(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態にかかる回路遮断器を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる回路遮断器100のトリップ状態を示す外観斜視図であり、
図2は、回路遮断器100の開状態を示す外観斜視図である。
図3は、回路遮断器100の開ロック状態を示す外観斜視図であり、
図4は、
図3のII−II線に沿った矢視断面図である。
【0013】
実施の形態1にかかる回路遮断器100は、
図1〜
図3に示すように、ケース1と、ケース1の開口部18から少なくとも一部が突出する操作ハンドル2と、操作ハンドル2に回動可能に取り付けられる延長ハンドル3とを備える。以下、説明の便宜上、回路遮断器100のトリップ状態における操作ハンドル2の突出方向を上方向およびZ軸方向の正方向とし、Z軸方向から見た操作ハンドル2の移動方向を前後方向およびX軸方向とする。また、X軸方向とZ軸方向とに直交する方向を左右方向およびY軸方向とする。
【0014】
回路遮断器100は、
図4に示すように、不図示の電源側電線と接続される電源側端子11と、不図示の負荷側電線と接続される負荷側端子12とを備える。以下、回路遮断器100のうち電源側端子11側を電源側と記載し、回路遮断器100のうち負荷側端子12側を負荷側と記載する場合がある。
【0015】
ケース1には、電路の開閉を行う開閉機構部13と、電源側端子11と接続される固定接触子14と、負荷側端子12に電気的に接続され、開閉機構部13によって駆動される可動接触子15と、固定接触子14と可動接触子15との間で発生するアークを裁断する消弧装置16とを備える。
【0016】
操作ハンドル2は、開閉機構部13における不図示の操作部に固定され、ケース1の上面側に形成された開口部18を介して少なくとも一部が突出する。操作ハンドル2の開口部18からの突出部分を開口部18の範囲内で操作することによって、回路遮断器100のオンとオフの切り替え、すなわち、開閉機構部13に電路の開閉を行わせることができる。
【0017】
例えば、操作ハンドル2の電源側への移動によって、開閉機構部13が操作されて可動接触子15が固定接触子14側へ移動し、可動接触子15が固定接触子14に接触する。これにより、電源側端子11と負荷側端子12とが電気的に接続されて電路が閉状態になり、電路を含む回路がオンになる。
【0018】
また、電路が閉状態にある場合から、操作ハンドル2の負荷側への移動によって、開閉機構部13が操作されて可動接触子15が固定接触子14から離れる方向へ移動する。これにより、電源側端子11と負荷側端子12とが電気的に切断されて電路が開状態になり、電路を含む回路がオフになる。電路を閉状態にする操作が閉操作であり、電路を開状態にする操作が開操作である。閉操作および開操作を総称して開閉操作と呼ぶ。また、閉状態でロックすることを閉ロックまたはオンロックと呼び、開状態でロックすることを開ロックまたはオフロックと呼ぶ。
【0019】
回路遮断器100は、過電流を検出して電路を開閉機構部13で遮断する配線用遮断器であるが、漏電流を検出して電路を開閉機構部13で遮断する漏電遮断器またはその他の遮断器であってもよい。回路遮断器100で過電流が検出された場合、開閉機構部13によって可動接触子15が固定接触子14から離れてトリップ状態になる。回路遮断器100がトリップ状態である場合、
図1に示すように、操作ハンドル2は、電路を開状態とするときの開位置と電路を閉状態とするときの閉位置との中間位置にある。
【0020】
延長ハンドル3は、操作ハンドル2に対する回動によって、操作ハンドル2を移動する操作位置とケース1への係合によって操作ハンドル2の移動を規制する規制位置とに切り替えられる。
【0021】
延長ハンドル3が操作位置である場合、
図1に示すように、延長ハンドル3の先端は、操作ハンドル2の突出方向において操作ハンドル2の先端よりもケース1から遠い位置になる。また、操作ハンドル2は、ケース1の内部にある開閉機構部13の回転軸が支点となって、開口部18内における電源側と負荷側との間を開閉機構部13の回転軸を中心として弧状に移動する。
【0022】
したがって、延長ハンドル3の回動位置が操作位置である場合、操作ハンドル2への操作力よりも低い操作力で延長ハンドル3を操作することができ、延長ハンドル3への操作によって、操作ハンドル2を容易に移動させることができる。
図2は、負荷側へ操作ハンドル2が移動された状態を示す。
【0023】
