特許第6800104号(P6800104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オークマ株式会社の特許一覧

特許6800104パレット交換アーム及びパレット交換装置
<>
  • 特許6800104-パレット交換アーム及びパレット交換装置 図000002
  • 特許6800104-パレット交換アーム及びパレット交換装置 図000003
  • 特許6800104-パレット交換アーム及びパレット交換装置 図000004
  • 特許6800104-パレット交換アーム及びパレット交換装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800104
(24)【登録日】2020年11月26日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】パレット交換アーム及びパレット交換装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/00 20060101AFI20201207BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20201207BHJP
   B65G 47/82 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   B23Q7/00 G
   B65G47/90 B
   B65G47/82 E
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-140986(P2017-140986)
(22)【出願日】2017年7月20日
(65)【公開番号】特開2019-18311(P2019-18311A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】松村 篤志
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−208337(JP,A)
【文献】 特開平3−221345(JP,A)
【文献】 特開昭62−34748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 7/00−7/18,
B65G 47/80−47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械へ水平旋回可能に設けられ、旋回中心部から偏心した端部に、パレット支持部が設けられたパレット交換アームであって、
前記パレット支持部に、前記パレットを載置可能な回転台が設けられて、前記回転台を介して前記パレットが回転可能となっていることを特徴とするパレット交換アーム。
【請求項2】
前記パレット支持部は、前記旋回中心部からの半径方向外側に向けて突出する一対の支持腕を有し、前記回転台は、前記一対の支持腕間に保持される平面視C字状の板状体であることを特徴とする請求項1に記載のパレット交換アーム。
【請求項3】
前記回転台は、前記一対の支持腕で囲まれる前記パレット支持部の内周側上面に形成された切欠部に嵌合し、前記パレット支持部の上面に固定されるガイドプレートとの間で回転可能に挟持されることを特徴とする請求項2に記載のパレット交換アーム。
【請求項4】
前記回転台は、前記一対の支持腕で囲まれる前記パレット支持部の内周側上面に形成された切欠部に嵌合し、前記パレット支持部の下側で前記回転台に固定されるガイドプレートとの間で前記パレット支持部を回転可能に挟持していることを特徴とする請求項2に記載のパレット交換アーム。
【請求項5】
工作機械の加工室と段取りステーションとの間に、請求項1乃至4の何れかに記載のパレット交換アームが備えられ、前記パレット交換アームを水平旋回させて、前記加工室側と前記段取りステーション側との間でのパレットの受け渡しが行われることを特徴とするパレット交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械のパレット交換装置に設けられるパレット交換アームと、そのパレット交換アームを用いたパレット交換装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械のパレット交換装置は、図4に例示するように、昇降及び旋回動作可能なパレット交換アーム30を備え、ワークを準備する段取りステーション(図4(A)(B)の下側が段取りステーション側、上側が加工室側となる。)には、ベッド31上に立設されるパレット旋回ベース32と、パレット旋回ベース32上で旋回可能なパレット旋回ダイ33とが設けられて、パレット交換アーム30の昇降及び旋回動作により、パレット旋回ダイ33と、加工室側に設けたテーブル34との間でパレットP,Pを交換可能としている。段取りステーション側では、パレット旋回ダイ33上でパレットPを回転割出可能となっている。35は、パレット旋回ダイ33に係止してパレットPを位置決めする位置決めピンである。同様のパレット交換装置は、特許文献1,2にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−338054号公報
