特許第6800269号(P6800269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800269
(24)【登録日】2020年11月26日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/24 20060101AFI20201207BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20201207BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20201207BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20201207BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   H05B33/24
   H05B33/14 A
   H05B33/02
   H05B33/12 B
   H05B33/28
【請求項の数】10
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2019-76571(P2019-76571)
(22)【出願日】2019年4月12日
(65)【公開番号】特開2019-207868(P2019-207868A)
(43)【公開日】2019年12月5日
【審査請求日】2019年7月29日
(31)【優先権主張番号】特願2018-102520(P2018-102520)
(32)【優先日】2018年5月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 俊広
【審査官】 藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−210677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L51/50−51/56
H01L27/32;H05B33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極層、有機発光層、膜厚15nm以上の第2電極層および反射層をこの順に含む複数の有機電界発光部と、
前記反射層を介して各前記有機電界発光部から発せられた光が取り出される光取出面と
を備え、
前記反射層は、2つの反射界面を含み、
各前記有機電界発光部において、前記第1電極層の前記有機発光層側の第1反射界面と、前記第2電極層の前記有機発光層側の第2反射界面と、前記反射層に含まれる2つの前記反射界面とを含む構造によって、干渉構造が形成され、
前記複数の有機電界発光部には、第1波長帯で発光する複数の第1有機電界発光部と、前記第1波長帯よりも短波長の第2波長帯で発光する複数の第2有機電界発光部とが含まれ、
各前記第1有機電界発光部および各前記第2有機電界発光部において、
前記干渉構造は、前記第1反射界面および前記第2反射界面が前記第1波長帯および前記第2波長帯のそれぞれの光を強めるように構成され、前記反射層に含まれる2つの前記反射界面が前記第1波長帯の光を弱めるとともに前記第2波長帯の光を強めるように構成されている
発光装置。
【請求項2】
前記第2反射界面と前記反射層に含まれる2つの前記反射界面との光学距離は、対応する前記有機発光層から発せられる光の中心波長以下となっている
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記干渉構造は、共振条件最小の干渉構造である
請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
各前記第1有機電界発光部および各前記第2有機電界発光部において、
前記干渉構造は、以下の式(A)〜(H)を満たすように構成されている
請求項3に記載の発光装置。
2La1/λa1+φa1/(2π)=0・・・(A)
λa−150<λa1<λa+80・・・(B)
2La2/λa2+φa2/(2π)=0・・・(C)
λa−80<λa2<λa+80・・・(D)
2La3/λa3+φa3/(2π)=Ka+1/2・・・(E)
λa−150<λa3<λa+150・・・(F)
2La4/λa4+φa4/(2π)=Ja+1/2・・・(G)
λa−150<λa4<λa+150・・・(H)
La1:前記第1反射界面と、前記第1有機電界発光部の前記有機発光層の発光中心との光学距離
La2:前記第2反射界面と、前記第1有機電界発光部の前記有機発光層の発光中心との光学距離
La3:前記反射層に含まれる2つの前記反射界面の中の一方の前記反射界面と、前記第1有機電界発光部の前記有機発光層の発光中心との光学距離
La4:前記反射層に含まれる2つの前記反射界面の中の他方の前記反射界面と、前記第1有機電界発光部の前記有機発光層の発光中心との光学距離
φa1:前記第1有機電界発光部において、前記有機発光層から出射された光が前記第1反射界面で反射する際の位相変化
φa2:前記第1有機電界発光部において、前記有機発光層から出射された光が前記第2反射界面で反射する際の位相変化
φa3:前記第1有機電界発光部において、前記有機発光層から出射された光が、前記反射層に含まれる2つの前記反射界面の中の一方の前記反射界面で反射する際の位相変化
φa4:前記第1有機電界発光部において、前記有機発光層から出射された光が、前記反射層に含まれる2つの前記反射界面の中の他方の前記反射界面で反射する際の位相変化
λa:前記第1有機電界発光部の前記有機発光層の発光スペクトルの中心波長
λa1:式(B)を満たす波長
λa2:式(D)を満たす波長
λa3:式(F)を満たす波長
λa3:式(H)を満たす波長
Ka,Ja:0以上の整数
【請求項5】
各前記第1有機電界発光部および各前記第2有機電界発光部において、
前記干渉構造は、以下の式(I)〜(P)を満たすように構成されている
請求項4に記載の発光装置。
2Lc1/λc1+φc1/(2π)=0・・・(I)
λc−150<λc1<λc+80・・・(J)
2Lc2/λc2+φc2/(2π)=0・・・(K)
λc−80<λc2<λc+80・・・(L)
2Lc3/λc3+φc3/(2π)=Kc・・・(M)
λc−150<λc3<λc+150・・・(N)
2Lc4/λc4+φc4/(2π)=Jc・・・(O)
λc−150<λc4<λc+150・・・(P)
Lc1:前記第1反射界面と、前記第2有機電界発光部の前記有機発光層の発光中心との光学距離
Lc2:前記第2反射界面と、前記第2有機電界発光部の前記有機発光層の発光中心との光学距離
Lc3:前記反射層に含まれる2つの前記反射界面の中の一方の前記反射界面と、前記第2有機電界発光部の前記有機発光層の発光中心との光学距離
Lc4:前記反射層に含まれる2つの前記反射界面の中の他方の前記反射界面と、前記第2有機電界発光部の前記有機発光層の発光中心との光学距離
φc1:前記第2有機電界発光部において、前記有機発光層から出射された光が前記第1反射界面で反射する際の位相変化
φc2:前記第2有機電界発光部において、前記有機発光層から出射された光が前記第2反射界面で反射する際の位相変化
φc3:前記第2有機電界発光部において、前記有機発光層から出射された光が、前記反射層に含まれる2つの前記反射界面の中の一方の前記反射界面で反射する際の位相変化
φa4:前記第2有機電界発光部において、前記有機発光層から出射された光が、前記反射層に含まれる2つの前記反射界面の中の他方の前記反射界面で反射する際の位相変化
λc:前記第2有機電界発光部の前記有機発光層の発光スペクトルの中心波長
λc1:式(J)を満たす波長
λc2:式(L)を満たす波長
λc3:式(N)を満たす波長
λc4:式(P)を満たす波長
Kc,Jc:0以上の整数
【請求項6】
前記第2電極層は、膜厚が15nm以上の単層の金属層によって構成されている
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第2電極層は、第1金属層、透明導電体層および第2金属層を前記有機発光層側からこの順に含み、
前記第1金属層および前記第3金属層の総厚は、15nm以上となっている
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1金属層は、前記第2金属層よりも厚くなっている
請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
各前記有機電界発光部との位置関係で、前記光取出面とは反対側に、各前記有機電界発光部を駆動する駆動回路が形成された回路基板を更に備えた
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記有機発光層は印刷層である
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機エレクトロルミネッセンス(EL;Electro Luminescence)現象により発光する有機電界発光部を用いた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL素子を用いた発光装置の構造について、多数の提案がなされている(例えば特許文献1〜4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO01/039554号パンフレット
【特許文献2】特開2006−244713号公報
【特許文献3】特開2011−159431号公報
【特許文献4】特開2011−159433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような発光装置の中で、トップエミッション方式では、大型化に伴い、給電性能と色度の視野角特性とを両立させることが容易ではなくなってきている。従って、給電性能と色度の視野角特性とを両立させることの可能な発光装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施の形態に係る発光装置は、第1電極層、有機発光層、膜厚15nm以上の第2電極層および反射層をこの順に含む複数の有機電界発光部と、反射層を介して各有機電界発光部から発せられた光が取り出される光取出面とを備えている。反射層は、2つの反射界面を含んでいる。各有機電界発光部において、第1電極層の有機発光層側の第1反射界面と、第2電極層の有機発光層側の第2反射界面と、反射層に含まれる2つの反射界面とを含む構造によって、干渉構造が形成されている。複数の有機電界発光部には、第1波長帯で発光する複数の第1有機電界発光部と、第1波長帯よりも短波長の第2波長帯で発光する複数の第2有機電界発光部とが含まれている。各第1有機電界発光部および各第2有機電界発光部において、干渉構造は、第1反射界面および第2反射界面が第1波長帯および第2波長帯のそれぞれの光を強めるように構成され、反射層に含まれる2つの反射界面が第1波長帯の光を弱めるとともに第2波長帯の光を強めるように構成されている。

【発明の効果】
【0006】
本開示の一実施の形態に係る発光装置によれば、第2電極層を厚膜にした場合であっても、色度の視野角特性の悪化を低減することができるようにしたので、給電性能と色度の視野角特性とを両立させることができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施の形態に係る発光装置の概略構成を表す断面図である。
図2図1に示した赤色発光部の構成を表す断面図である。
図3図1に示した緑色発光部の構成を表す断面図である。
図4図1に示した青色発光部の構成を表す断面図である。
図5図1に示した発光装置の動作について説明するための断面図である。
図6】比較例に係る発光装置の視野角による色度の変化の一例を表す図である。
図7】比較例に係る発光装置の視野角による色度の変化の一例を表す図である。
図8図1に示した発光装置の視野角による色度の変化の一例を表す図である。
図9】比較例に係る発光装置の光取出面側の電極の膜厚に対する45度色度視野角の変化の一例を表す図である。
図10】比較例に係る発光装置の、光取出面側の電極の膜厚に対する相対輝度の変化の一例を表す図である。
