(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、負荷時における電池の電圧降下量はむしろ電池の温度に大きく依存する。このため、上記従来技術に係る衛星電波腕時計では、例えば腕時計が腕から外されて冷気に曝されている場合など、特に内蔵電池の温度が低い場合において、受信の上限時間が十分に短くならない可能性がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、内蔵電池の温度に応じて適切な動作制限を行うことができる電波腕時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)内蔵電池と、前記内蔵電池の温度を示す温度データを出力する温度センサと、前記内蔵電池から電力供給を受け、外部から信号を受信する受信回路と、前記内蔵電池から電力供給を受け、前記受信回路により前記信号を受信する場合に、前記温度データに基づいて、前記内蔵電池から前記受信回路に電力を供給する上限時間を決定する制御回路と、を含む電波腕時計。
【0008】
(2)(1)に記載の電波腕時計において、前記制御回路は、前記受信回路により前記信号を受信する場合に、前記温度データと前記内蔵電池の電圧に基づいて、前記内蔵電池から前記受信回路に電力を供給する上限時間を決定する、電波腕時計。
【0009】
(3)(1)又は(2)に記載の電波腕時計において、前記制御回路は、前記受信回路により前記信号を受信する場合に、前記温度データに基づいて、前記内蔵電池から前記受信回路への電力供給を禁止するか否かを判断する、電波腕時計。
【0010】
(4)(3)に記載の電波腕時計において、前記制御回路は、前記温度データ及び前記内蔵電池の電圧に基づいて、前記内蔵電池から前記受信回路への電力供給を禁止するか否かを判断する、電波腕時計。
【0011】
(5)(1)乃至(4)のいずれかに記載の電波腕時計において、前記温度データの範囲及び前記電圧の範囲の組み合わせにそれぞれ関連づけて、前記上限時間の複数の候補を記憶するメモリをさらに含む、電波腕時計。
【0012】
(6)(5)に記載の電波腕時計において、前記メモリは、時刻補正のために前記信号を受信する場合の前記上限時間の複数の候補と、測位のために前記信号を受信する場合の前記上限時間の複数の候補と、をそれぞれ前記温度データの範囲及び前記内蔵電池の電圧の範囲の組み合わせに関連づけて記憶する電波腕時計。
【0013】
(7)(5)又は(6)に記載の電波腕時計において、前記メモリは、前記内蔵電池が充電中の場合の前記上限時間の複数の候補と、前記内蔵電池が放電中の場合の前記上限時間の複数の候補と、をそれぞれ前記温度データの範囲及び前記内蔵電池の電圧の範囲の組み合わせに関連づけて記憶する電波腕時計。
【0014】
(8)(5)乃至(7)のいずれかに記載の電波腕時計において、前記上限時間の複数の候補のそれぞれに関連づけられる前記温度データの範囲の幅は、該範囲が低温に係るものであるほど狭い、電波腕時計。
【0015】
(9)(5)乃至(8)のいずれかに記載の電波腕時計において、前記温度センサが出力する前記温度データの傾向を示す温度傾向データを取得し、前記温度傾向に基づいて前記温度データの各範囲を変更する、電波腕時計。
【0016】
(10)(9)に記載の電波腕時計において、前記温度傾向データは、前記電波腕時計の位置データを含む、電波腕時計。
【0017】
(11)(9)又は(10)に記載の電波腕時計において、前記温度傾向データは、現在の日付データを含む、電波腕時計。
【0018】
(12)(1)乃至(11)のいずれかに記載の電波腕時計において、前記制御回路は、前記受信回路により前記信号を受信中に、前記電波腕時計の運針の制限を実施し、前記上限時間まで前記信号の受信に成功しない場合に、所与の待機時間の経過後に前記運針の制限を解除する電波腕時計。
【0019】
(13)(12)に記載の電波腕時計において、前記制御回路は、前記待機時間が経過するまで前記信号の受信中である旨を表示する電波腕時計。
【0020】
(14)(12又は(13)に記載の電波腕時計において、前記制御回路は、前記温度データに基づいて、前記待機時間を決定する電波腕時計。
【0021】
(15)(14)に記載の電波腕時計において、前記制御回路は、前記温度データ及び前記電圧に基づいて、前記待機時間を決定する電波腕時計。
【0022】
(16)(1)乃至(15)のいずれかに記載の電波腕時計において、前記制御回路は、前記信号の受信に成功する場合に、前記待機時間及び受信成功までの時間により定まる時間の経過後に、前記運針の制限を解除する電波腕時計。
【0023】
(17)(1)乃至(16)のいずれかに記載の電波腕時計において、前記制御回路は、前記受信回路により前記信号を受信中に、前記電波腕時計の運針の制限を実施し、前記上限時間まで前記信号の受信に成功しない場合に、前記電圧と所定の基準電圧との比較に応じて、前記運針の制限を解除する電波腕時計。
【0024】
(18)(1)乃至(17)のいずれかに記載の電波腕時計において、前記温度センサから出力される前記温度データは、クロック信号を生成する振動子の温度補償にも用いられる、電波腕時計。
