特許第6800085号(P6800085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800085
(24)【登録日】2020年11月26日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】エネルギ供給システム
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/24 20060101AFI20201207BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20201207BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20201207BHJP
   F24H 1/18 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   F23N5/24 102A
   F23K5/00 304
   H01M8/04 H
   H01M8/04 J
   F23K5/00 302
   F24H1/18 503Z
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-86165(P2017-86165)
(22)【出願日】2017年4月25日
(65)【公開番号】特開2018-185085(P2018-185085A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2019年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】秋田 達也
(72)【発明者】
【氏名】桝本 幸嗣
(72)【発明者】
【氏名】濱走 正美
(72)【発明者】
【氏名】指原 和秀
【審査官】 堀川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−223690(JP,A)
【文献】 特開2011−175816(JP,A)
【文献】 特開2003−282116(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/047146(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/24
F23K 5/00
F24H 1/18
H01M 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイコンメータを経由して供給される燃料ガスを用いて発電する発電部と、前記発電部の運転を制御する発電側制御部とを有するエネルギ供給装置を備え、
前記マイコンメータは、燃料ガスの通流量が設定判定量以下となる状態が設定判定時間以上連続することを含む所定の判定条件を満たす燃料ガス非消費状態が漏洩判定用期間の間に生じないときには、警報作動する又は燃料ガスの供給を遮断するように構成されているエネルギ供給システムであって、
同一の前記マイコンメータを経由して燃料ガスが供給される複数の前記エネルギ供給装置で構成される装置群を備え、
複数の前記エネルギ供給装置との間で、通信回線を介して情報の送受信を行うことができるサーバー装置を備え、
前記サーバー装置は、
複数の前記エネルギ供給装置での燃料ガスの消費量に関する消費量情報を前記通信回線を介して受信して記憶し、
前記消費量情報に基づいて、前記装置群を構成する複数の前記エネルギ供給装置が有する前記発電部の停止実行条件が満たされたと判定すると、当該発電部の運転を起動禁止解除条件が満たされるまで停止させる指令を前記装置群を構成する複数の前記エネルギ供給装置に伝達する漏洩判定回避用停止処理を実行するように構成され、
前記装置群を構成する複数の前記エネルギ供給装置での合計の燃料ガスの消費量が前記設定判定量以下となる状態が前記設定判定時間以上連続することを含む所定のガス不使用状態が無い状況が、前記漏洩判定用期間よりも短い所定期間連続したことを前記停止実行条件とするエネルギ供給システム。
【請求項2】
前記サーバー装置は、同一の前記マイコンメータを経由して燃料ガスが供給される前記装置群を構成する複数の前記エネルギ供給装置に関して、当該複数の前記エネルギ供給装置のそれぞれに付与されている固有の識別情報を関連付けて記憶し、
前記エネルギ供給装置は、前記消費量情報を前記識別情報と共に前記サーバー装置に送信する請求項1に記載のエネルギ供給システム。
【請求項3】
前記サーバー装置は、前記漏洩判定回避用停止処理によって前記装置群を構成する複数の前記エネルギ供給装置が有する前記発電部が運転を停止してから所定の待機期間の間に、前記装置群を構成する前記エネルギ供給装置での合計の燃料ガスの消費量が前記設定判定量以下となる状態が前記設定判定時間以上連続することを含む所定のガス不使用状態があったことを前記起動禁止解除条件とする請求項1又は2に記載のエネルギ供給システム。
【請求項4】
マイコンメータを経由して供給される燃料ガスを用いて発電する発電部と、前記発電部の運転を制御する発電側制御部とを有するエネルギ供給装置を備え、
前記マイコンメータは、燃料ガスの通流量が設定判定量以下となる状態が設定判定時間以上連続することを含む所定の判定条件を満たす燃料ガス非消費状態が漏洩判定用期間の間に生じないときには、警報作動する又は燃料ガスの供給を遮断するように構成されているエネルギ供給システムであって、
同一の前記マイコンメータを経由して燃料ガスが供給される複数の前記エネルギ供給装置で構成される装置群を備え、
複数の前記エネルギ供給装置との間で、通信回線を介して情報の送受信を行うことができるサーバー装置を備え、
前記サーバー装置は、
前記装置群を構成する一つの前記エネルギ供給装置及び他の前記エネルギ供給装置のうち、他の前記エネルギ供給装置から前記通信回線を介して受信した当該他の前記エネルギ供給装置での燃料ガスの消費量に関する第2消費量情報を一つの前記エネルギ供給装置に伝達し、
一つの前記エネルギ供給装置の前記発電側制御部は、
自身の前記エネルギ供給装置での燃料ガスの消費量に関する第1消費量情報及び前記サーバー装置から受信した他の前記エネルギ供給装置での前記第2消費量情報に基づいて、前記装置群を構成する複数の前記エネルギ供給装置が有する前記発電部の停止実行条件が満たされたと判定すると、自身の前記エネルギ供給装置の前記発電部の運転を起動禁止解除条件が満たされるまで停止させ及び他の前記エネルギ供給装置の前記発電部の運転を前記起動禁止解除条件が満たされるまで停止させる指令を当該他の前記エネルギ供給装置に伝達する漏洩判定回避用停止処理を実行するように構成され、
前記装置群を構成する複数の前記エネルギ供給装置での合計の燃料ガスの消費量が前記設定判定量以下となる状態が前記設定判定時間以上連続することを含む所定のガス不使用状態が無い状況が、前記漏洩判定用期間よりも短い所定期間連続したことを前記停止実行条件とするエネルギ供給システム。
【請求項5】
前記サーバー装置は、同一の前記マイコンメータを経由して燃料ガスが供給される前記装置群を構成する複数の前記エネルギ供給装置に関して、当該複数の前記エネルギ供給装置のそれぞれに付与されている固有の識別情報を関連付けて記憶し、
他の前記エネルギ供給装置は前記第2消費量情報を前記識別情報と共に前記サーバー装置に送信する請求項4に記載のエネルギ供給システム。
【請求項6】
一つの前記エネルギ供給装置の前記発電側制御部は、前記漏洩判定回避用停止処理によって前記装置群を構成する複数の前記エネルギ供給装置が有する前記発電部が運転を停止してから所定の待機期間の間に、前記装置群を構成する前記エネルギ供給装置での合計の燃料ガスの消費量が前記設定判定量以下となる状態が前記設定判定時間以上連続することを含む所定のガス不使用状態があったことを前記起動禁止解除条件とする請求項4又は5に記載のエネルギ供給システム。
【請求項7】