また、延長ハンドル3は、操作ハンドル2の移動を規制するロック機能を有している。延長ハンドル3の回動位置が
図2に示す操作位置から
図3に示す規制位置へ変更された場合に、延長ハンドル3に設けられた凸形状の係合凸部33が、ケース1の開口部18の周囲の領域に設けられた凹形状の係合凹部17に係合する。これにより、操作ハンドル2の移動が規制され、操作ハンドル2がロックされた状態になる。ケース1の係合凹部17は、第1の係合部の一例であり、延長ハンドル3の係合凸部33は、第2の係合部の一例である。
【0024】
このように、延長ハンドル3は、回動によって、操作ハンドル2を移動する操作位置と操作ハンドル2の移動を規制する規制位置とに切り替えられることから、開閉操作を容易にしつつ簡単な動作で開閉操作をロックすることができる。また、操作ハンドル2をロックする場合には、延長ハンドル3を操作ハンドル2から取り外して保管する必要がなく、紛失のリスクもない。このように、回路遮断器100の延長ハンドル3は、使い勝手が良く且つ操作ハンドル2をロックする機能を有しており、利用者の利便性を高めることができる。
【0025】
以下、操作ハンドル2および延長ハンドル3についてさらに具体的に説明する。まず、操作ハンドル2の構成について説明する。
図5は、操作ハンドル2の外観斜視図、
図6は、操作ハンドル2の側面図、
図7は、
図6のIV−IV線に沿った矢視断面図である。
【0026】
図5〜
図7に示すように、操作ハンドル2は、弧状に形成された鍔部21と、鍔部21の中央部に形成され、鍔部21から突出して形成される把持部22とを備える。把持部22は、鍔部21に連続する基部23と、基部23の前後方向の両端部から突出して形成される一対の壁部24a,24bと、一対の壁部24a,24b間に一対の壁部24a,24b間同士を連結する回転軸25とを備える。一対の壁部24a,24b間の先端は、弧状に形成される。なお、以下において、壁部24a,24bを区別せずに壁部24と記載する場合がある。
【0027】
回転軸25は、円柱状に形成される。回転軸25の軸線方向は、操作ハンドル2の移動方向と平行な方向である。したがって、操作ハンドル2に対する延長ハンドル3の回動方向は操作ハンドル2の移動方向と垂直となり、把持部22に操作力を加えた場合において延長ハンドル3が回転軸25周りに不用意に回転することを避けることができる。なお、回転軸25の軸線方向は、操作ハンドル2の移動方向に沿った方向であれば、操作ハンドル2の移動方向に平行でなくてもよい。
【0028】
また、回転軸25は、操作ハンドル2のうちケース1から突出する突出部分に形成されている。そのため、延長ハンドル3をケース1よりも高い位置で回転させることができ、延長ハンドル3の操作位置から規制位置への回動を容易に行うことができる。
【0029】
操作ハンドル2は、例えば、樹脂成形によって構成される部材である。
図6に示すように、基部23、一対の壁部24a,24b、および回転軸25は一体的に形成されていることから、把持部22の薄肉部分である壁部24a,24bの剛性を高めることができる。
【0030】
次に、延長ハンドル3の構成について説明する。
図8は、延長ハンドル3の外観斜視図であり、
図9は、延長ハンドル3の正面図であり、
図10は、延長ハンドル3の側面図であり、
図11は、延長ハンドル3の背面図である。
【0031】
図8〜
図11に示すように、延長ハンドル3は、操作ハンドル2の回転軸25を受ける軸受部31と、軸受部31に連続し、開閉操作の際に把持されて開閉操作時に力点になる把持部32と、ケース1の係合凹部17に係止される係合凸部33と、把持部32の基端に連続し、係合凸部33を支持する支持部34と、把持部32の基端に連続し、操作ハンドル2の回転を規制するストッパー35とを備える。
【0032】
軸受部31は、
図11に示すように、回転軸25が挿入される軸受空間部36と、回転軸25の軸径よりも小さな幅L1の空隙を有し回転軸25外から軸受空間部36に通じるガイド空間を形成する切欠部37とを備える。切欠部37は、回転軸25外から軸受空間部36へ向かうに連れて幅が連続的に小さくなる領域から幅L1の領域が軸受空間部36まで続く形状を有している。そのため、回転軸25を切欠部37へ容易に進入させることができる。
【0033】
また、軸受部31は、弾性変形可能な部材で構成されており、切欠部37に進入した回転軸25が軸受空間部36へ向けて移動していくことで切欠部37の弾性変形によって切欠部37の幅L1が漸次広がっていく。そのため、回転軸25が軸受空間部36を通過可能になり、回転軸25は、切欠部37を通過して軸受空間部36へ挿入される。