【0025】
(19)(18)に記載の電波腕時計において、前記温度センサ、前記振動子及び前記内蔵電池は、いずれも前記電波腕時計の中心を通る二分線の片側の領域に配置される、電波腕時計。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
本実施形態に係る衛星電波腕時計1は、時刻情報を含んだ電波を受信し、当該受信した電波に含まれる時刻情報を用いて自身が計時している時刻の修正を行う。
図1は、本実施形態に係る衛星電波腕時計1の外観の一例を示す平面図であり、
図2は、衛星電波腕時計1の内部構成を示す構成ブロック図である。これらの図に示されるように、衛星電波腕時計1は、アンテナ10と、受信回路20と、DCDCコンバータ23と、制御回路30と、振動子38と、電力供給部40と、駆動機構50と、時刻表示部51と、指針52と、文字板53と、操作部60と、を含んで構成される。
【0029】
アンテナ10は、時刻情報を含んだ電波として、衛星から送信される衛星信号を受信する。特に本実施形態では、アンテナ10は、GPS衛星から送信される周波数約1.6GHzの電波を受信するパッチアンテナである。GPSは、衛星測位システムの一種であって、地球の周囲を周回する複数のGPS衛星によって実現されている。これらのGPS衛星は、それぞれ高精度の原子時計を搭載しており、原子時計によって計時された時刻情報を含んだ衛星信号を周期的に送信している。
【0030】
受信回路20は、アンテナ10によって受信された衛星信号を復号して、復号の結果得られる衛星信号の内容を示すビット列(受信データ)を出力する。具体的に、受信回路20は、高周波回路(RF回路)21及びデコード回路22を含んで構成されている。二次電池42の出力電圧は、DCDCコンバータ23により所定の電圧に変換され、変換後の電圧が電源電圧として受信回路20に供給されている。
【0031】
高周波回路21は、高周波数で動作する集積回路であって、アンテナ10が受信したアナログ信号に対して増幅、検波を行って、ベースバンド信号に変換する。デコード回路22は、ベースバンド処理を行う集積回路であって、高周波回路21が出力するベースバンド信号を復号してGPS衛星から受信したデータの内容を示すビット列を生成し、制御回路30に対して出力する。
【0032】
衛星電波腕時計1の文字板53には、例えば「OK」、「NG」、「RX」の文字による、受信回路20の状態を示す受信状態表示61が設けられており、受信回路20による衛星信号の受信中には秒針52cが「RX」の文字を指示し、その後、受信回路20により衛星信号の受信に成功すれば秒針52cが「OK」の文字を指示した後、通常の運針を再開する。また、衛星信号の受信に失敗すれば、秒針52が「NG」の文字を指示した後、通常の運針を再開する。
【0033】
制御回路30は、衛星電波腕時計1に含まれる各種回路や機構を制御する回路であり、マイクロコントローラ31と、モータ駆動回路35と、発振回路36と、温度センサ37と、を含んで構成される。マイクロコントローラ31は、演算部32と、RAM(Random Access Memory)33と、ROM(Read Only Memory)34と、を含み、制御回路30は、例えば1つの集積回路により構成される。
【0034】
演算部32は、ROM34に格納されたプログラムに従って各種の情報処理を行う。本実施形態において演算部32が実行する処理の詳細については、後述する。RAM33は、演算部32のワークメモリとして機能し、演算部32の処理対象となるデータが書き込まれる。特に本実施形態では、受信回路20によって受信された衛星信号の内容を表すビット列(受信データ)が、RAM33内のバッファ領域に順次書き込まれるほか、制御用の各種変数の値が保持される。
【0035】
発振回路36は、衛星電波腕時計1の内部での計時に使用されるクロック信号を供給する。演算部32は、発振回路36より供給されるクロック信号に基づいて内部時刻を取得し、時刻表示部51に表示すべき時刻(表示時刻)を決定する。
【0036】
発振回路36は、水晶振動子などの外部の振動子38に電気的に接続されている。振動子38の発振周波数には温度依存性があるため、発振回路36は、自身が生成するクロック信号の周波数を一定にするよう、温度補償動作を行う。具体的には、温度センサ37により計測される振動子38の温度データをマイクロコントローラ31が取得すると、該マイクロコントローラ31はクロック信号の周波数を一定にするように補償信号を発振回路36に送信する。発振回路36は、補償信号に応じて振動子38の発振周波数を変化させ、これにより振動子38の発振周波数や発振回路36から出力されるクロック信号の周波数を温度によらず一定にしている。
【0037】
温度センサ37は、感温デバイスの状態を計測することにより、温度データを取得するものである。例えば、温度センサ37はCR発振器を含んで構成されてよく、該CR発振器の発振周波数を計測し、そうして得られる発振周波数から温度データを取得することができる。
【0038】
