(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
患者載置用テーブルと、床に埋め込まれるか固定されるベースと、一方端が前記ベースに鉛直方向の軸線回りに回転可能に支持され、他方端が前記テーブルを支持する多関節ロボットアームと、を備え、前記多関節ロボットアームが、平面視において、前記テーブルの下方に全体が隠れる姿勢で配置可能に構成されたロボット手術台における患者載置用テーブルの移動方法であって、
前記多関節ロボットアームによって、患者移乗位置に前記テーブルを位置づける工程と、
前記多関節ロボットアームによって、医療用撮影装置による撮影を行うための撮影位置に患者が載置された前記テーブルを水平に位置づける工程と、
前記多関節ロボットアームによって、前記テーブルの長手方向と平行な第1方向と水平面内で直交する第2方向に200mm以上前記テーブルを並進させることにより、患者が載置された前記テーブルを前記撮影位置から手術位置に移動させる工程と、を備え、
ユーザによる前記テーブルの移動指示を受け付ける移動指示受付部と前記移動指示受付部の操作を有効化するためのトリガー部を含む操作装置によって前記トリガー部と前記移動指示受付部とが同時に操作されている間、前記多関節ロボットアームは、前記テーブルを移動させるように構成されている、患者載置用テーブルの移動方法。
前記手術位置は、前記テーブルが、前記撮影位置から前記第2方向に200mm以上800mm以下並進した位置である、請求項1に記載の患者載置用テーブルの移動方法。
前記多関節ロボットアームは、前記撮影位置から、前記テーブルを前記第2方向に800mm以下の範囲内で並進させることができるように構成されている、請求項1または2に記載の患者載置用テーブルの移動方法。
前記多関節ロボットアームは、前記テーブルを前記撮影位置に水平に位置づけた状態から、前記テーブルを前記第1方向の一方方向および他方方向に合計で2000mm以下の範囲内で並進させることができるように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の患者載置用テーブルの移動方法。
前記多関節ロボットアームは、前記テーブルの長手方向と平行な前記第1方向における長さが、前記テーブルの長手方向の長さの1/2以下となる姿勢をとることができるように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の患者載置用テーブルの移動方法。
前記多関節ロボットアームは、平面視において、前記テーブルの下方に全体が隠れる姿勢で前記撮影位置に配置され、前記手術位置において、前記テーブルの前記第2方向側には前記テーブルからはみ出さず、前記第2方向と逆側にはみ出す姿勢をとるように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の患者載置用テーブルの移動方法。
前記操作装置は、前記テーブルのプリセット位置を登録し、登録された前記プリセット位置を前記テーブルの移動先として設定するためのプリセット位置登録設定部を備えている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の患者載置用テーブルの移動方法。
前記多関節ロボットアームは、6以上の自由度により前記テーブルを移動させるように構成されており、前記撮影位置に配置された前記テーブルをロール回動、ピッチ回動およびヨー回動させるように構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の患者載置用テーブルの移動方法。
前記多関節ロボットアームは、複数の水平関節を有する水平多関節アセンブリと、複数の垂直関節を有する垂直多関節アセンブリとを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の患者載置用テーブルの移動方法。
患者載置用テーブルと、床に埋め込まれるか固定されるベースと、一方端が前記ベースに鉛直方向の軸線回りに回転可能に支持され、他方端が前記テーブルを支持する多関節ロボットアームと、を備え、前記多関節ロボットアームが、平面視において、前記テーブルの下方に全体が隠れる姿勢で配置可能に構成されたロボット手術台における患者載置用テーブルの移動方法であって、
前記多関節ロボットアームによって、患者移乗位置に前記テーブルを位置づける工程と、
前記多関節ロボットアームによって、医療用撮影装置による撮影を行うための撮影位置に患者が載置された前記テーブルを水平に位置づける工程と、
前記多関節ロボットアームによって、前記テーブルの長手方向と平行な第1方向に1000mm以下前記テーブルを並進させることにより、患者が載置された前記テーブルを前記撮影位置から所定位置に移動させる工程と、
前記多関節ロボットアームによって、前記第1方向と水平面内で直交する第2方向に200mm以上前記テーブルを並進させることにより、患者が載置された前記テーブルを前記所定位置から手術位置に移動させる工程と、を備え、
ユーザによる前記テーブルの移動指示を受け付ける移動指示受付部と前記移動指示受付部の操作を有効化するためのトリガー部を含む操作装置によって前記トリガー部と前記移動指示受付部とが同時に操作されている間、前記多関節ロボットアームは、前記テーブルを移動させるように構成されている、患者載置用テーブルの移動方法。
前記手術位置は、前記テーブルが、前記所定位置から前記第2方向に200mm以上800mm以下並進した位置である、請求項12に記載の患者載置用テーブルの移動方法。
前記多関節ロボットアームは、平面視において、前記テーブルの下方に全体が隠れる姿勢で前記撮影位置に配置され、前記手術位置において、前記テーブルの前記第2方向側には前記テーブルからはみ出さず、前記第2方向と逆側にはみ出す姿勢をとるように構成されている、請求項12または13に記載の患者載置用テーブルの移動方法。
患者載置用テーブルと、床に埋め込まれるか固定されるベースと、一方端が前記ベースに鉛直方向の軸線回りに回転可能に支持され、他方端が前記テーブルを支持する多関節ロボットアームと、を備え、前記多関節ロボットアームが、平面視において、前記テーブルの下方に全体が隠れる姿勢で配置可能に構成されたロボット手術台における患者載置用テーブルの移動方法であって、
前記多関節ロボットアームによって、患者移乗位置に前記テーブルを位置づける工程と、
前記多関節ロボットアームによって、医療用撮影装置による撮影を行うための撮影位置に患者が載置された前記テーブルを水平に位置づける工程と、
前記多関節ロボットアームによって、前記テーブルの長手方向の一方端近傍位置を支持し、前記テーブルの長手方向の他方端近傍位置を中心に水平面内を10度以上45度以下の範囲で前記テーブルを回転させることにより、患者が載置された前記テーブルを前記撮影位置から手術位置に移動させる工程と、を備え、
ユーザによる前記テーブルの移動指示を受け付ける移動指示受付部と前記移動指示受付部の操作を有効化するためのトリガー部を含む操作装置によって前記トリガー部と前記移動指示受付部とが同時に操作されている間、前記多関節ロボットアームは、前記テーブルを移動させるように構成されている、患者載置用テーブルの移動方法。
