(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のX線撮像装置であって、前記出力回路は、前記第1モードが設定された場合、前記マクロピクセルを構成する前記サブピクセルごとの検出結果を加算して、前記検出器を構成する複数の前記マクロピクセルごとデータを前記データ配列で順次出力し、前記第2モードが設定された場合、前記検出器を構成する前記サブピクセルからカウント結果を出力するサブピクセルを選択し、前記第1モードで前記マクロピクセルごとのデータを順次出力する際と同じ前記データ配列に、前記マクロピクセルのデータの代わりに前記サブピクセルのカウント結果を割り当て出力することを特徴とすることを特徴とするX線撮像装置。
請求項1または2に記載のX線撮像装置であって、前記出力回路は、前記検出器を構成するサブピクセルのカウント結果が格納されるデータ領域を備えるサブピクセルバッファと、前記検出器を構成するマクロピクセルにそれぞれ対応するデータ領域を備えるマクロピクセルバッファと、前記サブピクセルバッファの1以上のデータ領域に格納された前記カウント結果を選択して加算し、前記マクロピクセルバッファのデータ領域に格納するデータ選択回路と、前記データ選択回路に、前記サブピクセルバッファのデータ領域から選択するデータ領域のアドレスを指示するアドレス生成回路とを有することを特徴とするX線撮像装置。
請求項3に記載のX線撮像装置であって、前記アドレス生成回路は、前記第1モードでは、前記マクロピクセルごとにそれを構成する複数の前記サブピクセルの前記サブピクセルバッファにおけるデータ領域のアドレスを指示し、前記第2モードでは、前記マクロピクセルに含まれる1つのサブピクセルのアドレスのみを指示することを特徴とするX線撮像装置。
請求項3に記載のX線撮像装置であって、前記アドレス生成回路は、前記第1モードでは、前記マクロピクセルごとにそれを構成する複数の前記サブピクセルの前記サブピクセルバッファにおけるデータ領域のアドレスを指示し、前記第2モードでは、前記マクロピクセルに含まれる2つのサブピクセルのアドレスを指示することを特徴とするX線撮像装置。
請求項1または2に記載のX線撮像装置であって、前記出力回路は、前記第2モードにおいては、前記読出し回路が1ビュー時間でカウントした前記検出結果を、それ以降の複数のビュー時間にわたって出力することを特徴とするX線撮像装置。
請求項3に記載のX線撮像装置であって、前記出力回路は、前記マクロピクセルバッファを、前記マクロピクセルを構成する前記サブピクセルの数以上備え、前記選択回路は、前記サブピクセルバッファのデータ領域に格納されている前記カウント結果を、前記複数のマクロピクセルバッファに順に格納することを特徴とするX線撮像装置。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施例における装置の一例を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施例における検出器パネルの構成を示す図である。
【
図3】本発明の第1実施例におけるデータ処理回路の構成を示す図である。
【
図4】本発明の第1実施例におけるフロントエンドICの構成を示す図である。
【
図5】本発明の第1実施例におけるモード切り替え用UIを示す図である。
【
図6】本発明の第1実施例における処理フローを示す図である。
【
図7】本発明の第1実施例におけるデータ転送を示す図である。
【
図8】本発明の第1実施例におけるデータフォーマットの内容を示す図である。
【
図9】本発明の第1実施例における別のデータ転送を示す図である。
【
図10】本発明の第1実施例における通常計測時のデータ割り当てを示す図である。
【
図11】本発明の第1実施例における補正データおよび高解像度データ収集時のデータ割り当ての例を示す図である。
【
図12】本発明の第1実施例における回路動作の例を示す図である。
【
図13】本発明の第1実施例における通常計測時の回路動作の詳細例を示す図である。
【
図14】本発明の第1実施例における通常計測時のアドレス生成回路のテーブルを示す図である。
【
図15】本発明の第1実施例における補正モードおよび高解像度モード時の回路動作の詳細を示す図である。
【
図16】本発明の第1実施例における補正モードおよび高解像度モード時のアドレス生成回路のテーブルの例を示す図である。
【
図17】本発明の第1実施例におけるデータ割り当ての変形例を示す図である。
【
図18】本発明の第1実施例におけるデータ割り当ての変形例の際のアドレス生成回路のテーブルを示す図である。
【
図19】本発明の第2実施例におけるデータ処理回路の構成を示す図である。
【
図20】本発明の第2実施例における補正モードおよび高解像度モード時のデータ割り当ての例を示す図である。
【
図21】本発明の第2実施例における補正モードおよび高解像度モード時のバッファへの割り当ての例を示す図である。
【
図22】本発明の第2実施例における補正モードおよび高解像度モード時の回路動作を示す図である。
【
図23】本発明の第2実施例における補正モードおよび高解像度モード時の回路動作の詳細を示す図である。
【
図24】本発明の第3実施例における補正データ収取時のデータ割り当ての例を示す図である。
【
図25】本発明の第3実施例における高解像度モード時の回路動作を示す図である。
【
図26】本発明の第4実施例における補正データ収取時のデータ割り当ての例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明のデータ処理の実施例を、図面を用いて説明する。