ここで、温度センサ37は、
図1に示すように、集積回路である制御回路30の角部に内蔵されている。衛星電波腕時計1のケース内においては、平面視で円形の二次電池42の隣に振動子38が配置されており、二次電池42と振動子38とによりできる隅部に、温度センサ37が設けられた制御回路30の角部が配置され、これにより温度センサ37は振動子38のみならず、二次電池42にも近接するようになっている。二次電池42と振動子38と温度センサ37は、いずれも時計の中心(指針52の回転軸の位置)を通る二分線αの一方側の領域(
図1では上側)に配置されている。なお、
図1では、二分線αは3時及び9時の位置を通るが、二分線αは時計の中心を通り、平面視で文字板53を二分する任意の直線であってよい。また、二次電池42が大型の場合には、二次電池42の中心42aが二分線αの上記一方側の領域に位置していればよく、その周縁部の一部が他方側にあってもよい。その他の要素、例えば制御回路30の温度センサ37以外の部分、アンテナ10、受信回路20、DCDCコンバータ23などは、二分線αのどちらの側に配置されてもよく、
図1は、制御回路30、アンテナ10、受信回路20、DCDCコンバータ23の配置の一例である。以上の二次電池42、振動子38及び温度センサ37の配置により、温度センサ37の出力する温度データは、振動子38の温度を示すものとしてのみならず、二次電池42の温度を示すものとしても利用することができる。なお温度センサ37は、制御回路30に内蔵される必要はなく、独立したデバイスであってよい。あるいは、温度センサ37は他のデバイスに内蔵されてもよい。いずれの場合も、温度センサ37は二次電池42及び振動子38の近傍に配置される。また、振動子38の温度と二次電池42の温度とを別々のセンサにより検出してもよい。
【0039】
モータ駆動回路35は、演算部32により決定された表示時刻に応じて、駆動機構50に含まれるモータを駆動する駆動信号を出力する。これにより、マイクロコントローラ31によって生成された表示時刻が時刻表示部51に表示される。
【0040】
また、本実施形態に係る衛星電波腕時計1では、演算部32が、発振回路36から供給されるクロック信号によって計時された内部時刻を、受信回路20によって受信された衛星信号に基づいて修正する。
【0041】
電力供給部40は、受信回路20や制御回路30、駆動機構50など、衛星電波腕時計1内の各部に対して、その動作に必要な電力を供給する。電力供給部40は太陽電池41と、二次電池42と、スイッチSw1とを含む。
【0042】
太陽電池41は、例えば透光性の薄板である文字板53の下に配置されており、衛星電波腕時計1に対して照射される太陽光などの外光によって発電し、発電した電力を二次電池42に供給する。
【0043】
二次電池42は、リチウムイオン電池等の充電可能な電池と、そのリチウムイオン電池等の電池の充電および放電を管理するバッテリマネジメント回路とを含み、太陽電池41によって発電された電力を蓄積する。そして、蓄積された電力を、受信回路20、制御回路30、駆動機構50など、電力を必要とする各部に対して供給する。また、上記のバッテリマネジメント回路は二次電池42本体の電圧を検出する電圧センサを含んでおり、この電圧センサが検出した電圧はマイクロコントローラ31に通知される。
【0044】
二次電池42は、直列接続されたスイッチSw1を介して太陽電池41と並列接続されている。具体的には、太陽電池41の正極と二次電池42の正極とはスイッチSw1を介して接続されている。太陽電池41は、スイッチSw1がオンになっている間、二次電池42へ電力供給を行う。
【0045】
ここで、受信回路20による衛星信号の受信は比較的大きな電力を消費することから、DCDCコンバータ23から受信回路20への電力供給は、制御回路30から出力されるスイッチSw2により制御されている。マイクロコントローラ31は、必要時のみスイッチSw2をオン状態として受信回路20に給電することにより、電力の節減を図っている。例えば、マイクロコントローラ31は、毎日決められた時刻に受信回路20に給電したり、操作部60により受信操作が行われた場合に受信回路20に給電したりする。また、マイクロコントローラ31は、太陽電池41の発電量が大きく、文字板53の下に配置されたアンテナ10が衛星方向を向いている可能性が高いと推測される場合に、受信回路20に給電してよい。
【0046】
ここで、本実施形態に係る衛星電波腕時計のバッテリマネジメントについて説明する。
図3は、衛星信号の受信時における二次電池42の電圧推移を概略的に示している。特に同図では、上限時間内で衛星信号の受信が成功しなかった場合における二次電池42の電圧推移を示している。
【0047】
同図に示すように、スイッチSw2がオン状態に切り替えられ(タイミングT1)、受信回路20が衛星信号の受信動作を開始すると、直後に、二次電池42の電圧は急激に降下する。なお、衛星信号の受信動作を開始する際には、上述のように秒針52cは文字板53の「RX」の文字を指し示し、これにより受信動作が開始したことを使用者に知らせる。
【0048】
