(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800102
(24)【登録日】2020年11月26日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】静電容量及び導電率を組み合わせた流体レベルセンサ
(51)【国際特許分類】
G01F 23/26 20060101AFI20201207BHJP
G01F 23/24 20060101ALI20201207BHJP
G01F 23/00 20060101ALI20201207BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
G01F23/26 A
G01F23/24 N
G01F23/24 A
G01F23/00 A
B41J2/175 309
【請求項の数】13
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-134541(P2017-134541)
(22)【出願日】2017年7月10日
(65)【公開番号】特開2018-17726(P2018-17726A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2020年7月9日
(31)【優先権主張番号】15/220,686
(32)【優先日】2016年7月27日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィット・エル・クニエリム
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ロス・スロット
(72)【発明者】
【氏名】ブレイク・テリー・ウェイマー
【審査官】
森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
特許第2845916(JP,B2)
【文献】
特公平6−74994(JP,B2)
【文献】
特開平7−92802(JP,A)
【文献】
特開平10−100448(JP,A)
【文献】
特開2003−291367(JP,A)
【文献】
米国特許第6155664(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F23
B41J2
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1及び第2の電極を収容するハウジングと、
前記第2の電極に電気的に接続される駆動信号を生成する駆動検知回路と、
前記第2の電極からの電流を測定するための検知回路であって、流体レベルを示す信号を生成し、駆動検知信号を受信して、前記第2の電極からの電流が伝導性インクにより低レベルを示す場合に、前記駆動検知信号が高レベルを示す信号を生成する検知回路と
を備える流体センサ。
【請求項2】
前記検知回路がまた、前記流体レベルを示すために前記第1の電極から電圧を受信する、請求項1に記載の流体センサ。
【請求項3】
前記第2の電極が、容器内の流体のレベルに対して前記第1の電極の上方である、請求項2に記載の流体センサ。
【請求項4】
前記電極のベースにおいて露出した接地面を含む、請求項2に記載の流体センサ。
【請求項5】
前記駆動信号が交流電圧をさらに含む、請求項2に記載の流体センサ。
【請求項6】
前記検知回路が、同期整流器を含む、請求項2に記載の流体センサ。
【請求項7】
前記検知回路がまた、前記流体レベルを示すために前記第1の電極から電流を受信する、請求項1に記載の流体センサ。
【請求項8】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記電極がハウジングから延在するように、前記第1及び第2の電極を収容し、流体に入れられるハウジングと、
前記第1及び前記第2の電極の間に設けられる一つの露出金属であって、グラウンドに接地され、前記流体にさらされて配置された露出金属と、
前記第2の電極に電気的に接続される駆動信号を生成する駆動回路であって、前記駆動信号が、流体が容器内に存在するとき、前記第1の電極が前記流体の存在を検知するか又は前記駆動信号が前記流体の存在を検知する駆動回路と、
を備える流体センサ。
【請求項9】
前記駆動回路は、前記駆動信号を生成して監視する、請求項8に記載の流体センサ。
【請求項10】
前記第1の電極から受信した電圧をインクレベル信号に変換する回路をさらに備える、請求項8に記載の流体センサ。
【請求項11】
前記第1及び前記第2の電極の間の前記露出金属が、電気的グランドに接地されている、請求項8に記載の流体センサ。
