【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書には式(I)の新規のアルケニル置換2,5−ピペラジンジオン、
【化1】
およびその塩が記載され、R
Lのそれぞれのものは独立して任意に置換されていてもよいC
6〜C
40アルケニルである。かかる化合物は、例えば改善されたヌクレオチド送達などの種々の応用にとって有用と見なされる。
【0008】
さらに、式(I)の化合物、剤(例えば、薬剤、診断剤、および/またはポリヌクレオチド、例えばsiRNA、mRNA、もしくはプラスミドDNA)、および、任意に添加剤(例えば、薬学的に許容し得る添加剤)を含む組成物(例えば、医薬組成物)が提供される。さらに、尚、剤を対象(例えば、対象の肝臓、肺、および/もしくは脾臓)または細胞に送達するために、ならびに疾患のある範囲、例えば遺伝子疾患、増殖性疾患、血液学的疾患、神経学的疾患、肝臓疾患、脾臓疾患、肺疾患、疼痛状態、精神医学的障害、筋骨格系疾患、代謝障害、炎症性疾患、または自己免疫疾患を処置および/または防止するために、組成物を用いる方法およびキットが提供される。
【0009】
いずれかの特定の理論によって拘束されることを望むものではないが、本明細書に記載される組成物は、ある態様において、対象(例えば、対象の肝臓、肺、および/もしくは脾臓)または細胞に剤を送達することにとって有用であると考えられる。さらにその上に、いずれかの特定の理論によって拘束されることを望むものではないが、プロトン化されて正荷電のアンモニウムカチオンを形成し得る1つよりも多くのアミノ部分を包含する式(I)の化合物は、負荷電部分を包含するポリヌクレオチドなどの剤に非共有結合的に結合して複合体を形成し得る。その上に、いずれかの特定の理論によって拘束されることを望むものではないが、式(I)の化合物は、4つのR
Lアルケニル部分を包含し、それらは式(I)の化合物および/または式(I)の化合物と剤との複合体が細胞膜を通り抜けるかまたは細胞によって取り込まれることを助け得る。
【0010】
それゆえに、1つの側面においては、その必要がある対象の疾患の処置または防止のために、式(I)の化合物もしくはその塩、または式(I)の化合物もしくはその塩および剤を含む組成物(例えば、医薬組成物)の使用の方法が提供される。ある態様において、剤はポリヌクレオチドである。ある態様において、疾患を処置する方法は、薬剤を包含する本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を対象に投与することを含む。ある態様において、疾患を防止する方法は、薬剤を包含する本明細書に記載される医薬組成物の予防有効量を対象に投与することを含む。ある態様において、記載される方法によって処置または防止される疾患は、遺伝子疾患、増殖性疾患、血液学的疾患、神経学的疾患、肝臓疾患、脾臓疾患、肺疾患、疼痛状態、精神医学的障害、泌尿生殖器系疾患、筋骨格系疾患、代謝障害、炎症性疾患、または自己免疫疾患である。ある態様において、疾患は血液学的疾患、例えば貧血である。ある態様において、疾患は肝癌、高コレステロール血症、不応性貧血、家族性アミロイドニューロパチー、または血友病である。ある態様において、組成物はエリスロポエチン(EPO)を剤として含む。ある態様において、処置または防止されるべき疾患は貧血であり、剤はエリスロポエチン(EPO)である。
【0011】
別の側面においては、剤を対象(例えば、対象の肝臓、肺、および/または脾臓)、細胞、または組織に送達する方法が提供され、本明細書に記載される組成物を対象または細胞に投与することを含む。ある態様において、剤を送達する方法は、剤を包含する本明細書に記載される組成物と細胞を接触させることを含む。細胞はインビトロまたはインビボであり得る。ある態様において、剤は非標的細胞への剤の送達と比較して選択的に標的細胞に送達される。ある態様において、剤は非標的組織への剤の送達と比較して選択的に標的組織に送達される。ある態様において、方法は、対象または細胞に対する剤の暴露を増大させる。ある態様において、方法は、対象または細胞における剤の濃度を増大させる。
【0012】
本開示の別の側面は、式(I)の化合物または本明細書に記載される組成物を有する容器を含むキットに関する。キットは組成物のシングルドーズまたはマルチドーズを包含し得る。キットは本明細書に記載される方法に有用であり得る。ある態様において、本開示のキットは、式(I)の化合物または組成物を対象に用いるための説明書をさらに包含する。
【0013】
別の側面においては、化合物のライブラリーをスクリーニングして、本明細書に記載される方法に有用である式(I)の1つ以上の化合物を同定する方法が提供される。スクリーニングの方法によって同定される化合物は、剤(例えば、ポリヌクレオチド)を対象(例えば、対象の肝臓、肺、および/または脾臓)または細胞に送達することに有用であり得る。スクリーニングの方法によって同定される化合物は、本明細書に記載される疾患を処置および/または防止することにもまた有用であり得る。
【0014】
本発明の1つ以上の態様の詳細が本明細書に示されている。本発明の他の特徴、目的、および利点は発明を実施するための形態、図面、実施例、および特許請求の範囲から明らかであろう。
【0015】
定義
化学的な定義
具体的な官能基および化学用語の定義が下でより詳細に記載される。化学元素はHandbook of Chemistry and Physics, 75
th Ed.内表紙の元素周期表CAS版に従って同定され、具体的な官能基はそこに記載される通りに一般的に定義される。加えて、有機化学の一般的な原理、ならびに具体的な官能部分および反応性はOrganic Chemistry, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito, 1999、Smith and March, March's Advanced Organic Chemistry, 5
th Edition, John Wiley & Sons, Inc., New York, 2001、Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers, Inc., New York, 1989、およびCarruthers, Some Modern Methods of Organic Synthesis, 3
rd Edition, Cambridge University Press, Cambridge, 1987に記載されている。
【0016】
本明細書に記載される化合物は1つ以上の不斉中心を含み得、それゆえに種々の異性体形態、例えばエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーで存在し得る。例えば、本明細書に記載される化合物は単体のエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは幾何異性体の形態であり得るか、または、ラセミ混合物および1つ以上の立体異性体が濃縮された混合物を包含する立体異性体の混合物の形態であり得る。異性体は当業者に公知の方法によって混合物から単離され得、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)ならびにキラル塩の形成および結晶化を包含する。または、好ましい異性体が不斉合成によって調製され得る。例えば、Jacques et al., Enantiomers, Racemates and Resolutions (Wiley Interscience, New York, 1981)、Wilen et al., Tetrahedron 33:2725 (1977)、Eliel, Stereochemistry of Carbon Compounds (McGraw-Hill, NY, 1962)、およびWilen, S.H. Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268 (E.L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN 1972)参照。加えて、本発明は、他の異性体を実質的に不含の単体の異性体としての、および代替的には種々の異性体の混合物としての、化合物を包摂する。
【0017】
別様に述べられていない限り、本明細書に図示される構造は、同位体が濃縮された1つ以上の原子の存在のみが異なる化合物を包含することもまた意味されている。例えば、デューテリウム(
2H)もしくはトリチウム(
3H)による水素(
1H)の置き換え、
18Fによる
19Fの置き換え、または
13Cもしくは
14Cが濃縮された炭素による炭素(
12C)の置き換えを除いては本構造を有する化合物は、本開示の範囲内である。かかる化合物は、例えば分析ツールまたは生物学的アッセイにおけるプローブとして有用である。
【0018】
値のある範囲が列記されるときには、それは範囲内のそれぞれの値および部分範囲を包摂することが意図される。例えば「C
1−6アルキル」はC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6、C
1−6、C
1−5、C
1−4、C
1−3、C
1−2、C
2−6、C
2−5、C
2−4、C
2−3、C
3−6、C
3−5、C
3−4、C
4−6、C
4−5、およびC
5−6アルキルを包摂することが意図される。
【0019】
本明細書において用いられるn−アルキル、n−アルケニル、およびn−アルキニル基は、「ノーマル」直鎖アルキル、直鎖アルケニル、および直鎖アルキニル鎖を言い、定められている炭素原子数はアルキル、アルケニル、およびアルキニル鎖中の直鎖状の炭素の数を言う。直鎖上の任意の置換は非アルキル、非アルケニル、および非アルキニル基、例えばハロゲン基に限定される。
【0020】
本明細書において用いられる「アルキル」は、1から40個の炭素原子を有する直鎖または分岐飽和炭化水素基のラジカルを言う(「C
1−40アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから30個の炭素原子を有する(「C
1−30アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから20個の炭素原子を有する(「C
1−20アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから10個の炭素原子を有する(「C
1−10アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから9つの炭素原子を有する(「C
1−9アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから8つの炭素原子を有する(「C
1−8アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから7つの炭素原子を有する(「C
1−7アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから6つの炭素原子を有する(「C
1−6アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから5つの炭素原子を有する(「C
1−5アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから4つの炭素原子を有する(「C
1−4アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから3つの炭素原子を有する(「C
1−3アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから2つの炭素原子を有する(「C
1−2アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つの炭素原子を有する(「C
1アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は2つから6つの炭素原子を有する(「C
2−6アルキル」)。C
1−6アルキル基の例は、メチル(C
1)、エチル(C
2)、n−プロピル(C
3)、イソプロピル(C
3)、n−ブチル(C
4)、tert−ブチル(C
4)、sec−ブチル(C
4)、イソブチル(C
4)、n−ペンチル(C
5)、3−ペンタニル(C
5)、アミル(C
5)、ネオペンチル(C
5)、3−メチル−2−ブタニル(C
5)、第3級アミル(C
5)、およびn−ヘキシル(C
6)を包含する。アルキル基の追加の例は、n−ヘプチル(C
7)、n−オクチル(C
8)、および同類を包含する。別様に定められていない限り、アルキル基のそれぞれのものは、独立して無置換であるか(「無置換アルキル」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換アルキル」)。ある態様において、アルキル基は無置換C
1−30アルキルである。ある態様において、アルキル基は置換C
1−30アルキルである。
【0021】
本明細書において用いられる「へテロアルキル」は、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される少なくとも1つのへテロ原子(例えば、1つから10個の、例えば、1つの、2つの、3つの、または4つのへテロ原子)を、主鎖中に(すなわち、その隣接炭素原子間に挿入されて)および/またはその1つ以上の末端位置(単数または複数)に置かれてさらに包含する、本明細書において定義されるアルキル基を言う。ある態様において、へテロアルキル基は、1つから40個の炭素原子と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基を言う(「へテロC
1−40アルキル」)。ある態様において、へテロアルキル基は1つから30個の炭素原子と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基を言う(「へテロC
1−30アルキル」)。ある態様において、ヘテロアルキル基は1つから20個の炭素原子と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基を言う(「へテロC
1−20アルキル」)。ある態様において、ヘテロアルキル基は1つから10個の炭素原子と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基を言う(「へテロC
1−10アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は1つから9つの炭素原子と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基である(「へテロC
1−9アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は1つから8つの炭素原子と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基である(「ヘテロC
1−8アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は1つから7つの炭素原子と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基である(「ヘテロC
1−7アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は1つから6つの炭素原子と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基である(「ヘテロC
1−6アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は1つから5つの炭素原子と1つまたは2つのへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基である(「ヘテロC
1−5アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は1つから4つの炭素原子と1つまたは2つのへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基である(「ヘテロC
1−4アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は1つから3つの炭素原子と1つのへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基である(「ヘテロC
1−3アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は1つから2つの炭素原と1つのへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基である(「ヘテロC
1−2アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は1つの炭素原子と1つのへテロ原子とを有する飽和基である(「ヘテロC
1アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は2つから6つの炭素原子と1つまたは2つのへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基である(「ヘテロC
2−6アルキル」)。別様に定められていない限り、ヘテロアルキル基のそれぞれのものは、独立して無置換であるか(「無置換へテロアルキル」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換へテロアルキル」)。ある態様において、ヘテロアルキル基は無置換ヘテロC
1−30アルキルである。ある態様において、ヘテロアルキル基は置換ヘテロC
1−30アルキルである。
【0022】
本明細書において用いられる「ハロアルキル」は、水素原子の1つ以上がハロゲン、例えばフルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードによって独立して置き換えられた本明細書において定義される置換アルキル基である。「ペルハロアルキル」はハロアルキルの下位集合であり、水素原子の全てがハロゲン、例えばフルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードによって独立して置き換えられたアルキル基を言う。いくつかの態様において、ハロアルキル部分は1つから8つの炭素原子を有する(「C
1−8ハロアルキル」)。いくつかの態様において、ハロアルキル部分は1つから6つの炭素原子を有する(「C
1−6ハロアルキル」)。いくつかの態様において、ハロアルキル部分は1つから4つの炭素原子を有する(「C
1−4ハロアルキル」)。いくつかの態様において、ハロアルキル部分は1つから3つの炭素原子を有する(「C
1−3ハロアルキル」)。いくつかの態様において、ハロアルキル部分は1つから2つの炭素原子を有する(「C
1−2ハロアルキル」)。いくつかの態様において、ハロアルキルの水素原子の全てはフルオロによって置き換えられてペルフルオロアルキル基を提供する。いくつかの態様において、ハロアルキルの水素原子の全てはクロロによって置き換えられて「ペルクロロアルキル」基を提供する。ハロアルキル基の例は、−CF
3、−CF
2CF
3、−CF
2CF
2CF
3、−CCl
3、−CFCl
2、−CF
2Cl、および同類を包含する。
【0023】
本明細書において用いられる「アルケニル」は、2つから40個の炭素原子と1つ以上の炭素−炭素二重結合(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの二重結合)とを有する直鎖または分岐炭化水素基のラジカルを言う(「C
2−40アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから30個の炭素原子を有する(「C
2−30アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから20個の炭素原子を有する(「C
2−20アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから10個の炭素原子を有する(「C
2−10アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから9つの炭素原子を有する(「C
2−9アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから8つの炭素原子を有する(「C
2−8アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから7つの炭素原子を有する(「C
2−7アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから6つの炭素原子を有する(「C
2−6アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから5つの炭素原子を有する(「C
2−5アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから4つの炭素原子を有する(「C
2−4アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから3つの炭素原子を有する(「C
2−3アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つの炭素原子を有する(「C