【0034】
軸受空間部36に連続する切欠部37の幅は回転軸25の軸径よりも小さな幅L1を有することから、回転軸25の軸受空間部36への挿入後は、回転軸25の軸受空間部36からの脱落が規制される。また、回転軸25の軸径に対して幅L1を適切に調整することで、下方からマイナスドライバー形状の治具などを差し込まない限り回転軸25が軸受部31から抜け難い状態にすることができる。
【0035】
切欠部37の延伸方向と延長ハンドル3の延伸方向とが為す角度θは、40度〜50度の範囲であり、例えば、45度である。これにより、延長ハンドル3の位置が操作位置および規制位置にある場合に、回転軸25を軸受部31からさらに抜け難くすることができる。なお、角度θは、上述した角度に限定されない。
【0036】
軸受部31の厚み、すなわち軸受部31のX軸方向の長さは、壁部24a,24b間の距離と同じ長さであり、これにより、操作ハンドル2に延長ハンドル3を取り付けた場合に、操作ハンドル2の操作方向の強度を補強することができる。なお、操作ハンドル2の操作方向の強度を補強することができればよく、軸受部31の厚みは、壁部24a,24b間の距離と同じでなくてもよい。
【0037】
把持部32は、貫通孔38,39を有する。貫通孔38,39は、延長ハンドル3の長手方向であるZ軸方向に沿って配置される。各貫通孔38,39は、前後方向であるX軸方向に沿って形成された貫通孔である。なお、把持部32には、延長ハンドル3に他の部品を取り付けることがなければ、貫通孔38,39を設けなくてもよい。
【0038】
係合凸部33は、延長ハンドル3の延伸方向と操作ハンドル2の移動方向とに各々直交する方向であるY軸方向に向けて突出する凸形状を有しており、X軸方向から見て、
図9および
図11に示すように、Y軸方向において軸受部31および支持部34よりも外方に位置する。係合凸部33の先端は、テーパ面を有している。なお、係合凸部33の先端は、曲面状に形成されてもよい。
【0039】
支持部34は、軸受部31と対向する位置にある。そのため、
図13および
図14に示すように、操作ハンドル2に延長ハンドル3が取り付けられた状態において、操作ハンドル2の把持部22における壁部24a,24bのいずれが軸受部31と支持部34との間に挟まれた位置になる。したがって、軸受部31と支持部34との間隔を壁部24a,24bの厚みと同一の長さにすることで、延長ハンドル3を操作ハンドル2へ安定して取り付けることができる。
【0040】
ストッパー35は、左右方向であるY軸方向において係合凸部33が突出する方向と反対側に形成されている。ストッパー35の下端は、操作ハンドル2に延長ハンドル3が取り付けられた場合に操作ハンドル2における壁部24の上端よりも下方に位置する。そのため、ストッパー35によって、延長ハンドル3の回動位置が操作位置と規制位置との間の範囲に規制される。操作位置と規制位置との間の回動角度は、85度〜95度の範囲であり、例えば、90度であるが、かかる角度に限定されない。
【0041】
次に、延長ハンドル3の操作ハンドル2への取り付けについて説明する。
図12は、延長ハンドル3の操作ハンドル2への取り付け直前の状態を拡大して示す拡大斜視図であり、
図13は、延長ハンドル3の操作ハンドル2への取り付け後の状態を拡大して示す拡大斜視図である。
図12に示すように、延長ハンドル3を操作ハンドル2の上方であって切欠部37が操作ハンドル2の回転軸25に対向するように配置する。
【0042】
その後、延長ハンドル3を下方に移動させ、操作ハンドル2の回転軸25を延長ハンドル3の軸受部31の切欠部37を介して軸受空間部36へ挿入する。これにより、操作ハンドル2の回転軸25に延長ハンドル3の軸受部31が取り付けられ、延長ハンドル3が操作ハンドル2に回転軸25を中心として回動自在に取り付けられる。
【0043】
また、
図13に示すように、延長ハンドル3が操作位置にある場合、ストッパー35の下端は、壁部24aの上端よりも下方の位置にある。そのため、延長ハンドル3にY軸の負方向への力、すなわち、延長ハンドル3を操作位置から規制位置の逆方向へ回動させる力が働いた場合に、ストッパー35の下端が壁部24aの上端部に係止され、延長ハンドル3の回動が規制される。
【0044】
次に、回路遮断器100の状態を開状態またはトリップ状態から閉状態にし、さらに、操作ハンドル2をロックする操作、すなわち閉ロック操作について説明する。
図14〜
図16は、閉ロック操作の説明図である。
【0045】
