【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)展示会名:CES 2018 開催場所:アメリカ ネバダ州ラスベガス市 展示日:平成30年1月7日〜平成30年1月12日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (2)ウェブサイトの掲載日:平成30年1月8日 ウェブサイトのアドレス:http://www.honda.co.jp/CES/2018/
【文献】
中橋義博,「移動できるコミュニケーションロボット」ってどんな種類があるの? 代表例をまとめてみた,ロボスタ [online],2016年 9月15日,[2020年4月6日検索],URL,https://robotstart.info/2016/09/15/movable-communication-robots.html
【文献】
中橋義博,表情豊か!顔面ディスプレイのコミュニケーションロボット達,ロボスタ [online],2016年 9月14日,[2020年4月6日検索],URL,https://robotstart.info/2016/09/14/screen-face-communication-robots.html
【文献】
神崎洋治,日立が高齢者に寄り添う電球型のコミュニケーションロボットを展示、ノンバーバルによるココロの触れあいも重視,ロボスタ [online],2017年10月 2日,[2020年4月6日検索],URL,https://robotstart.info/2017/10/02/ceatec-hitachi.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、所定のトリガーがあった後に、前記表示部に表示している前記顔のパターンから文字、若しくは、記号に変化するように、前記表示出力部を制御することを特徴とする請求項1または2に記載のコミュニケーション装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のコミュニケーション装置は、投影される図柄の切り換えによって眼部の表情のみが変化するものであるため、コミュニケーション装置の反応としては比較的単調なものであった。このため、現在、より多彩な表情の変化を周囲に示すことができるコミュニケーション装置の案出が望まれている。
【0006】
そこで本発明は、より多彩な表情の変化を周囲に示すことができるコミュニケーション
装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本
出願に係るコミュニケーション装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、
本出願の一の本発明に係るコミュニケーション装置は、複数の顔のパターンが切り換え表示される表示部(例えば、実施形態の表示部6)と、顔のパターンを前記表示部に出力可能な表示出力部(例えば、実施形態のプロジェクター4)と、
コミュニケーション装置本体を移動させる移動装置と、前記表示出力部と前記移動装置(例えば、実施形態の移動装置3)とを制御する制御部(例えば、実施形態のコントローラ5)と、を備え
、前記制御部は、前記移動装置によって前記コミュニケーション装置本体を移動させるときには、前記顔のパターンのうち、移動を示唆する顔のパターンを前記表示部に表示させるように、前記表示出力部を制御し、前記表示出力部が、移動の方向を示唆する顔のパターンを前記表示部に表示したときには、前記顔のパターンが示唆する方向に前記コミュニケーション装置本体が移動するように、前記移動装置を制御することを特徴とする。
【0008】
上記の構成により、例えば、所定のトリガーがあったとき(所定の条件を満たしたとき)等には、顔のパターンの変化だけでなく、
移動装置の動作が顔のパターンの変化に対応して制御される。この結果、コミュニケーション装置本体の反応が豊かになり、周囲に多彩な表情の変化を示すことが可能になる。
【0010】
また、この場合、顔のパターンが、これからコミュニケーション装置本体が移動する方向を示唆することになるため、進行方向にいる人や周囲の人に注意を喚起したり、進行方向を知らせることが可能になる。
【0011】
前記コミュニケーション装置本体は、前記移動装置の上方に頭部(例えば、実施形態の頭部2b)を有し、前記制御部は、前記顔のパターンが示唆する方向に前記コミュニケーション装置本体を移動させるときに、前記頭部を前記コミュニケーション装置本体の移動方向に下方傾斜させた後に、前記コミュニケーション装置本体を移動させるようにしても良い。
この場合、顔のパターンに加え、頭部の傾斜によっても、前記コミュニケーション装置本体の移動の開始や移動方向を周囲に知らせることが可能になる。