その後、受信回路20への通電開始直後の急激な電圧降下は収束し、二次電池42の電圧はある程度回復する。しかしその後、受信回路20による電力消費が続くにつれて、徐々に二次電池42の電圧は下降する。ここで、受信回路20による電力消費によって二次電池42の電圧が降下するスピードは、二次電池42の温度に大きく依存する。すなわち、温度が低いほど二次電池42の電圧が降下するスピードは速い。そこで、本実施形態では、ROM34に記憶される上限時間テーブル(後述)を参照し、二次電池42の温度に基づき、受信回路20に給電する時間の上限を決定している。具体的には、二次電池42の温度が低いほど給電の上限時間を短くする。
【0049】
そして、受信回路20への給電を開始してからの経過時間が、こうして決定される上限時間に達すると(タイミングT2)、マイクロコントローラ31はスイッチSw2をオフ状態に切り替える。これにより、二次電池42の電圧が過度に低下しないようにできる。
【0050】
ここで、受信回路20への通電を上限時間まで継続すると、二次電池42の電圧は駆動機構50を駆動するのに十分な電圧(モータ駆動電圧)を下回る可能性がある。ここで、モータ駆動電圧とは、正回転、逆回転及び高速運針など、全てのモータの動作を行うことのできる電圧とする。駆動電圧は、上記に限らず、正回転のみできる電圧などモータが異常動作を行わない任意の電圧に設定することができる。
【0051】
そこで、本実施形態では、マイクロコントローラ31は、スイッチSw2をオフ状態に切り替えて受信回路20による受信動作を停止した後も、直ちにはモータ駆動回路35によるモータ駆動を再開しないようにしている。こうして電力消費を控えることにより、タイミングT2以降、二次電池42の電圧は徐々に回復する。
【0052】
このとき、二次電池42の電圧の回復スピードは、二次電池42の温度に大きく依存する。すなわち、温度が低いほど二次電池42の電圧が回復スピードは遅い。このことを考慮し、本実施形態では受信回路20への給電が停止してから、モータ駆動回路35によるモータ駆動が開始するまでの待機時間を、ROM34に記憶される待機時間テーブル(後述)を参照して、二次電池42の温度に基づいて決定するようにしている。具体的には、二次電池42の温度が低いほど待機時間を長くする。なお、待機時間は、待機時間経過後のモータ駆動により二次電池42の電圧がモータ駆動電圧を再度下回らないよう、十分な時間が設定される。待機中は、秒針52cは「RX」の文字を指示したままとなる。
【0053】
受信回路20への給電が停止してから経過時間が、上記のようにして決定される待機時間に達すると(タイミングT3)、マイクロコントローラ31は、モータ駆動回路35により秒針52cを動かして、該秒針52cが文字板53の「NG」の文字を指示すようにする。その後、マイクロコントローラ31は、モータ駆動回路35に通常の運針動作を再開させる。
【0054】
なお正転、逆転、高速運針、又は低速運針など、指針の動作方法によって二次電池42の電圧降下量が異なる。そこで、待機時間の経過後、モータ駆動回路35により指針を動作させる場合、二次電池42の温度や電圧に基づいて、その動作方法を選択してもよい。
【0055】
図4は、上述した上限時間テーブルの一例を示す図である。本実施形態では、二次電池42のバッテリマネジメント回路は、二次電池42本体の電圧が2.0V未満(電圧範囲1)、2.0V以上2.1V未満(電圧範囲2)、2.1V以上2.4V未満(電圧範囲3)、2.4V以上2.65V未満(電圧範囲4)、2.65V以上2.7V未満(電圧範囲5)、2.7V以上2.8V未満(電圧範囲6)、2.8V以上3.3V未満(電圧範囲7)、3.3V以上(電圧範囲8)のいずれであるかを検出し、それをマイクロコントローラ31に通知する。また、温度センサ37で検出される温度データは例えば0.1度刻みであり、マイクロコントローラ31では温度データが示す温度が、例えば−10℃未満(温度範囲1)、−10℃以上−5℃未満(温度範囲2)、−5℃以上0℃未満(温度範囲3)、0℃以上5℃未満(温度範囲4)、5℃以上10℃未満(温度範囲5)、10℃以上25℃未満(温度範囲6)、25℃以上40℃未満(温度範囲7)、40℃以上(温度範囲8)のいずれであるかを判定する。温度範囲は、低温のものほど狭くなるように設定されている。これにより、低温ほど緻密なバッテリマネジメントを行うことができる。
【0056】
図4に示す上限時間テーブルは、ROM34に保持されるものであり、上記のようにしてマイクロコントローラ31が取得する電圧範囲及び温度範囲の各組み合わせに関連づけて上限時間の候補を記憶するものである。なお、受信回路20による受信動作が禁止される温度範囲及び電圧範囲の組み合わせに対しては、「禁止」の旨のフラグが上限時間テーブルに記憶されている。
【0057】
上限時間テーブルでは、温度範囲が低温であるほど上限時間が短くなる。例えば、40℃以上では上限時間が80秒なのに対して、−5℃以上0℃未満では上限時間が5秒に短縮される。また、温度範囲が低温であるほど高い電圧で受信回路20による受信動作が禁止される。例えば、40℃以上では2.65V未満のときに受信動作が禁止されるのに対して、−5℃以上0℃未満ではそれより高い2.8V未満のときに受信動作が禁止される。なお、
