特許第6800059号(P6800059)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大阪瓦斯株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6800059-燃料電池システム 図000002
  • 特許6800059-燃料電池システム 図000003
  • 特許6800059-燃料電池システム 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800059
(24)【登録日】2020年11月26日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0612 20160101AFI20201207BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20201207BHJP
   F24H 1/00 20060101ALI20201207BHJP
   F24H 1/18 20060101ALI20201207BHJP
   C01B 3/38 20060101ALI20201207BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20201207BHJP
【FI】
   H01M8/0612
   H01M8/04 Z
   F24H1/00 631A
   F24H1/18 B
   C01B3/38
   !H01M8/12
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-58280(P2017-58280)
(22)【出願日】2017年3月23日
(65)【公開番号】特開2018-160429(P2018-160429A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2019年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】細川 沙奈
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−277973(JP,A)
【文献】 特開2016−100279(JP,A)
【文献】 特開2006−275394(JP,A)
【文献】 特開2013−057435(JP,A)
【文献】 特開2016−225102(JP,A)
【文献】 特開2017−016961(JP,A)
【文献】 特開2005−276621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04−8/0668
F24H 1/00
F24H 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原燃料を水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質部と、
前記改質部で生成された前記燃料ガスが供給されるアノード、及び酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池部と、
前記燃料電池部での発電反応に用いられた後に前記アノードから排出される前記燃料ガス中の燃料成分を燃焼させる燃焼部と、
前記燃焼部から排出された燃焼排ガスの熱を回収する熱回収装置と、を備え、
前記熱回収装置で前記燃焼排ガスが冷却されることで当該燃焼排ガス中から回収される回収水が、改質水として前記改質部での原燃料の水蒸気改質に用いられる燃料電池システムであって、
前記熱回収装置は、
湯水を貯える第1貯湯タンク及び当該第1貯湯タンクに貯えられる湯水から放熱させる第1放熱器を有する第1熱回収部と、
湯水を貯える第2貯湯タンク及び当該第2貯湯タンクに貯えられる湯水から放熱させる第2放熱器を有する第2熱回収部と、
前記燃焼排ガスが供給される熱交換部と、
前記第1熱回収部及び前記第2熱回収部を制御する熱回収制御部と、を備え、
前記熱回収制御部は、