2アルケニル」)。1つ以上の炭素−炭素二重結合は、内部(例えば2−ブテニル中)または末端(例えば1−ブテニル中)であり得る。C
2−4アルケニル基の例はエテニル(C
2)、1−プロペニル(C
3)、2−プロペニル(C
3)、1−ブテニル(C
4)、2−ブテニル(C
4)、ブタジエニル(C
4)、および同類を包含する。C
2−6アルケニル基の例は、前述のC
2−4アルケニル基ならびにペンテニル(C
5)、ペンタジエニル(C
5)、ヘキセニル(C
6)、および同類を包含する。アルケニルの追加の例はヘプテニル(C
7)、オクテニル(C
8)、オクタトリエニル(C
8)、および同類を包含する。別様に定められていない限り、アルケニル基のそれぞれのものは独立して無置換であるか(「無置換アルケニル」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換アルケニル」)。ある態様において、アルケニル基は無置換C
2−30アルケニルである。ある態様において、アルケニル基は置換C
2−30アルケニルである。
【0024】
本明細書において用いられる「ヘテロアルケニル」は、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される少なくとも1つのへテロ原子(例えば、1つから25個の、例えば、1つの、2つの、3つの、または4つのへテロ原子)を、主鎖中に(すなわち、その隣接炭素原子間に挿入されて)および/またはその1つ以上の末端位置(単数または複数)に置かれてさらに含む、本明細書において定義されるアルケニル基を言う。ある態様において、へテロアルケニル基は、2つから40個の炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する基を言う(「ヘテロC
2−40アルケニル」)。ある態様において、へテロアルケニル基は、2つから30個の炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する基を言う(「ヘテロC
2−30アルケニル」)。ある態様において、へテロアルケニル基は、2つから20個の炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する基を言う(「ヘテロC
2−20アルケニル」)。ある態様において、へテロアルケニル基は、2つから10個の炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する基を言う(「ヘテロC
2−10アルケニル」)。いくつかの態様において、へテロアルケニル基は、2つから9つの炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する(「ヘテロC
2−9アルケニル」)。いくつかの態様において、へテロアルケニル基は2つから8つの炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する(「ヘテロC
2−8アルケニル」)。いくつかの態様において、へテロアルケニル基は2つから7つの炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する(「ヘテロC
2−7アルケニル」)。いくつかの態様において、へテロアルケニル基は2つから6つの炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する(「ヘテロC
2−6アルケニル」)。いくつかの態様において、へテロアルケニル基は、2つから5つの炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つまたは2つのへテロ原子とを主鎖中に有する(「ヘテロC
2−5アルケニル」)。いくつかの態様において、へテロアルケニル基は、2つから4つの炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つまたは2つのへテロ原子とを主鎖中に有する(「ヘテロC
2−4アルケニル」)。いくつかの態様において、へテロアルケニル基は2つから3つの炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つのへテロ原子とを主鎖中に有する(「ヘテロC
2−3アルケニル」)。いくつかの態様において、へテロアルケニル基は2つから6つの炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つまたは2つのへテロ原子とを主鎖中に有する(「ヘテロC
2−6アルケニル」)。別様に定められていない限り、へテロアルケニル基のそれぞれのものは独立して無置換であるか(「無置換へテロアルケニル」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換へテロアルケニル」)。ある態様において、へテロアルケニル基は無置換ヘテロC
2−30アルケニルである。ある態様において、へテロアルケニル基は置換ヘテロC
2−30アルケニルである。
【0025】
本明細書において用いられる「アルキニル」は、2つから40個の炭素原子と1つ以上の炭素−炭素三重結合(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの三重結合)と任意に1つ以上の二重結合(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの二重結合)とを有する直鎖または分岐炭化水素基のラジカルを言う(「C
2−40アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから30個の炭素原子を有する(「C
2−30アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから20個の炭素原子を有する(「C
2−20アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから10個の炭素原子を有する(「C
2−10アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから9つの炭素原子を有する(「C
2−9アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから8つの炭素原子を有する(「C
2−8アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから7つの炭素原子を有する(「C
2−7アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから6つの炭素原子を有する(「C
2−6アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから5つの炭素原子を有する(「C
2−5アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから4つの炭素原子を有する(「C
2−4アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから3つの炭素原子を有する(「C
2−3アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つの炭素原子を有する(「C
2アルキニル」)。1つ以上の炭素−炭素三重結合は、内部(例えば2−ブチニル中)または末端(例えば1−ブチニル中)であり得る。C
2−4アルキニル基の例は、限定なしに、エチニル(C
2)、1−プロピニル(C
3)、2−プロピニル(C
3)、1−ブチニル(C
4)、2−ブチニル(C
4)、および同類を包含する。C
2−6アルキニル(alkenyl)基の例は、前述のC
2−4アルキニル基ならびにペンチニル(C
5)、ヘキシニル(C
6)、および同類を包含する。アルキニルの追加の例は、ヘプチニル(C
7)、オクチニル(C
8)、および同類を包含する。別様に定められていない限り、アルキニル基のそれぞれのものは独立して無置換であるか(「無置換アルキニル」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換アルキニル」)。ある態様において、アルキニル基は無置換C
2−30アルキニルである。ある態様において、アルキニル基は置換C
2−30アルキニルである。
【0026】
本明細書において用いられる「ヘテロアルキニル」は、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される少なくとも1つのへテロ原子(例えば、1つから25個の、例えば、1つの、2つの、3つの、または4つのへテロ原子)を、主鎖中に(すなわち、その隣接炭素原子間に挿入されて)および/またはその1つ以上の末端位置(単数または複数)に置かれてさらに包含する、本明細書において定義されるアルキニル基を言う。ある態様において、ヘテロアルキニル基は、2つから40個の炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する基を言う(「ヘテロC
2−40アルキニル」)。ある態様において、ヘテロアルキニル基は、2つから30個の炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する基を言う(「へテロC
2−30アルキニル」)。ある態様において、ヘテロアルキニル基は、2つから20個の炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する基を言う(「へテロC
2−20アルキニル」)。ある態様において、ヘテロアルキニル基は、2つから10個の炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する基を言う(「へテロC
2−10アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は2つから9つの炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する(「へテロC
2−9アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は2つから8つの炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する(「へテロC
2−8アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は2つから7つの炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する(「へテロC
2−7アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は2つから6つの炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する(「へテロC
2−6アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は2つから5つの炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つまたは2つのへテロ原子とを主鎖中に有する(「へテロC
2−5アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は2つから4つの炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つまたは2つのへテロ原子とを主鎖中に有する(「へテロC
2−4アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は2つから3つの炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つのへテロ原子とを主鎖中に有する(「へテロC
2−3アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は2つから6つの炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つまたは2つのへテロ原子とを主鎖中に有する(「へテロC
2−6アルキニル」)。別様に定められていない限り、ヘテロアルキニル基のそれぞれのものは独立して無置換であるか(「無置換ヘテロアルキニル」) または1つ以上の置換基によって置換される(「置換ヘテロアルキニル」)。ある態様において、ヘテロアルキニル基は無置換ヘテロC
2−30アルキニルである。ある態様において、ヘテロアルキニル基は置換ヘテロC
2−30アルキニルである。
【0027】
本明細書において用いられる「カルボシクリル」または「炭素環式」は、3つから10個の環内炭素原子とゼロ個のヘテロ原子とを非芳香族環系中に有する非芳香族環式炭化水素基のラジカルを言う(「C
3−10カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は3つから8つの環内炭素原子を有する(「C
3−8カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は3つから7つの環内炭素原子を有する(「C
3−7カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は3つから6つの環内炭素原子を有する(「C
3−6カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は4つから6つの環内炭素原子を有する(「C
4−6カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は5つから6つの環内炭素原子を有する(「C
5−6カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は5つから10個の環内炭素原子を有する(「C
5−10カルボシクリル」)。例示的なC
3−6カルボシクリル基は、限定なしに、シクロプロピル(C
3)、シクロプロペニル(C
3)、シクロブチル(C
4)、シクロブテニル(C
4)、シクロペンチル(C
5)、シクロペンテニル(C
5)、シクロヘキシル(C
6)、シクロヘキセニル(C
6)、シクロヘキサジエニル(C
6)、および同類を包含する。例示的なC
3−8カルボシクリル基は、限定なしに、前述のC
3−6カルボシクリル基ならびにシクロヘプチル(C
7)、シクロヘプテニル(C
7)、シクロヘプタジエニル(C
7)、シクロヘプタトリエニル(C
7)、シクロオクチル(C
8)、シクロオクテニル(C
8)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル(C
7)、ビシクロ[2.2.2]オクタニル(C
8)、および同類を包含する。例示的なC
3−10カルボシクリル基は、限定なしに、前述のC
3−8カルボシクリル基ならびにシクロノニル(C
9)、シクロノネニル(C
9)、シクロデシル(C
10)、シクロデセニル(C
10)、オクタヒドロ−1H−インデニル(C
9)、デカヒドロナフタレニル(C
10)、スピロ[4.5]デカニル(C
10)、および同類を包含する。先述の例が例示しているように、ある態様において、カルボシクリル基は単環式(「単環式カルボシクリル」)または多環式(例えば、二環式系(「二環式カルボシクリル」)もしくは三環式系(「三環式カルボシクリル」)などの縮合、架橋、もしくはスピロ環系を含有する)どちらかであり、飽和であり得るか、または1つ以上の炭素−炭素二重もしくは三重結合を含有し得る。「カルボシクリル」は、取り付けの点がカルボシクリル環上にある、上で定義されているカルボシクリル環が1つ以上のアリールまたはヘテロアリール基と縮合した環系をもまた包含し、かかる場合に、炭素数は引き続いて炭素環式環系中の炭素数を指定する。別様に定められていない限り、カルボシクリル基のそれぞれのものは、独立して無置換であるか(「無置換カルボシクリル」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換カルボシクリル」)。ある態様において、カルボシクリル基は無置換C
3−10カルボシクリルである。ある態様において、カルボシクリル基は置換C
3−10カルボシクリルである。
【0028】
いくつかの態様において、「カルボシクリル」または「炭素環式」は、3つから10個の環内炭素原子を有する「シクロアルキル」、すなわち単環式の飽和カルボシクリル基ともまた言われる(「C
3−10シクロアルキル」)。いくつかの態様において、シクロアルキル基は3つから8つの環内炭素原子を有する(「C
3−8シクロアルキル」)。いくつかの態様において、シクロアルキル基は3つから6つの環内炭素原子を有する(「C
3−6シクロアルキル」)。いくつかの態様において、シクロアルキル基は4つから6つの環内炭素原子を有する(「C
4−6シクロアルキル」)。いくつかの態様において、シクロアルキル基は5つから6つの環内炭素原子を有する(「C
5−6シクロアルキル」)。いくつかの態様において、シクロアルキル基は5つから10個の環内炭素原子を有する(「C
5−10シクロアルキル」)。C
5−6シクロアルキル基の例はシクロペンチル(C
5)およびシクロヘキシル(C
5)を包含する。C
3−6シクロアルキル基の例は、前述のC
5−6シクロアルキル基ならびにシクロプロピル(C
3)およびシクロブチル(C
4)を包含する。C
3−8シクロアルキル基の例は、前述のC
3−6シクロアルキル基ならびにシクロヘプチル(C
7)およびシクロオクチル(C
8)を包含する。別様に定められていない限り、シクロアルキル基のそれぞれのものは独立して無置換であるか(「無置換シクロアルキル」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換シクロアルキル」)。ある態様において、シクロアルキル基は無置換C
3−10シクロアルキルである。ある態様において、シクロアルキル基は置換C
3−10シクロアルキルである。
【0029】
本明細書において用いられる「ヘテロシクリル」または「ヘテロ環式」は、環内炭素原子と1つ以上の(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの)環内へテロ原子とを有する3から14員非芳香族環系のラジカルを言い、それぞれのへテロ原子は独立して酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される(「3〜14員ヘテロシクリル」)。1つ以上の窒素原子を含有するヘテロシクリル基において、取り付けの点は、原子価が許容する炭素または窒素原子であり得る。ヘテロシクリル基は、単環式(「単環式ヘテロシクリル」)または多環式(例えば、二環式系(「二環式ヘテロシクリル」)もしくは三環式系(「三環式ヘテロシクリル」)などの縮合、架橋、もしくはスピロ環系)どちらかであり得、飽和であり得るかまたは1つ以上の炭素−炭素二重もしくは三重結合を含有し得る。ヘテロシクリル多環式環系は1つまたは両方の環中に1つ以上のヘテロ原子を包含し得る。「ヘテロシクリル」は、取り付けの点がカルボシクリル上もしくはヘテロシクリル環上どちらかにある、上で定義されているヘテロシクリル環が1つ以上のカルボシクリル基と縮合した環系、または取り付けの点がヘテロシクリル環上にある、上で定義されているヘテロシクリル環が1つ以上のアリールもしくはヘテロアリール基と縮合した環系をもまた包含し、かかる場合に、環員数は引き続いてヘテロシクリル環系中の環員数を指定する。別様に定められていない限り、ヘテロシクリルのそれぞれのものは独立して無置換であるか(「無置換ヘテロシクリル」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換ヘテロシクリル」)。ある態様において、ヘテロシクリル基は無置換3〜14員ヘテロシクリルである。ある態様において、ヘテロシクリル基は置換3〜14員ヘテロシクリルである。
【0030】
いくつかの態様において、ヘテロシクリル基は、環内炭素原子と1つ以上の(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの)環内へテロ原子とを有する5〜10員非芳香族環系であり、それぞれのへテロ原子は独立して酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される(「5〜10員ヘテロシクリル」)。いくつかの態様において、ヘテロシクリル基は、環内炭素原子と1つ以上の(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの)環内へテロ原子とを有する5〜8員非芳香族環系であり、それぞれのへテロ原子は独立して酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される(「5〜8員ヘテロシクリル」)。いくつかの態様において、ヘテロシクリル基は、環内炭素原子と1つ以上の(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの)環内へテロ原子とを有する5〜6員非芳香族環系であり、それぞれのへテロ原子は独立して酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される(「5〜6員ヘテロシクリル」)。いくつかの態様において、5〜6員ヘテロシクリルは、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される1つ以上の(例えば、1つの、2つの、または3つの)環内へテロ原子を有する。いくつかの態様において、5〜6員ヘテロシクリルは、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される1つまたは2つの環内へテロ原子を有する。いくつかの態様において、5〜6員ヘテロシクリルは、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される1つの環内へテロ原子を有する。
