(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
板状の圧電材料の上に導電性を有する電極部材を積層し、前記電極部材のそれぞれに設けられており、前記圧電材料の一辺に対して交差して延びている複数の配線を有し、基端側から前記一辺に交差するように斜めに延びている斜辺を有するように、基板部材を前記電極部材の基端側に固定する固定工程と、
前記配線が延びている方向と、前記圧電材料の前記一辺と異なる他辺が平行となるように、前記基板部材の少なくとも一部を折り返す折返し工程と、
前記基板部材が折り返された状態で、前記圧電材料、前記電極部材、及び前記基板部材を切断する切断工程と、
前記基板部材が切断されてなるフレキシブル基板を折り返された状態から折り返される前の位置に戻し、前記圧電材料が切断されてなる複数の圧電素子、前記電極部材が切断されてなる複数の電極、及び前記フレキシブル基板を円周状に配置にする配置工程と、
を含むことを特徴とする超音波振動子の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
超音波内視鏡は、観察時の操作性の向上や患者の負担を軽減するため、挿入部の先端の湾曲させることができない部分の長さが短いことが好ましい。超音波内視鏡において、先端硬質部は、硬質な部材からなるため、湾曲させることができない部分である。また、ラジアル型の超音波振動子において、圧電素子とともにFPCが丸められることにより、円形の断面を有する挿入部の全周をFPCが覆う部分があり、この部分では、FPCにより挿入部の湾曲動作が妨げられる。すなわち、ラジアル型の超音波振動子では、FPCにより湾曲させることができない部分の長さが長くなってしまうという課題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、先端が湾曲する超音波内視鏡に用いられるラジアル型の超音波振動子の湾曲させることができない部分の長さが短い超音波振動子、超音波内視鏡、及び超音波振動子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る超音波振動子は、挿入部の先端側に湾曲部を有する超音波内視鏡の先端に設けられて用いられるラジアル型の超音波振動子であって、所定のピッチ間隔で円周状に配列されており、超音波の送受波を行う複数の圧電素子と、前記複数の圧電素子のそれぞれに設けられている複数の電極と、前記複数の電極にそれぞれ電気的に接続されており、前記圧電素子の配列方向に直交する方向と少なくとも一部が交差して延びている複数の配線を有し、基端側から前記圧電素子の配列方向に直交する方向に交差するように斜めに延びている斜辺を有するように、前記複数の電極の基端側に固定されているフレキシブル基板と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様に係る超音波振動子は、前記複数の電極は、前記圧電素子の配列方向に交差して並べられており、前記複数の電極が並んでいる方向と前記圧電素子の配列方向に直交する方向とのなす角と、前記複数の電極が並んでいる方向と前記複数の配線が延びている方向とのなす角とが等しいことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様に係る超音波振動子は、前記複数の配線にそれぞれ電気的に接続されている複数の引き出し線を備え、前記複数の引き出し線は、基端側でまとめられて配置されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係る超音波振動子は、前記複数の引き出し線は、前記超音波内視鏡の先端に直交する面内において、円周状に配列された前記複数の圧電素子の中心と該複数の引き出し線とを結んだ領域が前記超音波内視鏡が湾曲する方向と交わらないように配置されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様に係る超音波内視鏡は、上記の超音波振動子と、硬質な部材からなり、被検体に挿入される挿入部の先端に配置されている先端硬質部と、先端硬質部の基端側に設けられており、挿入部の基端側に設けられた操作部に対する操作によって湾曲する湾曲部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様に係る超音波振動子の製造方法は、板状の圧電材料の上に導電性を有する電極部材を積層し、前記電極部材のそれぞれに設けられており、前記圧電材料の一辺に対して交差して延びている複数の配線を有し、基端側から前記一辺に交差するように斜めに延びている斜辺を有するように、基板部材を前記電極部材の基端側に固定する固定工程と、前記配線が延びている方向と、前記圧電材料の前記一辺と異なる他辺が平行となるように、前記基板部材の少なくとも一部を折り返す折