特許第6800512号(P6800512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6800512エアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800512
(24)【登録日】2020年11月27日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】エアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具
(51)【国際特許分類】
   B60H 3/00 20060101AFI20201207BHJP
   B60H 1/34 20060101ALI20201207BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20201207BHJP
   B60N 3/10 20060101ALI20201207BHJP
   F16B 2/12 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   B60H3/00 Z
   B60H1/34 651Z
   B60N3/00 Z
   B60N3/10 A
   F16B2/12 B
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-180446(P2016-180446)
(22)【出願日】2016年9月15日
(65)【公開番号】特開2017-77883(P2017-77883A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2019年7月23日
(31)【優先権主張番号】特願2015-190000(P2015-190000)
(32)【優先日】2015年9月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】石原 雄大
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 浩
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−206129(JP,A)
【文献】 特開2014−177169(JP,A)
【文献】 実開平06−053287(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3107092(JP,U)
【文献】 国際公開第2003/033297(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00 − 3/06
B60N 3/00
B60N 3/10
F16B 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアコン吹き出し口に挿入されるネジ部と、物品を係合させる取付基部と、前記ネジ部と前記取付基部との間に配置されて前記ネジ部を回転させるアジャスト部とを有する本体と、
前記エアコン吹き出し口に設けられたルーバーの後端に係合するフック部を有し、前記ネジ部に螺合して当該ネジ部の軸線方向への移動を可能とするスライダーと、
前記ネジ部の延設方向に沿って配置され、前記スライダーが前記ネジ部の回転と共に回動することを防止するガイド部と、前記ルーバーの前端に当接する当接部とを有するスライドガイドと、
を備えることを特徴とするエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具。
【請求項2】
前記ガイド部が前記ネジ部の少なくとも一部を覆っていることを特徴とする請求項に記載のエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具。
【請求項3】
前記スライダーにおける前記ネジ部に対する螺合範囲をネジ部外周の1/2以下の範囲とし、
前記ガイド部は、前記ネジ部の少なくとも一部を覆い、前記ネジ部の先端側には、前記ネジ部の撓みを解放する逃げ部を備えていることを特徴とする請求項に記載のエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具。
【請求項4】
前記当接部は、前記アジャスト部配置側となる前記スライドガイドの端部に配置されていることを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載のエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具。
【請求項5】
