(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記過去の運転データは、前記手乾燥装置の電源がオンにされた後における経過時間に関する情報と、既定の時間あたりの前記手乾燥装置の使用回数に関する情報を含むこと、
を特徴とする請求項1に記載の手乾燥装置。
前記制御部は、前記手乾燥装置の現在の既定の時間あたりの運転に関するデータである現在の運転データに基づいて、前記手乾燥装置の現在の使用頻度の予測を行い、前記予測の結果に基づいて前記ヒータを制御すること、
を特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
前記制御部は、手乾燥装置の電源がオンにされた後の経過時間を既定の管理時間単位で管理し、複数の前記管理時間単位における前記過去の運転データの平均を用いて前記ヒータを制御すること、
を特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の手乾燥装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態にかかる手乾燥装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置100の側面図である。
図2は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置100の正面図である。
図3は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置100の加熱装置21の拡大断面図である。
図4は、本発明の実施の形態1にかかる処理回路のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置100の制御に関わる主要部分の機能構成図である。
【0015】
図1および
図2に示すように、手乾燥装置100は、手乾燥装置本体1と加熱装置21とを備える。
【0016】
手乾燥装置本体1は、手乾燥装置本体1の外郭をなす本体筐体2の上部に開口部2cが設けられている。そして、本体筐体2の上部であり開口部2cの下方には、本体筐体2の凹状の部分で囲まれた空間である手挿入部3が設けられている。本体筐体2の手挿入部3を囲む部分は、側面視において断面U字状をなしており、手挿入部3における上部から下部に向かうに従って、正面側から背面側に向けて若干傾斜している。ここで、手乾燥装置100における正面側は、
図1における左側であり、
図2における手前側である。
【0017】
手挿入部3は、正面側、すなわちユーザーに近い側の張り出し部である前方突出部2aと、背面側、すなわちユーザーから遠い側の張り出し部である後方突出部2bとの間の空間である。前方突出部2aと後方突出部2bとは、手挿入部3の最下部に設けられた水受け部4に繋がっている。このように、手挿入部3は、側面視において、上部が開口した有底の断面U字状をなしている。そして、
図1に示すように、手挿入部3の幅方向における両側面は、開放されている。これにより、手挿入部3は、上方向または左右方向からユーザーの手を自由に挿抜可能である。
【0018】
水受け部4の一部には、水受け部4の水を排水する不図示の排水口が設けられている。排水口には、本体筐体2内において上下方向に延びる不図示の排水路の上端部が取り付けられている。排水路の下端部には、本体底部に配置されたドレンタンク5が接続されている。ドレンタンク5は、排水路を通って排水された水を溜める容器であり、本体筐体2の底部に着脱自在に取り付けられている。排水路は、水が流下するように勾配が付けられており、水受け部4に付着した水は排水路を流れて、ドレンタンク5へ溜められる。
【0019】
本体筐体2の内部において、手挿入部3の下方には、
図1に示すように、高速空気流を生成する送風部6が設置されている。送風部6は、モーター7と、モーター7によって回転するターボファン8を備えた高圧空気流発生装置により構成されている。送風部6は、吸気側を下向きに、排気側を上向きにして配設されている。モーター7には、直流(Direct Current:DC)ブラシレスモーターまたは整流子モーターが用いられる。
【0020】
送風部6の吸込口は、本体筐体2の内部に構成されて上下方向に連なる内部空気吸込通路である図示しないダクトの上方に臨んで開口している。ダクトの下端は、手乾燥装置本体1の底部に下向きに開口し、本体吸気口9を構成している。これにより、本体吸気口9を介してダクトに外気を取り入れることができる。
【0021】
送風部6の排気側は、本体筐体2の内部において上下方向に連なり前面側と背面側に分岐されて画成された前面排気ダクト10aおよび背面排気ダクト10bの下方に連絡している。送風部6で高圧化された高圧空気は、送風部6と接続して設けられた前面排気ダクト10aおよび背面排気ダクト10bに排出される。
【0022】
前面排気ダクト10aおよび背面排気ダクト10bの上部には吹き出し口であるノズルとして正面側ノズル3aおよび背面側ノズル3bが設けられている。すなわち、手挿入部3において、手挿入部3の第1の内壁であって手挿入部3の正面側壁面である前方突出部2aの内壁における開口部2cの近くには、手挿入部3に向かって空気流を噴出する手乾燥用の第1静止ノズルである正面側ノズル3aが設けられている。また、手挿入部3の第2の内壁であって手挿入部3の背面側壁面である後方突出部2bの内壁における開口部2cの近くには、手挿入部3に向かって空気流を噴出する手乾燥用の第2静止ノズルである背面側ノズル3bが設けられている。正面側ノズル3aと背面側ノズル3bとは、手挿入部3を挟んで互いに対向している。正面側ノズル3aおよび背面側ノズル3bは、斜め下向きに波状に開口した複数の小孔である。各小孔は、水平方向、すなわち正面視において手乾燥装置100の幅方向に一列に配設されている。また、正面側ノズル3aおよび背面側ノズル3bは、可動式のノズルではなく、風向が固定された静止ノズルである。
【0023】
正面側ノズル3aは、送風部6により生成された高圧空気を高速気流に変換し、該高速気流を吹き出し口から手挿入部3に向かって作動気流として噴射する。背面側ノズル3bは、送風部6により生成された高圧空気を高速気流に変換し、該高速気流を吹き出し口から手挿入部3に向かって作動気流として噴射する。作動気流は、正面側ノズル3aおよび背面側ノズル3bから手挿入部3の対面方向に水平方向より下向きに傾斜した角度で噴射され、ユーザーが手挿入部3に挿入した手首、手のひら、または手の甲に付着した水を手挿入部3の下方に吹き飛ばす。
【0024】
本体筐体2の背面側の下部には、手検知部11が内蔵されている。手挿入部3は、手挿入部3への手の挿入および抜き取りを検知し、検知情報を後述する本体制御部12に送る。すなわち、ユーザーが開口部2cから手挿入部3の中へ濡れた手を奥側に向かって進入させていくと、手検知部11は、挿入された手を検知して、手挿入部3にユーザーの手が挿入されたことを検知する。手検知部11は、手挿入部3にユーザーの手が挿入されたことを検知すると、検知情報としてユーザーの手を検知した旨の手検知信号を本体制御部12に出力する。また、ユーザーが開口部2cから手挿入部3の中の手を引き抜いていくと、手検知部11は、手の引き抜きを検知して、手挿入部3からユーザーの手が抜き取られたことを検知する。手検知部11は、手挿入部3からユーザーの手が抜き取られたことを検知すると、検知情報としてユーザーの手の抜き取りを検知した旨の抜き取り検知信号を後述する本体制御部12に出力する。
