(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800052
(24)【登録日】2020年11月26日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】映像表示装置
(51)【国際特許分類】
H04N 21/435 20110101AFI20201207BHJP
H04N 21/439 20110101ALI20201207BHJP
【FI】
H04N21/435
H04N21/439
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-41231(P2017-41231)
(22)【出願日】2017年3月6日
(65)【公開番号】特開2018-148381(P2018-148381A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】三浦 和也
【審査官】
長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−134931(JP,A)
【文献】
特開2006−279592(JP,A)
【文献】
特開2015−069201(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0252979(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0302008(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第103391469(CN,A)
【文献】
特開2007−336313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された映像コンテンツに含まれる映像情報に字幕情報を重畳する画像処理部と、
前記映像情報を表示する画像表示部と、
前記映像コンテンツに付加された前記字幕情報を前記画像処理部に出力する字幕情報処理部と、
前記映像コンテンツに含まれる音声情報の音量を変化させる音声処理部と、
前記音声情報を再生する音声出力部と、
前記音量を設定する音量設定手段と、
前記音量の所定時間当たりの変化量を検出する音量設定監視部と、
前記変化量を用いて前記字幕情報処理部と前記音声処理部とを制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記変化量が所定の値を超えた場合は前記字幕情報を前記画像表示部に表示させることを特徴とする、映像表示装置。
【請求項2】
前記音量設定手段はキースイッチまたはリモコンで構成され、
前記音量設定監視部は、前記キースイッチまたは前記リモコンにて設定された前記音量を監視することを特徴とする、請求項1記載の映像表示装置。
【請求項3】
現在時刻情報を出力する時刻情報管理部をさらに有し、
前記制御部は前記現在時刻情報が所定の時間帯である場合、前記音量を低減させるとともに、前記字幕情報を前記画像表示部に表示させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の
映像表示装置。
【請求項4】
前記時間帯の開始時間と終了時間を設定する時間帯設定手段を有する請求項3記載の映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像コンテンツに含まれた字幕情報の表示が可能である映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送などの映像コンテンツには字幕情報が含まれており、そのコンテンツを表示可能な液晶テレビなどの映像表示装置は、コンテンツに含まれた字幕情報を画面に表示させることが可能である。このような映像表示装置の字幕情報の表示には、都度リモコンなどによる操作が必要となるという問題があった。
【0003】
このような問題を解決する手段として、従来の映像表示装置では、設定音量に対して閾値を設け、音量設定がその閾値を下回った時に字幕表示の設定がオフであっても字幕を表示させる手段が開示されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006―279592公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の映像表示装置では、音量の設定が閾値を下回った時はかならず字幕が表示されてしまい、周囲の環境が静かであるために音量を下げた場合でも、ユーザーの意図に反して字幕が表示されてしまうという問題があった。
【0006】
