(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物]
紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)は、(A)(メタ)アクリロイルオキシ基を含有するポリオルガノシロキサン、(B)(メタ)アクリロイル基を有する有機ケイ素化合物で表面処理された煙霧質シリカ、及び(C)光反応開始剤を含む。(メタ)アクリロイルオキシ基は、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくとも一方を意味する。(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を意味する。
【0010】
樹脂組成物は、加熱された状態あっても、圧縮永久歪が小さい硬化物を与えるのが好ましい。ここで、加熱温度は、40℃以上であるのが好ましく、通常の有機樹脂が軟化劣化を起こす120℃以上であるのがより好ましく、120℃〜200℃であるのが更に好ましい。樹脂組成物は、120℃での圧縮永久歪が小さい硬化物を与えるのが特に好ましい。
【0011】
<(A)(メタ)アクリロイルオキシ基を含有するポリオルガノシロキサン>
組成物は、(A)(メタ)アクリロイルオキシ基を含有するポリオルガノシロキサンを含む。表面の硬化性及び硬度が高まる点から、(A)は、アクリロイルオキシ基を含有するポリオルガノシロキサンが好ましい。また、組成物が湿気硬化性を有し、これにより硬化物の表面硬化性が高まる点から、(A)は、更にアルコキシ基を有するのが好ましい。(A)は、直鎖状又は分岐鎖状であってもよいが、直鎖状が好ましい。
【0012】
直鎖状の(A)としては、(A1)式(I):
【化3】
〔式(I)中、
Rは、独立して、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基、C1〜C6アルコキシ基又は式(a):
【化4】
(ここで、R
aは、独立して、水素原子又はメチルであり、
Q
1は、独立して、C1〜C5アルキレン基である)で示される基であるが、
少なくとも1個のRは、式(a)で示される基であり、
nは、(A1)の粘度を、100〜100,000mPa・sとする値である〕
で示されるポリオルガノシロキサンが好ましい。
【0013】
式(I)において、式(a)で示される基であるRは、その合成の容易さ、反応性及び得られる特性の観点から、好ましくは1〜10個であり、より好ましくは2〜5個である。
【0014】
式(a)で示される基であるRは、式(I)中のいずれのケイ素原子に結合していてもよいが、末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。得られる硬化物の柔軟性の点から、両末端のケイ素原子に結合していることがより好ましく、両末端のケイ素原子にのみ結合していることが更に好ましく、特に好ましくは両末端のケイ素原子にのみ、それぞれ1個ずつ、式(a)で示される基であるRが結合していることである。
【0015】
R
aは、表面硬化性及び硬度が高まる点から、水素原子が好ましい。
【0016】
Q
1は、C1〜C5アルキレン基であり、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。Q
1は、(メタ)アクリル官能基の反応性の点から、炭素原子数3以上の鎖長を有することが好ましく、得られる硬化物の耐久性、透明性の観点から、より好ましくはトリメチレン基(−(CH
2)
3−)である。
【0017】
式(I)において、式(a)で示される基以外のRは、C1〜C6アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基等であり、好ましくは、メチル基である)、C6〜C12アリール基(例えば、フェニル基、トリル基等であり、好ましくは、フェニル基である)、C1〜C6アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等であり、好ましくは、メトキシ基である)である。合成の容易さ、経済的観点から、メチル基が好ましい。また、組成物が室温硬化性を有し、これにより硬化物の硬度が高まることから、少なくとも1個のRは、C1〜C6アルコキシ基であるのが好ましい。
【0018】
nは、(A1)の粘度を、100〜100,000mPa・sとする値であり、硬化物の柔軟性が高まることによって、圧縮永久歪(好ましくは、加熱された状態の圧縮永久歪)がより小さくなる点から、300〜75,000mPa・sとする値が好ましく、500〜50,000mPa・sとする値がより好ましく、700〜30,000mPa・sとする値が更に好ましく、1,500〜20,000mPa・sとする値が特に好ましい。
【0019】
良好な硬化性が得られる点から、(A)は、(A1’)式(I’):
【化5】
〔式中、
R
1は、水素原子又はメチル基であり、
R
2は、トリメチレン基であり、
R
