特許第6800099号(P6800099)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800099
(24)【登録日】2020年11月26日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】面状ライトユニット
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20201207BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20201207BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20201207BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20201207BHJP
   F21Y 105/00 20160101ALN20201207BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20201207BHJP
【FI】
   F21S2/00 441
   F21S2/00 436
   F21S2/00 439
   G02F1/13357
   G02F1/1335
   G02B6/42
   F21Y105:00
   F21Y115:10 500
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-124699(P2017-124699)
(22)【出願日】2017年6月27日
(65)【公開番号】特開2019-9028(P2019-9028A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2019年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100128071
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 知生
(72)【発明者】
【氏名】宮下 純司
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−250458(JP,A)
【文献】 特開2012−221840(JP,A)
【文献】 特開2008−053013(JP,A)
【文献】 特開平07−181488(JP,A)
【文献】 特開2001−357714(JP,A)
【文献】 特開2000−306411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G02B 6/42
G02F 1/1335
G02F 1/13357
F21Y 105/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源の発光面に対向する入光面を有する導光板と、前記光源と前記入光面とを光学密着させる柔軟性透明樹脂とを備えた面状ライトユニットにおいて、
前記導光板は、前記入光面に柔軟性透明樹脂保持溝を備え、
前記柔軟性透明樹脂は、前記光源の前記発光面と前記柔軟性透明樹脂保持溝の底面で圧縮されて前記底面と密着し、
前記柔軟性透明樹脂保持溝には、気泡排除溝が設けられていることを特徴とする面状ライトユニット。
【請求項2】
前記気泡排除溝は、断面形状が多角形の溝であることを特徴とする請求項1に記載の面状ライトユニット。
【請求項3】
前記気泡排除溝は、断面形状が三角形の溝であることを特徴とする請求項1に記載の面状ライトユニット。
【請求項4】
前記気泡排除溝は、断面形状が半円状の溝であることを特徴とする請求項1に記載の面状ライトユニット。
【請求項5】
前記気泡排除溝は、前記柔軟性透明樹脂保持溝の長手方向と斜交することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の面状ライトユニット。
【請求項6】
前記気泡排除溝は、前記光源の片側のみに設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の面状ライトユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネル等を背面から照明する面状ライトユニットに関し、さらに詳しくは、光源と導光板の入光面との間に柔軟性透明樹脂を配置し、導光板への入射効率を向上させたサイドエッジ型の面状ライトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーションやモバイルコミュニケーションツールには、液晶表示装置が採用されている。この液晶表示装置には、液晶パネルの背面から光を照射する面状ライトユニットが含まれる。近年の液晶パネルは、画素が高精細化され、透過率が減少している。このため、これまでの面状ライトユニットでは、画像を認識するのに不十分な明るさとなっていた。
【0003】
十分に明るい面状ライトユニットを実現するため、例えば、特許文献1には、光源と導光板との間に柔軟性透明樹脂を配する方法が提案されている。特許文献1では、LEDと導光板の間に柔軟性透明樹脂を設ける際、光源の発光面と柔軟性透明樹脂、柔軟性透明樹脂と導光板の入光面との間に気泡が残ることが指摘されている。
【0004】
このため、光源の発光面と柔軟性透明樹脂の界面、又は柔軟性透明樹脂と導光板の入光面の界面に光学グリースを介在させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007―103101号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているように柔軟性透明樹脂と導光板の間に光学グリースを介在させると、面状ライトユニットが高温になったとき照明品位が低下することがある。すなわち、面状ライトユニットが高温になると、光学グリースも高温になり軟化して粘度が下がる。粘度の下がった光学グリースは、例えば、反射シートと導光板の間、導光板と拡散シートの間などに浸潤することがある。この浸潤は、面状ライトユニットの有効照明エリアまで到達すると、面状ライトユニットの照明品位を著しく低下させる。
【0007】