【特許文献2】特開昭62−34748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のパレット交換装置においては、段取りステーション側にパレット旋回ダイ33やパレット旋回ベース32を設ける必要があるため、切粉の排出性が悪くなる。また、段取りステーション側では、パレットPの下側のスペースが、パレット旋回ダイ33及びパレット旋回ベース32に占有されるため、ロボットアーム等が進入することができず、仕様拡張に制約を受けてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、段取りステーションにパレット旋回ダイやパレット旋回ベースを不要として段取りステーションを簡素化し、切粉の排出性や仕様の拡張性を向上させることができるパレット交換アーム及びパレット交換装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、工作機械へ水平旋回可能に設けられ、旋回中心部から偏心した端部に、パレット支持部が設けられたパレット交換アームであって、パレット支持部に、パレットを載置可能な回転台が設けられて、回転台を介してパレットが回転可能となっていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、パレット支持部は、旋回中心部からの半径方向外側に向けて突出する一対の支持腕を有し、回転台は、一対の支持腕間に保持される平面視C字状の板状体であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、回転台は、一対の支持腕で囲まれるパレット支持部の内周側上面に形成された切欠部に嵌合し、パレット支持部の上面に固定されるガイドプレートとの間で回転可能に挟持されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2の構成において、回転台は、一対の支持腕で囲まれるパレット支持部の内周側上面に形成された切欠部に嵌合し、パレット支持部の下側で回転台に固定されるガイドプレートとの間でパレット支持部を回転可能に挟持していることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、パレット交換装置であって、工作機械の加工室と段取りステーションとの間に、請求項1乃至4の何れかに記載のパレット交換アームが備えられ、パレット交換アームを水平旋回させて、加工室側と段取りステーション側との間でのパレットの受け渡しが行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パレット交換アームのパレット支持部に設けた回転台により、パレット支持部上でパレットが回転可能となるため、段取りステーションにパレット旋回ダイやパレット旋回ベースが不要となる。よって、段取りステーションが簡素化してコスト低減に繋がると共に、切粉の排出性や仕様の拡張性(パレットの下側へフォークやロボットアームが容易に進入可能となる等)を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】パレット交換装置の説明図で、(A)は平面、(B)は側面をそれぞれ示す。
図2】(A)は図1のA−A線断面図、(B)はB部拡大図である。
図3】回転台の挟持構造の変更例を示す説明図である。
図4】従来のパレット交換装置の説明図で、(A)は平面、(B)は側面、(C)は正面をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、パレット交換装置の一例を示す説明図で、(A)が平面、(B)が側面をそれぞれ示す。右が加工室側、左が段取りステーション側となる。
このパレット交換装置1は、ベッド2上に立設された支持ベース3に、パレット交換アーム4を、昇降及び水平旋回動作可能に設置してなる。パレット交換アーム4の昇降及び旋回機構は、図示しないモータ及び減速機構、油圧シリンダ等のアクチュエータを利用した周知の構造で、支持ベース3内に設けられている。加工室側には、水平方向へ直線移動可能なテーブル5が設けられて、テーブル5の上面には、パレット20の固定ピン6,6・・が突設されている。
【0010】
パレット交換アーム4は、支持ベース3に支持される旋回中心部7と、旋回中心部7を中心とした点対称位置に形成される一対のパレット支持部8,8とを備えた板状体である。各パレット支持部8には、旋回中心部7からの半径方向外側に向けて突出する一対の支持腕8a,8aが設けられている。この支持腕8a,8aに囲まれるパレット支持部8の内周縁には、図2に示すように、上面側を上下の厚みの略半分切除した平面視C字状の切欠部9が、全周に沿って形成されて、この切欠部9に、同じく平面視C字状で切欠部9と同じ厚みを有する板状の回転台10が載置されている。
この回転台10は、パレット交換アーム4の上面に切欠部9の外周に沿ってボルト12,12・・で固定された平面視C字状のガイドプレート11により、切欠部9下側のパレット支持部8とガイドプレート11との間に挟持されている。
【0011】