【0025】
手検知部11は、例えば赤外線方式測距センサーが使用され、発光素子が発光した光を受光素子で受光した際の光の角度で手の有無を検知している。なお、手検知部11は、手挿入部3への手の挿入および抜き取りを検知できるセンサーであればよく、赤外線方式測距センサーに限定されるものではない。
【0026】
また、本体筐体2の下方には、手検知部11の手の検知結果に基づいて送風部6の運転を制御する本体制御部12が組み込まれている。本体制御部12は、手検知部11から出力された手検知信号情報に基づいて、送風部6の運転を制御して、正面側ノズル3aおよび背面側ノズル3bから手挿入部3内に空気流を噴出させる。また、本体制御部12は、手乾燥装置100の過去の運転データに基づいて後述する加熱装置21の動作を制御する。
【0027】
本体制御部
12は、例えば、
図4に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。本体制御部
12が
図4に示したハードウェア構成の処理回路として実現される場合には、本体制御部
12は、例えば、
図4に示す演算部であるプロセッサ101が記憶部であるメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、本体制御部
12の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
【0028】
加熱装置21は、手乾燥装置本体1を上に載せて支持する箱形の前面の開放したフレーム22の内部に蓄熱放熱器およびヒータ25が組み込まれた構成とを有する蓄熱式の加熱装置である。フレーム22の上面には、手乾燥装置本体1の底部に開口した本体吸気口9に連通する送気口23が設けられている。また、フレーム22の前面には、フレーム22の内部に空気を取り込む吸気口24が設けられている。
【0029】
加熱装置21は、送風部6の作動に伴って、
図3に示すように送気口23から手乾燥装置本体1へ暖気を供給する。すなわち、加熱装置21は、蓄熱した熱量を吸気口24から流れ込む空気に放熱して暖気化した空気、および蓄えていた暖気を、送気口23から手乾燥装置本体1へ供給する。これにより、送風部6は、加熱装置21からの暖気を吸い込み、暖気の高圧空気流を生成し、正面側ノズル3aおよび背面側ノズル3bから手挿入部3に温風の高速空気流を吹き出す。なお、手乾燥装置本体1と加熱装置21とは一体に構成しても、別体に構成してもよい。
【0030】
加熱装置21の内部には、本体制御部12からの指令に従って、加熱装置21の内部に設けられた電源部27からヒータ25への通電を制御してヒータ25の動作を制御するヒータ制御部26が搭載されている。
【0031】
電源部27は、手乾燥装置100の外部の図示しない外部電源から供給される交流電力を直流電力に変換するインバータ回路基板である電源基板である。電源部27は、中継線を介してヒータ25と電気的に接続されている。電源部27は、交流電力から生成した直流電力を、中継線を介してヒータ25に供給する。電源部27には、外部電源から交流電力が直接供給されてもよく、手乾燥装置100の内部に設けられた図示しない他の電源部を介して外部電源から交流電力が供給されてもよい。他の電源部から電源部27に交流電流が供給される場合には、図示しない中継線により他の電源部と電源部27とが電気的に接続される。
【0032】
他の電源部は、手乾燥装置100の外部の図示しない外部電源から供給される交流電力を直流電力に変換するインバータ回路基板である電源基板である。他の電源部は、中継線を介して送風部6、手検知部11および本体制御部12と電気的に接続されている。他の電源部は、交流電力から生成した直流電力を、中継線を介して送風部6、手検知部11および本体制御部12に供給する。
【0033】
また、ヒータ制御部26には、手乾燥装置100の設置場所の室温、すなわち手乾燥装置100の周囲の温度を検知する室温検知回路とヒータ25の温度を検知するヒータ温度検知回路とが設けられている。ヒータ制御部26は、室温検知回路とヒータ温度検知回路との出力に基づいて、手乾燥装置100の周囲の温度にかかわらず、手乾燥装置本体1へ供給する暖気の温度が所望の温度になるようにヒータ25への通電を制御することができる。なお、ヒータ制御部26の機能を本体制御部12が兼ねてもよい。
【0034】
ヒータ制御部26は、例えば、
図4に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。ヒータ制御部26が
図4に示したハードウェア構成の処理回路として実現される場合には、ヒータ制御部26は、例えば、
図4に示すプロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、ヒータ制御部26の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
【0035】
つぎに、本実施の形態1にかかる手乾燥装置100における加熱装置21の制御について説明する。
図6は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置100における、前サイクルにおける手乾燥装置100の使用頻度とヒータ25のオフ時間との関係を示す図である。以下では、手乾燥装置100の使用頻度を、「使用頻度」と呼ぶ場合がある。本体制御部12は、手乾燥装置100の電源がオンにされた後における手乾燥装置100の運転中における過去の手乾燥装置100の運転に関するデータである過去の運転データに基づいて、加熱装置21のヒータ25への通電動作を制御する。
【0036】
手乾燥装置100の運転中における過去の運転データには、手乾燥装置100の電源がオンにされた後における経過時間に関する情報と、手乾燥装置100の使用頻度に関する情報が含まれる。手乾燥装置100の電源がオンにされた後における経過時間に関する情報には、サイクルの情報および区間の情報が含まれる。
【0037】
サイクルは、手乾燥装置100の電源がオンにされた後における、手乾燥装置100の電源オン後の経過時間を管理するための第1の管理単位である。本体制御部12は、手乾燥装置100の電源オン後の経過時間をサイクル単位で管理する。サイクルは24時間である。手乾燥装置100の電源がオンにされた後の、最初の24時間が第1サイクルであり、つぎの24時間が第2サイクルである。サイクルは、サイクルを識別して管理するサイクル数が24時間毎に1ずつ増やされて更新される。
【0038】
本体制御部12は、手乾燥装置100の電源がオンにされた後、24時間が経過する毎に、サイクル数を更新し、サイクル数の情報を本体制御部12内の記憶部に記憶して、サイクルを管理する。これにより、本体制御部12は、現在のサイクルと、過去のサイクルとを識別することができる。また、本体制御部12は、本体制御部12以外の記憶部にサイクル数の情報を記憶させてもよい。本体制御部12は、手乾燥装置100の電源がオフにされることで、一連のサイクルの管理を終了する。そして、本体制御部12は、再度、手乾燥装置100の電源がオンにされると、サイクル数を初期化して、新たにサイクルを管理する。なお、本体制御部12内の記憶部に記憶されたサイクルの情報は、電源がオフにされた場合に消去される。
