特許第6800429号(P6800429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800429
(24)【登録日】2020年11月27日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】運転支援装置及び運転支援方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/0968 20060101AFI20201207BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20201207BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   G08G1/0968
   G08G1/09 H
   G01C21/26 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-162394(P2017-162394)
(22)【出願日】2017年8月25日
(65)【公開番号】特開2019-40436(P2019-40436A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2020年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】大久保 壮一
【審査官】 秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−91502(JP,A)
【文献】 特開2008−97413(JP,A)
【文献】 特開2016−110661(JP,A)
【文献】 特開2017−102041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/0968
G01C 21/26
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車車間通信を用いて複数の周辺車両の走行情報を受信する走行情報受信部と、
複数の前記周辺車両それぞれの走行情報に基づいて、複数の前記周辺車両それぞれの走行軌跡を生成する走行軌跡生成部と、
前記走行軌跡のうち互いに交差するものを抽出し、抽出した前記走行軌跡の交差地点を算出する交差地点算出部と、
前記交差地点算出部が抽出した前記走行軌跡を通過する前記周辺車両それぞれが前記交差地点を通過した時刻から算出した時間差が所定の閾値以下である場合、前記交差地点が立体交差であると判定する立体交差判定部と、
前記立体交差判定部の判定結果に基づいて運転支援の内容を切り替える運転支援切替部と、
を備える運転支援装置。
【請求項2】
前記所定の閾値は、前記交差地点に設置されている信号機が進行許可を示してから停止指示を示すまでの時間よりも短い、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
車車間通信を用いて複数の周辺車両の走行情報を受信する走行情報受信ステップと、
複数の前記周辺車両それぞれの走行情報に基づいて、複数の前記周辺車両それぞれの走行軌跡を生成する走行軌跡生成ステップと、
前記走行軌跡のうち互いに交差するものを抽出し、抽出した前記走行軌跡の交差地点を算出する交差地点算出ステップと、
前記交差地点算出ステップで抽出された前記走行軌跡を通過する前記周辺車両それぞれが前記交差地点を通過した時刻から算出した時間差が所定の閾値以下である場合、前記交差地点が立体交差であると判定する立体交差判定ステップと、
前記立体交差判定ステップでの判定結果に基づいて運転支援の内容を切り替える運転支援切替ステップと、
を含む運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置及び運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、進入路Aから交差点を通過する車両の平均車速と進入路Bから交差点を通過する車両の平均車速の大小関係が周期的に変化する場合、その交差点を平面交差点であると判定し、進入路Aから交差点を通過する車両の平均車速と進入路Bから交差点を通過する車両の平均車速の大小関係が変化しない場合には、その交差点を立体交差点であると判定する経路案内システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−127742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、互いに平面交差する第1の道路及び第2の道路が存在し、第1の道路の上方に第1の道路に沿って設けられている第3の道路が存在する場合、第3の道路を走行する車両の速度は略一定であるのに対し、第1の道路を走行する車両の速度は周期的に変動する。このため、第3の道路を走行する車両の速度と第1の道路を走行する車両の速度との和は、周期的に変動する。したがって、特許文献1に開示されている経路案内システムは、誤って第1の道路と第3の道路とが平面交差していると判定してしまうことがある。
【0005】
そこで、本発明は、より高い精度で立体交差しているか否かを判定し、判定結果に基づいて運転を支援することができる運転支援装置及び運転支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る運転支援装置は、車車間通信を用いて複数の周辺車両の走行情報を受信する走行情報受信部と、複数の前記周辺車両それぞれの走行情報に基づいて、複数の前記周辺車両それぞれの走行軌跡を生成する走行軌跡生成部と、前記走行軌跡のうち互いに交差するものを抽出し、抽出した前記走行軌跡の交差地点を算出する交差地点算出部と、前記交差地点算出部が抽出した前記走行軌跡を通過する前記周辺車両それぞれが前記交差地点を通過した時刻から算出した時間差が所定の閾値以下である場合、前記交差地点が立体交差であると判定する立体交差判定部と、前記立体交差判定部の判定結果に基づいて運転支援の内容を切り替える運転支援切替部とを備える。
