特許第6800410号(P6800410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6800410アルケニル置換2,5−ピペラジンジオン、および、対象または細胞に剤を送達するための組成物におけるそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800410
(24)【登録日】2020年11月27日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】アルケニル置換2,5−ピペラジンジオン、および、対象または細胞に剤を送達するための組成物におけるそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 241/08 20060101AFI20201207BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20201207BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20201207BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20201207BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20201207BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20201207BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20201207BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20201207BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20201207BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20201207BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20201207BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20201207BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20201207BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20201207BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20201207BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20201207BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20201207BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20201207BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20201207BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20201207BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20201207BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20201207BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20201207BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   C07D241/08CSP
   A61K47/22
   A61K47/24
   A61K47/34
   A61K47/28
   A61K47/42
   A61K9/14
   A61K9/107
   A61K9/127
   A61K31/7088
   A61P1/16
   A61P3/06
   A61P3/00
   A61P35/00
   A61P25/00
   A61P11/00
   A61P37/06
   A61K48/00
   A61K45/00
   A61P7/00
   A61P7/06
   A61P7/04
   A61K8/49
   A61Q19/00
【請求項の数】35
【全頁数】101
(21)【出願番号】特願2017-565902(P2017-565902)
(86)(22)【出願日】2016年6月17日
(65)【公表番号】特表2018-519285(P2018-519285A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】US2016038141
(87)【国際公開番号】WO2016205691
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2019年6月17日
(31)【優先権主張番号】62/182,264
(32)【優先日】2015年6月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,ダニエル,グリフィス
(72)【発明者】
【氏名】ドーキン,ジョゼフ,アール.
(72)【発明者】
【氏名】フェントン,オーウェン,シェア
(72)【発明者】
【氏名】カウフマン,ケヴィン,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マクレラン,レベッカ,エル.
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−534220(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/061467(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D201/00−519/00
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00− 47/69
A61K 31/33− 33/44
A61P 1/00− 43/00
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 99/00
A61K 45/00
A61K 48/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
の化合物であって、
のそれぞれのものが、独立して、任意に置換されていてもよいC〜C40アルケニルであおよびRのそれぞれのものが、シス二重結合のみを含む、
前記化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項2】
の少なくとも1つのものが、n−アルケニル部分である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
の少なくとも1つのものが、独立して、任意に置換されていてもよいC14−18アルケニルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
それぞれのRが同じ基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
それぞれのRが、1つ、2つ、または3つの二重結合を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
の少なくとも1つのものが、2つのシス二重結合を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
の少なくとも1つのものが、式
【化2】
の基であり、
xが、4および20の間(両端を含む)の整数であり、
yが、1および20の間(両端を含む)の整数であり、
R’のそれぞれのものが、独立して、水素、任意に置換されていてもよいC1−6アルキル、ハロゲン、置換ヒドロキシル、置換チオール、および置換アミノであり、
ただし、基が40個以下の直鎖状の炭素原子を含む、
請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
の少なくとも1つのものが、
【化3】
である、請求項に記載の化合物。
【請求項9】
の少なくとも1つのものが、式
【化4】

の基であり、
xが、4および20の間(両端を含む)の整数であり、
yが、1および20の間(両端を含む)の整数であり、
z1が、1、2、または3であり、
R’のそれぞれのものが、独立して、水素、任意に置換されていてもよいC1−6アルキル、ハロゲン、置換ヒドロキシル、置換チオール、および置換アミノであり、
ただし、基が40個以下の直鎖状の炭素原子を含む、
請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
の少なくとも1つのものが、
【化5】
である、請求項に記載の化合物。
【請求項11】
の少なくとも1つのものが、式
【化6】
の基であり、
xが、4および20の間(両端を含む)の整数であり、
yが、1および20の間(両端を含む)の整数であり、
z1およびz2のそれぞれのものが、独立して、1、2、または3であり、
R’のそれぞれのものが、独立して、水素、任意に置換されていてもよいC1−6アルキル、ハロゲン、置換ヒドロキシル、置換チオール、および置換アミノであり、
ただし、基が40個以下の直鎖状の炭素原子を含む、
請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
の少なくとも1つのものが、
【化7】
である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
【化8】
【化9】
【化10】
から選択される構造を有する、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項14】
【化11】
の構造を有する、請求項13に記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩、
剤、および、
任意に添加剤
を含む、組成物。
【請求項16】
組成物が、対象または細胞に剤を送達するために有用である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
組成物が、医薬組成物、化粧品組成物、ニュートラシューティカル組成物、または非医療応用を有する組成物である、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
組成物が、医薬組成物である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
組成物が、さらにコレステロールおよび/またはPEG化脂質および/またはリン脂質および/またはアポリポ蛋白質を含む、請求項1518のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
剤が、有機分子、無機分子、核酸、蛋白質、ペプチド、ポリヌクレオチド、標的化剤、同位体標識された化学化合物、ワクチン、免疫剤、またはバイオプロセスに有用な剤である、請求項1519のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
剤が、ポリヌクレオチドである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
剤が、RNAである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
剤が、メッセンジャーRNA(mRNA)、一本鎖RNA(ssRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、前駆体メッセンジャーRNA(プレmRNA)、低分子ヘアピンRNA、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ガイドRNA(gRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、アンチセンスRNA(asRNA)、ヘテロ核RNA(hnRNA)、コードRNA、非コードRNA(ncRNA)、長鎖非コードRNA(長鎖ncRNAもしくはIncRNA)、サテライトRNA、ウイルスサテライトRNA、シグナル認識粒子RNA、細胞質低分子RNA、核内低分子RNA(snRNA)、リボソームRNA(rRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)、ポリイノシン酸、リボザイム、フレキシザイム、核小体低分子RNA(snoRNA)、スプライスリーダーRNA、ウイルスRNA、またはウイルスサテライトRNAである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
剤が、DNAである、請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
組成物が、粒子の形態である、請求項1524のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
粒子が、ナノ粒子、マイクロ粒子、ミセル、リポソーム、リポプレックスであるか、粒子が、剤を封入する、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
対象または細胞に剤を送達するための医薬組成物であって、請求項1526のいずれか一項に記載の組成物を含む、前記医薬組成物。
【請求項28】
その必要がある対象の疾患を処置または防止するための医薬組成物であって、請求項1526のいずれか一項に記載の組成物を含む、前記医薬組成物。
【請求項29】
対象が、ヒトである、請求項27または28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
疾患が、遺伝子疾患、増殖性疾患、血液学的疾患、神経学的疾患、肝臓疾患、脾臓疾患、肺疾患、疼痛状態、精神医学的障害、筋骨格系疾患、代謝障害、炎症性疾患、または自己免疫疾患である、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項31】
疾患が、肝癌、高コレステロール血症、不応性貧血、家族性アミロイドニューロパチー、または血友病(hemophelia)である、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項32】
血液学的疾患が貧血であり、剤がエリスロポエチンである、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
請求項1526のいずれか一項に記載の組成物、および、
キットを用いるための説明書
を含むキット。
【請求項34】
式(I)の化合物を調製する方法であって、該方法が、化合物
【化12】
またはその塩を式
【化13】
のエポキシドと反応させて、式(I)
【化14】
の化合物またはその塩を提供することを含み、
のそれぞれのものが、独立して、任意に置換されていてもよいC〜C40アルケニルである、前記方法。
【請求項35】

【化15】
式中、Rは、任意に置換されていてもよいC〜C40アルケニルであり、およびRは、シス二重結合のみを含む、
のエポキシドを調製する方法であって、該方法が、
(i)式
【化16】
のカルボン酸を式
【化17】
のアルデヒドに還元すること、
(ii)アルデヒドをアルファ塩素化条件下において処置して、式
【化18】
の塩素化アルデヒドを提供すること、
(iii)塩素化アルデヒドを還元して、式
【化19】
のアルコールを提供すること、および、
(iv)アルコールを好適な条件下において処置してエポキシドを提供すること
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2015年6月19日出願の米国仮特許出願U.S.S.N.62/182,264の米国特許法第119条(e)の下における優先権を主張し、その全内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府の支援
本発明は、国立衛生研究所によって授与された助成金no.R01-DE016516の下における政府の支援によってなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
RNA干渉(RNAi)によって遺伝子をサイレンシングする能力がMelloおよびFireによって1998年に報告された。Fire et al., Nature (1998) 391:806-811参照。それから、科学者らは、標的化された遺伝子ノックダウンによって駆動される厖大な治療ポテンシャルを利用することを急いできた。これは、人間における低分子干渉RNA(siRNA)によって媒介されるRNAiの第1の報告が、現象がCaenorhabditis elegansにおいて記載された僅か12年後に報告されたという事実によって証拠づけられる。Davis et al., Nature (2010) 464: 1067-1070参照。siRNA治療薬の利点は、高い標的選択性および特異性と、有効な治療がない遺伝子疾患の処置のために「アンドラッガブル」であると現行では信じられている経路を標的化するポテンシャルとを包含する。siRNA治療薬は肝癌、高コレステロール血症、不応性貧血、または家族性アミロイドニューロパチーなどの種々の疾患の処置について有望な結果を示している。
【0004】
しかしながら、siRNAの効率的な送達はsiRNA治療薬の開発において尚難題である。送達効率および毒性に関連した問題が原因で、siRNAの臨床使用はより安全でより有効な送達系を要求する。インビボで有効に核酸を送達する能力がないことによって、遺伝子薬の開発が遅くなっているということは理解される。保護されていないときに、血流中に注射された遺伝子材料はデオキシリボヌクレアーゼ(DNAase)およびリボヌクレアーゼ(RNAase)によって分解され得るか、または、分解されない場合にも、遺伝子材料は免疫応答を刺激し得る。例えば、Whitehead et al., Nature Reviews Drug Discovery (2009) 8: 129-138、Robbins et al., Oligonucleotides (2009) 19:89-102参照。無傷なsiRNAは次いで細胞質に入らなければならず、そこでアンチセンス鎖がRNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)中に組み込まれる(Whitehead et al., 上記)。RISCは相補的なmRNA配列に結びついて分解し、それによって標的mRNAから蛋白質への翻訳を防止する。すなわち遺伝子を「サイレンシング」する。
【0005】
送達の困難を克服するために、ポリヌクレオチドは、ポリマー、脂質、無機ナノ粒子、およびウイルスを包含する広く種々の送達系と複合体化されて来た。例えば、Peer et al. Nature Nanotechnology, (2007) 2:751-760参照。しかしながら、呼吸器合胞体ウイルスおよび肝臓癌の処置のための進行中の治験からの有望なデータにもかかわらず(例えば、Zamora et al., Am. J. Respir. Crit. Care Med. (2011) 183:531-538参照)、siRNAの臨床使用は引き続いてより安全でより有効な送達系の開発を要求している。この目標に向けて、数々の脂質様分子が開発されており、ポリβ−アミノエステルおよびアミノアルコール脂質を包含する。例えば、国際PCT特許出願公開WO2002/031025、WO2004/106411、WO2008/011561、WO2007/143659、WO2006/138380、およびWO2010/053572参照。アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド−脂質もまた、治療薬、バイオサーファクタント、およびヌクレオチド送達系としての使用を包含する種々の応用について研究されている。例えば、Giuliani et al., Cellular and Molecular Life Sciences (2011) 68:2255-2266、Ikeda et al., Current Medicinal Chemistry (2007) 14: 111263-1275、Sen, Advances in Experimental Medicine and Biology (2010) 672:316-323、Damen et al., Journal of Controlled Release (2010) 145:33-39、WO2013/063468、WO2014/179562、および米国公開No.2015/0140070参照。さらにその上に、アミノ酸−脂質はメッセンジャーRNA(mRNA)治療のための送達基剤として有用だと見出されており、これは、種々の疾患の処置にとって、特に1つ以上の蛋白質の欠乏に関連したものについて、増々重要なオプションである。例えば、米国公開No.2015/0140070参照。
【0006】
しかしながら、新たな改善されたポリヌクレオチド送達系、例えば既存の系よりも効率的なおよび/または毒性でないものを検討および開発する必要が引き続いて残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書には式(I)の新規のアルケニル置換2,5−ピペラジンジオン、
【化1】