【0039】
区間は、1つのサイクルが1時間毎に分割された、手乾燥装置100の電源がオンにされた後における、手乾燥装置100の電源オン後の経過時間を管理するための第2の管理単位である。したがって、1つのサイクルは24区間に分割され、サイクルの最初の1時間が第1区間であり、つぎの1時間が第2区間である。区間は、区間を識別して管理する区間数が1時間毎
に1ずつ増やされて更新される。
【0040】
手乾燥装置100の使用頻度に関する情報は、1つの区間あたりの手乾燥装置100の使用頻度の情報である。以下、使用頻度に関する情報を「使用頻度」と呼ぶ場合がある。本体制御部12は、現在のサイクルおよび現在のサイクルの1つ前のサイクルについて、サイクルの情報と、区間の情報と、区間における手乾燥装置100の使用回数と、を本体制御部12内の記憶部に記憶する。手乾燥装置100の使用回数は、手検知部11において手挿入部3にユーザーの手が挿入されたことを検知した回数であり、また、手検知部11がユーザーの手を検知した旨の検知情報である手検知信号を本体制御部12が手検知部11から受信した回数である。
【0041】
本体制御部12は、各区間において手検知部11から手検知信号を受信した回数をカウントして、区間での手乾燥装置100の使用回数として記憶する。記憶された区間での手乾燥装置100の使用回数は、後述するように、つぎのサイクルにおいて、区間の手乾燥装置100の使用頻度の決定に用いられる。
【0042】
手乾燥装置100の使用頻度の情報は、1つの区間あたりの手乾燥装置100の使用回数、すなわち1時間あたりの手乾燥装置100の使用回数に基づいて、
図6に示すように、使用頻度が高いことを示す「高頻度」と、使用頻度が低いことを示す「低頻度」と、使用頻度が「高頻度」と「低頻度」との中間レベルであることを示す「中頻度」と、の3段階に分類される。
【0043】
本体制御部12は、現在のサイクルの1つ前のサイクルの、現在のサイクルにおける現在の区間に対応する区間での手乾燥装置100の使用回数と、既定の使用頻度判定回数と、に基づいて、現在のサイクルにおける現在の区間の手乾燥装置100の使用頻度を決定する。既定の使用頻度判定回数は、現在の区間の手乾燥装置100の使用頻度を決定するための基準となる、区間あたりの手乾燥装置100の使用回数であり、あらかじめ決定されて本体制御部12に記憶されている。使用頻度判定回数は、手乾燥装置100の使用状態に応じて任意の値に設定可能である。以下、現在のサイクルの1つ前のサイクルを、「前サイクル」と呼ぶ場合がある。また、区間における手乾燥装置100の使用頻度を、「区間の使用頻度」と呼ぶ場合がある。
【0044】
使用頻度判定回数は、「高頻度」、「中頻度」および「低頻度」の使用頻度について設定されている。一例として、
図6に示すように、「低頻度」と判定される場合の使用頻度判定回数は、9回以下である。「中頻度」と判定される場合の使用頻度判定回数は、10回以上20回以下である。「高頻度」と判定される場合の使用頻度判定回数は、21回以上である。
【0045】
一例として、現在が第3サイクルにおける第4区間である場合には、本体制御部12は、前サイクルである第2サイクルにおける第4区間での区間の使用頻度に基づいて、現在のサイクルにおける現在の区間における区間の使用頻度を決定する。
【0046】
そして、本体制御部12は、決定した現在の区間における区間の使用頻度に基づいて、目標ヒータ温度Taに達したヒータ25をオフさせている時間であるヒータオフ時間、すなわちヒータ25をオンした後にヒータ25をオフさせている時間を決定する。目標ヒータ温度Taは、加熱装置21から手乾燥装置本体1へ供給された暖気が正面側ノズル3aおよび背面側ノズル3bから手挿入部3
に噴射される際の温度を、ユーザーが快適に感じる温度の暖気にするためにヒータ25を昇温させる目標温度である。目標ヒータ温度Taは、あらかじめ決定されて本体制御部12に記憶されている。目標ヒータ温度Taは、手乾燥装置100の使用環境によって任意の温度に設定可能である。
【0047】
区間の手乾燥装置100の使用頻度に対応するヒータオフ時間の情報は、あらかじめ決定されて本体制御部12に記憶されている。すなわち、「高頻度」、「中頻度」および「低頻度」の使用頻度に対応するヒータオフ時間の情報が、あらかじめ決定されて本体制御部12に記憶されている。このように、本体制御部12は、
図6に示すような、区間の使用頻度と、使用頻度判定回数と、区間のヒータオフ時間と、の情報を保持している。本体制御部12は、決定した現在の区間における区間の使用頻度と、記憶しているヒータオフ時間の情報と、に基づいてヒータオフ時間を決定する。そして、本体制御部12は、目標ヒータ温度に達したヒータ25を、決定したヒータオフ時間に従ってヒータ25を制御する。
【0048】
一例として、「低頻度」に対応するヒータオフ時間は、
図6に示すように900秒である。「中頻度」に対応するヒータオフ時間は、
図6に示すように600秒である。「高頻度」に対応するヒータオフ時間は、
図6に示すように300秒である。すなわち、ヒータオフ時間は、区間の使用頻度が低いほど長く設定され、区間の使用頻度が高いほど短く設定される。これは、区間の使用頻度が低い場合にはヒータオフ時間を長くしてもユーザーに冷風による不快感を与える可能性が低く、区間の使用頻度が高い場合にはヒータオフ時間を短くしてユーザーに冷風による不快感を与えることがない制御を行うためである。
【0049】
図7は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置100における、ヒータ25のオンおよびオフのタイムチャートの例を示す図である。
図7においては、ヒータ25のヒータ温度を縦軸に、手乾燥装置100の電源がオンにされてからのカウント時間を横軸に示している。
図7では、区間の使用頻度が「低頻度」、「中頻度」および「高頻度」である場合について、上記のようにして決定したヒータオフ時間に従って本体制御部12がヒータ25を制御した場合の、ヒータ25のヒータ温度のタイムチャートを模式的に示している。
【0050】
本体制御部12は、手乾燥装置100の電源がオンにされた後、ヒータ25のヒータ温度が予め設定されている目標ヒータ温度Taになるまでヒータ25をオンにする制御を行う。その後、本体制御部12は、前サイクルにおける区間の使用頻度に基づいて決定したヒータオフ時間に合わせてヒータオフ時間を変化させて、ヒータ25をオフにする制御を行う。
【0051】
区間の使用頻度が「高頻度」である場合には、目標ヒータ温度Taに達したヒータ25をオフさせるヒータオフ時間が短めとなる。このため、ヒータ25のヒータ温度は、区間の使用頻度が「中頻度」である場合および「低頻度」である場合に比べて相対的に高い温度まで下がり、その後、目標ヒータ温度まで上昇するタイムチャートとなる。この場合、区間の使用頻度が「高頻度」である場合のヒータオフ時間を、一般的なヒータオフ時間よりも長く設定することにより、ヒータ25に通電する電力を抑制することができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0052】