図5に示すように、上限時間テーブルにおいて、各温度範囲の上限時間は、電圧範囲が下がるにつれて短くなるように設定してよい。こうすれば、温度範囲のみならず、電圧範囲にも依存して、上限時間を変化させることができる。
【0058】
また、マイクロコントローラ31はバッテリマネジメント回路により計測された電圧を表示するようにしてよい。たとえば、文字板53に低電圧レベルを示す「L0」の文字、中電圧レベルを示す「L1」の文字、高電圧レベルを示す「L2」の文字を表示しておき、操作部60に対して所定操作があった場合に、秒針52c等の指針52により、バッテリマネジメント回路から送られる電圧範囲に対応する文字を指し示すようにしてよい。ここでは、電圧範囲1〜4の場合は「L0」が指示され、電圧範囲5及び6の場合は「L1」が指示され、電圧範囲7及び8の場合は「L2」が指示される。低電圧レベルの場合には、他の電圧レベルよりも多い4つの電圧範囲により、電圧情報がバッテリマネジメント回路からマイクロコントローラ31に通知され、より緻密なバッテリマネジメントが可能となっている。
【0059】
なお、
図4及び
図5の上限時間テーブルに示される上限時間は、受信回路20の通電開始タイミングからの経過時間を示すものであってもよい。また、受信回路20が通電開始直後に低消費電力の暖機動作を行い、その後に実際に受信動作を行う場合には、上記上限時間は、暖機動作の終了タイミングからの経過時間を示すものであってよい。
【0060】
次に、
図6は、上述した待機時間テーブルの一例を示す図である。同図に示す待機時間テーブルは、ROM34に保持されるものであり、上記のようにしてマイクロコントローラ31が取得する電圧範囲及び温度範囲の各組み合わせに関連づけて待機時間の候補を記憶するものである。なお、運針の再開が禁止される温度範囲及び電圧範囲の組み合わせに対しては、「禁止」の旨のフラグが待機時間テーブルに記憶されている。
【0061】
待機時間テーブルでは、温度範囲が低温であるほど待機時間が長くなる。例えば、二次電池42の電圧が3.3V以上の場合、40℃以上では待機時間が0秒なのに対して、−5℃以上0℃未満では待機時間が30秒に延長される。また、温度範囲が低温であるほど高い電圧で運針の再開が禁止される。例えば、40℃以上では2.65V未満のときに運針の再開が禁止されるのに対して、−5℃以上0℃未満ではそれより高い2.7V未満のときに運針の再開が禁止される。また、待機時間テーブルにおいて、各温度範囲の待機時間は、電圧範囲が下がるにつれて長くなるように設定されている。こうして、温度範囲のみならず、電圧範囲にも依存して、待機時間を変化させるようにしている。なお、待機時間を温度範囲のみによって決まるようにしてよいのはもちろんである。
【0062】
図7は、衛星信号の受信時におけるマイクロコントローラ31による制御を示すフロー図である。同図に示す制御は、定期的な衛星信号の受信タイミングが到来したり、操作部60により衛星信号の受信指示がされたりした場合に実行されるものである。まず、マイクロコントローラ31は、秒針52cが受信状態表示61における「RX」を指示するよう、モータ駆動回路35を制御する。その後、指針52の動作を停止する(S101)。次に、温度センサ37から温度データを取得するとともに、二次電池42のバッテリマネジメント回路から電圧データを取得する(S102)。その後、取得した温度データが属する温度範囲を特定する。そして、ROM34に記憶されている上限時間テーブルを参照し、特定した温度範囲、及びバッテリマネジメント回路から取得した電圧データが示す電圧範囲に関連づけられた上限時間、又は禁止フラグを読みだす(S103)。
【0063】
S103で禁止フラグを読み出した場合には(S104)、衛星信号の受信が禁止されている旨を表示し(S112)。この場合には受信動作を行わない。例えば、秒針52cを2秒運針させたり、秒針52cを受信禁止状態であり非受信の旨を示す特別位置に移動させたりする。あるいは、時針52a、分針52b、秒針52cとは別の指針(不図示)を設け、その指針により受信禁止且つ非受信の旨を表示してもよい。衛星信号の受信禁止且つ非受信の旨を明示的に表示した後は、通常の運針動作を再開する。なお、通常運針の再開前に所定の待機時間の経過を待ってもよい。
【0064】
また、S104では、衛星信号の受信が禁止されている旨を明示的に表示しなくてもよい。この場合には、秒針52cが受信状態表示61における「RX」を指示した状態で、所定の待機時間(比較的長めの時間であり、例えば30秒である。)の経過を待ち、その後に秒針52cが「NG」を一旦指示してから、通常運針を再開するようにすることが望ましい。こうすれば、操作部60により連続して受信動作が指示されたとしても、
図7に示される動作が開始される間隔を延ばすことができ、低消費電力化を図ることができる。本実施形態では、二次電池42の温度及び電圧の両方に基づいて、受信動作を禁止するか否かを判断しているので、二次電池42の過度な電圧降下を確実に防止できる。