【0014】
<第1実施例>
本発明のデータ処理方法の第1の実施例を
図1から
図18を用いて説明する。
図1は、本実施例のX線CT装置の例を示したものである。X線CT装置は、ガントリ1と、収集されたデータを処理して画像再構成するデータ処理装置2と、処理された画像を表示する表示装置3とを備えて構成される。ガントリ1にはベッド4が付属しており、ベッド4には被検者5が保持(搭載)される。ベッド4は、ガントリ1の開口部1aに向けて水平移動する機構部が内蔵されており、被検者5をガントリ1内に移動させることができる。
【0015】
ガントリ1内には、X線管6と、検出器パネル7と、X線管6と検出器パネル7とを開口部1aを挟んで対向させて搭載する円盤(不図示)が配置されている。X線管6は、100kV程度の高電圧により電子を加速し、ターゲットに当てることでX線を発生させる。発生したX線は、被検者5を透過し検出器パネル7に到達する。このときX線の強度は被検者5により減衰するので、その減衰量を知ることで体内の情報を取得することができる。エネルギーによる減衰量の違いを知るためにX線管の電圧や、発生量を制御する電流を変化させることがおこなわれる。円盤には回転駆動部(不図示)が備えられ、回転駆動部が円盤を回転させることにより、X線管6と検出器パネル7は、被検者5の周囲を対向した状態で1秒間に1回から4回程度、回転する。この間、X線管6からX線を被検者5に照射し、被検者5を透過したX線を所定のタイミングで検出器パネル7にて検出することにより、被検者5の各方向からの投影画像が取得される。また、投影画像は、1秒の間に3000枚程度取得される。
【0016】
図2は、検出器パネル7の構成の例を示したものである。検出器パネル7は被検者5などで発生する散乱線を除去するためのコリメータ11と、X線を電気信号に変換する放射線検出器10と、その電気信号を読み出すためのデータ処理回路14とを備えて構成される。コリメータ11は、タングステンやモリブデンなど比重、原子番号の大きい金属でできており、多数の穴が開いている。X線は、
図2の上方から下方に向かって入射し、コリメータ11の穴を通過した後、放射線検出器10で検出される。放射線検出器10は、複数のサブピクセル12から構成され、それぞれのサブピクセル12がX線フォトンを検出する。
図2では、サブピクセル12毎に放射線検出器10が独立している(切り分けられている)ように描かれているが、実際には共通する1枚の半導体素子表面に、サブピクセル12ごとに分割された電極を形成することでサブピクセル12が形成されている。放射線検出器10は、CdTe(テルル化カドミウム)やCZT(カドミウム亜鉛テルル)などの半導体素子をここでは用いる例を説明するが、シンチレータとフォトダイオード等の光検出器との組み合わせたものを放射線検出器10として用いてもよい。マクロピクセル13は、隣り合う複数のサブピクセル12によって構成される。マクロピクセル13は、コリメータ11の穴の位置に一致するように配置されていることが望ましい。なお、コリメータ11の形状は、本実施例が示すようなX、Y方向ともにグリッド状になっているものに限られず、一方向のみに櫛状に壁が存在するよう形状のコリメータ11を用いてもよい。その場合、壁面が存在しない方向のマクロピクセル13のサイズは、コリメータの穴のサイズと一致しなくてもよい。
図2の1つのマクロピクセル13は、2×2の4つのサブピクセル12からなっているが、1つのマクロピクセル13を構成するサブピクセルの数および配列は、2×2に限られず、9個や16個のサブピクセルで構成されるマクロピクセルや、X、Y方向でサブピクセルの配列数が異なるマクロピクセルでも良い。
【0017】
データ処理回路14は、基板上に搭載された複数のICを含み、放射線検出器10で変換された電気信号をデジタル化し、特定のデータフォーマット(データ配列)としてシステムに送信する。
【0018】
図3は、検出器パネル7に含まれる回路の例である。検出器パネル7は、放射線検出器(以下単に、検出器とも呼ぶ)10と、複数の検出器10につながれ、検出器10のサブピクセル12ごとの検出結果をビュー時間ごとにカウントする読出し回路(フロントエンドIC)15と、複数のフロントエンドIC15に接続され、読出し回路のカウント結果を処理し、転送可能な予め定めたフォーマットのデータに変換して順に出力する出力回路(データ処理IC)16を含む。また、複数のデータ処理IC16からのデータを束ね、スリップリング18と介してデータ処理装置2へと出力するデータ転送回路17を含む。フォトンカウンティングCT装置では、数千から数万個の検出器10を用いるため、実際にはデータ転送回路17は1つではなく、複数のICに分割される。データ処理IC16には、サブピクセルバッファ20、データ処理回路21、マクロピクセルバッファ22A、22B、アドレス生成回路23、制御回路24、および、データ出力制御回路25が含まれる。
【0019】
検出器10は、放射線を受けると、受けたサブピクセル12において電気信号を発生させる。フロントエンドIC15では、検出器10からの信号をデジタル化した放射線強度の信号に変換する。
【0020】
図4は、フロントエンドIC15の回路構成の一例である。検出器10の一つのサブピクセル12は、フロントエンドIC15内の1つのチャンネル読み出し回路31に接続される。フロントエンドIC15は、複数のチャンネル読み出し回路31を含み、複数のチャンネル読み出し回路31が、データマルチプレクサ39に接続されている。フロントエンドIC15は、チャンネル読み出し回路31によりチャンネルごとにデジタル化されたデータを、データマルチプレクサ39を用いて外部に出力する。