およびその塩が記載され、Rのそれぞれのものは独立して任意に置換されていてもよいC〜C40アルケニルである。かかる化合物は、例えば改善されたヌクレオチド送達などの種々の応用にとって有用と見なされる。
【0008】
さらに、式(I)の化合物、剤(例えば、薬剤、診断剤、および/またはポリヌクレオチド、例えばsiRNA、mRNA、もしくはプラスミドDNA)、および、任意に添加剤(例えば、薬学的に許容し得る添加剤)を含む組成物(例えば、医薬組成物)が提供される。さらに、尚、剤を対象(例えば、対象の肝臓、肺、および/もしくは脾臓)または細胞に送達するために、ならびに疾患のある範囲、例えば遺伝子疾患、増殖性疾患、血液学的疾患、神経学的疾患、肝臓疾患、脾臓疾患、肺疾患、疼痛状態、精神医学的障害、筋骨格系疾患、代謝障害、炎症性疾患、または自己免疫疾患を処置および/または防止するために、組成物を用いる方法およびキットが提供される。
【0009】
いずれかの特定の理論によって拘束されることを望むものではないが、本明細書に記載される組成物は、ある態様において、対象(例えば、対象の肝臓、肺、および/もしくは脾臓)または細胞に剤を送達することにとって有用であると考えられる。さらにその上に、いずれかの特定の理論によって拘束されることを望むものではないが、プロトン化されて正荷電のアンモニウムカチオンを形成し得る1つよりも多くのアミノ部分を包含する式(I)の化合物は、負荷電部分を包含するポリヌクレオチドなどの剤に非共有結合的に結合して複合体を形成し得る。その上に、いずれかの特定の理論によって拘束されることを望むものではないが、式(I)の化合物は、4つのRアルケニル部分を包含し、それらは式(I)の化合物および/または式(I)の化合物と剤との複合体が細胞膜を通り抜けるかまたは細胞によって取り込まれることを助け得る。
【0010】
それゆえに、1つの側面においては、その必要がある対象の疾患の処置または防止のために、式(I)の化合物もしくはその塩、または式(I)の化合物もしくはその塩および剤を含む組成物(例えば、医薬組成物)の使用の方法が提供される。ある態様において、剤はポリヌクレオチドである。ある態様において、疾患を処置する方法は、薬剤を包含する本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を対象に投与することを含む。ある態様において、疾患を防止する方法は、薬剤を包含する本明細書に記載される医薬組成物の予防有効量を対象に投与することを含む。ある態様において、記載される方法によって処置または防止される疾患は、遺伝子疾患、増殖性疾患、血液学的疾患、神経学的疾患、肝臓疾患、脾臓疾患、肺疾患、疼痛状態、精神医学的障害、泌尿生殖器系疾患、筋骨格系疾患、代謝障害、炎症性疾患、または自己免疫疾患である。ある態様において、疾患は血液学的疾患、例えば貧血である。ある態様において、疾患は肝癌、高コレステロール血症、不応性貧血、家族性アミロイドニューロパチー、または血友病である。ある態様において、組成物はエリスロポエチン(EPO)を剤として含む。ある態様において、処置または防止されるべき疾患は貧血であり、剤はエリスロポエチン(EPO)である。
【0011】
別の側面においては、剤を対象(例えば、対象の肝臓、肺、および/または脾臓)、細胞、または組織に送達する方法が提供され、本明細書に記載される組成物を対象または細胞に投与することを含む。ある態様において、剤を送達する方法は、剤を包含する本明細書に記載される組成物と細胞を接触させることを含む。細胞はインビトロまたはインビボであり得る。ある態様において、剤は非標的細胞への剤の送達と比較して選択的に標的細胞に送達される。ある態様において、剤は非標的組織への剤の送達と比較して選択的に標的組織に送達される。ある態様において、方法は、対象または細胞に対する剤の暴露を増大させる。ある態様において、方法は、対象または細胞における剤の濃度を増大させる。
【0012】
本開示の別の側面は、式(I)の化合物または本明細書に記載される組成物を有する容器を含むキットに関する。キットは組成物のシングルドーズまたはマルチドーズを包含し得る。キットは本明細書に記載される方法に有用であり得る。ある態様において、本開示のキットは、式(I)の化合物または組成物を対象に用いるための説明書をさらに包含する。
【0013】
別の側面においては、化合物のライブラリーをスクリーニングして、本明細書に記載される方法に有用である式(I)の1つ以上の化合物を同定する方法が提供される。スクリーニングの方法によって同定される化合物は、剤(例えば、ポリヌクレオチド)を対象(例えば、対象の肝臓、肺、および/または脾臓)または細胞に送達することに有用であり得る。スクリーニングの方法によって同定される化合物は、本明細書に記載される疾患を処置および/または防止することにもまた有用であり得る。
【0014】
本発明の1つ以上の態様の詳細が本明細書に示されている。本発明の他の特徴、目的、および利点は発明を実施するための形態、図面、実施例、および特許請求の範囲から明らかであろう。
【0015】
定義
化学的な定義
具体的な官能基および化学用語の定義が下でより詳細に記載される。化学元素はHandbook of Chemistry and Physics, 75th Ed.内表紙の元素周期表CAS版に従って同定され、具体的な官能基はそこに記載される通りに一般的に定義される。加えて、有機化学の一般的な原理、ならびに具体的な官能部分および反応性はOrganic Chemistry, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito, 1999、Smith and March, March's Advanced Organic Chemistry, 5th Edition, John Wiley & Sons, Inc., New York, 2001、Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers, Inc., New York, 1989、およびCarruthers, Some Modern Methods of Organic Synthesis, 3rd Edition, Cambridge University Press, Cambridge, 1987に記載されている。
【0016】
本明細書に記載される化合物は1つ以上の不斉中心を含み得、それゆえに種々の異性体形態、例えばエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーで存在し得る。例えば、本明細書に記載される化合物は単体のエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは幾何異性体の形態であり得るか、または、ラセミ混合物および1つ以上の立体異性体が濃縮された混合物を包含する立体異性体の混合物の形態であり得る。異性体は当業者に公知の方法によって混合物から単離され得、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)ならびにキラル塩の形成および結晶化を包含する。または、好ましい異性体が不斉合成によって調製され得る。例えば、Jacques et al., Enantiomers, Racemates and Resolutions (Wiley Interscience, New York, 1981)、Wilen et al., Tetrahedron 33:2725 (1977)、Eliel, Stereochemistry of Carbon Compounds (McGraw-Hill, NY, 1962)、およびWilen, S.H. Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268 (E.L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN 1972)参照。加えて、本発明は、他の異性体を実質的に不含の単体の異性体としての、および代替的には種々の異性体の混合物としての、化合物を包摂する。
【0017】
別様に述べられていない限り、本明細書に図示される構造は、同位体が濃縮された1つ以上の原子の存在のみが異なる化合物を包含することもまた意味されている。例えば、デューテリウム(H)もしくはトリチウム(H)による水素(H)の置き換え、18Fによる19Fの置き換え、または13Cもしくは14Cが濃縮された炭素による炭素(12C)の置き換えを除いては本構造を有する化合物は、本開示の範囲内である。かかる化合物は、例えば分析ツールまたは生物学的アッセイにおけるプローブとして有用である。
【0018】
値のある範囲が列記されるときには、それは範囲内のそれぞれの値および部分範囲を包摂することが意図される。例えば「C1−6アルキル」はC、C、C、C、C、C、C1−6、C1−5、C1−4、C1−3、C1−2、C2−6、C2−5、C2−4、C2−3、C3−6、C3−5、C3−4、C4−6、C4−5、およびC5−6アルキルを包摂することが意図される。
【0019】
本明細書において用いられるn−アルキル、n−アルケニル、およびn−アルキニル基は、「ノーマル」直鎖アルキル、直鎖アルケニル、および直鎖アルキニル鎖を言い、定められている炭素原子数はアルキル、アルケニル、およびアルキニル鎖中の直鎖状の炭素の数を言う。直鎖上の任意の置換は非アルキル、非アルケニル、および非アルキニル基、例えばハロゲン基に限定される。
【0020】
本明細書において用いられる「アルキル」は、1から40個の炭素原子を有する直鎖または分岐飽和炭化水素基のラジカルを言う(「C1−40アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから30個の炭素原子を有する(「C1−30アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから20個の炭素原子を有する(「C1−20アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから10個の炭素原子を有する(「C1−10アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから9つの炭素原子を有する(「C1−9アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから8つの炭素原子を有する(「C1−8アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから7つの炭素原子を有する(「C1−7アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから6つの炭素原子を有する(「C1−6アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから5つの炭素原子を有する(「C1−5アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから4つの炭素原子を有する(「C1−4アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから3つの炭素原子を有する(「C1−3アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つから2つの炭素原子を有する(「C1−2アルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は1つの炭素原子を有する(「Cアルキル」)。いくつかの態様において、アルキル基は2つから6つの炭素原子を有する(「C2−6アルキル」)。C1−6アルキル基の例は、メチル(C)、エチル(C)、n−プロピル(C)、イソプロピル(C)、n−ブチル(C)、tert−ブチル(C)、sec−ブチル(C)、イソブチル(C)、n−ペンチル(C)、3−ペンタニル(C)、アミル(C)、ネオペンチル(C)、3−メチル−2−ブタニル(C)、第3級アミル(C)、およびn−ヘキシル(C)を包含する。アルキル基の追加の例は、n−ヘプチル(C)、n−オクチル(C)、および同類を包含する。別様に定められていない限り、アルキル基のそれぞれのものは、独立して無置換であるか(「無置換アルキル」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換アルキル」)。ある態様において、アルキル基は無置換C1−30アルキルである。ある態様において、アルキル基は置換C1−30アルキルである。
【0021】
本明細書において用いられる「へテロアルキル」は、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される少なくとも1つのへテロ原子(例えば、1つから10個の、例えば、1つの、2つの、3つの、または4つのへテロ原子)を、主鎖中に(すなわち、その隣接炭素原子間に挿入されて)および/またはその1つ以上の末端位置(単数または複数)に置かれてさらに包含する、本明細書において定義されるアルキル基を言う。ある態様において、へテロアルキル基は、1つから40個の炭素原子と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基を言う(「へテロC1−40アルキル」)。ある態様において、へテロアルキル基は1つから30個の炭素原子と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基を言う(「へテロC1−30アルキル」)。ある態様において、ヘテロアルキル基は1つから20個の炭素原子と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基を言う(「へテロC1−20アルキル」)。ある態様において、ヘテロアルキル基は1つから10個の炭素原子と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基を言う(「へテロC1−10アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は1つから9つの炭素原子と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基である(「へテロC1−9アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は1つから8つの炭素原子と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基である(「ヘテロC1−8アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は1つから7つの炭素原子と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基である(「ヘテロC1−7アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は1つから6つの炭素原子と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基である(「ヘテロC1−6アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は1つから5つの炭素原子と1つまたは2つのへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基である(「ヘテロC1−5アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は1つから4つの炭素原子と1つまたは2つのへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基である(「ヘテロC1−4アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は1つから3つの炭素原子と1つのへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基である(「ヘテロC1−3アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は1つから2つの炭素原と1つのへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基である(「ヘテロC1−2アルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は1つの炭素原子と1つのへテロ原子とを有する飽和基である(「ヘテロCアルキル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキル基は2つから6つの炭素原子と1つまたは2つのへテロ原子とを主鎖中に有する飽和基である(「ヘテロC2−6アルキル」)。別様に定められていない限り、ヘテロアルキル基のそれぞれのものは、独立して無置換であるか(「無置換へテロアルキル」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換へテロアルキル」)。ある態様において、ヘテロアルキル基は無置換ヘテロC1−30アルキルである。ある態様において、ヘテロアルキル基は置換ヘテロC1−30アルキルである。
【0022】
本明細書において用いられる「ハロアルキル」は、水素原子の1つ以上がハロゲン、例えばフルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードによって独立して置き換えられた本明細書において定義される置換アルキル基である。「ペルハロアルキル」はハロアルキルの下位集合であり、水素原子の全てがハロゲン、例えばフルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードによって独立して置き換えられたアルキル基を言う。いくつかの態様において、ハロアルキル部分は1つから8つの炭素原子を有する(「C1−8ハロアルキル」)。いくつかの態様において、ハロアルキル部分は1つから6つの炭素原子を有する(「C1−6ハロアルキル」)。いくつかの態様において、ハロアルキル部分は1つから4つの炭素原子を有する(「C1−4ハロアルキル」)。いくつかの態様において、ハロアルキル部分は1つから3つの炭素原子を有する(「C1−3ハロアルキル」)。いくつかの態様において、ハロアルキル部分は1つから2つの炭素原子を有する(「C1−2ハロアルキル」)。いくつかの態様において、ハロアルキルの水素原子の全てはフルオロによって置き換えられてペルフルオロアルキル基を提供する。いくつかの態様において、ハロアルキルの水素原子の全てはクロロによって置き換えられて「ペルクロロアルキル」基を提供する。ハロアルキル基の例は、−CF、−CFCF、−CFCFCF、−CCl、−CFCl、−CFCl、および同類を包含する。
【0023】
本明細書において用いられる「アルケニル」は、2つから40個の炭素原子と1つ以上の炭素−炭素二重結合(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの二重結合)とを有する直鎖または分岐炭化水素基のラジカルを言う(「C2−40アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから30個の炭素原子を有する(「C2−30アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから20個の炭素原子を有する(「C2−20アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから10個の炭素原子を有する(「C2−10アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから9つの炭素原子を有する(「C2−9アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから8つの炭素原子を有する(「C2−8アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから7つの炭素原子を有する(「C2−7アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから6つの炭素原子を有する(「C2−6アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから5つの炭素原子を有する(「C2−5アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから4つの炭素原子を有する(「C2−4アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つから3つの炭素原子を有する(「C2−3アルケニル」)。いくつかの態様において、アルケニル基は2つの炭素原子を有する(「Cアルケニル」)。1つ以上の炭素−炭素二重結合は、内部(例えば2−ブテニル中)または末端(例えば1−ブテニル中)であり得る。C2−4アルケニル基の例はエテニル(C)、1−プロペニル(C)、2−プロペニル(C)、1−ブテニル(C)、2−ブテニル(C)、ブタジエニル(C)、および同類を包含する。C2−6アルケニル基の例は、前述のC2−4アルケニル基ならびにペンテニル(C)、ペンタジエニル(C)、ヘキセニル(C)、および同類を包含する。アルケニルの追加の例はヘプテニル(C)、オクテニル(C)、オクタトリエニル(C)、および同類を包含する。別様に定められていない限り、アルケニル基のそれぞれのものは独立して無置換であるか(「無置換アルケニル」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換アルケニル」)。ある態様において、アルケニル基は無置換C2−30アルケニルである。ある態様において、アルケニル基は置換C2−30アルケニルである。
【0024】
本明細書において用いられる「ヘテロアルケニル」は、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される少なくとも1つのへテロ原子(例えば、1つから25個の、例えば、1つの、2つの、3つの、または4つのへテロ原子)を、主鎖中に(すなわち、その隣接炭素原子間に挿入されて)および/またはその1つ以上の末端位置(単数または複数)に置かれてさらに含む、本明細書において定義されるアルケニル基を言う。ある態様において、へテロアルケニル基は、2つから40個の炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する基を言う(「ヘテロC2−40アルケニル」)。ある態様において、へテロアルケニル基は、2つから30個の炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する基を言う(「ヘテロC2−30アルケニル」)。ある態様において、へテロアルケニル基は、2つから20個の炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する基を言う(「ヘテロC2−20アルケニル」)。ある態様において、へテロアルケニル基は、2つから10個の炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する基を言う(「ヘテロC2−10アルケニル」)。いくつかの態様において、へテロアルケニル基は、2つから9つの炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する(「ヘテロC2−9アルケニル」)。いくつかの態様において、へテロアルケニル基は2つから8つの炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する(「ヘテロC2−8アルケニル」)。いくつかの態様において、へテロアルケニル基は2つから7つの炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する(「ヘテロC2−7アルケニル」)。いくつかの態様において、へテロアルケニル基は2つから6つの炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する(「ヘテロC2−6アルケニル」)。いくつかの態様において、へテロアルケニル基は、2つから5つの炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つまたは2つのへテロ原子とを主鎖中に有する(「ヘテロC2−5アルケニル」)。いくつかの態様において、へテロアルケニル基は、2つから4つの炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つまたは2つのへテロ原子とを主鎖中に有する(「ヘテロC2−4アルケニル」)。いくつかの態様において、へテロアルケニル基は2つから3つの炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つのへテロ原子とを主鎖中に有する(「ヘテロC2−3アルケニル」)。いくつかの態様において、へテロアルケニル基は2つから6つの炭素原子と少なくとも1つの二重結合と1つまたは2つのへテロ原子とを主鎖中に有する(「ヘテロC2−6アルケニル」)。別様に定められていない限り、へテロアルケニル基のそれぞれのものは独立して無置換であるか(「無置換へテロアルケニル」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換へテロアルケニル」)。ある態様において、へテロアルケニル基は無置換ヘテロC2−30アルケニルである。ある態様において、へテロアルケニル基は置換ヘテロC2−30アルケニルである。
【0025】
本明細書において用いられる「アルキニル」は、2つから40個の炭素原子と1つ以上の炭素−炭素三重結合(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの三重結合)と任意に1つ以上の二重結合(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの二重結合)とを有する直鎖または分岐炭化水素基のラジカルを言う(「C2−40アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから30個の炭素原子を有する(「C2−30アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから20個の炭素原子を有する(「C2−20アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから10個の炭素原子を有する(「C2−10アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから9つの炭素原子を有する(「C2−9アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから8つの炭素原子を有する(「C2−8アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから7つの炭素原子を有する(「C2−7アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから6つの炭素原子を有する(「C2−6アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから5つの炭素原子を有する(「C2−5アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから4つの炭素原子を有する(「C2−4アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つから3つの炭素原子を有する(「C2−3アルキニル」)。いくつかの態様において、アルキニル基は2つの炭素原子を有する(「Cアルキニル」)。1つ以上の炭素−炭素三重結合は、内部(例えば2−ブチニル中)または末端(例えば1−ブチニル中)であり得る。C2−4アルキニル基の例は、限定なしに、エチニル(C)、1−プロピニル(C)、2−プロピニル(C)、1−ブチニル(C)、2−ブチニル(C)、および同類を包含する。C2−6アルキニル(alkenyl)基の例は、前述のC2−4アルキニル基ならびにペンチニル(C)、ヘキシニル(C)、および同類を包含する。アルキニルの追加の例は、ヘプチニル(C)、オクチニル(C)、および同類を包含する。別様に定められていない限り、アルキニル基のそれぞれのものは独立して無置換であるか(「無置換アルキニル」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換アルキニル」)。ある態様において、アルキニル基は無置換C2−30アルキニルである。ある態様において、アルキニル基は置換C2−30アルキニルである。
【0026】
本明細書において用いられる「ヘテロアルキニル」は、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される少なくとも1つのへテロ原子(例えば、1つから25個の、例えば、1つの、2つの、3つの、または4つのへテロ原子)を、主鎖中に(すなわち、その隣接炭素原子間に挿入されて)および/またはその1つ以上の末端位置(単数または複数)に置かれてさらに包含する、本明細書において定義されるアルキニル基を言う。ある態様において、ヘテロアルキニル基は、2つから40個の炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する基を言う(「ヘテロC2−40アルキニル」)。ある態様において、ヘテロアルキニル基は、2つから30個の炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する基を言う(「へテロC2−30アルキニル」)。ある態様において、ヘテロアルキニル基は、2つから20個の炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する基を言う(「へテロC2−20アルキニル」)。ある態様において、ヘテロアルキニル基は、2つから10個の炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する基を言う(「へテロC2−10アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は2つから9つの炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する(「へテロC2−9アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は2つから8つの炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する(「へテロC2−8アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は2つから7つの炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する(「へテロC2−7アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は2つから6つの炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つ以上のへテロ原子とを主鎖中に有する(「へテロC2−6アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は2つから5つの炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つまたは2つのへテロ原子とを主鎖中に有する(「へテロC2−5アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は2つから4つの炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つまたは2つのへテロ原子とを主鎖中に有する(「へテロC2−4アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は2つから3つの炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つのへテロ原子とを主鎖中に有する(「へテロC2−3アルキニル」)。いくつかの態様において、ヘテロアルキニル基は2つから6つの炭素原子と少なくとも1つの三重結合と1つまたは2つのへテロ原子とを主鎖中に有する(「へテロC2−6アルキニル」)。別様に定められていない限り、ヘテロアルキニル基のそれぞれのものは独立して無置換であるか(「無置換ヘテロアルキニル」) または1つ以上の置換基によって置換される(「置換ヘテロアルキニル」)。ある態様において、ヘテロアルキニル基は無置換ヘテロC2−30アルキニルである。ある態様において、ヘテロアルキニル基は置換ヘテロC2−30アルキニルである。
【0027】
本明細書において用いられる「カルボシクリル」または「炭素環式」は、3つから10個の環内炭素原子とゼロ個のヘテロ原子とを非芳香族環系中に有する非芳香族環式炭化水素基のラジカルを言う(「C3−10カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は3つから8つの環内炭素原子を有する(「C3−8カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は3つから7つの環内炭素原子を有する(「C3−7カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は3つから6つの環内炭素原子を有する(「C3−6カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は4つから6つの環内炭素原子を有する(「C4−6カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は5つから6つの環内炭素原子を有する(「C5−6カルボシクリル」)。いくつかの態様において、カルボシクリル基は5つから10個の環内炭素原子を有する(「C5−10カルボシクリル」)。例示的なC3−6カルボシクリル基は、限定なしに、シクロプロピル(C)、シクロプロペニル(C)、シクロブチル(C)、シクロブテニル(C)、シクロペンチル(C)、シクロペンテニル(C)、シクロヘキシル(C)、シクロヘキセニル(C)、シクロヘキサジエニル(C)、および同類を包含する。例示的なC3−8カルボシクリル基は、限定なしに、前述のC3−6カルボシクリル基ならびにシクロヘプチル(C)、シクロヘプテニル(C)、シクロヘプタジエニル(C)、シクロヘプタトリエニル(C)、シクロオクチル(C)、シクロオクテニル(C)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル(C)、ビシクロ[2.2.2]オクタニル(C)、および同類を包含する。例示的なC3−10カルボシクリル基は、限定なしに、前述のC3−8カルボシクリル基ならびにシクロノニル(C)、シクロノネニル(C)、シクロデシル(C10)、シクロデセニル(C10)、オクタヒドロ−1H−インデニル(C)、デカヒドロナフタレニル(C10)、スピロ[4.5]デカニル(C10)、および同類を包含する。先述の例が例示しているように、ある態様において、カルボシクリル基は単環式(「単環式カルボシクリル」)または多環式(例えば、二環式系(「二環式カルボシクリル」)もしくは三環式系(「三環式カルボシクリル」)などの縮合、架橋、もしくはスピロ環系を含有する)どちらかであり、飽和であり得るか、または1つ以上の炭素−炭素二重もしくは三重結合を含有し得る。「カルボシクリル」は、取り付けの点がカルボシクリル環上にある、上で定義されているカルボシクリル環が1つ以上のアリールまたはヘテロアリール基と縮合した環系をもまた包含し、かかる場合に、炭素数は引き続いて炭素環式環系中の炭素数を指定する。別様に定められていない限り、カルボシクリル基のそれぞれのものは、独立して無置換であるか(「無置換カルボシクリル」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換カルボシクリル」)。ある態様において、カルボシクリル基は無置換C3−10カルボシクリルである。ある態様において、カルボシクリル基は置換C3−10カルボシクリルである。
【0028】
いくつかの態様において、「カルボシクリル」または「炭素環式」は、3つから10個の環内炭素原子を有する「シクロアルキル」、すなわち単環式の飽和カルボシクリル基ともまた言われる(「C3−10シクロアルキル」)。いくつかの態様において、シクロアルキル基は3つから8つの環内炭素原子を有する(「C3−8シクロアルキル」)。いくつかの態様において、シクロアルキル基は3つから6つの環内炭素原子を有する(「C3−6シクロアルキル」)。いくつかの態様において、シクロアルキル基は4つから6つの環内炭素原子を有する(「C4−6シクロアルキル」)。いくつかの態様において、シクロアルキル基は5つから6つの環内炭素原子を有する(「C5−6シクロアルキル」)。いくつかの態様において、シクロアルキル基は5つから10個の環内炭素原子を有する(「C5−10シクロアルキル」)。C5−6シクロアルキル基の例はシクロペンチル(C)およびシクロヘキシル(C)を包含する。C3−6シクロアルキル基の例は、前述のC5−6シクロアルキル基ならびにシクロプロピル(C)およびシクロブチル(C)を包含する。C3−8シクロアルキル基の例は、前述のC3−6シクロアルキル基ならびにシクロヘプチル(C)およびシクロオクチル(C)を包含する。別様に定められていない限り、シクロアルキル基のそれぞれのものは独立して無置換であるか(「無置換シクロアルキル」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換シクロアルキル」)。ある態様において、シクロアルキル基は無置換C3−10シクロアルキルである。ある態様において、シクロアルキル基は置換C3−10シクロアルキルである。
【0029】
本明細書において用いられる「ヘテロシクリル」または「ヘテロ環式」は、環内炭素原子と1つ以上の(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの)環内へテロ原子とを有する3から14員非芳香族環系のラジカルを言い、それぞれのへテロ原子は独立して酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される(「3〜14員ヘテロシクリル」)。1つ以上の窒素原子を含有するヘテロシクリル基において、取り付けの点は、原子価が許容する炭素または窒素原子であり得る。ヘテロシクリル基は、単環式(「単環式ヘテロシクリル」)または多環式(例えば、二環式系(「二環式ヘテロシクリル」)もしくは三環式系(「三環式ヘテロシクリル」)などの縮合、架橋、もしくはスピロ環系)どちらかであり得、飽和であり得るかまたは1つ以上の炭素−炭素二重もしくは三重結合を含有し得る。ヘテロシクリル多環式環系は1つまたは両方の環中に1つ以上のヘテロ原子を包含し得る。「ヘテロシクリル」は、取り付けの点がカルボシクリル上もしくはヘテロシクリル環上どちらかにある、上で定義されているヘテロシクリル環が1つ以上のカルボシクリル基と縮合した環系、または取り付けの点がヘテロシクリル環上にある、上で定義されているヘテロシクリル環が1つ以上のアリールもしくはヘテロアリール基と縮合した環系をもまた包含し、かかる場合に、環員数は引き続いてヘテロシクリル環系中の環員数を指定する。別様に定められていない限り、ヘテロシクリルのそれぞれのものは独立して無置換であるか(「無置換ヘテロシクリル」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換ヘテロシクリル」)。ある態様において、ヘテロシクリル基は無置換3〜14員ヘテロシクリルである。ある態様において、ヘテロシクリル基は置換3〜14員ヘテロシクリルである。
【0030】
いくつかの態様において、ヘテロシクリル基は、環内炭素原子と1つ以上の(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの)環内へテロ原子とを有する5〜10員非芳香族環系であり、それぞれのへテロ原子は独立して酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される(「5〜10員ヘテロシクリル」)。いくつかの態様において、ヘテロシクリル基は、環内炭素原子と1つ以上の(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの)環内へテロ原子とを有する5〜8員非芳香族環系であり、それぞれのへテロ原子は独立して酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される(「5〜8員ヘテロシクリル」)。いくつかの態様において、ヘテロシクリル基は、環内炭素原子と1つ以上の(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの)環内へテロ原子とを有する5〜6員非芳香族環系であり、それぞれのへテロ原子は独立して酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される(「5〜6員ヘテロシクリル」)。いくつかの態様において、5〜6員ヘテロシクリルは、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される1つ以上の(例えば、1つの、2つの、または3つの)環内へテロ原子を有する。いくつかの態様において、5〜6員ヘテロシクリルは、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される1つまたは2つの環内へテロ原子を有する。いくつかの態様において、5〜6員ヘテロシクリルは、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される1つの環内へテロ原子を有する。
【0031】
1つのへテロ原子を含有する例示的な3員ヘテロシクリル基は、限定なしに、アジリジニル(azirdinyl)、オキシラニル、チオレニルを包含する。1つのへテロ原子を含有する例示的な4員ヘテロシクリル基は、限定なしに、アゼチジニル、オキセタニル、およびチエタニルを包含する。1つのへテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基は、限定なしに、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリル、およびピロリル−2,5−ジオンを包含する。2つのへテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基は、限定なしに、ジオキソラニル、オキサチオラニル、およびジチオラニルを包含する。3つのへテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基は、限定なしに、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル、およびチアジアゾリニルを包含する。1つのへテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基は、限定なしに、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、およびチアニルを包含する。2つのへテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基は、限定なしに、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル、ジオキサニルを包含する。3つのへテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基は、限定なしに、トリアジナニルを包含する。1つのへテロ原子を含有する例示的な7員ヘテロシクリル基は、限定なしに、アゼパニル、オキセパニル、およびチエパニルを包含する。1つのへテロ原子を含有する例示的な8員ヘテロシクリル基は、限定なしに、アゾカニル、オキセカニル、およびチオカニルを包含する。例示的な二環式ヘテロシクリル基は、限定なしに、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、テトラヒドロベンゾチエニル、テトラヒドロベンゾフラニル、テトラヒドロインドリル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、オクタヒドロクロメニル、オクタヒドロイソクロメニル、デカヒドロナフチリジニル、デカヒドロ−1,8−ナフチリジニル、オクタヒドロピロロ[3,2−b]ピロール、インドリニル、フタルイミジル、ナフタルイミジル、クロマニル、クロメニル、1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピニル、1,4,5,7−テトラヒドロピラノ[3,4−b]ピロリル、5,6−ジヒドロ−4H−フロ[3,2−b]ピロリル、6,7−ジヒドロ−5H−フロ[3,2−b]ピラニル、5,7−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−c]ピラニル、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジニル、2,3−ジヒドロフロ[2,3−b]ピリジニル、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピロロ−[2,3−b]ピリジニル、4,5,6,7−テトラヒドロフロ[3,2−c]ピリジニル、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−b]ピリジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジニル、および同類を包含する。
【0032】
本明細書において用いられる「アリール」は、芳香族環系中に提供された6つ〜14個の環内炭素原子とゼロ個のヘテロ原子とを有する、単環式または多環式(例えば二環式または三環式)4n+2芳香族環系(例えば、環式アレイ中に共有された6つ、10個、または14個のπ電子を有する)のラジカルを言う(「C6−14アリール」)。いくつかの態様において、アリール基は6つの環内炭素原子を有する(「Cアリール」、例えばフェニル)。いくつかの態様において、アリール基は10個の環内炭素原子を有する(「C10アリール」、例えば1−ナフチルおよび2−ナフチルなどのナフチル)。いくつかの態様において、アリール基は14個の環内炭素原子を有する(「C14アリール」、例えばアントラセニル(anthracyl))。「アリール」は、ラジカルまたは取り付けの点がアリール環上にある、上で定義されているアリール環が1つ以上のカルボシクリルまたはヘテロシクリル基と縮合した環系をもまた包含し、かかる場合に、炭素原子数は引き続いてアリール環系中の炭素原子数を指定する。別様に定められていない限り、アリール基のそれぞれのものは独立して無置換であるか(「無置換アリール」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換アリール」)。ある態様において、アリール基は無置換C6−14アリールである。ある態様において、アリール基は置換C6−14アリールである。
【0033】
「アラルキル」は本明細書において定義されるアルキルおよびアリールの下位集合であり、任意に置換されていてもよいアリール基によって置換された任意に置換されていてもよいアルキル基を言う。ある態様において、アラルキルは任意に置換されていてもよいベンジルである。ある態様において、アラルキルはベンジルである。ある態様において、アラルキルは任意に置換されていてもよいフェネチルである。ある態様において、アラルキルはフェネチルである。
【0034】
本明細書において用いられる「ヘテロアリール」は、芳香族環系中に提供された環内炭素原子と1つ以上の(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの環内へテロ原子)環内ヘテロ原子とを有する、5〜14員単環式または多環式(例えば二環式もしくは三環式)4n+2芳香族環系(例えば、環式アレイ中に共有された6つ、10個、または14個のπ電子を有する)のラジカルを言い、それぞれのヘテロ原子は独立して酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される(「5〜14員ヘテロアリール」)。1つ以上の窒素原子を含有するヘテロアリール基において、取り付けの点は原子価が許容する炭素または窒素原子であり得る。ヘテロアリール多環式環系は1つまたは両方の環中に1つ以上のへテロ原子を包含し得る。「ヘテロアリール」は、取り付けの点がヘテロアリール環上にある、上で定義されているヘテロアリール環が1つ以上のカルボシクリルまたはヘテロシクリル基と縮合した環系を包含し、かかる場合に、環員数は引き続いてヘテロアリール環系中の環員数を指定する。「ヘテロアリール」は、取り付けの点がアリールまたはヘテロアリール環上どちらかにある、上で定義されているヘテロアリール環が1つ以上のアリール基と縮合した環系をもまた包含し、かかる場合に、環員数は縮合多環式(アリール/ヘテロアリール)環系中の環員数を指定する。1つの環がヘテロ原子を含有しない多環式ヘテロアリール基(例えばインドリル、キノリニル、カルバゾリル、および同類)では、取り付けの点はどちらかの環、すなわちヘテロ原子を持っている環上(例えば2−インドリル)またはヘテロ原子を含有しない環上(例えば5−インドリル)どちらかにあり得る。
【0035】
いくつかの態様において、ヘテロアリール基は、芳香族環系中に提供された環内炭素原子と1つ以上の(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの)環内ヘテロ原子とを有する5〜10員芳香族環系であり、それぞれのヘテロ原子は独立して酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される(「5〜10員ヘテロアリール」)。いくつかの態様において、ヘテロアリール基は、芳香族環系中に提供された環内炭素原子と1つ以上の(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの)環内ヘテロ原子とを有する5〜8員芳香族環系であり、それぞれのヘテロ原子は独立して酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される(「5〜8員ヘテロアリール」)。いくつかの態様において、ヘテロアリール基は、芳香族環系中に提供された環内炭素原子と1つ以上の(例えば、1つの、2つの、3つの、または4つの)環内ヘテロ原子とを有する5〜6員芳香族環系であり、それぞれのヘテロ原子は独立して酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される(「5〜6員ヘテロアリール」)。いくつかの態様において、5〜6員ヘテロアリールは、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される1つ以上の(例えば、1つの、2つの、または3つの)環内へテロ原子を有する。いくつかの態様において、5〜6員ヘテロアリールは、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される1つまたは2つの環内へテロ原子を有する。いくつかの態様において、5〜6員ヘテロアリールは、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、ケイ素、またはリンから選択される1つの環内へテロ原子を有する。別様に定められていない限り、ヘテロアリール基のそれぞれのものは独立して無置換であるか(「無置換ヘテロアリール」)または1つ以上の置換基によって置換される(「置換ヘテロアリール」)。ある態様において、ヘテロアリール基は無置換5〜14員ヘテロアリールである。ある態様において、ヘテロアリール基は置換5〜14員ヘテロアリールである。
【0036】
1つのヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基は、限定なしに、ピロリル、フラニル、およびチオフェニルを包含する。2つのヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基は、限定なしに、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、およびイソチアゾリルを包含する。3つのヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基は、限定なしに、トリアゾリル、オキサジアゾリル、およびチアジアゾリルを包含する。4つのヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基は、限定なしにテトラゾリルを包含する。1つのヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基は、限定なしにピリジニルを包含する。2つのヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基は、限定なしに、ピリダジニル、ピリミジニル、およびピラジニルを包含する。3つまたは4つのヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基は、限定なしに、それぞれトリアジニルおよびテトラジニルを包含する。1つのヘテロ原子を含有する例示的な7員ヘテロアリール基は、限定なしに、アゼピニル、オキセピニル、およびチエピニルを包含する。例示的な5,6−二環式ヘテロアリール基は、限定なしに、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイソフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、インドリジニル、およびプリニルを包含する。例示的な6,6−二環式ヘテロアリール基は、限定なしに、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノキサリニル、フタラジニル、およびキナゾリニルを包含する。例示的な三環式ヘテロアリール基は、限定なしに、フェナントリジニル、ジベンゾフラニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、およびフェナジニルを包含する。
【0037】
「ヘテロアラルキル」は本明細書において定義されるアルキルおよびヘテロアリールの下位集合であり、任意に置換されていてもよいヘテロアリール基によって置換された任意に置換されていてもよいアルキル基を言う。
【0038】
本明細書において用いられる用語「部分不飽和」は、少なくとも1つの二重または三重結合を包含する環部分を言う。用語「部分不飽和」は、複数の不飽和部位を有する環を包摂することを意図されているが、本明細書において定義される芳香族基(例えば、アリールまたはヘテロアリール部分)を包含することは意図されていない。
【0039】
本明細書において用いられる用語「飽和」は、二重または三重結合を含有しない環部分を言い、すなわち環は全て単結合を含有する。
【0040】
二価架橋基である本明細書において定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、へテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリール基は、さらに接尾辞エンを用いて言われ、例えばアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、へテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、カルボシクリレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、およびヘテロアリーレンである。
【0041】
用語「任意に置換されていてもよい」は置換または無置換を言う。
【0042】
上から理解されるように、本明細書において定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、へテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリール基は任意に置換されていてもよい(例えば、「置換」もしくは「無置換」アルキル、「置換」もしくは「無置換」アルケニル、「置換」もしくは「無置換」アルキニル、「置換」もしくは「無置換」ヘテロアルキル、「置換」もしくは「無置換」へテロアルケニル、「置換」もしくは「無置換」ヘテロアルキニル、「置換」もしくは「無置換」カルボシクリル、「置換」もしくは「無置換」ヘテロシクリル、「置換」もしくは「無置換」アリール、または「置換」もしくは「無置換」ヘテロアリール基)。一般的に、用語「置換」は、ある基の上に存在する少なくとも1つの水素が、許容される置換基、例えば、安定な化合物、例えば転位、環化、脱離、または他の反応などによる変換を自発的に受けない化合物を置換によってもたらす置換基によって置き換えられるということを意味する。別様に示されていない限り、「置換」された基は基の1つ以上の置換可能な位置に置換基を有し、いずれかの所与の構造中の1つよりも多くの位置が置換されるときには、置換基はそれぞれの位置において同じであるかまたは異なるかどちらかである。用語「置換」は、有機化合物の全ての許容される置換基、安定な化合物の形成をもたらす本明細書に記載される置換基のいずれかによる置換を包含することが企図される。本発明は、安定な化合物に到達するためのいずれかおよび全てのかかる組み合わせを企図する。本発明の目的のためには、窒素などのへテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満足しかつ安定な部分の形成をもたらす水素置換基および/または本明細書に記載されるいずれかの好適な置換基を有し得る。
【0043】
例示的な置換基は、ハロゲン、−CN、−NO、−N、−SOH、−SOH、−OH、−ORaa、−ON(Rbb、−N(Rbb、−N(RbbX、−N(ORcc)Rbb、−SeH、−SeRaa、−SH、−SRaa、−SSRcc、−C(=O)Raa、−COH、−CHO、−C(ORcc、−COaa、−OC(=O)Raa、−OCOaa、−C(=O)N(Rbb、−OC(=O)N(Rbb、−NRbbC(=O)Raa、−NRbbCOaa、−NRbbC(=O)N(Rbb、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−OC(=NRbb)Raa、−OC(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb、−OC(=NRbb)N(Rbb、−NRbbC(=NRbb)N(Rbb、−C(=O)NRbbSOaa、−NRbbSOaa、−SON(Rbb、−SOaa、−SOORaa、−OSOaa、−S(=O)Raa、−OS(=O)Raa、−Si(Raa、−OSi(Raa−C(=S)N(Rbb、−C(=O)SRaa、−C(=S)SRaa、−SC(=S)SRaa、−SC(=O)SRaa、−OC(=O)SRaa、−SC(=O)ORaa、−SC(=O)Raa、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C6−14アリール、および5〜14員ヘテロアリールを包含するが、これに限定されず、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、もしくは5つのRdd基によって置換されるか、
または、炭素原子上の2つのジェミナル水素が基=O、=S、=NN(Rbb、=NNRbbC(=O)Raa、=NNRbbC(=O)ORaa、=NNRbbS(=O)aa、=NRbb、もしくは=NORccによって置き換えられ、
aaのそれぞれのものは独立してC1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C6−14アリール、および5〜14員ヘテロアリールから選択されるか、または2つのRaa基が連結されて3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、または5つのRdd基によって置換され、
bbのそれぞれのものは独立して水素、−OH、−ORaa、−N(Rcc、−CN、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc、−COaa、−SOaa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc、−SON(Rcc、−SOcc、−SOORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C6−14アリール、および5〜14員ヘテロアリールから選択されるか、または2つのRbb基が連結されて3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、または5つのRdd基によって置換され、
ccのそれぞれのものは独立して水素、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C6−14アリール、および5〜14員ヘテロアリールから選択されるか、または2つのRcc基が連結されて3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、または5つのRdd基によって置換され、
ddのそれぞれのものは独立してハロゲン、−CN、−NO、−N、−SOH、−SOH、−OH、−ORee、−ON(Rff、−N(Rff、−N(RffX、−N(ORee)Rff、−SH、−SRee、−SSRee、−C(=O)Ree、−COH、−COee、−OC(=O)Ree、−OCOee、−C(=O)N(Rff、−OC(=O)N(Rff、−NRffC(=O)Ree、−NRffCOee、−NRffC(=O)N(Rff、−C(=NRff)ORee、−OC(=NRff)Ree、−OC(=NRff)ORee、−C(=NRff)N(Rff、−OC(=NRff)N(Rff、−NRffC(=NRff)N(Rff、−NRffSOee、−SON(Rff、−SOee、−SOORee、−OSOee、−S(=O)Ree、−Si(Ree、−OSi(Ree、−C(=S)N(Rff、−C(=O)SRee、−C(=S)SRee、−SC(=S)SRee、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10カルボシクリル、3〜10員ヘテロシクリル、C6−10アリール、5〜10員ヘテロアリールから選択され、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、もしくは5つのRgg基によって置換されるか、または2つのジェミナルRdd置換基が連結されて=Oもしくは=Sを形成し得、
eeのそれぞれのものは独立してC1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10カルボシクリル、C6−10アリール、3〜10員ヘテロシクリル、および3〜10員ヘテロアリールから選択され、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、または5つのRgg基によって置換され、
ffのそれぞれのものは独立して水素、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10カルボシクリル、3〜10員ヘテロシクリル、C6−10アリール、および5〜10員ヘテロアリールから選択されるか、または2つのRff基が連結されて3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、または5つのRgg基によって置換され、
ggのそれぞれのものは独立してハロゲン、−CN、−NO、−N、−SOH、−SOH、−OH、−OC1−10アルキル、−ON(C1−10アルキル)、−N(C1−10アルキル)、−N(C1−10アルキル)、−NH(C1−10アルキル)、−NH(C1−10アルキル)、−NH、−N(OC1−10アルキル)(C1−10アルキル)、−N(OH)(C1−10アルキル)、−NH(OH)、−SH、−SC1−10アルキル、−SS(C1−10アルキル)、−C(=O)(C1−10アルキル)、−COH、−CO(C1−10アルキル)、−OC(=O)(C1−10アルキル)、−OCO(C1−10アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)N(C1−10アルキル)、−OC(=O)NH(C1−10アルキル)、−NHC(=O)(C1−10アルキル)、−N(C1−10アルキル)C(=O)(C1−10アルキル)、−NHCO(C1−10アルキル)、−NHC(=O)N(C1−10アルキル)、−NHC(=O)NH(C1−10アルキル)、−NHC(=O)NH、−C(=NH)O(C1−10アルキル)、−OC(=NH)(C1−10アルキル)、−OC(=NH)OC1−10アルキル、−C(=NH)N(C1−10アルキル)、−C(=NH)NH(C1−10アルキル)、−C(=NH)NH、−OC(=NH)N(C1−10アルキル)、−OC(NH)NH(C1−10アルキル)、−OC(NH)NH、−NHC(NH)N(C1−10アルキル)、−NHC(=NH)NH、−NHSO(C1−10アルキル)、−SON(C1−10アルキル)、−SONH(C1−10アルキル)、−SONH、−SO1−10アルキル、−SOOC1−10アルキル、−OSO1−10アルキル、−SOC1−10アルキル、−Si(C1−10アルキル)、−OSi(C1−10アルキル)−C(=S)N(C1−10アルキル)、C(=S)NH(C1−10アルキル)、C(=S)NH、−C(=O)S(C1−10アルキル)、−C(=S)SC1−10アルキル、−SC(=S)SC1−10アルキル、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10カルボシクリル、C6−10アリール、3〜10員ヘテロシクリル、5〜10員ヘテロアリールであるか、または2つのジェミナルRgg置換基が連結されて=Oもしくは=Sを形成し得、
は対イオンである。
【0044】
ある態様において、1つ以上の置換基は、ハロゲン、−CN、−NO、−N、−SOH、−SOH、−OH、−ORaa、−N(Rbb、−SH、−SRaa、−C(=O)Raa、−COH、−CHO、−COaa、−OC(=O)Raa、−OCOaa、−C(=O)N(Rbb、−OC(=O)N(Rbb、−NRbbC(=O)Raa、−NRbbCOaa、−NRbbC(=O)N(Rbb、−C(=O)NRbbSOaa、−NRbbSOaa、−SON(Rbb、−SOaa、−SOORaa、−S(=O)Raa、−Si(Raa、−OSi(Raa−C(=O)SRaa、−OC(=O)SRaa、−SC(=O)ORaa、−SC(=O)Raa、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−6カルボシクリル、3〜6員ヘテロシクリル、Cアリール、および5〜6員ヘテロアリールからなる群から選択され、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、または5つのRdd基によって置換される。
【0045】
本明細書において用いられる用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ、−F)、塩素(クロロ、−Cl)、臭素(ブロモ、−Br)、またはヨウ素(ヨード、−I)を言う。
【0046】
本明細書において用いられる「対イオン」は、電子的中性を維持するために正荷電の第4級アミンと結びついた負荷電基である。例示的な対イオンは、ハロゲン化物イオン(例えば、F、Cl、Br、I)、NO、ClO、OH、HPO、HSO、スルホン酸イオン(例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、10−カンファースルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1−スルホン酸−5−スルホン酸、エタン−1−スルホン酸−2−スルホン酸、および同類)、およびカルボン酸イオン(例えば、酢酸、エタン酸、プロパン酸、安息香酸、グリセリン酸、乳酸、酒石酸、グリコール酸、および同類)を包含する。
【0047】
本明細書において用いられる用語「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」は基−OHを言う。拡張して、用語「置換ヒドロキシル」または「置換ヒドロキシ(hydroxyl)」は、親分子に直接的に取り付けられた酸素原子が水素以外の基によって置換されたヒドロキシル基を言い、−ORaa、−ON(Rbb、−OC(=O)SRaa、−OC(=O)Raa、−OCOaa、−OC(=O)N(Rbb、−OC(=NRbb)Raa、−OC(=NRbb)ORaa、−OC(=NRbb)N(Rbb、−OS(=O)Raa、−OSOaa、および−OSi(Raaから選択される基を包含し、Raa、Rbb、およびRccは本明細書において定義される通りである。
【0048】
本明細書において用いられる用語「チオール」または「チオ」は基−SHを言う。拡張して、用語「置換チオール」または「置換チオ」は、親分子に直接的に取り付けられた硫黄原子が水素以外の基によって置換されたチオール基を言い、−SRaa、−S=SRcc、−SC(=S)SRaa、−SC(=O)SRaa、−SC(=O)ORaa、および−SC(=O)Raaから選択される基を包含し、RaaおよびRccは本明細書において定義される通りである。
【0049】
本明細書において用いられる用語「アミノ」は基−NHを言う。拡張して、用語「置換アミノ」は、本明細書において定義される一置換アミノ、二置換アミノ、または三置換アミノを言う。ある態様において、「置換アミノ」は一置換アミノまたは二置換アミノ基である。
【0050】
本明細書において用いられる用語「一置換アミノ」は、親分子に直接的に取り付けられた窒素原子が1つの水素および水素以外の1つの基によって置換されたアミノ基を言い、−NH(Rbb)、−NHC(=O)Raa、−NHCOaa、−NHC(=O)N(Rbb、−NHC(=NRbb)N(Rbb、および−NHSOaaから選択される基を包含し、Raa、Rbb、およびRccは本明細書において定義される通りであり、基−NH(Rbb)のRbbは水素ではない。
【0051】
本明細書において用いられる用語「二置換アミノ」は、親分子に直接的に取り付けられた窒素原子が水素以外の2つの基によって置換されたアミノ基を言い、−N(Rbb、−NRbbC(=O)Raa、−NRbbCOaa、−NRbbC(=O)N(Rbb、−NRbbC(=NRbb)N(Rbb、および−NRbbSOaaから選択される基を包含し、Raa、Rbb、およびRccは本明細書において定義される通りであり、ただし親分子に直接的に取り付けられた窒素原子は水素によって置換されていない。
【0052】
本明細書において用いられる用語「三置換アミノ」は、親分子に直接的に取り付けられた窒素原子が3つの基によって置換されたアミノ基を言い、−N(Rbbおよび−N(Rbbから選択される基を包含し、RbbおよびXは本明細書において定義される通りである。
【0053】
本明細書において用いられる用語「アシル」は、親分子に直接的に取り付けられた炭素がsp混成しており、かつ酸素、窒素、または硫黄原子によって置換された基、例えば、ケトン(−C(=O)Raa)、カルボン酸(−COH)、アルデヒド(−CHO)、エステル(−COaa、−C(=O)SRaa、−C(=S)SRaa)、アミド(−C(=O)N(Rbb、−C(=O)NRbbSOaa、−C(=S)N(Rbb)、およびイミン(−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa)、−C(=NRbb)N(Rbb)から選択される基を言い、RaaおよびRbbは本明細書において定義される通りである。
【0054】
窒素原子は原子価が許容する置換または無置換であり得、第1級、第2級、第3級、および第4級窒素原子を包含する。例示的な窒素原子置換基は水素、−OH、−ORaa、−N(Rcc、−CN、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc、−COaa、−SOaa、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc、−SON(Rcc、−SOcc、−SOORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C6−14アリール、および5〜14員ヘテロアリールを包含するが、これに限定されず、または、N原子に取り付けられた2つのRcc基が連結されて3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、または5つのRdd基によって置換され、Raa、Rbb、Rcc、およびRddは上で定義されている通りである。
【0055】
窒素原子は原子価が許容する置換または無置換であり得、第1級、第2級、第3級、および第4級窒素原子を包含する。例示的な窒素原子置換基は水素、−OH、−ORaa、−N(Rcc、−CN、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc、−COaa、−SOaa、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc、−SON(Rcc、−SOcc、−SOORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、C1−10アルキル、C1−10ペルハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C6−14アリール、および5〜14員ヘテロアリールを包含するが、これに限定されず、または、窒素原子に取り付けられた2つのRcc基が連結されて3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、または5つのRdd基によって置換され、Raa、Rbb、Rcc、およびRddは上で定義されている通りである。
【0056】
ある態様において、窒素原子上に存在する置換基は窒素保護基である(アミノ保護基ともまた言われる)。窒素保護基は、−OH、−ORaa、−N(Rcc、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc、−COaa、−SOaa、−C(=NRcc)Raa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc、−SON(Rcc、−SOcc、−SOORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、C1−10アルキル(例えば、アラルキル、ヘテロアラルキル)、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C6−14アリール、および5〜14員ヘテロアリール基を包含するが、これに限定されず、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アラルキル、アリール、およびヘテロアリールは独立して0個の、1つの、2つの、3つの、4つの、または5つのRdd基によって置換され、Raa、Rbb、Rcc、およびRddは本明細書において定義される通りである。窒素保護基は当分野において周知であり、参照によって本明細書に組み込まれるProtecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd edition, John Wiley & Sons, 1999に詳細に記載されているものを包含する。
【0057】
例えば、アミド基などの窒素保護基(例えば−C(=O)Raa)は、ホルムアミド、アセトアミド、クロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、フェニルアセトアミド、3−フェニルプロパンアミド、ピコリンアミド、3−ピリジルカルボキサミド、N−ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、ベンズアミド、p−フェニルベンズアミド、o−ニトフェニルアセトアミド、o−ニトロフェノキシアセトアミド、アセトアセトアミド、(Ν’−ジチオベンジルオキシアシルアミノ)アセトアミド、3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド、3−(o−ニトロフェニル)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−ニトロフェノキシ)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−フェニルアゾフェノキシ)プロパンアミド、4−クロロブタンアミド、3−メチル−3−ニトロブタンアミド、o−ニトロケイ皮酸アミド、N−アセチルメチオニン誘導体、o−ニトロベンズアミド、およびo−(ベンゾイルオキシメチル)ベンズアミドを包含するが、これに限定されない。
【0058】
カルバメート基などの窒素保護基(例えば−C(=O)ORaa)は、メチルカルバメート、エチルカルバメート(ethyl carbamante)、9−フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、9−(2−スルホ)フルオレニルメチルカルバメート、9−(2,7−ジブロモ)フルオロエニルメチルカルバメート、2,7−ジ−t−ブチル−[9−(10,10−ジオキソ−10,10,10,10−テトラヒドロチオキサンチル)]メチルカルバメート(DBD−Tmoc)、4−メトキシフェナシルカルバメート(Phenoc)、2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、2−フェニルエチルカルバメート(hZ)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルカルバメート(Adpoc)、1,1−ジメチル−2−ハロエチルカルバメート、1,1−ジメチル−2,2−ジブロモエチルカルバメート(DB−t−BOC)、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(TCBOC)、1−メチル−1−(4−ビフェニリル)エチルカルバメート(Bpoc)、1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−メチルエチルカルバメート(t−Bumeoc)、2−(2’−および4’−ピリジル)エチルカルバメート(Pyoc)、2−(N,N−ジシクロヘキシルカルボキサミド)エチルカルバメート、t−ブチルカルバメート(BOC)、1−アダマンチルカルバメート(Adoc)、ビニルカルバメート(Voc)、アリルカルバメート(Alloc)、1−イソプロピルアリルカルバメート(Ipaoc)、シンナミルカルバメート(Coc)、4−ニトロシンナミルカルバメート(Noc)、8−キノリルカルバメート、N−ヒドロキシピペリジニルカルバメート、アルキルジチオカルバメート、ベンジルカルバメート(Cbz)、p−メトキシベンジルカルバメート(Moz)、p−ニトベンジルカルバメート、p−ブロモベンジルカルバメート、p−クロロベンジルカルバメート、2,4−ジクロロベンジルカルバメート、4−メチルスルフィニルベンジルカルバメート(Msz)、9−アントリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメート、2−メチルチオエチルカルバメート、2−メチルスルホニルエチルカルバメート、2−(p−トルエンスルホニル)エチルカルバメート、[2−(1,3−ジチアニル)]メチルカルバメート(Dmoc)、4−メチルチオフェニルカルバメート(Mtpc)、2,4−ジメチルチオフェニルカルバメート(Bmpc)、2−ホスホニオエチルカルバメート(Peoc)、2−トリフェニルホスホニオイソプロピルカルバメート(Ppoc)、1,1−ジメチル−2−シアノエチルカルバメート、m−クロロ−p−アシルオキシベンジルカルバメート、p−(ジヒドロキシボリル)ベンジルカルバメート、5−ベンゾイソオキサゾリルメチルカルバメート、2−(トリフルオロメチル)−6−クロモニルメチルカルバメート(Tcroc)、m−ニトロフェニルカルバメート、3,5−ジメトキシベンジルカルバメート、o−ニトロベンジルカルバメート、3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジルカルバメート、フェニル(o−ニトロフェニル)メチルカルバメート、t−アミルカルバメート、S−ベンジルチオカルバメート、p−シアノベンジルカルバメート、シクロブチルカルバメート,シクロヘキシルカルバメート、シクロペンチルカルバメート、シクロプロピルメチルカルバメート、p−デシルオキシベンジルカルバメート、2,2−ジメトキシアシルビニルカルバメート、o−(N,N−ジメチルカルボキサミド)ベンジルカルバメート、1,1−ジメチル−3−(N,N−ジメチルカルボキサミド)プロピルカルバメート、1,1−ジメチルプロピニルカルバメート、ジ(2−ピリジル)メチルカルバメート、2−フラニルメチルカルバメート、2−ヨードエチルカルバメート、イソボルニル(isoborynl)カルバメート、イソブチルカルバメート、イソニコチニルカルバメート、p−(p’−メトキシフェニルアゾ)ベンジルカルバメート、1−メチルシクロブチルカルバメート、1−メチルシクロヘキシルカルバメート、1−メチル−1−シクロプロピルメチルカルバメート、1−メチル−1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチルカルバメート、1−メチル−1−(p−フェニルアゾフェニル)エチルカルバメート、1−メチル−1−フェニルエチルカルバメート、1−メチル−1−(4−ピリジル)エチルカルバメート、フェニルカルバメート、p−(フェニルアゾ)ベンジルカルバメート、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニルカルバメート、4−(トリメチルアンモニウム)ベンジルカルバメート、および2,4,6−トリメチルベンジルカルバメートを包含するが、これに限定されない。
【0059】
スルホンアミド基などの窒素保護基(例えば−S(=O)aa)は、p−トルエンスルホンアミド(Ts)、ベンゼンスルホンアミド、2,3,6,−トリメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mtr)、2,4,6−トリメトキシベンゼンスルホンアミド(Mtb)、2,6−ジメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Pme)、2,3,5,6−テトラメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mte)、4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mbs)、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホンアミド(Mts)、2,6−ジメトキシ−4−メチルベンゼンスルホンアミド(iMds)、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホンアミド(Pmc)、メタンスルホンアミド(Ms)、β−トリメチルシリルエタンスルホンアミド(SES)、9−アントラセンスルホンアミド、4−(4’,8’−ジメトキシナフチルメチル)ベンゼンスルホンアミド(DNMBS)、ベンジルスルホンアミド、トリフルオロメチルスルホンアミド、およびフェナシルスルホンアミドを包含するが、これに限定されない。
【0060】
他の窒素保護基は、フェノチアジニル−(10)−アシル誘導体、N’−p−トルエンスルホニルアミノアシル誘導体、N’−フェニルアミノチオアシル誘導体、N−ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、N−アセチルメチオニン誘導体、4,5−ジフェニル−3−オキサゾリン−2−オン、N−フタルイミド、N−ジチアスクシンイミド(Dts)、N−2,3−ジフェニルマレイミド、N−2,5−ジメチルピロール、N−1,1,4,4−テトラメチルジシリルアザシクロペンタンアダクト(STABASE)、5−置換1,3−ジメチル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、5−置換1,3−ジベンジル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、1−置換3,5−ジニトロ−4−ピリドン、N−メチルアミン、N−アリルアミン、N−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチルアミン(SEM)、N−3−アセトキシプロピルアミン、N−(1−イソプロピル−4−ニトロ−2−オキソ−3−ピロリン(pyroolin)−3−イル)アミン、第4級アンモニウム塩、N−ベンジルアミン、N−ジ(4−メトキシフェニル)メチルアミン、N−5−ジベンゾスベリルアミン、N−トリフェニルメチルアミン(Tr)、N−[(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル]アミン(MMTr)、N−9−フェニルフルオレニルアミン(PhF)、N−2,7−ジクロロ−9−フルオレニルメチレンアミン、N−フェロセニルメチルアミノ(Fcm)、N−2−ピコリルアミノN’−オキシド、N−1,1−ジメチルチオメチレンアミン、N−ベンジリデンアミン、N−p−メトキシベンジリデンアミン、N−ジフェニルメチレンアミン、N−[(2−ピリジル)メシチル]メチレンアミン、N−(N’,N’−ジメチルアミノメチレン)アミン、N,N’−イソプロピリデンジアミン、N−p−ニトロベンジリデンアミン、N−サリチリデンアミン、N−5−クロロサリチリデンアミン、N−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)フェニルメチレンアミン、N−シクロヘキシリデンアミン、N−(5,5−ジメチル−3−オキソ−1−シクロヘキセニル)アミン、N−ボラン誘導体、N−ジフェニルボロン酸誘導体、N−[フェニル(ペンタアシルクロムまたはタングステン)アシル]アミン、N−銅キレート、N−亜鉛キレート、N−ニトロアミン、N−ニトロソアミン、アミンN−オキシド、ジフェニルホスフィンアミド(Dpp)、ジメチルチオホスフィンアミド(Mpt)、ジフェニルチオホスフィンアミド(Ppt)、ジアルキルホスホロアミダート、ジベンジルホスホロアミダート、ジフェニルホスホロアミダート、ベンゼンスルフェンアミド、o−ニトロベンゼンスルフェンアミド(Nps)、2,4−ジニトロベンゼンスルフェンアミド、ペンタクロロベンゼンスルフェンアミド、2−ニトロ−4−メトキシベンゼンスルフェンアミド、トリフェニルメチルスルフェンアミド、および3−ニトロピリジンスルフェンアミド(Npys)を包含するが、これに限定されない。