前記当接部は、前記ルーバーの前端に係合するフック形状であることを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載のエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具。
【請求項6】
前記アジャスト部に前記取付基部としての機能を持たせ、前記取付基部と前記アジャスト部とを一体物としたことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載のエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具。
【請求項7】
前記取付基部は、前記ネジ部と別体となるように構成していることを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載のエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具。
【請求項8】
前記取付基部には、前記当接部としての機能を担うと共に、前記ルーバーの下面を支持する爪部が備えられていることを特徴とする請求項に記載のエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具に係り、特に、車両のエアコンにおける吹き出し口へのドリンクホルダーや芳香剤などの取付時におけるベースとして好適な物品取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエアコンにおけるルーバーに物品を取り付けるための物品取付具としては、特許文献1に開示されているようなものが知られている。具体的な構成としては、フック状を成す上ピンと、ルーバーの導入と抜け止めを図る下ピンとを基本として構成されている。
【0003】
このような構成の物品取付具は、簡易な取付を実現することができる。しかし、上ピンの長さがルーバーの幅に合わない場合には、ガタツキ等の要因になる。このため、製品として販売する場合には、様々なルーバーの幅に対応した物品取付具を複数梱包するようにしていた。
【0004】
このような実状を鑑み、特許文献2、3に開示されているような物品取付具が提案されている。特許文献2、3に開示されている物品取付具は、いずれも、フック状を成す上ピンに相当する部分が、この上ピンの軸に形成されたネジに螺合するスクリューナットに対してスライドし、スクリューナットを基点としたルーバーへのフック位置を調整することが可能な構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−142733号公報
【特許文献2】特開平8−244516号公報
【特許文献3】特開平9−86257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
確かに、特許文献2、3に開示されているような構成の物品取付具によれば、取付対象とするルーバーの幅に合わせてフック部(上ピン)の長さを変える事ができ、物品取付時のガタツキを抑制することができる。
【0007】
しかし、特許文献2、3に開示されている物品取付具は、位置合わせのために、スクリューナットを締めつけた場合、いずれもスクリューナットに螺合する上ピンが物品取り付け側に突出することとなる。このため、物品の内側に突出したり、物品とエアコン吹き出し口との隙間が大きくなったりしていた。
【0008】
そこで本発明では、このような問題を解決し、取り付け幅の調整が可能であっても、物品取り付け側への突出を無くす事のできるエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具は、エアコン吹き出し口に挿入されるネジ部と、物品を係合させる取付基部と、前記ネジ部と前記取付基部との間に配置されて前記エアコン吹き出し口に設けられたルーバーの前端に当接すると共に前記ネジ部を回転させるアジャスト部とを有する本体と、前記ルーバーの後端に係合するフック部を有し、前記ネジ部に螺合して当該ネジ部の軸線方向への移動を可能とするスライダーと、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するための本発明に係るエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具としては、エアコン吹き出し口に挿入されるネジ部と、物品を係合させる取付基部と、前記ネジ部と前記取付基部との間に配置されて前記ネジ部を回転させるアジャスト部とを有する本体と、前記エアコン吹き出し口に設けられたルーバーの後端に係合するフック部を有し、前記ネジ部に螺合して当該ネジ部の軸線方向への移動を可能とするスライダーと、前記ネジ部の延設方向に沿って配置され、前記スライダーが前記ネジ部の回転と共に回動することを防止するガイド部と、前記ルーバーの前端に当接する当接部とを有するスライドガイドと、を備えることを特徴とするものであっても良い。