【0012】
前記制御部は、所定のトリガーがあった後に、前記表示部に表示している前記顔のパターンから文字、若しくは、記号に変化するように、前記表示出力部を制御するようにしても良い。
この場合、コミュニケーション装置に対し、所定のトリガーがあると、その後に表示部の表示が顔のパターンから文字や記号に変化する。このとき、顔のパターンの表示されている部分は周囲の人の視線を集め易い。この人の視線が集まる部分が顔のパターンから文字や記号に変化することにより、コミュニケーション装置の表現したい意思を周囲の人に伝え易くなる。
【0013】
本出願の他の発明に係るコミュニケーション装置は、複数の顔のパターンが切り換え表示される表示部と、顔のパターンを前記表示部に出力可能な表示出力部と、前記表示出力部によって出力される前記顔のパターンの変化に対応して、当該顔のパターンの変化以外のコミュニケーション装置本体の他の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、所定のトリガーがあった後に、前記表示部に表示している前記顔のパターンから文字、若しくは、記号の形に連続的に変化するように、前記表示出力部を制御
することを特徴とする。
【0014】
コミュニケーション装置は、前記コミュニケーション装置本体の周囲の状況を取得する周域状況取得部(例えば、実施形態の撮像装置14、及び、解析装置15)をさらに備え、前記制御部は、前記周域状況取得部が周囲に人がいる情報を取得したことを前記所定のトリガーとして、前記表示出力部を制御するようにしても良い。
この場合、コミュニケーション装置本体の周囲に人がいるときに、表示部の表示を顔のパターンから文字や記号に変化させることができる。このため、コミュニケーション装置の表現したい意思を周囲の人に良好に伝えることができる。
【0015】
コミュニケーション装置は、前記コミュニケーション装置本体に対する人の動作を検出する動作検出部(例えば、実施形態の撮像装置14、及び、解析装置15)をさらに備え、前記制御部は、前記動作検出部が前記コミュニケーション装置本体に対する人の所定の動作を検出したことを前記所定のトリガーとして、前記表示出力部を制御するようにしても良い。
この場合、人がコミュニケーション装置本体に向かって手を振る等の所定の動作を行うと、そのことが動作検出部によって検出される。このとき、制御部は、表示部の表示を顔のパターンから文字や記号に変化させる。このため、コミュニケーション装置本体に所定の動作を行った人に対し、コミュニケーション装置の表現したい意思を良好に伝えることができる。
【0016】
本出願のさらに他の発明に係るコミュニケーション装置は、複数の顔のパターンが切り換え表示される表示部と、顔のパターンを前記表示部に出力可能な表示出力部と、コミュニケーション装置本体に対する人の動作を検出する動作検出部(例えば、実施形態の撮像装置14、及び、解析装置15)と、前記コミュニケーション装置本体の前記表示部を含む領域を光らせる照明部(例えば、実施形態の灯体20)と、
前記表示出力部によって出力される前記顔のパターンの変化に対応して、前記照明部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記動作検出部が前記コミュニケーション装置本体に対する人の所定の動作を検出したことをトリガーとして、前記顔のパターンの表示から前記照明部の発光に変化させる
ことを特徴とする。
顔のパターンの表示が長時間つづくと、周囲にいる人が見られているという感覚を受けることがある。例えば、このようなときに人がコミュニケーション装置に対してトリガーとなる所定の動作を行う。これにより、コミュニケーション装置本体では、顔のパターンの表示から照明部の発光に変化する。この結果、コミュニケーション装置は、照明部の光をインテリアの一つとして周囲の空間に溶け込ませることが可能になる。
【0017】
本出願の別の発明に係るコミュニケーション装置は、複数の顔のパターンが切り換え表示される表示部と、顔のパターンを前記表示部に出力可能な表示出力部と、前記表示出力部によって出力される前記顔のパターンの変化に対応して、当該顔のパターンの変化以外のコミュニケーション装置本体の他の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記顔のパターンの境界線が第1の周波数で波形状に形状変化するように、前記表示出力部を制御
することを特徴とする。
この場合、顔のパターンの境界線が波形状に連続的に変化するため、周囲の人にコミュニケーション対象であることを想起させることができる。
【0019】