【0007】
上記態様において、前記所定の閾値は、前記交差地点に設置されている信号機が進行許可を示してから停止指示を示すまでの時間よりも短いことが好ましい。
【0008】
本発明の他の態様に係る運転支援方法は、車車間通信を用いて複数の周辺車両の走行情報を受信する走行情報受信ステップと、複数の前記周辺車両それぞれの走行情報に基づいて、複数の前記周辺車両それぞれの走行軌跡を生成する走行軌跡生成ステップと、前記走行軌跡のうち互いに交差するものを抽出し、抽出した前記走行軌跡の交差地点を算出する交差地点算出ステップと、前記交差地点算出ステップで抽出された前記走行軌跡を通過する前記周辺車両それぞれが前記交差地点を通過した時刻から算出した時間差が所定の閾値以下である場合、前記交差地点が立体交差であると判定する立体交差判定ステップと、前記立体交差判定ステップでの判定結果に基づいて運転支援の内容を切り替える運転支援切替ステップとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より高い精度で立体交差しているか否かを判定し、判定結果に基づいて運転を支援することができる運転支援装置及び運転支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る運転支援装置の構成の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る運転支援装置が生成する走行軌跡及び実施形態に係る運転支援装置が算出する交差地点の一例を示す図である。
図3】実施形態に係る運転支援装置が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは同一又は同様の構成を有する。
【0012】
図1及び図2を参照しながら、実施形態に係る運転支援装置の構成について説明する。運転支援装置1は、図1に示すように、自車両情報取得部11と、走行情報受信部12と、走行軌跡生成部13と、交差地点算出部14と、立体交差判定部15と、運転支援切替部16と、運転支援部17とを備える。運転支援装置1は、例えば、車車間通信機に含まれる。
【0013】
運転支援装置1は、これらの構成要素のうち、少なくとも走行情報受信部12、走行軌跡生成部13、交差地点算出部14、立体交差判定部15及び運転支援切替部16を備える。なお、運転支援装置1は、これらの構成要素以外の任意の構成要素を備えていてもよい。
【0014】
自車両情報取得部11は、例えば、自車両に搭載されるジャイロセンサ、加速度センサ、地磁気センサ等の各種センサ及びGPS(Global Positioning System)受信機等を用い、自車両の車両情報(以下、「自車両情報」ともいう。)を取得する。自車両情報には、例えば、自車両の位置、速度、加速度、方位についての情報が含まれる。
【0015】
走行情報受信部12は、車車間通信を用いて複数の周辺車両の走行情報を受信する。車車間通信とは、自車両の周辺に位置する周辺車両との間で行われる双方向の無線通信である。走行情報には、例えば、各周辺車両の位置、速度、加速度、方位についての情報が含まれる。ここで、周辺車両は、自車両以外の車両を意味する。
【0016】
走行軌跡生成部13は、複数の周辺車両それぞれの走行情報に基づいて、複数の周辺車両それぞれの走行軌跡を生成する。走行軌跡は、例えば、走行情報に基づいて、100ミリ秒ごとの各周辺車両の位置を結ぶことにより生成される。
【0017】
例えば、走行軌跡生成部13は、自車両が図2に示した道路R1を走行している場合、道路R1を走行している周辺車両の走行軌跡T1を生成する。或いは、走行軌跡生成部13は、自車両が図2に示した道路R3を走行している場合、道路R3を走行している周辺車両の走行軌跡T3を生成する。また、走行軌跡生成部13は、走行軌跡T1又は走行軌跡T3の生成と合わせて、例えば、道路R1と平面交差しており、道路R3と立体交差している道路R2を走行している周辺車両の走行軌跡T2を生成する。
【0018】
交差地点算出部14は、走行軌跡のうち互いに交差するものを抽出し、抽出した走行軌跡の交差地点を算出する。例えば、交差地点算出部14は、自車両が図2に示した道路R1を走行している場合、走行軌跡T1及び走行軌跡T2を抽出し、図2に示した交差地点Cを算出する。
【0019】
また、交差地点算出部14が算出する交差地点とは、上方から走行軌跡を見た場合における二本の走行軌跡の交点を意味する。したがって、交差地点算出部14は、自車両が図2に示した道路R3を走行している場合でも、走行軌跡T3及び走行軌跡T2を抽出し、図2に示した交差地点Cを算出する。この場合、交差地点Cは、例えば、道路R1と道路R2とが平面交差している路面と垂直な方向に平行移動すると、走行軌跡T3上の点Pと一致する。
【0020】
なお、交差地点算出部14は、互いに交差する二本の走行軌跡の組を複数抽出し、走行軌跡の組ごとに交差地点を算出してもよい。
【0021】