区間の使用頻度が「中頻度」である場合には、目標ヒータ温度Taに達したヒータ25をオフさせるヒータオフ時間は、区間の使用頻度が「高頻度」である場合より長くなる。このため、ヒータ25のヒータ温度は、区間の使用頻度が「高頻度」である場合に比べて相対的に低い温度まで下がり、その後、目標ヒータ温度Taまで上昇するタイムチャートとなる。これにより、区間の使用頻度が「高頻度」である場合に比べてヒータ25に通電する電力をより抑制することができ、より省エネルギー化を図ることができる。
【0053】
区間の使用頻度が「低頻度」である場合には、目標ヒータ温度Taに達したヒータ25をオフさせるヒータオフ時間は、区間の使用頻度が「中頻度」である場合よりもさらに長くなる。このため、ヒータ25のヒータ温度は、区間の使用頻度が「中頻度」である場合に比べてより低い温度まで下がり、その後、目標ヒータ温度Taまで上昇するタイムチャートとなる。これにより、区間の使用頻度が「中頻度」である場合に比べてヒータ25に通電する電力をより抑制することができ、より省エネルギー化を図ることができる。
【0054】
上述したように、本体制御部12は、手乾燥装置100の電源がオンにされた後における手乾燥装置100の運転中における過去の運転データである、前サイクルの区間での手乾燥装置100の使用回数と、使用頻度判定回数と、に基づいて、目標ヒータ温度Taに達したヒータ25をオフさせるヒータオフ時間を決定する。そして、本体制御部12は、決定したヒータオフ時間に従ってヒータ25を制御する。
【0055】
図8は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置100における加熱装置21の制御の手順を示すフローチャートである。以下、
図8のフローチャートを参照して、手乾燥装置100における加熱装置21の制御方法について説明する。
【0056】
まず、ステップS10において手乾燥装置100の電源がオンにされると、ステップS20において本体制御部12は、本体制御部12に記憶しているサイクル数t(n)および区間数t(k)を初期化する。
【0057】
つぎに、ステップS30において本体制御部12は、本体制御部12に記憶しているサイクル数t(n)を1だけ増加させて更新する。
【0058】
つぎに、ステップS40において本体制御部12は、サイクル数t(n)を更新してから24時間が経過したか否かを判定する。サイクル数t(n)を更新してから24時間が経過した場合は、すなわちステップS40においてYesの場合は、本体制御部12は、ステップS30に戻る。サイクル数t(n)を更新してから24時間が経過していない場合は、すなわちステップS40においてNoの場合は、本体制御部12は、ステップS50に進む。
【0059】
ステップS50において本体制御部12は、上述した処理に従って、現在のサイクルの現在の区間での区間の使用頻度を、手乾燥装置100の運転中における過去の運転データである前サイクルの区間での手乾燥装置100の使用回数に基づいて決定する。そして、本体制御部12は、決定した区間の使用頻度に基づいて現在のサイクルの現在の区間でのヒータオフ時間を決定する。
【0060】
つぎに、ステップS60において本体制御部12は、ステップS50においてヒータオフ時間を決定してから1時間が経過したか否かを判定する。ヒータオフ時間を決定してから1時間が経過した場合、すなわちステップS60においてYesの場合は、本体制御部12は、ステップS110に進む。
【0061】
ステップS110において本体制御部12は、区間数t(k)を1だけ増加させて更新し、ステップS40に戻る。
【0062】
一方、ヒータオフ時間を決定してから1時間が経過していない場合、すなわちステップS60においてNoの場合は、本体制御部12は、ステップS70においてヒータ25をオンさせる制御を行う。本体制御部12は、ヒータ25をオンさせるオン指示信号をヒータ制御部26に送信する。ヒータ制御部26は、受信したオン指示信号に従って電源部27からヒータ25への通電を制御してヒータ25をオンさせる。そして、ヒータ制御部26は、ヒータ温度検知回路で検知したヒータ25の温度の情報を既定の間隔で本体制御部12に送信する。
【0063】
つぎに、ステップS80において本体制御部12は、ヒータ制御部26から送信されるヒータ25の温度の情報に基づいて、ヒータ25が目標ヒータ温度Taに到達したか否かを判定する。ヒータ25が目標ヒータ温度Taに到達していない場合、すなわちステップS80においてNoの場合は、本体制御部12は、ステップS80を繰り返す。
【0064】
一方、ヒータ25が目標ヒータ温度Taに到達した場合、すなわちステップS80においてYesの場合は、本体制御部12は、ステップS90に進む。
【0065】
ステップS90において本体制御部12は、ヒータ25をオフさせる制御を行う。
【0066】
つぎに、ステップS100において本体制御部12は、ステップS50において決定したヒータオフ時間が経過したか否かを判定する。ヒータオフ時間が経過していない場合、すなわちステップS100においてNoの場合は、本体制御部12は、ステップS100を繰り返す。一方、ヒータオフ時間が経過した場合、すなわちステップS100においてYesの場合は、本体制御部12は、ステップS60に戻る。
【0067】
なお、本体制御部12は、手検知部11から手検知信号を受信した場合は、割り込み処理により手乾燥装置100の手乾燥運転を実施する制御を行うとともに、現在のサイクルの現在の区間での使用回数を記憶する。ただし、本体制御部12は、手乾燥運転中も時間経過のカウントを継続する。また、手乾燥運転中は電源電流を制限するためにヒータ25をオフにしてもよい。
【0068】
上述したように、本実施の形態1にかかる手乾燥装置100は、手乾燥装置100の過去の運転データである前サイクルの区間での手乾燥装置100の使用回数に基づいて、現在の区間での区間の使用頻度を決定し、決定した区間の使用頻度に応じてヒータオフ時間を決定する。このように、手乾燥装置100は、前サイクルでの手乾燥装置100の使用頻度に合わせてヒータ25のヒータオフ時間を決定し、制御する。これにより、手乾燥装置100は、手乾燥装置100の設置環境に合わせた、ヒータ25への通電を実現し、無駄なエネルギー消費をより効果的に削減して、省エネルギー性を向上することができる。
【0069】
すなわち、本実施の形態1にかかる手乾燥装置100によれば、ユーザーに煩わしい設定作業をさせることなく、また加熱装置21での蓄熱不足に起因した温度の低い冷風によりユーザーに不快感を感じさせることなく、無駄なエネルギー消費を削減して、省エネ性を向上することができる。また、本実施の形態1にかかる手乾燥装置100は、区間の使用頻度が「低頻度」の場合であっても、ヒータ25が温まった状態からヒータ25をオフにしてヒータ温度が徐々に下がっていく。このため、人を検知してから加熱手段が加熱を行い、加熱手段が冷め切った状態から使用者が使用する特許文献1に比べて、ユーザーに冷風感および不快感を感じさせることがない。
【0070】
なお、上述した
図8に示した処理におけるステップS50において、過去のデータが存在しない場合は、使用頻度を中頻度と判断してヒータオフ時間を決定することで、ユーザーに冷風による不快感を与えることなく制御することができ、次サイクル以降は、上述の効果を得ることができる。
【0071】
実施の形態2.
