【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、
原燃料を水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質部と、
前記改質部で生成された前記燃料ガスが供給されるアノード、及び酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池部と、
前記燃料電池部での発電反応に用いられた後に前記アノードから排出される前記燃料ガス中の燃料成分を燃焼させる燃焼部と、
前記燃焼部から排出された燃焼排ガスの熱を回収する熱回収装置と、を備え、
前記熱回収装置で前記燃焼排ガスが冷却されることで当該燃焼排ガス中から回収される回収水が、改質水として前記改質部での原燃料の水蒸気改質に用いられる燃料電池システムであって、
前記熱回収装置は、
湯水を貯える第1貯湯タンク及び当該第1貯湯タンクに貯えられる湯水から放熱させる第1放熱器を有する第1熱回収部と、
湯水を貯える第2貯湯タンク及び当該第2貯湯タンクに貯えられる湯水から放熱させる第2放熱器を有する第2熱回収部と、
前記燃焼排ガスが供給される熱交換部と、
前記第1熱回収部及び前記第2熱回収部を制御する熱回収制御部と、を備え、
前記熱回収制御部は、
前記第1貯湯タンクと前記熱交換部との間で湯水を循環させて前記燃焼排ガスの熱を前記第1貯湯タンクで回収する第1熱回収運転、及び前記第2放熱器を作動させて前記第2貯湯タンクに貯えられる湯水から放熱させる第2放熱運転を行う第1熱回収モードと、
前記第2貯湯タンクと前記熱交換部との間で湯水を循環させて前記燃焼排ガスの熱を前記第2貯湯タンクで回収する第2熱回収運転、及び前記第1放熱器を作動させて前記第1貯湯タンクに貯えられる湯水から放熱させる第1放熱運転を行う第2熱回収モードと、に切り替え可能であることにある。
【0008】
本特徴構成によれば、第1熱回収モードにおいて、第1貯湯タンクによる燃焼排ガスの熱回収効率が低下して回収水の回収量が減少した場合、燃焼排ガスの熱回収先を第2貯湯タンクに切り替えると共に、第1貯湯タンクに貯えられる湯水から放熱させる。その後、第2熱回収モードにおいて、第2貯湯タンクによる燃焼排ガスの熱回収効率が低下して回収水の回収量が減少した場合、燃焼排ガスの熱回収先を第1貯湯タンクに切り替えると共に、第2貯湯タンクに貯えられる湯水から放熱させる。このように、第1熱回収モードと第2熱回収モードとを交互に切り替えることにより、必要量の回収水を安定的に確保することができる。
【0009】
さらに、本発明において、
前記回収水を貯える回収水タンクを備え、当該回収水タンク内の前記回収水が前記改質水として前記改質部に供給されると好適である。
【0010】
本特徴構成によれば、回収水を回収水タンクに貯えることにより、必要量の回収水を安定的に確保し易い。
【0011】
さらに、本発明において、
前記熱回収制御部は、前記回収水タンク内の前記回収水が下限水量未満になると、前記第1熱回収モードと前記第2熱回収モードとの切り替えを行うと好適である。
【0012】
本特徴構成によれば、回収水タンク内の回収水が下限水量未満になれば、第1熱回収モードから第2熱回収モード又は第2熱回収モードから第1熱回収モードに自動的に切り替わる。これにより、第1貯湯タンク及び第2貯湯タンクのうち一方による燃焼排ガスの熱回収効率が低下した場合に、燃焼排ガスの熱回収先を第1貯湯タンク及び第2貯湯タンクのうち他方に確実に切り替えることができる。
【0013】
さらに、本発明において、
前記熱回収制御部は、
前記第1熱回収モードにおいて、前記第1貯湯タンクから前記熱交換部に供給される湯水の温度が第1上限温度以上になると、前記第2熱回収モードへの切り替えを行い、