図14に示す状態では、延長ハンドル3の把持部32は、操作ハンドル2の突出方向において操作ハンドル2よりもケース1から遠い位置にある。そのため、操作ハンドル2を閉位置へ操作するために把持部32へ加える力は、操作ハンドル2の把持部22に加える力よりも小さくすることができ、操作ハンドル2を容易に移動させることができる。
【0046】
延長ハンドル3の把持部32を電源側であるX軸の負方向へ移動させることで、
図14に示す状態から
図15に示す状態になる。
図15に示す状態では、延長ハンドル3の係合凸部33が操作ハンドル2に対して電源側に配置された状態で延長ハンドル3が操作ハンドル2へ取り付けられている。
【0047】
そのため、延長ハンドル3を回動させて延長ハンドル3の位置を操作位置から規制位置へ移動させることで、
図16に示すように、延長ハンドル3の係合凸部33が、ケース1の負荷側に設けられた係合凹部17内に配置される。
【0048】
図16に示す状態では、操作ハンドル2の操作方向に対して係合凸部33と係合凹部17とが対向する。そのため、操作ハンドル2を負荷側へ移動させようとした場合、係合凸部33と係合凹部17との係合によって、操作ハンドル2の負荷側への移動が規制される。
【0049】
次に、回路遮断器100の状態を閉状態またはトリップ状態から開状態にし、さらに、操作ハンドル2をロックする操作、すなわち開ロック操作について説明する。
図17〜
図19は、開ロック操作の説明図である。
【0050】
操作ハンドル2を開位置へ移動させる場合、
図17に示すように、延長ハンドル3の係合凸部33が操作ハンドル2に対して負荷側に配置された状態で延長ハンドル3が操作ハンドル2へ取り付けられる。延長ハンドル3の把持部32を負荷側へ移動させることで、
図17に示す状態から
図18に示す状態になる。
【0051】
図18に示す状態の延長ハンドル3を回動させて延長ハンドル3の位置を操作位置から規制位置へ移動させることで、
図19に示すように、延長ハンドル3の係合凸部33が、ケース1の負荷側に設けられた係合凹部17内に配置される。そのため、操作ハンドル2を電源側へ移動させた場合、係合凸部33と係合凹部17との係合によって、操作ハンドル2の電源側への移動が規制される。
【0052】
また、
図19に示すように、延長ハンドル3のケース1の上面19への接触により延長ハンドル3の回動を規制することで延長ハンドル3を規制位置で停止させるため、規制位置で延長ハンドル3を停止させる構成が複雑になることを避けることができる。また、把持部32の基端部分に加えて支持部34もケース1の上面19へ接触することから、支持部34が上面19へ接触しない場合に比べ、延長ハンドル3の上面19への接触面積を増加させることができ、延長ハンドル3の回動を安定して規制することができる。
【0053】
図20は、
図4の部分拡大図である。
図20に示すように、延長ハンドル3によって操作ハンドル2が開位置でロックされている場合、延長ハンドル3は、操作ハンドル2の突出方向Dpにおいて、ケース1から最も遠い位置が、操作ハンドル2と同じ位置P1である。
【0054】
したがって、延長ハンドル3を用いた場合であっても、操作ハンドル2への操作を必要としない状況での回路遮断器100の外形寸法の大型化を抑制することができる。操作ハンドル2が閉位置およびトリップ位置にある場合も同様である。なお、延長ハンドル3は、操作ハンドル2の突出方向Dpにおいて、ケース1から最も遠い位置が、操作ハンドル2の位置P1よりもケース1に近い位置になるようにしてもよい。
【0055】
また、操作ハンドル2が開位置にある場合、
図20に示すように、延長ハンドル3は操作ハンドル2と共にZ軸に対して傾いているが、係合凸部33はZ軸に平行になることから、係合凸部33の係合凹部17への挿入を容易に行うことができる。このことは、操作ハンドル2が閉位置にある場合も同様である。なお、操作ハンドル2が閉位置または開位置にある場合に、係合凹部17内に係合凸部33が位置すればよく、操作ハンドル2が閉位置または開位置にある場合に係合凸部33はZ軸に平行であることに限定されない。
【0056】
操作ハンドル2は、延長ハンドル3に代えて、補強部品4を取り付けることができる。補強部品4を操作ハンドル2に取り付けることで、延長ハンドル3が取り付けられていない状態であっても、操作ハンドル2の強度が低下することを防止することができる。
図21は、補強部品4の外観斜視図である。
【0057】