立体交差判定部15は、交差地点算出部14が抽出した走行軌跡を通過する周辺車両それぞれが交差地点を通過した時刻から算出した時間差が所定の閾値以下である場合、交差地点が立体交差であると判定することができる。なぜなら、交通量が一定以上である場合、信号機による交通整理が行われていない立体交差の方が平面交差よりも二台の周辺車両が交差地点を通過する時間差が短くなる傾向にあるからである。例えば、交通量が多い都市部等では、立体交差の場合、この時間差は、数秒になることもあり得るが、平面交差の場合、この時間差は、信号機が進行許可を示してから停止指示を示すまでの時間よりも短くなることは少ない。このため、所定の閾値は、交差地点に設置されている信号機が進行許可を示してから停止指示を示すまでの時間よりも短い方が好ましい。
【0022】
例えば、立体交差判定部15は、自車両が図2に示した道路R1を走行している場合、道路R1を走行する周辺車両が交差地点Cを通過した時刻及び道路R2を走行する周辺車両が交差地点Cを通過した時刻から算出した時間差に基づいて、道路R1と道路R2が平面交差していると判定する。
【0023】
或いは、立体交差判定部15は、自車両が図2に示した道路R3を走行している場合、道路R3を走行する周辺車両が点Pを通過した時刻及び道路R2を走行する周辺車両が交差地点Cを通過した時刻から算出した時間差に基づいて、道路R3と道路R2が立体交差していると判定する。
【0024】
なお、立体交差判定部15は、交差地点算出部14が走行軌跡の組ごとに交差地点を算出している場合、走行軌跡の組ごとに上述した時間差を算出してもよい。そして、立体交差判定部15は、これらの時間差の少なくとも一つが所定の閾値以下である場合、交差地点が立体交差であると判定してもよい。
【0025】
運転支援切替部16は、立体交差判定部15の判定結果に基づいて運転支援の内容を切り替える。具体的には、運転支援切替部16は、交差地点が立体交差であると判定された場合と交差地点が平面交差であると判定された場合とで運転支援部17にそれぞれ異なる運転支援を行うように要求する。
【0026】
運転支援部17は、交差地点が立体交差であると判定された場合、自車両が立体交差を通過する際に必要な運転支援を行い、交差地点が平面交差であると判定された場合、自車両が平面交差を通過する際に必要な運転支援を行う。いずれの場合における運転支援も、例えば、自車両の運転者へのメッセージをディスプレイやスピーカを用いて出力することにより行われる。なお、運転支援部17は、交差地点が立体交差であると判定された場合又は交差地点が平面交差であると判定された場合において、運転支援を行わなくてもよい。
【0027】
次に図3を参照しながら、実施形態に係る運転支援装置が行う好適な処理について説明する。
【0028】
走行情報受信部12は、複数の周辺車両の走行情報を受信する(ステップS1)。
【0029】
走行軌跡生成部13は、複数の周辺車両それぞれの走行軌跡を生成する(ステップS2)。
【0030】
交差地点算出部14は、ステップS2で生成した走行軌跡のうち互いに交差するものを抽出し、抽出した走行軌跡の交差地点を算出する(ステップS3)。
【0031】
立体交差判定部15は、ステップS3で抽出された走行軌跡を通過する周辺車両それぞれが交差地点を通過した時刻から算出した時間差が所定の閾値以下であるか否かを判定し、運転支援切替部16は、判定結果に基づいて運転支援の内容を切り替える(ステップS4)。
【0032】
時間差が所定の閾値以下であると判定された場合、交差地点が立体交差であると判断され、運転支援切替部16は、処理をステップS5へ進める(ステップS4:Yes)。この場合、運転支援部17は、自車両に対して立体交差に進入する際に必要な運転支援を行う(ステップS5)。
【0033】
一方、時間差が所定の閾値を超えていると判定された場合、交差地点が平面交差であると判断され、運転支援切替部16は、処理をステップS6へ進める(ステップS4:No)。この場合、運転支援部17は、自車両に対して平面交差に進入する際に必要な運転支援を行う(ステップS6)。
【0034】
以上、本発明の一例である実施形態について説明した。実施形態に係る運転支援装置1は、交差地点算出部が抽出した走行軌跡を通過する周辺車両それぞれが交差地点を通過した時刻から算出した時間差が所定の閾値以下である場合、交差地点が立体交差であると判定し、この判定結果に基づいて運転支援の内容を切り替える。また、所定の閾値は、交差地点に設置されている信号機が進行許可を示してから停止指示を示すまでの時間よりも短くてもよい。
【0035】
このため、運転支援装置1は、例えば、図2に示すように、互いに平面交差する道路R1及び道路R2が存在し、道路R1の上方に道路R1に沿って設けられている道路R3が存在する場合であっても、自車両が向かっている交差点が立体交差しているか否かを高い精度で判定し、この判定結果に基づいて自車両の運転者に適切な支援を提供することができる。
【0036】
また、図2に示した道路R3が高速道路であり、道路R1及び道路R2が一般道路であり、道路R1と道路R2とが平面交差している場所の近くに道路R3への合流路がある場合、道路R3を走行する車両の速度は、周期的に変動することがある。しかし、このような場合であっても、立体交差判定部15が算出する時間差は、立体交差と平面交差とで異なる。このため、このような場合であっても、運転支援装置1は、自車両が向かっている交差点が立体交差しているか否かを高い精度で判定し、この判定結果に基づいて自車両の運転者に適切な支援を提供することができる。
【0037】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、又は並列に実行することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…運転支援装置、11…自車両情報取得部、12…走行情報受信部、13…走行軌跡生成部、14…交差地点算出部、15…立体交差判定部、16…運転支援切替部、17…運転支援部、C…交差地点、P…点、R1,R2,R3…道路、T1,T2,T3…走行軌跡
図1
図2
図3