前記多関節ロボットアームは、平面視において、前記テーブルの下方に全体が隠れる姿勢で前記撮影位置に配置され、前記手術位置において、前記テーブルの前記撮影位置からの移動方向側には前記テーブルからはみ出さず、前記移動方向と逆側にはみ出す姿勢をとるように構成されている、請求項15に記載の患者載置用テーブルの移動方法。
前記医療用撮影装置は、患者のX線投影画像を取得するためのX線撮影装置、および、患者の磁気共鳴画像を取得するための磁気共鳴イメージング装置のうちの少なくとも1つである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の患者載置用テーブルの移動方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(ロボット手術台の構成)
図1〜
図11を参照して、本実施形態によるロボット手術台100の構成について説明する。
【0019】
図1に示すように、ロボット手術台100は、手術室200に設けられている。手術室200には、患者10のX線投影画像を取得するためのX線撮影装置300が設けられている。つまり、手術室200には、ロボット手術台100と、X線撮影装置300とを備える手術室システム201が設けられている。手術室200は、ハイブリッド手術室である。X線撮影装置300は、手術室200の天井に吊り下げられ、図示しないレールに沿って直線的に移動可能な天吊りX線撮影装置300a(
図3〜
図6参照)と、手術室200の床に配置されたアームにより円弧を描くように移動可能な床置きX線撮影装置300b(
図3〜
図6参照)とを含んでいる。また、手術室200には、手術に関する情報を表示するための表示部400が設けられている。表示部400は、たとえばアーム(図示せず)により懸架されており、手術室200内を移動可能に構成されている。表示部400は、たとえば、X線撮影装置300により取得されたX線投影画像を表示するように構成されている。なお、X線撮影装置300(300a、300b)は、特許請求の範囲の「医療用撮影装置」の一例である。
【0020】
ロボット手術台100は、たとえば、外科や内科などにおいて、手術を行うための手術台として用いられる。ロボット手術台100は、患者10を移載するための患者移乗位置P1(
図3参照)にテーブル1を位置づけることができるように構成されている。また、ロボット手術台100は、テーブル1に患者10を載置した状態でテーブル1を麻酔位置P2(
図4参照)、撮影位置P3(
図5参照)、手術位置P4(
図6参照)などに位置づけることにより、麻酔位置P2、撮影位置P3、手術位置P4などに患者10を位置づけることができるように構成されている。また、ロボット手術台100は、テーブル1に患者10を載置した状態でテーブル1を傾けることにより、患者10を傾けることができるように構成されている。
【0021】
ロボット手術台100は、患者載置用のテーブル1と、多関節ロボットアーム2と、ロボット用制御部3と、操作装置4と、操作装置5と、を備えている。
【0022】
テーブル1は、
図1および
図2に示すように、略矩形形状の平板状に形成されている。また、テーブル1の上面は、略平坦に形成されている。なお、テーブル1は、鉛直方向(Z方向)に延びる軸線回りに回転可能であるが、ここでは、テーブル1の長手方向に平行な水平方向をX方向とし、テーブル1の短手方向に平行な水平方向をY方向とする。つまり、X方向およびY方向は、テーブル1を基準とした方向を示している。なお、X方向とY方向とは互いに直交する方向である。また、X方向およびY方向は、それぞれ、特許請求の範囲の「第1方向」および「第2方向」の一例である。
【0023】
テーブル1は、X線透過部11と、X線透過部11を支持する支持部12とを含んでいる。テーブル1のX方向の長さは2800mm、X線透過部11のY方向の長さは500mm、支持部12のX方向の長さは1000mm、支持部12のY方向の長さは740mmである。テーブル1のX方向の長さは2000mm以上3000mm以下に設定することが好ましく、テーブル1のY方向の長さは500mm以上800mm以下に設定することが好ましい。X線透過部11のY方向の長さと支持部12のY方向の長さは、同じ長さに設定するか、または、X線透過部11より支持部12のY方向の長さを長く設定することが好ましい。
【0024】
テーブル1のX線透過部11には、患者10が載置される。X線透過部11は、テーブル1において、X1方向側に配置されている。X線透過部11は、略矩形形状に形成されている。X線透過部11は、X線を透過しやすい材料により形成されている。X線透過部11は、たとえば、カーボン材料(グラファイト)により形成されている。X線透過部11は、たとえば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)により形成されている。これにより、X線透過部11に患者10を載置した状態で、X線を用いて患者10を撮影することが可能である。
【0025】
テーブル1の支持部12は、多関節ロボットアーム2に接続されている。支持部12は、テーブル1において、X2方向側に配置されている。支持部12は、略矩形形状に形成されている。支持部12は、X線透過部11を支持している。支持部12は、X線透過部11を形成する材料よりもX線の透過率が小さい材料により形成されている。支持部12は、たとえば、金属により形成されている。支持部12は、たとえば、鉄材やアルミニウム材により形成されている。
【0026】
テーブル1は、多関節ロボットアーム2により、移動されるように構成されている。具体的には、テーブル1は、水平方向のX方向、X方向と直交する水平方向のY方向、並びに、X方向およびY方向に直交し、鉛直方向であるZ方向に移動可能に構成されている。また、テーブル1は、X方向に延びる軸線回りに回動(ロール)可能に構成されている。また、テーブル1は、Y方向に延びる軸線回りに回動(ピッチ)可能に構成されている。また、テーブル1は、Z方向に延びる軸線回りに回動(ヨー)可能に構成されている。
【0027】
多関節ロボットアーム2は、テーブル1を移動させるように構成されている。多関節ロボットアーム2は、一方端が床に固定されたベース21に支持されるとともに、他方端がテーブル1を支持するように構成されている。具体的には、多関節ロボットアーム2の一方端は、鉛直方向(Z方向)に延びるベース回動軸線(回動軸線A1)回りに回動可能にベース21に支持されるように構成されている。ベース21は、床に埋設されて固定された基礎部分である。ベース21は、平面視(Z方向に見て)において、テーブル1の移動範囲の略中央近傍に設けられている。また、多関節ロボットアーム2の他方端は、テーブル1の長手方向(X方向)において、テーブル1の一方端の近傍を支持するように構成されている。具体的には、多関節ロボットアーム2の他方端は、テーブル1の長手方向においてテーブル1の一方端の近傍に配置された支持部12を支持するように構成されている。これにより、多関節ロボットアーム2がX線透過部11の周りに極力配置されないようにすることができるので、X線透過部11の周りにX線撮影装置300を配置するのに十分な空間を確保することができる。
【0028】