【請求項12】
容器内の流体の高さに相対的に、前記第2の電極が前記第1の電極の上側にある、請求項8に記載の流体センサ。
【請求項13】
前記第1の電極の電圧が高い場合、または、前記駆動信号の電流が大きい場合に、流体の存在が示される、請求項8に記載の流体センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体レベルセンサに関し、より具体的には、レベルを検知するために静電容量又は導電率を使用する流体レベルセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの異なる装置は、容器内の流体レベルを検知するために流体レベルセンサを使用している。検知は、例えば、自動化された液体補充を開始することができたり、ステータスレポートに含まれることができたり、レベルが低くなって補充が必要な場合にのみレポートすることができたりする。そのような用途の1つは、印刷システムにおいて使用されるインク容器のレベルを検知することを含む。これは1つの例であるが、インク検知用途は、電流センサによる問題のいくつかを示している。
【0003】
この領域において発生する1つの問題は、同様に幅広いインクのアレイを使用する幅広い印刷システムに由来する。インクは、多くの異なる材料と、全て異なる特性を有するこれらの材料の多くの異なる組み合わせとから構成されることができる。例えば、異なるインクは、異なる導電性を有する。導電性ベースのインクレベルセンサは、特定の製品において使用される特定のインク用に設計されたときに良好に機能した。例えば、これらのインクのいくつかは、製造ロット及び使用条件にわたって10:1の導電率範囲を有する。しかしながら、複数のインク化学をカバーするより広い用途において、導電率の範囲は、1000000:1を超えることがある。
【0004】
一部の製品は、自己発熱サーミスタプローブを使用している。しかしながら、これらは、加熱されたインクが入ったときに誤った空読みを示すことがある。プローブからの熱はまた、特定のUV感受性インクを劣化させることもある。おそらくよりも、1つの種類のサーミスタプローブは、インクの種類及び特性の範囲にわたって動作しない。
【0005】
他の製品は、光学式インクレベル検知プローブを使用している。これらのプローブは、いくつかの溶融可能インクに使用される高温で劣化することがある。それらはまた、インク顔料によってコーティングされることがあり、一般に、高充填白色顔料インクにおいて満杯信号と空信号との間の信号の差別化が不十分である。
【0006】
さらに他の製品は、容量性インクレベル検知を使用している。これは、非導電性インクから適度に導電性のインクまで良好に機能する。特に金属容器又はタンクにおける高導電性インクは、問題を引き起こすことがある。プローブを被覆するインクの薄膜は、誤った満杯読み取りを引き起こすことがある。インクがプローブ信号を容器ハウジングに短絡させると、誤った空読みがまた発生する可能性がある。
【0007】
広範囲の温度にわたって異なる種類のインクにおいて動作することができる単一種類のセンサを提供して使用する能力は有用であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施形態は、第1の電極と、第2の電極と、電極がハウジングから延在するように第1の電極及び第2の電極を含むハウジングと、第1の電極と第2の電極との間の露出金属と、流体が容器内に存在するときに第1の電極が流体の存在を検知するか又は駆動信号が流体の存在を検知するように第2の電極に電気的に接続された駆動信号とを有する流体センサから構成される。
【0009】
他の実施形態は、第1の電極と、第2の電極と、第1及び第2の電極を含むハウジングと、第2の電極に電気的に接続された駆動信号と、流体レベルを示すために第2の電極からの電流を測定する検知回路とを有する流体センサである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、レベル検知プローブを有する流体容器の側面図を示している。
【
図2】
図2は、インク検知システムの実施形態のブロック図を示している。
【
図3】
図3は、プローブ回路の実施形態の概略図を示している。
【
図4】
図4は、駆動及び検知回路の実施形態の概略図を示している。
【
図5】
図5は、流体プローブの実施形態を示している。
【
図6】