返し工程と、前記基板部材が折り返された状態で、前記圧電材料、前記電極部材、及び前記基板部材を切断する切断工程と、前記基板部材が切断されてなるフレキシブル基板を折り返された状態から折り返される前の位置に戻し、前記圧電材料が切断されてなる複数の圧電素子、前記電極部材が切断されてなる複数の電極、及び前記フレキシブル基板を円周状に配置にする配置工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、先端が湾曲する超音波内視鏡に用いられるラジアル型の超音波振動子の湾曲させることができない部分の長さが短い超音波振動子、超音波内視鏡、及び超音波振動子の製造方法を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照して本発明に係る超音波振動子、超音波内視鏡、及び超音波振動子の製造方法の実施の形態を説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。本発明は、ラジアル型の超音波振動子、超音波内視鏡、及び超音波振動子の製造方法一般に適用することができる。
【0017】
また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0018】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る超音波振動子を備える超音波内視鏡を示す模式図である。超音波内視鏡1は、その先端部において、超音波観測装置から受信した電気的なパルス信号を超音波パルス(音響パルス)に変換して被検体へ照射するとともに、被検体で反射された超音波エコーを電圧変化で表現する電気的なエコー信号に変換して出力する。
【0019】
超音波内視鏡1は、通常は撮像光学系及び撮像素子を有しており、被検体の消化管(食道、胃、十二指腸、大腸)、又は呼吸器(気管、気管支)へ挿入され、消化管や、呼吸器の撮像を行うことが可能である。また、その周囲臓器(膵臓、胆嚢、胆管、胆道、リンパ節、縦隔臓器、血管等)を、超音波を用いて撮像することが可能である。また、超音波内視鏡1は、光学撮像時に被検体へ照射する照明光を導くライトガイドを有する。このライトガイドは、先端部が超音波内視鏡1の被検体への挿入部の先端まで達している一方、基端部が照明光を発生する光源装置に接続される。
【0020】
超音波内視鏡1は、
図1に示すように、挿入部11と、操作部12と、ユニバーサルケーブル13と、コネクタ14と、を備える。
【0021】
挿入部11は、被検体内に挿入される部分である。この挿入部11は、
図1に示すように、先端に配置される超音波振動子2と、超音波振動子2の一部を収容する先端硬質部111と、先端硬質部111の基端側に設けられており、操作部12に対する操作によって湾曲する湾曲部112と、湾曲部112の基端側に連結され可撓性を有する可撓管部113と、を有する。ここで、挿入部11の内部には、具体的な図示は省略したが、光源装置から供給された照明光を伝送するライトガイド、各種信号を伝送する複数の信号ケーブルが引き回されているとともに、処置具を挿通するための処置具用挿通路が形成されている。
【0022】
操作部12は、挿入部11の基端側に設けられており、医師等からの各種操作を受け付ける部分である。この操作部12は、
図1に示すように、湾曲部112を湾曲する操作を受け付ける湾曲ノブ121と、各種操作を行うための複数の操作部材122と、を有する。また、操作部12には、処置具用挿通路に連通し、当該処置具用挿通路に処置具を挿通するための処置具挿入口123が形成されている。
【0023】
ユニバーサルケーブル13は、操作部12から延在し、各種信号を伝送する複数の信号ケーブル、及び光源装置から供給された照明光を伝送する光ファイバ等が配設されたケーブルである。
【0024】
コネクタ14は、ユニバーサルケーブル13の先端に設けられている。そして、コネクタ14は、各種ケーブルを介して、超音波観測装置、内視鏡観測装置、及び光源装置に接続される。
【0025】
超音波振動子2は、ラジアル型の超音波振動子である。超音波振動子2として複数の圧電素子を円周状のアレイ状に設け、超音波内視鏡1により、超音波の送受波にかかわる圧電素子を電子的に切り替えたり、各圧電素子の超音波の送受波に遅延をかけたりすることで、電子的に走査される。
【0026】
図2は、
図1に示す超音波内視鏡の挿入部の先端の一部切欠き図である。
図3は、
図2を矢印Aの方向から見た図である。
図2、
図3に示すように、超音波振動子2は、所定のピッチ間隔で円周状に配列されており、超音波の送受波を行う複数の圧電素子21と、複数の圧電素子21のそれぞれに設けられている複数の電極22と、複数の配線23aがプリントされており、複数の電極22の基端側に固定されているフレキシブル基板としてのFPC23と、複数の配線23aにそれぞれ電気的に接続されている引き出し線24と、を備える。