本実施の形態2では、実施の形態1で説明した手乾燥装置100の制御方法において、現在のサイクルでの手乾燥装置100の使用頻度も考慮してヒータオフ時間を変化させる制御について説明する。
図9は、本発明の実施の形態2における手乾燥装置100の加熱装置21の制御方法における、前サイクルにおける手乾燥装置100の使用頻度、現在のサイクルの現在の区間での区間前半20分間の実際の手乾燥装置100の使用回数、およびヒータオフ時間の関係を示す図である。
【0072】
本体制御部12は、実施の形態1で説明した制御方法によって使用頻度が「低頻度」と決定された現在のサイクルの現在の区間における、区間最初の20分間の実際の使用回数が3回以下である場合には、ヒータオフ時間は「低頻度」の設定のまま変更無しの状態の900秒間とする。一方、本体制御部12は、実施の形態1で説明した制御方法によって使用頻度が「低頻度」と決定された現在の区間における、現在の区間最初の20分間の実際の使用回数が、4回以上である場合には、使用頻度が高くなったと判断して、この区間のヒータオフ時間を750秒間に変更する。
【0073】
また、本体制御部12は、実施の形態1で説明した制御方法によって使用頻度が「中頻度」と決定された現在のサイクルの現在の区間における、区間最初の20分間の実際の使用回数が3回以下である場合には、使用頻度が低くなったと判断して、この区間のヒータオフ時間を750秒間に変更する。一方、本体制御部12は、実施の形態1で説明した制御方法によって使用頻度が「中頻度」と決定された現在の区間における、区間最初の20分間の実際の使用回数が4回以上7回以下である場合には、この区間のヒータオフ時間は「中頻度」の設定のまま変更無しの状態の600秒間とする。また、本体制御部12は、実施の形態1で説明した制御方法によって使用頻度が「中頻度」と決定された現在の区間における、区間最初の20分間の実際の使用回数が8回以上である場合には、使用頻度が高くなったと判断して、この区間のヒータオフ時間を450秒間に変更する。
【0074】
本体制御部12は、実施の形態1で説明した制御方法によって使用頻度が「高頻度」と決定された現在のサイクルの現在の区間における、区間最初の20分間の実際の使用回数が7回以下である場合には、使用頻度が低くなったと判断して、この区間のヒータオフ時間を450秒間に変更する。一方、本体制御部12は、実施の形態1で説明した制御方法によって使用頻度が「高頻度」と決定された現在の区間における、区間最初の20分間の実際の使用回数が8回以上である場合には、この区間のヒータオフ時間は「高頻度」の設定のまま変更無しの状態の300秒間とする。
【0075】
なお、上記の処理において、区間最初の20分間は、現在のサイクルの使用頻度の判定期間とし、ヒータオフ時間は補正しない。
【0076】
図10は、本発明の実施の形態2における手乾燥装置100の加熱装置21の制御の手順を示すフローチャートである。本実施の形態2における加熱装置21の制御方法が実施の形態1における加熱装置21の制御方法と異なる点は、
図8のフローチャートに示すステップS50の代わりに、ステップS210を行うことである。
【0077】
ステップS210において本体制御部12は、現在のサイクルの現在の区間での区間の使用頻度を、ステップS50と同様に過去の運転データに基づいて決定する。そして、本体制御部12は、決定した区間の使用頻度に、現在のサイクルの現在の区間での実使用回数を反映してヒータオフ時間を決定する。
【0078】
上述したように、本実施の形態2における加熱装置21の制御方法では、実施の形態1で説明した処理に、現在の手乾燥装置100の使用頻度である現在のサイクルの現在の区間での実使用回数の情報を反映することによって、手乾燥装置100の過去の運転データと現在のユーザーの使用頻度とが異なる場合でも、現在のサイクルの手乾燥装置100の使用状況に合わせてヒータオフ時間を制御することができる。したがって、本実施の形態2における加熱装置21の制御方法では、より手乾燥装置100の設置環境に合わせた、より実際の使用状況に適した、ヒータ25への通電を実現でき、無駄なエネルギー消費をより効果的に削減して、省エネルギー性を向上することができる。
【0079】
なお、本実施の形態2においては、区間最初の20分間の実際の使用回数によってヒータオフ時間を補正しているが、直前の区間20分間の実際の使用回数によってヒータオフ時間を補正するようにしてもよい。
図11は、直前の区間20分間の実際の使用回数によってヒータオフ時間を補正する例を説明するための模式図である。たとえば、
図11に示すように、1時間の区間Aのつぎに1時間の区間Bが続いている場合を想定する。区間Aは、20分の短い区間である区間a、区間bおよび区間cに分割されている。また、区間Bは、20分の短い区間である区間d、区間eおよび区間fに分割されている。
図11を参照して、区間最初の20分間の実際の使用回数によってヒータオフ時間を補正する場合と、直前の区間20分間の実際の使用回数によってヒータオフ時間を補正する場合の概念について説明する。
【0080】
区間最初の20分間の実際の使用回数によってヒータオフ時間を補正する場合は、区間Aでは、本体制御部12は、区間aにおける使用頻度に応じて、すなわち区間aにおける実際の使用回数に応じて、区間bおよび区間cのヒータオフ時間を補正する。同様に、区間Bでは、本体制御部12は、区間dにおける使用頻度に応じて、すなわち区間dにおける実際の使用回数に応じて、区間eおよび区間fのヒータオフ時間を補正する。
【0081】
一方、直前の区間20分間の実際の使用回数によってヒータオフ時間を補正する場合は、本体制御部12は、区間aにおける使用頻度に応じて、すなわち区間aにおける実際の使用回数に応じて、区間bのヒータオフ時間を補正する。同様にして、本体制御部12は、区間bにおける実際の使用回数に応じて区間cのヒータオフ時間を補正し、区間cにおける実際の使用回数に応じて区間dのヒータオフ時間を補正する。また、本体制御部12は、区間dにおける実際の使用回数に応じて区間eのヒータオフ時間を補正し、区間eにおける実際の使用回数に応じて区間fのヒータオフ時間を補正する。
【0082】
このようにすることで、直前の使用頻度の変化にも対応して、ヒータオフ時間を精度良く補正することが可能となる。
【0083】
また、本実施の形態2においては、過去の運転データに基づく使用頻度の判定に加え、現在の使用状況も考慮してヒータオフ時間を変えるようにしていたが、現在の使用状況のみでヒータオフ時間を変えるようにしてもよい。ここで、「現在の使用状況のみ」とは、たとえば上述したように「直前の20分前の運転データだけ」を基にヒータオフ時間を設定するという意味である。1サイクル前の運転データも使用してヒータオフ時間を設定する場合も、現在の使用状況のみでヒータオフ時間を設定する場合も、いずれも「過去の運転データ」に基づいてヒータ制御を行っている。
【0084】
実施の形態3.
