(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エーテル変性シリコーンオイルの含有量が、前記シリコーンゴム組成物の全量基準で、0.05質量%以上10質量%以下である、請求項1又は2に記載の現像ローラ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は理解を容易にするため一部を誇張して描いており、寸法比率等は図面に記載のものに限定されるものではない。
【0015】
図1は、本実施形態に係る現像ローラの概略を示す正面図であり、
図2は
図1のII−II線に沿った現像ローラの断面を示す断面図であり、
図3は
図1のIII−III線に沿った現像ローラの断面を示す断面図である。
【0016】
本実施形態に係る現像ローラ1は、軸体2と、軸体2の外周面上に設けられた円筒上の弾性層3と、弾性層3の外周面を被覆する被覆層4とを備えている。
【0017】
軸体2は、特に限定されず、公知の現像ローラに用いられる軸体であってよい。軸体2は、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属で構成されていてよく、このような軸体2は「芯金」と言い換えることができる。軸体2は、導電性を有するものであってよい。
【0018】
軸体2は、必ずしも金属製である必要は無く、例えば、樹脂材料で構成されていてよい。樹脂材料は、例えば、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂に導電性付与剤を配合した導電性樹脂であってよい。
【0019】
軸体2は、1つの材質で構成されていてよく、2つ以上の材質から構成されていてもよい。軸体2は、例えば、芯材と、芯材の外周面を覆う外層と、から構成されていてよい。具体的には、軸体2は、例えば金属製の芯材にメッキ処理を施したものであってよい。また、軸体2は、例えば樹脂材料製の絶縁性芯材にメッキ処理を施して導電化したものであってもよい。
【0020】
本実施形態において、軸体2は円柱形状を有しているが、軸体2の形状はこれに限定されない。軸体2は、例えば、円柱形状、円筒形状、多角柱状、多角筒状等であってよい。
【0021】
軸体2の外周面には、弾性層3との接着性を向上させるため、洗浄処理、脱脂処理、プライマー処理等の処理が施されていてよい。
【0022】
軸体2の軸線方向の長さは特に限定されず、設置される画像形成装置の形態に応じて適宜調整してよい。例えば、印字対象がA4サイズである場合、軸体2の軸線方向の長さは250〜320mmであってよく、好ましくは260〜310mmである。
【0023】
軸体2の外径は特に限定されず、設置される画像形成装置の形態に応じて適宜調整してよい。例えば、軸体2の外径(外接円の直径)は、4mm〜14mmであってよく、好ましくは6mm〜10mmである。
【0024】
弾性層3は、軸体2の胴体部の外周面上に設けられたゴム弾性を有する層である。弾性層3は、シリコーンゴムを含む層であってよく、シリコーンゴム弾性層ということもできる。
【0025】
弾性層3は、ヒドロキシ基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも一種の反応性基を有するエーテル変性シリコーンオイルと、導電性付与剤と、を含有するシリコーンゴム組成物の硬化物を含んでいる。シリコーンゴム組成物は、硬化によりシリコーンゴムを含む弾性体を形成可能な組成物であり、例えば、架橋によりシリコーンゴムを形成可能なシリコーンポリマーを含んでいてよい。
【0026】
本実施形態では、弾性層3の原料であるシリコーン組成物にエーテル変性シリコーンオイルと導電性付与剤とを配合することで、優れた帯電性及び電荷減衰速度を両立した現像ローラ1が得られている。
【0027】
エーテル変性シリコーンオイルは、シロキサン結合で構成される主鎖を有し、当該主鎖の末端又は側鎖にポリエーテル構造を有するオイル状のシリコーンオイルである。本実施形態において、エーテル変性シリコーンオイルは、ヒドロキシ基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも一種の反応性基を有している。当該反応性基の結合位置は特に限定されないが、例えば、上述したポリエーテル構造上に結合していてよい。
【0028】
エーテル変性シリコーンオイルは、1分子中に1つの反応性基を有していてよく、1分子中に2以上の反応性基を有していてもよい。
【0029】
エーテル変性シリコーンが有するポリエーテル構造は、例えば下記式(A)で表される構造であってよい。
【化1】
【0030】
式(A−1)中、Rはアルキレン基を示す。アルキレン基の炭素原子数は特に限定されないが、例えば6以下であってよく、3以下であることが好ましい。アルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。なお、複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0031】
式(A−1)中、nは1以上の整数を示し、また、nは、例えば500以下であってよく、200以下であってもよく、100以下であってもよい。
【0032】
式(A−1)で表されるポリエーテル構造は、端部の酸素原子が水素原子と結合し、上述した反応性基の一種であるヒドロキシ基を形成していてよい。すなわち、エーテル変性シリコーンオイルは、端部又は末端に下記式(A−2)で表される構造を有していてよい。
【化2】
【0033】
式(A−2)中、R及びnは式(A−1)におけるR及びnと同義である。
【0034】