多関節ロボットアーム2は、平面視において(Z1方向側から見て)、テーブル1の下方(Z2方向側)に略全体が隠れる姿勢で配置可能に構成されている。また、多関節ロボットアーム2は、テーブル1の長手方向と平行なX方向における長さが、テーブル1の長手方向の長さの1/2以下となる姿勢をとることができるように構成されている。これにより、多関節ロボットアーム2に支持されるテーブル1の一方端側と反対側のテーブル1の下方に、テーブル1の長手方向の1/2以上の空間を確保することができるので、患者載置用のテーブル1の周辺にX線撮影装置300を配置するのに十分な空間を確保することができる。また、多関節ロボットアーム2は、上述した姿勢をとった場合のX方向における長さが、その強度の観点でテーブル1の長手方向の長さの1/4以上であることが好ましい。
【0029】
多関節ロボットアーム2は、水平多関節アセンブリ22と、垂直多関節アセンブリ23と、ピッチ回動機構24とを備えている。水平多関節アセンブリ22は、水平関節221、222および223を含んでいる。垂直多関節アセンブリ23は、垂直関節231、232および233を含んでいる。本実施形態では、複数の水平関節221、222および223を有する水平多関節アセンブリ22により、テーブル1を所望の水平方向の位置に容易に移動させることができる。また、複数の垂直関節231、232および233を有する垂直多関節アセンブリ23により、テーブル1を所望の上下方向の位置に容易に移動させることができる。なお、水平関節221〜223および垂直関節231〜233は、特許請求の範囲の「関節」の一例である。
【0030】
多関節ロボットアーム2は、7の自由度によりテーブル1を移動させるように構成されている。これにより、患者10が載置されるテーブル1の移動の範囲や自由度を大きくすることができる。具体的には、多関節ロボットアーム2は、水平多関節アセンブリ22により、鉛直方向に延びる回動軸線A1回りの回動、鉛直方向に延びる回動軸線A2回りの回動、および、鉛直方向に延びる回動軸線A3回りの回動の3の自由度を有している。また、多関節ロボットアーム2は、垂直多関節アセンブリ23により、水平方向に延びる回動軸線B1回りの回動、水平方向に延びる回動軸線B2回りの回動、および、水平方向に延びる回動軸線B3回りの回動の3の自由度を有している。また、多関節ロボットアーム2は、ピッチ回動機構24により、テーブル1をテーブル1の短手方向(Y方向)に延びる回動軸線回りにピッチ回動させる1の自由度を有している。
【0031】
また、多関節ロボットアーム2は、少なくとも1つの水平関節(221、222および223のうち少なくとも1つ)により、テーブル1を、鉛直方向(Z方向)に延びる軸線回りにヨー回動させるように構成されている。また、多関節ロボットアーム2は、少なくとも1つの垂直関節(231、232および233のうち少なくとも1つ)により、テーブル1を、長手方向(X方向)に延びる軸線回りにロール回動させるように構成されている。また、多関節ロボットアーム2は、ピッチ回動機構24により、テーブル1を、短手方向(Y方向)に延びる軸線回りにピッチ回動させるように構成されている。多関節ロボットアーム2は、後述する撮影位置P3(P3a)を中心にテーブル1をロール回動、ピッチ回動およびヨー回動させるように構成されている。
【0032】
多関節ロボットアーム2は、
図3〜
図6に示すように、患者移乗位置P1(
図3参照)、麻酔位置P2(
図4参照)、撮影位置P3(
図5参照)および手術位置P4(
図6参照)にテーブル1を位置づけることができるように構成されている。ロボット手術台100では、後述するように、麻酔位置P2、撮影位置P3および手術位置P4は、プリセット位置として予め登録されており、患者移乗位置P1は麻酔位置P2と同じ位置である。なお、
図3〜
図6では、脳外科出術における、患者移乗位置P1、麻酔位置P2、撮影位置P3および手術位置P4を図示している。
【0033】
図3に示すように、患者移乗位置P1は、患者10を搬送するためのストレッチャ501とテーブル1との間で患者10を移乗させるための位置である。つまり、患者移乗位置P1は、患者10をストレッチャ501からテーブル1に移乗させるための位置、または、患者10をテーブル1からストレッチャ501に移乗させるための位置である。患者移乗位置P1としては、ストレッチャ501をテーブル1に横付けしやすいテーブル1の位置が登録されている。患者移乗位置P1では、患者10の頭側の方向であるテーブル1の長手方向の一方方向が、X線撮影装置300が配置される側とは反対側を向き、患者10の足側の方向であるテーブル1の長手方向の他方方向が、X線撮影装置300が配置される側を向くように、テーブル1が配置されている。患者移乗位置P1において患者10をテーブル1に載置する際には、テーブル1の周りに、天吊りX線撮影装置300a、床置きX線撮影装置300b、ストレッチャ501および麻酔器502などが配置されている。
【0034】
図4に示すように、麻酔位置P2は、麻酔を行うための位置である。麻酔位置P2としては、患者10の頭部が麻酔器502に近づくテーブル1の位置が登録されている。また、麻酔器502は、手術室200において、X線撮影装置300が配置される側とは反対側に配置されている。つまり、麻酔器502は、清潔であることを要する手術が行われる側とは反対側に配置されている。麻酔位置P2では、患者10の頭側の方向であるテーブル1の長手方向の一方方向が、X線撮影装置300が配置される側とは反対側を向き、患者10の足側の方向であるテーブル1の長手方向の他方方向が、X線撮影装置300が配置される側を向くように、テーブル1が配置されている。なお、本実施形態では、患者移乗位置P1と麻酔位置P2とは同じ位置であるが、これに限られず、患者移乗位置P1と麻酔位置P2とが互いに異なる位置であってもよい。麻酔位置P2において麻酔を行う際には、テーブル1の周りに、天吊りX線撮影装置300a、床置きX線撮影装置300b、麻酔器502、点滴503およびシリンジポンプ504などが配置されている。
【0035】
図5に示すように、撮影位置P3は、X線撮影装置300による患者10の撮影を行うための位置である。撮影位置P3は、たとえば、患者10の頭部を撮影するための位置P3a(
図5(A)〜(C)参照)であり、患者10の右腕を撮影するための位置P3b(
図5(D)参照)である。なお、これに限られず、撮影位置P3は、患者10の他の部位を撮影する位置であってもよい。たとえば、撮影位置P3は、患者10の胴部を撮影する位置であってもよいし、患者10の左腕、左足または右足を撮影する位置であってもよい。撮影位置P3としては、患者10の頭部を撮影するための位置P3aが登録されている。
【0036】
図5(A)〜(C)に示すように、撮影位置P3aは、床置きX線撮影装置300bによる患者10の頭部のプロペラ回転撮影、天吊りX線撮影装置300aによる患者10の頭部のシングルプレーン撮影、および、天吊りX線撮影装置300aと床置きX線撮影装置300bとによる患者10の頭部のバイプレーン撮影を行うための位置である。また、
図5(D)に示すように、位置P3bは、天吊りX線撮影装置300aによる患者10の右腕のシングルプレーン撮影を行うための腕透視位置である。また、腕透視位置P3bは、撮影位置P3aから、患者10の左側の方向であるY方向(