本実施の形態3では、実施の形態1または実施の形態2で説明した手乾燥装置100の加熱装置21の制御方法において、手乾燥装置100が設置された施設の休業日を判定する制御について説明する。
【0085】
図12は、本発明の実施の形態3における手乾燥装置100の加熱装置21の制御方法での、ヒータ25のオンおよびオフのタイムチャートの例を示す図である。
図12においては、ヒータ25のヒータ温度を縦軸に、手乾燥装置100の電源がオンにされてからのカウント時間を横軸に示している。
図12では、区間の使用頻度が「低頻度」、「中頻度」および「高頻度」である場合について、本実施の形態3における加熱装置21の制御方法に従って本体制御部12がヒータ25を制御した場合の、ヒータ25のヒータ温度のタイムチャートを模式的に示している。
【0086】
前サイクルでは手乾燥装置100が使用されているにもかかわらず、現在のサイクルで既定の時間だけ手乾燥装置100が使用されなかった場合、本体制御部12は、現在のサイクルが休業日に該当すると判定する。一例として、本体制御部12は、実施の形態1または実施の形態2における1区間以上、すなわち1時間以上、手乾燥装置100が使用されなかった場合に、現在のサイクルが休業日に該当すると判定する。そして、本体制御部12は、現在のサイクルが休業日に該当すると判定した時点から一定時間、例えば実施の形態1または2に記載の1区間について、すなわち1時間について、前サイクルでの使用回数にかかわらずヒータオフ時間を、予め決定されて本体制御部12に記憶されている既定の延長ヒータオフ時間に延長する。延長した延長ヒータオフ時間の一例は、1200秒間である。
【0087】
休業日と判定されたサイクルの次のサイクルでは、休業日に該当すると判定されたサイクルの前のサイクルの手乾燥装置100の運転データ、すなわち手乾燥装置100が設置された施設の稼働日の
手乾燥装置100の運転データを使用してヒータオフ時間を決定すればよい。また、休業日が連続した場合は、最初の休業日の前のサイクルの手乾燥装置100の運転データ、すなわち手乾燥装置100が設置された施設の稼働日の手乾燥装置100の運転データを使用してヒータオフ時間を決定すればよい。
【0088】
また、現在のサイクルが休業日に該当すると判定された後に手乾燥装置100の手乾燥運転が実施された場合は、本体制御部12は現在のサイクルが稼働日に該当すると判定しなおしてヒータのオフ時間を決定すればよい。したがって、本体制御部12は、現在のサイクルが休業日または稼働日のうちの何れかであるかを判定する。すなわち、手乾燥装置100の設置されている設置環境にもよるが、一般的に、休業日であれば、現在のサイクルの使用回数は比較的多くなる。また、稼働日であれば、現在のサイクルの使用回数は大幅に多くなる。したがって、現在のサイクルが休業日または稼働日のうちの何れかであるかを判定することは、現在のサイクルにおける使用回数が多いのか、または少ないのかを予測すること、と換言できる。すなわち、本体制御部12は、手乾燥装置100の現在の既定の時間あたりの運転に関するデータである現在の運転データに基づいて、手乾燥装置100の現在の使用頻度の予測を行い、予測の結果に基づいてヒータ25を制御することができる。
【0089】
図13は、本発明の実施の形態3における手乾燥装置100の加熱装置21の制御の手順を示すフローチャートである。本実施の形態3における加熱装置21の制御方法が実施の形態1における加熱装置21の制御方法と異なる点は、
図8のフローチャートに示すステップS50とステップS60の間に、ステップS310およびステップS320が追加されていることである。
【0090】
ステップS310において本体制御部12は、1時間以内に手乾燥装置100が使用されたか否かを判定する。手乾燥装置100の使用の有無は、手検知部11からの手検知信号を任意の閾値回数以上、受信したか否かによって判定できる。休業日と稼働日との判定に用いる、本体制御部12における手検知部11からの手検知信号の受信回数、すなわち手検知回数の閾値は、任意の回数に設定可能である。
【0091】
1時間以内に手乾燥装置100が使用されていない場合、すなわちステップS310においてNoの場合は、本体制御部12は、ステップS320において現在のサイクルが休業日に該当すると判定し、ヒータオフ時間を延長ヒータオフ時間に延長する。この場合、ステップS100において本体制御部12は、ステップS320において延長した延長ヒータオフ時間が経過したか否かを判定する。
【0092】
一方、1時間以内に手乾燥装置100が使用された場合、すなわちステップS310においてYesの場合は、本体制御部12は、ステップS60に進む。
【0093】
なお、休業日と稼働日の判定に用いる、本体制御部12における手検知部11からの手検知信号の受信回数、すなわち手検知回数の閾値については、手乾燥装置本体1における図示しないスイッチ等でユーザーが設定できるようにしてもよい。
【0094】
また、
図13では、実施の形態1における加熱装置21の制御方法に、「一定時間以上、手乾燥装置100が使用されなかった場合」に休業日と判定してヒータオフ時間を延長する処理を適用しているが、実施の形態2における加熱装置21の制御方法に、「一定時間以上、手乾燥装置100が使用されなかった場合」に休業日と判定してヒータオフ時間を延長する処理を適用してもよい。
【0095】
上述したように、本実施の形態3における加熱装置21の制御方法では、実施の形態1で説明した処理に、手乾燥装置100が設置された施設の休業日を判定してヒータオフ時間を決定する制御を追加することによって、休業日の無駄なエネルギー消費を抑えることができる。したがって、本実施の形態3における加熱装置21の制御方法では、より手乾燥装置100の設置環境に合わせた、より実際の使用状況に適した、ヒータ25への通電を実現でき、無駄なエネルギー消費をより効果的に削減して、省エネルギー性を向上することができる。
【0096】
上述のとおりに加熱装置21を制御することで、例えば休業日にビルの管理者のみが使用する場合では、休業日にヒータオフ時間を延長することが可能になり、無駄なエネルギー消費を抑制することが可能となる。
【0097】
なお、上記においては、本体制御部12は、「一定時間以上、手乾燥装置100が使用されなかった場合」に休業日と判定したが、使用頻度が極めて低い場合に、現在のサイクルが休業日に該当すると判定してもよい。使用頻度が極めて低い場合の一つの例は、1時間の間に手検知回数が2回以下の場合である。また、上記においては、本体制御部12は、休業日と判定された後に手乾燥装置100が使用された場合に、現在のサイクルが稼働日に該当すると判定したが、休業日と判定された後に使用頻度が多くなった場合に、現在のサイクルが稼働日に該当すると判定してもよい。使用頻度が極めて多い場合の一つの例は、1時間の間に手検知回数が3回以上の場合である。
【0098】
実施の形態4.