コミュニケーション装置は、前記コミュニケーション装置本体を移動させる移動装置を備え、前記制御部は、前記コミュニケーション装置本体が、前記顔のパターンの境界線の波形状の形状変化とともに、第2の周波数で振動、若しくは、移動するように、前記移動装置を制御するようにしても良い。
この場合、顔のパターンの境界線が波形状に連続的に変化しつつ、コミュニケーション装置本体が周期的に連続して動くことになるため、周囲の人にコミュニケーション対象であることをより強く想起させることができる。
【0020】
前記第2の周波数は、前記第1の周波数よりも低く設定されるようにしても良い。
この場合、コミュニケーション装置本体の周期的な動きが、顔の境界線の動きよりも遅くなるため、周囲の人が焦燥感を感じるのを抑制することができる。
【0021】
前記
制御部は、所定の条件のときに、前記表示部における前記顔のパターンの表示位置が移動するように、前記表示出力部を制御するようにしても良い。
この場合、コミュニケーション装置本体の頭部を移動させることなく、あたかも頭部を動かしたように周囲に見せることができる。したがって、本構成を採用した場合には、システムの簡素化を図りつつ、コミュニケーション装置に見かけ上多様な動きをさせることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、顔のパターンの変化だけでなく、コミュニケーション装置本体の他の動作が顔のパターンの変化に対応して制御されるため、より多彩な表情の変化を周囲に示すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態のコミュニケーション装置1を右側方から見た概略構成図であり、
図2は、コミュニケーション装置1の正面図である。
コミュニケーション装置1は、人形型の筐体2を有し、筐体2の内部に移動装置3や、表示出力部であるプロジェクター4、制御部であるコントローラ5等が収納されている。筐体2は、胴部2aと頭部2bを有する楕円体状の筐体本体2Aと、筐体本体2Aの下端寄りの外面に上下揺動可能に連結された尾部2Bと、を備えている。なお、以下では、説明の便宜上、筐体本体2Aの尾部2Bの連結される側を「後」と称し、尾部2Bの連結される側と逆側を「前」と称する。
【0028】
筐体本体2Aは、少なくとも頭部2bが有色の光透過性の樹脂によって形成されている。頭部2bの前側の壁面は、プロジェクター4によるパターン画像が内側から投影される表示部6とされている。ただし、表示部6は、頭部2bの前側の壁面に限らず、頭部2bの周域全面であっても良い。
【0029】
筐体本体2Aの内部には、パターン画像を含む出力光を後方に向かって投光するプロジェクター4と、プロジェクター4の出力光を表示部6に向かって前方に反射させる反射鏡7と、プロジェクター4を制御するコントローラ5と、外部から信号を受け、その信号をコントローラ5に出力する受信機8と、通電によって発光し、頭部2b全体を内側から光らせる灯体20(照明部)と、が収容されている。
【0030】
プロジェクター4は、コントローラ5からの指令を受けて任意のパターン画像を出力する。出力するとパターン画像の基本は、
図2に示すような人の顔を模した顔のパターンPである。プロジェクター4によって出力される顔のパターンPは、
図2に示す基本パターンPから、例えば、
図3の(A)〜(F)に示すような喜怒哀楽を示すような種々の表情に連続的に変化させることができる。また、プロジェクター4からは、顔のパターンP以外にも文字や記号等も出力することができる。表示部6における顔のパターンPや文字、記号等の投影位置は、コントローラ5によるプロジェクター4の制御によって上下や左右等に移動させることができる。
【0031】
コミュニケーション装置1に内蔵される移動装置3は、筐体本体2Aの下部に配置される併進移動用の大径車輪9と、尾部2Bに配置される旋回移動用の小径車輪10と、これらを駆動する電動モータ等のアクチュエータ11,12と、を備えている。コミュニケーション装置1は、大径車輪9と小径車輪10で床面F上に接地されている。
【0032】
併進移動用の大径車輪9は、車輪本体のリム部に、横断面が円形状の環状弾性体が保持されている。車輪本体は、コミュニケーション装置1の左右方向(上下方向と前後方向に対して直角な方向)に沿う車軸回りに回転可能とされいる。環状弾性体は、車輪本体のリム部の外周上で、環状弾性体の横断面中心(より詳しくは、円形の横断面中心を通って、車輪本体の車軸と同心となる円周線)の回りに回転可能とされている。大径車輪9は、車輪本体の車軸回りの回転と環状弾性体の回転の組み合わせにより、コミュニケーション装置1を任意の方向(前後、左右、斜め)に併進移動させることができる。
【0033】
アクチュエータ11は、