【0021】
チャンネル読み出し回路31は、チャージアンプ32を含み、チャージアンプの入力端子は、検出器10のサブピクセル12の出力電極に接続されている。チャージアンプ32の出力端子は、波形整形回路33に接続されている。波形整形回路33の出力端子は、複数のコンパレータ34に一方の入力端子に接続されている。コンパレータ34のもう一方の入力端子は、それぞれDAC(Digital Analog Converter)35に接続されている。コンパレータ34の出力端子は、2つのカウンタ37A、37Bに接続されている。
【0022】
このような構成において、検出器10の一つのサブピクセル12において、電荷の信号に変換された放射線(フォトン)の信号は、チャージアンプ32にて電圧信号に変換される。チャージアンプ32は、反転増幅器にフィードバック素子としてコンデンサを接続した構成であり、入力された電荷信号をコンデンサに充電することで電圧信号に変換する。なお、アンプの安定動作やコンデンサに蓄積した電荷を放電するためにコンデンサと並列に抵抗が接続される。また蓄積した電荷を高速に放電させ、計数率特性を向上させるスイッチを備えていてもよい。波形整形回路33は、特定の周波数の信号を通過させるものであり、チャージアンプ32からの信号のノイズを低減する。また、信号が無い際のベースラインを一定にする役割も果たす。コンパレータ34は、波形整形回路33からの信号をDAC35からの基準電圧と比較し、電圧が高ければパルスを発生する。波形制御回路33の出力端子には、複数のコンパレータ34とDAC35の組が並列に接続されており、複数のDACはそれぞれ異なる基準電圧を出力する。よって、波形整形回路33の出力する信号のエネルギーによって、パルスを発生するコンパレータ34が変わる。通常、複数のコンパレータ34とDAC35のセットにおいて、波形整形回路33の出力する信号にエネルギーが大きくなるにつれて、複数のコンパレータ34が順にパルスを発生するように、各DAC35の電圧(閾値)を設定する。これにより、その隣接するコンパレータ34のパルス発生の有無から、入射したX線のエネルギーがどのエネルギーウインドウ内に入ったかを判断することができる。なお、本実施例の
図4では、コンパレータ34の出力を直接カウンタ37に接続しているが、エネルギーウインドウの判定回路を加え、ウインドウ内のカウントを行うようにしても良い。
【0023】
コンパレータ34で判定され、発生されたX線のイベント(パルス)は、カウンタ37でカウントされる。フォトンカウンティングCTでは、ガントリを回転させながら1秒間に数千枚の画像を取得し、断層像の再構成に必要なデータを取得する。このため、1枚の画像を取得する際の周期をビュー時間と呼び、この時間内に入射した放射線の情報を1枚の投影画像として取得する。ビューの切り替えに時間がかかると無効被ばくが増加するため切り替え時間は短いことが望ましく、そのためにカウンタ37を2セット(カウンタ37Aとカウンタ37B)用意し、ビューごとに切り替える手法を使用する。このため
図4のように、コンパレータ36には、カウンタ37Aとカウンタ37Bが接続されている。これにより一方のカウンタ37Aで、データ(パルス)をカウントアップしている間に、もう一方のカウンタ37Bからデータを読み出し、別のビューにおいては、それぞれ逆のカウンタ37がデータのカウントアップと読み出しを行うことが可能であり、切り替えの時間を最小化することが出来る。これらの制御をデータ制御回路38にて行う。
【0024】
データ処理IC16では、フロントエンドIC15で取得されたX線の強度情報であるカウント数の情報を、データマルチプレクサ39を介して、データ処理ICのサブピクセルバッファ20に転送する。データ選択回路21では、サブピクセルバッファ20に転送されたサブピクセル12の情報(カウント数)を取得し、マクロピクセル13に含まれるサブピクセル12のカウント数をすべて加算し、マクロピクセルバッファ22A、22Bに保存する。データ処理IC16は、マクロピクセルバッファ22A、22Bに保存されたデータ(加算後のカウント数)を一定のフォーマットにしたがってデータ出力制御回路25へ出力し、データ出力制御回路は、データ転送回路17にデータを出力する。データ転送回路17は、複数のデータ処理IC16からのデータをマージし、スリップリング18を介してデータ処理装置2に転送する。
【0025】
次に本実施例におけるデータ処理装置2のデータ処理について説明する。
【0026】
図5は本実施例におけるデータ収集モードの設定用UIの例である。設定用UIは、データ処理装置2が表示装置3に表示される。データ処理装置2に接続されているマウスやキーボード等の入力部を介してユーザーが表示装置の画面上のモード表示を選択することにより、データ処理装置2は、ユーザーからモードの選択を受け付ける。本実施例では、
図5のように、データ収集モードとして、撮像モード51である通常撮像モード52に加え、高解像度モード53を有し、さらに、撮像モード51とは別に補正モード55を含む。ユーザーは、これらのモードのいずれかを