前記第1貯湯タンクと前記熱交換部との間で湯水を循環させて前記燃焼排ガスの熱を前記第1貯湯タンクで回収する第1熱回収運転、及び前記第2放熱器を作動させて前記第2貯湯タンクに貯えられる湯水から放熱させる第2放熱運転を行う第1熱回収モードと、
前記第2貯湯タンクと前記熱交換部との間で湯水を循環させて前記燃焼排ガスの熱を前記第2貯湯タンクで回収する第2熱回収運転、及び前記第1放熱器を作動させて前記第1貯湯タンクに貯えられる湯水から放熱させる第1放熱運転を行う第2熱回収モードと、に切り替え可能である燃料電池システム。
【請求項2】
前記回収水を貯える回収水タンクを備え、当該回収水タンク内の前記回収水が前記改質水として前記改質部に供給される請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記熱回収制御部は、前記回収水タンク内の前記回収水が下限水量未満になると、前記第1熱回収モードと前記第2熱回収モードとの切り替えを行う請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記熱回収制御部は、
前記第1熱回収モードにおいて、前記第1貯湯タンクから前記熱交換部に供給される湯水の温度が第1上限温度以上になると、前記第2熱回収モードへの切り替えを行い、
前記第2熱回収モードにおいて、前記第2貯湯タンクから前記熱交換部に供給される湯水の温度が第2上限温度以上になると、前記第1熱回収モードへの切り替えを行う請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記第1熱回収部は、
前記第1貯湯タンクから前記熱交換部に湯水を流す第1往路と、
前記熱交換部から前記第1貯湯タンクに湯水を流す第1復路と、
前記第1往路に設けられ、当該第1往路を流れる湯水から放熱させる前記第1放熱器と、
前記第1往路のうち前記第1放熱器よりも下流側と前記第1復路とに亘って設けられ、前記熱交換部を迂回して前記第1往路から前記第1復路に湯水を流す第1バイパス路と、を備え、
前記第2熱回収部は、
前記第2貯湯タンクから前記熱交換部に湯水を流す第2往路と、
前記熱交換部から前記第2貯湯タンクに湯水を流す第2復路と、
前記第2往路に設けられ、当該第2往路を流れる湯水から放熱させる前記第2放熱器と、
前記第2往路のうち前記第2放熱器よりも下流側と前記第2復路とに亘って設けられ、前記熱交換部を迂回して前記第2往路から前記第2復路に湯水を流す第2バイパス路と、を備える請求項1〜4の何れか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記熱回収制御部は、
前記第1熱回収モードにおいて、前記第1放熱器を停止させた状態で、前記第1貯湯タンクと前記熱交換部との間で湯水を循環させると共に、前記第2放熱器を作動させた状態で、前記第2貯湯タンクからの湯水を前記第2バイパス路を経由して前記第2貯湯タンクに戻し、
前記第2熱回収モードにおいて、前記第1放熱器を作動させた状態で、前記第1貯湯タンクからの湯水を前記第1バイパス路を経由して前記第1貯湯タンクに戻すと共に、前記第2放熱器を停止させた状態で、前記第2貯湯タンクと前記熱交換部との間で湯水を循環させる請求項5に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池システムとして、原燃料を水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質部と、改質部で生成された燃料ガスが供給されるアノード、及び酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池部と、燃料電池部での発電反応に用いられた後にアノードから排出される燃料ガス中の燃料成分を燃焼させる燃焼部と、燃焼部から排出された燃焼排ガスの熱を回収する熱回収装置と、を備え、熱回収装置で燃焼排ガスが冷却されることで当該燃焼排ガス中から回収される回収水が、改質水として改質部での原燃料の水蒸気改質に用いられる燃料電池システムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、燃焼排ガス中の水蒸気を凝縮して回収水として回収する凝縮器を有し、回収水を改質水として使用する燃料電池システムが開示されている。