【0031】
1つのへテロ原子を含有する例示的な3員ヘテロシクリル基は、限定なしに、アジリジニル(azirdinyl)、オキシラニル、チオレニルを包含する。1つのへテロ原子を含有する例示的な4員ヘテロシクリル基は、限定なしに、アゼチジニル、オキセタニル、およびチエタニルを包含する。1つのへテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基は、限定なしに、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリル、およびピロリル−2,5−ジオンを包含する。2つのへテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基は、限定なしに、ジオキソラニル、オキサチオラニル、およびジチオラニルを包含する。3つのへテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基は、限定なしに、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル、およびチアジアゾリニルを包含する。1つのへテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基は、限定なしに、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、およびチアニルを包含する。2つのへテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基は、限定なしに、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル、ジオキサニルを包含する。3つのへテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基は、限定なしに、トリアジナニルを包含する。1つのへテロ原子を含有する例示的な7員ヘテロシクリル基は、限定なしに、アゼパニル、オキセパニル、およびチエパニルを包含する。1つのへテロ原子を含有する例示的な8員ヘテロシクリル基は、限定なしに、アゾカニル、オキセカニル、およびチオカニルを包含する。例示的な二環式ヘテロシクリル基は、限定なしに、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、テトラヒドロベンゾチエニル、テトラヒドロベンゾフラニル、テトラヒドロインドリル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、オクタヒドロクロメニル、オクタヒドロイソクロメニル、デカヒドロナフチリジニル、デカヒドロ−1,8−ナフチリジニル、オクタヒドロピロロ[3,2−b]ピロール、インドリニル、フタルイミジル、ナフタルイミジル、クロマニル、クロメニル、1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピニル、1,4,5,7−テトラヒドロピラノ[3,4−b]ピロリル、5,6−ジヒドロ−4H−フロ[3,2−b]ピロリル、6,7−ジヒドロ−5H−フロ[3,2−b]ピラニル、5,7−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−c]ピラニル、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジニル、2,3−ジヒドロフロ[2,3−b]ピリジニル、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピロロ−[2,3−b]ピリジニル、4,5,6,7−テトラヒドロフロ[3,2−c]ピリジニル、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−b]ピリジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジニル、および同類を包含する。
【0032】
本明細書において用いられる「アリール」は、芳香族環系中に提供された6つ〜14個の環内炭素原子とゼロ個のヘテロ原子とを有する、単環式または多環式(例えば二環式または三環式)4n+2芳香族環系(例えば、環式アレイ中に共有された6つ、10個、または14個のπ電子を有する)のラジカルを言う(「C
6−14アリール」)。いくつかの態様において、アリール基は6つの環内炭素原子を有する(「C
6アリール」、例えばフェニル)。いくつかの態様において、アリール基は10個の環内炭素原子を有する(「C
10アリール」、例えば1−ナフチルおよび2−ナフチルなどのナフチル)。いくつかの態様において、アリール基は14個の環内炭素原子を有する(「C
14アリール」、例えばアントラセニル(anthracyl))。「アリール」は、ラジカルまたは取り付けの点がアリール環上にある、上で定義されているアリール環が1つ以上のカルボシクリルまたはヘテロシクリル基と縮合した環系をもまた包含し、かかる場合に、炭素原子数は引き続いてアリール環系中の炭素原子数を指定する。別様に定められていない限り、アリール基のそれぞれのものは独立して無置換であるか(「無置換アリール」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換アリール」)。ある態様において、アリール基は無置換C
6−14アリールである。ある態様において、アリール基は置換C
6−14アリールである。
【0033】
「アラルキル」は本明細書において定義されるアルキルおよびアリールの下位集合であり、任意に置換されていてもよいアリール基によって置換された任意に置換されていてもよいアルキル基を言う。ある態様において、アラルキルは任意に置換されていてもよいベンジルである。ある態様において、アラルキルはベンジルである。ある態様において、アラルキルは任意に置換されていてもよいフェネチルである。ある態様において、アラルキルはフェネチルである。
【0034】
本明細書において用いられる「ヘテロアリール」は、芳香族環系中に提供された環内炭素原子と1つ以上の(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの環内へテロ原子)環内ヘテロ原子とを有する、5〜14員単環式または多環式(例えば二環式もしくは三環式)4n+2芳香族環系(例えば、環式アレイ中に共有された6つ、10個、または14個のπ電子を有する)のラジカルを言い、それぞれのヘテロ原子は独立して酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される(「5〜14員ヘテロアリール」)。1つ以上の窒素原子を含有するヘテロアリール基において、取り付けの点は原子価が許容する炭素または窒素原子であり得る。ヘテロアリール多環式環系は1つまたは両方の環中に1つ以上のへテロ原子を包含し得る。「ヘテロアリール」は、取り付けの点がヘテロアリール環上にある、上で定義されているヘテロアリール環が1つ以上のカルボシクリルまたはヘテロシクリル基と縮合した環系を包含し、かかる場合に、環員数は引き続いてヘテロアリール環系中の環員数を指定する。「ヘテロアリール」は、取り付けの点がアリールまたはヘテロアリール環上どちらかにある、上で定義されているヘテロアリール環が1つ以上のアリール基と縮合した環系をもまた包含し、かかる場合に、環員数は縮合多環式(アリール/ヘテロアリール)環系中の環員数を指定する。1つの環がヘテロ原子を含有しない多環式ヘテロアリール基(例えばインドリル、キノリニル、カルバゾリル、および同類)では、取り付けの点はどちらかの環、すなわちヘテロ原子を持っている環上(例えば2−インドリル)またはヘテロ原子を含有しない環上(例えば5−インドリル)どちらかにあり得る。
【0035】
いくつかの態様において、ヘテロアリール基は、芳香族環系中に提供された環内炭素原子と1つ以上の(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの)環内ヘテロ原子とを有する5〜10員芳香族環系であり、それぞれのヘテロ原子は独立して酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される(「5〜10員ヘテロアリール」)。いくつかの態様において、ヘテロアリール基は、芳香族環系中に提供された環内炭素原子と1つ以上の(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの)環内ヘテロ原子とを有する5〜8員芳香族環系であり、それぞれのヘテロ原子は独立して酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される(「5〜8員ヘテロアリール」)。いくつかの態様において、ヘテロアリール基は、芳香族環系中に提供された環内炭素原子と1つ以上の(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの)環内ヘテロ原子とを有する5〜6員芳香族環系であり、それぞれのヘテロ原子は独立して酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される(「5〜6員ヘテロアリール」)。いくつかの態様において、5〜6員ヘテロアリールは、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される1つ以上の(例えば、1つの、2つの、または3つの)環内へテロ原子を有する。いくつかの態様において、5〜6員ヘテロアリールは、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される1つまたは2つの環内へテロ原子を有する。いくつかの態様において、5〜6員ヘテロアリールは、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される1つの環内へテロ原子を有する。別様に定められていない限り、ヘテロアリール基のそれぞれのものは独立して無置換であるか(「無置換ヘテロアリール」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換ヘテロアリール」)。ある態様において、ヘテロアリール基は無置換5〜14員ヘテロアリールである。ある態様において、ヘテロアリール基は置換5〜14員ヘテロアリールである。
【0036】
1つのヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基は、限定なしに、ピロリル、フラニル、およびチオフェニルを包含する。2つのヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基は、限定なしに、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、およびイソチアゾリルを包含する。3つのヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基は、限定なしに、トリアゾリル、オキサジアゾリル、およびチアジアゾリルを包含する。4つのヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基は、限定なしにテトラゾリルを包含する。1つのヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基は、限定なしにピリジニルを包含する。2つのヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基は、限定なしに、ピリダジニル、ピリミジニル、およびピラジニルを包含する。3つまたは4つのヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基は、限定なしに、それぞれトリアジニルおよびテトラジニルを包含する。1つのヘテロ原子を含有する例示的な7員ヘテロアリール基は、限定なしに、アゼピニル、オキセピニル、およびチエピニルを包含する。例示的な5,6−二環式ヘテロアリール基は、限定なしに、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイソフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、インドリジニル、およびプリニルを包含する。例示的な6,6−二環式ヘテロアリール基は、限定なしに、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノキサリニル、フタラジニル、およびキナゾリニルを包含する。例示的な三環式ヘテロアリール基は、限定なしに、フェナントリジニル、ジベンゾフラニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、およびフェナジニルを包含する。
【0037】
「ヘテロアラルキル」は本明細書において定義されるアルキルおよびヘテロアリールの下位集合であり、任意に置換されていてもよいヘテロアリール基によって置換された任意に置換されていてもよいアルキル基を言う。
【0038】
本明細書において用いられる用語「部分不飽和」は、少なくとも1つの二重または三重結合を包含する環部分を言う。用語「部分不飽和」は、複数の不飽和部位を有する環を包摂することを意図されているが、本明細書において定義される芳香族基(例えば、アリールまたはヘテロアリール部分)を包含することは意図されていない。
【0039】
本明細書において用いられる用語「飽和」は、二重または三重結合を含有しない環部分を言い、すなわち環は全て単結合を含有する。
【0040】
二価架橋基である本明細書において定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、へテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリール基は、さらに接尾辞エンを用いて言われ、例えばアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、へテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、カルボシクリレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、およびヘテロアリーレンである。
【0041】
用語「任意に置換されていてもよい」は置換または無置換を言う。
【0042】
上から理解されるように、本明細書において定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、へテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリール基は任意に置換されていてもよい(例えば、「置換」もしくは「無置換」アルキル、「置換」もしくは「無置換」アルケニル、「置換」もしくは「無置換」アルキニル、「置換」もしくは「無置換」ヘテロアルキル、「置換」もしくは「無置換」へテロアルケニル、「置換」もしくは「無置換」ヘテロアルキニル、「置換」もしくは「無置換」カルボシクリル、「置換」もしくは「無置換」ヘテロシクリル、「置換」もしくは「無置換」アリール、または「置換」もしくは「無置換」ヘテロアリール基)。一般的に、用語「置換」は、ある基の上に存在する少なくとも1つの水素が、許容される置換基、例えば、安定な化合物、例えば転位、環化、脱離、または他の反応などによる変換を自発的に受けない化合物を置換によってもたらす置換基によって置き換えられるということを意味する。別様に示されていない限り、「置換」された基は基の1つ以上の置換可能な位置に置換基を有し、いずれかの所与の構造中の1つよりも多くの位置が置換されるときには、置換基はそれぞれの位置において同じであるかまたは異なるかどちらかである。用語「置換」は、有機化合物の全ての許容される置換基、安定な化合物の形成をもたらす本明細書に記載される置換基のいずれかによる置換を包含することが企図される。本発明は、安定な化合物に到達するためのいずれかおよび全てのかかる組み合わせを企図する。本発明の目的のためには、窒素などのへテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満足しかつ安定な部分の形成をもたらす水素置換基および/または本明細書に記載されるいずれかの好適な置換基を有し得る。
【0043】
例示的な置換基は、ハロゲン、−CN、−NO
2、−N
3、−SO
2H、−SO
3H、−OH、−OR
aa、−ON(R
bb)
2、−N(R
bb)
2、−N(R
bb)
3+X、−N(OR
cc)R
bb、−SeH、−SeR
aa、−SH、−SR
aa、−SSR
cc、−C(=O)R
aa、−CO
2H、−CHO、−C(OR
cc)
2、−CO
2R
aa、−OC(=O)R
aa、−OCO
2R
aa、−C(=O)N(R
bb)
2、−OC(=O)N(R
bb)
2、−NR
bbC(=O)R
aa、−NR
bbCO
2R
aa、−NR
bbC(=O)N(R
bb)
2、−C(=NR
bb)R
aa、−C(=NR
bb)OR
aa、−OC(=NR
bb)R
aa、−OC(=NR
bb)OR
aa、−C(=NR
bb)N(R
bb)
2、−OC(=NR
bb)N(R
bb)
2、−NR
bbC(=NR
bb)N(R
bb)
2、−C(=O)NR
bbSO
2R
aa、−NR
bbSO
2R
aa、−SO
2N(R
bb)
2、−SO
2R
aa、−SO
2OR
aa、−OSO
2R
aa、−S(=O)R
aa、−OS(=O)R
aa、−Si(R
aa)
3、−OSi(R
aa)
3−C(=S)N(R
bb)
2、−C(=O)SR
aa、−C(=S)SR
aa、−SC(=S)SR
aa、−SC(=O)SR
aa、−OC(=O)SR
aa、−SC(=O)OR
aa、−SC(=O)R
aa、C
1−10アルキル、C
2−10アルケニル、C
2−10アルキニル、C
3−10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C
6−14アリール、および5〜14員ヘテロアリールを包含するが、これに限定されず、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、もしくは5つのR
dd基によって置換されるか、
または、炭素原子上の2つのジェミナル水素が基=O、=S、=NN(R
bb)
2、=NNR
bbC(=O)R
aa、=NNR
bbC(=O)OR
aa、=NNR
bbS(=O)
2R
aa、=NR
bb、もしくは=NOR
ccによって置き換えられ、
R
aaのそれぞれのものは独立してC
1−10アルキル、C
2−10アルケニル、C
2−10アルキニル、C
3−10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C
6−14アリール、および5〜14員ヘテロアリールから選択されるか、または2つのR
aa基が連結されて3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、または5つのR
dd基によって置換され、
R
bbのそれぞれのものは独立して水素、−OH、−OR
aa、−N(R
cc)
2、−CN、−C(=O)R
aa、−C(=O)N(R
cc)
2、−CO
2R
aa、−SO
2R
aa、−C(=NR
cc)OR
aa、−C(=NR
cc)N(R
cc)
2、−SO
2N(R
cc)
2、−SO
2R
cc、−SO
2OR
cc、−SOR
aa、−C(=S)N(R
cc)
2、−C(=O)SR
cc、−C(=S)SR
cc、C
1−10アルキル、C
2−10アルケニル、C
2−10アルキニル、C
3−10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C
6−14アリール、および5〜14員ヘテロアリールから選択されるか、または2つのR
bb基が連結されて3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、または5つのR
dd基によって置換され、
R
ccのそれぞれのものは独立して水素、C
1−10アルキル、C
2−10アルケニル、C
2−10アルキニル、C
3−10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C
6−14アリール、および5〜14員ヘテロアリールから選択されるか、または2つのR
cc基が連結されて3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、または5つのR
dd基によって置換され、
R
ddのそれぞれのものは独立してハロゲン、−CN、−NO
2、−N
3、−SO
2H、−SO
3H、−OH、−OR
ee、−ON(R
ff)
2、−N(R
ff)
2、−N(R
ff)
3+X、−N(OR
ee)R
ff、−SH、−SR
ee、−SSR
ee、−C(=O)R
ee、−CO
2H、−CO
2R
ee、−OC(=O)R
ee、−OCO
2R
ee、−C(=O)N(R
ff)
2、−OC(=O)N(R
ff)
2、−NR
ffC(=O)R
ee、−NR
ffCO
2R
ee、−NR
ffC(=O)N(R
ff)
2、−C(=NR
ff)OR
ee、−OC(=NR
ff)R
ee、−OC(=NR
ff)OR
ee、−C(=NR
ff)N(R
ff)
2、−OC(=NR
ff)N(R
ff)
2、−NR