図21に示すように、補強部品4は、回転軸25が挿入される軸受空間部41と、回転軸25の軸径よりも小さな幅L2の空隙を有し回転軸25外から軸受空間部41に通じるガイド空間を形成する切欠部42とを備える。
【0058】
補強部品4は、軸受部31と同様に、弾性変形可能な部材で構成されているため、切欠部42は、回転軸25外から軸受空間部41へ向かうに連れて幅が連続的に小さくなっている領域から幅L2の領域が軸受空間部41まで続く形状を有している。そのため、切欠部37と同様に、切欠部42の弾性変形によって切欠部42の幅L2が広がって、回転軸25を軸受空間部41へ挿入することができる。
【0059】
また、補強部品4は、軸受部31と同様に、回転軸25の軸受空間部41への挿入後は、回転軸25の軸受空間部41からの脱落が規制され、回転軸25が補強部品4から抜け難い状態にすることができる。
【0060】
図22は、補強部品4の操作ハンドル2への取り付け直前の状態を拡大して示す拡大斜視図であり、
図23は、補強部品4の操作ハンドル2への取り付け後の状態を拡大して示す拡大斜視図である。
図22に示すように、補強部品4を操作ハンドル2の上方であって切欠部42が操作ハンドル2の回転軸25に対向するように配置する。
【0061】
その後、補強部品4を下方に移動させ、操作ハンドル2の回転軸25を補強部品4の切欠部42を介して軸受空間部41へ挿入する。これにより、
図23に示すように、補強部品4が操作ハンドル2に取り付けられる。
【0062】
図23に示す状態では、補強部品4は、操作ハンドル2の壁部24a,24bに挟まれた位置にあり、補強部品4によって操作ハンドル2の操作方向の強度が補強される。なお、補強部品4の厚みは、壁部24a,24b間の距離と同じ長さであり、補強部品4は壁部24a,24bに接触した状態で操作ハンドル2に保持されるが、操作ハンドル2の操作方向の強度が補強することができればよい。すなわち、補強部品4の厚みは、壁部24a,24b間の距離よりも短くてもよい。
【0063】
また、補強部品4の上部は、壁部24a,24bの上部と同じ形状に形成されており、補強部品4が操作ハンドル2に取り付けられた状態で、補強部品4の高さと操作ハンドル2の高さが等しい。また、幅方向であるY軸方向における補強部品4の長さは、操作ハンドル2における把持部22のY軸方向の長さと同じである。そのため、操作ハンドル2の把持部22に補強部品4を取り付けた場合に、把持部22から補強部品4が突出せず、回路遮断器100の外形寸法の大型化を回避することができる。
【0064】
以上のように、実施の形態1にかかる回路遮断器100は、電路の開閉を行う開閉機構部13と、開閉機構部13を収納するケース1と、ケース1の開口部18から少なくとも一部が突出し、開閉機構部13に電路の開閉を行わせる操作ハンドル2と、操作ハンドル2に回動可能に取り付けられる延長ハンドル3とを備える。延長ハンドル3は、回動によって、操作ハンドル2を移動する操作位置とケース1への係合によって操作ハンドル2の移動を規制する規制位置との間で切り替えられる。このように、延長ハンドル3を回動することで、延長ハンドル3の主機能とロック機能とを切り替えることができ、操作ハンドル2の移動と固定とを一つの延長ハンドル3で容易に行うことができる。また、操作ハンドル2をロックする場合には、延長ハンドル3を操作ハンドル2から取り外して保管する必要がなく、紛失のリスクもない。
【0065】
また、ケース1は、開口部18の周囲の領域に設けられた第1の係合部の一例である係合凹部17を備える。延長ハンドル3は、回動位置が操作位置である場合に操作ハンドル2の突出方向Dpにおいて操作ハンドル2よりもケース1から遠い位置になって開閉の操作時に力点になる把持部32と、回動位置が規制位置である場合にケース1の係合凹部17との係合によって、操作ハンドル2の移動を規制する第2の係合部である係合凸部33とを備える。ケース1に形成される第1の係合部がケース1の上面19に対して凹状に形成されることから、ケース1の上面19が高くなることを抑制することができる。
【0066】
また、延長ハンドル3は、回動位置が規制位置になった場合に、操作ハンドル2の突出方向Dpにおいて、ケース1から最も遠い位置が、操作ハンドル2と同じ、または操作ハンドル2よりもケース1に近い位置になる。これにより、操作ハンドル2への操作を必要としない状況での回路遮断器100の外形寸法の大型化を抑制することができる。
【0067】
また、延長ハンドル3は、操作位置から規制位置とは逆方向への回動を規制するストッパー35を備える。そのため、操作位置から規制位置への回動方向を容易に把握することができ、また、誤操作を防止することができる。