特許文献1に記載の燃料電池システムでは、凝縮器に貯湯槽の低温液体が供給され、この液体との熱交換によって水蒸気が凝縮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−276621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の燃料電池システムでは、例えば、気温が高い場合やシステムが囲われている場合、あるいは貯湯槽の湯水が長時間使用されない場合、凝縮器によって回収される回収水の回収量が減少してしまう。そうすると、システムの出力を低下させたり、あるいは、システムを停止させたりする等の不都合が懸念される。
【0006】
上記状況に鑑み、必要量の回収水を安定的に確保可能な燃料電池システムが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、
原燃料を水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質部と、
前記改質部で生成された前記燃料ガスが供給されるアノード、及び酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池部と、
前記燃料電池部での発電反応に用いられた後に前記アノードから排出される前記燃料ガス中の燃料成分を燃焼させる燃焼部と、
前記燃焼部から排出された燃焼排ガスの熱を回収する熱回収装置と、を備え、
前記熱回収装置で前記燃焼排ガスが冷却されることで当該燃焼排ガス中から回収される回収水が、改質水として前記改質部での原燃料の水蒸気改質に用いられる燃料電池システムであって、
前記熱回収装置は、
湯水を貯える第1貯湯タンク及び当該第1貯湯タンクに貯えられる湯水から放熱させる第1放熱器を有する第1熱回収部と、
湯水を貯える第2貯湯タンク及び当該第2貯湯タンクに貯えられる湯水から放熱させる第2放熱器を有する第2熱回収部と、
前記燃焼排ガスが供給される熱交換部と、
前記第1熱回収部及び前記第2熱回収部を制御する熱回収制御部と、を備え、
前記熱回収制御部は、
前記第1貯湯タンクと前記熱交換部との間で湯水を循環させて前記燃焼排ガスの熱を前記第1貯湯タンクで回収する第1熱回収運転、及び前記第2放熱器を作動させて前記第2貯湯タンクに貯えられる湯水から放熱させる第2放熱運転を行う第1熱回収モードと、
前記第2貯湯タンクと前記熱交換部との間で湯水を循環させて前記燃焼排ガスの熱を前記第2貯湯タンクで回収する第2熱回収運転、及び前記第1放熱器を作動させて前記第1貯湯タンクに貯えられる湯水から放熱させる第1放熱運転を行う第2熱回収モードと、に切り替え可能であることにある。
【0008】
本特徴構成によれば、第1熱回収モードにおいて、第1貯湯タンクによる燃焼排ガスの熱回収効率が低下して回収水の回収量が減少した場合、燃焼排ガスの熱回収先を第2貯湯タンクに切り替えると共に、第1貯湯タンクに貯えられる湯水から放熱させる。その後、第2熱回収モードにおいて、第2貯湯タンクによる燃焼排ガスの熱回収効率が低下して回収水の回収量が減少した場合、燃焼排ガスの熱回収先を第1貯湯タンクに切り替えると共に、第2貯湯タンクに貯えられる湯水から放熱させる。このように、第1熱回収モードと第2熱回収モードとを交互に切り替えることにより、必要量の回収水を安定的に確保することができる。
【0009】
さらに、本発明において、
前記回収水を貯える回収水タンクを備え、当該回収水タンク内の前記回収水が前記改質水として前記改質部に供給されると好適である。
【0010】
本特徴構成によれば、回収水を回収水タンクに貯えることにより、必要量の回収水を安定的に確保し易い。
【0011】
さらに、本発明において、
前記熱回収制御部は、前記回収水タンク内の前記回収水が下限水量未満になると、前記第1熱回収モードと前記第2熱回収モードとの切り替えを行うと好適である。
【0012】
本特徴構成によれば、回収水タンク内の回収水が下限水量未満になれば、第1熱回収モードから第2熱回収モード又は第2熱回収モードから第1熱回収モードに自動的に切り替わる。これにより、第1貯湯タンク及び第2貯湯タンクのうち一方による燃焼排ガスの熱回収効率が低下した場合に、燃焼排ガスの熱回収先を第1貯湯タンク及び第2貯湯タンクのうち他方に確実に切り替えることができる。