切欠部9の底面及び内周面でパレット交換アーム4と回転台10との間と、回転台10とガイドプレート11との間には、軸受13,13・・がそれぞれ設けられて、回転台10を、切欠部9と同心円上で回転可能としている。この軸受13は、ころや滑りガイド等が用いられる。
14,14は、各回転台10ごとにパレット交換アーム4内に設けられた位置決めピンで、エアシリンダ等により回転台10の外周面に対して出没動作し、回転台10の所定の旋回角度で回転台10の外周面に設けた図示しない凹部に係止することで、回転台10を位置決め可能となっている。
【0012】
各回転台10に、パレット20がそれぞれ着座可能となっている。回転台10の上面には、長方形の各頂点となる位置に着座用突起15,15・・が設けられて、パレット20の底面に設けた着座用凹部21,21・・に嵌合させることで、パレット20が回転台10上に着座して回転台10と一体に回転可能となる。この着座状態では、パレット20の底部に設けられてテーブル5の固定ピン6,6・・に対応する凹部を備えた固定部22,22・・は、回転台10の内側で下方へ露出している。なお、回転台10の開放側の両端部の間隔は、パレット20の隣接する2つの固定部22,22の外法よりも大きく設定されているので、回転台10に固定部22が干渉することなくパレット20をパレット支持部8へ出し入れ可能となる。
【0013】
以上の如く構成されたパレット交換アーム4を用いたパレット交換装置1においては、段取りステーションで、段取りされる図示しないワークを載せたパレット20を、パレット交換アーム4のパレット支持部8の回転台10上に着座させ、位置決めピン14を回転台10に係止させた状態とすれば、そのままパレット交換アーム4上で段取りが行える。割出しが必要な場合は、位置決めピン14の係止を解除させれば、パレット20を回転台10ごとパレット支持部8上で回転させて任意の角度に割出しすることができる。なお、回転台10の回転は、回転台10に設けたギヤ部にウォームギヤ等を噛合させ、ウォームギヤ等の回転駆動によって行ったりしてもよい。
このとき、加工室では、加工済のワークを載せたパレット20を固定したテーブル5を、反対側のパレット支持部8内に直線移動させれば、パレット20が回転台10の内側に進入し、着座用突起15,15・・の上方に着座用凹部21,21・・が位置した状態となる。
【0014】
段取り終了後、パレット交換アーム4を旋回可能位置まで上昇させると、加工室側のパレット20が回転台10に着座して持ち上げられ、固定部22,22・・がテーブル5の固定ピン6,6・・から外れる。
次に、パレット交換アーム4を180°水平旋回させると、加工室のパレット20と段取りステーションのパレット20とが入れ替わる。この状態でパレット交換アーム4を下降させると、加工室ではパレット20の固定部22,22・・がテーブル5の固定ピン6,6・・により位置決めされ、パレットの交換は終了する。段取りステーションでは、加工済のワークを載せたパレット20が次工程へ送られる。
【0015】
このように、上記形態のパレット交換アーム4及びパレット交換装置1によれば、パレット交換アーム4のパレット支持部8に設けた回転台10により、パレット支持部8上でパレット20が回転可能となるため、段取りステーションにパレット旋回ダイやパレット旋回ベースが不要となる。よって、段取りステーションが簡素化してコスト低減に繋がると共に、切粉の排出性や仕様の拡張性(パレット20の下側へフォークやロボットアームが容易に進入可能となる等)を向上させることができる。
【0016】
なお、パレット支持部8への回転台10の固定は、ガイドプレート11で上側から挟持する構造に限らず、図3に示すように、回転台10の内周側に、切欠部9の下側でパレット支持部8にオーバーラップする垂下部16を形成して回転台10を横断面L字状に形成し、この垂下部16に、パレット支持部8の下側からガイドプレート11をボルト12で固定する構造としてもよい。すなわち、パレット交換アーム4を回転台10とガイドプレート11とで挟持する構造である。このようにすればパレット交換アーム4の上面にガイドプレート11による突起部分がなくなり、切粉の排出性がより向上する。但し、回転台10でなくガイドプレート11を横断面L字状としてパレット交換アーム4を挟持させてもよいし、回転台10とガイドプレート11との間に別体の部材を介在させて挟持させてもよい。
【0017】
一方、切欠部をなくして、回転台をパレット支持部の上面へ回転可能に載置したり、支持腕で囲まれるパレット支持部の内周面に横断面コ字状の溝を形成し、この溝に回転台の外周部分を嵌合させて、パレット支持部における溝の上下部分によって回転台を回転可能に挟持したりする構造も考えられる。
そして、上記形態では、パレット支持部が一対設けられるパレット交換アームについて説明しているが、パレット支持部が3箇所以上設けられるパレット交換アームであっても、本発明の回転台によるパレットの回転支持は可能である。
【符号の説明】
【0018】
1・・パレット交換装置、2・・ベッド、3・・支持ベース、4・・パレット交換アーム、5・・テーブル、6・・固定ピン、7・・旋回中心部、8・・パレット支持部、8a・・支持腕、9・・切欠部、10・・回転台、11・・ガイドプレート、13・・軸受、14・・位置決めピン、15・・着座用突起、16・・垂下部、20・・パレット、21・・着座用凹部、22・・固定部。
図1
図2
図3
図4