図1では一つのブロックとして記載されているが、大径車輪9の車輪本体を回転駆動させるアクチュエータ部と、環状弾性体を回転駆動させるアクチュエータ部とを有している。アクチュエータ11は、大径車輪9の車輪本体と環状弾性体とを、それぞれ任意の速度で正逆回転させることができる。
【0034】
旋回移動用の小径車輪10は、車軸がコミュニケーション装置1の前後方向に沿うように配置されている。小径車輪10は、大径車輪9の接地部に対して後方側に離間した位置で床面F上に接地する。小径車輪10は、大径車輪9の接地部と離間した位置で回転することにより、コミュニケーション装置1を旋回させることができる。アクチュエータ12は、小径車輪10を任意の速度で正逆回転させることができる。
なお、移動装置3の構成は、ここで説明したものに限るものでなく、他の構成のものを採用することも可能である。
【0035】
コントローラ5は、入力信号等の条件に応じてアクチュエータ11,12を駆動し、それによってコミュニケーション装置1の併進移動や旋回移動、姿勢等を制御する。
【0036】
ここで、コントローラ5によるコミュニケーション装置1の姿勢制御について説明する。
本実施形態のコミュニケーション装置1は、床面に対するメインの接地部が大径車輪9の下端の極狭い領域であり、コミュニケーション装置本体(以下、「装置本体」と称する)の重心は大径車輪9の下端の上方に位置されている。コミュニケーション装置1は、装置本体の重心が支点(大径車輪9の下端)の上方に位置される倒立振子を構成している。コントローラ5は、コミュニケーション装置1の装置本体の重心の位置が支点(大径車輪9の下端)の真上位置からずれているときに、支点位置を重心の真下位置に移動させるようにアクチュエータ11を制御する。
【0037】
コミュニケーション装置1は、装置本体の所定の部位の鉛直方向に対する傾斜角度と、その変化速度を計測するための傾斜センサ(図示せず)を備えている。コントローラ5は、傾斜センサからの信号を受け、装置本体の重心のずれ(起立姿勢時における重心に対する重心のずれ)が0に近づくように、アクチュエータ11をフィードバック制御する。このため、コミュニケーション装置1は、何等かの原因によって装置本体が傾倒しそうになると、コントローラ5によるアクチュエータ11の制御によって自動的に姿勢が立て直される。
【0038】
また、コミュニケーション装置1は、人の存在の有無や、人の動作に応じて様々な動作を行う。コミュニケーション装置1では、人の存在の有無は、周域状況取得部から取得し、人の動作の状況は、動作検出部によって検出する。周域状況取得部や動作検出部は、コミュニケーション装置1の装置本体に設けることも可能であるが、本実施形態の場合、周域状況取得部と動作検出部は、装置本体の外部に設置されている。
【0039】
具体的には、周域状況取得部や動作検出部は、施設の天井13や壁面等に設置された撮像装置14と、撮像装置14で撮影した画像情報を基にして、人の存在の有無や動作を解析する解析装置15と、によって構成されている。撮像装置14は、コミュニケーション装置1の装置本体とその周囲の状況を撮影する。解析装置15で解析された結果は、送信機16を通してコミュニケーション装置1の装置本体に送信される。送信機16から装置本体に送信された解析結果は、受信機8を介して装置本体内のコントローラ5に入力される。コントローラ5は、入力された解析結果に応じてプロジェクター4や移動装置3を制御する。
【0040】
コントローラ5は、外部の解析装置15から送信されてくる信号に応じて筐体2の表示部6(頭部)に表示する顔のパターンPを変化させ、そのパターンPの変化に対応して、表示部6に文字や記号を表示させたり、コミュニケーション装置1を所定の方向に移動させたりする。
【0041】
図4は、解析装置15から所定の信号を受けて、側方に移動を開始するときのコミュニケーション装置1の挙動を示す図である。
例えば、周囲の人がコミュニケーション装置1に手招きをしたり、手を振る等し、その情報が解析装置15からコントローラ5に入力される(トリガーがある)と、コントローラ5は、顔のパターンPを移動方向(手招きする等の動作を行っている人に向かう方向)に動かし、その後にコミュニケーション装置1の装置本体を目的の方向に移動させる。これにより、周囲の人は、コミュニケーション装置1が移動を開始する前に、装置本体の移動方向を知ることができる。
なお、この例では、コミュニケーション装置1が移動を開始する前に顔のパターンP全体を予め移動方向に動かしているが、顔のパターンP全体を移動させるのに変えてパターンの一部(例えば、目)のみを移動させるようにしても良い。
【0042】
図5は、解析装置15から所定の信号を受けて、前方に移動を開始するときのコミュニケーション装置1の挙動を示す図である。