【0013】
さらに、本発明において、
前記熱回収制御部は、
前記第1熱回収モードにおいて、前記第1貯湯タンクから前記熱交換部に供給される湯水の温度が第1上限温度以上になると、前記第2熱回収モードへの切り替えを行い、
前記第2熱回収モードにおいて、前記第2貯湯タンクから前記熱交換部に供給される湯水の温度が第2上限温度以上になると、前記第1熱回収モードへの切り替えを行うと好適である。
【0014】
本特徴構成によれば、第1熱回収モードにおいて、第1貯湯タンクから熱交換部に供給される湯水の温度が第1上限温度以上になれば、第2熱回収モードに自動的に切り替わると共に、第2熱回収モードにおいて、第2貯湯タンクから熱交換部に供給される湯水の温度が第2上限温度以上になれば、第1熱回収モードに自動的に切り替わる。これにより、熱交換部に供給される湯水の温度が高くなり過ぎて、熱交換部における燃焼排ガスの熱回収効率が低下した場合に、熱交換部への湯水の供給元を第1貯湯タンクから第2貯湯タンク又は第2貯湯タンクから第1貯湯タンクに確実に切り替えることができる。
【0015】
さらに、本発明において、
前記第1熱回収部は、
前記第1貯湯タンクから前記熱交換部に湯水を流す第1往路と、
前記熱交換部から前記第1貯湯タンクに湯水を流す第1復路と、
前記第1往路に設けられ、当該第1往路を流れる湯水から放熱させる前記第1放熱器と、
前記第1往路のうち前記第1放熱器よりも下流側と前記第1復路とに亘って設けられ、前記熱交換部を迂回して前記第1往路から前記第1復路に湯水を流す第1バイパス路と、を備え、
前記第2熱回収部は、
前記第2貯湯タンクから前記熱交換部に湯水を流す第2往路と、
前記熱交換部から前記第2貯湯タンクに湯水を流す第2復路と、
前記第2往路に設けられ、当該第2往路を流れる湯水から放熱させる前記第2放熱器と、
前記第2往路のうち前記第2放熱器よりも下流側と前記第2復路とに亘って設けられ、前記熱交換部を迂回して前記第2往路から前記第2復路に湯水を流す第2バイパス路と、を備えると好適である。
【0016】
本特徴構成によれば、第1熱回収部及び第2熱回収部の夫々において、熱回収循環路及び放熱循環路を簡単に構築することができる。
【0017】
さらに、本発明において、
前記熱回収制御部は、
前記第1熱回収モードにおいて、前記第1放熱器を停止させた状態で、前記第1貯湯タンクと前記熱交換部との間で湯水を循環させると共に、前記第2放熱器を作動させた状態で、前記第2貯湯タンクからの湯水を前記第2バイパス路を経由して前記第2貯湯タンクに戻し、
前記第2熱回収モードにおいて、前記第1放熱器を作動させた状態で、前記第1貯湯タンクからの湯水を前記第1バイパス路を経由して前記第1貯湯タンクに戻すと共に、前記第2放熱器を停止させた状態で、前記第2貯湯タンクと前記熱交換部との間で湯水を循環させると好適である。
【0018】
本特徴構成によれば、第1熱回収モードでは、第1放熱器が停止した状態で、第1貯湯タンクと熱交換部との間で湯水が循環されることにより、燃焼排ガスの熱が第1貯湯タンクに回収される。これと同時に、第2放熱器が作動した状態で、第2貯湯タンクからの湯水が第2バイパス路を経由して第2貯湯タンクに戻ることにより、第2放熱器によって第2往路を流れる湯水から放熱される。
【0019】
また、第2熱回収モードでは、第2放熱器が停止した状態で、第2貯湯タンクと熱交換部との間で湯水が循環されることにより、燃焼排ガスの熱が第2貯湯タンクに回収される。これと同時に、第1放熱器が作動した状態で、第1貯湯タンクからの湯水が第1バイパス路を経由して第1貯湯タンクに戻ることにより、第1放熱器によって第1往路を流れる湯水から放熱される。
【0020】
すなわち、本特徴構成によれば、第1貯湯タンク及び第2貯湯タンクのうち一方による燃焼排ガスの熱の回収と、第1貯湯タンク及び第2貯湯タンクのうち他方に貯えられる温水からの放熱とを、同時にかつ効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】燃料電池システムを示す図である。