この発明は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、映像コンテンツ視聴中ユーザーの意図に応じて字幕を表示させることができる映像表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
入力された映像コンテンツに含まれる映像情報に字幕情報を重畳する画像処理部と、
映像情報を表示する画像表示部と、
映像コンテンツに付加された字幕情報を画像処理部に出力する字幕情報処理部と、
映像コンテンツに含まれる音声情報の音量を変化させる音声処理部と、
音声情報を再生する音声出力部と、
音量を設定する音量設定手段と、
音量の所定時間当たりの変化量を検出する音量設定監視部と、
変化量を用いて字幕情報処理部と音声処理部とを制御する制御部とを有し、
制御部は、変化量が所定の値を超えた場合は字幕情報を画像表示部に表示させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンテンツ視聴中ユーザーの意図に応じて字幕を表示させることができる映像表示装置を得ることを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の実施の形態1における映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】この発明の実施の形態1における映像表示装置の字幕表示に関する動作フロー図である。
【
図3】この発明の実施の形態2における映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
実施の形態1について、
図1および
図2を用いて説明する。
図1は本実施の形態1における映像表示装置1の構成を示すブロック図である。図において、映像表示装置1は、字幕情報処理部6、音量設定監視部11、画像処理部12、画像表示部13、音声処理部14、音声出力部15、制御部21から構成される。
【0011】
放送局側で作成された映像情報及び音声情報は、映像コンテンツとして放送局から家庭のテレビに配信されたり、DVDやBD等の記録媒体にて供給されたりする。放送局から配信される映像コンテンツは、放送波を介して映像表示装置1にこの映像コンテンツを送信するために変調処理を施したのち、放送波として出力する。チューナ3はアンテナ2で受信した放送波から所望の放送局の放送波を受信し、放送波復調部4に入力する。放送波復調部4は、放送局側で行った変調処理を復調するための復調処理を行ったのち、復調されたデータは、例えば2K放送の場合はTS(Transport Stream)形式であることから、映像/音声信号デコーダ部5にて映像情報と音声情報を分離する。この後、映像情報は画像処理部12、音声情報は音声処理部14で各種処理を行う。画像処理部12は映像情報に対し、字幕情報処理部6から出力された字幕情報を重畳したのち画像表示部13に出力する。
【0012】
画像表示部13は例えば液晶パネルで構成され、画像処理部12からの映像情報を液晶パネルに表示する。字幕情報処理部6は、放送波復調部4から出力されるTS形式のデータ内に映像情報、音声情報とともに付加されている字幕情報をTS形式のデータの中から抽出し、制御部21の制御信号に基づいて画像処理部12に出力する。
映像/音声信号デコーダ部5から出力された音声情報は音声処理部14に入力される。音声処理部14は入力された音声情報に対し、制御部21の制御信号に基づいて処理が施されたのち、音声出力部15に音声を出力する。音声出力部15は、たとえば液晶テレビに内蔵されているスピーカ等で構成され、入力された音声を再生する。
【0013】
キースイッチ18は、例えばユーザーが音声出力部15にて再生される音量を設定変更する音量設定手段の一つである。キースイッチ18は映像表示装置1、例えば液晶テレビでは画面下部や側面など映像視聴中に操作しやすい場所に設けられており、キースイッチ18を操作した際に出力する信号は、本体キー処理部9に入力される。本体キー処理部9は、キースイッチ18から入力された信号から、ユーザーが音量を変更するために行った音量設定の変更量を、音量設定監視部11に送る。リモコン19は、キースイッチ18とともに音量設定手段の一つで、映像表示装置1の各種設定情報(例えばキースイッチ18と同様に音量設定変更や、字幕情報のON/OFF切替等を行う)を映像表示装置1から離れた場所にて行う。リモコン19上に構成された押しボタンによる各種設定情報は、赤外線に変換されたのち受光部20に向けて送出される、受光部20は受信した赤外線を制御信号に変換した後、制御信号をリモコン信号処理部10に出力する。リモコン信号処理部10は、リモコン19で設定された各種設定情報のうち、音量に関する情報のみ音量設定監視部11に送る。
【0014】