エーテル変性シリコーンオイルは、例えば、下記式(i)又は(ii)で表される構造を有していてよい。
【化3】
【化4】
【0035】
式(i)及び式(ii)中、Xは、ポリエーテル構造及び反応性基を有する有機基を表す。また、p及びqはそれぞれ独立に1以上の整数を示す。なお、複数存在するXは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0036】
エーテル変性シリコーンオイルの粘度は特に限定されず、例えば、20℃における粘度が100cSt以上であってよく、500cSt以上であることが好ましい。また、エーテル変性シリコーンオイルの20℃における粘度は、例えば10000cSt以下であってよく、5000cSt以下であることが好ましい。
【0037】
シリコーンゴム組成物におけるエーテル変性シリコーンオイルの含有量は、シリコーン組成物の全量基準で、例えば0.05質量%以上であってよく、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。エーテル変性シリコーンオイルの配合量を上記のように多くすることで電荷の減衰速度を一層早くすることができる。また、エーテル変性シリコーンオイルの含有量は、シリコーン組成物の全量基準で、例えば10質量%以下であってよく、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。エーテル変性シリコーンオイルの配合量を上記のように少なくすることで、弾性層3のゴム硬度がより向上し、機械的強度に優れた現像ローラ1が得られる傾向がある。
【0038】
エーテル変性シリコーンオイルとしては、例えば、信越化学工業製の変性シリコーンオイルである「KF355A」、「KF644」、「KF6204」、「X−22−4592」、「X−22−4272」、「KF6123」、「X−22−4741」、「KF1002」等を用いることができる。また、エーテル変性シリコーンオイルとしては、例えば、東レ・ダウコーニング社製の変性シリコーンオイルである「BY16−201」、「SF−8427」、「SF−8428」、「FZ−2162」、「SH3773M」等を用いることもできる。
【0039】
導電性付与剤は、弾性層3に導電性を付与できる成分であればよい。導電性付与剤としては、例えば、金属、金属酸化物、導電性ポリマー等の導電性粉末、カーボンブラック、イオン導電剤、界面活性剤等が挙げられる。
【0040】
導電性付与剤としては、カーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックをエーテル変性シリコーンオイルと共にシリコーン組成物に配合することで、帯電性及び電荷減衰速度に係る効果がより顕著に奏される。導電性付与剤としては、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。例えば、シリコーンゴム組成物は、導電性付与剤としてカーボンブラックのみを用いてよく、カーボンブラックと他の導電性付与剤とを併用してもよい。
【0041】
カーボンブラックは特に限定されず、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラック等が好適に用いられる。カーボンブラックとしては、これらのうち1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
シリコーンゴム組成物における導電性付与剤の含有量は、シリコーン組成物の全量基準で、例えば0.5質量%以上であってよく、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。導電性付与剤の含有量を上記のように多くすることで、現像ローラ1の抵抗値がより安定化し、印字性能がより向上する傾向がある。また、導電性付与剤の含有量は、シリコーン組成物の全量基準で、例えば20質量%以下であってよく、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。導電性付与剤の含有量を上記のように少なくすることで、弾性層3の圧縮永久歪がより小さくなり、現像ローラ1の印字性能及び耐久性がより向上する傾向がある。
【0043】
シリコーンゴム組成物は上記以外の各種添加剤を更に含有していてよい。各種添加剤としては、例えば、助剤(鎖延長剤、架橋剤等)、触媒、分散剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填材、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。
【0044】
シリコーンゴム組成物を硬化する方法は特に限定されず、公知の硬化方法を採用していよい。例えば、シリコーンゴム組成物は、加硫剤の添加及び加熱によって硬化してよく、シリコーンゴム組成物に含まれる架橋剤を加熱により反応させて硬化してもよい。
【0045】
弾性層3は、シリコーンゴム組成物の硬化物で構成されていてよい。すなわち、弾性層3は、シリコーンゴム組成物の硬化により形成されるシリコーンゴム弾性体で構成されていてよい。
【0046】
シリコーンゴム組成物は、例えば、付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物等であってよい。
【0047】
付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物は、例えば、(A)下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン、(B)充填材、(C1)反応性基を有するエーテル変性シリコーンオイル、及び、(C2)導電性付与剤を含有するものであってよい。