3は、C1〜C4アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等であり、メチル基が好ましい)又はC1〜C4アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等であり、メトキシ基が好ましい)であり、
R
4は、C1〜C4アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等であり、メチル基が好ましい)であり、
nは、(A1’)の粘度を100〜100,000mPa・sとする値である)
で示されるポリオルガノシロキサンが特に好ましい。
【0020】
組成物が湿気硬化性を有し、これにより硬化物の表面硬化性が高まる点から、少なくとも1個のR
3は、C1〜C6アルコキシ基であるのが好ましく、全てのR
3が、C1〜C6アルコキシ基であるのが特に好ましい。
【0021】
式(I’)において、R
1がメチル基又は水素原子であり、R
2がトリメチレン基であり、R
3がメトキシ基又はメチル基であり、R
4がメチル基であり、nが(A1’)の粘度を100〜100,000mPa・sとする値であるポリオルガノシロキサンが好ましい。
【0022】
分岐状の(A)としては、(A2)下記平均式:
【化6】
(式中、
R
bは、独立して、水素原子又はメチル基であり、
Q
2は、独立して、C1〜C5アルキレン基であり、
R
11は、独立して、C1〜C6アルキル基又はC6〜C12アリール基であり、
R
12は、独立して、C1〜C6アルキル基又はC6〜C12アリール基であり、
R
13は、独立して、C1〜C6アルキル基又はC6〜C12アリール基であり、
pは、1〜10であり、
qは、0〜10であり、
rは、0〜100であり、
sは、0〜10であり、
p/(p+q+r+s)≧0.02である)
で示される分岐状ポリオルガノシロキサンが好ましい。
【0023】
R
bは、合成上の容易さ、貯蔵安定性の点から、メチル基が好ましい。
Q
2は、Q
1と同義であり好ましい範囲も同様である。
【0024】
R
11は、C1〜C6アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基等であり、好ましくは、メチル基である)、又はC6〜C12アリール基(例えば、フェニル基、トリル基等であり、好ましくは、フェニル基である)である。合成の容易さ、経済的観点から、メチル基が好ましく、光学的観点、高屈折率を得る点から、フェニル基が好ましい。
R
12及びR
13は、R
11と同義であり好ましい範囲も同様である。
【0025】
pは、好ましくは1〜8であり、特に好ましくは1〜5である。
qは、好ましくは0〜8であり、特に好ましくは0〜5である。
rは、好ましくは1〜80であり、特に好ましくは2〜70である。
sは、好ましくは0〜8であり、特に好ましくは0〜6である。
良好な硬化性を得る点から、好ましくは、p/(p+q+r+s)≧0.06であり、特に好ましくは、p/(p+q+r+s)≧0.10である。
【0026】
(A2)としては、次のような平均式で示される分岐状ポリオルガノシロキサンが挙げられる。ただし、平均式中に存在する場合、q、r、sは0ではないものとする。
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{CH
3SiO
3/2}q{(CH
3)
2SiO}r{(CH
3)
3SiO
1/2}s
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{(CH
3)
2SiO}r{(CH
3)
3SiO
1/2}s
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{CH
3SiO
3/2}q{(CH
3)
3SiO
1/2}s
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{CH
3SiO
3/2}q{(CH
3)
2SiO}r
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{(CH
3)
3SiO
1/2}s
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{CH
3SiO
3/2}q
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{(CH
3)
2SiO}r
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{Ph
3SiO
3/2}q{(CH
3)
2SiO}r{(CH
3)
3SiO
1/2}s
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{Ph
3SiO
3/2}q{(CH
3)
2SiO}r
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{Ph
3SiO
3/2}q{(CH
3)
3SiO
1/2}s