ffC(=NR
ff)N(R
ff)
2、−NR
ffSO
2R
ee、−SO
2N(R
ff)
2、−SO
2R
ee、−SO
2OR
ee、−OSO
2R
ee、−S(=O)R
ee、−Si(R
ee)
3、−OSi(R
ee)
3、−C(=S)N(R
ff)
2、−C(=O)SR
ee、−C(=S)SR
ee、−SC(=S)SR
ee、C
1−10アルキル、C
2−10アルケニル、C
2−10アルキニル、C
3−10カルボシクリル、3〜10員ヘテロシクリル、C
6−10アリール、5〜10員ヘテロアリールから選択され、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、もしくは5つのR
gg基によって置換されるか、または2つのジェミナルR
dd置換基が連結されて=Oもしくは=Sを形成し得、
R
eeのそれぞれのものは独立してC
1−10アルキル、C
2−10アルケニル、C
2−10アルキニル、C
3−10カルボシクリル、C
6−10アリール、3〜10員ヘテロシクリル、および3〜10員ヘテロアリールから選択され、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、または5つのR
gg基によって置換され、
R
ffのそれぞれのものは独立して水素、C
1−10アルキル、C
2−10アルケニル、C
2−10アルキニル、C
3−10カルボシクリル、3〜10員ヘテロシクリル、C
6−10アリール、および5〜10員ヘテロアリールから選択されるか、または2つのR
ff基が連結されて3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、または5つのR
gg基によって置換され、
R
ggのそれぞれのものは独立してハロゲン、−CN、−NO
2、−N
3、−SO
2H、−SO
3H、−OH、−OC
1−10アルキル、−ON(C
1−10アルキル)
2、−N(C
1−10アルキル)
2、−N(C
1−10アルキル)
3+X
−、−NH(C
1−10アルキル)
2+X
−、−NH
2(C
1−10アルキル)
+X
−、−NH
3+X
−、−N(OC
1−10アルキル)(C
1−10アルキル)、−N(OH)(C
1−10アルキル)、−NH(OH)、−SH、−SC
1−10アルキル、−SS(C
1−10アルキル)、−C(=O)(C
1−10アルキル)、−CO
2H、−CO
2(C
1−10アルキル)、−OC(=O)(C
1−10アルキル)、−OCO
2(C
1−10アルキル)、−C(=O)NH
2、−C(=O)N(C
1−10アルキル)
2、−OC(=O)NH(C
1−10アルキル)、−NHC(=O)(C
1−10アルキル)、−N(C
1−10アルキル)C(=O)(C
1−10アルキル)、−NHCO
2(C
1−10アルキル)、−NHC(=O)N(C
1−10アルキル)
2、−NHC(=O)NH(C
1−10アルキル)、−NHC(=O)NH
2、−C(=NH)O(C
1−10アルキル)、−OC(=NH)(C
1−10アルキル)、−OC(=NH)OC
1−10アルキル、−C(=NH)N(C
1−10アルキル)
2、−C(=NH)NH(C
1−10アルキル)、−C(=NH)NH
2、−OC(=NH)N(C
1−10アルキル)
2、−OC(NH)NH(C
1−10アルキル)、−OC(NH)NH
2、−NHC(NH)N(C
1−10アルキル)
2、−NHC(=NH)NH
2、−NHSO
2(C
1−10アルキル)、−SO
2N(C
1−10アルキル)
2、−SO
2NH(C
1−10アルキル)、−SO
2NH
2、−SO
2C
1−10アルキル、−SO
2OC
1−10アルキル、−OSO
2C
1−10アルキル、−SOC
1−10アルキル、−Si(C
1−10アルキル)
3、−OSi(C
1−10アルキル)
3−C(=S)N(C
1−10アルキル)
2、C(=S)NH(C
1−10アルキル)、C(=S)NH
2、−C(=O)S(C
1−10アルキル)、−C(=S)SC
1−10アルキル、−SC(=S)SC
1−10アルキル、C
1−10アルキル、C
2−10アルケニル、C
2−10アルキニル、C
3−10カルボシクリル、C
6−10アリール、3〜10員ヘテロシクリル、5〜10員ヘテロアリールであるか、または2つのジェミナルR
gg置換基が連結されて=Oもしくは=Sを形成し得、
X
−は対イオンである。
【0044】
ある態様において、1つ以上の置換基は、ハロゲン、−CN、−NO
2、−N
3、−SO
2H、−SO
3H、−OH、−OR
aa、−N(R
bb)
2、−SH、−SR
aa、−C(=O)R
aa、−CO
2H、−CHO、−CO
2R
aa、−OC(=O)R
aa、−OCO
2R
aa、−C(=O)N(R
bb)
2、−OC(=O)N(R
bb)
2、−NR
bbC(=O)R
aa、−NR
bbCO
2R
aa、−NR
bbC(=O)N(R
bb)
2、−C(=O)NR
bbSO
2R
aa、−NR
bbSO
2R
aa、−SO
2N(R
bb)
2、−SO
2R
aa、−SO
2OR
aa、−S(=O)R
aa、−Si(R
aa)
3、−OSi(R
aa)
3−C(=O)SR
aa、−OC(=O)SR
aa、−SC(=O)OR
aa、−SC(=O)R
aa、C
1−10アルキル、C
2−10アルケニル、C
2−10アルキニル、C
3−6カルボシクリル、3〜6員ヘテロシクリル、C
6アリール、および5〜6員ヘテロアリールからなる群から選択され、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、または5つのR
dd基によって置換される。
【0045】
本明細書において用いられる用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ、−F)、塩素(クロロ、−Cl)、臭素(ブロモ、−Br)、またはヨウ素(ヨード、−I)を言う。
【0046】
本明細書において用いられる「対イオン」は、電子的中性を維持するために正荷電の第4級アミンと結びついた負荷電基である。例示的な対イオンは、ハロゲン化物イオン(例えば、F
−、Cl
−、Br
−、I
−)、NO
3−、ClO
4−、OH
−、H
2PO
4−、HSO
4−、スルホン酸イオン(例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、10−カンファースルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1−スルホン酸−5−スルホン酸、エタン−1−スルホン酸−2−スルホン酸、および同類)、およびカルボン酸イオン(例えば、酢酸、エタン酸、プロパン酸、安息香酸、グリセリン酸、乳酸、酒石酸、グリコール酸、および同類)を包含する。
【0047】
本明細書において用いられる用語「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」は基−OHを言う。拡張して、用語「置換ヒドロキシル」または「置換ヒドロキシ(hydroxyl)」は、親分子に直接的に取り付けられた酸素原子が水素以外の基によって置換されたヒドロキシル基を言い、−OR
aa、−ON(R
bb)
2、−OC(=O)SR
aa、−OC(=O)R
aa、−OCO
2R
aa、−OC(=O)N(R
bb)
2、−OC(=NR
bb)R
aa、−OC(=NR
bb)OR
aa、−OC(=NR
bb)N(R
bb)
2、−OS(=O)R
aa、−OSO
2R
aa、および−OSi(R
aa)
3から選択される基を包含し、R
aa、R
bb、およびR
ccは本明細書において定義される通りである。
【0048】
本明細書において用いられる用語「チオール」または「チオ」は基−SHを言う。拡張して、用語「置換チオール」または「置換チオ」は、親分子に直接的に取り付けられた硫黄原子が水素以外の基によって置換されたチオール基を言い、−SR
aa、−S=SR
cc、−SC(=S)SR
aa、−SC(=O)SR
aa、−SC(=O)OR
aa、および−SC(=O)R
aaから選択される基を包含し、R
aaおよびR
ccは本明細書において定義される通りである。
【0049】
本明細書において用いられる用語「アミノ」は基−NH
2を言う。拡張して、用語「置換アミノ」は、本明細書において定義される一置換アミノ、二置換アミノ、または三置換アミノを言う。ある態様において、「置換アミノ」は一置換アミノまたは二置換アミノ基である。
【0050】
本明細書において用いられる用語「一置換アミノ」は、親分子に直接的に取り付けられた窒素原子が1つの水素および水素以外の1つの基によって置換されたアミノ基を言い、−NH(R
bb)、−NHC(=O)R
aa、−NHCO
2R
aa、−NHC(=O)N(R
bb)
2、−NHC(=NR
bb)N(R
bb)
2、および−NHSO
2R
aaから選択される基を包含し、R
aa、R
bb、およびR
ccは本明細書において定義される通りであり、基−NH(R
bb)のR
bbは水素ではない。
【0051】
本明細書において用いられる用語「二置換アミノ」は、親分子に直接的に取り付けられた窒素原子が水素以外の2つの基によって置換されたアミノ基を言い、−N(R
bb)
2、−NR
bbC(=O)R
aa、−NR
bbCO
2R
aa、−NR
bbC(=O)N(R
bb)
2、−NR
bbC(=NR
bb)N(R
bb)
2、および−NR
bbSO
2R
aaから選択される基を包含し、R
aa、R
bb、およびR
ccは本明細書において定義される通りであり、ただし親分子に直接的に取り付けられた窒素原子は水素によって置換されていない。
【0052】
本明細書において用いられる用語「三置換アミノ」は、親分子に直接的に取り付けられた窒素原子が3つの基によって置換されたアミノ基を言い、−N(R
bb)
3および−N(R
bb)
3+X
−から選択される基を包含し、R
bbおよびX
−は本明細書において定義される通りである。
【0053】
本明細書において用いられる用語「アシル」は、親分子に直接的に取り付けられた炭素がsp
2混成しており、かつ酸素、窒素、または硫黄原子によって置換された基、例えば、ケトン(−C(=O)R
aa)、カルボン酸(−CO
2H)、アルデヒド(−CHO)、エステル(−CO
2R
aa、−C(=O)SR
aa、−C(=S)SR
aa)、アミド(−C(=O)N(R
bb)
2、−C(=O)NR
bbSO
2R
aa、−C(=S)N(R
bb)
2)、およびイミン(−C(=NR
bb)R
aa、−C(=NR
bb)OR
aa)、−C(=NR
bb)N(R
bb)
2)から選択される基を言い、R
aaおよびR
bbは本明細書において定義される通りである。
【0054】
窒素原子は原子価が許容する置換または無置換であり得、第1級、第2級、第3級、および第4級窒素原子を包含する。例示的な窒素原子置換基は水素、−OH、−OR
aa、−N(R
cc)
2、−CN、−C(=O)R
aa、−C(=O)N(R
cc)
2、−CO
2R
aa、−SO
2R
aa、−C(=NR
bb)R
aa、−C(=NR
cc)OR
aa、−C(=NR
cc)N(R
cc)
2、−SO
2N(R
cc)
2、−SO
2R
cc、−SO
2OR
cc、−SOR
aa、−C(=S)N(R
cc)
2、−C(=O)SR
cc、−C(=S)SR
cc、C
1−10アルキル、C
2−10アルケニル、C
2−10アルキニル、C
3−10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C
6−14アリール、および5〜14員ヘテロアリールを包含するが、これに限定されず、または、N原子に取り付けられた2つのR
cc基が連結されて3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、または5つのR
dd基によって置換され、R
aa、R
bb、R
cc、およびR
ddは上で定義されている通りである。
【0055】
窒素原子は原子価が許容する置換または無置換であり得、第1級、第2級、第3級、および第4級窒素原子を包含する。例示的な窒素原子置換基は水素、−OH、−OR
aa、−N(R
cc)
2、−CN、−C(=O)R
aa、−C(=O)N(R
cc)
2、−CO
2R
aa、−SO
2R
aa、−C(=NR
bb)R
aa、−C(=NR
cc)OR
aa、−C(=NR
cc)N(R
cc)
2、−SO
2N(R
cc)
2、−SO
2R
cc、−SO
2OR
cc、−SOR
aa、−C(=S)N(R
cc)
2、−C(=O)SR
cc、−C(=S)SR
cc、C
1−10アルキル、C
1−10ペルハロアルキル、C
2−10アルケニル、C
2−10アルキニル、C
3−10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C
6−14アリール、および5〜14員ヘテロアリールを包含するが、これに限定されず、または、窒素原子に取り付けられた2つのR
cc基が連結されて3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、または5つのR
dd基によって置換され、R
aa、R
bb、R
cc、およびR
ddは上で定義されている通りである。
【0056】
ある態様において、窒素原子上に存在する置換基は窒素保護基である(アミノ保護基ともまた言われる)。窒素保護基は、−OH、−OR
aa、−N(R
cc)
2、−C(=O)R
aa、−C(=O)N(R
cc)
2、−CO
2R
aa、−SO
2R
aa、−C(=NR
cc)R
aa、−C(=NR
cc)OR
aa、−C(=NR
cc)N(R
cc)
2、−SO
2N(R
cc)
2、−SO
2R
cc、−SO
2OR
cc、−SOR
aa、−C(=S)N(R
cc)
2、−C(=O)SR
cc、−C(=S)SR
cc、C
1−10アルキル(例えば、アラルキル、ヘテロアラルキル)、C
2−10アルケニル、C
2−10アルキニル、C
3−10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C
6−14アリール、および5〜14員ヘテロアリール基を包含するが、これに限定されず、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アラルキル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、または5つのR
dd基によって置換され、R
aa、R
bb、R
cc、およびR
ddは本明細書において定義される通りである。窒素保護基は当分野において周知であり、参照によって本明細書に組み込まれるProtecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3
rd edition, John Wiley & Sons, 1999に詳細に記載されているものを包含する。
【0057】
例えば、アミド基などの窒素保護基(例えば−C(=O)R
aa)は、ホルムアミド、アセトアミド、クロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、フェニルアセトアミド、3−フェニルプロパンアミド、ピコリンアミド、3−ピリジルカルボキサミド、N−ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、ベンズアミド、p−フェニルベンズアミド、o−ニトフェニルアセトアミド、o−ニトロフェノキシアセトアミド、アセトアセトアミド、(Ν’−ジチオベンジルオキシアシルアミノ)アセトアミド、3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド、3−(o−ニトロフェニル)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−ニトロフェノキシ)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−フェニルアゾフェノキシ)プロパンアミド、4−クロロブタンアミド、3−メチル−3−ニトロブタンアミド、o−ニトロケイ皮酸アミド、N−アセチルメチオニン誘導体、o−ニトロベンズアミド、およびo−(ベンゾイルオキシメチル)ベンズアミドを包含するが、これに限定されない。
【0058】
カルバメート基などの窒素保護基(例えば−C(=O)OR
aa)は、メチルカルバメート、エチルカルバメート(ethyl carbamante)、9−フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、9−(2−スルホ)フルオレニルメチルカルバメート、9−(2,7−ジブロモ)フルオロエニルメチルカルバメート、2,7−ジ−t−ブチル−[9−(10,10−ジオキソ−10,10,10,10−テトラヒドロチオキサンチル)]メチルカルバメート(DBD−Tmoc)、4−メトキシフェナシルカルバメート(Phenoc)、2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、2−フェニルエチルカルバメート(hZ)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルカルバメート(Adpoc)、1,1−ジメチル−2−ハロエチルカルバメート、1,1−ジメチル−2,2−ジブロモエチルカルバメート(DB−t−BOC)、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(TCBOC)、1−メチル−1−(4−ビフェニリル)エチルカルバメート(Bpoc)、1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−メチルエチルカルバメート(t−Bumeoc)、2−(2’−および4’−ピリジル)エチルカルバメート(Pyoc)、2−(N,N−ジシクロヘキシルカルボキサミド)エチルカルバメート、t−ブチルカルバメート(BOC)、1−アダマンチルカルバメート(Adoc)、ビニルカルバメート(Voc)、アリルカルバメート(Alloc)、1−イソプロピルアリルカルバメート(Ipaoc)、シンナミルカルバメート(Coc)、4−ニトロシンナミルカルバメート(Noc)、8−キノリルカルバメート、N−ヒドロキシピペリジニルカルバメート、アルキルジチオカルバメート、ベンジルカルバメート(Cbz)、p−メトキシベンジルカルバメート(Moz)、p−ニトベンジルカルバメート、p−ブロモベンジルカルバメート、p−クロロベンジルカルバメート、2,4−ジクロロベンジルカルバメート、4−メチルスルフィニルベンジルカルバメート(Msz)、9−アントリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメート、2−メチルチオエチルカルバメート、2−メチルスルホニルエチルカルバメート、2−(p−トルエンスルホニル)エチルカルバメート、[2−(1,3−ジチアニル)]メチルカルバメート(Dmoc)、4−メチルチオフェニルカルバメート(Mtpc)、2,4−ジメチルチオフェニルカルバメート(Bmpc)、2−ホスホニオエチルカルバメート(Peoc)、2−トリフェニルホスホニオイソプロピルカルバメート(Ppoc)、1,1−ジメチル−2−シアノエチルカルバメート、m−クロロ−p−アシルオキシベンジルカルバメート、p−(ジヒドロキシボリル)ベンジルカルバメート、5−ベンゾイソオキサゾリルメチルカルバメート、2−(トリフルオロメチル)−6−クロモニルメチルカルバメート(Tcroc)、m−ニトロフェニルカルバメート、3,5−ジメトキシベンジルカルバメート、o−ニトロベンジルカルバメート、3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジルカルバメート、フェニル(o−ニトロフェニル)メチルカルバメート、t−アミルカルバメート、S−ベンジルチオカルバメート、p−シアノベンジルカルバメート、シクロブチルカルバメート,シクロヘキシルカルバメート、シクロペンチルカルバメート、シクロプロピルメチルカルバメート、p−デシルオキシベンジルカルバメート、2,2−ジメトキシアシルビニルカルバメート、o−(N,N−ジメチルカルボキサミド)ベンジルカルバメート、1,1−ジメチル−3−(N,N−ジメチルカルボキサミド)プロピルカルバメート、1,1−ジメチルプロピニルカルバメート、ジ(2−ピリジル)メチルカルバメート、2−フラニルメチルカルバメート、2−ヨードエチルカルバメート、イソボルニル(isoborynl)カルバメート、イソブチルカルバメート、イソニコチニルカルバメート、p−(p’−メトキシフェニルアゾ)ベンジルカルバメート、1−メチルシクロブチルカルバメート、1−メチルシクロヘキシルカルバメート、1−メチル−1−シクロプロピルメチルカルバメート、1−メチル−1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチルカルバメート、1−メチル−1−(p−フェニルアゾフェニル)エチルカルバメート、1−メチル−1−フェニルエチルカルバメート、1−メチル−1−(4−ピリジル)エチルカルバメート、フェニルカルバメート、p−(フェニルアゾ)ベンジルカルバメート、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニルカルバメート、4−(トリメチルアンモニウム)ベンジルカルバメート、および2,4,6−トリメチルベンジルカルバメートを包含するが、これに限定されない。
【0059】
スルホンアミド基などの窒素保護基(例えば−S(=O)
2R