図11図1に示した発光部の構成の変形例を表す断面図である。
図12図1等に示した発光装置を適用した表示装置の概略構成を表す図である。
図13図12に示した画素の回路構成を表す回路図である。
図14図12に示した表示装置を適用した電子機器の外観の一例を表す図である。
図15図1等に示した発光装置を適用した照明装置の外観の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施の形態について図面を参照して以下の順に詳細に説明する。

1.実施の形態(発光装置)
2.変形例(発光装置)
3.適用例(表示装置、電子機器、照明装置)
【0009】
<1.実施の形態>
[構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る発光装置1の要部の断面構成を表している。発光装置1は、基板11を備えており、基板11上に、複数の赤色発光部10R、複数の緑色発光部10Gよび複数の青色発光部10Bを備えている。赤色発光部10Rは、本開示の「有機電界発光部」、「第1有機電界発光部」の一具体例に相当する。緑色発光部10Gは、本開示の「有機電界発光部」、「第1有機電界発光部」の一具体例に相当する。青色発光部10Bは、本開示の「有機電界発光部」、「第2有機電界発光部」の一具体例に相当する。
【0010】
赤色発光部10Rは、基板11上に、電極層12R、赤色発光層131Rを含む赤色有機層13R、電極層14R、透明層15R、透明層16Rおよび透明層17Rをこの順に有している。緑色発光部10Gは、基板11上に、電極層12G、緑色発光層131Gを含む緑色有機層13G、電極層14G、透明層15G、透明層16Gおよび透明層17Gをこの順に有している。青色発光部10Bは、基板11上に、電極層12B、青色発光層131Bを含む青色有機層13B、電極層14B、透明層15B、透明層16Bおよび透明層17Bをこの順に有している。電極層12R,12G,12Bは、本開示の「第1電極層」の一具体例に相当する。電極層14R,14G,14Bは、本開示の「第2電極層」の一具体例に相当する。透明層15R、透明層16Rおよび透明層17Rからなる積層体が、本開示の「反射層」の一具体例に相当する。透明層15G、透明層16Gおよび透明層17Gからなる積層体が、本開示の「反射層」の一具体例に相当する。透明層15B、透明層16Bおよび透明層17Bからなる積層体が、本開示の「反射層」の一具体例に相当する。
【0011】
赤色発光部10Rは、電極層12Rおよび電極層14Rによる電流注入によって赤色発光層131Rで発生した赤色波長域の光(赤色光LR)を、透明層17R側から出射する。緑色発光部10Gは、電極層12Gおよび電極層14Gによる電流注入によって緑色発光層131Gで発生した緑色波長域の光(緑色光LG)を、透明層17G側から出射する。青色発光部10Bは、電極層12Bおよび電極層14Bによる電流注入によって青色発光層131Bで発生した青色波長域の光(青色光LB)を、透明層17B側から出射する。発光装置1は、赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bから出射された光を電極層12R,12G,12Bと、透明層17R,17G,17Bとの間で、多重反射させて、透明層17R,17G,17B側から光を取り出すように構成されている。即ち、発光装置1は、共振器構造を有する上面発光型の発光装置である。
【0012】
基板11は、赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bを支持するための板状部材であり、例えば、透明ガラス基板または半導体基板等によって構成されている。基板11は、可撓性基板(フレキシブル基板)によって構成されていてもよい。基板11は、赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bを駆動する回路(後述の画素回路18−1)が設けられた回路基板であってもよい。
【0013】
電極層12R,12G,12Bは、アノード電極であるとともに、反射ミラーとしての機能も有している。電極層12R,12G,12Bは、例えば、光反射性材料によって形成されている。電極層12R,12G,12Bに用いられる光反射性材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、白金(Pt)、金(Au)、クロム(Cr)、またはタングステン(W)などが挙げられる。電極層12R,12G,12Bは、例えば、透明導電材料と光反射性材料とを積層させて構成されていてもよい。電極層12R,12G,12Bの厚さは、例えば、100nm以上300nm以下となっている。
【0014】
赤色有機層13Rは、例えば、電極層12Rに近い位置から、正孔注入層、正孔輸送層、赤色発光層131R、電子輸送層および電子注入層をこの順に有している。緑色有機層13Gは、例えば、電極層12Gに近い位置から、正孔注入層、正孔輸送層、緑色発光層131G、電子輸送層および電子注入層をこの順に有している。青色有機層13Bは、例えば、電極層12Bに近い位置から、正孔注入層、正孔輸送層、青色発光層131B、電子輸送層および電子注入層をこの順に有している。
【0015】
正孔注入層は、リークを防止するための層である。正孔注入層は、例えば、ヘキサアザトリフェニレン(HAT)などによって形成されている。正孔注入層の厚さは、例えば、1nm以上20nm以下となっている。正孔輸送層は、例えば、α−NPD〔N,N'-di(1-naphthyl)-N,N'-diphenyl-〔1,1'-biphenyl 〕-4,4'-diamine 〕によって形成されている。正孔輸送層の厚さは、例えば、15nm以上100nm以下となっている。
【0016】
赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bは、正孔と電子との結合により、所定の色の光を発するように構成されている。赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bの厚さは、例えば、5nm以上50nm以下となっている。赤色発光層131Rは、赤色波長域(第1波長帯)の光を発する。赤色発光層131Rは、例えば、ピロメテンホウ素錯体がドーピングされたルブレンによって形成されている。このとき、ルブレンはホスト材料として用いられる。緑色発光層131Gは、緑色波長域(第1波長帯)の光を発する。緑色発光層131Gは、例えば、Alq3(トリスキノリノールアルミニウム錯体)によって形成されている。青色発光層131Bは、赤色波長域よりも短波長の青色波長域(第1波長帯よりも短波長の第2波長帯)の光を発する。青色発光層131Bは、例えば、ジアミノクリセン誘導体がドーピングされたADN(9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン)によって形成されている。このとき、ADNは、ホスト材料として用いられ、例えば、厚さ20nmの蒸着膜である。ジアミノクリセン誘導体は、ドーパント材料として用いられ、例えば、相対膜厚比で例えば5%ドーピングされる。
【0017】
電子輸送層は、BCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)によって形成されている。電子輸送層の厚さは、例えば、15nm以上200nm以下となっている。電子注入層は、例えば、フッ化リチウム(LiF)によって形成されている。電子注入層の厚さは、例えば15nm以上270nm以下となっている。
【0018】
電極層14R,14G,14Bは、カソード電極であるとともに、反射ミラーとしての機能も有している。電極層14R,14G,14Bは、高い反射率を有する金属材料によって形成されている。電極層14R,14G,14Bは、例えば、マグネシウム(Mg),銀(Ag)またはこれらの合金によって形成されている。電極層14R,14G,14Bは、厚さが例えば15nm以上55nm以下の単層の金属層によって構成されている。電極層14R,14G,14Bが、このような高い反射率を有する金属材料によって形成されていることにより、共振器構造の効果が高まり、光取出効率を向上させることができる。これにより、消費電力を抑え、また、赤色発光部10R,緑色発光部10G,青色発光部10Bの寿命を延ばすこともできる。なお、電極層14R,14G,14Bの厚さが15nmのときの光取出効率と、電極層14R,14G,14Bの抵抗値とを基準として、電流比(相対効率の逆数)と抵抗比との積が1以上となる、電極層14R,14G,14Bの厚さの上限値が、55nmとなっている。
【0019】
透明層15R,15G,15B、透明層16R,16G,16Bおよび透明層17R,17G,17Bは、発光装置1の光取出側に設けられている。透明層15R,15G,15Bの厚みは、例えば30nm〜450nmであり、透明層16R,16G,16Bの厚みは30nm〜380nmであり、透明層17R,17G,17Bの厚みは、例えば500nm〜10000nmである。
【0020】
透明層15R,15G,15B、透明層16R,16G,16Bおよび透明層17R,17G,17Bは、例えば、透明導電材料または透明誘電体材料によって形成されている。透明層15R,15G,15B、透明層16R,16G,16Bおよび透明層17R,17G,17Bに用いられる透明導電材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、または、インジウムと亜鉛との酸化物(IZO)などが挙げられる。透明層15R,15G,15B、透明層16R,16G,16Bおよび透明層17R,17G,17Bに用いられる透明誘電体材料としては、例えば、酸化シリコン(SiO2),シリコンオキシナイトライド(SiON)または窒化シリコン(SiN)などが挙げられる。透明層15R,15G,15B、透明層16R,16G,16Bおよび透明層17R,17G,17Bは、カソード電極としての機能を有していてもよく、あるいは、パッシベーション膜として機能するように構成されていてもよい。透明層15R,15G,15B、透明層16R,16G,16Bおよび透明層17R,17G,17Bには、MgFまたはNaFなどの低屈折率材料を用いることも可能である。
【0021】
透明層17R,17G,17Bの上層には、膜厚が1μm以上の層が設けられていてもよい。この層は、例えば、透明導電材料、透明絶縁材料、樹脂材料、またはガラスなどによって形成されている。この層が、空気によって構成されていてもよい。このような層を設けることにより、電極層12R,12G,12Bと透明層17R,17G,17Bとの間で構成される共振器構造への外部からの干渉を防ぐことができる。
【0022】
次に、赤色発光部10R,緑色発光部10G,青色発光部10Bの共振器構造について説明する。図2は、赤色発光部10Rの構成を表す断面図である。図3は、緑色発光部10Gの構成を表す断面図である。図4は、青色発光部10Bの構成を表す断面図である。
【0023】
赤色発光部10Rは、基板11側から、第1反射界面S1R、第2反射界面S2R、第3反射界面S3R、第4反射界面S4Rおよび光取出面SDRをこの順に有している。第3反射界面S3Rおよび第4反射界面S4Rは、透明層15R、透明層16Rおよび透明層17Rからなる積層体に含まれている。このとき、第1反射界面S1R、第2反射界面S2R、第3反射界面S3R、第4反射界面S4Rを含む構造によって、マイクロキャビティ構造が形成されている。マイクロキャビティ構造は、例えば、電極層12Rと電極層14Rとの間で生じる光の共振を利用し、特定波長の光(例えば、赤色波長域の光)を増強させる効果を有する。第1反射界面S1Rと第2反射界面S2Rとの間には、赤色発光層131Rの発光中心ORが設けられている。換言すれば、互いに対向する第1反射界面S1Rと光取出面SDRとの間に赤色発光層131Rが設けられている。第1反射界面S1Rは、電極層12Rと赤色有機層13Rとの界面である。第2反射界面S2Rは、赤色有機層13Rと電極層14Rとの界面である。第3反射界面S3Rは、透明層15Rと透明層16Rとの界面である。第4反射界面S4Rは、透明層16Rと透明層17Rとの界面である。光取出面SDRは、赤色発光部10Rの最表面である。赤色発光部10Rの最表面は、例えば、空気層と接している。透明層15R,16R,17Rを介して赤色発光部10Rから発せられた光が光取出面SDRから取り出される。