【0061】
ある態様において、酸素原子上に存在する置換基は酸素保護基である(ヒドロキシル保護基ともまた言われる)。酸素保護基は、−Raa、−N(Rbb、−C(=O)SRaa、−C(=O)Raa、−COaa、−C(=O)N(Rbb、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb、−S(=O)Raa、−SOaa、および−Si(Raaを包含するが、これに限定されず、RaaおよびRbbは本明細書において定義される通りである。酸素保護基は当分野において周知であり、参照によって本明細書に組み込まれるProtecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd edition, John Wiley & Sons, 1999に詳細に記載されているものを包含する。
【0062】
例示的な酸素保護基は、メチル、メトキシルメチル(MOM)、メチルチオメチル(MTM)、t−ブチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル(SMOM)、ベンジルオキシメチル(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル(PMBM)、(4−メトキシフェノキシ)メチル(p−AOM)、グアイアコールメチル(GUM)、t−ブトキシメチル、4−ペンテニルオキシメチル(POM)、シロキシメチル、2−メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEMOR)、テトラヒドロピラニル(THP)、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシテトラヒドロピラニル(MTHP)、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルS,S−ジオキシド、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル(CTMP)、1,4−ジオキサン−2−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イル、1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、2−(フェニルセレニル)エチル、t−ブチル、アリル、p−クロロフェニル、p−メトキシフェニル、2,4−ジニトロフェニル、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−ハロベンジル、2,6−ジクロロベンジル、p−シアノベンジル、p−フェニルベンジル、2−ピコリル、4−ピコリル、3−メチル−2−ピコリルN−オキシド、ジフェニルメチル、p,p’−ジニトロベンズヒドリル、5−ジベンゾスベロイル(dibenzosuberyl)、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメチル、p−メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p−メトキシフェニル)メチル、4−(4’−ブロモフェナシルオキシフェニル)ジフェニルメチル、4,4’,4”−トリス(4,5−ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4’,4”−トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4’,4”−トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、3−(イミダゾール−1−イル)ビス(4’,4”−ジメトキシフェニル)メチル、1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1’−ピレニルメチル、9−アントリル、9−(9−フェニル)キサンテニル、9−(9−フェニル−10−オキソ)アントリル、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル、ベンゾイソチアゾリルS,S−ジオキシド、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、ジメチルイソプロピルシリル(IPDMS)、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)、ジメチルtヘキシルシリル、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリベンジルシリル、トリ−p−キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル(DPMS)、t−ブチルメトキシフェニルシリル(TBMPS)、蟻酸、蟻酸ベンゾイル、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、メトキシ酢酸、トリフェニルメトキシ酢酸、フェノキシ酢酸、p−クロロフェノキシ酢酸、3−フェニルプロピオン酸、4−オキソペンタノアート(レブリナート)、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノアート(レブリノイルジチオアセタール)、ピバロエート(pivaloate)、アダマントエート(adamantoate)、クロトン酸、4−メトキシクロトン酸、安息香酸、p−フェニル安息香酸、2,4,6−トリメチル安息香酸(メシト酸)、炭酸アルキルメチル、9−フルオレニルメチルカーボネート(Fmoc)、アルキルエチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート(TMSEC)、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート(Psec)、2−(トリフェニルホスホニオ)エチルカーボネート(Peoc)、アルキルイソブチルカーボネート、アルキルビニルカーボネート、アルキルアリルカーボネート、アルキルp−ニトロフェニルカーボネート、アルキルベンジルカーボネート、アルキルp−メトキシベンジルカーボネート、アルキル3,4−ジメトキシベンジルカーボネート、アルキルo−ニトロベンジルカーボネート、アルキルp−ニトロベンジルカーボネート、アルキルS−ベンジルチオカーボネート、4−エトキシ−1−ナフチル(napththyl)カーボネート、メチルジチオカーボネート、2−ヨード安息香酸、4−アジドブチレート、4−ニトロ−4−メチルペンタノアート、o−(ジブロモメチル)安息香酸、2−ホルミルベンゼンスルホン酸、2−(メチルチオメトキシ)エチル、4−(メチルチオメトキシ)酪酸、2−(メチルチオメトキシメチル)安息香酸、2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ酢酸、2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシ酢酸、2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェノキシ酢酸、クロロジフェニル酢酸、イソ酪酸、モノスクシノアート(monosuccinoate)、(E)−2−メチル−2−ブテン酸、o−(メトキシアシル)安息香酸、α−ナフトエ酸、硝酸、アルキルΝ,Ν,Ν’,Ν’−テトラメチルホスホロジアミダート、アルキルN−フェニルカルバメート、ホウ酸、ジメチルホスフィノチオイル、アルキル2,4−ジニトロフェニルスルフェン酸、硫酸、メタンスルホン酸(メシレート)、ベンジルスルホン酸、およびトシル酸(Ts)を包含するが、これに限定されない。
【0063】
ある態様において、硫黄原子上に存在する置換基は硫黄保護基である(チオール保護基ともまた言われる)。硫黄保護基は−Raa、−N(Rbb、−C(=O)SRaa、−C(=O)Raa、−COaa、−C(=O)N(Rbb、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb、−S(=O)Raa、−SOaa、および−Si(Raaを包含するが、これに限定されず、RaaおよびRbbは本明細書において定義される通りである。硫黄保護基は当分野において周知であり、参照によって本明細書に組み込まれるProtecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd edition, John Wiley & Sons, 1999に詳細に記載されているものを包含する。
【0064】
これらおよび他の例示的な置換基は発明を実施するための形態、実施例、図面、および特許請求の範囲により詳細に記載されている。本発明は置換基の上の例示的な列記によっていずれかの様式で限定されることを意図されていない。
【0065】
他の定義
次の定義は、本願において用いられるさらなる一般的な用語である。
【0066】
用語「塩」は、酸と塩基との中和反応からもたらされるイオン性化合物を言う。塩は1つ以上のカチオン(正荷電イオン)と1つ以上のアニオン(陰イオン)とから構成され、その結果、塩は電気的に中性(正味の電荷なし)である。本明細書に記載される化合物の塩は、無機および有機の酸および塩に由来するものを包含する。酸付加塩の例はアミノ基の塩であり、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸などの無機酸によって、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸などの有機酸によって、またはイオン交換などの当分野において公知の他の方法を用いることによって形成される。他の塩は、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重硫酸、ホウ酸、酪酸、しょうのう酸、カンファースルホン酸、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸、二グルコン酸、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、蟻酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グリセロリン酸、グルコン酸、ヘミ硫酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ヨウ化水素、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ラクトビオン酸、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、メタンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、ペクチニン酸、過硫酸、3−フェニルプロピオン酸、リン酸、ピクリン酸、ピバル酸、プロピオン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、吉草酸塩、および同類を包含する。適当な塩基に由来する塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、およびN(C1−4アルキル)塩を包含する。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、および同類を包含する。さらなる塩は、アンモニウム、第4級アンモニウム、およびアミンカチオンを包含し、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸、硫酸、リン酸、硝酸、低級アルキルスルホン酸、およびアリールスルホン酸などの対イオンを用いて形成される。
【0067】
本明細書において用いられる用語「薬学的に許容し得る塩」は、正しい医学的判断の範囲内において、ヒトおよびより下等な動物の組織と接触しての使用にとって好適であり、過度の毒性、刺激、アレルギー性応答、および同類がなく、適度なベネフィット/リスク比に適った塩を言う。薬学的に許容し得る塩は当分野において周知である。例えば、Bergeらは、参照によって本明細書に組み込まれるJ. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19に薬学的に許容し得る塩を詳細に記載している。本明細書に記載される化合物の薬学的に許容し得る塩は、好適な無機および有機酸および塩基に由来するものを包含する。薬学的に許容し得る無毒な酸付加塩の例はアミノ基の塩であり、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸などの無機酸によって、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸などの有機酸によって、またはイオン交換などの当分野において公知の他の方法を用いることによって形成される。他の薬学的に許容し得る塩は、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重硫酸、ホウ酸、酪酸、しょうのう酸、カンファースルホン酸、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸、二グルコン酸、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、蟻酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グリセロリン酸、グルコン酸、ヘミ硫酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ヨウ化水素、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ラクトビオン酸、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、メタンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、ペクチニン酸、過硫酸、3−フェニルプロピオン酸、リン酸、ピクリン酸、ピバル酸、プロピオン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、吉草酸塩、および同類を包含する。適当な塩基に由来する塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、およびN(C1−4アルキル)塩を包含する。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、および同類を包含する。さらなる薬学的に許容し得る塩は、適当であるときには、無毒なアンモニウム、第4級アンモニウム、およびアミンカチオンを包含し、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸、硫酸、リン酸、硝酸、低級アルキルスルホン酸、およびアリールスルホン酸などの対イオンを用いて形成される。
【0068】
本明細書において用いられる用語「有機低分子」または「低分子」は、1,000g/mol以下の分子量を有する有機分子を言う。ある態様において、低分子の分子量は最大で約1,000g/mol、最大で約900g/mol、最大で約800g/mol、最大で約700g/mol、最大で約600g/mol、最大で約500g/mol、最大で約400g/mol、最大で約300g/mol、最大で約200g/mol、または最大で約100g/molである。ある態様において、低分子の分子量は少なくとも約100g/mol、少なくとも約200g/mol、少なくとも約300g/mol、少なくとも約400g/mol、少なくとも約500g/mol、少なくとも約600g/mol、少なくとも約700g/mol、少なくとも約800g/mol、または少なくとも約900g/mol、または少なくとも約1,000g/molである。上の範囲の組み合わせ(例えば、少なくとも約200g/molかつ最大で約500g/mol)もまた可能である。ある態様において、低分子は薬物などの治療活性剤である(例えば、連邦規則集(C.F.R.)に規定されるように、米国食品医薬品局によって認可された分子)。低分子は1つ以上の金属原子および/または金属イオンと複合体化もまたされ得る。この場合に、低分子は「有機金属低分子」ともまた言われる。
【0069】
本明細書において用いられる「大型有機分子」または「大型分子」は、約1,000g/mol超の分子量を有する有機化合物を言う。ある態様において、大型分子の分子量は約2,000g/mol超、約3,000g/mol超、約4,000g/mol超、または約5,000g/mol超である。ある態様において、大型分子の分子量は最大で約100,000g/mol、最大で約30,000g/mol、最大で約10,000g/mol、最大で約5,000g/mol、または最大で約2,000g/molである。上の範囲の組み合わせ(例えば、約2,000g/mol超かつ最大で約10,000g/mol)もまた可能である。ある態様において、大型分子は薬物などの治療活性剤である(例えば、連邦規則集(C.F.R.)に規定されるように、米国食品医薬品局によって認可された分子)。大型分子は1つ以上の金属原子および/または金属イオンと複合体化もまたされ得る。この場合に、大型分子は「大型有機金属化合物」ともまた言われる。
【0070】
「蛋白質」、「ペプチド」、または「ポリペプチド」は、ペプチド結合によって一緒にリンクされたアミノ酸残基同士のポリマーを含む。本明細書において用いられる用語はいずれかのサイズ、構造、または機能の蛋白質、ポリペプチド、およびペプチドを言う。典型的には、蛋白質は少なくとも3アミノ酸の長さであろう。蛋白質は単体の蛋白質または蛋白質の集まりを言い得る。本発明の蛋白質は好ましくは天然アミノ酸のみを含有するが、当分野において公知の非天然アミノ酸(すなわち、天然には存在しないが、ポリペプチド鎖中に組み込まれ得る化合物)および/またはアミノ酸アナログが代替的に使用され得る。蛋白質中のアミノ酸の1つ以上は修飾もまたされ得、例えば、炭水化物基、ヒドロキシル基、リン酸基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、コンジュゲーションもしくは官能化のためのリンカー、または他の修飾などの化学的実体の追加による。蛋白質は単一の分子であり得るか、または多分子複合体でもまたあり得る。蛋白質は天然に存在する蛋白質またはペプチドの断片であり得る。蛋白質は天然に存在するか、組み換えか、合成か、またはこれらのいずれかの組み合わせであり得る。
【0071】
用語「アポリポ蛋白質」は、脂質(例えば、トリアシルグリセロールまたはコレステロール)に結合してリポ蛋白質を形成する蛋白質を言う。アポリポ蛋白質は、リポ蛋白質の代謝と組織へのそれらの取り込みとを制御する酵素補因子、受容体リガンド、および脂質輸送担体としてもまた用をなす。アポリポ蛋白質の主な型は膜内在性および非膜内在性アポリポ蛋白質を包含する。例示的なアポリポ蛋白質はapoA(例えば、apoA−I、apoA−II、apoA−IV、およびapoA−V)、apoB(例えば、apoB48およびapoB100)、apoC(例えば、apoC−I、apoC−II、apoC−III、およびapoC−IV)、apoD、apoE、apoH、ならびにapoJを包含する。
【0072】
用語「遺伝子」は具体的な蛋白質を発現する核酸断片を言い、コード配列に先行(5’非コード配列)および後続(3’非コード配列)する制御配列を包含する。「ネイティブな遺伝子」は、それ自身の制御配列を有する天然に見出される遺伝子を言う。「キメラ遺伝子」または「キメラコンストラクト」は、ネイティブな遺伝子ではなく、天然には一緒に見出されない制御およびコード配列を含むいずれかの遺伝子またはコンストラクトを言う。従って、キメラ遺伝子またはキメラコンストラクトは、異なるソースに由来する制御配列およびコード配列、または同じソースに由来するが天然に見出されるものとは異なる様式で配列された制御配列およびコード配列を含み得る。「内在性遺伝子」は、生物のゲノム中のその天然の位置のネイティブな遺伝子を言う。「外来性」遺伝子は、宿主生物中に通常では見出されないが、遺伝子の移入によって宿主生物中に導入される遺伝子を言う。外来性遺伝子は、非ネイティブな生物中に挿入されたネイティブな遺伝子、またはキメラ遺伝子を含み得る。「トランスジーン」は、形質転換の手順によってゲノム中に導入された遺伝子である。
【0073】
用語「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」、および「オリゴヌクレオチド」はDNAおよびRNA中の直列のヌクレオチド塩基(「ヌクレオチド」ともまた呼ばれる)を言い、2つ以上のヌクレオチドのいずれかの鎖を意味する。ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖のキメラ混合物またはその誘導体もしくは修飾版であり得る。オリゴヌクレオチドは塩基部分、糖部分、またはリン酸バックボーンにおいて修飾されて、例えば分子の安定性、そのハイブリダイゼーションパラメータなどを改善し得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルクエオシン(queosine)、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルクエオシン(queosine)、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、シュードウラシル、クエオシン(queosine)、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、チオグアニン、および2,6−ジアミノプリンを包含するがこれに限定されない群から選択される修飾塩基部分を含み得る。ヌクレオチド配列は典型的には遺伝子情報を収納しており、蛋白質および酵素を作るために細胞機構によって用いられる情報を包含する。これらの用語は、二本鎖または一本鎖ゲノムおよびcDNA、RNA、いずれかの合成のおよび遺伝子操作されたポリヌクレオチド、ならびにセンスおよびアンチセンスポリヌクレオチド両方を包含する。これは、一本鎖および二本鎖分子、すなわちDNA−DNA、DNA−RNA、およびRNA−RNAハイブリッド、ならびにアミノ酸バックボーンに塩基をコンジュゲーションすることによって形成される「蛋白質核酸」(PNA)を包含する。これは、炭水化物または脂質を含有する核酸をもまた包含する。例示的なDNAは、一本鎖DNA(ssDNA)、二本鎖DNA(dsDNA)、プラスミドDNA(pDNA)、ゲノムDNA(gDNA)、相補的DNA(cDNA)、アンチセンスDNA、葉緑体DNA(ctDNAまたはcpDNA)、マイクロサテライトDNA、ミトコンドリアDNA(mtDNAまたはmDNA)、キネトプラストDNA(kDNA)、プロウイルス、溶原菌、繰り返しDNA、サテライトDNA、およびウイルス DNAを包含する。例示的なRNAは、一本鎖RNA(ssRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、前駆体メッセンジャーRNA(プレmRNA)、低分子ヘアピンRNAまたは短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ガイドRNA(gRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、アンチセンスRNA(asRNA)、ヘテロ核RNA(hnRNA)、コードRNA、非コードRNA(ncRNA)、長鎖非コードRNA(長鎖ncRNAまたはIncRNA)、サテライトRNA、ウイルスサテライトRNA、シグナル認識粒子RNA、細胞質低分子RNA、核内低分子RNA(snRNA)、リボソームRNA(rRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)、ポリイノシン酸、リボザイム、フレキシザイム、核小体低分子RNA(snoRNA)、スプライスリーダーRNA、ウイルスRNA、およびウイルスサテライトRNAを包含する。
【0074】
本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、当分野において公知の標準的な方法によって、例えば自動DNA合成機(例えば、Biosearch、Applied Biosystemsなどから商業的に入手可能であるもの)の使用によって合成され得る。例として、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドはStein et al., Nucl. Acids Res., 16, 3209, (1988)の方法によって合成され得、メチルホスホネートオリゴヌクレオチドはコントロールドポアガラスポリマー支持体の使用によって調製され得る(Sarin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85, 7448-7451, (1988))。アンチセンスDNAまたはRNAを細胞に送達するためのいくつもの方法が開発されて来ており、例えば、アンチセンス分子は直接的に組織部位に注射され得るか、または所望の細胞を標的化するように設計された修飾アンチセンス分子(標的細胞表面上に発現された受容体または抗原に特異的に結合するペプチドまたは抗体にリンクされたアンチセンス)は全身投与され得る。代替的には、RNA分子は、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列のインビトロおよびインビボ転写によって作り出され得る。かかるDNA配列は、T7またはSP6ポリメラーゼプロモーターなどの好適なRNAポリメラーゼプロモーターを組み込んでいる広く種々のベクター中に組み込まれ得る。代替的には、用いられるプロモーターに依存してアンチセンスRNAを恒常的にまたは誘導的に合成するアンチセンスcDNAコンストラクトが、細胞株内に安定に導入され得る。しかしながら、多くの場合には、アンチセンスの十分な細胞内濃度を達成して内在性mRNAの翻訳を抑制することは困難である。よって、好ましいアプローチは、アンチセンスオリゴヌクレオチドが強力なプロモーターのコントロール下に置かれた組み換えDNAコンストラクトを利用する。患者の標的細胞をトランスフェクションするためのかかるコンストラクトの使用は、一本鎖RNAの十分量の転写をもたらし、これは内在性標的遺伝子の転写物と相補塩基対を形成し、それによって標的遺伝子mRNAの翻訳を防止するであろう。例えば、ベクターは、それが細胞によって取り込まれかつアンチセンスRNAの転写を導くように、インビボに導入され得る。かかるベクターは、それが転写されて所望のアンチセンスRNAを生じ得る限り、エピソーマルのまま残るか、または染色体インテグレーションされ得る。かかるベクターは当分野において標準的な組み換えDNAテクノロジーの方法によって構築され得る。ベクターは、哺乳動物細胞での複製および発現のために用いられるプラスミド、ウイルス、または当分野において公知の他のものであり得る。アンチセンスRNAをコードする配列の発現は、哺乳動物の、好ましくはヒトの細胞内で働くことが当分野において公知のいずれかのプロモーターによってであり得る。かかるプロモーターは誘導性または恒常的であり得る。かかるプロモーターはSV40初期プロモーター領域を包含するが、これに限定されない(Bernoist et al., Nature, 290, 304-310, (1981)、Yamamoto et al., Cell, 22, 787-797, (1980)、Wagner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78, 1441-1445, (1981)、Brinster et al., Nature 296, 39-42, (1982))。プラスミド、コスミド、酵母人工染色体、またはウイルスベクターのいずれかの型が、直接的に組織部位に導入され得る組み換えDNAコンストラクトを調製するために用いられ得る。代替的には、所望の組織に選択的に感染するウイルスベクターが用いられ得、このケースにおいては投与は別の経路によって(例えば、全身的に)達成され得る。
【0075】
ポリヌクレオチドは、天然の制御(発現コントロール)配列によって挟まれ得るか、または、プロモーター、内部リボソーム進入部位(IRES)および他のリボソーム結合部位配列、エンハンサー、応答エレメント、サプレッサー、シグナル配列、ポリアデニル化配列、イントロン、5’および3’非コード領域、ならびに同類を包含する異種配列と結びつけられ得る。核酸は、当分野において公知の多くの手段によって修飾もまたされ得る。かかる修飾の限定しない例は、メチル化、「キャップ」、アナログによる天然に存在するヌクレオチドの1つ以上の置換、ならびに例えば非荷電の結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート(phosphoroamidate)、カルバメートなど)および荷電した結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)によるものなどのヌクレオチド間修飾を包含する。ポリヌクレオチドは、例えば蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、鉄、酸化性金属など)、およびアルキル化剤などの、1つ以上の追加の共有結合的にリンクされた部分を含有し得る。ポリヌクレオチドは、メチルもしくはエチルホスホトリエステルまたはアルキルホスホロアミデート結合の形成によって誘導体化され得る。さらにその上に、本明細書におけるポリヌクレオチドは、検出可能なシグナルを提供する能力がある標識によってもまた、直接的にまたは間接的にどちらかで修飾され得る。例示的な標識は放射性同位体、蛍光分子、ビオチン、および同類を包含する。
【0076】
「組み換え核酸分子」は、分子生物学的操作を受けた核酸分子、すなわち、天然に存在しない核酸分子または遺伝子操作された核酸分子である。さらにその上に、用語「組み換えDNA分子」は、天然に存在しないか、または核酸配列の2つのさもなければ分離したセグメントの人工的な組み合わせによって、すなわち通常では連続していないDNAのピース同士を一緒にライゲーションすることによって作られ得る核酸配列を言う。「組み換え的に生ずる」によって、多くの場合には化学合成手段によってまたは核酸の単離されたセグメント同士の人工的操作によってどちらかで達成される人工的な組み合わせが意味され、例えば、例えばSambrook et al., Molecular Cloning, second edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Plainview, N.Y.; (1989)またはAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Current Protocols (1989)およびDNA Cloning: A Practical Approach, Volumes I and II (ed. D. N. Glover) IREL Press, Oxford, (1985)によって記載されている制限酵素、リガーゼ、および類似の組み換え技術を用いる遺伝子工学技術による。このそれぞれは参照によって本明細書に組み込まれる。
【0077】
かかる操作は、典型的には配列認識部位を導入または除去しながら、同じまたは保存的なアミノ酸をコードする冗長なコドンによってあるコドンを置き換えるためになされ得る。代替的には、これは、所望の機能の核酸セグメント同士を一緒に連結して、天然には見出されない機能の所望の組み合わせを含む単一の遺伝子実体を作り出すために行われ得る。多くの場合には、制限酵素認識部位がかかる人工的操作の標的であるが、他の部位特異的な標的、例えば、プロモーター、DNA複製部位、制御配列、コントロール配列、オープンリーディングフレーム、または他の有用な特徴が設計によって組み込まれ得る。組み換え核酸分子の例は、組み換えベクター、例えば、5’から3’(センス)方向または3’から5’(アンチセンス)方向であるRorファミリー蛋白質またはイムノグロブリン蛋白質をコードするDNA配列を含有するクローニングまたは発現ベクターを包含する。
【0078】
用語「pDNA」、「プラスミドDNA」、または「プラスミド」は、細胞内において染色体DNAとは物理的に別個であり、それとは独立して複製し得る小さいDNA分子を言う。プラスミドは全ての3つの主なドメイン、古細菌、真正細菌、および真核生物に見出され得る。天然において、プラスミドは対象の生存(例えば、抗生物質抵抗性)を利し得る遺伝子を収納しており、水平遺伝子伝播によって1つの細菌から別の(さらには別の種の)ものに高頻度で受け渡され得る。人工的なプラスミドは分子クローニングのベクターとして広く用いられており、宿主対象内での組み換えDNA配列の複製を駆動する用をなす。プラスミドのサイズは1から1,000kbp超まで変わり得る。プラスミドはレプリコンと見なされ、好適な宿主内において自律的に複製する能力がある。
【0079】
「RNA転写物」は、DNA配列のRNAポリメラーゼによって触媒される転写からもたらされる生成物を言う。RNA転写物がDNA配列の相補的なコピーであるときには、それは一次転写物と言われる。または、それは一次転写物の転写後プロセシングに由来するRNA配列であり得、成熟RNAと言われる。「メッセンジャーRNA(mRNA)」は、細胞によってポリペプチドに翻訳され得る、イントロンなしであるRNAを言う。「cRNA」は、組み換えcDNA鋳型から転写された相補的なRNAを言う。「cDNA」は、mRNA鋳型に相補的であり、それに由来するDNAを言う。cDNAは一本鎖であるか、または例えばDNAポリメラーゼIのクレノウ断片を用いて二本鎖形態に変換され得る。
【0080】
RNAの一部に「相補的な」配列は、RNAとハイブリダイゼーションし、安定な二重鎖を形成することができるための十分な相補性を有する配列を言う。それゆえに、二本鎖アンチセンス核酸のケースにおいては、二重鎖DNAの一本鎖が試験され得るか、または三重鎖形成がアッセイされ得る。ハイブリダイゼーションする能力はアンチセンス核酸の相補性の程度および長さ両方に依存するであろう。一般的に、ハイブリダイゼーションする核酸がより長いほど、それはRNAとのより多くの塩基ミスマッチを含有し、かつ安定な二重鎖(またはケースによっては三重鎖)を尚形成し得る。当業者は、ハイブリダイゼーションした複合体の融点を決定するための標準的な手順の使用によって忍容可能なミスマッチ度を確かめ得る。
【0081】
用語「核酸」もしくは「核酸配列」、「核酸分子」、「核酸断片」、または「ポリヌクレオチド」は、「遺伝子」、「遺伝子によってコードされるmRNA」、および「cDNA」と交換可能に用いられ得る。
【0082】
用語「mRNA」または「mRNA分子」は、メッセンジャーRNA、または細胞内での蛋白質合成の鋳型として用をなすRNAを言う。mRNAの鎖の配列は、合成されるべき蛋白質をコードする配列を含むDNAの相補鎖の配列に基づく。
【0083】
用語「siRNA」または「siRNA分子」は、RNA干渉(RNAi)経路を誘導する低分子阻害性RNA二重鎖を言い、そこでsiRNAは相補的なヌクレオチド配列を有する特異的な遺伝子の発現に干渉する。siRNA分子は長さが変わり得(例えば、18〜30または20〜25塩基対の間)、アンチセンス鎖には、それらの標的mRNAに対する相補性のさまざまな程度を含有し得る。いくつかのsiRNAは、対形成していないオーバーハング塩基をセンス鎖および/またはアンチセンス鎖の5’または3’末端に有する。用語siRNAは、2本の別個の鎖の二重鎖、および二重鎖領域を含むヘアピン構造を形成し得る一本鎖を包含する。
【0084】
用語「遺伝子サイレンシング」は、遺伝子が遺伝子改変以外のメカニズムによって「スイッチオフ」される遺伝子制御のエピジェネティックなプロセスを言う。すなわち、通常の状況では発現される(すなわち、「オンになる」)であろう遺伝子が、細胞の機構によってスイッチオフされる。遺伝子サイレンシングは、RNAが翻訳の間に蛋白質を作ることができないときに起こる。遺伝子は転写または転写後レベルどちらかで制御される。遺伝子の転写サイレンシングはヒストン修飾の結果であり、それを転写機構(例えば、RNAポリメラーゼおよび転写因子)に近づけなくする遺伝子の周りのへテロクロマチン環境を創出する。転写後遺伝子サイレンシングは、特定の遺伝子のmRNAが壊されるかまたは遮断される結果である。mRNAの破壊は、翻訳と、それゆえに遺伝子産物(例えば、蛋白質)の形成とを防止する。転写後遺伝子サイレンシングの普通のメカニズムはRNAiである。
【0085】
用語「粒子」は小さい物体、断片、または物質のピースを言い、これは単一の元素、無機材料、有機材料、またはその混合物であり得る。粒子の例は、ポリマー粒子、シングルエマルション粒子、ダブルエマルション粒子、コアセルベート、リポソーム、マイクロ粒子、ナノ粒子、マクロ粒子、ペレット、結晶、凝集体、コンポジット、微粉化、ミル処理、または別様に破砕されたマトリックス、および架橋された蛋白質または多糖粒子を包含し、このそれぞれは約約1mm未満かつ少なくとも1nmの平均特徴寸法を有し、ここで粒子の特徴寸法または「クリティカル寸法」は粒子の断面の最小寸法である。粒子は単一の物質または複数の物質から構成され得る。ある態様において、粒子はウイルス粒子ではない。他の態様において、粒子はリポソームではない。ある態様において、粒子はミセルではない。ある態様において、粒子は実質的に満遍なく固体である。ある態様において、粒子はナノ粒子である。ある態様において、粒子はマイクロ粒子である。
【0086】
用語「組成物」および「製剤」は交換可能に用いられる。
【0087】
投与が企図される「対象」は、ヒト(すなわち、いずれかの年齢群の男性または女性、例えば小児科の対象(例えば、乳児、幼児、少年)または成人対象(例えば、若年成人、中年成人、または高齢成人))および/または他の非ヒト動物、例えば哺乳動物(例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、商業的関わりがある哺乳動物、例えば畜牛、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、および/またはイヌ)および鳥(例えば、商業的関わりがある鳥、例えば鶏、鴨類、ガチョウ、および/または七面鳥)を包含するが、これに限定されない。ある態様において、動物は哺乳動物である。動物は発生のいずれかのステージの雄または雌であり得る。動物はトランスジェニック動物または遺伝示操作された動物であり得る。ある態様において、対象は非ヒト動物である。ある態様において、動物は魚類または爬虫類である。「患者」は、疾患の処置の必要があるヒト対象を言う。対象は植物でもまたあり得る。ある態様において、植物は陸生植物である。ある態様において、植物は非維管束陸生植物である。ある態様において、植物は維管束陸生植物である。ある態様において、植物は種子植物である。ある態様において、植物は栽培植物である。ある態様において、植物は双子葉植物である。ある態様において、植物は単子葉植物である。ある態様において、植物は顕花植物である。いくつかの態様において、植物は禾穀類植物、例えばメイズ、コーン、小麦、米、オートムギ、大麦、ライ麦、またはミレットである。いくつかの態様において、植物はマメ科植物、例えば豆植物、例えば大豆である。いくつかの態様において、植物は高木または低木である。
【0088】
本明細書において定義される用語「標的組織」は、本発明の化合物、粒子、および/または組成物が送達される目標である対象のいずれかの生体組織(細胞の群、体の部分、もしくは臓器を包含する)またはその部分を言い、血および/またはリンパ管を包含する。標的組織は、処置されることを必要とし得る、異常なまたは不健康な組織であり得る。標的組織は、防止されることを必要とし得る、異常または不健康になる通常よりも高いリスクがある正常なまたは健康な組織でもまたあり得る。ある態様において、標的組織は肝臓である。ある態様において、標的組織は肺である。「非標的組織」は、標的組織ではない対象のいずれかの生体組織(細胞の群、体の部分、もしくは臓器を包含する)またはその部分であり、血および/またはリンパ管を包含する。
【0089】
本明細書において用いられる用語「投与する」、「投与すること、または「投与」は、対象において本発明の化合物またはその組成物をインプラントすること、吸収すること、摂取すること、注射すること、吸入すること、または別様に導入することを言う。
【0090】
本明細書において用いられる用語「状態」、「疾患」、および「障害」は交換可能に用いられる。
【0091】
本明細書において用いられる用語「処置」、「処置する」、および「処置すること」は、本明細書に記載される疾患を反転させること、緩和すること、その始まりを遅延させること、またはその進行を阻害することを言う。いくつかの態様において、処置は、疾患の1つ以上の徴候または症状が発生したかまたは観察された後に投与され得る。他の態様において、処置は疾患の徴候または症状の非存在下において投与され得る。例えば、処置は症状の始まりに先行して(例えば、症状の既往に照らしておよび/または病原体への暴露に照らして)易罹患性の対象に投与され得る。処置は、症状が消散した後にもまた、例えば再発を遅延させるかまたは防止するために続き得る。
【0092】
本明細書に記載される化合物の「有効量」は、所望の生物学的応答を誘起し、すなわち状態を処置するために十分な量を言う。当業者によって理解されるであろうように、本明細書に記載される化合物の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、化合物の薬物動態、処置されようとする状態、投与モード、ならびに対象の年齢および健康などの因子に依存して変わり得る。有効量は治療および予防処置を包摂する。
【0093】
本明細書に記載される化合物の「治療有効量」は、状態の処置における治療ベネフィットを提供するために、または状態に関連した1つ以上の症状を遅延させるかもしくは最小化するために十分な量である。用語「治療有効量」は、総体的な治療を改善し、状態の症状、徴候、もしくは原因を低減もしくは回避し、および/または別の治療剤の治療有効性を向上させる量を包摂し得る。
【0094】
本明細書に記載される化合物の「予防有効量」は、状態の防止における予防ベネフィットを提供し、状態もしくは状態に関連した1つ以上の症状を防止するか、またはその再発を防止するために十分な量である。用語「予防有効量」は、総体的な予防を改善するかまたは別の予防剤の予防有効性を向上させる量を包摂し得る。
【0095】
用語「遺伝子疾患」は、対象のゲノムの1つ以上の異常によって引き起こされる疾患、例えば対象の誕生時から存在する疾患を言う。遺伝子疾患は遺伝性であり得、親の遺伝子から引き継がれ得る。遺伝子疾患は、対象のDNAおよび/またはRNAの変異または変化によってもまた引き起こされ得る。かかるケースにおいて、遺伝子疾患はそれが生殖細胞系列において起こる場合には遺伝性であろう。例示的な遺伝子疾患は、アースコグ・スコット症候群、アース症候群、軟骨無形成症、先端異骨症、嗜癖、副腎白質ジストロフィー、アルビニズム、無眼瞼・大口症候群、アラジール症候群、アルカプトン尿症、アルファ−1アンチトリプシン欠乏症、アルポート症候群、アルツハイマー病、喘息、多腺性自己免疫症候群、アンドロゲン不応症、アンジェルマン症候群、運動失調症、毛細血管拡張性運動失調症、アテローム性動脈硬化症、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症、脱毛症、バッテン病、ベックウィズ・ウィーデマン症候群、ベスト病、双極性障害、短指症)、乳癌、バーキットリンパ腫、慢性骨髄性白血病、シャルコー・マリー・トゥース病、クローン病、口唇裂、コケイン症候群、コフィン・ローリー症候群、結腸癌、先天性副腎過形成症、コルネリア・デ・ランゲ症候群、コステロ症候群、カウデン症候群、頭蓋前頭鼻異形成、クリグラー・ナジャール症候群、クロイツフェルト・ヤコブ病、嚢胞性線維症、難聴、うつ病、糖尿病、捻曲性骨異形成症、ディジョージ症候群、ダウン症、ディスレクシア、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、デュボヴィッツ症候群、外胚葉異形成、エリス・ファンクレフェルト症候群、エーラス・ダンロス、表皮水疱症、てんかん、本態性振戦、家族性高コレステロール血症、家族性地中海熱、脆弱X症候群、フリードライヒ運動失調症、ゴーシェ病、緑内障、グルコース・ガラクトース吸収不全症、グルタル酸尿症、脳回状網脈絡膜萎縮、ゴールドバーグ・シュプリンツェン症候群(口蓋帆・心臓・顔症候群)、ゴーリン症候群、ヘイリー・ヘイリー病、片側肥大症、ヘモクロマトーシス、血友病(例えば、血友病AおよびB)、遺伝性運動感覚ニューロパチー(HMSN)、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌(HNPCC)、ハンチントン病、高IgM免疫不全、若年発症糖尿病、クラインフェルター症候群、歌舞伎症候群、リー病、QT延長症候群、肺癌、悪性メラノーマ、躁鬱病、マルファン症候群、メンケス症候群、流産、ムコ多糖症、多発性内分泌腺腫症、多発性硬化症、筋ジストロフィー、筋萎縮性(myotrophic)側索硬化症、筋強直性ジストロフィー、神経線維腫症、ニーマンピック病、ヌーナン症候群、肥満、卵巣癌、膵臓癌、パーキンソン病、発作性夜間血色素尿症、ペンドレッド症候群、腓骨筋萎縮症、フェニルケトン尿症(PKU)、多発性嚢胞腎疾患、プラダー・ウィリ症候群、原発性胆汁性肝硬変、前立腺癌、REAR症候群、レフサム病、網膜色素変性症、網膜芽細胞腫、レット症候群、サンフィリポ症候群、統合失調症、重症複合免疫不全症、鎌状赤血球貧血、二分脊椎、脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳萎縮症、成人突然死症候群、タンジール病、テイ・サックス病、血小板減少・橈骨欠損症候群、タウンズブロックス症候群、結節性硬化症、ターナー症候群、アッシャー症候群、フォン・ヒッペル・リンドウ症、ワールデンブルグ症候群、ウィーバー症候群、ウェルナー症候群、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、色素性乾皮症、およびツェルウェーガー症候群を包含するが、これに限定されない。
【0096】
「増殖性疾患」は、細胞の増加による異常な成長または進展が原因で起こる疾患を言う(Walker, Cambridge Dictionary of Biology; Cambridge University Press: Cambridge, UK, 1990)。増殖性疾患は、1)通常は静止期である細胞の病的な増殖、2)それらの通常の位置からの細胞の病的な遊走(例えば、新生物性細胞の転移)、3)マトリックスメタロプロテイナーゼ(例えば、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、およびエラスターゼ)などの蛋白質加水分解酵素の病的な発現、または4)増殖性網膜症および腫瘍転移におけるような病的血管新生と関連し得る。例示的な増殖性疾患は、癌(すなわち、「悪性新生物」)、良性新生物、血管新生、炎症性疾患、および自己免疫疾患を包含する。
【0097】
本明細書において用いられる用語「血管新生」は、新たな血管が既存の管から形成する生理的プロセスを言う。血管新生は、中胚葉細胞前駆体からの内皮細胞のデノボ形成である血管発生とは別物である。発生している胚中の最初の管は血管発生によって形成し、これの後は、血管新生が正常なまたは異常な発生中の大部分の血管成長を担う。血管新生は、成長および発生、ならびに創傷治癒、肉芽組織の形成における不可欠なプロセスである。しかしながら、血管新生は良性状態から悪性のものへの腫瘍の移行における根本的なステップでもまたあり、癌の処置における血管新生阻害剤の使用につながる。血管新生は成長因子(例えば、VEGF)などの血管新生蛋白質によって化学的に刺激され得る。「病的血管新生」は、疾患に至り、および/またはそれに関連する異常な(例えば、過剰なまたは十分でない)血管新生を言う。
【0098】
用語「新生物」および「腫瘍」は本明細書において交換可能に用いられ、組織の異常な集塊を言い、集塊の成長は正常な組織の成長を上回り、それと調和していない。新生物または腫瘍は、次の特徴に依存して「良性」または「悪性」であり得る:細胞分化度(形態学および機能性を包含する)、成長の速度、局所侵襲、および転移。「良性新生物」は一般的に良く分化しており、悪性新生物よりも特徴的に遅い成長を有し、元々の部位に局在したまま残る。加えて、良性新生物は遠隔部位に浸潤、侵襲、または転移する素質を有さない。例示的な良性新生物は、脂肪腫、軟骨腫、アデノーマ、アクロコルドン、老人性血管腫、脂漏性角化症、黒子、および脂腺増殖症を包含するが、これに限定されない。いくつかのケースにおいて、ある種の「良性」腫瘍は後に悪性新生物を生み出し得、これは腫瘍の新生物性細胞の亜集団における追加の遺伝子の変化からもたらされ得、それらの腫瘍は「前悪性新生物」と言われる。例示的な前悪性新生物はテラトーマである。対照的に、「悪性新生物」は一般的に不十分に分化しており(退形成)、周辺組織の進行性の浸潤、侵襲、および破壊を伴う特徴的に急速な成長を有する。さらにその上に、悪性新生物は一般的に遠隔部位に転移する素質を有する。用語「転移」、「転移性の」、または「転移する」は、原発のまたは元の腫瘍から別の臓器または組織への癌性細胞の広がりまたは遊走を言い、典型的には、二次性(転移)腫瘍が位置する臓器または組織のものではなく、原発のまたは元の腫瘍の組織型の「二次性腫瘍」または「二次性細胞集塊」の存在によって同定可能である。例えば、骨まで遊走した前立腺癌は転移した前立腺癌であると言われ、骨組織中で成長する癌性の前立腺癌細胞を包含する。
【0099】
用語「癌」は悪性の新生物を言う(Stedman's Medical Dictionary, 25th ed.; Hensyl ed.; Williams & Wilkins: Philadelphia, 1990)。例示的な癌は、聴神経腫瘍、腺癌、副腎腺癌、肛門癌、血管肉腫(例えば、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、血管腫)、虫垂癌、良性単クローン性ガンマグロブリン血症、胆道癌(例えば胆管癌)、膀胱癌、乳癌(例えば、乳部の腺癌、乳頭状乳癌、乳腺癌、乳部の髄様癌)、脳の癌(例えば、髄膜腫、膠芽腫、グリオーマ(例えば、星細胞腫、乏突起膠腫)、髄芽腫)、気管支癌、カルチノイド腫瘍、子宮頚部癌(例えば子宮頚部腺癌)、絨毛癌、脊索腫、頭蓋咽頭腫、結腸直腸癌(例えば、結腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌)、結合組織癌、上皮癌、上衣腫、内皮肉腫(例えば、カポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫)、子宮内膜癌(例えば、子宮癌、子宮肉腫)、食道癌(例えば、食道腺癌、バレット腺癌)、ユーイング肉腫、眼の癌(例えば、眼内メラノーマ、網膜芽細胞腫)、家族性好酸球増多症、胆嚢癌、胃癌(例えば胃腺癌)、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞癌、頭部および頸部の癌(例えば、頭部および頸部の扁平上皮癌、口腔癌(例えば口腔扁平上皮癌)、咽喉癌(例えば、喉頭癌、咽頭癌、鼻咽頭癌、中咽頭癌))、造血器癌(例えば白血病、例えば急性リンパ性白血病(ALL)(例えばB細胞ALL、T細胞ALL)、急性骨髄性白血病(AML)(例えばB細胞AML、T細胞AML)、慢性骨髄性白血病(CML)(例えばB細胞CML、T細胞CML)、および慢性リンパ性白血病(CLL)(例えばB細胞CLL、T細胞CLL))、リンパ腫、例えばホジキンリンパ腫(HL)(例えばB細胞HL、T細胞HL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えばB細胞NHL、例えばびまん性大細胞型リンパ腫(DLCL)(例えばびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫)、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞性リンパ腫(例えば、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、リンパ節性辺縁帯B細胞性リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫)、原発性縦隔B細胞型リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(すなわちワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症)、有毛細胞性白血病(HCL)、免疫芽球型大細胞性リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、および原発性の中枢神経系(CNS)リンパ腫、およびT細胞NHL、例えば前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)(例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)(例えば、菌状息肉症(mycosis fungiodes)、セザリー症候群)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外性ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸管症型T細胞リンパ腫、皮下蜂窩織炎様T細胞リンパ腫、および未分化大細胞性リンパ腫)、上に記載されている1つ以上の白血病/リンパ腫の混合物、および多発性骨髄腫(MM))、重鎖病(例えば、アルファ鎖病、ガンマ鎖病、ミュー鎖病)、血管芽腫、下咽頭癌、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、免疫細胞性アミロイドーシス、腎臓癌(例えば、腎芽腫、別名をウィルムス腫瘍、腎細胞癌)、肝臓癌(例えば、肝細胞癌(HCC)、悪性ヘパトーマ)、肺癌(例えば、気管支原性癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺腺癌)、平滑筋肉腫(LMS)、肥満細胞症(例えば、全身性肥満細胞症)、筋肉の癌、骨髄異形成症候群(MDS)、中皮腫、骨髄増殖性疾患(MPD)(例えば、真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、原発性骨髄線維症(AMM)、別名を骨髄線維症(MF)、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増多症候群(HES))、神経芽細胞腫、神経線維腫(例えば、神経線維腫症(NF)1型または2型、シュワノマトーシス)、神経内分泌癌(例えば、膵・消化管神経内分泌腫瘍(GEP−NET)、カルチノイド腫瘍)、骨肉腫(例えば骨癌)、卵巣癌(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌)、乳頭腺癌、膵臓癌(例えば、膵腺癌(pancreatic andenocarcinoma)、膵管内乳頭粘液性新生物(IPMN)、膵島細胞腫瘍)、陰茎癌(例えば、陰茎および陰嚢のページェット病)、松果体腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNT)、形質細胞腫、腫瘍随伴症候群、上皮内新生物、前立腺癌(例えば、前立腺の腺癌)、直腸癌、横紋筋肉腫、唾液腺癌、皮膚癌(例えば、扁平上皮癌(SCC)、ケラトアカントーマ(KA)、メラノーマ、基底細胞癌(BCC))、小腸癌(例えば虫垂癌)、軟部肉腫(例えば悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫)、脂腺癌、小腸癌、汗腺癌、滑膜腫、精巣癌(例えば、セミノーマ、精巣胎児性癌)、甲状腺癌(例えば、甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、甲状腺髄様癌)、尿道癌、膣癌、ならびに外陰癌(例えば、外陰ページェット病)を包含するが、これに限定されない。
【0100】
本明細書において用いられる用語「炎症性疾患」または「炎症」は、炎症によって引き起こされるか、それからもたらされるか、またはそれをもたらす疾患を言う。用語「炎症性疾患」は、脱制御した炎症反応をもまた言い得、これはマクロファージ、顆粒球、および/またはTリンパ球による度を超えた応答を引き起こし、異常な組織ダメージおよび/または細胞死につながる。炎症性疾患は急性または慢性炎症状態どちらかであり得、感染または非感染性の原因からもたらされ得る。炎症性疾患は、限定なしに、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、自己免疫障害、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、リウマチ性多発筋痛症(PMR)、痛風性関節炎、変形性関節症、腱炎、滑液包炎、乾癬、嚢胞性線維症、骨関節炎(arthrosteitis)、関節リウマチ、炎症性関節炎、シェーグレン症候群、巨細胞性動脈炎、進行性の全身性硬化症(強皮症)、強直性脊椎炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、水疱症、天疱瘡、糖尿病(例えばI型)、重症筋無力症、橋本病、グレーブス病、グッドパスチャー病、混合性結合組織病、硬化性胆管炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、悪性貧血、炎症性皮膚病、通常型間質性肺炎(UIP)、石綿症、珪肺、気管支拡張症、ベリリウム症、滑石肺症、塵肺症、サルコイドーシス、剥離性間質性肺炎、リンパ性間質性肺炎、巨細胞間質性肺炎、細胞間質性肺炎、外因性アレルギー性肺胞炎、ウェゲナー肉芽腫症および血管炎の関連する形態(側頭動脈炎および結節性多発動脈炎)、炎症性の皮膚病、肝炎、遅延型過敏性反応(例えば、ツタうるし皮膚炎)、肺炎、気道炎症、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、脳炎、即時型過敏性反応、喘息、枯草熱、アレルギー、急性アナフィラキシー、リウマチ熱、糸球体腎炎、腎盂腎炎、蜂窩織炎、膀胱炎、慢性胆嚢炎、虚血(虚血傷害)、再灌流傷害、同種移植片拒絶、宿主対移植片拒絶、虫垂炎、動脈炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、頸管炎、胆管炎、絨毛膜羊膜炎、結膜炎、涙腺炎、皮膚筋炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、小腸結腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、歯肉炎、回腸炎、虹彩炎、喉頭炎、脊髄炎、心筋炎、腎炎、臍炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、咽頭炎、肋膜炎、静脈炎、肺炎、直腸炎、前立腺炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、睾丸炎、扁桃炎、尿道炎、膀胱炎、ぶどう膜炎、膣炎、血管炎、外陰炎、外陰膣炎、血管炎(angitis)、慢性気管支炎、骨髄炎、視神経炎、側頭動脈炎、横断性脊髄炎、壊死性筋膜炎、ならびに壊死性腸炎を包含する。炎症性眼疾患は術後炎症を包含するが、これに限定されない。
【0101】
本明細書において用いられる「自己免疫疾患」は、体内に通常存在する物質および組織に対する対象の体の不適当な免疫応答から生まれる疾患を言う。換言すると、免疫系が体の何らかの部分を病原体と間違え、それ自身の細胞を攻撃する。これは(例えば、自己免疫甲状腺炎において)ある種の臓器に限られるか、または異なる場所の特定の組織を包含し得る(例えば、肺および腎臓の基底膜を冒し得るグッドパスチャー病)。自己免疫疾患の処置は、典型的には免疫抑制、例えば免疫応答を減少させる薬によってである。例示的な自己免疫疾患は、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、壊死性血管炎、リンパ節炎、結節性動脈周囲炎、全身性エリテマトーデス(erythematosis)、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス(erythematosis)、乾癬、潰瘍性大腸炎、全身性強皮症、皮膚筋炎/多発性筋炎、抗リン脂質抗体症候群、強皮症、尋常性天疱瘡、ANCA関連血管炎(例えば、ウェゲナー肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎)、ぶどう膜炎、シェーグレン症候群、クローン病、ライター症候群、強直性脊椎炎、ライム病、ギラン・バレー症候群、橋本病、および心筋症を包含するが、これに限定されない。
【0102】
用語「肝臓疾患」または「肝疾患」は肝臓のダメージまたは疾患を言う。肝臓疾患の限定しない例は、肝内胆汁うっ滞症(例えば、アラジール症候群、胆汁性肝硬変)、脂肪肝(例えば、アルコール性脂肪肝、ライ症候群)、肝静脈血栓症、肝レンズ核変性症(すなわち、ウィルソン病)、肝腫大、肝膿瘍(例えば、アメーバ性肝膿瘍)、肝硬変(例えば、アルコール性、胆汁性、および実験的肝硬変)、アルコール性肝臓疾患(例えば、脂肪肝、肝炎、硬変)、寄生虫性肝臓疾患(例えば、肝エキノコックス症、肝蛭症、アメーバ性肝膿瘍)、黄疸(例えば、溶血性、肝細胞性、胆汁うっ滞性黄疸)、胆汁うっ滞症、門脈圧亢進症、肝肥大、腹水症、肝炎(例えば、アルコール性肝炎、動物肝炎、慢性肝炎(例えば、自己免疫、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、薬物性慢性肝炎)、中毒性肝炎、ウイルス性ヒト肝炎(例えば、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎)、肉芽腫性、続発性胆汁性硬変、肝性脳症、静脈瘤、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、肝細胞腺腫、血管腫、胆石、肝不全(例えば、肝性脳症、急性肝不全)、血管筋脂肪腫、石灰化肝転移、嚢胞性肝転移、線維層状型肝細胞癌、肝腺腫、ヘパトーマ、肝嚢胞(例えば、単純嚢胞、多発性肝嚢胞疾患、肝臓・胆嚢の嚢胞腺腫、総胆管嚢胞)、間葉系腫瘍(間葉系過誤腫、乳児肝血管内皮腫、血管腫、肝紫斑病、脂肪腫、炎症性偽腫瘍)、上皮腫瘍(例えば、胆管過誤腫、胆管腺腫)、限局性結節性過形成、結節性再生性過形成、肝芽腫、肝細胞癌、胆管癌、嚢胞腺癌、血管の腫瘍、血管肉腫、カポジ(Karposi)肉腫、肝血管内皮腫、胎児性肉腫、線維肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、癌肉腫、テラトーマ、カルシノイド、扁平上皮(squamous)癌、原発性リンパ腫、肝紫斑病、肝性骨髄性ポルフィリン症、肝性ポルフィリン症(例えば、急性間欠性ポルフィリン症、晩発性皮膚ポルフィリン症)、およびツェルウェーガー症候群を包含する。
【0103】
用語「脾臓疾患」は脾臓の疾患を言う。脾臓疾患の例は、脾腫、脾臓癌、無脾症、脾臓外傷、特発性紫斑病、フェルティ症候群、ホジキン病、および脾臓の免疫媒介性の破壊を包含するが、これに限定されない。
【0104】
用語「肺(lung)疾患」または「肺(pulmonary)疾患」は肺の疾患を言う。肺疾患の例は、気管支拡張症、気管支炎、気管支肺異形成症、間質性肺疾患、職業性肺疾患、気腫、嚢胞性線維症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、重症急性呼吸器症候群(SARS)、喘息(例えば、間欠型喘息、軽症持続型喘息、中等症持続型喘息、重症持続型喘息)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、間質性肺疾患、サルコイドーシス、石綿肺、アスペルギローマ、アスペルギルス症、肺炎(例えば、大葉性肺炎、多葉性肺炎、気管支肺炎、間質性肺炎)、肺線維症、肺結核、リウマチ性肺疾患、肺血栓塞栓症、および肺癌(例えば、非小細胞肺癌腫(例えば、腺癌、肺扁平上皮癌、大細胞肺癌)、小細胞肺癌)を包含するが、これに限定されない。
【0105】
本明細書において用いられる「血液学的疾患」は、造血細胞または組織を冒す疾患を包含する。血液学的疾患は、異常な血液学的内容および/または機能に関連した疾患を包含する。血液学的疾患の例は、癌のための骨髄放射線照射もしくは化学療法処置からもたらされる疾患、悪性貧血、出血性貧血、溶血性貧血、再生不良性貧血、鎌状赤血球貧血、鉄芽球性貧血、マラリア、トリパノソーマ症、HTV、肝炎ウイルス、または他のウイルスなどの慢性感染に関連した貧血、骨髄不全によって引き起こされる骨髄癆性貧血、貧血からもたらされる腎不全、貧血、多血症(polycethemia)、伝染性単核球症(EVI)、急性非リンパ性白血病(ANLL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、急性骨髄単球性白血病(AMMoL)、真性多血症(polycethemia vera)、リンパ腫、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病、ウイルムス腫瘍、ユーイング肉腫、網膜芽細胞腫、血友病、血栓の増大したリスクに関連した障害、ヘルペス、サラセミア(thalessemia)、抗体媒介性障害、例えば輸血反応および赤芽球症、赤血球の機械的外傷、例えば微小血管障害性溶血性貧血、血栓性血小板減少性紫斑病、および播種性血管内凝固症候群などの疾患、プラスモディウムなどの寄生虫による感染、例えば鉛中毒からの化学損傷、ならびに脾機能亢進症を包含する。
【0106】
用語「神経学的疾患」は神経系のいずれかの疾患を言い、中枢神経系(脳、脳幹、および小脳)、末梢神経系(脳神経を包含する)、および自律神経系(その部分は中枢および末梢神経系両方に位置する)を包含する疾患を包含する。神経変性疾患もまた、神経細胞の喪失を特徴とする神経学的疾患の型を言い、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、タウオパチー(前頭側頭型認知症を包含する)、およびハンチントン病を包含するが、これに限定されない。神経学的疾患の例は、頭痛、昏迷および昏睡、認知症、発作、睡眠障害、外傷、感染、新生物、神経眼科学、運動障害、脱髄疾患、脊髄障害、ならびに末梢神経、筋肉、および神経筋接合部の障害を包含するが、これに限定されない。双極性障害および統合失調症を包含するがこれに限定されない嗜癖および心の病もまた神経学的疾患の定義に包含される。神経学的疾患のさらなる例は、後天性てんかん性失語症、急性散在性脳脊髄炎、副腎白質ジストロフィー、脳梁欠損症、失認症、アイカルディ症候群、アレキサンダー病、アルパース病、交互性片麻痺、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、無脳症、アンジェルマン症候群、血管腫症、無酸素症、失語、失行症、くも膜嚢胞、くも膜炎、アーノルド・キアリ奇形、動静脈奇形、アスペルガー症候群、毛細血管拡張性運動失調症、注意欠如・多動性障害、自閉症、自律神経機能不全、背部痛、バッテン病、ベーチェット病、ベル麻痺、良性本態性眼瞼痙攣、良性局在性筋萎縮症、良性頭蓋内圧亢進、ビンスワンガー病、眼瞼痙攣、ブロッホ・サルツバーガー症候群、腕神経叢損傷、脳膿瘍、脳損傷、脳腫瘍(多形膠芽腫を包含する)、脊髄腫瘍、ブラウン・セカール症候群、カナバン病、手根管症候群(CTS)、カウザルギー、中枢痛症候群、橋中心髄鞘崩壊症、頭部(cephalic)障害、脳動脈瘤、脳動脈硬化症、脳萎縮、脳性巨人症、脳性麻痺、シャルコー・マリー・トゥース病、化学療法によって誘導されるニューロパチーおよび神経因性疼痛、キアリ奇形、舞踏病、慢性炎症性脱髄性ポリニューロパチー(CIDP)、慢性疼痛、慢性局所疼痛症候群、コフィン・ローリー症候群、持続的植物状態を包含する昏睡、先天性両側顔面神経麻痺、大脳皮質基底核変性、頭蓋型動脈炎、頭蓋骨縫合早期癒合症、クロイツフェルト・ヤコブ病、累積外傷性障害、クッシング症候群、サイトメガロウイルス封入体病(CIBD)、サイトメガロウイルス感染、ダンシングアイズ・ダンシングフィート症候群、ダンディーウォーカー症候群、ドーソン病、ドモルシア症候群、デジェリン・クルンプケ麻痺、認知症、皮膚筋炎、糖尿病性ニューロパチー、びまん性硬化症、自律神経失調症、ディスグラフィア、ディスレクシア、ジストニア、早期乳児てんかん性脳症、エンプティ・セラ症候群、脳炎、脳瘤、脳三叉神経領域血管腫症、てんかん、エルブ麻痺、本態性振戦、ファブリー病、ファール病、失神性目眩、家族性痙性麻痺、熱性発作、フィッシャー症候群、フリードライヒ運動失調症、前頭側頭型認知症および他の「タウオパチー」、ゴーシェ病、ゲルストマン症候群、巨細胞性動脈炎、巨細胞性封入体病、グロボイド細胞白質ジストロフィー、ギラン・バレー症候群、HTLV−1関連脊髄症、ハラーフォルデン・シュパッツ病、頭部損傷、頭痛、片側顔面痙攣、遺伝性痙性対麻痺、遺伝性多発神経炎性失調、耳性帯状疱疹、帯状疱疹、平山病、HIV関連認知症およびニューロパチー(AIDSの神経学的像もまた参照)、全前脳胞症、ハンチントン病および他のポリグルタミンリピート疾患、水無脳症、水頭症、コルチゾール過剰症、低酸素状態、免疫媒介性脳脊髄炎、封入体筋炎、色素失調症、乳児フィタン酸蓄積症、乳児レフサム病、点頭てんかん、炎症性ミオパチー、頭蓋内嚢胞、頭蓋内圧亢進症、ジュベール症候群、カーンズ・セイヤー症候群、ケネディー病、キンスボーン症候群、クリッペル・ファイル症候群、クラッベ病、クーゲルベルグ・ウェランダー病、クールー病、ラフォラ病、ランバート・イートン筋無力症候群、ランドウ・クレフナー症候群、延髄外側(ワレンベルグ)症候群、学習障害、リー病、レノックス・ガストー症候群、レッシュ・ナイハン症候群、白質ジストロフィー、レビー小体認知症、滑脳症、閉じ込め症候群、ルー・ゲーリック病(別名を運動ニューロン病または筋萎縮性側索硬化症)、腰部椎間板症、ライム病−神経学的後遺症、マシャド・ジョセフ病、巨脳症(macrencephaly)、巨脳症(megalencephaly)、メルカーソン・ローゼンタール症候群、メニエール病、髄膜炎、メンケス病、異染性白質ジストロフィー、小頭症、偏頭痛、ミラー・フィッシャー症候群、ミニストローク、ミトコンドリア性ミオパチー、メビウス症候群、一側下腿筋萎縮症、運動ニューロン病、もやもや病、ムコ多糖症、多発梗塞性認知症、多巣性運動ニューロパチー、多発性硬化症および他の脱髄性障害、体位性低血圧を有する多系統萎縮症、筋ジストロフィー、重症筋無力症、髄鞘破壊性びまん性硬化症、幼児のミオクロニー脳症、ミオクローヌス、ミオパチー、先天性ミオトニー、ナルコレプシー、神経線維腫症、神経遮断薬悪性症候群、AIDSの神経学的像、狼瘡の神経学的後遺症、ニューロミオトニア、ニューロンセロイド脂褐素症、神経細胞遊走障害、ニーマンピック病、オサリバン・マクラウド症候群、後頭神経痛、潜在性脊椎閉鎖不全症候群(occult spinal dysraphism sequence)、大田原症候群、オリーブ橋小脳萎縮症、オプソクローヌス・ミオクローヌス、視神経炎、起立性低血圧、オーバーユース症候群、感覚異常、パーキンソン病、先天性パラミオトニア、腫瘍随伴疾患、発作、パリー・ロンベルグ症候群、ペリツェウス・メルツバッヘル病、周期性四肢麻痺、末梢ニューロパチー、有痛性ニューロパチーおよび神経因性疼痛、遷延性植物状態、広汎性発達障害、光くしゃみ反射、フィタン酸蓄積症、ピック病、頚椎症性神経根症、下垂体腫瘍、多発性筋炎、孔脳症、ポストポリオ症候群、帯状疱疹後神経痛(PHN)、感染後脳脊髄炎、体位性低血圧、プラダー・ウィリ症候群、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性片側顔面萎縮症、進行性多巣性白質脳症、進行性硬化性ポリオジストロフィー、進行性核上性麻痺、偽脳腫瘍、ラムゼイ・ハント症候群(I型およびII型)、ラスムッセン脳炎、反射性交感神経性萎縮症候群、レフサム病、反復性運動障害、反復運動過多損傷、むずむず脚症候群、レトロウイルス関連脊髄症、レット症候群、ライ症候群、聖ヴィトゥス舞踏病、サンドホフ病、シルダー病、裂脳症、中隔視神経異形成症、揺さぶられっ子症候群、帯状疱疹、シャイ・ドレーガー症候群、シェーグレン症候群、睡眠時無呼吸症、ソトス症候群、痙縮、二分脊椎、脊髄損傷、脊髄腫瘍、脊髄性筋萎縮症、スティッフパーソン症候群、卒中、スタージ・ウェーバー症候群、亜急性硬化性全脳炎、クモ膜下出血、皮質下動脈硬化性脳症、シデナム舞踏病、失神、脊髄空洞症、遅発性ジスキネジア、テイ・サックス病、側頭動脈炎、脊髄係留症候群、トムセン病、胸郭出口症候群、疼痛性チック、トッド麻痺、トゥレット症候群、一過性脳虚血発作、伝達性海綿状脳症、横断性脊髄炎、外傷性脳損傷、振戦、三叉神経痛、熱帯性痙性不全対麻痺、結節性硬化症、血管性認知症(多発梗塞性認知症)、側頭動脈炎を包含する血管炎、フォン・ヒッペル・リンドウ病(VHL)、ワレンベルク症候群、ウェルドニッヒ・ホフマン病、ウエスト症候群、むち打ち症、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、およびツェルウェーガー症候群を包含する。
【0107】
「疼痛状態」は、神経因性疼痛(例えば、末梢神経因性疼痛)、中枢痛、求心路遮断性(deafferentiation)疼痛、慢性疼痛(例えば、慢性の侵害受容性疼痛、および術後疼痛などの慢性疼痛の他の形態、例えば、股関節、膝、または他の置換術後に生まれる疼痛)、術前疼痛、侵害受容体の刺激(侵害受容性疼痛)、急性疼痛(例えば、幻肢痛および一過的な急性疼痛)、非炎症性疼痛、炎症性疼痛、癌に関連した疼痛、創傷痛、熱傷疼痛、術後疼痛、医療手術に関連した疼痛、そう痒症からもたらされる疼痛、膀胱痛症候群、月経前不快気分障害および/または月経前症候群に関連した疼痛、慢性疲労症候群に関連した疼痛、早期陣痛に関連した疼痛、薬物嗜癖からの離脱(withdrawl)症状に関連した疼痛、関節痛、関節炎性疼痛(例えば、結晶性関節炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、痛風性関節炎、反応性関節炎、関節リウマチ、またはライター関節炎に関連した疼痛)、腰仙痛、筋骨格系疼痛、頭痛、偏頭痛、筋肉の痛み、下背部痛、頸部疼痛、歯痛、歯/顎顔面痛、内臓痛および同類を包含するが、これに限定されない。本明細書において企図される疼痛状態の1つ以上は、上および本明細書において提供される疼痛の種々の型(例えば侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛など)の混合物を含み得る。いくつかの態様においては、特定の疼痛が優勢であり得る。他の態様において、疼痛状態は疼痛の2つ以上の型を含み、優勢な1つはない。通例の臨床医は、疼痛状態に基づいて、特定の対象について治療有効量を達成するための投与量を決定し得る。
【0108】
用語「精神医学的障害」は精神の疾患を言い、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders - Fourth Edition (DSM-IV), published by the American Psychiatric Association, Washington D. C. (1994)に列記されている疾患および障害を包含する。精神医学的障害は、不安障害(例えば、急性ストレス障害、広場恐怖症、全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、分離不安障害、社交不安症、および特定の恐怖症)、小児期障害、(例えば、注意欠如・多動性障害、行為障害、および反抗挑戦性障害)、摂食障害(例えば、神経性無食欲症および神経性大食症)、気分障害(例えば、うつ病、双極性障害、気分循環性障害、気分変調性障害、および大うつ病性障害)、パーソナリティ障害(例えば、反社会性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、境界型パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、強迫性パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、スキゾイドパーソナリティ障害、および統合失調型パーソナリティ障害)、精神病性障害(例えば、短期精神病性障害、妄想性障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、統合失調症、および共有精神病性障害)、物質関連障害(例えば、アルコール依存症、アンフェタミン依存症、大麻依存症、コカイン依存症、幻覚剤依存症、吸入剤依存症、ニコチン依存症、オピオイド依存症、フェンサイクリジン依存症、および鎮静剤依存症)、適応障害、自閉症、せん妄、認知症、多発梗塞性認知症、学習および記憶障害(例えば、健忘および加齢性記憶喪失)、ならびにトゥレット障害を包含するが、これに限定されない。
【0109】
用語「代謝障害」は、炭水化物、脂質、蛋白質、核酸、またはその組み合わせの正常な代謝の改変を包含するいずれかの障害を言う。代謝障害は、核酸、蛋白質、脂質、および/または炭水化物の代謝の不均衡をもたらす代謝経路の欠乏または過剰どちらかと関連している。代謝に影響する因子は、内分泌(ホルモン)コントロール系(例えば、インスリン経路、GLP−1、PYY、または同類を包含する腸管内分泌ホルモン)、神経コントロール系(例えば、脳におけるGLP−1)、または同類を包含するが、これに限定されない。代謝障害の例は、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病)、高血糖症、高インスリン血症、インスリン抵抗性、および肥満を包含するが、これに限定されない。
【0110】
用語「筋骨格系疾患」または「MSD」は、四肢、頸部、および背部を支持する対象の関節、靭帯、筋肉、神経、腱、および構造の損傷および/または疼痛を言う。ある態様において、MSDは変性疾患である。ある態様において、MSDは炎症状態を包含する。MSDと関連し得る対象の体の部分は、上および下背部、頸部、肩、ならびに手足(腕部、脚部、足部、および手部)を包含する。ある態様において、MSDは骨疾患、例えば軟骨無形成症、先端巨大症、骨カルス、骨脱灰、骨折、骨髄疾患、骨髄新生物、先天性角化不全症、白血病(例えば、有毛細胞白血病、リンパ性白血病、骨髄性白血病、フィラデルフィア染色体陽性白血病、形質細胞白血病、幹細胞白血病)、全身性肥満細胞症、骨髄異形成症候群、発作性夜間血色素尿症、骨髄肉腫、骨髄増殖性障害、多発性骨髄腫、真性多血症、ピアソン骨髄膵臓症候群、骨新生物、骨髄新生物、ユーイング肉腫、骨軟骨腫、破骨細胞腫、骨肉腫、短指症、カムラチ・エンゲルマン症候群、頭蓋骨縫合早期癒合症、クルーゾン頭蓋顔面異骨症、小人症、軟骨無形成症、ブルーム症候群、コケイン症候群、エリス・ファンクレフェルト症候群、セッケル症候群、脊椎骨端異形成症、先天性脊椎骨端異形成症、ウェルナー症候群、過骨症、骨棘形成、クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群、マルファン症候群、マッキューン・オルブライト症候群、骨炎、変形性関節症、骨軟骨炎、骨軟骨異形成症、カシン・ベック病、レリー・ヴェイル軟骨骨異形成症、骨軟骨症、骨異栄養症、骨形成不全症、骨溶解症、ゴーハム・スタウト症候群、骨軟化症、骨髄炎、骨壊死、オステオペニア、オステオペトローシス、骨粗鬆症、骨硬化症、耳脊椎巨大骨端異形成症、肥厚性皮膚骨膜症、骨ページェット病、多指症、メッケル症候群、くる病、ロスムンド・トムソン症候群、ソトス症候群、脊椎骨端異形成症、先天性脊椎骨端異形成症、合指症、アペール症候群、合指症II型、またはウェルナー症候群である。ある態様において、MSDは軟骨疾患、例えば軟骨新生物、骨軟骨炎、骨軟骨異形成症、カシン・ベック病、またはレリー・ヴェイル軟骨骨異形成症である。ある態様において、MSDはヘルニア、例えば椎間板ヘルニアである。ある態様において、MSDは関節疾患、例えば関節痛、関節炎(例えば、痛風(例えば、ケリー・シーグミラー症候群、レッシュ・ナイハン症候群)、ライム病、変形性関節症、乾癬性関節炎、反応性関節炎、リウマチ熱、関節リウマチ、フェルティ症候群、滑膜炎、ブラウ症候群、ネイル・パテラ症候群、脊椎関節症、反応性関節炎、スティックラー症候群、滑膜疾患、滑膜炎、またはブラウ症候群である。ある態様において、MSDはランガー・ギーディオン症候群である。ある態様において、MSDは筋肉疾患、例えばバース症候群、ミトコンドリア脳筋症、MELAS症候群、MERRF症候群、MNGIE症候群、ミトコンドリア筋症、カーンズ・セイヤー症候群、筋痛症、線維筋痛症、リウマチ性多発筋痛症、筋腫、筋炎、皮膚筋炎、神経筋疾患、カーンズ・セイヤー症候群、筋ジストロフィー、筋無力症、先天性筋無力症候群、ランバート・イートン筋無力症候群、重症筋無力症、ミオトニア、先天性ミオトニア、脊髄性筋萎縮症、テタニー、眼筋麻痺、または横紋筋融解症である。ある態様において、MSDはプロテウス症候群である。ある態様において、MSDはリウマチ性疾患、例えば関節炎(例えば、痛風(例えば、ケリー・シーグミラー症候群、レッシュ・ナイハンライム病))、変形性関節症、乾癬性関節炎、反応性関節炎、リウマチ熱、関節リウマチ、フェルティ症候群、滑膜炎、ブラウ症候群、痛風(例えば、ケリー・シーグミラー症候群、レッシュ・ナイハン症候群)、リウマチ性多発筋痛症、リウマチ熱、リウマチ性心疾患、またはシェーグレン症候群である。ある態様において、MSDはシュワルツ・ヤンペル症候群である。ある態様において、MSDは骨格系疾患、例えばレリー・ヴェイル軟骨骨異形成症、骨格系奇形、メルニック・ニードルズ症候群、肥厚性皮膚骨膜症、リーガー症候群、脊柱疾患、椎間板ヘルニア、側彎症、二分脊椎、脊椎炎、強直性脊椎炎、脊椎関節症、反応性関節炎、脊椎骨端異形成症、先天性脊椎骨端異形成症、または脊椎症である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
図1図1は、OF−00、OF−01、OF−02、およびOF−03の合成を図示している。
【0112】
図2図2は、mRNA送達のためにOF−00、OF−01、OF−02、およびOF−03を利用するインビボのEPO発現を図示している。データは平均+標準偏差として提示されている(n=3)。
【0113】
図3図3A〜3Cは、脂質ナノ粒子(LNP)を利用するEPOmRNAのインビボ送達に関するデータを提示している。図3A:インビボのEPOmRNA送達について、OF−02LNPのバッチからバッチのばらつき。データは平均+標準偏差として提示されている(n=3)。図3B:インビボのOF−02およびcKK−E12LNPの用量反応曲線。データは平均±標準偏差として提示されている(n=3)。図3C:OF−02LNPの代表的なクライオ透過型電子顕微鏡法(CTEM)
【0114】
図4図4A〜4Bは、インビボのルシフェラーゼmRNAを有するcKK−E12LNP(図4A)およびOF−02LNP(図4B)の代表的なルミネッセンス生体内分布を図示している。
【0115】
図5図5は、図4A〜4Bのルミネッセンスについて、ルシフェラーゼLNPの定量されたcKK−E12およびOF−02の結果を図示している。臓器のルミネッセンスはIVISイメージングシステム(Perkin Elmer、ウォルサム、MA)を用いて分析された。ルミネッセンスはLivingImageソフトウェア(Perkin Elmer)を用いて定量されて、それぞれの臓器の輝度をフォトン/seで測定した。データは平均+標準偏差として提示されている(n=4)。
【0116】
図6図6は、6および24hにおけるOF−02対cKK−E12LNPのEPO濃度を図示している。データは平均±標準偏差として提示されている(n=3)。
【0117】
図7図7は、マウスへのそれぞれの静脈内投与の24時間後の平均−SD(n=3)として報告された、cKK−E12およびOF−02のmRNALNPについてのパーセントの体重増量を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0118】
本明細書には新規のアルケニル置換2,5−ピペラジンジオンおよびその使用が記載される。1つの側面において、提供されるのは式(I)の化合物およびその塩である。別の側面においては、式(I)の化合物またはその塩、剤、および、任意に添加剤を含む組成物が提供される。組成物は、対象または細胞に剤を有効に送達することができるということが見出された。プロトン化されて正荷電のアンモニウムカチオンを形成し得る1つよりも多くのアミノ部分を包含する式(I)の化合物は、負荷電部分を包含する剤に結合して、非共有結合的な複合体を形成し得る。式(I)の化合物は、4つの本明細書において定義される任意に置換されていてもよいアルケニルR部分をもまた包含し、これは、式(I)の化合物および/または式(I)の化合物と剤との複合体が細胞膜を通り抜けることおよび/または送達されるべき剤上の電荷をマスクすることを助け得る。ある態様において、組成物は、対象の特定の組織または臓器(例えば、肝臓および/または脾臓)に選択的に剤を送達することに有用である。組成物(例えば、医薬組成物)は、その必要がある対象の疾患、障害、および状態のある範囲(例えば、遺伝子疾患、増殖性疾患、血液学的疾患、神経学的疾患、肝臓疾患、脾臓疾患、肺疾患、疼痛状態、精神医学的障害、筋骨格系疾患、代謝障害、炎症性疾患、または自己免疫疾患)を処置および/または防止することにもまた有用であり得る。
【0119】
化合物
1つの側面においては、式(I)の化合物、
【化2】