R
1nSiO
(4−n)/2 …(1)
式(1)中、nは1.95〜2.05の正数を示す。また、R
1は、同一又は異なっていてよい、置換又は非置換の一価の炭化水素基を示す。炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは1〜12であり、より好ましくは1〜8である。
【0048】
R
1としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基及びドデシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基及びヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基及びトリル基等のアリール基、β−フェニルプロピル基等のアラルキル基などが挙げられる。また、R
1は、これらの炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基であってもよい。置換基は、例えばハロゲン原子、シアノ基等であってよい。置換基を有する炭化水素基としては、例えば、クロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。
【0049】
(A)オルガノポリシロキサンは、分子鎖末端が、トリメチルシリル基等のトリアルキルシリル基、ジメチルビニルシリル基等のジアルキルアラルキルシリル基、ジメチルヒドロキシシリル基等のジアルキルヒドロキシシリル基、トリビニルシリル基等のトリアラルキルシリル基などで封鎖されていることが好ましい。
【0050】
(A)オルガノポリシロキサンは、分子中に2つ以上のアルケニル基を有することが好ましい。(A)オルガノポリシロキサンは、R
1のうち0.001〜5モル%(より好ましくは0.01〜0.5モル%)のアルケニル基を有することが好ましい。(A)オルガノポリシロキサンが有するアルケニル基としてはビニル基が特に好ましい。
【0051】
(A)オルガノポリシロキサンは、例えば、オルガノハロシランの1種若しくは2種以上を共加水分解縮合することによって、又は、シロキサンの3量体若しくは4量体等の環状ポリシロキサンを開環重合することによって得ることができる。(A)オルガノポリシロキサンは、基本的には直鎖状のジオルガノポリシロキサンであってよく、一部分岐していてもよい。また、(A)オルガノポリシロキサンは、分子構造の異なる2種又はそれ以上の混合物であってもよい。
【0052】
(A)オルガノポリシロキサンは、25℃における粘度が100cSt以上であることが好ましく、100000〜10000000cStであることがより好ましい。また、(A)オルガノポリシロキサンの重合度は、例えば100以上であってよく、好ましくは3000以上であり、100000であってよく、好ましくは10000以下である。
【0053】
(B)充填材としては、例えばシリカ系充填材が挙げられる。シリカ系充填材としては、例えば、煙霧質シリカ、沈降性シリカ等が挙げられる。
【0054】
シリカ系充填材としては、R
2Si(OR
3)
3で示されるシランカップリング剤で表面処理された、表面処理シリカ系充填材を好適に用いることができる。ここで、R
2は、ビニル基又はアミノ基を有する基であってよく、例えば、グリシジル基、ビニル基、アミノプロピル基、メタクリロキシ基、N−フェニルアミノプロピル基、メルカプト基等であってよい。R
3はアルキル基であってよく、例えばメチル基、エチル基等であってよい。シランカップリング剤は、例えば信越化学工業株式会社製の商品名「KBM1003」、「KBE402」等として、容易に入手できる。表面処理シリカ系充填材は、定法に従って、シリカ系充填材の表面をシランカップリング剤で処理することにより得ることができる。表面処理シリカ系充填材としては、市販品を用いてもよく、例えば、J.M.HUBER株式会社製の商品名「Zeothix 95」等が挙げられる。
【0055】
シリカ系充填材の配合量は、(A)オルガノポリシロキサン100質量部に対して10〜40質量部であることが好ましく、15〜35質量部であることがより好ましい。また、シリカ系充填材の平均粒子径は、1〜80μmであることが好ましく、2〜40μmであることがより好ましい。なお、シリカ系充填材の平均粒子径は、レーザー光回折法による粒度分布測定装置を用いて、メジアン径として測定できる。
【0056】
付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物は、(A)〜(C2)以外の添加剤を更に含有していてよい。添加剤としては、例えば、助剤(鎖延長剤、架橋剤等)、触媒、分散剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。
【0057】
添加剤の具体例としては、(A)オルガノポリシロキサンより重合度の低いジメチルシロキサンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、シラノール、ジフェニルシランジオール及びα,ω−ジメチルシロキサンジオール等の両末端シラノール基封止低分子シロキサン、シラン等の分散剤が挙げられる。また、添加剤の具体例としては、オクチル酸鉄、酸化鉄、酸化セリウム等の耐熱向上剤が挙げられる。また、添加剤としては、接着性、成形加工性等を向上させるための各種カーボンファンクショナルシラン、各種オレフィン系エラストマー等を用いてもよい。
【0058】
