分間攪拌することでドリンクヨーグルトを得た。
8)上記7)にて得られたドリンクヨーグルトは約150バールにて約40℃で均質化した。
9)上記8)にて均質化した後、ドリンクヨーグルトを容器に入れ、10℃まで冷却し、保管した。
【0025】
[実施例3]
発酵乳飲料の製造方法(3)
1)80gの脱脂粉乳および1.5gのLMペクチンを混合して予備混合物を得た。
2)上記1)の予備混合物を高速ミキサー(3000rpm±200rpm)を使用し、60℃±5℃の水に混ぜ合わせることで混合物を得た。
3)上記2)の混合物を水槽内に置き、約90℃にて10分間熱した(水槽温度95℃)。
4)上記3)の混合物を攪拌しながら45℃まで冷却した。
5)上記4)の混合物に対して3w/w%となるように市販の発酵乳飲料をスターターとして添加し、その後620gとなるよう重量調整を行った。
6)上記5)の混合物を43℃に設定した発酵装置内に置き、pH4.35±0.05に至るまで発酵させた。
7)上記6)の発酵により得られたカードに380gの糖とHMペクチン (0.1g〜1g)を加えた後、高速ミキサー(3000rpm±200rpm)を使用して10分間攪拌することでドリンクヨーグルトを得た。
8)上記7)で得られたドリンクヨーグルトは約150バールにて約40℃で均質化した。
9)上記8)にて均質化した後、ドリンクヨーグルトを容器に入れ、10℃まで冷却し、保管した。
【0026】
[実施例4]
発酵乳飲料の製造方法(4)
1)80gの脱脂粉乳、全量で1〜2gとなるように調製したLMペクチンおよびHMペクチンを混合して予備混合物を得た。
2)上記1)の予備混合物を高速ミキサー(3000rpm±200rpm)を使用し、60℃±5℃の水に混ぜ合わせることで混合物を得た。
3)上記2)の混合物を水槽内に置き、約90℃にて10分間熱した(水槽温度95℃)。
4)上記3)混合物を攪拌しながら45℃まで冷却した。
5)上記4)の混合物に対して3w/w%となるように市販の発酵乳飲料をスターターとして添加し、その後620gとなるよう重量調整を行った。
6)上記5)の混合物を43℃に設定した発酵装置内に置き、pH4.35±0.05に至るまで発酵させた。
7)上記6)の発酵により得られたカードに380gの糖とHMペクチン (0.1g〜1g)を加えた後、高速ミキサー(3000rpm±200rpm)を使用して10分間攪拌することでドリンクヨーグルトを得た。
8)上記7)で得られたドリンクヨーグルトは約150バールにて約40℃で均質化した。
9)上記8)にて均質化した後、ドリンクヨーグルトを容器に入れ、10℃まで冷却し、保管した。
【0027】
上記発酵乳飲料の製造方法(1)〜(4)によって製造され得る発酵乳飲料の配合表の一例を表1に示した。
【0028】
【表1】
【0029】
[試験例]
1.試料
1)LMペクチン
UTLP-84(DE値:36%)、UTLP-30(DE値:25%)UTLP-100(DE値:5%、7%、10%、15%および20%)(いずれもユニテックフーズ社製)またはGENU(登録商標) LM-5CSJ(DE値:7%)(CPKelco社製)を用いた。
2)HMペクチン
UTHP-510(DE値:68%)またはUTHP-310(DE値:70%)を用いた。
3)供用物
乳酸カルシウム(扶桑化学株式会社製)またはアルギン酸ナトリウム(キッコーマンバイオケミファ株式会社製)を用いた。
4)コントロール
安定剤をなにも添加していないものを用いた。
5)市販品
明治ブルガリアのむヨーグルトプレーンLB81 (株式会社明治製)を用いた。
【0030】
2.発酵乳飲料の評価方法
1)安定性評価
調製した発酵乳飲料を50mlの遠沈管に45g分注した。その後、10℃にて保管し、1日、7日および14日経過後にノギスを使用してホエイオフの高さを測定した。ホエイオフの高さを離漿の量として評価した。その結果、製造後14日を経過した段階でホエイオフが10mm未満であれば発酵乳飲料として安定していると評価した。
2)官能評価
調製後、10℃にて7日保管した発酵乳飲料を、5名の官能パネラーが摂食することによって、(ア)なめらかさ、(イ)濃厚感、(ウ)のどごしの3項目を1-5の点数をつけて段階的に評価した。
この評価ではなめらかさや適度な濃厚感が感じられる程5点に近く、低く感じられる程1点に近いとした。また、のどごしが良く感じられる程5点に近く、悪く感じられる程1点に近いとした。そして、5名のパネラーの評価結果の平均点を各指標の評価結果とした。
【0031】
[試験例1]
LMペクチンの検討
LMペクチン(4種類)を添加量が発酵乳飲料の全量に対してそれぞれ0.15w/w%となるように用い、上記の発酵乳飲料の製造方法(1)にて発酵乳飲料を製造した。