前記エネルギ供給装置は、前記マイコンメータを経由して供給される燃料ガスを用いて熱を発生する熱源部と、前記熱源部の運転を制御する熱源側制御部とを更に有する請求項1〜6の何れか一項に記載のエネルギ供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイコンメータを経由して供給される燃料ガスを用いて発電する発電部と、前記発電部の運転を制御する発電側制御部を有するエネルギ供給装置を備え、前記マイコンメータは、燃料ガスの通流量が設定判定量以下となる状態が設定判定時間以上連続することを含む所定の判定条件を満たす燃料ガス非消費状態が漏洩判定用期間の間に生じないときには、警報作動する又は燃料ガスの供給を遮断するように構成されているエネルギ供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスの通流量が設定判定量以下となる状態が設定判定時間以上連続することを含む所定の判定条件を満たす燃料ガス非消費状態が漏洩判定用期間の間に生じなかった場合、マイコンメータは警報作動する又は燃料ガスの供給を遮断する。マイコンメータが警報作動した場合、例えば、通報を受けた作業員が、燃料ガスの供給を遮断して、実際に燃料ガスが漏れていないか否かの点検を行わなければならない面倒がある。また、マイコンメータが燃料ガスの供給を遮断した場合には、マイコンメータを燃料ガスの供給状態に復旧する操作を行わなければならない面倒がある。そのため、マイコンメータが、燃料ガス非消費状態が漏洩判定用期間の間に生じなかったことにより警報作動することを回避できれば及び燃料ガスの供給を遮断することを回避できれば好ましい。
【0003】
但し、マイコンメータを経由して供給される燃料ガスを用いて発電する発電部を有するエネルギ供給装置が設けられているエネルギ供給システムでは、発電部の運転と停止とを頻繁に繰り返すのではなく、発電部が比較的長い期間、連続して運転されることが多い。そのため、発電部が漏洩判定用期間(例えば、30日)を超えて運転を継続すると、燃料ガスの通流量が設定判定量(例えば、1.0L/h)以下となることに基づいて求められる燃料ガス非消費状態が漏洩判定用期間の間に生じないため、マイコンメータが警報作動や燃料ガスの供給の遮断をしてしまうという事態が発生する。
【0004】
特許文献1に記載のエネルギ供給システムは、マイコンメータを経由して供給される燃料ガスを用いて発電する発電部とその発電部の運転を制御する発電側制御部とを有するエネルギ供給装置を備える。このエネルギ供給システムでは、エネルギ供給装置は、自身の発電部での燃料ガスの消費量を知ることができる構成になっている。
そして、漏洩判定用期間(30日)の2日前に相当する日(28日)又は1日前に相当する日(29日)に発電部の運転を停止させ、発電部の運転を停止した後においては、エネルギ供給装置へ燃料ガスを供給しない時間が設定継続時間(60分)に対応する所定時間(60分)を継続したか否かを判断し、所定時間を継続した場合には、起動禁止解除条件が満たされたとして、発電部を再起動するように構成されている。
【0005】
このように、特許文献1に記載のエネルギ供給システムでは、燃料ガス非消費状態が生じない期間が漏洩判定用期間に到達する前に、少なくとも発電部では燃料ガスを消費させない期間を意図的に設けることで、燃料ガス非消費状態を発生させるように試みている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017−022078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のエネルギ供給システムでは、同一のマイコンメータから燃料ガスの供給を受ける複数台のエネルギ供給装置を備えている場合が想定されていない。例えば、2世帯住宅などでは、同一の敷地内に複数台のエネルギ供給装置(燃料電池などの発電部)が設置され、それら複数台のエネルギ供給装置に対して同一のマイコンメータを経由して燃料ガスが供給される場合もある。
【0008】
そのため、1台のエネルギ供給装置は、自身のエネルギ供給装置での燃料ガスの消費量を知ることはできるが、他のエネルギ供給装置での燃料ガスの消費量を知ることはできない。その結果、1台のエネルギ供給装置は、マイコンメータに関して燃料ガス非消費状態が発生しているか否かを正確に判断できないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、同一のマイコンメータを経由して燃料ガスが供給される他のエネルギ供給装置が存在するか否かに関わらず、適切なタイミングで発電部の運転を停止及び再開できるエネルギ供給システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係るエネルギ供給システムの特徴構成は、マイコンメータを経由して供給される燃料ガスを用いて発電する発電部と、前記発電部の運転を制御する発電側制御部とを有するエネルギ供給装置を備え、前記マイコンメータは、燃料ガスの通流量が設定判定量以下となる状態が設定判定時間以上連続することを含む所定の判定条件を満たす燃料ガス非消費状態が漏洩判定用期間の間に生じないときには、警報作動する又は燃料ガスの供給を遮断するように構成されているエネルギ供給システムであって、
同一の前記マイコンメータを経由して燃料ガスが供給される複数の前記エネルギ供給装置で構成される装置群を備え、
複数の前記エネルギ供給装置との間で、通信回線を介して情報の送受信を行うことができるサーバー装置を備え、
前記サーバー装置は、複数の前記エネルギ供給装置での燃料ガスの消費量に関する消費量情報を前記通信回線を介して受信して記憶し、前記消費量情報に基づいて、前記装置群を構成する複数の前記エネルギ供給装置が有する前記発電部の停止実行条件が満たされたと判定すると、当該発電部の運転を起動禁止解除条件が満たされるまで停止させる指令を前記装置群を構成する複数の前記エネルギ供給装置に伝達する漏洩判定回避用停止処理を実行するように構成され、前記装置群を構成する複数の前記エネルギ供給装置での合計の燃料ガスの消費量が前記設定判定量以下となる状態が前記設定判定時間以上連続することを含む所定のガス不使用状態が無い状況が、前記漏洩判定用期間よりも短い所定期間連続したことを前記停止実行条件とする点にある。
尚、前記エネルギ供給装置は、前記マイコンメータを経由して供給される燃料ガスを用いて熱を発生する熱源部と、前記熱源部の運転を制御する熱源側制御部とを更に有していてもよい。
【0011】
上記特徴構成によれば、サーバー装置は、同一のマイコンメータを経由して燃料ガスが供給される複数のエネルギ供給装置での燃料ガスの消費量に関する消費量情報に基づいて、その同一のマイコンメータを経由して燃料ガスが供給される装置群を構成する複数のエネルギ供給装置が有する発電部の停止実行条件が満たされたと判定すると、それら発電部の運転を起動禁止解除条件が満たされるまで停止させる指令をその装置群を構成する複数のエネルギ供給装置に伝達する漏洩判定回避用停止処理を実行する。このように、停止実行条件が満たされた後、起動禁止解除条件が満たされるまで発電部の運転を停止させる、即ち、発電部の運転による燃料ガスの消費を停止させる期間を強制的に設けることで、マイコンメータがその間に燃料ガス非消費状態が発生したと判定する可能性が高まる。
【0012】
また、サーバー装置は、装置群を構成する複数のエネルギ供給装置での合計の燃料ガスの消費量が設定判定量以下となる状態が設定判定時間以上連続することを含む所定のガス不使用状態が無い状況が、漏洩判定用期間よりも短い所定期間連続したことを停止実行条件とする。つまり、サーバー装置は、上記漏洩判定用期間よりも短い所定期間を設定することで、マイコンメータによって燃料ガス非消費状態が漏洩判定用期間の間に生じないと判定される前に、発電部の停止実行条件が満たされたと判定して、発電部の運転を停止させる。その結果、マイコンメータが警報作動する又は燃料ガスの供給を遮断するといった事態が回避されることを期待できる。
従って、同一のマイコンメータを経由して燃料ガスが供給される他のエネルギ供給装置が存在するか否かに関わらず、適切なタイミングで発電部の運転を停止及び再開できるエネルギ供給システムを提供できる。
【0013】