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{Ph
3SiO
3/2}q
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{CH
3SiO
3/2}q{Ph
2SiO}r{(CH
3)
3SiO
1/2}s
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{CH
3SiO
3/2}q{Ph
2SiO}r
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{Ph
2SiO}r{(CH
3)
3SiO
1/2}s
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{Ph
2SiO}r
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{CH
3SiO
3/2}q{(CH
3)
2SiO}r{Ph
3SiO
1/2}s
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{CH
3SiO
3/2}q{Ph
3SiO
1/2}s
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{(CH
3)
2SiO}r{Ph
3SiO
1/2}s
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{Ph
3SiO
1/2}s
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{PhSiO
3/2}q{Ph
2SiO}r{(CH
3)
3SiO
1/2}s
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{PhSiO
3/2}q{Ph
2SiO}r
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{PhSiO
3/2}q{(CH
3)
2SiO}r{Ph
3SiO
1/2}s
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{PhSiO
3/2}q{Ph
3SiO
1/2}s
{CH
2=C(CH
3)−C(=O)−O−(CH
2)
3SiO
3/2}p{PhSiO
3/2}q{Ph
2SiO}r{Ph
3SiO
1/2}s
【0027】
(A2)は、重量平均分子量が500〜100,000であるものが好ましく、より好ましくは1,000〜80,000であり、特に好ましくは1,000〜60,000である。ここで重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ分析(GPC)により、ポリスチレンを検量線とした値とする。
【0028】
(A)は、単独又は2種以上を組み合せて用いることができる。組成物は、(A)が(A1)のみからなるのがより好ましく、(A1’)のみからなるのが特に好ましい。また、硬化性が高まる点から、(A)は、直鎖状のポリオルガノシロキサン及び分岐状のポリオルガノシロキサンの組合せであってもよい。
【0029】
<(B)(メタ)アクリロイル基を有する有機ケイ素化合物で表面処理された煙霧質シリカ>
組成物は、(B)(メタ)アクリロイル基を有する有機ケイ素化合物で表面処理された煙霧質シリカを含む。(B)は、組成物の硬化物に低い圧縮永久歪を付与する成分である。また、(B)は、樹脂組成物の相溶性及び/又はチキソトロピー性向上を付与する成分でもある。(メタ)アクリロイル基を有する有機ケイ素化合物は、煙霧質シリカの表面処理剤である。この表面処理剤で表面処理された煙霧質シリカの表面には、(メタ)アクリロイル基が存在している。
【0030】
(メタ)アクリロイル基を有する有機ケイ素化合物としては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−アクリロキシエチルトリエトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられ、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。(メタ)アクリロイル基を有する有機ケイ素化合物は、単独又は2種以上を組み合せて用いることができる。
【0031】