図1参照)の一方方向(Y2方向)に、テーブル1を400mm並進させた位置である。なお、
図5(D)では、理解の容易のために、撮影位置P3aのテーブル1を破線により図示している。
【0037】
図5(A)〜(D)では、X線撮影装置300(300a、300b)による撮影可能領域Rを二点鎖線により図示している。
図5(A)〜(C)に示すように、撮影位置P3aは、患者10の頭部が、撮影可能領域R内に配置される位置である。また、
図5(D)に示すように、腕透視位置P3bは、患者10の右腕が、撮影可能領域R内に配置される位置である。つまり、撮影位置P3は、患者10の撮影部位が、撮影可能領域R内に配置される位置である。また、撮影位置P3aおよび腕透視位置P3bでは、患者10の頭側の方向であるテーブル1の長手方向の一方方向が、X線撮影装置300が配置される側を向き、患者10の足側の方向であるテーブル1の長手方向の他方方向が、X線撮影装置300が配置される側とは反対側を向くように、テーブル1が配置されている。撮影位置P3aおよび腕透視位置P3bにおいて撮影を行う際には、テーブル1の周りに、天吊りX線撮影装置300a、床置きX線撮影装置300b、表示部400、麻酔器502、点滴503、シリンジポンプ504、手術用の顕微鏡装置505およびステント用ワゴン506などが配置されている。
【0038】
図6に示すように、手術用の顕微鏡装置505を使用する手術であるマイクロサージェリを行うマイクロサージェリ位置の候補位置がP4a〜P4eである。候補位置P4a〜P4eは、テーブル1の周りに手術に関わる医療従事者(執刀医M1や他の医療従事者M2など)が立てる空間があり、執刀医M1が手術(脳外科手術の場合には、開頭)しやすいテーブル1の位置であり、これらの中の一つを選択して手術位置P4として登録することができる。
【0039】
ここで、本実施形態では、
図7に示すように、多関節ロボットアーム2は、テーブル1を、基準位置である撮影位置P3aに水平に位置づけた状態から、テーブル1の長手方向と平行なX方向に並進させることができるように構成されている。また、多関節ロボットアーム2は、撮影位置P3a、または、撮影位置P3aからX方向に並進した位置から、X方向と水平面内で直交するY方向に200mm以上並進させた手術位置P4(
図6参照)に、テーブル1を位置づけるように構成されている。これにより、撮影位置P3a、または、撮影位置P3aからX方向に並進した位置から、X方向と水平面内で直交するY方向に200mm以上の比較的大きな移動範囲で並進させた手術位置P4に、テーブル1を位置づけて手術を行うことができるので、手術位置P4の調整の自由度を大きくすることができ、その結果、手術位置P4では、執刀医M1が患者10の頭側に立つ位置に十分な空間を確保し、他の医療従事者M2が手術台(テーブル1)の横に立つ位置に十分な空間を確保することができるようになり、手術のための最適な位置に執刀医M1や他の医療従事者M2のための空間を確保することができる。また、従来のハイブリッド手術室用の手術台に比べてハイブリッド手術室を設計する際の自由度を向上させることができる。また、本実施形態のロボット手術台は、従来のハイブリッド手術室用の手術台では、テーブル1の移動範囲が狭いことに起因して使用することが困難であった一般手術(X線撮像装置を使用しない)に使用することができる。これにより、X線撮像装置が配置されていない一般手術室が全て手術中でハイブリッド手術室のみが空いている場合に、ハイブリッド手術室で一般手術を行うことができる。
【0040】
また、本実施形態では、多関節ロボットアーム2は、撮影位置P3a、または、撮影位置P3aからX方向に並進した位置から、テーブル1をY方向の一方方向(Y2方向)および他方方向(Y1方向)に合計で1200mm以下の範囲内で並進させることができるように構成されている。これにより、Y方向に広い範囲でテーブル1を並進させることができるので、より適切な位置を手術位置P4とすることができる。具体的には、多関節ロボットアーム2は、撮影位置P3a、または、撮影位置P3aからX方向に並進した位置から、テーブル1を、患者10の左側の方向であるY2方向に800mm以下の範囲S1内で並進させることができるように構成されている。また、多関節ロボットアーム2は、撮影位置P3a、または、撮影位置P3aからX方向に並進した位置から、テーブル1を、患者10の右側の方向であるY1方向に400mm以下の範囲S2内で並進させることができるように構成されている。つまり、多関節ロボットアーム2は、撮影位置P3a、または、撮影位置P3aからX方向に並進した位置からのテーブル1のY方向の並進可能範囲が、Y方向の一方方向(Y2方向)と他方方向(Y1方向)とで互いに異なるように構成されている。
【0041】
また、本実施形態では、多関節ロボットアーム2は、テーブル1を撮影位置P3aに水平に位置づけた状態から、テーブル1をX方向の一方方向(X1方向)および他方方向(X2方向)に合計で1500mm以下の範囲内で並進させることができるように構成されている。なお、多関節ロボットアーム2は、テーブル1を撮影位置P3aに水平に位置づけた状態から、テーブル1をX方向の一方方向および他方方向に合計で1000mm以上2000mm以下の範囲内、好ましくは1100mm以上1600mm以下の範囲内で並進させることができるように構成されることが好ましい。これにより、多関節ロボットアーム2の小型化を図りながら、X方向に手術室で必要とされる範囲でテーブル1を並進させることができる。また、多関節ロボットアーム2は、テーブル1を、撮影位置P3aから患者10の頭側の方向であるX1方向に1000mm以下の範囲S3内で並進させることができるように構成されている。また、多関節ロボットアーム2は、テーブル1を、撮影位置P3aから患者10の足側の方向であるX2方向に500mm以下の範囲S4内で並進させることができるように構成されている。つまり、多関節ロボットアーム2は、テーブル1を撮影位置P3aに水平に位置づけた状態からのテーブル1のX方向の並進可能範囲が、X方向の一方方向(X1方向)と他方方向(X2方向)とで互いに異なるように構成されている。
【0042】
また、本実施形態では、手術位置P4は、テーブル1が、撮影位置P3aからX方向に0mm以上500mm以下並進し、かつ、Y方向に200mm以上800mm以下並進した位置である。好ましくは、手術位置P4は、テーブル1が、撮影位置P3aからX方向に0mm以上500mm以下並進し、かつ、Y方向に250mm以上600mm以下並進した位置である。より好ましくは、手術位置P4は、テーブル1が、撮影位置P3aからX方向に0mm以上300mm以下並進し、かつ、Y方向に300mm以上500mm以下並進した位置である。これにより、手術位置P4を撮影位置P3aから近く、かつ、テーブル1の周りに空間を確保可能な位置とすることができる。その結果、撮影位置P3aと手術位置P4との間の移動により患者10に負担がかかることを抑制しつつ、手術位置P4では、執刀医M1が患者10の頭側に立つ位置を確保し、他の医療従事者M2が手術台(テーブル1)の横に立つ位置を確保することができる。
【0043】
また、本実施形態では、多関節ロボットアーム2は、