【0065】
一方、S103で上限時間を読みだした場合には(S104)、スイッチSw2をオン状態にして受信回路20に通電するとともに、マイクロコントローラ31でタイマのカウントを開始する(S105)。このタイマは受信回路20への通電時間を計測するためのものである。なお、上述のように、上限時間テーブルで暖機動作の終了タイミングからの経過時間を上限時間として保持する場合には、暖機動作の終了タイミングからタイマのカウントを開始してよい。その後、衛星信号の受信に成功するか(S107)、タイマの値がS103で読みだした上限時間に達するまで(S108)、衛星信号の受信動作を継続する(S106)。タイマの値が上限時間に達する前に衛星信号の受信に成功すれば(S107)、タイマを停止し(S110)、後述する受信成功時復帰処理を実行し(S111)、処理を終了する。また、衛星信号の受信に成功することなく、タイマの値が上限時間に達すれば(S108)、後述する受信失敗時復帰処理を実行し(S109)、処理を終了する。
【0066】
なお、S106のタイミングにて、S102及びS103の処理を再度実行し、受信上限時間を更新してもよい。こうすれば、二次電池42の温度や電圧の変化に応じて、より確実に電圧低下を防止できる。また、受信中に取得した温度範囲や電圧範囲に関連づけて、上限時間テーブルに禁止フラグが記憶されている場合には、受信回路20への通電を直ちに停止することが望ましい。その場合、二次電池42の電圧が上昇するまで一定時間待機してから、運針を再開することが望ましい。この場合、消費電力を抑えるために2秒運針を行ってもよい。また、衛星信号の受信を中断すべき二次電池42の温度範囲や電圧範囲は、上限時間テーブルとは別のテーブルにより管理してもよい。ここで、衛星信号の受信を中断すべき二次電池42の電圧範囲は、上限時間テーブルにおいて「禁止」の旨が関連づけられた電圧範囲よりも低くしてよい。
【0067】
さらに、受信回路20を通電後、所定期間(例えば2〜3秒以内)、比較的短い時間間隔での測定により、二次電池42の電圧変化を監視し、その間の電圧降下量が所期の値よりも小さい場合には(二次電池42の劣化が小さい場合など)、上限時間を延長してよい。例えば、所定時間(例えば5秒など)をS103で取得した上限時間に加算してよい。或は、上限時間テーブルの高温側、或は高電圧側に隣接する候補値(現在の上限時間より長いか同じである。)があれば、その値に上限時間を変更してよい。
【0068】
逆に、受信回路20を通電後、所定期間だけ二次電池42の電圧変化を監視し、その間の電圧降下量が所期の値よりも大きい場合には(二次電池42の劣化が大きい場合など)、上限時間を短縮してよい。例えば、所定時間(例えば5秒など)をS103で取得した上限時間から減算してよい。或は、上限時間テーブルの低温側、或は低電圧側に隣接する候補値(現在の上限時間より短いか同じである。)があれば、その値に上限時間を変更してよい。こうすれば、通電直後の二次電池42の実際の挙動により、より適切に通電の上限時間を設定することができる。
【0069】
以上の実施形態によれば、二次電池42の温度が低い場合に、それに応じて受信回路20の上限通電時間を短くでき、二次電池42の電圧が過度に低下しないようにできる。これにより、システムダウンの可能性を低減できる。
【0070】
図8は、
図7のS109の受信失敗時復帰処理の一例を示すフロー図である。この処理では、まず待機時間テーブルを参照し、既に特定されている温度範囲、及び既に取得されている電圧データが示す電圧範囲に関連づけられた待機時間、又は禁止フラグを読みだす(S201)。なお、温度データや電圧データはこのタイミングで再度取得してよいのはもちろんである。待機時間テーブルにおいて、再度取得した温度データ及び電圧データに対応する温度範囲及び電圧範囲に関連づけて禁止フラグが記憶されている場合とは、受信回路20による受信開始時には衛星信号の受信が禁止されていなかったにも関わらず、受信動作中に二次電池42の温度又は電圧のうち少なくとも一方が低下し、待機時間テーブルにおいて「禁止」に関連づけられた温度範囲及び電圧範囲に遷移した場合である。このような場合、十分に長い待機時間(例えば0〜100秒)が経過した後、二次電池42の電圧が所定の閾値以上であれば、運針を再開する。このように、二次電池42の温度及び電圧の両方に基づいて運針再開を禁止するか否かを判断すれば、二次電池42の過度な電圧降下をより確実に防止できる。
【0071】
S201で待機時間が読み出されれば、タイマのカウントをスタートし(S202)、S201で読み出した待機時間が経過するまで(S203)、タイマのカウントを継続する。そして、待機時間が経過すると、マイクロコントローラ31は秒針52cを移動させ、受信状態表示61の「NG」を指示するようにしてから、所定時間後、通常の運針を再開する。すなわち、現在時刻の表示を再開する。こうすれば、二次電池42の電圧が十分に上昇してから運針を再開でき、運針のためのモータ駆動により二次電池42の電圧が過度に低下しないようにできる。なお、マイクロコントローラ31は現在時刻を保持しており、現在時刻の表示の再開に必要な指針の動作量を計算することができる。そこでマイクロコントローラ31は、この動作量に応じて待機時間を調整してよい。すなわち、動作量が大きい場合には待機時間を延長し、動作量が小さい場合には待機時間を短縮してよい。こうすれば、待機時間を必要十分な長さにすることができる。また、動作量に応じて指針の動作方法を選択してよい。こうすれば、動作量が大きい場合に節電しながら指針を動作させることができる。