(B)は、(メタ)アクリロイル基を有する有機ケイ素化合物及び(メタ)アクリロイル基を有さない有機ケイ素化合物で表面処理された煙霧質シリカであってもよい。(B)が、(メタ)アクリロイル基を有する有機ケイ素化合物に加えて、更に、(メタ)アクリロイル基を有さない有機ケイ素化合物で表面処理されていると、煙霧質シリカ表面に存在するシラノール基の量が非常に少なくなる。これにより、硬化物の圧縮永久歪(好ましくは、加熱された状態の圧縮永久歪)がより小さくなり、表面硬化性が高まる。(メタ)アクリロイル基を有さない有機ケイ素化合物としては、例えばヘキサメチルジシラザン、オクタメチルトリシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザン等のオルガノシラザン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等のオルガノアルコキシシラン類;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン等のオルガノクロロシラン類;及びその部分加水分解物等が挙げられ、オルガノシラザン類及びオルガノクロロシラン類が好ましい。(メタ)アクリロイル基を有さない有機ケイ素化合物は、単独又は2種以上を組み合せて用いることができる。
【0032】
(B)のBET比表面積は、特に限定されないが、50〜400m
2/gであるのが好ましい。BET比表面積が50m
2/g以上であると、圧縮永久歪がより小さい硬化物が得られる傾向がある。BET比表面積は、より好ましくは100〜350m
2/gであり、特に好ましくは140〜300m
2/gである。
【0033】
(B)のpHは、特に限定されないが、5.0〜9.0であるのが好ましい。(B)のpHとは、50容積%メタノール/イオン交換水溶液を使用して、40g/Lの濃度に調製したシリカ分散液の23℃におけるpHを指す。通常、未処理のシリカは表面にシラノール基が多く残っており、水分散液のpHは酸性である。そのため、シリカ表面を化学処理し、シラノール基の数を減らし、シリカの水分散液のpHを5.0〜9.0とすることにより、樹脂組成物のチキソトロピー性発現に寄与し、塗布後の範囲外への流動抑制に有効に働いているものと考えられる。pHは、5.5〜9.0であるのがより好ましく、6.0〜9.0であるのが特に好ましい。
【0034】
(B)の炭素含有量は、特に限定されないが、2.0〜10.0質量%であるのが好ましい。(B)の炭素含有量が前記範囲であると、シリカの水分散液のpHを所望の範囲としやすい傾向がある。(B)の炭素含有量は、より好ましくは2.5〜8.0質量%である。(B)の炭素含有量は、(B)を800℃で完全燃焼した後、燃焼ガス成分中の二酸化炭素をTCDガスクロマトグラフで検出・定量することにより算出された値である。
【0035】
(メタ)アクリロイル基を有する有機ケイ素化合物で煙霧質シリカ粉末を表面処理する方法としては、BET比表面積が好ましくは50m
2/g以上、特に好ましくは50〜400m
2/gの未処理の煙霧質シリカ粉末と、(メタ)アクリロイル基を有する有機ケイ素化合物とを密閉容器内に入れ、室温〜400℃の温度で化学反応又は物理吸着させた後、分解生成物等を揮発させる方法がある。この方法以外に、(A)と、前記の未処理の煙霧質シリカ粉末と、(メタ)アクリロイル基を有する有機ケイ素化合物とをニーダー、バンバリーミキサー、二本ロール、ゲートミキサー、プラネタリーミキサー等で混合、混練し、次いで必要により常圧あるいは減圧下、50℃〜200℃で1時間〜20時間ほど上記混練機、乾燥機等を用いて加熱処理を行う方法を用いることもできる。(B)が、更に(メタ)アクリロイル基を有さない有機ケイ素化合物で表面処理された煙霧質シリカである場合、(メタ)アクリロイル基を有さない有機ケイ素化合物で煙霧質シリカを表面処理する方法としては、(メタ)アクリロイル基を有する処理剤で処理されたシリカ粉末と(メタ)アクリロイル基を有さない有機ケイ素化合物とを混合して表面処理を行うか、未処理の煙霧質シリカ粉末と、(メタ)アクリロイル基を有する化合物と、(メタ)アクリロイル基を有さない有機ケイ素化合物とを混合して表面処理を行ってもよいが、(メタ)アクリロイル基を有する処理剤で処理されたシリカ粉末と混合して表面処理を行うのが好ましい。また、(B)及び未処理の煙霧質シリカ粉末は、市販の材料を用いてもよい。
【0036】
(B)は、単独又は2種以上を組み合せて用いることができる。
【0037】
<(C)光反応開始剤>
(C)光反応開始剤を含む。(C)は、(A)と(B)とを光架橋させる際のラジカル開始剤として、又は増感剤として機能する成分である。(C)は、反応性の観点から、芳香族炭化水素、アセトフェノン及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導体、o−ベンゾイル安息香酸エステル、ベンゾイン及びベンゾインエーテル並びにその誘導体、キサントン及びその誘導体、ジスフィルド化合物、キノン化合物、ハロゲン化炭化水素及びアミン類、有機過酸化物が挙げられる。シリコーンとの相溶性、安定性の観点から、置換又は非置換のベンゾイル基を含有する化合物又は有機過酸化物がより好ましい。
【0038】