図5の設定用UI(画面)上で入力部を介してデータ処理装置2に対して選択することができる。高解像度モード53においては、通常撮像モード52よりも高空間分解能の撮像が行われる。補正モード55では、検出器10の特性の補正を行うためのデータ取得が行われ、取得されたデータを元に各種の補正用データが計算される。補正の例としては、各チャンネルの感度やゲイン、デッドタイムの補正などがある。検出感度は、検出器10の面積などに依存し、一定の強度のX線が照射された際のカウント数の効率で求まる。そのほかにも検出器10の接続不良が発生した場合はサブピクセル12の1つ分の感度低下が起きることがある。またサブピクセル12がノイズを発生するモードで故障した場合は、正常な計測ができなくなるため、フロントエンドIC15において、故障したサブピクセル12のチャンネル読出し回路31をディスエーブルにするなどの処理が必要になる。検出器10のゲインは、検出器10の変換効率やデータ収集回路のゲインなどにより決まるため、個々のサブピクセル12でばらつく。このようなばらつきは、取得エネルギーの精度低下につながるため補正が必要である。またデッドタイムは、X線強度が強い場合にカウント数の非直線性が出るものであり、サブピクセル12毎の調整が必要になる。フォトンカウンティングCTにおいては、このように多種の補正データの計算が必要であるが、通常撮像モード52においてはサブピクセルのデータは、上述のようにデータ選択回路21において加算されてしまう為、補正モード55においてはサブピクセル12の加算を行わずにデータ収集を行う必要がある。また高解像度モード53においてにおいても、補正モード55と同様に加算を行わないデータ取得を行う必要がある。
【0027】
本実施例では1つの高解像度モード53のみを選択できるようにしているが,複数の解像度を選択できるようにしても良い。
【0028】
図6は、本実施例におけるフォトンカウンティング装置における、データ取得の処理の流れを示したフローである。本装置では、まず初めに、処理101においてユーザーから、データ収集モード(通常撮像モード52、高解像度モード53、補正モード55のいずれか)の設定を受け付ける。処理102においてデータ処理装置2は、設定された収集モードに基づきデータ処理IC16のモードを設定する。処理103において、ユーザーがデータ収集の開始の指示を行うと、データ収集(X線の照射および検出)が開始され、処理104において、データ処理IC16からデータ処理装置2へとデータが送信される。処理106では、データ処理装置2が、設定されているデータ収集モードに基づきデータ処理の方法を変更する。通常撮像モード52もしくは高解像度モード53が設定されている場合、データ処理装置2は、あらかじめ内蔵するメモリに保存されている補正データを読み込み、収集されたデータを補正した後、画像再構成を行う。その後、再構成画像を表示装置3に表示する。一方、データ補正モード55が設定されている場合、処理111においてデータ処理装置2は、受信したデータを元にサブピクセル12毎の感度や、エネルギー補正用のデータを計算する。そして、処理111において、補正後の結果は、データ処理装置2内のメモリに保存するとともに、処理113において、データ処理装置2は補正結果を、スリップリングを介してデータ処理IC16に送り、データ処理IC内の補正データを更新する。なお、データ処理装置2内に補正用データを保存することで次回の起動時に保存データを読み込むだけで、補正データをデータ処理IC16に設定することが出来る。また、データ処理IC16に不揮発性の記憶領域を持たせても良い。
【0029】
次に、本実施例のデータ転送回路17によるデータ転送について説明する。
図7は、本実施例におけるデータフォーマットの例である。データは、ビューごとに取得される。ビューはある一方向の投影画像であり、毎秒3000ビュー程度のデータレートになる。このため、1つのビューの期間は、300μ秒程度である。このビューの期間に固定のデータフォーマットを用いて、データ転送回路17から、スリップリング18を介して、データ処理装置2へのデータ転送がなされる。データは、
図7に示すように、ヘッダー81とデータ本体82とフッター83を含み、データ本体にはそれぞれのマクロピクセル13のカウントデータが含まれる。
【0030】
図8は、本実施例におけるデータフォーマットの詳細の例である。ヘッダー部81は、データパケットの開始を示すプリアンブル部、ビューの番号、データ収集モードや検出器の状態を示すデータからなる。また、フッター83は、CRC(Cyclic Redundancy Check)によるエラーチェック用のデータを含む。 データ部82は、データ処理回路14によりカウントされた、すべてのマクロピクセル13のデータを含む。フォトンカウンティングCTでは、被検者5の軸方向(Y)に16から300列程度、周方向(X)に1000ch程度の検出ピクセルが必要であり、これらを複数の検出器モジュールに分割して搭載した検出器パネル7によりデータ収集を行っている。本実施例のデータフォーマットは、Y方向64個、X方向32個のマクロピクセル13が配列されたモジュールを用いる例である。またエネルギーウインドウの数は、一例として4つとするが、必ずしもこの値でなくても良い。
【0031】
データ部82は、エネルギー、Y座標およびX座標のループからなり、データ部82は4×64×32個のカウントデータを含む。なお、データの並びは必ずしもこの通りでなくてもよい。またデータは、可逆圧縮手段やその他のエンコード方法により変換することも可能であるが、含まれるカウントデータの個数は一定数である。
【0032】
エネルギー、位置座標のすべての組み合わせのデータを一括してパケットとすると、1つのパケット長が長くなるため、データ処理の観点からパケットを複数に分割することも可能である、