本実施の形態4では、過去の複数サイクルの手乾燥装置100の運転データに基づいてヒータオフ時間を変化させる制御について説明する。
図14は、本発明の実施の形態4における手乾燥装置100の加熱装置21の制御の手順を示すフローチャートである。本実施の形態4における加熱装置21の制御方法が実施の形態1における加熱装置21の制御方法と異なる点は、
図8のフローチャートに示すステップS50の代わりにステップS410を行うことである。
【0099】
本実施の形態4における手乾燥装置100の加熱装置21の制御方法では、24時間を1サイクルとし、計7サイクル分の手乾燥装置100の運転データ、すなわち手乾燥装置100の使用回数のデータを記憶する。そして、ステップS410において本体制御部12は、記憶した過去の複数サイクルの手乾燥装置100の運転データに基づいてヒータオフ時間を決定する。この場合、ステップS100において本体制御部12は、ステップS410において決定したヒータオフ時間が経過したか否かを判定する。
【0100】
すなわち、たとえば2サイクル目では、1サイクル目の手乾燥装置100の使用回数に基づいてステップS410が実施される。また、3サイクル目では、1サイクル目と2サイクル目との手乾燥装置100の使用回数に基づいてステップS410が実施される。3サイクル目以降は、ステップS410で、現在のサイクルよりも前の複数のサイクルにおける手乾燥装置100の使用回数データから各区間における使用回数の平均値を算出し、当該平均値に基づいて「使用頻度」を判定した上で、ヒータオフ時間が決定される。3サイクル目では、本体制御部12は、1サイクル目と2サイクル目とにおける手乾燥装置100の使用回数データから各区間における使用回数の平均値を算出する。したがって、本体制御部12は、手乾燥装置100の電源オン後の経過時間をサイクルで管理し、複数の過去のサイクルにおける運転データの平均を用いてヒータ25を制御する。
【0101】
なお、過去の複数サイクルの手乾燥装置100の運転データに基づいてヒータオフ時間を変化させる上述した制御を、実施の形態2および実施の形態3における加熱装置21の制御方法に適用してもよい。
【0102】
上述したように、複数サイクル分の手乾燥装置100の使用回数のデータを保存することで、前サイクルだけの「手乾燥装置100の使用頻度」ではなく、過去の複数サイクルの平均値による「手乾燥装置100の使用頻度」に基づいてヒータオフ時間を制御することが可能になる。すなわち、前日だけの「手乾燥装置100の使用頻度」ではなく、1週間の平均値による「手乾燥装置100の使用頻度」に基づいてヒータオフ時間を制御することが可能になる。これにより、「手乾燥装置100の使用頻度」の精度が上がり、換言すれば「手乾燥装置100の使用頻度」の誤判定を抑制することで、無駄なエネルギー消費を抑えることができる。
【0103】
なお、実施の形態3で示したように休業日を判定すれば、手乾燥装置100の使用回数の平均化の対象から休業日のデータを外すことが可能となり、「手乾燥装置100の使用頻度」の精度がさらに向上する。
【0104】
また、上記においては1週間分の手乾燥装置100の使用回数データを蓄積してヒータオフ時間を決定する例を示したが、1ヶ月分の手乾燥装置100の使用回数データを蓄積すれば、曜日単位での平均化が可能となる。例えば、3サイクル目において、1サイクル目と2サイクル目との手乾燥装置100の使用回数データの平均値により「手乾燥装置100の使用頻度」を判定していたが、1ヶ月分のデータを蓄積する場合には、1サイクル目から14サイクル目までは手乾燥装置100の使用回数データの平均化によるヒータオフ時間の制御は実施せず、15サイクル目で初めて1サイクル目と8サイクル目との手乾燥装置100の使用回数データの平均値による「手乾燥装置100の使用頻度」の判定を実施する。これにより、曜日単位での「手乾燥装置100の使用頻度」のが判定可能になる。
【0105】
これより、ヒータオフ時間を制御しながら1週間の手乾燥装置100の使用回数データを取得して蓄積することで、使用頻度が極端に少なくなる休業日ではヒータオフ時間が長く設定され、消費電力を削減することができる。また、商業施設に設置された手乾燥装置100のように休日および祝日に使用頻度が増加する手乾燥装置100の場合はヒータオフ時間が短く設定され、加熱装置21での蓄熱不足に起因した温度の低い冷風での手乾燥運転でユーザーに不快感を感じさせることがなくなる。
【0106】
また、手乾燥装置100の使用頻度が高いときは、ヒータ25の温度を高めに維持してヒータ25の蓄熱温度を高く保っておけるため、手の乾燥時間が短くなり、ユーザーの回転率が高くなり、手乾燥装置100の使用待ちを減らすことができる。
【0107】
また、手乾燥装置100の使用回数データを1年分蓄積すれば、年末年始といった長期休業、または季節に応じたヒータオフ時間の制御が可能となる。
【0108】
実施の形態5.
上述した実施の形態1から実施の形態4においては24時間を1サイクルとしていたが、本実施の形態5では手乾燥装置100の電源のオンからオフまでを1サイクルとする制御方法について説明する。
【0109】
手乾燥装置100の使い方として、毎日ほぼ同時刻に電源がオンおよびオフされるケースがある。一例として、毎日朝8時に手乾燥装置100の電源がオンにされ、毎日夜9時に手乾燥装置100の電源がオフにされるケースがある。このような手乾燥装置100の使用方法の場合には、実施の形態1から実施の形態4で示したような24時間を1サイクルとした制御を適用すると、たとえば
図8のステップS50において、常に前サイクルの運転データである前サイクルの手乾燥装置100の使用回数データが無い状態となる。この結果、過去の運転データに基づくヒータオフ時間の制御ができなくなる。
【0110】
そこで、本実施の形態5では手乾燥装置100の電源のオンからオフまでを1サイクルとすることにより、本体制御部12は、過去の運転データに基づくヒータオフ時間の制御をすることが可能となる。なお、毎日朝8時に手乾燥装置100の電源がオンにされ、毎日夜9時に手乾燥装置100の電源がオフにされる形態で使用されている場合に、例外的に夜9時から夜11時の間も電源がオンになっていた場合のような、過去の運転データを持たない区間の使用頻度については、本体制御部12は「中頻度」と判定してヒータオフ時間を設定するようにしてもよい。これにより、本体制御部12は、前サイクルの運転データが無い区間についても、実施の形態1から実施の形態4において説明した効果を得ることが可能であり、また温風機能を損なうことなく手乾燥装置100の手乾燥運転を制御することができる。
【0111】
実施の形態6.