前記第2熱回収モードにおいて、前記第2貯湯タンクから前記熱交換部に供給される湯水の温度が第2上限温度以上になると、前記第1熱回収モードへの切り替えを行うと好適である。
【0014】
本特徴構成によれば、第1熱回収モードにおいて、第1貯湯タンクから熱交換部に供給される湯水の温度が第1上限温度以上になれば、第2熱回収モードに自動的に切り替わると共に、第2熱回収モードにおいて、第2貯湯タンクから熱交換部に供給される湯水の温度が第2上限温度以上になれば、第1熱回収モードに自動的に切り替わる。これにより、熱交換部に供給される湯水の温度が高くなり過ぎて、熱交換部における燃焼排ガスの熱回収効率が低下した場合に、熱交換部への湯水の供給元を第1貯湯タンクから第2貯湯タンク又は第2貯湯タンクから第1貯湯タンクに確実に切り替えることができる。
【0015】
さらに、本発明において、
前記第1熱回収部は、
前記第1貯湯タンクから前記熱交換部に湯水を流す第1往路と、
前記熱交換部から前記第1貯湯タンクに湯水を流す第1復路と、
前記第1往路に設けられ、当該第1往路を流れる湯水から放熱させる前記第1放熱器と、
前記第1往路のうち前記第1放熱器よりも下流側と前記第1復路とに亘って設けられ、前記熱交換部を迂回して前記第1往路から前記第1復路に湯水を流す第1バイパス路と、を備え、
前記第2熱回収部は、
前記第2貯湯タンクから前記熱交換部に湯水を流す第2往路と、
前記熱交換部から前記第2貯湯タンクに湯水を流す第2復路と、
前記第2往路に設けられ、当該第2往路を流れる湯水から放熱させる前記第2放熱器と、
前記第2往路のうち前記第2放熱器よりも下流側と前記第2復路とに亘って設けられ、前記熱交換部を迂回して前記第2往路から前記第2復路に湯水を流す第2バイパス路と、を備えると好適である。
【0016】
本特徴構成によれば、第1熱回収部及び第2熱回収部の夫々において、熱回収循環路及び放熱循環路を簡単に構築することができる。
【0017】
さらに、本発明において、
前記熱回収制御部は、
前記第1熱回収モードにおいて、前記第1放熱器を停止させた状態で、前記第1貯湯タンクと前記熱交換部との間で湯水を循環させると共に、前記第2放熱器を作動させた状態で、前記第2貯湯タンクからの湯水を前記第2バイパス路を経由して前記第2貯湯タンクに戻し、
前記第2熱回収モードにおいて、前記第1放熱器を作動させた状態で、前記第1貯湯タンクからの湯水を前記第1バイパス路を経由して前記第1貯湯タンクに戻すと共に、前記第2放熱器を停止させた状態で、前記第2貯湯タンクと前記熱交換部との間で湯水を循環させると好適である。
【0018】
本特徴構成によれば、第1熱回収モードでは、第1放熱器が停止した状態で、第1貯湯タンクと熱交換部との間で湯水が循環されることにより、燃焼排ガスの熱が第1貯湯タンクに回収される。これと同時に、第2放熱器が作動した状態で、第2貯湯タンクからの湯水が第2バイパス路を経由して第2貯湯タンクに戻ることにより、第2放熱器によって第2往路を流れる湯水から放熱される。
【0019】
また、第2熱回収モードでは、第2放熱器が停止した状態で、第2貯湯タンクと熱交換部との間で湯水が循環されることにより、燃焼排ガスの熱が第2貯湯タンクに回収される。これと同時に、第1放熱器が作動した状態で、第1貯湯タンクからの湯水が第1バイパス路を経由して第1貯湯タンクに戻ることにより、第1放熱器によって第1往路を流れる湯水から放熱される。
【0020】
すなわち、本特徴構成によれば、第1貯湯タンク及び第2貯湯タンクのうち一方による燃焼排ガスの熱の回収と、第1貯湯タンク及び第2貯湯タンクのうち他方に貯えられる温水からの放熱とを、同時にかつ効果的に行うことができる。