【0011】
また、上記のような特徴を有するエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具では、前記ガイド部が前記ネジ部の少なくとも一部を覆っている構成とすると良い。このような構成とすることで、ネジ部を保護することができる。また、スライダーを構成するフック部の向きを容易に把握することが可能となり、目視し難いルーバーの後端へフック部を係合させることが容易になる。
【0012】
また、上記のような特徴を有するエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具では、前記スライダーにおける前記ネジ部に対する螺合範囲をネジ部外周の1/2以下の範囲とし、前記ガイド部は、前記ネジ部の少なくとも一部を覆い、前記ネジ部の先端側には、前記ネジ部の撓みを解放する逃げ部を備えているようにすると良い。このような構成とすることで、スライダーがネジ部の先端に移動して動きが規制された際、ネジ部が逃げ部の方向へ撓み、空回りを生じさせる。これにより、加負荷による破損を防止する事ができる他、スライダーの位置を目視できない状況においても、いわゆる歯飛び時に生じる音により、スライダーがネジ部の先端に位置した事を知る事ができる。
【0013】
また、上記のような特徴を有するエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具では、前記当接部は、前記アジャスト部配置側となる前記スライドガイドの端部に配置されているようにすると良い。このような構成とすることによれば、ネジ部の締め込みを完了させる前に、スライダーと当接部によるルーバーの挟み込みを成すことができる。よって、物品取付具を安定させた状態でネジ部の締め込みを行うことができる。
【0014】
また、上記のような特徴を有するエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具では、前記当接部は、前記ルーバーの前端に係合するフック形状とすると良い。このような構成とすることによれば、スライダーと当接部により、ルーバーの前後端を包み込むように取り付けることができる。よって、物品取付具の取り付け状態を安定させることができる。
【0015】
また、上記のような特徴を有するエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具では、前記アジャスト部に前記取付基部としての機能を持たせ、前記取付基部と前記アジャスト部とを一体物とすることもできる。このような構成とすることで、本体を小型化することができ、物品側への突出部をより小さくすることが可能となる。
【0016】
また、上記のような特徴を有するエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具では、前記取付基部は、前記ネジ部と別体となるように構成しても良い。このような構成とする事によれば、アジャスト部の操作によりネジ部が回動した場合でも、取付基部は、回動しないこととなる。このため、取付基部に対してドリンクホルダー等の物品を取り付けた状態で、ネジ部の調整を行う事が可能となる。
【0017】
さらに、上記のような特徴を有するエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具において前記取付基部には、前記当接部としての機能を担うと共に、前記ルーバーの下面を支持する爪部を備えるようにすると良い。このような構成とすることで、支持範囲を広くとることができる。よって、ルーバーの形状や幅の大小に関わらず、物品取付具を安定してルーバーに保持させる事が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
上記のような特徴を有するエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具によれば、ルーバーの幅に合わせた取り付け幅の調整を可能とした場合であっても、物品取り付け側への突出を無くす事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態に係る物品取付具の構成を示す正面図である。
図2】第1の実施形態に係る物品取付具の正面構成を示す部分断面図である。
図3】物品取付具を構成する本体の構成を示す正面図である。
図4】物品取付具を構成するスライダーの構成を示す正面図である。
図5】物品取付具を構成するスライダーの構成を示す左側面図である。
図6】物品取付具を構成するスライダーの構成を示す平面図である。
図7】物品取付具を構成するスライドガイドの構成を示す平面図である。
図8】物品取付具を構成するスライドガイドの構成を示す左側面図である。
図9図8におけるA−A断面を示す図である。