その結果、表2に示すようにエステル化度が低いLMペクチンを用いた場合にホエイオフが少なく、安定した発酵乳飲料が製造できることが確認された。また、LMペクチンとしてGENU(登録商標)LM-5CSJを使用した場合、多少のホエイオフは生じるもののUTLP-100 (DE値:7%)を使用した場合より若干多い程度であり、本発明の発酵乳飲料の製造方法に使用できることが確認できた。また、8日経過後の各発酵乳飲料の写真を
図1に示した。
【0032】
【表2】
【0033】
[試験例2]
LMペクチンの添加量の検討
LMペクチンの添加量が発酵乳飲料の全量に対して0.1w/w%または0.2w/w%となるようにUTLP-100(DE値7%)を用い、上記の発酵乳飲料の製造方法(1)にて発酵乳飲料を製造した。
その結果、表3に示すように0.1w/w%となるように添加した場合と比べて0.2w/w%となるよう添加した場合にホエイオフが少なく、安定した発酵乳飲料が製造できることが確認された。
【0034】
【表3】
【0035】
[試験例3]
LMペクチンのエステル化度の検討
LMペクチンとしてDE値が5%、10%、15%および20%のUTLP-100を発酵乳飲料の全量に対して0.15w/w%となるように用い、上記の発酵乳飲料の製造方法(1)にて発酵乳飲料を製造した。
【0036】
その結果、表4および
図2に示すように、DE値が5%、10%および15%のLMペクチンを用いた場合、DE値が20%のLMペクチンを用いた場合と比べてホエイオフが少なく安定した発酵乳飲料が製造できることが確認された。
図2は7日経過後の各発酵乳飲料の写真を示したものである。
また、表5に示すようにDE値が5%、10%および15%のLMペクチンを用いた発酵乳飲料は、いずれも適度な濃厚感があってのどごしの良いものであった。
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
[試験例4]
併用物の検討
LMペクチンの添加量が発酵乳飲料の全量に対して0.15w/w%となるようにUTLP-100(DE値:7%)を用いた。また、HMペクチンまたは併用物の添加量が発酵乳飲料の全量に対して表6に記載の添加量となるように用い、上記の発酵乳飲料の製造方法(2)にて発酵乳飲料を製造した。
【0040】
その結果、表6および
図3に示すように併用物として乳酸カルシウムおよびアルギン酸ナトリウムを使用した場合はホエイオフが下部に現れ、LMペクチンとしてUTLP-100(DE値:7%)のみを使用した場合と比べて発酵乳飲料の安定性が低下した。
図3は7日経過後の各発酵乳飲料の写真を示したものである。
一方、UTHP-510を使用した場合はホエイオフがほぼ生じず安定性が向上することが確認された。
【0041】
さらに、表7に示すようにUTHP-510を併用物として使用した場合は、UTLP-100のみを使用した場合と比べてなめらかでのどごしも良い発酵乳飲料が得られることが確認できた。
【0042】
【表6】
【0043】
【表7】
【0044】
[試験例5]
HMペクチンの配合割合の検討
LMペクチンおよび併用するHMペクチンの添加量が発酵乳飲料の全量に対して表8に記載の添加量となるように調製し、上記の発酵乳飲料の製造方法(2)にて発酵乳飲料を製造した。
その結果、表8に示すようにHMペクチンとして0.01w/w% UTHP-510を、LMペクチンとして0.19w/w% UTLP-100 (DE値:7%)を併用して添加すると、最も安定性の高い発酵乳飲料が得られることが確認された。
さらに、表9に示すように0.01w/w% UTHP-510および0.19w/w% UTLP-100を併用して添加した場合に、最もなめらかで適度な濃厚感をもつ、のどごしの良い発酵乳飲料が得られることが確認できた。
【0045】
【表8】
【0046】
【表9】
【0047】
[試験例6]
HMペクチンの検討
LMペクチンと併用するHMペクチンとしてUTHP-310を用い、これらの添加量が発酵乳飲料の全量に対して表10に記載の添加量となるように調製し、上記の発酵乳飲料の製造方法(2)にて発酵乳飲料を製造した。
その結果、表10に示すようにHMペクチンとしてUTHP-310を用いた場合でも、安定した発酵乳飲料が得られることが確認された。また、食感の面でも適度な濃厚感があってなめらかな好ましい発酵乳飲料であった。
【0048】
【表10】
【0049】
【表11】
【0050】
[試験例7]
発酵乳飲料の全量に対してLMペクチン(UTLP-100 (DE値:7%))が0.1w/w%、HMペクチン(UTHP-510)も0.1w/w%となるように調製し、上記の発酵乳飲料の製造方法(3)にて発酵乳飲料を製造した。
その結果、
図4に示すようにホエイオフが製造後1日で0mm、7日で3.73mm、14日で9.43mmと少なく、安定性が高くサラサラですっきりなめらかな発酵乳飲料が製造できることが確認された。
【0051】
【表12】
【0052】
試験例1〜7の結果より、本願発明の発酵乳飲料の製造方法により、長期間保存しても安定性が高く、なめらかでのどごしが良く、適度な濃厚感を有する発酵乳飲料が製造できることが確認された。