およびその塩が提供され、Rのそれぞれのものは独立して任意に置換されていてもよいC〜C40アルケニルである。
【0120】
ある態様において、式(I)の化合物は式
【化3】

であり、「」によって標識された4つの炭素原子のそれぞれの1つの立体化学は独立してSまたはRである。
【0121】
ある態様において、Rの少なくとも2つのものは同じ基であり、例えば、例えばある態様において、Rの2つのもの、3つのもの、または全ての4つのものは同じ基である。しかしながら、ある態様において、Rの少なくとも1つのものは異なり、例えば、例えばある態様において、Rの少なくとも1つの、2つの、3つの、または全ての4つのものは異なる基である。
【0122】
本明細書において一般的に定義されるRのそれぞれのものは独立して任意に置換されていてもよいC〜C40アルケニルである。ある態様において、Rの少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)ものは独立して任意に置換されていてもよいC6−30アルケニル、任意に置換されていてもよいC6−25アルケニル、任意に置換されていてもよいC6−20アルケニル、任意に置換されていてもよいC10−25アルケニル、任意に置換されていてもよいC10−20アルケニル、任意に置換されていてもよいC10−18アルケニル、任意に置換されていてもよいC10−16アルケニル、任意に置換されていてもよいC12−30アルケニル、任意に置換されていてもよいC14−30アルケニル、任意に置換されていてもよいC16−30アルケニル、任意に置換されていてもよいC12−18アルケニル、任意に置換されていてもよいC14−18アルケニル、任意に置換されていてもよいC16−18アルケニル、任意に置換されていてもよいC12−16アルケニル、または任意に置換されていてもよいC14−16アルケニルである。ある態様において、Rの少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)ものは独立して任意に置換されていてもよいC12アルケニル、任意に置換されていてもよいC13アルケニル、任意に置換されていてもよいC14アルケニル、任意に置換されていてもよいC15アルケニル、任意に置換されていてもよいC16アルケニル、任意に置換されていてもよいC17アルケニル、任意に置換されていてもよいC18アルケニル、任意に置換されていてもよいC19アルケニル、または任意に置換されていてもよいC20アルケニルである。ある態様において、本明細書において定義される1つ以上のR基は無置換アルケニル部分である。ある態様において、本明細書において定義されるR基のそれぞれは無置換アルケニル部分である。
【0123】
ある態様において、本明細書において定義される1つ以上のR基はn−アルケニル部分である。例えば、ある態様において、Rの少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)ものは独立して任意に置換されていてもよいC〜C40n−アルケニルであり、例えば、ある態様において、Rの少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)ものは独立して任意に置換されていてもよいC6−30n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC6−25n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC6−20n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC10−25n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC10−20n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC10−18n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC10−16n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC12−30n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC14−30n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC16−30n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC12−18n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC14−18n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC16−18n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC12−16n−アルケニル、または任意に置換されていてもよいC14−16n−アルケニルである。ある態様において、Rの少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)ものは独立して任意に置換されていてもよいC12n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC13n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC14n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC15n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC16n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC17n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC18n−アルケニル、任意に置換されていてもよいC19n−アルケニル、または任意に置換されていてもよいC20n−アルケニルである。ある態様において、本明細書において定義される1つ以上のR基は無置換n−アルケニル部分である。ある態様において、本明細書において定義されるR基のそれぞれは無置換n−アルケニル部分である。
【0124】
本明細書において理解される通り、アルケニルR基はシス(Z)および/またはトランス(E)二重結合を含む。二重結合が三または四置換される場合には、シスの指定は二重結合のZ立体配置をもまた言い得、トランスの指定はE立体配置をもまた言い得るということは理解される。ある態様において、基R中の唯一の不飽和度はオレフィン(二重)結合に帰せられる。ある態様において、Rの少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)ものはシス二重結合のみを含む(それゆえに、トランス二重結合を含まない)。ある態様において、Rの少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)ものはトランス二重結合のみを含む(それゆえに、シス二重結合を含まない)。ある態様において、Rの少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)ものは1つ、2つ、または3つの二重結合を含む。ある態様において、Rの少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)ものは1つ、2つ、または3つの二重結合を含み、三重結合を含まない。ある態様において、Rの少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)ものは2つのシスおよび/またはトランス二重結合を含む。ある態様において、Rの少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)ものはシス二重結合のみを含む。ある態様においては、R基中に提供されるトランスアルケニル結合は具体的に除外される。ある態様において、Rのそれぞれのものは2つのシス二重結合のみを含む。
【0125】
少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基が1つの二重結合のみを含むある態様において、アルケニルR基は任意に置換されていてもよい−(C4−10アルキレン)−(Cアルケニレン)−(C1−20アルキル)であり、ただし、Rは40個以下の直鎖状の炭素原子(換言すると、直鎖状の炭素鎖中の炭素原子数)を含む。ある態様において、アルケニルR基は−(C4−10n−アルキレン)−(Cアルケニレン)−(C1−20n−アルキル)であり、ただし、Rは40個以下の直鎖状の炭素原子を含む。ある態様において、アルケニルR基は任意に置換されていてもよい−(C4−10アルキレン)−(cis−Cアルケニレン)−(C1−20アルキル)部分であり、ただし、Rは40個以下の直鎖状の炭素原子を含む。ある態様において、アルケニルR基は任意に置換されていてもよい−(C4−10n−アルキレン)−(cis−Cアルケニレン)−(C1−20n−アルキル)部分であり、ただし、Rは40個以下の直鎖状の炭素原子を含む。ある態様において、Rは30個以下の直鎖状の炭素原子を含む。ある態様において、Rは、6個から40個、10個から40個、10個から30個、または10個から20個の間(両端を含む)の直鎖状の炭素原子を含む。
【0126】
例えば、少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基が1つの二重結合のみを含むある態様において、少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基は、式
【化4】