図6は、流体レベルセンサの実施形態のより詳細な図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、流体容器ハウジング10の実施形態を示している。この特定の実施形態及び本願明細書における議論において、多くの例は、プリンタにおいて使用されるインク容器を含む。しかしながら、本願明細書における実施形態は、多くの異なる種類の流体レベルセンサに適用されることに留意すべきである。
【0012】
流体容器ハウジング10は、インク又は他の流体12のレベルを保持する容器16を含む。流体レベルセンサ14は、より詳細に後述するように、2つの電極を延在するそれ自身のハウジングを有する。電極は、流体内に延在している。電極から検出された結果として生じる電圧及び電流は、システムが流体の有無を判定し、検知システムの性質に応じて、利用可能なインクの量を判定するのを可能とする。
【0013】
図2の流体レベルセンサの実施形態は、2つの部分を有する。第1の部分は、センサハウジング内の非常に小さな回路基板であり、第2の部分は、典型的には、メインシステムの流体システムエレクトロニクスに存在する。第2の部分は、ハウジング10内、又はプリンタ若しくは流体分配システム自体の電子モジュール内に存在してもよい。
図2の実施形態において、プローブ回路22は、センサハウジング内に存在し、駆動検知回路20及び検知回路24は、センサハウジングから離れて存在する。
【0014】
駆動検知回路20は、上部電極に電気的に接続され且つ駆動信号DRIVEを提供する駆動信号を生成する、
図4に示される選択(SEL)信号及びイネーブル(EN)信号を受信する。駆動検知回路20はまた、過電流がDRIVE信号から引き出されたときを示す駆動_電流_検知信号を提供する。プローブ22は、容器内のインクに基づいて電圧を生成し、検知回路24に対して得られた電圧Voutを送信する。Voutの振幅は、インクがインク容量又は導電率に起因してプローブ22の双方の電極に接触しているとき(満杯状態)に増加する。接地された金属容器内の高導電性インクの場合、Voutは、DRIVE信号の負荷に起因して低くなることがある。この場合、駆動_電流_検知は、インク満杯状態をトリガする。検知回路は、Voutにおける高振幅信号又は駆動_電流_検知におけるハイレベルのいずれかの検知に基づいてインクレベル信号を生成する。
【0015】
流体が高導電性を有する場合、典型的な容量性又は導電性流体レベル検知システムのようにVoutを単独で使用することによって問題が生じる。容器内に低導電率の液体が存在する場合、駆動信号は、容量的に又は導電的に検知電極に結合し、インク満杯信号をもたらす。本実施形態における高導電性インクの場合、現在利用可能なインクセンサは、誤った空又は満杯読み取りを生じることがある。本願明細書における実施形態において、高導電率のインクが上部電極に到達すると、特に金属容器の場合には上部電極をグラウンドに短絡させる。この上部電極における高負荷電流はまた、検知されて満杯読み取りを生じさせる。いくつかの実施形態において、高導電性インクは、1センチメートルあたり500マイクロシーメンスを超える導電性のものであり、より低い導電性のものは、低導電性インクと考えられる。高導電率及び低導電率の閾値は、システム設計者に委ねることができる。
【0016】
空の状態において、流体の膜は、レベル検知プローブアセンブリを被覆したままであることがある。高導電率の液体の場合、この膜は、電極間に導電路を形成する可能性があり、誤った満杯読み取りを生じる可能性がある。この問題を回避するために、露出した接地金属40が2つの電極間に介在される。残存インク膜の導電性は、グラウンドに分路され、誤った満杯読み取りを防止する。
【0017】
図3は、センサについての回路の実施形態を示している。上述したように、「上部」電極が容器内のいかなる流体に対しても下部電極よりも高く配置されるように2つの電極が配置されている。上部電極は、
図4に関して後述する駆動回路から駆動信号を受信する。インク12は、信号を下部電極に結合させる。オペアンプOP109は、高インピーダンス検知電極信号をバッファリングする。P5は、オペアンプOP109に電力を供給するための正電圧源である。C103、R101、C102、R105、C106並びにRCフィルタC107及びR104などの様々なコンデンサ及び抵抗は、出力信号Voutについての信号調整及び制御を提供する。
【0018】
図4は、
図3のプローブ回路と関連して使用するための駆動及び検知回路の1つの実施形態を示している。
図4の駆動及び検知回路は、インクの導電性に依存して、インクを介して容量的に又は導電的に結合する又はグラウンドに短絡させることができる2つの電極を有する任意のプローブ回路とともに使用されることができる。これは、そのような回路の単なる一例に過ぎない。