図10】スライドガイドに付帯するフック部の構成を示す正面図である。
図11】スライドガイドに付帯するフック部の構成を示す右側面図である。
図12】スライドガイドに付帯するフック部の構成を示す平面図である。
図13】実施形態に係る物品取付具の取付手順を説明するための図である。
図14】第2の実施形態に係る物品取付具の構成を示す斜視図である。
図15】第3の実施形態に係る物品取付具の構成を示す斜視図である。
図16】第3の実施形態に係る物品取付具の長手方向における断面構成を示す斜視図である。
図17】第3の実施形態に係る物品取付具において、ネジ部に逃げが生じた状態を示す長手方向における断面図である。
図18】第3の実施形態に係る物品取付具における第1の応用形態を示す斜視図である。
図19】第3の実施形態に係る物品取付具における第2の応用形態を示す斜視図である。
図20】物品取付具を構成するスライダーの構成の変形例を示す左側面図である。
図21】実施形態に係る物品取付具を介してドリンクホルダーを取り付けた使用状態を示す図である。
図22】取付対象として芳香剤を取り付けた使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、最適な形態の一例を示すものである。よって本発明に係るエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具は、その機能を発揮することができる範囲であれば、具体的な形状を同一とする必要は無い。
【0021】
まず、図1から図12を参照して第1の実施形態に係るエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具(以下、単に物品取付具と称す)の具体的構成を示す。なお、図1は、第1の実施形態に係る物品取付具の正面構成を示す図であり、図2は、同部分断面図である。また、図3は、物品取付具を構成する本体の構成を示す正面図である。図4は、物品取付具を構成するスライダーの正面構成を示す図であり、図5は、同左側面図、図6は、同平面図をそれぞれ示す。図7は、スライドガイドの構成を示す正面図であり、図8は、同左側面図、図9図8におけるA−A断面を示す図である。図10は、スライドガイドに付帯するフック部の構成を示す正面図であり、図11は、同右側面図、図12は、同平面図をそれぞれ示す。
【0022】
本実施形態に係る物品取付具10は、本体12と、スライダー20、及びスライドガイド26を基本として構成されている。本体12は、車両におけるエアコン噴出し口に挿入されるネジ部14と、取り付け対象となる物品を係合させる取付基部18と、ネジ部14と取付基部18との間にアジャスト部16を備える構成としている。ネジ部14は、詳細を後述するスライダー20を螺合させるための部材である。また、取付基部18は、例えば図15に示すように、ドリンクホルダー52などの物品を取り付けるための部位であり、基部18aと先端部18cとの間に括れ部18bが設けられ、抜け止めが図られる構成とされている。
【0023】
アジャスト部16は、本体12を構成するネジ部14の延設方向と交差する方向に大径化されており、アジャスト部16を回動させることにより、アジャスト部16に一体形成されているネジ部14、及び取付基部18も回動することとなる。本実施形態では、アジャスト部16は、その断面を略円形とし、外周部には、滑り止め用のローレット加工が施されている。
【0024】
スライダー20は、本体12を構成するネジ部14の軸線方向に沿って移動する役割を担う部材である。本実施形態に係るスライダー20は、螺合部22と、フック部24とを有する。螺合部22は、ネジ部14の回転に起因して、ネジ部14の軸線方向に沿ってスライダー20を移動させることが可能であれば、ネジ部14の周囲全体を覆う必要はない。本実施形態では、スライダー20が、詳細を後述するスライドガイド26により支持されている。このため、ネジ部14との接触部は、フック部24の基端側に位置する一部のみとされており、このフック部24の基端側におけるネジ部14との接触部に、ネジ部14のピッチに合致する凹凸を設け、これを螺合部22としている。
【0025】
フック部24は、エアコン吹き出し口に設けられた風向き調整用のフィン(ルーバー50)に、スライダー20を係合させるための役割を担う。このためフック部24は、J字型の体を成し、基端部と先端部との間に形成される隙間が、少なくとも一般的なルーバー50の厚み以上の間隔を持つように構成する。このような構成とすることで、スライダー20のフック部24をルーバー50の後端に係合させることが可能となるからである。
【0026】
スライドガイド26は、上述したスライダー20の回り止めを図り、スライダー20が有効にネジ部14の軸線方向へ移動することをサポートする役割を担う。本実施形態のスライドガイド26は、本体12を構成するネジ部14を覆うガイド部28と、組付け状態で本体を構成するアジャスト部16側に配置される当接部30とを有する。