付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物は、例えば、(D)分子中に2つ以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと、(E)分子中にケイ素原子と結合する水素原子を2つ以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(F)充填材と、(G1)反応性基を有するエーテル変性シリコーンオイルと、(G2)導電性付与剤と、(H)付加反応触媒と、を含有していてよい。
【0059】
(D)オルガノポリシロキサンとしては、下記平均組成式(2)で示される化合物が好適である。
R
4aSiO
(4−a)/2 …(2)
式(2)中、aは1.5〜2.8の正数を示し、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.95〜2.05である。また、R
4は、同一又は異なっていてよい、置換又は非置換の一価の炭化水素基を示す。但し、一分子中のR
4のうち少なくとも2つはアルケニル基である。炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは1〜12であり、より好ましくは1〜8である。
【0060】
R
4としては、上記R
1として例示した基と同じ基が例示できる。また、一分子中のR
4のうち少なくとも2つがアルケニル基であり、それ以外のR
4はアルキル基であることが好ましい。アルケニル基はビニル基であることが好ましく、アルキル基はメチル基であることが好ましい。また、R
4のうち、例えば90%以上がアルキル基(好ましくはメチル基)であってよい。(D)オルガノポリシロキサンにおけるアルケニル基の含有量は、例えば、1.0×10
−6〜5.0×10
−3mol/gであってよく、5.0×10
−6〜1.0×10
−3mol/gであることが好ましい。
【0061】
(D)オルガノポリシロキサンは、25℃で液状であることが好ましく、25℃における粘度が100〜1000000mPa・s(より好ましくは200〜100000mPa・s)であることが好ましい。また、(D)オルガノポリシロキサンの平均重合度は100〜800であることが好ましく、150〜600であることがより好ましい。
【0062】
(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(3)で示される化合物が好適である。
R
5bH
cSiO
(4−b−c)/2 …(3)
式(3)中、bは0.7〜2.1の正数を示し、cは0.001〜1.0の正数を示し、b+cは0.8〜3.0である。また、R
5は、同一又は異なっていてよい、置換又は非置換の一価の炭化水素基を示す。炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは1〜10である。なお、R
5としては、上記R
1として例示した基と同じ基が例示できる。
【0063】
(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に結合した水素原子(Si−H)を一分子中に2つ以上有しており、3つ以上有していることが好ましい。また、(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンが一分子中に有する、ケイ素原子に結合した水素原子の個数は、200以下であってよく、100以下であってもよい。
【0064】
(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンにおいて、ケイ素原子に結合した水素原子の含有量は、0.001〜0.017mol/gであることが好ましく、0.002〜0.015mol/gであることがより好ましい。
【0065】
(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CH
3)
2HSiO
1/2単位とSiO
4/2単位とから成る共重合体、及び、(CH
3)
2HSiO
1/2単位とSiO
4/2単位と(C
6H
5)SiO
3/2単位とから成る共重合体等が挙げられる。
【0066】
(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(D)オルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、0.3〜20質量部であることがより好ましい。また、(D)オルガノポリシロキサンのアルケニル基に対する、(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンのSi−Hのモル比は、0.3〜5.0であることが好ましく、0.5〜2.5であることがより好ましい。
【0067】
(F)充填材は、例えば、無機質充填材であってよい。付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物に(F)充填材を配合することで、圧縮永久ひずみが低くなり、体積抵抗率が経時で安定し、且つ十分なローラ耐久性が得られる。
【0068】
(F)充填材の平均粒子径は、好ましくは1〜30μmであり、より好ましくは2〜20μmである。(F)充填材の平均粒子径が1μm以上であると、体積抵抗率の経時変化が一層抑制される傾向がある。また、(F)充填材の平均粒子径が30μm以下であると、耐久性に一層優れる弾性層3が得られる傾向がある。なお、(F)充填材の平均粒子径は、レーザー光回折法による粒度分布測定装置を用いて、メジアン径として測定できる。
【0069】
(F)充填材の嵩密度は、好ましくは0.1〜0.5g/cm