例えば、周囲の人の手招き等の動作の情報が解析装置15からコントローラ5に入力される(トリガーがある)と、コントローラ5は、顔のパターンを移動方向を示唆する方向(例えば、上方向)に動かし(
図5(A)参照)、その後にコミュニケーション装置1の装置本体を前進させる(
図5(B)参照)。
なお、コミュニケーション装置1の装置本体を前進させる際には、
図5(B)に示すように、前進の直前に筐体2の頭部2bを進行方向に前傾させるようにしても良い。これにより、筐体2の頭部2bの動作によっても、周囲に移動方向を把握させることができる。筐体2の頭部2bの前傾は、コントローラ5によるアクチュエータ11の制御によって実行することができる。
【0043】
図6は、コミュニケーション装置1の頭部2bが、アクチュエータ11の制御によって前傾する原理を模式的に示した図である。
図6中のGは、コミュニケーション装置1の実際の重心であり、Gaは、コントローラ5が制御目標値を演算する際に設定した仮想の重心である。
図6(A)は、コミュニケーション装置1が前傾せずに静止している状態を示している。この状態では、コミュニケーション装置1の重心Gは、大径車輪9の接地部の真上に位置している。
【0044】
図6(A)の状態から、頭部2bを図中右方向に前傾させる際には、コントローラ5(演算部)は、実際の重心Gの位置のよりも所定量後方側に仮想の重心Gaを設定し(
図6(B)参照)、その仮想の重心Gaを持ち、実際の大径車輪9と同位置で接地する仮想装置の重心のずれ(起立姿勢時における重心に対する重心のずれ)が0に近づくように、大径車輪9を後退方向に回転させる。この結果、実際のコミュニケーション装置1の筐体2は、
図6(C)に示すように、頭部2bが前傾する。
コントローラ5は、次に、この状態から大径車輪9を前進方向に回転させる。この結果、コミュニケーション装置1は、
図6(D)に示すように、目的の方向に前進し、前傾姿勢から元の起立姿勢に次第に戻される。
【0045】
図7は、解析装置15から所定の信号を受けて、筐体2の表示部6に表示される顔のパターンPが次第に変化し、最終的に「Hello」等の所定の文字が表示部6に表示される様子を示した図である。
例えば、周囲の人の手を振る等の動作の情報が解析装置15からコントローラ5に入力される(トリガーがある)と、コントローラ5は、基本の顔のパターンP(
図7(A)参照)を雲形の一つの塊に変形させ(
図7(B)参照)、その後に
図7(C)に示すように文字の配置に応じて複数の塊に分け、最終的に
図7(D)に示すように「Hello」等の所定の文字を表示する。
【0046】
図8は、解析装置15から所定の信号を受けて、筐体2の表示部6に表示されている顔のパターンPが消失し、それに代わって灯体20が点灯する様子を示す図である。
例えば、人が手でコミュニケーション装置1の頭部2bをなでる動作を行うと、そのことが解析装置15によって解析され、解析装置15からコントローラ5になでる動作の情報が入力される。このとき、コントローラ5は、プロジェクター4によるパターンの表示を停止し、それに代わって灯体20を点灯させる。この結果、コミュニケーション装置1の頭部2bが灯体20の点灯によって内側から光り、周囲を照明のように照らすことになる。
【0047】
なお、
図8では、灯体20が筐体2の内部に一つのみ設置されているが、灯体20は、筐体2の内部や表面に複数設置するようにしても良い。
図9は、二つの灯体20−a,20−bを筐体2内の上下に離間した位置に配置し、各灯体20−a,20−bの点灯を時間をおいて変化させる変形例を示す図である。この変形例の場合、灯体20−a,20−bを筐体2の上下に離間させて二つ配置しているが、灯体は、筐体の上下や左右に離間させてさらに多数設置するようにしていも良い。この場合、灯体を下部から上部へ、上部から下部へ、或いは、左右に光が流れるように時間差を持たせて順次点灯し、照明にグラデーションの動きを持たせることも可能である。
【0048】
また、プロジェクター4によって表示部6に表示される顔のパターンPは、顔のパターンPの境界線(目や口等の輪郭も含む)が波形状に連続的に形状変化する。顔のパターンPの境界線は、所定の周波数(第1の周波数)の進行波として連続的に移動する。
【0049】
また、コミュニケーション装置1は、解析装置15から所定の信号(例えば、人と対面していることを示す信号)が入力されると、所定の周波数(第2の周波数)で装置本体を振動させ、若しくは、移動させる。この挙動は、コントローラ5による移動装置3の制御によって実行される。このとき、表示部6に表示される顔のパターンPは、上述のように境界線が所定の周波数(第1の周波数)で連続的に形状変化するが、コミュニケーション装置1の変動(振動、若しくは、移動)の周波数(第2の周波数)は、境界線の形状変化の周波数(第1の周波数)よりも低く設定されている。