【0068】
また、延長ハンドル3は、操作ハンドル2に着脱可能に取り付けられる。したがって、延長ハンドル3の取り外しが可能となり、例えば、延長ハンドル3が破損した場合に容易に交換することができる。
【0069】
また、操作ハンドル2は、開口部18から突出した部分に設けられた回転軸25を備える。延長ハンドル3は、回転軸25を受ける軸受部31を備える。したがって、ケース1の上方において、延長ハンドル3を容易に回転することができる。
【0070】
また、回転軸25は、操作ハンドル2の移動方向に沿って延伸する。そのため、操作ハンドル2に対する延長ハンドル3の回動方向は操作ハンドル2の移動方向と交差する方向になり、延長ハンドル3に操作力を加えた場合において延長ハンドル3が回転軸25周りに不用意に回転することを避けることができる。
【0071】
また、把持部22は、一対の壁部24a,24bを備える。回転軸25は、一対の壁部24a,24b間に配置され一対の壁部24a,24b同士を連結する。そのため、回転軸25を一対の壁部24a,24b間に配置しない場合に比べ、把持部22の薄肉部分である壁部24a,24bの剛性を高めることができる。また、一対の壁部24a,24bと回転軸25とを一体化することでさらに壁部24a,24bの剛性を高めることができる。
【0072】
また、軸受部31は、操作ハンドル2の回転軸25が挿入される軸受空間部36と、回転軸25の軸径よりも小さな幅L1を有し、軸受空間部36に通じる案内通路空間を形成する切欠部37とを備え、弾性変形可能な部材で構成される。したがって、回転軸25を軸受部31に安定して取り付けることができる。
【0073】
また、回路遮断器100は、操作ハンドル2の回転軸25に取り付けられ、弾性変形可能な部材で構成される補強部品4を備える。補強部品4は、操作ハンドル2の回転軸25が挿入される軸受空間部41と、回転軸25の軸径よりも小さな幅L2を有し、軸受空間部41に通じる案内通路空間を形成する切欠部42とを備える。したがって、補強部品4を軸受部31に安定して取り付けることができる。
【0074】
また、係合凹部17は、操作ハンドル2が移動可能な位置のうち電路を閉状態にする第1の位置である電源側と操作ハンドル2が移動可能な位置のうち電路を開状態にする第2の位置である負荷側とに各々配置される。延長ハンドル3は、係合凸部33が操作ハンドル2に対して電源側と負荷側とに選択的に配置された状態で操作ハンドル2に取り付け可能である。したがって、一つの係合凸部33を有する延長ハンドル3を用いて、閉ロック操作と開ロック操作を行うことができ、延長ハンドル3の利便性を高めることができる。
【0075】
実施の形態2.
実施の形態2にかかる回路遮断器は、延長ハンドル3に係合凸部を含む追加部品が取り付けられる点で、実施の形態1と異なる。以下においては、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態1の回路遮断器100と異なる点を中心に説明する。
【0076】
図24は、本発明の実施の形態2にかかる回路遮断器100Aの外観斜視図である。
図24に示すように、実施の形態2にかかる回路遮断器100Aは、延長ハンドル3に取り付けられる追加部品5を有している。
図25は、追加部品5の外観斜視図であり、
図26は、追加部品5の平面図である。
【0077】
図25および
図26に示すように、追加部品5は、延長ハンドル3に接続される接続部51と、ケース1の係合凹部17に係止される係合凸部52と、接続部51の基端に連続し、係合凸部52を支持する支持部53とを備える。接続部51には、円筒状の凸部55,56が形成される。また、係合凸部52は、延長ハンドル3の係合凸部33と鏡対称の形状を有している。
【0078】
図27は、追加部品5の延長ハンドル3への取り付け直前の状態を示す図であり、
図28は、追加部品5が取り付けられた延長ハンドル3の外観斜視図、
図29は、追加部品5が取り付けられた延長ハンドル3の側面図である。
【0079】
図27に示すように、追加部品5の凸部55,56を延長ハンドル3の貫通孔38,39へ各々挿入することで、
図28および
図29に示すように、延長ハンドル3に追加部品5が取り付けられる。延長ハンドル3に追加部品5が取り付けられた場合、操作ハンドル2に対して電源側および負荷側の一方に係合凸部33が配置され、他方に係合凸部52が配置される状態になる。
【0080】
したがって、操作ハンドル2に対して延長ハンドル3を着脱して延長ハンドル3の向きを変更することなく、閉ロック操作および開ロック操作のいずれも行うことができる。延長ハンドル3に追加部品5が