の基であり、
xは、4および20の間(両端を含む)の整数であり、
yは、1および20の間(両端を含む)の整数であり、
R’のそれぞれのものは独立して水素、任意に置換されていてもよいC1−6アルキル、ハロゲン、置換ヒドロキシル、置換チオール、および置換アミノであり、
ただし、基は40個以下の直鎖状の炭素原子を含む。
【0127】
少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基が1つの二重結合のみを含むある態様において、少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基は、式
【化5】

の基である。
【0128】
ある態様において、それぞれのR’は独立して水素、無置換C1−6アルキル(例えば、−CH)、ハロアルキル(例えば、−CF)、およびハロゲン(例えば、−F)からなる群から選択される。ある態様において、それぞれのR’は独立して水素およびハロゲン(例えば、−F)からなる群から選択される。ある態様において、それぞれのR’は水素である。
【0129】
少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基が1つの二重結合のみを含むある態様において、少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基は、式
【化6】

の基である。
【0130】
ある態様において、xは4、5、6、7、または8である。ある態様において、yは1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。ある態様において、xは6である。ある態様において、yは7である。
【0131】
例えば、少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基が1つの二重結合のみを含むある態様において、少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基は、式
【化7】

の基である。
【0132】
少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基が2つの二重結合のみを含むある態様において、アルケニルR基は任意に置換されていてもよい−(C4−10アルキレン)−(Cアルケニレン)−(C1−3アルキレン)−(Cアルケニレン)−(C1−20アルキル)であり、ただし、Rは40個以下の直鎖状の炭素原子(換言すると、直鎖状の炭素鎖中の炭素原子数)を含む。ある態様において、アルケニルR基は−(C4−10n−アルキレン)−(Cアルケニレン)−(C1−3n−アルキレン)−(Cアルケニレン)−(C1−20n−アルキル)であり、ただし、Rは40個以下の直鎖状の炭素原子を含む。ある態様において、アルケニルR基は任意に置換されていてもよい−(C4−10アルキレン)−(cis−Cアルケニレン)−(C1−3アルキレン)−(cis−Cアルケニレン)−(C1−20アルキル)部分であり、ただし、Rは40個以下の直鎖状の炭素原子を含む。ある態様において、アルケニルR基は任意に置換されていてもよい−(C4−10n−アルキレン)−(cis−Cアルケニレン)−(C1−3n−アルキレン)−(cis−Cアルケニレン)−(C1−20n−アルキル)部分であり、ただし、Rは40個以下の直鎖状の炭素原子を含む。ある態様において、Rは30個以下の直鎖状の炭素原子を含む。ある態様において、Rは、6個から40個、10個から40個、10個から30個、または10個から20個の間(両端を含む)の直鎖状の炭素原子を含む。
【0133】
例えば、少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基が2つの二重結合のみを含むある態様において、少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基は、式
【化8】

の基であり、
xは、4および20の間(両端を含む)の整数であり、
yは、1および20の間(両端を含む)の整数であり、
z1は1、2、または3であり、
R’のそれぞれのものは独立して水素、任意に置換されていてもよいC1−6アルキル、ハロゲン、置換ヒドロキシル、置換チオール、および置換アミノであり、
ただし、基は40個以下の直鎖状の炭素原子を含む。
【0134】
少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基が2つの二重結合のみを含むある態様において、少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基は、式
【化9】

の基である。
【0135】
ある態様において、それぞれのR’は独立して水素、無置換C1−6アルキル(例えば、−CH)、ハロアルキル(例えば、−CF)、およびハロゲン(例えば、−F)からなる群から選択される。ある態様において、それぞれのR’は独立して水素およびハロゲン(例えば、−F)からなる群から選択される。ある態様において、それぞれのR’は水素である。
【0136】
少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基が2つの二重結合のみを含むある態様において、少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基は、式
【化10】

の基である。
【0137】
ある態様において、xは4、5、6、7、または8である。ある態様において、yは1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。ある態様において、z1は1または2である。ある態様において、xは6である。ある態様において、yは4である。ある態様において、z1は1である。
【0138】
例えば、少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基が2つの二重結合のみを含むある態様において、少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基は、式
【化11】

の基である。
【0139】
少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基が3つの二重結合のみを含むある態様において、アルケニルR基は任意に置換されていてもよい−(C4−10アルキレン)−(Cアルケニレン)−(C1−3アルキレン)−(Cアルケニレン)−(C1−3アルキレン)−(Cアルケニレン)−(C1−20アルキル)部分であり、ただし、Rは40個以下の直鎖状の炭素原子(換言すると、直鎖状の炭素鎖中の炭素原子数)を含む。ある態様において、アルケニルR基は−(C4−10n−アルキレン)−(Cアルケニレン)−(C1−3n−アルキレン)−(Cアルケニレン)−(C1−3n−アルキレン)−(Cアルケニレン)−(C1−20n−アルキル)であり、ただし、Rは40個以下の直鎖状の炭素原子を含む。ある態様において、アルケニルR基は任意に置換されていてもよい−(C4−10アルキレン)−(cis−Cアルケニレン)−(C1−3アルキレン)−(cis−Cアルケニレン)−(C1−3アルキレン)−(cis−Cアルケニレン)−(C1−20アルキル)部分であり、ただし、Rは40個以下の直鎖状の炭素原子を含む。ある態様において、アルケニルR基は任意に置換されていてもよい−(C4−10n−アルキレン)−(cis−Cアルケニレン)−(C1−3n−アルキレン)−(cis−Cアルケニレン)−(C1−3n−アルキレン)−(cis−Cアルケニレン)−(C1−20n−アルキル)部分であり、ただし、Rは40個以下の直鎖状の炭素原子を含む。ある態様において、Rは30個以下の直鎖状の炭素原子を含む。ある態様において、Rは、6個から40個、10個から40個、10個から30個、または10個から20個の間の直鎖状の炭素原子を含む。
【0140】
例えば、少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基が3つの二重結合のみを含むある態様において、少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基は、式
【化12】

の基であり、
xは、4および20の間(両端を含む)の整数であり、
yは、1および20の間(両端を含む)の整数であり、
z1およびz2のそれぞれのものは独立して1、2、または3であり、
R’のそれぞれのものは独立して水素、任意に置換されていてもよいC1−6アルキル、ハロゲン、置換ヒドロキシル、置換チオール、および置換アミノであり、
ただし、基は40個以下の直鎖状の炭素原子を含む。
【0141】
少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基が3つの二重結合のみを含むある態様において、少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基は、式
【化13】

の基である。
【0142】
ある態様において、それぞれのR’は独立して水素、無置換C1−6アルキル(例えば、−CH)、ハロアルキル(例えば、−CF)、およびハロゲン(例えば、−F)からなる群から選択される。ある態様において、それぞれのR’は独立して水素およびハロゲン(例えば、−F)からなる群から選択される。ある態様において、それぞれのR’は水素である。
【0143】
少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基が3つの二重結合のみを含むある態様において、少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基は式
【化14】

の基である。
【0144】
ある態様において、xは4、5、6、7、または8である。ある態様において、yは1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。ある態様において、z1は1または2である。ある態様において、z2は1または2である。ある態様において、xは6である。ある態様において、yは1である。ある態様において、z1は1である。ある態様において、z2は1である。
【0145】
例えば、少なくとも1つの(例えば、それぞれの)アルケニルR基が2つの二重結合のみを含むある態様において、少なくとも1つの(例えば、1つの、2つの、3つの、またはそれぞれの)アルケニルR基は式
【化15】