本発明に係るエネルギ供給システムの別の特徴構成は、前記サーバー装置は、同一の前記マイコンメータを経由して燃料ガスが供給される前記装置群を構成する複数の前記エネルギ供給装置に関して、当該複数の前記エネルギ供給装置のそれぞれに付与されている固有の識別情報を関連付けて記憶し、
前記エネルギ供給装置は、前記消費量情報を前記識別情報と共に前記サーバー装置に送信する点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、サーバー装置は、同一のマイコンメータを経由して燃料ガスが供給される装置群を構成する複数のエネルギ供給装置に関して、それら複数のエネルギ供給装置のそれぞれに付与されている固有の識別情報を関連付けて記憶している。そのため、サーバー装置は、特定のマイコンメータを経由して燃料ガスが供給される装置群を構成するエネルギ供給装置から識別情報と共に受信したそのエネルギ供給装置での燃料ガスの消費量に関する消費量情報と、それと同じマイコンメータを経由して燃料ガスが供給される同じ装置群を構成するエネルギ供給装置から識別情報と共に受信したそのエネルギ供給装置での燃料ガスの消費量に関する消費量情報とを関連付けて管理できる。そして、サーバー装置は、関連付けて管理している特定の装置群を構成する複数のエネルギ供給装置の消費量情報に基づいて、エネルギ供給装置の発電部の停止実行条件が満たされたか否かの判定と起動禁止解除条件が満たされたか否かの判定とを行うことができる。
【0015】
本発明に係るエネルギ供給システムの更に別の特徴構成は、前記サーバー装置は、前記漏洩判定回避用停止処理によって前記装置群を構成する複数の前記エネルギ供給装置が有する前記発電部が運転を停止してから所定の待機期間の間に、前記装置群を構成する前記エネルギ供給装置での合計の燃料ガスの消費量が前記設定判定量以下となる状態が前記設定判定時間以上連続することを含む所定のガス不使用状態があったことを前記起動禁止解除条件とする点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、サーバー装置は、燃料ガス非消費状態が発生したか否かをマイコンメータが判定するときの根拠となる情報(複数のエネルギ供給装置及びその他の装置での燃料ガスの消費量)と近い情報(複数のエネルギ供給装置での燃料ガスの消費量)を用いて、起動禁止解除条件が満たされたか否かを判定する。その結果、サーバー装置が上記待機期間の間に起動禁止解除条件が満たされたと判定して発電部の運転の再開を指令するときには、マイコンメータでもその待機期間の間に燃料ガス非消費状態が発生したと判定する可能性が高まる。従って、停止実行条件が満たされることで発電部の運転を停止させた後、適切なタイミングで発電部の運転を再開できる。
【0017】
本発明に係るエネルギ供給システムの更に別の特徴構成は、マイコンメータを経由して供給される燃料ガスを用いて発電する発電部と、前記発電部の運転を制御する発電側制御部とを有するエネルギ供給装置を備え、前記マイコンメータは、燃料ガスの通流量が設定判定量以下となる状態が設定判定時間以上連続することを含む所定の判定条件を満たす燃料ガス非消費状態が漏洩判定用期間の間に生じないときには、警報作動する又は燃料ガスの供給を遮断するように構成されているエネルギ供給システムであって、
同一の前記マイコンメータを経由して燃料ガスが供給される複数の前記エネルギ供給装置で構成される装置群を備え、
複数の前記エネルギ供給装置との間で、通信回線を介して情報の送受信を行うことができるサーバー装置を備え、
前記サーバー装置は、前記装置群を構成する一つの前記エネルギ供給装置及び他の前記エネルギ供給装置のうち、他の前記エネルギ供給装置から前記通信回線を介して受信した当該他の前記エネルギ供給装置での燃料ガスの消費量に関する第2消費量情報を一つの前記エネルギ供給装置に伝達し、
一つの前記エネルギ供給装置の前記発電側制御部は、自身の前記エネルギ供給装置での燃料ガスの消費量に関する第1消費量情報及び前記サーバー装置から受信した他の前記エネルギ供給装置での前記第2消費量情報に基づいて、前記装置群を構成する複数の前記エネルギ供給装置が有する前記発電部の停止実行条件が満たされたと判定すると、自身の前記エネルギ供給装置の前記発電部の運転を起動禁止解除条件が満たされるまで停止させ及び他の前記エネルギ供給装置の前記発電部の運転を前記起動禁止解除条件が満たされるまで停止させる指令を当該他の前記エネルギ供給装置に伝達する漏洩判定回避用停止処理を実行するように構成され、前記装置群を構成する複数の前記エネルギ供給装置での合計の燃料ガスの消費量が前記設定判定量以下となる状態が前記設定判定時間以上連続することを含む所定のガス不使用状態が無い状況が、前記漏洩判定用期間よりも短い所定期間連続したことを前記停止実行条件とする点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、サーバー装置は、装置群を構成する一つのエネルギ供給装置及び他のエネルギ供給装置のうち、他のエネルギ供給装置から通信回線を介して受信した当該他のエネルギ供給装置での燃料ガスの消費量に関する第2消費量情報を一つのエネルギ供給装置に伝達する。その結果、一つのエネルギ供給装置の発電側制御部は、自身のエネルギ供給装置での燃料ガスの消費量に関する第1消費量情報と、サーバー装置から受信した他のエネルギ供給装置での燃料ガスの消費量に関する第2消費量情報とを知ることができる。そして、一つのエネルギ供給装置の発電側制御部は、それら第1消費量情報及び第2消費量情報に基づいて、装置群が有する発電部の停止実行条件が満たされたと判定すると、その装置群に燃料ガスを供給するマイコンメータに関して燃料ガス非消費状態が発生するように、自身のエネルギ供給装置の発電部の運転を起動禁止解除条件が満たされるまで停止させ及び他のエネルギ供給装置の発電部の運転を起動禁止解除条件が満たされるまで停止させる指令を当該他のエネルギ供給装置に伝達する漏洩判定回避用停止処理を実行する。このように、停止実行条件が満たされた後、起動禁止解除条件が満たされるまで装置群を構成するエネルギ供給装置の発電部の運転を停止させる、即ち、発電部の運転による燃料ガスの消費を停止させる期間を強制的に設けることで、マイコンメータがその間に燃料ガス非消費状態が発生したと判定する可能性が高まる。
【0019】
特に本特徴構成では、一つのエネルギ供給装置の発電側制御部は、上記漏洩判定用期間よりも短い所定期間を設定することで、マイコンメータによって燃料ガス非消費状態が漏洩判定用期間の間に生じないと判定される前に、装置群を構成する複数のエネルギ供給装置の発電部の停止実行条件が満たされたと判定して、発電部の運転を停止させる。その結果、マイコンメータが警報作動する又は燃料ガスの供給を遮断するといった事態が回避されることを期待できる。
【0020】
本発明に係るエネルギ供給システムの更に別の特徴構成は、前記サーバー装置は、同一の前記マイコンメータを経由して燃料ガスが供給される前記装置群を構成する複数の前記エネルギ供給装置に関して、当該複数の前記エネルギ供給装置のそれぞれに付与されている固有の識別情報を関連付けて記憶し、
他の前記エネルギ供給装置は前記第2消費量情報を前記識別情報と共に前記サーバー装置に送信する点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、サーバー装置は、同一のマイコンメータを経由して燃料ガスが供給される装置群を構成する複数のエネルギ供給装置に関して、その複数のエネルギ供給装置のそれぞれに付与されている固有の識別情報を関連付けて記憶している。そのため、サーバー装置は、他のエネルギ供給装置からそのエネルギ供給装置での燃料ガスの消費量に関する第2消費量情報を上記識別情報と共に受信したとしても、その消費量情報をどのエネルギ供給装置に伝達すればよいのかを特定できる。
【0022】