図2】第1熱回収モードにおける湯水の流れを示す図である。
図3】第2熱回収モードにおける湯水の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。
【0023】
図1に示すように、燃料電池システムは、蒸発部1と、改質部2と、燃料電池部3と、燃焼部4と、熱回収装置5と、分離部6と、回収水タンク7と、を備えている。
【0024】
蒸発部1は、改質水を用いて水蒸気を生成する。改質部2は、蒸発部1で生成された水蒸気を用いて原燃料(本実施形態では、メタン)を水蒸気改質して燃料ガスを生成する。蒸発部1には、図示しない脱硫器で脱硫された原燃料と回収水タンク7からの改質水とが混合されて供給される。蒸発部1に改質水を供給する改質水路8が設けられている。改質水路8には、改質水を圧送する改質水ポンプP1が設けられている。
【0025】
燃料電池部3は、改質部2で生成された燃料ガスが供給されるアノード3aと、酸素ガスが供給されるカソード3bと、アノード3aとカソード3bとに挟まれた電解質3cと、備えている。燃料電池部3は、固体酸化物形燃料電池であり、改質部2で生成された燃料ガス中の水素等と酸素ガスとを電解質3cを介して化学反応させることにより発電を行う。
【0026】
燃焼部4は、燃料電池部3での発電反応に用いられた後にアノード3aから排出される燃料ガス(残存燃料ガス)と、燃料電池部3での発電反応に用いられた後にカソード3bから排出される酸素ガスとを混合し、残存燃料ガス中の燃焼成分を燃焼させる。燃焼部4における燃焼過程で生じた熱は、蒸発部1での水蒸気生成や改質部2での水蒸気改質、燃料電池部3(カソード3b)に供給される酸素ガスの予熱に用いられる。
【0027】
熱回収装置5は、燃焼部4から排出された燃焼排ガスの熱を回収する。熱回収装置5で燃焼排ガスが冷却されることで当該燃焼排ガス中から回収される回収水が、改質水として改質部2での原燃料の水蒸気改質に用いられる。熱回収装置5は、第1熱回収部9と、第2熱回収部10と、給湯路11と、熱交換部12と、熱回収制御部13と、を備えている。
【0028】
第1熱回収部9は、第1貯湯タンク14と、第1放熱器15と、第1往路16と、第1復路17と、第1バイパス路18と、を備えている。
【0029】
第1貯湯タンク14は、湯水を貯える。第1貯湯タンク14に給水する第1給水路19が設けられている。第1給水路19のうち第1貯湯タンク14側の端部は、第1貯湯タンク14の下部に接続されている。第1貯湯タンク14には、第1貯湯タンク14内の湯水の温度を検出する温度センサT1が複数(例えば、四つ)、第1貯湯タンク14の高さ方向に所定の間隔で設けられている。
【0030】
第1放熱器15は、第1往路16に設けられ、第1往路16を流れる湯水から放熱させる。すなわち、第1放熱器15は、第1貯湯タンク14に貯えられる湯水から放熱させる。
【0031】
第1往路16は、第1貯湯タンク14と熱交換路20の上流側端部とに亘って設けられ、第1貯湯タンク14から熱交換部12に湯水を流す。第1往路16のうち第1貯湯タンク14側の端部は、第1貯湯タンク14の下部に接続されている。第1往路16には、湯水を圧送する第1湯水ポンプP2が設けられている。第1往路16のうち第1貯湯タンク14の出口近傍(第1湯水ポンプP2よりも上流側)には、第1往路16内の湯水の温度を検出する温度センサT2が設けられている。
【0032】
第1復路17は、熱交換路20の下流側端部と第1貯湯タンク14とに亘って設けられ、熱交換部12から第1貯湯タンク14に湯水を流す。第1復路17のうち第1貯湯タンク14側の端部は、第1貯湯タンク14の上部に接続されている。第1復路17のうち第1貯湯タンク14の入口近傍には、第1復路17内の湯水の温度を検出する温度センサT3が設けられている。
【0033】
第1バイパス路18は、第1往路16のうち第1放熱器15よりも下流側と第1復路17とに亘って設けられ、熱交換部12を迂回して第1往路16から第1復路17に湯水を流す。第1バイパス路18には、第1バイパス路弁V1が設けられている。
【0034】