【0027】
ガイド部28は、いわゆるスリーブ状にネジ部14を覆い、軸線方向に沿ったスリットを備える構造としている。本実施形態では、図8に示すように、図中下端部側にスリットを設ける構成としている。スリットの壁面をガイドレールとしてスライダー20を配置した上で、螺合部22をネジ部14に接触させる構造とすることで、スライダー20のガタツキを抑制し、安定した移動を実現することが可能となる。
【0028】
当接部30は、ルーバー50の前端部に当接、あるいは係合し、本体12がエアコン吹き出し口の内部に潜り込まないようにする役割を担う。本実施形態では、当接部30にフック部32を備え、ルーバー50の前端に係合可能な構成としている。このような構成から、当接部30のフック部32は、スライダー20のフック部24と向かい合う形態を採ることとなる。
【0029】
このような構成の物品取付具10によれば、スライダー20の移動により、取り付け幅の調整が可能であるため、ルーバー50の幅の違いによる取付時のガタツキを抑制し、安定した取り付け状態を確保することができる。また、取り付け状態では、本体12を構成するネジ部14がエアコン吹き出し口の中に収まるため、物品取り付け側への突出を無くすことができる。なお、上記実施形態では、スライドガイド26と当接部30を別体で構成しているように示したが、スライドガイド26と当接部30とを一体として構成したとしても、本実施形態に係る物品取付具10が奏する効果に影響を与えるものでは無い。
【0030】
次に、上記のような構成の物品取付具10をエアコン吹き出し口へ取り付ける際の手順について説明する。まず、図13(A)に示すように、アジャスト部16を回転させ、スライダー20をネジ部14の先端側へ移動させる。スライダー20を移動させた状態で、ネジ部14、およびネジ部14を覆うスライドガイド26をエアコン吹き出し口に挿入し、ルーバー50の後端にスライダー20のフック部24を係合させる。ここで、積層配置されているルーバー50の配置間隔が狭い場合には、本体12、スライドガイド26、およびスライダー20を挿入方向回りに90°回転させた状態で挿入することで、スライダー20の引っ掛かりを避けることができる。
【0031】
スライダー20のフック部24をルーバー50の後端に係合させた後、図13(B)に示すように、スライドガイド26をスライダー20側に押し込む事で、スライドガイド26に設けた当接部30のフック部32を、ルーバー50の前端に係合させる。この動作により、ルーバー50の前後端をフック部32とフック部24で挟み込むかたちとなり、係合状態を安定させることができる。
【0032】
スライダー20のフック部24と、当接部30のフック部32によりルーバー50の前後を挟み込んだ後、アジャスト部16を回転させることで、本体12を構成するネジ部14は、スライダー20を基点として相対的にスライドガイド26側に移動する。ネジ部14が移動することにより、アジャスト部16がスライドガイド26の端部に配置した当接部30に当接したところで、図13(C)に示すように、固定(取り付け)が完了する。
【0033】
なお、上記説明では、スライダー20のフック部24をルーバー50の後端に係合させた後、スライドガイド26をスライダー20側に押し込む旨説明した。しかしながら、フック部24をルーバー50の後端に係合させた後、単にアジャスト部16を回転させるだけでも良い。このような方法を採った場合であっても、アジャスト部16は、スライダー20側に引き寄せされ、物品取付具の固定を完了させることができるからである。
【0034】
次に、本発明のエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具の第2の実施形態について、図14を参照して、詳細に説明する。
【0035】
本実施形態に係る物品取付具10Aも、本体12と、スライダー20、及びスライドガイド26を基本とする構成は、上述した第1の実施形態に係る物品取付具10と同様である。第1の実施形態に係る物品取付具10との相違点としては、スライダー20の形態と、スライドガイド26の形態、及び本体12とスライダー20、及びスライドガイド26を二個一対として構成するための取付ベース34を備えている点である。
【0036】
本実施形態に係るスライダー20は、螺合部22が本体12を構成するネジ部14の外周を覆う形態としている。これは、スライドガイド26の形態との相対的な割合の変化によるものである。本実施形態に係るスライドガイド26は、ネジ部14に沿って配置された棒状部材であり、スライダー20の一部(図14に示す例では、螺合部22の一部)がスライドガイド26に沿う摺動部を持つ事で、アジャスト部16を回転させた際、スライダー20がネジ部14の回転に供回りする事無く、ネジ部14の延設方向に沿って移動することとなる。なお、本実施形態におけるスライドガイド26は、詳細を後述する取付ベース34を基点として、ネジ部14の延設方向に沿って配置されている。