本発明に係るエネルギ供給システムの更に別の特徴構成は、一つの前記エネルギ供給装置の前記発電側制御部は、前記漏洩判定回避用停止処理によって前記装置群を構成する複数の前記エネルギ供給装置が有する前記発電部が運転を停止してから所定の待機期間の間に、前記装置群を構成する前記エネルギ供給装置での合計の燃料ガスの消費量が前記設定判定量以下となる状態が前記設定判定時間以上連続することを含む所定のガス不使用状態があったことを前記起動禁止解除条件とする点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、一つのエネルギ供給装置の発電側制御部は、燃料ガス非消費状態が発生したか否かをマイコンメータが判定するときの根拠となる情報(複数のエネルギ供給装置及びその他の装置での燃料ガスの消費量)と近い情報(複数のエネルギ供給装置での燃料ガスの消費量)を用いて、起動禁止解除条件が満たされたか否かを判定する。その結果、発電側制御部が上記待機期間の間に起動禁止解除条件が満たされたと判定して発電部の運転を再開するときには、マイコンメータでもその待機期間の間に燃料ガス非消費状態が発生したと判定する可能性が高まる。従って、停止実行条件が満たされることで発電部の運転を停止させた後、適切なタイミングで発電部の運転を再開できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】エネルギ供給システムの構成を示す図である。
図2】エネルギ供給システムが備えるエネルギ供給装置の構成を示す図である。
図3】熱源ユニットの構成を具体的に記載した図である。
図4】発電ユニットの構成を具体的に記載した図である。
図5】サーバー装置が行う漏洩判定回避処理を説明するフローチャートである。
図6】発電側制御部が行う漏洩判定回避処理を説明するフローチャートである。
図7】第3実施形態のエネルギ供給システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に図面を参照して本発明の実施形態に係るエネルギ供給システムについて説明する。
図1は、エネルギ供給システムの構成を示す図である。図2は、エネルギ供給システムが備えるエネルギ供給装置Eの構成を示す図である。エネルギ供給システムは、同一のマイコンメータMを経由して燃料ガスが供給される複数のエネルギ供給装置E(E1,E2)で構成される装置群を備える。図2に示すように、各エネルギ供給装置Eは、マイコンメータMを経由して供給される燃料ガスを用いて発電する発電部Aとしての熱電併給部41と、熱電併給部41の運転を制御する発電側制御部92を有する発電ユニット40を備える。加えて、エネルギ供給システムは、複数のエネルギ供給装置Eとの間で、通信回線3を介して情報の送受信を行うことができるサーバー装置4を備える。本実施形態では、各エネルギ供給装置Eは、上記マイコンメータMを経由して供給される燃料ガスを用いて熱を発生する熱源部Bと、熱源部Bの運転を制御する熱源側制御部25とを有する熱源ユニット10を更に備える。加えて、本実施形態の発電ユニット40は、発電側通信部93と、発電側記憶部94と、流量計Faとを有する。また、本実施形態の熱源ユニット10は、熱源側通信部26と、熱源側記憶部27と、流量計Fbとを有する。
発電ユニット40及び熱源ユニット10の具体的な構成については後述する。
【0026】
本実施形態では、複数のエネルギ供給装置E1,E2が、同一の施設5(例えば、住居や事業所など)内に設置されている。そのため、複数のエネルギ供給装置E1,E2には、同一のマイコンメータMの下流側に接続されるガス管1を経由して燃料ガスGが供給される。尚、ガス管1は、ガスコンロなどの他のガス消費機器2にも接続されて、燃料ガスGが供給される。例えば、2世帯住宅などでは、図1に示すように同一の施設5内に2台のエネルギ供給装置Eが設置され、それら2台のエネルギ供給装置Eに対して同一のマイコンメータMを経由して燃料ガスが供給される。このような場合、1台のエネルギ供給装置Eは、自身のエネルギ供給装置Eでの燃料ガスの消費量を知ることはできるが、他のエネルギ供給装置Eでの燃料ガスの消費量を直接知ることはできない。
【0027】
マイコンメータMは、燃料ガスGの通流量が設定判定量以下となる状態が設定判定時間以上連続することを含む所定の判定条件を満たす燃料ガス非消費状態が漏洩判定用期間の間に生じないときには、警報作動する又は燃料ガスGの供給を遮断する機能を備えている。例えば、超音波式のマイコンメータMの場合、マイコンメータMの漏洩判定用期間(例えば30日間)において、燃料ガス非消費状態であると見なされるための判定条件(即ち、燃料ガスGの通流量が設定判定量(例えば、1.0L/h)以下となる状態が設定判定時間以上(例えば、2分以上)である場合の継続時間の積算値が設定値以上(例えば、60分)となる条件)が満たされなければ、マイコンメータMは警報作動する又は燃料ガスGの供給を遮断する。
【0028】
〔熱源ユニット10〕
図3に例示するように、熱源ユニット10は、一般的な給湯暖房器として構成され、熱源側入水部20aを介して供給された湯水Wを、予め設定された設定給湯温度に加熱して給湯栓30に供給する、所謂給湯運転を行うと共に、暖房放熱器33へ加熱した熱媒を循環させる暖房用循環路34を通流する熱媒Hを加熱する暖房運転を行うものである。外部インターフェースとしては、上水管路20の一端側に設けられ外部から湯水Wを上水管路20に取り込む熱源側入水部20a、上水管路20の他端側に設けられ上水管路20の湯水Wを外部に吐出する熱源側出水部20b、熱媒流路16の一端側に設けられ外部から熱媒Hを熱媒流路16に取り込む熱源側熱媒受入部16a、熱媒流路16の他端側に設けられ熱媒流路16の熱媒Hを外部に吐出する熱源側熱媒吐出部16b、及び、都市ガス等の燃料ガスGを取り込む燃料ガス供給部14などが設けられている。上水管路20には、給湯熱交換器11bの上流側と下流側とを接続する形態でバイパス調整弁24が設けられている。
【0029】
熱源側出水部20bは、給湯栓30に接続されることで、熱源側出水部20bから吐出された湯水Wが給湯栓30に供給される。また、熱源側熱媒受入部16a及び熱源側熱媒吐出部16bは、温水床暖房パネルなどの暖房放熱器33との間に設けられた暖房用循環路34を循環する熱媒Hを取り込み又は吐出する形態で、暖房用循環路34に接続される。暖房用循環路34は、熱源側熱媒吐出部16bから吐出された熱媒Hの全量のうち、所定流量が、往きヘッダ31を介して暖房用循環路34に設けられた暖房放熱器33に供給され、一方、暖房放熱器33を通過した熱媒Hが、戻りヘッダ32を通過し、戻りヘッダ32を通過した熱媒Hの全量を発電ユニット40へ導く発電側熱媒流路104を通流して、熱源側熱媒受入部16aに戻すように配設されている。
【0030】
熱源ユニット10には、バーナ11a,12aの作動を制御したり、その他弁やポンプなどの各種補機の運転を制御したりするコンピュータからなる熱源側制御部25が設けられている。
【0031】
熱源ユニット10は、熱源側入水部20aに取り込んで熱源側出水部20bから吐出される湯水Wを加熱するための給湯用加熱部11と、熱源側熱媒受入部16aに取り込んで熱源側熱媒吐出部16bから吐出される熱媒Hを加熱するための暖房用加熱部12とを有する。給湯用加熱部11及び暖房用加熱部12は本発明の熱源部Bに対応する。
給湯用加熱部11は、調整弁11cを介して供給される燃料ガスGをファン13により供給される燃焼用空気により燃焼させるバーナ11aと、バーナ11aから排出される高温の燃焼ガスとの熱交換により上水管路20を通流する湯水Wを加熱する給湯熱交換器11bとを有して構成されている。
暖房用加熱部12は、調整弁12cを介して供給される燃料ガスGをファン13により供給される燃焼用空気により燃焼させるバーナ12aと、バーナ12aから排出される高温の燃焼ガスとの熱交換により熱媒流路16を通流する熱媒Hを加熱する暖房熱交換器12bとを有して構成されている。
【0032】
また、上水管路20には、熱源側入水部20aから取り込んだ湯水Wの温度(以下「熱源側入水温度」と呼ぶ場合がある。)を検出する第3温度センサ21と、熱源側出水部20bから吐出する湯水Wの温度(以下「熱源側出水温度」と呼ぶ場合がある。)を検出する第4温度センサ22と、湯水Wの通流を検出する水スイッチ23とが配置されている。
一方、熱媒流路16には、熱源側熱媒受入部16aから取り込んだ熱媒Hの温度(以下「熱源側入熱媒温度」と呼ぶ場合がある。)を検出する第1温度センサ17と、熱源側熱媒吐出部16bから吐出する熱媒Hの温度(以下「熱源側出熱媒温度」と呼ぶ場合がある。)を検出する第2温度センサ18と、熱媒Hを送出する熱媒ポンプ19とが配置されている。