の基である。
【0146】
式(I)の例示的な化合物は、

それぞれのRが式
【化16】

の基である(OF−00)、
それぞれのRが式
【化17】

の基である(OF−01)、
それぞれのRが式
【化18】

の基である(OF−02)、および
それぞれのRが式
【化19】

の基である(OF−03)を包含する。
【0147】
組成物
本明細書においては、式(I)の化合物またはその塩と剤とを含む組成物が提供される。ある態様において、組成物は医薬組成物である。ある態様において、組成物は非医療応用のためである。ある態様において、組成物は化粧品組成物である。ある態様において、組成物は栄養組成物である。ある態様において、組成物はニュートラシューティカル組成物である。ある態様において、組成物は式(I)の化合物またはその塩と任意に添加剤とを含む。ある態様において、組成物は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容し得る塩と任意に薬学的に許容し得る添加剤とを含む。
【0148】
本明細書に記載される組成物は1つ以上の剤(例えば、薬剤、診断剤、および/またはポリヌクレオチド(polynuceotide))を含む。剤は組成物中の式(I)の化合物またはその塩と複合体を形成し得る。剤および複合体は本明細書により詳細に記載されている。ある態様において、組成物はその必要がある対象への剤の送達に有用である。ある態様において、組成物は対象への剤の有効量の送達に有用である。ある態様において、剤は組成物中の式(I)の化合物またはその塩に共有結合的に取り付けられる。ある態様において、剤は組成物中の式(I)の化合物またはその塩に共有結合的に取り付けられない。
【0149】
剤を含む組成物は、対象または細胞への剤の送達を改善または増大させ得る。ある態様において、組成物は対象の標的組織への剤の送達を増大させる。ある態様において、組成物は剤を標的組織に選択的に送達する(例えば、組成物は非標的組織よりも標的組織に多くの剤を送達する)。ある態様において、組成物は対象の肝臓への剤の送達を増大させる。ある態様において、組成物は対象の脾臓への剤の送達を増大させる。ある態様において、組成物は、剤を対象の肝臓、肺、および/または脾臓に選択的に送達する。
【0150】
剤の送達は、剤の暴露、濃度、およびバイオアベイラビリティなどの種々の点でキャラクタリゼーションされ得る。対象における剤の暴露は、投与または投薬後の対象または細胞内の剤の濃度の曲線下面積(AUC)として定義され得る。ある態様において、本明細書に記載される暴露は、対象の標的組織(例えば、肝臓および/または脾臓)内における剤の暴露である。一般的に、暴露の増大は、本発明の組成物およびコントロール組成物のものの間において、対象または細胞の測定されたAUCの差をとること、および、コントロール組成物の暴露によって差を除算することによって計算され得る。剤の暴露は適当な動物モデルによって測定され得る。対象または細胞内の剤の、および適当であるときにはその代謝物(単数または複数)の濃度は、投与後の時間の関数として測定される。
【0151】
ある態様において、本明細書に記載される濃度は対象の標的組織(例えば、肝臓および/または脾臓)内の剤の濃度である。対象または細胞内の剤の、および適当であるときにはその代謝物(単数または複数)の濃度は、適当な動物モデルを用いてインビボで時間の関数として測定され得る。剤の濃度を決定する1つの方法は、対象の組織または臓器の解剖を包含する。対象または細胞内の剤の濃度はHPLCまたはLC/MS分析によって決定され得る。
【0152】
いくつかの態様において、剤の送達は、組成物中の式(I)の化合物またはその塩の存在が原因で増大する。いくつかの態様において、剤の送達は、組成物中の式(I)の化合物またはその塩と剤との間に形成される複合体の存在が原因で増大する。いくつかの態様において、組成物は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約10倍、少なくとも約30倍、少なくとも約100倍、少なくとも約300倍、または少なくとも約1000倍だけ剤の送達を増大させる。ある態様において、組成物は、約1000倍未満、約300倍未満、約100倍未満、約30倍未満、約10倍未満、約3倍未満、約2倍未満、約100%未満、約50%未満、約30%未満、約20%未満、または約10%未満だけ剤の送達を増大させる。上でリファレンスとした範囲の組み合わせもまた可能である(例えば、少なくとも約100%かつ約10倍未満の増大)。他の範囲もまた本発明の範囲内である。ある態様において、式(I)の化合物またはその塩は、その非存在下において投与される剤の送達と比較して、剤の送達を本明細書に記載される量だけ増大させるための十分量で組成物中に存在する。
【0153】
組成物は、対象の組織または臓器に選択的に剤を送達し得る。ある態様において、剤が選択的に送達される組織または臓器は標的組織である。ある態様において、組成物は、非標的組織よりも、剤の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約100%、少なくとも約3倍、少なくとも約10倍、少なくとも約30倍、少なくとも約100倍、少なくとも約300倍、または少なくとも約1000倍多い量を標的組織に送達する。剤の量は、本明細書に記載される組織または臓器における剤の暴露、濃度、および/またはバイオアベイラビリティによって測定され得る。ある態様において、組成物は、非標的組織よりも、剤の最大で約1000倍、最大で約300倍、最大で約100倍、最大で約30倍、最大で約10倍、最大で約3倍、最大で約100%、最大で約70%、最大で約50%、最大で約40%、最大で約30%、最大で約20%、または最大で約10%多い量を標的組織に送達する。上の範囲の組み合わせ(例えば、少なくとも約100%かつ最大で約10倍)もまた本発明の範囲内である。ある態様において、標的組織は肝臓である。ある態様において、標的組織は脾臓である。ある態様において、標的組織は肺である。
【0154】
1つ以上の剤(例えば、薬剤)を包含する組成物(例えば、医薬組成物)は、疾患、障害、または状態を処置および/または防止することに有用であり得る。ある態様において、疾患、障害、または状態は、遺伝子疾患、増殖性疾患、血液学的疾患、神経学的疾患、肝臓疾患、脾臓疾患、肺疾患、疼痛状態、精神医学的障害、筋骨格系疾患、代謝障害、炎症性疾患、または自己免疫疾患である。ある態様において、組成物は遺伝子治療に有用である。ある態様において、組成物は遺伝子疾患を処置および/または防止することにとって有用である。ある態様において、組成物は増殖性疾患を処置および/または防止することにとって有用である。ある態様において、組成物は癌を処置および/または防止することにとって有用である。ある態様において、組成物は良性新生物を処置および/または防止することにとって有効である。ある態様において、組成物は病的血管新生を処置および/または防止することにとって有用である。ある態様において、組成物は炎症性疾患を処置および/または防止することにとって有用である。ある態様において、組成物は自己免疫疾患を処置および/または防止することにとって有用である。ある態様において、組成物は血液学的疾患を処置および/または防止することにとって有用である。ある態様において、組成物は神経学的疾患を処置および/または防止することにとって有用である。ある態様において、組成物は肝臓疾患を処置および/または防止することにとって有用である。ある態様において、組成物は肺疾患を処置および/または防止することにとって有用である。ある態様において、組成物は脾臓疾患を処置および/または防止することにとって有用である。ある態様において、組成物は、肝癌、高コレステロール血症、不応性貧血、家族性アミロイドニューロパチー、または血友病を処置および/または防止することにとって有効である。
【0155】
剤は組成物中において有効量で提供され得る。ある態様において、有効量は治療有効量である。ある態様において、有効量は予防有効量である。ある態様において、有効量は、疾患を処置および/または防止することにとって有効な量である。ある態様において、有効量は、疾患、例えば、遺伝子疾患、増殖性疾患、血液学的疾患、神経学的疾患、肝臓疾患、脾臓疾患、肺疾患、疼痛状態、精神医学的障害、筋骨格系疾患、代謝障害、炎症性疾患、または自己免疫疾患を処置することにとって有効な量である。ある態様において、有効量は、遺伝子疾患を処置および/または防止することにとって有効な量である。ある態様において、有効量は、増殖性疾患を処置および/または防止することにとって有効な量である。ある態様において、有効量は、癌を処置および/または防止することにとって有効な量である。ある態様において、有効量は、良性新生物を処置および/または防止することにとって有効な量である。ある態様において、有効量は、病的血管新生を処置および/または防止することにとって有効な量である。ある態様において、有効量は、炎症性疾患を処置および/または防止することにとって有効な量である。ある態様において、有効量は、自己免疫疾患を処置および/または防止することにとって有効な量である。ある態様において、有効量は、血液学的疾患を処置および/または防止することにとって有効な量である。ある態様において、有効量は、神経学的疾患を処置および/または防止することにとって有効な量である。ある態様において、有効量は、肝臓疾患を処置および/または防止することにとって有効な量である。ある態様において、有効量は、肺疾患を処置および/または防止することにとって有効な量である。ある態様において、有効量は、脾臓疾患を処置および/または防止することにとって有効な量である。ある態様において、有効量は、肝癌、高コレステロール血症、不応性貧血、家族性アミロイドニューロパチー、または血友病を処置および/または防止することにとって有効な量である。
【0156】
剤の有効量は、1または数日かけての1回以上の投与で、約0.001mg/kgから約1000mg/kgまで変わり得る(投与モードに依存する)。ある態様において、ドーズあたりの有効量は、約0.001mg/kgから約1000mg/kgまで、約0.01mg/kgから約750mg/kgまで、約0.1mg/kgから約500mg/kgまで、約1.0mg/kgから約250mg/kgまで、および約10.0mg/kgから約150mg/kgまで変わる。
【0157】
ある態様において、組成物は粒子の形態である。ある態様において、粒子はナノ粒子またはマイクロ粒子である。ある態様において、組成物はリポソームまたはミセルの形態である。ある態様において、本明細書に記載される粒子、ミセル、またはリポソームは組成物のコンポーネントの自己組織化からもたらされるということは理解される。ある態様において、粒子、ミセル、またはリポソームは剤を封入する。粒子、ミセル、またはリポソームによって送達されるべき剤は、気体、液体、または固体の形態であり得る。組成物は、さらにポリマー(合成または天然)、界面活性剤、コレステロール、炭水化物、蛋白質、脂質、脂質様分子などを包含するかまたはそれと組み合わせられて、粒子を形成し得る。それらの粒子は、さらに添加剤と組み合わせられて組成物を形成し得る。粒子、ミセル、およびリポソームは本明細書により詳細に記載される。
【0158】
本明細書に記載される組成物(例えば、医薬組成物)は、当分野において公知のいずれかの方法によって(例えば、薬理学的に)調製され得る。一般的に、かかる調製方法は、化合物を本明細書に記載される剤(すなわち、「活性成分」)と、任意に担体もしくは添加剤および/または1つ以上の他の補助的な成分と結びつけるステップと、次いで、必要なおよび/または望ましい場合には、生成物を所望のシングルまたはマルチドーズの単位に成形および/またはパッケージングするステップとを包含する。
【0159】
組成物は、バルクで、1ユニットドーズとして、および/または1ユニットドーズの複数として調製、パッケージング、および/または販売され得る。本明細書において用いられる「ユニットドーズ」は、活性成分の所定量を含む組成物の個別的な量である。活性成分の量は、一般的には、対象に投与されるであろう活性成分の投与量、および/またはかかる投与量の便利な分数、例えばかかる投与量の例えば二分の一または三分の一に等しい。
【0160】
組成物中の活性成分、添加剤(例えば、薬学的にまたは化粧品的に許容し得る添加剤)、および/またはいずれかの追加の成分の相対量は、処置される対象のアイデンティティ、サイズ、および/または状態に依存して、さらに組成物が投与されるべき経路に依存して変わるであろう。組成物は0.1%および100%(w/w)の間の活性成分を含み得る。
【0161】
提供される組成物の製造に用いられる添加剤は、不活性な希釈剤、分散および/もしくは造粒剤、表面活性剤および/もしくは乳化剤、崩壊剤、結合剤、保存料、緩衝剤、滑剤、ならびに/または油を包含する。ココアバターおよび座薬ワックス、着色料、コーティング剤、甘味料、香料、ならびに芳香剤などの添加剤もまた組成物中に存在し得る。
【0162】
例示的な希釈剤は、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム、ラクトース、スクロース、セルロース、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥澱粉、コーンスターチ、粉糖、およびその混合物を包含する。
【0163】
例示的な造粒および/または分散剤は、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム、粘土、アルギン酸、グアーガム、シトラスパルプ、寒天、ベントナイト、セルロースおよび木材生成物、天然スポンジ、カチオン交換樹脂、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポリ(ビニルピロリドン)(クロスポビドン)、カルボキシメチル澱粉ナトリウム(澱粉グリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、糊化澱粉(スターチ1500)、微結晶澱粉、水不溶性澱粉、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム(ビーガム)、ラウリル硫酸ナトリウム、第4級アンモニウム化合物、およびその混合物を包含する。
【0164】
例示的な表面活性剤および/または乳化剤は、天然の乳化剤(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、コンドラックス(chondrux)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、ウールファット、コレステロール、ワックス、およびレシチン)、コロイド状粘土(例えば、ベントナイト(ケイ酸アルミニウム)およびビーガム(ケイ酸アルミニウムマグネシウム))、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、モノステアリン酸トリアセチン、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸グリセリル、およびモノステアリン酸プロピレングリコール、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えばカルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー、およびカルボキシビニルポリマー)、カラギーナン、セルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末化セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)20)、ポリオキシエチレンソルビタン(Tween(登録商標)60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween(登録商標)80)、ソルビタンモノパルミテート(Span(登録商標)40)、ソルビタンモノステアレート(Span(登録商標)60)、ソルビタントリステアレート(Span(登録商標)65)、モノオレイン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン(Span(登録商標)80)、ポリオキシエチレンエステル(例えば、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(Myrj(登録商標)45)、ポリオキシエチレン水添ヒマシ油、ポリエトキシル化ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシメチレン、およびSolutol(登録商標))、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、Cremophor(登録商標))、ポリオキシエチレンエーテル、(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(Brij(登録商標)30))、ポリ(ビニルピロリドン)、モノラウリン酸ジエチレングリコール、オレイン酸トリエタノールアミン、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、ラウリン酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、Pluronic(登録商標)F-68、Poloxamer P-188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドクサートナトリウム、および/またはその混合物を包含する。
【0165】
例示的な結合剤は、澱粉(例えば、コーンスターチおよび澱粉糊)、ゼラチン、糖(例えば、スクロース、グルコース、ブドウ糖、デキストリン、モラセス、ラクトース、ラクチトール、マンニトールなど)、天然および合成ガム(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュモスエキス、パンワール(panwar)ガム、ガティガム、イサポル(isapol)殻粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース、酢酸セルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum(登録商標))、およびカラマツアラボガラクタン)、アルギン酸、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、無機カルシウム塩、ケイ酸、ポリメタクリレート、ワックス、水、アルコール、および/またはその混合物を包含する。
【0166】
例示的な保存料は、抗酸化剤、キレート剤、抗微生物保存料、抗真菌保存料、抗原生動物保存料、アルコール保存料、酸性保存料、および他の保存料を包含する。ある態様において、保存料は抗酸化剤である。他の態様において、保存料はキレート剤である。
【0167】
例示的な抗酸化剤は、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル(acorbyl)、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、ピロ亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、および亜硫酸ナトリウムを包含する。
【0168】
例示的なキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)とその塩および水和物(例えば、エデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸二カリウム、および同類)、クエン酸とその塩および水和物(例えばクエン酸一水和物)、フマル酸とその塩および水和物、リンゴ酸とその塩および水和物、リン酸とその塩および水和物、ならびに酒石酸とその塩および水和物を包含する。例示的な抗微生物保存料は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、およびチメロサールを包含する。
【0169】
例示的な抗真菌保存料は、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、およびソルビン酸を包含する。
【0170】
例示的なアルコール保存料は、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール系化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシ安息香酸、およびフェニルエチルアルコールを包含する。
【0171】
例示的な酸性保存料は、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロテン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、およびフィチン酸を包含する。
【0172】
他の保存料は、トコフェロール、酢酸トコフェロール、デテロキシム(deteroxime)メシレート、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(toluened)(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸カリウム、Glydant(登録商標)Plus、Phenonip(登録商標)、メチルパラベン、Germall(登録商標)115、Germaben(登録商標)II、Neolone(登録商標)、Kathon(登録商標)、およびEuxyl(登録商標)を包含する。
【0173】
例示的な緩衝剤は、クエン酸緩衝溶液、酢酸緩衝溶液、リン酸緩衝溶液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルコヘプトン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D−グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、二塩基性リン酸カルシウム、リン酸、三塩基性リン酸カルシウム、水酸化リン酸カルシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、二塩基性リン酸カリウム、一塩基性リン酸カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、発熱物質不含水、等張食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、およびその混合物を包含する。
【0174】
例示的な滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、ベヘン酸(behanate)グリセリル、水添植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物を包含する。
【0175】
例示的な天然油は、アーモンド、アンズ核、アボカド、ババス、ベルガモット、クロスグリ種子、ルリジサ、ケード、カモミール、キャノーラ、キャラウェイ、カルナウバ、ヒマシ、シナモン、ココアバター、ココナッツ、タラ肝、コーヒー、トウモロコシ、綿実、エミュー、ユーカリ、月見草、魚、亜麻仁、ゲラニオール、ヒョウタン、葡萄種子、ヘーゼルナッツ、ヒソップ、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ、ククイナッツ、ラバンジン、ラベンダー、レモン、アオモジ、マカデミアナッツ、ゼニアオイ、マンゴー種子、メドウフォーム種子、ミンク、ナツメグ、オリーブ、オレンジ、オレンジラフィー、ヤシ、パーム核、ピーチ核、ピーナッツ、ケシ種子、カボチャ種子、セイヨウアブラナ、米ぬか、ローズマリー、ベニバナ、ビャクダン、サザンカ(sasquana)、キダチハッカ、シーバックソーン、ゴマ、シアバター、シリコーン、大豆、ヒマワリ、ティーツリー、アザミ、椿、ベチバー、クルミ、および小麦胚芽油を包含する。例示的な合成油は、ステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、ミネラルオイル、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーンオイル、およびその混合物を包含するが、これに限定されない。
【0176】
加えて、組成物はさらにアポリポ蛋白質を含み得る。以前の研究は、アポリポ蛋白質E(ApoE)が細胞取り込みおよび遺伝子サイレンシングを向上させることができるということを材料のある種の型について報告している。例えば、Akinc, A. et al., Targeted delivery of RNAi therapeutics with endogenous and exogenous ligand-based mechanisms. Mol Ther. 18(7): p. 1357-64参照。ある態様において、アポリポ蛋白質はApoA、ApoB、ApoC、ApoE、もしくはApoH、またはそのアイソフォームである。
【0177】
経口および非経口投与のための液体剤形は、エマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤を包含する。ある態様において、エマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤は、または化粧品的に許容し得るエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤である。活性成分に加えて、液体剤形は、当分野において普通に用いられる不活性な希釈剤、例えば、例えば水または他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジル安息香酸、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(例えば、綿実、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシ、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物を含み得る。不活性な希釈剤の他に、経口組成物は、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化および懸濁剤、甘味料、香料、ならびに芳香剤を包含し得る。非経口投与のためのある態様においては、可溶化剤、例えばCremophor(登録商標)、アルコール、油、変性油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマー、およびその混合物が用いられる。
【0178】
注射剤調製物、例えば無菌注射剤の水系または油性懸濁液は、好適な分散または湿潤剤および懸濁剤を用いて、公知技術に従って製剤され得る。無菌注射剤調製物は、無毒な非経口的に許容し得る希釈剤または溶媒中の、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液としての無菌注射剤溶液、懸濁液、またはエマルションであり得る。使用され得る許容し得る基剤および溶媒には、水、リンゲル液(U.S.P.)、および等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の不揮発性油が溶媒または懸濁媒として従来使用されている。この目的のためには、合成モノまたはジグリセリドを包含するいずれかの無刺激性の不揮発性油が使用され得る。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が注射剤の調製に用いられる。
【0179】
注射剤製剤は滅菌され得る。例えば、細菌リテーナフィルターによる濾過、または滅菌剤を無菌固体組成物の形態で組み込むことにより行われ、これは使用に先行して滅菌水または他の無菌注射剤媒体中に溶解または分散され得る。
【0180】
活性成分の効果を長引かせるためには、多くの場合に、皮下または筋肉内注射からのその吸収を遅くすることが望ましい。これは、不十分な水溶性を有する結晶質または非晶質材料の懸濁液の使用によって達成され得る。次いで、活性成分の吸収の速度はその溶解速度に依存し、これは翻って結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。代替的には、非経口投与された活性成分の遅延した吸収は、組成物を油基剤中に溶解または懸濁することによって達成され得る。
【0181】
直腸または膣投与のための組成物は典型的には座薬である。これは、常温で固体であるが体温では液体であり、よって直腸または膣腔において融けて活性成分を放出する好適な非刺激性の添加剤または担体、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、または座薬ワックスによって調製され得る。
【0182】
経口投与のための固体剤形は、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、および顆粒を包含する。かかる固体剤形において、組成物は少なくとも1つの不活性な添加剤または担体(例えば、薬学的にまたは化粧品的に許容し得る添加剤または担体)と混合される。例えば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム、ならびに/あるいは(a)充填剤または増量剤、例えば澱粉、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸、(b)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシアなどの結合剤、(c)保湿剤、例えばグリセロール、(d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯もしくはタピオカ澱粉、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム、(e)溶解遅延剤、例えばパラフィン、(f)吸収促進剤、例えば第4級アンモニウム化合物、(g)例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、(h)吸着剤、例えばカオリンおよびベントナイト粘土、ならびに(i)滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ならびにその混合物である。カプセル、錠剤、および丸薬のケースにおいては、剤形は緩衝剤を含み得る。
【0183】
類似の型の固体組成物が、ソフトおよびハードの充填ゼラチンカプセルの充填剤として使用され得、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコール、および同類などの添加剤を用いる。錠剤、糖衣剤、カプセル、丸薬、および顆粒の固体剤形は、腸溶コーティングおよび薬理学の分野において周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルによって調製され得る。それらは任意に乳白剤を含み得、これは、活性成分(単数または複数)を、腸管のある種の部分においてのみまたは優先的に、任意に遅延した様式で放出し得る。用いられ得る封入組成物の例はポリマー物質およびワックスを包含する。類似の型の固体組成物が、ソフトおよびハードの充填ゼラチンカプセルの充填剤として使用され得、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレン(polethylene)グリコールおよび同類などの添加剤を用いる。
【0184】
組成物は、上で言及されている1つ以上の添加剤とのマイクロカプセル化された形態であり得る。錠剤、糖衣剤、カプセル、丸薬、および顆粒の固体剤形は、腸溶コーティング、放出コントロールコーティング、および製剤分野において周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルによって調製され得る。かかる固体剤形において、組成物は、スクロース、ラクトース、または澱粉などの少なくとも1つの不活性な希釈剤と混ぜ合わせられ得る。かかる剤形は、不活性な希釈剤以外の追加の物質、例えば錠剤化滑剤および他の錠剤化助剤、例えば(such a)ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶セルロースを含み得、これは通常の慣行である。カプセル、錠剤、および丸薬のケースにおいては、剤形は緩衝剤を含み得る。それらは任意に乳白剤を含み得、活性成分(単数または複数)を、腸管のある種の部分においてのみまたは優先的に、任意に遅延した様式で放出する組成であり得る。
【0185】
組成物の外用および/または経皮投与のための剤形は、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤、および/またはパッチを包含し得る。一般的に、組成物は、要求され得る担体もしくは添加剤ならびに/またはいずれかの必要とされる保存料および/もしくは緩衝剤と無菌条件下で混ぜ合わせられる。加えて、経皮パッチの使用が企図され、これは、多くの場合に、体への活性成分のコントロールされた送達を提供するという追加の利点を有する。かかる剤形は、例えば妥当な媒体中に組成物を分散することによって調製され得る。代替的にはまたは加えて、速度は、速度コントロール膜を提供することによっておよび/または組成物をポリマーマトリックスおよび/またはゲル中に分散することによってどちらかでコントロールされ得る。
【0186】
本明細書に記載される皮内組成物を送達することへの使用に好適なデバイスは、米国特許4,886,499、5,190,521、5,328,483、5,527,288、4,270,537、5,015,235、5,141,496、および5,417,662に記載されているものなどの短針デバイスを包含する。皮内組成物は、皮膚への針の有効貫入長を限定するデバイス、例えばPCT公開WO99/34850に記載されているものおよびその機能上の均等物によって投与され得る。代替的にまたは加えて、従来のシリンジが皮内投与の古典的なマントゥー法で用いられ得る。液体噴射注射器によっておよび/または角質層を刺し通して真皮に達する噴射を生ずる針によって、液体ワクチンを真皮に送達する噴射注射デバイスが好適である。噴射注射デバイスは、例えば米国特許5,480,381、5,599,302、5,334,144、5,993,412、5,649,912、5,569,189、5,704,911、5,383,851、5,893,397、5,466,220、5,339,163、5,312,335、5,503,627、5,064,413、5,520,639、4,596,556、4,790,824、4,941,880、4,940,460、ならびにPCT公開WO97/37705およびWO97/13537に記載されている。圧縮気体を用いて粉末形態の剤を加速させ、皮膚の外層から真皮に通すバリスティックな粉末/粒子送達デバイスが好適である。
【0187】
外用投与にとって好適な製剤は、液体および/または半液体調製物、例えばリニメント剤、ローション、水中油および/もしくは油中水エマルション、例えばクリーム、軟膏、および/もしくはペースト、ならびに/または溶液および/もしくは懸濁液を包含するが、これに限定されない。外用投与可能な製剤は例えば約1%から約10%(w/w)の活性成分を含み得るが、活性成分の濃度は溶媒中への活性成分の可溶性限度ほども高くあり得る。外用投与のための製剤は、さらに本明細書に記載される追加の成分の1つ以上を含み得る。
【0188】
組成物は、口腔からの肺投与に好適な製剤として調製、パッケージング、および/または販売され得る。かかる製剤は、組成物を含み、かつ約0.5から約7ナノメートル、または約1から約6ナノメートルの範囲の直径を有する乾燥粒子を含み得る。かかる組成物は、便利には、プロペラントの流れが導かれて粉末を分散し得る乾燥粉末リザーバを含むデバイスを用いる、ならびに/または密封容器内の低沸点プロペラント中に溶解および/もしくは懸濁された活性成分を含むデバイスなどの自己噴射性溶媒/粉末ディスペンサー容器を用いる投与のための乾燥粉末の形態である。かかる粉末は、重量による粒子の少なくとも98%が0.5ナノメートル超の直径を有し、数による粒子の少なくとも95%が7ナノメートル未満の直径を有する粒子を含む。代替的には、重量による粒子の少なくとも95%が1ナノメートル超の直径を有し、数による粒子の少なくとも90%が6ナノメートル未満の直径を有する。乾燥粉末組成物は糖などの固体微粉末希釈剤を包含し得、便利にはユニットドーズ形態で提供される。
【0189】
低沸点プロペラントは、一般的に、大気圧において65°Fよりも下の沸点を有する液体プロペラントを包含する。一般的に、プロペラントは組成物の50から99.9%(w/w)に相当し得、活性成分は組成物の0.1から20%(w/w)に相当し得る。プロペラントは、液体非イオン性および/もしくは固体アニオン性界面活性剤ならびに/または固体希釈剤(これは、活性成分を含む粒子と同じオーダーの粒径を有し得る)などの追加の成分をさらに含み得る。
【0190】
肺送達のために製剤された組成物は、活性成分を溶液および/または懸濁液の液滴の形態で提供し得る。かかる製剤は、活性成分を含む任意に無菌の水系および/または希アルコール系溶液および/または懸濁液として調製、パッケージング、および/または販売され得、便利にはいずれかのネブライゼーションおよび/またはアトマイゼーションデバイスを用いて投与され得る。かかる製剤はさらに1つ以上の追加の成分を含み得、サッカリンナトリウムなどの香料、揮発油、緩衝剤、表面活性剤、および/またはメチルヒドロキシ安息香酸などの保存料を包含するが、これに限定されない。この投与経路によって提供される液滴は約0.1から約200ナノメートルの範囲の平均直径を有し得る。
【0191】
肺送達にとって有用であるとして本明細書に記載される製剤は、組成物の鼻腔内送達に有用である。鼻腔内投与にとって好適な別の製剤は、組成物を含み、かつ約0.2から500マイクロメートルの平均粒子を有する粗粒粉末である。かかる製剤は、鼻孔に近接して保持された粉末の容器からの鼻腔による急速な吸入によって投与される。
【0192】
経鼻投与のための製剤は例えば活性成分の約0.1%(w/w)ほども少しから100%(w/w)ほども多くを含み得、本明細書に記載される追加の成分の1つ以上を含み得る。
【0193】
組成物は、バッカル投与のための製剤として調製、パッケージング、および/または販売され得る。かかる製剤は、例えば、従来の方法を用いて作られた錠剤および/またはロゼンジの形態であり得、例えば0.1から20%(w/w)の活性成分を含有し得、残部は、経口溶解可能なおよび/または分解可能な組成物と任意に本明細書に記載される追加の成分の1つ以上とを含む。代わりに、バッカル投与のための製剤は、活性成分を含む粉末ならびに/またはエアロゾル化および/もしくはアトマイゼーションされた溶液および/または懸濁液を含み得る。かかる粉末化、エアロゾル化、および/またはエアロゾル化された製剤は、分散されたときには約0.1から約200ナノメートルの範囲の平均粒子および/または液滴サイズを有し得、さらに本明細書に記載される追加の成分の1つ以上を含み得る。
【0194】
組成物は、経眼投与のための製剤として調製、パッケージング、および/または販売され得る。かかる製剤は例えば点眼薬の形態であり得、例えば、水系または油系液体担体または添加剤中の活性成分の0.1/1.0%(w/w)溶液および/または懸濁液を包含する。かかる点薬はさらに緩衝剤、塩、および/または本明細書に記載される追加の成分の1つ以上の他のものを含み得る。有用である他の経眼投与可能な製剤は、活性成分を微結晶形態でおよび/またはリポソーム調製物中に含むものを包含する。点耳薬および/または点眼薬もまた本発明の範囲内であるとして企図される。
【0195】
本明細書において提供される組成物の記載はヒトへの投与にとって好適である組成物を主として対象とするが、かかる組成物が全ての種類の動物への投与にとって一般的に好適であるということは当業者によって理解されるであろう。組成物を種々の動物への投与にとって好適にするための、ヒトへの投与にとって好適な組成物の改変は良く理解されており、通例の動物薬理学者は通例の実験作業によってかかる改変を設計し、および/または行い得る。
【0196】
本明細書において提供される組成物は、投与の容易さおよび投与量の一貫性のために、典型的には単位剤形で製剤される。しかしながら、組成物のトータルの1日使用量が、正しい医学的判断の範囲内において担当医によって決められるであろうということは理解されるであろう。いずれかの特定の対象または生物のための具体的な治療有効用量レベルは、処置されようとする疾患、および障害の重症度、使用される具体的な活性成分の活性、使用される具体的な組成物、対象の年齢、体重、一般的な健康、性別、および食事、使用される具体的な活性成分の投与時間、投与経路、および排泄速度、処置の継続期間、使用される具体的な活性成分との組み合わせでまたは同時的に用いられる薬物、ならびに医療分野において周知の同類の因子を包含する、種々の因子に依存するであろう。
【0197】
本明細書において提供される組成物は、経腸(例えば、経口)、非経口、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、脊髄内、皮下、心室内、経皮、皮内、直腸、膣内、腹腔内、(粉末、軟膏、クリーム、および/もしくは点薬によるような)外用、粘膜、経鼻、バッカル、舌下の、気管内点滴、気管支内点滴、および/もしくは吸入によっての、ならびに/または経口スプレー、経鼻スプレー、および/もしくはエアロゾルとしてのを包含する、いずれかの経路によって投与され得る。具体的に企図される経路は、経口投与、静脈内投与(例えば、全身性の静脈内注射)、血液および/もしくはリンパ供給による局所投与、ならびに/または患部部位への直接投与である。一般的に、最も適当な投与経路は、剤の性質(例えば、胃腸管の環境におけるその安定性)および/または対象の状態(例えば、対象が経口投与を忍容することができるかどうか)を包含する、種々の因子に依存するであろう。
【0198】
有効量を達成するために要求される剤の厳密な量は、例えば対象の種、年齢、および一般的状態、副作用または障害の重症度、特定の剤のアイデンティティ、投与モード、および同類に依存して、対象から対象に変わるであろう。所望の投与量は、1日3回、1日2回、1日1回、2日毎、3日毎、毎週、2週毎、3週毎、または4週毎に送達され得る。ある態様において、所望の投与量は、複数の投与(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、またはより多くの投与)を用いて送達され得る。
【0199】
ある態様において、70kgの成人ヒトへの1日1回以上の投与のための剤の有効量は、単位剤形あたり剤の約0.0001mgから約3000mg、約0.0001mgから約2000mg、約0.0001mgから約1000mg、約0.001mgから約1000mg、約0.01mgから約1000mg、約0.1mgから約1000mg、約1mgから約1000mg、約1mgから約100mg、約10mgから約1000mg、または約100mgから約1000mgを含み得る。
【0200】
ある態様において、本明細書に記載される剤は、1日あたり約0.001mg/kgから約100mg/kg、約0.01mg/kgから約50mg/kg、好ましくは約0.1mg/kgから約40mg/kg、好ましくは約0.5mg/kgから約30mg/kg、約0.01mg/kgから約10mg/kg、約0.1mg/kgから約10mg/kg、より好ましくは約1mg/kgから約25mg/kg(対象の体重)を1日1回以上送達して所望の治療および/または予防効果を得るために十分な投与量レベルにあり得る。
【0201】
本明細書に記載される用量範囲が、提供される組成物の成人への投与のためのガイダンスを提供しているということは理解されるであろう。例えば幼児または少年に投与されるべき量は、医療従事者または当業者によって決定され得、成人に投与されるものと同じかまたはより低くあり得る。
【0202】
本明細書に記載される組成物はさらに親水性ポリマーを包含し得る(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))。本明細書に記載される組成物は、さらに脂質を包含し得る(例えば、ステロイド、置換もしくは無置換コレステロール、またはポリエチレングリコール(PEG)含有材料)。ある態様において、組成物中に包含される脂質は、トリグリセリド、ジグリセリド、PEG化脂質、リン脂質(例えば、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC))、ステロイド、置換もしくは無置換コレステロール、アポリポ蛋白質、またはその組み合わせである。ある態様において、組成物は、次のコンポーネントからなる群から選択される2つのコンポーネントを包含する:親水性ポリマー、トリグリセリド、ジグリセリド、PEG化脂質、リン脂質、ステロイド、置換または無置換コレステロール、およびアポリポ蛋白質。ある態様において、組成物は、次のコンポーネントからなる群から選択される3つのコンポーネントを包含する:親水性ポリマー、トリグリセリド、ジグリセリド、PEG化脂質、リン脂質、ステロイド、置換または無置換コレステロール、およびアポリポ蛋白質。ある態様において、組成物は、次のコンポーネントからなる群から選択される少なくとも4つのコンポーネントを包含する:親水性ポリマー、トリグリセリド、ジグリセリド、PEG化脂質、リン脂質、ステロイド、置換または無置換コレステロール、およびアポリポ蛋白質。ある態様において、組成物は、親水性ポリマー、リン脂質、ステロイド、および置換または無置換コレステロールを包含する。ある態様において、組成物は、PEG、DSPC、および置換または無置換コレステロールを包含する。
【0203】
組成物は、式(I)の化合物および本明細書に記載される剤に加えてコレステロール、脂質(例えば、PEG化脂質、リン脂質、コレステロール脂質)、およびアポリポ蛋白質を包含し得る。
【0204】
例示的なリン脂質は、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(DOPE−mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル−ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、16−O−モノメチルPE、16−O−ジメチルPE、および18−1−トランスPE、1−ステアロイル−2−オレオイル−ホスファチジル(phosphatidy)エタノールアミン(SOPE)を包含するが、これに限定されない。
【0205】
例示的なコレステロール脂質はPEG化コレステロール、およびDC−Chol(N,N−ジメチル−N−エチルカルボキサミドコレステロール)を包含するが、これに限定されない。
【0206】
例示的なPEG化脂質は、PEG化コレステロール、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール) −2000](C14-PEG 2000、Avanti)、N−オクタノイル−スフィンゴシン−1−[スクシニル(メトキシポリエチレングリコール)−2000]、およびジミリストイルグリセロール(DMG)−PEG−2Kを包含するが、これに限定されない。いくつかの態様において、1つ以上のPEG化脂質は、C〜C20の長さのアルキル鎖(単数または複数)を有する脂質に共有結合的に取り付けられた、長さ5kDaまでのポリ(エチレン)グリコール鎖を含む。
【0207】
ある態様において、組成物は、次のコンポーネントからなる群から選択される2つ以上のコンポーネントを包含する:PEG化脂質、リン脂質、コレステロール、コレステロール脂質、およびアポリポ蛋白質。ある態様において、組成物はリン脂質、コレステロール、およびPEG化脂質を包含する。ある態様において、組成物は1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、コレステロール、およびC14-PEG-2000を包含する。
本明細書に記載される組成物は、他の応用、例えば非医療応用に有用であり得る。本明細書に記載されるニュートラシューティカル組成物は、その必要がある対象へのニュートラシューティカル、例えばダイエタリーサプリメントの有効量の送達に有用であり得る。本明細書に記載される化粧品組成物は、クリーム、軟膏、バルム剤、ペースト、薄膜、または液体などとして製剤され得、メイクアップ製品、ヘア製品、および個人衛生などにとって有用な材料の応用に有用であり得る。本明細書に記載される組成物は、例えば食品コンポーネントとして、消火することのために、表面を消毒することのために、油の浄化のために、および/またはバルク材料として有用な、例えばエマルション、乳化剤、またはコーティングなどの他の非医療応用にとって有用であり得る。
【0208】