【0050】
つづいて、コントローラ5によるコミュニケーション装置1の制御の一例を、
図10のフローチャートを参照して説明する。
ステップS101では、解析装置15からの入力信号を基にしてコミュニケーション装置1の周囲に人がいるか否かを判定する。ここで、周囲に人がいると判定したときににはステップS102へと進む。ステップS102では、筐体2の頭部2bの前壁に顔の基本パターンPを表示する。このとき、適宜のタイミングで瞬きのパターン(
図3(A)に示す目を瞑ったパターン)に瞬時切り換えても良い。
【0051】
次に、ステップS103では、解析装置15から人が手を振る等のトリガー信号(第1のトリガー)があったか否かを判定する。このとき、トリガー信号があったと判定した場合には、ステップS104に進み、トリガー信号がないと判定した場合には、ステップS105に進む。
【0052】
ステップS104に進んだときには、顔のパターンPを、例えば、
図7に示すように次第に変化させ、最終的に、表示部6に「Hello」等の文字や記号等を表示する。
【0053】
ステップS105では、解析装置15から人が手招きする等のトリガー信号(第2のトリガー)があったか否かを判定する。このとき、トリガー信号があったと判定した場合には、ステップS106に進み、トリガー信号がないと判定した場合には、ステップS107に進む。
【0054】
ステップS106に進んだときには、顔のパターンPを、例えば、
図3(D)に示すような喜びの表情の顔に変化させた後に、顔全体、若しくは、目のみを手招きした人の方向に動かし、その後にコミュニケーション装置1の装置本体を手招きした人の方向に移動させる。
【0055】
ステップS107では、解析装置15から人が頭部2bをなでる等のトリガー信号(第3のトリガー)があったか否かを判定する。このとき、トリガー信号があったと判定した場合には、ステップS108に進み、トリガー信号がないと判定した場合には、ステップS101にリターンする。ステップS108では、プロジェクター4を停止し、かつ、灯体20を点灯する。これにより、
図8に示すように頭部2bが光を発する。
【0056】
ステップS109では、解析装置15から人が頭部を再度なでる等のトリガー信号(第4のトリガー)があったか否かを判定する。このとき、トリガー信号があっと判定した場合には、ステップS101にリターンする。ステップS101で周囲に人が存在するものと判定したときには、次のステップS102に進み、表示部6に顔の基本パターンPを再び表示する。
【0057】
以上のように、本実施形態のコミュニケーション装置1は、制御部であるコントローラ5が、プロジェクター4によって出力される顔のパターンPの変化に対応して、装置本体の顔のパターンPの変化以外の他の動作を制御する構成とされている。つまり、本実施形態のコミュニケーション装置1では、顔のパターンPの変化だけでなく、装置本体の他の動作が顔のパターンPの変化に対応して制御されるため、より多彩な表情の変化を周囲に示すことができる。
【0058】
また、本実施形態のコミュニケーション装置1は、移動装置3によって装置本体を移動させるときに、コントローラ5によるプロジェクター4の制御によって、装置本体の移動を示唆する顔のパターンを表示部6に表示する(例えば、顔自体や目が動くように表示する)。このため、装置本体が移動する前や移動時等に、顔のパターンPの表示によって装置本体の移動の開始や移動方向等を周囲に知らせることができる。特に、装置本体が移動を開始する前に、装置本体の移動の開始を顔のパターンPの表示によって示唆する場合には、周囲の人に注意を喚起することができる。
【0059】
さらに、本実施形態のコミュニケーション装置1は、顔のパターンPが示唆する方向に装置本体を移動させるときに、コントローラ5による制御によって頭部2bを装置本体の移動方向に下方傾斜させた後に装置本体を移動させる。このため、本実施形態のコミュニケーション装置1では、顔のパターンPに加え、頭部2bの傾斜によっても装置本体の移動の開始や移動方向を周囲に知らせることができる。
【0060】
また、本実施形態のコミュニケーション装置1では、人が手を振る等の所定のトリガーがあると、コントローラ5による制御によって表示部6の表示が顔のパターンから文字や記号に変化する。頭部2bの顔のパターンPの表示されている部分は周囲の人の視線を集め易い。本実施形態のコミュニケーション装置1は、人の視線が集まっている顔のパターンPが文字や記号に変化するため、コミュニケーション装置1の表現したい意思を文字や記号として周囲の人に確実に伝えることができる。
【0061】