図4において、回路の下部ブロックは、駆動信号を生成し、上部ブロックは、Vout信号を受信し、印刷ヘッド又は他の流体分配システムに対して最終的に送信されるインク_レベル信号を生成する。
【0019】
駆動部は、選択信号SELを受信する。この実施形態において、SEL信号は、方形波からなる。また、SEL信号の2倍の周波数を有する同様に方形波からなるイネーブル信号ENも存在する。ENは、DRIVE及びVoutが落ち着いた後に、各SEL信号状態の後半中にのみアナログマルチプレクサ203にVoutをサンプリングさせる。SEL及びEN信号は、アナログマルチプレクサ203を制御する。SELが状態を(ハイからローに又はローからハイに)変化するたびに、ENは、そのSEL状態の前半について偽となり、アナログマルチプレクサ203を開回路にする。ロー状態のSELの後半において、アナログマルチプレクサ203は、Voutの容量結合バージョンであるR202をグラウンドに接続する。ハイ状態のSELの後半において、アナログマルチプレクサ203は、R208にR202を接続し、C210を充電又は放電させ、Voutの振幅によって判定されるレベルにインク_レベル信号をもたらす。DRIVE信号は、容器内の流体が満杯状態の高導電性インクでない限り、SEL信号の増幅されて反転されたバージョンである。回路ブロックは、SEL信号を増幅し、
図3からの電極1に電気的に結合されるDRIVE信号を生成する。
【0020】
上述したように、DRIVE信号は、Vout信号を返すプローブ回路に供給される。
図4の実施形態において、Vout信号は、インク_レベル信号を形成するために同期して整流される。50又は60Hzの電力線干渉などの他の周波数における過渡現象及びノイズ源を排除しながら、同期整流は、Voutの振幅を正確に測定する。Voutは、単投双極(STDP)アナログマルチプレクサ又はスイッチ203の入力1Zに容量結合される。マルチプレクサ203はまた、正電圧源P5及びグラウンドGNDとともに、EN及びSEL信号を受信する。マルチプレクサの出力は、1Y1及び1Y0である。
【0021】
出力1Y0は、DRIVEのハイ状態及びVoutのロー状態であるSELのロー状態の後半中にグラウンドに対して1Zを接続する。出力1Y1は、Voutのハイ状態の後半中に1Zに接続し、インク_レベル信号を形成するようにコンデンサC210へのその振幅をサンプリングする。インクが2つの電極を結合しない場合、Voutの振幅は低く、C210における低電圧及びインク_レベル信号をもたらす。インクが2つの電極をブリッジする場合、DRIVE信号を短絡させるようにそれほど導電性が高くなく、Voutにおける振幅は高くなり、C210における高電圧及びインク_レベル信号をもたらす。
【0022】
インクが高導電性インクである場合、DRIVEは、トランジスタQ222をオンにするのに十分な電流を引き込む。Q222のコレクタは、Vout信号の振幅が低い場合であっても、ダイオードD211及び抵抗R209を介して、満杯状態を示す高いインク_レベル信号を引き出す。そうでなければ、高導電性インクは短絡を生じさせ、信号は下部電極に決して到達することがなく、誤った空の読み取りをもたらす。
【0023】
図5は、完全に組み立てられた流体レベルセンサの図を示している。
図6は、流体レベルセンサの分解図を示している。この実施形態において、それは、接地された金属ハウジングインサート40と、インサートOリング42とから構成されている。電極44は、ハウジングインサートを介してインク内に挿入される。4本のラインは、任意の場所及び順序で生じることができる。本願明細書における実施形態において、ライン46は、駆動信号ラインであり、ライン48は、Voutラインである。ライン50は、接地線であり、ライン52は、正電圧ラインである。流体レベルセンサの他端は、本体Oリング54、本体56、ナット58及びコネクタ60である。
【0024】
電極は、インク内に挿入され、信号は、インク容器又は液体分配システムのシャーシの内外に送られる。いくつかの実施形態において、電極は、およそ長さが13mm、幅が2.2mmであり、それらの間に3mmの間隙があった。駆動及び検知電極パッドは、接地されたハウジングの外側2mmから電極の端部から0.1mmまで延在している。この特定の幾何学的形状は、一方の電極から他方の電極への途中で接地されたハウジング金属上を必ず通過しなければならないいかなる残存インク膜も除いて、電極間のインクブリッジを防止するように設計されている。駆動信号は、9Vのピーク・ツー・ピーク交流電圧である。