【0027】
圧電素子21は、先端硬質部111の内部に収容されており、先端硬質部111の外周に設けられた音響レンズ111aを介して超音波の送受波を行う。先端硬質部111を含む部分B1は、挿入部11の先端において、湾曲させることができない部分である。圧電素子21は、配列方向が挿入部11の延伸する方向に直交するように配置されている。圧電素子21は、電気的なパルス信号を音響パルスに変換して被検体へ照射するとともに、被検体で反射された超音波エコーを電圧変化で表現する電気的なエコー信号に変換して出力する。
【0028】
圧電素子21は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)セラミック材料、又はPMN−PT単結晶、PMN−PZT単結晶、PZN−PT単結晶、PIN−PZN−PT単結晶もしくはリラクサー系材料を用いて形成される。PMN−PT単結晶は、マグネシウム・ニオブ酸鉛及びチタン酸鉛の固溶体の略称である。PMN−PZT単結晶は、マグネシウム・ニオブ酸鉛及びチタン酸ジルコン酸鉛の固溶体の略称である。PZN−PT単結晶は、亜鉛・ニオブ酸鉛及びチタン酸鉛の固溶体の略称である。PIN−PZN−PT単結晶は、インジウム・ニオブ酸鉛、亜鉛・ニオブ酸鉛及びチタン酸鉛の固溶体の略称である。リラクサー系材料は、圧電定数や誘電率を増加させる目的でリラクサー材料である鉛系複合ペロブスカイトをPZTに添加した三成分系圧電材料の総称である。鉛系複合ペロブスカイトは、Pb(B1、B2)O
3で表され、B1はマグネシウム、亜鉛、インジウム又はスカンジウムのいずれかであり、B2はニオブ、タンタル又はタングステンのいずれかである。これらの材料は、優れた圧電効果を有している。このため、小型化しても電気的なインピーダンスの値を低くすることができ、圧電素子21に設けられる薄膜電極との間のインピーダンスマッチングの観点から好ましい。
【0029】
各圧電素子21の内周には、それぞれ電極22が1つずつ電気的に接続されている。なお、
図2以降の各図では、圧電素子21の内部の構成を説明するために、外側の圧電素子21を破線で図示している。また、各圧電素子21の外周には、不図示のグラウンド接地用のグラウンド電極がそれぞれ設けられている。
【0030】
図4は、
図2を円周状に配置する前の状態を表す図である。
図4に示す平面状の超音波振動子2を圧電素子21が外側に配置されるように円周状に丸めることにより、
図2及び
図3に示すラジアル型の超音波振動子2となる。複数の電極22は、圧電素子21の配列方向D1に交差する方向D2に沿って並べられている。電極22及びグラウンド電極は、導電性を有する金属又は樹脂を用いて形成される。
【0031】
FPC23は、電極22と配線23aとが半田付けされることにより、電極22の基端側に固定されている。FPC23は、例えば薄膜状の樹脂からなり、可撓性を有する。FPC23は、基端側(
図4の下方)から圧電素子21の配列方向D1に直交する方向D3に交差する方向D4に沿って斜めに延びている斜辺23bを有する。その結果、
図2及び
図3に示すように、FPC23が先端硬質部111から突出している部分において、FPC23が円形の断面を有する挿入部11の一部しか覆っていないため、この部分は十分可撓性を有する。従って、挿入部11の先端において、湾曲させることができる部分は、部分B2である。
【0032】
図4に戻り、複数の配線23aは、複数の電極22にそれぞれ電気的に接続されており、圧電素子21の配列方向D1に直交する方向D3と交差する方向D4に沿って延びている。より具体的には、複数の電極22が並んでいる方向D2と圧電素子21の配列方向D1に直交する方向D3とのなす角θ1と、複数の電極22が並んでいる方向D2と配線23aが延びている方向D4とのなす角θ2とが等しくなるように配置されている。配線23aは、例えば銅や銅箔からなり、FPC23にプリントされている。
【0033】
引き出し線24は、金属等からなる導線と、導線の外周に形成されたゴム等の絶縁体からなる被覆とを有する。
図3に示すように、引き出し線24は、基端側でまとめられて配置されている。引き出し線24は、超音波内視鏡1の先端に直交する面内において、円周状に配列された圧電素子21の中心と各引き出し線24とを結んだ領域が超音波内視鏡1が湾曲する方向と交わらないように配置されている。
【0034】
以上の構成を有する超音波振動子2は、パルス信号の入力によって圧電素子21が振動することで、音響レンズ111aを介して観測対象に超音波を照射する。また、観測対象から反射された超音波は、音響レンズ111aを介して圧電素子21に伝えられる。伝達された超音波により圧電素子21が振動し、圧電素子21が該振動を電気的なエコー信号に変換して、エコー信号として超音波観測装置に出力する。
【0035】