図24に示すように取り付けられている場合、閉ロック操作によって延長ハンドル3の係合凸部33が電源側の係合凹部17内に配置される。
【0081】
閉ロック操作の完了後は、閉ロック状態になり、係合凸部33と電源側の係合凹部17との係合によって、操作ハンドル2の負荷側への移動が規制される。また、開ロック操作によって追加部品5の係合凸部52が負荷側の係合凹部17内に配置され、係合凸部52と負荷側の係合凹部17との係合によって、操作ハンドル2の電源側への移動が規制される。
【0082】
なお、
図24に示す回路遮断器100Aは、追加部品5が操作ハンドル2に対して負荷側に配置されるが、
図1に示す状態の操作ハンドル2に対して延長ハンドル3を取り付けることで、追加部品5を操作ハンドル2に対して電源側に配置することができる。
【0083】
また、上述した例では、追加部品5を延長ハンドル3に取り付けて2つの係合凸部を有する延長ハンドルを構成するが、延長ハンドル3と追加部品5とを一体化した構成であってもよい。なお、上述のように、延長ハンドル3と追加部品5とを別体にすることで、用途に応じて延長ハンドルの形状を変更することができる。
【0084】
以上のように、実施の形態2にかかる回路遮断器100Aは、第2の係合部として、係合凸部33と係合凸部52を備える。延長ハンドル3と追加部品5とを含む延長ハンドルは、第2の係合部である係合凸部33と係合凸部52が操作ハンドル2に対して電源側と負荷側に各々配置された状態で操作ハンドル2に取り付け可能である。したがって、延長ハンドル3を着脱することなく、閉ロック操作および開ロック操作を行うことができ、利用者の利便性を向上させることができる。
【0085】
また、係合凸部52を含む追加部品5は、延長ハンドル3に対して着脱自在である。したがって、利用者の要望および使用用途などに応じた適切な延長ハンドルを有する回路遮断器を提供することができる。
【0086】
実施の形態3.
実施の形態3にかかる回路遮断器は、延長ハンドル3にロック補助部品が取り付けられる点で、実施の形態1と異なる。以下においては、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態1の回路遮断器100と異なる点を中心に説明する。
【0087】
図30は、本発明の実施の形態3にかかる回路遮断器100Bの外観斜視図である。
図30に示すように、実施の形態3にかかる回路遮断器100Bは、延長ハンドル3に取り付けられるロック補助部品6を有しており、南京錠などのロック装置7によってロック補助部品6の延長ハンドル3からの取り外しができない状態になるように構成される。
【0088】
図31は、ロック補助部品6の外観斜視図であり、
図32は、ロック補助部品6が取り付けられた状態の延長ハンドル3の外観斜視図であり、
図33は、ロック補助部品6が取り付けられた状態の延長ハンドル3の側面図である。
【0089】
図31に示すように、ロック補助部品6は、延長ハンドル3に接続される接続部61と、ケース1の上面19に接触する接触部62と、接続部61の基端に連続し、接触部62を支持する支持部63と、操作ハンドル2の回転を規制するストッパー64とを備える。接続部61には、円筒状の凸部65と貫通孔66が形成される。凸部65が延長ハンドル3の貫通孔38へ挿入されることで、
図32および
図33に示すように、延長ハンドル3にロック補助部品6が取り付けられる。
【0090】
ロック補助部品6の延長ハンドル3への取り付けは、操作ハンドル2が閉位置または開位置で且つ延長ハンドル3の回動位置が規制位置にある状態で行われる。例えば、延長ハンドル3が
図3に示す状態で、ロック補助部品6が延長ハンドル3へ取り付けられる。これにより、回路遮断器100Bは、
図34に示す状態になる。
図34は、ロック補助部品6が延長ハンドル3へ取り付けられた状態を示す外観斜視図である。
【0091】
図34に示す状態では、左右方向であるY軸方向においてロック補助部品6の接触部62が延長ハンドル3の把持部32と逆方向に突出しており、把持部32が対向するケース1の上面19とY軸方向において反対側にあるケース1の上面19に接触部62が対向する。そのため、延長ハンドル3を操作位置へ向けて回動しようとした場合に、接触部62のケース1の上面19への接触により延長ハンドル3の回動が規制される。
【0092】