本明細書に記載される系(例えば、医薬組成物)によって送達される剤は、(例えば、治療または予防)、診断、化粧品、またはニュートラシューティカル剤であり得る。対象に投与されるべきいずれかの化学化合物は、本明細書に記載される複合体、ピコ粒子、ナノ粒子、マイクロ粒子、ミセル、またはリポソームを用いて送達され得る。剤は、有機分子、無機分子、核酸、蛋白質、ペプチド、ポリヌクレオチド、標的化剤、同位体標識された化学化合物、ワクチン、免疫剤、またはバイオプロセス(例えば蛋白質の細胞内製造、例えば、商業的に有用なケミカルもしくは燃料の細胞のバイオプロセス)に有用な剤であり得る。例えば、剤の細胞内送達は、細胞の健康および/または成長を維持することによってバイオプロセスに、例えば、蛋白質を製造することに有用であり得る。対象に投与されるかまたは細胞と接触させられるべきいずれかの化学化合物は、組成物を用いて対象または細胞に送達され得る。
【0209】
本明細書に記載される組成物中に包含され得る例示的な剤は、低分子、有機金属化合物、ポリヌクレオチド、蛋白質、ペプチド、炭水化物、単糖、オリゴ糖、多糖、核蛋白質、ムコ蛋白質、リポ蛋白質、蛋白質にリンクした低分子、糖蛋白質、ステロイド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ヌクレオシド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、脂質、ホルモン、ビタミン、細胞、金属、標的化剤、同位体標識された化学化合物、薬物(例えば、連邦規則集に規定されるように、米国食品医薬品局によってヒトまたは動物使用について認可された化合物)、ワクチン、免疫剤、バイオプロセスに有用な剤、およびその混合物を包含するが、これに限定されない。標的化剤は本明細書により詳細に記載されている。ある態様において、剤はニュートラシューティカル剤である。ある態様において、剤は薬剤(例えば、治療または予防剤)である。ある態様において、剤は抗生物質剤(例えば、抗細菌、抗ウイルス、または抗真菌剤)、麻酔薬、ステロイド剤、抗増殖性剤、抗炎症剤、抗血管新生剤、抗新生物剤、抗癌剤、抗糖尿病剤、抗原、ワクチン、抗体、鬱血除去薬、降圧薬、鎮静剤、避妊薬、妊娠促進剤、抗コリン薬、鎮痛剤、免疫抑制剤、抗うつ薬、抗精神病薬、βアドレナリン遮断剤、利尿薬、心血管活性薬、血管作動薬、非ステロイド剤、栄養剤、抗アレルギー薬、または鎮痛剤である。ワクチンは、単離された蛋白質またはペプチド、不活化した生物およびウイルス、死んだ生物およびウイルス、遺伝子改変された生物またはウイルス、ならびに細胞抽出物を含み得る。治療および予防剤は、インターロイキン、インターフェロン、サイトカイン、ならびにアジュバント、例えばコレラ毒素、アラム、およびフロイントアジュバントなどと組み合わせられ得る。
【0210】
ある態様において、本明細書に記載される組成物中の送達されるべきまたは用いられるべき剤はポリヌクレオチドである。ある態様において、剤はプラスミドDNA(pDNA)である。ある態様において、剤は、一本鎖DNA(ssDNA)、二本鎖DNA(dsDNA)、ゲノムDNA(gDNA)、相補的DNA(cDNA)、アンチセンスDNA、葉緑体DNA(ctDNAもしくはcpDNA)、マイクロサテライトDNA、ミトコンドリアDNA(mtDNAもしくはmDNA)、キネトプラストDNA(kDNA)、プロウイルス、溶原菌、繰り返しDNA、サテライトDNA、またはウイルスDNAである。ある態様において、剤はRNAである。ある態様において、剤は低分子干渉RNA(siRNA)である。ある態様において、剤はメッセンジャーRNA(mRNA)である。ある態様において、剤は、一本鎖RNA(ssRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、前駆体メッセンジャーRNA(プレmRNA)、低分子ヘアピンRNAもしくは短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ガイドRNA(gRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、アンチセンスRNA(asRNA)、ヘテロ核RNA(hnRNA)、コードRNA、非コードRNA(ncRNA)、長鎖非コードRNA(長鎖ncRNAもしくはIncRNA)、サテライトRNA、ウイルスサテライトRNA、シグナル認識粒子RNA、細胞質低分子RNA、核内低分子RNA(snRNA)、リボソームRNA(rRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)、ポリイノシン酸、リボザイム、フレキシザイム、核小体低分子RNA(snoRNA)、スプライスリーダーRNA、ウイルスRNA、またはウイルスサテライトRNAである。ある態様において、剤はRNA干渉(RNAi)を実行するRNAである。RNAiの現象は例えば次の参照により詳細に論じられている:Elbashir et al., 2001, Genes Dev., 15: 188、Fire et al., 1998, Nature, 391:806、Tabara et al., 1999, Cell, 99: 123、Hammond et al., Nature, 2000, 404:293、Zamore et al., 2000, Cell, 101:25、Chakraborty, 2007, Curr. Drug Targets, 8:469、およびMorris and Rossi, 2006, Gene Ther., 13:553。ある態様において、対象、組織、または細胞内へのRNAの送達によって、RNAは対象、組織、または細胞内の特異的な遺伝子の発現に干渉することができる。ある態様において、剤はpDNA、siRNA、mRNA、またはその組み合わせである。
【0211】
ある態様において、ポリヌクレオチドはアンチセンス剤またはRNAiとして提供され得る。例えば、Fire et al., Nature 391:806-811, 1998参照。アンチセンス治療は、例えば、例えば転写および/または翻訳を阻害することによってコードされる蛋白質の発現を阻害するように、細胞内mRNAおよび/もしくはゲノムDNAまたはその変異体と特異的にハイブリダイゼーションする(例えば細胞内条件下において結合する)一本もしくは二本鎖ポリヌクレオチドまたはその誘導体の投与またはインサイチュの提供を包含することが意味される。例えば、Crooke, "Molecular mechanisms of action of antisense drugs," Biochim. Biophys. Acta 1489(1):31-44, 1999、Crooke, "Evaluating the mechanism of action of anti-proliferative antisense drugs," Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 10(2): 123-126, discussion 127, 2000、Methods in Enzymology volumes 313-314, 1999参照。結合は、従来の塩基対相補性によって、または、例えばDNA二重鎖への結合のケースにおいては二重らせんの主溝における特異的相互作用(すなわち、三重らせん形成)によってであり得る。例えば、Chan et al., J. Mol. Med. 75(4): 267-282, 1997参照。
【0212】
いくつかの態様において、pDNA、siRNA、dsRNA、shRNA、miRNA、mRNA、tRNA、asRNA、および/またはRNAiは、多数の入手可能なアルゴリズムの1つ以上を用いて設計および/または予測され得る。ほんの少数の例を与えると、次のリソースはポリヌクレオチドを設計および/または予測するために利用され得る:Alnylum Online、Dharmacon Online、OligoEngine Online、Molecula Online、Ambion Online、BioPredsi Online、RNAi Web Online、Chang Bioscience Online、Invitrogen Online、LentiWeb Online GenScript Online、Protocol Online、Reynolds et al., 2004, Nat. Biotechnol., 22:326、Naito et al., 2006, Nucleic Acids Res., 34:W448、Li et al., 2007, RNA, 13: 1765、Yiu et al., 2005, Bioinformatics, 21: 144、およびJia et al., 2006, BMC Bioinformatics, 7: 271に見いだされるアルゴリズム。
【0213】
組成物中に包含されるポリヌクレオチドはいずれかのサイズまたは配列であり得、それらは一本または二本鎖であり得る。ある態様において、ポリヌクレオチドは少なくとも約30、少なくとも約100、少なくとも約300、少なくとも約1,000、少なくとも約3,000、または少なくとも約10,000塩基対を包含する。ある態様において、ポリヌクレオチドは、約10,000未満、約3,000未満、約1,000未満、約300未満、約100未満、または約30塩基対未満を包含する。上の範囲の組み合わせ(例えば、少なくとも約100かつ約1,000未満)もまた本発明の範囲内である。ポリヌクレオチドは当分野において公知のいずれかの手段によって提供され得る。ある態様において、ポリヌクレオチドは組み換え技術を用いて操作される。例えば、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Sons, Inc., New York, 1999)、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., ed. by Sambrook, Fritsch, and Maniatis (Cold Spring Harbor Laboratory Press: 1989)参照。ポリヌクレオチドは天然のソースからもまた得られ、天然に通常見出される混入コンポーネントから精製され得る。ポリヌクレオチドは実験室において化学合成もまたされ得る。ある態様において、ポリヌクレオチドは標準的な固相化学を用いて合成される。ポリヌクレオチドは単離および/または精製され得る。ある態様において、ポリヌクレオチドは実質的に不純物を不含である。ある態様において、ポリヌクレオチドは不純物を少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%不含である。
【0214】
ポリヌクレオチドは物理的、化学的、および/または生物学的手段によって修飾され得る。修飾は、メチル化、リン酸化、およびエンドキャッピングなどを包含する。ある態様において、修飾はポリヌクレオチドの増大した安定性につながる。
【0215】
ポリヌクレオチドが組成物中に使用されるところでは必ず、ポリヌクレオチドの誘導体もまた用いられ得る。それらの誘導体は、ポリヌクレオチドの塩基部分、糖部分、および/またはリン酸部分におけるポリヌクレオチドの修飾からもたらされる生成物を包含する。修飾塩基部分は、2−アミノアデノシン、2−チオチミジン、イノシン、ピロロ−ピリミジン、3−メチルアデノシン、5−メチルシチジン、C5−ブロモウリジン、C5−フルオロウリジン、C5−ヨードウリジン、C5−プロピニル−ウリジン、C5−プロピニル−シチジン、C5−メチルシチジン、7−デアザアデノシン、7−デアザグアノシン、8−オキソアデノシン、8−オキソグアノシン、O(6)−メチルグアニン、および2−チオシチジンを包含するが、これに限定されない。修飾糖部分は、2’−フルオロリボース、リボース、2’−デオキシリボース、3’−アジド−2’,3’−ジデオキシリボース、2’,3’−ジデオキリボース、アラビノース(リボースの2’−エピマー)、非環状糖、およびヘキソースを包含するが、これに限定されない。ヌクレオシド同士は、天然に存在するDNAおよびRNAに見出されるホスホジエステル結合以外の結合によって一緒にストリングになり得る。修飾された結合は、ホスホロチオエートおよび5’−N−ホスホロアミダイト結合を包含するが、これに限定されない。種々の修飾の組み合わせが単一のポリヌクレオチド中に用いられ得る。それらの修飾ポリヌクレオチドは当分野において公知のいずれかの手段によって提供され得る。しかしながら、当業者によって理解されるであろう通り、修飾ポリヌクレオチドはインビトロで合成化学を用いて調製され得る。
【0216】
本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、環状プラスミド、直鎖化されたプラスミド、コスミド、ウイルスゲノム、改変ウイルスゲノム、および人工染色体などのいずれかの形態であり得る。
【0217】
本明細書に記載されるポリヌクレオチドはいずれかの配列であり得る。ある態様において、ポリヌクレオチドは蛋白質またはペプチドをコードする。コードされる蛋白質は、酵素、構造蛋白質、受容体、可溶性の受容体、イオンチャンネル、活性な(例えば、薬学的に活性な)蛋白質、サイトカイン、インターロイキン、抗体、抗体断片、抗原、凝固因子、アルブミン、成長因子、ホルモン、およびインスリンなどであり得る。ポリヌクレオチドは遺伝子の発現をコントロールするための制御領域をもまた含み得る。それらの制御領域はプロモーター、エンハンサーエレメント、リプレッサーエレメント、TATAボックス、リボソーム結合部位、および転写の停止部位などを包含し得るが、これに限定されない。ある態様において、ポリヌクレオチドは蛋白質をコードすることを意図されない。例えば、ポリヌクレオチドはトランスフェクションされようとする細胞のゲノム中のエラーを直すために用いられ得る。
【0218】
ある態様において、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、抗原ペプチドまたは蛋白質をコードする配列を含む。ポリヌクレオチドを含有する組成物は、対象に送達されて、爾後の感染の機会を減少させ、および/またはかかる感染に関連した症状を縮小させるために十分な免疫学的応答を誘導し得る。これらのワクチンのポリヌクレオチドはインターロイキン、インターフェロン、サイトカイン、および/または本明細書に記載されるアジュバントと組み合わせられ得る。
【0219】
ポリヌクレオチドによってコードされる抗原蛋白質またはペプチドは、細菌生物、例えばStreptococccus pneumoniae、Haemophilus influenzae、Staphylococcus aureus、Streptococcus pyrogenes、Corynebacterium diphtheriae、Listeria monocytogenes、Bacillus anthracis、Clostridium tetani、Clostridium botulinum、Clostridium perfringens、Neisseria meningitidis、Neisseria gonorrhoeae、Streptococcus mutans、Pseudomonas aeruginosa、Salmonella typhi、Haemophilus parainfluenzae、Bordetella pertussis、Francisella tularensis、Yersinia pestis、Vibrio cholerae、Legionella pneumophila、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium leprae、Treponema pallidum、Leptospirosis interrogans、Borrelia burgdorferi、およびCamphylobacter jejuniに、ウイルス、例えば天然痘ウイルス、インフルエンザAウイルス、インフルエンザBウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、HIVウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペス1型ウイルス、単純ヘルペス2型ウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ロタウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス、ポリオウイルス、ムンプスウイルス、狂犬病ウイルス、風疹ウイルス、コクサッキーウイルス、馬脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、黄熱ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、およびE型肝炎ウイルスに、ならびに真菌、原生動物、または寄生生物、例えばCryptococcus neoformans、Histoplasma capsulatum、Candida albicans、Candida tropicalis、Nocardia asteroides、Rickettsia ricketsii、Rickettsia typhi、Mycoplasma pneumoniae、Chlamydial psittaci、Chlamydial trachomatis、Plasmodium falciparum、Trypanosoma brucei、Entamoeba histolytica、Toxoplasma gondii、Trichomonas vaginalis、およびSchistosoma mansoniに由来し得る。
【0220】
ある態様において、剤はエリスロポエチン(EPO)、例えば組み換えヒトエリスロポエチン(rhEPO)である。エリスロポエチンは赤血球産生に必須のホルモンであり、血液学的疾患、例えば貧血、例えば慢性腎臓病からもたらされる貧血、癌の患者における化学療法によって誘導される貧血、炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎)、ならびに癌の処置(化学療法および放射線)からの骨髄異形成を処置することに用いられ得る。使用のための入手可能な組み換えヒトエリスロポエチンはEPOGEN/PROCRIT(エポエチンアルファ、rINN)およびARANESP(ダルベポエチンアルファ、rINN)を包含する。
【0221】
本明細書に記載される剤は、本明細書に記載される化合物に非共有結合的に(例えば、複合体化もしくは封入されて)取り付けられるか、または本明細書に記載される組成物中に包含され得る。ある態様においては、細胞内への剤の送達によって、剤は細胞内の特異的な遺伝子の発現に干渉することができる。
【0222】
ある態様において、その必要がある対象に送達される組成物中の剤は、例えば併用治療として有用であり得る2つ以上の剤の混合物であり得る。2つ以上の剤を包含する組成物は、相乗効果を達成するように投与され得る。ある態様において、2つ以上の剤を包含する組成物は、2つ以上の剤のそれぞれのものの活性および/もしくはバイオアベイラビリティを改善、代謝を低減および/もしくは改変、排泄を阻害、ならびに/または対象の体内における分布を改変するように投与され得る。使用される治療が同じ障害について所望の効果を達成し得、および/またはそれが異なる効果を達成し得るということもまた理解されるであろう。
【0223】
組成物(例えば、医薬組成物)は、1つ以上の剤(例えば、薬剤)と同時に、それに先行して、またはその爾後に投与され得る。2つ以上の剤は、本明細書に記載される同じ疾患または異なる疾患を処置および/または防止することにとって有用であり得る。剤のそれぞれの1つは、その剤について決定された用量でおよび/またはタイムスケジュールで投与され得る。剤同士は、シングルドーズによって互いとおよび/もしくは本明細書に記載される組成物と一緒に投与されるか、または異なるドーズによって別個にもまた投与され得る。レジメンに使用するべき特定の組み合わせは、剤同士の適合性ならびに/または達成されるべき所望の治療および/もしくは予防効果を考慮に入れるであろう。一般的に、組み合わせで利用される剤は、それらが単体で利用されるレベルを超えないレベルで利用されるということが予想される。いくつかの態様において、組み合わせで利用されるレベルは単体で利用されるものよりも低いであろう。
【0224】
標的化剤
多くの場合には、特定の細胞、細胞の集まり、または組織を標的化することが望ましいので、式(I)の化合物、ならびにその複合体、リポソーム、ミセル、および粒子(例えば、マイクロ粒子およびナノ粒子)は標的化部分を包含するために修飾され得る。例えば、式(I)の化合物は標的化部分を包含し得る。特定の細胞を標的化する種々の剤または領域が当分野において公知である。例えば、Cotten et al., Methods Enzym. 217:618, 1993参照。標的化剤は式(I)の化合物の粒子内に満遍なく包含され得るか、または粒子の表面上のみにあり得る。標的化剤は蛋白質、ペプチド、炭水化物、糖蛋白質、脂質、低分子、またはポリヌクレオチドなどであり得る。標的化剤は特異的な細胞もしくは組織を標的化するために用いられ得るか、または粒子のエンドサイトーシスもしくは貪食を促進するために用いられ得る。標的化剤の例は、抗体、抗体の断片、蛋白質、ペプチド、炭水化物、受容体リガンド、シアル酸、およびアプタマーなどを包含するが、これに限定されない。標的化剤が粒子内に満遍なく包含される場合には、標的化剤は、粒子を形成するために用いられる混合物中に包含され得る。標的化剤が粒子の表面上のみである場合には、標的化剤は、標準的な化学技術を用いて、形成された粒子と(例えば、共有結合的または非共有結合的(例えば、静電的、疎水性、水素結合、ファンデルワールス、π−πスタッキング)相互作用によって)結びつけられ得る。
【0225】
剤と式(I)の化合物との複合体
式(I)の化合物は、その必要がある対象への1つ以上の剤(例えば、ポリヌクレオチド(例えば、DNA(例えば、pDNA)もしくはRNA(例えば、siRNA、mRNA)、DNAおよび/もしくはRNAの合成アナログ、ならびにDNA/RNAハイブリッドなど))の送達に有用であるということが企図される。いずれかの特定の理論によって拘束されることを望むものではないが、式(I)の化合物は、その必要がある対象に剤を送達することにとって好適な化合物と剤とを含む組成物を作る、いくつかの望ましい特性を有する。望ましい特性は、1)化合物がさもなければ不安定である剤と複合体化し、それを「保護する」能力、2)化合物が対象の細胞のエンドソーム内のpHを緩衝する能力、3)化合物が「プロトンスポンジ」として働き、エンドソーム崩壊を引き起こす能力、および4)化合物が剤の負電荷を実質的に中和する能力を包含する。
【0226】
式(I)の化合物と剤とは、本明細書に記載される組成物中において複合体を形成し得る。例えば、式(I)の化合物は第2級および第3級アミノ部分を含み、それらは、(ポリヌクレオチドなどの)剤を包含する本発明の組成物がその必要がある対象に(例えば、対象の細胞内に)剤を送達する能力を向上させることに有用であり得る。アミノ部分は、立体障害があってもまたはなくても、非共有結合的にポリヌクレオチドと相互作用し得る。ポリヌクレオチドは、複合体を形成するために好適な条件下において式(I)の化合物と接触させられ得る。ある態様において、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載される1つ以上の非共有結合的相互作用によって式(I)の化合物に結合して複合体を形成する。ある態様において、ポリヌクレオチドは静電的相互作用によって式(I)の化合物に結合して複合体を形成する。いずれかの特定の理論によって拘束されることを望むものではないが、式(I)の化合物またはその組成物がその必要がある対象に送達されるときに(例えば、化合物またはその組成物が生理的pHにおいて対象に送達されるときに)、式(I)の化合物の1つ以上のアミノ部分は正に荷電し得、ポリヌクレオチド(例えば、ポリヌクレオチドの一リン酸、二リン酸、および/または三リン酸部分)は負に荷電し得る。ポリヌクレオチドは、本発明の化合物の負電荷とポリヌクレオチドの正電荷との間の静電的相互作用によって式(I)の化合物に結合して複合体を形成し得る。ポリヌクレオチドの電荷(例えば、負電荷)を実質的に中和することによって、もたらされる複合体は、電荷が中和されていないポリヌクレオチドと比較して、(例えば、細胞質、リソソーム、エンドソーム、核の)細胞の疎水性膜をより容易に通り抜けることができ得る。ある態様において、複合体は実質的に中性である。ある態様において、複合体はわずかに正に荷電する。ある態様において、複合体は正のζ電位を有する。ある態様において、ζ電位は0および+30の間である。ある態様において、その必要がある対象の細胞内への剤の送達によって、剤は細胞内の特異的な遺伝子の発現に干渉することができる。
【0227】
式(I)の化合物はアミノ部分上にアルケニル部分を有する。アルケニルR部分は疎水性であり得、(ポリヌクレオチドなどの)剤を含む組成物がその必要がある対象に(例えば、対象の細胞内に)剤を送達する能力を向上させることに有用であり得る。本明細書において用いられる用語「疎水性」は、アルケニルRが脂肪、油、脂質、および/または非極性溶媒(例えば、ヘキサンまたはトルエン)中に溶解するかまたは溶解することを助ける能力を言う。例えば、疎水性のアルケニル部分は、典型的には親水性であるポリヌクレオチドと比較して、式(I)の化合物とポリヌクレオチドとの複合体がこれもまた疎水性である細胞膜をより容易に通り抜けることを助け得る。
【0228】
ポリヌクレオチドは化学的におよび/または酵素的に(例えば、ヌクレアーゼおよびヌクレオチダーゼによって)分解され得る。ポリヌクレオチドとの式(I)の化合物の相互作用は、ポリヌクレオチドの分解を少なくとも部分的に防止すると考えられる。
【0229】
式(I)の化合物は、負荷電の剤(例えば、ポリヌクレオチド)との複合体を形成するように少なくとも部分的に塩として(例えば、プロトン化されて)提供され得る。ある態様において、複合体は、対象への剤の送達に有用である粒子を形成する。ある態様においては、式(I)の1つよりも多くの化合物が剤と結びつけられ得る。例えば、複合体は、剤と結びつけられた1〜10、1〜100、1〜1,000、10〜1,000、100〜1,000、または100〜10,000個の化合物を包含し得る。
【0230】
化合物と剤とを(例えば、複合体として)包含する組成物中において、式(I)の化合物の量対剤(例えば、ポリヌクレオチド)の量の比は、剤がその必要がある対象により効率的に送達され得、および/または組成物の毒性が減少するように調整され得る。ある態様において、式(I)の化合物またはその塩対剤の比は少なくとも約1:1、少なくとも約2:1、少なくとも約5:1、少なくとも約10:1、少なくとも約20:1、少なくとも約50:1、少なくとも約100:1、少なくとも約200:1、または少なくとも約500:1mol/molである。ある態様において、式(I)の化合物またはその塩対剤の比は約500:1未満、約200:1未満、約100:1未満、約50:1未満、約20:1未満、約10:1未満、約5:1未満、約2:1未満、または約1:1mol/mol未満である。上の範囲の組み合わせ(例えば、少なくとも約10:1かつ約100:1未満)もまた本発明の範囲内である。
【0231】
化合物とポリヌクレオチドとを(例えば、複合体として)包含する組成物中の式(I)の化合物のアミノ部分の量対ポリヌクレオチドのリン酸部分の量の比(すなわち、窒素:リン酸比)もまた、ポリヌクレオチドがその必要がある対象により効率的に送達され得、および/または組成物の毒性が減少するように調整され得る。例えば、Incani et al., Soft Matter (2010) 6:2124-2138参照。ある態様において、窒素:リン酸比は少なくとも約1:1、少なくとも約2:1、少なくとも約5:1、少なくとも約10:1、少なくとも約20:1、少なくとも約50:1、少なくとも約100:1、少なくとも約200:1、または少なくとも約500:1mol/molである。ある態様において、窒素:リン酸比は約500:1未満、約200:1未満、約100:1未満、約50:1未満、約20:1未満、約10:1未満、約5:1未満、約2:1未満、または約1:1mol/mol未満である。上の範囲の組み合わせ(例えば、少なくとも約10:1かつ約100:1未満)もまた本発明の範囲内である。
【0232】
粒子
式(I)の化合物と剤とを包含する組成物は粒子の形態であり得る。ある態様において、式(I)の化合物と剤とは複合体を形成し、複合体は粒子の形態である。ある態様において、式(I)の化合物は剤を封入し、粒子の形態である。ある態様において、式(I)の化合物は剤と混合され、混合物は粒子の形態である。
【0233】
ある態様において、組成物中の式(I)の化合物と剤との複合体は粒子の形態である。ある態様において、粒子はマイクロ粒子である(すなわち、約1ミリメートル未満かつ少なくとも約1マイクロメートルという特徴寸法を有する粒子。ここで、粒子の特徴寸法は粒子の断面の最小寸法である。ある態様において、粒子はナノ粒子である(すなわち、約1マイクロメートル未満かつ少なくとも約1ナノメートルという特徴寸法を有する粒子。ここで粒子の特徴寸法は粒子の断面の最小寸法である)。ある態様において、粒子の平均直径は少なくとも約10nm、少なくとも約30nm、少なくとも約100nm、少なくとも約300nm、少なくとも約1μm、少なくとも約3μm、少なくとも約10μm、少なくとも約30μm、少なくとも約100μm、少なくとも約300μm、または少なくとも約1mmである。ある態様において、粒子の平均直径は約1mm未満、約300μm未満、約100μm未満、約30μm未満、約10μm未満、約3μm未満、約1μm未満、約300nm未満、約100nm未満、約30nm未満、または約10nm未満である。上の範囲の組み合わせ(例えば、少なくとも約100nmかつ約1μm未満)もまた本発明の範囲内である。
【0234】
本明細書に記載される粒子は、ポリマー(例えば、合成ポリマー(例えば、PEG、PLGA)および天然ポリマー(例えば、リン脂質))などの追加の材料を包含し得る。ある態様において、追加の材料はヒトおよび動物使用について米国FDAなどの規制当局によって認可されている。
【0235】
粒子は、当分野において公知のいずれかの方法、例えば沈殿、ミル処理、噴霧乾燥、シングルおよびダブルエマルション溶媒蒸発、溶媒抽出、相分離、ならびに単純および複雑なコアセルベーションを用いて調製され得る。ある態様において、粒子を調製する方法はダブルエマルションプロセスおよび噴霧乾燥である。粒子を調製することに用いられる条件は、所望のサイズまたは特性(例えば、疎水性、親水性、外側の形態学、「粘っこさ」、形状、多分散性など)の粒子をもたらすように改変され得る。粒子を調製する方法および用いられる条件(例えば、溶媒、温度、濃度、およびエアー流量など)は、複合体化、封入、もしくは混合されようとする剤、および/またはマトリックスの組成にもまた依存し得る。
【0236】
粒子中に包含される剤の送達のための粒子を作るために開発された方法は文献に記載されている。例えば、Doubrow, M., Ed., "Microcapsules and Nanoparticles in Medicine and Pharmacy," CRC Press, Boca Raton, 1992、Mathiowitz and Langer, J. Controlled Release 5: 13-22, 1987、Mathiowitz et al., Reactive Polymers 6:275-283, 1987、Mathiowitz et al., J. Appl. Polymer Sci. 35:755-774, 1988参照。
【0237】
上の方法のいずれかによって調製された粒子が所望の範囲の外のサイズ範囲を有する場合には、粒子は例えばシーブを用いてサイジングされ得る。粒子はコーティングもまたされ得る。ある態様において、粒子は標的化剤によってコーティングされる。ある態様において、粒子は表面改変剤によってコーティングされる。いくつかの態様において、粒子は望ましい表面特性(例えば、特定の電荷)を達成するためにコーティングされる。
【0238】
ある態様において、本明細書に記載される粒子(例えば、本明細書に記載される組成物中に包含される粒子)の多分散指数(PDI。動的光散乱によって決定される)は、0.01および0.9の間、0.1および0.9の間、0.1および0.7の間、0.1および0.5の間、0.01および0.4の間、0.03および0.4の間、0.1および0.4の間、0.01および0.3の間、0.03および0.3の間、または0.1および0.3の間である。
【0239】
ミセルおよびリポソーム
式(I)の化合物と剤とを包含する組成物はミセルまたはリポソームの形態であり得る。ある態様において、式(I)の化合物はミセルまたはリポソームの形態である。ある態様において、剤はミセルまたはリポソームの形態である。ある態様において、式(I)の化合物と剤とは複合体を形成し、複合体はミセルまたはリポソームの形態である。ある態様において、式(I)の化合物は剤を封入し、ミセルまたはリポソームの形態である。ある態様において、式(I)の化合物は剤と混合され、混合物はミセルまたはリポソームの形態である。ミセルおよびリポソームは疎水性の剤などの剤を送達することに特に有用である。ミセルまたはリポソームがポリヌクレオチドと複合体化される(例えば、それを封入またはカバーする)ときには、もたらされる複合体は「リポプレックス」と言われ得る。ミセルおよびリポソームを調製するための多くの技術が当分野において公知であり、いずれかのかかる方法がミセルおよびリポソームを作るために本明細書において用いられ得る。
【0240】
ある態様において、リポソームは自発的な組織化によって形成される。いくつかの態様において、リポソームは、薄い脂質薄膜または脂質塊が水和され、結晶性の脂質二重層の積層体が流動的になり膨潤するときに形成される。水和された脂質シートは撹拌の間に剥がれ、ひとりでに閉じて大きいマルチラメラベシクル(LMV)を形成する。これは、端縁部における二重層の炭化水素コアとの水の相互作用を防止する。ひとたびそれらのリポソームが形成されたら、リポソームのサイズを低減することは、音波エネルギー(ソニケーション)または機械的エネルギー(押し出し)のインプットによって改変され得る。例えば、Walde, P. "Preparation of Vesicles (Liposomes)" In Encylopedia of Nanoscience and Nanotechnology; Nalwa, H. S. Ed. American Scientific Publishers: Los Angeles, 2004; Vol. 9, pp. 43-79、Szoka et al., "Comparative Properties and Methods of Preparation of Lipis Vesicles (Liposomes)" Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 9:467-508, 1980参照。このそれぞれは参照によって本明細書に組み込まれる。リポソームの調製は、式(I)の化合物を水和のために調製すること、撹拌しながら化合物を水和すること、および、ベシクルをサイジングしてリポソームの均質な分布を達成することを包含し得る。式(I)の化合物は、第1に容器内で有機溶媒中に溶解されて均質な混合物をもたらし得る。次いで、有機溶媒が除去されて、ポリマーに由来する薄膜を形成する。このポリマーに由来する薄膜は、容器を真空ポンプにある時間置くことによって、残余の有機溶媒を除去するために徹底的に乾燥される。ポリマーに由来する薄膜の水和は、水系媒体を追加すること、および、混合物を撹拌することによって達成される。音波エネルギーを用いるLMV懸濁液の破砕は、典型的には、15〜50nmの範囲の直径を有する小さいユニラメラベシクル(SUV)を生ずる。脂質押し出しは、脂質/ポリマー懸濁液が一定のポアサイズのポリカーボネートフィルターを強制通過させられて、用いられるフィルターのポアサイズに近い直径を有する粒子をもたらす技術である。100nmポアを有するフィルターによる押し出しは、典型的には、120〜140nmの平均直径を有するポリマーに由来する大きいユニラメラベシクル(LUV)をもたらす。ある態様において、リポソーム中の式(I)の化合物の量は約30mol%から約80mol%、約40mol%から約70mol%、または約60mol%から約70mol%の範囲である。ある態様において、使用される式(I)の化合物はさらにポリヌクレオチドなどの剤を複合体化する。かかる態様において、リポソームの応用はポリヌクレオチドの送達である。
【0241】
次の科学論文は、リポソームおよびミセルを調製するための他の方法を記載している:Narang et al., "Cationic Lipids with Increased DNA Binding Affinity for Nonviral Gene Transfer in Dividing and Nondividing Cells," Bioconjugate Chem. 16: 156-68, 2005; Hofland et al., "Formation of stable cationic lipid/DNA complexes for gene transfer," Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:7305-7309, July 1996; Byk et al., "Synthesis, Activity, and Structure - Activity Relationship Studies of Novel Cationic Lipids for DNA Transfer," J. Med. Chem. 41(2): 224-235, 1998; Wu et al., "Cationic Lipid Polymerization as a Novel Approach for Constructing New DNA Delivery Agents," Bioconjugate Chem. 12:251-57, 2001; Lukyanov et al., "Micelles from lipid derivatives of water-soluble polymers as delivery systems for poorly soluble drugs," Advanced Drug Delivery Reviews 56: 1273-1289, 2004; Tranchant et al., "Physicochemical optimisation of plasmid delivery by cationic lipids," J. Gene Med. 6:S24-S35, 2004; van Balen et al., "Liposome/Water Lipophilicity: Methods, Information Content, and Pharmaceutical Applications," Medicinal Research Rev. 24(3):299-324, 2004。
【0242】
キット
本明細書においてはキット(例えば、パック)もまた企図される。提供されるキットは、本明細書に記載される組成物と容器(例えば、バイアル、アンプル、ボトル、シリンジ、および/もしくはディスペンサーパッケージ、または他の好適な容器)とを含み得る。いくつかの態様において、提供されるキットは、任意に、組成物の希釈または懸濁のための添加剤を含む第2の容器をさらに包含し得る。いくつかの態様においては、第1の容器中で提供される組成物と第2の容器中で提供される組成物とが組み合わせられて、1つの単位剤形を形成する。ある態様においては、キットはさらに組成物を投与するための説明書を包含する。キットは、米国食品医薬品局(FDA)などの規制当局によって要求される情報をもまた包含し得る。ある態様において、キット中に包含される情報は処方情報である。ある態様において、説明書を包含するキットは、本明細書に記載される疾患を処置および/または防止することを可能にする。キットは本明細書に記載される1つ以上の剤を別個の組成物として包含し得る。
【0243】
処置の方法および使用
10,000超のヒト疾患が、遺伝子または染色体の異常である遺伝子障害によって引き起こされているということが見積もられている。例えば、McClellan, J. and M.C. King, Genetic heterogeneity in human disease. Cell. 141(2): p. 210-7、Leachman, S.A. et al., J. Dermatol. Sci., 2008. 51(3): p. 151-7参照。これらの疾患の多く、例えば癌、重症高コレステロール血症、および家族性アミロイドポリニューロパチーは致命的である。例えば、Frank-Kamenetsky, M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 2008. 105(33): p. 11915-20、Coelho, T., Curr. Opin. Neurol., 1996. 9(5): p. 355-9参照。FireおよびMelloによるRNA干渉(RNAi)による遺伝子発現サイレンシングの発見以来(Fire, A. et al., Nature, 1998. 391(6669): p. 806-11)、ヒトにおけるRNAiの治療応用を開発することに向けて多大な努力があった。例えば、Davis, M.E., Mol. Pharm. 2009. 6(3): p. 659-68、Whitehead, K.A., R. Langer, and D.G. Anderson, Nat. Rev. Drug Discovery, 2009. 8(2): p. 129-138、Tan, S.J. et al., Small. 7(7): p. 841-56、Castanotto, D. and J.J. Rossi, Nature, 2009. 457(7228): p. 426-33、Chen, Y. and L. Huang, Expert Opin. Drug Deliv. 2008. 5(12): p. 1301-11、Weinstein, S. and D. Peer, Nanotechnology. 21(23): p. 232001、Fenske, D.B. and P.R. Cullis, Expert Opin. Drug Deliv. 2008. 5(1): p. 25-44、およびThiel, K.W. and P.H. Giangrande, Oligonucleotides, 2009. 19(3): p. 209-22参照。現行では、siRNA治療薬を包含する20よりも多くの進行中のまたは完了した治験があり、種々の疾患の処置について有望な結果を示している。例えば、Burnett, J.C., J.J. Rossi, and K. Tiemann, Biotechnol. J. 6(9): p. 1130-46参照。しかしながら、siRNAの効率的で安全な送達は尚siRNA治療薬の開発における主要な難題である。例えば、Juliano, R. et al., Mol. Pharm. 2009. 6(3): p. 686-95参照。
【0244】
1つの側面においては、その必要がある対象に、または組織もしくは細胞に剤を送達する方法が提供される。ある態様においては、対象への標的組織に剤を送達する方法が提供される。ある態様においては、非標的組織と比較して標的組織に剤を選択的に送達する方法が本明細書に記載される。ある態様においては、非標的細胞と比較して標的細胞に剤を選択的に送達する方法が本明細書に記載される。
【0245】
ある態様においては、剤を対象の肝臓に送達する方法が提供される。ある態様においては、剤を対象の脾臓に送達する方法が提供される。ある態様においては、剤を対象の肝臓、肺、および/または脾臓に選択的に送達する方法が提供される。ある態様においては、ポリヌクレオチドを対象または細胞に送達する方法が提供される。ある態様においては、DNAを対象または細胞に送達する方法が提供される。ある態様においては、pDNAを対象または細胞に送達する方法が提供される。ある態様においては、RNAを対象または細胞に送達する方法が提供される。ある態様においては、siRNAを対象または細胞に送達する方法が提供される。ある態様においては、mRNAを対象または細胞に送達する方法が提供される。ある態様において、剤は対象の細胞内に送達される。
【0246】
別の側面は、対象、組織、または細胞への剤の送達を増大させる方法に関する。ある態様において、対象、組織、または細胞への剤の送達は本明細書に記載される方法によって増大する。ある態様において、本明細書に記載される方法による対象、組織、または細胞への剤の送達は、本明細書に記載される式(I)の化合物を包含しないコントロール方法による対象、組織、または細胞への剤の送達と比較して増大する。
【0247】
別の側面においては、疾患、例えば遺伝子疾患、増殖性疾患、血液学的疾患、神経学的疾患、肝臓疾患、脾臓疾患、肺疾患、疼痛状態、精神医学的障害、筋骨格系疾患、代謝障害、炎症性疾患、または自己免疫疾患を処置および/または防止する方法が提供される。ある態様において、本発明の方法によって処置および/または防止される疾患は遺伝子疾患である。ある態様において、処置および/または防止される疾患は癌である。ある態様において、処置および/または防止される疾患は良性新生物である。ある態様において、本発明の方法によって処置および/または防止される疾患は病的血管新生である。ある態様において、本発明の方法によって処置および/または防止される疾患は炎症性疾患である。ある態様において、本発明の方法によって処置および/または防止される疾患は自己免疫疾患である。ある態様において、本発明の方法によって処置および/または防止される疾患は血液学的疾患、例えば貧血である。ある態様において、本発明の方法によって処置および/または防止される疾患は神経学的疾患である。ある態様において、本発明の方法によって処置および/または防止される疾患は肝臓疾患である。ある態様において、本発明の方法によって処置および/または防止される疾患は脾臓疾患である。ある態様において、本発明の方法によって処置および/または防止される疾患は疼痛状態である。ある態様において、本発明の方法によって処置および/または防止される疾患は肝癌である。ある態様において、本発明の方法によって処置および/または防止される疾患は高コレステロール血症である。ある態様において、本発明の方法によって処置および/または防止される疾患は不応性貧血である。ある態様において、本発明の方法によって処置および/または防止される疾患は家族性アミロイドニューロパチーである。ある態様において、本発明の方法によって処置および/または防止される疾患は血友病(例えば、血友病AまたはB)である。
【0248】
ある態様において、疾患は疼痛状態であり、ある態様において、組成物はさらに鎮痛剤を包含する。ある態様において、疼痛状態は炎症性疼痛である。ある態様において、疼痛状態(例えば、炎症性疼痛)は炎症性障害および/または自己免疫障害と関連している。
【0249】
別の側面は、対象を遺伝子操作する方法に関する。ある態様において、対象は、対象の成長を増大させるために遺伝子操作される。ある態様において、対象は、病原体生物および/または微生物(例えば、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、および寄生虫)に対する対象の抵抗性を増大させるために遺伝子操作される。ある態様において、対象は、対象が好ましくない条件(例えば、好ましくない天候条件、例えば日照り、貧土壌、および/または極度に寒いかもしくは極度に高い温度)下において成長する能力を増大させるために遺伝子操作される。
【0250】
ある態様において、本明細書に記載される方法は、本明細書に記載される化合物または組成物を対象に投与することを含む。ある態様において、本明細書に記載される方法は、本明細書に記載される化合物または組成物と細胞を接触させることを含む。ある態様において、本明細書に記載される方法は、本明細書に記載される化合物または組成物と組織を接触させることを包含する。
【0251】
ある態様において、本明細書に記載される対象はヒトである。ある態様において、対象は動物である。動物はどちらかの性であり得、発生のいずれかのステージにあり得る。ある態様において、対象は魚類である。ある態様において、対象は哺乳動物である。ある態様において、対象はイヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヤギなどの飼育動物である。ある態様において、対象はイヌまたはネコなどのコンパニオンアニマルである。ある態様において、対象はウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヤギなどの家畜動物である。ある態様において、対象は展示動物である。別の態様において、対象は齧歯類(例えば、マウス、ラット)、イヌ、ブタ、または非ヒト霊長類などの研究動物である。ある態様において、動物は遺伝子操作された動物である。ある態様において、動物はトランスジェニック動物である。ある態様において、対象は本明細書に記載される疾患を有するヒトである。ある態様において、対象は本明細書に記載される疾患を有することが疑われるヒトである。ある態様において、対象は本明細書に記載される疾患を発生するリスクがあるヒトである。ある態様において、対象は植物である。
【0252】
ある態様において、本明細書に記載される細胞はインビボである。ある態様において、細胞はインビトロである。ある態様において、細胞はエクスビトロである。
【0253】
ある態様において、本明細書に記載される方法はインビボの方法である。ある態様において、本明細書に記載される方法はインビトロの方法である。ある態様において、本明細書に記載される方法はエクスビトロの方法である。
【0254】
別の側面は、化合物のライブラリーをスクリーニングして、本明細書に記載される方法に有用である1つ以上の化合物を同定する方法に関する。ある態様において、化合物のライブラリーをスクリーニングする方法は、所望のまたは望まれない特性を有する1つ以上の化合物を同定することに有用である。ある態様において、所望の特性は、水への可溶性、異なるpHにおける可溶性、ポリヌクレオチドに結合する能力、ヘパリンに結合する能力、低分子に結合する能力、蛋白質に結合する能力、マイクロ粒子を形成する能力、トランスフェクション効率を増大させる能力、細胞成長を支持する能力、細胞付着を支持する能力、組織成長を支持する能力、ならびに/あるいは本明細書に記載される剤および/またはそれと複合体化されたかもしくはそれに取り付けられた剤の細胞内送達であって、バイオプロセスの助けとなる。ある態様において、望まれない特性(prosperity)は、所望の特性(prosperity)の欠如である。ある態様において、同定される1つ以上の化合物は、本明細書に記載される疾患を処置および/または防止することにとって有用である。ある態様において、化合物のライブラリーは式(I)の化合物のライブラリーである。ある態様において、ライブラリーをスクリーニングする方法は、式(I)の少なくとも2つの異なる化合物化合物を提供すること、および、式(I)の異なる化合物を用いて少なくとも1つのアッセイを行って、本明細書に記載される方法に有用である1つ以上の化合物を同定することを包含する。
【0255】
典型的には、化合物のライブラリーをスクリーニングする方法は、少なくとも1つのアッセイを包含する。ある態様において、アッセイは、本明細書に記載される疾患の処置および/または防止に関連した1つ以上の特徴を検出するために行われる。特徴は、所望の(例えば、処置および/もしくは防止されている疾患)または望まれない(例えば、処置もしくは防止されていない疾患)特徴であり得る。アッセイは、イムノアッセイ、例えばサンドイッチ型アッセイ、競合結合アッセイ、直接的な1ステップ試験、2ステップ試験、またはブロットアッセイであり得る。少なくとも1つのアッセイを行うステップは、ロボット的にまたはマニュアル的に行われ得る。
【0256】
調製の方法
さらに、式(I)の化合物およびその前駆体を調製する方法が提供される。
【0257】
1つの側面においては、式(I)の化合物を調製する方法が提供され、方法は、化合物
【化20】

またはその塩を、式
【化21】

のエポキシドと反応させて、式(I)の化合物
【化22】

またはその塩を提供することを含む。
【0258】
ある態様において、反応のステップは塩基、例えばNEtなどの有機塩基の使用を含む。ある態様において、反応のステップは、化合物とのエポキシドのカップリングを成就するための照射の使用を含む。
【0259】
別の側面においては、式
【化23】