3であり、より好ましくは0.15〜0.45g/cm
3である。(F)充填材の嵩密度が0.1g/cm
3以上であると、圧縮永久ひずみをより低くすることができ、体積抵抗率の経時変化が一層抑制される傾向がある。また、(F)充填材の嵩密度が0.5g/cm
3以下であると、耐久性に一層優れる弾性層3が得られる傾向がある。なお、(F)充填材の嵩密度は、JIS K 6223の見かけ比重の測定方法に基づいて求めることができる。
【0070】
(F)充填材としては、例えば、珪藻土、パーライト、マイカ、炭酸カルシウム、ガラスフレーク、中空フィラー等が挙げられる。これらの中でも、(F)充填材としては、珪藻土、パーライト及び発泡パーライトの粉砕物を好適に用いることができる。
【0071】
(F)充填材の配合量は、(D)オルガノポリシロキサン100質量部に対して5〜100質量部であることが好ましく、10〜80質量部であることがより好ましい。
【0072】
(H)付加反応触媒は、(D)オルガノポリシロキサンと(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンとの付加反応を活性化できる触媒であればよい。(H)付加反応触媒としては、例えば、白金族元素を有する触媒が挙げられる。白金族元素を有する触媒としては、例えば、白金系触媒(例えば、白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等)、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等が挙げられる。
【0073】
付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物は(D)〜(H)以外の添加剤を更に含有していてよい。添加剤としては、例えば、助剤(鎖延長剤、架橋剤等)、発泡剤、分散剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、希釈剤、反応性希釈剤、溶剤等が挙げられる。
【0074】
添加剤の具体例としては、低分子シロキサンエステル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、シラノール、フェニルシランジオール等の分散剤が挙げられる。また、添加剤の具体例としては、オクチル酸鉄、酸化鉄、酸化セリウム等の耐熱向上剤が挙げられる。また、添加剤としては、接着性、成形加工性等を向上させるための各種カーボンファンクショナルシラン、各種オレフィン系エラストマー等を用いてもよい。また、添加剤としては、難燃性を付与させるハロゲン化合物等を用いてもよい。
【0075】
付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物の25℃における粘度は、5〜500Pa・sであることが好ましく、5〜200Pa・sであることがより好ましい。
【0076】
弾性層3の厚さは特に限定されず、例えば0.1〜6mmであってよく、1〜4mmであってもよい。なお、本明細書における厚さは、現像ローラ1の軸線方向に垂直な方向の厚さを示す。
【0077】
弾性層3の外径は特に限定されず、例えば6mm〜25mmであってよく、7mm〜21mmであってよい。
【0078】
弾性層3の外周面には、被覆層4との接着性向上等の目的で、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、エキシマ処理、UV処理、イトロ処理、フレーム処理等の表面処理が施されていてよい。
【0079】
弾性層3の形成方法は特に限定されない。例えば、弾性層3は、シリコーンゴム組成物の押出成形、LIMS成形等の方法で形成されてよい。また、弾性層3は、軸体2上に形成された弾性体(シリコーンゴム組成物の硬化物)の研削・研磨等によって形成してもよい。
【0080】
現像ローラ1において、被覆層4は弾性層3上に設けられ、弾性層3の外周面を被覆している。被覆層4は、弾性層3の外周面の全てを被覆している必要はなく、印字機能に不具合の無い範囲で弾性層3を被覆していればよい。
【0081】
被覆層4は、例えば、ウレタン結合を有する樹脂を含有する層であってよい。ウレタン結合を有する樹脂としては、例えば、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との重合体であるウレタン樹脂が挙げられる。
【0082】
ポリオール成分は、ヒドロキシル基を2つ以上有する化合物である。ポリオール成分としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリアクリルポリオール等が挙げられる。ポリオール成分はこれらの1種であってよく2種以上であってもよい。
【0083】
ポリエステルポリオールは、分子内に2つ以上のエステル結合と2つ以上のヒドロキシル基を有していてよい。ポリエステルポリオールは、例えば、ジカルボン酸とポリオールとの縮合反応物であってよい。ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタルさん等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。ポリオールとしては、例えば、ヘキサンジオール、ブタンジオール等のジオール、2,4−ブタントリオール等のトリオールが挙げられる。
【0084】
ポリカーボネートポリオールは、分子内に2つ以上のカーボネート結合と2つ以上のヒドロキシル基を有していてよい。ポリカーボネートポリオールは、例えば、上述のジオールとカーボネート化合物との縮合反応物等が挙げられる。カーボネート化合物としては、例えば、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレンカーボネート等が挙げられる。