図8に示すように、テーブル1を撮影位置P3aに水平に位置づけた状態から、テーブル1の長手方向(X方向)の他方端近傍位置(テーブル1に載置された患者10の頭側)を中心に水平面内を10度以上45度以下の範囲でテーブル1を回転させた手術位置P4に、テーブル1を位置づけるように構成されている。これにより、テーブル1を撮影位置P3aに水平に位置づけた状態から、テーブル1の長手方向の他方端近傍位置(テーブル1に載置された患者10の頭側)を中心に10度以上45度以下の回動範囲で水平面内でテーブル1を回転させた手術位置P4に、テーブル1を位置づけて手術を行うことができるので、手術位置P4の調整の自由度を大きくすることができ、その結果、手術位置P4では、執刀医M1が患者10の頭側に立つ位置を確保し、他の医療従事者M2が手術台(テーブル1)の横に立つ位置を確保することができる。また、多関節ロボットアーム2は、テーブル1を撮影位置P3aに水平に位置づけた状態から、テーブル1の長手方向の他方端近傍位置(患者10の頭側)を中心に患者10の左側に0度以上45度以下の範囲θ1内で、テーブル1を回転させることができるように構成されている。また、多関節ロボットアーム2は、テーブル1を撮影位置P3aに水平に位置づけた状態から、テーブル1の長手方向の他方端近傍位置(患者10の頭側)を中心に患者10の右側に0度以上45度以下の範囲θ2内で、テーブル1を回転させることができるように構成されている。
【0044】
図6(A)〜(E)では、手術位置P4の例として、候補位置P4a〜P4eを図示している。なお、
図6(A)〜(E)では、理解の容易のために、撮影位置P3aのテーブル1を二点鎖線により図示している。
図6(A)に示すように、候補位置P4aは、撮影位置P3aから、患者10の右側の方向であるY1方向(
図7参照)にテーブル1を400mm並進させた位置である。
図6(B)に示すように、候補位置P4bは、撮影位置P3aから、患者10の足側の方向であるX2方向(
図7参照)にテーブル1を200mm並進させ、かつ、患者10の右側の方向であるY1方向にテーブル1を340mm並進させた位置である。
図6(C)に示すように、候補位置P4cは、撮影位置P3aから、患者10の足側の方向であるX2方向にテーブル1を400mm並進させた位置である。
図6(D)に示すように、候補位置P4dは、テーブル1を撮影位置P3aに水平に位置づけた状態から、テーブル1の長手方向の他方端近傍位置(テーブル1に載置された患者10の頭側)を中心に患者10の左側にテーブル1を15度回転させた位置である。
図6(E)に示すように、候補位置P4eは、テーブル1を撮影位置P3aに水平に位置づけた状態から、テーブル1の長手方向の他方端近傍位置(テーブル1に載置された患者10の頭側)を中心に患者10の左側にテーブル1を25度回転させた位置である。また、手術位置P4(候補位置P4a〜P4eから選択された位置)では、患者10の頭側の方向であるテーブル1の長手方向の一方方向が、X線撮影装置300が配置される側を向き、患者10の足側の方向であるテーブル1の長手方向の他方方向が、X線撮影装置300が配置される側とは反対側を向くように、テーブル1が配置されている。手術位置P4において手術を行う際には、テーブル1の周りに、天吊りX線撮影装置300a、床置きX線撮影装置300b、表示部400、麻酔器502、点滴503、シリンジポンプ504、手術用の顕微鏡装置505および器械台507などが配置されている。また、手術位置P4では、テーブル1の周りに、執刀医M1や他の医療従事者M2が立つ。
【0045】
また、
図6(A)〜(E)に示すように、多関節ロボットアーム2は、テーブル1が手術位置P4(候補位置P4a〜P4eから選択された位置)に配置された状態で、テーブル1が移動された方向側にテーブル1からはみ出さない姿勢をとるように構成されている。また、多関節ロボットアーム2は、テーブル1が手術位置P4(候補位置P4a〜P4eから選択された位置)に配置された状態で、テーブル1が移動された方向側とは反対側にテーブル1からはみ出した部分が、テーブル1の長手方向の1/2以下の位置よりもX2方向側に位置する姿勢をとるように構成されている。
【0046】
図9に示すように、多関節ロボットアーム2の各関節(水平関節221〜223および垂直関節231〜233)は、それぞれ、モータ25と、エンコーダ26と、電磁ブレーキ27と、減速機(図示せず)とを含んでいる。モータ25は、各関節により、テーブル1を回動させるための駆動源である。モータ25は、サーボモータを含んでいる。また、モータ25は、ロボット用制御部3の制御により駆動されるように構成されている。エンコーダ26は、モータ25の回転量を計測するように構成されている。また、エンコーダ26は、モータ25の回転量の計測結果をロボット用制御部3に送信するように構成されている。ロボット用制御部3は、エンコーダ26の計測結果に基づいて、テーブル1の位置情報と、テーブル1の姿勢情報と、多関節ロボットアーム2の姿勢情報とを取得するように構成されている。電磁ブレーキ27は、モータ25による回転を制動するための無励磁作動型の電磁ブレーキである。つまり、電磁ブレーキ27は、モータ25への通電がオンされた場合に、モータ25の制動を解除し、モータ25への通電がオフされた場合に、モータ25を制動するように構成されている。電磁ブレーキ27は、モータ25に内蔵された電磁ブレーキであってもよいし、モータ25に外付けされた電磁ブレーキであってもよい。
【0047】
ロボット用制御部3は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)3aと、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶部3bと、を含む制御回路である。ロボット用制御部3は、ベース21内に配置され、多関節ロボットアーム2によるテーブル1の移動を制御するように構成されている。具体的には、ロボット用制御部3は、医療従事者(ユーザ)による操作に基づいて、多関節ロボットアーム2の動きを制御して、テーブル1を移動させるように構成されている。
【0048】
操作装置4および操作装置5は、
図9〜
図11に示すように、テーブル1を移動させるための医療従事者(ユーザ)による操作を受け付けるように構成されている。操作装置4および5は、それぞれ、テーブル1に対する操作を受け付けることが可能である。操作装置4は、主に、テーブル1に取り付けられた状態で用いられる操作装置である。操作装置5は、主に、テーブル1から離れた位置で用いられる操作装置である。操作装置4および5は、テーブル1の支持部12の側面に設けられた係合部(図示せず)に係合することにより、テーブル1に着脱可能に取り付けられるように構成されている。操作装置4および5は、それぞれ、有線通信できるようにロボット用制御部3に接続されている。
【0049】
操作装置4は、
図9および
図10に示すように、操作用制御部41と、表示部42と、移動指示受付部43と、トリガー部44と、プリセット位置登録設定部45と、動作モード設定部46と、移動速度切換部47とを含んでいる。操作装置5は、
図9および