【0024】
緑色発光部10Gは、基板11側から、第1反射界面S1G、第2反射界面S2G、第3反射界面S3G、第4反射界面S4Gおよび光取出面SDGをこの順に有している。第3反射界面S3Gおよび第4反射界面S4Gは、透明層15G、透明層16Gおよび透明層17Gからなる積層体に含まれている。このとき、第1反射界面S1G、第2反射界面S2G、第3反射界面S3G、第4反射界面S4Gを含む構造によって、マイクロキャビティ構造が形成されている。マイクロキャビティ構造は、例えば、電極層12Gと電極層14Gとの間で生じる光の共振を利用し、特定波長の光(例えば、緑色波長域の光)を増強させる効果を有する。第1反射界面S1Gと第2反射界面S2Gとの間には、緑色発光層131Gの発光中心OGが設けられている。換言すれば、互いに対向する第1反射界面S1Gと光取出面SDGとの間に緑色発光層131Gが設けられている。第1反射界面S1Gは、電極層12Gと緑色有機層13Gとの界面である。第2反射界面S2Gは、緑色有機層13Gと電極層14Gとの界面である。第3反射界面S3Gは、透明層15Gと透明層16Gとの界面である。第4反射界面S4Gは、透明層16Gと透明層17Gとの界面である。光取出面SDGは、緑色発光部10Gの最表面である。緑色発光部10Gの最表面は、例えば、空気層と接している。透明層15G,16G,17Gを介して緑色発光部10Gから発せられた光が光取出面SDGから取り出される。
【0025】
青色発光部10Bは、基板11側から、第1反射界面S1B、第2反射界面S2B、第3反射界面S3B、第4反射界面S4Bおよび光取出面SDBをこの順に有している。第3反射界面S3Bおよび第4反射界面S4Bは、透明層15B、透明層16Bおよび透明層17Bからなる積層体に含まれている。このとき、第1反射界面S1B、第2反射界面S2B、第3反射界面S3B、第4反射界面S4Bを含む構造によって、マイクロキャビティ構造が形成されている。マイクロキャビティ構造は、例えば、電極層12Bと電極層14Bとの間で生じる光の共振を利用し、特定波長の光(例えば、青色波長域の光)を増強させる効果を有する。第1反射界面S1Bと第2反射界面S2Bとの間には、青色発光層131Bの発光中心OBが設けられている。換言すれば、互いに対向する第1反射界面S1Bと光取出面SDBとの間に青色発光層131Bが設けられている。第1反射界面S1Bは、電極層12Bと青色有機層13Bとの界面である。第2反射界面S2Bは、青色有機層13Bと電極層14Bとの界面である。第3反射界面S3Bは、透明層15Bと透明層16Bとの界面である。第4反射界面S4Bは、透明層16Bと透明層17Bとの界面である。光取出面SDBは、青色発光部10Bの最表面である。青色発光部10Bの最表面は、例えば、空気層と接している。透明層15B,16B,17Bを介して青色発光部10Bから発せられた光が光取出面SDBから取り出される。
【0026】
第1反射界面S1R,S1G,S1Bおよび第2反射界面S2R,S2G,S2Bは、金属による反射膜によって構成されている。第3反射界面S3R,S3G,S3Bおよび第4反射界面S4R,S4G,S4Bは、例えば、屈折率差0.15以上の界面によって構成されている。
【0027】
(第1反射界面S1R,S1G,S1B)
電極層12R,12G,12Bが、屈折率0.73、消衰係数5.91のアルミニウム(Al)によって形成され、赤色有機層13R,緑色有機層13G,青色有機層13Bが、屈折率1.75の材料によって形成されているとする。このとき、第1反射界面S1Rは、発光中心ORから光学距離La1の位置に配置され、第1反射界面S1Gは、発光中心OGから光学距離Lb1の位置に配置され、第1反射界面S1Bは、発光中心OBから光学距離Lc1の位置に配置されている。
【0028】
光学距離La1は、赤色発光層131Rの発光スペクトルの中心波長λaの光(赤色波長域(第1波長帯)の光)を、第1反射界面S1Rと発光中心ORとの間における干渉によって強め合うように設定されている。光学距離Lb1は、緑色発光層131Gの発光スペクトルの中心波長λbの光(緑色波長域(第1波長帯)の光)を、第1反射界面S1Gと発光中心OGとの間における干渉によって強め合うように設定されている。光学距離Lc1は、青色発光層131Bの発光スペクトルの中心波長λcの光(青色波長域(第2波長帯)の光)を、第1反射界面S1Bと発光中心OBとの間における干渉によって強め合うように設定されている。
【0029】
具体的には、光学距離La1,Lb1,Lc1は、以下の式(1)〜(6)を満たす。
【0030】
2La1/λa1+φa1/(2π)=Na・・・(1)
λa−150<λa1<λa+80・・・(2)
2Lb1/λb1+φb1/(2π)=Nb・・・(3)
λb−150<λb1<λb+80・・・(4)
2Lc1/λc1+φc1/(2π)=Nc・・・(5)
λc−150<λc1<λc+80・・・(6)
ただし、Na、Nb、Nc:0以上の整数
λa、λa1、λb、λb1、λc、λc1の単位:nm
φa1:赤色発光層131Rから出射された光が第1反射界面S1Rで反射する際の位相変化
φb1:緑色発光層131Gから出射された光が第1反射界面S1Gで反射する際の位相変化
φc1:青色発光層131Bから出射された光が第1反射界面S1Bで反射する際の位相変化
λa1:式(2)を満たす波長
λb1:式(4)を満たす波長
λc1:式(6)を満たす波長
【0031】
φa1,φb1,φc1は、電極層12R,12G,12Bの構成材料の複素屈折率N=n0-jk(n0:屈折率、k:消衰係数)のn0、kと、赤色有機層13R,緑色有機層13G,青色有機層13Bの屈折率とを用いて計算することができる(例えば、Principles of Optics, Max Born and Emil Wolf, 1974 (PERGAMON PRESS)などを参照)。各構成材料の屈折率は、分光エリプソメトリー測定装置を用いて測定することができる。
【0032】
Na、Nb、Ncの値が大きいと、いわゆるマイクロキャビティ(微小共振器)効果が得られない。そのため、Na=0、Nb=0、Nc=0であることが好ましい。光学距離La1が上記の式(1),(2)を満たす場合に、λa1を中心波長λaから大きくずらすことも可能である。同様に、光学距離Lb1が上記の式(3),(4)を満たす場合に、λb1を中心波長λbから大きくずらすことも可能である。また、光学距離Lc1が上記の式(5),(6)を満たす場合に、λc1を中心波長λcから大きくずらすことも可能である。
【0033】
(第2反射界面S2R,S2G,S2B)
赤色有機層13R,緑色有機層13G,青色有機層13Bが、屈折率1.75の材料によって形成され、電極層14R,14G,14Bが、屈折率0.13、消衰係数3.96の銀(Ag)によって形成されているとする。このとき、第2反射界面S2Rは、発光中心ORから光学距離La2の位置に配置され、第2反射界面S2Gは、発光中心OGから光学距離Lb2の位置に配置され、第2反射界面S2Bは、発光中心OBから光学距離Lc2の位置に配置されている。
【0034】
光学距離La2は、赤色発光層131Rの発光スペクトルの中心波長λaの光(赤色波長域(第1波長帯)の光)を、第2反射界面S2Rと発光中心ORとの間における干渉によって強め合うように設定されている。光学距離Lb2は、緑色発光層131Gの発光スペクトルの中心波長λbの光(緑色波長域(第1波長帯)の光)を、第2反射界面S2Gと発光中心OGとの間における干渉によって強め合うように設定されている。光学距離Lc2は、青色発光層131Bの発光スペクトルの中心波長λcの光(青色波長域(第2波長帯)の光)を、第2反射界面S2Bと発光中心OBとの間における干渉によって強め合うように設定されている。
【0035】
具体的には、光学距離La2,Lb2,Lc2は、以下の式(7)〜(12)を満たす。
【0036】
2La2/λa2+φa2/(2π)=Ma・・・(7)
λa−80<λa2<λa+80・・・(8)
2Lb2/λb2+φb2/(2π)=Mb・・・(9)
λb−80<λb2<λb+80・・・(10)
2Lc2/λc2+φc2/(2π)=Mc・・・(11)
λc−80<λc2<λc+80・・・(12)
ただし、Ma、Mb、Mc:0以上の整数
λa、λa2、λb、λb2、λc、λc2の単位:nm
φa2:赤色発光層131Rから出射された光が第2反射界面S2Rで反射する際の位相変化
φb2:緑色発光層131Gから出射された光が第2反射界面S2Gで反射する際の位相変化
φc2:青色発光層131Bから出射された光が第2反射界面S2Bで反射する際の位相変化
λa2:式(8)を満たす波長
λb2:式(10)を満たす波長
λc2:式(12)を満たす波長
【0037】
φa2,φb2,φc2は、φa1,φb1,φc1と同様の方法で求めることができる。Ma、Mb、Mcの値が大きいと、いわゆるマイクロキャビティ(微小共振器)効果が得られない。そのため、Ma=0、Mb=0、Mc=0であることが好ましい。
【0038】
ここで、Na=0、Nb=0、Nc=0、Ma=0、Mb=0、Mc=0となっているとする。この場合、第1反射界面S1R、第2反射界面S2R、第3反射界面S3R、第4反射界面S4Rを含む構造によって、共振条件最小のマイクロキャビティ構造が形成されている。このとき、赤色発光部10Rの共振条件最小のマイクロキャビティ構造は、第1反射界面S1Rおよび第2反射界面S2Rが赤色波長域の光を強めるように構成され、第3反射界面S3Rおよび第4反射界面S4Rが赤色波長域の光を弱めるように構成されている。同様に、第1反射界面S1G、第2反射界面S2G、第3反射界面S3G、第4反射界面S4Gを含む構造によって、共振条件最小のマイクロキャビティ構造が形成されている。このとき、緑色発光部10Gの共振条件最小のマイクロキャビティ構造は、第1反射界面S1Gおよび第2反射界面S2Gが緑色波長域の光を強めるように構成され、第3反射界面S3Gおよび第4反射界面S4Gが緑色波長域の光を弱めるように構成されている。さらに、第1反射界面S1B、第2反射界面S2B、第3反射界面S3B、第4反射界面S4Bを含む構造によって、共振条件最小のマイクロキャビティ構造が形成されている。このとき、青色発光部10Bの共振条件最小のマイクロキャビティ構造は、第1反射界面S1Bおよび第2反射界面S2Bが青色波長域の光を強めるように構成され、第3反射界面S3Bおよび第4反射界面S4Bが青色波長域の光を強めるように構成されている。
【0039】
光学距離La1が上記の式(1),(2)を満たし、かつ光学距離La2が上記の式(7),(8)を満たす場合に、第1反射界面S1Rおよび第2反射界面S2Rによる増幅効果により、所定の波長に透過率のピークが発生する。光学距離Lb1が上記の式(3),(4)を満たし、かつ光学距離Lb2が上記の式(9),(10)を満たす場合に、第1反射界面S1Gおよび第2反射界面S2Gによる増幅効果により、所定の波長に透過率のピークが発生する。光学距離Lc1が上記の式(5),(6)を満たし、かつ光学距離Lc2が上記の式(11),(12)を満たす場合に、第1反射界面S1Bおよび第2反射界面S2Bによる増幅効果により、所定の波長に透過率のピークが発生する。
【0040】
(第3反射界面S3R,S3G,S3B)
光学距離La3が、例えば、赤色発光層131Rの発光スペクトルの中心波長λaの光を、第3反射界面S3Rと発光中心ORとの間における干渉によって弱め合うように設定されている。このとき、第2反射界面S2Rと第3反射界面S3Rとの光学距離は、赤色発光層131Rから発せられる光の中心波長λa以下となっている。光学距離Lb3が、例えば、緑色発光層131Gの発光スペクトルの中心波長λbの光を、第3反射界面S3Gと発光中心OGとの間における干渉によって弱め合うように設定されている。このとき、第2反射界面S2Gと第3反射界面S3Gとの光学距離は、緑色発光層131Gから発せられる光の中心波長λb以下となっている。光学距離Lc3が、例えば、青色発光層131Bの発光スペクトルの中心波長λcの光を、第3反射界面S3Bと発光中心OBとの間における干渉によって強め合うように設定されている。このとき、第2反射界面S2Bと第3反射界面S3Bとの光学距離は、青色発光層131Bから発せられる光の中心波長λc以下となっている。