図9は、特定のエネルギー毎に、ヘッダー81、データ本体82、フッター83を含むフォーマットに分割した例である。また、検出器パネル7は複数の領域に分割されているため、それぞれのパケットはデータ転送回路17においてマージされる。
【0033】
図10は、データ処理IC16におけるサブピクセル12の情報の処理方法を示したものである。通常モードにおいては、1つのビュー時間において取得されたデータは、4つのサブピクセル12のデータが合計され、1つのマクロピクセル13の情報としてストアされる。この処理は、データ選択回路21において、隣接する4つのサブピクセル12のデータをサブピクセルバッファ20内から選択し、加算後、マクロピクセルバッファ22Aまたは22Bに書き出すことで行われる。
【0034】
本実施例における装置では、検出器10の補正データ取得時において、上記加算モードの他に、個々のサブピクセル12のデータをそのまま出力するデータ出力モードを持つ。
図11は、補正モード55および高解像度モード53におけるデータ出力を示したものである。2つのモード53、55は、データ処理装置2での処理が異なるものの、データ処理回路14内での処理は同一である。
図11のように、補正モード55および高解像度モード53では、個々のサブピクセル12のデータを加算せずにマクロピクセルバッファ22Aまたは22Bに割り当てる。本実施例では、サブピクセル12の加算を行わないため、本来4つのサブピクセルで構成されるマクロピクセル13のデータ領域に、1つのサブピクセルのデータを割り当てる。そのため、本来出力可能であった4つのサブピクセル12のデータ内3/4の情報は破棄されることになる。なお、出力を行うサブピクセル12は、本来のマクロピクセル13の選択を離散的に選び、1つのマクロピクセル13に含まれる1つのサブピクセル12に限定することも可能であるし、
図11のように、マクロピクセルバッファ22A、33BのX、Y方向のデータ領域に詰めることで限られた範囲内ですべて隣接したサブピクセル12の情報を出力することも可能である。出力可能なサブピクセル12の情報は、本来の面積の1/4のみに制限されが、マクロピクセルに割り当てるサブピクセルの位置を変え、4回測定することですべてのサブピクセルの情報を取得することができる。
【0035】
図12は、本実施例の通常撮像モード52におけるデータ処理IC16に含まれる各回路の動作を示したものである。それぞれの回路は、並行してデータの処理を実施する。まず初めに処理201において制御回路16が、データ処理装置2からデータ収集モードを受信する。制御回路24は、アドレス生成パターンをアドレス生成回路23に設定する。データ収集(X線照射と検出)が始まると、各回路は並列に処理を開始する。各ブロックの処理は、ビューごとに繰り返しで行われる。本実施例では2つのマクロピクセルバッファ22A、22Bを用い、ビュー毎にバッファ22A、22Bを切り替えて処理を行う。ビューの開始である処理203において、制御回路24はフロントエンドIC15を制御し、サブピクセル12のデータをサブピクセルバッファ20に転送する。アドレス生成回路23は、処理203と同時に加算すべきサブピクセル12のアドレスを生成する(処理212)。データ選択回路21は、生成されたアドレスを元にサブピクセルバッファ20にアクセスし、そのアドレスのカウントデータを取得した後、加算し、結果をマクロピクセルバッファ22Aに書き込む(処理221)。これらの処理はすべてのマクロピクセル13について行われ、1つのビュー時間内に終了する。データ出力制御回路25は、これらの処理が行われている間に、マクロピクセルバッファ25Bのデータを出力する。
【0036】
データ出力制御回路25による出力処理は、3つの処理に分割されており、処理231でヘッダー部の出力、処理232でデータ部の出力、処理233でフッター部の出力が行われ、この出力処理もビュー時間内で完了する。上位のシステムからビューの切り替え信号を受け取ると、次のデータ処理に移る。制御回路24やアドレス生成回路23は、すべてのビューにおいて同一の動作をするが、データ選択回路21とデータ出力制御回路25は、ビューごとにバッファ22A、22Bの切り替えを行う(処理204〜222)。なお、サブピクセルバッファ20については、処理を行うべきサブピクセル12のデータを選択的にフロントエンドIC15から取得することですべてのカウントデータをサブピクセルバッファ20に保存することなく逐次的に処理を実施することも可能であり、これにより処理の待ち時間とバッファ容量の低減を図ることができる。
【0037】
図13は、本実施例の通常撮像モード52における、データ処理IC16の1ビュー分の処理の詳細を示す例である。制御回路24は、連続的にフロントエンドIC15からサブピクセルバッファ20へデータの転送を実施する(処理241)。アドレス生成回路23は個々のマクロピクセル13について、そこに含まれるサブピクセル12のアドレスを計算し提供する。本実施例では処理251にて( Y
m,X
m ) = (0,0)のアドレスが生成され,処理252にて( Y
m,X
m ) = (0,1)のアドレスが生成され、以下同様に順番にアドレスが計算される(処理251〜256)。本実施例ではX
mを先に増加させているが、計算対象となるマクロピクセル13の順番は任意であり、これ以外の順番でもよい。通常モード52においては1つのマクロピクセル13に4つのサブピクセル12が含まれる。そのため処理251では4つのサブピクセル12のアドレスが生成される。このサブピクセル12の情報は、データ選択回路21に渡される。データ選択回路21では、渡されたアドレス情報をもとにサブピクセルバッファ20にアクセスし、データを取得する。データ選択回路21は、取得したデータの加算を行った後、マクロピクセルバッファ22A、22Bに書き込む(処理261〜266)。データ出力制御回路25は、ヘッダー部81を出力し、マクロピクセルバッファ22Aまたは22B内のデータを順にデータ部82として出力、フッター部83を出力する(処理271〜273)。