音量設定監視部11は、本体キー処理部9や、リモコン信号処理部10にて音量設定が行われたことを監視するとともに、単位時間内に規定回数以上音量設定の変化がなされた場合、例えばリモコン19上に設けられた音量UP/DOWNボタンのUP、またはDOWNのボタンが一定時間押された場合は、音量設定が変更されたことと、その際の音量設定の変化量を制御部21に通知する。
ここでユーザーが液晶テレビにて放送波を視聴している場合、周囲にいる人の声がうるさいなどといった理由で音量を上げる場合を考える。ユーザーの周囲の騒音レベルにもよるが、このような場合ユーザーはリモコン19またはキースイッチ18のいずれかから音量の設定を短時間に数段階上げて、音声を聞き取ろうとする。音量設定監視部11は、所定時間の間に音量設定がどの程度変化したかを検出する。例えば上記のように周囲がうるさくてユーザーが音量を上げた場合、音量設定監視部11は所定時間内に音量設定が何段階上ったかを検出し、制御部21に対して音量の増減量の情報を出力する。
前記のようにユーザーが音量を瞬間的にアップさせた場合に対して、急な電話などで液晶テレビの音が邪魔である場合は、ユーザーはリモコン19やキースイッチ18を操作して音量設定を数段階下げるか、あるいは音量設定をミュート(消音)状態にすることが想定される。そのような場合も、音量設定監視部11は制御部21に対して音量の減少量の情報を出力する。
【0015】
制御部21は、音量設定監視部11から出力された音量の変化量が所定の値を超えた場合は、音声処理部14に音量を変化させる制御信号を送るのと同時に、字幕情報処理部6に対して、字幕情報を画像処理部12に出力させるための制御信号を送る。この結果、字幕情報処理部6は画像処理部12に字幕情報を送出し、画像処理部12にて映像情報に字幕情報を重畳させ、画像表示部13に映像情報と共に字幕情報が表示される。一方、音声処理部14では、制御部21からの制御信号によって、音声出力部15にて再生される音声の音量を増減する。
【0016】
次に、映像表示装置1の字幕表示に関する動作の一例を、
図2を用いて説明する。
図2は映像表示装置1の字幕情報の表示に関する動作フロー図である。音量設定監視部11から出力される音量設定情報(音量設定が変更されたこと、及び単位時間当たりの音量変化量)は制御部21に入力される。制御部21は、この音量設定情報から音量設定が変更されたか否かを検出する(S0)。S0で音量設定の変更を検出されなかった場合は、音量設定監視部11から音量設定変更の情報が入力されるまで音量設定情報を検出し続ける。S0にて音量設定に変更があったと検出した場合、音量変化量を検出する(S1)。ユーザーが単位時間、例えば1秒間に音声設定を3段階以上変化させた場合は、映像表示装置1にて再生される音声を大きくしてすぐに音声を聞き取りたい場合か、音声が再生されては困る場合のいずれかの場合と判断し、字幕情報処理部6に字幕情報を表示するよう指示するとともに、音声出力部15にて再生される音声をユーザーの指示通りの音量に設定する(S2)。S1でユーザーによる単位時間当たりの音量設定量が2段階以下である場合は、ユーザーは特に急いで音量を変化させようとしていないため字幕情報の表示も不要と判断し、S0に戻って音量設定監視部11からの音量設定変更を検出し続ける。S2にて字幕情報処理部6に字幕情報の表示が指示されると、字幕情報処理部6は画像表示部13に現在再生されている映像情報に関する字幕情報を出力し、画像処理部12は映像情報に字幕情報を重畳したのち(S3)、画像表示部13に映像情報を出力する。この結果、画像表示部13では映像情報とともに字幕情報が表示される(S4)。
【0017】
本実施の形態においては、ユーザーが映像コンテンツの視聴時に行った音量調整の増減量を検知して、一定以上の増減があった場合には、ユーザーがすぐ音声出力部15にて再生されている音声の情報を知りたいか、あるいは音量は下げたいものの音声の情報は知りたい場合のいずれかであると判断し字幕情報を表示するので、ユーザーは知りたい音声情報の内容を字幕にて瞬時に認識することができる。
また、映像表示装置1を視聴しているユーザーの視聴環境が、ユーザーの音量設定状況から判断できるので、マイクロホン等を新たに設けてユーザー周囲の騒音量など視聴環境を検出する必要がないことから、安価にてユーザーの希望にかなった音声情報をユーザーに提供することができる。
【0018】
なお、上記の説明では所定時間を1秒に設定し、この間にユーザーが3段階以上音量を変化させた場合を字幕表示が必要な場合としたが、所定時間量や音量変化量は他の値でもよく、ユーザーの視聴環境等により最適な値を設定してもよい。さらにこれらの設定量をリモコン19やキースイッチ18にて設定できるように構成してもよい。
【0019】
また、