第2熱回収部10は、第2貯湯タンク21と、第2放熱器22と、第2往路23と、第2復路24と、第2バイパス路25と、を備えている。
【0035】
第2貯湯タンク21は、湯水を貯える。第2貯湯タンク21に給水する第2給水路26が設けられている。第2給水路26のうち第2貯湯タンク21側の端部は、第2貯湯タンク21の下部に接続されている。第2貯湯タンク21には、第2貯湯タンク21内の湯水の温度を検出する温度センサT4が複数(例えば、四つ)、第2貯湯タンク21の高さ方向に所定の間隔で設けられている。
【0036】
第2放熱器22は、第2往路23に設けられ、第2往路23を流れる湯水から放熱させる。すなわち、第2放熱器22は、第2貯湯タンク21に貯えられる湯水から放熱させる。
【0037】
第2往路23は、第2貯湯タンク21と熱交換路20の上流側端部とに亘って設けられ、第2貯湯タンク21から熱交換部12に湯水を流す。第2往路23のうち第2貯湯タンク21側の端部は、第2貯湯タンク21の下部に接続されている。第2往路23には、湯水を圧送する第2湯水ポンプP3が設けられている。第2往路23のうち第2貯湯タンク21の出口近傍(第2湯水ポンプP3よりも上流側)には、第2往路23内の湯水の温度を検出する温度センサT5が設けられている。
【0038】
第2復路24は、熱交換路20の下流側端部と第2貯湯タンク21とに亘って設けられ、熱交換部12から第2貯湯タンク21に湯水を流す。第2復路24のうち第2貯湯タンク21側の端部は、第2貯湯タンク21の上部に接続されている。第2復路24のうち第2貯湯タンク21の入口近傍には、第2復路24内の湯水の温度を検出する温度センサT6が設けられている。
【0039】
第2バイパス路25は、第2往路23のうち第2放熱器22よりも下流側と第2復路24とに亘って設けられ、熱交換部12を迂回して第2往路23から第2復路24に湯水を流す。第2バイパス路25には、第2バイパス路弁V2が設けられている。
【0040】
第1往路16の下流側端部と第2往路23の下流側端部と熱交換路20の上流側端部とは、往路弁V3を介して接続されている。往路弁V3は、第1往路開位置と、第2往路開位置と、往路閉位置と、に切り替え可能である。第1往路開位置は、第1往路16と熱交換路20とを連通し、かつ、第2往路23と熱交換路20とを連通しない位置である。第2往路開位置は、第2往路23と熱交換路20とを連通し、かつ、第1往路16と熱交換路20とを連通しない位置である。往路閉位置は、第1往路16及び第2往路23と熱交換路20とを連通しない位置である。
【0041】
第1復路17の上流側端部と第2復路24の上流側端部と熱交換路20の下流側端部とは、復路弁V4を介して接続されている。復路弁V4は、第1復路開位置と、第2復路開位置と、復路閉位置と、に切り替え可能である。第1復路開位置は、第1復路17と熱交換路20とを連通し、かつ、第2復路24と熱交換路20とを連通しない位置である。第2復路開位置は、第2復路24と熱交換路20とを連通し、かつ、第1復路17と熱交換路20とを連通しない位置である。復路閉位置は、第1復路17及び第2復路24と熱交換路20とを連通しない位置である。
【0042】
給湯路11は、第1貯湯タンク14と第2貯湯タンク21とに亘って設けられ、第1貯湯タンク14からの湯水又は第2貯湯タンク21からの湯水を給湯対象(図示省略)に供給する。給湯路11のうち第1貯湯タンク14側の端部は、第1貯湯タンク14の上部に接続されている。給湯路11のうち第2貯湯タンク21側の端部は、第2貯湯タンク21の上部に接続されている。給湯路11のうち合流部Jよりも第1貯湯タンク14側には、第1給湯路弁V5が設けられている。給湯路11のうち合流部Jよりも第2貯湯タンク21側には、第2給湯路弁V6が設けられている。
【0043】
熱交換部12は、燃焼部4から排出された燃焼排ガスが供給される。燃焼排ガスを熱交換部12に供給する排ガス路27が設けられている。熱交換部12には、第1貯湯タンク14からの湯水又は第2貯湯タンク21からの湯水が流れる熱交換路20が設けられている。
【0044】
分離部6は、燃焼排ガス中から回収水を回収して、回収水回収後の燃焼排ガスを排気する。分離部6は、排ガス路27のうち熱交換部12よりも下流側に設けられている。