【0038】
本実施例におけるアドレス生成回路23は、マクロピクセル13のアドレスからサブピクセル12のアドレスを計算するものであるが、
図14の様なテーブルをあらかじめ内蔵するメモリ内に保持しておいても良い。このテーブルはすべてのマクロピクセル13に対して対応するサブピクセル12を保持する。なお、テーブルによる保持と計算とを組み合わせてサブピクセルのアドレスを計算しても良い。
【0039】
つぎに、実施例の補正モード55および高解像度モード53の際のデータ処理IC16の各部の処理動作について説明する。本実施例では補正モード55等でもデータ処理IC16の処理の基本は、上述の通常撮像モード52の
図13の処理と同様であるが、アドレス生成回路23の処理動作が、通常撮像モード52とは異なる。
図15は、補正モード55等の際のデータ処理IC16の処理動作の詳細の例を示し、通常撮像モード52の場合の処理動作を示す
図13に対応する。
図16は、アドレス生成回路23は、マクロピクセル13のアドレスからサブピクセル12のアドレスを求めるためのテーブルであり、通常撮像モード52の場合の
図14のテーブルに対応する。
図15および
図16のように、補正モード55等では、アドレス生成回路23は、マクロピクセル13に含まれる1つのサブピクセル12のアドレスを生成する(処理291〜296)。データ選択回路21は、このアドレスを受け取り、サブピクセルバッファ20の値を読み取った後に、1つのみであるため加算を行わずに、マクロピクセルバッファ22Aまたは22Bに保存する(処理301〜306)。本実施例では2×2で構成されるサブピクセル12のデータの内、X、Y方向とも1/2の領域のカウントデータのみを出力するようにしているが、X方向にのみ1/4ピクセル数に制限するなどの方法でもよい。また、必ずしもマクロピクセルバッファ22A、22Bのすべてにデータを書き込む必要はなく、より少ない数のサブピクセルの情報のみをマクロピクセルバッファに書き込み,残りのマクロピクセルバッファにダミーのデータを埋め、任意の範囲にサブピクセルのデータ出力範囲を変更することも考えられる。これはマクロピクセルが3×3のサブピクセルで構成されており、X方向のみを1/9の領域に限定してすべてのサブピクセルをしようとした場合、端数が出るため、より小さい領域に限定したうえで使用しないバッファにダミーデータを埋め込むことが考えられる。
【0040】
図17は本実施例の変形例である。変形例ではY方向の2つのサブピクセル12の情報は加算するものの、X方向については分離する。このためX方向の隣接した本来のマクロピクセル13に対応するバッファ22Aまたは22Bのデータ領域とX方向に隣接したマクロピクセル13のバッファのデータ領域の2つを用いて2つのサブピクセル12を加算したデータを2つマクロピクセルバッファ22A、22Bのデータ領域にストアする。このようなデータのストアにより、通常撮像モード52よりもマクロピクセルバッファ22A、22Bのデータ領域の面積を半減させることができ、しかも、分解能を高めることが出来る。
【0041】
図18は、
図17の変形例において、アドレス生成回路23がアドレスを求める際に用いるテーブルの例である。一つのマクロピクセル13に対し、2つのサブピクセル12のアドレスが生成される。このサブピクセル12のアドレスがデータ選択回路21に渡されることで、補正モード55などと同様に処理が実行される。
【0042】
このように本実施例ではアドレス生成回路23の動作を変えるのみで、データ収集モード(通常撮像モード52、高解像度モード53、補正モード55)の切り替えを行うことが可能であり、データ処理IC16の回路の簡素化を図ることが可能である。
【0043】
本実施例ではマクロピクセル13に含まれるサブピクセル12の数を2×2の4ピクセルとして示したが、これ以外の数のサブピクセルで構成されるものでもよい。
【0044】
<第2実施例>
図19から
図23を用いて第2の実施例について説明する。
【0045】
第2の実施例は1つのビュー時間に取得したデータを複数のビュー時間を用いてデータ転送することが第1実施例と異なる。
図19は、本実施例におけるデータ処理回路の構成を示したものである。本実施例ではデータ処理IC16内のマクロピクセルバッファ22の数が第1実施例よりも多く、複数の時間のマクロピクセル13のカウントデータをデータ処理IC16内に保持することが出来る。
【0046】
第1実施例では、あるビュー時間内に取得したデータは、そのビュー時間内にマクロピクセルバッファ22A、22Bにデータ領域に割り当てられ、転送されていた。本実施例においては通常撮像モード52においては第1実施例と同様のデータ転送を行い、補正モード55および高解像度モードでは、4ビュー分の時間を用いてデータを転送する。この場合、空間方向の解像度は上がるが、時間方向の分解能は低下することになる。
【0047】
図20は、第2の実施例におけるサブピクセル12のデータのマクロピクセルバッファ22A〜22Eへのデータ割り付けの例を示したものである。
図20に示すようにあるビュー時間Nにおいて、サブピクセルバッファ20に取り込まれた4つのデータを、ビュー時間N+1からN+4 におけるマクロピクセル13のデータとして転送する。