また、ストッパー64の下端は、操作ハンドル2における壁部24の上端よりも下方に位置する。ストッパー64は、操作ハンドル2のストッパー35とは延長ハンドル3の回動方向における逆側に設けられており、ストッパー64によって、延長ハンドル3の規制位置から操作位置へ向かう回動が規制される。このように、回路遮断器100Bでは、接触部62とストッパー64とによって延長ハンドル3の回動が規制されるが、ロック補助部品6は、接触部62およびストッパー64の一方のみを設けた構成であってもよい。
【0093】
また、
図32〜
図34に示す状態では、延長ハンドル3の貫通孔39とロック補助部品6の貫通孔66とが連通しており、
図34に示す状態で、延長ハンドル3の貫通孔39とロック補助部品6の貫通孔66にロック装置7のつる8を通すことができる。ロック装置7においてつる8を施錠状態にすることで、
図30に示すように、ロック装置7によってロック補助部品6の延長ハンドル3からの取り外しができない状態にすることができる。そのため、閉操作を禁止することができる。なお、上述した例では、閉操作の禁止について説明したが、開操作について同様に禁止することができる。
【0094】
以上のように、実施の形態3にかかる回路遮断器100Bは、延長ハンドル3に着脱可能なロック補助部品6を備える。ロック補助部品6は、回動位置が規制位置である延長ハンドル3に取り付けられた状態で、延長ハンドル3の回動を規制する。これにより、操作ハンドル2のロックが意図せず解除されることを抑制することができる。
【0095】
また、延長ハンドル3は、ロック装置7を取り付け可能な取付部の一例である貫通孔39を備え、ロック補助部品6は、ロック装置7を取り付け可能な取付部の一例である貫通孔66を備える。貫通孔39および貫通孔66は、延長ハンドル3にロック補助部品6が取り付けられた状態で、共通のロック装置7を取り付け可能である。これにより、ロック装置7の取り付けを容易に行うことができる。また、貫通孔39は、軸受部31に比べて厚肉部分を有する把持部32に形成されることから、ロック装置7に強い力が働いた場合の延長ハンドル3の破損を抑制することができる。
【0096】
上述した実施の形態では、操作ハンドル2が開閉機構部13の回転軸を中心として弧状に移動する例を説明したが、操作ハンドル2が平行にスライドする構成であってもよい。この場合も、延長ハンドル3によって開口部18からの突出部分が長くなるため操作を容易に行うことができる。
【0097】
また、上述した実施の形態では、ケース1に凹形状の係合部である係合凹部17を設け、延長ハンドル3および追加部品5に凸形状の係合部である係合凸部33および係合凸部52を設けたが、これらの係合部は、上述した例に限定されない。すなわち、延長ハンドル3が規制位置にある場合に、延長ハンドル3がケース1に係合する構成であればよい。
【0098】
例えば、
図35に示す回路遮断器100Cのように、ケース1Cに係合凸部17Cを設け、延長ハンドル3Cに係合凹部33Cを設けてもよい。
図35は、他の実施の形態にかかる回路遮断器100Cの部分拡大図である。
図35に示す延長ハンドル3Cが規制位置にある場合、係合凹部33C内に係合凸部17Cが配置され、操作ハンドル2の移動が規制される。なお、延長ハンドル3Cにおいて、延長ハンドル3の支持部34に対応する部分は設けなくてもよい。
【0099】
また、上述した実施の形態では、操作ハンドル2に回転軸25を設け、延長ハンドル3,3Cに軸受部31を設けたが、延長ハンドル3,3Cを操作ハンドル2に回動自在に取り付けることができればよく、上述した例に限定されない。
図36は、他の実施の形態にかかる延長ハンドル3Dの構成を示す図であり、
図37は、他の実施の形態にかかる操作ハンドル2Dの構成を示す図である。
【0100】
図36に示す延長ハンドル3Dは、支持部34に対向する支持部81と、回転軸82とを備えており、軸受部31は設けられていない。回転軸82は、支持部81と支持部34との間に配置され支持部81と支持部34とを連結する。
【0101】
図37に示す操作ハンドル2Dの把持部22Dは、軸受部31と同様に、後述する回転軸82が挿入される軸受空間部71と、回転軸82の軸径よりも小さな幅の空隙を有し把持部22D外から軸受空間部71に通じるガイド空間を形成する切欠部72とを備える。把持部22Dに回転軸82が取り付けられることで、延長ハンドル3Dが操作ハンドル2Dに回動自在に取り付けられる。このように、操作ハンドル2Dに軸受部を設け、延長ハンドル3Dに回転軸を設けてもよい。
【0102】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。