aa)は、p−トルエンスルホンアミド(Ts)、ベンゼンスルホンアミド、2,3,6,−トリメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mtr)、2,4,6−トリメトキシベンゼンスルホンアミド(Mtb)、2,6−ジメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Pme)、2,3,5,6−テトラメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mte)、4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mbs)、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホンアミド(Mts)、2,6−ジメトキシ−4−メチルベンゼンスルホンアミド(iMds)、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホンアミド(Pmc)、メタンスルホンアミド(Ms)、β−トリメチルシリルエタンスルホンアミド(SES)、9−アントラセンスルホンアミド、4−(4’,8’−ジメトキシナフチルメチル)ベンゼンスルホンアミド(DNMBS)、ベンジルスルホンアミド、トリフルオロメチルスルホンアミド、およびフェナシルスルホンアミドを包含するが、これに限定されない。
【0060】
他の窒素保護基は、フェノチアジニル−(10)−アシル誘導体、N’−p−トルエンスルホニルアミノアシル誘導体、N’−フェニルアミノチオアシル誘導体、N−ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、N−アセチルメチオニン誘導体、4,5−ジフェニル−3−オキサゾリン−2−オン、N−フタルイミド、N−ジチアスクシンイミド(Dts)、N−2,3−ジフェニルマレイミド、N−2,5−ジメチルピロール、N−1,1,4,4−テトラメチルジシリルアザシクロペンタンアダクト(STABASE)、5−置換1,3−ジメチル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、5−置換1,3−ジベンジル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、1−置換3,5−ジニトロ−4−ピリドン、N−メチルアミン、N−アリルアミン、N−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチルアミン(SEM)、N−3−アセトキシプロピルアミン、N−(1−イソプロピル−4−ニトロ−2−オキソ−3−ピロリン(pyroolin)−3−イル)アミン、第4級アンモニウム塩、N−ベンジルアミン、N−ジ(4−メトキシフェニル)メチルアミン、N−5−ジベンゾスベリルアミン、N−トリフェニルメチルアミン(Tr)、N−[(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル]アミン(MMTr)、N−9−フェニルフルオレニルアミン(PhF)、N−2,7−ジクロロ−9−フルオレニルメチレンアミン、N−フェロセニルメチルアミノ(Fcm)、N−2−ピコリルアミノN’−オキシド、N−1,1−ジメチルチオメチレンアミン、N−ベンジリデンアミン、N−p−メトキシベンジリデンアミン、N−ジフェニルメチレンアミン、N−[(2−ピリジル)メシチル]メチレンアミン、N−(N’,N’−ジメチルアミノメチレン)アミン、N,N’−イソプロピリデンジアミン、N−p−ニトロベンジリデンアミン、N−サリチリデンアミン、N−5−クロロサリチリデンアミン、N−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)フェニルメチレンアミン、N−シクロヘキシリデンアミン、N−(5,5−ジメチル−3−オキソ−1−シクロヘキセニル)アミン、N−ボラン誘導体、N−ジフェニルボロン酸誘導体、N−[フェニル(ペンタアシルクロムまたはタングステン)アシル]アミン、N−銅キレート、N−亜鉛キレート、N−ニトロアミン、N−ニトロソアミン、アミンN−オキシド、ジフェニルホスフィンアミド(Dpp)、ジメチルチオホスフィンアミド(Mpt)、ジフェニルチオホスフィンアミド(Ppt)、ジアルキルホスホロアミダート、ジベンジルホスホロアミダート、ジフェニルホスホロアミダート、ベンゼンスルフェンアミド、o−ニトロベンゼンスルフェンアミド(Nps)、2,4−ジニトロベンゼンスルフェンアミド、ペンタクロロベンゼンスルフェンアミド、2−ニトロ−4−メトキシベンゼンスルフェンアミド、トリフェニルメチルスルフェンアミド、および3−ニトロピリジンスルフェンアミド(Npys)を包含するが、これに限定されない。
【0061】
ある態様において、酸素原子上に存在する置換基は酸素保護基である(ヒドロキシル保護基ともまた言われる)。酸素保護基は、−R
aa、−N(R
bb)
2、−C(=O)SR
aa、−C(=O)R
aa、−CO
2R
aa、−C(=O)N(R
bb)
2、−C(=NR
bb)R
aa、−C(=NR
bb)OR
aa、−C(=NR
bb)N(R
bb)
2、−S(=O)R
aa、−SO
2R
aa、および−Si(R
aa)
3を包含するが、これに限定されず、R
aaおよびR
bbは本明細書において定義される通りである。酸素保護基は当分野において周知であり、参照によって本明細書に組み込まれるProtecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3
rd edition, John Wiley & Sons, 1999に詳細に記載されているものを包含する。
【0062】
例示的な酸素保護基は、メチル、メトキシルメチル(MOM)、メチルチオメチル(MTM)、t−ブチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル(SMOM)、ベンジルオキシメチル(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル(PMBM)、(4−メトキシフェノキシ)メチル(p−AOM)、グアイアコールメチル(GUM)、t−ブトキシメチル、4−ペンテニルオキシメチル(POM)、シロキシメチル、2−メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEMOR)、テトラヒドロピラニル(THP)、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシテトラヒドロピラニル(MTHP)、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルS,S−ジオキシド、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル(CTMP)、1,4−ジオキサン−2−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イル、1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、2−(フェニルセレニル)エチル、t−ブチル、アリル、p−クロロフェニル、p−メトキシフェニル、2,4−ジニトロフェニル、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−ハロベンジル、2,6−ジクロロベンジル、p−シアノベンジル、p−フェニルベンジル、2−ピコリル、4−ピコリル、3−メチル−2−ピコリルN−オキシド、ジフェニルメチル、p,p’−ジニトロベンズヒドリル、5−ジベンゾスベロイル(dibenzosuberyl)、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメチル、p−メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p−メトキシフェニル)メチル、4−(4’−ブロモフェナシルオキシフェニル)ジフェニルメチル、4,4’,4”−トリス(4,5−ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4’,4”−トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4’,4”−トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、3−(イミダゾール−1−イル)ビス(4’,4”−ジメトキシフェニル)メチル、1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1’−ピレニルメチル、9−アントリル、9−(9−フェニル)キサンテニル、9−(9−フェニル−10−オキソ)アントリル、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル、ベンゾイソチアゾリルS,S−ジオキシド、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、ジメチルイソプロピルシリル(IPDMS)、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)、ジメチルtヘキシルシリル、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリベンジルシリル、トリ−p−キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル(DPMS)、t−ブチルメトキシフェニルシリル(TBMPS)、蟻酸、蟻酸ベンゾイル、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、メトキシ酢酸、トリフェニルメトキシ酢酸、フェノキシ酢酸、p−クロロフェノキシ酢酸、3−フェニルプロピオン酸、4−オキソペンタノアート(レブリナート)、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノアート(レブリノイルジチオアセタール)、ピバロエート(pivaloate)、アダマントエート(adamantoate)、クロトン酸、4−メトキシクロトン酸、安息香酸、p−フェニル安息香酸、2,4,6−トリメチル安息香酸(メシト酸)、炭酸アルキルメチル、9−フルオレニルメチルカーボネート(Fmoc)、アルキルエチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート(TMSEC)、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート(Psec)、2−(トリフェニルホスホニオ)エチルカーボネート(Peoc)、アルキルイソブチルカーボネート、アルキルビニルカーボネート、アルキルアリルカーボネート、アルキルp−ニトロフェニルカーボネート、アルキルベンジルカーボネート、アルキルp−メトキシベンジルカーボネート、アルキル3,4−ジメトキシベンジルカーボネート、アルキルo−ニトロベンジルカーボネート、アルキルp−ニトロベンジルカーボネート、アルキルS−ベンジルチオカーボネート、4−エトキシ−1−ナフチル(napththyl)カーボネート、メチルジチオカーボネート、2−ヨード安息香酸、4−アジドブチレート、4−ニトロ−4−メチルペンタノアート、o−(ジブロモメチル)安息香酸、2−ホルミルベンゼンスルホン酸、2−(メチルチオメトキシ)エチル、4−(メチルチオメトキシ)酪酸、2−(メチルチオメトキシメチル)安息香酸、2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ酢酸、2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシ酢酸、2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェノキシ酢酸、クロロジフェニル酢酸、イソ酪酸、モノスクシノアート(monosuccinoate)、(E)−2−メチル−2−ブテン酸、o−(メトキシアシル)安息香酸、α−ナフトエ酸、硝酸、アルキルΝ,Ν,Ν’,Ν’−テトラメチルホスホロジアミダート、アルキルN−フェニルカルバメート、ホウ酸、ジメチルホスフィノチオイル、アルキル2,4−ジニトロフェニルスルフェン酸、硫酸、メタンスルホン酸(メシレート)、ベンジルスルホン酸、およびトシル酸(Ts)を包含するが、これに限定されない。
【0063】
ある態様において、硫黄原子上に存在する置換基は硫黄保護基である(チオール保護基ともまた言われる)。硫黄保護基は−R
aa、−N(R
bb)
2、−C(=O)SR
aa、−C(=O)R
aa、−CO
2R
aa、−C(=O)N(R
bb)
2、−C(=NR
bb)R
aa、−C(=NR
bb)OR
aa、−C(=NR
bb)N(R
bb)
2、−S(=O)R
aa、−SO
2R
aa、および−Si(R
aa)
3を包含するが、これに限定されず、R
aaおよびR
bbは本明細書において定義される通りである。硫黄保護基は当分野において周知であり、参照によって本明細書に組み込まれるProtecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3
rd edition, John Wiley & Sons, 1999に詳細に記載されているものを包含する。
【0064】
これらおよび他の例示的な置換基は発明を実施するための形態、実施例、図面、および特許請求の範囲により詳細に記載されている。本発明は置換基の上の例示的な列記によっていずれかの様式で限定されることを意図されていない。
【0065】
他の定義
次の定義は、本願において用いられるさらなる一般的な用語である。
【0066】
用語「塩」は、酸と塩基との中和反応からもたらされるイオン性化合物を言う。塩は1つ以上のカチオン(正荷電イオン)と1つ以上のアニオン(陰イオン)とから構成され、その結果、塩は電気的に中性(正味の電荷なし)である。本明細書に記載される化合物の塩は、無機および有機の酸および塩に由来するものを包含する。酸付加塩の例はアミノ基の塩であり、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸などの無機酸によって、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸などの有機酸によって、またはイオン交換などの当分野において公知の他の方法を用いることによって形成される。他の塩は、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重硫酸、ホウ酸、酪酸、しょうのう酸、カンファースルホン酸、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸、二グルコン酸、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、蟻酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グリセロリン酸、グルコン酸、ヘミ硫酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ヨウ化水素、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ラクトビオン酸、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、メタンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、ペクチニン酸、過硫酸、3−フェニルプロピオン酸、リン酸、ピクリン酸、ピバル酸、プロピオン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、吉草酸塩、および同類を包含する。適当な塩基に由来する塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、およびN
+(C
1−4アルキル)
4塩を包含する。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、および同類を包含する。さらなる塩は、アンモニウム、第4級アンモニウム、およびアミンカチオンを包含し、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸、硫酸、リン酸、硝酸、低級アルキルスルホン酸、およびアリールスルホン酸などの対イオンを用いて形成される。
【0067】
本明細書において用いられる用語「薬学的に許容し得る塩」は、正しい医学的判断の範囲内において、ヒトおよびより下等な動物の組織と接触しての使用にとって好適であり、過度の毒性、刺激、アレルギー性応答、および同類がなく、適度なベネフィット/リスク比に適った塩を言う。薬学的に許容し得る塩は当分野において周知である。例えば、Bergeらは、参照によって本明細書に組み込まれるJ. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19に薬学的に許容し得る塩を詳細に記載している。本明細書に記載される化合物の薬学的に許容し得る塩は、好適な無機および有機酸および塩基に由来するものを包含する。薬学的に許容し得る無毒な酸付加塩の例はアミノ基の塩であり、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸などの無機酸によって、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸などの有機酸によって、またはイオン交換などの当分野において公知の他の方法を用いることによって形成される。他の薬学的に許容し得る塩は、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重硫酸、ホウ酸、酪酸、しょうのう酸、カンファースルホン酸、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸、二グルコン酸、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、蟻酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グリセロリン酸、グルコン酸、ヘミ硫酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ヨウ化水素、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ラクトビオン酸、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、メタンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、ペクチニン酸、過硫酸、3−フェニルプロピオン酸、リン酸、ピクリン酸、ピバル酸、プロピオン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、吉草酸塩、および同類を包含する。適当な塩基に由来する塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、およびN
+(C
1−4アルキル)
4−塩を包含する。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、および同類を包含する。さらなる薬学的に許容し得る塩は、適当であるときには、無毒なアンモニウム、第4級アンモニウム、およびアミンカチオンを包含し、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸、硫酸、リン酸、硝酸、低級アルキルスルホン酸、およびアリールスルホン酸などの対イオンを用いて形成される。
【0068】
本明細書において用いられる用語「有機低分子」または「低分子」は、1,000g/mol以下の分子量を有する有機分子を言う。ある態様において、低分子の分子量は最大で約1,000g/mol、最大で約900g/mol、最大で約800g/mol、最大で約700g/mol、最大で約600g/mol、最大で約500g/mol、最大で約400g/mol、最大で約300g/mol、最大で約200g/mol、または最大で約100g/molである。ある態様において、低分子の分子量は少なくとも約100g/mol、少なくとも約200g/mol、少なくとも約300g/mol、少なくとも約400g/mol、少なくとも約500g/mol、少なくとも約600g/mol、少なくとも約700g/mol、少なくとも約800g/mol、または少なくとも約900g/mol、または少なくとも約1,000g/molである。上の範囲の組み合わせ(例えば、少なくとも約200g/molかつ最大で約500g/mol)もまた可能である。ある態様において、低分子は薬物などの治療活性剤である(例えば、連邦規則集(C.F.R.)に規定されるように、米国食品医薬品局によって認可された分子)。低分子は1つ以上の金属原子および/または金属イオンと複合体化もまたされ得る。この場合に、低分子は「有機金属低分子」ともまた言われる。
【0069】
本明細書において用いられる「大型有機分子」または「大型分子」は、約1,000g/mol超の分子量を有する有機化合物を言う。ある態様において、大型分子の分子量は約2,000g/mol超、約3,000g/mol超、約4,000g/mol超、または約5,000g/mol超である。ある態様において、大型分子の分子量は最大で約100,000g/mol、最大で約30,000g/mol、最大で約10,000g/mol、最大で約5,000g/mol、または最大で約2,000g/molである。上の範囲の組み合わせ(例えば、約2,000g/mol超かつ最大で約10,000g/mol)もまた可能である。ある態様において、大型分子は薬物などの治療活性剤である(例えば、連邦規則集(C.F.R.)に規定されるように、米国食品医薬品局によって認可された分子)。大型分子は1つ以上の金属原子および/または金属イオンと複合体化もまたされ得る。この場合に、大型分子は「大型有機金属化合物」ともまた言われる。