図20は1つのマクロピクセルについてのみ説明しているが、ほかの位置のマクロピクセル13に含まれるサブピクセル12のデータについても同様の処理が行われる。データ処理IC16から出力されるデータはそれぞれのビュー時間において、同一マクロピクセル13の異なるサブピクセル12のデータであることになる。具体的には、
図19のように、本実施例のデータ処理IC16は、複数面のマクロピクセルバッファ22A−22Eを備えている。
図21は、本実施例におけるデータ転送を実施する際にデータが書き込まれる様子を示す例である。データ処理IC16は、5つのマクロピクセルバッファ22(マクロピクセルバッファ22A−22E)を用いて処理を行う。時間Nにおいては、それ以前の時間N−4に収集したデータの一部が、マクロピクセルバッファ22Eにストアされており、マクロピクセルバッファ22Eに含まれるデータがデータ処理IC16から出力される(以下、出力しているマクロピクセルバッファを、出力中バッファ40と呼ぶ)。同時にサブピクセルバッファ20にストアされたデータがマクロピクセルバッファ22Aから22Dにそれぞれ書き込まれる。使用するマクロピクセルバッファ22が異なるため、これらの処理は並行して行うことが可能である。時間N+1において、出力中バッファ40をマクロピクセルバッファ22Aに設定し、時間N+1では、出力中バッファ40をマクロピクセルバッファ22Bに設定し、それぞれ出力中バッファ40内のデータをデータ処理IC16から出力し、時間N+4において最後のマクロピクセルバッファ22Dを出力中バッファ40に設定し、データを出力する。このようにして4つのビュー時間を用いて1つのマクロピクセル13のデータを、データ処理装置2に転送することが出来る。時間N+4では、次のサブピクセル12のデータがサブピクセルバッファ20にストアされ、マクロピクセルバッファ22Dが出力中であるが、マクロピクセルバッファ22A−22Cおよびマクロピクセルバッファ22Eの内容はすでに転送された後であるため、これら4つのバッファに対してサブピクセルバッファの内容を書き込む。
【0048】
図22は本実施例における補正モード55、高解像度モード53におけるデータ処理IC16の処理動作例を示す図である。通常撮像モードの処理動作と異なり、データ選択回路21は4ビューに一回のみマクロピクセルバッファ22への書き込みを行う。具体的には、データ選択回路21は、処理341ではマクロピクセルバッファ22のAからDに書き込み、その後、処理342、343、344ではバッファの書き込みを行わず、処理345においてマクロピクセルバッファ22E、22A、22B、22Cへの書き込みを行う。データ選択回路21は、書き込み先のマクロピクセルバッファをずらしながら書き込みを行っていく。制御回路24の処理321〜322、323〜327は、
図12の処理201〜202、203〜204に対応しているので説明を省略する。同様に、アドレス生成回路23の処理331、332〜336はそれぞれ、
図12の処理211、212〜213に対応し、データ出力制御回路25の処理351〜353、354〜356、357〜359、360〜362、363〜365は、それぞれ
図12の処理231〜233に対応しているので説明を省略する。
【0049】
なお、本実施例ではアドレス生成回路23は常に書き込みアドレスを生成しているが(処理331〜336)、アドレス生成回路23でのアドレス生成を停止することでデータ選択回路21での書き込みを制御しても良い。
【0050】
図23は本実施例における補正モード、高解像度モードにおける回路動作の詳細を示す図である。制御回路24とデータ出力制御回路25の処理241、271〜273は、
図13の処理241、271〜273と同様にデータ取り込み、出力を行う。アドレス生成回路23ではX、Yの組み合わせの他に時間tを含むマクロピクセルバッファに対してサブピクセルのアドレスを出力する。処理381ではt=0におけるマクロピクセル13に対するサブピクセル12のアドレスが計算される。処理391では書き込み先マクロピクセルバッファ22の内先頭のバッファであるマクロピクセルバッファ22Aに書き込みを行う。処理382ではt=1におけるマクロピクセル13に対するサブピクセル12のアドレスが計算される。処理392では書き込み先マクロピクセルバッファ22の内、2番目のバッファであるマクロピクセルバッファ22Bに書き込みを行う。処理383〜386、処理393〜396も同様に、データ選択回路21では先頭の書き込み先のマクロピクセルバッファを把握しておき、tの値によって書き込み先を変更する。
【0051】
本実施例では、4つのビュー時間毎にデータを出力するために5つのマクロピクセルバッファを用いているが、M回のビュー時間毎にデータを出力するためにM+1個以上のマクロピクセルバッファを用いることでビュー数を拡張できる。
【0052】
なお、本実施例においては時間Nのデータを、通常撮像モードであれば時間N+1からN+4に出力されるデータの代わりに出力しており、時間N−3からN−1の間およびN+1からN+3の間のデータは破棄されているが、これらのデータをフロントエンドIC15の制御を変えることで、時間Nのデータに加算することも可能である。フロントエンドIC15は、ビューごとに切り替わる2つのカウンタ37を含んでいる。通常の計測ではこの切り替えはビューごとに行われるため、カウント数はビューごとにカウントされる。しかしながらこの切り替えはデータ処理IC16が行うものであり、必ずしもビュー時間毎に切り替える必要はない。この特性を利用し、フロントエンドICにおけるビューの切り替えを時間NとN+1の間、N+4とN+5の間といったように切り替え周期を伸ばすことでその間のすべてのカウントを積算することが可能である。このような処理を行うことでX線フォトンのカウント数の損失を防ぐことが可能であり、カウント数が増えるため、統計精度の向上が可能になる。