【0041】
光学距離La3,Lb3,Lc3は、例えば、以下の式(13)〜(18)を満たす。
【0042】
2La3/λa3+φa3/(2π)=Ka+1/2・・・(13)
λa−150<λa3<λa+150・・・(14)
2Lb3/λb3+φb3/(2π)=Kb+1/2・・・(15)
λb−150<λb3<λb+150・・・(16)
2Lc3/λc3+φc3/(2π)=Kc・・・(17)
λc−150<λc3<λc+150・・・(18)
ただし、Ka、Kb、Kc:0以上の整数
λa、λa3、λb、λb3、λc、λc3の単位:nm
φa3:赤色発光層131Rから出射された光が第3反射界面S3Rで反射する際の位相変化
φb3:緑色発光層131Gから出射された光が第3反射界面S3Gで反射する際の位相変化
φc3:青色発光層131Bから出射された光が第3反射界面S3Bで反射する際の位相変化
λa3:式(14)を満たす波長
λb3:式(16)を満たす波長
λc3:式(18)を満たす波長
【0043】
φa3,φb3,φc3は、φa1,φb1,φc1と同様の方法で求めることができる。光学距離La3,Lb3,Lc3が上記の式(13)〜(18)を満たす場合、発光部(赤色発光部10R,緑色発光部10G,青色発光部10B)毎に、発光状態を調整することができる。このように、第3反射界面S3Rでの反射が加わることにより、赤色発光層131Rで発生した光が弱められ、スペクトルの半値幅が広がる。また、第3反射界面S3Gでの反射が加わることにより、緑色発光層131Gで発生した光が弱められ、スペクトルの半値幅が広がる。第3反射界面S3Bでの反射が加わることにより、青色発光層131Bで発生した光が強められ、スペクトルの半値幅が狭まる。
【0044】
(第4反射界面S4R,S4G,S4B)
光学距離La4が、例えば、赤色発光層131Rの発光スペクトルの中心波長λaの光を、第4反射界面S4Rと発光中心ORとの間における干渉によって弱め合うように設定されている。このとき、第2反射界面S2Rと第4反射界面S4Rとの光学距離は、赤色発光層131Rから発せられる光の中心波長λa以下となっている。光学距離Lb4が、例えば、緑色発光層131Gの発光スペクトルの中心波長λbの光を、第4反射界面S4Gと発光中心OGとの間における干渉によって弱め合うように設定されている。このとき、第2反射界面S2Gと第4反射界面S4Gとの光学距離は、緑色発光層131Gから発せられる光の中心波長λb以下となっている。光学距離Lc4が、例えば、青色発光層131Bの発光スペクトルの中心波長λcの光を、第4反射界面S4Bと発光中心OBとの間における干渉によって強め合うように設定されている。このとき、第2反射界面S2Bと第4反射界面S4Bとの光学距離は、青色発光層131Bから発せられる光の中心波長λc以下となっている。
【0045】
光学距離La4,Lb4,Lc4は、例えば、以下の式(19)〜(24)を満たす。
【0046】
2La4/λa4+φa4/(2π)=Ja+1/2・・・(19)
λa−150<λa4<λa+150・・・(20)
2Lb4/λb4+φb4/(2π)=Jb+1/2・・・(21)
λb−150<λb4<λb+150・・・(22)
2Lc4/λc4+φc4/(2π)=Jc・・・(23)
λc−150<λc4<λc+150・・・(24)
ただし、Ja、Jb、Jc:0以上の整数
λa、λa4、λb、λb4、λc、λc4の単位:nm
φa4:赤色発光層131Rから出射された光が第4反射界面S4Rで反射する際の位相変化
φb4:緑色発光層131Gから出射された光が第4反射界面S4Gで反射する際の位相変化
φc4:青色発光層131Bから出射された光が第4反射界面S4Bで反射する際の位相変化
λa4:式(20)を満たす波長
λb4:式(22)を満たす波長
λc4:式(24)を満たす波長
【0047】
φa4,φb4,φc4は、φa1,φb1,φc1と同様の方法で求めることができる。光学距離La3,Lb3,Lc3が上記の式(13)〜(18)を満たし、かつ、光学距離La4,Lb4,Lc4が上記の式(19)〜(24)を満たす場合、発光部(赤色発光部10R,緑色発光部10G,青色発光部10B)毎に、発光状態を調整することができる。このように、第4反射界面S4R,S4G,S4Bでの反射が加わることにより、赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bで発生した光のスペクトルのピークプロファイルを所望のプロファイルに調整することができる。その結果、例えば、角度による輝度および色相の急激な変化を抑えることができる。また、例えば、発光層で発生した光のスペクトルに急峻なピークをもたせることにより、光取出効率を高めることもできる。また、色度点を向上させることも可能である。
【0048】
このような発光装置1は、基板11上に、電極層12R,12G,12B、有機層(赤色有機層13R,緑色有機層13G,青色有機層13B)、電極層14R,14G,14B、透明層15R,15G,15B、透明層16R,16G,16Bおよび透明層17R,17G,17Bをこの順に形成することにより製造することができる。赤色有機層13R,緑色有機層13G,青色有機層13Bは、蒸着法によって形成してもよく、あるいは印刷によって形成してもよい。換言すれば、赤色有機層13R,緑色有機層13G,青色有機層13Bは印刷層であってもよい。電極層14R,14G,14Bは、互いに共通の層で構成されていてもよい。この場合、電極層14R,14G,14Bの材料および厚さが、互いに等しくなっている。透明層15R,15G,15Bは、互いに共通の層で構成されていてもよい。この場合、透明層15R,15G,15Bの材料および厚さが、互いに等しくなっている。透明層16R,16G,16Bは、互いに共通の層で構成されていてもよい。この場合、透明層16R,16G,16Bの材料および厚さが、互いに等しくなっている。透明層17R,17G,17Bは、互いに共通の層で構成されていてもよい。この場合、透明層17R,17G,17Bの材料および厚さが、互いに等しくなっている。
【0049】
[作用、効果]
上記のような発光装置1では、赤色発光部10R,緑色発光部10G,青色発光部10Bの各発光層(赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131B)に、電極層12R,12G,12Bと電極層14R,14G,14Bとを通じて駆動電流が注入される。その結果、各発光層において正孔と電子とが再結合して励起子を生じ、発光が起こる。
【0050】
例えば、図5に示したように、赤色有機層13Rで生成された光は、第1反射界面S1Rと第4反射界面S4Rとの間で多重反射され、光取出面SDRから取り出される。赤色発光部10Rでは、赤色光LRが光取出面SDRから取り出され、緑色発光部10Gでは、緑色光LGが光取出面SDGから取り出され、青色発光部10Bでは、青色光LBが光取出面SDBから取り出される。これら赤色光LR,緑色光LGおよび青色光LBの加法混色により、様々な色が表現される。
【0051】
ところが、このような共振器構造を有する発光装置では、様々な構造が提案されているものの、配光特性を向上させることが難しい。
【0052】
例えば、所望の波長の光が共振するように、透光性電極と反射性電極の間の膜厚を設定し、これにより発光効率を高める方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。また、有機層の膜厚を制御することにより、三原色(赤色、緑色、青色)の減衰のバランスをコントロールし、白色の色度点の視野角特性を高める試みもなされている(例えば特許文献4参照)。
【0053】
しかし、このような共振器構造は、取り出される光のスペクトルに対して、半値幅の狭い干渉フィルタとして機能するので、光取出面を斜め方向から見た場合には、光の波長が大きくシフトする。このため、視野角によって発光強度の低下等が生じ、視野角依存性が大きくなってしまう。
【0054】
また、特許文献2では、視野角による色度変化を低減するための構造が提案されている。しかし、この構造は、単色に適用し、輝度の視野角依存性を低減することは可能かもしれないが、十分に広い波長帯域に適用することが困難である。適用可能な波長帯域を広げるために、反射率をあげることも考え得るが、この場合には、光取出効率が著しく低下する。
【0055】
上記のように、共振器構造内の位置関係および発光位置等を調整することにより角度依存性を低減する方法が考え得るものの、この方法では調整が困難となる場合がある。例えば、各発光層から出射される光のスペクトルによって、屈折率の波長分散が生じる場合である。屈折率の波長分散では、構成材料の屈折率が各波長によって異なるため、赤色有機EL素子,緑色有機EL素子,青色有機EL素子間で、共振器構造の効果に差異が生じる。例えば、赤色有機EL素子では、取り出される赤色光のピークが急峻になり過ぎ、青色有機EL素子では、取り出される青色光のピークがなだらかになり過ぎる。このように、素子領域毎に共振器構造の効果が大きく異なると、輝度および色度の角度依存性が大きくなり、配光特性が低下する。
【0056】
これに対して、本実施の形態に係る発光装置1では、赤色発光層131Rで発生した光に対して、第3反射界面S3Rおよび第4反射界面S4Rが及ぼす影響と、青色発光層131Bで発生した光に対して第3反射界面S3Bおよび第4反射界面S4Bが及ぼす影響とが互いに異なっている。同様に、本実施の形態に係る発光装置1では、緑色発光層131Gで発生した光に対して、第3反射界面S3Gおよび第4反射界面S4Gが及ぼす影響と、青色発光層131Bで発生した光に対して第3反射界面S3Bおよび第4反射界面S4Bが及ぼす影響とが互いに異なっている。例えば、赤色発光層131R,緑色発光層131Gおよび青色発光層131Bで発生した光は以下のようになる。
【0057】
赤色発光層131Rで発生した光は、赤色発光層131Rの発光中心ORと第3反射界面S3R,第4反射界面S4Rとの間における干渉によって弱められる。同様に、緑色発光層131Gで発生した光は、緑色発光層131Gの発光中心OGと第3反射界面S3G,第4反射界面S4Gとの間における干渉によって弱められる。一方、青色発光層131Bで発生した光は、青色発光層131Bの発光中心OBと第3反射界面S3B,第4反射界面S4Bとの間における干渉によって強められる。
【0058】
これにより、赤色発光部10Rでは、光取出面SDRからピーク近傍がなだらかな赤色光LRが取り出され、緑色発光部10Gでは、光取出面SDGからピーク近傍がなだらかな緑色光LGが取り出され、青色発光部10Bでは、光取出面SDBから急峻なピークを有する青色光LBが取り出される。したがって、赤色発光部10Rおよび緑色発光部10Gの共振器構造の効果と、青色発光部10Bの共振器構造の効果との違いが小さくなり、輝度および色度の角度依存性が小さくなる。よって、配光特性を向上させることができる。また、高い配光特性を有する発光装置1は、高い画品位を要する表示装置にも好適であり、表示装置の生産性を向上させることができる。
【0059】
図6は、比較例に係る発光装置の視野角による色度の変化の一例を表したものである。比較例に係る発光装置では、基板側の電極層が単層のAl合金で構成されており、光取出面側の電極層が単層のAg合金で構成されている。さらに、比較例に係る発光装置では、基板側の電極層と発光中心との間における共振条件が0(つまり、Na,Nb,Nc=0)となっており、光取出面側の電極層と発光中心との間における共振条件が1(つまり、Ma,Mb,Mc=1)となっており、第3反射界面S3R,S3G,S3Bおよび第4反射界面S4R,S4G,S4Bが未形成となっている。このとき、比較例に係る発光装置では、第1反射界面S1R,S1G,S1B、第2反射界面S2R,S2G,S2Bを含む構造によって、セカンドキャビティ構造が形成されている。さらに、比較例に係る発光装置では、本実施の形態に係る第3反射界面S3R,S3G,S3Bおよび第4反射界面S4R,S4G,S4Bが設けられていない。図6には、比較例に係る発光装置における、光取出面側の電極層の膜厚tが13nmのときと、21nmのときの結果が示されている。