図5は、
図2に示す超音波振動子の製造工程を表すフローチャートである。
図6は、
図5に示す固定工程を説明するための図である。
図6に示すように、まず、板状の圧電材料31の上に導電性を有する電極部材32を積層し、電極部材32にそれぞれ電気的に接続されており、圧電材料31の長辺31aに対して交差する方向D4に沿って延びている複数の配線23aを有し、基端側から長辺31aに交差する方向D4に沿って斜めに延びている斜辺23bを有するように、基板部材33を電極部材32の基端側に固定する(ステップS1:固定工程)。具体的には、電極部材32と配線23aとを半田付けすることにより、基板部材33を電極部材32の基端側に固定する。
【0036】
図7は、
図5に示す折返し工程を説明するための図である。
図7に示すように、配線23aが延びている方向D5と、圧電材料31の短辺31bとが平行となるように、基板部材33を折り返す(ステップS2:折返し工程)。
【0037】
図8は、
図5に示す切断工程を説明するための図である。
図8に示すように、基板部材33が折り返された状態で、圧電材料31、電極部材32、及び基板部材33を切断する(ステップS3:切断工程)。
【0038】
図9は、切断された圧電素子の断面を表す図である。
図9は、
図8のC−C線に対応する段面図であるが、
図9にはFPC23を記載していない。
図9に示すように、圧電素子21の裏面には、樹脂等からなる連結部材25が配置されており、隣り合う圧電素子21を連結している。連結部材25は、圧電素子21と観測対象との間で音(超音波)を効率よく透過させるために、圧電素子21と観測対象との音響インピーダンスをマッチングさせる音響整合層としての機能を兼ね備えていてもよい。
【0039】
その後、基板部材33が切断されてなるFPC23を折り返された状態から折り返される前の位置に戻し、
図4に図示する状態にする。さらに、圧電材料31が切断されてなる複数の圧電素子21、電極部材32が切断されてなる複数の電極22、及びFPC23を、圧電素子21が外側に配置されるように円周状に配置にする(ステップS4:配置工程)。その結果、
図2及び
図3に示すラジアル型の超音波振動子2が製造される。
【0040】
実施の形態によれば、
図2及び
図3に示すように、FPC23が斜辺23bを有し、FPC23が先端硬質部111から突出している部分も可撓性を有するため、FPC23により湾曲させることができない部分が長くなることがない。従って、超音波振動子2は、湾曲させることができない部分の長さが短い。
【0041】
なお、より湾曲しやすくするため、FPC23の基端側にスリット、逃げ溝、蛇腹等の構造を設けてもよい。
【0042】
また、実施の形態によれば、引き出し線24が、基端側でまとめられて配置されているため、引き出し線24の取り回しが容易である。さらに、引き出し線24が、超音波内視鏡1の先端に直交する面内において、円周状に配列された圧電素子21の中心と各引き出し線24とを結んだ領域が超音波内視鏡1が湾曲する方向と交わらないように配置されているため、まとめられた引き出し線24が湾曲動作を妨げることが防止されている。
【0043】
(変形例1)
図10は、変形例1に係る超音波振動子を円周状に配置する前の状態を表す図である。
図10に示すように、超音波振動子2Aは、圧電素子21と、電極22Aと、方向D3と交差する方向D4に沿って延びている配線23Aa、及び全体が一枚に繋がっており、基端側から方向D3に交差する方向D4に沿って斜めに延びている斜辺23Abを有するFPC23Aと、引き出し線24と、を備える。
【0044】
変形例1によれば、FPC23Aが斜辺23Abを有するため、FPC23Aが先端硬質部111から突出している部分も可撓性を有するため、湾曲させることができない部分の長さが短い。さらに、FPC23Aの全体が一枚に繋がっていることにより、FPCが複数枚に分かれている場合よりも製造工程を簡易にすることができる。
【0045】
(変形例2)
図11は、変形例2に係る超音波振動子を円周状に配置する前の状態を表す図である。
図11に示すように、超音波振動子2Bは、圧電素子21と、電極22Bと、方向D3と交差する方向D4に沿って延びている配線23Ba、及び並べて配置されている基端側から方向D3に交差する方向D4に沿って斜めに延びている斜辺23Bbを有する同じ形状の2枚のFPC23Bと、引き出し線24と、を備える。
【0046】
変形例2によれば、2枚のFPC23Bが斜辺23Bbを有するため、2枚のFPC23Bがそれぞれ先端硬質部111から突出している部分も可撓性を有するため、湾曲させることができない部分の長さが短い。さらに、2枚のFPC23Bの形状が同一であるため、異なる形状のFPCを複数用意する場合よりも部品点数を少なくすることができる。
【0047】