(C)としては、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IRGACURE 651:BASF社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(DAROCUR 1173:BASF社製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE 184:BASF社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE 2959:BASF社製)、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(IRGACURE 127:BASF社製)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907:BASF社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(IRGACURE 369:BASF社製)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(IRGACURE 379:BASF社製);2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(LUCIRIN TPO:BASF社製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(IRGACURE 819:BASF社製);1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](IRGACURE OXE 01:BASF社製)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(IRGACURE OXE 02:BASF社製);オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物(IRGACURE 754:BASF社製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル(DAROCUR MBF:BASF社製)、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート(DAROCUR EDB:BASF社製)、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート(DAROCUR EHA:BASF社製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI 403:BASF社製)、ベンゾイルペルオキシド、クメンペルオキシド等が挙げられる。
【0039】
相溶性、光反応性の点から、アセトフェノン、プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IRGACURE 651:BASF社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(DAROCUR 1173:BASF社製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE 184:BASF社製)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907:BASF社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(IRGACURE 369:BASF社製)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシド(LUCIRIN TPO:BASF社製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド(IRGACURE 819:BASF社製)が好ましい。
【0040】
(C)は、単独又は2種以上を組み合せて用いることができる。
【0041】
<更なる成分>
組成物は、必要に応じて、金属触媒、反応抑制剤、補強性シリカ、難燃性付与剤、耐熱性向上剤、可塑剤、着色剤、接着性付与材及び希釈剤等の更なる成分を本発明の目的を損なわない範囲で含有することができる。更なる成分は、それぞれ単独又は2種以上を組み合せて用いることができる。組成物は、更に(D)金属触媒を含むのが好ましい。組成物が更に(D)を含むと、表面硬化性が高まる。
【0042】
<<(D)金属触媒>>
(D)は、有機スズ化合物及び有機チタン化合物からなる群より選択される1種以上の金属触媒である。(D)は、(A)のアルコキシ基の縮合反応のための硬化触媒となる成分であるのが好ましい。(D)は、ジメチル錫ジオレエート、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオレエート、ジフェニル錫ジアセテート、酸化ジブチル錫、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)錫、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセチルアセトナートのような有機スズ化合物;及び、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラオクチルチタネート、ジイソプロポキシビス(エチルアセチルアセトナト)チタンのような有機チタン化合物が挙げられる。(D)は、単独又は2種以上を組み合せて用いることができる。