【0070】
「蛋白質」、「ペプチド」、または「ポリペプチド」は、ペプチド結合によって一緒にリンクされたアミノ酸残基同士のポリマーを含む。本明細書において用いられる用語はいずれかのサイズ、構造、または機能の蛋白質、ポリペプチド、およびペプチドを言う。典型的には、蛋白質は少なくとも3アミノ酸の長さであろう。蛋白質は単体の蛋白質または蛋白質の集まりを言い得る。本発明の蛋白質は好ましくは天然アミノ酸のみを含有するが、当分野において公知の非天然アミノ酸(すなわち、天然には存在しないが、ポリペプチド鎖中に組み込まれ得る化合物)および/またはアミノ酸アナログが代替的に使用され得る。蛋白質中のアミノ酸の1つ以上は修飾もまたされ得、例えば、炭水化物基、ヒドロキシル基、リン酸基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、コンジュゲーションもしくは官能化のためのリンカー、または他の修飾などの化学的実体の追加による。蛋白質は単一の分子であり得るか、または多分子複合体でもまたあり得る。蛋白質は天然に存在する蛋白質またはペプチドの断片であり得る。蛋白質は天然に存在するか、組み換えか、合成か、またはこれらのいずれかの組み合わせであり得る。
【0071】
用語「アポリポ蛋白質」は、脂質(例えば、トリアシルグリセロールまたはコレステロール)に結合してリポ蛋白質を形成する蛋白質を言う。アポリポ蛋白質は、リポ蛋白質の代謝と組織へのそれらの取り込みとを制御する酵素補因子、受容体リガンド、および脂質輸送担体としてもまた用をなす。アポリポ蛋白質の主な型は膜内在性および非膜内在性アポリポ蛋白質を包含する。例示的なアポリポ蛋白質はapoA(例えば、apoA−I、apoA−II、apoA−IV、およびapoA−V)、apoB(例えば、apoB48およびapoB100)、apoC(例えば、apoC−I、apoC−II、apoC−III、およびapoC−IV)、apoD、apoE、apoH、ならびにapoJを包含する。
【0072】
用語「遺伝子」は具体的な蛋白質を発現する核酸断片を言い、コード配列に先行(5’非コード配列)および後続(3’非コード配列)する制御配列を包含する。「ネイティブな遺伝子」は、それ自身の制御配列を有する天然に見出される遺伝子を言う。「キメラ遺伝子」または「キメラコンストラクト」は、ネイティブな遺伝子ではなく、天然には一緒に見出されない制御およびコード配列を含むいずれかの遺伝子またはコンストラクトを言う。従って、キメラ遺伝子またはキメラコンストラクトは、異なるソースに由来する制御配列およびコード配列、または同じソースに由来するが天然に見出されるものとは異なる様式で配列された制御配列およびコード配列を含み得る。「内在性遺伝子」は、生物のゲノム中のその天然の位置のネイティブな遺伝子を言う。「外来性」遺伝子は、宿主生物中に通常では見出されないが、遺伝子の移入によって宿主生物中に導入される遺伝子を言う。外来性遺伝子は、非ネイティブな生物中に挿入されたネイティブな遺伝子、またはキメラ遺伝子を含み得る。「トランスジーン」は、形質転換の手順によってゲノム中に導入された遺伝子である。
【0073】
用語「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」、および「オリゴヌクレオチド」はDNAおよびRNA中の直列のヌクレオチド塩基(「ヌクレオチド」ともまた呼ばれる)を言い、2つ以上のヌクレオチドのいずれかの鎖を意味する。ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖のキメラ混合物またはその誘導体もしくは修飾版であり得る。オリゴヌクレオチドは塩基部分、糖部分、またはリン酸バックボーンにおいて修飾されて、例えば分子の安定性、そのハイブリダイゼーションパラメータなどを改善し得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルクエオシン(queosine)、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルクエオシン(queosine)、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、シュードウラシル、クエオシン(queosine)、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、チオグアニン、および2,6−ジアミノプリンを包含するがこれに限定されない群から選択される修飾塩基部分を含み得る。ヌクレオチド配列は典型的には遺伝子情報を収納しており、蛋白質および酵素を作るために細胞機構によって用いられる情報を包含する。これらの用語は、二本鎖または一本鎖ゲノムおよびcDNA、RNA、いずれかの合成のおよび遺伝子操作されたポリヌクレオチド、ならびにセンスおよびアンチセンスポリヌクレオチド両方を包含する。これは、一本鎖および二本鎖分子、すなわちDNA−DNA、DNA−RNA、およびRNA−RNAハイブリッド、ならびにアミノ酸バックボーンに塩基をコンジュゲーションすることによって形成される「蛋白質核酸」(PNA)を包含する。これは、炭水化物または脂質を含有する核酸をもまた包含する。例示的なDNAは、一本鎖DNA(ssDNA)、二本鎖DNA(dsDNA)、プラスミドDNA(pDNA)、ゲノムDNA(gDNA)、相補的DNA(cDNA)、アンチセンスDNA、葉緑体DNA(ctDNAまたはcpDNA)、マイクロサテライトDNA、ミトコンドリアDNA(mtDNAまたはmDNA)、キネトプラストDNA(kDNA)、プロウイルス、溶原菌、繰り返しDNA、サテライトDNA、およびウイルス DNAを包含する。例示的なRNAは、一本鎖RNA(ssRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、前駆体メッセンジャーRNA(プレmRNA)、低分子ヘアピンRNAまたは短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ガイドRNA(gRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、アンチセンスRNA(asRNA)、ヘテロ核RNA(hnRNA)、コードRNA、非コードRNA(ncRNA)、長鎖非コードRNA(長鎖ncRNAまたはIncRNA)、サテライトRNA、ウイルスサテライトRNA、シグナル認識粒子RNA、細胞質低分子RNA、核内低分子RNA(snRNA)、リボソームRNA(rRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)、ポリイノシン酸、リボザイム、フレキシザイム、核小体低分子RNA(snoRNA)、スプライスリーダーRNA、ウイルスRNA、およびウイルスサテライトRNAを包含する。
【0074】
本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、当分野において公知の標準的な方法によって、例えば自動DNA合成機(例えば、Biosearch、Applied Biosystemsなどから商業的に入手可能であるもの)の使用によって合成され得る。例として、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドはStein et al., Nucl. Acids Res., 16, 3209, (1988)の方法によって合成され得、メチルホスホネートオリゴヌクレオチドはコントロールドポアガラスポリマー支持体の使用によって調製され得る(Sarin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85, 7448-7451, (1988))。アンチセンスDNAまたはRNAを細胞に送達するためのいくつもの方法が開発されて来ており、例えば、アンチセンス分子は直接的に組織部位に注射され得るか、または所望の細胞を標的化するように設計された修飾アンチセンス分子(標的細胞表面上に発現された受容体または抗原に特異的に結合するペプチドまたは抗体にリンクされたアンチセンス)は全身投与され得る。代替的には、RNA分子は、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列のインビトロおよびインビボ転写によって作り出され得る。かかるDNA配列は、T7またはSP6ポリメラーゼプロモーターなどの好適なRNAポリメラーゼプロモーターを組み込んでいる広く種々のベクター中に組み込まれ得る。代替的には、用いられるプロモーターに依存してアンチセンスRNAを恒常的にまたは誘導的に合成するアンチセンスcDNAコンストラクトが、細胞株内に安定に導入され得る。しかしながら、多くの場合には、アンチセンスの十分な細胞内濃度を達成して内在性mRNAの翻訳を抑制することは困難である。よって、好ましいアプローチは、アンチセンスオリゴヌクレオチドが強力なプロモーターのコントロール下に置かれた組み換えDNAコンストラクトを利用する。患者の標的細胞をトランスフェクションするためのかかるコンストラクトの使用は、一本鎖RNAの十分量の転写をもたらし、これは内在性標的遺伝子の転写物と相補塩基対を形成し、それによって標的遺伝子mRNAの翻訳を防止するであろう。例えば、ベクターは、それが細胞によって取り込まれかつアンチセンスRNAの転写を導くように、インビボに導入され得る。かかるベクターは、それが転写されて所望のアンチセンスRNAを生じ得る限り、エピソーマルのまま残るか、または染色体インテグレーションされ得る。かかるベクターは当分野において標準的な組み換えDNAテクノロジーの方法によって構築され得る。ベクターは、哺乳動物細胞での複製および発現のために用いられるプラスミド、ウイルス、または当分野において公知の他のものであり得る。アンチセンスRNAをコードする配列の発現は、哺乳動物の、好ましくはヒトの細胞内で働くことが当分野において公知のいずれかのプロモーターによってであり得る。かかるプロモーターは誘導性または恒常的であり得る。かかるプロモーターはSV40初期プロモーター領域を包含するが、これに限定されない(Bernoist et al., Nature, 290, 304-310, (1981)、Yamamoto et al., Cell, 22, 787-797, (1980)、Wagner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78, 1441-1445, (1981)、Brinster et al., Nature 296, 39-42, (1982))。プラスミド、コスミド、酵母人工染色体、またはウイルスベクターのいずれかの型が、直接的に組織部位に導入され得る組み換えDNAコンストラクトを調製するために用いられ得る。代替的には、所望の組織に選択的に感染するウイルスベクターが用いられ得、このケースにおいては投与は別の経路によって(例えば、全身的に)達成され得る。
【0075】
ポリヌクレオチドは、天然の制御(発現コントロール)配列によって挟まれ得るか、または、プロモーター、内部リボソーム進入部位(IRES)および他のリボソーム結合部位配列、エンハンサー、応答エレメント、サプレッサー、シグナル配列、ポリアデニル化配列、イントロン、5’および3’非コード領域、ならびに同類を包含する異種配列と結びつけられ得る。核酸は、当分野において公知の多くの手段によって修飾もまたされ得る。かかる修飾の限定しない例は、メチル化、「キャップ」、アナログによる天然に存在するヌクレオチドの1つ以上の置換、ならびに例えば非荷電の結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート(phosphoroamidate)、カルバメートなど)および荷電した結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)によるものなどのヌクレオチド間修飾を包含する。ポリヌクレオチドは、例えば蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、鉄、酸化性金属など)、およびアルキル化剤などの、1つ以上の追加の共有結合的にリンクされた部分を含有し得る。ポリヌクレオチドは、メチルもしくはエチルホスホトリエステルまたはアルキルホスホロアミデート結合の形成によって誘導体化され得る。さらにその上に、本明細書におけるポリヌクレオチドは、検出可能なシグナルを提供する能力がある標識によってもまた、直接的にまたは間接的にどちらかで修飾され得る。例示的な標識は放射性同位体、蛍光分子、ビオチン、および同類を包含する。
【0076】
「組み換え核酸分子」は、分子生物学的操作を受けた核酸分子、すなわち、天然に存在しない核酸分子または遺伝子操作された核酸分子である。さらにその上に、用語「組み換えDNA分子」は、天然に存在しないか、または核酸配列の2つのさもなければ分離したセグメントの人工的な組み合わせによって、すなわち通常では連続していないDNAのピース同士を一緒にライゲーションすることによって作られ得る核酸配列を言う。「組み換え的に生ずる」によって、多くの場合には化学合成手段によってまたは核酸の単離されたセグメント同士の人工的操作によってどちらかで達成される人工的な組み合わせが意味され、例えば、例えばSambrook et al., Molecular Cloning, second edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Plainview, N.Y.; (1989)またはAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Current Protocols (1989)およびDNA Cloning: A Practical Approach, Volumes I and II (ed. D. N. Glover) IREL Press, Oxford, (1985)によって記載されている制限酵素、リガーゼ、および類似の組み換え技術を用いる遺伝子工学技術による。このそれぞれは参照によって本明細書に組み込まれる。
【0077】
かかる操作は、典型的には配列認識部位を導入または除去しながら、同じまたは保存的なアミノ酸をコードする冗長なコドンによってあるコドンを置き換えるためになされ得る。代替的には、これは、所望の機能の核酸セグメント同士を一緒に連結して、天然には見出されない機能の所望の組み合わせを含む単一の遺伝子実体を作り出すために行われ得る。多くの場合には、制限酵素認識部位がかかる人工的操作の標的であるが、他の部位特異的な標的、例えば、プロモーター、DNA複製部位、制御配列、コントロール配列、オープンリーディングフレーム、または他の有用な特徴が設計によって組み込まれ得る。組み換え核酸分子の例は、組み換えベクター、例えば、5’から3’(センス)方向または3’から5’(アンチセンス)方向であるRorファミリー蛋白質またはイムノグロブリン蛋白質をコードするDNA配列を含有するクローニングまたは発現ベクターを包含する。
【0078】
用語「pDNA」、「プラスミドDNA」、または「プラスミド」は、細胞内において染色体DNAとは物理的に別個であり、それとは独立して複製し得る小さいDNA分子を言う。プラスミドは全ての3つの主なドメイン、古細菌、真正細菌、および真核生物に見出され得る。天然において、プラスミドは対象の生存(例えば、抗生物質抵抗性)を利し得る遺伝子を収納しており、水平遺伝子伝播によって1つの細菌から別の(さらには別の種の)ものに高頻度で受け渡され得る。人工的なプラスミドは分子クローニングのベクターとして広く用いられており、宿主対象内での組み換えDNA配列の複製を駆動する用をなす。プラスミドのサイズは1から1,000kbp超まで変わり得る。プラスミドはレプリコンと見なされ、好適な宿主内において自律的に複製する能力がある。
【0079】
「RNA転写物」は、DNA配列のRNAポリメラーゼによって触媒される転写からもたらされる生成物を言う。RNA転写物がDNA配列の相補的なコピーであるときには、それは一次転写物と言われる。または、それは一次転写物の転写後プロセシングに由来するRNA配列であり得、成熟RNAと言われる。「メッセンジャーRNA(mRNA)」は、細胞によってポリペプチドに翻訳され得る、イントロンなしであるRNAを言う。「cRNA」は、組み換えcDNA鋳型から転写された相補的なRNAを言う。「cDNA」は、mRNA鋳型に相補的であり、それに由来するDNAを言う。cDNAは一本鎖であるか、または例えばDNAポリメラーゼIのクレノウ断片を用いて二本鎖形態に変換され得る。
【0080】
RNAの一部に「相補的な」配列は、RNAとハイブリダイゼーションし、安定な二重鎖を形成することができるための十分な相補性を有する配列を言う。それゆえに、二本鎖アンチセンス核酸のケースにおいては、二重鎖DNAの一本鎖が試験され得るか、または三重鎖形成がアッセイされ得る。ハイブリダイゼーションする能力はアンチセンス核酸の相補性の程度および長さ両方に依存するであろう。一般的に、ハイブリダイゼーションする核酸がより長いほど、それはRNAとのより多くの塩基ミスマッチを含有し、かつ安定な二重鎖(またはケースによっては三重鎖)を尚形成し得る。当業者は、ハイブリダイゼーションした複合体の融点を決定するための標準的な手順の使用によって忍容可能なミスマッチ度を確かめ得る。
【0081】
用語「核酸」もしくは「核酸配列」、「核酸分子」、「核酸断片」、または「ポリヌクレオチド」は、「遺伝子」、「遺伝子によってコードされるmRNA」、および「cDNA」と交換可能に用いられ得る。
【0082】
用語「mRNA」または「mRNA分子」は、メッセンジャーRNA、または細胞内での蛋白質合成の鋳型として用をなすRNAを言う。mRNAの鎖の配列は、合成されるべき蛋白質をコードする配列を含むDNAの相補鎖の配列に基づく。
【0083】
用語「siRNA」または「siRNA分子」は、RNA干渉(RNAi)経路を誘導する低分子阻害性RNA二重鎖を言い、そこでsiRNAは相補的なヌクレオチド配列を有する特異的な遺伝子の発現に干渉する。siRNA分子は長さが変わり得(例えば、18〜30または20〜25塩基対の間)、アンチセンス鎖には、それらの標的mRNAに対する相補性のさまざまな程度を含有し得る。いくつかのsiRNAは、対形成していないオーバーハング塩基をセンス鎖および/またはアンチセンス鎖の5’または3’末端に有する。用語siRNAは、2本の別個の鎖の二重鎖、および二重鎖領域を含むヘアピン構造を形成し得る一本鎖を包含する。
【0084】
用語「遺伝子サイレンシング」は、遺伝子が遺伝子改変以外のメカニズムによって「スイッチオフ」される遺伝子制御のエピジェネティックなプロセスを言う。すなわち、通常の状況では発現される(すなわち、「オンになる」)であろう遺伝子が、細胞の機構によってスイッチオフされる。遺伝子サイレンシングは、RNAが翻訳の間に蛋白質を作ることができないときに起こる。遺伝子は転写または転写後レベルどちらかで制御される。遺伝子の転写サイレンシングはヒストン修飾の結果であり、それを転写機構(例えば、RNAポリメラーゼおよび転写因子)に近づけなくする遺伝子の周りのへテロクロマチン環境を創出する。転写後遺伝子サイレンシングは、特定の遺伝子のmRNAが壊されるかまたは遮断される結果である。mRNAの破壊は、翻訳と、それゆえに遺伝子産物(例えば、蛋白質)の形成とを防止する。転写後遺伝子サイレンシングの普通のメカニズムはRNAiである。
【0085】
用語「粒子」は小さい物体、断片、または物質のピースを言い、これは単一の元素、無機材料、有機材料、またはその混合物であり得る。粒子の例は、ポリマー粒子、シングルエマルション粒子、ダブルエマルション粒子、コアセルベート、リポソーム、マイクロ粒子、ナノ粒子、マクロ粒子、ペレット、結晶、凝集体、コンポジット、微粉化、ミル処理、または別様に破砕されたマトリックス、および架橋された蛋白質または多糖粒子を包含し、このそれぞれは約約1mm未満かつ少なくとも1nmの平均特徴寸法を有し、ここで粒子の特徴寸法または「クリティカル寸法」は粒子の断面の最小寸法である。粒子は単一の物質または複数の物質から構成され得る。ある態様において、粒子はウイルス粒子ではない。他の態様において、粒子はリポソームではない。ある態様において、粒子はミセルではない。ある態様において、粒子は実質的に満遍なく固体である。ある態様において、粒子はナノ粒子である。ある態様において、粒子はマイクロ粒子である。
【0086】
用語「組成物」および「製剤」は交換可能に用いられる。
【0087】
投与が企図される「対象」は、ヒト(すなわち、いずれかの年齢群の男性または女性、例えば小児科の対象(例えば、乳児、幼児、少年)または成人対象(例えば、若年成人、中年成人、または高齢成人))および/または他の非ヒト動物、例えば哺乳動物(例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、商業的関わりがある哺乳動物、例えば畜牛、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、および/またはイヌ)および鳥(例えば、商業的関わりがある鳥、例えば鶏、鴨類、ガチョウ、および/または七面鳥)を包含するが、これに限定されない。ある態様において、動物は哺乳動物である。動物は発生のいずれかのステージの雄または雌であり得る。動物はトランスジェニック動物または遺伝示操作された動物であり得る。ある態様において、対象は非ヒト動物である。ある態様において、動物は魚類または爬虫類である。「患者」は、疾患の処置の必要があるヒト対象を言う。対象は植物でもまたあり得る。ある態様において、植物は陸生植物である。ある態様において、植物は非維管束陸生植物である。ある態様において、植物は維管束陸生植物である。ある態様において、植物は種子植物である。ある態様において、植物は栽培植物である。ある態様において、植物は双子葉植物である。ある態様において、植物は単子葉植物である。ある態様において、植物は顕花植物である。いくつかの態様において、植物は禾穀類植物、例えばメイズ、コーン、小麦、米、オートムギ、大麦、ライ麦、またはミレットである。いくつかの態様において、植物はマメ科植物、例えば豆植物、例えば大豆である。いくつかの態様において、植物は高木または低木である。