【0037】
取付ベース34は、本体12、スライダー20、及びスライドガイド26を二個一対として組み付けるためのホルダーであり、第1の実施形態に係る物品取付具10における当接部30としても役割も担う要素である。ドリンクホルダー52などの耐荷重の設定が高い物品をエアコンの吹き出し口に取り付ける際には、複数の物品取付具を用いる事が多い。このため、取付ベース34を介して予め2つの本体12、スライダー20、及びスライドガイド26を配置し、ルーバー50への取り付けを終えた後、取付ベース34へ物品を係合させるようにする事で、物品の取り付けを容易に行う事が可能となる。このような構成とした場合、本実施形態に係る本体12には、物品を係合させるための取付基部18(図1参照)が不要となる。
【0038】
取付ベース34には、2つの本体取付穴36と、2つのスライドガイド取付穴38が備えられている。本体取付穴36とスライドガイド取付穴38は、いずれもルーバー50の配置方向(水平方向)に長軸を持つ長穴とすると良い。本体取付穴36とスライドガイド取付穴38をこのような長穴とする事で、対を成す本体12、およびスライドガイド26の配置間隔を調節する事が可能となる。なお、本体取付穴36とスライドガイド取付穴38は、必ずしも独立した穴でなく、図14に示すように、各穴の一部が連結されているものであっても良い。
【0039】
このような構成の物品取付具10Aでは、ルーバー50の後端には、スライダー20のフック部が係合する。一方、ルーバー50の前端には、取付ベース34が当接することとなる。
【0040】
このような構成の物品取付具10Aであっても、上述した第1の実施形態に係る物品取付具10と同様に、ルーバー50の幅に合わせた取り付け幅の調整が可能となる。よって、ルーバー50の幅の違いによる取付時のガタツキを抑制し、安定した取り付け状態を確保することができる。また、取り付け状態では、本体を構成するネジ部14がエアコン吹き出し口の中に収まるため、物品取り付け側への突出を無くすことができる。
【0041】
また、上記実施形態では、いずれも、スライドガイド26を必須要素であるように記載した。しかしながら、本発明に係る物品取付具10,10Aを構成する上では、必ずしもスライドガイド26を設ける必要は無い。上記実施形態では、スライドガイド26は、主に、スライダー20がネジ部14の回転に供回りする事を防止する役割を担っていた。しかし、スライダー20は、フック部24がルーバー50の後端に係合した後は、ネジ部14が回転したとしても、これに供回りする事無くネジ部14に沿って移動することとなる。
【0042】
よって、スライドガイド26が無い場合であっても、上記実施形態に係る物品取付具10,10Aと同様な効果を得ることができる。しかし、スライドガイド26を備える事により、スライダー20におけるフック部32の向きの把握が容易になる。このため、目視し辛いルーバー50の後端へフック部24を係合させる事が容易になるといった効果を得ることができるため、望ましくは、スライドガイド26を備えるようにすると良い。
【0043】
また、第2の実施形態では、取付ベース34に物品を係合させる構成とすることで、本体12を構成する取付基部18を無くす事ができる旨記載した。これと同様に、アジャスト部16に、取付基部18の機能を持たせることによっても、取付基部を省略することが可能となる。
【0044】
次に、本発明のエアコン吹き出し口のルーバーに対する物品取付具の第3の実施形態として、第2の実施形態に係る物品取付具10Aにおける取付ベース34に取付基部18を設ける構成について図15から図17を参照して説明する。なお、図15は、第3の実施形態に係る物品取付具の構成を示す斜視図であり、図16は、同側断面を示す図である。さらに図17は、同側断面において、本体のネジ部が撓んだ様子を示す図である。
【0045】
本実施形態では、本体12をネジ部14とアジャスト部16により構成している。そして、取付ベース34をホルダとして、本体12を回転自在に保持する構成としている。取付ベース34には、保持した本体12におけるネジ部14の突出方向と反対方向に向けて取付基部18が延設されている。このような構成とした場合でも、アジャスト部16は、ネジ部14と取付基部18との間に位置することとなる。また、このような構成とした場合、アジャスト部16を操作した際に、取付基部18が回動する事はない。このため、取付基部18にドリンクホルダー52(図21参照)等の物品を取り付けた状態であっても、アジャスト部16を操作することが可能となる。
【0046】