図11に示すように、操作用制御部51と、表示部52と、移動指示受付部53と、トリガー部54と、プリセット位置登録設定部55と、動作モード設定部56と、移動速度切換部57とを含んでいる。
【0050】
操作用制御部41(51)は、医療従事者(ユーザ)による操作に基づいて、操作装置4(5)の各部を制御するように構成されている。たとえば、操作用制御部41(51)は、医療従事者(ユーザ)による操作に基づいて、表示部42(52)に表示させる画像を制御するように構成されている。また、操作用制御部41(51)は、医療従事者(ユーザ)による操作を示す操作情報を、ロボット用制御部3に送信するように構成されている。ロボット用制御部3は、受信した操作情報に基づいて、テーブル1を多関節ロボットアーム2により移動させる制御を行うように構成されている。
【0051】
表示部42(52)は、テーブル1の状態、操作装置4(5)に対する操作の状態、操作画面などを表示するように構成されている。表示部42(52)は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイを含む。また、手術室200では、ロボット手術台100のロボット用制御部3と操作用制御部41(51)と表示部400(
図1参照)とは、互いに通信可能に接続されており、表示部400は、テーブル1の状態、操作装置4(5)に対する操作の状態、操作画面などを表示可能に構成されている。表示部400は、たとえば、操作装置4(5)の表示部42(52)に表示された画像を表示可能に構成されている。これにより、手術室200において、複数の医療従事者がロボット手術台100の操作状態を一度に確認することが可能である。また、表示部400は、タッチパネル式の入力兼表示部とすることができ、画面を操作することにより、テーブル1を移動させるための医療従事者(ユーザ)による操作を受け付けるように構成されていてもよい。
【0052】
移動指示受付部43(53)は、医療従事者(ユーザ)によるテーブル1の移動指示を受け付けるように構成されている。操作装置4では、移動指示受付部43は、ジョイスティック43aを有している。ジョイスティック43aは、倒されることにより操作されるように構成されている。また、ジョイスティック43aは、倒された方向および倒された角度に応じたテーブル1を移動させる操作を受け付けるように構成されている。操作装置5では、移動指示受付部53は、テーブル1を移動させる方向毎に設けられた複数(8つ)の方向指示受付部53aを有している。つまり、方向指示受付部53aは、8方向分設けられている。また、方向指示受付部53aは、押下されることにより、テーブル1を移動させる操作を受け付けるように構成されている。なお、8つの方向指示受付部53aは、内部に備えた発光ダイオードからなる光源により点灯可能に構成されている。
【0053】
トリガー部44(54)は、移動指示受付部43(53)の操作を有効化するために設けられている。具体的には、トリガー部44(54)は、操作されることにより、モータ25への通電をオンにする機能を有している。ロボット用制御部3は、トリガー部44(54)が操作されている間、モータ25に通電する制御を行うように構成されている。これにより、トリガー部44(54)を操作すれば、電磁ブレーキ27によるモータ25の制動が解除される。この結果、トリガー部44(54)が操作されている間だけ、移動指示受付部43(53)の操作が有効化されて、テーブル1を移動させることが可能になる。また、ロボット手術台100では、トリガー部44(54)の操作が解除されると、モータ25への通電がオフになる。ロボット用制御部3は、トリガー部44(54)が操作されていない場合、モータ25への通電を遮断することにより、電磁ブレーキ27を作動させるように構成されている。これにより、トリガー部44(54)の操作を解除すれば、電磁ブレーキ27によりモータ25が制動される。この結果、トリガー部44(54)が操作されていない場合には、移動指示受付部43(53)の操作が無効化されて、テーブル1を移動させることができなくなる。これらの結果、トリガー部44(54)が操作されている間でなければ、テーブル1が移動されないので、意図せず移動指示受付部43(53)が操作された場合に、意図せずテーブル1が移動されることを防止することができる。
【0054】
操作装置4では、トリガー部44は、ジョイスティック43aの先端に設けられている。操作装置4では、トリガー部44が押下されることにより、ジョイスティック43aの操作が有効化される。また、トリガー部44の押下が解除された状態では、ジョイスティック43aの操作が無効化される。操作装置5では、トリガー部54は、方向指示受付部53aが設けられた表面とは反対の表面側に設けられている。操作装置5では、トリガー部54が押下されることにより、方向指示受付部53aの操作が有効化される。また、トリガー部54の押下が解除された状態では、方向指示受付部53aの操作が無効化される。
【0055】
ここで、本実施形態では、ロボット用制御部3は、移動指示受付部43(53)が移動指示を受け付けている間、テーブル1を移動させるように、多関節ロボットアーム2の動きを制御するように構成されている。つまり、本実施形態では、たとえば、撮影位置P3a(
図5参照)から手術位置P4にテーブル1を移動させる場合、移動指示受付部43(53)が移動指示を受け付けている間だけ、テーブル1が手術位置P4に向かって移動される。これにより、移動指示受付部43(53)が移動指示を受け付けている間でなければ、テーブル1が移動されないので、意図せず移動指示受付部43(53)が操作された場合にも、意図せずテーブル1が移動され続けることを防止することができる。また、意図してテーブル1を移動する場合にも、単に移動指示受付部43(53)の操作を止めるだけで、テーブル1の移動を停止させることができる。その結果、テーブル1の移動途中でテーブル1の移動を停止させたい場合に、簡単かつ迅速にテーブル1の移動を停止させることができる。
【0056】
具体的には、操作装置4が医療従事者(ユーザ)による操作を受け付けている場合には、ロボット用制御部3は、ジョイスティック43aが操作されている間、テーブル1を移動させるように、多関節ロボットアーム2の動きを制御するように構成されている。つまり、操作装置4が医療従事者(ユーザ)による操作を受け付けている場合には、ジョイスティック43aが操作されている間だけ、テーブル1が移動される。
【0057】
また、操作装置5が医療従事者(ユーザ)による操作を受け付けている場合には、ロボット用制御部3は、方向指示受付部53aのうちの1つが操作されている間、テーブル1を移動させるように、多関節ロボットアーム2の動きを制御するように構成されている。つまり、操作装置5が医療従事者(ユーザ)による操作を受け付けている場合には、方向指示受付部53aが操作されている間だけ、テーブル1が移動される。
【0058】