【0043】
<好ましい組成等>
組成物中の(B)の含有量は、(A)及び(B)の合計100
重量部に対して、1〜40
重量部が好ましく、より好ましくは、2〜35
重量部である。組成物中の(B)の含有量が1重量部以上であると、組成物の硬化物の圧縮永久歪がより低下する傾向があり、40重量部以下であると、作業性が向上する傾向がある。
光反応開始作用、硬化時の耐熱性及び視認性(高透過率及び低曇り性)の点から、組成物中の(C)の含有量は、(A)及び(B)の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは、0.05〜3重量部である。
組成物が(D)を含む場合、硬化性を高める点から、組成物中の(D)の含有量は、アルコキシ基を有する(A)及び(B)の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは、0.05〜3重量部である。
組成物が更なる成分を含む場合、組成物中の更なる成分の合計の含有量は、(A)及び(B)の合計100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましい。
組成物は、(A)〜(C)、並びに任意成分を配合することにより得ることができる。
【0044】
<硬化方法>
組成物は、紫外線を照射することによって、硬化させることができる。(C)の反応可能な範囲の波長領域のランプとしては、例えば、ウシオ電機株式会社製の高圧水銀ランプ(UV−7000)、メタルハライドランプ(MHL−250、MHL−450、MHL−150、MHL−70)、韓国:JM tech社製のメタルハライドランプ(JM−MTL 2KW)、三菱電機株式会社製の紫外線照射灯(OSBL360)、日本電池株式会社製 紫外線照射機(UD−20−2)、株式会社東芝製蛍光ランプ(FL−20BLB))、Fusion社製のHバルブ、Hプラスバルブ、Dバルブ、Qバルブ、Mバルブ等が挙げられる。照射量は、100〜10,000mJ/cm
2が好ましく、より好ましくは300〜5,000mJ/cm
2であり、更に好ましくは500〜3,500mJ/cm
2である。
【0045】
<用途>
樹脂組成物は、ポッティング剤、接着剤、パッキン剤、液状ガスケット剤等に用いることができる。樹脂組成物は、電気・電子部品を汚れ、水、湿気等から保護するためのポッティング剤又は液状ガスケット剤であるのが好ましい。樹脂組成物をポッティング剤、接着剤、パッキン剤又は液状ガスケットとして使用する方法は、従来公知の方法を使用することができる。例えば、電気・電子部品の保護を必要とする箇所に樹脂組成物をポッティングした後、必要に応じ乾燥し、更に紫外線を照射し樹脂組成物を硬化させる方法を用いることができる。電気・電子部品としては、半導体装置、プリント基板、電池材料等が挙げられる。
【0046】
<特性>
組成物及びその硬化物は、以下のような好適な物性を有する。
【0047】
〔硬化後のE硬度〕
組成物は、硬化後のE硬度を3〜80とすることができるため、容易に外部からの応力を適度に緩和することができ、かつ高温高湿下でも水分の浸透を抑止できる点で好ましい。E硬度は、好ましくは5〜70である。
【0048】
〔硬化後の伸び〕
組成物は、硬化後の伸びを30%以上とすることができるため、外部からの応力緩和に優れ、耐変形性を確保することができる点で好ましい。硬化後の伸びは、好ましくは60%以上であり、90%以上が特に好ましい。
【0049】
〔強度〕
組成物は、硬化後の引張強度を0.3以上とすることができるため、高い強度を有する。硬化後の引張強度は、0.4以上であるのが好ましく、0.5〜以上であるのが特に好ましい。
【0050】
〔吐出性〕
樹脂組成物は、例えば、ディスペンシング機の吐出ノズル(例えば18G等吐出量に合わせて適宜選択可能)を用い、基板等の特定の範囲内に塗布して使用される。吐出ノズルを使用した際の吐出量が多いほど、処理速度が速く好ましい。吐出性は、18Gのニードルを用い、10秒間吐出した場合の吐出量で評価する。吐出量は0.4g以上であることが好ましく、0.5g以上であることがより好ましく、0.7g以上が更に好ましい。
【実施例】
【0051】
以下、実施例及び比較例によって、本発明を更に詳細に説明する。部、%は、他に断りのない限り、質量部、質量%を表す。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。実施例及び比較例で調製した各組成物の硬化は、ウシオ電機株式会社製:UVL−4001Mを用い、120w/cm
2の紫外線エネルギー照射量にて、積算光量3,000mJ/cm
2で行った。
【0052】
〔物性の評価条件〕
【0053】
(1)圧縮永久歪
圧縮永久歪は、JIS K 6262に準拠して測定した。試験条件温度は、室温(23℃)、120℃、180℃の3条件、養生時間は24時間の値である。