【0088】
本明細書において定義される用語「標的組織」は、本発明の化合物、粒子、および/または組成物が送達される目標である対象のいずれかの生体組織(細胞の群、体の部分、もしくは臓器を包含する)またはその部分を言い、血および/またはリンパ管を包含する。標的組織は、処置されることを必要とし得る、異常なまたは不健康な組織であり得る。標的組織は、防止されることを必要とし得る、異常または不健康になる通常よりも高いリスクがある正常なまたは健康な組織でもまたあり得る。ある態様において、標的組織は肝臓である。ある態様において、標的組織は肺である。「非標的組織」は、標的組織ではない対象のいずれかの生体組織(細胞の群、体の部分、もしくは臓器を包含する)またはその部分であり、血および/またはリンパ管を包含する。
【0089】
本明細書において用いられる用語「投与する」、「投与すること、または「投与」は、対象において本発明の化合物またはその組成物をインプラントすること、吸収すること、摂取すること、注射すること、吸入すること、または別様に導入することを言う。
【0090】
本明細書において用いられる用語「状態」、「疾患」、および「障害」は交換可能に用いられる。
【0091】
本明細書において用いられる用語「処置」、「処置する」、および「処置すること」は、本明細書に記載される疾患を反転させること、緩和すること、その始まりを遅延させること、またはその進行を阻害することを言う。いくつかの態様において、処置は、疾患の1つ以上の徴候または症状が発生したかまたは観察された後に投与され得る。他の態様において、処置は疾患の徴候または症状の非存在下において投与され得る。例えば、処置は症状の始まりに先行して(例えば、症状の既往に照らしておよび/または病原体への暴露に照らして)易罹患性の対象に投与され得る。処置は、症状が消散した後にもまた、例えば再発を遅延させるかまたは防止するために続き得る。
【0092】
本明細書に記載される化合物の「有効量」は、所望の生物学的応答を誘起し、すなわち状態を処置するために十分な量を言う。当業者によって理解されるであろうように、本明細書に記載される化合物の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、化合物の薬物動態、処置されようとする状態、投与モード、ならびに対象の年齢および健康などの因子に依存して変わり得る。有効量は治療および予防処置を包摂する。
【0093】
本明細書に記載される化合物の「治療有効量」は、状態の処置における治療ベネフィットを提供するために、または状態に関連した1つ以上の症状を遅延させるかもしくは最小化するために十分な量である。用語「治療有効量」は、総体的な治療を改善し、状態の症状、徴候、もしくは原因を低減もしくは回避し、および/または別の治療剤の治療有効性を向上させる量を包摂し得る。
【0094】
本明細書に記載される化合物の「予防有効量」は、状態の防止における予防ベネフィットを提供し、状態もしくは状態に関連した1つ以上の症状を防止するか、またはその再発を防止するために十分な量である。用語「予防有効量」は、総体的な予防を改善するかまたは別の予防剤の予防有効性を向上させる量を包摂し得る。
【0095】
用語「遺伝子疾患」は、対象のゲノムの1つ以上の異常によって引き起こされる疾患、例えば対象の誕生時から存在する疾患を言う。遺伝子疾患は遺伝性であり得、親の遺伝子から引き継がれ得る。遺伝子疾患は、対象のDNAおよび/またはRNAの変異または変化によってもまた引き起こされ得る。かかるケースにおいて、遺伝子疾患はそれが生殖細胞系列において起こる場合には遺伝性であろう。例示的な遺伝子疾患は、アースコグ・スコット症候群、アース症候群、軟骨無形成症、先端異骨症、嗜癖、副腎白質ジストロフィー、アルビニズム、無眼瞼・大口症候群、アラジール症候群、アルカプトン尿症、アルファ−1アンチトリプシン欠乏症、アルポート症候群、アルツハイマー病、喘息、多腺性自己免疫症候群、アンドロゲン不応症、アンジェルマン症候群、運動失調症、毛細血管拡張性運動失調症、アテローム性動脈硬化症、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症、脱毛症、バッテン病、ベックウィズ・ウィーデマン症候群、ベスト病、双極性障害、短指症)、乳癌、バーキットリンパ腫、慢性骨髄性白血病、シャルコー・マリー・トゥース病、クローン病、口唇裂、コケイン症候群、コフィン・ローリー症候群、結腸癌、先天性副腎過形成症、コルネリア・デ・ランゲ症候群、コステロ症候群、カウデン症候群、頭蓋前頭鼻異形成、クリグラー・ナジャール症候群、クロイツフェルト・ヤコブ病、嚢胞性線維症、難聴、うつ病、糖尿病、捻曲性骨異形成症、ディジョージ症候群、ダウン症、ディスレクシア、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、デュボヴィッツ症候群、外胚葉異形成、エリス・ファンクレフェルト症候群、エーラス・ダンロス、表皮水疱症、てんかん、本態性振戦、家族性高コレステロール血症、家族性地中海熱、脆弱X症候群、フリードライヒ運動失調症、ゴーシェ病、緑内障、グルコース・ガラクトース吸収不全症、グルタル酸尿症、脳回状網脈絡膜萎縮、ゴールドバーグ・シュプリンツェン症候群(口蓋帆・心臓・顔症候群)、ゴーリン症候群、ヘイリー・ヘイリー病、片側肥大症、ヘモクロマトーシス、血友病(例えば、血友病AおよびB)、遺伝性運動感覚ニューロパチー(HMSN)、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌(HNPCC)、ハンチントン病、高IgM免疫不全、若年発症糖尿病、クラインフェルター症候群、歌舞伎症候群、リー病、QT延長症候群、肺癌、悪性メラノーマ、躁鬱病、マルファン症候群、メンケス症候群、流産、ムコ多糖症、多発性内分泌腺腫症、多発性硬化症、筋ジストロフィー、筋萎縮性(myotrophic)側索硬化症、筋強直性ジストロフィー、神経線維腫症、ニーマンピック病、ヌーナン症候群、肥満、卵巣癌、膵臓癌、パーキンソン病、発作性夜間血色素尿症、ペンドレッド症候群、腓骨筋萎縮症、フェニルケトン尿症(PKU)、多発性嚢胞腎疾患、プラダー・ウィリ症候群、原発性胆汁性肝硬変、前立腺癌、REAR症候群、レフサム病、網膜色素変性症、網膜芽細胞腫、レット症候群、サンフィリポ症候群、統合失調症、重症複合免疫不全症、鎌状赤血球貧血、二分脊椎、脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳萎縮症、成人突然死症候群、タンジール病、テイ・サックス病、血小板減少・橈骨欠損症候群、タウンズブロックス症候群、結節性硬化症、ターナー症候群、アッシャー症候群、フォン・ヒッペル・リンドウ症、ワールデンブルグ症候群、ウィーバー症候群、ウェルナー症候群、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、色素性乾皮症、およびツェルウェーガー症候群を包含するが、これに限定されない。
【0096】
「増殖性疾患」は、細胞の増加による異常な成長または進展が原因で起こる疾患を言う(Walker, Cambridge Dictionary of Biology; Cambridge University Press: Cambridge, UK, 1990)。増殖性疾患は、1)通常は静止期である細胞の病的な増殖、2)それらの通常の位置からの細胞の病的な遊走(例えば、新生物性細胞の転移)、3)マトリックスメタロプロテイナーゼ(例えば、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、およびエラスターゼ)などの蛋白質加水分解酵素の病的な発現、または4)増殖性網膜症および腫瘍転移におけるような病的血管新生と関連し得る。例示的な増殖性疾患は、癌(すなわち、「悪性新生物」)、良性新生物、血管新生、炎症性疾患、および自己免疫疾患を包含する。
【0097】
本明細書において用いられる用語「血管新生」は、新たな血管が既存の管から形成する生理的プロセスを言う。血管新生は、中胚葉細胞前駆体からの内皮細胞のデノボ形成である血管発生とは別物である。発生している胚中の最初の管は血管発生によって形成し、これの後は、血管新生が正常なまたは異常な発生中の大部分の血管成長を担う。血管新生は、成長および発生、ならびに創傷治癒、肉芽組織の形成における不可欠なプロセスである。しかしながら、血管新生は良性状態から悪性のものへの腫瘍の移行における根本的なステップでもまたあり、癌の処置における血管新生阻害剤の使用につながる。血管新生は成長因子(例えば、VEGF)などの血管新生蛋白質によって化学的に刺激され得る。「病的血管新生」は、疾患に至り、および/またはそれに関連する異常な(例えば、過剰なまたは十分でない)血管新生を言う。
【0098】
用語「新生物」および「腫瘍」は本明細書において交換可能に用いられ、組織の異常な集塊を言い、集塊の成長は正常な組織の成長を上回り、それと調和していない。新生物または腫瘍は、次の特徴に依存して「良性」または「悪性」であり得る:細胞分化度(形態学および機能性を包含する)、成長の速度、局所侵襲、および転移。「良性新生物」は一般的に良く分化しており、悪性新生物よりも特徴的に遅い成長を有し、元々の部位に局在したまま残る。加えて、良性新生物は遠隔部位に浸潤、侵襲、または転移する素質を有さない。例示的な良性新生物は、脂肪腫、軟骨腫、アデノーマ、アクロコルドン、老人性血管腫、脂漏性角化症、黒子、および脂腺増殖症を包含するが、これに限定されない。いくつかのケースにおいて、ある種の「良性」腫瘍は後に悪性新生物を生み出し得、これは腫瘍の新生物性細胞の亜集団における追加の遺伝子の変化からもたらされ得、それらの腫瘍は「前悪性新生物」と言われる。例示的な前悪性新生物はテラトーマである。対照的に、「悪性新生物」は一般的に不十分に分化しており(退形成)、周辺組織の進行性の浸潤、侵襲、および破壊を伴う特徴的に急速な成長を有する。さらにその上に、悪性新生物は一般的に遠隔部位に転移する素質を有する。用語「転移」、「転移性の」、または「転移する」は、原発のまたは元の腫瘍から別の臓器または組織への癌性細胞の広がりまたは遊走を言い、典型的には、二次性(転移)腫瘍が位置する臓器または組織のものではなく、原発のまたは元の腫瘍の組織型の「二次性腫瘍」または「二次性細胞集塊」の存在によって同定可能である。例えば、骨まで遊走した前立腺癌は転移した前立腺癌であると言われ、骨組織中で成長する癌性の前立腺癌細胞を包含する。
【0099】
用語「癌」は悪性の新生物を言う(Stedman's Medical Dictionary, 25th ed.; Hensyl ed.; Williams & Wilkins: Philadelphia, 1990)。例示的な癌は、聴神経腫瘍、腺癌、副腎腺癌、肛門癌、血管肉腫(例えば、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、血管腫)、虫垂癌、良性単クローン性ガンマグロブリン血症、胆道癌(例えば胆管癌)、膀胱癌、乳癌(例えば、乳部の腺癌、乳頭状乳癌、乳腺癌、乳部の髄様癌)、脳の癌(例えば、髄膜腫、膠芽腫、グリオーマ(例えば、星細胞腫、乏突起膠腫)、髄芽腫)、気管支癌、カルチノイド腫瘍、子宮頚部癌(例えば子宮頚部腺癌)、絨毛癌、脊索腫、頭蓋咽頭腫、結腸直腸癌(例えば、結腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌)、結合組織癌、上皮癌、上衣腫、内皮肉腫(例えば、カポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫)、子宮内膜癌(例えば、子宮癌、子宮肉腫)、食道癌(例えば、食道腺癌、バレット腺癌)、ユーイング肉腫、眼の癌(例えば、眼内メラノーマ、網膜芽細胞腫)、家族性好酸球増多症、胆嚢癌、胃癌(例えば胃腺癌)、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞癌、頭部および頸部の癌(例えば、頭部および頸部の扁平上皮癌、口腔癌(例えば口腔扁平上皮癌)、咽喉癌(例えば、喉頭癌、咽頭癌、鼻咽頭癌、中咽頭癌))、造血器癌(例えば白血病、例えば急性リンパ性白血病(ALL)(例えばB細胞ALL、T細胞ALL)、急性骨髄性白血病(AML)(例えばB細胞AML、T細胞AML)、慢性骨髄性白血病(CML)(例えばB細胞CML、T細胞CML)、および慢性リンパ性白血病(CLL)(例えばB細胞CLL、T細胞CLL))、リンパ腫、例えばホジキンリンパ腫(HL)(例えばB細胞HL、T細胞HL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えばB細胞NHL、例えばびまん性大細胞型リンパ腫(DLCL)(例えばびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫)、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞性リンパ腫(例えば、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、リンパ節性辺縁帯B細胞性リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫)、原発性縦隔B細胞型リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(すなわちワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症)、有毛細胞性白血病(HCL)、免疫芽球型大細胞性リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、および原発性の中枢神経系(CNS)リンパ腫、およびT細胞NHL、例えば前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)(例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)(例えば、菌状息肉症(mycosis fungiodes)、セザリー症候群)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外性ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸管症型T細胞リンパ腫、皮下蜂窩織炎様T細胞リンパ腫、および未分化大細胞性リンパ腫)、上に記載されている1つ以上の白血病/リンパ腫の混合物、および多発性骨髄腫(MM))、重鎖病(例えば、アルファ鎖病、ガンマ鎖病、ミュー鎖病)、血管芽腫、下咽頭癌、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、免疫細胞性アミロイドーシス、腎臓癌(例えば、腎芽腫、別名をウィルムス腫瘍、腎細胞癌)、肝臓癌(例えば、肝細胞癌(HCC)、悪性ヘパトーマ)、肺癌(例えば、気管支原性癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺腺癌)、平滑筋肉腫(LMS)、肥満細胞症(例えば、全身性肥満細胞症)、筋肉の癌、骨髄異形成症候群(MDS)、中皮腫、骨髄増殖性疾患(MPD)(例えば、真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、原発性骨髄線維症(AMM)、別名を骨髄線維症(MF)、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増多症候群(HES))、神経芽細胞腫、神経線維腫(例えば、神経線維腫症(NF)1型または2型、シュワノマトーシス)、神経内分泌癌(例えば、膵・消化管神経内分泌腫瘍(GEP−NET)、カルチノイド腫瘍)、骨肉腫(例えば骨癌)、卵巣癌(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌)、乳頭腺癌、膵臓癌(例えば、膵腺癌(pancreatic andenocarcinoma)、膵管内乳頭粘液性新生物(IPMN)、膵島細胞腫瘍)、陰茎癌(例えば、陰茎および陰嚢のページェット病)、松果体腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNT)、形質細胞腫、腫瘍随伴症候群、上皮内新生物、前立腺癌(例えば、前立腺の腺癌)、直腸癌、横紋筋肉腫、唾液腺癌、皮膚癌(例えば、扁平上皮癌(SCC)、ケラトアカントーマ(KA)、メラノーマ、基底細胞癌(BCC))、小腸癌(例えば虫垂癌)、軟部肉腫(例えば悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫)、脂腺癌、小腸癌、汗腺癌、滑膜腫、精巣癌(例えば、セミノーマ、精巣胎児性癌)、甲状腺癌(例えば、甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、甲状腺髄様癌)、尿道癌、膣癌、ならびに外陰癌(例えば、外陰ページェット病)を包含するが、これに限定されない。
【0100】
本明細書において用いられる用語「炎症性疾患」または「炎症」は、炎症によって引き起こされるか、それからもたらされるか、またはそれをもたらす疾患を言う。用語「炎症性疾患」は、脱制御した炎症反応をもまた言い得、これはマクロファージ、顆粒球、および/またはTリンパ球による度を超えた応答を引き起こし、異常な組織ダメージおよび/または細胞死につながる。炎症性疾患は急性または慢性炎症状態どちらかであり得、感染または非感染性の原因からもたらされ得る。炎症性疾患は、限定なしに、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、自己免疫障害、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、リウマチ性多発筋痛症(PMR)、痛風性関節炎、変形性関節症、腱炎、滑液包炎、乾癬、嚢胞性線維症、骨関節炎(arthrosteitis)、関節リウマチ、炎症性関節炎、シェーグレン症候群、巨細胞性動脈炎、進行性の全身性硬化症(強皮症)、強直性脊椎炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、水疱症、天疱瘡、糖尿病(例えばI型)、重症筋無力症、橋本病、グレーブス病、グッドパスチャー病、混合性結合組織病、硬化性胆管炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、悪性貧血、炎症性皮膚病、通常型間質性肺炎(UIP)、石綿症、珪肺、気管支拡張症、ベリリウム症、滑石肺症、塵肺症、サルコイドーシス、剥離性間質性肺炎、リンパ性間質性肺炎、巨細胞間質性肺炎、細胞間質性肺炎、外因性アレルギー性肺胞炎、ウェゲナー肉芽腫症および血管炎の関連する形態(側頭動脈炎および結節性多発動脈炎)、炎症性の皮膚病、肝炎、遅延型過敏性反応(例えば、ツタうるし皮膚炎)、肺炎、気道炎症、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、脳炎、即時型過敏性反応、喘息、枯草熱、アレルギー、急性アナフィラキシー、リウマチ熱、糸球体腎炎、腎盂腎炎、蜂窩織炎、膀胱炎、慢性胆嚢炎、虚血(虚血傷害)、再灌流傷害、同種移植片拒絶、宿主対移植片拒絶、虫垂炎、動脈炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、頸管炎、胆管炎、絨毛膜羊膜炎、結膜炎、涙腺炎、皮膚筋炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、小腸結腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、歯肉炎、回腸炎、虹彩炎、喉頭炎、脊髄炎、心筋炎、腎炎、臍炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、咽頭炎、肋膜炎、静脈炎、肺炎、直腸炎、前立腺炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、睾丸炎、扁桃炎、尿道炎、膀胱炎、ぶどう膜炎、膣炎、血管炎、外陰炎、外陰膣炎、血管炎(angitis)、慢性気管支炎、骨髄炎、視神経炎、側頭動脈炎、横断性脊髄炎、壊死性筋膜炎、ならびに壊死性腸炎を包含する。炎症性眼疾患は術後炎症を包含するが、これに限定されない。
【0101】
本明細書において用いられる「自己免疫疾患」は、体内に通常存在する物質および組織に対する対象の体の不適当な免疫応答から生まれる疾患を言う。換言すると、免疫系が体の何らかの部分を病原体と間違え、それ自身の細胞を攻撃する。これは(例えば、自己免疫甲状腺炎において)ある種の臓器に限られるか、または異なる場所の特定の組織を包含し得る(例えば、肺および腎臓の基底膜を冒し得るグッドパスチャー病)。自己免疫疾患の処置は、典型的には免疫抑制、例えば免疫応答を減少させる薬によってである。例示的な自己免疫疾患は、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、壊死性血管炎、リンパ節炎、結節性動脈周囲炎、全身性エリテマトーデス(erythematosis)、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス(erythematosis)、乾癬、潰瘍性大腸炎、全身性強皮症、皮膚筋炎/多発性筋炎、抗リン脂質抗体症候群、強皮症、尋常性天疱瘡、ANCA関連血管炎(例えば、ウェゲナー肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎)、ぶどう膜炎、シェーグレン症候群、クローン病、ライター症候群、強直性脊椎炎、ライム病、ギラン・バレー症候群、橋本病、および心筋症を包含するが、これに限定されない。