そこで本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、柔軟性透明樹脂を使用して輝度を向上させる際、光学グリースを使わなくても気泡を残さない面状ライトユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の面状ライトユニットは、光源と、前記光源の発光面に対向する入光面を有する導光板と、前記光源と前記入光面とを光学密着させる柔軟性透明樹脂とを備えた面状ライトユニットにおいて、前記導光板は、前記入光面に柔軟性透明樹脂保持溝を備え、前記柔軟性透明樹脂は、前記光源の前記発光面と前記柔軟性透明樹脂保持溝の底面で圧縮されて前記底面と密着し、前記柔軟性透明樹脂保持溝の底面には、気泡排除溝が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、先ず柔軟性透明樹脂を導光板の入光面に設けられた柔軟性透明樹脂保持溝に挿入する。ところが、柔軟性透明樹脂は、この挿入を行う工程の途中で、柔軟性透明樹
脂と柔軟性透明樹脂保持溝の底面との間に気泡を巻き込んだまま当該底面に密着されることがある。このとき、挿入を行う工程の進行に伴い、柔軟性透明樹脂は、自己変形しながら柔軟性透明樹脂の底面との密着が進み、巻き込まれた気泡は、位置を変化させられ導光板の気泡排除溝に到達する。
【0010】
前記気泡排除溝は、断面形状が多角形の溝であってもよい。
【0011】
前記気泡排除溝は、断面形状が三角形の溝であってもよい。
【0012】
前記気泡排除溝は、断面形状が半円状の溝であってもよい。
【0013】
前記気泡排除溝は、前記柔軟性樹脂保持溝の長手方向と斜交してもよい。
【0014】
前記気泡排除溝は、前記光源の片側のみに設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の面状ライトユニットは、柔軟性透明樹脂を介して光源と導光板を密着させても、導光板と柔軟性透明樹脂の密着面に気泡が残らない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態として示す面状ライトユニットの分解斜視図である。
図2図1で示す面状ライトユニットの水平面断面図である。
図3図1で示す面状ライトユニットの鉛直断面図である。
図4図1で示す面状ライトユニットの矢印Cの方向から見た図である。
図5図1で示す面状ライトユニット完成鉛直断面図である。
図6】本発明の第2実施形態として示す面状ライトユニットの矢印Cの方向から見た図である。
図7】本発明の第3実施形態として示す面状ライトユニットの矢印Cの方向から見た図である。
図8】本発明の第4実施形態として示す面状ライトユニットの矢印Cの方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図1〜8を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図面の縮尺、形状、数は、説明のため適宜変更している。また、()に特許請求の範囲で示す発明特定事項を記載する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態として示す面状ライトユニット10の分解斜視図である。面状ライトユニット10は、発光面11aを備えた光源11と、発光面11aに入光面14aが対向配置された導光板14と、発光面11aと入光面14aとの間に配置されたエラストマー12(柔軟性透明樹脂)と、導光板14が積層された反射シート13と、導光板14に積層された光学シート15(拡散シート15a、プリズムシート15b及び偏光シート15c)からなる。なお、光源11を実装する回路基板、及び、光源11や導光板14等を収納するケースは図示していない。
【0019】
導光板14の入光面14aには、保持溝141(柔軟性透明樹脂保持溝)が設けられている。保持溝141には、断面が四角形(コの字状)の排除溝142(気泡排除溝)が設けられている。なお、排除溝142の断面は四角形に限定されるものではなく、三角形や
五角形など多角形であっても良い。導光板14の反射面14d及び出射面14eは、それぞれ反射シート13及び拡散シート15aと対向している。
光源11は、基板上に実装したLEDダイを蛍光樹脂で封止したパッケージ品であり、30個配列し、発光面11aが2.5mm、×1.4mm、奥行きが0.85mmである。エラストマー12は、シリコーン系のゴムであり、長さが290mm、上下の幅が2.1mm、奥行きが1.55mmである。光源11と導光板14の間に介在させる柔軟性透明樹脂は、透明で柔軟性があり、屈折率が光源11の封止樹脂や導光板14の値と近ければ良いので、シリコーン系ゴムであるエラストマー12の代わりに、例えばウレタン樹脂も使える。導光板14は、発光面の対角が12.3インチで、その平面サイズが300mm×119mm、厚さが2.9mmである。保持溝141は、底面の幅が2.2mm、開口部の幅が2.3mm、奥行きが0.7mmである。排除溝142は、溝の深さが0.2mm、幅が1.0mm以下である。
【0020】
図2及び図3は、エラストマー12の状態を説明するため、図1についてAA′線及びBB′線に沿って描いた面状ライトユニット10の水平断面図及び鉛直断面図である。エラストマー12は、保持溝141に挿入され、保持溝141の底面141a及び保持溝141の側面141d、141eに密着する。図2では、保持溝141の側面141eが観察される。排除溝142は、底面141a及び側面141d、141eに亘って掘られたものであり、図2では側面141e側の排除溝142の底面、図3では側面が観察される。
図4は、図1に示した面状ライトユニット10を矢印Cの方向から見た正面図(以下「C矢視図」という。)である。なお、図4には、反射シート13、拡散シート15a、プリズムシート15b及び偏光シート15cを図示していない。エラストマー12は、光源11と保持溝141の底面141aにより圧縮され変形する。光源11及びエラストマー12は、底面141aに発生する圧力の偏りを防止するため、保持溝141のほぼ中心に配置される。排除溝142は、保持溝141の長手方向と直交している様子がエラストマー12越しに観察される。
【0021】