【0033】
このような構成により、熱源側制御部25は、熱源側入水部20aから供給された湯水Wを予めリモコン(図示せず)で設定された設定給湯温度に加熱して給湯栓30に供給する給湯運転や、暖房運転時において暖房放熱器33との間に設けられた暖房用循環路34を循環する熱媒Hを予め設定された目標温度に加熱する暖房運転を実行可能となる。
【0034】
〔発電ユニット40〕
図4に例示するように、発電ユニット40は、上述した熱源ユニット10に並設される一の筐体60内に各種機器を配置した一体型に構成されている。発電ユニット40は、外部インターフェースとして、上水道から湯水W(上水)を取り込む発電側入水部80a、湯水Wを熱源ユニット10側へ吐出する発電側出水部78a、貯湯タンク90の排水を行う排水路74及び排水弁75、熱源ユニット10側から暖房用の熱媒Hを取り込む発電側熱媒受入部58a、熱源ユニット10側へ熱媒Hを吐出する発電側熱媒吐出部58bなどが設けられている。
更に、発電ユニット40側に設けられた熱電併給部41並びに弁やポンプなどの各種補機の運転を制御するコンピュータからなる発電側制御部92が設けられている。
【0035】
発電ユニット40が有する発電部Aとしての熱電併給部41は、燃料電池発電装置やエンジン駆動式発電装置などである。例えば、燃料電池発電装置であれば、供給される燃料ガスGを改質処理する改質処理装置と、改質処理により得られる水素などを用いて発電する燃料電池とを備える。エンジン駆動式発電装置であれば、燃料ガスGを燃料として消費して作動するエンジンとそのエンジンにて駆動される発電機とを備える。熱電併給部41で発生した電力は適宜インバータ等を介して商用電源と連系する形態で外部の電力負荷等に供給される。また、熱電併給部41が発生した熱は湯水Wの加熱に利用され、かかる加熱された湯水Wを貯留する貯湯タンク90が設けられている。
【0036】
熱電併給部41は、例えば内部に設けられた冷却水ジャケット(図示省略)を通流する冷却水Cにより冷却される構造を有し、その冷却水Cが循環する冷却水循環路42が設けられている。冷却水循環路42には、冷却水Cの循環方向に沿って、冷却水Cを送り出す冷却水ポンプ46、冷却水Cの通流を断続可能な電磁弁47、熱電併給部41における冷却水ジャケット(図示省略)、冷却水ジャケットから吐出された冷却水Cで、冷却水ジャケットの下流側に設けられる暖房用熱交換器56への冷却水入温度を検出する第6温度センサ50、後述する熱媒バイパス路104bを通流する熱媒Hと冷却水循環路42で冷却水ジャケットを出た後の冷却水Cとを熱交換する暖房用熱交換器56と、暖房用熱交換器56の出口冷却水温度を検出する第8温度センサ57と、冷却水循環路42の側と冷却水バイパス路43の側とを通流する冷却水Cの配分流量を制御する冷却水三方調整弁45と、冷却水Cを一次的に貯留するバッファタンク51とが、記載の順で配設されている。
【0037】
バッファタンク51には、一時的に貯留される冷却水Cの温度で、冷却水三方調整弁45にて合流された下流側の冷却水合流温度を検出する第5温度センサ49が設けられている。また、発電側入水部80aに供給された湯水Wが、補充水路53及び電磁弁52を介して適宜冷却水Cとしてバッファタンク51に補充される。冷却水バイパス路43には、貯湯タンク90に貯留される湯水Wと冷却水Cとを熱交換する貯湯用熱交換器55が設けられると共に、貯湯用熱交換器55の出口冷却水温度を検出する第7温度センサ54が設けられている。
【0038】
即ち、熱電併給部41において熱を発生している状態で、且つ熱媒ポンプ19を作動させて、暖房用熱交換器56に熱媒Hを通流させると共に、冷却水ポンプ46を作動させ、冷却水循環路42に冷却水Cを循環させると、熱電併給部41を通過して加熱された冷却水Cが、貯湯用熱交換器55及び暖房用熱交換器56を通過することで湯水W及び熱媒Hとの間で熱交換を行い、再び熱電併給部41に供給されることになる。
【0039】
また、冷却水循環路42には、熱電併給部41の上流側と下流側とを繋ぐ熱電併給部バイパス路44と、熱電併給部バイパス路44を通流する冷却水Cの流量を調整する電磁弁48と、熱電併給部41の入口直前での冷却水循環路42の流量を調整する電磁弁47とが設けられている。これにより、冷却水循環路42に冷却水Cが循環している状態において、熱電併給部41の上流側に配置された電磁弁47を閉弁させると共に熱電併給部バイパス路44に配置された電磁弁48を開弁させることで、冷却水Cの全量を、熱電併給部41をバイパスさせて熱電併給部バイパス路44に通流できる。
【0040】
尚、暖房用熱交換器56の配設位置に関し説明を追加すると、暖房用熱交換器56は、冷却水循環路42での冷却水Cの流れ方向で、熱電併給部41の下流側での冷却水循環路42と熱電併給部バイパス路44との接続部位と、冷却水バイパス路43と冷却水循環路42との上流側接続部位(冷却水バイパス路43における冷却水Cの流れ方向での上流側接続部位)との間に、配設されている。
【0041】
貯湯タンク90は、下部90bに湯水Wが供給され上部90aから発電側出水部78aに湯水Wが取り出される密閉式タンクとして構成されている。
貯湯タンク90の上部90aに接続された上部管路66は、湯水三方調整弁77及び出湯管路78を介して発電側出水部78aに接続されており、その湯水三方調整弁77の上流側には、貯湯タンク90の上部90aから上部管路66に取り出された湯水Wの温度(以下「タンク取出湯水温度」と呼ぶ場合がある。)を検出する第9温度センサ76が設けられている。尚、このタンク取出湯水温度の検出は、第9温度センサ76の代わりに、貯湯タンク90の上下方向に分散配置した複数の温度センサ91のうち最上部に設けられた温度センサ91aで行っても構わない。
また、この湯水三方調整弁77には、発電側入水部80aに通じる給水管路82が接続されている。更に、出湯管路78と給水管路82とは、バイパス管路86により接続されており、このバイパス管路86には、湯水Wの通流を断続可能な電磁弁87が配置されている。
即ち、上記湯水三方調整弁77は、貯湯タンク90の上部90aから発電側出水部78aに供給される湯水Wに対し、混合比調整を伴って、給水管路82から供給される湯水Wを混合可能な混合部として機能する。
尚、出湯管路78のバイパス管路86との接続部の下流側には、湯水Wの通流方向に沿って、湯水Wの流量を検出する流量センサ79、発電側出水部78aから吐出される湯水Wの温度(以下「発電側出水温度」と呼ぶ場合がある。)を検出する第10温度センサ81が、記載の順に配置されている。
一方、給水管路82のバイパス管路86との接続部の上流側には、湯水Wの通流方向に沿って、湯水Wの圧力を調整する減圧弁84、発電側入水部80aに供給された湯水Wの温度を検出する第11温度センサ85、湯水Wの逆流を阻止する逆止弁83が、記載の順に配置されている。
【0042】
また、給水管路82は、貯湯タンク90の下部90bに接続された底部管路72に対して逆止弁89を介して接続されており、この構成により、貯湯タンク90では、上部90aから湯水Wが取り出されると同時に、下部90bから湯水Wが、給水管路82、及び底部管路72を介して供給されることになる。
【0043】
暖房用循環路34に関し説明を加えると、暖房用循環路34は、戻りヘッダ32を通過した熱媒Hの全量を発電ユニット40へ導く発電側熱媒流路104を有すると共に、発電側熱媒流路104を通流する熱媒Hの一部又は全部を、暖房用熱交換器56の側へバイパスする熱媒バイパス路104bとを有する。
説明を追加すると、発電側熱媒流路104は、発電側熱媒受入部58a及び発電側熱媒吐出部58bを介して、発電ユニット40の筐体内に配設される筐体内発電側熱媒流路104aに接続されている。更に、筐体内発電側熱媒流路104aの側と、熱媒バイパス路104bの側への熱媒Hの配分流量を調整可能な、熱媒三方調整弁113が設けられている。
筐体内発電側熱媒流路104aには、筐体内発電側熱媒流路104aと熱媒バイパス路104bの双方を通流した熱媒が合流する部位の下流側の熱媒温度である熱媒合流温度を検出する第12温度センサ102bが設けられている。