【0054】
(2)表面硬化
前記条件で紫外線を照射した後の組成物の表面を観察し、以下の基準で評価した。「0」は表面硬化性が劣っていることを意味し、「8」に増加するに伴って、表面硬化性が優れる。
0:表面未硬化、液状物多い
1:表面未硬化、多少液状
2:非常に粘着
3:粘着
4:粘着、タック感強い
5:タック感強い
6:多少タック感あり
7:ゴム質
8:タック感無し
(3)硬化後のE硬度
前記条件で組成物の硬化を行った後、JIS K 6250に準拠し、ダンベル状試験片(ダンベル状2号形)を作製した。こうして得た試験片を用い、JIS K 6253 Eに準拠し、23℃における硬化後のE硬度を測定した。
【0055】
(4)硬化後の強度及び伸び
「(3)硬化後のE硬度」と同様にして、ダンベル状試験片(ダンベル状2号形)を作製した。こうして得た試験片を用い、JIS K 6251に準拠し、ショッパー引張り試験機(株式会社東洋精機製作所製)にて23℃における硬化後の引張強度及び伸びを測定した。
【0056】
(5)吐出量
2条ネジプラスチックニードル(武蔵エンジアリング株式会社製:針長12.7mm、ゲージ:18G(内径0.84mm、外径1.27mm)を用いて、樹脂組成物を10秒間吐出した際の質量(g)を吐出量とした。吐出量は0.4g以上であれば実用可能であり、0.5g以上であることが好ましく、0.7g以上が更に好ましい。製造直後及び室温で4週間保管後の樹脂組成物について、吐出量を測定した。
【0057】
(6)継時
50℃で10日間放置した後の樹脂組成物について、「(5)吐出量」に従って、吐出量を測定した。
【0058】
〔使用成分〕
実施例及び比較例における各成分は、以下のとおりである。
(1)(A)(メタ)アクリロイルオキシ基を含有するポリオルガノシロキサン
(a−1)両末端がメタクリロキシプロピルジメトキシシリル基で閉塞された直鎖状のポリジメチルシロキサン(粘度1,020mPa・s)
(a−2)両末端がメタクリロキシプロピルジメトキシシリル基で閉塞された直鎖状のポリジメチルシロキサン(粘度5,120mPa・s)
(a−3)両末端がメタクロキシプロピルジメチルシリル基で閉塞された直鎖状のポリジメチルシロキサン(粘度2,200mPa・s)
(a−4)両末端がメタクリロキシプロピルジメチルシリル基で閉塞された直鎖状のポリジメチルシロキサン(粘度10,580mPa・s)
(a−5)両末端がアクリロキシプロピルジメトキシシリル基で閉塞された直鎖状のポリジメチルシロキサン(粘度980mPa・s)
(a−6)両末端がアクリロキシプロピルジメトキシシリル基で閉塞された直鎖状のポリジメチルシロキサン(粘度5,090mPa・s)
(a−7)両末端がアクリロキシプロピルジメトキシシリル基で閉塞された直鎖状のポリジメチルシロキサン(粘度9,780mPa・s)
【0059】
(2)(B)(メタ)アクリロイル基を有する有機ケイ素化合物で表面処理された煙霧質シリカ
なお、(B)のpHは、50容積%メタノール/イオン交換水溶液を使用して、40g/Lの濃度に調製したシリカ分散液の23℃におけるpHの値である。
(b−1)3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン処理煙霧質シリカ:BET比表面積144m
2/g(AEROSIL R7200、日本アエロジル製)、pH4.6、炭素含有量5.6質量%
(b−2)BET比表面積200m
2/gの煙霧質シリカ(AEROSIL 200、日本アエロジル製)を、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、次いで、
ジメチルジクロロシランで処理した煙霧質シリカ:BET比表面積158m
2/g、pH6.1、炭素含有量4.4質量%
(b−3)BET比表面積200m
2/gの煙霧質シリカ(AEROSIL 200、日本アエロジル製)を、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、次いで
、ジメチルジクロロシランで処理した煙霧質シリカ:BET比表面積161m
2/g、pH6.1、炭素含有量4.1質量%
(b−4)BET比表面積200m
2/gの煙霧質シリカ(AEROSIL 200、日本アエロジル製)を、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、次いで、トリメチルクロロシランで処理した煙霧質シリカ:BET比表面積142m
2/g、pH6.1、炭素含有量4.9質量%
(b−5)BET比表面積200m
2/gの煙霧質シリカ(AEROSIL 200、日本アエロジル製)を、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン及びトリメチルクロロシランで処理した煙霧質シリカ:BET比表面積143m
2/g、pH6.2、炭素含有量4.7質量%
(b−6)BET比表面積200m