また、操作装置4および5のいずれが医療従事者(ユーザ)による操作を受け付けている場合にも、ロボット用制御部3は、トリガー部44(54)と移動指示受付部43(53)とが同時に操作されている間、テーブル1を移動させるように、多関節ロボットアーム2の動きを制御するように構成されている。つまり、操作装置4が医療従事者(ユーザ)による操作を受け付けている場合、トリガー部44が押下される操作とジョイスティック43aが倒される操作とが同時に行われている間だけ、テーブル1が移動される。また、操作装置5が医療従事者(ユーザ)による操作を受け付けている場合、トリガー部54が押下される操作と方向指示受付部53aが押下される操作とが同時に行われている間だけ、テーブル1が移動される。これにより、トリガー部44(54)と移動指示受付部43(53)との両方が操作されている間でなければ、テーブル1が移動されないので、意図せず移動指示受付部43(53)が操作された場合に、意図せずテーブル1が移動されることを防止することができる。
【0059】
プリセット位置登録設定部45(55)は、テーブル1の移動先をプリセット位置に設定するため、および、テーブル1の現在位置をプリセット位置として登録するために設けられている。本実施形態では、プリセット位置を予め登録することにより、テーブル1を予め登録されたプリセット位置に簡単に配置することができる。プリセット位置登録設定部45(55)は、押下されることにより、テーブル1の移動先をプリセット位置に設定する操作、および、テーブル1の現在位置をプリセット位置として登録する操作を受け付けるように構成されている。プリセット位置登録設定部45(55)によりテーブル1の現在位置がプリセット位置として登録されると、登録されたプリセット位置に関する情報がロボット用制御部3の記憶部3bに記憶される。具体的には、テーブル1の位置情報とその時の多関節ロボットアーム2の姿勢情報とがロボット用制御部3の記憶部3bに記憶される。また、所定位置にテーブル1を配置した状態で、プリセット位置登録設定部45(55)により登録指示を行うことにより所定位置(現在位置)がプリセット位置として記憶部3bに記憶されるように構成されている。プリセット位置登録設定部45(55)によりプリセット位置が選択された状態で、トリガー部44(54)および移動指示受付部43(53)が操作されることにより、テーブル1が選択されたプリセット位置に移動される。本実施形態では、プリセット位置は、麻酔位置P2、撮影位置P3および手術位置P4を含んでいる。これにより、医療従事者が所望する麻酔位置P2、撮影位置P3および手術位置P4に、テーブル1を簡単に配置することができる。
【0060】
動作モード設定部46(56)は、予め定められた複数の動作モードのうちから1つの動作モードを設定するために設けられている。動作モード設定部46(56)は、ユーザによる動作モードの設定指示を受け付けるように構成されている。複数の動作モードは、たとえば、テーブル1を水平面内で鉛直方向(Z方向)に延びる回転軸線回りに回転させる平面回転モードと、テーブル1を水平面内で直線的に移動させる平面移動モードと、テーブル1を上下動させる昇降モードと、テーブル1の長手方向(X方向)に平行に延びる軸線回りにテーブル1を回動させる横転モードと、テーブル1の短手方向(Y方向)に平行に延びる軸線回りにテーブル1を回動させる縦転モードと、を含む。平面回動モードでは、医療従事者(ユーザ)の操作に基づいて、テーブル1がヨー回動される。平面移動モードでは、医療従事者(ユーザ)の操作に基づいて、テーブル1が水平方向に直線的に移動される。昇降モードでは、医療従事者(ユーザ)の操作に基づいて、テーブル1が鉛直方向(Z方向)に移動される。横転モードでは、医療従事者(ユーザ)の操作に基づいて、テーブル1がロール回動される。縦転モードでは、医療従事者(ユーザ)の操作に基づいて、テーブル1がピッチ回動される。ユーザは、所望する動作に応じて、動作モード設定部46(56)により、複数の動作モードのうちから動作モードを設定する。ロボット手術台100では、動作モード設定部46(56)により動作モードが選択された状態で、トリガー部44(54)および移動指示受付部43(53)が操作されることにより、テーブル1が移動される。
【0061】
移動速度切換部47(57)は、ユーザによるテーブル1の移動速度の変更指示を受け付けるように構成されている。また、移動速度切換部47(57)は、押下されることにより、テーブル1の移動速度を変更する操作を受け付けるように構成されている。ロボット手術台100は、移動速度切換部47(57)が押下される毎に、テーブル1の移動速度を段階的に切り換えるように構成されている。たとえば、テーブル1の移動速度は、3段階の移動速度に切り換え可能である。
【0062】
(X線撮影装置の構成)
図1を参照して、X線撮影装置300の構成について説明する。
【0063】
図1に示すように、X線撮影装置300は、ロボット手術台100のテーブル1に載置された患者10のX線投影画像を取得可能に構成されている。X線撮影装置300は、X線照射部301と、X線検出部302と、Cアーム303とを含んでいる。X線照射部301およびX線検出部302は、Cアーム303により支持されている。X線照射部301およびX線検出部302は、Cアーム303の移動に伴って移動され、X線を用いて患者10を撮影する際に、患者10を挟み込むように対向して配置される。たとえば、X線照射部301およびX線検出部302のうち一方がテーブル1の上方の空間に配置され、他方がテーブル1の下方の空間に配置される。また、X線を用いて患者10を撮影する際には、X線照射部301およびX線検出部302を支持するCアーム303の一部もテーブル1の上方および下方の空間に配置される。
【0064】
X線照射部301は、X線検出部302と対向するように配置されている。また、X線照射部301は、X線検出部302に向けてX線を照射可能に構成されている。X線検出部302は、X線照射部301から照射されたX線を検出するように構成されている。X線検出部302は、FPD(Flat Panel Detector)を含んでいる。X線検出部302は、検出したX線を電気信号に変換し、画像処理部(図示せず)に送信するように構成されている。
【0065】
Cアーム303は、一方端にX線照射部301が接続され、他方端にX線検出部302が接続されている。Cアーム303は、略C字形状を有している。これにより、X線を用いて患者10を撮影する際に、テーブル1や患者10を挟み込む位置で、X線照射部301およびX線検出部302を支持することが可能である。Cアーム303は、テーブル1に対して相対移動可能に構成されている。具体的には、Cアーム303は、水平方向、鉛直方向に移動可能であるとともに、水平方向に延びる回動軸線および鉛直方向に延びる回動軸線を中心に回動可能に構成されている。これにより、X線照射部301およびX線検出部302を、テーブル1に載置された患者10に対して所望の位置に配置することが可能である。Cアーム303は、医療従事者(ユーザ)による操作に基づいて、駆動部(図示せず)により、移動されるように構成されている。また、Cアーム303は、医療従事者(ユーザ)が手動で移動させることができるように構成されている。また、X線撮影装置300と表示部400とは、互いに通信可能に接続されており、表示部400は、X線撮影装置300により取得したX線透視画像、および、X線撮影装置300により取得したX線撮影画像を表示可能に構成されている。
【0066】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0067】