【0085】
ポリエーテルポリオールは、分子内に2つ以上のエーテル結合と2つ以上のヒドロキシル基を有していてよい。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、多価アルコールにポリエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加重合させた重合体等が挙げられる。ポリカプロラクトンポリオールは、ポリカプロラクトン骨格と2つ以上のヒドロキシル基を有していてよい。
【0086】
ポリアクリルポリオールは、アクリル系モノマー由来の繰り返し単位と2つ以上のヒドロキシル基とを有していてよい。アクリル系モノマーは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド等であってよい。第一の樹脂成分の柔軟性が向上する観点からは、ポリアクリルポリオールのTgは−70℃〜30℃であることが好ましく、−70℃〜10℃であることがより好ましい。
【0087】
ポリオール成分の数平均分子量は、被覆層4の柔軟性が向上する観点から、100〜14000であることが好ましく、500〜11000であることがより好ましく、500〜6000であることが更に好ましい。なお、本明細書中、数平均分子量は、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算の値を示す。
【0088】
ポリイソシアネート成分は、イソシアネート基(−NCO)を2以上有する化合物である。ポリイソシアネート成分としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、その他のポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0089】
被覆層4は、フィラーを更に含有していてよい。本実施形態において、フィラーは、表面粗さ調製用粒子ということもできる。
【0090】
被覆層4に配合されるフィラーの平均粒子径は、好ましくは0.1〜20μmであり、より好ましくは1〜15μmである。被覆層4にこのようなフィラーを配合することで、外周面の表面粗さを、容易に適切な範囲に調整することができる。現像ローラ1の外周面の表面粗さを調整することで、トナー搬送性が向上し、一層優れた印字特性が得られる。なお、フィラーの平均粒子径は、レーザー光回折法による粒度分布測定装置を用いて、メジアン径として測定できる。
【0091】
被覆層4の表面粗さ(Rz)は、例えば、1〜20μmであることが好ましく、1〜15μmであることがより好ましい。なお、本明細書中、被覆層4の表面粗さ(Rz)は、JIS−1994に規定の方法で測定される十点平均粗さを示す。被覆層4の表面粗さは、例えば、配合するフィラーの種類、配合量等により容易に調整することができる。
【0092】
被覆層4に配合されるフィラーの種類は特に限定されず、公知のフィラーから適宜選択して使用できる。例えばフィラーは、シリカ、球状樹脂粒子、金属酸化物等であってよい。
【0093】
被覆層4がフィラーを含有するとき、フィラーの含有量は、例えば、被覆層4の樹脂成分100質量部に対して0.1〜50質量部であることが好ましく、1〜40質量部であることがより好ましい。
【0094】
被覆層4は、導電性付与剤を更に含有していてよい。導電性付与剤は、被覆層4に導電性を付与し得る成分であればよく、特に限定されない。導電性付与剤としては、例えば、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック)、イオン導電剤、金属、金属酸化物、導電性ポリマー、帯電防止剤、イオン導電性樹脂、界面活性剤等が挙げられる。導電性付与剤の配合量は特に限定されず、導電性付与剤の種類、所望する導電性能等に応じて適宜調整してよい。また、導電性付与剤は一種を単独で用いてよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0095】
被覆層4は上記以外の添加剤を更に含有していてよい。例えば、被覆層4は、シランカップリング剤、潤滑剤、分散剤等の添加剤を更に含有していてよい。
【0096】
被覆層4の形成方法は特に限定されない。例えば、被覆層4は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分及び重合触媒を含有する塗布液を弾性層3上に塗布し、加熱等によりポリオール成分とイソシアネート成分とを重合させることで形成してよい。塗布液に使用される溶媒は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を溶解可能な溶媒であることが好ましく、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等であってよい。
【0097】
被覆層4の厚さは特に限定されず、例えば0.5〜30μmであってよく、好ましくは1〜20μmである。
【0098】
現像ローラ1は、上記以外の構成を更に備えていてよい。例えば、現像ローラ1は、軸体2と弾性層3との間、及び/又は、弾性層3と被覆層4との間に、接着強度を向上させるための接着層を更に備えていてよい。
【0099】
本実施形態に係る現像ローラ1は、画像形成装置における現像剤担持体として、好適に用いることができる。本実施形態において、画像形成装置における現像ローラ1以外の構成は特に限定されない。現像ローラ1は、公知の様々な画像形成装置における現像剤担持体として好適に用いることができる。