【0060】
図7は、比較例に係る発光装置の視野角による色度の変化の一例を表したものである。図7には、光取出面側の電極層の膜厚tが21nmであり、Na,Nb,Ncが0のときであって、かつ、Ma,Mb,Mcが1のときと0のときの結果が示されている。
【0061】
図8は、実施例に係る発光装置1の視野角による色度の変化の一例を表したものである。実施例に係る発光装置1では、電極層12R、12G,12Bが単層のAl合金で構成されており、電極層14R,14G,14Bが膜厚18nmの単層のAg合金で構成されている。さらに、実施例に係る発光装置1では、Na,Nb,Ncが0のときであって、かつ、Ma,Mb,Mcが1のときと0のときの結果が示されている。さらに、実施例に係る発光装置では、第3反射界面S3R,S3G,S3Bおよび第4反射界面S4R,S4G,S4Bが設けられている。さらに、実施例に係る発光装置1では、光学距離La3が、赤色発光層131Rの発光スペクトルの中心波長λaの光を、第3反射界面S3Rと発光中心ORとの間における干渉によって弱め合うように設定されている。光学距離Lb3が、緑色発光層131Gの発光スペクトルの中心波長λbの光を、第3反射界面S3Gと発光中心OGとの間における干渉によって弱め合うように設定されている。光学距離Lc3が、青色発光層131Bの発光スペクトルの中心波長λcの光を、第3反射界面S3Bと発光中心OBとの間における干渉によって強め合うように設定されている。
【0062】
図6から、光取出面側の電極層の膜厚tを13nmとした場合、視野角が50度を超えたあたりから、色度が、視野角依存性の良否の指標の1つである0.020を超えることが分かる。また、図6から、光取出面側の電極層の膜厚tを13nmから21nmに厚くすると、色度の視野角が悪化することがわかる。このように、光取出面側の電極層の膜厚tを厚くすると、色度の視野角特性が悪化することがわかる。これは、光取出面側の電極層の膜厚tを厚くするにつれて、共振条件が強くなり、屈折率の波長分散の影響と相まって、色ごとの視野角特性がずれていくことが原因で生じる。
【0063】
また、図7から、干渉の次数Maを下げることは、光取出面側の電極層の膜厚を薄くすることと等価であることがわかる。
【0064】
一方、図8から、実施例に係る発光装置1では、光取出面側の電極層の膜厚が21nmと厚くなっているにもかかわらず、良好な視野角特性となっていることがわかる。このとき、実施例に係る発光装置1における光取出面側の電極層の抵抗値は、図6の比較例に係る発光装置(t=13nm)における光取出面側の電極層の抵抗値と比べて、13nm/21nm=0.62倍となっている。従って、実施例に係る発光装置1では、視野角特性だけでなく、給電性能も良好であることがわかる。
【0065】
以上のことから、本実施の形態では、各発光部(赤色発光部10R,緑色発光部10G,青色発光部10B)において、カソード電極(電極層14R,14G,14B)の外側に、2つの反射界面(第3反射界面S3R,S3G,S3B、第4反射界面S4R,S4G,S4B)が設けられ、第1反射界面S1R,S1G,S1Bと、第2反射界面S2R,S2G,S2Bと、第3反射界面S3R,S3G,S3Bと、第4反射界面S4R,S4G,S4Bとを含む構造によって、共振条件最小のマイクロキャビティ構造が形成されている。これにより、光取出面SDR,SDG,SDB側のカソード電極(電極層14R,14G,14B)を厚膜にした場合であっても、色度の視野角特性の悪化を低減することができる。
【0066】
さらに、本実施の形態では、各発光部(赤色発光部10R,緑色発光部10G,青色発光部10B)において、マイクロキャビティ構造は、第1反射界面S1R,S1G,S1Bおよび第2反射界面S2R,S2G,S2Bが各発光層(赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131B)から発せられた光の波長帯の光を強めるように構成され、第3反射界面S3R,S3G,S3Bおよび第4反射界面S4R,S4G,S4Bが各発光層(赤色発光層131R,緑色発光層131G)から発せられた光の波長帯の光を弱めるとともに、青色発光層131Bから発せられた光の波長帯の光を強めるように構成されている。
【0067】
これにより、赤色発光部10Rでは、光取出面SDRからピーク近傍がなだらかな赤色光LRが取り出され、緑色発光部10Gでは、光取出面SDGからピーク近傍がなだらかな緑色光LGが取り出され、青色発光部10Bでは、光取出面SDBから急峻なピークを有する青色光LBが取り出される。その結果、赤色発光部10Rおよび緑色発光部10Gの共振器構造の効果と、青色発光部10Bの共振器構造の効果との違いが小さくなる場合には、輝度および色度の角度依存性が小さくなる。従って、給電性能と色度の視野角特性とを両立させることができる。また、高い視野角特性を有する発光装置1は、高い画品位を要する表示装置にも好適であり、表示装置の生産性を向上させることができる。
【0068】
また、本実施の形態では、第2反射界面S2Rと第3反射界面S3Rとの光学距離は、赤色発光層131Rから発せられる光の中心波長λa以下となっている。同様に、第2反射界面S2Gと第3反射界面S3Gとの光学距離は、緑色発光層131Gから発せられる光の中心波長λb以下となっている。第2反射界面S2Bと第3反射界面S3Bとの光学距離は、青色発光層131Bから発せられる光の中心波長λc以下となっている。これにより、発光層(131R,131G,131B)で発生した光に対する、第2反射界面S2R,S2G,S2Bと第3反射界面S3R,S3G,S3Bと第4反射界面S4R,S4G,S4Bとの作用によって、赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bで発生した光のスペクトルのピークプロファイルを調整することができる。従って、光取出面SDR,SDG,SDB側のカソード電極(電極層14R,14G,14B)を厚くした場合であっても、色度の視野角特性の悪化を低減することができる。
【0069】
また、本実施の形態では、赤色発光部10Rにおいて、マイクロキャビティ構造は、上記の式(1),(2),(7),(8),(13),(14),(19),(20)を満たすように構成されている。同様に、緑色発光部10Gにおいて、マイクロキャビティ構造は、上記の式(3),(4),(9),(10),(15),(16),(21),(22)を満たすように構成されている。これにより、赤色発光部10Rでは、光取出面SDRからピーク近傍がなだらかな赤色光LRが取り出され、緑色発光部10Gでは、光取出面SDGからピーク近傍がなだらかな緑色光LGが取り出される。その結果、角度による輝度および色度の急激な変化を抑えることができる。
【0070】
さらに、本実施の形態では、青色発光部10Bにおいて、マイクロキャビティ構造は、上記の式(5),(6),(11),(12),(17),(18),(23),(24)を満たすように構成されている。これにより、青色発光部10Bでは、光取出面SDBから急峻なピークを有する青色光LBが取り出される。したがって、赤色発光部10Rおよび緑色発光部10Gの共振器構造の効果と、青色発光部10Bの共振器構造の効果との違いが小さくなり、輝度および色度の角度依存性が小さくなる。よって、配光特性を向上させることができる。また、高い配光特性を有する発光装置1は、高い画品位を要する表示装置にも好適であり、表示装置の生産性を向上させることができる。
【0071】
また、本実施の形態では、電極層14R,14G,14Bの膜厚が15nm以上となっている。これにより、色度の角度依存性を損なうことなく、給電性能を向上させることができる。この理由について、ここで、図9図10を用いて説明する。図9は、比較例に係る発光装置の、光取出面側の電極の膜厚に対する45度色度視野角の変化の一例を表したものである。図10は、比較例に係る発光装置の、光取出面側の電極の膜厚に対する相対輝度の変化の一例を表したものである。図9図10には、図6で用いた発光装置と同一の発光装置を用いた結果が示されている。図9から、色度が、視野角依存性の良否の指標の1つである0.020以下となるためには、光取出面側の電極の膜厚を15nmよりも薄くする必要があることがわかる。つまり、比較例に係る発光装置では、光取出面側の電極の膜厚を15nm以上とすることは、実用上、極めて難しかった。一方、本実施の形態では、電極層14R,14G,14Bの膜厚を15nm以上とした場合であっても、色度の角度依存性を損なうことがない。ただし、図10に示したように、取出面側の電極の膜厚を38nmよりも厚くすると、取出面側の電極の膜厚を15nmとしたときの輝度よりも低くなる。従って、本実施の形態の形態においても、電極層14R,14G,14Bの膜厚を15nm以上38nm以下とすることにより、輝度および色度の角度依存性を損なうことがない。
【0072】
また、本実施の形態では、基板11が、赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bを駆動する回路(画素回路18−1)が設けられた回路基板となっている。ここで、発光装置1は上面発光型の発光装置である。これにより、赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bから発せられた光が、回路基板内の画素回路18−1によって遮れられることがないので、高い光取り出し効率を得ることができる。
【0073】
また、本実施の形態では、赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bが印刷層となっていることが好ましい。有機層は、乾燥工程を経ることなどによって、領域による厚さの大小が生じやすい。即ち、有機層に膜厚分布が生じやすい。一方、本実施の形態では、赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bが印刷層となっていることにより、赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bの膜厚分布に起因した、発光素子毎の共振器構造の効果の違いを調整することができる。
【0074】
<2.変形例>
以下、本実施の形態の変形例について説明するが、以降の説明において上記実施の形態と同一構成部分については同一符号を付してその説明は適宜省略する。
【0075】
上記実施の形態では、電極層14R,14G,14Bは、膜厚が15nm以上の単層の金属層によって構成されていた。しかし、上記実施の形態において、電極層14R,14G,14Bは、複数の導電層の積層体で構成されていてもよい。上記実施の形態において、電極層14Rの代わりに、例えば、図11に示したように、積層体18Rが設けられていてもよい。同様に、上記実施の形態において、電極層14Gの代わりに、例えば、図11に示したように、積層体18Gが設けられていてもよい。さらに、上記実施の形態において、電極層14Bの代わりに、例えば、図11に示したように、積層体18Bが設けられていてもよい。
【0076】
積層体18Rは、例えば、図11に示したように、金属層181R、透明層182Rおよび金属層183Rからなる積層体で構成されている。積層体18Gは、例えば、図11に示したように、金属層181G、透明層182Gおよび金属層183Gからなる積層体で構成されている。積層体18Bは、例えば、図11に示したように、金属層181B、透明層182Bおよび金属層183Bからなる積層体で構成されている。
【0077】
金属層181R,181G,181Bは、高い反射率を有する金属材料によって形成されている。金属層181R,181G,181Bは、例えば、マグネシウム(Mg),銀(Ag)またはこれらの合金によって形成されている。金属層181R,181G,181Bは、金属層183R,183G,183Bの厚さよりも厚くなっている。金属層181R,181G,181Bの厚さは、例えば5nm以上50nm以下となっている。金属層181R,181G,181Bが、このような高い反射率を有する金属材料によって形成されていることにより、共振器構造の効果が高まり、光取出効率を向上させることができる。これにより、消費電力を抑え、また、赤色発光部10R,緑色発光部10G,青色発光部10Bの寿命を延ばすこともできる。