詳細については後述するが、発電側制御部92は、熱媒三方調整弁113により、筐体内発電側熱媒流路104aの側と熱媒バイパス路104bの側への熱媒Hの配分流量を調整する形態で、熱媒循環状態制御を実行するように構成されている。
ここで、実施形態に係る発電ユニット40にあっては、その筐体内に熱媒Hを圧送する熱媒ポンプを備えておらず、熱源ユニット10の内部に設けられる熱媒ポンプ19の吐出圧力にて熱媒が循環される。
【0044】
〔サーバー装置4〕
エネルギ供給システムは、複数のエネルギ供給装置Eとの間で、通信回線3を介して情報の送受信を行うことができるサーバー装置4を備える。サーバー装置4は、複数のエネルギ供給装置Eでの燃料ガスの消費量に関する消費量情報を通信回線3を介して受信して記憶する。本実施形態では、発電ユニット40と熱源ユニット10とは情報通信線6によって接続されており、その情報通信線6を経由して熱源ユニット10の熱源部Bでの燃料ガスの消費量が、熱源ユニット10から発電ユニット40に対して伝達される。その結果、発電ユニット40の発電側制御部92は、自身のエネルギ供給装置Eの熱電併給部41及び熱源部Bでの合計の燃料ガスGの消費量を知ることができ、その合計の燃料ガスの消費量についての情報を上記消費量情報として通信回線3を経由してサーバー装置4に伝達する。
【0045】
具体的には、エネルギ供給装置E1の発電ユニット40は、自身のエネルギ供給装置E1での燃料ガスGの消費量に関する第1消費量情報を所定タイミングでサーバー装置4に送信する。同様に、エネルギ供給装置E2の発電ユニット40は、自身のエネルギ供給装置E2での燃料ガスGの消費量に関する第2消費量情報を所定タイミングでサーバー装置4に送信する。従って、サーバー装置4は、同一のマイコンメータMを経由して燃料ガスGが供給される複数のエネルギ供給装置E1,E2での合計の燃料ガスGの消費量を知ることができる。また、この消費量情報には、どの時刻又は時間帯に測定された消費量であるかを示す時間情報も含まれている。
【0046】
〔漏洩判定回避処理〕
サーバー装置4は、上述のようにして装置群を構成する複数のエネルギ供給装置Eから受信した消費量情報(第1消費量情報及び第2消費量情報)に基づいて、装置群を構成する複数のエネルギ供給装置Eが有する熱電併給部41の停止実行条件が満たされたと判定すると、当該熱電併給部41の運転を起動禁止解除条件が満たされるまで停止させる指令を装置群を構成する複数のエネルギ供給装置Eに伝達する漏洩判定回避用停止処理を実行する。
【0047】
本実施形態では、サーバー装置4は、装置群を構成する複数のエネルギ供給装置Eでの合計の燃料ガスの消費量が設定判定量以下となる状態が設定判定時間以上連続することを含む所定のガス不使用状態が無い状況が、漏洩判定用期間よりも短い所定期間連続したことを停止実行条件とする。
【0048】
更に、サーバー装置4は、漏洩判定回避用停止処理によって装置群を構成する複数のエネルギ供給装置Eが有する熱電併給部41が運転を停止してから所定の待機期間の間に、装置群を構成するエネルギ供給装置Eでの合計の燃料ガスの消費量が設定判定量以下となる状態が設定判定時間以上連続することを含む所定のガス不使用状態があったことを起動禁止解除条件とする。
【0049】
図5は、サーバー装置4が行う漏洩判定回避処理を説明するフローチャートである。図5に示す漏洩判定回避処理には、同一のマイコンメータMを経由して燃料ガスが供給される複数のエネルギ供給装置Eが有する熱電併給部41の停止実行条件が満たされると、それら熱電併給部41の運転を起動禁止解除条件が満たされるまで停止する指令を行う漏洩判定回避用停止処理、及び、燃料ガスの使用を控えるメッセージの発信を指令する処理などの複数の処理が含まれる。
また、上述のように、発電ユニット40及び熱源ユニット10の夫々に、燃料ガスGの通流量を計測する流量計Fa及び流量計Fbが設けられ、それらで計測された第1消費量情報及び第2消費量情報がエネルギ供給装置Eからサーバー装置4に通信回線3を経由して伝達されている。その結果、サーバー装置4は、同一のマイコンメータMを経由して燃料ガスが供給される複数のエネルギ供給装置E(熱電併給部41及び熱源部B)での合計の燃料ガスGの消費量を認識できる。
【0050】
先ず、サーバー装置4は、同一のマイコンメータMを経由して燃料ガスが供給される装置群を構成する複数のエネルギ供給装置Eでの合計の燃料ガスGの消費量が設定判定量以下となる状態が設定判定時間以上連続することを含む第1ガス不使用状態が無い状況が漏洩判定用期間(30日間)よりも短い所定期間(26日間)連続したか否かを判定する(#10)。本実施形態では、第1ガス不使用状態は、複数のエネルギ供給装置E(熱電併給部41及び熱源部B)での合計の燃料ガスGの消費量が設定判定量以下となる状態が60分間連続することが4回存在したという状態である。
【0051】
そして、サーバー装置4は、第1ガス不使用状態が無い状況が26日間連続している場合には停止実行条件が満たされたと判定して、装置群を構成する複数のエネルギ供給装置Eの各発電ユニット40に対して熱電併給部41の起動を禁止する起動禁止を指令する(#11)。これにより、各発電ユニット40の発電側制御部92は、熱電併給部41の運転を停止する運転停止処理を実行する。
尚、サーバー装置4は、#10にて第1ガス不使用状態が無い状況が26日間経過していないと判定したときには、このフローチャートの最初に戻る。
【0052】
次に、#12においてサーバー装置4は、熱電併給部41の全てが停止したと認識すると、第1設定停止期間(本発明の待機期間)T1の計時を開始し、その第1設定停止期間(待機期間)T1が満了するまでの間に、第2ガス不使用状態があったか否かを判定する(#13,#14)。本実施形態では、第2ガス不使用状態は、装置群を構成する複数のエネルギ供給装置E(熱電併給部41及び熱源部B)での合計の燃料ガスGの消費量が設定判定量以下となる状態が60分間連続することが2回存在したという状態である。また、サーバー装置4は、例えば各エネルギ供給装置Eが有する発電ユニット40での燃料ガスの消費量がゼロになったときに熱電併給部41が停止したと認識できる。或いは、サーバー装置4は、発電ユニット40から熱電併給部41を停止させた旨の情報を受信するように構成してもよい。
【0053】
そして、サーバー装置4は、第1設定停止期間(待機期間)T1が満了するまでの間に第2ガス不使用状態があったと判定した場合には起動禁止解除条件が満たされたと判定して、起動禁止の解除を各エネルギ供給装置Eの発電ユニット40に伝達し(#19)、第1設定停止期間(待機期間)T1が満了するまでの間に第2ガス不使用状態がなかったと判定した場合にはガス使用を控えるメッセージの発信を各エネルギ供給装置Eの発電ユニット40に伝達する(#15)。このように、サーバー装置4は、燃料ガス非消費状態が発生したか否かをマイコンメータMが判定するときの根拠となる情報(熱電併給部41及び熱源部B及びその他のガス消費機器2での燃料ガスの消費量)と近い情報(熱電併給部41及び熱源部Bでの燃料ガスの消費量)を用いて、起動禁止解除条件が満たされたか否かを判定する。その結果、サーバー装置4が待機期間の間に起動禁止解除条件が満たされたと判定して熱電併給部41の運転再開を指令するときには、マイコンメータMでもその待機期間の間に燃料ガス非消費状態が発生したと判定する可能性が高まる。従って、停止実行条件が満たされることで熱電併給部41の運転を停止した後、適切なタイミングで熱電併給部41の運転を再開できる。
【0054】
その後、#16においてサーバー装置4は、第2設定停止期間T2の計時を開始し、その第2設定停止期間T2が満了するまでの間に、装置群を構成する複数のエネルギ供給装置Eから受信した消費量情報に基づいて、第3ガス不使用状態があったか否かを判定する(#17,#18)。本実施形態では、第3ガス不使用状態は、装置群を構成する複数のエネルギ供給装置E(熱電併給部41及び熱源部B)での合計の燃料ガスGの消費量が設定判定量以下となる状態が60分間連続することが1回存在したという状態である。そして、サーバー装置4は、第2設定停止期間T2が満了するまでの間に第3ガス不使用状態があったと判定した場合には起動禁止解除条件が満たされたと判定して、起動禁止の解除を各エネルギ供給装置Eの発電ユニット40に指令し(#19)、第2設定停止期間T2が満了するまでの間に第3ガス不使用状態がなかったと判定した場合には#17に戻る。