本実施の形態6では、手乾燥装置100に時計機能を追加した場合について説明する。
図15は、本発明の実施の形態6における手乾燥装置100の制御に関わる主要部分の機能構成図である。
図15においては、
図5に示した構成に時計13が追加されている。
【0112】
本実施の形態6においては、本体制御部12は、時計13の機能によって実際の曜日と時間とを判断して、サイクルおよび区間と実際の曜日と時間とを関連付けて管理しながら実施の形態1から実施の形態5の場合と同様に手乾燥装置100の運転データを取得しながら、使用頻度に応じてヒータオフ時間を制御する。
【0113】
手乾燥装置100の電源がオフされた後に再び電源がオンにされた場合は、本体制御部12は、どのタイミングの過去のデータを使用すればよいかがわからなくなる。そこで、本体制御部12は、時計13を用いて現在時刻を確認しながら、上述した実施の形態1から実施の形態5の場合と同様にして、記憶した手乾燥装置100の過去の同時刻における使用頻度のデータに基づいてヒータオフ時間を制御する。これにより、本体制御部12は、時刻に対応した待機時のヒータ25の動作設定をすること無く、使用頻度に応じたヒータオフ時間を制御することが可能である。すなわち、手乾燥装置100に時計機能を設けることによって、本体制御部12は、正確な時刻を把握できるため、現在の時刻に対して24時間前の過去のデータを使用することが可能になる。したがって、ユーザーは、待機時のヒータ25の煩わしい設定作業をする必要がない。
【0114】
実施の形態7.
図16は、本発明の実施の形態7における手乾燥装置100のヒータ25のオンおよびオフのタイムチャートの例を示す図である。
図16においては、ヒータ25のヒータ温度を縦軸に、手乾燥装置100の電源がオンにされてからのカウント時間を横軸に示している。
図16では、区間の使用頻度が「低頻度」、「中頻度」および「高頻度」である場合について、本体制御部12がヒータ25のヒータ温度の上限値を制御する場合の、ヒータ25のヒータ温度のタイムチャートを模式的に示している。
【0115】
上述した実施の形態1から実施の形態6では、本体制御部12がヒータオフ時間を制御していたが、本体制御部12は、
図16に示すようにヒータオフ時間を固定し、ヒータ25をオンさせているときのヒータ25のヒータ温度の上限値を制御してもよい。この場合は、本体制御部12は、手乾燥装置100の過去の運転データである前サイクルの区間での手乾燥装置100の使用回数に基づいて、現在の区間での区間の使用頻度を決定し、決定した区間の使用頻度に応じてヒータ25のヒータ温度の上限値を決定する。そして、ヒータオフ時間は、あらかじめ固定の値に決定されて本体制御部12に記憶されている。
【0116】
本体制御部12は、手乾燥装置100の電源がオンにされた後、ヒータ25のヒータ温度が予め設定されている目標ヒータ温度Taになるまでヒータ25をオンにする制御を行う。その後、本体制御部12は、前サイクルにおける区間の使用頻度に基づいて決定したヒータ温度の上限値に合わせてヒータ温度の上限値を変化させて、ヒータ25をオンにする制御を行い、また固定の値のヒータオフ時間に合わせてヒータ25をオフにする制御を行う。
【0117】
区間の使用頻度が「高頻度」である場合には、ヒータ25のヒータ温度の上限値は、「中頻度」および「低頻度」の場合と比べて高めの温度である上限値Tu3に設定される。
【0118】
区間の使用頻度が「中頻度」である場合には、ヒータ25のヒータ温度の上限値は、上限値Tu3に比べて低い上限値Tu2に設定される。これにより、区間の使用頻度が「高頻度」である場合に比べてヒータ25に通電する電力をより抑制することができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0119】
区間の使用頻度が「低頻度」である場合には、ヒータ25のヒータ温度の上限値は、上限値Tu2に比べて低い上限値Tu1に設定される。これにより、区間の使用頻度が「中頻度」である場合に比べてヒータ25に通電する電力をより抑制することができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0120】
図17は、本発明の実施の形態7における手乾燥装置100のヒータ25のオンおよびオフのタイムチャートの他の例を示す図である。
図17においては、ヒータ25のヒータ温度を縦軸に、手乾燥装置100の電源がオンにされてからのカウント時間を横軸に示している。
図17では、区間の使用頻度が「低頻度」、「中頻度」および「高頻度」である場合について、本体制御部12がヒータ25のヒータ温度の下限値を制御する場合の、ヒータ25のヒータ温度のタイムチャートを模式的に示している。
【0121】
本体制御部12は、
図17に示すようにヒータオン時間を固定し、ヒータ25をオンさせた後にヒータ25をオフさせているときのヒータ25のヒータ温度の下限値を制御してもよい。この場合は、本体制御部12は、手乾燥装置100の過去の運転データである前サイクルの区間での手乾燥装置100の使用回数に基づいて、現在の区間での区間の使用頻度を決定し、決定した区間の使用頻度に応じてヒータ25のヒータ温度の下限値を決定する。そして、ヒータオン時間が、あらかじめ固定の値に決定されて本体制御部12に記憶されている。
【0122】
区間の使用頻度が「高頻度」である場合には、ヒータ25のヒータ温度の下限値は、「中頻度」および「低頻度」の場合と比べて高めの温度である下限値Tl3に設定される。
【0123】
区間の使用頻度が「中頻度」である場合には、ヒータ25のヒータ温度の下限値は、下限値Tl3に比べて低い下限値Tl2に設定される。これにより、区間の使用頻度が「高頻度」である場合に比べてヒータ25に通電する電力をより抑制することができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0124】
区間の使用頻度が「低頻度」である場合には、ヒータ25のヒータ温度の下限値は、下限値Tl2に比べて低い下限値Tl1に設定される。これにより、区間の使用頻度が「中頻度」である場合に比べてヒータ25に通電する電力をより抑制することができ、省エネルギー化を図ることができる。また、
図17のタイムチャートに示すようなヒータ25のオンおよびオフの制御を行い、ユーザが不快感を感じないレベルにヒータ25のヒータ温度の下限値を設定することで、ユーザの快適性を維持することが可能である。
【0125】
また、本体制御部12は、上述したヒータ温度の上限値の制御およびヒータ温度の下限値の制御を組み合せた制御を行ってもよい。この場合も、ヒータ25に通電する電力を抑制することができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0126】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。