図5は、図1に示した面状ライトユニット10の完成鉛直断面図である。光源11、エラストマー12、導光板14、反射シート13、拡散シート15a、プリズムシート15b、偏光シート15c、回路基板16及びゴムバネ17は、フロントケース18aとバックケース18bからなる空間に収納されている。回路基板18は、バックケース18bの内側面に接着固定されている。光源11は、回路基板16に実装され、光源11の発光面11aは、入光面14aに含まれる保持溝141の底面141aと対向配置している。エラストマー12は、光源11と導光板14により挟持され、変形し、保持溝141の底面141a及び側面141d、141eに密着する。導光板14は、1つの側面である反入光面14fとバックケース18bの間に配置されたゴムバネ17により光源11側へ押される。この結果、エラストマー12及び導光板14は、バックケース18bに固定される。
【0022】
面状ライトユニット10の組み立て時において、エラストマー12は、まずその端部が保持溝の端部141b、141c(図2参照)のいずれか一方から押し込まれ、続いて他の部分が保持溝の底面141a(図2、3参照)に密着固定され、導光板14に組み込まれる。しかしながら、エラストマー12は、極めて柔軟性が高く変形しやすいので、意図しない部分が、意図しない位置又はタイミングで底面141aに密着してしまう場合がある。すなわち、エラストマー12の離れた2つの部分が同時に保持溝141の底面141a(図2、3参照)に密着したとき、その2つの部分の間が密着されていない状態になる。この密着していない部分は、直後の工程で密着固定されるとしても、その際にエラストマー12と保持溝141の底面141aとの間に気泡を巻き込むことがある。
【0023】
この気泡は、通常、エラストマー12と保持溝141の底面141aとを密着させていく前述の工程の中で、保持溝141の端部141b若しくは端部141c(図2参照)又は側面141d若しくは側面141e(図3参照)から外部へ押し出される。しかしながら、仮に排除溝142がないとしたら、密着が既に終わっている場合や気泡が比較的大きい場合には、気泡が密着部へ残ってしまう。
【0024】
これに対し、面状ライトユニット10では、光源11が、保持溝141の底面141aと密着する面とは反対側のエラストマー12の面を圧縮し、エラストマー12が、この圧縮により保持溝141との密着部に圧力を加えるので、気泡は、圧力の影響が少ない部分へ押し出される。つまり、気泡は光源11の両側へ押し出される。両側へ押し出された気泡は、排除溝142に達し、エラストマー12と保持溝141の密着部から外部に抜け出る。
【0025】
以上のように、本発明の面状ライトユニット10は、エラストマー12を介して光源11と導光板14を密着させても、導光板14とエラストマー12の密着面に気泡が残らない。
【0026】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態として示す面状ライトユニット20のC矢視図(図1参照)である。面状ライトユニット20が面状ライトユニット10と異なるところは、図6に示すように排除溝242の断面形状だけである。すなわち、面状ライトユニット20では、排除溝242は、断面形状が側面242a、242bを2辺とする三角形(V字状)の溝となっている。
【0027】
なお、図4に示したように排除溝142の断面が四角形の溝の場合には、導光板14を金型で成形するときに、排除溝142の側面142a、142bが導光板14の離形抵抗となる。これに対し、図6に示すように面状ライトユニット20では、排除溝242の側面242a、242bを三角柱の斜面とすることにより、導光板14を金型から離形するときの離形抵抗が減る。この結果、生産性が向上する。
【0028】
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態として示す面状ライトユニット30のC矢視図(図1参照)である。面状ライトユニット30が面状ライトユニット10と異なるところは、図7に示すように排除溝342の断面形状だけである。すなわち、面状ライトユニット30では排除溝342の断面形状を半円状(U字状)としている。
【0029】
なお、図4に示したように排除溝142の断面が四角形の場合には、導光板14を金型で成形するときに、排除溝142の側面142a、142bが導光板14の離形抵抗となる。これに対し、図7に示すように面状ライトユニット30では、排除溝342の断面を半円状とすることにより、導光板14を金型から離形するときの離形抵抗が減る。この結果、生産性が向上する。
【0030】
(第4実施形態)
図8は、本発明の第4実施形態として示す面状ライトユニット40のC矢視図(図1参照)である。面状ライトユニット40が面状ライトユニット10と異なるところは、図8に示すように排除溝442が保持溝141と斜交しているところだけである。排除溝442を保持溝141と斜交させると、排除溝442の数が少なくても光源11付近にも排除溝を設けたことと同じように作用する。排除溝442の数が少ないので、金型加工の時間を減らすことが出来る。なお排除溝442は、保持溝141の長手方向中央で斜交方向を反転させている。
【0031】
なお、面状ライトユニット10、20、30、40では、光源11の個数nに対して排除溝142は(n−1)本であった。すなわち、すなわち、排除溝142は、隣接する光源11の中間に設けられていた。しかしながら、排除溝142は、前述の位置に限られず、光源11の片側だけに近接させて設けてもよいし、光源11の両側に近接させて設けてもよい。なお、前者の場合、排除溝142はn本となり、後者の場合、排除溝142は2n本となる。排除溝142の断面形状は、第2、3実施形態として示した面状ライトユニット20、30のように三角形、半円形となる場合、さらには五角形など多角形となる場合にも適用できる、
【符号の説明】
【0032】
10、20、30、40…面状ライトユニット、
11…光源、
11a…発光面、
12…エラストマー(柔軟性透明樹脂)、
13…反射シート、
14…導光板、
14a…入光面、
14b、14c…側面、
14d…反射面、
14e…出射面、
14f…反入光面、
141…保持溝(柔軟性透明樹脂保持溝)、
141a…底面、
141b、141c…端、
141d、141e…側面、
142、342、442…排除溝(気泡排除溝)、
142a、142b、242a、242b…側面、
15…光学シート、
15a…拡散シート、
15b…プリズムシート、
15c…偏光シート、
16…回路基板、
17…ゴムバネ、
18a…フロントケース、
18b…バックケース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8