【0055】
<第2実施形態>
第2実施形態のエネルギ供給システムは、一つのエネルギ供給装置Eが漏洩判定回避処理を行う点で上記実施形態と異なっている。以下に、第2実施形態のエネルギ供給システムについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0056】
本実施形態では、装置群を構成する複数のエネルギ供給装置Eの内、一つのエネルギ供給装置Eの発電側制御部92は、自身のエネルギ供給装置Eでの燃料ガスの消費量に関する第1消費量情報及びサーバー装置4から受信した他のエネルギ供給装置Eでの第2消費量情報に基づいて、装置群を構成する複数のエネルギ供給装置Eが有する熱電併給部41の停止実行条件が満たされたと判定すると、装置群に燃料ガスを供給するマイコンメータMに関して燃料ガス非消費状態が発生するように、自身のエネルギ供給装置Eの熱電併給部41の運転を起動禁止解除条件が満たされるまで停止させ及び他のエネルギ供給装置Eの熱電併給部41の運転を起動禁止解除条件が満たされるまで停止させる指令を当該他のエネルギ供給装置Eに伝達する漏洩判定回避用停止処理を実行する。
【0057】
装置群を構成する複数のエネルギ供給装置Eが存在するとき、どのエネルギ供給装置を上記一つのエネルギ供給装置とするのかは適宜設定可能である。例えば、累積した稼働日数が長い(即ち、時間的に先に設置された)エネルギ供給装置や、累積した通電時間が長いエネルギ供給装置などが、自動的に上記一つのエネルギ供給装置となるように設定してもよい。或いは、エネルギ供給装置を構成する発電ユニット40に「主」と「従」とを切り替えるスイッチを設けておき、使用者が「主」にスイッチを切り替えた方のエネルギ供給装置が上記一つのエネルギ供給装置となり、使用者が「従」に切り替えた方のエネルギ供給装置Eが上記他のエネルギ供給装置となるようにしてもよい。
【0058】
そして、本実施形態では、一つのエネルギ供給装置Eの発電側制御部92は、装置群を構成する複数のエネルギ供給装置Eでの合計の燃料ガスの消費量が設定判定量以下となる状態が設定判定時間以上連続することを含む所定のガス不使用状態が無い状況が、漏洩判定用期間よりも短い所定期間連続したことを停止実行条件とする。
【0059】
更に、一つのエネルギ供給装置Eの発電側制御部92は、漏洩判定回避用停止処理によって装置群を構成する複数のエネルギ供給装置Eが有する熱電併給部41が運転を停止してから所定の待機期間の間に、装置群を構成するエネルギ供給装置Eでの合計の燃料ガスの消費量が設定判定量以下となる状態が設定判定時間以上連続することを含む所定のガス不使用状態があったことを起動禁止解除条件とする。
【0060】
そのために、装置群を構成する複数のエネルギ供給装置Eの内、他のエネルギ供給装置Eは、自身の熱電併給部41及び熱源部Bでの燃料ガスGの消費量に関する第2消費量情報を通信回線3を経由して所定タイミングでサーバー装置4に送信する。そして、サーバー装置4は、他のエネルギ供給装置Eから通信回線3を介して受信したそのエネルギ供給装置E(熱電併給部41及び熱源部B)での燃料ガスGの消費量に関する第2消費量情報を通信回線3を経由して所定タイミングで一つのエネルギ供給装置Eに送信する。その結果、一つのエネルギ供給装置Eは、自身のエネルギ供給装置Eでの燃料ガスの消費量に関する第1消費量情報に加えて、サーバー装置4から受信した他のエネルギ供給装置Eでの第2消費量情報も知ることができる。従って、一つのエネルギ供給装置Eの発電側制御部92は、同一のマイコンメータMを経由して燃料ガスGが供給される装置群を構成する複数のエネルギ供給装置E(熱電併給部41及び熱源部B)での合計の燃料ガスGの消費量を知ることができる。
【0061】
図6は、一つのエネルギ供給装置Eの発電ユニット40の発電側制御部92が行う漏洩判定回避処理を説明するフローチャートである。図6に示す漏洩判定回避処理には、装置群を構成する複数のエネルギ供給装置Eが有する熱電併給部41の停止実行条件が満たされると、自身の熱電併給部41の運転を起動禁止解除条件が満たされるまで停止し且つ他の熱電併給部41の運転を起動禁止解除条件が満たされるまで停止させる指令を行う漏洩判定回避用停止処理などの複数の処理が含まれる。
【0062】
先ず、エネルギ供給装置E1の発電側制御部92は、同一のマイコンメータMを経由して燃料ガスGが供給される装置群を構成する全てのエネルギ供給装置E(熱電併給部41及び熱源部B)での合計の燃料ガスGの消費量が設定判定量以下となる状態が設定判定時間以上連続することを含む第1ガス不使用状態が無い状況が漏洩判定用期間(30日間)よりも短い所定期間(26日間)連続したか否かを判定し(#30)、26日間経過している場合には停止実行条件が満たされたと判定して、自身のエネルギ供給装置E1の熱電併給部41の起動を禁止する起動禁止をセットすると共に、他のエネルギ供給装置E2に対してサーバー装置4を介して熱電併給部41の起動禁止を指令し(#31)、次に、自身の熱電併給部41の運転を停止する運転停止処理を実行する(#32)。また、他のエネルギ供給装置E2でも、発電側制御部92が、それ自身の熱電併給部41の運転を停止する運転停止処理を実行する。
尚、エネルギ供給装置E1の発電側制御部92は、#30にて26日間経過していないと判定したときには、このフローチャートの最初に戻る。
【0063】
次に、#33においてエネルギ供給装置E1の発電側制御部92は、第1設定停止期間(待機期間)T1の計時を開始し、その第1設定停止期間(待機期間)T1が満了するまでの間に、第2ガス不使用状態があったか否かを判定する(#34,#35)。本実施形態では、第2ガス不使用状態は、装置群を構成する複数のエネルギ供給装置E(熱電併給部41及び熱源部B)での合計の燃料ガスGの消費量が設定判定量以下となる状態が60分間連続することが2回存在したという状態である。
【0064】
そして、エネルギ供給装置E1の発電側制御部92は、第1設定停止期間(待機期間)T1が満了するまでの間に第2ガス不使用状態があったと判定した場合には起動禁止解除条件が満たされたと判定して、自身のエネルギ供給装置E1の熱電併給部41の起動禁止を解除すると共に他のエネルギ供給装置E2に対して熱電併給部41の起動禁止の解除を指令する(#40)。尚、エネルギ供給装置E1の発電側制御部92は、第1設定停止期間(待機期間)T1が満了するまでの間に第2ガス不使用状態がなかったと判定した場合にはガス使用を控えるメッセージを自身のリモコン(図示せず)などで利用者に対して発信すると共に、他のエネルギ供給装置E2に対してガス使用を控えるメッセージの発信を指令する(#36)。その結果、他のエネルギ供給装置E2でも、ガス使用を控えるメッセージの発信が行われる。
【0065】
このように、一つのエネルギ供給装置Eの発電側制御部92は、燃料ガス非消費状態が発生したか否かをマイコンメータMが判定するときの根拠となる情報(熱電併給部41及び熱源部B及びその他のガス消費機器2での燃料ガスの消費量)と近い情報(熱電併給部41及び熱源部Bでの燃料ガスの消費量)を用いて、起動禁止解除条件が満たされたか否かを判定する。その結果、一つのエネルギ供給装置Eの発電側制御部92が待機期間の間に起動禁止解除条件が満たされたと判定して各エネルギ供給装置Eの熱電併給部41の運転を再開させるときには、マイコンメータMでもその待機期間の間に燃料ガス非消費状態が発生したと判定する可能性が高まる。従って、停止実行条件が満たされることで各エネルギ供給装置Eの熱電併給部41の運転を停止した後、適切なタイミングで各エネルギ供給装置Eの熱電併給部41の運転を再開できる。
【0066】