【0072】
図9は、
図7のS109の受信失敗時復帰処理の他の例を示すフロー図である。この処理では、二次電池42のバッテリマネジメント回路から二次電池42本体の電圧を取得し(S301)、該電圧が閾値以上でなければ(S302)、所定時間だけ待機してから(S303)、二次電池42本体の電圧を取得する動作(S301)を繰り返す。そして、二次電池42本体の電圧が閾値以上となれば、マイクロコントローラ31は秒針52cを移動させ、受信状態表示61の「NG」を指示するようにしてから、所定時間後、通常の運針を再開する。こうしても、二次電池42の電圧が十分に上昇してから運針を再開できる。
【0073】
図10は、
図7のS111の受信成功時復帰処理の一例を示すフロー図である。この処理では、まず
図7のS103で読みだした上限時間(t1)、S110で停止したタイマの値(t2)を用いて、待機時間を計算する(S401)。例えば、
図8のS201と同様にして待機時間テーブルから待機時間を基準時間として取得し、取得した基準時間に(t2/t1)を乗算することにより、実際の待機時間を得てもよい。
【0074】
その後、マイクロコントローラ31はタイマのカウントを開始し(S402)、S401で取得した待機時間が経過するまで(S403)、タイマのカウントを継続する。待機時間が経過すれば、マイクロコントローラ31は秒針52cを移動させ、受信状態表示61の「OK」を指示するようにしてから、所定時間後、通常の運針を再開する。こうすれば、受信成功時にも、二次電池42の電圧が十分に上昇してから運針を再開できる。なお、受信成功時には衛星信号に基づいて正しい時刻情報が得られており、マイクロコントローラ31は修正時刻の表示に必要な指針の動作量を計算することができる。そこでマイクロコントローラ31は、この動作量に応じて待機時間を調整してよい。すなわち、動作量が大きい場合には待機時間を延長し、動作量が小さい場合には待機時間を短縮してよい。こうすれば、待機時間を必要十分な長さにすることができる。また、動作量に応じて指針の動作方法を選択してよい。こうすれば、動作量が大きい場合に節電しながら指針を動作させることができる。また、受信成功時復帰処理のスタート時点において二次電池42の温度及び電圧を再度取得してよい。そして、待機時間テーブルにおいて、再度取得した温度データ及び電圧データに対応する温度範囲及び電圧範囲に関連づけて禁止フラグが記憶されている場合は、十分に長い待機時間(例えば0〜100秒)が経過した後、二次電池42の電圧が所定の閾値以上であれば、運針を再開してよい。
【0075】
以上説明した衛星電波腕時計1によれば、二次電池42の温度により受信回路20の通電時間が制限されるようにしたので、二次電池42の電圧が過度に低下しないようにできる。これにより、マイクロコントローラ31に供給される電圧が過度に低下し、システムダウンすることを防止できる。
【0076】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、上記実施形態は種々の変形が可能であり、それらの変形も本発明の範囲に含まれるものである。例えば、
図11に示すように、上限時間テーブルは、各上限時間の候補を温度範囲のみに関連づけて記憶するものであってもよい。
図11に示す上限時間テーブルを用いる場合、二次電池42の電圧が所定電圧(電圧閾値)未満であるか、温度が所定温度(温度閾値)未満であるか、いずれか少なくとも一方の条件を満たす場合、衛星信号の受信を禁止してよい。すなわち、温度範囲によらず共通の電圧閾値が用いられ、電圧範囲によらず共通の温度閾値が用いられる。
【0077】
また、衛星電波腕時計1は、衛星信号から時刻情報を得るのみならず、位置情報を得てもよい。時刻情報を得るには、1の衛星からの衛星信号の一部のみを受信すれば足りるが、高精度の位置情報を得るためには、複数の衛星から衛星信号を受信する必要があり、また受信しなければならない衛星信号のサイズも大きくなる。このため、時刻情報を得る場合に比べて、位置情報を得る場合は、受信回路20の通電の上限時間は長くする必要がある。そこで、
図12(a)(b)に示すように、位置情報取得のために受信回路20を通電する場合の上限時間テーブル(a)と、時刻情報取得のために受信回路20を通電する場合の上限時間テーブル(b)と、の2つのテーブルをROM34に記憶しておき、マイクロコントローラ31はそれらテーブルを受信目的により使い分けてよい。
【0078】
この場合も、
図11の上限時間テーブルと同様、
図13(a)に示すように、二次電池42の電圧が所定電圧(位置情報用電圧閾値)未満であるか、温度が所定温度(位置情報用温度閾値)未満であるか、いずれか少なくとも一方の条件を満たす場合、位置情報取得のための衛星信号の受信を禁止してよい。同様に、