【0102】
用語「肝臓疾患」または「肝疾患」は肝臓のダメージまたは疾患を言う。肝臓疾患の限定しない例は、肝内胆汁うっ滞症(例えば、アラジール症候群、胆汁性肝硬変)、脂肪肝(例えば、アルコール性脂肪肝、ライ症候群)、肝静脈血栓症、肝レンズ核変性症(すなわち、ウィルソン病)、肝腫大、肝膿瘍(例えば、アメーバ性肝膿瘍)、肝硬変(例えば、アルコール性、胆汁性、および実験的肝硬変)、アルコール性肝臓疾患(例えば、脂肪肝、肝炎、硬変)、寄生虫性肝臓疾患(例えば、肝エキノコックス症、肝蛭症、アメーバ性肝膿瘍)、黄疸(例えば、溶血性、肝細胞性、胆汁うっ滞性黄疸)、胆汁うっ滞症、門脈圧亢進症、肝肥大、腹水症、肝炎(例えば、アルコール性肝炎、動物肝炎、慢性肝炎(例えば、自己免疫、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、薬物性慢性肝炎)、中毒性肝炎、ウイルス性ヒト肝炎(例えば、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎)、肉芽腫性、続発性胆汁性硬変、肝性脳症、静脈瘤、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、肝細胞腺腫、血管腫、胆石、肝不全(例えば、肝性脳症、急性肝不全)、血管筋脂肪腫、石灰化肝転移、嚢胞性肝転移、線維層状型肝細胞癌、肝腺腫、ヘパトーマ、肝嚢胞(例えば、単純嚢胞、多発性肝嚢胞疾患、肝臓・胆嚢の嚢胞腺腫、総胆管嚢胞)、間葉系腫瘍(間葉系過誤腫、乳児肝血管内皮腫、血管腫、肝紫斑病、脂肪腫、炎症性偽腫瘍)、上皮腫瘍(例えば、胆管過誤腫、胆管腺腫)、限局性結節性過形成、結節性再生性過形成、肝芽腫、肝細胞癌、胆管癌、嚢胞腺癌、血管の腫瘍、血管肉腫、カポジ(Karposi)肉腫、肝血管内皮腫、胎児性肉腫、線維肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、癌肉腫、テラトーマ、カルシノイド、扁平上皮(squamous)癌、原発性リンパ腫、肝紫斑病、肝性骨髄性ポルフィリン症、肝性ポルフィリン症(例えば、急性間欠性ポルフィリン症、晩発性皮膚ポルフィリン症)、およびツェルウェーガー症候群を包含する。
【0103】
用語「脾臓疾患」は脾臓の疾患を言う。脾臓疾患の例は、脾腫、脾臓癌、無脾症、脾臓外傷、特発性紫斑病、フェルティ症候群、ホジキン病、および脾臓の免疫媒介性の破壊を包含するが、これに限定されない。
【0104】
用語「肺(lung)疾患」または「肺(pulmonary)疾患」は肺の疾患を言う。肺疾患の例は、気管支拡張症、気管支炎、気管支肺異形成症、間質性肺疾患、職業性肺疾患、気腫、嚢胞性線維症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、重症急性呼吸器症候群(SARS)、喘息(例えば、間欠型喘息、軽症持続型喘息、中等症持続型喘息、重症持続型喘息)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、間質性肺疾患、サルコイドーシス、石綿肺、アスペルギローマ、アスペルギルス症、肺炎(例えば、大葉性肺炎、多葉性肺炎、気管支肺炎、間質性肺炎)、肺線維症、肺結核、リウマチ性肺疾患、肺血栓塞栓症、および肺癌(例えば、非小細胞肺癌腫(例えば、腺癌、肺扁平上皮癌、大細胞肺癌)、小細胞肺癌)を包含するが、これに限定されない。
【0105】
本明細書において用いられる「血液学的疾患」は、造血細胞または組織を冒す疾患を包含する。血液学的疾患は、異常な血液学的内容および/または機能に関連した疾患を包含する。血液学的疾患の例は、癌のための骨髄放射線照射もしくは化学療法処置からもたらされる疾患、悪性貧血、出血性貧血、溶血性貧血、再生不良性貧血、鎌状赤血球貧血、鉄芽球性貧血、マラリア、トリパノソーマ症、HTV、肝炎ウイルス、または他のウイルスなどの慢性感染に関連した貧血、骨髄不全によって引き起こされる骨髄癆性貧血、貧血からもたらされる腎不全、貧血、多血症(polycethemia)、伝染性単核球症(EVI)、急性非リンパ性白血病(ANLL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、急性骨髄単球性白血病(AMMoL)、真性多血症(polycethemia vera)、リンパ腫、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病、ウイルムス腫瘍、ユーイング肉腫、網膜芽細胞腫、血友病、血栓の増大したリスクに関連した障害、ヘルペス、サラセミア(thalessemia)、抗体媒介性障害、例えば輸血反応および赤芽球症、赤血球の機械的外傷、例えば微小血管障害性溶血性貧血、血栓性血小板減少性紫斑病、および播種性血管内凝固症候群などの疾患、プラスモディウムなどの寄生虫による感染、例えば鉛中毒からの化学損傷、ならびに脾機能亢進症を包含する。
【0106】
用語「神経学的疾患」は神経系のいずれかの疾患を言い、中枢神経系(脳、脳幹、および小脳)、末梢神経系(脳神経を包含する)、および自律神経系(その部分は中枢および末梢神経系両方に位置する)を包含する疾患を包含する。神経変性疾患もまた、神経細胞の喪失を特徴とする神経学的疾患の型を言い、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、タウオパチー(前頭側頭型認知症を包含する)、およびハンチントン病を包含するが、これに限定されない。神経学的疾患の例は、頭痛、昏迷および昏睡、認知症、発作、睡眠障害、外傷、感染、新生物、神経眼科学、運動障害、脱髄疾患、脊髄障害、ならびに末梢神経、筋肉、および神経筋接合部の障害を包含するが、これに限定されない。双極性障害および統合失調症を包含するがこれに限定されない嗜癖および心の病もまた神経学的疾患の定義に包含される。神経学的疾患のさらなる例は、後天性てんかん性失語症、急性散在性脳脊髄炎、副腎白質ジストロフィー、脳梁欠損症、失認症、アイカルディ症候群、アレキサンダー病、アルパース病、交互性片麻痺、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、無脳症、アンジェルマン症候群、血管腫症、無酸素症、失語、失行症、くも膜嚢胞、くも膜炎、アーノルド・キアリ奇形、動静脈奇形、アスペルガー症候群、毛細血管拡張性運動失調症、注意欠如・多動性障害、自閉症、自律神経機能不全、背部痛、バッテン病、ベーチェット病、ベル麻痺、良性本態性眼瞼痙攣、良性局在性筋萎縮症、良性頭蓋内圧亢進、ビンスワンガー病、眼瞼痙攣、ブロッホ・サルツバーガー症候群、腕神経叢損傷、脳膿瘍、脳損傷、脳腫瘍(多形膠芽腫を包含する)、脊髄腫瘍、ブラウン・セカール症候群、カナバン病、手根管症候群(CTS)、カウザルギー、中枢痛症候群、橋中心髄鞘崩壊症、頭部(cephalic)障害、脳動脈瘤、脳動脈硬化症、脳萎縮、脳性巨人症、脳性麻痺、シャルコー・マリー・トゥース病、化学療法によって誘導されるニューロパチーおよび神経因性疼痛、キアリ奇形、舞踏病、慢性炎症性脱髄性ポリニューロパチー(CIDP)、慢性疼痛、慢性局所疼痛症候群、コフィン・ローリー症候群、持続的植物状態を包含する昏睡、先天性両側顔面神経麻痺、大脳皮質基底核変性、頭蓋型動脈炎、頭蓋骨縫合早期癒合症、クロイツフェルト・ヤコブ病、累積外傷性障害、クッシング症候群、サイトメガロウイルス封入体病(CIBD)、サイトメガロウイルス感染、ダンシングアイズ・ダンシングフィート症候群、ダンディーウォーカー症候群、ドーソン病、ドモルシア症候群、デジェリン・クルンプケ麻痺、認知症、皮膚筋炎、糖尿病性ニューロパチー、びまん性硬化症、自律神経失調症、ディスグラフィア、ディスレクシア、ジストニア、早期乳児てんかん性脳症、エンプティ・セラ症候群、脳炎、脳瘤、脳三叉神経領域血管腫症、てんかん、エルブ麻痺、本態性振戦、ファブリー病、ファール病、失神性目眩、家族性痙性麻痺、熱性発作、フィッシャー症候群、フリードライヒ運動失調症、前頭側頭型認知症および他の「タウオパチー」、ゴーシェ病、ゲルストマン症候群、巨細胞性動脈炎、巨細胞性封入体病、グロボイド細胞白質ジストロフィー、ギラン・バレー症候群、HTLV−1関連脊髄症、ハラーフォルデン・シュパッツ病、頭部損傷、頭痛、片側顔面痙攣、遺伝性痙性対麻痺、遺伝性多発神経炎性失調、耳性帯状疱疹、帯状疱疹、平山病、HIV関連認知症およびニューロパチー(AIDSの神経学的像もまた参照)、全前脳胞症、ハンチントン病および他のポリグルタミンリピート疾患、水無脳症、水頭症、コルチゾール過剰症、低酸素状態、免疫媒介性脳脊髄炎、封入体筋炎、色素失調症、乳児フィタン酸蓄積症、乳児レフサム病、点頭てんかん、炎症性ミオパチー、頭蓋内嚢胞、頭蓋内圧亢進症、ジュベール症候群、カーンズ・セイヤー症候群、ケネディー病、キンスボーン症候群、クリッペル・ファイル症候群、クラッベ病、クーゲルベルグ・ウェランダー病、クールー病、ラフォラ病、ランバート・イートン筋無力症候群、ランドウ・クレフナー症候群、延髄外側(ワレンベルグ)症候群、学習障害、リー病、レノックス・ガストー症候群、レッシュ・ナイハン症候群、白質ジストロフィー、レビー小体認知症、滑脳症、閉じ込め症候群、ルー・ゲーリック病(別名を運動ニューロン病または筋萎縮性側索硬化症)、腰部椎間板症、ライム病−神経学的後遺症、マシャド・ジョセフ病、巨脳症(macrencephaly)、巨脳症(megalencephaly)、メルカーソン・ローゼンタール症候群、メニエール病、髄膜炎、メンケス病、異染性白質ジストロフィー、小頭症、偏頭痛、ミラー・フィッシャー症候群、ミニストローク、ミトコンドリア性ミオパチー、メビウス症候群、一側下腿筋萎縮症、運動ニューロン病、もやもや病、ムコ多糖症、多発梗塞性認知症、多巣性運動ニューロパチー、多発性硬化症および他の脱髄性障害、体位性低血圧を有する多系統萎縮症、筋ジストロフィー、重症筋無力症、髄鞘破壊性びまん性硬化症、幼児のミオクロニー脳症、ミオクローヌス、ミオパチー、先天性ミオトニー、ナルコレプシー、神経線維腫症、神経遮断薬悪性症候群、AIDSの神経学的像、狼瘡の神経学的後遺症、ニューロミオトニア、ニューロンセロイド脂褐素症、神経細胞遊走障害、ニーマンピック病、オサリバン・マクラウド症候群、後頭神経痛、潜在性脊椎閉鎖不全症候群(occult spinal dysraphism sequence)、大田原症候群、オリーブ橋小脳萎縮症、オプソクローヌス・ミオクローヌス、視神経炎、起立性低血圧、オーバーユース症候群、感覚異常、パーキンソン病、先天性パラミオトニア、腫瘍随伴疾患、発作、パリー・ロンベルグ症候群、ペリツェウス・メルツバッヘル病、周期性四肢麻痺、末梢ニューロパチー、有痛性ニューロパチーおよび神経因性疼痛、遷延性植物状態、広汎性発達障害、光くしゃみ反射、フィタン酸蓄積症、ピック病、頚椎症性神経根症、下垂体腫瘍、多発性筋炎、孔脳症、ポストポリオ症候群、帯状疱疹後神経痛(PHN)、感染後脳脊髄炎、体位性低血圧、プラダー・ウィリ症候群、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性片側顔面萎縮症、進行性多巣性白質脳症、進行性硬化性ポリオジストロフィー、進行性核上性麻痺、偽脳腫瘍、ラムゼイ・ハント症候群(I型およびII型)、ラスムッセン脳炎、反射性交感神経性萎縮症候群、レフサム病、反復性運動障害、反復運動過多損傷、むずむず脚症候群、レトロウイルス関連脊髄症、レット症候群、ライ症候群、聖ヴィトゥス舞踏病、サンドホフ病、シルダー病、裂脳症、中隔視神経異形成症、揺さぶられっ子症候群、帯状疱疹、シャイ・ドレーガー症候群、シェーグレン症候群、睡眠時無呼吸症、ソトス症候群、痙縮、二分脊椎、脊髄損傷、脊髄腫瘍、脊髄性筋萎縮症、スティッフパーソン症候群、卒中、スタージ・ウェーバー症候群、亜急性硬化性全脳炎、クモ膜下出血、皮質下動脈硬化性脳症、シデナム舞踏病、失神、脊髄空洞症、遅発性ジスキネジア、テイ・サックス病、側頭動脈炎、脊髄係留症候群、トムセン病、胸郭出口症候群、疼痛性チック、トッド麻痺、トゥレット症候群、一過性脳虚血発作、伝達性海綿状脳症、横断性脊髄炎、外傷性脳損傷、振戦、三叉神経痛、熱帯性痙性不全対麻痺、結節性硬化症、血管性認知症(多発梗塞性認知症)、側頭動脈炎を包含する血管炎、フォン・ヒッペル・リンドウ病(VHL)、ワレンベルク症候群、ウェルドニッヒ・ホフマン病、ウエスト症候群、むち打ち症、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、およびツェルウェーガー症候群を包含する。
【0107】
「疼痛状態」は、神経因性疼痛(例えば、末梢神経因性疼痛)、中枢痛、求心路遮断性(deafferentiation)疼痛、慢性疼痛(例えば、慢性の侵害受容性疼痛、および術後疼痛などの慢性疼痛の他の形態、例えば、股関節、膝、または他の置換術後に生まれる疼痛)、術前疼痛、侵害受容体の刺激(侵害受容性疼痛)、急性疼痛(例えば、幻肢痛および一過的な急性疼痛)、非炎症性疼痛、炎症性疼痛、癌に関連した疼痛、創傷痛、熱傷疼痛、術後疼痛、医療手術に関連した疼痛、そう痒症からもたらされる疼痛、膀胱痛症候群、月経前不快気分障害および/または月経前症候群に関連した疼痛、慢性疲労症候群に関連した疼痛、早期陣痛に関連した疼痛、薬物嗜癖からの離脱(withdrawl)症状に関連した疼痛、関節痛、関節炎性疼痛(例えば、結晶性関節炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、痛風性関節炎、反応性関節炎、関節リウマチ、またはライター関節炎に関連した疼痛)、腰仙痛、筋骨格系疼痛、頭痛、偏頭痛、筋肉の痛み、下背部痛、頸部疼痛、歯痛、歯/顎顔面痛、内臓痛および同類を包含するが、これに限定されない。本明細書において企図される疼痛状態の1つ以上は、上および本明細書において提供される疼痛の種々の型(例えば侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛など)の混合物を含み得る。いくつかの態様においては、特定の疼痛が優勢であり得る。他の態様において、疼痛状態は疼痛の2つ以上の型を含み、優勢な1つはない。通例の臨床医は、疼痛状態に基づいて、特定の対象について治療有効量を達成するための投与量を決定し得る。
【0108】
用語「精神医学的障害」は精神の疾患を言い、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders - Fourth Edition (DSM-IV), published by the American Psychiatric Association, Washington D. C. (1994)に列記されている疾患および障害を包含する。精神医学的障害は、不安障害(例えば、急性ストレス障害、広場恐怖症、全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、分離不安障害、社交不安症、および特定の恐怖症)、小児期障害、(例えば、注意欠如・多動性障害、行為障害、および反抗挑戦性障害)、摂食障害(例えば、神経性無食欲症および神経性大食症)、気分障害(例えば、うつ病、双極性障害、気分循環性障害、気分変調性障害、および大うつ病性障害)、パーソナリティ障害(例えば、反社会性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、境界型パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、強迫性パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、スキゾイドパーソナリティ障害、および統合失調型パーソナリティ障害)、精神病性障害(例えば、短期精神病性障害、妄想性障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、統合失調症、および共有精神病性障害)、物質関連障害(例えば、アルコール依存症、アンフェタミン依存症、大麻依存症、コカイン依存症、幻覚剤依存症、吸入剤依存症、ニコチン依存症、オピオイド依存症、フェンサイクリジン依存症、および鎮静剤依存症)、適応障害、自閉症、せん妄、認知症、多発梗塞性認知症、学習および記憶障害(例えば、健忘および加齢性記憶喪失)、ならびにトゥレット障害を包含するが、これに限定されない。
【0109】
用語「代謝障害」は、炭水化物、脂質、蛋白質、核酸、またはその組み合わせの正常な代謝の改変を包含するいずれかの障害を言う。代謝障害は、核酸、蛋白質、脂質、および/または炭水化物の代謝の不均衡をもたらす代謝経路の欠乏または過剰どちらかと関連している。代謝に影響する因子は、内分泌(ホルモン)コントロール系(例えば、インスリン経路、GLP−1、PYY、または同類を包含する腸管内分泌ホルモン)、神経コントロール系(例えば、脳におけるGLP−1)、または同類を包含するが、これに限定されない。代謝障害の例は、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病)、高血糖症、高インスリン血症、インスリン抵抗性、および肥満を包含するが、これに限定されない。
【0110】
用語「筋骨格系疾患」または「MSD」は、四肢、頸部、および背部を支持する対象の関節、靭帯、筋肉、神経、腱、および構造の損傷および/または疼痛を言う。ある態様において、MSDは変性疾患である。ある態様において、MSDは炎症状態を包含する。MSDと関連し得る対象の体の部分は、上および下背部、頸部、肩、ならびに手足(腕部、脚部、足部、および手部)を包含する。ある態様において、MSDは骨疾患、例えば軟骨無形成症、先端巨大症、骨カルス、骨脱灰、骨折、骨髄疾患、骨髄新生物、先天性角化不全症、白血病(例えば、有毛細胞白血病、リンパ性白血病、骨髄性白血病、フィラデルフィア染色体陽性白血病、形質細胞白血病、幹細胞白血病)、全身性肥満細胞症、骨髄異形成症候群、発作性夜間血色素尿症、骨髄肉腫、骨髄増殖性障害、多発性骨髄腫、真性多血症、ピアソン骨髄膵臓症候群、骨新生物、骨髄新生物、ユーイング肉腫、骨軟骨腫、破骨細胞腫、骨肉腫、短指症、カムラチ・エンゲルマン症候群、頭蓋骨縫合早期癒合症、クルーゾン頭蓋顔面異骨症、小人症、軟骨無形成症、ブルーム症候群、コケイン症候群、エリス・ファンクレフェルト症候群、セッケル症候群、脊椎骨端異形成症、先天性脊椎骨端異形成症、ウェルナー症候群、過骨症、骨棘形成、クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群、マルファン症候群、マッキューン・オルブライト症候群、骨炎、変形性関節症、骨軟骨炎、骨軟骨異形成症、カシン・ベック病、レリー・ヴェイル軟骨骨異形成症、骨軟骨症、骨異栄養症、骨形成不全症、骨溶解症、ゴーハム・スタウト症候群、骨軟化症、骨髄炎、骨壊死、オステオペニア、オステオペトローシス、骨粗鬆症、骨硬化症、耳脊椎巨大骨端異形成症、肥厚性皮膚骨膜症、骨ページェット病、多指症、メッケル症候群、くる病、ロスムンド・トムソン症候群、ソトス症候群、脊椎骨端異形成症、先天性脊椎骨端異形成症、合指症、アペール症候群、合指症II型、またはウェルナー症候群である。ある態様において、MSDは軟骨疾患、例えば軟骨新生物、骨軟骨炎、骨軟骨異形成症、カシン・ベック病、またはレリー・ヴェイル軟骨骨異形成症である。ある態様において、MSDはヘルニア、例えば椎間板ヘルニアである。ある態様において、MSDは関節疾患、例えば関節痛、関節炎(例えば、痛風(例えば、ケリー・シーグミラー症候群、レッシュ・ナイハン症候群)、ライム病、変形性関節症、乾癬性関節炎、反応性関節炎、リウマチ熱、関節リウマチ、フェルティ症候群、滑膜炎、ブラウ症候群、ネイル・パテラ症候群、脊椎関節症、反応性関節炎、スティックラー症候群、滑膜疾患、滑膜炎、またはブラウ症候群である。ある態様において、MSDはランガー・ギーディオン症候群である。ある態様において、MSDは筋肉疾患、例えばバース症候群、ミトコンドリア脳筋症、MELAS症候群、MERRF症候群、MNGIE症候群、ミトコンドリア筋症、カーンズ・セイヤー症候群、筋痛症、線維筋痛症、リウマチ性多発筋痛症、筋腫、筋炎、皮膚筋炎、神経筋疾患、カーンズ・セイヤー症候群、筋ジストロフィー、筋無力症、先天性筋無力症候群、ランバート・イートン筋無力症候群、重症筋無力症、ミオトニア、先天性ミオトニア、脊髄性筋萎縮症、テタニー、眼筋麻痺、または横紋筋融解症である。ある態様において、MSDはプロテウス症候群である。ある態様において、MSDはリウマチ性疾患、例えば関節炎(例えば、痛風(例えば、ケリー・シーグミラー症候群、レッシュ・ナイハンライム病))、変形性関節症、乾癬性関節炎、反応性関節炎、リウマチ熱、関節リウマチ、フェルティ症候群、滑膜炎、ブラウ症候群、痛風(例えば、ケリー・シーグミラー症候群、レッシュ・ナイハン症候群)、リウマチ性多発筋痛症、リウマチ熱、リウマチ性心疾患、またはシェーグレン症候群である。ある態様において、MSDはシュワルツ・ヤンペル症候群である。ある態様において、MSDは骨格系疾患、例えばレリー・ヴェイル軟骨骨異形成症、骨格系奇形、メルニック・ニードルズ症候群、肥厚性皮膚骨膜症、リーガー症候群、脊柱疾患、椎間板ヘルニア、側彎症、二分脊椎、脊椎炎、強直性脊椎炎、脊椎関節症、反応性関節炎、脊椎骨端異形成症、先天性脊椎骨端異形成症、または脊椎症である。