【0045】
回収水タンク7は、分離部6で回収された回収水を貯える。回収水タンク7は、排ガス路27の下流側端部に接続されている。回収水タンク7内の回収水が改質水として蒸発部1に供給される。
【0046】
熱回収制御部13は、第1熱回収部9及び第2熱回収部10を制御する。熱回収制御部13には、第1バイパス路弁V1、第2バイパス路弁V2、往路弁V3、復路弁V4、第1給湯路弁V5、第2給湯路弁V6、温度センサT1〜T6、第1放熱器15、第2放熱器22等が接続されている。熱回収制御部13は、第1熱回収運転及び第2放熱運転を行う第1熱回収モードと、第2熱回収運転及び第1放熱運転を行う第2熱回収モードと、に切り替え可能である。
【0047】
第1熱回収運転は、第1貯湯タンク14と熱交換部12との間で湯水を循環させて燃焼排ガスの熱を第1貯湯タンク14で回収する。第2放熱運転は、第2放熱器22を作動させて第2貯湯タンク21に貯えられる湯水から放熱させる。第2熱回収運転は、第2貯湯タンク21と熱交換部12との間で湯水を循環させて燃焼排ガスの熱を第2貯湯タンク21で回収する。第1放熱運転は、第1放熱器15を作動させて第1貯湯タンク14に貯えられる湯水から放熱させる。
【0048】
熱回収制御部13は、第1熱回収モードにおいて、第1放熱器15を停止させた状態で、第1貯湯タンク14と熱交換部12との間で湯水を循環させる(すなわち、第1熱回収運転を行う)と共に、第2放熱器22を作動させた状態で、第2貯湯タンク21からの湯水を第2バイパス路25を経由して第2貯湯タンク21に戻す(すなわち、第2放熱運転を行う)。第1熱回収モードでは、熱回収制御部13によって、第1バイパス路弁V1が閉じられ、かつ、往路弁V3が第1往路開位置に切り替えられ、かつ、復路弁V4が第1復路開位置に切り替えられ、かつ、第2バイパス路弁V2が開かれる。
【0049】
これにより、図2に示すように、第1熱回収部9において、第1貯湯タンク14からの湯水が第1往路16から熱交換路20、第1復路17を経由して、第1貯湯タンク14に戻る。また、第2熱回収部10において、第2貯湯タンク21からの湯水が第2往路23から第2バイパス路25、第2復路24を経由して、第2貯湯タンク21に戻る。その際、第2往路23を流れる湯水からの放熱が第2放熱器22によって行われる。
【0050】
熱回収制御部13は、第2熱回収モードにおいて、第1放熱器15を作動させた状態で、第1貯湯タンク14からの湯水を第1バイパス路18を経由して第1貯湯タンク14に戻す(すなわち、第1放熱運転を行う)と共に、第2放熱器22を停止させた状態で、第2貯湯タンク21と熱交換部12との間で湯水を循環させる(すなわち、第2熱回収運転を行う)。第2熱回収モードでは、熱回収制御部13によって、第2バイパス路弁V2が閉じられ、かつ、往路弁V3が第2往路開位置に切り替えられ、かつ、復路弁V4が第2復路開位置に切り替えられ、かつ、第1バイパス路弁V1が開かれる。
【0051】
これにより、図3に示すように、第2熱回収部10において、第2貯湯タンク21からの湯水が第2往路23から熱交換路20、第2復路24を経由して、第2貯湯タンク21に戻る。また、第1熱回収部9において、第1貯湯タンク14からの湯水が第1往路16から第1バイパス路18、第1復路17を経由して、第1貯湯タンク14に戻る。その際、第1往路16を流れる湯水からの放熱が第1放熱器15によって行われる。
【0052】
熱回収制御部13は、第1熱回収モードにおいて、第1貯湯タンク14から熱交換部12に供給される湯水の温度(第1供給温度)が第1上限温度以上になると、第2熱回収モードへの切り替えを行い、第2熱回収モードにおいて、第2貯湯タンク21から熱交換部12に供給される湯水の温度(第2供給温度)が第2上限温度以上になると、第1熱回収モードへの切り替えを行う。
【0053】
第1供給温度として、本実施形態では、温度センサT1の検出温度(第1貯湯タンク14内の湯水の温度)を採用している。この場合、四つの温度センサT1の全ての検出温度が第1上限温度以上になると、第1熱回収モードから第2熱回収モードに切り替わるようにしてもよい。あるいは、四つの温度センサT1の検出温度の平均値が第1上限温度以上になると、第1熱回収モードから第2熱回収モードに切り替わるようにしてもよい。あるいは、四つの温度センサT1のうち何れか一つの検出温度(例えば、最も上側の温度センサT1の検出温度)が第1上限温度以上になると、第1熱回収モードから第2熱回収モードに切り替わるようにしてもよい。