【0053】
なお、本実施例は時間方向へのバッファを拡張する技術であるが、この技術を第1の実施例における取得ピクセルを制限する方法と組み合わせて使用することも可能である。
【0054】
本実施例を行うに当たっては、あるビューのデータにどのサブピクセルの情報が含まれているかをデータ処理装置2が知る必要がある、それは固定されたデータフォーマット中のヘッダー部に容易に含めることが可能であるほか、ヘッダー中のビュー数から推定することも可能である。
【0055】
<第3実施例>
図24から
図25を用いて第3の実施例について説明する。
【0056】
第3の実施例は、サブピクセル12の加算を一部行うという点が第2の実施例と異なる。第2の実施例においては個々のサブピクセル12のデータは、そのままマクロピクセル13のデータとしてマクロピクセルバッファ22に割り当てられ、出力されていた。第3の実施例においては、通常出願モードであれば複数のビューでマクロピクセルバッファ22から出力されるデータに代わりに、サブピクセル12のデータを分散させ、出力する。この点は第2の実施例と同じであるが、そこに含まれるサブピクセル12のデータは、加算後のデータである点が第2の実施例と異なる。
【0057】
図24は本実施例におけるデータを割り当ての例を示した図である。
図24に示すように第3の実施例では奇数番目のビューと偶数番目のビューでそれぞれ異なる情報を出力する。本実施例ではN+1、N+3番目にはマクロピクセル内に含まれる左側の2つのサブピクセルのカウント数を加算した結果が出力され、N+2、N+4番目にはマクロピクセル内に含まれる右側の2つのサブピクセルのカウント数を加算した結果が出力される。これにより、空間の一方向の分解能は2倍になり、時間方向の分解能は半分になるようなデータをデータ処理装置2に送ることが可能である。
【0058】
本実施例は第2実施例で例示したように2つのマクロピクセルバッファ22への書き込みを行う為に3つのマクロピクセルバッファ22を用いることで実現可能であるほか、第2実施例とおなじ5つのマクロピクセルバッファ22(22A〜22E)を用いて実現することも可能である。すなわち本実施例は、第2実施例と同一のハードウェアを用いることが可能であり、制御によっていずれの実施例も実現可能である。
図25は、本実施例のデータ処理IC16の処理動作の例を示したものである。アドレス生成回路23は第2実施例と同様に時間tを含むマクロピクセルバッファ22に対応するサブピクセルアドレスを生成する(処理331〜336)。データ選択回路21は、処理431においてマクロピクセルバッファ22Aおよび22Bに対して書き込みを行う。処理432ではマクロピクセルバッファ22への書き込みは行わず、処理433においてマクロピクセルバッファ22Cおよび22Dに書き込みを行う。使用するバッファを順番に切り替えることで必要数よりも多いマクロピクセルバッファ22を用いてより少ない時間のビューへのデータ割り当てを行うことが可能である。
【0059】
本実施例では、個々のビューにおいて出力されるデータフォーマットは固定であり、また、ハードウェアの構成も第2実施例と同じである。このように空間、時間分解能を切り替えた際においても同一ハードウェアを用いつつ、データ転送にかかわる多くの処理を共通にすることが可能である。送信側であるデータ処理IC16と受信側であるデータ処理装置2のみで処理の切り替えを行うことで補正データの取得の他、解像度を変えたデータ取得が可能である。
【0060】
<第4実施例>
図26を用いて第4実施例について説明する。
【0061】
第4実施例は、サブピクセルの割り当て位置をエネルギー方向に拡張した点で第1実施例と異なる。本実施例におけるフォトンカウンティングCTでは、エネルギーウインドウ毎のカウント数をデータ処理装置2に送信しているため、マクロピクセルバッファ22、サブピクセルバッファ20は位置X、Yの他にエネルギーEの方向に拡張されている。通常撮像モードでは、あるエネルギーウインドウで測定したサブピクセル12のカウントデータは、対応するエネルギーのマクロピクセルバッファ22にストアされる。本実施例では、このエネルギー方向のバッファを用いて、サブピクセル12の情報をデータ処理装置2に送信する。
【0062】
フォトンカウンティングCTでは、複数のエネルギーウインドウを設けており、
図26の例では、エネルギーウインドウ数が4の場合を示している。サブピクセルバッファ20における1つのエネルギーのみのデータを用い、マクロピクセルバッファ22の4つのエネルギーのバッファ(データ領域)にそれぞれのサブピクセル12のデータを割り当てる。このマクロピクセルバッファ22のデータを出力することにより、データ処理装置2ではサブピクセル12に含まれるカウント数を知ることが可能になる。
【0063】
本技術は、補正モード55においては必ずしもすべてのエネルギーウインドウの情報が必要ない場合に使用できる。
【0064】
上述してきた各実施例は、それぞれに組み合わせることも可能であり、時間、エネルギー、位置の組み合わせを特定のフォーマットに割り当てることで空間分解能、時間分解能、エネルギー分解能のバランスをとることが可能である。