特に、本実施形態のコミュニケーション装置1では、所定のトリガーがあると、表示部6の表示が顔のパターンPから文字や記号の形に連続的に変化するため、周囲からより注目を集めることができる。このため、コミュニケーション装置1の表現したい意思を周囲の人により確実に伝えることができる。
【0062】
また、本実施形態のコミュニケーション装置1は、周域状況取得部として機能する撮像装置14及び解析装置15が周囲に人がいる情報を取得したことをトリガーとして、コントローラ5が顔のパターンPを表示するようにプロジェクター4を制御する。このため、装置本体の周囲に人がいるときに、表示部6の表示を顔のパターンPから文字や記号に変化させることができる。したがって、本実施形態のコミュニケーション装置1では、コミュニケーション装置1の表現したい意思を周囲の人に良好に伝えることができる。
【0063】
また、本実施形態のコミュニケーション装置1は、動作検出部として機能する撮像装置14及び解析装置15が人の所定の動作を検出したことをトリガーとして、プロジェクター4による表示を顔のパターンPから文字や記号に変化させる。このため、本実施形態のコミュニケーション装置1では、装置本体に所定の動作を行った人に対し、コミュニケーション装置1の表現したい意思をより良好に伝えることができる。
【0064】
さらに、本実施形態のコミュニケーション装置1では、動作検出部として機能する撮像装置14及び解析装置15が装置本体に対する人の所定の動作を検出したことをトリガーとして、表示部6に顔のパターンPを表示した状態から、頭部2b全体の発光(灯体20の点灯)に切り換わる。頭部2bに顔のパターンPが長時間表示されていると、コミュニケーション装置1の近くにいる人は、コミュニケーション装置1に見つめられているような錯覚を起こすことがある。このようなときに、頭部2bをなでる等のトリガーとなる動作を装置本体に行うことにより、顔のパターンPから頭部2b全体の発光に切り換え、照明として機能させることができる。この結果、コミュニケーション装置1の頭部2bを発光させることにより、コミュニケーション装置1をインテリアの一つとして周囲の空間に溶け込ませることが可能になる。
【0065】
また、本実施形態のコミュニケーション装置1の場合、顔のパターンPの境界線が所定の周波数(第1の周波数)で波形状に形状変化するように、パターンPの表示がコントローラ5によって制御される。このため、パターンPの境界線の連続的な変化により、コミュニケーション装置1がコミュニケーション対象であることを周囲の人に想起させることができる。
【0066】
また、本実施形態のコミュニケーション装置1は、装置本体が所定の周波数(第2の周波数)で振動、若しくは、移動するように、移動装置3がコントローラ5によって制御される。このため、装置本体の周期的な連続的な動きにより、コミュニケーション装置1がコミュニケーション対象であることを周囲の人に想起させることができる。
【0067】
特に、本実施形態のコミュニケーション装置1の場合、装置本体の周期的な動きが、顔のパターンPの境界線の波形状の形状変化と連動するようにコントローラ5によって制御される。このため、周囲の人にコミュニケーション対象であることをより強く想起させることができる。
【0068】
また、本実施形態のコミュニケーション装置1では、装置本体の動作周波数(第2の周波数)が、顔のパターンPの境界線の形状変化の周波数(第1の周波数)よりも低く設定されている。このため、装置本体の動きが、顔のパターンPの境界線の動きに対して、相対的にゆったりしたものとなる。したがって、コミュニケーション装置1を見た周囲の人が焦燥感を感じるのを抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態のコミュニケーション装置1は、所定の条件のとき(例えば、周囲の人が手招きをして、その情報がコントローラ5に入力されたとき)に、表示部6における顔のパターンPの表示位置がコントローラ5による制御によって移動する。このため、装置本体の頭部2bを実際に移動させることなく、あたかも頭部2bを動かしたように周囲に見せることができる。したがって、本実施形態のコミュニケーション装置1では、システムの簡素化を図りつつ、コミュニケーション装置1に見かけ上多様な動きをさせることができる。
【0070】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態においては、顔のパターンを表示部に出力可能な表示出力部としてプロジェクター4を採用しているが、表示出力部はプロジェクター4に限定されるものではなく、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等によって構成するようにしても良い。