【0054】
第2供給温度として、本実施形態では、温度センサT4の検出温度(第2貯湯タンク21内の湯水の温度)を採用している。この場合、四つの温度センサT4の全ての検出温度が第2上限温度以上になると、第2熱回収モードから第1熱回収モードに切り替わるようにしてもよい。あるいは、四つの温度センサT4の検出温度の平均値が第2上限温度以上になると、第2熱回収モードから第1熱回収モードに切り替わるようにしてもよい。あるいは、四つの温度センサT4のうち何れか一つの検出温度(例えば、最も上側の温度センサT4の検出温度)が第2上限温度以上になると、第2熱回収モードから第1熱回収モードに切り替わるようにしてもよい。
【0055】
第1上限温度と第2上限温度とは、同一の温度を採用してもよいし、あるいは、異なる温度を採用してもよい。
【0056】
以下、別実施形態について説明する。
【0057】
(1)上記実施形態では、熱回収装置5は、第1熱回収部9と、第2熱回収部10と、を備えている。しかし、熱回収装置5は、第1熱回収部9及び第2熱回収部10に加えて、更に、湯水を貯える第3貯湯タンク及び当該第3貯湯タンクに貯えられる湯水から放熱させる第3放熱器を有する第3熱回収部を備えていてもよい。すなわち、熱回収装置5は、熱回収部を三つ以上備えていてもよい。
【0058】
(2)上記実施形態では、熱回収制御部13は、第1熱回収モードにおいて、第1貯湯タンク14から熱交換部12に供給される湯水の温度が第1上限温度以上になると、第2熱回収モードへの切り替えを行い、第2熱回収モードにおいて、第2貯湯タンク21から熱交換部12に供給される湯水の温度が第2上限温度以上になると、第1熱回収モードへの切り替えを行う。しかし、これに代えてあるいはこれと共に、熱回収制御部13は、回収水タンク7内の回収水が下限水量未満になると、第1熱回収モードと第2熱回収モードとの切り替えを行ってもよい。
【0059】
(3)上記実施形態では、熱回収制御部13は、第1熱回収モードにおいて、温度センサT1の検出温度(第1貯湯タンク14内の湯水の温度)が第1上限温度以上になると、第2熱回収モードへの切り替えを行う。しかし、これに代えて、熱回収制御部13は、第1熱回収モードにおいて、温度センサT2の検出温度(第1往路16内の湯水の温度)あるいは温度センサT3の検出温度(第1復路17内の湯水の温度)が第1上限温度以上になると、第2熱回収モードへの切り替えを行ってもよい。
【0060】
(4)上記実施形態では、熱回収制御部13は、第2熱回収モードにおいて、温度センサT4の検出温度(第2貯湯タンク21内の湯水の温度)が第2上限温度以上になると、第1熱回収モードへの切り替えを行う。しかし、これに代えて、熱回収制御部13は、第2熱回収モードにおいて、温度センサT5の検出温度(第2往路23内の湯水の温度)あるいは温度センサT6の検出温度(第2復路24内の湯水の温度)が第2上限温度以上になると、第1熱回収モードへの切り替えを行ってもよい。
【0061】
なお、上記実施形態及び上記別実施形態は、矛盾が生じない限り、適宜組み合わせることができる。また、本発明は、上記実施形態及び上記別実施形態に限定されるものではなく、その他種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、燃料電池システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0063】
2 改質部
3 燃料電池部
3a アノード
3b カソード
4 燃焼部
5 熱回収装置
7 回収水タンク
9 第1熱回収部
10 第2熱回収部
12 熱交換部
13 熱回収制御部
14 第1貯湯タンク
15 第1放熱器
16 第1往路
17 第1復路
18 第1バイパス路
21 第2貯湯タンク
22 第2放熱器
23 第2往路
24 第2復路
25 第2バイパス路
図1
図2
図3