たとえば、上記実施形態では、ハイブリッド手術室にX線撮影装置が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ハイブリッド手術室に患者の磁気共鳴画像を取得するための磁気共鳴イメージング装置が設けられていてもよい。つまり、手術室システムが、ロボット手術台と、磁気共鳴イメージング装置とを備えていてもよい。また、ハイブリッド手術室に、X線撮影装置および磁気共鳴イメージング装置の両方が設けられていてもよい。つまり、手術室システムが、ロボット手術台と、X線撮影装置と、磁気共鳴イメージング装置とを備えていてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、多関節ロボットアームが、撮影位置、または、撮影位置からX方向に並進した位置からのテーブルのY方向の並進可能範囲が、Y方向の一方方向と他方方向とで互いに異なるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、多関節ロボットアームが、撮影位置、または、撮影位置からX方向に並進した位置からのテーブルのY方向の並進可能範囲が、Y方向の一方方向と他方方向とで互いに同じになるように構成されていてもよい。たとえば、
図12に示す変形例では、ロボット手術台600は、患者載置用のテーブル601と、多関節ロボットアーム602とを備えている。多関節ロボットアーム602は、水平多関節アセンブリ622と、垂直多関節アセンブリ623とを備えている。水平多関節アセンブリ622は、水平関節622a、622bおよび622cを含んでいる。垂直多関節アセンブリ623は、垂直関節623aおよび623bと、ロール回転関節623cと、ヨー回転関節623dとを含んでいる。なお、水平関節622a、622b、622c、垂直関節623a、623b、ロール回転関節623cおよびヨー回転関節623dは、特許請求の範囲の「関節」の一例である。多関節ロボットアーム602は、7の自由度によりテーブル1を移動させるように構成されている。具体的には、多関節ロボットアーム602は、水平多関節アセンブリ622により、回動軸線C1回りの回転、回動軸線C2回りの回転および回動軸線C3回りの回転の3の自由度を有する。また、多関節ロボットアーム602は、垂直多関節アセンブリ623により、回動軸線D1回りの回動、回動軸線D2回りの回動、回動軸線D3回りの回動および回動軸線D4回りの回転の4の自由度を有する。変形例による多関節ロボットアーム602は、撮影位置、または、撮影位置からX方向に並進した位置からのテーブル601のY方向の並進可能範囲が、Y方向の一方方向と他方方向とで互いに同じになるように構成されている。また、この変形例による多関節ロボットアーム602は、撮影位置P3a、または、撮影位置P3aからX方向に並進した位置から、テーブル601をY方向の一方方向(Y1方向)に800mm以下の範囲内で並進させることができ、他方方向(Y2方向)に800mm以下の範囲内で並進させることができ、合計で1600mm以下の範囲内で並進させることができるように構成されている。また、この変形例による多関節ロボットアーム602は、テーブル601を撮影位置P3aに水平に位置づけた状態から、テーブル601をX方向の一方方向(X1方向)に1000mm以下の範囲内で並進させることができ、他方方向(X2方向)に1000mm以下の範囲内で並進させることができ、合計で2000mm以下の範囲内で並進させることができるように構成されている。
【0069】
また、上記実施形態では、多関節ロボットアームが、テーブルを撮影位置、または、撮影位置からX方向に並進した位置からのテーブルのY方向の並進可能範囲が、Y1方向よりもY2方向の方が大きくなるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、多関節ロボットアームが、テーブルを撮影位置、または、撮影位置からX方向に並進した位置からのテーブルのY方向の並進可能範囲が、Y2方向よりもY1方向の方が大きくなるように構成されていてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、ロボット手術台に2つの操作装置を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロボット手術台に1つの操作装置を設けてもよいし、3つ以上の操作装置を設けてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、操作装置がロボット用制御部に有線通信できるように接続されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、操作装置がロボット用制御部に無線通信できるように接続されてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、水平多関節アセンブリが3つの水平関節を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、水平多関節アセンブリが2つの水平関節を有していてもよいし、4つ以上の水平関節を有していてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、垂直多関節アセンブリが3つの垂直関節を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、垂直多関節アセンブリが2つの垂直関節を有していてもよいし、4つ以上の垂直関節を有していてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、多関節ロボットアームに、3つ連続して水平関節を設けるとともに、3つ連続して垂直関節を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、多関節ロボットアームとして、互いに隣接する関節の回動軸が直交する部分を複数有する垂直多関節ロボットを用いてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、多関節ロボットアームが7の自由度を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、多関節ロボットアームが6以下の自由度を有していてもよいし、8以上の自由度を有していてもよいが、6以上の自由度を有していることが好ましい。
【0076】
また、上記実施形態では、ベースが床に埋設されて固定されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ベースが床の上に固定されていてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、ロボット用制御部がベース内に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロボット用制御部をケーシング内に入れられた制御ボックスとし、たとえば、制御ボックスを手術室内の任意の位置に配置するようにしてもよく、また、制御ボックスを手術室に隣接するコントロールセンターに配置するようにしてもよい。