本実施形態においてスライドガイド26は、取付ベース34の基部に固定されることとなる。そして、スライドガイド26における、ネジ部14の先端に対応する部分は、ガイド部28のスリーブ状部分が開放された開放部(逃げ部)28aが設けられて、ネジ部14が外部に覗く状態に構成されている。また、スライドガイド26には、ガイド部28の先端に、スライダーの脱落を防止するためのストッパ28bが設けられている。
【0047】
このような構成とする事で、アジャスト部16の操作により、スライダー20がネジ部14の先端まで来て移動が規制された際の破損防止や、ストッパ28bを乗り越えての脱落の防止等を図ることができる。具体的には、スライダー20がネジ部14の先端まで移動した際、ネジ部14が更に回動すると、ネジ部14はスライダー20の螺合部22から、離間する方向、すなわちガイド部28が開放されている方向へ撓み、螺合部22のネジ山を乗り越えて空回りを生じさせる(図17参照)。これにより、ネジ部14を無理やり回す事による破損を防ぐことができるのである。また、ネジ部14の撓みにより空回りが生じる事により、ネジ部14と螺合部22との間には、いわゆる歯飛びに起因する音が生じる。これにより、ネジ部14の先端が視認できない状態であっても、スライダー20がネジ部14の先端に到達した事を知ることができる。
【0048】
また、本実施形態に係る物品取付具10Bでは、スライドガイド26と取付ベース34との接続部位が当接部30の役割を果たす構成とされている。そして、取付ベース34には、当接部30の延長として、ルーバー50の下面側を支持する爪部34aが設けられている。このような爪部34aを設ける事により、ルーバー50の形状に関わらず、物品取付具10Bの取付状態を安定させることができる。
【0049】
また、上記実施形態では、ネジ部14の先端を逃がすために、スライドガイド26の先端側に位置するガイド部28に開放部28aを設ける旨記載した。しかしながら、ネジ部14の先端が逃げるスペースを確保することができれば、ガイド部28の先端を解放構造とする必要はない。すなわち、図18に示すように、ガイド部28の先端部分におけるスリーブの内部空間を広げるように、拡幅部28cを設けるようにし、これを逃げ部としても良い。このような構成とした場合であっても、ネジ部14と螺合部22との間での空回りを生じさせることができるからである。
【0050】
また、同様な考え方から、図19に示すように、スライドガイド26を構成するガイド部28のスリーブ部分の一部にスリット28dを設け、ネジ部14の撓みに従ってガイド部28も撓むように構成しても良い。なお、このようにガイド部28を撓む構成とする場合、スリット28dの位置を変える事で、相対的にスライダー20を保持している部分が撓むようにしても良い。
【0051】
また、上記実施形態においては、スライダー20の螺合部22を解放型とする際、フック部と反対側に位置する部位、すなわちスライダー20の上部を解放する構成とするように記載した。しかしながら、その形状を工夫する事で、図20に示すように、スライダー20の側面に螺合部22の開放部を設けるようにしても良い。このような形態とした場合、ネジ部14の逃げを物品取付具10Bの側面に配置する事ができる。これにより、ルーバー50の幅が狭く、上側に隙間を設けられないような場合でも、本実施形態に係る物品取付具10Bを適用することが可能となる。
【0052】
図21、及び図22に、本願に係る物品取付具10の使用状態の例を示す。図21は、取付対象とする物品を一般的なドリンクホルダー52とした場合の例である。取付基部18に、ドリンクホルダー52を係合させ、ドリンクホルダー52の下部から、エアコン吹き出し口周辺部へ当接するガイド54を延設させる構成としている。このような構成とする事で、物品取付具10に対するせん断力を軽減することができる。
【0053】
また、図22は、取付対象とする物品を芳香剤56とした場合の例である。このように、取付基部18に係合可能な構成を持っていれば、物品の大きさに多少の大小があったとしても、取付に影響を与えるものでは無い。
【符号の説明】
【0054】
10,10A,10B………物品取付具、12………本体、14………ネジ部、16………アジャスト部、18………取付基部、18a………基部、18b………括れ部、18c………先端部、20………スライダー、22………螺合部、24………フック部、26………スライドガイド、28………ガイド部、28a………開放部、28b………ストッパ、28c………拡幅部、28d………スリット、30………当接部、32………フック部、34………取付ベース、34a………爪部、36………本体取付穴、38………スライドガイド取付穴、50………ルーバー、52………ドリンクホルダー、54………ガイド、56………芳香剤。
図1
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