のエポキシドを調製する方法が提供され、方法は、
(i)式
【化24】

のカルボン酸を式
【化25】

のアルデヒドに還元すること、
(ii)アルデヒドをアルファ塩素化条件下において処置して、式
【化26】

の塩素化アルデヒドを提供すること、
(iii)塩素化アルデヒドを還元して、式
【化27】

のアルコールを提供すること、および、
(iv)アルコールを好適な条件下において処置して、式
【化28】

のエポキシドを提供すること
を含む。
【0260】
ある態様において、カルボン酸の還元のステップは、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)などのヒドリド還元剤の使用を含む。ある態様において、アルデヒドをアルファ−塩素化アルデヒドに変換するステップは、N−クロロスクシンイミド(NCS)などの塩素化剤の使用を含む。ある態様において、塩素化アルデヒドを還元してアルコールを提供するステップは、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)などのヒドリド還元剤の使用を含む。ある態様において、アルコールをエポキシドに変換するステップは、NaOHなどの無機塩基の使用を含む。
【実施例】
【0261】
本明細書に記載される発明をより完全に理解し得るために、次の例を示す。これらの例が例示目的のみのためであり、本発明をいずれかの様式で限定すると解釈されるべきではないということは理解されるべきである。
【0262】
高度に強力なインビボmRNA送達のためのイオン化可能なアルケニルアミノアルコール脂質材料
核酸治療は無数の遺伝子障害を処置するポテンシャルを所有し、その多くは今日の治療アプローチによって対応することが困難または不可能である。例えば、齧歯類および非ヒト霊長類両方における細胞への短鎖干渉RNA(siRNA)の上首尾な送達は、遺伝性疾患および癌の処置のために遺伝子発現をサイレンシングするために活用されて来た。例えば、R. Kanasty et al., Nat Mater 2013, 12, 967-977、K. A. Whitehead et al., Nature reviews. Drug discovery 2009, 8, 129-138参照。相補的なアプローチとして、メッセンジャーRNA(mRNA)の送達は特異的な蛋白質の合成を取りたてて促進する。よって、その上首尾な送達は、インビボの蛋白質の選択的発現が疾患を処置し得る蛋白質補充治療、ワクチン開発、および免疫寛容化などの分野に多大に影響を及ぼし得る。例えば、U. Sahin et al., Nature reviews. Drug discovery 2014, 13, 759-780、L. Zangi et al., Nature biotechnology 2013, 31, 898-907参照。
【0263】
臨床的な実装が実現され得る前に、体内の標的細胞へのmRNAの送達の深刻な欠点が第1に克服されなければならない。mRNAの高いアニオン性電荷密度、サイズ、および親水性は、細胞膜を越えてのmRNAの受動拡散の有意なレベルを妨げる。例えば、M. S. Kormann et al., Nature biotechnology 2011, 29, 154-157参照。この欠点を切り抜けるために、インビボの核酸の捕捉および爾後の送達のための脂質ナノ粒子(LNP)のアレイを開発した。例えば、R. Kanasty et al., Nat Mater 2013, 12, 967-977、K. A. Whitehead et al., Nature reviews. Drug discovery 2009, 8, 129-138参照。実際には、LNPはコレステロール、リン脂質、ポリエチレングリコール誘導体、およびイオン化可能な脂質を含んでなる。例えば、T. M. Allen et al., Advanced drug delivery reviews 2013, 65, 36-48参照。siRNA送達分野における証拠は、LNP製剤中のイオン化可能な脂質の化学的アイデンティティおよび構造を、有効性にとって最も中心的なコンポーネントとして指摘している。従って、いくつかの合理的に設計されたコンビナトリアル化学の方法論が、可能な最低のsiRNA用量で遺伝子サイレンシングを最大化する能力があるイオン化可能な脂質材料の新規のクラスを発見するために使用された。例えば、S. C. Semple et al. Nature biotechnology 2010, 28, 172-176、K. T. Love et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 2010, 107, 1864-1869、Y. Dong et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 2014, 111, 3955-3960参照。この戦略は貴重な治療核酸カーゴをしまっておくとともに、LNP自体の毒性のいずれかのあり得る問題を軽減するための用をもまたなす。
【0264】
メディシナルケミストリーからの原理を活用して、イオン化可能なアルケニル脂質の新たなクラスを同定および合成した。これらは、LNPに製剤されたときに、現在までに報告されたインビボの蛋白質発現の最高レベルを促進する。この線に沿って、我々は、mRNA送達材料の将来世代が基づき得る合成基準としての用をなし得る材料のこの新たなクラスのなかでクリティカルな構造/機能パラメータをもまた確定した。最後に、我々は、mRNA治療薬のための送達基剤としてのその臨床応用に向けて、我々の研究によって我々が発見したリードmRNALNPの送達特性(すなわち、バッチからバッチのばらつき、用量反応挙動、生体内分布など)を厳しく研究した。
【0265】
我々の研究を始めるために、我々は、インビボで送達するべき最適な核酸カーゴを選択することを第1に必要とした。ヒトエリスロポエチン(EPO)をコードする未修飾mRNAを2つの理由で選択した:1)関連した蛋白質は直接的に血流中に分泌され、堅実な蛋白質定量を許し、2)EPOは貧血などのエリアにおいて潜在的な治療応用を有する。例えば、M. S. Kormann et al., Nature biotechnology 2011, 29, 154-157、K. Kariko et al., Molecular therapy: the journal of the American Society of Gene Therapy 2012, 20, 948-953、S. Liu et al., Nutrition in clinical practice: official publication of the American Society for Parenteral and Enteral Nutrition 2013, 28, 120-127参照。次に、我々は、イオン化可能な脂質の我々の新たなクラスについてクリティカルな設計パラメータを確定した。siRNA送達分野からの証拠は、アミノアルコールに基づくイオン化可能な脂質の上首尾を際立たせている。例えば、K. T. Love et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 2010, 107, 1864-1869、Y. Dong et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 2014, 111, 3955-3960参照。しかしながら、我々の知る限り、それらの疎水性尾部に満遍なくシス炭素−炭素二重結合(アルケン)を組み込んでいるアミノアルコールに基づく材料は探査されていない。ここで、我々は、核酸送達のためのイオン化可能な脂質の新たなクラスの第1のメンバーとして4つの化合物OF−00からOF−03を提示する(図1)。OF−00からOF−03を、ジケトピペラジン1とそれぞれエポキシ−アルケンEA−00からEA−03との間の開環反応によって合成した。エポキシ−アルケンEA−00からEA−03は有望である。なぜなら、それらはこの報告のための新規のイオン化可能な脂質を供給するために用いられたからであるのみならず、それらは核酸送達のための将来的なAAA材料にとって多用途の化学的ビルディングブロックとしての用をなし得るからでもまたある。
【0266】
次いで、化合物OF−00からOF−03を、mRNA送達のための以前に最適化された製剤パラメータに従って、ヒトエリスロポエチン(EPO)mRNA、コレステロール、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、およびC14-PEG-2000と製剤した。例えば、A. Amirouche et al., Human molecular genetics 2013, 22, 3093-3111参照。これらの化合物と平行して、イオン化可能な脂質cKK−E12を製剤して、正のコントロールとして我々の研究に用いた。cKK−E12は、それが化合物OF−00からOF−03に構造的に類似だが、アルケンを含有しないより短い尾部を有するので選ばれた。加えて、cKK−E12は0.002mg/kgほども低いsiRNA用量でマウスにおける第VII因子発現をサイレンシングする能力があり、そのため、これは核酸送達の分野におけるベンチマークのイオン化可能な脂質に当たる。これらの5つの製剤のそれぞれのナノ粒子直径、多分散指数、および封入効率が表1に提供されている。血清EPO濃度はマウスへの0.75mg/kg用量の静脈内注射の6hr後の平均±SD(n=3)として報告している。封入効率、LNP直径、およびPDIを、上に記載されているようにそれぞれの代表的なLNP製剤について収集した。
【表1】
【0267】
次いで、それぞれのもたらされたmRNAを積載したLNPを、負のコントロールとしてのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)と平行して、C57BL/6マウスに0.75mg/kg用量で静脈内注射した。6時間において、血清EPOレベルを定量した(図2)。PBSコントロールはインビボの有意なEPO産生を付与せず、一方で、正のコントロールcKK−E12LNPは7050ng/mLという血清EPO濃度を促進した。興奮すべきことに、OF−02LNPはベンチマーク脂質cKK−E12LNPに有意に勝り、14420ng/mLへのEPO濃度のおよそ2倍の増大を促進した。加えて、OF−02は、siRNA送達分野からの2つの他のベンチマークのイオン化可能な脂質、すなわち503−013(例えば、J. McClellan, M. C. King, Cell 2010, 141, 210-217、Whitehead et al., Nature Communications (2014) 5:4277参照)およびC12−200(K. T. Love et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 2010, 107, 1864-1869)に勝った。これらの2つの化合物は、アクリレートエステルおよびアミノアルコールのそれらのそれぞれのイオン化可能な脂質クラスにおけるリードに当たり、同一の用量において、2836ng/mLおよび7065ng/mLというそれぞれのEPO濃度を促進した。よって、我々の知る限り、OF−02LNPは現在までに科学文献に報告されている最も強力なmRNA送達基剤に当たる。
【化29】
【0268】
OF−00、OF−01、およびOF−03LNPは、イオン化可能なAAA脂質のこの新たなクラスのなかで構造/機能関係の推測をもまた許す。我々は、興味深い2つの一般的な構造/機能トレンドに注目する。第1に、我々は、シス構造を有するアルケンのみがインビボの有効性を促進するということに注目する。OF−00およびOF−01はそれらのアルケンのシス/トランス構造が全く異なり、OF−00のみが有意なEPO濃度を生ずる。第2に、尾部あたりの2つのシスアルケンの最適な数および配置は、最適化されたsiRNALNPにおいて観察されたものと一致する。例えば、S. C. Semple et al., Nature biotechnology 2010, 28, 172-176参照。
【0269】
次いで、この情報を手に、我々の関心は、イオン化可能な脂質の新たなAAAクラスの一般的特性を探査することから我々のリード材料OF−02から作られたLNPをさらにキャラクタリゼーションすることにシフトした。核酸送達基剤の臨床トランスレーションは、部分的には、LNPの化学的構成成分および製剤の高い再現性に依拠する。これを試験するために、OF−02の3つの独立のバッチを合成し、次いでLNPに製剤した。全てのバッチの間の平均血清濃度は13705ng/mLであることが見出され、最小限のバッチからバッチのばらつきを実証した(図3A)。次に、用量反応曲線を、OF−02およびcKK−E12LNP両方について0.75mg/kg、1.5mg/kg、および2.25mg/kgのトータルEPOmRNA用量で収集した(図3B)。OF−02LNPは、研究した全ての用量についてそれらのcKK−E12カウンターパートに大体2倍勝り、2.25mg/kg用量において45354ng/mLという最大EPO濃度に達した。LNPの両方のセットが用量に対して線形様式でEPO産生を促進するということに注目することもまた興味深い。このトレンドは、我々が細胞内翻訳機構にとっての飽和点にまだ達していないということを指摘しており、蛋白質産生が現行ではmRNAの用量によってのみ限定されるということを示唆している。
【0270】
我々はクライオ透過型電子顕微鏡法を用いてOF−02製剤の形態学を探査した(図3C)。主要な構造的特徴は狭い多分散指数(0.130)を包含し、平均粒子直径は100nmあたりである。加えて、単体のLNPのより近接した見分からは、マルチラメラ構造が詳明される。我々は、類似のsiRNALNP製剤について示されたように、EPOmRNAが互い違いの脂質/mRNA層としてLNP内に満遍なく位置するのではないかと疑っている。我々の知る限り、これらは文献に報告されているmRNAを積載したLNPの最初のナノスケール画像である。
【0271】
我々は、cKK−E12およびOF−02LNPの間に観察された有効性の差が生体内分布のバリエーションが原因であったかどうかを決定することに興味を持った。ルシフェラーゼをコードするmRNAを、EPO送達と同じ様式で独立してcKK−E12およびOF−02両方と製剤し、マウス臓器を注射の24時間後に摘出した。爾後に、組織をエクスビボイメージングして臓器あたりのトータルルミネッセンスを測定し、cKK−E12およびOF−02LNP両方からのmRNAが圧倒的に肝臓において翻訳され、脾臓では最小限の翻訳、他の臓器では無視できる翻訳であるということを実証した(図4Aおよび4B)。このデータの定量からは、2つの製剤のほとんど同一の生体内分布プロファイルもまた確認され、OF−02LNPの増大した有効性は組織標的化の差が原因ではないということが示唆される(図5)。血友病AおよびBなどの4000よりも多くのヒト疾患が肝臓の遺伝子障害によって引き起こされるので、OF−02LNPは肝臓への治療用mRNA送達のための有望な送達基剤に当たる。例えば、J. McClellan et al., Cell 2010, 142, 353-355参照。
【0272】
最後に、OF−02LNPは用量ともまた関わりなく24時間においてそれらのcKK−E12カウンターパートに勝った(図6)。時間の関数としてのEPO濃度の鋭い減少は、インビボのmRNA送達の多くの興奮すべき潜在的な治療利点の1つを際立たせている。永久的な遺伝子補充治療とは対照的に、mRNA送達は一過的で用量反応依存的なインビボの蛋白質発現を提供し、これは種々の遺伝子障害にとって有用だといつか判明し得る特性である。研究した全ての用量において動物の死亡が観察されなかったということ、および、cKK−E12およびOF−02LNP両方によって処置したマウスは同一の用量で類似の体重喪失プロファイルを見せたということに注目することが重要である(図7)。よって、OF−02LNPは、我々の選ばれたマウスモデルにおいて正常なヒトEPOレベル(40〜250pg/mL)を難なく超える能力がある、インビボのEPO産生のためのチューニング可能な取っ掛かりに当たる。例えば、Cazzola et al., Blood 1997, 89, 4248-4267参照。
【0273】
概要として、我々の研究は、AAAと名付けられたmRNA送達のためのイオン化可能な脂質材料の新たなクラスを創出することによって始まった。我々の知る限り、化合物OF−00からOF−03は科学文献中のそれらのAAA材料の最初の例に当たり、我々は、これらのアルケン−エポキシド前駆体EA−00からEA−03が将来的なイオン化可能なAAA脂質の合成のための多用途の骨格としての用をなし得ることを期待する。OF−02LNPが科学文献中のmRNAによって促進されたインビボのEPOレベルの最高レベルをもたらしたということを決定した後に、我々の関心はリード化合物OF−02に由来するLNPのキャラクタリゼーションにシフトした。バッチからバッチのばらつき、用量反応曲線、およびクライオTEM画像が生体内分布データとカップリングされ、これらのLNPが肝臓にmRNAを送達し得る並外れた効力を際立たせている。
【0274】
材料および方法
一般的な脂質ナノ粒子(LNP)合成.mRNA送達のための以前に最適化された製剤パラメータに従って、35:16:46.5:2.5というモル比および10:1というイオン化可能な脂質:mRNA重量比で、イオン化可能な脂質と1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DOPE、Avanti)とコレステロール(Sigma)と1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](アンモニウム塩)(C14-PEG 2000、Avanti)との混合物をエタノールによって可溶化することによって有機相を調製した。EPOmRNA(ヒトエリスロポエチンmRNA。Shire Pharmaceuticals、ケンブリッジ、MAの好意による)またはLucmRNA(ホタルルシフェラーゼmRNA、Shire)どちらかを有する10mMクエン酸緩衝液(pH3)によって、水相を調製した。エタノールおよび水相を、0.1mg/mLの最終mRNA濃度で以前に記載されているようにシリンジポンプを用いてマイクロ流体チップデバイス中において3:1比で混合した(ref:Delaiの論文)。例えば、Chen et al., J. Am. Chem. Soc. (2012) 134:6948参照。もたらされたLNPをPBSに対して20,000MWCOカセット中で4℃において2時間透析した。
【0275】
LNPキャラクタリゼーション.mRNA封入効率を計算するためには、改変されたQuant-iT RiboGreen RNAアッセイ(Invitrogen)を以前に記載されているように用いた。例えば、Heyes et al., J. Controlled Release (2005) 107:276-287参照。LNPの直径および多分散性(PDI)は動的光散乱(ZetaPALS、Brookhaven Instruments)を用いて測定した。LNP直径は最も大きい強度の平均ピーク平均として報告しており、これはサンプル中に存在するナノ粒子の>95%に相当した。
【0276】
脂質ナノ粒子のクライオ透過型電子顕微鏡法.LNPは、それらを1×PBSの代わりに0.1×PBSに対して透析したことを除いては、以前に一般的な脂質ナノ粒子合成に記載したように調製した。次いで、LNPのバッチを分割し、前述の方法(セクション3:一般的な脂質ナノ粒子キャラクタリゼーション、InvitrogenからのQuanti-iT RiboGreen RNA Assay。上を参照)を用いてLNPの亜集団について封入効率を計算した。次いで、残りのLNPはクライオTEMのために調製した。手短には、LNP溶液の3μLを緩衝液によって希釈し、連続炭素薄膜によってコーティングされたレース状銅グリッド上に置いた。過剰なサンプルはGatan Cryo Plunge IIIを用いて吸い取った。次いで、TEMカラムに備えたGatan 626クライオホルダー上にグリッドをマウントした。標本およびホルダーチップは、顕微鏡への移入および爾後のイメージングの間は液体窒素によって連続的に冷却した。イメージングはJEOL 2100 FEG顕微鏡を用いて行い、電子ビーム下におけるサンプルダメージを回避するために必須である最小線量法を用いた。顕微鏡は、粒径および分布を評価するために200kVおよび60,000の倍率設定で運転した。全ての画像はGatan 2kx2k UltraScan CCDカメラによって記録した。
【0277】
動物実験.全ての動物研究はM.I.T.および動物実験委員会によって認可され、該当の地方、州、および連邦規則に合致した。LNPは尾部静脈から雌C57BL/6マウス(Charles River Labs、18〜22グラム)に静脈内注射した。6または24時間後に、血液を尾部静脈から収集し、血清を血清分離チューブ中で遠心によって単離した。血清EPOレベルはELISAアッセイによって定量した(ヒトエリスロポエチンQuantikine IVD ELISAキット、R&D Systems、ミネアポリス、MD)。Luc−mRNALNPの注射の24時間後に、マウスにD−ルシフェリン(PBS中に30mg/mL)の130μLを腹腔内注射した。15分後にマウスを屠殺し、臓器を単離し(膵臓、脾臓、肝臓、腎臓、肺、心臓、子宮、および卵巣)、IVISイメージングシステム(Perkin Elmer、ウォルサム、MA)によってイメージングした。ルミネッセンスはLivingImageソフトウェア(Perkin Elmer)を用いて定量した。
【0278】
合成手順
機器および材料.マイクロ波反応はBiotage Initiator内で行った。他の反応は丸底フラスコ中で行った。プロトン核磁気共鳴(H−NMR)スペクトルはVarianインバースプローブINOVA-500スペクトロメータ(Magnex Scientific超伝導アクティブシールドマグネットを有する)によって記録し、δスケールのパーツパーミリオンで報告し、NMR溶媒(CDCl:δ7.24、DMSO:δ2.50)中の残余プロチウムをリファレンスとした。データは次のように報告している。化学シフト[多重度(br=ブロード、s=一重項、d=二重項、t=三重項、sp=七重項、m=多重項)、積分、帰属。全ての市販の試薬および溶媒は受け入れのまま用いた。
【0279】
一般的な記載.エポキシドを与えるための最も普通の簡易な合成方法の1つは、メタクロロ過安息香酸(mcpba)を用いるアルケンの酸化に頼っている。しかしながら、我々は、これをアルケニルエポキシドEA−00からEA−03を合成するためには不十分な合成戦略として直ちに認識した。なぜなら、電子的に類似のアルケンの存在下における末端アルケンの選択的酸化は、不可能ではないにしても極度に困難であろうからである。反応に引き続いて、反応媒の精製もまた、生成物の類似の極性および混合物の複雑さが原因で高度に難題であろう。この問題を切り抜けるために、我々は、我々の一般的な合成出発材料として生物学的関わりがある脂肪酸を用いることに決めた。我々は、脂肪酸が我々の研究のための優れた合成ビルディングブロックとして用をなすであろうということを想像した。なぜなら、それらは多くの商業的ベンダーから大量に豊富であり、それらはそれらのアルケン中の位置化学的忠実性の高レベルをもまた提供するからである。加えて、脂肪酸は我々がmcpba酸化の予想される問題を切り抜けることを許すであろう。我々は、基質中のアルケンを完全に無傷に残しながら直接的にエポキシドを供給するためにカルボン酸末端を用い得るということを想像した。
【0280】
理想的な出発材料として脂肪酸を選択した後、我々はアルケニルエポキシドの我々の合成を執り行った。一般的なスキームおよび完全に描画された生成物は、下のスキーム1参照。手短には、脂肪酸を水素化アルミニウムリチウム還元、次にデス・マーチン・ペルヨージナン酸化にかけて、それらの対応するアルデヒドを与えた。同じ反応フラスコ内におけるプロリンによって触媒されるアルファ−塩素化、次に水素化ホウ素ナトリウム還元によって、1,2−クロロアルコールを中等の収率で与えた。例えば、N. Halland et al., Journal of the American Chemical Society 2004, 126, 4790-4791参照。最後に、塩基性ジオキサン中での35℃におけるこれらの1,2−クロロアルコールの穏やかな加熱は、閉環を促進して、単一のクロマトグラフィー精製のみによって、4ステップで中等の収率で所望のアルケン含有エポキシドEA−00からEA−03を供給した。興奮すべきことに、これらのアルケン含有エポキシドは、イオン化可能な脂質の開発のための実質的に未探査の合成骨格に当たる。我々は、この合成経路が、核酸治療のためのイオン化可能な脂質の将来世代の創出に幅広く貢献するであろうということを期待する。EA−00からEA−03の完全な合成手順と合成手順のそれぞれのステップの分子キャラクタリゼーションデータとは下で入手可能であり、OF−00からOF−03の最終合成も同様である。
【化30】
【0281】
例1.OF−00合成
ステップ1.EA−00−アルデヒドの合成
【化31】
【0282】
0℃のTHF(190ml)中のオレイン酸(5.01ml、15mmol、1eq)の溶液に水素化アルミニウムリチウム(THF中に1M、22.5ml、22.5mmol、1.5eq)を滴下した。溶液が室温まで温まることを許し、終夜撹拌した。反応を水(0.85ml)、1NのNaOH(0.85ml)、および水(2.6ml)の連続した滴下によってクエンチした。混合物をセライトによって濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。次いで、クルードな生成物EA−00−アルデヒドの黄色油をCHCl(160ml)中に溶解した。NaHCO(8.821g、105mmol、7eq)、次にデス・マーチン・ペルヨージナン(7.63g、18mmol、1.2eq)を追加した。混合物を3時間50分間撹拌した。次いで、これを石油エーテルによって希釈し、飽和NaHCOおよびブラインによって連続して洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。クルードな生成物の黄色油をさらなる精製なしに用いた。
【0283】
ステップ2.EA−00−クロロアルコールの合成
【化32】
【0284】
0℃に冷却したMeCN(40ml)中のEA−00−アルデヒド(3.91g、14.7mmol、1eq)の溶液に、L−プロリン(0.507g、4.41mmol、0.3eq)およびN−クロロスクシンイミド(1.8657g、14.0mmol、0.95eq)を追加した。溶液を0℃において1時間55分間撹拌した。次いで、これをエタノール(23mL)によって希釈し、それにNaBH(71mg、1.875mmol、2.5eq)を追加した。混合物を0℃において3時間30分間撹拌した。次いで、これを酢酸エチルによって希釈し、ブラインによって洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥し、濾過し、減圧下において濃縮した。クルードな生成物EA−00−クロロアルコールの黄色油をさらなる精製なしに用いた。
【0285】
ステップ3.EA−00の合成
【化33】
【0286】
1,4−ジオキサン(35ml)中のEA−00−クロロアルコール(3.495g、11.6mmol、1eq)の溶液に、水(45ml)中のNaOH(10.44g、261mmol、22.5eq)の溶液を追加した。反応混合物を35℃に加熱し、4時間撹拌することを許した。次いで、もたらされた混合物をヘキサンによって希釈し、ブラインによって洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。クルードな生成物をアセトン/ヘキサン(0:100→6:94)を用いるシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、EA−00(0.441g、1.65mmol、4ステップで14%収率)を淡黄色油としてもたらした。
【0287】
1H NMR (500 MHz, CDCl3, 20 ℃): 5.34 (m, 2H, CHCH), 2.90 (m, 1H, CH2OCH), 2.74 (ddd, 1H, CH2OCH), 2.46 (m, 1H, CH2OCH), 2.01 (pd, 4H, CHCHCH2), 1.68-1.18 (m, 22H, CH2), 0.88 (t, 3H, CH3).
【0288】
ステップ4.OF−00の合成
【化34】
【0289】
エタノール(2ml)中のEA−00(359mg、1.35mmol、6eq)の溶液に、ジケトピペラジン1(84.7mg、0.225mmol、1eq)、次にトリエチルアミン(125μl、0.9mmol、4eq)を追加した。例えば、Y. Dong et al., Proc Natl Acad Sci U S A 2014, 111, 3955-3960参照。混合物を室温において5分間撹拌した後、撹拌しながらマイクロ波によって150℃において5時間照射した。クルードな生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して生成物を粘稠黄色油としてもたらした(19%収率)。
【0290】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6, 20 ℃) 8.11 (br, 2H, CONH), 5.15-5.2 (m, 8H, CH2CH), 4.21 (dd, 4H, OH), 3.79 (br, 2H, COCH), 3.44 (br, 4H, CHOH), 2.25-2.44 (m, 12H, NCH2), 2.1 (m, 16H, CHCH2CH2), 1.64-1.67 (m, 4H, CH2), 1.21-1.39 (m, 96H, CH2), 0.88 (t, 12H, CH3). HRMS (DART) (m/z): calc'd for C84H160N4O6 [M + H]*: 1322.23; found: 1322.04.
【0291】
例2.OF−01合成
EA−01−アルデヒドの合成
【化35】
【0292】
0℃のTHF(210ml)中のエライジン酸(4.717g、16.7mmol、1eq)の溶液に水素化アルミニウムリチウム(THF中に1M、25ml、25mmol、1.5eq)を滴下した。溶液が室温まで温まることを許し、終夜撹拌した。反応を水(0.95ml)、1NのNaOH(0.95ml)、および水(2.9ml)の連続した滴下によってクエンチした。混合物をセライトによって濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。次いで、クルードな生成物の(E)−オクタデカ−9−エン−1−オールをCHCl(180ml)中に溶解した。NaHCO(9.820g、116.9mmol、7eq)、次にデス・マーチン・ペルヨージナン(8.5g、20mmol、1.2eq)を追加した。混合物を4時間45分間撹拌した。次いで、これを石油エーテルによって希釈し、飽和NaHCOおよびブラインによって連続して洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。クルードな生成物EA−01−アルデヒドの白色固体をさらなる精製なしに用いた。
【0293】
ステップ2.EA−01−クロロアルコールの合成
【化36】
【0294】
0℃に冷却したMeCN(46ml)中のEA−01−アルデヒド(16.7mmol、1eq)の溶液にL−プロリン(0.577g、5.01mmol、0.3eq)およびN−クロロスクシンイミド(2.118g、15.8mmol、0.95eq)を追加した。溶液を0℃において2時間25分間撹拌した。次いで、これをエタノール(26ml)によって希釈し、それにNaBH(1.579g、41.75mmol、2.5eq)を追加した。混合物を0℃において2時間15分間撹拌した。次いで、これを酢酸エチルによって希釈し、ブラインによって洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。クルードな生成物EA−01−クロロアルコールの白色固体をさらなる精製なしに用いた。
【0295】
ステップ3.EA−01の合成
【化37】
【0296】
1,4−ジオキサン(50ml)中のEA−01−アルデヒドの溶液に、水(65ml)中のNaOH(15.03g、376mmol、22.5eq)の溶液を追加した。反応混合物を35℃に加熱し、6時間20分間撹拌することを許した。次いで、もたらされた混合物をヘキサンによって希釈し、ブラインによって洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。クルードな生成物をアセトン/ヘキサン(0:100→10:90)を用いるシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、EA−01を灰白色油としてもたらした(4ステップで19%収率)。1H NMR (500 MHz, CDCl3, 20 ℃): 5.37 (m, 2H, CHCH), 2.87 (tq, 1H, CH2OCH), 2.71 (m, 1H, CH2OCH), 2.43 (dt, 1H, CH2OCH), 1.95 (m, 4 H, CHCHCH2), 1.36-1.16 (m, 22 H, CH2), 0.86 (t, 3 H, CH3).
【0297】
ステップ4.OF−01の合成
【化38】
【0298】
エタノール(2ml)中のEA−01(359mg、1.35mmol、6eq)の溶液に、ジケトピペラジン1(84.7mg、0.225mmol、1eq)、次にトリエチルアミン(125μl、0.9mmol、4eq)を追加した。例えば、Y. Dong et al., Proc Natl Acad Sci U S A 2014, 111, 3955-3960参照。混合物を室温において5分間撹拌した後、撹拌しながらマイクロ波によって150℃において5時間照射した。クルードな生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、生成物を黄色油としてもたらした(9%収率)。
【0299】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6, 20 ℃) 8.11 (br, 2H, CONH), 5.15-5.2 (m, 8H, CH2CH), 4.21 (dd, 4H, OH), 3.79 (br, 2H, COCH), 3.44 (br, 4H, CHOH), 2.25-2.44 (m, 12H, NCH2), 2.1 (m, 16H, CHCH2CH2), 1.64-1.67 (m, 4H, CH2), 1.21-1.39 (m, 96H, CH2), 0.88 (t, 12H, CH3). HRMS (DART) (m/z): calc'd for C84H160N4O6 [M + H]*: 1322.23; found: 1322.09.
【0300】
例3.OF−02の合成
ステップ1.EA−02−アルデヒドの合成
【化39】
【0301】
0℃のTHF(190ml)中のリノール酸(4.66ml、15mmol、1eq)の溶液に、水素化アルミニウムリチウム(THF中に1M、22.5ml、22.5mmol、1.5eq)を滴下した。溶液が室温まで温まることを許し、終夜撹拌した。反応を水(0.85ml)、1NのNaOH(0.85ml)、および水(2.6ml)の連続した滴下によってクエンチした。混合物をセライトによって濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。爾後に、クルードな生成物をCHCl(160ml)中に溶解した。NaHCO(8.821g、105mmol、7eq)、次にデス・マーチン・ペルヨージナン(7.63g、18mmol、1.2eq)を追加した。混合物を4時間30分間撹拌した。次いで、これを石油エーテルによって希釈し、飽和NaHCOおよびブラインによって連続して洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。クルードな生成物EA−02−アルデヒドの黄色油をさらなる精製なしに用いた。
【0302】
ステップ2.EA−02−クロロアルコールの合成
【化40】
【0303】
0℃に冷却したMeCN(35ml)中のEA−02−アルデヒド(3.3955g、12.7mmol、1eq)の溶液に、L−プロリン(518mg、4.5mmol、0.3eq)およびN−クロロスクシンイミド(1.903g、14.25mmol、0.95eq)を追加した。溶液を0℃において2時間20分間撹拌した。次いで、これをエタノール(20ml)によって希釈し、これにNaBH(1.418g、37.5mmol、2.5eq)を追加した。混合物を0℃において2時間撹拌した。次いで、これを酢酸エチルによって希釈し、ブラインによって洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。クルードな生成物EA−02−クロロアルコールの黄色油をさらなる精製なしに用いた。
【0304】
ステップ3.EA−02の合成
【化41】
【0305】
1,4−ジオキサン(14.7ml)中のEA−02−クロロアルコール(1.4768g、4.91mmol、1eq)の溶液に、水(19.4ml)中のNaOH(4.417g、110.4mmol、22.5eq)の溶液を追加した。反応混合物を35℃に加熱し、5時間15分間撹拌することを許した。次いで、もたらされた混合物をヘキサンによって希釈し、ブラインによって洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。クルードな生成物をエーテル/石油エーテル(0:100→20:80)を用いるシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、EA−02を(4ステップで41%収率で)もたらした。
【0306】
1H NMR (500 MHz, CDCl3, 20 ℃): 5.33 (m, 4 H, CHCH), 2.88 (tdd, 1H, CH2OCH), 2.73 (m, 3H, CH2OCH and CHCH2CH), 2.44 (m, 1H, CH2OCH), 2.04 (qd, 4H, CH2CH2CHCH), 1.58-1.19 (m, 14H, CH2), 0.87 (t, 3H, CH3).
【0307】
ステップ4.OF−02の合成
【化42】
【0308】
エタノール(2ml)中のEA−02(357mg、1.35mmol、6eq)の溶液に、ジケトピペラジン1(84.7mg、0.225mmol、1eq)、次にトリエチルアミン(125μl、0.9mmol、4eq)を追加した。例えば、Y. Dong et al., Proc Natl Acad Sci U S A 2014, 111, 3955-3960参照。混合物を室温において7分間撹拌した後、撹拌しながらマイクロ波によって150℃において5時間照射した。クルードな生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して生成物を黄色油としてもたらした(33%収率)。
【0309】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6, 20 ℃) 8.11 (br, 2H, CONH), 5.15-5.2 (m, 16H, CH2CH), 4.21 (dd, 4H, OH), 3.79 (br, 2H, COCH), 3.44 (br, 4H, CHOH), 2.7 (m, 8H, CHCH2CH), 2.25-2.44 (m, 12H, NCH2), 2.1 (m, 16H, CHCH2CH2), 1.64-1.67 (m, 4H, CH2), 1.21-1.39 (m, 72H, CH2), 0.88 (t, 12H, CH3). HRMS (DART) (m/z): calc'd for C84H152N4O6 [M + H]*: 1314.17; found: 1314.93.
【0310】
例4.OF−03の合成
ステップ1.EA−03−アルデヒドの合成
【化43】
【0311】
0℃のTHF(190ml)中のリノレン酸(4.57ml、15mmol、1eq)溶液に、水素化アルミニウムリチウム(THF中に1M、22.5ml、22.5mmol、1.5eq)を滴下した。溶液が室温まで温まることを許し、終夜撹拌した。反応を水(0.85ml)、1NのNaOH(0.85ml)、および水(2.6ml)の連続した滴下によってクエンチした。混合物をセライトによって濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。次いで、クルードな生成物をCHCl(160ml)中に溶解した。NaHCO(8.821g、105mmol、7eq)、次にデス・マーチン・ペルヨージナン(7.63g、18mmol、1.2eq)を追加した。混合物を2時間15分間撹拌した。次いで、これを石油エーテルによって希釈し、飽和NaHCOおよびブラインによって連続して洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。クルードな生成物EA−03−アルデヒドの黄色油をさらなる精製なしに用いた。
【0312】
ステップ2.EA−03−クロロアルコールの合成
【化44】
【0313】
0℃に冷却したMeCN(14ml)中のEA−03−アルデヒド(5.131、1eq)の溶液に、L−プロリン(177mg、1.54mmol、0.3eq)およびN−クロロスクシンイミド(650mg、4.87mmol、0.95eq)を追加した。溶液を0℃において2時間55分間撹拌した。次いで、これをエタノール(8ml)によって希釈し、それにNaBH(484mg、12.8mmol、2.5eq)を追加した。溶液を0℃において2時間30分間撹拌した。次いで、これを酢酸エチルによって希釈し、ブラインによって洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。クルードな生成物EA−03−クロロアルコールの黄色油をさらなる精製なしに用いた。
【0314】
ステップ3.EA−03の合成
【化45】
【0315】
1,4−ジオキサン(15.5ml)中のEA−03−クロロアルコール(5.13mmol、1eq)の溶液に、HO(20ml)中のNaOH(4.617g、115.4mmol、22.5eq)の溶液を追加した。反応混合物を35℃まで加熱し、5時間撹拌することを許した。次いで、もたらされた混合物をヘキサンによって希釈し、ブラインによって洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。クルードな生成物をアセトン/ヘキサン(0:100→10:90)を用いてシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、EA−03を淡黄色油としてもたらした(4ステップで9%収率)。
【0316】
1H NMR (500 MHz, CDCl3, 20 ℃): 5.33 (m, 6H, CH), 2.88 (tdd, 1H, CH2OCH), 2.80 (m, 5H, CHCH2CH), 2.73 (m, 1H, CH2OCH), 2.44 (m, 1H CH2OCH), 2.04 (m, 4H, CH2CH2CH), 1.58-1.19 (m, 10H, CH2), 0.87 (t, 3H, CH3).
【0317】
ステップ4.OF−03の合成
【化46】
【0318】
エタノール(2ml)中のEA−03(357mg、1.35mmol、6eq)の溶液に、ジケトピペラジン1(84.7mg、0.225mmol、1eq)、次にトリエチルアミン(125μl、0.9mmol、4eq)を追加した。例えば、Y. Dong et al., Proc Natl Acad Sci U S A 2014, 111, 3955-3960参照。混合物を室温において10分間撹拌した後、撹拌しながらマイクロ波によって150℃において5時間照射した。クルードな生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、生成物を、所望の生成物と三置換生成物との混合物として、黄色油としてもたらした(6%収率)。
【0319】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6, 20 ℃) 8.11 (br, 2H, CONH), 5.15-5.2 (m, 24H, CH2CH), 4.21 (dd, 4H, OH), 3.79 (br, 2H, COCH), 3.44 (br, 4H, CHOH), 2.7 (m, 16H, CHCH2CH), 2.25-2.44 (m, 12H, NCH2), 2.1 (m, 16H, CHCH2CH2), 1.64-1.67 (m, 4H, CH2), 1.21-1.39 (m, 48H, CH2), 0.88 (t, 12H, CH3). HRMS (DART) (m/z): calc'd for C84H144N4O6 [M + H]*: 1306.11; found: 1306.87.
【0320】
追加の参照
Fenton et al., Advanced Materials (2016) 28:2939-2943およびそこで引用されている参照もまた参照。そのそれぞれは参照によって本明細書に組み込まれる。
【0321】
他の態様
請求項において、「a」、「an」、および「the」などの冠詞は、それと反対に示されないかまたは文脈から別様に明白でない限り、1つまたは1つよりも多くを意味し得る。群の1つ以上のメンバーの間に「または」を包含する請求項または記載は、それと反対に示されないかまたは文脈から別様に明白でない限り、群のメンバーの1つ、1つよりも多く、または全てが所与の生成物またはプロセスにおいて存在するか、使用されるか、または別様に関わりがある場合には、満足されると見なされる。本発明は、群の厳密に1つのメンバーが所与の生成物またはプロセスにおいて存在するか、使用されるか、または別様に関わりがある態様を包含する。本発明は、群のメンバーの1つよりも多くまたは全てが所与の生成物またはプロセスにおいて存在するか、使用されるか、または別様に関わりがある態様を包含する。
【0322】
さらにその上に、本発明は、列記されている請求項の1つ以上から1つ以上の限定、要素、節、および記述用語が別の請求項に導入される全てのバリエーション、組み合わせ、および入れ替えを包摂する。例えば、別の請求項に依存するいずれかの請求項は、同じ基礎請求項に依存するいずれかの他の請求項に見出される1つ以上の限定を包含するように改変され得る。要素が列記として例えばマーカッシュ群フォーマットで提示されているところでは、要素のそれぞれの下位群もまた開示され、いずれかの要素(単数または複数)が群から除去され得る。一般的に、本発明または本発明の側面が特定の要素および/または特徴を含むと言われるところでは、ある種の本発明の態様または本発明の側面はかかる要素および/または特徴からなるかまたは本質的になるということが理解されるべきである。単純の目的のために、それらの態様は本明細書において一々具体的には示さなかった。用語「含む」および「含有する」は開放的であることを意図され、追加の要素またはステップの包含を許容するということもまた注目される。範囲が与えられているところでは、エンドポイントが包含される。さらにその上に、別様に示されていないかまたは文脈および当業者の理解から別様に明白でない限り、範囲として表現されている値は、文脈が明らかに別様に指示しない限り、本発明の異なる態様において、述べられている範囲内のいずれかの具体的な値または部分範囲を、範囲の下限の単位の1/10までとり得る。
【0323】
本願は種々の発行済み特許、公開特許出願、雑誌記事、書籍、マニュアル、および他の公刊物を参照し、それらの全ては参照によって本明細書に組み込まれる。組み込まれる参照のいずれかと本明細書との間に矛盾がある場合には、本明細書がコントロールするものとする。加えて、先行技術に属する本発明のいずれかの特定の態様は請求項のいずれか1つ以上からはっきりと除外され得る。かかる態様は当業者に公知であると考えられるので、それらは除外が本明細書においてはっきりと示されていない場合であっても除外され得る。本発明のいずれかの特定の態様は、先行技術の存在に関するか否かにかかわらず、いずれかの請求項からいずれかの理由で除外され得る。
【0324】
当業者は、本明細書に記載される具体的な態様の多くの均等物を認識するか、または慣例以下の実験作業を用いて確かめることができるであろう。本明細書に記載される本態様の範囲は上の明細書に限定されることを意図されず、むしろ添付の請求項に示されている通りである。当業者は、次の請求項において定義される本発明の趣旨または範囲から逸脱することなしに、本明細書の種々の変更および改変がなされ得るということを理解するであろう。
図1
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図5
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図7