【0078】
透明層182R,182G,182Bは、透明導電体材料によって形成されている。透明層182R,182G,182Bに用いられる透明導電体材料としては、例えば、ITO、または、インジウムと亜鉛との酸化物(IZO)などが挙げられる。透明層182R,182G,182Bの厚さは、例えば30nm以上600nm以下となっている。透明層182Rは、金属層181R,183Rに接している。透明層182Gは、金属層181G,183Gに接している。透明層182Bは、金属層181B,183Bに接している。
【0079】
金属層183R,183G,183Bは、高い反射率を有する金属材料によって形成されている。金属層183R,183G,183Bに用いられる金属材料としては、例えば、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、またはこれらの合金などが挙げられる。金属層181R,181G,181Bおよび金属層183R,183G,183Bの総厚は、例えば、15nm以上となっている。金属層183R,183G,183Bの厚さは、例えば5nm以上20nm以下となっている。金属層183Rは、透明層182Rを介して金属層181Rと電気的に接続されている。金属層183Gは、透明層182Gを介して金属層181Gと電気的に接続されている。金属層183Bは、透明層182Bを介して金属層181Bと電気的に接続されている。
【0080】
次に、赤色発光部10R,緑色発光部10G,青色発光部10Bの共振器構造について説明する。
【0081】
赤色発光部10Rは、基板11側から、第1反射界面S1R、第5反射界面S5R、第6反射界面S6R、第3反射界面S3R、第4反射界面S4Rおよび光取出面SDRをこの順に有している。このとき、第1反射界面S1R、第5反射界面S5R、第6反射界面S6R、第3反射界面S3R、第4反射界面S4Rを含む構造によって、マイクロキャビティ構造が形成されている。第1反射界面S1Rと第5反射界面S5Rとの間には、赤色発光層131Rの発光中心ORが設けられている。換言すれば、互いに対向する第1反射界面S1Rと光取出面SDRとの間に赤色発光層131Rが設けられている。第5反射界面S5Rは、赤色有機層13Rと金属層181Rとの界面である。第6反射界面S6Rは、透明層182Rと金属層183Rとの界面である。
【0082】
緑色発光部10Gは、基板11側から、第1反射界面S1G、第5反射界面S5G、第6反射界面S6G、第3反射界面S3G、第4反射界面S4Gおよび光取出面SDGをこの順に有している。このとき、第1反射界面S1G、第5反射界面S5G、第6反射界面S6G、第3反射界面S3G、第4反射界面S4Gを含む構造によって、マイクロキャビティ構造が形成されている。第1反射界面S1Gと第5反射界面S5Gとの間には、緑色発光層131Gの発光中心OGが設けられている。換言すれば、互いに対向する第1反射界面S1Gと光取出面SDGとの間に緑色発光層131Gが設けられている。第5反射界面S5Gは、緑色有機層13Gと金属層181Gとの界面である。第6反射界面S6Gは、透明層182Gと金属層183Gとの界面である。
【0083】
青色発光部10Bは、基板11側から、第1反射界面S1B、第5反射界面S5B、第6反射界面S6B、第3反射界面S3B、第4反射界面S4Bおよび光取出面SDBをこの順に有している。このとき、第1反射界面S1B、第5反射界面S5B、第6反射界面S6B、第3反射界面S3B、第4反射界面S4Bを含む構造によって、マイクロキャビティ構造が形成されている。第1反射界面S1Bと第5反射界面S5Bとの間には、青色発光層131Bの発光中心OBが設けられている。換言すれば、互いに対向する第1反射界面S1Bと光取出面SDBとの間に青色発光層131Bが設けられている。第5反射界面S5Bは、青色有機層13Bと金属層181Bとの界面である。第6反射界面S6Bは、透明層182Bと金属層183Bとの界面である。
【0084】
第5反射界面S5R,S5G,S5Bおよび第6反射界面S6R,S6G,S6Bは、金属による反射膜によって構成されている。
【0085】
(第5反射界面S5R,S5G,S5B)
赤色有機層13R,緑色有機層13G,青色有機層13Bが、屈折率1.75の材料によって形成され、金属層181R,181G,181Bが、屈折率0.13、消衰係数3.96の銀(Ag)によって形成されているとする。このとき、第5反射界面S5Rは、発光中心ORから光学距離La5の位置に配置され、第5反射界面S5Gは、発光中心OGから光学距離Lb5の位置に配置され、第5反射界面S5Bは、発光中心OBから光学距離Lc5の位置に配置されている。
【0086】
光学距離La5は、赤色発光層131Rの発光スペクトルの中心波長λaの光を、第5反射界面S5Rと発光中心ORとの間における干渉によって強め合うように設定されている。光学距離Lb5は、緑色発光層131Gの発光スペクトルの中心波長λbの光を、第5反射界面S5Gと発光中心OGとの間における干渉によって強め合うように設定されている。光学距離Lc5は、青色発光層131Bの発光スペクトルの中心波長λcの光を、第5反射界面S5Bと発光中心OBとの間における干渉によって強め合うように設定されている。
【0087】
具体的には、光学距離La5,Lb5,Lc5は、以下の式(25)〜(30)を満たす。
【0088】
2La5/λa5+φa5/(2π)=Ha・・・(25)
λa−80<λa5<λa+80・・・(26)
2Lb5/λb5+φb5/(2π)=Hb・・・(27)
λb−80<λb5<λb+80・・・(28)
2Lc5/λc5+φc5/(2π)=Hc・・・(29)
λc−80<λc5<λc+80・・・(30)
ただし、Ha、Hb、Hc:0以上の整数
λa、λa5、λb、λb5、λc、λc5の単位:nm
φa5:赤色発光層131Rから出射された光が第5反射界面S5Rで反射する際の位相変化
φb5:緑色発光層131Gから出射された光が第5反射界面S5Gで反射する際の位相変化
φc5:青色発光層131Bから出射された光が第5反射界面S5Bで反射する際の位相変化
λa5:式(26)を満たす波長
λb5:式(28)を満たす波長
λc5:式(30)を満たす波長
【0089】
φa5,φb5,φc5は、φa1,φb1,φc1と同様の方法で求めることができる。Ha、Hb、Hcの値が大きいと、いわゆるマイクロキャビティ(微小共振器)効果が得られない。そのため、Ha=0、Hb=0、Hc=0であることが好ましい。
【0090】
ここで、Na=0、Nb=0、Nc=0、Ha=0、Hb=0、Hc=0となっているとする。この場合、第1反射界面S1R、第3反射界面S3R、第4反射界面S4R、第5反射界面S5R、第6反射界面S6Rを含む構造によって、共振条件最小のマイクロキャビティ構造が形成されている。同様に、第1反射界面S1G、第3反射界面S3G、第4反射界面S4G、第5反射界面S5G、第6反射界面S6Gを含む構造によって、共振条件最小のマイクロキャビティ構造が形成されている。さらに、第1反射界面S1B、第3反射界面S3B、第4反射界面S4B、第5反射界面S5B、第6反射界面S6Bを含む構造によって、共振条件最小のマイクロキャビティ構造が形成されている。
【0091】
光学距離La1が上記の式(1),(2)を満たし、かつ光学距離La5が上記の式(25),(26)を満たす場合に、第1反射界面S1Rおよび第5反射界面S5Rによる増幅効果により、所定の波長に透過率のピークが発生する。光学距離Lb1が上記の式(3),(4)を満たし、かつ光学距離Lb5が上記の式(27),(28)を満たす場合に、第1反射界面S1Gおよび第5反射界面S5Gによる増幅効果により、所定の波長に透過率のピークが発生する。光学距離Lc1が上記の式(5),(6)を満たし、かつ光学距離Lc5が上記の式(29),(30)を満たす場合に、第1反射界面S1Bおよび第5反射界面S5Bによる増幅効果により、所定の波長に透過率のピークが発生する。
【0092】
(第6反射界面S6R,S6G,S6B)
光学距離La6が、例えば、赤色発光層131Rの発光スペクトルの中心波長λaの光を、第6反射界面S6Rと発光中心ORとの間における干渉によって弱め合うように設定されている。このとき、第5反射界面S5Rと第6反射界面S6Rとの光学距離は、赤色発光層131Rから発せられる光の中心波長λa以下となっている。光学距離Lb6が、例えば、緑色発光層131Gの発光スペクトルの中心波長λbの光を、第6反射界面S6Gと発光中心OGとの間における干渉によって弱め合うように設定されている。このとき、第5反射界面S5Gと第6反射界面S6Gとの光学距離は、緑色発光層131Gから発せられる光の中心波長λb以下となっている。光学距離Lc6が、例えば、青色発光層131Bの発光スペクトルの中心波長λcの光を、第6反射界面S6Bと発光中心OBとの間における干渉によって強め合うように設定されている。このとき、第5反射界面S5Bと第6反射界面S6Bとの光学距離は、青色発光層131Bから発せられる光の中心波長λc以下となっている。
【0093】
光学距離La6,Lb6,Lc6は、例えば、以下の式(31)〜(36)を満たす。
【0094】
2La6/λa6+φa6/(2π)=Fa+1/2・・・(31)
λa−150<λa6<λa+150・・・(32)
2Lb6/λb6+φb6/(2π)=Fb+1/2・・・(33)
λb−150<λb6<λb+150・・・(34)
2Lc6/λc6+φc6/(2π)=Fc・・・(35)
λc−150<λc6<λc+150・・・(36)
ただし、Fa、Fb、Fc:0以上の整数
λa、λa6、λb、λb6、λc、λc6の単位:nm
φa6:赤色発光層131Rから出射された光が第6反射界面S6Rで反射する際の位相変化
φb6:緑色発光層131Gから出射された光が第6反射界面S6Gで反射する際の位相変化
φc6:青色発光層131Bから出射された光が第6反射界面S6Bで反射する際の位相変化
λa6:式(32)を満たす波長
λb6:式(34)を満たす波長
λc6:式(36)を満たす波長
【0095】
φa6,φb6,φc6は、φa1,φb1,φc1と同様の方法で求めることができる。光学距離La6,Lb6,Lc6が上記の式(31)〜(36)を満たす場合、発光部(赤色発光部10R,緑色発光部10G,青色発光部10B)毎に、発光状態を調整することができる。このように、第6反射界面S6Rでの反射が加わることにより、赤色発光層131Rで発生した光が弱められ、スペクトルの半値幅が広がる。また、第6反射界面S6Gでの反射が加わることにより、緑色発光層131Gで発生した光が弱められ、スペクトルの半値幅が広がる。第6反射界面S6Bでの反射が加わることにより、青色発光層131Bで発生した光が強められ、スペクトルの半値幅が狭まる。
【0096】
このような発光装置1は、基板11上に、電極層12R,12G,12B、有機層(赤色有機層13R,緑色有機層13G,青色有機層13B)、金属層181R,181G,181B、透明層182R,182G,182B、金属層183R,183G,183B、透明層15R,15G,15B、透明層16R,16G,16Bおよび透明層17R,17G,17Bをこの順に形成することにより製造することができる。赤色有機層13R,緑色有機層13G,青色有機層13Bは、蒸着法によって形成してもよく、あるいは印刷によって形成してもよい。換言すれば、赤色有機層13R,緑色有機層13G,青色有機層13Bは印刷層であってもよい。金属層181R,181G,181Bは、互いに共通の層で構成されていてもよい。この場合、金属層181R,181G,181Bの材料および厚さが、互いに等しくなっている。透明層182R,182G,182Bは、互いに共通の層で構成されていてもよい。この場合、透明層182R,182G,182Bの材料および厚さが、互いに等しくなっている。金属層183R,183G,183Bは、互いに共通の層で構成されていてもよい。この場合、金属層183R,183G,183Bの材料および厚さが、互いに等しくなっている。
【0097】
[作用、効果]