また、変形例2においても、引き出し線24は、超音波内視鏡1の先端に直交する面内において、円周状に配列された圧電素子21の中心と各引き出し線24とを結んだ領域が超音波内視鏡1が湾曲する方向と交わらないように配置されていることが好ましい。具体的には、円周状に配列された圧電素子21の中心に対してまとめられた引き出し線24が延びている2方向と、挿入部11が湾曲する方向とが、45°ずれるように、引き出し線24を配置すればよい。このとき、まとめられた引き出し線24が湾曲動作を妨げることが防止される。
【0048】
(変形例3)
図12は、変形例3に係る超音波振動子を円周状に配置する前の状態を表す図である。
図12に示すように、超音波振動子2Cは、圧電素子21と、圧電素子21の対角線上に配置された電極22Cと、方向D3と交差する方向D4に沿って延びている配線24Ca、及び全体が一枚に繋がっており、基端側から方向D3に交差する方向D4に沿って斜めに延びている斜辺23Cbを有するFPC23Cと、引き出し線24と、を備える。
【0049】
変形例3によれば、FPC23Cが斜辺23Cbを有するため、FPC23Cが先端硬質部111から突出している部分も可撓性を有するため、湾曲させることができない部分の長さが短い。さらに、FPC23Cの全体が一枚に繋がっていることにより、FPCが複数枚に分かれている場合よりも製造工程を簡易にすることができる。
【0050】
(変形例4)
図13は、変形例4に係る超音波振動子を円周状に配置する前の状態を表す図である。
図13に示すように、超音波振動子2Dは、圧電素子21と、電極22Dと、方向D3と交差する方向D4に沿って延びている配線24Da、及び4枚の基端側から方向D3に交差する方向D4に沿って斜めに延びている斜辺23Dbを有するFPC23Dと、引き出し線24と、を備える。
【0051】
変形例4によれば、4枚のFPC23Bが斜辺23Dbを有するため、4枚のFPC23Bがそれぞれ先端硬質部111から突出している部分も可撓性を有するため、湾曲させることができない部分の長さが短い。
【0052】
また、変形例4においても、変形例2と同様に、円周状に配列された圧電素子21の中心に対してまとめられた引き出し線24が延びている4方向と、挿入部11が湾曲する方向とが、45°ずれるように、引き出し線24を配置されていることが好ましい。なお、挿入部11が湾曲する方向は、例えば1方向、2方向、4方向のものがある。挿入部11が湾曲する方向が4方向であっても、まとめられた引き出し線24が延びている4方向と、挿入部11が湾曲する4方向とを、それぞれ45°ずつずらすことにより、どの方向の湾曲操作も妨げないようにすることができる。
【0053】
(変形例5)
図14は、変形例5に係る超音波振動子を円周状に配置する前の状態を表す図である。
図14に示すように、超音波振動子2Eは、圧電素子21と、電極22Eと、方向D3と交差する方向D4に沿って延びている配線24Ea、及び4枚の基端側から方向D3に交差する方向D4に沿って斜めに延びている斜辺23Ebを有するFPC23Eと、引き出し線24と、を備える。
【0054】
変形例5によれば、4枚のFPC23Bが斜辺23Ebを有するため、4枚のFPC23Bがそれぞれ先端硬質部111から突出している部分も可撓性を有するため、湾曲させることができない部分の長さが短い。
【0055】
また、変形例5においても、変形例2と同様に、円周状に配列された圧電素子21の中心に対してまとめられた引き出し線24が延びている4方向と、挿入部11が湾曲する方向とが、45°ずれるように、引き出し線24を配置されていることが好ましい。
【0056】
(変形例6)
図15は、変形例6に係る超音波振動子を円周状に配置する前の状態を表す図である。
図15に示すように、超音波振動子2Fは、圧電素子21と、電極22Fと、一部が方向D3と交差する方向D4に沿って延びており、他の部分が圧電素子21の配列方向D1に直交する方向D3に沿って延びている配線24Fa、及び基端側から方向D3に交差する方向D4に沿って斜めに延びている斜辺23Fbを有するFPC23Fと、引き出し線24と、を備える。
【0057】
変形例6によれば、4枚のFPC23Bが斜辺23Fbを有するため、4枚のFPC23Bがそれぞれ先端硬質部111から突出している部分も可撓性を有するため、湾曲させることができない部分の長さが短い。このように、配線の一部が圧電素子の配列方向D1に直交する方向D3に沿って配置されていてもよい。また、電極は、圧電素子の配列方向D1に沿った方向D2に沿って並べられていてもよい。
【0058】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表し、かつ記述した特定の詳細及び代表的な実施の形態に限定されるものではない。従って、添付のクレーム及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。