2/gの煙霧質シリカ(AEROSIL 200、日本アエロジル製)を、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン及びヘキサメチルジシラザンで処理した煙霧質シリカ:BET比表面積142m
2/g、pH5.3、炭素含有量5.2質量%
(b−7)BET比表面積130m
2/gの煙霧質シリカ(AEROSIL 130、日本アエロジル製)を、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン及びヘキサメチルジシラザンで処理した煙霧質シリカ:BET比表面積102m
2/g、pH5.6、炭素含有量2.9質量%
(b−8)BET比表面積300m
2/gの煙霧質シリカ(AEROSIL 300、日本アエロジル製)を、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン及びヘキサメチルジシラザンで処理した煙霧質シリカ:BET比表面積187m
2/g、pH6.0、炭素含有量6.5質量%
(3)(B’)(B)以外の煙霧質シリカ
(b’−1)ジメチルジクロロシランで処理した煙霧質シリカ:BET比表面積170m
2/g(AEROSIL R974、日本アエロジル製)、pH4.7、炭素含有量1.1質量%
(b’−2)BET比表面積200m
2/gの煙霧質シリカ(AEROSIL 200、日本アエロジル製)を、ヘキサメチルジシラザンで処理した煙霧質シリカ:BET比表面積135m
2/g、pH6.8、炭素含有量3.9質量%
【0060】
(4)(C)光反応開始剤
(c−1)ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(イルガキュア 819)
(c−2)2−ヒドロキシ−メチルプロピオフェノン(ダロキュア 1173)
【0061】
(5)(D)金属触媒
(d−1)有機チタン化合物:テトラオクチルチタネート(オルガチックスTA−30:マツモトファインケミカル株式会社製)
(d−2)有機スズ化合物:ジブチル錫ジアセチルアセトナート(ネオスタンU−220:日東化成株式会社製)
【0062】
〔実施例1〕
(組成物の調製)
(a−1)900g、(b−1)100gを3Lの万能混合攪拌機(ダルトン社製)に入れ、室温(22℃)、低速レバーによる回転条件で30分間、均一に混合した。均一に混合した後、120℃で加熱混合を2時間行った。冷却後、紫外線遮断下で(c−1)1.0g及び(c−2)5.0gからなる溶解混合物を加え、低速レバーによる回転条件で30分間、冷却減圧にて均一に混合した。その後、洗浄した200メッシュの金網にて異物等を除去し、樹脂組成物を得た。
【0063】
実施例1と同様にして、表1〜5に示す配合で、実施例・比較例の組成物を調製し、物性を評価した。結果を表1〜5に示す。なお、(d−1)及び(d−2)の添加は、(c−1)及び(c−2)からなる溶解混合物の添加と同じ段階で行った。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
表1〜4より、実施例の組成物は、いずれも紫外線照射により良好な硬化性を発揮することが可能であり、かつ、圧縮永久歪が小さい硬化物を与えた。
実施例2と実施例4(実施例3と実施例5、実施例7と実施例9、実施例8と実施例10、実施例12と実施例14、実施例13と実施例15、実施例17と実施例19、及び、実施例18と実施例20)との比較により、アクリロイルオキシ基を有するシロキサンを含む組成物は、メタクリロイルオキシ基を有するシロキサンを含む組成物に比べて、表面硬化性が高まり、強度が高くなった。
実施例2と29、実施例30と31、及び、実施例4と32と33との比較により、粘度が高い(A)を含む組成物は、圧縮永久歪(特に、120℃及び180℃の圧縮永久歪)がより小さい硬化物を与えた。
実施例31と実施例33との比較により、組成物が、更にアルコキシ基を有するシロキサン及び硬化触媒を含む場合、組成物は湿気硬化性を有するため、表面硬化性により優れる。
実施例2と17(実施例3と18)との比較により、(メタ)アクリロイル基を有する有機ケイ素化合物及び(メタ)アクリロイル基を有さない有機ケイ素化合物で表面処理された煙霧質シリカを含む組成物は、(メタ)アクリロイル基を有する有機ケイ素化合物のみで表面処理された煙霧質シリカを含む組成物に比べて、圧縮永久歪(特に、120℃の圧縮永久歪)がより小さい硬化物を与え、組成物の表面硬化性が高まった。
実施例1〜3(実施例6〜8、実施例11〜13、実施例16〜18)の比較により、組成物が、更に金属触媒を含む場合、表面硬化性が高まった。
比較例1〜6は、シリカを含まない組成物であるため、比較例1〜6の組成物は、圧縮永久歪が大きい硬化物を与えた。
比較例8〜9及び11〜12は、シリカの表面処理化合物が(メタ)アクリロイル基を有さない有機ケイ素化合物を含む組成物であるため、比較例8〜9及び11〜12の組成物は、圧縮永久歪が大きい硬化物を与えた。また、比較例7と比較例8〜9(比較例10と比較例11〜12)の比較により、比較例の組成物では金属触媒によっては、表面硬化性は高まらなかった。