【0100】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0101】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0102】
(実施例1)
無電解ニッケルメッキ処理が施された軸体(SUM22製、直径10mm、長さ275mm)をエタノールで洗浄し、その表面にシリコーン系プライマー(商品名「プライマーNo.16」、信越化学工業製)を塗布した。プライマー処理した軸体を、ギヤオーブンを用いて、150℃の温度にて10分焼成処理した後、常温にて30分以上冷却し、軸体の外周面にプライマー層を形成した。
【0103】
次いで、弾性層を形成するためのシリコーンゴム組成物を次のように調製した。
すなわち、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度300)100質量部、BET比表面積が110m
2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本アエロジル社製、R−972)1質量部、平均粒径6μm、嵩密度が0.25g/cm
3である珪藻土(オプライトW−3005S、中央シリカ製)40質量部、及び、アセチレンブラック(デンカブラックHS−100、デンカ製)5質量部をプラネタリーミキサーに入れ、30分撹拌した後、3本ロールに1回通した。これを再度プラネタリーミキサーに戻し、架橋剤として、両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度17、Si−H量0.0060mol/g)2.1質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.1質量部、白金触媒(Pt濃度1%)0.1質量部、及び、ヒドロキシ基を有するエーテル変性シリコーンオイル(商品名「KF355A」、信越化学工業製)1質量部を添加し、30分撹拌脱泡混練して、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を調製した。
【0104】
調製した付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を用いた液体射出成形により、軸体の外周面上にゴム材料からなる弾性体を成形した。なお、射出成形では、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を150℃で10分間加熱して硬化させ、さらにギアーオーブンを用いて200℃で4時間加熱して硬化させた。この弾性体を研磨して、外径16mmの弾性層を形成した。
【0105】
次いで、被覆層を形成するための樹脂組成物を次のように調製した。
すなわち、アクリルポリオール28質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(商品名「デュラネートTPA−100」、旭化成製)14質量部、ジブチルスズジラウレート(昭和化学製)0.03質量部、小径シリカ(平均粒子径4.4μm、商品名「ACEMATT OK−607」、エボニックデグサ製)4質量部、イオン導電剤(商品名「EF−N112」、三菱電子化成マテリアル製)0.1質量部、及び、シンナー30質量部を混合して、樹脂組成物を得た。
【0106】
調製した樹脂組成物を弾性層の外周面にスプレーコーティング法によって塗布し、160℃で30分間加熱して、厚さ10〜30μmの被覆層を形成した。
【0107】
以上の方法で、実施例1の現像ローラA−1を作製した。作製した現像ローラA−1について、以下の方法で、弾性層の帯電性評価、及び、現像ローラ表面の帯電性評価を行った。
【0108】
<弾性層の帯電性評価>
弾性層の一部を切り取り、オネストメーター(シシド静電気製)に冶具でセットした。印加電圧8kv、1300rpm、30秒チャージの条件で測定を行い、帯電量及び電荷減衰速度を評価した。帯電量が2〜10ボルトであった場合をB、帯電量が10ボルトを超える場合をAとして、帯電量の評価結果を表1に示した。また、電荷がゼロになるまでの時間が2秒未満であった場合をA、2〜10秒であった場合をB、10秒以上経過してもゼロにならなかった場合をCとして、電荷減衰速度の評価結果を表1に示した。
【0109】
次いで、画像形成装置C610dn2(型番、沖データ社製)を用意し、この画像形成装置の現像ローラを作製した現像ローラA−1に差し替えて、実施例1の画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、以下の方法でトナーフィルミングの評価を行った。
【0110】
<トナーフィルミングの評価>
作製した現像ローラを装着した画像形成装置を用い、温度23℃、湿度55%RHの条件で、6000枚のA4用紙に幅202mm、長さ288mmのベタ画像を印字した。印字後、現像ローラ上に付着したトナーの量を測定した。付着量が0.5mg未満であった場合をA、0.5〜1.0mgであった場合をB、1.0mgを超える量であった場合をCとして評価した。評価結果は表1に示した。
【0111】
(実施例2)