その後、#37においてエネルギ供給装置E1の発電側制御部92は、第2設定停止期間T2の計時を開始し、その第2設定停止期間T2が満了するまでの間に、第3ガス不使用状態があったか否かを判定する(#38,#39)。本実施形態では、第3ガス不使用状態は、装置群を構成する複数のエネルギ供給装置E(熱電併給部41及び熱源部B)での合計の燃料ガスGの消費量が設定判定量以下となる状態が60分間連続することが1回存在したという状態である。
【0067】
そして、エネルギ供給装置E1の発電側制御部92は、第2設定停止期間T2が満了するまでの間に第3ガス不使用状態があったと判定した場合には起動禁止解除条件が満たされたと判定して、自身のエネルギ供給装置E1の熱電併給部41の起動禁止を解除すると共に他のエネルギ供給装置E2に対して熱電併給部41の起動禁止の解除を指令し(#40)、第2設定停止期間T2が満了するまでの間に第3ガス不使用状態がなかったと判定した場合には#37に戻る。
【0068】
<第3実施形態>
第3実施形態のエネルギ供給システムは、複数のエネルギ供給装置Eの間での情報の伝達手法が上記実施形態と異なっている。以下に、第3実施形態のエネルギ供給システムについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0069】
図7は、第3実施形態のエネルギ供給システムの構成を示す図である。図示するように、第3実施形態のエネルギ供給システムでは、サーバー装置4は、複数の施設5(5A,5B)のそれぞれに設けられたエネルギ供給装置Eとの間で、通信回線3を介して情報の送受信を行うことができる。具体的には、サーバー装置4は、施設5Aに設けられたエネルギ供給装置E(E1,E2)、及び、施設5Bに設けられたエネルギ供給装置E(E3,E4)との間で、情報の送受信を行うことができる。このような場合、サーバー装置4は、どのエネルギ供給装置Eの組み合わせが、同一の施設5に設置されているのか、即ち、同一のマイコンメータMから燃料ガスGの供給を受けるのかを判別する必要がある。つまり、エネルギ供給装置E1及びエネルギ供給装置E2の組み合わせが同一の施設5Aに設けられていること、並びに、エネルギ供給装置E3及びエネルギ供給装置E4の組み合わせが同一の施設5Bに設けられていることを認識する必要がある。
【0070】
第3実施形態のエネルギ供給システムにおいて、サーバー装置4は、同一のマイコンメータMを経由して燃料ガスが供給される装置群を構成する複数のエネルギ供給装置Eに関して、当該複数のエネルギ供給装置Eのそれぞれに付与されている固有の識別情報を関連付けて記憶する。以下の表1に示すように、エネルギ供給装置Eの固有の識別情報は、例えば、各エネルギ供給装置Eが備える発電ユニット40の製造番号である。そして、サーバー装置4は、表1に示すような情報を記憶しておく。表1に示す例では、施設5Aには顧客IDとして「A0001」が割り当てられており、その顧客IDにはエネルギ供給装置E1の識別情報である「F100013」及びエネルギ供給装置E2の識別情報である「F100044」が関連付けられている。また、施設5Bには顧客IDとして「A0002」が割り当てられており、その顧客IDにはエネルギ供給装置E3の識別情報である「F100021」及びエネルギ供給装置E4の識別情報である「F100022」が関連付けられている。
【0071】
【表1】
【0072】
上記第1実施形態の図5に示したようにサーバー装置4が漏洩判定回避処理を行う場合であれば、各エネルギ供給装置Eは、それ自身のエネルギ供給装置E(熱電併給部41及び熱源部B)での燃料ガスの消費量に関する消費量情報を発電ユニット40の製造番号(識別情報)と共にサーバー装置4に送信する。例えば、サーバー装置4は、消費量情報と共に「F100013」という識別情報を受信したとき、それがエネルギ供給装置E1から送信された情報であること、及び、施設5Aに関する情報であること、及び、同じ施設5Aに設置されたエネルギ供給装置E2の消費量情報と関連付けられる情報であると認識できる。このようにして、サーバー装置4は、複数のエネルギ供給装置Eから消費量情報を受信したとしても、表1に示したような情報を参照して、受信した消費量情報がどのエネルギ供給装置Eの消費量情報と関連付けられる情報であるのかを管理して記憶できる。そして、サーバー装置4は、関連付けて管理している複数のエネルギ供給装置Eの消費量情報に基づいて、熱電併給部41の停止実行条件が満たされたか否かの判定と起動禁止解除条件が満たされたか否かの判定とを行うことができる。
【0073】
また、上記第2実施形態の図6に示したように一つのエネルギ供給装置Eが漏洩判定回避処理を行う場合であれば、他のエネルギ供給装置Eはそれ自身のエネルギ供給装置E(熱電併給部41及び熱源部B)での燃料ガスの消費量に関する第2消費量情報を識別情報と共にサーバー装置4に送信する。例えば、サーバー装置4は、消費量情報と共に「F100044」という識別情報を受信したとき、それがエネルギ供給装置E2から送信された情報であること、及び、施設5Aに関する情報であること、及び、同じ施設5Aに設置されたエネルギ供給装置E1の消費量情報と関連付けられる情報であること、及び、そのエネルギ供給装置E2の消費量情報をエネルギ供給装置E1に伝達すべきであることを認識できる。このようにして、サーバー装置4は、エネルギ供給装置Eからそのエネルギ供給装置E(熱電併給部41及び熱源部B)での燃料ガスの消費量に関する第2消費量情報を上記第2識別情報と共に受信すると、その第2消費量情報をどのエネルギ供給装置Eに伝達すればよいのかを特定できる。
【0074】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、エネルギ供給システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成については適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、超音波式のマイコンメータMを例示したが、膜式のマイコンメータMについても本発明は適用できる。この場合、マイコンメータMが燃料ガス非消費状態が発生したと判定するための判定条件は、例えば、燃料ガスGの通流量が設定判定量(例えば、1.0L/h)以下となる状態が設定判定時間以上(例えば、60分以上)連続する条件に定められる。
他にも、上記実施形態では、発電ユニット40に貯湯タンク90が設けられる構成を記載したが、貯湯タンク90が設けられないエネルギ供給システムや、発電ユニット40とは別に貯湯タンク90が設けられるエネルギ供給システムなど、エネルギ供給システムの構成は適宜変更可能である。
【0075】
<2>
上記実施形態では、具体的な数値を挙げてエネルギ供給システムで行われる処理の内容などについて説明したが、それらの数値は例示目的で記載したものであり適宜変更可能である。
例えば、漏洩判定用期間、所定期間、待機期間などについて具体的な数値を挙げて説明を行ったが、それらの数値は適宜変更可能である。
他にも、第1ガス不使用状態及び第2ガス不使用状態及び第3ガス不使用状態の内容についても具体的な数値を挙げて説明したが、それらの数値は適宜変更可能である。
【0076】
上記実施形態では、製造番号を、熱電併給部41(発電ユニット40)及び熱源部B(熱源ユニット10)に付与されている固有の識別情報とする例を説明したが、他の情報を識別情報としてもよい。例えば、熱電併給部41(発電ユニット40)及び熱源部B(熱源ユニット10)の品番やMACアドレスなどを識別情報としてもよい。
【0077】
<3>
尚、上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、同一のマイコンメータMを経由して燃料ガスが供給される他のエネルギ供給装置Eが存在するか否かに関わらず、適切なタイミングで発電部の運転を停止及び再開できるエネルギ供給システムに利用できる。
【符号の説明】
【0079】
3 通信回線
4 サーバー装置
10 熱源ユニット
11 給湯用加熱部(熱源部 B)
12 暖房用加熱部(熱源部 B)
40 発電ユニット
41 熱電併給部(発電部 A)
92 発電側制御部
A 発電部
B 熱源部
E(E1,E2,E3,E4) エネルギ供給装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7