本変形例に係る発光装置1では、赤色発光部10R,緑色発光部10G,青色発光部10Bの各発光層(赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131B)に、電極層12R,12G,12Bと積層体18R,18G,18Bとを通じて駆動電流が注入される。その結果、各発光層において正孔と電子とが再結合して励起子を生じ、発光が起こる。
【0098】
例えば、赤色有機層13Rで生成された光は、第1反射界面S1Rと第4反射界面S4Rとの間で多重反射され、光取出面SDRから取り出される。赤色発光部10Rでは、赤色光LRが光取出面SDRから取り出され、緑色発光部10Gでは、緑色光LGが光取出面SDGから取り出され、青色発光部10Bでは、青色光LBが光取出面SDBから取り出される。これら赤色光LR,緑色光LGおよび青色光LBの加法混色により、様々な色が表現される。
【0099】
本変形例では、各発光部(赤色発光部10R,緑色発光部10G,青色発光部10B)において、カソード電極(積層体18R,18G,18B)の外側に、2つの反射界面(第3反射界面S3R,S3G,S3B、第4反射界面S4R,S4G,S4B)が設けられ、第1反射界面S1R,S1G,S1Bと、第5反射界面S5R,S5G,S5Bと、第6反射界面S6R,S6G,S6Bと、第3反射界面S3R,S3G,S3Bと、第4反射界面S4R,S4G,S4Bとを含む構造によって、共振条件最小のマイクロキャビティ構造が形成されている。これにより、光取出面SDR,SDG,SDB側のカソード電極に含まれる金属層181R,181G,181Bおよび金属層183R,183G,183Bを厚膜にした場合であっても、色度の視野角特性の悪化を低減することができる。
【0100】
さらに、本変形例では、各発光部(赤色発光部10R,緑色発光部10G,青色発光部10B)において、マイクロキャビティ構造は、第1反射界面S1R,S1G,S1Bおよび第5反射界面S5R,S5G,S5Bが各発光層(赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131B)から発せられた光の波長帯の光を強めるように構成され、第3反射界面S3R,S3G,S3Bおよび第4反射界面S4R,S4G,S4Bが各発光層(赤色発光層131R,緑色発光層131G)から発せられた光の波長帯の光を弱めるとともに、青色発光層131Bから発せられた光の波長帯の光を強めるように構成されている。
【0101】
これにより、赤色発光部10Rでは、光取出面SDRからピーク近傍がなだらかな赤色光LRが取り出され、緑色発光部10Gでは、光取出面SDGからピーク近傍がなだらかな緑色光LGが取り出され、青色発光部10Bでは、光取出面SDBから急峻なピークを有する青色光LBが取り出される。その結果、赤色発光部10Rおよび緑色発光部10Gの共振器構造の効果と、青色発光部10Bの共振器構造の効果との違いが小さくなる場合には、輝度および色度の角度依存性が小さくなる。従って、給電性能と色度の視野角特性とを両立させることができる。また、高い視野角特性を有する発光装置1は、高い画品位を要する表示装置にも好適であり、表示装置の生産性を向上させることができる。
【0102】
また、本変形例では、第5反射界面S5Rと第6反射界面S6Rとの光学距離は、赤色発光層131Rから発せられる光の中心波長λa以下となっている。同様に、第5反射界面S5Gと第6反射界面S6Gとの光学距離は、緑色発光層131Gから発せられる光の中心波長λb以下となっている。第5反射界面S5Bと第6反射界面S6Bとの光学距離は、青色発光層131Bから発せられる光の中心波長λc以下となっている。これにより、発光層(131R,131G,131B)で発生した光に対する、第5反射界面S5R,S5G,S5Bと第6反射界面S6R,S6G,S6Bとの作用によって、赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bで発生した光のスペクトルのピークプロファイルを調整することができる。従って、光取出面SDR,SDG,SDB側のカソード電極(電極14R,14G,14B)を厚くした場合であっても、色度の視野角特性の悪化を低減することができる。
【0103】
また、本変形例では、赤色発光部10Rにおいて、マイクロキャビティ構造は、上記の式(1),(2),(25),(26),(31),(32),(19),(20)を満たすように構成されている。同様に、緑色発光部10Gにおいて、マイクロキャビティ構造は、上記の式(3),(4),(27),(28),(33),(34),(21),(22)を満たすように構成されている。これにより、赤色発光部10Rでは、光取出面SDRからピーク近傍がなだらかな赤色光LRが取り出され、緑色発光部10Gでは、光取出面SDGからピーク近傍がなだらかな緑色光LGが取り出される。その結果、角度による輝度および色度の急激な変化を抑えることができる。
【0104】
さらに、本変形例では、青色発光部10Bにおいて、マイクロキャビティ構造は、上記の式(5),(6),(29),(30),(35),(36),(23),(24)を満たすように構成されている。これにより、青色発光部10Bでは、光取出面SDBから急峻なピークを有する青色光LBが取り出される。したがって、赤色発光部10Rおよび緑色発光部10Gの共振器構造の効果と、青色発光部10Bの共振器構造の効果との違いが小さくなり、輝度および色度の角度依存性が小さくなる。よって、配光特性を向上させることができる。また、高い配光特性を有する発光装置1は、高い画品位を要する表示装置にも好適であり、表示装置の生産性を向上させることができる。
【0105】
本変形例では、金属層181R,181G,181Bおよび金属層183R,183G,183Bの総厚は、例えば、15nm以上となっている。これにより、色度の角度依存性を損なうことなく、給電性能を向上させることができる。また、本変形例では、上記実施の形態と同様、金属層181R,181G,181Bおよび金属層183R,183G,183Bの総厚を15nm以上38nm以下とすることにより、輝度および色度の角度依存性を損なうことがない。
【0106】
また、本変形例では、基板11が、赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bを駆動する回路(画素回路18−1)が設けられた回路基板となっている。ここで、発光装置1は上面発光型の発光装置である。これにより、赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bから発せられた光が、回路基板内の画素回路18−1によって遮れられることがないので、高い光取り出し効率を得ることができる。
【0107】
また、本変形例では、赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bが印刷層となっていることが好ましい。有機層は、乾燥工程を経ることなどによって、領域による厚さの大小が生じやすい。即ち、有機層に膜厚分布が生じやすい。また、本変形例では、赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bが印刷層となっていることにより、赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bの膜厚分布に起因した、発光素子毎の共振器構造の効果の違いを調整することができる。
【0108】
<3.適用例>
以下に、上記実施の形態等において説明した発光装置1の適用例について説明する。
【0109】
[適用例A]
図12は、上記実施の形態およびその変形例に係る発光装置1の一適用例である表示装置2の概略構成例を表したものである。図13は、表示装置2に設けられた各画素18の回路構成の一例を表したものである。表示装置2は、例えば、発光装置1、コントローラ20およびドライバ30を備えている。ドライバ30は、例えば、発光装置1の外縁部分に実装されている。発光装置1は、行列状に配置された複数の画素18を有している。コントローラ20およびドライバ30は、外部から入力された映像信号Dinおよび同期信号Tinに基づいて、発光装置1(複数の画素18)を駆動する。
【0110】
(発光装置1)
発光装置1は、コントローラ20およびドライバ30によって各画素18がアクティブマトリクス駆動されることにより、外部から入力された映像信号Dinおよび同期信号Tinに基づく画像を表示する。発光装置1は、行方向に延在する複数の走査線WSLと、列方向に延在する複数の信号線DTLおよび複数の電源線DSLと、行列状に配置された複数の画素18とを有している。
【0111】
走査線WSLは、各画素18の選択に用いられるものであり、各画素18を所定の単位(例えば画素行)ごとに選択する選択パルスを各画素18に供給するものである。信号線DTLは、映像信号Dinに応じた信号電圧Vsigの、各画素18への供給に用いられるものであり、信号電圧Vsigを含むデータパルスを各画素18に供給するものである。電源線DSLは、各画素18に電力を供給するものである。
【0112】
発光装置1に設けられた複数の画素18には、赤色光を発する画素18、緑色光を発する画素18、および青色光を発する画素18が含まれている。以下では、赤色光を発する画素18は、画素18rと称され、緑色光を発する画素18は、画素18gと称され、青色光を発する画素18は、画素18bと称されるものとする。複数の画素18において、画素18r,18g,18bは、カラー画像の表示単位である表示画素を構成している。なお、各表示画素には、例えば、さらに、他の色(例えば、白色や、黄色など)を発する画素18が含まれていてもよい。従って、発光装置1に設けられた複数の画素18は、所定の数ごとに表示画素としてグループ分けされている。各表示画素において、複数の画素18は、所定の方向(例えば、行方向)に一列に並んで配置されている。
【0113】
各信号線DTLは、後述の水平セレクタ31の出力端に接続されている。各画素列には、例えば、複数の信号線DTLが1本ずつ、割り当てられている。各走査線WSLは、後述のライトスキャナ32の出力端に接続されている。各画素行には、例えば、複数の走査線WSLが1本ずつ、割り当てられている。各電源線DSLは、電源の出力端に接続されている。各画素行には、例えば、複数の電源線DSLが1本ずつ、割り当てられている。
【0114】
各画素18は、画素回路18−1と、有機電界発光部18−2とを有している。有機電界発光部18−2は、上記実施の形態およびその変形例に係る発光部(例えば、赤色発光部10R,緑色発光部10G,青色発光部10B)に相当する。
【0115】
画素回路18−1は、有機電界発光部18−2の発光・消光を制御する。画素回路18−1は、書込走査によって各画素18に書き込んだ電圧を保持する機能を有している。画素回路18−1は、例えば、駆動トランジスタTr1、書込トランジスタTr2および保持容量Csを含んで構成されている。
【0116】
書込トランジスタTr2は、駆動トランジスタTr1のゲートに対する、映像信号Dinに対応した信号電圧Vsigの印加を制御する。具体的には、書込トランジスタTr2は、信号線DTLの電圧をサンプリングするとともに、サンプリングにより得られた電圧を駆動トランジスタTr1のゲートに書き込む。駆動トランジスタTr1は、有機電界発光部18−2に直列に接続されている。駆動トランジスタTr1は、有機電界発光部18−2を駆動する。駆動トランジスタTr1は、書込トランジスタTr2によってサンプリングされた電圧の大きさに応じて有機電界発光部18−2に流れる電流を制御する。保持容量Csは、駆動トランジスタTr1のゲート−ソース間に所定の電圧を保持するものである。保持容量Csは、所定の期間中に駆動トランジスタTr1のゲート−ソース間電圧Vgsを一定に保持する役割を有する。なお、画素回路18−1は、上述の2Tr1Cの回路に対して各種容量やトランジスタを付加した回路構成となっていてもよいし、上述の2Tr1Cの回路構成とは異なる回路構成となっていてもよい。
【0117】