実施例1と同様の軸体上に、以下の方法で弾性層を形成した。すなわち、ビニル基含有シリコーン生ゴムとシリカ系充填材との混合物(信越化学工業株式会社製のシリコーンゴム組成物「KE−9410U」)50質量部と、ビニル基含有シリコーン生ゴムとカーボンブラックとの混合物(信越化学工業株式会社製のシリコーンゴム組成物「KE−3502U」)50質量部とを混合して、シリコーンゴム組成物を作製した。次いで、このシリコーンゴム組成物100質量部と、付加反応架橋剤「C−153A」(商品名、信越化学工業株式会社製)2.0質量部と、白金触媒(商品名「CAT−PL2」)0.2質量部と、反応制御剤「R−153A」(商品名、信越化学工業株式会社製)0.5質量部と、ヒドロキシ基を有するエーテル変性シリコーンオイル(商品名「KF355A」、信越化学工業製)1質量部とを加圧ニーダーで十分に混練して、付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物を調製した。
【0112】
調製した付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物を用いた押出成形により、軸体の外周面上にゴム材料からなる弾性体を成形した。なお、押出成形では、付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物を、赤外線加熱炉(IR炉)を用いて360℃で5分間加熱し、さらにギアーオーブンを用いて200℃で4時間加熱して硬化させた。この弾性体を研磨して、外径16mmの弾性層を形成した。
【0113】
得られた弾性層上に実施例1と同様の方法で被覆層を形成し、実施例2の現像ローラA−2を得た。現像ローラA−2について、実施例1と同様の方法で画像形成装置の作製及び各特性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0114】
(実施例3)
弾性層の形成に際し、ヒドロキシ基を有するエーテル変性シリコーンオイルとして「KF644」(商品名、信越化学工業製)0.5質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして現像ローラを作製した。得られた実施例3の現像ローラA−3について、実施例1と同様の方法で画像形成装置の作製及び各特性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0115】
(実施例4)
弾性層の形成に際し、ヒドロキシ基を有するエーテル変性シリコーンオイルとして「X−22−4952」(商品名、信越化学工業製)2質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして現像ローラを作製した。得られた実施例4の現像ローラA−4について、実施例1と同様の方法で画像形成装置の作製及び各特性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0116】
(実施例5)
弾性層の形成に際し、ヒドロキシ基を有するエーテル変性シリコーンオイルとして「X−22−4952」(商品名、信越化学工業製)10質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして現像ローラを作製した。得られた実施例5の現像ローラA−5について、実施例1と同様の方法で画像形成装置の作製及び各特性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0117】
(比較例1)
弾性層の形成に際し、ヒドロキシ基を有するエーテル変性シリコーンオイルを配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして現像ローラを作製した。得られた比較例1の現像ローラB−1について、実施例1と同様の方法で画像形成装置の作製及び各特性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0118】
(比較例2)
弾性層の形成に際し、ヒドロキシ基を有するエーテル変性シリコーンオイルに代えて、ヒドロキシ基を有しないエーテル変性シリコーンオイル(商品名「KF351A」、信越化学工業製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして現像ローラを作製した。得られた比較例2の現像ローラB−2について、実施例1と同様の方法で画像形成装置の作製及び各特性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0119】
(比較例3)
弾性層の形成に際し、ヒドロキシ基を有するエーテル変性シリコーンオイルを配合しなかったこと以外は、実施例2と同様にして現像ローラを作製した。得られた比較例3の現像ローラB−3について、実施例1と同様の方法で画像形成装置の作製及び各特性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0120】
実施例及び比較例の各評価結果を表1に示す。表1の「帯電量」及び「減衰速度」は上述の<弾性層の帯電性評価>の評価結果であり、「トナーフィルミング」は上述の<トナーフィルミングの評価>の評価結果である。
【0121】
【表1】
【0122】
弾性層の帯電性評価において、実施例1〜5では帯電量が大きく、且つ、0Vまで減衰する減衰時間が短かった。一方、比較例1〜3では、実施例1〜5と比較して減衰時間が著しく長かった。
【0123】
また、トナーフィルミングの評価では、表1に示すとおり、実施例1〜5の現像ローラがトナーフィルミングを十分に抑制でき、優れた印字特性を発揮できることが確認された。
【0124】
なお、実施例と比較して比較例が劣る理由として、比較例1及び3では弾性層にエーテル変性シリコーンオイルが配合されていないこと、比較例2では配合されたエーテルオイルが反応性基を有しておらず、弾性層形成時の加熱で揮発したことが考えられる。