図1は液晶テレビを例にとって説明したので、放送受信用のチューナ3が搭載されているが、チューナ3に限らず、字幕情報を持った映像コンテンツを再生できる機器からの情報が入力される場合も、同様に実現できる。例えばHDD16に録画されたコンテンツや、BD再生時のBDドライブ17に記録されている映像コンテンツを直接映像/音声信号デコーダ部5に入力することにより、上記説明の放送波を再生する場合と同様に字幕を表示することができる。
【0020】
実施の形態2
この発明の実施の形態2における映像表示装置100について、
図3を用いて説明する。
図3における
図1との差異は、時刻情報管理部7を新たに設け、時刻情報管理部7が出力する現在時刻情報を制御部21に入力することにより、制御部21は音量設定監視部11から出力される音量の変化量と現在時刻情報とを用いて字幕情報の表示を制御するようにしたものであり、他の構成については
図1と同一符号は同一機能を有する。
デジタル放送の放送波には映像コンテンツとともに現在時刻情報が送信されるので、時刻情報管理部7は、この現在時刻情報を定期的に取得する。なお、現在時刻情報については例えばタイマーを用いて、放送波から現在時刻情報を一回だけ受信後、以後の時刻はタイマーをカウントさせるように構成してもよい。時刻情報管理部7から出力される現在時刻情報は制御部21に入力される。制御部21はこの現在時刻情報をもとに、字幕情報処理部6および音声処理部14を制御する。
【0021】
次に映像表示装置100における現在時刻情報を用いた字幕情報の表示方法について説明する。ここでは映像表示装置100を視聴する時間帯として、午前0時〜午前6時を周囲の住宅環境に対して騒音などの配慮が必要な深夜時間帯と設定し、それ以外の午前6時から深夜12時までを映像表示装置100を通常の音量で視聴可能な昼間時間帯と設定した場合について説明する。
最初に時間帯設定手段として例えばキースイッチ18またはリモコン19によって深夜時間帯の開始時間と終了時間を設定する。ここでは深夜時間帯の開始時間を午前0時、終了時間と午前6時と設定されるので、キースイッチ18にて設定された設定値およびリモコン19によって設定された設定値は、リモコン信号処理部10及び本体キー処理部9を介して制御部21に出力されるので、制御部21は深夜時間帯が午前0時から午前6時に設定されたことがわかる。制御部21は、時刻情報管理部7から出力される現在時刻情報と、深夜時間帯の設定値を比較し、現在時刻が深夜時間帯に該当する場合は、音声処理部14に対し音声出力部15にて再生される音量を低減させるよう指示するとともに、字幕情報処理部6に対して現在表示している映像情報に字幕情報を重畳して表示するよう指示する。なお、現在時刻が深夜時間帯に該当しない場合は、実施の形態1において
図2の動作と同様に、映像表示装置100はリモコン19またはキースイッチ18の操作による音量の変化量により字幕情報の表示を制御する。
【0022】
本実施の形態においては、昼間時間帯においてはユーザーが映像コンテンツの視聴時に行った音量調整の増減量を検知して、一定以上の増減があった場合には、ユーザーがすぐ音声出力部15にて再生されている音声の情報を知りたいか、あるいは音量は下げたいものの音声の情報は知りたい場合のいずれかであると判断し字幕情報を表示するので、ユーザーは知りたい音声情報の内容を字幕にて瞬時に認識することができる。
さらに深夜時間帯においては、現在時刻情報とあらかじめ設定された深夜時間帯の情報とを比較して、現在時刻が深夜時間帯である場合は、音声出力部15にて再生させる音量を低減させるとともに、字幕情報処理部6に現在再生中の映像コンテンツの字幕情報を表示させるように動作する。この結果、深夜時間帯においては、近隣に迷惑をかけないよう音量を下げた状態でも音声の内容を把握することができる。
【0023】
なお、
図1は液晶テレビを例にとって説明したので、放送受信用のチューナ3が搭載されているが、チューナ3以外でも字幕情報を持った映像コンテンツを再生できる機器からの情報が入力される場合も、同様に実現できる。例えばHDD16に録画されたコンテンツや、BD再生時のBDドライブ17に記録されている映像コンテンツを、映像/音声信号デコーダ部5に入力することによりチューナ3を用いる場合と同様に実現できる。
【符号の説明】
【0024】
1 映像表示装置
2 放送波受信アンテナ
3 チューナ
4 放送波復調部
5 映像/音声信号デコーダ部
6 字幕情報処理部
7 時刻情報管理部
9 本体キー処理部
10 リモコン信号処理部
11 音量設定監視部
12 画像処理部
13 画像表示部
14 音声処理部
15 音声出力部
16 HDD(ハードディスクドライブ)
17 BDドライブ
18 キースイッチ
19 リモコン
20 受光部
21 制御部
100 映像表示装置