各信号線DTLは、後述の水平セレクタ31の出力端と、書込トランジスタTr2のソースまたはドレインとに接続されている。各走査線WSLは、後述のライトスキャナ32の出力端と、書込トランジスタTr2のゲートとに接続されている。各電源線DSLは、電源回路と、駆動トランジスタTr1のソースまたはドレインに接続されている。
【0118】
書込トランジスタTr2のゲートは、走査線WSLに接続されている。書込トランジスタTr2のソースまたはドレインが信号線DTLに接続されている。書込トランジスタTr2のソースおよびドレインのうち信号線DTLに未接続の端子が駆動トランジスタTr1のゲートに接続されている。駆動トランジスタTr1のソースまたはドレインが電源線DSLに接続されている。駆動トランジスタTr1のソースおよびドレインのうち電源線DSLに未接続の端子が有機電界発光部18−2の陽極21に接続されている。保持容量Csの一端が駆動トランジスタTr1のゲートに接続されている。保持容量Csの他端が駆動トランジスタTr1のソースおよびドレインのうち有機電界発光部18−2側の端子に接続されている。
【0119】
(ドライバ30)
ドライバ30は、例えば、水平セレクタ31およびライトスキャナ32を有している。水平セレクタ31は、例えば、制御信号の入力に応じて(同期して)、コントローラ20から入力されたアナログの信号電圧Vsigを、各信号線DTLに印加する。ライトスキャナ32は、複数の画素18を所定の単位ごとに走査する。
【0120】
(コントローラ20)
次に、コントローラ20について説明する。コントローラ20は、例えば、外部から入力されたデジタルの映像信号Dinに対して所定の補正を行い、それにより得られた映像信号に基づいて、信号電圧Vsigを生成する。コントローラ20は、例えば、生成した信号電圧Vsigを水平セレクタ31に出力する。コントローラ20は、例えば、外部から入力された同期信号Tinに応じて(同期して)、ドライバ30内の各回路に対して制御信号を出力する。
【0121】
本適用例では、映像を表示するための表示パネルとして発光装置1が用いられている。これにより、発光装置1が大型であった場合であっても、輝度および色度の角度依存性の小さな表示品質に優れた表示装置2を提供することができる。
【0122】
[適用例B]
上記適用例Aに係る表示装置2は、様々なタイプの電子機器に用いることができる。図14は、上記適用例Aに係る表示装置2が適用された電子機器3の斜視構成を表すものである。電子機器3は、例えば、筐体310の主面に表示面320を備えたシート状のパーソナルコンピュータである。電子機器3は、電子機器3の表示面320に、上記適用例Aに係る表示装置2を備えている。上記適用例Aに係る表示装置2は、映像表示面が外側を向くように配置されている。本適用例では、上記適用例Aに係る表示装置2が表示面320に設けられているので、表示面320が大型であった場合であっても、輝度および色度の角度依存性の小さな表示品質に優れた電子機器3を提供することができる。
【0123】
[適用例C]
以下では、上記実施の形態およびその変形例に係る発光装置1の適用例について説明する。上記実施の形態およびその変形例に係る発光装置1は、卓上用もしくは床置き用の照明装置、または、室内用の照明装置など、あらゆる分野の照明装置の光源に適用することが可能である。
【0124】
図15は、上記実施の形態およびその変形例に係る発光装置1が適用される室内用の照明装置の外観を表したものである。この照明装置は、例えば、上記実施の形態およびその変形例に係る発光装置1を含んで構成された照明部410を有している。照明部410は、建造物の天井420に適宜の個数および間隔で配置されている。なお、照明部410は、用途に応じて、天井420に限らず、壁430または床(図示せず)など任意の場所に設置することが可能である。
【0125】
これらの照明装置では、上記実施の形態およびその変形例に係る発光装置1からの光により、照明が行われる。これにより、輝度および色度の角度依存性の小さな照明品質の高い照明装置を実現することができる。
【0126】
以上、実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示は実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本開示が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
【0127】
また、本開示は以下のような構成をとることも可能である。
(1)
第1電極層、有機発光層、膜厚15nm以上の第2電極層および反射層をこの順に含む複数の有機電界発光部と、
前記反射層を介して各前記有機電界発光部から発せられた光が取り出される光取出面と
を備え、
前記反射層は、2つの反射界面を含み、
各前記有機電界発光部において、前記第1電極層の前記有機発光層側の第1反射界面と、前記第2電極層の前記有機発光層側の第2反射界面と、前記反射層に含まれる2つの前記反射界面とを含む構造によって、マイクロキャビティ構造が形成され、
前記複数の有機電界発光部には、第1波長帯で発光する複数の第1有機電界発光部と、前記第1波長帯よりも短波長の第2波長帯で発光する複数の第2有機電界発光部とが含まれ、
各前記第1有機電界発光部および各前記第2有機電界発光部において、
前記マイクロキャビティ構造は、前記第1反射界面および前記第2反射界面が前記第1波長帯および前記第2波長帯のそれぞれの光を強めるように構成され、前記反射層に含まれる2つの前記反射界面が前記第1波長帯の光を弱めるとともに前記第2波長帯の光を強めるように構成されている
発光装置。
(2)
前記第2反射界面と前記反射層に含まれる2つの前記反射界面との光学距離は、対応する前記有機発光層から発せられる光の中心波長以下となっている
(1)に記載の発光装置。
(3)
前記マイクロキャビティ構造は、共振条件最小のマイクロキャビティ構造である
(1)または(2)に記載の発光装置。
(4)
各前記第1有機電界発光部および各前記第2有機電界発光部において、
前記マイクロトキャビティ構造は、以下の式(A)〜(H)を満たすように構成されている
(3)に記載の発光装置。
2La1/λa1+φa1/(2π)=0・・・(A)
λa−150<λa1<λa+80・・・(B)
2La2/λa2+φa2/(2π)=0・・・(C)
λa−80<λa2<λa+80・・・(D)
2La3/λa3+φa3/(2π)=Ka+1/2・・・(E)
λa−150<λa3<λa+150・・・(F)
2La4/λa4+φa4/(2π)=Ja+1/2・・・(G)
λa−150<λa4<λa+150・・・(H)
La1:前記第1反射界面と、前記第1有機電界発光部の前記有機発光層の発光中心との光学距離
La2:前記第2反射界面と、前記第1有機電界発光部の前記有機発光層の発光中心との光学距離
La3:前記反射層に含まれる2つの前記反射界面の中の一方の前記反射界面と、前記第1有機電界発光部の前記有機発光層の発光中心との光学距離
La4:前記反射層に含まれる2つの前記反射界面の中の他方の前記反射界面と、前記第1有機電界発光部の前記有機発光層の発光中心との光学距離
φa1:前記第1有機電界発光部において、前記有機発光層から出射された光が前記第1反射界面で反射する際の位相変化
φa2:前記第1有機電界発光部において、前記有機発光層から出射された光が前記第2反射界面で反射する際の位相変化
φa3:前記第1有機電界発光部において、前記有機発光層から出射された光が、前記反射層に含まれる2つの前記反射界面の中の一方の前記反射界面で反射する際の位相変化
φa4:前記第1有機電界発光部において、前記有機発光層から出射された光が、前記反射層に含まれる2つの前記反射界面の中の他方の前記反射界面で反射する際の位相変化
λa:前記第1有機電界発光部の前記有機発光層の発光スペクトルの中心波長
λa1:式(B)を満たす波長
λa2:式(D)を満たす波長
λa3:式(F)を満たす波長
λa4:式(H)を満たす波長
Ka,Ja:0以上の整数
(5)
各前記第1有機電界発光部および各前記第2有機電界発光部において、
前記マイクロキャビティ構造は、以下の式(I)〜(P)を満たすように構成されている
(4)に記載の発光装置。
2Lc1/λc1+φc1/(2π)=0・・・(I)
λc−150<λc1<λc+80・・・(J)
2Lc2/λc2+φc2/(2π)=0・・・(K)
λc−80<λc2<λc+80・・・(L)
2Lc3/λc3+φc3/(2π)=Kc・・・(M)
λc−150<λc3<λc+150・・・(N)
2Lc4/λc4+φc4/(2π)=Jc・・・(O)
λc−150<λc4<λc+150・・・(P)
Lc1:前記第1反射界面と、前記第2有機電界発光部の前記有機発光層の発光中心との光学距離
Lc2:前記第2反射界面と、前記第2有機電界発光部の前記有機発光層の発光中心との光学距離
Lc3:前記反射層に含まれる2つの前記反射界面の中の一方の前記反射界面と、前記第2有機電界発光部の前記有機発光層の発光中心との光学距離
Lc4:前記反射層に含まれる2つの前記反射界面の中の他方の前記反射界面と、前記第2有機電界発光部の前記有機発光層の発光中心との光学距離
φc1:前記第2有機電界発光部において、前記有機発光層から出射された光が前記第1反射界面で反射する際の位相変化
φc2:前記第2有機電界発光部において、前記有機発光層から出射された光が前記第2反射界面で反射する際の位相変化
φc3:前記第2有機電界発光部において、前記有機発光層から出射された光が、前記反射層に含まれる2つの前記反射界面の中の一方の前記反射界面で反射する際の位相変化
φa4:前記第2有機電界発光部において、前記有機発光層から出射された光が、前記反射層に含まれる2つの前記反射界面の中の他方の前記反射界面で反射する際の位相変化
λc:前記第2有機電界発光部の前記有機発光層の発光スペクトルの中心波長
λc1:式(J)を満たす波長
λc2:式(L)を満たす波長
λc3:式(N)を満たす波長
λc4:式(P)を満たす波長
Kc,Jc:0以上の整数
(6)
前記第2電極層は、膜厚が15nm以上の単層の金属層によって構成されている
(1)から(5)のいずれか1つに記載の発光装置。
(7)
前記第2電極層は、第1金属層、透明導電体層および第2金属層を前記有機発光層側からこの順に含み、
前記第1金属層および前記第2金属層の総厚は、15nm以上となっている
(1)から(5)のいずれか1つに記載の発光装置。
(8)
前記第1金属層は、前記第2金属層よりも厚くなっている
(7)に記載の発光装置。
(9)
各前記有機電界発光部との位置関係で、前記光取出面とは反対側に、各前記有機電界発光部を駆動する駆動回路が形成された回路基板を更に備えた
(1)から(8)のいずれか1つに記載の発光装置。
(10)
前記有機発光層は印刷層である
(1)から(9)のいずれか1つに記載の発光装置。
【符号の説明】
【0128】
1…発光装置、2…表示装置、3…電子機器、10R…赤色発光部、10G…緑色発光部、10B…青色発光部、11…基板、12,12R,12G,12B…電極層、13R…赤色有機層、13G…緑色有機層、13B…青色有機層、131R…赤色発光層、131G…緑色発光層、131B…青色発光層、14R,14G,14B…電極層、15R,15G,15B…透明層、16R,16G,16B…透明層、17R,17G,17B…透明層、18R,18G,18B…積層体、181R,181G,181B…金属層、182R,182G,182B…透明層、183R,183G,183B…金属層、18…画素、18−1…画素回路、18−2…有機電界発光部、20…コントローラ、30…ドライバ、31…水平セレクタ、32…ライトスキャナ、310…筐体、320…表示面、410…照明部、420…天井、430…壁、OR,OG,OB…発光中心、LR…赤色光、LG…緑色光、LB…青色光、La1,La2,La3,La4,Lb1,Lb2,Lb3,Lb4,Lc1,Lc2,Lc3,Lc4…光学距離、S1R,S1G,S1B…第1反射界面、S2R,S2G,S2B…第2反射界面、S3R,S3G,S3B…第3反射界面、S4R,S4G,S4B…第4反射界面、S5R,S5G,S5B…第5反射界面、S6R,S6G,S6B…第6反射界面、SDR,SDG,SDB…光取出面。
図1
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