図13(b)に示すように、二次電池42の電圧が所定電圧(時刻情報用電圧閾値)未満であるか、温度が所定温度(時刻情報用温度閾値)未満であるか、いずれか少なくとも一方の条件を満たす場合、時刻情報取得のための衛星信号の受信を禁止してよい。ここで、時刻用電圧閾値は位置情報用電圧閾値より低くてよい。また、時刻情報用温度閾値も位置情報用温度閾値より低くてよい。
【0079】
各電圧閾値は、温度閾値以上の温度において、受信回路20その他の全ての電子部品が正常動作できる電圧に設定することが望ましい。また、各温度閾値は、電圧閾値以上の電圧において、受信回路20その他の全ての電子部品が正常動作できる温度に設定することが望ましい。
【0080】
また、衛星信号の受信中に二次電池42の温度を取得して、取得される温度が所定の温度閾値(受信中温度閾値)未満であれば衛星信号の受信を中断してよい。受信中温度閾値は、上限時間テーブルにより示される温度閾値より低くてよい。同様に、衛星信号の受信中に二次電池42の電圧を取得して、取得される温度が所定の電圧閾値(受信中電圧閾値)未満であれば衛星信号の受信を中断してよい。受信中電圧閾値も、上限時間テーブルにより示される電圧閾値より低くてよい。
【0081】
また、二次電池42の充電時と放電時とで上限時間テーブルを2つ用意して、それらをROM34に記憶しておき、マイクロコントローラ31はそれらテーブルを二次電池42が充電中か否かにより使い分けてよい。なお、マイクロコントローラ31は、二次電池42の電圧推移から二次電池42が充電中か否かを判断できる。或は、バッテリマネジメント回路に満充電の旨が記憶されていれば、放電中であると判断できる。
【0082】
また、衛星電波腕時計1が低温の環境にあるか、高温の環境にあるか、といった温度傾向により、上限時間テーブルや待機時間テーブルを切り替えてもよい。低温環境でのテーブルは、同程度のサイズのテーブルでありながら、低温側の各温度範囲がより細かく(幅が狭く)設定されることが望ましい。逆に、高温環境でのテーブルは、高温側の各温度範囲がより細かく設定されることが望ましい。温度傾向としては、位置により気温傾向が異なることを考慮し、例えば電波腕時計の位置データ、例えば衛星信号から取得される緯度データを採用することができる。また、季節により気温傾向が異なることを考慮し、温度傾向として、日付データを採用することができる。
【0083】
さらに、上限時間テーブルを用いたバッテリマネジメントと、待機時間テーブルを用いたバッテリマネジメントと、は独立した2つの発明の各実施形態であり、各発明は単独で実施可能である。例えば、上記の上限時間テーブルに依らず、二次電池42の電圧のみに基づいて上限時間を決定し、決定された上限時間を用いて受信回路20の通電時間を制御した後、
図8に示すようにして、待機時間テーブルにより決定される待機時間、通常運針の再開までモータ駆動を停止したままとしてよい。
【0084】
また、温度データは受信開始時に取得せずとも、定期的に取得しているデータ(例えば1分毎のログデータなど)を流用してもよい。同様に、電圧データは受信開始時に取得せずとも、定期的に取得しているデータ(例えば10秒毎のログデータなど)を流用してもよい。
【0085】
また本発明は、衛星電波腕時計1が第1動作及び第2動作を順に行う場合に広く適用できる。すなわち、このような場合に、第2動作の開始タイミングを二次電池42の温度に基づいて決定してよい。例えば、受信回路20が第1電源電圧Vaで動作する回路部分(例えばアナログ回路部分)と、第2電源電圧Vb(Va>Vb)で動作する回路部分(例えばデジタル回路部分)と、を有している場合、
図14に示すように、第1電源電圧VaはDCDCコンバータ23aにより生成され、第2電源電圧VbはDCDCコンバータ23bにより生成されてよい。このような場合、DCDCコンバータ23a,23bでの電圧変換を同時に開始すると、二次電池42の電圧降下は大きくなる。そこで、制御回路30はDCDCコンバータ23aにおける電圧変換とDCDCコンバータ23bにおける電圧変換とを異なるタイミングで開始させてよい。そして、その開始タイミングのずれ(たとえばミリ秒のオーダー)を二次電池42の温度に基づいて決定してよい。この場合、二次電池42の温度範囲とずれ時間とを関連づけたテーブルを用いてよい。このテーブルでは、例えば、温度範囲が低くなればなるほど、ずれ時間は大きくなる。或は、二次電池42の温度及び電圧に基づいて決定してよい。この場合、二次電池42の温度範囲及び電圧範囲の組み合わせに関連づけたテーブルを用いてよい。このテーブルでは、例えば、温度範囲が低くなればなるほど、ずれ時間は大きくなる。また、電圧範囲が低くなればなるほど、ずれ時間は大きくなる。なお、DCDCコンバータ23aの方が電圧変換開始直後の電圧降下量が大きいことから、該DCDCコンバータ23aから電圧変換を開始してよい。テーブルで保持されるずれ時間は、一方のDCDCコンバータによる電圧変換が開始されてからの経過時間であってもよい。